説明

基板収納容器

【課題】薄く撓む基板も安全に支持でき、基板に衝撃等が伝播するのを防ぎ、製造の安定化やコストを削減できる基板収納容器を提供する。
【解決手段】半導体ウェーハの容器本体1と、容器本体1に装着される半導体ウェーハ用の支持体50とを備え、容器本体1の天板8と底板3に取付突起4を形成し、容器本体1の背面壁12側部を湾曲突部13に形成してその表面には嵌合突起を形成する。支持体50を、容器本体1の側壁22内面前方に対向する前部支柱51と、湾曲突部13に対向する後部支柱54と、前部支柱51と後部支柱54間に位置する中間支柱と、これらに架設される半導体ウェーハ用の支持片62とから構成し、前部支柱51に、取付突起4に干渉する位置決め干渉片52を形成し、後部支柱54に、嵌合突起に嵌まる位置決め嵌合溝を形成し、複数の支持片62間に空隙63を区画し、かつ各支持片62を前部支持片64と後部支持片65に分割する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる基板を収納、保管、搬送、輸送等する際に使用される基板収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における基板収納容器は、図示しないが、複数枚の半導体ウェーハを収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面を開閉する着脱自在の蓋体とを備え、容器本体の内部両側に、半導体ウェーハを水平に支持する左右一対の支持片が上下方向に複数配設されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
半導体ウェーハは、φ300mmのシリコンウェーハからなるが、近年、チップサイズの大型化や生産性向上の観点から、薄く撓みやすいφ450mmのシリコンウェーハの採用が検討され始めている。また、容器本体は、高剛性、透明性、導電性等に優れる材料により、フロントオープンボックスに形成されている。一対の支持片は、容器本体の上下方向に所定の間隔で配列され、各支持片が半導体ウェーハの側部周縁に沿うよう細長い剛性の板に形成されている。
【0004】
ところで、複数の支持片は、半導体ウェーハを接触支持する関係上、容器本体に要求される性能の他、耐磨耗性や耐熱性等をも要求されるので、これら耐磨耗性や耐熱性を有する材料により形成される必要がある。この点に鑑み、従来における容器本体と複数の支持片とは、異なる性能を発揮する成形材料により所定の方法で形成されることが少なくない。
【0005】
この場合の方法としては、(1)先に成形した複数の支持片を容器本体の成形時に金型にインサートして容器本体と複数の支持片とを一体化する方法、(2)容器本体と複数の支持片とを別々に成形し、容器本体に成形した複雑な取付構造に支持片を後から組み合わせる方法等があげられる。
【0006】
しかしながら、(1)の方法の場合には、容器本体と複数の支持片とを一体成形することができるものの、容器本体用の成形材料と支持片用の成形材料とが成形時に溶融して接合する必要があるので、選択すべき成形材料が制約されるという大きな問題が生じることとなる。また、(2)の方法の場合には、容器本体の内部両側に複数の支持片をそれぞれ装着することができ、しかも、選択すべき成形材料が制約されることがないものの、容器本体と複数の支持片との寸法出しや寸法精度の維持に支障を来たすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003‐68839号公報
【特許文献2】WO2009/157321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来における基板収納容器は、以上のように構成され、支持片が細長い剛性の板に単に形成されるに止まるので、薄く撓みやすいφ450mmのシリコンウェーハを収納する場合には、半導体ウェーハを安全に支持することが難しいという問題がある。また、従来における基板収納容器は、容器本体と剛性の支持片とが単に一体成形されたり、容器本体の内部両側に剛性の支持片が単に後付けされるので、輸送時や落下時に容器本体から半導体ウェーハに衝撃や振動が伝播し易く、半導体ウェーハの損傷や破損を招き易いという問題がある。
【0009】
さらに、容器本体の成形時に容器本体に支持片用の取付構造を共に成形するのは容易ではなく、取付構造を成形しようとすると、容器本体の成形が不安定になったり、金型の構造が非常に複雑化したり、製造コストが嵩むおそれがある。
【0010】
本発明は上記に鑑みなされたもので、薄く撓みやすい基板をも安全に支持することができ、輸送時等に容器本体から基板に衝撃や振動が伝播するのを防ぎ、容器本体の製造の安定化や製造コストの削減を図ることのできる基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては上記課題を解決するため、基板を収納する容器本体と、この容器本体の内部側方に取り付けられて基板を支持する支持体とを備えたものであって、
容器本体を正面が開口したフロントオープンボックスに構成してその天板と底板とには、支持体用の取付突起をそれぞれ設け、
支持体は、容器本体の側壁内面前方に対向する前部支柱と、容器本体の周壁内面に対向して取り付けられる後部支柱と、これら前部支柱と後部支柱との間に位置する中間支柱と、これら前部支柱、後部支柱、及び中間支柱の間に架設されて基板を略水平に支持する支持片とを含み、前部支柱の上下部に、容器本体の取付突起に干渉する位置決め干渉片をそれぞれ形成し、支持片を前部支柱、後部支柱、及び中間支柱の上下方向に複数配列して隣接する支持片と支持片との間には空隙を区画し、各支持片を、前部支柱と中間支柱との間に架設される前部支持片と、後部支柱と中間支柱との間に架設される後部支持片とに分割したことを特徴としている。
【0012】
なお、容器本体の開口した正面を開閉する着脱自在の蓋体を含み、この蓋体には、施錠機構を設けるとともに、基板の前部周縁を保持する弾性のリテーナを取り付けることができる。
また、容器本体の背面壁側部を内方向に凹ませることにより突部を形成してその表面には支持体用の嵌合突起を形成し、支持体の後部支柱を容器本体の背面壁の突部に対向させ、この後部支柱には、突部の嵌合突起に嵌まる位置決め嵌合溝を形成することができる。
【0013】
また、容器本体の底板に、容器本体の外部から内部に気体を供給する給気バルブと、容器本体の内部から外部に気体を排気する排気バルブとをそれぞれ取り付け、給気バルブを容器本体の背面壁と側壁、及び支持体の間に位置させ、支持体の後部支持片に、給気バルブの気体を整流する包囲片を容器本体の側壁方向に向けて設けることができる。
【0014】
また、支持体の後部支柱、後部支持片、あるいは後部支柱と後部支持片との間に、給気バルブの気体を基板方向に流出させる流出口を設けることが可能である。
また、容器本体の側壁内面に、支持体用の嵌合片を容器本体の正面方向に向けて形成し、支持体の後部支柱に、突部の表面に接触する突片を形成し、後部支持片は、容器本体の嵌合片に嵌まる嵌合ブロックを形成することが可能である。
【0015】
また、容器本体の側壁内面に、支持体を前後方向に位置決めするレールリブを形成してその高さを容器本体の正面から背面壁方向に向かうにしたがい徐々に低くし、容器本体の側壁内面に、支持体の前部支柱に干渉する支持体用の抜け止めストッパを形成し、この抜け止めストッパとレールリブとに支持体の前部支柱を挟み持たせることが可能である。
【0016】
また、容器本体の突部表面と支持体の後部支柱との対向部をそれぞれ平坦面に形成し、嵌合突起を、突部の平坦面に形成されて上下方向に伸びる位置決めリブと、この位置決めリブに交差して形成される交差リブとから形成し、支持体の位置決め嵌合溝を、後部支柱の平坦面に形成されて突部の位置決めリブに嵌まる位置決め溝と、この位置決め溝に交差して形成され、突部の交差リブに嵌まる交差溝とから形成することも可能である。
【0017】
また、支持体の後部支柱の前面を容器本体の幅方向に傾けるとともに、この前面に基板の後部周縁を保持する保持溝を形成することにより、基板の収納位置を規制する規制面を形成しても良い。
また、支持体の前部支持片に、基板の側部周縁を略水平に支持する接触隆起部を形成し、この接触隆起部の前方には、基板の前方への飛び出しを規制する段差隆起部を隣接させ、後部支持片に、後部支柱の規制面の前方に位置して基板の側部周縁を略水平に支持する接触隆起部を形成すると良い。
【0018】
さらに、基板を収納する容器本体と、この容器本体の内部側方に取り付けられて基板を支持する支持体とを備え、
容器本体を正面が開口したフロントオープンボックスに構成し、この容器本体の側壁内面に、支持体を前後方向に位置決めするレールリブを形成してその高さを容器本体の正面から背面壁方向に向かうにしたがい徐々に低くするとともに、容器本体の側壁内面に支持体用の抜け止めストッパを形成し、
支持体は、容器本体の側壁内面前方に対向してレールリブと抜け止めストッパとに挟み持たれる前部支柱と、容器本体の周壁内面に対向して取り付けられる後部支柱と、これら前部支柱と後部支柱との間に位置する中間支柱と、これら前部支柱、後部支柱、及び中間支柱の間に架設されて基板を略水平に支持する支持片とを含み、支持片を前部支柱、後部支柱、及び中間支柱の上下方向に複数配列して隣接する支持片と支持片との間には空隙を区画するとともに、各支持片を、前部支柱と中間支柱との間に架設される前部支持片と、後部支柱と中間支柱との間に架設される後部支持片とに分割しても良い。
【0019】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくともφ300mmやφ450mmの半導体ウェーハ、マスクガラス、液晶基板等が含まれる。また、容器本体は、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。この容器本体の周壁には、少なくとも側壁と背面壁とが含まれる。容器本体の背面壁には、基板の後部周縁を保持可能なリテーナを設けることができる。さらに、支持体の前部支柱には、容器本体の抜け止めストッパに干渉される切り欠きを形成することができる。
【0020】
本発明によれば、容器本体に別体の支持体を内蔵して取り付ける場合には、容器本体の周壁内面、例えば容器本体の背面壁又は側壁の内面に支持体の後部支柱を固定し、容器本体の側壁内面側に支持体の前部側を撓ませてその前部支柱の位置決め干渉片を取付突起に干渉支持させれば、容器本体に支持体を取り付けることができる。
【0021】
支持体の複数の支持片間に空隙を形成するとともに、各支持片を前部支持片と後部支持片とに分割・分断し、支持体の弾性を向上させて全体として弾性構造とするので、例え基板が薄く撓みやすい大型の基板でも、基板を安全に支持することができる。また、基板収納容器の輸送時等に容器本体に衝撃や振動が作用しても、この衝撃や振動を支持体が吸収緩和するので、容器本体から基板に衝撃や振動が伝播するのを抑制することができる。また、支持体用の取付突起等が簡易な構成なので、容器本体の成形時に容器本体に支持片用の取付構造を容易に一体成形することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、薄く撓みやすい基板をも安全に支持することができ、輸送時等に容器本体から基板に衝撃や振動が伝播するのを防ぎ、容器本体の製造の安定化や製造コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0023】
また、請求項2記載の発明によれば、容器本体の背面壁に突部と嵌合突起とを併せて形成するので、容器本体の側壁内面に支持体の後部支柱用の取付構造を設ける必要がない。
また、請求項3記載の発明によれば、容器本体内の気体と外部の気体とを短時間で効率的に置換することができる。
【0024】
また、請求項4記載の発明によれば、支持体の流出口が気体の流通性を向上させるので、給気バルブから容器本体内に供給される気体が支持体の後部支柱や後部支持片付近で滞留するのを防ぐことができる。
また、請求項5記載の発明によれば、支持体の前部支柱を高精度に位置決めし、かつ強固に固定することが可能になる。
【0025】
また、請求項6記載の発明によれば、嵌合突起の位置決めリブ及び交差リブと、位置決め嵌合溝の位置決め溝及び交差溝との嵌め合いにより、支持体やその支持片、そして、支持片に支持される基板を高精度に位置決めすることが可能になる。
また、請求項7記載の発明によれば、容器本体に対する基板の過剰な挿入や収納を防ぐことが可能になる。
【0026】
また、請求項8記載の発明によれば、接触隆起部のみに基板の側部周縁を接触支持させることができるので、前部支持片と後部支持片の基板に対する接触領域を減少させ、接触に伴う磨耗や塵埃の発生防止が期待できる。さらに、前部支持片の段差隆起部により、基板が容器本体の正面から外部に飛び出すのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す全体斜視説明図である。
【図2】本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体の裏面を模式的に示す斜視説明図である。
【図3】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体の一部を模式的に示す部分斜視説明図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体の一部と支持体とを模式的に示す部分斜視説明図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体に対する支持体の取付構造を模式的に示す部分斜視説明図である。
【図6】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体と支持体とを模式的に示す断面平面図である。
【図7】本発明に係る基板収納容器の実施形態における嵌合突起を模式的に示す斜視説明図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の実施形態における支持体を模式的に示す斜視説明図である。
【図9】本発明に係る基板収納容器の実施形態における支持体の外側面側を模式的に示す斜視説明図である。
【図10】本発明に係る基板収納容器の実施形態における位置決め嵌合溝を模式的に示す説明図である。
【図11】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体の湾曲突部と支持体の後部とを模式的に示す部分断面平面図である。
【図12】本発明に係る基板収納容器の第2の実施形態を模式的に示す断面平面図である。
【図13】本発明に係る基板収納容器の第3の実施形態を模式的に示す部分断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図11に示すように、複数枚の基板である半導体ウェーハを収納する容器本体1と、この容器本体1の開口した正面2にシール状態に嵌合される蓋体30と、容器本体1の内部両側に配設されて複数枚の半導体ウェーハを支持する左右一対の支持体50とを備え、容器本体1と一対の支持体50とを別々に成形して各支持体50を全体として弾性構造とするようにしている。
【0029】
各半導体ウェーハは、図示しないが、例えばφ300mmあるいはφ450mmのシリコンウェーハからなり、図示しない専用のロボットにより容器本体1に水平に挿入されたり、水平状態で容器本体1から取り出される。
【0030】
容器本体1と蓋体30とは、所定の樹脂を含有する成形材料によりそれぞれ射出成形されたり、成形された複数の部品の組み合わせで構成される。この成形材料の所定の樹脂としては、例えばポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等があげられる。
【0031】
これら成形材料の樹脂には、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属繊維、金属酸化物、導電性ポリマー等の導電剤やアニオン、カチオン、非イオン系等の各種帯電防止剤が選択的に添加される。また、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、ヒンダードアミン系の紫外線吸収剤を添加したり、剛性を向上させるガラス繊維や炭素繊維等を添加することも可能である。
【0032】
容器本体1は、図1、図3、図4、図6に示すように、正面2が横長に開口したフロントオープンボックスタイプに成形され、底板3の前部両側と後部中央とに、容器本体1を位置決めする位置決め具がそれぞれ配設されており、開口した正面2を水平横方向に向けた状態で半導体加工装置に付属の蓋体開閉装置上に位置決め具を介し位置決め搭載されたり、洗浄槽の洗浄液により洗浄される。
【0033】
容器本体1の底板3内面の前部両側には、容器本体1の周壁である側壁22に隣接する支持体50用の取付突起4がそれぞれ立設される。各取付突起4は、図3ないし図5に示すように、左右横方向に並ぶ一対のリブ板5を備え、この一対のリブ板5の間に挟持用の狭い隙間6が区画形成されており、各リブ板5が横長の矩形に形成される。また、底板3の外面には図1に示すように、平坦な別体のボトムプレート7が螺子具を介して水平に螺着され、このボトムプレート7から複数の位置決め具がそれぞれ下方に露出する。
【0034】
容器本体1の天板8内面の前部両側には図示しないが、容器本体1の側壁22に隣接する支持体50用の取付突起4がそれぞれ設けられ、この複数の取付突起4が底板3の取付突起4に対向する。各取付突起4は、左右横方向に並ぶ一対のリブ板5を備え、この一対のリブ板5の間に挟持用の狭い隙間6が区画形成されており、各リブ板5が横長の矩形に形成される。また、天板8外面の略中央部には図1に示すように、搬送用のトップフランジ9が着脱自在に装着され、このトップフランジ9が工場の天井搬送機構に把持される。
【0035】
容器本体1の正面2周縁部には、外方向に張り出すリムフランジ10が保持リブを介し膨出形成され、このリムフランジ10内に着脱自在の蓋体30が蓋体開閉装置により圧入して嵌合される。このリムフランジ10の内周面の上下両側部、換言すれば、容器本体1の正面2内周面の上下両側部には図3ないし図6に示すように、蓋体30用の施錠穴11がそれぞれ穿孔される。
【0036】
容器本体1の周壁である背面壁12の両側部は、図3や図6に示すように、剛性確保の観点から容器本体1の内方向にそれぞれ略半円筒形に凹むことにより、支持体50の後部に対向する断面略U字形の湾曲突部13に形成され、各湾曲突部13の表面の支持体50後部に対向する対向部が縦長の平坦面14に形成されており、この平坦面14に支持体50用の嵌合突起15が形成される。
【0037】
嵌合突起15は、図3、図6、図7に示すように、湾曲突部13の平坦面14に突出形成されて容器本体1の上下方向に伸びる細長い位置決めリブ16と、この位置決めリブ16の略中央部に直交して一体形成される短い交差リブ17とを備え、支持体50をXZ方向に位置決めするよう機能する。これら十字を区画する位置決めリブ16と交差リブ17とは、支持体50との嵌合精度を向上させる観点から側面18が傾斜形成され、容器本体1の前方に向かうにしたがい徐々に先細りとなる。
【0038】
容器本体1の背面壁12の内面中央部付近には図3、図4、図6に示すように、半導体ウェーハの後部周縁を保持可能な左右一対のリアリテーナ19が必要に応じて配設される。このリアリテーナ19は、容器本体1の背面壁12内面に設けられる細長い縦長のリアバー20を備える。
【0039】
リアバー20は、複数の保持ピン21が上下方向に所定の間隔で配列形成され、各保持ピン21が基板収納容器の通常の支持状態の場合には、半導体ウェーハと非接触となるよう前方に水平に突出する。保持ピン21は、基板収納容器が落下等して半導体ウェーハが大きく変位する場合に、半導体ウェーハの後部周縁に接触してその位置ずれを規制し、かつ半導体ウェーハの損傷を防止する。
【0040】
容器本体1の両側壁22の内面中央部付近には図3に示すように、容器本体1の前後方向に水平に伸びる断面矩形のレールリブ23がそれぞれ一体的に突出形成され、各レールリブ23が支持体50の前部を支持して前後方向に位置決めするよう機能する。レールリブ23は、容器本体1の正面2側に位置する先端部23aが傾斜形成され、容器本体1の正面2から背面壁12方向に向かうにしたがい徐々に低くなるよう調整される。
【0041】
レールリブ23の先端部23aは、図6に示すように、容器本体1の側壁22から正面2側に張り出すよう鋭角に突出する。このようなレールリブ23は、後述する抜け止めストッパ24との間に支持体50の前部を挟持する。
【0042】
容器本体1の各側壁22の内面前部には同図に示すように、レールリブ23の前方に位置する複数の抜け止めストッパ24が上下方向に間隔をおき並べて形成され、各抜け止めストッパ24が上下方向に指向する細長い断面略L字形に屈曲形成される。この抜け止めストッパ24は、支持体50の前部に干渉して支持するとともに、レールリブ23の突出した鋭利な先端部23aとの間に支持体50の前部を挟持することにより、支持体50が容器本体1の正面2から外部に飛び出したり、YZ方向に位置ずれするのを抑制する。
【0043】
容器本体1の各側壁22外面の略中央部には、ハンドルを備えたグリップ部が着脱自在に装着される。このグリップ部は、握持操作される他、容器本体1を補強して変形を防止するよう機能する。
【0044】
蓋体30は、図1や図2に示すように、容器本体1のリムフランジ10内に圧入して嵌合される中空の蓋本体31と、この蓋本体31の開口した正面を被覆する表面プレート40と、蓋本体31と表面プレート40との間に介在される施錠機構42と、容器本体1のリムフランジ10と蓋本体31との間に介在される密封封止用のシールガスケット45とを備えて構成される。
【0045】
蓋本体31は、基本的には底の浅い断面略皿形に形成され、内部に補強用や取付用のリブが複数配設されており、半導体ウェーハに対向する対向面である裏面には、半導体ウェーハの前部周縁を弾発的に保持するフロントリテーナ32が装着される。
【0046】
フロントリテーナ32は、特に限定されるものではないが、例えば図2に示すように、蓋本体31の裏面両側部に固定される左右一対の支柱33と、各支柱33から蓋本体31の裏面中央部方向に並んで屈曲して伸びる複数の第一の弾性片34と、この複数の第一の弾性片34の先端部に連結される左右一対の中間支柱35と、この一対の中間支柱35間に水平に架設して連結される複数の第二の弾性片36とを備えて構成される。
【0047】
このフロントリテーナ32は、一対の支柱33が施錠機構42の一部とオーバーラップし、各第一、第二の弾性片34・36に、半導体ウェーハの前部周縁を断面略V字形や略Y字形の保持溝で保持する第一、第二の保持ブロック37・38がそれぞれ一体形成されており、各中間支柱35が蓋本体31の裏面に固定されて第一、第二の弾性片34・36を分割し、かつ第二の弾性片36の撓みを規制する。
【0048】
蓋本体31の裏面周縁部には枠形の嵌合溝が凹み形成され、この嵌合溝にシールガスケット45が密嵌される。また、蓋本体31の周壁の上下両側部には、容器本体1の施錠穴11に対向する施錠機構42用の出没孔39がそれぞれ穿孔される。
【0049】
表面プレート40は、図1に示すように、蓋本体31の開口した正面に対応する横長の正面矩形に形成され、両側部に施錠機構42用の操作孔41がそれぞれ穿孔されており、各操作孔41が蓋体開閉装置の操作キーに貫通される。
【0050】
施錠機構42は、同図に部分的に示すように、蓋本体31内の両側部に回転可能に軸支されて表面プレート40の操作孔41を貫通した蓋体開閉装置の操作キーに操作される左右一対の回転プレート43と、各回転プレート43の回転に伴い蓋本体31内の上下方向にスライドする複数のスライドプレート44と、各スライドプレート44のスライドに伴い蓋本体31の出没孔39から出没する揺動可能な複数の施錠爪とを備えて構成される。
【0051】
施錠機構42は、複数のスライドプレート44がフロントリテーナ32の支柱33や第一の弾性片34に蓋本体31を介し間接的に対向し、各施錠爪がスライドプレート44の先端部と蓋本体31の出没孔39とに回転可能に軸支される。
【0052】
このような施錠機構42は、容器本体1のリムフランジ10に蓋体30が嵌合された後、各回転プレート43が操作されてスライドプレート44を蓋本体31の周壁方向にスライドさせ、各施錠爪が出没孔39から突出して容器本体1の施錠穴11に嵌合係止することにより、蓋体30を強固に施錠して脱落を防止する。
【0053】
シールガスケット45は、例えば耐熱性や耐候性等に優れるフッ素ゴム、シリコーンゴム、各種の熱可塑性エラストマー(例えば、オレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系等)等を成形材料として弾性変形可能な枠形に成形され、容器本体1のリムフランジ10内に蓋体30が嵌合された際、リムフランジ10の内周面に圧接する。
【0054】
各支持体50は、摺動性に優れるポリアセタール、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、摺動剤の添加された熱可塑性樹脂を含有する成形材料により成形される。
【0055】
各支持体50は、図4ないし図6、図8、図9等に示すように、容器本体1の側壁22内面前方に対向接触してレールリブ23の先端部23aと複数の抜け止めストッパ24とに挟持される前部支柱51と、容器本体1の湾曲突部13に対向接触する後部支柱54と、前部支柱51と後部支柱54との中間に位置して容器本体1の側壁22内面に対向接触する中間支柱61と、これら前部支柱51、後部支柱54、及び中間支柱61の間に水平に架設されて半導体ウェーハの裏面側部周縁を略水平に支持する複数の支持片62とを備えて構成される。
【0056】
支持体50の前部支柱51の上下両端部には、容器本体1の取付突起4に干渉する位置決め干渉片52がそれぞれ突出形成され、各位置決め干渉片52が容器本体1の前後方向に伸びる板形に形成されており、この位置決め干渉片52が取付突起4の一対のリブ板5間の隙間6に挟持されることにより、容器本体1の側壁22と前部支柱51との間の距離が規制されるとともに、前部支柱51が位置決め固定される。
【0057】
前部支柱51の前端面には、縦長の切り欠き53が上下方向に並べて切り欠かれ、各切り欠き53に容器本体1の抜け止めストッパ24が嵌合することにより、支持体50の位置ずれやガタツキが防止される。
【0058】
後部支柱54は、前部支柱51や中間支柱61と同様に容器本体1の上下方向に指向してその前面が規制面55に形成され、後面に位置決め嵌合溝58が形成されており、この位置決め嵌合溝58が湾曲突部13の嵌合突起15に密嵌する。後部支柱54の規制面55は、図4ないし図6、図8、図11に示すように、後部支柱54の前面が容器本体1の左右幅方向に傾斜するとともに、この前面に半導体ウェーハの後部周縁を保持するV溝56が上下方向に並べて切り欠かれることにより形成され、容器本体1に対する半導体ウェーハの挿入位置を規制するよう機能する。
【0059】
後部支柱54の湾曲突部13の平坦面14に対向する後面は、縦長の平坦面57に形成され、この平坦面57に位置決め嵌合溝58が一体形成される。この位置決め嵌合溝58は、図6、図9ないし図11に示すように、平坦面57の上下方向に凹み形成されて湾曲突部13の位置決めリブ16に密嵌する細長い位置決め溝59と、この位置決め溝59の略中央部に直交して形成され、湾曲突部13の交差リブ17に密嵌する短い交差溝60とを備えて形成される。これら十字を区画する位置決め溝59と交差溝60の内面は、嵌合精度を向上させる観点から、湾曲突部13の嵌合突起15と同様に傾斜形成される。
【0060】
複数の支持片62は、図4ないし図6、図8、図9に示すように、前部支柱51、後部支柱54、及び中間支柱61の上下方向に所定の間隔で配列され、上下方向に隣接する支持片62と支持片62との間に空隙63が区画されており、この空隙63が半導体ウェーハに対する衝撃や振動を吸収・緩和する。
【0061】
各支持片62は、前部支柱51と中間支柱61との間に水平に湾曲して架設される前部支持片64と、後部支柱54と中間支柱61との間に水平に湾曲して架設される平面略半円弧形の後部支持片65とに分割され、これら前後に並ぶ前部支持片64と後部支持片65との間に隙間66が形成されており、この隙間66が前部支持片64と後部支持片65とにそれぞれ弾性を付与して支持体50の取付作業を容易化する。特に、レールリブ23の先端部23aと複数の抜け止めストッパ24との狭い間に支持体50の前部支柱51を挟持させる作業を容易化する。
【0062】
各前部支持片64は、図5や図8に示すように、基本的には細長い平坦な板片に形成され、表面前部に半導体ウェーハの側部周縁を略水平に支持する平坦な接触隆起部67が形成されており、この接触隆起部67の前方には、半導体ウェーハの側部周縁前方に接触して前方への飛び出しを規制する段差隆起部68が接触隆起部67よりも高く隣接形成される。
【0063】
複数の後部支持片65は、容器本体1の側壁22内面に間隙を介して対向し、この対向する外側面側に、容器本体1の側壁22内面に接触する縦長の包囲片69が一体形成される(図6、図9、図11参照)。各後部支持片65は、基本的には細長い平坦な板片に形成され、表面後部には、後部支柱54の規制面55の前方に位置する接触隆起部70が平坦に形成されており、この接触隆起部70が半導体ウェーハの側部周縁を略水平に支持する。
【0064】
このように前部支持片64と後部支持片65の接触隆起部67・70のみが半導体ウェーハの側部周縁を接触支持するので、前部支持片64と後部支持片65の半導体ウェーハに対する接触領域を大幅に減少させてパーティクルの発生を抑制することができる。
【0065】
上記構成において、成形した容器本体1に別体の支持体50を内蔵して装着する場合には、先ず、各湾曲突部13の嵌合突起15に支持体50の位置決め嵌合溝58を嵌合し、容器本体1の各側壁22内面に支持体50の包囲片69を突き当てて接触させる。この際、嵌合突起15と位置決め嵌合溝58とは、ある程度嵌合するものの、完全には密嵌せず、湾曲突部13の平坦面14と後部支柱54の平坦面57とが接触しない非接触の状態となる(図11参照)。
【0066】
容器本体1の側壁22に支持体50の包囲片69を接触させたら、容器本体1の側壁22内面側に各支持体50の前部側を撓ませてその前部支柱51をレールリブ23の先端部23aと複数の抜け止めストッパ24とにきつく挟持させるとともに、前部支柱51の複数の切り欠き53に抜け止めストッパ24をそれぞれ干渉させて嵌合し、取付突起4の一対のリブ板5間に前部支柱51の位置決め干渉片52を挟持させて支持体50をXYZ方向に位置決め固定する。この際、レールリブ23は、支持体50との間の距離を適切に規制する。
【0067】
次いで、左右一対の支持体50の支持片62に半導体ウェーハを水平に支持させ、容器本体1のリムフランジ10内に蓋体30を圧入して嵌合することにより、半導体ウェーハの前部周縁にフロントリテーナ32の第一、第二の保持ブロック37・38を圧接して保持させ、支持体50の後部方向に半導体ウェーハを押しやるとともに、後部支柱54の傾斜した規制面55に半導体ウェーハの後部周縁を接触させて位置決め規制し、前部支持片64の段差隆起部68に半導体ウェーハの側部周縁を接触させる。
【0068】
すると、湾曲突部13の嵌合突起15と支持体50の位置決め嵌合溝58とが完全に密嵌し、湾曲突部13の平坦面14と後部支柱54の平坦面57とが隙間なく圧接して支持体50をXZ方向に位置決め固定するので、容器本体1に支持体50を内蔵して強固に装着することができる。支持体50の後部方向に半導体ウェーハを移動させることで、嵌合突起15と位置決め嵌合溝58とが完全に密嵌するので、嵌合突起15に負荷が繰り返し作用することにより、嵌合突起15が変形したり、損傷するのを有効に防止することができる。
【0069】
上記構成によれば、支持体50の複数の支持片62間に空隙63を区画し、各支持片62の前部支持片64と後部支持片65との間に隙間66を形成してこれら64・65を分断し、支持体50の弾性を著しく向上させて全体として弾性構造とするので、例え半導体ウェーハが薄く撓みやすいφ450mmのシリコンウェーハの場合でも、半導体ウェーハを安全に支持することができる。
【0070】
また、基板収納容器の輸送時や落下時に容器本体1に衝撃や振動が作用しても、この衝撃や振動を支持体50が吸収・緩和するので、容器本体1から半導体ウェーハに衝撃や振動が伝播するのを大幅に抑制することができる。したがって、半導体ウェーハの損傷や破損の防止が大いに期待できる。また、リアバー20の保持ピン21が非常時に半導体ウェーハの位置を規制するので、フロントリテーナ32の保持溝から半導体ウェーハが外れるのを有効に防止することができる。
【0071】
また、支持体50用の取付突起4、嵌合突起15、レールリブ23、及び抜け止めストッパ24が比較的簡易な構成なので、容器本体1の成形時に容器本体1に支持片62用の取付構造を容易に一体成形することが可能となる。したがって、容器本体1を安定して成形することができ、金型の構造を簡素化したり、製造コストを大幅に削減することが可能となる。また、各支持片62を前部支持片64と後部支持片65とに分断することにより、成形時の反りや変形を防止することができるので、応力を緩和して支持体50を高精度に成形することが可能となる。
【0072】
さらに、容器本体1の背面壁12の両側部を内方向に凹ませて断面略U字形の湾曲突部13を形成するので、半導体ウェーハの保持力に対する支持体50取付部の剛性を向上させて変形を防止することができる。さらにまた、湾曲突部13の平坦面14と後部支柱54の平坦面57とを接触させて嵌合突起15と位置決め嵌合溝58との過剰な密嵌を防止するので、これら嵌合突起15と位置決め嵌合溝58の過剰な密嵌に伴う損傷防止が大いに期待できる。
【0073】
次に、図12は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、容器本体1の底板3に、気体置換用の左右一対の給気バルブ80と排気バルブ81とをそれぞれ装着し、各給気バルブ80を容器本体1の湾曲突部13と側壁22、及び支持体50の包囲片69に包囲された空間82に位置させ、支持体50の包囲片69により、給気バルブ80の気体を制御して整流するようにしている。
【0074】
一対の給気バルブ80は、容器本体1の底板3の後部両側にそれぞれ装着され、容器本体1の外部から内部に各種の不活性ガス(図12の矢印参照)を供給するよう機能する。また、一対の排気バルブ81は、容器本体1の底板3の前部両側にそれぞれ装着され、容器本体1の内部から外部にエア(図12の矢印参照)を排気する。
【0075】
各支持体50は、後部支柱54と複数の後部支持片65との間に、給気バルブ80の不活性ガスを半導体ウェーハ方向に流入させる流出口83がそれぞれ形成され、上下方向に隣接する後部支持片65と後部支持片65との空隙63が不活性ガスの通風口を形成しており、これら流出口83や通風口が不活性ガスを円滑に流通させてその滞留を防止する。流出口83は、例えば後部支持片65の表裏面の少なくともいずれかに溝を切り欠くことにより形成される。
【0076】
上記構成において、各給気バルブ80が容器本体1の内部に不活性ガスを供給すると、矢印で示す不活性ガスは、容器本体1の空間82から包囲片69に案内されつつ支持体50の流出口83や通風口を経由して半導体ウェーハ方向に流入・充満し、各半導体ウェーハに接触してその酸化を防止する。こうして不活性ガスが容器本体1内に充満すると、容器本体1内に充満していたエアは、排気バルブ81方向に短時間で流出し、排気バルブ81から容器本体1の外部に効率的に排気される。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0077】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、半導体ウェーハにより不活性ガスが滞留するのを流出口83や通風口が防ぐので、容器本体1内に不活性ガスを効果的に充満させ、半導体ウェーハの酸化を有効に防止することができるのは明らかである。
【0078】
次に、図13は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、容器本体1の両側壁22の内面後方に、支持体50用の嵌合片84をそれぞれ容器本体1の正面2方向に向け形成してその先端部を容器本体1の側壁22内面から内方向に離隔させ、各支持体50の後部支柱54の平坦面57に、湾曲突部13の平坦面14に接触する突片85を伸長形成するとともに、複数の後部支持片65の外側面側には、容器本体1の嵌合片84の先端部に嵌合する嵌合ブロック86を形成し、嵌合突起15、位置決め嵌合溝58、及び包囲片69を省略するようにしている。
【0079】
湾曲突部13の表面は、後部支柱54の平坦面57に対向する平坦面14でも良いが、後部支柱54の突片85に嵌入される位置決め用の凹面でも良い。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、湾曲突部13の平坦面14に嵌合突起15を形成することができない場合にも、支持体50を容易に装着することができるのは明白である。
【0080】
なお、上記実施形態では容器本体1の背面壁12にリアリテーナ19を配設したが、容器本体1の背面壁12内面にリアリテーナ19を一体成形しても良いし、容器本体1の背面壁12内面に別体のリアリテーナ19を後付けしても良い。また、上記実施形態では前部支柱51の上下両端部に板形の位置決め干渉片52をそれぞれ突出形成したが、何らこれに限定されるものではなく、円柱形等の位置決め干渉片52をそれぞれ突出形成しても良い。
【0081】
前部支柱51の位置決め干渉片52が円柱形の場合には、この円柱形の位置決め干渉片52よりも一対のリブ板5間の隙間6の挿入側を狭く形成し、中心側に円柱形の位置決め干渉片52を保持可能な略円弧形の溝、あるいはV溝が対向する割ピン形のリブ等を設けることができる。
【0082】
また、支持片62を前部支持片64と後部支持片65とに完全に分断しても良いが、これらに弾性を付与することができるのであれば、前部支持片64と後部支持片65との対向する両端部間を細い線条部等で連結しても良い。さらに、各支持体50の後部支柱54や後部支持片65の後部に、給気バルブ80の不活性ガスを容器本体1内に流出させる流出口83を形成しても良い。この流出口83は、特に限定されるものではないが、例えば必要数の貫通孔の穿孔や溝の加工により形成することもできる。
【符号の説明】
【0083】
1 容器本体
2 正面
3 底板
4 取付突起
5 リブ板
6 隙間
8 天板
10 リムフランジ
12 背面壁(周壁)
13 湾曲突部(突部)
14 平坦面
15 嵌合突起
16 位置決めリブ
17 交差リブ
18 側面
19 リアリテーナ
22 側壁(周壁)
23 レールリブ
24 抜け止めストッパ
30 蓋体
32 フロントリテーナ
42 施錠機構
50 支持体
51 前部支柱
52 位置決め干渉片
53 切り欠き
54 後部支柱
55 規制面
56 V溝
57 平坦面
58 位置決め嵌合溝
59 位置決め溝
60 交差溝
61 中間支柱
62 支持片
63 空隙
64 前部支持片
65 後部支持片
67 接触隆起部
68 段差隆起部
69 包囲片
70 接触隆起部
80 給気バルブ
81 排気バルブ
83 流出口
84 嵌合片
85 突片
86 嵌合ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する容器本体と、この容器本体の内部側方に取り付けられて基板を支持する支持体とを備えた基板収納容器であって、
容器本体を正面が開口したフロントオープンボックスに構成してその天板と底板とには、支持体用の取付突起をそれぞれ設け、
支持体は、容器本体の側壁内面前方に対向する前部支柱と、容器本体の周壁内面に対向して取り付けられる後部支柱と、これら前部支柱と後部支柱との間に位置する中間支柱と、これら前部支柱、後部支柱、及び中間支柱の間に架設されて基板を略水平に支持する支持片とを含み、前部支柱の上下部に、容器本体の取付突起に干渉する位置決め干渉片をそれぞれ形成し、支持片を前部支柱、後部支柱、及び中間支柱の上下方向に複数配列して隣接する支持片と支持片との間には空隙を区画し、各支持片を、前部支柱と中間支柱との間に架設される前部支持片と、後部支柱と中間支柱との間に架設される後部支持片とに分割したことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
容器本体の背面壁側部を内方向に凹ませることにより突部を形成してその表面には支持体用の嵌合突起を形成し、支持体の後部支柱を容器本体の背面壁の突部に対向させ、この後部支柱には、突部の嵌合突起に嵌まる位置決め嵌合溝を形成した請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
容器本体の底板に、容器本体の外部から内部に気体を供給する給気バルブと、容器本体の内部から外部に気体を排気する排気バルブとをそれぞれ取り付け、給気バルブを容器本体の背面壁と側壁、及び支持体の間に位置させ、支持体の後部支持片に、給気バルブの気体を整流する包囲片を容器本体の側壁方向に向けて設けた請求項1又は2記載の基板収納容器。
【請求項4】
支持体の後部支柱、後部支持片、あるいは後部支柱と後部支持片との間に、給気バルブの気体を基板方向に流出させる流出口を設けた請求項3記載の基板収納容器。
【請求項5】
容器本体の側壁内面に、支持体を前後方向に位置決めするレールリブを形成してその高さを容器本体の正面から背面壁方向に向かうにしたがい徐々に低くし、容器本体の側壁内面に、支持体の前部支柱に干渉する支持体用の抜け止めストッパを形成し、この抜け止めストッパとレールリブとに支持体の前部支柱を挟み持たせるようにした請求項1ないし4いずれかに記載の基板収納容器。
【請求項6】
容器本体の突部表面と支持体の後部支柱との対向部をそれぞれ平坦面に形成し、嵌合突起を、突部の平坦面に形成されて上下方向に伸びる位置決めリブと、この位置決めリブに交差して形成される交差リブとから形成し、支持体の位置決め嵌合溝を、後部支柱の平坦面に形成されて突部の位置決めリブに嵌まる位置決め溝と、この位置決め溝に交差して形成され、突部の交差リブに嵌まる交差溝とから形成した請求項2ないし5いずれかに記載の基板収納容器。
【請求項7】
支持体の後部支柱の前面を容器本体の幅方向に傾けるとともに、この前面に基板の後部周縁を保持する保持溝を形成することにより、基板の収納位置を規制する規制面を形成した請求項1ないし6いずれかに記載の基板収納容器。
【請求項8】
支持体の前部支持片に、基板の側部周縁を略水平に支持する接触隆起部を形成し、この接触隆起部の前方には、基板の前方への飛び出しを規制する段差隆起部を隣接させ、後部支持片に、後部支柱の規制面の前方に位置して基板の側部周縁を略水平に支持する接触隆起部を形成した請求項7記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−4199(P2012−4199A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135738(P2010−135738)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】