説明

基板及びリード付き部品の半田付け方法

【課題】クリーム半田塗布領域を拡げずに実装強度を確保できるリード付き部品の実装方法を提供する。
【解決手段】基板1には、本体部110のリード(図示せず)を挿入するメッキ付きのリード挿入孔111及びリード挿入孔112を備え、リード挿入孔111の周囲にはクリーム半田塗布領域113が設けられ、リード挿入孔112の周囲にはクリーム半田塗布領域114が設けられている。リード挿入孔111に隣接してメッキ無しの半田補充孔115a、半田補充孔115b、及び半田補充孔115cが設けられ、リード挿入孔112に隣接してメッキ無しの半田補充孔116aが設けられている。半田補充孔115a、半田補充孔115b、及び半田補充孔115cの補充されたクリーム半田はリード挿入孔111に引き込まれ、半田補充孔116aの補充されたクリーム半田はリード挿入孔112に引き込まれることで、リード付き部品10が基板1に半田付けされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に半田付けする電子部品の半田付け方法に係り、特にプリント基板(以下、基板という)に半田付けするリード付き挿入電子部品(以下、リード付き部品という)の半田付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装部品(Surface Mount Device)(以下、SMDという)やリード付き部品を基板に半田付けする作業において、従来は、はんだ槽に溶かしておいた半田の表層に基板の下面(以下、リード側という)を浸すことによって半田付けを行う方式(以下、フロー方式という)で行われていた。しかし、最近ではコストダウンにより半田付け作業工程の時間短縮やフロー治具の廃止により、SMDやリード付き部品を同時に一括で基板に実装する方式(以下、一括リフロー方式という)が採用されるようになった。
【0003】
図3に、一括リフロー方式により基板2にリード付き部品20を半田付けする方法を示す。図3に示すように基板2に実装されるリード付き部品20は、本体部210とメス形状の端子(以下、端子という)部220から構成されている。基板2には、本体部210のリード(図示せず)を挿入するリード挿入孔211及びリード挿入孔212が設けられている。また、リード挿入孔211の周囲にはクリーム半田塗布領域213、リード挿入孔212の周囲にはクリーム半田塗布領域214が設けられている。このようなリード付き部品20を一括リフロー方式で基板2に実装するには、熱を加えることでクリーム半田塗布領域213のクリーム半田をリード挿入孔211に引き込み、同様にクリーム半田塗布領域214のクリーム半田をリード挿入孔212に引き込むことで、リード付き部品20を基板2に半田付けしている。このため、リード付き部品20のリード挿入孔211の周囲にクリーム半田塗布領域213を設け、同様にリード挿入孔212の周囲にクリーム半田塗布領域214を設け、その領域にクリーム半田を塗布している。
【0004】
SMDとリード部品を一括リフロー方式でプリント配線基板に実装する技術として特開2010−199232号公報(特許文献1)を挙げることができる。特許文献1に開示の技術では、プリント配線基板に形成されたスルーホールに対応する位置に、遮蔽体が形成された開口部を有するメタルマスクを備え、またスルーホールの一端にリード付部品のリードを挿入するための孔である挿入孔を形成し、スルーホールの反対側の他端からクリーム半田を印刷し、この他端から挿入孔に向けてリードを挿入してスルーホールにリードを固定することで、SMDとリード部品とを一括でリフロー半田付けすることができる半田付け装置を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−199232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1に開示の技術における半田付け装置は、遮蔽体が形成された開口部を有するメタルマスクを備えなければならないので、部品や作業工程が増加する。また、図3に示す従来のリード付き部品20は、クリーム半田をリード挿入孔211及びリード挿入孔212に引き込んでリード付き部品20を基板2に半田付けするには、リード挿入孔211及びリード挿入孔212の孔内からリード側までの十分なクリーム半田量を確保しなければならない。このため、クリーム半田塗布領域213及びクリーム半田塗布領域214を拡げる必要があった。しかし、リード挿入孔211のように基板2の端部の近傍に設けられている場合では、リード挿入孔211を中心として均等にクリーム半田を拡げることができないので、クリーム半田塗布領域213を本体部210より外側の左右方向と、基板2の端部の反対方向に拡げなければならなかった。また、リード挿入孔212のように何らかの制限によりリード挿入孔212の上下方向及び右方向にクリーム半田を拡げることができない場合には、クリーム半田塗布領域214を本体部210より外側の左方向に拡げなければならなかった。
【0007】
このように、リード挿入孔211を中心としてクリーム半田塗布領域213を均等に拡げることができない場合があり、またリード挿入孔212を中心としてクリーム半田塗布領域214を均等に拡げることができない場合がある。このためリード挿入孔211及びリード挿入孔212から離れた位置に塗布されたクリーム半田は、リード挿入孔211及びリード挿入孔212に引き込まれずに、クリーム半田塗布領域213及びクリーム半田塗布領域214に半田ボール300として残存してしまうことがある。この半田ボール300が基板2の表面から剥離して他の電子部品との配線などに接触すると、回路ショート等の不具合を起こすことがあった。また、クリーム半田塗布領域213やクリーム半田塗布領域214を小さくすると、リード挿入孔211やリード挿入孔212に引き込まれるクリーム半田量が不足するので、リード付き部品20の実装強度を保持できなくなる。このような場合には、実装強度を保持するために、後工程で半田を追加する追い半田という工程を行わなければならなかった。このように、クリーム半田領域を拡げると半田ボールが発生し、また、クリーム半田領域を小さくするとリード挿入孔に引き込まれるクリーム半田量が不足することでリード付き部品20の基板2に対する実装強度が足りなくなるという課題があった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリード付き部品の半田付け方法は、基板に設けられたリード挿入孔にリード付き部品を挿入し、前記基板に前記リード付き部品を半田付けするリード付き部品の半田付け方法において、前記リード挿入孔の周囲に設けられた半田塗布領域にクリーム半田を塗布すると共に、前記リード挿入孔に隣接した位置にクリーム半田を前記リード挿入孔に補充する半田補充孔にクリーム半田を充てんし、加熱により半田付けすることを特徴としている。
また、本発明のリード付き部品の半田付け方法の前記半田補充孔は、複数設けられることを特徴としている。
また、本発明のリード付き部品の半田付け方法の前記リード挿入孔は、前記基板の端部の近傍に設けられることを特徴としている。
本発明の基板は、リード付き部品がリード挿入孔に挿入され前記リード付き部品が半田付けされる基板において、前記リード挿入孔の周囲に隣接された半田塗布領域と、前記リード挿入孔に隣接された位置に設けられた半田補充孔とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クリーム半田塗布領域を拡げることなく、またリード付き部品の実装強度を確保できる半田量をリード挿入孔に引き込むことができるリード付き部品の半田付け方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る一括リフロー方式により基板にリード付き部品を半田付けする方法を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係るSMDとリード付き部品を基板に半田付けする手順を示すフローチャートである。
【図3】従来技術に係る一括リフロー方式により基板にリード付き部品を半田付けする方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1に、一括リフロー方式により基板1にリード付き部品10を半田付けする方法を示す。図1に示すように基板1に実装されるリード付き部品10は、本体部110と端子部120から構成されている。基板1には、本体部110のリード(図示せず)を挿入するメッキ付きのリード挿入孔111及びリード挿入孔112が設けられている。リード挿入孔111の周囲にはクリーム半田塗布領域113、リード挿入孔112の周囲にはクリーム半田塗布領域114が設けられている。また、リード挿入孔111の周囲に隣接してメッキ無しの半田補充孔115a、半田補充孔115b、及び半田補充孔115cが設けられている。また、リード挿入孔112に隣接してメッキ無しの半田補充孔116aが設けられている。
【0014】
このようにリード付き部品10にはメッキ付きのリード挿入孔111に隣接してメッキ無しの半田補充孔115a、半田補充孔115b、及び半田補充孔115cが設けられているので、これらの半田補充孔により補充されたクリーム半田は、メッキ付きのリード挿入孔111に引き込まれる。また、メッキ付きのリード挿入孔112に隣接してメッキ無しの半田補充孔116aが設けられているので、この半田補充孔により補充されたクリーム半田はメッキ付きのリード挿入孔112に引き込まれる。この結果、クリーム半田塗布領域113の面積を従来に比べ小さくした場合でも、半田補充孔115a、半田補充孔115b、及び半田補充孔115cによりクリーム半田が補充されるので、クリーム半田量が不足することがない。同様に、クリーム半田塗布領域114の面積を従来に比べ小さくした場合でも、半田補充孔116aによりクリーム半田が補充されるので、クリーム半田量が不足することがない。また、クリーム半田塗布領域113とクリーム半田塗布領域114の面積を従来に比べ小さくかることにより、半田ボールの発生を防止することができる。
【0015】
次に、本発明の実施形態に係る基板1にSMDとリード付き部品10を半田付けする手順のフローチャートを図2に示す。以下、図2に示すローチャートのステップ順に説明する。
【0016】
(ステップS10)
まず、基板1のSMDのみが実装される面(以下、半田面という)にクリーム半田を塗布(以下、クリーム半田印刷という)する。
【0017】
(ステップS20)
半田面のクリーム半田塗布領域にクリーム半田印刷が行われると、SMDを基板1の半田面に実装する。なお、SMDの実装は、マウンタなどによる自動搭載または手載せで行う。
【0018】
(ステップS30)
SMDが実装された基板1はリフロー炉に流され、SMDの半田面へのリフロー半田付けが行われる。
【0019】
(ステップS40)
SMDとリード付部品が実装される面(以下、部品面という)のクリーム半田塗布領域113及びクリーム半田塗布領域114にクリーム半田を印刷する。
【0020】
(ステップS50)
部品面のクリーム半田塗布領域113及びクリーム半田塗布領域114にクリーム半田印刷が行われると、SMDを基板1の部品面に実装すると共に、リード挿入孔111及びリード挿入孔112にリード付き部品10のリードを部品面側から挿入することで、リード付き部品10を基板1に実装する。
【0021】
(ステップS60)
SMDとリード付き部品が実装された基板1はリフロー炉に流される。このようにリフロー炉に流されることで、SMDが基板1の部品面に半田付けされる。また、リード付き部品10において、クリーム半田塗布領域113、半田補充孔115a、半田補充孔115b、及び半田補充孔115cのクリーム半田がリード挿入孔111に引き込まれ、クリーム半田塗布領域114及び半田補充孔116aのクリーム半田がリード挿入孔112に引き込まれる。そして、リード挿入孔111とリード挿入孔112に引き込まれたクリーム半田がリフロー加熱により溶融することで、リード付き部品10が基板1の部品面に半田付けされる。
【0022】
本実施形態は、以上のステップS40からステップS60に示す手順により、リード付き部品10を基板1に半田付けを行う。
【0023】
なお、本実施形態においては、リード挿入孔111に対して3つの半田補充孔115a、半田補充孔115b、及び半田補充孔115cを設け、またリード挿入孔112に対して1つの半田補充孔116aを設ける実施例について説明したが、リード挿入孔に対して設ける半田補充孔の数はこれに限定されない。また、図2に示したフローチャートでは、ステップS10〜ステップS30でSMDの半田付け、ステップS40〜ステップS60でSMDとリード付き部品10が混在する半田付けを行う例を示したが、半田付けのリフローは、SMDのみ、リード付き部品のみ、SMDとリード付き部品の混在するものが適宜実施できることは言うまでもない。
【0024】
このような実施形態により、リード挿入孔に隣接した位置に半田補充孔を設けることで、クリーム半田塗布領域を拡げることなく、実装強度を確保できる半田量をリード挿入孔に引き込むことができるので、基板の高密度実装設計を可能にし、また半田ボールの発生による回路ショートを防止し、半田量不足による追い半田作業工程を削減する電子部品の半田付け方法を提供することができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0026】
1・・・・・・・・基板
2・・・・・・・・基板
10・・・・・・・・リード付き部品
20・・・・・・・・リード付き部品
110・・・・・・・・本体部
111・・・・・・・・リード挿入孔
112・・・・・・・・リード挿入孔
113・・・・・・・・クリーム半田塗布領域
114・・・・・・・・クリーム半田塗布領域
115a・・・・・・・半田補充孔
115b・・・・・・・半田補充孔
115c・・・・・・・半田補充孔
116a・・・・・・・半田補充孔
120・・・・・・・・端子部
210・・・・・・・・本体部
211・・・・・・・・リード挿入孔
212・・・・・・・・リード挿入孔
213・・・・・・・・クリーム半田塗布領域
214・・・・・・・・クリーム半田塗布領域
220・・・・・・・・端子部
300・・・・・・・・半田ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられたリード挿入孔にリード付き部品を挿入し、前記基板に前記リード付き部品を半田付けするリード付き部品の半田付け方法において、
前記リード挿入孔の周囲に設けられた半田塗布領域にクリーム半田を塗布すると共に、
前記リード挿入孔に隣接した位置にクリーム半田を前記リード挿入孔に補充する半田補充孔にクリーム半田を充てんし、加熱により半田付けすることを特徴とするリード付き部品の半田付け方法。
【請求項2】
前記半田補充孔は、複数設けられることを特徴とする請求項1に記載のリード付き部品の半田付け方法。
【請求項3】
前記リード挿入孔は、前記基板の端部の近傍に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリード付き部品の半田付け方法。
【請求項4】
リード付き部品がリード挿入孔に挿入され前記リード付き部品が半田付けされる基板において、
前記リード挿入孔の周囲に隣接された半田塗布領域と、
前記リード挿入孔に隣接された位置に設けられた半田補充孔とを備えることを特徴とする基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−115168(P2013−115168A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258756(P2011−258756)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】