説明

基板印刷装置

【課題】基板の収縮または膨脹と関係なく基板とマスクとを正確に整合することができる、基板印刷装置を提供する。
【解決手段】基板印刷装置100は、パターンホールの設けられたマスク140と、このマスク140の一面でマスク140を支持するマスク支持部110と、マスク140の他面でマスク140を押圧するマスク押圧部120とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に回路を印刷する基板印刷装置に関し、特に、回路パターン(パターンホール)の設けられたマスクを用いて、基板に回路を印刷する基板印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、印刷回路基板は、数多の熱処理工程を経って製造されるため、基板を形成している有機体の収縮によって伸縮が発生することになる。このような基板の伸縮は、精密印刷工程において最も大きい問題点として目立っている。
【0003】
精密印刷の場合、ピッチ(pitch)が120μm未満で、基板には、ソルダペーストを印刷するためのパッド(Pad)が60μm程度の大きさで設けられている。印刷マスクは、パッドの大きさより約20μm程度大きい80μmの大きさで開口されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2006−0056019号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2008−0078429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、印刷作業に先立つて、基板及びマスクに設けられた認識マークを利用して、該基板とマスクとの整合を行う。この場合、印刷マスクの大きさに比べて、基板の大きさがやや大きいか小さいとしても、印刷品質は急激に落ちるようになる。
【0006】
特に、基板の伸縮は、製造工程、製品デザイン、用いられる原資材などによって非常に敏感に影響されて現われるため、同じ条件及び日付に生産された製品、すなわち同じロット(lot)で構成されて生産された製品でも微細な差が発生するようになる。そのため、基板の伸縮を予想してマスクの大きさを決めることも不可能であるのが実情である。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、基板の収縮または膨脹と関係なく基板とマスクとを正確に整合することができる、基板印刷装置を提供することに、その目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために、本発明の基板印刷装置は、パターンホールの設けられたマスクと、前記マスクの一面で前記マスクを支持するマスク支持部と、前記マスクの他面で前記マスクを押圧するマスク押圧部とを含む。
【0009】
一実施形態によれば、前記マスク支持部は2列で設けられ、前記マスク押圧部は、前記2列のマスク支持部間を押圧する。
【0010】
一実施形態によれば、前記マスク押圧部は、前記マスクの前後左右面を同時に押圧することができるように四角の環状に設けられる。
【0011】
また一実施形態によれば、前記マスク押圧部は、前記マスクと一体に設けられる。
【0012】
また一実施形態によれば、前記基板印刷装置は、基板に設けられた基板認識マークと前記マスクに設けられたマスク認識マークとの位置が一致するように、前記マスク押圧部の動作を制御する制御部をさらに含み、基板に設けられた基板認識マークと前記マスクに設けられたマスク認識マークとを認識するカメラを、さらに含む
【0013】
また一実施形態によれば、前記マスク押圧部は、ステッピングモータによって動作され、前記マスクは、外郭部がメッシュ(mesh)で形成される。
【0014】
また一実施形態によれば、前記メッシュは、ポリエステル材料から成り、前記マスクは、ニッケル(Ni)材料から成る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の基板印刷装置によれば、基板の収縮または膨脹に対応して、マスクに設けられたパターンのスケールを変更することができ、基板とマスクとを正確に整合させると共に基板の印刷品質を著しく向上させることができるという効果が奏する。
【0016】
また、本発明の基板印刷装置によれば、既存の設備を部分的に改造することだけで具現可能で、新規設備の製作が不要で、設備費用を低減することができるという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による基板印刷装置の側面図である。
【図2】マスクが押圧される前の状態を示す図面である。
【図3】マスクが押圧された後の状態を示す図面である。
【図4】本発明の一実施形態によるマスク押圧部を示す図面である。
【図5】本発明の他の実施形態によるマスク押圧部を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0019】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0020】
図1は、本発明による基板印刷装置の側面図である。図1に示すように、本発明による基板印刷装置100は、マスク140、マスク支持部110及びマスク押圧部120を含む。
【0021】
前記マスク140にはパターンホールが設けられ、インクがマスク140のパターンホールをパスして基板160に印刷することによって、回路が設けられる。基板160はテーブル180に取り付けられ、真空吸着によってテーブル180に固定される。
【0022】
また、マスク140は、外郭部がメッシュ147で形成され、マスク固定部150によって四方が固定された状態で位値する。マスク140は、ニッケル材料によって形成され、弾性力を有する。また、メッシュ147で形成された外郭部は、軽く且つ機械的性質が優秀なポリエステル材料から成り、マスク140それ自体の引張力を維持する役目をする。
【0023】
前記マスク支持部110は、前記マスク140の一面を支持し、前記マスク押圧部120は、前記マスク140の他面を押圧する。本発明では、マスク支持部110がマスク140の下面を支持し、マスク押圧部120がマスク14Oの上面を支持すると示されているが、これに限定するものではない。例えば、マスク支持部110がマスク140の上面を支持し、マスク押圧部120がマスク140の下面を押圧するようにしてもよい。
【0024】
図2は、マスクが押圧される前の状態を示す図面であり、図3は、マスクが押圧された後の状態を示す図面である。
【0025】
図2に示すように、マスク支持部110がマスク140を支持しており、マスク押圧部120がマスク140の反対面に位置している。また、図3に示すように、マスク押圧部120がマスク支持部110の反対面で押圧を始め、マスク140に引張力が加えられながら該マスク140が伸びるようになる。マスク140の大きさ(延び)の変化量は、マスク押圧部120の移動量によって調節することができる。
【0026】
本発明は、前述のように、マスク支持部110とマスク押圧部120とによってマスク140の大きさを変更し、これによってマスク140に設けられたパターンのスケールを変更することができる。そのため、基板160の収縮または膨脹と関係なく基板160とマスク140とを常に正確に整合させると共に、基板160の印刷品質を著しく向上させることができる。
【0027】
一実施形態によれば、前記マスク支持部110は2列で設けられる。また、マスク押圧部120は該2列のマスク支持部110間を押圧するようになる。このように、マスク押圧部120が2列で設けられたマスク支持部110間を押圧することによって、張力がマスク押圧部120のある一方に偏ることなく、両方へ一様に分布されることになる。よって、マスク押圧部120が片側に偏るような現像を防止することができる。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態によるマスク押圧部を示す。同図のように、マスク押圧部120が四角の環状に設けられ、マスク140の前後左右部を同時に押圧するようになる。
【0029】
一般に、基板160の膨脹/収縮は、ある一方向にかたよって現われず、全面にかけて一様に現われることになる。そのため、四角の環状に一体に設けられたマスク押圧部120によって、マスク140の前後左右部を同時に押圧することによって、基板160とマスク140とを正確に整合することができる。
【0030】
図5は、本発明の他の実施形態によるマスク押圧部を示す。同図のように、マスク140の前後左右部を各々独立して押圧することができるように、マスク押圧部120が4個に分離されて設けられる。
【0031】
このように、マスク140の前後左右部に各々設置されたマスク押圧部120が各々独立して動作することによって、基板160に発生する膨脹/収縮がある一方向にかたよって現われても、これに対応して基板160とマスク140とを正確に整合することができる。
【0032】
また、前記マスク押圧部120は、マスク140と一体に設けられてもよい。マスク押圧部120がマスク140と一体に設けられると、マスク140の押圧地点を常に一定に維持することができ、さらに正確な押圧が可能である。
【0033】
一実施形態によれば、本発明による基板印刷装置100は、基板に設けられた基板認識マーク165と該マスクに設けられたマスク認識マーク145とを認識するカメラ170を、さらに含む。また一実施形態によれば、基板印刷装置100は、基板認識マーク165とマスク認識マーク145との位置が一致するように、前記マスク押圧部120の動作を制御する制御部を、さらに含む。
【0034】
本発明の基板印刷装置100は、前記カメラ170及び制御部によって基板160とマスク140とを自動に整合すると共に整合の正確度をさらに向上させることができる。
【0035】
また一実施形態によれば、前記マスク押圧部120は、ステッピングモータ130によって動作されてもよい。このステッピングモータ130は、回転角度を正確に制御することができるモータであって、これを利用して、前記マスク押圧部120の動作を精微に制御することができる。
【0036】
また、本発明による基板印刷装置100は、既存の印刷設備にマスク支持部110及びマスク押圧部120を追加で設置することによって具現することができる。すなわち、本発明は、既存の設備を部分的に改造することだけでも充分に具現することができ、新規設備の製作が不要で、設備費用を低減することができるという長所がある。
【0037】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0038】
100 基板印刷装置
110 マスク支持部
120 マスク押圧部
130 ステッピングモータ
140 マスク
145 マスク認識マーク
147 メッシュ
150 マスク固定部
160 基板
165 基板認識マーク
170 カメラ
180 テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンホールの設けられたマスクと、
前記マスクの一面で前記マスクを支持するマスク支持部と、
前記マスクの他面で前記マスクを押圧するマスク押圧部
とを含む基板印刷装置。
【請求項2】
前記マスク支持部は、2列で設けられ、
前記マスク押圧部は、前記2列のマスク支持部間を押圧する、請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項3】
前記マスク押圧部は、マスクの前後左右面を同時に押圧するように四角の環状に設けられる、請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項4】
前記マスク押圧部は、前記マスクと一体に設けられる、請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項5】
前記基板印刷装置は、
基板に設けられた基板認識マークと前記マスクに設けられたマスク認識マークとを認識するカメラを、さらに含む請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項6】
前記基板印刷装置は、
基板に設けられた基板認識マークと前記マスクに設けられたマスク認識マークとの位置が一致するように、前記マスク押圧部の動作を制御する制御部を、さらに含む請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項7】
前記マスク押圧部は、ステッピングモータによって動作する、請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項8】
前記マスクは、外郭部がメッシュで形成される、請求項1に記載の基板印刷装置。
【請求項9】
前記メッシュは、ポリエステル材料から成る、請求項8に記載の基板印刷装置
【請求項10】
前記マスクは、ニッケル(Ni)材料から成る、請求項8に記載の基板印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−111979(P2013−111979A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256000(P2012−256000)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(512255804)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (21)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electro−Mechanics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】150, Maeyeong−ro, Yeongtong−gu, Suwon−si, Gyeonggi−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】