基板収納容器
【課題】 落下や振動での極限的な条件下においても、中央部に配設した基板も適切に保持され得る基板収納容器を提供する。
【解決手段】 容器本体の左右の側壁の内側には、基板を一定間隔で水平に支持する相対向する1対の支持部材が備えられ、支持部材の奥側には、基板の挿入限界を規制する位置規制部が備えられ、この位置規制部の外側の側壁には、補強用リブが形成されていることを特徴とする。
前記補強用リブが、側壁から外側に突出する格子状のリブ、側壁の上部から底部にかけて外側に突出する細長のリブ、また、側壁にハニカム状に形成されるリブであることが好ましい。
【解決手段】 容器本体の左右の側壁の内側には、基板を一定間隔で水平に支持する相対向する1対の支持部材が備えられ、支持部材の奥側には、基板の挿入限界を規制する位置規制部が備えられ、この位置規制部の外側の側壁には、補強用リブが形成されていることを特徴とする。
前記補強用リブが、側壁から外側に突出する格子状のリブ、側壁の上部から底部にかけて外側に突出する細長のリブ、また、側壁にハニカム状に形成されるリブであることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ、ガラスウェーハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、特には基板収納容器の強度の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
300mmウェーハなどの大口径の基板を収納し、輸送に使用される基板収納容器は、フロントオープンボックスタイプのものに移行し(特許文献1参照)、容器本体と、蓋体とからなり、容器本体の両側部に棚状をした支持部材が、高さ方向に所定の間隔で複数段設けられていて、棚状の支持部材の背面側には、基板の奥側の位置を規制するストッパーとなる壁面が形成されている。
容器本体の開口部を閉鎖する蓋体には、各基板の前方周縁を個別に保持する弾性片を備えたフロントリテーナが設けられている。基板は、このフロントリテーナによって奥側の所定の位置まで押し込まれて、輸送中の振動や衝撃があっても回転して、位置ずれしないようにしっかりと保持する必要がある。
【0003】
従来の基板収納容器においては、フロントリテーナの寸法や形状、あるいは材質によって、基板を保持する保持力を適正に制御するように試みられていた。一般的には、保持力を大きくしていくことで、基板を安定的に保持することが可能となるが、落下や振動での極限的な条件下で基板の回転を抑えようとすると、より大きな力で保持できるようにしておく必要がある。しかしながら、このようにより大きな力を作用させたとき、容器本体は、フロントリテーナによる基板の押し込み力によって、変形してしまうことが確認されている。特には、施錠機構によって係止される上辺や下辺などの稜線部から遠く離れた中央部は、フロントリテーナの反力を受けることで、外方向に膨らんでしまうことになる。
【0004】
このように、容器本体の変形が生じてしまう場合には、フロントリテーナの保持力を大きくすることは容器本体の変形量も大きくすることになるので、調整が困難となり、全ての基板をバラツキなく適切に保持することは、実際的には、難しかった。
従来、中央部のスロットによる保持力は、容器本体にリブを全く設けない場合は、両端部の保持力に比べて、約1/5程度にまで低減していた。そのため、各スロットの保持力を個別に調整することが必要であり、大変な労力と時間を必要としてきたが、“調整”の適否は結果を見なければ最終的には評価出来ず、必ずしも安定的な“調整”が常に可能であるとは言い難かった。
このように、極限的な条件下においては中央部で基板が適切に保持されなくなってしまうことを回避し難いので、基板の回転によりパーティクルなどの汚染が発生したり、膨らみによる移動によって破損してしまう恐れが残るのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−353898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて、落下や振動での極限的な条件下においても、中央部に配設した基板も適切に保持され得る基板収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板収納容器は、開口を有し基板を収納する容器本体と、容器本体の開口を閉鎖し、基板を保持するフロントリテーナを容器本体と向き合う面に有する蓋体とを有する基板収納容器であって、容器本体の左右の側壁の内側には、基板を一定間隔で水平に支持する相対向する1対の支持部材が備えられ、支持部材の奥側には、基板の挿入限界を規制する位置規制部が備えられ、この位置規制部の外側の側壁には、補強用リブが形成されていることを特徴とする。
前記補強用リブが、側壁から外側に突出する格子状のリブ、側壁の上部から底部にかけて外側に突出する細長のリブ、また、側壁にハニカム状に形成されるリブであることが好ましい。
前記補強用リブは、容器本体の内側に設けることもできる。また、支持部材を容器本体とは別部材として形成して取り付ける場合には、この支持部材の外側に補強リブを設けることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フロントリテーナの基板の保持力によって、容器本体あるいは支持部材が変形しないように補強することができる。これにより、各収納位置の基板の保持力を適切な範囲とでき、あるいは適切な範囲内に調整することが、容易にできるようになるので、振動や衝撃など輸送時の過酷な条件においても基板の回転や損傷を防止することができる。このように、基板の回転を低減できるので、基板と基板収納容器との擦れによるパーティクルの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が対象とする基板収納容器の外観を示す分解斜視図である。
【図2】本発明が対象とする基板収納容器の水平方向断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを表す容器本体の簡略斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを表す容器本体の側面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを表す容器本体の簡略斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体を表す平面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体の補強リブを表す簡略斜視図である。
【図8】本発明の第三の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体を表す平面図である。
【図9】本発明の第四の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体を表す分解斜視図である。
【図10】本発明の第四の実施形態の側壁外部に設けられる補強リブを備えた容器本体を表す仮想的断面図である。
【図11】本発明の第四の実施形態の容器本体の側壁外部に設けられる補強リブの繰り返し単位を表す部分拡大図である。
【図12】本発明の第五の実施形態の容器本体の支持部材、及び側壁内部に設けられる補強リブを表す仮想的断面図である。
【図13】本実施形態の容器本体の強度と、基板の平均回転量との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1は、300mmウェーハを収納する基板収納容器の外観を示す分解斜視図であり、図2は、前記ウェーハを収納した状態の基板収納容器を水平面と平行に切断した状態で示す断面図である。
図1、2において、こうした基板収納容器は、基板を収納する開口を前面に備えた容器本体1と、容器本体1の開口を閉鎖する蓋体2とを有していて、容器本体1の左右の内側壁には、基板Wを水平状態で、一定間隔に整列させて支持する一対の支持部材3が備えられている。これらの側壁の外壁の支持部材3の奥側の位置規制部4の裏面に相当する部分には、補強用のリブ5を形成することができる。
【0011】
また、容器本体1の天面には、搬送用のロボティックフランジ6が取り付けられていて、搬送に使用され、開口部の内周面には、蓋体を係止するための係合凹部7が形成されている。
蓋体2には、1対の施錠機構8が内蔵されている。施錠機構8は、外部から操作可能な回転部材9と、回転部材9のカム溝と連動する連結バー10と、連結バー10の先端と蓋体2とに軸支されている係止部材11とを有し、この係止部材11が、蓋体の側面の貫通穴(図示省略)から出没し、容器本体1の係合凹部7に係合される。
蓋体2には、それぞれの基板の前周部に個別に接触してこれを保持する弾性片を備えたフロントリテーナ12が設けられている。
また、蓋体2の側壁には、シール用のガスケット13が備えられていて、容器本体1との間にシールを形成する。
【0012】
図2は、基板収納容器を水平面と平行に切断した状態の断面図であり、一対の支持部材3に搭載された基板Wが、蓋体2の裏面に設けられたフロントリテーナ12によって容器本体1の奥側に押圧されて保持される様子を表している。このとき、基板Wは、内側壁の奥側に位置規制されるので、この位置規制部4の裏側に位置するように、外壁部には補強用のリブ5が形成されている。
【0013】
図3は、本発明の第一の実施形態の補強用リブ5が形成された容器本体1の簡略斜視図を表し、図4は、その側面図を表している。
この場合、容器本体1の基板の位置規制部4の裏面に位置する外壁部には、格子状の複数のリブが形成されている例(格子状リブ5a)として示してある。
この場合、天面または底面との稜線部に近い部分は、幅方向が短いリブとし、そのほかは、均一な幅のリブとすることが出来る。
【0014】
図5、図6は、本発明の第二の実施形態である補強用リブを備えた容器本体14を表す簡略斜視図と、平面図を表している。
この場合、容器本体14の基板の位置規制部4の裏面に位置する外壁部15には、補強用リブ5として、長方体状に張り出す1本のリブ(棒状リブ5b)が容器本体14の天面から底面にかけて連続的に形成されている。
図7、図8は、本発明の第三の実施形態である補強用リブを備えた容器本体14を表す簡略斜視図と、平面図を表している。
この場合、容器本体16の基板の位置規制部17の裏面に位置する外壁部18には、長方体状に張り出す3本のリブ(5b)が、一定間隔で、それぞれ平行に、容器本体の天面から底面にかけて連続的に形成されている(5c)。
【0015】
図9〜図11は、本発明の第四の実施形態を表す、450mmウェーハを収納する基板収納容器の容器本体19の斜視図と、前記ウェーハを収納した状態の基板収納容器を水平面と平行に切断した状態の簡略断面図、補強用リブ20(ハニカム形状リブ5d)の拡大図である。
この場合も、基板収納容器は、基板を収納する開口を前面に備えた容器本体19と、容器本体19の開口を閉鎖する蓋体21とを有していて、容器本体19の左右の内側壁22には、基板を水平状態で、一定間隔に整列させて支持する一対の支持部材23が備えられている。
【0016】
これらの側壁の外壁の支持部材23の奥側の位置規制部24には、正面視正六角形をしたハニカム状に形成される補強用リブ20(ハニカム形状リブ5d)が複数連結されて形成されている。なお、本例では、位置規制部24が、傾斜形ではなく、角形とすることができるものとして描かれている。
本実施形態の場合も、前述の実施形態と同様に、容器本体の強度は著しく向上するので、ウェーハを確実に保持できて、振動や衝撃があった場合でもウェーハの回転を抑えることができる。
なお、25は係合凹部、蓋体21側において、26は、回転部材27・連結バー28を構成要素とする施錠機構、29はフロントリテーナ、30はガスケットである。
【0017】
本発明の第五の実施形態の変形例として、図12に示すように、支持部材31を別部材として形成し、容器本体32にブリッジ33を介して取り付けたものでも良い。
この場合は、支持部の位置規制部の裏側(外側)に補強リブを形成したり、容器本体の内側に補強用リブを形成したりして支持部を支承することができる。また、支持部に、補強用リブを設けて、さらに容器本体にも補強用リブを設けるようにしてもよい。
このように、支持部や容器本体の変形を防止することができるので、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【実施例】
【0018】
第一の実施形態から第三の実施形態のそれぞれの容器本体を実施例1〜3として、強度と基板の回転量との確認を行い、図13に纏めた。なお、同一条件で比較検討をするために、フロントリテーナは、基板支持位置毎に保持力を最適な数値範囲になるように調整をしていないものを使用して評価を行った。
[強度測定]
容器本体の強度の確認
アルミニウム製のダミーウェーハを開口を上部に向けた容器本体に収納し、ダミーウェーハの上端部から引張圧縮試験機(オリエンテック社製 商品名テンシロン)で2cm押し込むときの荷重すなわち容器本体の側壁の強度を支持部の13番スロットにおいて、それぞれ確認した。
また、比較のために、補強用リブを全く設けない容器本体を比較例として用いた。
【0019】
[振動試験]
次に、これらの実施形態にシリコンウェーハ25枚を収納し、振動試験を行い、収納したシリコンウェーハの回転の有無を確認した。振動条件は、周波数帯を5〜200〜5Hzスイープとし、加速度1G、1サイクル10.6minで5サイクルを行い、ウェーハの回転の有無を確認した。
これらの結果を表1と、図13に纏めた。
【0020】
【表1】
【0021】
図13によれば、比較例とした、容器本体の基板の位置規制部の裏面に位置する補強用リブを設けていない場合の強度(約141N(14.38kgf))を1とすると、ここに格子状リブを設けた場合では1.2倍(約170N(17.35kfg))、縦リブを1本設けた場合では、2.1倍(約282N(28.79kgf))、縦リブを3本設けた場合では、3.1倍(約429N(43.78kgf))となっていることが確認できる。
これらの結果から、一番強度の弱い13番スロットの強度が約167N(17kgf)以上であれば、振動試験での基板の回転を17mm以下とできる。強度が約265N(27kgf)以上あれば、基板の回転を15mm以下とできるので好ましい。また、強度が約392N(40kgf)以上あれば、基板の回転を5mm以下とできるので特に好ましい。
【0022】
[基板保持力のばらつきの確認]
実施例1〜実施例3において、支持部材の下端と上端である、1番スロットと25番スロット、中段部である13番スロットのそれぞれの箇所での容器本体の強度のばらつきを確認するための測定を先程と同様に行い、結果を表2にまとめた。
【0023】
【表2】
【0024】
上記結果と振動試験結果から、1番と25番スロットの平均強度P1と中央部の13番スロットの強度P2との強度比P1/P2が、2.3倍以内であれば、基板の回転を17mm以下と小さくできるし、P1/P2の比が1.5倍以内であれば、基板の回転を12mm以下にできるのでさらに好ましい。P1/P2が1以下であれば、基板の回転を3mm以内とできるので特に好ましい。
【符号の説明】
【0025】
1:容器本体
2:蓋体
3:支持部材
4:位置規制部
5:補強用リブ
5a:格子状リブ
5b:棒状リブ
5c:複数の棒状リブ
5d:ハニカム形状リブ
6:ロボティックフランジ
7:係合凹部
8:施錠機構
9:回転部材
10:連結バー
11:係止部材
12:フロントリテーナ
13:ガスケット
14:容器本体
15:外壁部
16:容器本体
17:位置規制部
18:外壁部
19:容器本体
20:補強用リブ
21:蓋体
22:内側壁
23:支持部材
24:位置規制部
25:係合凹部
26:施錠機構
27:回転部材
28:連結バー
29:フロントリテーナ
30:ガスケット
31:支持部材
32:容器本体
33:ブリッジ
W:基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ、ガラスウェーハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、特には基板収納容器の強度の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
300mmウェーハなどの大口径の基板を収納し、輸送に使用される基板収納容器は、フロントオープンボックスタイプのものに移行し(特許文献1参照)、容器本体と、蓋体とからなり、容器本体の両側部に棚状をした支持部材が、高さ方向に所定の間隔で複数段設けられていて、棚状の支持部材の背面側には、基板の奥側の位置を規制するストッパーとなる壁面が形成されている。
容器本体の開口部を閉鎖する蓋体には、各基板の前方周縁を個別に保持する弾性片を備えたフロントリテーナが設けられている。基板は、このフロントリテーナによって奥側の所定の位置まで押し込まれて、輸送中の振動や衝撃があっても回転して、位置ずれしないようにしっかりと保持する必要がある。
【0003】
従来の基板収納容器においては、フロントリテーナの寸法や形状、あるいは材質によって、基板を保持する保持力を適正に制御するように試みられていた。一般的には、保持力を大きくしていくことで、基板を安定的に保持することが可能となるが、落下や振動での極限的な条件下で基板の回転を抑えようとすると、より大きな力で保持できるようにしておく必要がある。しかしながら、このようにより大きな力を作用させたとき、容器本体は、フロントリテーナによる基板の押し込み力によって、変形してしまうことが確認されている。特には、施錠機構によって係止される上辺や下辺などの稜線部から遠く離れた中央部は、フロントリテーナの反力を受けることで、外方向に膨らんでしまうことになる。
【0004】
このように、容器本体の変形が生じてしまう場合には、フロントリテーナの保持力を大きくすることは容器本体の変形量も大きくすることになるので、調整が困難となり、全ての基板をバラツキなく適切に保持することは、実際的には、難しかった。
従来、中央部のスロットによる保持力は、容器本体にリブを全く設けない場合は、両端部の保持力に比べて、約1/5程度にまで低減していた。そのため、各スロットの保持力を個別に調整することが必要であり、大変な労力と時間を必要としてきたが、“調整”の適否は結果を見なければ最終的には評価出来ず、必ずしも安定的な“調整”が常に可能であるとは言い難かった。
このように、極限的な条件下においては中央部で基板が適切に保持されなくなってしまうことを回避し難いので、基板の回転によりパーティクルなどの汚染が発生したり、膨らみによる移動によって破損してしまう恐れが残るのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−353898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて、落下や振動での極限的な条件下においても、中央部に配設した基板も適切に保持され得る基板収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板収納容器は、開口を有し基板を収納する容器本体と、容器本体の開口を閉鎖し、基板を保持するフロントリテーナを容器本体と向き合う面に有する蓋体とを有する基板収納容器であって、容器本体の左右の側壁の内側には、基板を一定間隔で水平に支持する相対向する1対の支持部材が備えられ、支持部材の奥側には、基板の挿入限界を規制する位置規制部が備えられ、この位置規制部の外側の側壁には、補強用リブが形成されていることを特徴とする。
前記補強用リブが、側壁から外側に突出する格子状のリブ、側壁の上部から底部にかけて外側に突出する細長のリブ、また、側壁にハニカム状に形成されるリブであることが好ましい。
前記補強用リブは、容器本体の内側に設けることもできる。また、支持部材を容器本体とは別部材として形成して取り付ける場合には、この支持部材の外側に補強リブを設けることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フロントリテーナの基板の保持力によって、容器本体あるいは支持部材が変形しないように補強することができる。これにより、各収納位置の基板の保持力を適切な範囲とでき、あるいは適切な範囲内に調整することが、容易にできるようになるので、振動や衝撃など輸送時の過酷な条件においても基板の回転や損傷を防止することができる。このように、基板の回転を低減できるので、基板と基板収納容器との擦れによるパーティクルの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が対象とする基板収納容器の外観を示す分解斜視図である。
【図2】本発明が対象とする基板収納容器の水平方向断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを表す容器本体の簡略斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを表す容器本体の側面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを表す容器本体の簡略斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体を表す平面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体の補強リブを表す簡略斜視図である。
【図8】本発明の第三の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体を表す平面図である。
【図9】本発明の第四の実施形態の側壁外部に設けられる補強用リブを備えた容器本体を表す分解斜視図である。
【図10】本発明の第四の実施形態の側壁外部に設けられる補強リブを備えた容器本体を表す仮想的断面図である。
【図11】本発明の第四の実施形態の容器本体の側壁外部に設けられる補強リブの繰り返し単位を表す部分拡大図である。
【図12】本発明の第五の実施形態の容器本体の支持部材、及び側壁内部に設けられる補強リブを表す仮想的断面図である。
【図13】本実施形態の容器本体の強度と、基板の平均回転量との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1は、300mmウェーハを収納する基板収納容器の外観を示す分解斜視図であり、図2は、前記ウェーハを収納した状態の基板収納容器を水平面と平行に切断した状態で示す断面図である。
図1、2において、こうした基板収納容器は、基板を収納する開口を前面に備えた容器本体1と、容器本体1の開口を閉鎖する蓋体2とを有していて、容器本体1の左右の内側壁には、基板Wを水平状態で、一定間隔に整列させて支持する一対の支持部材3が備えられている。これらの側壁の外壁の支持部材3の奥側の位置規制部4の裏面に相当する部分には、補強用のリブ5を形成することができる。
【0011】
また、容器本体1の天面には、搬送用のロボティックフランジ6が取り付けられていて、搬送に使用され、開口部の内周面には、蓋体を係止するための係合凹部7が形成されている。
蓋体2には、1対の施錠機構8が内蔵されている。施錠機構8は、外部から操作可能な回転部材9と、回転部材9のカム溝と連動する連結バー10と、連結バー10の先端と蓋体2とに軸支されている係止部材11とを有し、この係止部材11が、蓋体の側面の貫通穴(図示省略)から出没し、容器本体1の係合凹部7に係合される。
蓋体2には、それぞれの基板の前周部に個別に接触してこれを保持する弾性片を備えたフロントリテーナ12が設けられている。
また、蓋体2の側壁には、シール用のガスケット13が備えられていて、容器本体1との間にシールを形成する。
【0012】
図2は、基板収納容器を水平面と平行に切断した状態の断面図であり、一対の支持部材3に搭載された基板Wが、蓋体2の裏面に設けられたフロントリテーナ12によって容器本体1の奥側に押圧されて保持される様子を表している。このとき、基板Wは、内側壁の奥側に位置規制されるので、この位置規制部4の裏側に位置するように、外壁部には補強用のリブ5が形成されている。
【0013】
図3は、本発明の第一の実施形態の補強用リブ5が形成された容器本体1の簡略斜視図を表し、図4は、その側面図を表している。
この場合、容器本体1の基板の位置規制部4の裏面に位置する外壁部には、格子状の複数のリブが形成されている例(格子状リブ5a)として示してある。
この場合、天面または底面との稜線部に近い部分は、幅方向が短いリブとし、そのほかは、均一な幅のリブとすることが出来る。
【0014】
図5、図6は、本発明の第二の実施形態である補強用リブを備えた容器本体14を表す簡略斜視図と、平面図を表している。
この場合、容器本体14の基板の位置規制部4の裏面に位置する外壁部15には、補強用リブ5として、長方体状に張り出す1本のリブ(棒状リブ5b)が容器本体14の天面から底面にかけて連続的に形成されている。
図7、図8は、本発明の第三の実施形態である補強用リブを備えた容器本体14を表す簡略斜視図と、平面図を表している。
この場合、容器本体16の基板の位置規制部17の裏面に位置する外壁部18には、長方体状に張り出す3本のリブ(5b)が、一定間隔で、それぞれ平行に、容器本体の天面から底面にかけて連続的に形成されている(5c)。
【0015】
図9〜図11は、本発明の第四の実施形態を表す、450mmウェーハを収納する基板収納容器の容器本体19の斜視図と、前記ウェーハを収納した状態の基板収納容器を水平面と平行に切断した状態の簡略断面図、補強用リブ20(ハニカム形状リブ5d)の拡大図である。
この場合も、基板収納容器は、基板を収納する開口を前面に備えた容器本体19と、容器本体19の開口を閉鎖する蓋体21とを有していて、容器本体19の左右の内側壁22には、基板を水平状態で、一定間隔に整列させて支持する一対の支持部材23が備えられている。
【0016】
これらの側壁の外壁の支持部材23の奥側の位置規制部24には、正面視正六角形をしたハニカム状に形成される補強用リブ20(ハニカム形状リブ5d)が複数連結されて形成されている。なお、本例では、位置規制部24が、傾斜形ではなく、角形とすることができるものとして描かれている。
本実施形態の場合も、前述の実施形態と同様に、容器本体の強度は著しく向上するので、ウェーハを確実に保持できて、振動や衝撃があった場合でもウェーハの回転を抑えることができる。
なお、25は係合凹部、蓋体21側において、26は、回転部材27・連結バー28を構成要素とする施錠機構、29はフロントリテーナ、30はガスケットである。
【0017】
本発明の第五の実施形態の変形例として、図12に示すように、支持部材31を別部材として形成し、容器本体32にブリッジ33を介して取り付けたものでも良い。
この場合は、支持部の位置規制部の裏側(外側)に補強リブを形成したり、容器本体の内側に補強用リブを形成したりして支持部を支承することができる。また、支持部に、補強用リブを設けて、さらに容器本体にも補強用リブを設けるようにしてもよい。
このように、支持部や容器本体の変形を防止することができるので、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【実施例】
【0018】
第一の実施形態から第三の実施形態のそれぞれの容器本体を実施例1〜3として、強度と基板の回転量との確認を行い、図13に纏めた。なお、同一条件で比較検討をするために、フロントリテーナは、基板支持位置毎に保持力を最適な数値範囲になるように調整をしていないものを使用して評価を行った。
[強度測定]
容器本体の強度の確認
アルミニウム製のダミーウェーハを開口を上部に向けた容器本体に収納し、ダミーウェーハの上端部から引張圧縮試験機(オリエンテック社製 商品名テンシロン)で2cm押し込むときの荷重すなわち容器本体の側壁の強度を支持部の13番スロットにおいて、それぞれ確認した。
また、比較のために、補強用リブを全く設けない容器本体を比較例として用いた。
【0019】
[振動試験]
次に、これらの実施形態にシリコンウェーハ25枚を収納し、振動試験を行い、収納したシリコンウェーハの回転の有無を確認した。振動条件は、周波数帯を5〜200〜5Hzスイープとし、加速度1G、1サイクル10.6minで5サイクルを行い、ウェーハの回転の有無を確認した。
これらの結果を表1と、図13に纏めた。
【0020】
【表1】
【0021】
図13によれば、比較例とした、容器本体の基板の位置規制部の裏面に位置する補強用リブを設けていない場合の強度(約141N(14.38kgf))を1とすると、ここに格子状リブを設けた場合では1.2倍(約170N(17.35kfg))、縦リブを1本設けた場合では、2.1倍(約282N(28.79kgf))、縦リブを3本設けた場合では、3.1倍(約429N(43.78kgf))となっていることが確認できる。
これらの結果から、一番強度の弱い13番スロットの強度が約167N(17kgf)以上であれば、振動試験での基板の回転を17mm以下とできる。強度が約265N(27kgf)以上あれば、基板の回転を15mm以下とできるので好ましい。また、強度が約392N(40kgf)以上あれば、基板の回転を5mm以下とできるので特に好ましい。
【0022】
[基板保持力のばらつきの確認]
実施例1〜実施例3において、支持部材の下端と上端である、1番スロットと25番スロット、中段部である13番スロットのそれぞれの箇所での容器本体の強度のばらつきを確認するための測定を先程と同様に行い、結果を表2にまとめた。
【0023】
【表2】
【0024】
上記結果と振動試験結果から、1番と25番スロットの平均強度P1と中央部の13番スロットの強度P2との強度比P1/P2が、2.3倍以内であれば、基板の回転を17mm以下と小さくできるし、P1/P2の比が1.5倍以内であれば、基板の回転を12mm以下にできるのでさらに好ましい。P1/P2が1以下であれば、基板の回転を3mm以内とできるので特に好ましい。
【符号の説明】
【0025】
1:容器本体
2:蓋体
3:支持部材
4:位置規制部
5:補強用リブ
5a:格子状リブ
5b:棒状リブ
5c:複数の棒状リブ
5d:ハニカム形状リブ
6:ロボティックフランジ
7:係合凹部
8:施錠機構
9:回転部材
10:連結バー
11:係止部材
12:フロントリテーナ
13:ガスケット
14:容器本体
15:外壁部
16:容器本体
17:位置規制部
18:外壁部
19:容器本体
20:補強用リブ
21:蓋体
22:内側壁
23:支持部材
24:位置規制部
25:係合凹部
26:施錠機構
27:回転部材
28:連結バー
29:フロントリテーナ
30:ガスケット
31:支持部材
32:容器本体
33:ブリッジ
W:基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し基板を収納する容器本体と、容器本体の開口を閉鎖し、基板を保持するフロントリテーナを容器本体と向き合う面に有する蓋体とを有する基板収納容器であって、容器本体の左右の側壁の内側には、基板を一定間隔で水平に支持する相対向する1対の支持部材が備えられ、支持部材の奥側には、基板の挿入限界を規制する位置規制部が備えられ、この位置規制部の外側の側壁には、補強用リブが形成されていることを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記容器本体の側壁に補強用リブを形成することで、補強用リブがない場合に比べて、強度が1.2倍以上になっている請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記容器本体の側壁に補強用リブを形成することで、支持部材の両端に収納される基板を2mm押し込んだときの平均荷重P1と、中段の支持部に収納される基板を2mm押し込んだときの荷重P2の比(P1/P2)が、2.3倍以内である請求項1記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記補強用リブが、容器本体の側壁の外側又は内側に、あるいは支持部材の外側に突出する格子状のリブである請求項1〜3のいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記補強用リブが、容器本体の外側又は内側の側壁、あるいは支持部材の外側壁の上部から底部にかけて突出する細長のリブである請求項1〜3のいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記補強用リブが、容器本体の外側又は内側の側壁、あるいは支持部材の外側にハニカム状に形成されるリブである請求項1〜3のいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項1】
開口を有し基板を収納する容器本体と、容器本体の開口を閉鎖し、基板を保持するフロントリテーナを容器本体と向き合う面に有する蓋体とを有する基板収納容器であって、容器本体の左右の側壁の内側には、基板を一定間隔で水平に支持する相対向する1対の支持部材が備えられ、支持部材の奥側には、基板の挿入限界を規制する位置規制部が備えられ、この位置規制部の外側の側壁には、補強用リブが形成されていることを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記容器本体の側壁に補強用リブを形成することで、補強用リブがない場合に比べて、強度が1.2倍以上になっている請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記容器本体の側壁に補強用リブを形成することで、支持部材の両端に収納される基板を2mm押し込んだときの平均荷重P1と、中段の支持部に収納される基板を2mm押し込んだときの荷重P2の比(P1/P2)が、2.3倍以内である請求項1記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記補強用リブが、容器本体の側壁の外側又は内側に、あるいは支持部材の外側に突出する格子状のリブである請求項1〜3のいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記補強用リブが、容器本体の外側又は内側の側壁、あるいは支持部材の外側壁の上部から底部にかけて突出する細長のリブである請求項1〜3のいずれかに記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記補強用リブが、容器本体の外側又は内側の側壁、あるいは支持部材の外側にハニカム状に形成されるリブである請求項1〜3のいずれかに記載の基板収納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−4382(P2012−4382A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138553(P2010−138553)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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