基板収納容器及び逆止弁
【課題】締め付けトルクの管理の必要性が無く、組立作業の簡素化を図った逆止弁及び逆止弁を備えた基板収納容器を提供すること。
【解決手段】逆止弁8は、後端側に装着されハウジング11に対して相対回転可能とされると共に、ハウジング11を後方から容器本体2に固定する固定リング19を備えている。この固定リング19を後方から押し込むことで、ハウジング11を容易に固定することができる。このような固定リング19を備えることで、従前のようなねじによる結合部分を無くす。これにより、締め付けトルクの管理を不要とし、組立作業の簡素化を図ることができる。
【解決手段】逆止弁8は、後端側に装着されハウジング11に対して相対回転可能とされると共に、ハウジング11を後方から容器本体2に固定する固定リング19を備えている。この固定リング19を後方から押し込むことで、ハウジング11を容易に固定することができる。このような固定リング19を備えることで、従前のようなねじによる結合部分を無くす。これにより、締め付けトルクの管理を不要とし、組立作業の簡素化を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、及び基板収納容器に取付けられる逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体部品の微細化や配線の狭ピッチ化が進んでいる。このため、半導体ウェハ(精密基板)を収納する基板収納容器には、精密基板の汚染を防止するために高い密閉性と取扱いの自動化とが求められている。このような基板収納容器では、ガスパージの際に利用される逆止弁を備えたものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
図16は、従来の基板収納容器における逆止弁を示す分解斜視図である。図16に示すように、従来の基板収納容器では、基板を収納する容器本体の壁体51に貫通孔51aが形成され、この貫通孔51aに、ガスパージの際に利用される逆止弁52が装着されている。この逆止弁52は、円環状のシール面を有する弁体53と、この弁体53を収容する円筒状のハウジング54とを備えている。このハウジング54は、容器本体の内面側に配置される保持筒55と、容器本体の外面側に配置される固定筒56と有し、保持筒の55の外面側、固定筒56の内面側には、ねじ部55a、56aが形成されている。そして、壁体51を挟むように保持筒55及び固定筒56を配置し、互いに螺合することで、ハウジング54を形成させると共に壁体に固定している。
【特許文献1】特開2004−146676号公報
【特許文献2】特開2004−179449号公報
【特許文献3】特開2002−521189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の従来技術では、逆止弁の組立の際に保持筒55及び固定筒56を互いに螺合するため、組立作業が複雑であり、組立作業の簡素化が求められている。また、逆止弁は、ねじ結合によって、容器本体に取り付けられているため、締め付けトルクの管理を行う必要があり、この締め付けトルクの管理に手間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、締め付けトルクの管理の必要性が無く、組立作業の簡素化を図った逆止弁及び逆止弁を備えた基板収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による基板収納容器は、基板を収納する容器本体と、円筒状のハウジング及びハウジング内に配置された弁体を有し容器本体の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁とを備え、ハウジングが容器本体の貫通孔に装入される基板収納容器において、容器本体の内部側を先端側とし、逆止弁は、後端側に装着されハウジングに対して相対回転可能とされると共に、ハウジングを後方から容器本体に固定する固定リングを具備し、ハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、先端部が第1のハウジング内に挿入されて、第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、第1のハウジングは、後端部から後方へ突出する固定片と、固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、固定リングは、前記第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、前記側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、前記側壁部の内周面には、軸方向に延在し前記固定爪を案内する案内凹部と、内方に突出し前記固定片と当接可能とされた周り止め部と、前記周り止め部から周方向に屈曲され前記固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴としている。
【0007】
このような基板収納容器によれば、容器本体の内面側を先端側とし、容器本体の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁を具備し、この逆止弁のハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、後端側に配置される第2のハウジングとを備えている。更に、基板収納容器は、ハウジングの後方から装着されハウジングに対して相対回転可能とされ、逆止弁を容器本体に固定するための固定リングを備えている。これにより、固定リングによって、逆止弁を容器本体に固定することができるので、従前のようにねじによって固定する必要がなく、締め付けトルクの管理を行う必要がない。また、固定リングを第1のハウジングに固定するための固定片及び固定爪を備えているため、固定リングを押し込むことで、逆止弁を確実に容器本体に固定することができる。また、固定リングは、外方に突出するつば部を備えているため、このつば部を容器本体に当接させることで、逆止弁を安定して固定することが可能となる。また、固定リングは、第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部に、固定爪を軸方向に案内する案内凹部を備えているため、固定リングを円滑に第1のハウジングに装着することができ、組立作業を効率の向上が図られる。また、固定リングの側壁部の内周面には、内方に突出し固定片と当接可能とされた周り止め部と、周り止め部から周方向に屈曲され固定片に係止されるフック部とが設けられているため、固定リングを固定片に装着し固定リングをハウジングに対して回転させることで、固定リングのフック部をハウジングの固定片に係止させることができる。
【0008】
ここで、逆止弁は、第1のハウジングに対して第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、第1のハウジングに対して第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることが好ましい。これにより、位置決め部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して位置決めすることができ、係止部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止させることができる。そのため、第1のハウジング及び第2のハウジングの組立の際に、従前のようにねじ結合する必要がなく、組立作業の簡素化が図られる。
【0009】
また、第2のハウジングは、先端部側から折り返され第1のハウジングの内周面に全周にわたって当接する折り返しフランジ部を備え、係止部は、第1のハウジングの内周面に形成された係止凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され係止凹部に係合する係止突起とを有することが好ましい。これにより、第1のハウジングに対して、第2のハウジングを押し込むことで、第1のハウジングの内周面に形成された係止凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成された係止突起とを係合させることができる。従って、組立作業の簡素化を図ることが可能となる。
【0010】
また、位置決め部は、第1のハウジングの後端に形成された位置決め用凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され位置決め用凹部に係合する位置決め用凸部とを備えていることが好ましい。これにより、第1のハウジングの後端に形成された位置決め凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成された位置決め凸部とによって、第1のハウジングに対する第2のハウジングの位置決めを行うことができる。
【0011】
また、弁体は、円柱状を成し、環状のシール面が形成された一方の端部と、付勢手段によって付勢される環状の付勢面が形成された環状つば部と、気体の流通を可能とするガス抜き凹部が径方向に形成された他方の端部と備え、環状のシール面及び環状の付勢面は略同心とされ、環状の付勢面の外径は、環状のシール面の外径以上であることが好ましい。これにより、付勢手段によって付勢される環状の付勢面の外径が、弁体の環状のシール面の外径以上であるため、弁体の傾きを防止して確実に気体をシールすることができる。また、シール面が形成された一方の端部とは反対側の他方の端部に、気体の流通を可能とするガス抜き凹部が径方向に形成されているため、他方の端部が平坦面に接触した場合にあってもガス抜き凹部内における気体の流通が可能となる。従って、シール面と反対側で不要なシール面が形成されることがない。なお、付勢手段と環状つば部とが接触している部分が線状である場合、この線状の接触部分を付勢面とし、この線状の接触部分の径を「付勢面の外径」とする。
【0012】
また、本発明による逆止弁は、基板を収納する基板収納容器の容器本体の貫通孔に装入され、基板収納容器の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁において、容器本体の内部側を先端側とし、貫通孔に装着される円筒状のハウジングと、ハウジング内に収容された弁体と、ハウジングの後端側に装着されハウジングに対して相対回転可能とされると共に、ハウジングを後方から容器本体に固定する固定リングとを備え、ハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、先端部が第1のハウジング内に挿入されて、第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、第1のハウジングは、後端部から後方へ突出する固定片と、固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、固定リングは、第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、側壁部の内周面には、軸方向に延在し固定爪を案内する案内凹部と、内方に突出し固定片と当接可能とされた周り止め部と、周り止め部から周方向に屈曲され固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴としている。
【0013】
このような逆止弁によれば、容器本体の内面側を先端側とし、円筒状のハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、後端側に配置される第2のハウジングとを備えている。更に、逆止弁は、ハウジングの後方から装着されハウジングに対して相対回転可能とされハウジングを容器本体に固定するための固定リングを備えている。これにより、固定リングによって、逆止弁を容器本体に固定することができるので、従前のようにねじによって固定する必要がなく、締め付けトルクの管理を行う必要がない。また、固定リングを第1のハウジングに固定するための固定片及び固定爪を備えているため、逆止弁を確実に容器本体に固定することができる。また、固定リングは、外方に突出するつば部を備えているため、このつば部を容器本体に当接させることで、逆止弁を安定して固定することが可能となる。また、固定リングは、第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部に、固定爪を軸方向に案内する案内凹部を備えているため、固定リングを円滑に第1のハウジングに装着することができ、組立作業を効率の向上が図られる。また、固定リングの側壁部の内周面には、内方に突出し固定片と当接可能とされた周り止め部と、周り止め部から周方向に屈曲され固定片に係止されるフック部とが設けられているため、固定リングを固定片に装着し固定リングをハウジングに対して回転させることで、固定リングのフック部をハウジングの固定片に係止させることができる。
【0014】
ここで、逆止弁は、第1のハウジングに対して第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、第1のハウジングに対して第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることが好ましい。これにより、位置決め部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して位置決めすることができ、係止部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止させることができる。そのため、第1のハウジング及び第2のハウジングの組立の際に、従前のようにねじ結合する必要がなく、組立作業の簡素化が図られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、締め付けトルクの管理の必要性が無く、組立作業の簡素化が図られた逆止弁及び逆止弁を備えた基板収納容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による基板収納容器及び逆止弁の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の基板収納容器は、逆止弁として給気弁及び排気弁を備えている。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る給気弁及び排気弁を備えた基板収納容器を示す分解斜視図、図2は、図1に示す基板収納容器の底面図である。
【0017】
図1に示す基板収納容器1は、例えば口径が300mm(約12インチ)の半導体ウェハ(基板;不図示)を複数枚(例えば25、26枚)収容し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器である。この基板収納容器1は、いわゆるフロントオープンボックスタイプのものであり、基板を収納する容器本体2と、この容器本体2に設けられた開口部を覆う蓋体4とを備えている。また、本明細書において、開口部が形成された面(蓋体4が配置された面)を「容器本体2の前面」と定め、「前」「後」「左」「右」等の方向を表す語を用いることとする。
【0018】
容器本体2は箱型を成し、図示左側の面には基板を出し入れする開口部が形成されている。容器本体2の対向する一対の側壁2aの内面には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持する支持部が各々設けられている。また、容器本体2の底壁2cには、内外を貫通する複数(本実施形態では2つ)の貫通孔2dが形成されている(図3参照)。これらの貫通孔2dの周縁には、円筒形のリブ10が下方に突出するように形成されている。また、容器本体2の天板には、天井搬送用のロボティックハンドル2bが設置されている。
【0019】
蓋体4は、容器本体2と蓋体4との間を封止するシール用ガスケットを介して、開口部を閉鎖するものである。この蓋体4は、容器本体2の開口部に係止されるラッチ機構を内蔵している。蓋体4の正面側(基板収納容器の外面側)には、ラッチ機構を操作するための操作キーが挿入される操作孔4aが形成されている。この操作孔4aに操作キーを挿入して±90度回転させることで、ラッチ機構の係止爪を蓋体4から容器本体2側へと出没させることができる。操作キーを挿入し反時計回りに90度回転させ、ラッチ機構の係止爪を容器本体2側に突出し係止している位置から蓋体4側に没入させることで、蓋体4を容器本体2から取外し可能な状態とすることができる。一方、蓋体4を容器本体2に取り付ける場合には、係止爪が内部に没入した状態の蓋体4を容器本体2に取り付け、操作キーを時計回りに90度回転させ、ラッチ機構の係止爪を突出させることで、蓋体4を容器本体2に係止させることができる。また、蓋体4の背面側(基板収納容器の外面側)には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持するリテーナが設けられている。
【0020】
図2に示すように容器本体2の底壁2c(底部)の外面側には、ボトムプレート7が固定されている。このボトムプレート7は、底壁2cを外面側から覆うものであり、基板収納容器1が適用される加工装置等への位置決め行う位置決め部材7aを有している。また、ボトムプレート7には、給気弁8、排気弁9を外部に露出させる開口7bが形成されている。この開口7bは、容器本体2の貫通孔2dに対応する位置に形成されている。
【0021】
また、基板収納容器1は、上述したように、容器本体2の内外に対する気体の流通を制御する給気弁8及び排気弁9を備えている。これらの給気弁8及び排気弁9は、基板収納容器1内の気体を置換する際に利用されるものであり、給気弁8は、内部に気体を供給する際に利用される供給側開閉バルブとして機能し、排気弁9は、外部に気体を排出する際に利用される排出側開閉バルブとして機能するものである。
【0022】
次に、給気弁8及び排気弁9(以下、給気弁8及び排気弁9の両方を指す場合には、逆止弁8,9という。)について説明する。図3は、図1中の給気弁を示す分解斜視図、図4は、閉状態の給気弁を示す断面図、図5は、開状態の給気弁を示す断面図、図6は、図3中のハウジングの側面図、図7は、図6に示すハウジングの平面図、図8は、図6に示すハウジングの底面図、図9は、固定リングが係止された状態のハウジングを示す底面図、図10は、固定リングが係止されていない状態のハウジングを示す底面図、図11は、図3中の弁体を示す側面図、図12は、図1中の排気弁を示す分解斜視図、図13は、閉状態の排気弁を示す断面図、図14は、開状態の排気弁を示す断面図、図15は、図12中の弁体を示す側面図である。なお、給気弁8及び排気弁9の説明において、容器本体2の内面側を先端側とする。
【0023】
逆止弁8,9は、図3〜図6、図12〜図14に示すように、円筒状のハウジング11を具備している。このハウジング11は、先端側に配置されて底壁2cに固定される固定筒(第1のハウジング)12と、後端側に配置され弁体13,23を収納する弁体収納筒(第2のハウジング)14とを備えている。弁体収納筒14は、給気弁8では弁体13を収納し、排気弁9では弁体23を収納する。ハウジング11は、弁体13,23の他に、円形のフィルタ15、このフィルタ15を押さえるフィルタ押さえ16、弁体13,23を付勢する圧縮コイルばね(付勢手段)17、Oリング18,21を収納している。また、逆止弁8,9は、ハウジング11を容器本体2に固定するための固定リング19を備えている。なお、給気弁8と排気弁9とが異なる点は、弁体13,23が異なる点と、Oリング18、弁体13,23、圧縮コイルばね17の配置が逆になる点である。
【0024】
固定筒12は円筒状を成し、固定筒12の一方の端部(先端部)には、図7に示すように、格子状の窓枠12aによって囲繞された複数の窓が形成されている。この格子状の窓枠12aが形成された一方の端部が、容器本体2の内面側に配置される。給気弁8では、この窓を通って気体が容器本体2内に流入し、排気弁9では、この窓を通って気体が容器本体2外に流出する。また、固定筒12の一方の端部には、外方に突出するつば部12bが全周にわたって形成されている。
【0025】
また、固定筒12の円筒状の側壁12cの内周面には、図3、図6、図8及び図12に示すように、複数の係止凹部12dが形成されている。そして、この係止凹部12dが、弁体収納筒14の後述する係止突起(係止部)14bと係合する。また、側壁12cの外面には、つば部12bの根元に沿って、Oリング20を装着するための溝部12fが形成されている。
【0026】
また、固定筒12の側壁12cの他方の端部(後端部)には、複数の位置決め用凹部(切欠き)12eが形成されている。この位置決め凹部12eは、側壁12cの後端から前方へ凹むように形成されている。
【0027】
また、固定筒12の側壁12cの他方の端部には、後方へ突出する複数(本実施形態では4つ)の固定片12gが形成されている。この固定片12gは、周方向において等間隔で配置されている。さらに、この固定片12gの後端には、径方向の外方へ突出する固定爪12iが設けられている。固定片12gは可撓性を有し、固定爪12iは内方から固定リング19を係止するものである。
【0028】
フィルタ15は、固定筒12内の一方の端部側に配置され、容器本体2内への汚染物質の侵入を防止するものである。フィルタ15としては、例えば、四フッ化エチレン、ポリエステル繊維、多孔質テフロン膜(商品名、多孔質フッ素樹脂膜)、ガラス繊維等によって形成される分子濾過フィルタ、活性炭素繊維等の濾材に化学吸着剤を担持させたケミカルフィルタが挙げられる。なお、フィルタ15を1枚使用してもよく、複数枚使用してもよい。また、複数種類のフィルタ15を使用してもよい。例えば、分子濾過フィルタとケミカルフィルタとを組み合わせることによって、容器本体2内の基板のパーティクル汚染を防止することができ、加えて、有機ガスによる汚染を防止することができる。
【0029】
フィルタ押さえ16は、円盤部16aと、この円盤部16aから外方(後方)へ延びる円筒部16bとを有している。この円盤部16aは、フィルタ15と略同じ大きさとされ、フィルタ15を固定筒12の窓枠12aに対して内方から押さえつけるものである。また、円盤部16aと円筒部16bとは同軸上に配置され、円盤部16aにおける円筒部16bの付け根には、円盤部16aの板厚方向に貫通する複数の貫通孔16cが形成されている。そして、ハウジング11内を通過する気体は、貫通孔16cを通過する。なお、円筒部16bの内部は、閉じられ、気体の通過が不可能な構成とされている。
【0030】
弁体13,23は、図11及び図15に示すように、円柱状を成し、一方の端面13a,23aには、環状の溝部が形成されOリング18が装着されている。Oリング18は、弁体13,23に装着された状態において、弁体13,23の一方の端面13a,23aより外方に突出している。このOリング18によって、環状のシール面18aが形成される。弁体13,23の他方の端面13b,23bには、気体の流通を可能とするガス抜き凹部13c,23cが径方向に設けられている。
【0031】
また、弁体13,23の周面には、外方に突出する環状つば部13e,23eが形成されている。この環状つば部13e,23eの他方の端部13b,23b側の面が、圧縮コイルばね17によって付勢される環状の付勢面13f,23fを形成している。そして、弁体13,23、圧縮コイルばね17、Oリング18は、略同軸L上に配置され、環状の付勢面13f,23fの外径D1は、環状のシール面21aの外径D2より大きな径とされている。
【0032】
また、弁体13,23の周面には、環状つば部13e,23eに向かって突出するガイドリブ13g,23gが周方向において等間隔となるように複数設けられている。このガイドリブ13g,23gは、弁体13,23の周面及び環状つば部13eと交差するように形成され、側面視において、三角形を成し、他方の端部13b,23b側から環状つば部13e,23eに向かって径方向に大きくなるように設置されている。このガイドリブ13g,23gによって、圧縮コイルばね17を案内することができるため、圧縮コイルばね17を弁体13と同軸上に配置させ易くなる。
【0033】
また、弁体13には、円形の開口部13dが他方の端部13bから軸方向に延びるように形成されている。この開口部13dに、フィルタ押さえ16の円筒部16bが挿入される。一方、弁体23には、円形の開口部23dが一方の端部23aから軸方向に延びるように形成されている。この開口部23dに、フィルタ押さえ16の円筒部16bが挿入される。これらの弁体13,23は、フィルタ押さえ16の円筒部16bに装着されて、軸方向Lに摺動可能な構成とされている。
【0034】
弁体収納筒14は、円筒状を成し、弁体13,23を収容可能な大きさとされている。一方の端部の外側の周縁部には、図4〜図6、図14及び図15に示すように、Oリング21が装着される段差部が形成されている。また、弁体収納筒14は、一方の端部(先端部)から折り返され固定筒12の内周面に全周にわたって当接する折り返しフランジ部14aを有している。すなわち、折り返しフランジ部14aが固定筒12内に挿入されて、折り返しフランジ部14aの外周面が、固定筒12の側壁12cの内周面に当接する。
【0035】
また、折り返しフランジ部14aの外周面には、図6に示すように、固定筒12の係止凹部12dに対応する位置に係止突起14bが設けられている(図6参照)。この係止突起14bは、折り返しフランジ部14aから外方に突出し、係止凹部12dに係合可能な構成とされている。固定筒12の係止凹部12dと、弁体収納筒14の係止突起14bとによって、固定筒12に対して弁体収納筒14を係止させる本発明の係止部を構成している。
【0036】
また、折り返しフランジ部14aの後端部には、図8に示すように、固定筒12の位置決め用凹部12eに係合する位置決め凸部14cが設けられている。この位置決め凸部14cは、側面視においてL字状を成し、折り返しフランジ部14aの後端部から後方へ突出すると共にその後端から外方へ突出している。固定筒12の位置決め用凹部12eと、弁体収納筒14の位置決め凸部14cとによって、固定筒12に対して弁体収納筒14の位置決めを行う本発明の位置決め部を構成している。
【0037】
弁体収納筒14の他方の端部には、内方に突出するつば部14dが形成されている。このつば部14dの内面は、平坦面とされている。弁体収納筒14の他方の端部において、つば部14dにより囲鐃された開口部が、気体が通過する通気口14eとなる。給気弁8では、この通気口14eを通って気体がハウジング11内に流入し、排気弁9では、この通気口14eを通って気体がハウジング11外に流出する。
【0038】
固定リング19は、図3〜図5に示すように、円筒状の側壁部19aと、この側壁部19aの後端から外方へ突出するつば部19bとを有している。この側壁部19aの内径は、固定筒12の側壁12cの外径より少し大きくされ、側壁部19aは、固定筒12の側壁12cの外側に装着可能な構成とされている。この固定リング19は、後方から固定筒12に装着されるものである。
【0039】
側壁部19aの内面には、図9及び図10に示すように、固定リング19を固定筒12に装着する際に、固定爪12iを案内する案内凹部19cが形成されている。案内凹部19cは、固定爪12iに対応する位置で、軸方向に延在している。また、案内凹部19cは、固定リング19の後端近傍において、傾斜面を有している。この傾斜面は、後方に向かうにつれて、内方へ傾斜している。固定リング19を固定筒12に装着する際には、固定爪12iは、案内凹部19cによって、案内され、傾斜面と固定爪12iが接触することで、固定片12gが内方に撓む。固定爪12iが傾斜面を通過すると、固定爪12iが固定リング19の後端から突出した状態となり、固定片12gが復元される。このとき、固定リング19は、固定爪12iによって内方から係止された状態となり、固定リング19の後方への移動が拘束される。なお、図10において、案内凹部19cは、固定爪12iと重なる位置に配置されている。
【0040】
つば部19bは、図4及び図5に示すように、固定筒12のつば部12bと対向するように、全周にわたって形成されている。この固定リング19のつば部12bと固定筒12のつば部12bとが、容器本体2の底壁2c、リブ10を挟むことで、ハウジング11を容器本体2に固定することができる。
【0041】
また、固定リング19は、図9及び図10に示すように、内方に突出し、固定片12gと当接可能とされた周り止め部19dを有している。周り止め部19dは、板状を成し、固定筒12の固定片12gに対応するように複数設けられている。固定リング19を固定筒12に装着して、周方向(本実施形態では右方向)に回転させた場合に、固定片12gと周り止め部19dが当接して、固定リング19の周方向への移動を拘束させることができる。
【0042】
また、固定リング19は、周り止め部19dから周方向(本実施形態では左方向)に屈曲され固定片12gに係止されるフック部19eを有している。フック部19eは、板状を成し、周り止め部19dの端部から屈曲されて、周方向に延在している。フック部19eは、周方向において、固定片12gの幅に対応する大きさとされ、内方から固定片12を係止可能な突部を有している。固定リング19が固定筒12に係止された状態では、固定片12gは、径方向において、側壁部19aとフック部19eとによって挟まれ、周方向において、周り止め部19dとフック部19eとによって挟まれている。
【0043】
なお、逆止弁8,9の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアセタール、ポリエーテルイミド等の樹脂が挙げられ、これらの樹脂から適宜選択して、逆止弁8,9を形成することが好ましい。また、ハウジング11を構成する固定筒12及び弁体収納筒14は、内部状況を確認することができるように、透明な樹脂によって形成されることが好ましい。また、Oリング18,20,21の材質としては、例えば、メラミンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、圧縮コイルばね17の材質としては、ステンレスなどの金属、樹脂等が挙げられる。金属製の圧縮コイルばね17を適用する場合には、金属成分による容器本体2内の汚染を防止するために、金属の表面に、PEEKなどの樹脂成分を用いたコーティング、エラストマー成分を用いたコーティング、ダイヤモンドライクコーティングなどを施工することが好ましい。
【0044】
次に、このように構成された基板収納容器1の給気弁8、排気弁9の組立について説明する。まず、固定筒12の他方の端部側(固定爪12i側)が上方を向くようにし、固定筒12内に、フィルタ15、フィルタ押さえ16を挿入する。
【0045】
次に、給気弁8では、圧縮コイルばね17、Oリング18が装着された弁体13をフィルタ押さえ16上に配置する。具体的には、圧縮コイルばね17をフィルタ押さえ16と弁体13との間に配置し、弁体13の開口部13d内に、フィルタ押さえ16の円筒部16bを挿入させる。
【0046】
一方、排気弁9では、Oリング18が装着された弁体23、圧縮コイルばね17をフィルタ押さえ16上に配置する。具体的には、弁体23の開口部23d内に、フィルタ押さえ16の円筒部16bを挿入させ、圧縮コイルばね17を弁体23の他方の端部23b側から装着する。
【0047】
次に、Oリング21が装着された弁体収納筒14を準備し、固定筒12に装着する。具体的には、図6に示すように、弁体収納筒14の位置決め凸部14cを固定筒12の位置決め用凹部12eに合わせて、弁体収納筒14を固定筒12に押し込んで、固定筒12の係止凹部12dに、弁体収納筒14の係止突起14bを嵌める。弁体収納筒14の折り返しフランジ14aの外周面が、固定筒12の側壁12cの内周面に当接した状態となる。また、フィルタ15、フィルタ押さえ16の円盤部16aは、弁体収納筒14の一方の端部によって、固定筒12の窓枠12aに押し付けられて固定される。
【0048】
給気弁8では、図4に示すように、圧縮コイルばね17の一方の端部がフィルタ押さえ16の円盤部16aに当接し、圧縮コイルばね17の他方の端部が弁体13の環状つば部13bに当接した状態となっている。そして、弁体13は、圧縮コイルばね17によって付勢され、弁体13に装着されたOリング18が弁体収納筒14のつば部14dの内面に押し当てられている。Oリング18によるシール面は、弁体収納筒14の通気口14eを囲繞するように、通気口14eの外径よりも大きく形成されている。これにより、容器本体2の密閉状態を維持することができる。
【0049】
一方、排気弁9では、図13に示すように、圧縮コイルばね17の一方の端部が弁体23の環状つば部23bに当接し、圧縮コイルばね17の他方の端部が弁体収納筒14のつば部14dの内面に当接した状態となっている。そして、弁体23は、圧縮コイルばね17によって付勢され、弁体23に装着されたOリング18がフィルタ押さえ16の円盤部16bに押し当てられている。Oリング18によるシール面は、フィルタ押さえ16の複数の貫通孔16cの外側を囲繞するように、複数の貫通孔16cの外側よりも大きく形成されている。これにより、容器本体2の密閉状態を維持することができる。
【0050】
ここで、排気弁9の通気口14eを、給気弁8の通気口14eよりも大きく形成しておくことができる。これにより、給気弁8と排気弁9との区別が容易となる。また、通気口14eがシール面により閉鎖されない排気弁9では、洗浄時に弁体収納筒14内に洗浄液が浸入するので、通気口14eを大きくしておくことで洗浄後の水切りや乾燥効率を向上させることができる。
【0051】
次に、ハウジング11の容器本体2へ固定について説明する。まず、図4、図5、図13及び図14に示すように、Oリング20を固定筒12の溝部12fに装着する。次に、固定筒12を容器本体2の底壁2cの貫通孔2dに装着する。具体的には、固定筒12の他方の端部を、容器本体2の内面側から貫通孔2dに挿入する。そして、固定筒12のつば部12を、貫通孔2dの周縁に当接させる。このとき、固定筒12の固定爪12iは、リブ10より外方に突出した状態となっている。
【0052】
次に、固定リング19を容器本体2の外面側から固定筒12の固定爪12iに装着する。具体的には、図10に示すように、固定リング19の案内凹部19cを固定筒12の固定爪12iに対応する位置に配置し、固定リング19を固定筒12に対して押し込む。固定爪12iは、案内凹部19cによって案内されて、固定リング19のつば部19bの内側の周縁に係合する。次に、固定リング19を固定筒12に対して相対回転させて、固定筒12の固定片12gを固定リング19の周り止め部19dに当接させる。この状態で、固定リング19のフック部19eが固定片12gに係止され、固定リング19の移動が拘束される。そして、固定リング19のつば部19bがリブ10の端部に当接した状態となる。すなわち、固定筒12のつば部12bと固定リング19のつば部19bとによって、容器本体2の底壁2cおよびリブ10を挟むようにして、ハウジング11は、容器本体2確実に固定される。このように、固定リング19を用いて、ハウジング11を容器本体2に固定しているため、従前のようにねじによって固定する必要がなく、締め付けトルクの管理を行う必要がなくされている。
【0053】
次に、給気弁8の動作について説明する。平常時において、給気弁8は、図4に示すように、弁体13が弁体収納筒14のつば部14dに押し付けられて、閉状態となっている。そして、容器本体2内に気体を供給する際には、気体の圧力によって、弁体13が圧縮コイルばね17に抗して移動し、図5に示すように、給気弁8は開状態となる。容器本体2内に供給される気体は、通気口14eを通ってハウジング11内に流入し、フィルタ押さえ16の貫通孔16c、フィルタ15を通過する。フィルタ15によって不純物が除去された気体は、固定筒12の窓を通過して、容器本体2内に供給される。供給される気体の圧力が低下すると、弁体13は、圧縮コイルばね17によって付勢されて移動し、給気弁8は閉状態になる。
【0054】
次に、排気弁9の動作について説明する。平常時において、排気弁9は、図13に示すように、弁体23がフィルタ押さえ16の円盤部16aに押し付けられて、閉状態となっている。そして、容器本体2外に気体を排出する際には、気体の圧力によって、弁体23が圧縮コイルばね17に抗して移動し、図14に示すように、排気弁9は開状態となる。容器本体2外に排出される気体は、固定筒12の窓を通って、フィルタ15、フィルタ押さえ16の貫通孔16cを通過する。貫通孔16cを通過した気体は、弁体収納筒14内に流入し、通気口14eを通って排出される。容器本体2内の気体の圧力が低下すると、弁体23は、圧縮コイルばね17によって付勢されて移動し、排気弁9は閉状態になる。
【0055】
このような基板収納容器1では、給気弁8及び排気弁9を備えているため、好適にガスパージを行うことができる。また、給気弁8及び排気弁9のハウジング11は、固定筒12と弁体収納筒14とを備え、これらの固定筒12及び弁体収納筒14は、位置決め用凹部12e及び位置決め凸部14cを有している。このため、固定筒12に対する弁体収納筒14の位置決めを容易に行うことができ、効率良く給気弁8及び排気弁9を組み立てることができる。また、固定筒12及び弁体収納筒14は、係止凹部12d及び係止突起14bを備えているため、弁体収納筒14を固定筒12に対して係止させることができる。
これにより、従前のようにねじによってハウジング11を結合する必要がない。また、基板収納容器1の給気弁8及び排気弁9は、固定リング19を用いて、ハウジング11を容器本体2に固定することができるので、従前のようにねじによって固定する必要がない。従って、従前のようにねじ結合する必要がないので、締め付けトルクの管理を行う必要がない。その結果、組立作業の簡素化が図られている。
【0056】
また、固定筒12は、固定リング19を固定するための固定片12g及び固定爪12iを備えているため、固定リング19確実に固定筒12に固定することができる。また、固定リング19は、外方に突出するつば部19bを備えているため、つば部19bを容器本体2の貫通孔2dの周縁に当接させることで、ハウジング11が安定して容器本体2に固定されている。また、固定リング19の側壁部19aの内周面には、固定爪12iの移動を案内する案内凹部19cが設けられているため、固定リング19をスムーズに固定筒12に装着することができる。これにより、組立作業の効率を一層向上させることができる。また、固定リング19の側壁部19aの内周面には、内方に突出し固定片12gと当接可能とされた周り止め部19eと、周り止め部19eから周方向に屈曲され固定片12gに係止されるフック部19eとが設けられているため、固定リング19を固定片12gに装着し固定リング19を固定筒12に対して回転させることで、固定リング19のフック部19eを固定筒12の固定片12gに係止させることが可能とされている。
【0057】
また、圧縮コイルばね17によって付勢される環状の付勢面13f,23fの外径D1が、弁体13,23の環状のシール面18aの外径D2より大きいため、弁体13,23の傾きを防止して確実に気体をシールすることができる。また、シール面18aが形成された一方の端部13a,23aとは反対側の他方の端部13b,23bに、気体の流通を可能とするガス抜き凹部13c,23cが径方向に形成されているため、他方の端部13bとフィルタ押さえ16の円盤部16aとが接触した場合、他方の端部23bと弁体収納筒14のつば部14bとが接触した場合にあっても、ガス抜き凹部13c,23cによって、気体を流通させることができる。従って、シール面18aと反対側で不要なシール面が形成されることを防止することができる。
【0058】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、本発明の基板収納容器による収納物を基板としているが、収納される基板は、半導体ウェハに限定されず、マスクガラスを始めとしたその他の基板でもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、ボトムプレート7を備える構成としているが、ボトムプレート7を備えない構成でもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、付勢手段として圧縮コイルばね17を用いているが、例えば、板ばねや、各種熱可塑性エラストマーを始めとした各種ゴムを用いても良い。なお、板ばねの材質としては、ステンレスや樹脂等が挙げられる。
【0061】
また、上記実施形態では、環状の付勢面の外径D1が環状のシール面18aの外径D2より大きくなっているが、付勢面の外径D1がシール面の外径D2より小さくてもよい。ただし、付勢面の外径D1がシール面の外径D2以上であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る給気弁及び排気弁を備えた基板収納容器を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す基板収納容器の底面図である。
【図3】図1中の給気弁を示す分解斜視図である。
【図4】閉状態の給気弁を示す断面図である。
【図5】開状態の給気弁を示す断面図である。
【図6】図3中のハウジングの側面図である。
【図7】図6に示すハウジングの平面図である。
【図8】図6に示すハウジングの底面図である。
【図9】固定リングが係止された状態のハウジングを示す底面図である。
【図10】固定リングが係止されていない状態のハウジングを示す底面図である。
【図11】図3中の弁体を示す側面図である。
【図12】図1中の排気弁を示す分解斜視図である。
【図13】閉状態の排気弁を示す断面図である。
【図14】開状態の排気弁を示す断面図である。
【図15】図12中の弁体を示す側面図である。
【図16】従来の基板収納容器における逆止弁を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1…基板収納容器、2…容器本体、2d…容器本体の貫通孔、8…給気弁(逆止弁)、9…排気弁(逆止弁)、11…ハウジング、12…固定筒(第1のハウジング)、12d…係止凹部(係止部)、12e…位置決め用凹部(位置決め部)、12g…固定片、12i…固定爪、13,23…弁体、13a,23a…弁体の一方の端部、13b,23b…弁体の他方の端部、13c,23c…ガス抜き凹部、13e,23e…環状つば部、13f,23f…付勢面、14…弁体収納筒(第2のハウジング)、14a…折り返しフランジ部、14b…係止突起(係止部)、14c…位置決め凸部(位置決め部)、17…圧縮コイルばね(付勢手段)、18a…環状のシール面、19…固定リング、19a…側壁部、19b…つば部、19c…案内凹部、19d…周り止め部、19e…フック部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、及び基板収納容器に取付けられる逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体部品の微細化や配線の狭ピッチ化が進んでいる。このため、半導体ウェハ(精密基板)を収納する基板収納容器には、精密基板の汚染を防止するために高い密閉性と取扱いの自動化とが求められている。このような基板収納容器では、ガスパージの際に利用される逆止弁を備えたものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
図16は、従来の基板収納容器における逆止弁を示す分解斜視図である。図16に示すように、従来の基板収納容器では、基板を収納する容器本体の壁体51に貫通孔51aが形成され、この貫通孔51aに、ガスパージの際に利用される逆止弁52が装着されている。この逆止弁52は、円環状のシール面を有する弁体53と、この弁体53を収容する円筒状のハウジング54とを備えている。このハウジング54は、容器本体の内面側に配置される保持筒55と、容器本体の外面側に配置される固定筒56と有し、保持筒の55の外面側、固定筒56の内面側には、ねじ部55a、56aが形成されている。そして、壁体51を挟むように保持筒55及び固定筒56を配置し、互いに螺合することで、ハウジング54を形成させると共に壁体に固定している。
【特許文献1】特開2004−146676号公報
【特許文献2】特開2004−179449号公報
【特許文献3】特開2002−521189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の従来技術では、逆止弁の組立の際に保持筒55及び固定筒56を互いに螺合するため、組立作業が複雑であり、組立作業の簡素化が求められている。また、逆止弁は、ねじ結合によって、容器本体に取り付けられているため、締め付けトルクの管理を行う必要があり、この締め付けトルクの管理に手間が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、締め付けトルクの管理の必要性が無く、組立作業の簡素化を図った逆止弁及び逆止弁を備えた基板収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による基板収納容器は、基板を収納する容器本体と、円筒状のハウジング及びハウジング内に配置された弁体を有し容器本体の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁とを備え、ハウジングが容器本体の貫通孔に装入される基板収納容器において、容器本体の内部側を先端側とし、逆止弁は、後端側に装着されハウジングに対して相対回転可能とされると共に、ハウジングを後方から容器本体に固定する固定リングを具備し、ハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、先端部が第1のハウジング内に挿入されて、第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、第1のハウジングは、後端部から後方へ突出する固定片と、固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、固定リングは、前記第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、前記側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、前記側壁部の内周面には、軸方向に延在し前記固定爪を案内する案内凹部と、内方に突出し前記固定片と当接可能とされた周り止め部と、前記周り止め部から周方向に屈曲され前記固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴としている。
【0007】
このような基板収納容器によれば、容器本体の内面側を先端側とし、容器本体の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁を具備し、この逆止弁のハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、後端側に配置される第2のハウジングとを備えている。更に、基板収納容器は、ハウジングの後方から装着されハウジングに対して相対回転可能とされ、逆止弁を容器本体に固定するための固定リングを備えている。これにより、固定リングによって、逆止弁を容器本体に固定することができるので、従前のようにねじによって固定する必要がなく、締め付けトルクの管理を行う必要がない。また、固定リングを第1のハウジングに固定するための固定片及び固定爪を備えているため、固定リングを押し込むことで、逆止弁を確実に容器本体に固定することができる。また、固定リングは、外方に突出するつば部を備えているため、このつば部を容器本体に当接させることで、逆止弁を安定して固定することが可能となる。また、固定リングは、第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部に、固定爪を軸方向に案内する案内凹部を備えているため、固定リングを円滑に第1のハウジングに装着することができ、組立作業を効率の向上が図られる。また、固定リングの側壁部の内周面には、内方に突出し固定片と当接可能とされた周り止め部と、周り止め部から周方向に屈曲され固定片に係止されるフック部とが設けられているため、固定リングを固定片に装着し固定リングをハウジングに対して回転させることで、固定リングのフック部をハウジングの固定片に係止させることができる。
【0008】
ここで、逆止弁は、第1のハウジングに対して第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、第1のハウジングに対して第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることが好ましい。これにより、位置決め部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して位置決めすることができ、係止部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止させることができる。そのため、第1のハウジング及び第2のハウジングの組立の際に、従前のようにねじ結合する必要がなく、組立作業の簡素化が図られる。
【0009】
また、第2のハウジングは、先端部側から折り返され第1のハウジングの内周面に全周にわたって当接する折り返しフランジ部を備え、係止部は、第1のハウジングの内周面に形成された係止凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され係止凹部に係合する係止突起とを有することが好ましい。これにより、第1のハウジングに対して、第2のハウジングを押し込むことで、第1のハウジングの内周面に形成された係止凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成された係止突起とを係合させることができる。従って、組立作業の簡素化を図ることが可能となる。
【0010】
また、位置決め部は、第1のハウジングの後端に形成された位置決め用凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され位置決め用凹部に係合する位置決め用凸部とを備えていることが好ましい。これにより、第1のハウジングの後端に形成された位置決め凹部と、第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成された位置決め凸部とによって、第1のハウジングに対する第2のハウジングの位置決めを行うことができる。
【0011】
また、弁体は、円柱状を成し、環状のシール面が形成された一方の端部と、付勢手段によって付勢される環状の付勢面が形成された環状つば部と、気体の流通を可能とするガス抜き凹部が径方向に形成された他方の端部と備え、環状のシール面及び環状の付勢面は略同心とされ、環状の付勢面の外径は、環状のシール面の外径以上であることが好ましい。これにより、付勢手段によって付勢される環状の付勢面の外径が、弁体の環状のシール面の外径以上であるため、弁体の傾きを防止して確実に気体をシールすることができる。また、シール面が形成された一方の端部とは反対側の他方の端部に、気体の流通を可能とするガス抜き凹部が径方向に形成されているため、他方の端部が平坦面に接触した場合にあってもガス抜き凹部内における気体の流通が可能となる。従って、シール面と反対側で不要なシール面が形成されることがない。なお、付勢手段と環状つば部とが接触している部分が線状である場合、この線状の接触部分を付勢面とし、この線状の接触部分の径を「付勢面の外径」とする。
【0012】
また、本発明による逆止弁は、基板を収納する基板収納容器の容器本体の貫通孔に装入され、基板収納容器の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁において、容器本体の内部側を先端側とし、貫通孔に装着される円筒状のハウジングと、ハウジング内に収容された弁体と、ハウジングの後端側に装着されハウジングに対して相対回転可能とされると共に、ハウジングを後方から容器本体に固定する固定リングとを備え、ハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、先端部が第1のハウジング内に挿入されて、第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、第1のハウジングは、後端部から後方へ突出する固定片と、固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、固定リングは、第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、側壁部の内周面には、軸方向に延在し固定爪を案内する案内凹部と、内方に突出し固定片と当接可能とされた周り止め部と、周り止め部から周方向に屈曲され固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴としている。
【0013】
このような逆止弁によれば、容器本体の内面側を先端側とし、円筒状のハウジングは、先端側に配置される第1のハウジングと、後端側に配置される第2のハウジングとを備えている。更に、逆止弁は、ハウジングの後方から装着されハウジングに対して相対回転可能とされハウジングを容器本体に固定するための固定リングを備えている。これにより、固定リングによって、逆止弁を容器本体に固定することができるので、従前のようにねじによって固定する必要がなく、締め付けトルクの管理を行う必要がない。また、固定リングを第1のハウジングに固定するための固定片及び固定爪を備えているため、逆止弁を確実に容器本体に固定することができる。また、固定リングは、外方に突出するつば部を備えているため、このつば部を容器本体に当接させることで、逆止弁を安定して固定することが可能となる。また、固定リングは、第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部に、固定爪を軸方向に案内する案内凹部を備えているため、固定リングを円滑に第1のハウジングに装着することができ、組立作業を効率の向上が図られる。また、固定リングの側壁部の内周面には、内方に突出し固定片と当接可能とされた周り止め部と、周り止め部から周方向に屈曲され固定片に係止されるフック部とが設けられているため、固定リングを固定片に装着し固定リングをハウジングに対して回転させることで、固定リングのフック部をハウジングの固定片に係止させることができる。
【0014】
ここで、逆止弁は、第1のハウジングに対して第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、第1のハウジングに対して第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることが好ましい。これにより、位置決め部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して位置決めすることができ、係止部によって第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止させることができる。そのため、第1のハウジング及び第2のハウジングの組立の際に、従前のようにねじ結合する必要がなく、組立作業の簡素化が図られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、締め付けトルクの管理の必要性が無く、組立作業の簡素化が図られた逆止弁及び逆止弁を備えた基板収納容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による基板収納容器及び逆止弁の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の基板収納容器は、逆止弁として給気弁及び排気弁を備えている。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る給気弁及び排気弁を備えた基板収納容器を示す分解斜視図、図2は、図1に示す基板収納容器の底面図である。
【0017】
図1に示す基板収納容器1は、例えば口径が300mm(約12インチ)の半導体ウェハ(基板;不図示)を複数枚(例えば25、26枚)収容し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器である。この基板収納容器1は、いわゆるフロントオープンボックスタイプのものであり、基板を収納する容器本体2と、この容器本体2に設けられた開口部を覆う蓋体4とを備えている。また、本明細書において、開口部が形成された面(蓋体4が配置された面)を「容器本体2の前面」と定め、「前」「後」「左」「右」等の方向を表す語を用いることとする。
【0018】
容器本体2は箱型を成し、図示左側の面には基板を出し入れする開口部が形成されている。容器本体2の対向する一対の側壁2aの内面には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持する支持部が各々設けられている。また、容器本体2の底壁2cには、内外を貫通する複数(本実施形態では2つ)の貫通孔2dが形成されている(図3参照)。これらの貫通孔2dの周縁には、円筒形のリブ10が下方に突出するように形成されている。また、容器本体2の天板には、天井搬送用のロボティックハンドル2bが設置されている。
【0019】
蓋体4は、容器本体2と蓋体4との間を封止するシール用ガスケットを介して、開口部を閉鎖するものである。この蓋体4は、容器本体2の開口部に係止されるラッチ機構を内蔵している。蓋体4の正面側(基板収納容器の外面側)には、ラッチ機構を操作するための操作キーが挿入される操作孔4aが形成されている。この操作孔4aに操作キーを挿入して±90度回転させることで、ラッチ機構の係止爪を蓋体4から容器本体2側へと出没させることができる。操作キーを挿入し反時計回りに90度回転させ、ラッチ機構の係止爪を容器本体2側に突出し係止している位置から蓋体4側に没入させることで、蓋体4を容器本体2から取外し可能な状態とすることができる。一方、蓋体4を容器本体2に取り付ける場合には、係止爪が内部に没入した状態の蓋体4を容器本体2に取り付け、操作キーを時計回りに90度回転させ、ラッチ機構の係止爪を突出させることで、蓋体4を容器本体2に係止させることができる。また、蓋体4の背面側(基板収納容器の外面側)には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持するリテーナが設けられている。
【0020】
図2に示すように容器本体2の底壁2c(底部)の外面側には、ボトムプレート7が固定されている。このボトムプレート7は、底壁2cを外面側から覆うものであり、基板収納容器1が適用される加工装置等への位置決め行う位置決め部材7aを有している。また、ボトムプレート7には、給気弁8、排気弁9を外部に露出させる開口7bが形成されている。この開口7bは、容器本体2の貫通孔2dに対応する位置に形成されている。
【0021】
また、基板収納容器1は、上述したように、容器本体2の内外に対する気体の流通を制御する給気弁8及び排気弁9を備えている。これらの給気弁8及び排気弁9は、基板収納容器1内の気体を置換する際に利用されるものであり、給気弁8は、内部に気体を供給する際に利用される供給側開閉バルブとして機能し、排気弁9は、外部に気体を排出する際に利用される排出側開閉バルブとして機能するものである。
【0022】
次に、給気弁8及び排気弁9(以下、給気弁8及び排気弁9の両方を指す場合には、逆止弁8,9という。)について説明する。図3は、図1中の給気弁を示す分解斜視図、図4は、閉状態の給気弁を示す断面図、図5は、開状態の給気弁を示す断面図、図6は、図3中のハウジングの側面図、図7は、図6に示すハウジングの平面図、図8は、図6に示すハウジングの底面図、図9は、固定リングが係止された状態のハウジングを示す底面図、図10は、固定リングが係止されていない状態のハウジングを示す底面図、図11は、図3中の弁体を示す側面図、図12は、図1中の排気弁を示す分解斜視図、図13は、閉状態の排気弁を示す断面図、図14は、開状態の排気弁を示す断面図、図15は、図12中の弁体を示す側面図である。なお、給気弁8及び排気弁9の説明において、容器本体2の内面側を先端側とする。
【0023】
逆止弁8,9は、図3〜図6、図12〜図14に示すように、円筒状のハウジング11を具備している。このハウジング11は、先端側に配置されて底壁2cに固定される固定筒(第1のハウジング)12と、後端側に配置され弁体13,23を収納する弁体収納筒(第2のハウジング)14とを備えている。弁体収納筒14は、給気弁8では弁体13を収納し、排気弁9では弁体23を収納する。ハウジング11は、弁体13,23の他に、円形のフィルタ15、このフィルタ15を押さえるフィルタ押さえ16、弁体13,23を付勢する圧縮コイルばね(付勢手段)17、Oリング18,21を収納している。また、逆止弁8,9は、ハウジング11を容器本体2に固定するための固定リング19を備えている。なお、給気弁8と排気弁9とが異なる点は、弁体13,23が異なる点と、Oリング18、弁体13,23、圧縮コイルばね17の配置が逆になる点である。
【0024】
固定筒12は円筒状を成し、固定筒12の一方の端部(先端部)には、図7に示すように、格子状の窓枠12aによって囲繞された複数の窓が形成されている。この格子状の窓枠12aが形成された一方の端部が、容器本体2の内面側に配置される。給気弁8では、この窓を通って気体が容器本体2内に流入し、排気弁9では、この窓を通って気体が容器本体2外に流出する。また、固定筒12の一方の端部には、外方に突出するつば部12bが全周にわたって形成されている。
【0025】
また、固定筒12の円筒状の側壁12cの内周面には、図3、図6、図8及び図12に示すように、複数の係止凹部12dが形成されている。そして、この係止凹部12dが、弁体収納筒14の後述する係止突起(係止部)14bと係合する。また、側壁12cの外面には、つば部12bの根元に沿って、Oリング20を装着するための溝部12fが形成されている。
【0026】
また、固定筒12の側壁12cの他方の端部(後端部)には、複数の位置決め用凹部(切欠き)12eが形成されている。この位置決め凹部12eは、側壁12cの後端から前方へ凹むように形成されている。
【0027】
また、固定筒12の側壁12cの他方の端部には、後方へ突出する複数(本実施形態では4つ)の固定片12gが形成されている。この固定片12gは、周方向において等間隔で配置されている。さらに、この固定片12gの後端には、径方向の外方へ突出する固定爪12iが設けられている。固定片12gは可撓性を有し、固定爪12iは内方から固定リング19を係止するものである。
【0028】
フィルタ15は、固定筒12内の一方の端部側に配置され、容器本体2内への汚染物質の侵入を防止するものである。フィルタ15としては、例えば、四フッ化エチレン、ポリエステル繊維、多孔質テフロン膜(商品名、多孔質フッ素樹脂膜)、ガラス繊維等によって形成される分子濾過フィルタ、活性炭素繊維等の濾材に化学吸着剤を担持させたケミカルフィルタが挙げられる。なお、フィルタ15を1枚使用してもよく、複数枚使用してもよい。また、複数種類のフィルタ15を使用してもよい。例えば、分子濾過フィルタとケミカルフィルタとを組み合わせることによって、容器本体2内の基板のパーティクル汚染を防止することができ、加えて、有機ガスによる汚染を防止することができる。
【0029】
フィルタ押さえ16は、円盤部16aと、この円盤部16aから外方(後方)へ延びる円筒部16bとを有している。この円盤部16aは、フィルタ15と略同じ大きさとされ、フィルタ15を固定筒12の窓枠12aに対して内方から押さえつけるものである。また、円盤部16aと円筒部16bとは同軸上に配置され、円盤部16aにおける円筒部16bの付け根には、円盤部16aの板厚方向に貫通する複数の貫通孔16cが形成されている。そして、ハウジング11内を通過する気体は、貫通孔16cを通過する。なお、円筒部16bの内部は、閉じられ、気体の通過が不可能な構成とされている。
【0030】
弁体13,23は、図11及び図15に示すように、円柱状を成し、一方の端面13a,23aには、環状の溝部が形成されOリング18が装着されている。Oリング18は、弁体13,23に装着された状態において、弁体13,23の一方の端面13a,23aより外方に突出している。このOリング18によって、環状のシール面18aが形成される。弁体13,23の他方の端面13b,23bには、気体の流通を可能とするガス抜き凹部13c,23cが径方向に設けられている。
【0031】
また、弁体13,23の周面には、外方に突出する環状つば部13e,23eが形成されている。この環状つば部13e,23eの他方の端部13b,23b側の面が、圧縮コイルばね17によって付勢される環状の付勢面13f,23fを形成している。そして、弁体13,23、圧縮コイルばね17、Oリング18は、略同軸L上に配置され、環状の付勢面13f,23fの外径D1は、環状のシール面21aの外径D2より大きな径とされている。
【0032】
また、弁体13,23の周面には、環状つば部13e,23eに向かって突出するガイドリブ13g,23gが周方向において等間隔となるように複数設けられている。このガイドリブ13g,23gは、弁体13,23の周面及び環状つば部13eと交差するように形成され、側面視において、三角形を成し、他方の端部13b,23b側から環状つば部13e,23eに向かって径方向に大きくなるように設置されている。このガイドリブ13g,23gによって、圧縮コイルばね17を案内することができるため、圧縮コイルばね17を弁体13と同軸上に配置させ易くなる。
【0033】
また、弁体13には、円形の開口部13dが他方の端部13bから軸方向に延びるように形成されている。この開口部13dに、フィルタ押さえ16の円筒部16bが挿入される。一方、弁体23には、円形の開口部23dが一方の端部23aから軸方向に延びるように形成されている。この開口部23dに、フィルタ押さえ16の円筒部16bが挿入される。これらの弁体13,23は、フィルタ押さえ16の円筒部16bに装着されて、軸方向Lに摺動可能な構成とされている。
【0034】
弁体収納筒14は、円筒状を成し、弁体13,23を収容可能な大きさとされている。一方の端部の外側の周縁部には、図4〜図6、図14及び図15に示すように、Oリング21が装着される段差部が形成されている。また、弁体収納筒14は、一方の端部(先端部)から折り返され固定筒12の内周面に全周にわたって当接する折り返しフランジ部14aを有している。すなわち、折り返しフランジ部14aが固定筒12内に挿入されて、折り返しフランジ部14aの外周面が、固定筒12の側壁12cの内周面に当接する。
【0035】
また、折り返しフランジ部14aの外周面には、図6に示すように、固定筒12の係止凹部12dに対応する位置に係止突起14bが設けられている(図6参照)。この係止突起14bは、折り返しフランジ部14aから外方に突出し、係止凹部12dに係合可能な構成とされている。固定筒12の係止凹部12dと、弁体収納筒14の係止突起14bとによって、固定筒12に対して弁体収納筒14を係止させる本発明の係止部を構成している。
【0036】
また、折り返しフランジ部14aの後端部には、図8に示すように、固定筒12の位置決め用凹部12eに係合する位置決め凸部14cが設けられている。この位置決め凸部14cは、側面視においてL字状を成し、折り返しフランジ部14aの後端部から後方へ突出すると共にその後端から外方へ突出している。固定筒12の位置決め用凹部12eと、弁体収納筒14の位置決め凸部14cとによって、固定筒12に対して弁体収納筒14の位置決めを行う本発明の位置決め部を構成している。
【0037】
弁体収納筒14の他方の端部には、内方に突出するつば部14dが形成されている。このつば部14dの内面は、平坦面とされている。弁体収納筒14の他方の端部において、つば部14dにより囲鐃された開口部が、気体が通過する通気口14eとなる。給気弁8では、この通気口14eを通って気体がハウジング11内に流入し、排気弁9では、この通気口14eを通って気体がハウジング11外に流出する。
【0038】
固定リング19は、図3〜図5に示すように、円筒状の側壁部19aと、この側壁部19aの後端から外方へ突出するつば部19bとを有している。この側壁部19aの内径は、固定筒12の側壁12cの外径より少し大きくされ、側壁部19aは、固定筒12の側壁12cの外側に装着可能な構成とされている。この固定リング19は、後方から固定筒12に装着されるものである。
【0039】
側壁部19aの内面には、図9及び図10に示すように、固定リング19を固定筒12に装着する際に、固定爪12iを案内する案内凹部19cが形成されている。案内凹部19cは、固定爪12iに対応する位置で、軸方向に延在している。また、案内凹部19cは、固定リング19の後端近傍において、傾斜面を有している。この傾斜面は、後方に向かうにつれて、内方へ傾斜している。固定リング19を固定筒12に装着する際には、固定爪12iは、案内凹部19cによって、案内され、傾斜面と固定爪12iが接触することで、固定片12gが内方に撓む。固定爪12iが傾斜面を通過すると、固定爪12iが固定リング19の後端から突出した状態となり、固定片12gが復元される。このとき、固定リング19は、固定爪12iによって内方から係止された状態となり、固定リング19の後方への移動が拘束される。なお、図10において、案内凹部19cは、固定爪12iと重なる位置に配置されている。
【0040】
つば部19bは、図4及び図5に示すように、固定筒12のつば部12bと対向するように、全周にわたって形成されている。この固定リング19のつば部12bと固定筒12のつば部12bとが、容器本体2の底壁2c、リブ10を挟むことで、ハウジング11を容器本体2に固定することができる。
【0041】
また、固定リング19は、図9及び図10に示すように、内方に突出し、固定片12gと当接可能とされた周り止め部19dを有している。周り止め部19dは、板状を成し、固定筒12の固定片12gに対応するように複数設けられている。固定リング19を固定筒12に装着して、周方向(本実施形態では右方向)に回転させた場合に、固定片12gと周り止め部19dが当接して、固定リング19の周方向への移動を拘束させることができる。
【0042】
また、固定リング19は、周り止め部19dから周方向(本実施形態では左方向)に屈曲され固定片12gに係止されるフック部19eを有している。フック部19eは、板状を成し、周り止め部19dの端部から屈曲されて、周方向に延在している。フック部19eは、周方向において、固定片12gの幅に対応する大きさとされ、内方から固定片12を係止可能な突部を有している。固定リング19が固定筒12に係止された状態では、固定片12gは、径方向において、側壁部19aとフック部19eとによって挟まれ、周方向において、周り止め部19dとフック部19eとによって挟まれている。
【0043】
なお、逆止弁8,9の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアセタール、ポリエーテルイミド等の樹脂が挙げられ、これらの樹脂から適宜選択して、逆止弁8,9を形成することが好ましい。また、ハウジング11を構成する固定筒12及び弁体収納筒14は、内部状況を確認することができるように、透明な樹脂によって形成されることが好ましい。また、Oリング18,20,21の材質としては、例えば、メラミンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、圧縮コイルばね17の材質としては、ステンレスなどの金属、樹脂等が挙げられる。金属製の圧縮コイルばね17を適用する場合には、金属成分による容器本体2内の汚染を防止するために、金属の表面に、PEEKなどの樹脂成分を用いたコーティング、エラストマー成分を用いたコーティング、ダイヤモンドライクコーティングなどを施工することが好ましい。
【0044】
次に、このように構成された基板収納容器1の給気弁8、排気弁9の組立について説明する。まず、固定筒12の他方の端部側(固定爪12i側)が上方を向くようにし、固定筒12内に、フィルタ15、フィルタ押さえ16を挿入する。
【0045】
次に、給気弁8では、圧縮コイルばね17、Oリング18が装着された弁体13をフィルタ押さえ16上に配置する。具体的には、圧縮コイルばね17をフィルタ押さえ16と弁体13との間に配置し、弁体13の開口部13d内に、フィルタ押さえ16の円筒部16bを挿入させる。
【0046】
一方、排気弁9では、Oリング18が装着された弁体23、圧縮コイルばね17をフィルタ押さえ16上に配置する。具体的には、弁体23の開口部23d内に、フィルタ押さえ16の円筒部16bを挿入させ、圧縮コイルばね17を弁体23の他方の端部23b側から装着する。
【0047】
次に、Oリング21が装着された弁体収納筒14を準備し、固定筒12に装着する。具体的には、図6に示すように、弁体収納筒14の位置決め凸部14cを固定筒12の位置決め用凹部12eに合わせて、弁体収納筒14を固定筒12に押し込んで、固定筒12の係止凹部12dに、弁体収納筒14の係止突起14bを嵌める。弁体収納筒14の折り返しフランジ14aの外周面が、固定筒12の側壁12cの内周面に当接した状態となる。また、フィルタ15、フィルタ押さえ16の円盤部16aは、弁体収納筒14の一方の端部によって、固定筒12の窓枠12aに押し付けられて固定される。
【0048】
給気弁8では、図4に示すように、圧縮コイルばね17の一方の端部がフィルタ押さえ16の円盤部16aに当接し、圧縮コイルばね17の他方の端部が弁体13の環状つば部13bに当接した状態となっている。そして、弁体13は、圧縮コイルばね17によって付勢され、弁体13に装着されたOリング18が弁体収納筒14のつば部14dの内面に押し当てられている。Oリング18によるシール面は、弁体収納筒14の通気口14eを囲繞するように、通気口14eの外径よりも大きく形成されている。これにより、容器本体2の密閉状態を維持することができる。
【0049】
一方、排気弁9では、図13に示すように、圧縮コイルばね17の一方の端部が弁体23の環状つば部23bに当接し、圧縮コイルばね17の他方の端部が弁体収納筒14のつば部14dの内面に当接した状態となっている。そして、弁体23は、圧縮コイルばね17によって付勢され、弁体23に装着されたOリング18がフィルタ押さえ16の円盤部16bに押し当てられている。Oリング18によるシール面は、フィルタ押さえ16の複数の貫通孔16cの外側を囲繞するように、複数の貫通孔16cの外側よりも大きく形成されている。これにより、容器本体2の密閉状態を維持することができる。
【0050】
ここで、排気弁9の通気口14eを、給気弁8の通気口14eよりも大きく形成しておくことができる。これにより、給気弁8と排気弁9との区別が容易となる。また、通気口14eがシール面により閉鎖されない排気弁9では、洗浄時に弁体収納筒14内に洗浄液が浸入するので、通気口14eを大きくしておくことで洗浄後の水切りや乾燥効率を向上させることができる。
【0051】
次に、ハウジング11の容器本体2へ固定について説明する。まず、図4、図5、図13及び図14に示すように、Oリング20を固定筒12の溝部12fに装着する。次に、固定筒12を容器本体2の底壁2cの貫通孔2dに装着する。具体的には、固定筒12の他方の端部を、容器本体2の内面側から貫通孔2dに挿入する。そして、固定筒12のつば部12を、貫通孔2dの周縁に当接させる。このとき、固定筒12の固定爪12iは、リブ10より外方に突出した状態となっている。
【0052】
次に、固定リング19を容器本体2の外面側から固定筒12の固定爪12iに装着する。具体的には、図10に示すように、固定リング19の案内凹部19cを固定筒12の固定爪12iに対応する位置に配置し、固定リング19を固定筒12に対して押し込む。固定爪12iは、案内凹部19cによって案内されて、固定リング19のつば部19bの内側の周縁に係合する。次に、固定リング19を固定筒12に対して相対回転させて、固定筒12の固定片12gを固定リング19の周り止め部19dに当接させる。この状態で、固定リング19のフック部19eが固定片12gに係止され、固定リング19の移動が拘束される。そして、固定リング19のつば部19bがリブ10の端部に当接した状態となる。すなわち、固定筒12のつば部12bと固定リング19のつば部19bとによって、容器本体2の底壁2cおよびリブ10を挟むようにして、ハウジング11は、容器本体2確実に固定される。このように、固定リング19を用いて、ハウジング11を容器本体2に固定しているため、従前のようにねじによって固定する必要がなく、締め付けトルクの管理を行う必要がなくされている。
【0053】
次に、給気弁8の動作について説明する。平常時において、給気弁8は、図4に示すように、弁体13が弁体収納筒14のつば部14dに押し付けられて、閉状態となっている。そして、容器本体2内に気体を供給する際には、気体の圧力によって、弁体13が圧縮コイルばね17に抗して移動し、図5に示すように、給気弁8は開状態となる。容器本体2内に供給される気体は、通気口14eを通ってハウジング11内に流入し、フィルタ押さえ16の貫通孔16c、フィルタ15を通過する。フィルタ15によって不純物が除去された気体は、固定筒12の窓を通過して、容器本体2内に供給される。供給される気体の圧力が低下すると、弁体13は、圧縮コイルばね17によって付勢されて移動し、給気弁8は閉状態になる。
【0054】
次に、排気弁9の動作について説明する。平常時において、排気弁9は、図13に示すように、弁体23がフィルタ押さえ16の円盤部16aに押し付けられて、閉状態となっている。そして、容器本体2外に気体を排出する際には、気体の圧力によって、弁体23が圧縮コイルばね17に抗して移動し、図14に示すように、排気弁9は開状態となる。容器本体2外に排出される気体は、固定筒12の窓を通って、フィルタ15、フィルタ押さえ16の貫通孔16cを通過する。貫通孔16cを通過した気体は、弁体収納筒14内に流入し、通気口14eを通って排出される。容器本体2内の気体の圧力が低下すると、弁体23は、圧縮コイルばね17によって付勢されて移動し、排気弁9は閉状態になる。
【0055】
このような基板収納容器1では、給気弁8及び排気弁9を備えているため、好適にガスパージを行うことができる。また、給気弁8及び排気弁9のハウジング11は、固定筒12と弁体収納筒14とを備え、これらの固定筒12及び弁体収納筒14は、位置決め用凹部12e及び位置決め凸部14cを有している。このため、固定筒12に対する弁体収納筒14の位置決めを容易に行うことができ、効率良く給気弁8及び排気弁9を組み立てることができる。また、固定筒12及び弁体収納筒14は、係止凹部12d及び係止突起14bを備えているため、弁体収納筒14を固定筒12に対して係止させることができる。
これにより、従前のようにねじによってハウジング11を結合する必要がない。また、基板収納容器1の給気弁8及び排気弁9は、固定リング19を用いて、ハウジング11を容器本体2に固定することができるので、従前のようにねじによって固定する必要がない。従って、従前のようにねじ結合する必要がないので、締め付けトルクの管理を行う必要がない。その結果、組立作業の簡素化が図られている。
【0056】
また、固定筒12は、固定リング19を固定するための固定片12g及び固定爪12iを備えているため、固定リング19確実に固定筒12に固定することができる。また、固定リング19は、外方に突出するつば部19bを備えているため、つば部19bを容器本体2の貫通孔2dの周縁に当接させることで、ハウジング11が安定して容器本体2に固定されている。また、固定リング19の側壁部19aの内周面には、固定爪12iの移動を案内する案内凹部19cが設けられているため、固定リング19をスムーズに固定筒12に装着することができる。これにより、組立作業の効率を一層向上させることができる。また、固定リング19の側壁部19aの内周面には、内方に突出し固定片12gと当接可能とされた周り止め部19eと、周り止め部19eから周方向に屈曲され固定片12gに係止されるフック部19eとが設けられているため、固定リング19を固定片12gに装着し固定リング19を固定筒12に対して回転させることで、固定リング19のフック部19eを固定筒12の固定片12gに係止させることが可能とされている。
【0057】
また、圧縮コイルばね17によって付勢される環状の付勢面13f,23fの外径D1が、弁体13,23の環状のシール面18aの外径D2より大きいため、弁体13,23の傾きを防止して確実に気体をシールすることができる。また、シール面18aが形成された一方の端部13a,23aとは反対側の他方の端部13b,23bに、気体の流通を可能とするガス抜き凹部13c,23cが径方向に形成されているため、他方の端部13bとフィルタ押さえ16の円盤部16aとが接触した場合、他方の端部23bと弁体収納筒14のつば部14bとが接触した場合にあっても、ガス抜き凹部13c,23cによって、気体を流通させることができる。従って、シール面18aと反対側で不要なシール面が形成されることを防止することができる。
【0058】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、本発明の基板収納容器による収納物を基板としているが、収納される基板は、半導体ウェハに限定されず、マスクガラスを始めとしたその他の基板でもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、ボトムプレート7を備える構成としているが、ボトムプレート7を備えない構成でもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、付勢手段として圧縮コイルばね17を用いているが、例えば、板ばねや、各種熱可塑性エラストマーを始めとした各種ゴムを用いても良い。なお、板ばねの材質としては、ステンレスや樹脂等が挙げられる。
【0061】
また、上記実施形態では、環状の付勢面の外径D1が環状のシール面18aの外径D2より大きくなっているが、付勢面の外径D1がシール面の外径D2より小さくてもよい。ただし、付勢面の外径D1がシール面の外径D2以上であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る給気弁及び排気弁を備えた基板収納容器を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す基板収納容器の底面図である。
【図3】図1中の給気弁を示す分解斜視図である。
【図4】閉状態の給気弁を示す断面図である。
【図5】開状態の給気弁を示す断面図である。
【図6】図3中のハウジングの側面図である。
【図7】図6に示すハウジングの平面図である。
【図8】図6に示すハウジングの底面図である。
【図9】固定リングが係止された状態のハウジングを示す底面図である。
【図10】固定リングが係止されていない状態のハウジングを示す底面図である。
【図11】図3中の弁体を示す側面図である。
【図12】図1中の排気弁を示す分解斜視図である。
【図13】閉状態の排気弁を示す断面図である。
【図14】開状態の排気弁を示す断面図である。
【図15】図12中の弁体を示す側面図である。
【図16】従来の基板収納容器における逆止弁を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1…基板収納容器、2…容器本体、2d…容器本体の貫通孔、8…給気弁(逆止弁)、9…排気弁(逆止弁)、11…ハウジング、12…固定筒(第1のハウジング)、12d…係止凹部(係止部)、12e…位置決め用凹部(位置決め部)、12g…固定片、12i…固定爪、13,23…弁体、13a,23a…弁体の一方の端部、13b,23b…弁体の他方の端部、13c,23c…ガス抜き凹部、13e,23e…環状つば部、13f,23f…付勢面、14…弁体収納筒(第2のハウジング)、14a…折り返しフランジ部、14b…係止突起(係止部)、14c…位置決め凸部(位置決め部)、17…圧縮コイルばね(付勢手段)、18a…環状のシール面、19…固定リング、19a…側壁部、19b…つば部、19c…案内凹部、19d…周り止め部、19e…フック部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する容器本体と、円筒状のハウジング及び前記ハウジング内に配置された弁体を有し前記容器本体の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁とを備え、前記ハウジングが前記容器本体の貫通孔に装入される基板収納容器において、
前記容器本体の内部側を先端側とし、
前記逆止弁は、後端側に装着され前記ハウジングに対して相対回転可能とされると共に、前記ハウジングを後方から前記容器本体に固定する固定リングを具備し、
前記ハウジングは、
先端側に配置される第1のハウジングと、
先端部が前記第1のハウジング内に挿入されて、前記第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、
前記第1のハウジングは、
後端部から後方へ突出する固定片と、
前記固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、
前記固定リングは、
前記第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、
前記側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、
前記側壁部の内周面には、
軸方向に延在し前記固定爪を案内する案内凹部と、
内方に突出し前記固定片と当接可能とされた周り止め部と、
前記周り止め部から周方向に屈曲され前記固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記逆止弁は、
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記第2のハウジングは、
先端部側から折り返され前記第1のハウジングの内周面に全周にわたって当接する折り返しフランジ部を備え、
前記係止部は、
前記第1のハウジングの内周面に形成された係止凹部と、
前記第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され前記係止凹部に係合する係止突起とを有することを特徴とする請求項2記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記位置決め部は、
前記第1のハウジングの後端に形成された位置決め用凹部と、
前記第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され前記位置決め用凹部に係合する位置決め用凸部とを備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記弁体は、円柱状を成し、
環状のシール面が形成された一方の端部と、
付勢手段によって付勢される環状の付勢面が形成された環状つば部と、
前記気体の流通を可能とするガス抜き凹部が径方向に形成された他方の端部と備え、
前記環状のシール面及び前記環状の付勢面は略同心とされ、前記環状の付勢面の外径は、前記環状のシール面の外径以上であること特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板収納容器。
【請求項6】
基板を収納する基板収納容器の容器本体の貫通孔に装入され、前記基板収納容器の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁において、
前記容器本体の内部側を先端側とし、
前記貫通孔に装着される円筒状のハウジングと、
前記ハウジング内に収容された弁体と、
前記ハウジングの後端側に装着され前記ハウジングに対して相対回転可能とされると共に、前記ハウジングを後方から前記容器本体に固定する固定リングとを備え、
前記ハウジングは、
先端側に配置される第1のハウジングと、
先端部が前記第1のハウジング内に挿入されて、前記第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、
前記第1のハウジングは、
後端部から後方へ突出する固定片と、
前記固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、
前記固定リングは、
前記第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、
前記側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、
前記側壁部の内周面には、
軸方向に延在し前記固定爪を案内する案内凹部と、
内方に突出し前記固定片と当接可能とされた周り止め部と、
前記周り止め部から周方向に屈曲され前記固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項7】
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることを特徴とする請求項6記載の逆止弁。
【請求項1】
基板を収納する容器本体と、円筒状のハウジング及び前記ハウジング内に配置された弁体を有し前記容器本体の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁とを備え、前記ハウジングが前記容器本体の貫通孔に装入される基板収納容器において、
前記容器本体の内部側を先端側とし、
前記逆止弁は、後端側に装着され前記ハウジングに対して相対回転可能とされると共に、前記ハウジングを後方から前記容器本体に固定する固定リングを具備し、
前記ハウジングは、
先端側に配置される第1のハウジングと、
先端部が前記第1のハウジング内に挿入されて、前記第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、
前記第1のハウジングは、
後端部から後方へ突出する固定片と、
前記固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、
前記固定リングは、
前記第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、
前記側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、
前記側壁部の内周面には、
軸方向に延在し前記固定爪を案内する案内凹部と、
内方に突出し前記固定片と当接可能とされた周り止め部と、
前記周り止め部から周方向に屈曲され前記固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記逆止弁は、
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記第2のハウジングは、
先端部側から折り返され前記第1のハウジングの内周面に全周にわたって当接する折り返しフランジ部を備え、
前記係止部は、
前記第1のハウジングの内周面に形成された係止凹部と、
前記第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され前記係止凹部に係合する係止突起とを有することを特徴とする請求項2記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記位置決め部は、
前記第1のハウジングの後端に形成された位置決め用凹部と、
前記第2のハウジングの折り返しフランジ部に形成され前記位置決め用凹部に係合する位置決め用凸部とを備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記弁体は、円柱状を成し、
環状のシール面が形成された一方の端部と、
付勢手段によって付勢される環状の付勢面が形成された環状つば部と、
前記気体の流通を可能とするガス抜き凹部が径方向に形成された他方の端部と備え、
前記環状のシール面及び前記環状の付勢面は略同心とされ、前記環状の付勢面の外径は、前記環状のシール面の外径以上であること特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板収納容器。
【請求項6】
基板を収納する基板収納容器の容器本体の貫通孔に装入され、前記基板収納容器の内外に対する気体の流通を制御する逆止弁において、
前記容器本体の内部側を先端側とし、
前記貫通孔に装着される円筒状のハウジングと、
前記ハウジング内に収容された弁体と、
前記ハウジングの後端側に装着され前記ハウジングに対して相対回転可能とされると共に、前記ハウジングを後方から前記容器本体に固定する固定リングとを備え、
前記ハウジングは、
先端側に配置される第1のハウジングと、
先端部が前記第1のハウジング内に挿入されて、前記第1のハウジングに取り付けられる第2のハウジングとを備え、
前記第1のハウジングは、
後端部から後方へ突出する固定片と、
前記固定片の後端部に形成され固定リングを固定する固定爪とを備え、
前記固定リングは、
前記第1のハウジングの外側に装着される円筒状の側壁部と、
前記側壁部から外方へ突出するつば部とを備え、
前記側壁部の内周面には、
軸方向に延在し前記固定爪を案内する案内凹部と、
内方に突出し前記固定片と当接可能とされた周り止め部と、
前記周り止め部から周方向に屈曲され前記固定片に係止されるフック部とが設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項7】
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを位置決めする位置決め部と、
前記第1のハウジングに対して前記第2のハウジングを係止させる係止部とを更に備えることを特徴とする請求項6記載の逆止弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−66330(P2008−66330A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239241(P2006−239241)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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