説明

基板収納容器及びコンベアレール部材

【課題】容器本体の左右方向に搬送させることが可能な基板収納容器及びコンベアレール部材を提供する。
【解決手段】容器本体に固定される固定部14を設置して、この固定部14によって、コンベアレール部材13を容器本体に固定することで、容器本体の前側に形成されたコンベアレール11と対になるように、コンベアレール部材13のコンベアレール12を容器本体の後側に配置する。すなわち、コンベアレール部材13を容器本体の底部外面2cに取り付けることで、容器本体の左右方向に延在するコンベアレール10を形成することができる。これにより、基板収納容器を、例えばローラコンベア上に載置して、コンベアレール10の延在する方向に沿って容器本体の左右方向D3に搬送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、及び基板収納容器を搬送可能なコンベアレール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体部品の微細化や配線の狭ピッチ化が進んでいる。このため、半導体ウェハ(精密基板)を収納する基板収納容器には、精密基板の汚染を防止するために高い密閉性と取扱いの自動化とが求められている。図9は、従来の基板収納容器を示す底面図である。図9に示す従来の基板収納容器51は、いわゆるフロントオープンボックスタイプのものであり、精密基板を収納する容器本体52と、この容器本体52の底部外面に設けられたボトムプレート53とを備えている。このボトムプレート53は、容器本体52の開口側(前側)の周縁部54の底面54a、開口側の周縁部54と直交する左右両側の周縁部55の底面55aが平坦面に形成されている。また、ボトムプレート53の中央部には、基板収納容器51の位置決めするための位置決め部品、基板収納容器51に関する情報を識別可能とする識別部品等が取り付け可能とされている。
【0003】
この種の基板収納容器51が搬送される際には、例えばローラコンベア上に載置されて搬送される。このとき、ボトムプレート53の左右両側の周縁部55,55がコンベアローラと接触するコンベア接触レールとなる。そして、基板収納容器51は、ボトムプレート53の左右両側の周縁部55,55の延在方向(基板収納容器51における前後方向)Dに沿って搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−64378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板収納容器を左右方向に搬送させるためのコンベア接触レールを設置しようとした場合、ボトムプレート53の前側の周縁部54の底面54aには、基板収納容器の左右方向に連続する十分な長さの平坦面があるため、コンベア接触レールとして利用することができる。しかしながら、ボトムプレート53の後側の周縁部の底面には、基板収納容器の左右方向に連続する十分な長さの平坦面がないため、コンベア接触レールとして利用することができなかった。また、ボトムプレート53の中央部には位置決め部品や識別部品を取り付ける必要があるため、コンベア接触レールを設置することができなかった。
【0005】
したがって、上記特許文献1に記載の従来技術では、基板収納容器を搬送する際には、左右両側の周縁部55,55の延在方向Dの1方向にしか搬送できなかった。そのため、例えば、加工設備等へ搬送する際には、基板収納容器の搬送方向を変えるための方向転換装置を用いて、基板収納容器の向きを変えることで、基板収納容器の搬送方向を変えていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、容器本体の左右方向に搬送させることが可能な基板収納容器及びコンベアレール部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による基板収納容器は、開口を有し基板を収納する容器本体を備え、開口が形成された面を前面として、容器本体の前側に形成され、容器本体の左右方向に延びる第1のコンベアレールが容器本体の底部に形成された基板収納容器であって、第1のコンベアレールと対となる第2のコンベアレールが形成されたコンベアレール部材を具備し、コンベアレール部材は、容器本体に固定される固定部を備え、固定部によって容器本体に取り付けられ、第2のコンベアレールは容器本体の後側に配置されることを特徴としている。
【0008】
このような基板収納容器によれば、容器本体の前側に形成された第1のコンベアレールと対となる第2のコンベアレールが形成されたコンベアレール部材を備えている。このコンベアレール部材には、容器本体に固定される固定部が設置されている。この固定部によって、コンベアレール部材を容器本体に固定することで、容器本体の前側に形成された第1のコンベアレールと対になるように、第2のコンベアレールを容器本体の後側に配置することができる。すなわち、コンベアレール部材を容器本体の底部外面に取り付けることで、容器本体の左右方向に延在するコンベアレールを形成することができる。これにより、基板収納容器を、例えばローラコンベア上に載置して、コンベアレールの延在する方向に沿って容器本体の左右方向に搬送することができる。
【0009】
ここで、容器本体の底部外面側に設置されたボトムプレートを更に備え、容器本体の底部外面には、ボトムプレートに向かって突出しボトムプレートを固定するボトムプレート固定部が設置され、コンベアレール部材の固定部は、ボトムプレート固定部に装着され、第2のコンベアレールは、容器本体の後方側へ張り出して配置されることが好ましい。これにより、突出するボトムプレート固定部にコンベアレール部材の固定部を装着することで、第2のコンベアレールを容器本体の後方側に張り出して設置することができる。また、既存のボトムプレート固定部を利用してコンベアレール部材を固定しているため、コンベアレール部材を固定するための新たな部品を用いる必要がない。
【0010】
また、固定部は、ボトムプレート固定部に固定される筒体を有し、この筒体の内周面には、内方に突出する第1の位置調整用突起が形成され、筒体の容器本体側の端面には、外方に突出する第2の位置調整用突起が形成されていることが好ましい。これにより、第1の位置調整用突起の突出量を変化させることで、ボトムプレート固定部と筒体との嵌めあいを容易に調整することができるので、第2のコンベアレールの位置ずれを防止することができる。また、第2の位置調整用突起の突出量を変化させることで、容器本体とコンベアレール部材との位置関係を容易に調整することができるので、コンベアレール部材の撓みを防止して第2のコンベアレールの位置ずれを防止することができる。その結果、第2のコンベアレールの位置ずれが防止されるため、基板収納容器を安定させて搬送することができる。
【0011】
また、コンベアレール部材は、第2のコンベアレールが形成された面と反対側の面から外方に向かって突出する撓み防止用リブを更に備えていることが好ましい。これにより、外方に向かって突出する撓み防止用リブによって、コンベアレール部材の剛性を向上させて、コンベアレール部材の撓みを防止することが可能となる。従って、第2のコンベアレールの位置ずれが防止されるため、基板収納容器を安定させて搬送することができる。
【0012】
また、本発明によるコンベアレール部材は、開口を有し基板を収納する基板収納容器の容器本体の底部に取り付け可能とされ、開口が形成された面を前面として容器の左右方向に延びるコンベアレールが形成されたコンベアレール部材であって、容器本体に固定される固定部を備え、コンベアレールは、容器本体の後側に配置されることを特徴としている。
【0013】
このようなコンベアレール部材によれば、容器本体に固定される固定部が設置され、この固定部によって、コンベアレール部材を容器本体に固定することで、容器本体の前側に形成されたコンベアレールと対になるように、コンベアレール部材のコンベアレールを容器本体の後側に配置することができる。すなわち、コンベアレール部材を容器本体の底部外面に取り付けることで、容器本体の左右方向に延在するコンベアレールを形成することができる。これにより、基板収納容器を、例えばローラコンベア上に載置して、コンベアレールの延在する方向に沿って容器本体の左右方向に搬送することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基板収納容器を、コンベアレールの延在する方向に沿って容器本体の左右方向に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明による基板収納容器及びコンベアレール部材の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る基板収納容器を示す分解斜視図、図2は、図1に示す基板収納容器の底面図、図3は、図2におけるIII−III線に沿う容器本体、アダプタプレート及びボトムプレートの断面図、図4は、図2中のアダプタプレートの底面図、図5は、図4に示すアダプタプレートの側面図、図6は、図4に示すアダプタプレートの平面図、図7は、図4に示すアダプタプレートの斜視図、図8は、図4に示すアダプタプレートの固定部を拡大して示す平面図である。
【0016】
図1に示す基板収納容器1は、例えば口径が300mm(約12インチ)の半導体ウェハ(基板;不図示)を複数枚(例えば25、26枚)収容し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器である。この基板収納容器1は、いわゆるフロントオープンボックスタイプのものであり、基板を収納する容器本体2と、この容器本体2に設けられた開口部(開口)3を覆う蓋体4とを備えている。なお、図1において、後述するボトムプレート7の記載を省略している。また、本明細書において、開口部3が形成された面を「容器本体2の前面」と定め、「前」「後」「左」「右」等の方向を表す語を用いることとする。
【0017】
容器本体2は箱型を成し、図示左側の側面には基板を出し入れする開口部3が形成されている。容器本体2の対向する一対の側壁2aの内面には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持する支持部2bが各々設けられている。
【0018】
蓋体4は、容器本体2と蓋体4との間を封止するシール用ガスケット5を介して、開口部3を閉鎖する。また、蓋体4の内面には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持するリテーナ6が設けられている。
【0019】
図2及び図3に示すように容器本体2の底壁2c(底部)の外面側(図3における下側)には、ボトムプレート7が取り付けられている。容器本体2の底壁2cには、外方に向かって突出する複数(本実施形態では4つ)のボトムプレート固定用ボス(ボトムプレート固定部)2dが設けられている。このボトムプレート固定用ボス2dには、図3に示すように、雌螺子部2eが形成されている。
【0020】
ボトムプレート7は、容器本体2の底壁2cを外面側から覆うものである。このボトムプレート7は、容器本体2の底壁2cに設けられたボトムプレート固定用ボス2dと対応する位置に、容器本体2側に向かって突出する突出部7aが設けられている。この突出部7aには、ボトムプレート7の内外を貫通する開口7bが形成されている。この開口7bには、雄螺子8が挿通され、雄螺子8の先端部は、容器本体2の雌螺子部2eに螺合する。この雄螺子8によって、ボトムプレート7を容器本体2に固定している。
【0021】
また、ボトムプレート7には、図2に示すように、容器本体2の前後方向Dに延在する一対の前後方向コンベア接触レール(以下、「前後方向レール」という)9が設けられている。この一対の前後方向レール9は、ボトムプレート7の左右両側の周縁に形成されている。前後方向レール9の底面9aは、平坦面とされ、前後方向レール9の前後方向の端部は上下方向に傾斜する傾斜面9bとされている。この傾斜面9bは、外方に向かうにつれて上方に傾斜している。この前後方向レール9の材料としては、耐摩耗性、摺動性、剛性に優れるポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等の熱可塑性樹脂、これらに炭素繊維、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が添加された材料が挙げられる。
【0022】
そして、基板収納容器1を例えばローラコンベア等の搬送装置によって搬送する場合、基板収納容器1をローラコンベア等に載置して、ローラコンベアのローラと前後方向レール9の底面9aとを接触させる。これにより、基板収納容器1を前後方向レール9の延在する方向に沿って容器本体2の前後方向に搬送することができる。
【0023】
ここで、本実施形態の基板収納容器1には、容器本体2の前後方向Dに延在する上記前後方向レール9に加えて、容器本体2の左右方向Dに延在する一対の左右方向コンベア接触レール(以下、「左右方向レール」という)10が形成されている。この一対の左右方向レール10は、ボトムプレート7の前側の周縁に形成された第1のコンベアレール11と、この第1のコンベアレール11と対となり、ボトムプレート7の後側に配置された第2のコンベアレールとによって構成されている。基板収納容器1は、第2のコンベアレール12が形成されたアダプタプレート(コンベアレール部材)13を備えている。
【0024】
なお、アダプタプレート13において、アダプタプレート13を容器本体2に取り付けた状態での前方方向を前側と定め、「前」「後」「左」「右」等の方向を表す語を用いることとする。
【0025】
第1のコンベアレール11の底面11aは、平坦面とされ、コンベアレール11の左右方向Dの端部は上下方向に傾斜する傾斜面とされている。この傾斜面は、外方に向かうにつれて上方に傾斜している。この第1のコンベアレール11の材料としては、耐摩耗性、摺動性、剛性に優れるポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を混合した樹脂や、これらの樹脂をアロイ化した樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂に添加される添加剤等として、導電性や静電気消散性を付与するためのカーボンブラック、炭素繊維、金属繊維、導電性樹脂、各種の帯電防止剤等、剛性を出すものとして、ガラス繊維、ガラスフレーク等、摺動性を出すものとして、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらの添加剤等を適宜選択して上記樹脂に添加してもよい。
【0026】
このアダプタプレート13は、板状を成し、図2〜図7に示すように、その底面に第2のコンベアレール12が形成されている。アダプタプレート13は、第2のコンベアレール12の長手方向に沿って延在するアダプタプレート本体13aとこのアダプタプレート本体13aから突出し、容器本体2に固定される固定部14とを備えている。アダプタプレート13の材料としては、耐摩耗性、摺動性、剛性に優れるポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を混合した樹脂や、これらの樹脂をアロイ化した樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂に添加される添加剤等として、導電性や静電気消散性を付与するためのカーボンブラック、炭素繊維、金属繊維、導電性樹脂、各種の帯電防止剤等、剛性を出すものとして、ガラス繊維、ガラスフレーク等、摺動性を出すものとして、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらの添加剤等を適宜選択して上記樹脂に添加してもよい。
【0027】
アダプタプレート13の底面は、平坦面とされ、アダプタプレート13の後側の周縁に、第2のコンベアレール12が形成されている。第2のコンベアレール12の長手方向(容器本体2における左右方向D)の端部は上下方向に傾斜する傾斜面とされている。この傾斜面は、外方に向かうにつれて上方に傾斜している。
【0028】
なお、前後方向レール9、左右方向レール10の傾斜面の角度は、1度〜10度が好ましく、これにより、基板収納容器1がローラコンベアに乗り移る際に、スムーズに移行させることができる。また、前後方向レール9、左右方向レール10の底面(ローラコンベアとの接触面)の平坦度(容器本体2の高さ方向における最大値と最小値との差)は、0.8mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。前後方向レール9、左右方向レール10の底面の平坦度が0.8mmを超えた場合、コンベアによる搬送途中に、特にコンベアユニットの継目において基板収納容器が引っ掛かって止まったり、コンベア搬送時の振動により内部に収納された基板に、擦れによるパーティクルが生じたり損傷が生じる虞がある。前後方向レール9、左右方向レール10の底面の平坦度を0.8mm以下にすることで、基板収納容器1を円滑に搬送することができると共に、基板収納容器1の振動を防止して、パーティクルの発生、基板の損傷を防止することができる。
【0029】
また、アダプタプレート本体13aの長手方向における中央部13bは、長手方向の端部に比して細く形成されて、ボトムプレート7に対応する形状とされている。すなわち、アダプタプレート13を容器本体2に取り付けた状態で、第2のコンベアレール12は容器本体2の後方側に張り出して設置される。
【0030】
固定部14は、容器本体2のボトムプレート固定用ボス2dに装着される筒体14aを有している。この筒体14aはボトムプレート固定用ボス2dに嵌合するものであり、ボトムプレート固定用ボス2dの外径と筒体14aの内径とが対応する大きさとされている。また、図6〜図8に示すように、筒体14aの内周面14bには、内方に突出する複数(本実施形態では4本)の第1の位置調整用微小突起14cが設けられている。この第1の位置調整用微小突起14cは、筒体14aの軸線方向(上下方向)に沿って線状に形成されている。第1の位置調整用微小突起14cの突出量を変化させることで、ボトムプレート固定用ボス2dと筒体14aとの嵌めあいを容易に調整することができる。そのため、アダプタプレート13の位置ずれを防止して精度良く固定できるようになる。なお、図3及び図4において、第1の位置調整用微小突起14cの図示を省略している。
【0031】
また、筒体14aの容器本体2側(上側)の端面14dには、外方(上方)に向かって突出する複数(本実施形態では4個)の第2の位置調整用微小突起14eが形成されている。第2の位置調整用微小突起14eの突出量を変化させることで、容器本体2とアダプタプレート13との位置関係を容易に、しかも精度良く調整することができる。このように、アダプタプレート13の上下方向の位置が調整可能となるので、アダプタプレート13の撓み(変形)に応じて、アダプタプレート13の水平性の微調整もできるようになる。
【0032】
また、固定部14は、図3〜図8に示すように、ボトムプレート7の突出部7a(図3参照)に装着される大径円筒部14fを備えている。この大径円筒部14fは、筒体14aと同軸上に配置されている。大径円筒部14fの内面に、ボトムプレート7の突出部7aが収容される。また、大径円筒部14fの下端部には、切欠き部が設けられている。このため、基板収納容器1の洗浄後の乾燥を容易とすることが可能となる。また、切欠き部を通じて、洗浄液(例えば水)が移動しやすくなるため、洗浄効率を向上させることができる。
【0033】
また、アダプタプレート本体13aには、図3、図5〜図7に示すように、第2のコンベアレール12が形成された底面と反対側の面から外方(上方)に向かって突出する撓み防止用リブ17が複数形成されている。この撓み防止用リブ17は、側面視において山型を成している。複数の撓み防止用リブ17は、前後方向、左右方向に延在し、頂部18において互いに交差している。この頂部(受け部)18が容器本体2の底壁2cと接触する。これにより、撓み防止用リブ17によって、アダプタプレート13の撓み(変形)を防止してアダプタプレート13の位置ずれを防止することができる。
【0034】
そして、基板収納容器1は、図3に示すように、雄螺子8によって、容器本体2の底壁2cとボトムプレート7とが互いに連結されて固定されている。容器本体2のボトムプレート固定用ボス2dが、アダプタプレート13の筒体14aに挿入されて嵌合している。ボトムプレート7の突起部7aが、アダプタプレート13の大径円筒部14f内に収容されて、互いに当接している。アダプタプレート13の筒体14の上側の端面、撓み防止用リブ17の頂部18が容器本体2の底壁2cの外面に当接している。
【0035】
このような基板収納容器1では、容器本体2の前側に形成された第1のコンベアレール11と対となる第2のコンベアレール12が形成されたコンベアレール部材13を備えている。このアダプタプレート13を容器本体2に固定することで、容器本体2の前側に形成された第1のコンベアレール11と対になるように、第2のコンベアレール12が容器本体2の後側に配置されている。すなわち、アダプタプレート13を容器本体2の底部外面2cに取り付けることができるので、左右方向レール10を形成することができる。これにより、基板収納容器1を、ローラコンベア上に載置して、左右方向レール10に沿って容器本体2の左右方向に搬送することができる。このように、基板収納容器1は、前後方向レール9に加えて、左右方向レール10を備えているため、ローラコンベアを用いて、前後方向、左右方向に搬送することが可能とされている。従って、容器本体2の向きを変えるための方向転換装置を用いることなく、基板収納容器1の搬送方向を変えることができる。
【0036】
ここで、第2のコンベアレール12は、容器本体2の後方側に張り出して設置されている。また、既存のボトムプレート固定用ボス2dを利用してアダプタプレート13を固定しているため、アダプタプレート13を固定するための新たな部品を用いる必要がない。
【0037】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、本発明の基板収納容器による収納物を基板としているが、収納される基板は、半導体ウェハに限定されず、マスクガラスを始めとしたその他の基板でもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、ボトムプレート7を備える構成としているが、ボトムプレート7を備えない構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る基板収納容器を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す基板収納容器の底面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う容器本体、アダプタプレート及びボトムプレートの断面図である。
【図4】図2中のアダプタプレートの底面図である。
【図5】図4に示すアダプタプレートの側面図である。
【図6】図4に示すアダプタプレートの平面図である。
【図7】図4に示すアダプタプレートの斜視図である。
【図8】図4に示すアダプタプレートの固定部を拡大して示す平面図である。
【図9】従来の基板収納容器を示す底面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…基板収納容器、2…容器本体、2c…底壁(底部)、2d…ボトムプレート固定用ボス(ボトムプレート固定部)、3…開口部(開口)、7…ボトムプレート、11…第1のコンベアレール、12…第2のコンベアレール、13…アダプタプレート(コンベアレール部材)、14…固定部、14a…筒体、14b…筒体の内周面、14c…第1の位置調整用微小突起、14e…第2の位置調整用微小突起、17…撓み防止用リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し基板を収納する容器本体を備え、前記開口が形成された面を前面として、前記容器本体の前側に形成され、前記容器本体の左右方向に延びる第1のコンベアレールが前記容器本体の底部に形成された基板収納容器であって、
前記第1のコンベアレールと対となる第2のコンベアレールが形成されたコンベアレール部材を具備し、
前記コンベアレール部材は、
前記容器本体に固定される固定部を備え、
前記固定部によって前記容器本体に取り付けられ、前記第2のコンベアレールは前記容器本体の後側に配置されることを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記容器本体の底部外面側に設置されたボトムプレートを更に備え、
前記容器本体の底部外面には、前記ボトムプレートに向かって突出し前記ボトムプレートを固定するボトムプレート固定部が設置され、
前記コンベアレール部材の前記固定部は、前記ボトムプレート固定部に装着され、
前記第2のコンベアレールは、前記容器本体の後方側へ張り出して配置されることを特徴とする請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記固定部は、前記ボトムプレート固定部に固定される筒体を有し、
前記筒体の内周面には、内方に突出する第1の位置調整用突起が形成され、
前記筒体の前記容器本体側の端面には、外方に突出する第2の位置調整用突起が形成されていることを特徴とする請求項2記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記コンベアレール部材は、前記第2のコンベアレールが形成された面と反対側の面から外方に向かって突出する撓み防止用リブを更に備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の基板収納容器。
【請求項5】
開口を有し基板を収納する基板収納容器の容器本体の底部に取り付け可能とされ、前記開口が形成された面を前面として前記容器の左右方向に延びるコンベアレールが形成されたコンベアレール部材であって、
前記容器本体に固定される固定部を備え、
前記コンベアレールは、前記容器本体の後側に配置されることを特徴とするコンベアレール部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−34533(P2008−34533A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204903(P2006−204903)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】