説明

基板反転装置および基板処理装置

【課題】基板反転装置の高さを低減すること。
【解決手段】基板反転装置5は、第1下傾斜部23と基板Wの周縁部との接触によって基板Wを水平な姿勢で支持する複数の第1下ガイド8と、第1上傾斜部22と基板Wの周縁部との接触によって複数の第1下ガイド8と協働して基板Wを挟持する複数の第1上ガイド7と、複数の第1上ガイド7および第1下ガイド8を水平に移動させる複数のシリンダ13と、複数の第1上ガイド7および第1下ガイド8を水平に延びる反転軸線L1まわりに回転させることにより、基板Wを反転させる電動モータ18とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を反転させる基板反転装置、および基板を処理する基板処理装置に関する。基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられる。例えば特許文献1に記載の基板処理装置は、基板を水平な軸線まわりに回転させることにより、基板を反転させる反転ユニットを備えている。反転ユニットは、水平に支持された固定板と、固定板に対向する可動板と、可動板を上下に平行移動させるシリンダと、固定板および可動板を水平な軸線まわりに回転させるロータリーアクチュエータとを含む。
【0003】
基板の反転が行われるときは、固定板と可動板との間に搬入された基板が、固定板に取り付けられた複数の支持ピンを介して固定板に支持される。その後、シリンダが可動板を降下させることにより、可動板を固定板に近づける。これにより、固定板に支持されている基板が、固定板に取り付けられている複数の支持ピンと、可動板に取り付けられている複数の支持ピンとによって上下に挟まれる。その後、ロータリーアクチュエータが、固定板および可動板を水平な軸線まわりに回転させることにより、固定板および可動板に挟持されている基板が反転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−166368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の反転ユニットでは、可動板が上下に移動するから、可動板の上下に可動板が移動するための空間を確保する必要がある。そのため、反転ユニットの高さが増加し、反転ユニットが大型化してしまう。
そこで、この発明の目的は、大型化を抑制または防止できる基板反転装置を提供することである。
【0006】
さらに、この発明の他の目的は、大型化を抑制または防止できる基板反転装置を備えた基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、鉛直に延びる基準線(L2)に向かって斜め下向きに傾斜した複数の第1下傾斜部(23、523)をそれぞれ有しており、前記複数の第1下傾斜部を基板の周縁部に接触させることにより、前記基板を水平な姿勢で支持する複数の第1下ガイド(8、508)と、前記基準線に向かって斜め上向きに傾斜した複数の第1上傾斜部(22、522)をそれぞれ有しており、前記複数の第1下傾斜部と前記基板の周縁部との接触位置より上方で前記複数の第1上傾斜部を前記基板の周縁部に接触させることにより、前記複数の第1下ガイドと協働して前記基板を挟持する複数の第1上ガイド(7、507)と、前記複数の第1上ガイドを水平に移動させ、前記複数の第1下ガイドを水平に移動させるガイド移動手段(13、213、313)と、前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドを水平に延びる反転軸線(L1)まわりに回転させることにより、前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドに挟持されている基板を反転させるガイド回転手段(18)とを含む、基板反転装置(5、205、305、405、505)である。
【0008】
この構成によれば、複数の第1下ガイドの第1下傾斜部が、基板の周縁部に接触すると共に、複数の第1上ガイドの第1上傾斜部が、第1下傾斜部と基板の周縁部との接触位置より上方で基板の周縁部に接触する。これにより、基板が、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドによって水平な姿勢で挟持される。ガイド回転手段は、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドが基板を挟持している状態で、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドを反転軸線まわりに180度回転させる。これにより、基板の表面の位置と基板の裏面の位置とが入れ替わり、基板が反転する。
【0009】
第1下ガイドの第1下傾斜部は、鉛直に延びる基準線に向かって斜め下向きに傾斜している。したがって、複数の第1下ガイドは、複数の第1下傾斜部を基板の周縁部に接触させることにより、基板を水平な姿勢で支持できる。さらに、ガイド移動手段は、複数の第1上ガイドを水平に移動させることにより、複数の第1上ガイドを退避させることができる。基板を搬送する基板搬送ロボットは、複数の第1上ガイドが退避している状態で、複数の第1下ガイドに基板を載置したり、複数の第1下ガイドに支持されている基板を受け取ったりすることができる。
【0010】
また、第1上ガイドの第1上傾斜部は、基準線に向かって斜め上向きに傾斜しているから、ガイド回転手段が、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドを反転軸線まわりに180度回転させると、第1上傾斜部は、下向きの状態から上向きの状態になる。第1上傾斜部が上向きの状態では、複数の第1上ガイドは、複数の第1上傾斜部を基板の周縁部に接触させることにより、基板を水平な姿勢で支持できる。そのため、第1下傾斜部が下向きの状態でも、基板搬送ロボットは、複数の第1上ガイドに基板を搬入したり、複数の第1上ガイドから基板を搬出したりすることができる。
【0011】
このように、水平面に対して傾斜した傾斜部が各ガイドに設けられているから、基板搬送ロボットは、第1上傾斜部および第1下傾斜部のいずれが下向きの状態でも、基板の搬入および搬出を行うことができる。さらに、ガイド移動手段は、第1上ガイドまたは第1下ガイドによって基板が水平な姿勢で支持されている状態で、退避させている複数のガイドを水平に移動させることにより、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドによって基板を水平な姿勢で挟持させることができる。さらにまた、ガイド移動手段が第1上ガイドおよび第1下ガイドを水平に移動させるので、ガイドの上下にガイドが移動するための空間を設けなくてよい。そのため、ガイドを上下に移動させて挟持する構成よりも基板反転装置の高さを低減できる。これにより、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドを保持しており、前記ガイド回転手段によって前記反転軸線まわりに回転される複数の保持部材(14)をさらに含む、請求項1に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、ガイド回転手段が、複数の保持部材を反転軸線まわりに回転させる。複数の保持部材は、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドを保持しているから、ガイド回転手段が複数の保持部材を反転軸線まわりに回転させると、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドも反転軸線まわりに回転する。したがって、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドとガイド回転手段とを個別に連結する複数の部材を設けなくてよい。そのため、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記複数の保持部材に連結されており、前記反転軸線まわりに回転可能な複数の回転軸(15)をさらに含み、前記ガイド回転手段は、前記複数の回転軸のいずれか一つに連結されている、請求項2に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、ガイド回転手段の動力(反転軸線まわりの動力)が、いずれか一つの回転軸(駆動側の回転軸)に入力される。そして、駆動側の回転軸に入力された動力は、駆動側の回転軸に連結されている保持部材(駆動側の保持部材)を介して、駆動側の保持部材に保持されているガイドに伝達される。したがって、基板が複数のガイドによって挟持されている状態では、ガイド回転手段の動力は、駆動側の保持部材に保持されているガイドから、基板を介して、従動側の保持部材に保持されているガイドに伝達される。これにより、ガイド回転手段の動力が駆動側の保持部材から従動側の保持部材に伝達され、複数の保持部材と複数の回転軸とが反転軸線まわりに回転する。このように、ガイド回転手段がいずれか一つの回転軸だけに連結されているから、ガイド回転手段が各回転軸に連結されている構成よりも基板反転装置の大きさを低減できる。これにより、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記複数の第1上ガイドは、それぞれ、前記複数の第1下ガイドの上方に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、複数の第1上ガイドが、それぞれ、複数の第1下ガイドの上方に配置されているので、第1上ガイドおよび第1下ガイドは、平面視において重なり合っている。そのため、平面視における第1上ガイドおよび第1下ガイドの専有面積を低減できる。これにより、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記基準線に向かって斜め下向きに傾斜した複数の第2下傾斜部(23、523)をそれぞれ有しており、前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドに挟持されている基板とは異なる高さに配置された基板の周縁部に前記複数の第2下傾斜部を接触させることにより、前記基板を水平な姿勢で支持する複数の第2下ガイド(11、511)と、前記基準線に向かって斜め上向きに傾斜した複数の第2上傾斜部(22、522)をそれぞれ有しており、前記複数の第2下傾斜部と前記基板の周縁部との接触位置より上方で前記複数の第2上傾斜部を前記基板の周縁部に接触させることにより、前記複数の第2下ガイドと協働して前記基板を挟持する複数の第2上ガイド(10、510)とをさらに含み、前記ガイド移動手段は、前記複数の第2上ガイドを水平に移動させ、前記複数の第2下ガイドを水平に移動させ、前記ガイド回転手段は、前記複数の第2上ガイドおよび第2下ガイドを前記反転軸線まわりに回転させることにより、前記複数の第2上ガイドおよび第2下ガイドに挟持されている基板を反転させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板反転装置である。
【0016】
この構成によれば、複数の第2下ガイドの第2下傾斜部が、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドに挟持されている基板とは異なる高さに配置された基板の周縁部に接触する。それと共に、複数の第2上ガイドの第2上傾斜部が、第2下傾斜部と基板の周縁部との接触位置より上方で基板の周縁部に接触する。これにより、基板が、水平な姿勢で挟持される。したがって、ガイド回転手段は、複数の第2上ガイドおよび第2下ガイドを反転軸線まわりに180度回転させることにより、複数の第2上ガイドおよび第2下ガイドに挟持されている基板を反転させることができる。これにより、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドに挟持されている基板と、複数の第2上ガイドおよび第2下ガイドに挟持されている基板とを同時に反転させることができる。すなわち、複数枚の基板を同時に反転させることができる。
【0017】
さらに、複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドと同様に、水平面に対して傾斜した傾斜部(第2上傾斜部または第2下傾斜部)が第2上ガイドおよび第2下ガイドに設けられているから、基板搬送ロボットは、第2上傾斜部および第2下傾斜部のいずれが下向きの状態でも、基板の搬入および搬出を行うことができる。しかも、ガイド移動手段は、第1上ガイドおよび第1下ガイドだけでなく、第2上ガイドおよび第2下ガイドも水平に移動させるので、第2上ガイドおよび第2下ガイドの上下にガイドが移動するための空間を設けなくてよい。したがって、第1上ガイドおよび第1下ガイドと第2上ガイドおよび第2下ガイドとの間隔(鉛直方向への間隔)を減少させることができる。そのため、基板反転装置の高さを大幅に低減できる。これにより、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記複数の第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドを保持しており、前記ガイド回転手段によって前記反転軸線まわりに回転される複数の保持部材(14)をさらに含む、請求項5に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、ガイド回転手段が、複数の保持部材を反転軸線まわりに回転させる。複数の保持部材は、複数の第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドを保持しているから、ガイド回転手段が複数の保持部材を反転軸線まわりに回転させると、複数の第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドも反転軸線まわりに回転する。したがって、複数の第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドとガイド回転手段とを個別に連結する複数の部材を設けなくてよい。そのため、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0019】
請求項7記載の発明は、前記複数の保持部材に連結されており、前記反転軸線まわりに回転可能な複数の回転軸(15)をさらに含み、前記ガイド回転手段は、前記複数の回転軸のいずれか一つに連結されている、請求項6に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、ガイド回転手段の動力(反転軸線まわりの動力)が、いずれか一つの回転軸(駆動側の回転軸)に入力される。そして、駆動側の回転軸に入力された動力は、駆動側の回転軸に連結されている保持部材(駆動側の保持部材)を介して、駆動側の保持部材に保持されているガイドに伝達される。したがって、基板が複数のガイドによって挟持されている状態では、ガイド回転手段の動力は、駆動側の保持部材に保持されているガイドから、基板を介して、従動側の保持部材に保持されているガイドに伝達される。これにより、ガイド回転手段の動力が駆動側の保持部材から従動側の保持部材に伝達され、複数の保持部材と複数の回転軸とが反転軸線まわりに回転する。このように、ガイド回転手段がいずれか一つの回転軸だけに連結されているから、ガイド回転手段が各回転軸に連結されている構成よりも基板反転装置の大きさを低減できる。これにより、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記ガイド移動手段は、前記第1上ガイドを水平に移動させる第1上ガイド移動手段(13a)と、前記第2上ガイドを水平に移動させる第2上ガイド移動手段(13b)と、前記第1下ガイドを水平に移動させる第1下ガイド移動手段(13c)と、前記第2下ガイドを水平に移動させる第2下ガイド移動手段(13d)とを含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の基板反転装置である。
【0021】
この構成によれば、4種類のガイド(第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第1下ガイド)にそれぞれ対応する4種類のガイド移動手段(第1上ガイド移動手段、第1下ガイド移動手段、第2上ガイド移動手段、および第1下ガイド移動手段)が設けられている。したがって、4種類のガイドを他の種類のガイドと独立して水平に移動させることができる。
【0022】
請求項9記載の発明は、前記ガイド移動手段は、前記第1上ガイドおよび第2上ガイドを水平に移動させる上ガイド移動手段(213a)と、前記第1下ガイドおよび第2下ガイドを水平に移動させる下ガイド移動手段(213b)とを含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、2種類の上ガイド(第1上ガイドおよび第2上ガイド)に対応する上ガイド移動手段と、2種類の下ガイド(第1下ガイドおよび第2下ガイド)に対応する下ガイド移動手段とが設けられている。したがって、ガイドの種類ごとにガイド移動手段が設けられている構成に比べて、ガイド移動手段の数を減少させることができる。これにより、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0023】
請求項10記載の発明は、前記ガイド移動手段は、前記第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドに対して前記反転軸線まわりに相対回転可能である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、ガイド移動手段が、第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドに対して反転軸線まわりに相対回転可能であるから、ガイド回転手段は、基板を反転させるときに、反転軸線まわりにガイド移動手段を回転させなくてよい。したがって、ガイド回転手段によって回転される回転体の質量を減少させることができる。そのため、出力の小さな小型のユニットをガイド回転手段として用いることができる。これにより、基板反転装置の大型化を抑制または防止できる。
【0024】
請求項11記載の発明は、前記第1上ガイドおよび第1下ガイドと、前記第2上ガイドおよび第2下ガイドとを、鉛直方向に関して互いに反対方向に移動させるガイド昇降手段(443)をさらに含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の基板反転装置である。
この構成によれば、ガイド昇降手段が、第1上ガイドおよび第1下ガイドを昇降させる。さらに、ガイド昇降手段が、第2上ガイドおよび第2下ガイドを昇降させる。ガイド昇降手段は、第1上ガイドおよび第1下ガイドと第2上ガイドおよび第2下ガイドとを鉛直方向に関して互いに反対方向に移動させる。これにより、第1上ガイドおよび第1下ガイドと第2上ガイドおよび第2下ガイドとの間隔(鉛直方向への間隔)が増減される。
【0025】
後述するように、ガイド昇降手段は、各ガイドを昇降させることにより、基板搬送ロボットの2つのハンドを移動させずに、基板反転装置から基板搬送ロボットへの基板の移動と、基板搬送ロボットから基板反転装置への基板の移動とを行うことができる。これにより、基板の受け渡しに要する時間を短縮できる。特に、ガイド昇降手段が、第1上ガイドおよび第1下ガイドの昇降と同時に、第2上ガイドおよび第2下ガイドを昇降させる場合には、基板反転装置から基板搬送ロボットへの基板の移動と、基板搬送ロボットから基板反転装置への基板の移動とが同時に行われるので、基板の受け渡しに要する時間を一層短縮できる。
【0026】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板反転装置と、前記基板反転装置への基板の搬入および前記基板反転装置からの基板の搬出を行う基板搬送ロボット(IR、CR)とを含む、基板処理装置(1)である。
この構成によれば、基板搬送ロボットが、基板反転装置に基板を搬入する。そして、基板搬送ロボットは、基板反転装置によって反転された基板を基板反転装置から搬出する。したがって、基板搬送ロボットは、基板の表面が上または下の任意の向きに向けられた状態で基板を搬送することができる。
【0027】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す模式的な側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る反転パスの内部構成を説明するための模式的な正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る反転パスの模式的な平面図である。
【図4】図2に示す矢印IVの方向から反転パスを見た模式図である。
【図5】第1上ガイドおよび第1下ガイドの一例を示す正面図である。
【図6A】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図6B】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図6C】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図6D】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図6E】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る反転パスの内部構成を説明するための模式的な正面図である。
【図8】図7に示す矢印VIIIの方向から反転パスを見た模式図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る反転パスの内部構成を説明するための模式的な正面図である。
【図10】図9に示す矢印Xの方向から反転パスを見た模式図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る反転パスの構成を説明するための模式的な正面図である。
【図12】図11に示す矢印XIIの方向から反転パスを見た模式図である。
【図13A】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図13B】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図13C】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図13D】反転パスが基板を反転させるときの動作の一例を示す模式図である。
【図14】本発明の第5実施形態に係る反転パスの構成を説明するための模式的な正面図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る反転パスの構成を説明するための模式的な平面図である。
【図16】図14の一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す模式的な側面図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置1は、基板Wを収容する複数のキャリアCを保持するキャリア保持ユニット2と、基板Wを処理する処理ユニット3と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置4とを備えている。さらに、基板処理装置1は、キャリア保持ユニット2と処理ユニット3との間に配置された反転パス5(基板反転装置)と、キャリア保持ユニット2と反転パス5との間で基板Wを搬送するインデクサロボットIR(基板搬送ロボット)と、処理ユニット3と反転パス5との間で基板Wを搬送するセンターロボットCR(基板搬送ロボット)とを備えている。反転パス5は、基板Wを反転させる基板反転装置である。
【0030】
インデクサロボットIRは、キャリア保持ユニット2と反転パス5との間に配置されている。センターロボットCRは、処理ユニット3と反転パス5との間に配置されている。インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRは、反転パス5に対して、水平な搬送方向D1に対向している。インデクサロボットIRは、キャリアCおよび反転パス5に基板Wを搬入する搬入動作、およびキャリアCおよび反転パス5から基板Wを搬出する搬出動作を行う。センターロボットCRは、処理ユニット3および反転パス5に基板Wを搬入する搬入動作、および処理ユニット3および反転パス5から基板Wを搬出する搬出動作を行う。
【0031】
インデクサロボットIRは、互いに異なる高さで基板Wを水平に支持する2つのハンドHを備えている。インデクサロボットIRは、2つのハンドHを互いに独立して水平に移動させる。さらに、インデクサロボットIRは、2つのハンドHを昇降させ、2つのハンドHを鉛直軸線まわりに回転させる。同様に、センターロボットCRは、互いに異なる高さで基板Wを水平に支持する2つのハンドHを備えている。センターロボットCRは、2つのハンドHを互いに独立して水平に移動させる。さらに、センターロボットCRは、2つのハンドHを昇降させ、2つのハンドHを鉛直軸線まわりに回転させる。
【0032】
キャリアCには、デバイス形成面である基板Wの表面が上に向けられた状態で基板Wが収容されている。制御装置4は、インデクサロボットIRによって、表面が上向きの状態でキャリアCから反転パス5に基板Wを搬送させる。そして、制御装置4は、反転パス5によって基板Wを反転させる。これにより、基板Wの裏面が上に向けられる。その後、制御装置4は、センターロボットCRによって、裏面が上向きの状態で反転パス5から処理ユニット3に基板Wを搬送させる。そして、制御装置4は、処理ユニット3によって基板Wの裏面を処理させる。
【0033】
基板Wの裏面が処理された後は、制御装置4は、センターロボットCRによって、裏面が上向きの状態で処理ユニット3から反転パス5に基板Wを搬送させる。そして、制御装置4は、反転パス5によって基板Wを反転させる。これにより、基板Wの表面が上に向けられる。その後、制御装置4は、インデクサロボットIRによって、表面が上向きの状態で反転パス5からキャリアCに基板Wを搬送させる。これにより、処理済みの基板WがキャリアCに収容される。制御装置4は、インデクサロボットIR等にこの一連動作を繰り返し実行させることにより、複数枚の基板Wを一枚ずつ処理させる。
【0034】
図2は、反転パス5の内部構成を説明するための模式的な正面図であり、反転パス5を搬送方向D1から見た図である。図2は、保持ボックス14の側壁26が取り外されている状態を示している。また、図3は、反転パス5の模式的な平面図である。図4は、図2に示す矢印IVの方向から反転パス5を見た模式図である。図5は、第1上ガイド7および第1下ガイド8の一例を示す正面図である。
【0035】
図2に示すように、反転パス5は、2つの第1上ガイド7および2つの第1下ガイド8を含む第1チャック9と、2つの第2上ガイド10および2つの第2下ガイド11を含む第2チャック12とを含む。第1チャック9および第2チャック12は、互いに異なる高さで基板Wを水平な姿勢で挟持している。反転パス5は、さらに、ガイド7、8、10、11を水平に移動させる複数のシリンダ13(ガイド移動手段)と、複数のシリンダ13を保持する2つの保持ボックス14(保持部材)と、2つの保持ボックス14にそれぞれ連結された2つの回転軸15と、2つの回転軸15を水平な反転軸線L1まわりに回転可能に支持する2つの支持プレート17と、ガイド7、8、10、11を反転軸線L1まわりに回転させる電動モータ18(ガイド回転手段)とを含む。
【0036】
図2に示すように、支持プレート17は、鉛直な姿勢で支持されている。2つの支持プレート17は、水平に延びる対向方向D2(搬送方向D1に直交する水平な方向)に間隔を空けて対向している。2つの保持ボックス14は、2つの支持プレート17の内側(2つの支持プレート17の間)に配置されている。第1チャック9および第2チャック12は、2つの保持ボックス14の間に配置されている。2つの回転軸15は、それぞれ、2つの保持ボックス14から外側に延びている。回転軸15は、軸受19を介して支持プレート17に支持されている。2つの回転軸15は、第1チャック9と第2チャック12との間の高さで対向方向D2に延びている。2つの回転軸15は、水平な同一軸線上に配置されている。反転軸線L1は、2つの回転軸15を通る水平な軸線である。電動モータ18は、2つの支持プレート17の外側に配置されている。電動モータ18は、取付ブラケット20によって一方の支持プレート17に取り付けられている。電動モータ18の出力軸は、継ぎ手21によって一方の回転軸15に連結されている。電動モータ18は、制御装置4によって制御される。
【0037】
図2に示すように、第1チャック9は、基板Wを周囲から挟むことにより、基板Wを水平な姿勢で保持している。同様に、第2チャック12は、基板Wを周囲から挟むことにより、基板Wを水平な姿勢で保持している。図3に示すように、第1チャック9による基板Wの保持位置と、第2チャック12による基板Wの保持位置とは、平面視において重なっている。第2チャック12は、第1チャック9とは異なる高さに配置されているだけで、第1チャック9と共通の構成を有している。すなわち、第1上ガイド7および第1下ガイド8は、それぞれ、第2上ガイド10および第2下ガイド11に対応している。したがって、以下では、主として第1チャック9について説明する。
【0038】
図2に示すように、第1上ガイド7および第1下ガイド8は、共通の基板Wの周縁部に沿って配置されている。2つの第1上ガイド7は、対向方向D2に対向しており、2つの第1下ガイド8は、第1上ガイド7より下方の高さで対向方向D2に対向している。2つの第1上ガイド7は、それぞれ、2つの第1下ガイド8の上方に配置されている。第1上ガイド7および第1下ガイド8は、楔形の正面および背面を有しており、上下に並んだ第1上ガイド7および第1下ガイド8は、基板Wの中心向きに開いたV字状の保持溝を形成している。基板Wの周縁部は、この保持溝内に配置されている。このように、第1上ガイド7および第1下ガイド8の一方は、他方を上下に反転させた形状を有している。
【0039】
図2に示すように、第1上ガイド7は、基板Wの中心を通る鉛直な基準線L2に向かって斜め上向きに傾斜した上傾斜部22(第1上傾斜部、第2下傾斜部)を含む。第1下ガイド8は、基準線L2に向かって斜め下向きに傾斜した下傾斜部23(第1下傾斜部、第2下傾斜部)を含む。図4に示すように、上傾斜部22および下傾斜部23を基板W側から対向方向D2に見ると、上傾斜部22は、倒立台形状であり、下傾斜部23は、台形状である。図2に示すように、上傾斜部22および下傾斜部23は、基板Wの周縁部に接触している。基板Wは、各下傾斜部23と基板Wの周縁部との点接触によって水平な姿勢で支持されている。さらに、基板Wは、複数の下傾斜部23の傾斜によって、基板Wの中心が2つの第1下ガイド8の中間に位置するように案内されている。さらにまた、基板Wは、各下傾斜部23と基板Wの周縁部との点接触、および各上傾斜部22と基板Wの周縁部との点接触によって、水平方向および鉛直方向への移動が規制されている。これにより、基板Wが挟持されている。
【0040】
図5に示すように、第1上ガイド7および第1下ガイド8は、上傾斜部22および下傾斜部23の外端から上または下に延びており、基板Wの周端面に対向する対向部24をさらに有していてもよい。この場合、基板Wの水平方向への移動が、対向部24と基板Wの周端面との接触によって規制されるので、基板Wの周縁部が、第1上ガイド7および第1下ガイド8の間に挟まって、第1上ガイド7および第1下ガイド8が上下に開くことを抑制または防止できる。同様に、第2上ガイド10および第2下ガイド11が上下に開くことを抑制または防止できる。
【0041】
図2および図4に示すように、ガイド7、8、10、11は、支持ブラケット25を介していずれかのシリンダ13に連結されている。シリンダ13は、ガイド7、8、10、11ごとに設けられている。シリンダ13は、いずれかの保持ボックス14に保持されている。したがって、ガイド7、8、10、11は、支持ブラケット25およびシリンダ13を介していずれかの保持ボックス14に保持されている。共通の保持ボックス14に保持されているガイド7、8、10、11、支持ブラケット25、およびシリンダ13は、保持ボックス14と共に反転軸線L1まわりに一体回転する。
【0042】
第1チャック9および第2チャック12の少なくとも一方が基板Wを挟持している状態で、電動モータ18が一方の回転軸15を回転させると、電動モータ18の動力が、基板Wを介して一方の保持ボックス14から他方の保持ボックス14に伝達される。これにより、全てのガイド7、8、10、11、保持ボックス14、および回転軸15が、反転軸線L1まわりに回転する。したがって、第1チャック9および第2チャック12の少なくとも一方が基板Wを挟持している状態で、電動モータ18が一方の回転軸15を180度回転させると、第1チャック9および第2チャック12の少なくとも一方に挟持されている基板Wが反転し、表面の位置と裏面の位置とが入れ替われる。
【0043】
図4に示すように、保持ボックス14は、4つのシリンダ13を収容している。第1上ガイド7に連結されているシリンダ13は、第1上シリンダ13a(第1上ガイド移動手段)であり、第1下ガイド8に連結されているシリンダ13は、第1下シリンダ13b(第1下ガイド移動手段)である。また、第2上ガイド10に連結されているシリンダ13は、第2上シリンダ13c(第2上ガイド移動手段)であり、第2下ガイド11に連結されているシリンダ13は、第2下シリンダ13d(第2下ガイド移動手段)である。
【0044】
図4に示すように、第1上シリンダ13aと第1下シリンダ13bとは、2つの側壁26の間に配置されている。第1上シリンダ13aと第1下シリンダ13bとは、保持ボックス14の内部を仕切る仕切壁27の両側で保持ボックス14の上壁28に取り付けられている。同様に、第2上シリンダ13cと第2下シリンダ13dとは、2つの側壁26の間に配置されている。第2上シリンダ13cと第2下シリンダ13dとは、仕切壁27の両側で保持ボックス14の下壁29に取り付けられている。第1上シリンダ13aおよび第1下シリンダ13bは、それぞれ、第2上シリンダ13cおよび第2下シリンダ13dの上方に配置されている。
【0045】
シリンダ13は、ガイド7、8、10、11が基板Wの周縁部に接触する接触位置(図2および図3に示す位置)と、ガイド7、8、10、11が基板Wの周縁部から離れる退避位置(たとえば、図6A参照)との間で、対応するガイド7、8、10、11を対向方向D2に移動させる。接触位置は、ガイド7、8、10、11の内端(基準線L2側の端)が基板Wの周端面より内側(基準線L2側)に配置される位置である。退避位置は、ガイド7、8、10、11の内端が基板Wの周端面より外側に配置される位置である。図2に示すように、各支持ブラケット25には、支持ブラケット25と共に移動する位置決めブロック30が取り付けられている。また、保持ボックス14には、対向方向D2に位置決めブロック30に対向するストッパ31が取り付けられている。ガイド7、8、10、11は、位置決めブロック30とストッパ31との接触によって接触位置に精度よく位置決めされる。
【0046】
制御装置4は、複数のシリンダ13によって、対向方向D2に対向する2つのガイドの間隔を他のガイドの間隔とは独立して変更させる。制御装置4は、第1上ガイド7が退避位置に配置されており、第1下ガイド8が接触位置に配置されている状態(図6A参照)で、いずれかのハンドHによって、2つの第1下ガイド8の下傾斜部23に基板Wを載置させる。これにより、基板Wが2つの第1下ガイド8に渡される。また、制御装置4は、第1上ガイド7が退避位置に配置されており、第1下ガイド8が接触位置に配置されている状態で、いずれかのハンドHによって、2つの第1下ガイド8に支持されている基板Wをすくい上げさせる(図6B参照)。これにより、2つの第1下ガイド8から基板Wが受け取られる。さらに、制御装置4は、2つの第1下ガイド8によって基板Wが支持されている状態で、2つの第1上ガイド7を接触位置に移動させて、各第1上ガイド7を基板Wの周縁部に接触させる。これにより、基板Wが挟持される。制御装置4は、この状態で電動モータ18(電動モータ18の出力軸)を反転軸線L1まわりに180度回転させて、基板Wを反転させる。
【0047】
反転軸線L1が、第1チャック9と第2チャック12との間の高さに設けられているから、制御装置4が電動モータ18を180度回転させると、第1チャック9と第2チャック12との上下関係が入れ替わる(図6E参照)。さらに、第1上ガイド7と第1下ガイド8との上下関係が入れ替わり、第2上ガイド10と第2下ガイド11との上下関係が入れ替わる。すなわち、制御装置4は、電動モータ18によって、上傾斜部22および下傾斜部23が上向きの上向き位置と下向き位置との間でガイド7、8、10、11を移動させる。図2および図3では、第1上ガイド7および第2上ガイド10が下向き位置に位置しており、第1下ガイド8および第2下ガイド11が上向き位置に位置している状態が示されている。
【0048】
第1上ガイド7が上向き位置に移動すると、上傾斜部22が上向きになるから(図6E参照)、2つの第1上ガイド7は、2つの上傾斜部22によって基板Wを支持可能な姿勢になる。2つの第1上ガイド7が上向き位置に位置している状態では、制御装置4は、前述の2つの第1下ガイド8とハンドHとの間での基板Wの受け渡しと同様に、2つの第1上ガイド7への基板Wの搬入、および2つの第1上ガイド7からの基板Wの搬出を行わせる。同様に、2つの第2上ガイド10が上向き位置に位置している状態では、制御装置4は、インデクサロボットIRまたはセンターロボットCRによって、2つの第2上ガイド10への基板Wの搬入、および2つの第2上ガイド10からの基板Wの搬出を行わせる。
【0049】
図6A〜図6Eは、反転パス5が基板Wを反転させるときの動作の一例を示す模式図である。以下では、処理済みの基板Wが第1チャック9から搬出され、未処理の基板Wが第2チャック12に搬入された後に、第2チャック12に保持されている基板Wが反転されるときの動作の一例について説明する。
図6Aでは、第1上ガイド7および第2上ガイド10が下向き位置に配置されており、第1下ガイド8および第2下ガイド11が上向き位置に配置されている状態が示されている。さらに、図6Aでは、第1上ガイド7、第2上ガイド10、および第2下ガイド11が退避位置に配置されており、第1下ガイド8が接触位置に配置されている状態が示されている。処理済みの基板Wは、2つの第1下ガイド8に支持されている。この状態で、制御装置4は、インデクサロボットIRの上側のハンドHを水平移動させて、上側のハンドHを2つの第1下ガイド8に支持されている基板Wの下方に進入させる。さらに、制御装置4は、未処理の基板Wを支持しているインデクサロボットIRの下側のハンドHを水平移動させて、下側のハンドHを第2下ガイド11より下方に進入させる。
【0050】
次に、制御装置4は、図6Aに示すように、上側のハンドHが2つの第1下ガイド8に支持されている基板Wの下方に位置している状態で、2つのハンドHを上昇させる。これにより、図6Bに示すように、2つの第1下ガイド8に支持されている基板Wが上側のハンドHによって受け取られる。また、このとき第2上ガイド10および第2下ガイド11が退避位置に配置されているので、図6Aに示すように、下側のハンドHに保持されている基板Wは、2つの第2上ガイド10の間、および2つの第2下ガイド11の間を通過し、2つの第2下ガイド11より上方に移動する。
【0051】
次に、制御装置4は、図6Bに示すように、下側のハンドHに保持されている基板Wが、第1下ガイド8と第2下ガイド11との間の高さに位置している状態で、2つの第1下ガイド8を退避位置に移動させ、2つの第2下ガイド11を接触位置に移動させる。これにより、第2下ガイド11だけが接触位置に配置される。図6Cに示すように、制御装置4は、この状態で、下側のハンドHが第2下ガイド11より下方に移動するまで2つのハンドHを降下させる。これにより、図6Cに示すように、下側のハンドHに保持されている基板Wが、2つの第2下ガイド11に載置され、未処理の基板Wが、第2チャック12に渡される。また、第1上ガイド7および第1下ガイド8が退避位置に配置されているので、上側のハンドHに保持されている基板Wは、2つの第1上ガイド7の間、および2つの第1下ガイド8の間を通過する。制御装置4は、未処理の基板Wが第2チャック12に渡された後、インデクサロボットIRの2つのハンドHを水平移動させて、反転パス5から退避させる。このようにして、処理済みの基板Wが第1チャック9から搬出され、未処理の基板Wが第2チャック12に搬入される。
【0052】
次に、制御装置4は、図6Dに示すように、基板Wが2つの第2下ガイド11に支持されている状態で、2つの第2上ガイド10を接触位置に移動させる。これにより、各第2上ガイド10が基板Wの周縁部に接触し、基板Wが第2チャック12によって保持される。制御装置4は、図6Eに示すように、基板Wが第2チャック12に保持されている状態で、全てのガイド7、8、10、11を反転軸線L1まわりに180度回転させる。これにより、第1チャック9と第2チャック12との上下関係が入れ替わると共に、第2チャック12に保持されている基板Wが反転される。さらに、第1上ガイド7および第2上ガイド10が上向き位置に移動する共に、第1下ガイド8および第2下ガイド11が下向き位置に移動する。制御装置4は、基板Wが反転された後、第2下ガイド11を退避位置に移動させる。その後、制御装置4は、センターロボットCRのハンドHによって2つの第2上ガイド10から基板Wを搬出させる。そして、2つの第2上ガイド10から搬出された未処理の基板Wは、処理ユニット3に搬入され、処理ユニット3によって処理される。
【0053】
以上のように第1実施形態では、反転パス5が、ガイド7、8、10、11を水平に移動させることにより、基板Wを挟持する。したがって、ガイド7、8、10、11の上下にガイド7、8、10、11が移動するための空間を設けなくてよい。そのため、ガイドを上下に移動させて挟持する構成よりも反転パス5の高さを低減できる。これにより、反転パス5の大型化を抑制または防止できる。したがって、基板処理装置1の大型化を抑制または防止できる。
【0054】
さらに、ガイド7、8、10、11の上下にガイド7、8、10、11が移動するための空間を設けなくてよいので、第1チャック9と第2チャック12との間隔(鉛直方向への間隔)を狭めることができる。したがって、第1チャック9と第2チャック12との間隔を、上下に並ぶ2つのハンドHのピッチ(鉛直方向への間隔)に一致させることができる。そのため、2つのハンドHから2つのチャック9、12に2枚の基板Wを同時に搬入したり、2つのチャック9、12から2枚の基板Wを同時に搬出したりすることができる。これにより、基板搬送ロボットIR、CRと反転パス405との間での基板Wの受け渡しに要する時間を短縮できる。
【0055】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係る反転パス205の内部構成を説明するための模式的な正面図である。図8は、図7に示す矢印VIIIの方向から反転パス205を見た模式図である。この図7および図8において、前述の図1〜図6に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0056】
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、複数のガイドが共通のシリンダによって駆動されることである。
具体的には、反転パス205(基板反転装置)は、第1実施形態に係る支持ブラケット25に代えて、複数(たとえば、4つ)の支持ブラケット225を含む。支持ブラケット225は、鉛直方向に間隔を空けて配置された2つのガイド支持部232と、2つのガイド支持部232に連結された連結部233とを含む。第1上ガイド7および第2上ガイド10は、それぞれ、共通の支持ブラケット225の2つのガイド支持部232に取り付けられている。同様に、第1下ガイド8および第2下ガイド11は、それぞれ、共通の支持ブラケット225の2つのガイド支持部232に取り付けられている。連結部233は、シリンダ213(ガイド移動手段)に連結されている。したがって、第1上ガイド7および第2上ガイド10は、共通の支持ブラケット225を介してシリンダ213に連結されており、第1下ガイド8および第2下ガイド11は、共通の支持ブラケット225を介してシリンダ213に連結されている。第1上ガイド7および第2上ガイド10に連結されているシリンダ213は、上シリンダ213a(上ガイド移動手段)であり、第1下ガイド8および第2下ガイド11に連結されているシリンダ213は、下シリンダ213b(下ガイド移動手段)である。
【0057】
シリンダ213は、保持ボックス14に取り付けられている。保持ボックス14には、2つのシリンダ213が取り付けられている。シリンダ213は、支持ブラケット225を対向方向D2に移動させることにより、当該支持ブラケット225に連結されている2つのガイド(たとえば、第1上ガイド7および第2上ガイド10)を同時に移動させる。これにより、第1上ガイド7および第2上ガイド10が対向方向D2に共に移動し、第1下ガイド8および第2下ガイド11が対向方向D2に共に移動する。
【0058】
以上のように第2実施形態では、上シリンダ213aが、第1上ガイド7および第2上ガイド10を対向方向D2に移動させ、下シリンダ213bが、第1下ガイド8および第2下ガイド11を対向方向D2に移動させる。すなわち、1つのシリンダ213が複数のガイドを対向方向D2に移動させる。したがって、第1実施形態のように、ガイド7、8、10、11ごとにシリンダ13が設けられている構成に比べて、シリンダ213の数を減少させることができる。これにより、反転パス205の大型化を抑制または防止できる。
【0059】
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係る反転パス305の内部構成を説明するための模式的な正面図である。図10は、図9に示す矢印Xの方向から反転パス305を見た模式図である。この図9および図10において、前述の図1〜図8に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0060】
この第3実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、シリンダが保持ボックスに保持されておらず、ガイドおよび保持ボックスとシリンダとが反転軸線まわりに相対回転することである。
具体的には、反転パス305(基板反転装置)は、ガイド7、8、10、11ごとに設けられた複数のシリンダ313(ガイド移動手段)を含む。シリンダ313は、保持ボックス14の外に配置されており、支持プレート17に固定されている。シリンダ313は、支持プレート17に固定された本体334と、本体334に対して対向方向D2に移動するアーム335とを含む。本体334は、保持ボックス14が反転軸線L1まわりに回転するときに通る空間の周囲に配置されている。アーム335は、保持ボックス14および支持ブラケット25が反転軸線L1まわりに回転するときに通る空間の周囲に配置されている。アーム335の先端部335aは、支持ブラケット25に取り付けられた動力伝達ブロック336に対して対向方向D2に対向している。アーム335の先端部335aは、動力伝達ブロック336の内側(基準線L2側)に配置されている。シリンダ313は、アーム335を外側に移動させることにより、アーム335の先端部335aを動力伝達ブロック336に接触させる。これにより、シリンダ313の動力が、動力伝達ブロック336を介して支持ブラケット25に伝達される。
【0061】
支持ブラケット25は、支持ブラケット25に取り付けられたスライドブロック337と、保持ボックス14に取り付けられたリニアガイド338とを介して保持ボックス14に保持されている。リニアガイド338は、対向方向D2に延びている。スライドブロック337は、リニアガイド338に沿ってスライドする。したがって、支持ブラケット25は、対向方向D2に移動可能に保持ボックス14に保持されている。
【0062】
図9に示すように、反転パス305は、保持ボックス14内に配置された複数の弾性部材339(たとえば、圧縮ばね)をさらに含む。弾性部材339は、支持ブラケット25および保持ボックス14に取り付けられており、支持ブラケット25を内向き(基準線L1に向かう方向)に付勢している。位置決めブロック30は、弾性部材339の復元力によってストッパ31に押し付けられている。これにより、ガイド7、8、10、11が接触位置に保持されている。
【0063】
シリンダ313が、アーム335を外側に移動させることにより、支持ブラケット25を外側に押すと、弾性部材339が弾性変形して、ガイド7、8、10、11が退避位置に移動する。また、ガイド7、8、10、11が退避位置に位置している状態で、シリンダ313が、アーム335を内側に移動させると、弾性部材339の復元力によって、支持ブラケット25が内側に移動し、ガイド7、8、10、11が接触位置に戻る。このようにして、ガイド7、8、10、11は、接触位置と退避位置との間で移動される。
【0064】
図10に示すように、保持ボックス14の上方には、2つのシリンダ313が配置されている。また、保持ボックス14の下方には、2つのシリンダ313が配置されている。上側の2つのシリンダ313は、それぞれ、下側の2つのシリンダ313の上方に配置されている。図10の右上のシリンダ313、右下のシリンダ313、左上のシリンダ313、および左下のシリンダ313を、それぞれ、右上固定シリンダ313、右下固定シリンダ313、左上固定シリンダ313、および左下固定シリンダ313と定義すると、たとえば、第1上ガイド7が第2上ガイド10の上方に位置している状態(図10に示す状態)では、第1上ガイド7は、右上固定シリンダ313によって駆動され、第2上ガイド10は、右下固定シリンダ313によって駆動される。また、第1下ガイド8は、左上固定シリンダ313によって駆動され、第2下ガイド11は、左下固定シリンダ313によって駆動される。
【0065】
その一方で、電動モータ18が保持ボックス14を反転軸線L1まわりに180度回転させると、第2上ガイド10が第1上ガイド7の上方に移動する。それと共に、第1上ガイド7に対応する動力伝達ブロック336は、右上固定シリンダ313のアーム335の先端部335aに対向する位置から左下固定シリンダ313のアーム335の先端部335aに対向する位置に移動する。さらに、第2上ガイド10に対応する動力伝達ブロック336は、右下固定シリンダ313のアーム335の先端部335aに対向する位置から左上固定シリンダ313のアーム335の先端部335aに対向する位置に移動する。したがって、保持ボックス14が180度回転した後は、第2上ガイド10は、左上固定シリンダ313によって駆動され、第1上ガイド7は、左下固定シリンダ313によって駆動される。さらに、保持ボックス14が180度回転した後は、第2下ガイド11は、右上固定シリンダ313によって駆動され、第1下ガイド8は、右下固定シリンダ313によって駆動される。
【0066】
そして、電動モータ18が、保持ボックス14をさらに180度回転させると、第1上ガイド7および第2上ガイド10の上下関係が再び入れ替わり、第1上ガイド7は、右上固定シリンダ313によって駆動され、第2上ガイド10は、右下固定シリンダ313によって駆動される。同様に、第1下ガイド8は、左上固定シリンダ313によって駆動され、第2下ガイド11は、左下固定シリンダ313によって駆動される。このように、シリンダ313と保持ボックス14とが反転軸線L1まわりに相対回転するから、電動モータ18が保持ボックス14を反転軸線L1まわりに回転させると、ガイド7、8、10、11を駆動するシリンダ313が180度ごとに入れ替わる。
【0067】
以上のように第3実施形態では、シリンダ313が、ガイド7、8、10、11に対して反転軸線L1まわりに相対回転可能であるから、電動モータ18は、基板Wを反転させるときに、反転軸線L1まわりにシリンダ313を回転させなくてよい。したがって、電動モータ18によって回転される回転体の質量を減少させることができる。そのため、出力の小さな小型のモータを電動モータ18として用いることができる。これにより、反転パス305の大型化を抑制または防止できる。
【0068】
[第4実施形態]
図11は、本発明の第4実施形態に係る反転パス405の構成を説明するための模式的な正面図である。図12は、図11に示す矢印XIIの方向から反転パス405を見た模式図である。以下の図11、図12、および図13A〜図13Dにおいて、前述の図1〜図10に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0069】
この第4実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、第1チャックおよび第2チャックを昇降させて、第1チャックおよび第2チャックの間隔を変更するガイド昇降ユニットが設けられていることである。
具体的には、反転パス405(基板反転装置)は、4つの保持ボックス14を備えている。図11に示すように、4つの保持ボックス14は、2つの支持プレート17の間に配置されている。2つの保持ボックス14は、一方のサイドプレート17側に配置されており、残り2つの保持ボックス14は、他方のサイドプレート17側に配置されている。一方のサイドプレート17側に配置されている2つの保持ボックス14は、上下に並んでおり、他方のサイドプレート17側に配置されている2つの保持ボックス14は、上下に並んでいる。一方のサイドプレート17側に配置されている2つの保持ボックス14は、それぞれ、他方のサイドプレート17側に配置されている2つの保持ボックス14に対向方向D2に対向している。
【0070】
上側の2つの保持ボックス14は、第1チャック9に対応しており、支持ブラケット25を介して第1上ガイド7および第1下ガイド8を保持している。同様に、下側の2つの保持ボックス14は、第2チャック12に対応しており、支持ブラケット25を介して第2上ガイド10および第2下ガイド11を保持している。したがって、各保持ボックス14は、2つのガイド(ガイド7、8またはガイド10、11)を保持している。図示はしないが、各保持ボックス14には、2つのガイドにそれぞれ連結された2つのシリンダ13(図2参照)が収容されている。
【0071】
図11に示すように、反転パス405は、上下に並んだ2つの保持ボックス14を昇降可能に保持する2つの保持プレート440をさらに含む。2つの保持プレート440は、2つの支持プレート17の間で対向方向D2に対向している。4つの保持ボックス14は、2つの保持プレート440の間に配置されている。保持ボックス14は、保持ボックス14に取り付けられたスライドブロック441と、保持プレート440に取り付けられたリニアガイド442とを介して保持プレート440に保持されている。リニアガイド442は、鉛直方向に延びている。したがって、保持ボックス14は、鉛直方向に移動可能に保持プレート440に保持されている。また、2つの回転軸15は、それぞれ、2つの保持プレート440に連結されている。2つの回転軸15は、それぞれ、2つの保持プレート440から外側に延びている。
【0072】
反転パス405は、共通の保持プレート440に保持されている2つの保持ボックス14を昇降させて、2つの保持ボックス14の間隔を変更する2つのガイド昇降ユニット443(ガイド昇降手段)をさらに含む。図12に示すように、ガイド昇降ユニット443は、上側の保持ボックス14に連結された上ラック444と、下側の保持ボックス14に連結された下ラック445と、上ラック444と下ラック445とに噛み合うピニオン446と、上ラック444および下ラック445の一方に連結された昇降アクチュエータ447とを含む。図11に示すように、上ラック444および下ラック445は、保持ボックス14と保持プレート440との間に配置されている。上ラック444および下ラック445は、鉛直方向に延びている。したがって、上ラック444および下ラック445は、平行に配置されている。図12に示すように、上ラック444は、上側の保持ボックス14から下方に延びており、下ラック445は、下側の保持ボックス14から上方に延びている。上ラック444の歯部と下ラック445の歯部とは、水平方向(搬送方向D1)に間隔を空けて対向している。ピニオン446は、上ラック444の歯部と下ラック445の歯部との間に配置されている。ピニオン446は、反転軸線L1まわりに回転可能に保持プレート440に保持されている。
【0073】
図12に示すように、昇降アクチュエータ447は、保持プレート440に保持されている。昇降アクチュエータ447は、エアーシリンダなどの空気圧によって駆動される空圧アクチュエータであってもよいし、磁力によって駆動されるソレノイドアクチュエータであってもよい。昇降アクチュエータ447は、保持プレート440に固定された本体448と、本体448に対して昇降するアーム449とを含む。アーム449は、たとえば、下ラック445の下端部に連結されている。制御装置4が、昇降アクチュエータ447によって下ラック445を上昇させると、昇降アクチュエータ447の動力が、下ラック445およびピニオン446を介して上ラック444に伝達され、上ラック444が下降する。一方、制御装置4が、昇降アクチュエータ447によって下ラック445を下降させると、上ラック444が上昇する。したがって、制御装置4が、昇降アクチュエータ447によって下ラック445を昇降させると、上ラック444および下ラック445が互いに反対の方向に移動し、上下に並んだ2つの保持ボックス14の間隔が変更される。そのため、ガイド昇降ユニット443は、第1チャック9と第2チャック12との間隔(鉛直方向への間隔)を増減することができる。
【0074】
図13A〜図13Dは、反転パス405が基板Wを反転させるときの動作の一例を示す模式図である。以下では、処理済みの基板Wが第1チャック9から搬出され、未処理の基板Wが第2チャック12に搬入された後に、第2チャック12に保持されている基板Wが反転されるときの動作の一例について説明する。
図13Aでは、第1上ガイド7および第2上ガイド10が下向き位置に配置されており、第1下ガイド8および第2下ガイド11が上向き位置に配置されている状態が示されている。さらに、図13Aでは、第1上ガイド7および第2上ガイド10が退避位置に配置されており、第1下ガイド8および第2下ガイド11が接触位置に配置されている状態が示されている。処理済みの基板Wは、2つの第1下ガイド8に支持されている。この状態で、制御装置4は、インデクサロボットIRの上側のハンドHを水平移動させて、上側のハンドHを2つの第1下ガイド8に支持されている基板Wの下方に進入させる。さらに、制御装置4は、未処理の基板Wを支持しているインデクサロボットIRの下側のハンドHを水平移動させて、基板Wの周縁部が第2下ガイド11の上方に位置するように下側のハンドHを反転パス405に進入させる。
【0075】
次に、制御装置4は、図13Aに示すように、ガイド昇降ユニット443を制御することにより、第1チャック9を下降させ、第2チャック12を上昇させる。これにより、第1チャック9と第2チャック12との間隔が狭まる。そのため、図13Bに示すように、2つの第1下ガイド8に支持されている基板Wが上側のハンドHによって受け取られる。さらに、図13Bに示すように、下側のハンドHに支持されている基板Wが2つの第2下ガイド11によって受け取られる。制御装置4は、未処理の基板Wが第2チャック12に渡された後、インデクサロボットIRの2つのハンドHを水平移動させて、反転パス405から退避させる。このようにして、処理済みの基板Wが第1チャック9から搬出され、未処理の基板Wが第2チャック12に搬入される。
【0076】
次に、制御装置4は、図13Cに示すように、基板Wが2つの第2下ガイド11に支持されている状態で、2つの第2上ガイド10を接触位置に移動させる。これにより、各第2上ガイド10が基板Wの周縁部に接触し、基板Wが第2チャック12によって保持される。制御装置4は、図13Dに示すように、基板Wが第2チャック12に保持されている状態で、全てのガイド7、8、10、11を反転軸線L1まわりに180度回転させる。これにより、第1チャック9と第2チャック12との上下関係が入れ替わると共に、第2チャック12に保持されている基板Wが反転される。さらに、第1上ガイド7および第2上ガイド10が上向き位置に移動する共に、第1下ガイド8および第2下ガイド11が下向き位置に移動する。制御装置4は、基板Wが反転された後、2つの第2下ガイド11を退避位置に移動させる。その後、制御装置4は、センターロボットCRのハンドHによって2つの第2上ガイド10から基板Wを搬出させる。そして、2つの第2上ガイド10から搬出された未処理の基板Wは、処理ユニット3に搬入され、処理ユニット3によって処理される。
【0077】
以上のように第4実施形態では、ガイド昇降ユニット443が、第1上ガイド7および第1下ガイド8を昇降させる。それと同時に、ガイド昇降ユニット443が、第2上ガイド10および第2下ガイド11を昇降させる。ガイド昇降ユニット443は、第1チャック9と第2チャック12とを鉛直方向に関して互いに反対方向に移動させる。これにより、第1チャック9と第2チャック12との間隔(鉛直方向への間隔)が増減される。したがって、ガイド昇降ユニット443は、2つのハンドHを移動させずに、反転パス405から一方のハンドHへの基板Wの移動と、他方のハンドHから反転パス405への基板Wの移動とを同時に行うことができる。そのため、基板搬送ロボットIR、CRと反転パス405との間での基板Wの受け渡しに要する時間を短縮できる。
【0078】
[第5実施形態]
図14は、本発明の第5実施形態に係る反転パス505の構成を説明するための模式的な正面図である。図15は、本発明の第5実施形態に係る反転パス505の構成を説明するための模式的な平面図である。図16は、図14の一部を拡大した図である。この図14〜図16において、前述の図1〜図13Dに示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0079】
この第5実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、第1チャックおよび第2チャックの構成が異なることである。すなわち、第1実施形態では、ブロック状のガイドによって第1チャックおよび第2チャックが構成されているのに対し、第5実施形態では、円柱状のガイドによって第1チャックおよび第2チャックが構成されている。
具体的には、反転パス505(基板反転装置)は、第1実施形態に係る第1チャック9および第2チャック12に代えて、第1チャック509および第2チャック512を備えている。第1チャック509および第2チャック512は、2つの保持ボックス14の間に配置されている。図14に示すように、第1チャック509は、第2チャック512より上方に配置されている。図15に示すように、第1チャック509は、4つの第1上ガイド507と、4つの第1下ガイド508とを含む。同様に、第2チャック512は、4つの第2上ガイド510と、4つの第2下ガイド511とを含む。第1実施形態と同様に、第2チャック512は、第1チャック509とは異なる高さに配置されているだけで、第1チャック509と共通の構成を有している。したがって、以下では、主として第1チャック509について説明する。
【0080】
図14に示すように、第1上ガイド507および第1下ガイド508は、共通の基板Wの周縁部に沿って配置されている。4つの第1上ガイド507は、同じ高さに配置されている。4つの第1下ガイド508は、第1上ガイド507より下方で同じ高さに配置されている。図15に示すように、2つの第1上ガイド507は、一方の支持プレート17側に配置されており、残り2つの第1上ガイド507は、他方の支持プレート17側に配置されている。同様に、2つの第1下ガイド508は、一方の支持プレート17側に配置されており、残り2つの第1下ガイド508は、他方の支持プレート17側に配置されている。
【0081】
図15に示すように、一方の支持プレート17側に配置されている第1上ガイド507は、基板Wの中心を通る水平な方向に関して他方の支持プレート17側に配置されている第1上ガイド507に対向している。同様に、一方の支持プレート17側に配置されている第1下ガイド508は、基板Wの中心を通る水平な方向に関して他方の支持プレート17側に配置されている第1下ガイド508に対向している。第1上ガイド507および第1下ガイド508は、基板Wの周方向に関して交互に配置されている。
【0082】
図16に示すように、第1上ガイド507および第1下ガイド508は、円柱状であり、鉛直な姿勢で配置されている。第1上ガイド507および第1下ガイド508の一方は、他方を上下に反転させた形状を有している。第1上ガイド507は、鉛直方向に延びる上円柱部550と、上円柱部550の下端から下方に延びる上円錐部551を含む。第1下ガイド508は、鉛直方向に延びる下円柱部552と、下円柱部552の上端から上方に延びる下円錐部553を含む。上円柱部550は、下円柱部552より上方に配置されている。上円錐部551および下円錐部553は、上円柱部550と下円柱部552との間の高さに配置されている。水平な方向(搬送方向D1)から見ると、上円錐部551および下円錐部553は、部分的に重なり合っている。基板Wは、上円錐部551および下円錐部553と基板Wとの点接触によって水平な姿勢で挟持されている。
【0083】
具体的には、図16に示すように、上円錐部551は、基準線L2に向かって斜め上向きに傾斜した上傾斜部522(第1上傾斜部、第2下傾斜部)を含む。下円錐部553は、基準線L2に向かって斜め下向きに傾斜した下傾斜部523(第1下傾斜部、第2下傾斜部)を含む。上傾斜部522および下傾斜部523は、基板Wの周縁部に接触している。基板Wは、各下傾斜部523と基板Wの周縁部との点接触によって水平な姿勢で支持されている。さらに、基板Wは、複数の下傾斜部523の傾斜によって、基板Wの中心が2つの第1下ガイド508の中間に位置するように案内されている。さらにまた、基板Wは、各下傾斜部523と基板Wの周縁部との点接触、および各上傾斜部522と基板Wの周縁部との点接触によって、水平方向および鉛直方向への移動が規制されている。
【0084】
図15に示すように、2つの第1上ガイド507は、共通の支持ブラケット525に連結されている。同様に、2つの第1下ガイド508は、共通の支持ブラケット525に連結されている。2つの第1上ガイド507を支持する支持ブラケット525と、2つの第1下ガイド508を支持する支持ブラケット525とは、異なる高さに配置されている。支持ブラケット525は、保持ボックス14内に収容されているシリンダ13に連結されている。シリンダ13は、対応する支持ブラケット525を移動させることにより、ガイド507、508、510、511が基板Wの周縁部に接触する接触位置と、ガイド507、508、510、511が基板Wの周縁部から離れる退避位置との間で、対応するガイド507、508、510、511を対向方向D2に移動させる。
【0085】
以上のように第5実施形態では、第1実施形態と同様に、反転パス505が、ガイド507、508、510、511を水平に移動させることにより、基板Wを挟持する。したがって、ガイドを上下に移動させて挟持する構成よりも反転パス505の高さを低減できる。これにより、反転パス505の大型化を抑制または防止できる。したがって、基板処理装置1の大型化を抑制または防止できる。
【0086】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1〜第5実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1実施形態では、空気圧によって駆動されるシリンダ13(エアーシリンダ)が、ガイドを対向方向D2に移動させる場合について説明した。しかし、ガイドを対向方向D2に移動させるリニアアクチュエータは、シリンダ13に限らず、ソレノイドアクチュエータなどの他の形式のアクチュエータであってもよい。
【0087】
また、前述の第1実施形態では、電力によって駆動される電動モータ18が、ガイドを反転軸線L1まわりに回転させる場合について説明した。しかし、ガイドを反転軸線L1まわりに回転させるロータリーアクチュエータは、空圧アクチュエータなどの他の形式のアクチュエータであってもよい。
また、前述の第1実施形態では、電動モータ18の出力軸が、継ぎ手21を介して回転軸15に連結されており、電動モータ18の動力が継ぎ手21を介して回転軸15に伝達される場合について説明した。しかし、電動モータ18の出力軸と回転軸15とが、ベルト伝達ユニットによって連結されており、電動モータ18の動力が、ベルト伝達ユニットを介して回転軸15に伝達されてもよい。この場合、ベルト伝達ユニットは、電動モータ18の出力軸に連結された駆動プーリーと、回転軸15に連結された従動プーリーと、駆動プーリーと従動プーリーとに巻き掛けられた無端ベルトとを含んでいてもよい。
【0088】
また、前述の第1実施形態では、第1上ガイド7が、第1下ガイド8の上方に配置されており、第1上ガイド7および第1下ガイド8が、平面視において重なり合っている場合について説明した。しかし、第1上ガイド7および第1下ガイド8は、平面視において重ならないように配置されていてもよい。第2上ガイド10および第1下ガイド11についても同様である。
【0089】
また、前述の第1実施形態では、第1上ガイド7および第1下ガイド8の一方は、他方を上下に反転させた形状を有している場合について説明した。しかし、第1上ガイド7の形状と、第1下ガイド8を上下に反転させた形状とは、異なっていてもよい。第2上ガイド10および第2下ガイド11についても同様である。
また、前述の第1実施形態では、第2上ガイド10が、第1上ガイド7と共通の形状を有しており、第2下ガイド11が、第1下ガイド8と共通の形状を有している場合について説明した。しかし、第2上ガイド10は、第1上ガイド7と異なる形状であってもよい。同様に、第2下ガイド11は、第1下ガイド8と異なる形状であってもよい。
【0090】
また、前述の第1実施形態では、インデクサロボットIRが、反転パス5に保持されている一枚の基板Wを搬出すると共に、反転パス5に一枚の基板Wを搬入するときの動作例について説明した。しかし、インデクサロボットIRは、二枚の基板Wをそれぞれ第1チャック9および第2チャック12に搬入してもよいし、第1チャック9および第2チャック12にそれぞれ保持されている二枚の基板Wを搬出してもよい。この場合、二枚の基板Wの搬入は、同時に行われてもよいし、別々のタイミングで行われてもよい。同様に、二枚の基板Wの搬出は、同時に行われてもよいし、別々のタイミングで行われてもよい。
【0091】
また、前述の第1実施形態では、反転軸線L1は、第1チャック9と第2チャック12との間の高さに設けられている場合について説明した。しかし、反転軸線L1は、第1チャック9および第2チャック12より上または下の高さに設けられていてもよいし、第1チャック9または第2チャック12と同じ高さに設けられていてもよい。
また、前述の第1実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板を処理する装置である場合について説明した。しかし、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
【0092】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 基板処理装置
5 反転パス(基板反転装置)
7 第1上ガイド
8 第1下ガイド
10 第2上ガイド
11 第2下ガイド
13 シリンダ(ガイド移動手段)
13a 第1上シリンダ(第1上ガイド移動手段)
13b 第1下シリンダ(第1下ガイド移動手段)
13c 第2上シリンダ(第2上ガイド移動手段)
13d 第2下シリンダ(第2下ガイド移動手段)
14 保持ボックス(保持部材)
15 回転軸
18 電動モータ(ガイド回転手段)
22 上傾斜部(第1上傾斜部、第2上傾斜部)
23 下傾斜部(第1下傾斜部、第2下傾斜部)
205 反転パス(基板反転装置)
213 シリンダ(ガイド移動手段)
213a 上シリンダ(上ガイド移動手段)
213b 下シリンダ(下ガイド移動手段)
305 反転パス(基板反転装置)
313 シリンダ(ガイド移動手段)
405 反転パス(基板反転装置)
443 ガイド昇降ユニット(ガイド昇降手段)
505 反転パス(基板反転装置)
507 第1上ガイド
508 第1下ガイド
510 第2上ガイド
511 第2下ガイド
522 上傾斜部(第1上傾斜部、第2上傾斜部)
523 下傾斜部(第1下傾斜部、第2下傾斜部)
CR センターロボット(基板搬送ロボット)
IR インデクサロボット(基板搬送ロボット)
L1 反転軸線
L2 基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直に延びる基準線に向かって斜め下向きに傾斜した複数の第1下傾斜部をそれぞれ有しており、前記複数の第1下傾斜部を基板の周縁部に接触させることにより、前記基板を水平な姿勢で支持する複数の第1下ガイドと、
前記基準線に向かって斜め上向きに傾斜した複数の第1上傾斜部をそれぞれ有しており、前記複数の第1下傾斜部と前記基板の周縁部との接触位置より上方で前記複数の第1上傾斜部を前記基板の周縁部に接触させることにより、前記複数の第1下ガイドと協働して前記基板を挟持する複数の第1上ガイドと、
前記複数の第1上ガイドを水平に移動させ、前記複数の第1下ガイドを水平に移動させるガイド移動手段と、
前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドを水平に延びる反転軸線まわりに回転させることにより、前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドに挟持されている基板を反転させるガイド回転手段とを含む、基板反転装置。
【請求項2】
前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドを保持しており、前記ガイド回転手段によって前記反転軸線まわりに回転される複数の保持部材をさらに含む、請求項1に記載の基板反転装置。
【請求項3】
前記複数の保持部材に連結されており、前記反転軸線まわりに回転可能な複数の回転軸をさらに含み、
前記ガイド回転手段は、前記複数の回転軸のいずれか一つに連結されている、請求項2に記載の基板反転装置。
【請求項4】
前記複数の第1上ガイドは、それぞれ、前記複数の第1下ガイドの上方に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板反転装置。
【請求項5】
前記基準線に向かって斜め下向きに傾斜した複数の第2下傾斜部をそれぞれ有しており、前記複数の第1上ガイドおよび第1下ガイドに挟持されている基板とは異なる高さに配置された基板の周縁部に前記複数の第2下傾斜部を接触させることにより、前記基板を水平な姿勢で支持する複数の第2下ガイドと、
前記基準線に向かって斜め上向きに傾斜した複数の第2上傾斜部をそれぞれ有しており、前記複数の第2下傾斜部と前記基板の周縁部との接触位置より上方で前記複数の第2上傾斜部を前記基板の周縁部に接触させることにより、前記複数の第2下ガイドと協働して前記基板を挟持する複数の第2上ガイドとをさらに含み、
前記ガイド移動手段は、前記複数の第2上ガイドを水平に移動させ、前記複数の第2下ガイドを水平に移動させ、
前記ガイド回転手段は、前記複数の第2上ガイドおよび第2下ガイドを前記反転軸線まわりに回転させることにより、前記複数の第2上ガイドおよび第2下ガイドに挟持されている基板を反転させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板反転装置。
【請求項6】
前記複数の第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドを保持しており、前記ガイド回転手段によって前記反転軸線まわりに回転される複数の保持部材をさらに含む、請求項5に記載の基板反転装置。
【請求項7】
前記複数の保持部材に連結されており、前記反転軸線まわりに回転可能な複数の回転軸をさらに含み、
前記ガイド回転手段は、前記複数の回転軸のいずれか一つに連結されている、請求項6に記載の基板反転装置。
【請求項8】
前記ガイド移動手段は、前記第1上ガイドを水平に移動させる第1上ガイド移動手段と、前記第2上ガイドを水平に移動させる第2上ガイド移動手段と、前記第1下ガイドを水平に移動させる第1下ガイド移動手段と、前記第2下ガイドを水平に移動させる第2下ガイド移動手段とを含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の基板反転装置。
【請求項9】
前記ガイド移動手段は、前記第1上ガイドおよび第2上ガイドを水平に移動させる上ガイド移動手段と、前記第1下ガイドおよび第2下ガイドを水平に移動させる下ガイド移動手段とを含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の基板反転装置。
【請求項10】
前記ガイド移動手段は、前記第1上ガイド、第1下ガイド、第2上ガイド、および第2下ガイドに対して前記反転軸線まわりに相対回転可能である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の基板反転装置。
【請求項11】
前記第1上ガイドおよび第1下ガイドと、前記第2上ガイドおよび第2下ガイドとを、鉛直方向に関して互いに反対方向に移動させるガイド昇降手段をさらに含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の基板反転装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板反転装置と、
前記基板反転装置への基板の搬入および前記基板反転装置からの基板の搬出を行う基板搬送ロボットとを含む、基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−46022(P2013−46022A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184881(P2011−184881)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】