説明

基板塗布装置

【課題】容器内の防湿剤の残量を適切に取得し、残量に応じた出力を行うことが可能な基板塗布装置を提供する。
【解決手段】容器11の防湿剤を基板上に吐出する吐出部12と、吐出部12と基板とを相対的に移動させる移動部13と、吐出部12及び移動部13を制御することにより、基板上の塗布領域に防湿剤を吐出させる制御部15と、防湿剤の単位吐出量が格納されている単位吐出量格納部16と、容器11内の防湿剤の初期量が格納されている初期量格納部17と、防湿剤の吐出時間を取得する吐出時間取得部19と、吐出時間と単位吐出量とを用いて、吐出された防湿剤の合計量を取得する合計量取得部20と、初期量と合計量とを用いて容器内の防湿剤の残量を取得し、取得した残量に応じた出力を行う出力部21とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に防湿剤を塗布する基板塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板等の基板に防湿剤を塗布する装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−106934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の基板塗布装置においては、塗布に用いられる防湿剤が収容されている容器内の防湿剤の残量を適切に把握できない、という課題があった。例えば、防湿剤は、通常は、金属製の容器に収容されているため、外から中を目視等で確認できない。また、透明な窓等を有する容器を用いたとしても、目視では、正確な残量は判断できない。また、容器内に、液量を検出するためのセンサや仕組み等を設けることは、コストの増大につながることから困難である。特に、防湿剤を容器ごと交換可能な基板塗布装置等においては、交換用の容器にセンサ等を設けることは現実的ではない。この結果、従来の基板塗布装置においては、残量が不足した状態で防湿剤の塗布が行われて、防湿剤が十分に塗布されていない不良品が発生しうるという問題があった。また、防湿剤の算量不足によって防湿剤を供給する配管等に空気が入ると正常な塗布が行えなくなるため、空気抜き等の作業が必要となり、作業が大幅に遅延してしまう等の問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に応じてなされたものであり、容器内の防湿剤の残量を適切に取得し、残量に応じた出力を行うことが可能な基板塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板塗布装置は、基板に防湿剤を塗布する基板塗布装置であって、容器に収容されている防湿剤を基板上に吐出する吐出部と、吐出部と基板とを相対的に移動させる移動部と、吐出部及び移動部を制御することにより、基板上の防湿剤を塗布する領域である塗布領域に防湿剤を吐出させる制御部と、吐出部から吐出される防湿剤の単位時間当たりの吐出量である単位吐出量が格納されている単位吐出量格納部と、初期状態において容器に収容されていた防湿剤の量である初期量が格納されている初期量格納部と、吐出部から防湿剤が吐出された時間である吐出時間を取得する吐出時間取得部と、吐出時間と単位吐出量とを用いて、初期状態以降に吐出部から吐出された防湿剤の合計量を取得する合計量取得部と、初期量と合計量とを用いて容器内の防湿剤の残量を取得し、取得した残量に応じた出力を行う出力部とを備えた基板塗布装置である。
【0007】
かかる構成により、容器内の防湿剤の残量を適切に取得し、残量に応じた出力を行うことが可能となる。これにより、例えば、塗布する防湿剤の不足による不良品の発生を抑えることができる。また、基板塗布装置内の流体の通路等に気泡等が入ることによって発生する動作不良等を防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の基板塗布装置は、前記基板塗布装置において、基板に対する吐出部の軌跡と、防湿剤の塗布の有無と、を示す情報である軌跡情報が格納される軌跡情報格納部と、吐出部と基板との相対的な移動速度が格納されている移動速度格納部と、を更に備え、制御部は、軌跡情報が示す軌跡及び吐出の有無に応じて防湿剤が塗布されるように制御し、吐出時間取得部は、制御部が防湿剤の塗布を行う制御を行っていた際の、基板に対する吐出部の相対的な移動距離を、軌跡情報を用いて取得し、取得した移動距離を移動速度で除算して吐出時間を取得する、基板塗布装置である。
【0009】
かかる構成により、防湿剤の吐出時間を、吐出部の相対的な移動距離を用いて取得することができ、防湿剤の吐出時間が容易に取得できない場合等においても、防湿剤の残量を精度良く取得して、残量に応じた出力を行うことが可能となる。
【0010】
また、本発明の基板塗布装置は、前記基板塗布装置において、制御部は、吐出部から防湿剤を吐出させるための指示である吐出指示を出力し、吐出時間取得部は、制御部が吐出指示を用いて防湿剤を吐出させている時間を、吐出時間として取得する、基板塗布装置である。
【0011】
かかる構成により、防湿剤の正確な吐出時間を取得することができ、精度良く容器内の防湿剤残量を取得して、残量に応じた出力を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による基板塗布装置によれば、容器内の防湿剤の残量を適切に取得し、残量に応じた出力を行うことが可能な基板塗布装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における基板塗布装置のブロック図
【図2】同基板塗布装置の一部の構成を示す概略図
【図3】同基板塗布装置の動作について説明するフローチャート
【図4】同基板塗布装置を備えた基板処理システムの構成を示す図
【図5】同基板塗布装置により防湿剤が塗布される基板上の領域を示す概略図
【図6】本発明の実施の形態2における基板塗布装置のブロック図
【図7】同基板塗布装置2の動作について説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、基板塗布装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における基板塗布装置1のブロック図である。
基板塗布装置1は、容器11、吐出部12、移動部13、軌跡情報格納部14、制御部15、単位吐出量格納部16、初期量格納部17、移動速度格納部18、吐出時間取得部19、合計量取得部20、および出力部21を備える。
【0016】
また、図2は、基板塗布装置1の容器11と、吐出部12と、移動部13との構成の概略を示す図である。ここでは一例として、塗布対象となる基板が載置台上に載置されている状態を示している。
【0017】
容器11は、防湿剤を収容する。防湿剤とは、例えば、乾燥した状態で防湿性を有するものとなる流体である。防湿剤は、例えば、防湿のためのコーティング剤や塗料である。例えば、容器11は、防湿剤を加圧状態で収容する。加圧状態で防湿剤を収容する場合、後述する吐出部12においては、図示しない弁等の開閉によって、防湿剤の吐出の有無を切り替えることが可能となる。この場合、容器11は、圧力容器であることが好ましく、また、容器11の内気圧は、調整可能であることが好適である。容器11については、防湿剤等の粘性流体を塗布する装置においてすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0018】
吐出部12は、容器11に収容されている防湿剤を基板上に吐出する。吐出部12は、基板上の一以上の領域に防湿剤を吐出する。吐出部12と容器11とは、流体通路30等を介して接続されている。吐出部12は、例えば、ノズルを有している。吐出部12は、容器11内の防湿剤の吐出の有無を切り替えるための手段(図示せず)を備えている。例えば、吐出部12は、防湿剤の吐出の有無を切り替える弁や、容器11内の防湿剤を送り出すためのポンプ等(図示せず)を備えていても良い。また、吐出部12は、単位時間当たりに吐出する防湿剤の流量を変更可能なものであっても良い。例えば、上述する弁を開く量を変更することで、流量が変更可能なものであっても良く、また、上述したポンプの供給量を変更して吐出量を変更可能なものであっても良い。また、吐出口のサイズの異なる複数のノズルと、これらノズルを切り替える機構とを備えるようにして、ノズルを切り替えることで、吐出量を変更可能としても良い。また、流体通路30と接続された複数のノズルを用意しこのノズルの使用数を変更することで、吐出量を変更可能としても良い。なお、吐出部12の防湿剤が吐出される吐出口の形状等は問わない。例えば、平面形状が、円形であっても、楕円形であっても、矩形であっても良い。ここでの基板とは、通常、プリント基板であるが、防湿剤の塗布対象となるその他の基板(例えば、半導体基板等)であってもよい。プリント基板は、回路素子等の電子部品が固定され、配線されるための基板であり、回路基板と呼ばれることもある。基板上には、回路素子や配線等は配置されていても良い。
【0019】
移動部13は、吐出部12と基板とを相対的に移動させる。この移動は、3次元方向の移動であってもよく、基板に垂直な軸を中心とした回転移動でもよく、これらの組み合わせでも良い。相対的に移動させるとは、吐出部12または基板の少なくとも一方を移動させて、両者の位置関係を変更することである。基板の移動は、例えば、基板を載置した載置台(ステージ)等を移動させることにより行われる。本実施の形態では、移動部13が吐出部12を移動させる場合について説明する。3次元方向の移動とは、基板に平行な平面内での移動(「xy方向の移動」と呼ぶこともある)と、基板の法線方向において、基板に接近し、離間する移動(「z方向の移動」と呼ぶこともある)とを含む。なお、移動部13の機構等の詳細については、公知の技術であるので、ここでは説明を省略する。
【0020】
軌跡情報格納部14には、軌跡情報が格納される。軌跡情報は、基板に対する吐出部12の軌跡と、防湿剤の塗布の有無と、を示す情報である。軌跡は、例えば、基板に対応した座標系(例えば基板の表面に平行な平面における座標系)での吐出部12の位置を示す情報である。軌跡は、例えば、吐出部12が移動する経路の、始点や、通過点や、終点の位置を示す情報である。また、軌跡は、例えば、直線や、スプライン曲線等の移動経路を示す線の情報であってもよい。また、軌跡は、吐出部12の角度(向き)を示す情報や、回転角度を示す情報等を有していてもよい。軌跡情報は、例えば、基板上の、防湿剤を塗布する一以上の領域を通過する経路と、この経路を通過する際の吐出部12の角度とを示す軌跡と、この軌跡のうちの、防湿剤を塗布する区間に対応付けられた、防湿剤の塗布を行うことを示す情報とを含む情報である。
【0021】
制御部15は、吐出部12及び移動部13を制御することにより、基板上の防湿剤を塗布する領域である塗布領域に防湿剤を吐出させる。例えば、制御部15は、軌跡情報が示す軌跡及び吐出の有無に応じて防湿剤が塗布されるように、吐出部12及び移動部13を制御する。例えば、制御部15は、吐出部12が軌跡情報で示される軌跡に沿って基板上を相対的に移動するよう、移動部13を制御する。また、制御部15は吐出部12を制御して、軌跡情報の吐出の有無を示す情報が、吐出有りであることを示している区間を吐出部12が移動している際に、吐出部12に防湿剤を吐出させ、その他の区間では、防湿剤を吐出させないようにする。
【0022】
制御部15は、例えば、吐出時に、吐出部12から防湿剤を吐出させる指示である吐出指示を出力する。吐出指示は、例えば、吐出開始の指示と、吐出終了の指示との組合せであっても良い。また、吐出指示は、指示が出力されている期間だけ吐出部12に吐出を行わせる指示であっても良い。前者の場合、吐出部12は、吐出開始指示を受け付けて、吐出を開始し、吐出終了指示を受け付けて吐出を終了する。後者の場合、吐出部12は、吐出指示を受け付けている期間だけ吐出を行い、受け付けていない間は吐出を行わないようにする。なお、指示が出力されている期間だけ吐出を行わせない指示も、この指示を出さない期間には、結果的に吐出を行うせることができることから、指示が出力されている期間だけ吐出が行わせる指示と同様の吐出指示と考えるようにしても良い。
【0023】
単位吐出量格納部16には、単位吐出量が格納されている。単位吐出量とは、吐出部12から吐出される防湿剤の単位時間当たりの吐出量である。単位時間の長さや単位は問わない。単位吐出量は、通常、単位時間当たりの体積で表されるが、重量や質量で表されても良い。体積を示す単位吐出量は、例えば、予め、吐出部12から単位時間(例えば、100ミリ秒等)に吐出される防湿剤の質量や重量を測定し、これを、防湿剤の比重で除算することで算出される。
【0024】
初期量格納部17には、初期状態において容器11に収容されていた防湿剤の量である初期量が格納されている。初期状態とは、容器11の防湿剤残量の監視を開始する以前の状態と考えても良い。初期量は、通常は、体積で表されるが、重量や質量であっても良い。初期量は、例えば実測値である。
【0025】
移動速度格納部18には、吐出部12と基板との相対的な移動速度が格納されている。移動速度は、制御部15が移動部13に指示する吐出部12の相対的な移動速度であっても良いし、予め移動部13等に設定されている吐出部12と基板との相対的な移動速度であっても良い。この実施の形態においては、一例として、防湿剤の吐出時の吐出部12の移動速度は、一定に設定されているものとする。
【0026】
吐出時間取得部19は、吐出部12から防湿剤が吐出された時間である吐出時間を取得する。例えば、吐出時間取得部19は、吐出部12から防湿剤の吐出が行われる毎に、その吐出が行われた吐出時間を取得する。また、吐出時間取得部19は、例えば、基板上の一の領域についての吐出開始から吐出終了までに要する時間を吐出時間として順次取得してもよい。また、吐出時間取得部19は、上述した初期値を取得した以降の、吐出が行われた時間を累積して得られた時間を吐出時間として取得してもよい。
【0027】
吐出時間取得部19は、どのように吐出時間を取得しても良い。本実施の形態においては、吐出時間取得部19は、制御部15が防湿剤の塗布を行う制御を行っていた際の、基板に対する吐出部12の相対的な移動距離を、軌跡情報を用いて取得し、取得した移動距離を、移動速度格納部18に格納されている軌跡情報を用いて、制御部15が防湿剤を吐出させるための制御を行った区間の軌跡の距離を算出し、算出した距離を移動速度で除算することで、吐出を行った一の区間の移動時間を取得する場合を例に挙げて説明する。
【0028】
上述したように、「制御部15が防湿剤を塗布させるための制御」を行うのは、軌跡情報が示す軌跡のうちの、対応する吐出の有無を示す情報が吐出有りを示す区間であるため、吐出時間取得部19は、制御部15が防湿剤の塗布を行う制御を行っていた際の移動距離として、軌跡情報が示す軌跡のうちの、対応する吐出の有無を示す情報が吐出有りを示す区間の距離を取得する。吐出有りを示す区間の距離はどのように算出しても良い。例えば、上述した軌跡情報から、吐出有りを示す区間内の軌跡を示す位置(例えば座標)の情報を取得し、取得した位置(例えば座標)の情報のうちの連続する二点間の距離をそれぞれ算出し、累積加算することで、一の吐出有りの区間の軌跡の距離(即ち移動距離)を取得しても良い。あるいは、吐出有りの区間内の軌跡のうちの始点と終点との位置の情報を取得し、この二点間の距離を、吐出有りの区間内の距離(即ち移動距離)として取得しても良い。
【0029】
また、軌跡情報を用いて、上記と同様の処理によって吐出有りを示す区間の距離を移動距離として、区間別に予め取得し、この移動距離と、対応する吐出有りの区間とを対応付けて有する区間吐出情報を、軌跡情報格納部14等に蓄積しておくようにしても良い。そして、制御部15が、一の吐出有りの区間に対して防湿剤を塗布する制御を行った場合に、この一の吐出有りの区間に対応する移動距離を、区間吐出情報等から取得するようにしてもよい。なお、このような場合においても、吐出が行われた区間を特定する際や、区間吐出情報の移動距離を予め算出する際には軌跡情報を用いることから、軌跡情報を用いて制御部15が防湿剤の塗布を行う制御を行っていた際の移動距離を取得したと考えて良い。
【0030】
吐出時間取得部19が、制御部15が防湿剤の塗布を行う制御を行っていた一の区間について吐出時間を取得するタイミング等は問わない。例えば、制御部15が、吐出有りを示す区間のうちの一の区間において、防湿剤の塗布を行う制御を開始した時点で、この一の区間について吐出時間を取得しても良い。また、制御部15が、吐出有りを示す区間のうちの一の区間において、防湿剤の塗布を行う制御を終了した後に、この一の区間について吐出時間を取得しても良い。
【0031】
合計量取得部20は、吐出時間と単位吐出量とを用いて、初期状態以降に吐出部12から吐出された防湿剤の合計量を取得する。初期状態以降とは、例えば、容器11内の防湿剤の初期値を取得した以降である。残量の監視を開始した以降と考えても良い。
【0032】
例えば、上述した吐出時間取得部19が、吐出を行った領域毎に、吐出時間を取得する場合には、合計量取得部20は、まず、上述した吐出時間取得部19が初期状態以降に取得した一以上の吐出時間を加算して吐出時間の合計時間を取得する。そして、合計時間に、上述した単位吐出量格納部16に格納されている単位吐出量を乗算することで、吐出された防湿剤の合計量を取得する。あるいは、合計量取得部20は、吐出した領域毎に取得した吐出時間と単位吐出量とを乗算して吐出した領域毎の吐出量を取得する。そして、取得した吐出量を加算して、吐出された防湿剤の合計量を取得しても良い。
【0033】
また、例えば、上述した吐出時間取得部19が、初期状態以降に吐出が行われた時間の合計を取得する場合、合計量取得部20は、吐出時間取得部19が取得した吐出時間の合計に、単位吐出時間を乗算することで、吐出された防湿剤の合計量を取得しても良い。
【0034】
なお、吐出を行う区間(領域)毎に防湿剤の吐出量が異なる場合、区間(領域)毎の単位吐出量を、予め単位吐出量格納部16に格納しておくようにし、吐出時間取得部19が毎に取得した区間(領域)の吐出時間に、この区間(領域)に対応する単位吐出量を乗算して区間毎の吐出量を取得して、これを合計することで、吐出された防湿剤の合計量を、合計量取得部20が取得するようにしても良い。
【0035】
合計量取得部20は、吐出時間取得部19が吐出時間を新たに取得、あるいは、吐出時間を更新した直後等に、吐出された防湿剤の合計量を取得することが好ましい。ただし、他のタイミングやトリガー等に応じて、合計量を取得しても良い。例えば、一の基板上の、防湿剤の塗布が必要な全ての領域についての塗布が終了した時点で、吐出された防湿剤の合計量を取得しても良い。
【0036】
出力部21は、初期量格納部17に格納されている初期量と合計量取得部20が取得した合計量とを用いて容器11内の防湿剤の残量を取得する。そして、取得した残量に応じた出力を行う。出力部21は、例えば、初期量から合計量を減算することで、残量を取得する。出力部21が取得するこのような残量は、通常、容器11内の防湿剤の体積や重量や質量で表される。ただし、残量は、例えば、初期量に対する吐出されずに残った防湿剤の合計量の比率であっても良い。
【0037】
出力部21が出力する「取得した残量に応じた出力」とは、例えば、出力部21が取得した残量である。出力部21は、出力する残量を、例えば、100mlや、10g等の、体積や質量や重量を示す数値で表す。また、残量を、初期量に対する吐出されずに残った防湿剤の合計量の比率(例えば、20%等)で表しても良い。また、出力部21は、図形等を用いて、グラフィカルに残量を表しても良い。例えば、残量を、長さや高さや面積で示すバーやグラフ、ランプの点灯数で示すインジケータランプ等を用いて表しても良い。また、この出力は、出力部21が上記で取得した残量を、図示しない記憶媒体等に蓄積された予め用意された閾値と比較した比較結果を示す値であっても良い。比較結果を示す値は、例えば、残量が閾値よりも小さいか否かを示す値であってよい。小さいか否かの判断は、大きいか否かの判断と実質的に同じ判断と考えて良い。また、出力部21は、この小さいか否かを示す値を、予め用意された出力用の情報に変換した情報を出力しても良い。変換した情報は、例えば防湿剤の残量が少なくなったことを警告する情報や、防湿剤の交換時期を示す情報である。警告する情報や、交換時期を示す情報の出力は、例えば、警告や交換時期を知らせるランプの点灯やブザー音等の音の出力や、モニタ等への警告や交換時期を知らせる情報の表示やプリンタ等による印字である。また、この出力は、基板に対する防湿剤の塗布の中断を制御部15等に指示する出力等の、他の処理装置やプログラム等への処理結果の引き渡し等であっても良い。また、取得した残量に応じた出力は、図示しない記憶媒体等への、上記のような情報の蓄積であっても良い。
【0038】
また、出力部21は、残量が閾値よりも小さい場合にのみ、比較結果を示す値を出力しても良い。なお、残量が閾値と等しい場合は、残量が閾値よりも小さい場合と同じ扱いとしても良いし、残量が閾値よりも大きい場合と同じ扱いとしても良い。
【0039】
また、出力部21は、複数の閾値を用意し、各閾値よりも残量が小さいか否かによって、残量についての異なる出力を行っても良い。例えば、第一の閾値よりも残量が少ない場合は、軽度の警告を出し、第一の閾値よりも値が小さい第二の閾値よりも残量が少ない場合には、より重度の警告を出力するようにしても良い。
【0040】
なお、出力部21は、上位のような「取得した残量に応じた出力」を、一以上の基板塗布装置1とネットワークや通信回線等を介して接続された図示しない予め指定されたサーバ装置等の外部の装置に送信しても良い。また、この場合、サーバ装置側で、送信先の基板塗布装置1を識別できるようにするために、各基板塗布装置1の識別情報も、「取得した残量に応じた出力」とともにサーバ装置等に送信することが好ましい。また、この送信は、メール等を用いた、基板塗布装置1を管理するコンピュータや携帯情報端末等への送信であっても良い。例えば、サーバ装置が、このような取得した残量に応じた出力を受け取った場合に、この受け取った情報をモニタ等に表示したり、受け取った情報に応じた上記と同様の警告する情報や、交換時期を示す情報を出力するようにすることで、サーバ装置で、一以上の基板塗布装置1の防湿剤の残量の状況や交換時期等を集中管理したり、遠隔管理することが可能となる。
【0041】
出力部21は、ディスプレイや警告ランプ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部21は、出力デバイスのドライバーソフトや出力デバイス等で実現され得る。
【0042】
次に、基板塗布装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS100)制御部15は、塗布を開始するか否かを判断する。開始はどのように判断しても良い。例えば、ユーザ等から塗布の開始指示を受け付けた場合、塗布を開始すると判断しても良いし、新たな基板が、塗布を行う位置に配置されたことを近接センサ等が検知した場合に、塗布を開始すると判断してもよい。開始すると判断した場合、ステップS102に進み、開始しないと判断した場合、ステップS101に戻る。
【0043】
(ステップS101)制御部15は、移動部13を制御することにより、吐出部12を予め指定されている初期位置に移動させる。この際、防湿剤の塗布は行わないものとする。
【0044】
(ステップS102)制御部15は、軌跡情報によって示される次の移動が回転移動を含むか否かを判断する。例えば、軌跡情報が示す吐出部12の角度が、現在の吐出部12の角度と異なるか否かを判断し、異なる場合、回転移動を含むと判断し、同じである場合、回転移動を含まないと判断する。回転移動を含む場合、ステップS103に進み、含まない場合はステップS104に進む。
【0045】
(ステップS103)制御部15は、移動部13とを制御することにより、吐出部12を回転移動させる。このとき、防湿剤の吐出は行わないようにする。そして、ステップS104に進む。
【0046】
(ステップS104)制御部15は、軌跡情報によって示される次の移動において、防湿剤を吐出するか否かを判断する。吐出する場合、ステップS105に進み、吐出しない場合はステップS113に進む。
【0047】
(ステップS105)制御部15は、吐出部12と移動部13とを制御することにより、移動先まで吐出部12を移動させながら、防湿剤を吐出させる。ここでの移動は、例えば、回転移動以外の移動であり、例えばxy方向の移動である。なお、軌跡情報が示す移動後の座標が、現在の座標と同じ場合等にはxy方向の移動は省略して良い。かかることは、上記の移動や、以下の移動においても同様である。
【0048】
(ステップS106)吐出時間取得部19は、軌跡情報を用いて、ステップS105で移動した移動距離を取得する。例えば、軌跡情報が示す移動開始位置と移動終了位置の座標から、その二点間の距離を算出する。
【0049】
(ステップS107)吐出時間取得部19は、ステップS105で取得した移動距離を、移動速度格納部18に格納されている移動速度で除算して、吐出時間を取得する。
【0050】
(ステップS108)合計量取得部20は、ステップS106で取得した吐出時間に、単位吐出量格納部16に格納されている単位吐出量を乗算して吐出量を取得する。そして、過去に取得された防湿剤の吐出量の合計に、取得した吐出量を加算して吐出量の合計量を取得する。なお、吐出時間の合計を取得し、取得した合計時間に、単位吐出量を乗算して吐出量の合計を取得しても良い。合計量取得部20は、例えば、取得した吐出量の合計量を、図示しない記憶媒体等に蓄積する。
【0051】
(ステップS109)出力部21は、初期量格納部17に格納されている初期量から、ステップS108で取得した吐出量の合計を減算して、容器11内の防湿剤の残量を取得する。
【0052】
(ステップS110)出力部21は、ステップS109で取得した残量と、予め用意された閾値とを比較して、閾値よりも小さいか否かを判断する。閾値よりも小さいと判断された場合、ステップS111に進み、小さくないと判断された場合、ステップS112に進む。
【0053】
(ステップS111)出力部21は、容器11内の残量が閾値よりも小さい場合の予め用意された出力を行う。例えば、残量が少なくことを示す警告や、防湿剤を補充、もしくは、容器11を、防湿剤が十分に収容された新たな容器11に交換することを促す出力等を行う。そして、ステップS112に進む。
【0054】
(ステップS112)制御部15は、軌跡情報によって次の移動が示されているか否かを判断する。示されている場合、ステップS102に戻り、示されていない場合、ステップS100に戻る。
【0055】
(ステップS113)制御部15は、移動部13を制御することにより、移動先まで吐出部12を移動させる。このとき、防湿剤の吐出は行われないように吐出部12を制御する。そして、ステップS112に進む。
【0056】
なお、図1のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0057】
以下、本実施の形態における基板塗布装置1の動作について、具体例を用いて説明する。
図4は、基板塗布装置1を備えた基板処理システムの構成を示す図である。基板処理システムは、一以上の基板塗布装置1とサーバ装置3とを備えている。基板塗布装置1とサーバ装置3とは、通信が可能なように、ネットワークや通信回線等を介して接続されているものとする。ここでは、一例として基板塗布装置1を一つだけ備えている場合を示しているが基板塗布装置1は、複数であっても良い。
【0058】
この具体例において、基板塗布装置1の容器11、吐出部12、移動部13以外の各構成は、コンピュータ900によって実現されるものとする。また、サーバ装置3もコンピュータによって実現されるものとする。
【0059】
なお、ここでは、防湿剤の塗布対象は、平面形状が長方形である基板とし、基板は、その長手方向が、吐出部12が移動するxy平面のx軸と平行となるよう、このxy平面と平行に基板塗布装置1に取り付けられるものとする。また、吐出部12から吐出される防湿剤の吐出形状(平面形状)は、平面形状が長手方向の長さが2aである略楕円形状を有しており、吐出部12は、防湿剤が吐出される吐出口の中心を通るxy平面に垂直な軸を回転の軸として回転可能なものであるとする。また、この吐出口の中心のxy座標が、吐出部12のxy方向における位置の基準となる位置であるとする。また、吐出形状の長手方向がx軸に垂直となるように配置した一の状態にある吐出部12の角度(向き)θを、ここでは0度とし、その状態から上記の回転の軸を中心として反時計回りに吐出部12の角度θが設定されているものとする。例えば、上記の状態から、吐出部12を反時計回りに90度回転させて、吐出形状の長手方向がx軸となるようにした状態の吐出部12の角度θは、90度である。ただし、吐出形状は、円形等の略楕円形状以外の形状でも良い。
【0060】
まず、ユーザが、図示しない入力インターフェース等を操作して、一の基板塗布装置1に、容器11に収容されている防湿剤の残量Tを入力したとすると、この防湿剤の量が容器11内の防湿剤の初期量として初期量格納部17に蓄積される。ここで蓄積された初期量はTとなる。ここでは初期量は体積であるとする。防湿剤の残量としては、例えば、空の容器11に注入する防湿剤の量が利用可能である。
【0061】
次に、ユーザが、防湿剤の塗布対象となる基板を一の基板塗布装置1の吐出部12の下方の予め指定された位置にセットし、この基板塗布装置1に対して防湿剤を塗布を開始するための操作を行ったとすると、制御部15は、塗布の開始を判断する(ステップS100)。そして、制御部15は、移動部13を制御して、吐出部12の角度を予め指定されている初期角度である90度に回転させ、吐出部12を予め指定されている座標(a1、a2)が示す初期位置に移動させる。なお、この初期角度や初期位置は、後述する軌跡情報で指定されるようにしても良い。
【0062】
図5は、基板塗布装置1に取り付けられた基板40上の、防湿剤が塗布される領域を示す概略図である。なお、基板40上の素子や配線等はここでは省略している。図において、第一の塗布領域41及び第三の塗布領域43は、y軸方向の長さが2aである矩形の領域、第二の塗布領域42及び第四の塗布領域44は、x軸方向の長さが2aである矩形の領域であるとする。第一の塗布領域41の左上隅の座標、および第四の塗布領域44の右下隅の座標は、ともに(x1,y1)であるとする。また、第二の塗布領域42の左上隅の座標、および第3の塗布領域43の右下隅の座標は、ともに(x2,y2)であるとする。
【0063】
軌跡情報格納部14に格納されている軌跡情報を以下の表1に示す。
【表1】

【0064】
表1において、各レコードを識別するIDと、吐出部12の位置を示す基板上の座標(x,y)と、吐出部12の角度θと、防湿剤の吐出の有無を示す吐出フラグとが対応付けられている。吐出フラグが「0」の場合には防湿剤の吐出を行わず、吐出フラグが「1」の場合には防湿剤の吐出を行うものとする。座標(x,y)は、基板表面に平行なxy平面における、吐出部12の吐出口の中心の座標を示す。例えば、表1の軌跡情報のID「1」のレコードによって、吐出部12を角度θ=90°としたうえで、位置(a1,b1)から、位置(x1,y1−a)まで、防湿剤の吐出なしに移動することが示される。また、ID「2」のレコードによって、吐出部12を角度θ=0°となるよう回転させたうえで、位置(x1,y1−a)から、位置(x2,y1−a)まで、防湿剤を吐出しながら移動することが示される。
【0065】
制御部15は、図5に示す軌跡情報のIDが「1」であるレコードを読み出す。そして、それに応じて、吐出部12および移動部13を制御する。すなわち、読み出したレコードの示す角度が90度であるため、制御部15は、吐出部12の角度が90度でない場合には、回転が必要であると判断して(ステップS102)、移動部13を制御することによって吐出部12の角度を90度に回転させ(ステップS103)、吐出部12の角度が90度である場合には、回転が不要であると判断して、回転に関する処理を行わない。ここでは、吐出部12の角度が90度であるため、回転移動が不要であると判断する。(ステップS102)。また、読み出したレコードの吐出フラグが「0」であるため、制御部15は、防湿剤の吐出が必要ないと判断する(ステップS104)。そして、防湿剤の吐出を行わずに、座標(x1、y1−a)に吐出部12を移動させる(ステップS113)。
【0066】
次に、制御部15は、軌跡情報にID「1」の次のレコードがあるか否かを判断する(ステップS112)。ここでは、次のレコードであるID「2」のレコードがあるため、制御部15は、ID「2」のレコードを読み出し、それに応じて吐出部12および移動部13を制御する。すなわち、まず、読み出したレコードが示す角度が0度であり、前のレコードの角度90度と異なるため、制御部15は、回転が必要であると判断して(ステップS102)、移動部13を制御することによって吐出部12の角度を0度に回転させる(ステップS103)。次に、読み出したレコードの吐出フラグが「1」であるため、制御部15は、防湿剤の吐出が必要であると判断する(ステップS104)。そして、読み出したレコードの座標が(x2,y1−a)であるため、制御部15は吐出部12と移動部13とを制御して、吐出部12をその位置に、防湿剤を吐出させながら移動させる(ステップS105)。その結果、図5の第1の塗布領域41に対応する領域に防湿剤を塗布することができる。
【0067】
次に、吐出時間取得部19は、軌跡情報のID「2」のレコードと、その一つ前のID「1」のレコードのそれぞれから、吐出部12の移動後の座標(x1,y1−a)と、移動前の座標(x2,y1−a)とを取得する。そして、二点間の距離を算出する(ステップS106)。二点間の距離は、例えば、移動前の座標を、(α1,β1)、移動後の座標を(α2,β2)とすると、(α2−α1)+(β2−β1)の平方根を求めることで得られる。ここでの移動はy軸に平行な移動であるため、移動距離は、x2−x1となる。
【0068】
また、ここでは、移動速度格納部18に格納されている吐出部12がxy方向に移動する際の移動速度がvであるとすると、吐出時間取得部19は、この移動距離を移動速度vで除算することで、第一の塗布領域41を、防湿剤を吐出しながら移動している時間、即ち吐出時間を取得する(ステップS107)。第一の塗布領域41に対する吐出時間は、(x2−x1)/vとなる。
【0069】
合計量取得部20は、単位吐出量格納部16に予め格納されている単位吐出量を読み出し、これを上記で取得した吐出時間(x2−x1)/vに乗算することで第一の塗布領域41に吐出された防湿剤の量を取得する。ここでは、予め指定された単位時間内に吐出部12が吐出した防湿剤の体積tが、単位吐出量として、単位吐出量格納部16に予め格納されていたとすると、合計量取得部20は、第一の塗布領域41に吐出された防湿剤の量(体積)として、(x2−x1)・t/vを取得する。そして、容器11についての初期量Tを設定した以降に、合計量取得部20が、他の基板や他の領域等について取得した防湿剤の量の合計値に、さらに、ここで取得した吐出量(x2−x1)・t/vを加算して、これまでに吐出した防湿剤の合計量を取得する(ステップS108)。ここでは、上記で取得した防湿剤の吐出量(x2−x1)・t/vが、初期量Tを設定後に、初めて取得された防湿剤の吐出量であるため、吐出した防湿剤の合計量は、(x2−x1)・t/vとなる。この合計量は、図示しない記憶媒体等に一時記憶する。
【0070】
次に、出力部21が、この合計量を、容器11の初期量Tから減算して、容器11の残量を算出する(ステップS109)。残量は、T−(x2−x1)・t/vとなる。そして、この残量が、予め指定されている閾値よりも小さいか否かを判断する。例えば、閾値Lであったとすると、出力部21は、容器11の残量の合計から、閾値Lを減算し、その値が負の値であるか否かを判断する(ステップS110)。ここでは、減算した値がL―(T−(x2−x1)・t/v)であり、この値が正の値であったとする。このため、出力部21は出力を行わないものとする。
【0071】
そして、ID「2」のレコードの次のレコードが軌跡情報にあるか否かを判断する(ステップS112)。そして、ある場合には、上記と同様の処理を行う。例えば、ここでは、ID「3」のレコードに従って、吐出部12の角度の変更も行わず、防湿剤の吐出を行わず、座標(x2+a,y1)に移動する(ステップS102、ステップS104,ステップS113)。
【0072】
さらに、ID「4」のレコードに従って、吐出部12の角度を「90」に変更したうえで(ステップS103)、防湿剤の吐出を行って、座標(x2+a,y1)から座標(x2+a,y2)に移動する(ステップS105)。そして、上記と同様に、移動距離y2−y1を取得し(ステップS106)、第二の塗布領域42についての吐出時間(y2−y1)/vを取得し(ステップS107)、吐出量(y2−y1)・t/vを取得して、吐出量の合計量(x2+y2−x1―y1)・t/vを取得し(ステップS108)、蓄積する。そして、容器11内の防湿剤の残量T−(x2+y2−x1―y1)・t/vを取得し、この値が閾値Lより小さいか否かを判断する(ステップS110)。ここでは、閾値Lより大きいと判断されたとすると、上記と同様に、軌跡情報に、次のIDのレコードがあるか否かを判断する(ステップS112)。そして、ある場合には、上記と同様の処理を行う。また、ない場合には、次の基板等に対する防湿剤の塗布を行うか否かを判断し(ステップS101)、行う場合には、上記と同様の処理をくり返し行う。
【0073】
ここで、n番目(nは、二以上の整数)の基板の第三の塗布領域43に対して、防湿剤の塗布を行った際に得られた防湿剤の吐出量を、これ以前に吐出された防湿剤の合計量に加算した値(体積)が、仮にRであったとし、容器11内の防湿剤の残量であるT−Rが、閾値Lよりも小さい値であったとする。
【0074】
この場合、出力部21は、図示しない記憶媒体等に蓄積されている基板塗布装置1の識別情報を読み出して、容器11内の防湿剤の残量が閾値L以下であることを示す情報を、ネットワーク経由でサーバ装置3に対して送信する(ステップS111)。基板塗布装置1の識別情報は、例えば、「CT001」であるとする。なお、ここでは、送信のための通信手段等は省略している。
【0075】
サーバ装置3は、例えば、基板塗布装置1から送信される情報を受信する図示しない受信部や、受信した情報が、防湿剤が残量以下であることを示す情報である場合に、上記出力部21と同様の、当該情報に応じた情報(例えば警告等)を出力する出力部を備えている。そして、サーバ装置3の受信部が、基板塗布装置1が送信する基板塗布装置1の識別情報と、防湿剤の残量が閾値L以下であることを示す情報を受信すると、例えば、図示しない出力部がモニタ等に、「基板塗布装置「CT001」の防湿剤の残量が低下しています。早急に補充して下さい。」等の警告用のアラート等を出力する。これにより、ユーザは、サーバ装置3で、複数の基板塗布装置1の防湿剤の消費状況や、防湿剤の残量不足を監視することが可能となる。また、一以上の基板塗布装置1の防湿剤の消費状況や算量不足等を、遠隔地で管理することが可能となる。
【0076】
なお、出力部21は、サーバ装置3に情報を送信する代わりに(あるいは送信するとともに)防湿剤の交換が必要なことを示す警告灯を点灯させたり、異常を知らせるブザー等を出力したり、警告をモニタ等に表示するようにしても良い(ステップS111)。
【0077】
以上、本実施の形態によれば、容器11内の防湿剤の残量を適切に取得し、残量に応じた出力を行うことが可能となる。これにより、防湿剤の塗布中における防湿剤の不足等に起因する不良品の発生や、基板塗布装置1の動作不良等を防ぐことができる。
【0078】
なお、上記具体例においては、軌跡情報の座標を用いて、吐出部12が防湿剤の吐出を行いながら移動する際の移動距離を取得するようにした。しかしながら、以下の表2に示すように、予め表1に示すような軌跡情報のうちの吐出フラグが「1」である各レコードについて、このレコードが示す座標(x、y)に従って、吐出部12を移動させた場合の吐出部12の移動距離を予め算出し、算出した移動距離と軌跡情報のIDとを対応付けた移動距離管理情報を軌跡情報格納部14等に、予め格納しておくようにし、軌跡情報の各レコードに従って、吐出部12を移動させる際に、軌跡情報のIDに対応する移動距離が、表2に示す移動距離管理情報にあるか否か判断し、ある場合に、この移動距離を取得するようにしてもよい。このようにすることで、吐出部12の移動距離を座標から算出する処理を省略して、処理を軽減し、処理スピードの向上を図ることが可能となる。
【表2】

【0079】
また、上記具体例においては、xy方向の移動と回転移動とを示す軌跡情報を用いた場合について説明したが、本発明においては、z軸方向の移動を更に示す軌跡情報を用いるようにしてもよい。かかることは、以下においても同様である。
【0080】
(実施の形態2)
本実施の形態の基板塗布装置2は、上記実施の形態1において、吐出部12の移動距離から吐出時間を取得する代わりに、制御部15が吐出部12に対して防湿剤を吐出させる吐出指示を出力している時間を吐出時間として取得するようにしたものである。
【0081】
図6は、本実施の形態における基板塗布装置2のブロック図である。
基板塗布装置2は、容器11、吐出部12、移動部13、軌跡情報格納部14、制御部15、単位吐出量格納部16、初期量格納部17、吐出時間取得部29、合計量取得部20、出力部21を備える。
【0082】
基板塗布装置2において、吐出時間取得部29以外の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0083】
吐出時間取得部29は、吐出部12から防湿剤が吐出された時間である吐出時間を取得する。本実施の形態においては、特に、制御部15が吐出指示を用いて吐出部12に防湿剤を吐出させている時間を、吐出時間取得部29が、吐出時間として取得するものである場合について説明する。
【0084】
吐出時間取得部29は、例えば、吐出指示を用いて基板上の一の領域に連続した吐出が行われた場合に、この吐出が行われていた時間を、吐出時間として取得する。吐出時間取得部29は、例えば、吐出指示が、上述したように、吐出の開始を指示する情報と、吐出の終了を指示する情報とで構成され、吐出部12が、制御部15が出力する吐出開始の指示に応じて防湿剤の吐出を開始し、吐出終了の指示に応じて吐出を終了するものである場合には、吐出時間取得部29は、制御部15が、吐出開始の指示を出力した場合に、吐出時間の計測を開始し、吐出終了の指示を出力した場合に、吐出時間の計測を終了する。
【0085】
また、吐出時間取得部29は、例えば、吐出指示が、上述したように、指示が出力されている期間だけ吐出を行わせる指示であり、制御部15からこの吐出指示が出力されている間だけ、吐出部12が防湿剤の吐出を行うものである場合、吐出時間取得部29は、制御部15が、吐出指示を出力した場合に、吐出時間の計測を開始し、吐出指示の出力が終了した場合に、吐出時間の計測を終了する。
【0086】
吐出時間取得部29がどのように吐出時間を取得するかは問わない。吐出時間取得部29は、例えば、図示しないカウンタ等で時間の計測開始時から計測終了までのクロック数をカウントすることで、吐出時間を取得する。また、図示しない時計等が計測した計測開始時と終了時の時刻を取得して、取得した時刻の差から、吐出時間を取得しても良い。
【0087】
なお、吐出時間取得部29は、上述した初期値を取得した以降に、制御部15が吐出指示を用いて吐出部12に防湿剤を吐出させている時間を累積した値を、吐出時間として取得するようにしても良い。例えば、吐出時間取得部29は、吐出指示によって最初に吐出が開始すると吐出時間の計測を開始し、吐出指示によって吐出が一旦中止されると吐出時間の計測を一時中止し、その後は、吐出指示によって吐出が開始される毎に吐出時間の計測の続きを再開し、吐出が中止される毎に、計測を一時中止して、吐出中、あるいは一時中止された時点までの計測結果が示す時間を、累積した吐出時間として取得しても良い。なお、吐出時間取得部29の他の構成等は、吐出時間取得部19と同様である。
【0088】
次に、基板塗布装置2の動作について図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図7において、図3と同一符号は同一または相当するステップを示している。また、ここでは、吐出指示が、指示が出力されている期間だけ吐出部12に吐出を行わせる指示である場合を例に挙げて説明する。
【0089】
(ステップS200)制御部15は、吐出部12に対する吐出指示の出力を開始する。これにより、吐出部12から防湿剤の吐出が開始される。
【0090】
(ステップS201)制御部15は、移動部13とを制御することにより、吐出部12の移動を開始する。ここでの移動は、例えば、回転移動以外の移動であり、例えばxy方向の移動である。
【0091】
(ステップS202)吐出時間取得部29は、時間のカウントを開始する。
【0092】
(ステップS203)制御部15は、吐出部12の移動が完了したか否かを判断する。例えば、軌跡情報が示す座標に、吐出部12が到達したか否かを判断し、到達した場合、移動が完了したと判断する。移動が完了した場合、吐出部12の移動を終了させ、ステップS204に進み、終了していない場合、ステップS203に戻る。
【0093】
(ステップS204)制御部15は、吐出指示の出力を終了する。これにより、吐出部12からの防湿剤の吐出が終了する。
【0094】
(ステップS205)吐出時間取得部29は、時間のカウントを終了する。そして、カウント結果を吐出時間として取得する。そして、ステップS108に進む。
【0095】
なお、上記のフローチャートにおいては、吐出部12の、防湿剤を吐出しながらの移動の開始から、移動の完了までの時間を、吐出時間として取得したが、吐出しながらの移動の開始から、移動の完了までの間に、ステップS202とステップS205の吐出時間を取得する処理と、その処理に応じて防湿液の残量を取得し、残量が閾値より小さいか否かを判断するステップS108からステップS110までの処理をくり返し行うようにしてもよい。そして、閾値よりも残量が少ないと判断された場合は、出力部21が、ステップS111と同様に、閾値よりも小さい場合の出力を行うようにすればよい。
【0096】
なお、図7のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0097】
以下、本実施の形態における基板塗布装置2の具体的な動作について説明する。基板塗布装置2を備えた基板塗布システム等の構成は、図4と同様であるとする。
【0098】
ここでは、まず、上記実施の形態1の具体例と同様に、表1に示す軌跡情報のIDが「1」までの動作を行われたとする。
【0099】
次に、制御部15は、表1に示す軌跡情報からID「2」のレコードを読み出し、それに応じて吐出部12および移動部13を制御する。すなわち、まず、読み出したレコードの示す角度が「0」度であり、前のレコードの角度「90」度と異なるため、制御部15は、回転が必要であると判断して、移動部13を制御することによって吐出部12の角度を0度に回転させる(ステップS103)。次に、読み出したレコードの吐出フラグが「1」であるため、制御部15は、防湿剤の吐出が必要であると判断する(ステップS104)。そして、読み出したレコードの座標が(x2,y1−a)であり、直前の吐出部12の位置を示す座標と異なるため、制御部15は吐出部12に吐出指示の出力を開始する(ステップS200)とともに、移動部13を制御して吐出部12を、座標(x2,y1−a)が示す位置に移動させるための移動を開始する(ステップS201)。これにより、吐出指示が出力されている間は、防湿剤の吐出が継続されるため、防湿剤を吐出しながらの吐出部12に移動が開始される。また、この防湿剤の移動開始と同時に、吐出時間取得部29は、吐出時間のカウントを開始する(ステップS202)。
【0100】
そして、吐出部12が軌跡情報のID「2」のレコードが示す座標に到達させた時点で、制御部15は、移動部13を制御して吐出部12の移動を終了させる(ステップS203)。また、吐出部12への吐出指示の出力を中止し(ステップS204)、吐出部12からの吐出を終了させる。また、吐出時間取得部29は、吐出時間のカウントを終了して、カウントした吐出時間を取得する。ここで取得した吐出時間は、Fであったとする。
【0101】
つぎに、合計量取得部20は、単位吐出量格納部16に予め格納されている単位吐出量tを読み出し、これを上記で取得した吐出時間Cに乗算することで第一の塗布領域41に吐出された防湿剤の量F・tを取得する。そして、合計量取得部20が、容器11についての初期量Tを設定した以降に、他の基板や他の領域等について取得した防湿剤の量の合計値に、ここで取得した吐出量F・tを加算して、これまでに吐出した防湿剤の合計量を取得する(ステップS108)。ここでは、上記で取得した防湿剤の吐出量F・tが、初期量Tを設定後に、初めて取得された防湿剤の吐出量であるため、吐出した防湿剤の合計量は、F・tとなる。この合計量は、図示しない記憶媒体等に一時記憶する。
【0102】
次に、出力部21が、この合計量を、容器11の初期量Tから減算して、容器11の残量を算出する(ステップS109)。残量は、T−F・tとなる。そして、この残量が、予め指定されている閾値Lよりも小さいか否かを判断した結果、小さくないと判断されたとする。この場合、基板塗布装置2は、上記のような処理を、基板上の他の領域や、他の基板について再度繰り返し行う。
【0103】
そして、容器11の防湿剤の残量が、閾値L以下であると判断された場合、上記の具体例と同様に、出力部21は、残量が閾値L以下であることを示す情報を、サーバ装置3等に出力する。その後の処理等は、上記具体例と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0104】
以上、本実施の形態によれば、制御部15から出力された吐出指示を用いて、防湿剤が吐出されている吐出時間を取得するようにしたことにより、容器11内の防湿剤の残量を適切に取得し、残量に応じた出力を行うことが可能となる。特に、吐出部12の正確な移動距離の取得が困難な場合でも、正確な残量を取得して、算量に応じた適切な出力を行うことが可能となる。
【0105】
なお、上記各実施の形態において、制御部15や、吐出時間取得部19や、吐出時間取得部29や、合計量取得部20等の各構成要素は、専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
【0106】
また、上記各実施の形態1において、軌跡情報格納部14、単位吐出量格納部16、初期量格納部17、および移動速度格納部18は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0107】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明にかかる基板塗布装置は、防湿剤を塗布する装置として適しており、特に、防湿剤の残量に応じた出力が可能な装置等として有用である。
【符号の説明】
【0109】
1、2 基板塗布装置
3 サーバ装置
11 容器
12 吐出部
13 移動部
14 軌跡情報格納部
15 制御部
16 単位吐出量格納部
17 初期量格納部
18 移動速度格納部
19、29 吐出時間取得部
20 合計量取得部
21 出力部
30 流体通路
40 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に防湿剤を塗布する基板塗布装置であって、
容器に収容されている防湿剤を基板上に吐出する吐出部と、
前記吐出部と前記基板とを相対的に移動させる移動部と、
前記吐出部及び前記移動部を制御することにより、前記基板上の防湿剤を塗布する領域である塗布領域に防湿剤を吐出させる制御部と、
前記吐出部から吐出される防湿剤の単位時間当たりの吐出量である単位吐出量が格納されている単位吐出量格納部と、
初期状態において前記容器に収容されていた防湿剤の量である初期量が格納されている初期量格納部と、
前記吐出部から防湿剤が吐出された時間である吐出時間を取得する吐出時間取得部と、
前記吐出時間と前記単位吐出量とを用いて、前記初期状態以降に前記吐出部から吐出された防湿剤の合計量を取得する合計量取得部と、
前記初期量と前記合計量とを用いて容器内の防湿剤の残量を取得し、当該取得した残量に応じた出力を行う出力部とを備えた基板塗布装置。
【請求項2】
前記基板に対する前記吐出部の軌跡と、防湿剤の塗布の有無と、を示す情報である軌跡情報が格納される軌跡情報格納部と、
前記吐出部と前記基板との相対的な移動速度が格納されている移動速度格納部と、を更に備え、
前記制御部は、前記軌跡情報が示す軌跡及び吐出の有無に応じて防湿剤が塗布されるように制御し、
前記吐出時間取得部は、前記制御部が防湿剤の塗布を行う制御を行っていた際の、前記基板に対する前記吐出部の相対的な移動距離を、前記軌跡情報を用いて取得し、当該取得した移動距離を前記移動速度で除算して前記吐出時間を取得する、請求項1記載の基板塗布装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記吐出部から防湿剤を吐出させるための指示である吐出指示を出力し、
前記吐出時間取得部は、前記制御部が前記吐出指示を用いて防湿剤を吐出させている時間を、前記吐出時間として取得する、請求項1記載の基板塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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