基板収納容器
【課題】 落下衝撃等によっても外れない施錠機構を備えた基板収納容器を提供する。
【解決手段】 開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構は、外部から操作可能な被操作部と、被操作部の動きに連動して、係合凹部に嵌入される係止部材を備えたラッチバーとを有し、係合凹部には、つば部を備えた第一の嵌合部が形成され、係止部材には、第二の嵌合部が形成されていて、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが嵌合することを特徴とする。
【解決手段】 開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構は、外部から操作可能な被操作部と、被操作部の動きに連動して、係合凹部に嵌入される係止部材を備えたラッチバーとを有し、係合凹部には、つば部を備えた第一の嵌合部が形成され、係止部材には、第二の嵌合部が形成されていて、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが嵌合することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ、ガラスウェーハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、特には基板収納容器に取付けられる蓋体の施錠機構に関する。
【背景技術】
【0002】
300mmや450mmなどの大口径のシリコンウェーハやガラスウェーハなどの基板を収納し、輸送に使用される基板収納容器は、容器本体と、蓋体とからなり、容器本体内部の両側部に棚状をした支持部が、高さ方向に所定の間隔で複数段設けられていて、棚状の支持部の背面側には、基板の奥側の位置を規制するストッパーとなる壁面が形成されている。
容器本体の開口部を閉鎖する蓋体には、各基板の前方周縁を個別に保持する弾性片を備えたフロントリテーナが設けられている。このような蓋体には、両者をシール可能に係合するための施錠機構が設けられている(特許文献1、2参照)。
ここにおける施錠機構は、外部から操作可能な操作孔と、カム溝を有する回転部材と、一端部が回転部材のカム溝に係合し、他端に容器本体との係合部を有するラッチバーとを有していて、このラッチバーの他端が容器本体の開口部の内周縁に形成される係合凹部に挿入されて、容器本体と蓋体とが固定される。
【0003】
従来の基板収納容器は、容器本体に形成された係合凹部に、施錠機構の係止部材又はラッチバーの先端が挿入されて、係合凹部の平坦面に押圧されて固定されているだけであった。そのため、基板収納容器が誤って落下したりして大きな衝撃が加わったときには、蓋体及び容器本体の開口部が瞬間的に大きく変形してしまうので、施錠機構の係止部材が係合凹部から外れてしまい、容器本体から蓋体が外れてしまうことが懸念されていた。このような事故が発生すると、基板を損傷するばかりでなく、基板の破損片で作業員が受傷したり、クリーンルームを汚染することとなり、生産活動が中止されてしまう事態になってしまい、大きな損害が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−133405号公報
【特許文献2】特開2007−191205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みて、このような事故による落下衝撃等によっても外れない施錠機構を備えた基板収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板収納容器は、開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構は、外部から操作可能な被操作部と、被操作部の動きに連動して、係合凹部に嵌入される係止部材を備えたラッチバーとを有し、係合凹部には、つば部を備えた第一の嵌合部が形成され、係止部材には、第二の嵌合部が形成されていて、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが嵌合することを特徴とする。
【0007】
前記係止部材である第二の嵌合部には、つば部が備えられ、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合うこと、前記施錠機構が、回転部材と、一端が回転部材に係合することで、回転部材の動きに連動して係止凹部に出没するラッチバーとからなり、ラッチバーの他端の係止部材である第二の嵌合部が円弧状の軌跡を描いて、係合凹部の第一の嵌合部に、噛み合うこと、前記ラッチバーが、回転部材の操作孔よりも蓋体の幅方向の中心線寄りに配置されていて、回転部材と連動する連結部によってラッチバーが蓋体の幅方向にスライドして係止凹部に挿入されること、前記ラッチバーが、回転部材に設けられるカム溝に係合される円柱突起を一端に有し、他端は蓋体に揺動可能に軸支されていて、ラッチバーの他端には、係止部材が軸支されていて、回転部材の動きに連動してラッチバーが蓋体の側壁方向にスライドし、該係止部材は、ラッチバーの動きに合わせて、蓋体の厚さ方向に円弧状に移動して、係止凹部の第一の嵌合部を乗り越えて嵌合すること、前記係止凹部が、容器本体の開口部内側から外側にかけて形成される貫通穴を備えていること、がそれぞれ好ましい。
【0008】
さらに、開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構が、容器本体の外壁に固定されていて、カム溝を備えた棒状又は板状をした非操作部と、カム溝を介して移動可能に支持される第二の嵌合部を備えた係合部とを有し、蓋体には、係合部が通過可能な切欠きと、係止凹部となる第一の嵌合部が形成されていて、係合凹部の第一の嵌合部と、係止部材であるの第二の嵌合部とが噛み合うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の基板収納容器における施錠機構は、係止部材である第二嵌合部が係合凹部の第一嵌合部と噛み合うようになっているので、基板収納容器に大きな衝撃が加わって、容器本体の開口部が大きく変形しようとしても、第一の嵌合部と第二の嵌合部との相対的な位置関係が変わらないので、係止部材である第二嵌合部が係合凹部から外れてしまうことを防止できる。それによって、基板を破損させたり、破損した基板でクリーンルームを汚染してしまうことを効果的に防止できる。
また、破損した基板が飛び散ることがないので、作業員が受傷することを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態の基板収納容器を表す分解斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態の蓋体に配設される施錠機構の解錠状態を表す正面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の施錠機構の解錠状態の詳細を表す要部断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態の施錠機構の施錠状態の詳細を表す要部断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態の基板収納容器を表す分解斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の蓋体に配設される施錠機構の解錠状態を表す正面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態の蓋体に配設される施錠機構の施錠状態を表す正面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態の施錠機構の要部断面図であって、(a)は、解錠状態、(b)は、施錠状態をそれぞれ表す。
【図9】本発明の第二の実施形態の施錠機構の解錠状態の要部平面図であって、(a)は、解錠状態、(b)は、施錠状態をそれぞれ表す。
【図10】本発明の第三の実施形態の基板収納容器を表す分解斜視図である。
【図11】本発明の第三の実施形態の蓋体を表す斜視図である。
【図12】本発明の第三の実施形態の施錠機構の詳細を表す要部斜視図である。
【図13】本発明の第三の実施形態の蓋体の係合部を表す拡大斜視図である。
【図14】本発明の第三の実施形態の施錠機構の操作機構を表す側面図である。
【図15】本発明の第三の実施形態の施錠機構の操作機構の要部を表す分解斜視図である。
【図16】本発明の第三の実施形態の施錠機構の施錠の過程を(a)〜(d)に順次に示す逐次説明図である。
【図17】本発明の第三の実施形態の施錠機構の施錠の過程を(a)〜(d)に順次に示す逐次説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基板収納容器は、図1に示すように、基板を収納する開口1を前面に備えた容器本体2と、容器本体2の開口1を閉鎖する蓋体3とを有していて、開口1の内周面には、蓋体3を係止するための係合凹部4が形成されている。
容器本体2の左右の内側壁5には、収納される基板を水平状態で、一定間隔に整列させて支持するための一対の支持部6が備えられている。これらの内側壁5の外壁の支持部の奥側には位置規制が設けられていて、基板の挿入限度を規制している。
【0012】
また、容器本体の天面には、搬送用のロボティックフランジ7が取り付けられていて、外側壁にはマニュアルハンドル8やサイドレール9が設けられていて、さらに底部には位置決め部材を備えたボトムプレート10が設けられていて、これらが搬送に使用される。
蓋体3には、それぞれの基板の前周部に個別に接触してこれを保持する弾性片を備えたフロントリテーナ11が設けられている。
また、蓋体3の側壁には、シール用のガスケット12が備えられていて、容器本体2との間にシールを形成する。
【0013】
施錠機構13は、図2にも示すように、外部から操作可能な回転部材14と、回転部材14のカム溝15に係合する円柱状の連結部16を一端に備えた上下1対の板状のラッチバー17とを有し、ラッチバー17の他端部には、係止部材18が係合される。ここで、ラッチバー17の他端に係合される係止部材18は、蓋体に設けられる軸部19によって揺動可能に軸支されている。
【0014】
図3に詳細に示すように、係止部材18は、3つの端部を備えていて、これらの第一の端部20は、軸部19によって蓋体3に回動可能に連結されていて、第二の端部21はラッチバー17の他端と回動可能に連結されていて、残りの第三の端部22が、係止部材となり、回転部材の動きに連動するラッチバー17の動きに合わせて、蓋体の側壁方向にスライドし、係止部材(第三の端部22)が、蓋体側壁の貫通穴23から出没する。係止部材22の先端には、回転ローラ24を軸25を利用して取り付けることができる。回転ローラ24は円形でも良いが、接触面積を大きくするために多角形とすることもできる。
【0015】
図3は、回転部材14(図1、2)によりラッチバー17が蓋体側壁の貫通穴23から内側方向に後退し、係止部材22も貫通穴23から後退して、施錠機構13が解錠された状態を示している。このとき係止部材22は、蓋体3の側面の貫通穴23から引っ込んだ状態にあるので、容器本体2の開口1(図1)から蓋体3を取り除いたり、容器本体2の開口1に蓋体3を挿入することができる。
【0016】
図4は、施錠機構13が施錠された状態を示していて、容器本体2の係合凹部4に蓋体3の係止部材22が係合される。このときラッチバー17先端の係止部材22は、軸部19を基点として円弧状に移動するので、係合凹部4の内側へ突出するように設けられる、第一の嵌合リブとなる円弧状の突起部26を超えて嵌合するようになる。
この場合、第一の嵌合リブの突起部26と、係止部材22先端の回転ローラ24とが噛み合うことになるので、大きな衝撃によって容器本体の開口部が変形しても、施錠機構と係合凹部が噛み合っているので、外れることがなく、容器本体から蓋体が外れて、基板を損傷させたり、基板の破片によってクリーンルームを汚染したり、作業員を負傷させてしまうことを防止できる。
【0017】
さらに、施錠機構13は、回転部材14に対して、ラッチバー17が、蓋体3の上下方向に1対設けられているので、衝撃によって容器本体2の開口1が上下に広がろうとしても、上下方向にそれぞれ配置される係止部材22である第三の端部22によって逆方向に引っ張り合うこととなり、変形しようとする力が打ち消されて、変形量を小さくできるという効果がある。
【0018】
図5乃至図9は、施錠機構の第二の実施形態を表すものである。
この第二の実施形態の場合も、図5に表すように、容器本体31の開口32をシール可能に閉鎖する蓋体33に施錠機構34が内蔵されている。
蓋体33に内蔵される1対の施錠機構34は、外部から操作可能な回転部材35と、回転部材35のカム溝36に係合してこれと連動する連結部材37と、回転部材35よりも蓋体33の幅方向の中央寄りに配置される板状のラッチバー38とを有し、ラッチバー38の一端部は連結部材37と係合し、ラッチバー38の先端に当たる他端部は、係止部材39となっており、その先端には膨出した突起40(図8)が形成されている。
【0019】
図6は、施錠機構34(図5)が解錠された状態を表しており、このときラッチバー38先端の係止部材は、蓋体33の側壁の貫通穴41から引っ込んだ状態にある。図7は、施錠機構が施錠され、容器本体と蓋体33とが固定された状態を示しており、このとき連結部材37はカム溝36に係合していて、回転部材35の動きに合わせて、ガイドリブ42に沿って蓋体33の幅方向に移動可能となっていて、ラッチバー38は、一端側から他端側にかけて蓋体33の幅方向内側に斜めに傾斜しており、容器本体の開口内周面に設けられる係合凹部に係合される。
これらを要部を拡大して表す図8、図9によって、より詳細に説明する。
図8(a)・図9(a)は、解錠状態を現すものであり、このときラッチバー38先端の係止部材39は、図8、図9に示すように、係合凹部43の幅方向から円弧状にスライドして進入して、係止部材39の先端から遠い位置に形成され、断面L字状をしたつば部44を備える第一の嵌合リブ45(図8a・b)と噛み合うようになる。
【0020】
このように第一の嵌合リブ45のつば部44と、係止部材39先端の係止部材(膨出部)40とが噛み合うことで、大きな衝撃によって容器本体31の開口32が変形しても、施錠機構34と係合凹部43とが噛み合っているので、外れることがなく、容器本体31から蓋体33が外れて、基板を損傷させたり、基板の破片によってクリーンルームを汚染したり、作業員を負傷させてしまうことを防止できる。
また、本実施形態では、係止凹部43を貫通穴41と対応させて形成しているので、第一の嵌合部45及びつば部44が離型時にアンダーカットとならないように金型のブロックを分割して形成し、この係止凹部を形成するための金型ブロックを金型の外方向にスライドさせることで、金型から容易に離型させることができる。
図8(b)・図9(b)は、施錠状態を現すものであり、蓋体33が容器本体31側に沈み込むつつ、ラッチバー38が外側に伸長し、係止部材39先端の第二の係合部たる突起40が、第一の嵌合部45につば部44と係合し、衝撃等によっては外れ難くなる。
【0021】
図10乃至図17は、第三の実施形態である基板収納容器における施錠機構51を示すものである。
この施錠機構51は、上述の施錠機構とは異なり、蓋体内に組み込まれるのではなく、容器本体の外側に設けられる。
カム溝52を備えた板状をした被操作部材53が容器本体54の側壁の上辺側から下辺側にかけて移動可能に配置されている。容器本体54の開口55の側壁には容器本体切り欠き56が形成されている。また、蓋体57の側壁には、図11に示すような、蓋体切り欠き部58が形成されていて、蓋体切り欠き部58と隣接するように係合凹部59が形成されている。係合凹部59には、断面略L字形のリブ60が形成されている。
【0022】
被操作部材53のカム溝52には、図12に示すように、第二の嵌合部をなす係止部材61が移動可能に支持されていて、被操作部材53の動きに応じて、容器本体54と蓋体57の蓋体切り欠き部58から出没して、蓋体57の係合凹部59に嵌合して蓋体57を容器本体54に固定する。
このとき、係合凹部59の断面L字形のリブ60が第一の嵌合部となり、係止部材61の先端が折れ曲がった部分62は、第二の嵌合部となり、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合うことで、強固に施錠される。
この場合も先ほどの実施形態と同様の効果が得られる。
【0023】
図14は、加工装置に第三の実施形態の施錠機構を備えた基板収納容器が搭載されたときの状態を表していて、被操作部材53の両端部は、装置側に設けられる操作手段63によってアクセス可能となっている。被操作部材53は、上下方向に移動可能に支持されている。なお、こうした被操作部材は、側壁の上辺と下辺に軸支して、左右方向に移動させるようにすることもできる。
【0024】
図15は、容器本体54に設けられる施錠機構の要部を表す分解斜視図であり、施錠機構は、容器本体54の開口部分に被操作部材53を上下動可能に取り付けるためのガイド部材64と、被操作部材53と、両者の間に位置する係止部材61とを有している。ガイド部材64には、係止部材61を収納し、係止部材61を移動可能に支持するための収納溝65と、1対の第一の円柱突起66が形成されていて、この1対の第一の円柱突起66が、係止部材61に形成される第一のカム溝67に係合して、これを支持している。
【0025】
第一のカム溝67は、ほぼ垂直に形成された垂直溝68と、垂直溝68の端部に形成される傾斜溝69と、傾斜溝69の他端部に形成される水平溝70とを有している。
また、収納溝65の側壁は、被操作部材53が上下動するときの幅方向の動きを規制している。係止部材61には、前記した第一のカム溝67と、被操作部材53と係合するための1対の第二の円柱突起71が形成されている。
被操作部材53の係止部材61の第二の円柱突起71と向き合う領域には、第二のカム溝72が形成されていて、係止部材61の第二の円柱突起71と係合して支持されている。
第二のカム溝72は、水平方向に対して僅かな傾斜角度に形成される緩傾斜溝73と、垂直方向から僅かに傾斜した急傾斜溝74とを有する。
【0026】
図16(a)〜(d)は、解錠状態において、被操作部材53が下方に押されて、施錠するまでの被操作部材53と、係止部材61の動きを表している。
図16(a)の状態では、係止部材61の第二の円柱突起71が、被操作部材53の緩傾斜溝73の一端に係合されていて、上下方向の移動は制限されているので、両者の相対位置は変化しないで、これらの部材は、第一の円柱突起66に案内されながら、第一のカム溝67の垂直溝68の上端に位置する図16(b)の状態まで、一緒に下降していく。
次の段階である図16(b)〜図16(c)の状態では、係止部材61が、第一の円柱突起66に案内されて、第一のカム溝67の垂直溝68と連結された傾斜溝69の他端部まで移動するようになるので、係止部材61と被操作部材53とは斜め下方に移動することとなる。すなわち、係止部材の第二の嵌合部75が、図16の図内で右側に移動しながら下降していくこととなる。このとき、第二の円柱突起71は、第二のカム溝72の緩傾斜溝73の他端部に位置するようになる。
【0027】
引き続いて、被操作部材53が、さらに下降されていくと、図16(d)に示されるように、被操作部材53の第二のカム溝72は、第二の円柱突起71と、急傾斜溝74とで接触するようになり、この急傾斜溝74の端部に位置するまで右方向に僅かに移動しながら下方に移動するようになる。一方、係止部材61は、下方には移動せずに第一のカム溝67の水平溝70に沿って右方向に水平に移動するようになる。
このように、施錠の最終段階においては、被操作部材53と、係止部材61とは異なる方向に動くようになり、第一の嵌合部と第二の嵌合部75とが係合する位置まで移動する。
【0028】
図17(a)〜(d)は、係止部材61の動きを蓋体の係止凹部59とL字型形のリブ60との関係で示している。
図16(a)〜(d)で説明したように、第二の嵌合部75は、蓋体の切り欠き76領域(係止凹部の上方で、第一の嵌合部であるL字型形のリブ60の斜め上方)に位置している。被操作部材53が下方に押されることで、係止部材61は、下方に移動するとともに、次に第一の嵌合部に接近する方向に僅かに移動して、さらに下方に押圧されることで、第一の嵌合部と、第二の嵌合部75とが接触して嵌合するまで図17の右方向に移動することとなる。この状態で容器本体と蓋体とは施錠されて、固定される。
このように、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合うことで、容器本体と蓋体とは、強固に施錠される。
この場合も先ほどの実施形態と同様の効果が得られる。
なお、解錠するときには、上記と逆の動きをすることで、解錠される。
【符号の説明】
【0029】
1:開口
2:容器本体
3:蓋体
4:係合凹部
5:(容器本体2⇒2の左右の)内側壁
6:支持部
7:ロボティックフランジ
8:マニュアルハンドル
9:サイドレール
10:ボトムプレート
11:フロントリテーナ
12:ガスケット
13:施錠機構
14:回転部材
15:カム溝
16:連結部
17:ラッチバー
18:係止部材(第一の嵌合部)
19:軸部
20:第一の端部
21:第二の端部
22:第三の端部(係止部材)
23:貫通穴
24:回転ローラ(第二の嵌合部)
25:軸
26:(円弧状の)突起部(第一の嵌合リブ)
31:容器本体
32:開口
33:蓋体
34:施錠機構
35:回転部材
36:カム溝
37:連結部材
38:ラッチバー
39:係止部材
40:突起(第二の嵌合部)
41:貫通穴
42:ガイドリブ
43:係合凹部
44:つば部
45:第一の嵌合リブ
46:第一の嵌合部
51:施錠機構
52:カム溝
53:被操作部材
54:容器本体
55:開口
56:容器本体切り欠き
57:蓋体
58:蓋体切り欠き部
59:係合凹部
60:L字形のリブ(第一の嵌合部)
61:係止部材(第二の嵌合部)
62:第二の嵌合部(先端が折れ曲がった部分)
63:操作手段
64:ガイド部材
65:収納溝
66:第一の円柱突起
67:第一のカム溝
68:垂直溝
69:傾斜溝
70:水平溝
71:第二の円柱突起
72:第二のカム溝
73:緩傾斜溝
74:急傾斜溝
75:(係止部材61の)第二の嵌合部
76:切り欠き
77:(ガイド部材の)内側壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ、ガラスウェーハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、特には基板収納容器に取付けられる蓋体の施錠機構に関する。
【背景技術】
【0002】
300mmや450mmなどの大口径のシリコンウェーハやガラスウェーハなどの基板を収納し、輸送に使用される基板収納容器は、容器本体と、蓋体とからなり、容器本体内部の両側部に棚状をした支持部が、高さ方向に所定の間隔で複数段設けられていて、棚状の支持部の背面側には、基板の奥側の位置を規制するストッパーとなる壁面が形成されている。
容器本体の開口部を閉鎖する蓋体には、各基板の前方周縁を個別に保持する弾性片を備えたフロントリテーナが設けられている。このような蓋体には、両者をシール可能に係合するための施錠機構が設けられている(特許文献1、2参照)。
ここにおける施錠機構は、外部から操作可能な操作孔と、カム溝を有する回転部材と、一端部が回転部材のカム溝に係合し、他端に容器本体との係合部を有するラッチバーとを有していて、このラッチバーの他端が容器本体の開口部の内周縁に形成される係合凹部に挿入されて、容器本体と蓋体とが固定される。
【0003】
従来の基板収納容器は、容器本体に形成された係合凹部に、施錠機構の係止部材又はラッチバーの先端が挿入されて、係合凹部の平坦面に押圧されて固定されているだけであった。そのため、基板収納容器が誤って落下したりして大きな衝撃が加わったときには、蓋体及び容器本体の開口部が瞬間的に大きく変形してしまうので、施錠機構の係止部材が係合凹部から外れてしまい、容器本体から蓋体が外れてしまうことが懸念されていた。このような事故が発生すると、基板を損傷するばかりでなく、基板の破損片で作業員が受傷したり、クリーンルームを汚染することとなり、生産活動が中止されてしまう事態になってしまい、大きな損害が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−133405号公報
【特許文献2】特開2007−191205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みて、このような事故による落下衝撃等によっても外れない施錠機構を備えた基板収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板収納容器は、開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構は、外部から操作可能な被操作部と、被操作部の動きに連動して、係合凹部に嵌入される係止部材を備えたラッチバーとを有し、係合凹部には、つば部を備えた第一の嵌合部が形成され、係止部材には、第二の嵌合部が形成されていて、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが嵌合することを特徴とする。
【0007】
前記係止部材である第二の嵌合部には、つば部が備えられ、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合うこと、前記施錠機構が、回転部材と、一端が回転部材に係合することで、回転部材の動きに連動して係止凹部に出没するラッチバーとからなり、ラッチバーの他端の係止部材である第二の嵌合部が円弧状の軌跡を描いて、係合凹部の第一の嵌合部に、噛み合うこと、前記ラッチバーが、回転部材の操作孔よりも蓋体の幅方向の中心線寄りに配置されていて、回転部材と連動する連結部によってラッチバーが蓋体の幅方向にスライドして係止凹部に挿入されること、前記ラッチバーが、回転部材に設けられるカム溝に係合される円柱突起を一端に有し、他端は蓋体に揺動可能に軸支されていて、ラッチバーの他端には、係止部材が軸支されていて、回転部材の動きに連動してラッチバーが蓋体の側壁方向にスライドし、該係止部材は、ラッチバーの動きに合わせて、蓋体の厚さ方向に円弧状に移動して、係止凹部の第一の嵌合部を乗り越えて嵌合すること、前記係止凹部が、容器本体の開口部内側から外側にかけて形成される貫通穴を備えていること、がそれぞれ好ましい。
【0008】
さらに、開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構が、容器本体の外壁に固定されていて、カム溝を備えた棒状又は板状をした非操作部と、カム溝を介して移動可能に支持される第二の嵌合部を備えた係合部とを有し、蓋体には、係合部が通過可能な切欠きと、係止凹部となる第一の嵌合部が形成されていて、係合凹部の第一の嵌合部と、係止部材であるの第二の嵌合部とが噛み合うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の基板収納容器における施錠機構は、係止部材である第二嵌合部が係合凹部の第一嵌合部と噛み合うようになっているので、基板収納容器に大きな衝撃が加わって、容器本体の開口部が大きく変形しようとしても、第一の嵌合部と第二の嵌合部との相対的な位置関係が変わらないので、係止部材である第二嵌合部が係合凹部から外れてしまうことを防止できる。それによって、基板を破損させたり、破損した基板でクリーンルームを汚染してしまうことを効果的に防止できる。
また、破損した基板が飛び散ることがないので、作業員が受傷することを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態の基板収納容器を表す分解斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態の蓋体に配設される施錠機構の解錠状態を表す正面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の施錠機構の解錠状態の詳細を表す要部断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態の施錠機構の施錠状態の詳細を表す要部断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態の基板収納容器を表す分解斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の蓋体に配設される施錠機構の解錠状態を表す正面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態の蓋体に配設される施錠機構の施錠状態を表す正面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態の施錠機構の要部断面図であって、(a)は、解錠状態、(b)は、施錠状態をそれぞれ表す。
【図9】本発明の第二の実施形態の施錠機構の解錠状態の要部平面図であって、(a)は、解錠状態、(b)は、施錠状態をそれぞれ表す。
【図10】本発明の第三の実施形態の基板収納容器を表す分解斜視図である。
【図11】本発明の第三の実施形態の蓋体を表す斜視図である。
【図12】本発明の第三の実施形態の施錠機構の詳細を表す要部斜視図である。
【図13】本発明の第三の実施形態の蓋体の係合部を表す拡大斜視図である。
【図14】本発明の第三の実施形態の施錠機構の操作機構を表す側面図である。
【図15】本発明の第三の実施形態の施錠機構の操作機構の要部を表す分解斜視図である。
【図16】本発明の第三の実施形態の施錠機構の施錠の過程を(a)〜(d)に順次に示す逐次説明図である。
【図17】本発明の第三の実施形態の施錠機構の施錠の過程を(a)〜(d)に順次に示す逐次説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基板収納容器は、図1に示すように、基板を収納する開口1を前面に備えた容器本体2と、容器本体2の開口1を閉鎖する蓋体3とを有していて、開口1の内周面には、蓋体3を係止するための係合凹部4が形成されている。
容器本体2の左右の内側壁5には、収納される基板を水平状態で、一定間隔に整列させて支持するための一対の支持部6が備えられている。これらの内側壁5の外壁の支持部の奥側には位置規制が設けられていて、基板の挿入限度を規制している。
【0012】
また、容器本体の天面には、搬送用のロボティックフランジ7が取り付けられていて、外側壁にはマニュアルハンドル8やサイドレール9が設けられていて、さらに底部には位置決め部材を備えたボトムプレート10が設けられていて、これらが搬送に使用される。
蓋体3には、それぞれの基板の前周部に個別に接触してこれを保持する弾性片を備えたフロントリテーナ11が設けられている。
また、蓋体3の側壁には、シール用のガスケット12が備えられていて、容器本体2との間にシールを形成する。
【0013】
施錠機構13は、図2にも示すように、外部から操作可能な回転部材14と、回転部材14のカム溝15に係合する円柱状の連結部16を一端に備えた上下1対の板状のラッチバー17とを有し、ラッチバー17の他端部には、係止部材18が係合される。ここで、ラッチバー17の他端に係合される係止部材18は、蓋体に設けられる軸部19によって揺動可能に軸支されている。
【0014】
図3に詳細に示すように、係止部材18は、3つの端部を備えていて、これらの第一の端部20は、軸部19によって蓋体3に回動可能に連結されていて、第二の端部21はラッチバー17の他端と回動可能に連結されていて、残りの第三の端部22が、係止部材となり、回転部材の動きに連動するラッチバー17の動きに合わせて、蓋体の側壁方向にスライドし、係止部材(第三の端部22)が、蓋体側壁の貫通穴23から出没する。係止部材22の先端には、回転ローラ24を軸25を利用して取り付けることができる。回転ローラ24は円形でも良いが、接触面積を大きくするために多角形とすることもできる。
【0015】
図3は、回転部材14(図1、2)によりラッチバー17が蓋体側壁の貫通穴23から内側方向に後退し、係止部材22も貫通穴23から後退して、施錠機構13が解錠された状態を示している。このとき係止部材22は、蓋体3の側面の貫通穴23から引っ込んだ状態にあるので、容器本体2の開口1(図1)から蓋体3を取り除いたり、容器本体2の開口1に蓋体3を挿入することができる。
【0016】
図4は、施錠機構13が施錠された状態を示していて、容器本体2の係合凹部4に蓋体3の係止部材22が係合される。このときラッチバー17先端の係止部材22は、軸部19を基点として円弧状に移動するので、係合凹部4の内側へ突出するように設けられる、第一の嵌合リブとなる円弧状の突起部26を超えて嵌合するようになる。
この場合、第一の嵌合リブの突起部26と、係止部材22先端の回転ローラ24とが噛み合うことになるので、大きな衝撃によって容器本体の開口部が変形しても、施錠機構と係合凹部が噛み合っているので、外れることがなく、容器本体から蓋体が外れて、基板を損傷させたり、基板の破片によってクリーンルームを汚染したり、作業員を負傷させてしまうことを防止できる。
【0017】
さらに、施錠機構13は、回転部材14に対して、ラッチバー17が、蓋体3の上下方向に1対設けられているので、衝撃によって容器本体2の開口1が上下に広がろうとしても、上下方向にそれぞれ配置される係止部材22である第三の端部22によって逆方向に引っ張り合うこととなり、変形しようとする力が打ち消されて、変形量を小さくできるという効果がある。
【0018】
図5乃至図9は、施錠機構の第二の実施形態を表すものである。
この第二の実施形態の場合も、図5に表すように、容器本体31の開口32をシール可能に閉鎖する蓋体33に施錠機構34が内蔵されている。
蓋体33に内蔵される1対の施錠機構34は、外部から操作可能な回転部材35と、回転部材35のカム溝36に係合してこれと連動する連結部材37と、回転部材35よりも蓋体33の幅方向の中央寄りに配置される板状のラッチバー38とを有し、ラッチバー38の一端部は連結部材37と係合し、ラッチバー38の先端に当たる他端部は、係止部材39となっており、その先端には膨出した突起40(図8)が形成されている。
【0019】
図6は、施錠機構34(図5)が解錠された状態を表しており、このときラッチバー38先端の係止部材は、蓋体33の側壁の貫通穴41から引っ込んだ状態にある。図7は、施錠機構が施錠され、容器本体と蓋体33とが固定された状態を示しており、このとき連結部材37はカム溝36に係合していて、回転部材35の動きに合わせて、ガイドリブ42に沿って蓋体33の幅方向に移動可能となっていて、ラッチバー38は、一端側から他端側にかけて蓋体33の幅方向内側に斜めに傾斜しており、容器本体の開口内周面に設けられる係合凹部に係合される。
これらを要部を拡大して表す図8、図9によって、より詳細に説明する。
図8(a)・図9(a)は、解錠状態を現すものであり、このときラッチバー38先端の係止部材39は、図8、図9に示すように、係合凹部43の幅方向から円弧状にスライドして進入して、係止部材39の先端から遠い位置に形成され、断面L字状をしたつば部44を備える第一の嵌合リブ45(図8a・b)と噛み合うようになる。
【0020】
このように第一の嵌合リブ45のつば部44と、係止部材39先端の係止部材(膨出部)40とが噛み合うことで、大きな衝撃によって容器本体31の開口32が変形しても、施錠機構34と係合凹部43とが噛み合っているので、外れることがなく、容器本体31から蓋体33が外れて、基板を損傷させたり、基板の破片によってクリーンルームを汚染したり、作業員を負傷させてしまうことを防止できる。
また、本実施形態では、係止凹部43を貫通穴41と対応させて形成しているので、第一の嵌合部45及びつば部44が離型時にアンダーカットとならないように金型のブロックを分割して形成し、この係止凹部を形成するための金型ブロックを金型の外方向にスライドさせることで、金型から容易に離型させることができる。
図8(b)・図9(b)は、施錠状態を現すものであり、蓋体33が容器本体31側に沈み込むつつ、ラッチバー38が外側に伸長し、係止部材39先端の第二の係合部たる突起40が、第一の嵌合部45につば部44と係合し、衝撃等によっては外れ難くなる。
【0021】
図10乃至図17は、第三の実施形態である基板収納容器における施錠機構51を示すものである。
この施錠機構51は、上述の施錠機構とは異なり、蓋体内に組み込まれるのではなく、容器本体の外側に設けられる。
カム溝52を備えた板状をした被操作部材53が容器本体54の側壁の上辺側から下辺側にかけて移動可能に配置されている。容器本体54の開口55の側壁には容器本体切り欠き56が形成されている。また、蓋体57の側壁には、図11に示すような、蓋体切り欠き部58が形成されていて、蓋体切り欠き部58と隣接するように係合凹部59が形成されている。係合凹部59には、断面略L字形のリブ60が形成されている。
【0022】
被操作部材53のカム溝52には、図12に示すように、第二の嵌合部をなす係止部材61が移動可能に支持されていて、被操作部材53の動きに応じて、容器本体54と蓋体57の蓋体切り欠き部58から出没して、蓋体57の係合凹部59に嵌合して蓋体57を容器本体54に固定する。
このとき、係合凹部59の断面L字形のリブ60が第一の嵌合部となり、係止部材61の先端が折れ曲がった部分62は、第二の嵌合部となり、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合うことで、強固に施錠される。
この場合も先ほどの実施形態と同様の効果が得られる。
【0023】
図14は、加工装置に第三の実施形態の施錠機構を備えた基板収納容器が搭載されたときの状態を表していて、被操作部材53の両端部は、装置側に設けられる操作手段63によってアクセス可能となっている。被操作部材53は、上下方向に移動可能に支持されている。なお、こうした被操作部材は、側壁の上辺と下辺に軸支して、左右方向に移動させるようにすることもできる。
【0024】
図15は、容器本体54に設けられる施錠機構の要部を表す分解斜視図であり、施錠機構は、容器本体54の開口部分に被操作部材53を上下動可能に取り付けるためのガイド部材64と、被操作部材53と、両者の間に位置する係止部材61とを有している。ガイド部材64には、係止部材61を収納し、係止部材61を移動可能に支持するための収納溝65と、1対の第一の円柱突起66が形成されていて、この1対の第一の円柱突起66が、係止部材61に形成される第一のカム溝67に係合して、これを支持している。
【0025】
第一のカム溝67は、ほぼ垂直に形成された垂直溝68と、垂直溝68の端部に形成される傾斜溝69と、傾斜溝69の他端部に形成される水平溝70とを有している。
また、収納溝65の側壁は、被操作部材53が上下動するときの幅方向の動きを規制している。係止部材61には、前記した第一のカム溝67と、被操作部材53と係合するための1対の第二の円柱突起71が形成されている。
被操作部材53の係止部材61の第二の円柱突起71と向き合う領域には、第二のカム溝72が形成されていて、係止部材61の第二の円柱突起71と係合して支持されている。
第二のカム溝72は、水平方向に対して僅かな傾斜角度に形成される緩傾斜溝73と、垂直方向から僅かに傾斜した急傾斜溝74とを有する。
【0026】
図16(a)〜(d)は、解錠状態において、被操作部材53が下方に押されて、施錠するまでの被操作部材53と、係止部材61の動きを表している。
図16(a)の状態では、係止部材61の第二の円柱突起71が、被操作部材53の緩傾斜溝73の一端に係合されていて、上下方向の移動は制限されているので、両者の相対位置は変化しないで、これらの部材は、第一の円柱突起66に案内されながら、第一のカム溝67の垂直溝68の上端に位置する図16(b)の状態まで、一緒に下降していく。
次の段階である図16(b)〜図16(c)の状態では、係止部材61が、第一の円柱突起66に案内されて、第一のカム溝67の垂直溝68と連結された傾斜溝69の他端部まで移動するようになるので、係止部材61と被操作部材53とは斜め下方に移動することとなる。すなわち、係止部材の第二の嵌合部75が、図16の図内で右側に移動しながら下降していくこととなる。このとき、第二の円柱突起71は、第二のカム溝72の緩傾斜溝73の他端部に位置するようになる。
【0027】
引き続いて、被操作部材53が、さらに下降されていくと、図16(d)に示されるように、被操作部材53の第二のカム溝72は、第二の円柱突起71と、急傾斜溝74とで接触するようになり、この急傾斜溝74の端部に位置するまで右方向に僅かに移動しながら下方に移動するようになる。一方、係止部材61は、下方には移動せずに第一のカム溝67の水平溝70に沿って右方向に水平に移動するようになる。
このように、施錠の最終段階においては、被操作部材53と、係止部材61とは異なる方向に動くようになり、第一の嵌合部と第二の嵌合部75とが係合する位置まで移動する。
【0028】
図17(a)〜(d)は、係止部材61の動きを蓋体の係止凹部59とL字型形のリブ60との関係で示している。
図16(a)〜(d)で説明したように、第二の嵌合部75は、蓋体の切り欠き76領域(係止凹部の上方で、第一の嵌合部であるL字型形のリブ60の斜め上方)に位置している。被操作部材53が下方に押されることで、係止部材61は、下方に移動するとともに、次に第一の嵌合部に接近する方向に僅かに移動して、さらに下方に押圧されることで、第一の嵌合部と、第二の嵌合部75とが接触して嵌合するまで図17の右方向に移動することとなる。この状態で容器本体と蓋体とは施錠されて、固定される。
このように、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合うことで、容器本体と蓋体とは、強固に施錠される。
この場合も先ほどの実施形態と同様の効果が得られる。
なお、解錠するときには、上記と逆の動きをすることで、解錠される。
【符号の説明】
【0029】
1:開口
2:容器本体
3:蓋体
4:係合凹部
5:(容器本体2⇒2の左右の)内側壁
6:支持部
7:ロボティックフランジ
8:マニュアルハンドル
9:サイドレール
10:ボトムプレート
11:フロントリテーナ
12:ガスケット
13:施錠機構
14:回転部材
15:カム溝
16:連結部
17:ラッチバー
18:係止部材(第一の嵌合部)
19:軸部
20:第一の端部
21:第二の端部
22:第三の端部(係止部材)
23:貫通穴
24:回転ローラ(第二の嵌合部)
25:軸
26:(円弧状の)突起部(第一の嵌合リブ)
31:容器本体
32:開口
33:蓋体
34:施錠機構
35:回転部材
36:カム溝
37:連結部材
38:ラッチバー
39:係止部材
40:突起(第二の嵌合部)
41:貫通穴
42:ガイドリブ
43:係合凹部
44:つば部
45:第一の嵌合リブ
46:第一の嵌合部
51:施錠機構
52:カム溝
53:被操作部材
54:容器本体
55:開口
56:容器本体切り欠き
57:蓋体
58:蓋体切り欠き部
59:係合凹部
60:L字形のリブ(第一の嵌合部)
61:係止部材(第二の嵌合部)
62:第二の嵌合部(先端が折れ曲がった部分)
63:操作手段
64:ガイド部材
65:収納溝
66:第一の円柱突起
67:第一のカム溝
68:垂直溝
69:傾斜溝
70:水平溝
71:第二の円柱突起
72:第二のカム溝
73:緩傾斜溝
74:急傾斜溝
75:(係止部材61の)第二の嵌合部
76:切り欠き
77:(ガイド部材の)内側壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構は、外部から操作可能な被操作部材と、該被操作部材の動きに連動して、係合凹部に嵌入される係止部を備えたラッチバーとを有し、該係合凹部には、つば部を備えた第一の嵌合部が形成され、前記係止部材には、第二の嵌合部が形成されていて、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが嵌合することを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記係止部材の第二の嵌合部には、つば部が備えられ、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合う請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記施錠機構が、回転部材と、一端が回転部材に係合することで、回転部材の動きに連動して係止凹部に出没するラッチバーとからなり、ラッチバーの他端の係止部材の第二の嵌合部が円弧状の軌跡を描いて、係合凹部の第一の嵌合部に、噛み合う請求項1又は2記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記ラッチバーが、回転部材の操作孔よりも蓋体の幅方向の中心線寄りに配置されていて、回転部材と連動する連結部によってラッチバーが蓋体の幅方向にスライドして係止凹部に挿入される請求項3記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記ラッチバーが、回転部材に設けられるカム溝に係合される円柱突起を一端に有し、他端は蓋体に揺動可能に軸支されていて、ラッチバーの他端には、係止部材が軸支されていて、回転部材の動きに連動してラッチバーが蓋体の側壁方向にスライドし、該係止部材は、ラッチバーの動きに合わせて、蓋体の厚さ方向に円弧状に移動して、係止凹部の第一の嵌合部を乗り越えて嵌合する請求項3記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記係止凹部が、容器本体の開口部内側から外側にかけて形成される貫通穴を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項7】
開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構が、容器本体の外壁に固定されていて、カム溝を備えた棒状又は板状をした非操作部と、カム溝を介して移動可能に支持される第二の嵌合部を備えた係合部とを有し、蓋体には、係合部が通過可能な切欠きと、係止凹部となる第一の嵌合部が形成されていて、係合凹部の第一の嵌合部と、係止部材の第二の嵌合部とが噛み合うことを特徴とする基板収納容器。
【請求項1】
開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構は、外部から操作可能な被操作部材と、該被操作部材の動きに連動して、係合凹部に嵌入される係止部を備えたラッチバーとを有し、該係合凹部には、つば部を備えた第一の嵌合部が形成され、前記係止部材には、第二の嵌合部が形成されていて、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが嵌合することを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記係止部材の第二の嵌合部には、つば部が備えられ、第一の嵌合部と第二の嵌合部とが噛み合う請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記施錠機構が、回転部材と、一端が回転部材に係合することで、回転部材の動きに連動して係止凹部に出没するラッチバーとからなり、ラッチバーの他端の係止部材の第二の嵌合部が円弧状の軌跡を描いて、係合凹部の第一の嵌合部に、噛み合う請求項1又は2記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記ラッチバーが、回転部材の操作孔よりも蓋体の幅方向の中心線寄りに配置されていて、回転部材と連動する連結部によってラッチバーが蓋体の幅方向にスライドして係止凹部に挿入される請求項3記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記ラッチバーが、回転部材に設けられるカム溝に係合される円柱突起を一端に有し、他端は蓋体に揺動可能に軸支されていて、ラッチバーの他端には、係止部材が軸支されていて、回転部材の動きに連動してラッチバーが蓋体の側壁方向にスライドし、該係止部材は、ラッチバーの動きに合わせて、蓋体の厚さ方向に円弧状に移動して、係止凹部の第一の嵌合部を乗り越えて嵌合する請求項3記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記係止凹部が、容器本体の開口部内側から外側にかけて形成される貫通穴を備えている請求項1〜5のいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項7】
開口を有し、収納する基板を支持する棚状支持部を備えた容器本体と、容器本体の開口をシール可能に閉鎖する蓋体とを有する基板収納容器であって、基板収納容器には容器本体と蓋体とを係合させるための施錠機構が備えられていて、該施錠機構が、容器本体の外壁に固定されていて、カム溝を備えた棒状又は板状をした非操作部と、カム溝を介して移動可能に支持される第二の嵌合部を備えた係合部とを有し、蓋体には、係合部が通過可能な切欠きと、係止凹部となる第一の嵌合部が形成されていて、係合凹部の第一の嵌合部と、係止部材の第二の嵌合部とが噛み合うことを特徴とする基板収納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−258659(P2011−258659A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130349(P2010−130349)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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