説明

基板収容装置

【課題】塗布動作を行う際に塗布液がミスト状に飛散する場合がある。ミスト状に飛散した塗布液が装置内部のうち基板以外の部分に付着すると、装置を汚してしまうという問題があるので、装置内の環境を清浄化する。
【解決手段】基板収容装置ACMは、基板Sを保持する基板保持部10と、前記基板保持部10に保持された状態の前記基板Sを囲うカップ部20と、前記基板Sと前記カップ部20との間に異物を回収する回収液を供給する回収液供給部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に液状体を塗布する塗布技術として、例えばカップなどを備えた基板収容装置内に基板を収容し、当該基板収容装置に収容された状態でノズルから基板上に液状体を吐出する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−026370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成においては、塗布動作を行う際に塗布液がミスト状に飛散する場合がある。ミスト状に飛散した塗布液が装置内部のうち基板以外の部分に付着すると、装置を汚してしまうという問題がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、装置内の環境を清浄化することができる基板収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係る基板収容装置は、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された状態の前記基板を囲うカップ部と、前記基板と前記カップ部との間に異物を回収する回収液を供給する回収液供給部とを備える。
【0007】
本発明によれば、回収液供給部からの回収液が基板とカップ部との間に供給されるので、基板とカップとの間の異物を回収することができる。これにより、装置の環境を清浄化することができる。
【0008】
上記の基板収容装置は、前記回収液供給部から供給された前記回収液を貯留する回収液貯留部を更に備える。
本発明によれば、回収液供給部から供給された回収液を貯留する回収液貯留部を更に備えることとしたので、供給された回収液を貯留させることができるので、貯留された状態で異物を回収することができる。
【0009】
上記の基板収容装置において、前記カップ部は、前記基板の側部を囲う壁部と、前記壁部を支持する底部とを有し、前記回収液貯留部は、前記壁部の一部と前記底部とを含む部分に設けられている。
本発明によれば、カップ部が、基板の側部を囲う壁部と、壁部を支持する底部とを有し、回収液貯留部が壁部の一部と底部とを含む部分に設けられているので、当該壁部及び底部において異物を回収することができる。
【0010】
上記の基板収容装置において、前記回収液供給部は、前記回収液貯留部に向けて前記回収液を吐出する第一ノズルを有する。
本発明によれば、第一ノズルから回収液貯留部に向けて回収液が吐出されるため、吐出による回収液の流れを形成することができる。これにより、回収液貯留部に付着する異物を洗い流すことができる。
【0011】
上記の基板収容装置は、前記第一ノズルは、前記基板保持部に設けられている。
本発明によれば、第一ノズルが基板保持部に設けられているので、基板保持部から回収液貯留部に回収液が吐出されることになる。これにより、基板保持部から回収液貯留部までの間において異物を洗い流すことができる。
【0012】
上記の基板収容装置において、前記回収液貯留部は、前記基板の外周に沿って環状に形成されており、前記回収液供給部は、前記回収液貯留部の周方向に向けて前記回収液を吐出する第二ノズルを有する。
本発明によれば、回収液貯留部が基板の外周に沿って環状に形成されており、回収液供給部が回収液貯留部の周方向に向けて回収液を吐出する第二ノズルを有するので、回収液貯留部の周方向に回収液の流れを形成することができる。これにより、回収された異物が沈殿して溜まるのを防ぐことができる。
【0013】
上記の基板収容装置において、前記第二ノズルは、複数設けられ、複数の前記第二ノズルは、前記回収液貯留部の周方向に等しいピッチで配置されている。
本発明によれば、第二ノズルが複数設けられ、複数の第二ノズルが回収液貯留部の周方向に等しいピッチで配置されるので、回収液の流れを回収液貯留部の周方向に均一に形成することができる。
【0014】
上記の基板収容装置において、前記回収液貯留部は、前記回収液を排出する排出部を有する。
本発明によれば、異物を含んだ回収液を排出部から排出することができるので、装置内から異物を除去することができる。
【0015】
上記の基板収容装置は、前記カップ部で囲まれた空間を吸引する吸引部を更に備える。
本発明によれば、カップ部で囲まれた空間を吸引することができるので、カップ部で囲まれた空間から吸引によって気体、回収液や異物などを除去することができる。
【0016】
上記の基板収容装置において、前記吸引部は、前記カップ部を介して外側に接続された吸引経路を有する。
本発明によれば、吸引部がカップ部を介して外側に接続された吸引経路を有するので、当該吸引経路を介して回収液や異物などを除去することができる。
【0017】
上記の基板収容装置において、前記吸引部は、前記吸引経路に設けられた気液分離部を有する。
本発明によれば、吸引経路に気液分離部が設けられるので、吸引された物質の中から回収液を分離することができる。
【0018】
上記の基板収容装置は、前記気液分離部に到達して分離された前記回収液を前記回収液供給部へ送る送り部を更に備える。
本発明によれば、気液分離部に到達して分離された回収液が回収液供給へ送ることができるので、回収液を再利用することができる。
【0019】
上記の基板収容装置は、前記カップ部は、前記基板の側部を囲う壁部を有し、前記壁部へ向けて洗浄液を吐出する洗浄液ノズルを更に備える。
本発明によれば、カップ部が基板の側部を囲う壁部を有し、壁部へ向けて洗浄液を吐出する洗浄液ノズルが設けられるので、壁部を清浄化することができる。
【0020】
上記の基板収容装置において、前記洗浄液として、前記回収液と同一種類の液体が用いられる。
本発明によれば、洗浄液として回収液と同一種類の液体が用いられるので、洗浄液を用いて異物を回収することができる。また、洗浄液及び回収液の供給源を共通化することができる。
【0021】
上記の基板収容装置において、前記基板保持部は、前記基板の裏面を吸着する吸着部を有し、前記吸着部は、前記基板の周囲に向けて気体を噴射する気体噴射部を有する。
本発明によれば、吸着部から基板の周囲に向けて気流を形成することができるので、異物が基板へ向けて飛散してくるのを防ぐことができる。
【0022】
上記の基板収容装置において、前記基板保持部は、前記基板の温度を調整する温調部を有する。
本発明によれば、基板保持部によって基板の温度を調整することができるので、基板の温度を収容目的に応じた温度に設定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、装置内の環境を清浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る塗布装置の構成を示す断面図。
【図2】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す平面図。
【図3】本実施形態に係る塗布装置の一部の構成を示す図。
【図4】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図5】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図6】本実施形態に係る塗布装置の他の動作例を示す図。
【図7】本実施形態に係る塗布装置の他の動作例を示す図。
【図8】本実施形態に係る塗布装置の他の構成及び他の動作例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る塗布装置CTRの構成を示す図である。
図1に示すように、塗布装置CTRは、基板収容装置ACM及び塗布ノズルCNZを有している。塗布装置CTRは、基板収容装置ACMに収容される基板Sに対して、塗布ノズルCNZを用いて液状体を塗布する装置である。塗布装置CTRは、水平面に平行な床面に載置されて用いられる。塗布ノズルCNZとしては、例えばスプレーノズルや、スリットノズル、スピンコート用の滴下ノズルなど、種々のノズルを用いることができる。
【0026】
以下、本実施形態に係る塗布装置CTRの構成を説明する際に、XYZ直交座標系を用いることとする。ここでは、水平面上の一方向をX方向とし、当該水平面に平行であってX方向に直交する方向をY方向とし、鉛直方向をZ方向とする。また、X軸周り、Y軸周り、Z軸周りの各方向については、θX方向、θY方向、θZ方向と表記する場合がある。
【0027】
基板収容装置ACMは、基板保持部10、カップ部20、回収液供給部30、回収液貯留部40、吸引部50、昇降部60及び制御部CONTを有している。図2は、塗布装置CTRを+Z側から見たときの構成を示す図である。なお、図2においては、図を判別しやすくするため、昇降部60の構成を一点差線で示している。
【0028】
図1及び図2に示すように、基板保持部10は、吸着部11、温調部12及び気体噴射部13を有している。吸着部11は、カップ部20の内部のうちZ方向視中央部に配置されている。吸着部11は、吸引機構によって吸引動作を行う構成となっている。
【0029】
吸着部11のうち+Z側の面11aは、基板Sを保持する保持面である。保持面11aは、XY平面に平行となるように平坦に形成されている。吸着部11は、基台10a上に配置されている。
【0030】
温調部12は、吸着部11に吸着される基板Sの温度を調整する。温調部12は、不図示の加熱機構や冷却機構を有している。当該加熱機構及び冷却機構の動作は、制御部CONTによって制御可能である。温調部12は、不図示の固定部材を介して吸着部11の−Z側の面に取り付けられている。
【0031】
気体噴射部13は、吸着部11に吸着された状態の基板Sの周囲に向けて気体(例えば窒素ガスなど)を噴射する。気体噴射部13は、吸着部11の側面に形成された噴射口13aを有する。当該噴射口13aは、吸着部11の径方向の外側へ向けて開口されている。当該噴射口は、気体流路13bを介して不図示の気体供給源に接続されている。
【0032】
気体流路13bは、吸着部11の径方向の外側へ向けて水平方向に対して+Z側に傾いている。このため、気体噴射部13は、基板Sの周囲に径方向の外側かつ+Z側へ向けた気流を形成する。この気流により、基板Sの裏面に対して異物が近づくのを防ぐことができる。
【0033】
カップ部20は、基板保持部10によって保持される基板Sを囲うように配置されている。カップ部20は、底部21及び壁部22を有する。カップ部20は、Z方向視で円形に形成されている。底部21には、−Z側へ向けて傾斜部21aが形成されている。傾斜部21aは、図2に示すように、基台10aの外周面に沿って円環状に形成されている。
【0034】
図1及び図2に示すように、壁部22は、基板保持部10の周囲を囲うように円筒状に形成されている。図1に示すように、壁部22の+Z側端部には、折り返し部22aが形成されている。折り返し部22aは、カップ部20のZ方向視で中央部側へ向けて形成されている。
【0035】
回収液供給部30は、第一ノズル31、第二ノズル32、洗浄液ノズル33及び供給源34を有する。回収液供給部30は、基板Sとカップ部20との間の異物を回収する回収液を供給する。回収液としては、例えば純水、塗布ノズルから供給される液状体の溶媒などが挙げられる。
【0036】
第一ノズル31は、基台10aに取り付けられている。第一ノズル31は、基台10aに対して外側に向けられている。具体的には、第一ノズル31は、カップ部20の底部21に向けられている。第一ノズル31は、昇降部60に設けられるプレート61の液受面61a(後述)を洗浄する。第一ノズル31は、底部21へ向けて回収液を吐出する。第一ノズル31は、基台10aの周方向にほぼ等しいピッチで配置されている。このため、液受面61aの一周に亘って満遍なく回収液が供給されることになる。なお、第一ノズル31からエアを噴射させる構成としても構わない。
【0037】
第二ノズル32は、基台10aの外周面に形成されている。第二ノズル32は、カップ部20の底部21に向けられている。第二ノズル32は、底部21に対して回収液を吐出する。第二ノズル32は、基台10aの外周面の周方向に向けられている。具体的には、図2に示すように、反時計回りの方向に向けられている。このため、第二ノズル32から吐出される回収液により、底部21では回収液の流れが反時計回りに形成されることになる。第二ノズル32は、底部21の周方向に等しいピッチで配置されている。このため、回収液の流れが底部21の一周に亘ってほぼ等しい速度となって形成される。
【0038】
洗浄液ノズル33は、底部21の傾斜部21aに配置されている。洗浄液ノズル33は、カップ部20の壁部22に向けられている。洗浄液ノズル33は、壁部22へ向けて洗浄液を吐出する。当該洗浄液としては、純水、塗布ノズルから供給される液状体の溶媒に加えて、例えばオゾン水などを用いることができる。
【0039】
洗浄液ノズル33は、XY平面に対して傾斜する方向に角度を調整可能に設けられている。このため、折り返し部22aから壁部22の−Z側までの範囲で洗浄液ノズル33の向きを調整することができる。また、洗浄液ノズル33の角度を調整することにより、昇降部60に設けられる気流調整部材62(後述)に洗浄液を供給し、当該気流調整部材62を洗浄することも可能である。洗浄液ノズル33は、底部21の周方向にほぼ等しいピッチで配置されている。このため、壁部22には周方向の一周に亘って満遍なく洗浄液が供給されることになる。
【0040】
供給源34は、例えばカップ部20の外部に配置されている。供給源34は、第一ノズル31及び第二ノズル32に回収液を供給する。このように第一ノズル31と第二ノズル32とで回収液の供給源を共通化させることで、別々に供給源を設ける場合に比べてスペースを節約することができる。また、メンテナンスの手間が軽減されることにもなる。加えて、供給源34は、洗浄液ノズル33に洗浄液を供給する。回収液及び洗浄液として同一種類の液体が用いられる場合には、洗浄液ノズル33についても供給源を共通化させることができる。
【0041】
更に、供給源34は、エア噴出口35にクリーンドライエアを供給する。このエア噴出口35は、基台10aのうち第一ノズル31の+Z側に複数設けられている。複数のエア噴出口35は、基台10aの周方向に等しいピッチで配置されている。各エア噴出口35は、昇降部60に設けられるプレート61の液受面61a(後述)を乾燥させる。各エア噴出口35は、底部21へ向けられている。なお、エア噴出口35から上記回収液を噴出させる構成としても構わない。
【0042】
回収液貯留部40は、液受部41及び排出部42を有する。液受部41は、カップ部20の底部21と、壁部22の−Z側の部分とを含む部分に形成されている。液受部41は、第一ノズル31から吐出された回収液や、第二ノズル32から吐出された回収液などを受ける部分である。液受部41が回収液を受けた状態を維持することにより、回収液貯留部40に回収液が貯留される。液受部41のうち外周部分の+Z側端部41aは、第二ノズル32よりも−Z側に配置されている。
【0043】
排出部42は、カップ部20の底部21に形成された開口部である。排出部42は、液受部41に貯留された回収液をカップ部20の外側に排出する。排出部42は、傾斜部21aの底面に形成されている。このため、液受部41に受けられた回収液が傾斜部21aを伝わって排出されやすくなる。排出部42には、不図示の排出経路が接続されている。排出部42には、不図示の開閉弁が設けられている。当該開閉弁を閉塞させることにより、回収液貯留部40に回収液が貯留される。また、開閉弁を開放させることにより、排出部42から回収液が排出される。
また、壁部22の外周側には、排気部24が設けられている。排気部24は、カップ部20によって囲まれた空間Kの気体を排出すると共に、壁部22の表面に付着した塗布液を流し出す役割をする。なお、排気部24が設けられない構成であっても構わない。排気部24には、トラップ部24a及び24bが設けられている。当該トラップ部24a及び24bにより、排気部24に排出された成分のうち気体成分の少なくとも一部が開口部24cへ送出され、液体成分が開口部24dへ送られる。トラップ部24a及び24bでは、気体成分の一部を液化させる機能をも有している。この場合、液化された成分については、開口部24dへ送られる。なお、排気部24の開口部24cは、吸引部50に接続されている。また、排気部24の開口部24dは、廃液回収部(不図示)又は供給源34へ送られる。
【0044】
吸引部50は、排気部24を介して、カップ部20によって囲まれた空間Kを吸引する。吸引部50は、排気部24の開口部24cに接続されている。また、吸引部50は、当該開口部24c及びトラップ部24a、24bを介して空間Kに接続されている。図3は、吸引部50の構成を示す図である。
図5に示すように、吸引部50は、配管部50a〜50f、気液分離部51及びオゾン洗浄部52を有する。
【0045】
配管部50aは、カップ部20に接続されている。配管部50aは、壁部22に対して外側から接続されている。配管部50aを介して、カップ部20の内部に存在していた吸引対象物がカップ部20の外側に吸引される。配管部50aは、気液分離部51に接続されている。
【0046】
気液分離部51は、トラップ部51aを有している。気液分離部51は、吸引されたカップ部20内の吸引対象物のうち液体成分をトラップ部51aにより配管部50bへ送り出すと共に、気体成分を配管部50cへ送り出す。なお、トラップ部51aが気体成分の一部を液化する機能をも有しており、液化された成分を配管部50bへ送り出す場合もある。配管部50cにはファンが設けられ、工場排気などにより、配管部50cへ送り出された気体成分を外部へ排気する。
【0047】
配管部50bは、オゾン洗浄部52に接続されている。オゾン洗浄部52は、オゾン発生装置52a及び洗浄槽52bを有している。オゾン発生装置52aで発生したオゾンガスは、洗浄槽52bに設けられる不図示の散気管により液体成分に接触する。このオゾンガスにより、液体成分が溶剤とレジストとに分解される。なお、上記のオゾン洗浄部52は必ずしも設けられていなくても構わない。
【0048】
洗浄槽52bは、洗浄後の液体成分を配管部50eへ送り出す。配管部50eは、上記の供給源34に接続されている。配管部50eへ送り出された液体成分は、当該配管部50eを介して上記の供給源34へと送られる。また、洗浄に用いたオゾンガスについては、配管部50fを介して排気させる。なお、配管部50bには配管部50dが分岐して接続されている。配管部50dは、廃液回収部(不図示)に接続されている。配管部50bへ送り出された液体成分の一部は、当該配管部50dを介して排出される。
【0049】
図1に戻って、昇降部60は、プレート61、気流調整部材62、連結部材63、昇降ガイド64及び駆動部65を有する。
図1及び図2に示すように、プレート61は、基板Sの周囲を囲うように円環状に形成されている。プレート61は、平坦に形成された液受面61aを有している。図1に示す状態では、プレート61は、基板保持部10に保持された状態の基板Sの+Z側の第一面Saと液受面61aとが面一になる第一位置PS1に配置されている。プレート61は、基板保持部10に保持された基板Sの外周との間に隙間を空けて配置されている。なお、気体噴射部13の噴出口13aは、基板Sの−Z側の第二面Sb側から当該隙間に向けられている。
【0050】
気流調整部材62は、基板Sの外周を通過した気体の流れを調整する。気流調整部材62は、基板Sの周囲を囲うように円環状に形成されている。気流調整部材62は、プレート61を囲うように当該プレート61の外側に配置されている。気流調整部材62は、連結部材63によってプレート61と一体的に連結されている。気流調整部材62は、基板Sの外周を通過した気体が吸引部50へ向けて流れるように湾曲されている。
【0051】
昇降ガイド64は、Z方向に平行に設けられている。プレート61は、駆動部65の駆動動作により、昇降ガイド64に沿ってZ方向に移動可能に設けられている。プレート61がZ方向に移動することにより、当該プレート61と一体的に連結された気流調整部についてもZ方向に移動可能である。
【0052】
プレート61は、例えばZ方向の第二位置PS2及び第三位置PS3に移動可能である。第二位置P2は、第一ノズル31から噴射される回収液の軌道上に設けられる。したがって、プレート61が第二位置PS2に配置された場合、第一ノズル31から回収液を噴射することで、プレート61の洗浄を行うことが可能である。また、第三位置PS3は、プレート61の待機位置である。
【0053】
上記のように構成された塗布装置CTRの動作を説明する。
まず、基板Sを不図示の搬送機構によって基板収容装置ACMに収容する。収容された基板Sは、吸着部11上に載置される。その後、制御部CONTは、吸着部11上に基板Sを吸着させる。
【0054】
基板Sを吸着させた後、制御部CONTは、温調部12によって基板Sの温度を調節しつつ、気体噴射部13から気体を噴射させる。また、制御部CONTは、吸引部50の動作を開始させる。加えて、制御部CONTは、昇降部60を第一位置PS1に配置させる。昇降部60が第一位置PS1に配置されることにより、気体噴射部13からの気体は、基板Sの側部を通過し、気流調整部材62を介して吸引部50へと流れる。また、プレート61の液受面61aが基板Sの第一面Saと面一状態となる。
【0055】
この状態で、制御部CONTは、図4に示すように、第一ノズル31から回収液Qを吐出させる。回収液Qは、Z方向視において、基板Sとカップ部20の壁部22との間に設けられる回収液貯留部40に満たされていく。この状態で、制御部CONTは、塗布ノズルCNZを用いて基板Sの第一面Sa上に液状体の塗布膜Rを形成する。
【0056】
塗布ノズルCNZを用いて塗布膜Rを形成する際に、液状体がミスト状に飛散する場合がある。このようなミスト状の液状体がカップ部20に付着すると、カップ部20が汚れた状態となってしまう。これに対して、本実施形態によれば、第一ノズル31からの回収液が基板Sとカップ部20の壁部22との間に供給されるので、基板Sとカップ部20との間にミスト状の液状体が飛散した場合であっても、当該液状体を回収することができる。また、液状体に限られず、塵や埃などについても回収することができる。これにより、装置環境を清浄化することができる。
【0057】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、制御部CONTは、第一ノズル31から回収液を吐出させる際に、図5に示すように、第二ノズル32から回収液Qを吐出させるようにしても構わない。この場合、第二ノズル32が回収液貯留部40の周方向に向けて回収液Qを吐出するので、回収液貯留部40の周方向(反時計回りの方向)に回収液Qの流れを形成することができる。これにより、回収された異物が沈殿して溜まるのを防ぐことができる。
【0058】
なお、第一ノズル31からの回収液の吐出動作と、第二ノズル32からの回収液の吐出動作とを、同時に行うようにしても構わないし、異なるタイミングで行わせるようにしても構わない。
【0059】
また、上記実施形態においては、回収液Qによってカップ部20における液状体Qを回収する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
図6は、塗布装置CTRの他の動作例を示す図である。図6に示すように、制御部CONTが、昇降部60に設けられたプレート61を第二位置PS2に配置させ、第一ノズル31から回収液Qを吐出させるようにしても構わない。この場合、回収液Qは、プレート61の液受面61aに供給され、液受面61aが回収液Qによって洗浄される。
【0060】
また、制御部CONTは、液受面61aの洗浄後、エア噴出口35からエアを噴射させても構わない。この場合、エアは液受面61a上を流れ、液受面61a上に残留する回収液Qを除去する。また、エアの流れにより、回収液Qの一部を蒸発させる。このように、液受面61a上を乾燥させることができる。
【0061】
図7は、塗布装置CTRの他の動作例を示す図である。プレート61を洗浄する場合、図7に示すように、制御部CONTは、回収液貯留部40に回収液Qを貯留させた状態で、プレート61を第三位置PS3へ移動させる。この動作により、プレート61が回収液Qに漬けられた状態となり、液受面61aが回収液Qによって洗浄される。
【0062】
プレート61を漬ける際、当該プレート61が漬かった体積に応じて回収液Qの液面が+Z側に移動し、回収液貯留部40の外壁の+Z側の端部41aを超えて吸引部50へ溢れだすことになる。本実施形態において、液受部41のうち外周部分の+Z側端部41aは、第二ノズル32よりも−Z側に配置されているため、回収液Qが第二ノズル32を満たしてしまうのを回避することができる。
【0063】
また、上記実施形態の塗布装置CTRにおいて、洗浄ノズル33を用いた動作を説明する。図8は、洗浄ノズル33の動作を示す図である。
図8に示すように、制御部CONTは、洗浄ノズル33を用いて、カップ部20の壁部22や折り返し部22aに向けて洗浄液QRを噴射させる。この動作により、壁部22及び折り返し部22aが洗浄液QRによって洗浄される。
【0064】
図8では、上記実施形態の構成に加えて、壁部22に開口部22bが設けられている。開口部22bには、洗浄液供給部23が接続されている。制御部CONTは、洗浄液供給部23から洗浄液QRを供給することにより、開口部22bから壁部22へ洗浄液QRが垂れてくる。この動作により、壁部22が洗浄される。
また、当該洗浄液が広い範囲に流れるように、例えば壁部22に洗浄液が濡れ広がりやすくなる材料などをコーティングする構成であっても構わない。また、洗浄液が壁部22の内周方向に流れるように、壁部22に凹凸などが形成された構成であっても構わない。また、壁部22の近傍に刷毛などを配置させ、当該刷毛を用いて洗浄液を塗布する構成としても構わない。また、壁部22に紙や布などを配置させ、洗浄液を当該紙や布に浸み込ませることで、洗浄液を広い範囲に濡れ広がらせる構成としても構わない。
【符号の説明】
【0065】
CTR…塗布装置 ACM…基板収容装置 CNZ…塗布ノズル S…基板 CONT…制御部 K…空間 Q…回収液 R…塗布膜 10…基板保持部 10a…基台 11…吸着部 11a…保持面 12…温調部 13…気体噴射部 13a…噴射口 13b…気体流路 20…カップ部 21…底部 21a…傾斜部 22…壁部 30…回収液供給部 31…第一ノズル 32…第二ノズル 33…洗浄液ノズル 34…供給源 35…エア噴出口 40…回収液貯留部 41…液受部 42…排出部 50…吸引部 50a〜50f…配管部 51…気液離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された状態の前記基板を囲うカップ部と、
前記基板と前記カップ部との間に異物を回収する回収液を供給する回収液供給部と
を備える基板収容装置。
【請求項2】
前記回収液供給部から供給された前記回収液を貯留する回収液貯留部を更に備える
請求項1に記載の基板収容装置。
【請求項3】
前記カップ部は、前記基板の側部を囲う壁部と、前記壁部を支持する底部とを有し、
前記回収液貯留部は、前記壁部の一部と前記底部とを含む部分に設けられている
請求項2に記載の基板収容装置。
【請求項4】
前記回収液供給部は、前記回収液貯留部に向けて前記回収液を吐出する第一ノズルを有する
請求項2又は請求項3に記載の基板収容装置。
【請求項5】
前記第一ノズルは、前記基板保持部に設けられている
請求項4に記載の基板収容装置。
【請求項6】
前記回収液貯留部は、前記基板の外周に沿って環状に形成されており、
前記回収液供給部は、前記回収液貯留部の周方向に向けて前記回収液を吐出する第二ノズルを有する
請求項2から請求項5のうちいずれか一項に記載の基板収容装置。
【請求項7】
前記第二ノズルは、複数設けられ、
複数の前記第二ノズルは、前記回収液貯留部の周方向に等しいピッチで配置されている
請求項6に記載の基板収容装置。
【請求項8】
前記回収液貯留部は、前記回収液を排出する排出部を有する
請求項2から請求項7のうちいずれか一項に記載の基板収容装置。
【請求項9】
前記カップ部で囲まれた空間を吸引する吸引部
を更に備える請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の基板収容装置。
【請求項10】
前記吸引部は、前記カップ部を介して外側に接続された吸引経路を有する
請求項9に記載の基板収容装置。
【請求項11】
前記吸引部は、前記吸引経路に設けられた気液分離部を有する
請求項10に記載の基板収容装置。
【請求項12】
前記気液分離部に到達して分離された前記回収液を前記回収液供給部へ送る送り部
を更に備える請求項11に記載の基板収容装置。
【請求項13】
前記カップ部は、前記基板の側部を囲う壁部を有し、
前記壁部へ向けて洗浄液を吐出する洗浄液ノズルを更に備える
請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載の基板収容装置。
【請求項14】
前記洗浄液として、前記回収液と同一種類の液体が用いられる
請求項13に記載の基板収容装置。
【請求項15】
前記基板保持部は、前記基板の裏面を吸着する吸着部を有し、
前記吸着部は、前記基板の周囲に向けて気体を噴射する気体噴射部を有する
請求項1から請求項14のうちいずれか一項に記載の基板収容装置。
【請求項16】
前記基板保持部は、前記基板の温度を調整する温調部を有する
請求項1から請求項15のうちいずれか一項に記載の基板収容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−641(P2013−641A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133125(P2011−133125)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】