説明

基板形成用組成物とこれを用いたプリプレグおよび基板

【課題】熱的および機械的特性に優れた基板形成用組成物、並びにこれを用いたプリプレグおよび基板を提供する。
【解決手段】主鎖に一つ以上の可溶性構造単位を有し且つ主鎖の末端の一つ以上に熱硬化性基を有する熱硬化性液晶オリゴマー(Liquid Crystal Thermosetting Oligomer)と、熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に反応可能な官能基を有するフッ素化合物とを重合反応させてなる化合物を含む基板形成用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板形成用組成物とこれを用いたプリプレグおよび基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の発展に伴い、プリント基板の低重量化、薄板化、小型化が日増しに進んでいる。このような要求を充足させるためには、さらにプリント回路の配線に対する複雑化および高密度化を実現しなければならない。このように基板に要求される電気的、熱的および機械的安定性はさらに重要な要素として作用する。特に熱膨張係数(coefficient of thermal expansion、CTE)は、基板製作の際に、信頼性を左右する重要な要素の一つである。
【0003】
また、先端技術が発展するにつれて、情報通信装備に使われる周波数帯域が高周波化しつつある。特に、超高速無線通信機器は、使用周波数帯域が数十GHzまで拡大している。
【0004】
ところが、既存のエポキシを用いたプリント基板の絶縁材料としては、このような高周波領域における使用が不可である。高速・高周波領域で使用するためには、プリント基板の絶縁物の役割を果たす高分子物質が低誘電率を持たなければならないが、エポキシを用いた絶縁物は、通常4以上の比較的大きい誘電率を持っている。これは高速回路および高周波領域で回路の信号伝送に干渉を起こして信号損失が大きくなるためである。
【0005】
かかる問題点を解決するために、低誘電損失を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いてプリント基板の絶縁物として使用することもある。PTFEは、優れた電気的特性および溶媒に対する耐食性などを持っているが、機械的物性および銅箔との接着力が低下するため、プリント基板の材料として使われるのには多くの問題点を抱えていた。
【0006】
したがって、薄型化・高密度化しつつある集積回路パターンの実現に要求される熱的・機械的特性を満足させると同時に、電気的特性にも優れた基板材料の開発が至急要求されているのが実情であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者は、上述した問題点を解決するために広範囲な研究を重ねた結果、熱硬化性液晶(Liquid Crystal Thermosetting、LTC)オリゴマーの主鎖にフッ素化合物を導入することにより、熱的(CTE)、電気的および機械的安定性に優れた基板用絶縁材料組成物を得ることができ、これに基づいて本発明を完成した。
【0008】
よって、本発明の目的は、熱的および機械的特性に優れた基板形成用組成物、並びにこれを用いたプリプレグおよび基板を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、電気的特性に優れた基板形成用組成物、並びにこれを用いたプリプレグおよび基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、主鎖に一つ以上の可溶性構造単位を有し且つ主鎖の末端の一つ以上に熱硬化性基を有する熱硬化性液晶オリゴマー(Liquid Crystal Thermosetting Oligomer)と、前記熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に反応可能な官能基を有するフッ素化合物とを重合反応させてなる化合物を含む、基板形成用組成物を提供する。
【0011】
前記熱硬化性液晶オリゴマーにおいて、前記可溶性構造単位はC4〜C30のアリール−アミン基またはC4〜C30のアリール−アミド基を含むことができる。
【0012】
前記可溶性構造単位は、下記化学式1で表される化合物を含むことができる:
【0013】
【化1】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり、XおよびYはそれぞれ独立にCOO、O、CONR”、NR”’およびCOよりなる群から選択され、ここで、前記R”およびR”’はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C20のアルキル基およびC6〜C30のアリール基よりなる群から選択され、XおよびYの少なくとも一つはCONR”またはNR”’である。
【0014】
また、前記可溶性構造単位は、下記化学式2で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位を含むことができる:
【0015】
【化2】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【0016】
ここで、前記Arは、下記化学式3で表される化合物の中から選ばれるアリール基またはこれらの置換体であり得る。
【0017】
【化3】

【0018】
一方、前記可溶性構造単位は、全体構造単位の合計に対し5モル%超過60モル%以下で含まれ得る。
【0019】
また、前記熱硬化性液晶オリゴマーは、主鎖に、下記化学式4で表される構造単位をさらに含むことができる:
【0020】
【化4】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり、XおよびYはそれぞれ独立にCOO、O、CONR”、NR”’およびCOよりなる群から選択され、ここで、前記R”およびR”’はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C20のアルキル基およびC6〜C30のアリール基よりなる群から選択される。
【0021】
前記化学式4で表される構造単位は、下記化学式5で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位を含むことができる:
【0022】
【化5】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【0023】
ここで、前記Arは、下記化学式6で表される化合物の中から選択できる:
【0024】
【化6】

【0025】
前記熱硬化性基は、熱架橋性反応基であり得る。
【0026】
前記熱硬化性基は、一実施例に応じて、マレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択できる。
【0027】
一実施例によれば、前記熱硬化性液晶オリゴマーは、下記化学式7で表される化合物であり得る:
【0028】
【化7】

式中、Rは下記化学式8で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位であり;Rは下記化学式9で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位であり;ZおよびZは互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、マレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され;ZおよびZの少なくとも一つはマレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され;nとmはそれぞれ独立に1〜50の整数であり;n/(n+m+2)は5%超過60%以下である:
【0029】
【化8】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり;
【0030】
【化9】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である:
【0031】
好適な一実施例によれば、前記熱硬化性液晶オリゴマーは、下記化学式10または化学式11で表される化合物であり得る:
【0032】
【化10】

【0033】
【化11】

式中、ZおよびZは互いに同じでも異なってもよく、それぞれマレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され、mは1〜50の整数であり、nは1〜50の整数である。
【0034】
前記熱硬化性液晶オリゴマーの数平均分子量は、500〜15,000であり得る。
【0035】
前記熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に反応可能な官能基は、−COOH、−OH、−NHおよび−Clの中から少なくとも一つ選択できる。
【0036】
前記フッ素化合物は、好ましくは下記化学式12で表される化合物の中から選択できる:
【化12】

式中、pは1〜10の整数である。
【0037】
また、前記組成物は、無機充填剤をさらに含むことができる。
【0038】
本発明の好適な他の側面によれば、前記基板形成用組成物から製造されるプリプレグが提供される。
【0039】
本発明の好適な別の側面によれば、前記基板形成用組成物から製造される基板が提供される。
【0040】
本発明の特徴および利点は、添付図面に基づいた次の詳細な説明からさらに明白になるであろう。
【0041】
これに先立ち、本明細書および請求の範囲に使用された用語または単語は、通常的且つ辞典的な意味で解釈されてはならず、発明者が自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づき、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、低誘電率を有するフッ素化合物を熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に共有結合によって導入することにより、低誘電率特性を実現すると同時に分散の難しさなしでマトリクス内にフッ素成分を分布させることができる。これにより、本発明の基板形成用組成物は、誘電率の局部的な差異がなく、高速回路および高周波領域のプリント基板絶縁材料として使用できる。
【0043】
また、本発明によれば、熱硬化性液晶オリゴマー固有の熱的、機械的特性が維持されるため、既存のエポキシ系素材に比べて相当低い熱膨張係数および低誘電率特性を同時に示す基板絶縁材料への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の基板形成用組成物に含まれる重合反応物の構成を図式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の目的、特定の利点および新規の特徴は、添付図面に連関する以下の詳細な説明と好適な実施例からさらに明白になるであろう。本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0046】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明についてさらに具体的に説明する。
【0047】
図1は、本発明の基板組成物に含まれる重合反応物の構成を図式的に示す図である。
【0048】
図1に示すように、本発明の基板形成用組成物は、主鎖に一つ以上の可溶性構造単位を有し且つ主鎖の末端の少なくとも一つに熱硬化性基を有する熱硬化性液晶(Liquid Crystal Thermosetting、LCT)オリゴマーと、前記熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に反応可能な作用基を有するフッ素化合物とを重合反応させてなる化合物を含むものである。
【0049】
具体的に、本発明では、一般に使用されるエポキシ樹脂を用いる代わりに、可溶性の熱硬化性液晶オリゴマーを用いる。前記熱硬化性液晶オリゴマーは、液晶の特性を実現する構造、および溶媒に溶ける可溶性構造を同時に持っている。また、熱による硬化構造を持つことが可能な部分が両末端の少なくとも一方に存在する。
【0050】
すなわち、前記熱硬化性液晶オリゴマーは、主鎖に少なくとも一つの可溶性構造単位を含み、主鎖の両末端の少なくとも一方に熱硬化性基を有する。本願において、「可溶性」とは、組成物に使用された溶媒に対する溶解度に優れた特性を意味する。
【0051】
一般に、高分子樹脂は、溶融させて使用し或いは溶媒に溶解させて使用しても、粘度が非常に高くて固形分含量を増加させることが難しい。特に、ガラス繊維不織布に含浸させる場合には高分子組成物の粘度が高くて含浸が難しく、固形分含量が低い場合には含浸量が足りなくて再加工などにより加工費が増加するという問題点がある。これに反し、前記熱硬化性液晶オリゴマーは、低い粘度を有し、誘電定数、熱膨張係数および耐吸湿性などの特性に優れるうえ、溶媒に対する溶解性にも非常に優れるため、各種基板素材への応用時の製造コストを低めることができる。
【0052】
前記熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に挿入される可溶性構造単位は、C4〜C30のアリール−アミン基またはC4〜C30のアリール−アミド基であり得る。前記可溶性構造単位は下記化学式13の構造単位を含むことができる。
【0053】
【化13】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり、XおよびYはそれぞれ独立にCOO、O、CONR”、NR”’およびCOよりなる群から選択され、ここで、前記R”およびR”’はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C20のアルキル基およびC6〜C30のアリール基よりなる群から選択され、XおよびYの少なくとも一つはCONR”またはNR”’である。
【0054】
このような可溶性構造単位は、下記化学式14で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位を含むが、これに限定されない。
【0055】
【化14】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【0056】
前記熱硬化性液晶オリゴマーを構成するそれぞれの構造単位において、Arは互いに同じでも異なってもよく、Arの芳香族環はアミド基、エステル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基またはフルオロメチル基で置換できる。
【0057】
前記Arの非制限的な例は、下記化学式15で表される化合物を含むことができる。
【0058】
【化15】

【0059】
前記熱硬化性液晶オリゴマーは、可溶性構造単位を全体構造単位の合計に対し5モル%超過60モル%以下の含量で含むことができる。可溶性構造単位の含量が5モル%以下であれば、溶媒中における溶解度向上効果が微々であり、これとは対照的に可溶性構造単位の含量が60モル%超過であれば、親水性が増加して耐吸湿性が低下するという問題点が発生するおそれがある。熱硬化性液晶オリゴマー中の前記可溶性構造単位の含量は、反応の際に添加する単量体の含量を調節することにより、所望する水準の可溶性構造を熱硬化性液晶オリゴマーに含ませることができる。前記可溶性構造単位の含量は可溶性構造単位の大きさ、質量、特性および化学的組成を変化させることにより調節できる。
【0060】
前記熱硬化性液晶オリゴマーは、主鎖に可溶性構造単位と共に、下記化学式16で表される構造単位をさらに含むことができる。
【0061】
【化16】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり、XおよびYはそれぞれ独立にCOO、O、CONR”、NR”’およびCOよりなる群から選択され、ここで、前記R”およびR”’はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C20のアルキル基およびC6〜C30のアリール基よりなる群から選択される。
【0062】
前記化学式16で表される構造単位の例は、下記化学式17で表される化合物の中から選択される一つまたは二つ以上の構造単位を含むことができる。
【0063】
【化17】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【0064】
前記化学式17で表される化合物の中から選択される構造単位が二つ以上含まれる場合、それぞれの構造単位のArは互いに同じでも異なってもよく、Arの芳香族環はアミド基、エステル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基またはフルオロメチル基で置換できる。具体的に、前記Arは下記化学式18から選択されることが分かる。
【0065】
【化18】

【0066】
前記熱硬化性液晶オリゴマーは、主鎖の両末端のいずれか一方に、互いに同じまたは異なる熱硬化性基が導入できる。このような熱硬化性基は、基板形成用組成物をプリント基板などの製造に利用するとき、高温硬化を経ると、これらの架橋官能基が互いに架橋されて堅固な網状の安定な構造を形成するので、プリント基板の機械的物性を向上させることができる。
【0067】
前記熱硬化性基は、熱架橋性反応基であり得る。このような熱硬化性基の例は、マレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択される化合物を含むが、これらに限定されない。本願において、「置換体」とは、熱架橋性反応基の末端の一部がアルキル基、ハロゲン原子、アリール基などの置換基で置換された構造を意味し、例えば、マレイミド反応基の場合、二重結合にある水素の少なくとも一つがメチル基のようなアルキル基などによって置換されたものを含む。また、本願において、「誘導体」とは、芳香族、ヘテロ芳香族基などに熱架橋性反応基が結合した構造を意味し、例えばマレイミド反応基の場合、ベンゼン環またはナフタレンにマレイミド反応基が結合したものを含む。
【0068】
好ましくは、前記熱硬化性液晶オリゴマーは、下記化学式19の構造を持つことができる。
【0069】
【化19】

【0070】
式中、Rは下記化学式20で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位であり;Rは下記化学式21で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位であり;ZおよびZは互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、マレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され;nとmはそれぞれ独立に陽の整数であり、好ましくは、独立に1〜50の整数である。
【0071】
【化20】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【0072】
【化21】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【0073】
また、前記化学式において、RおよびRはブロック形態で反復されるか、或いはランダムに反復され得る。例えば、Z・・・RまたはZ・・・RまたはZ・・・RまたはZ・・・Rの形態であり得る。
【0074】
例えば、前記熱硬化性液晶オリゴマーは、下記化学式22または化学式23の構造を持つことができる。
【0075】
【化22】

【0076】
【化23】

式中、ZおよびZは互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、マレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され、nとmはそれぞれ独立に陽の整数であり、好ましくは、それぞれ独立に1〜50の整数である。
【0077】
また、前記化学式19〜23の構造において、n/(n+m+2)は5%超過60%以下の範囲内であり得る。
【0078】
前記熱硬化性液晶オリゴマーの分子量は、500〜15,000であり得る。前記熱硬化性液晶オリゴマーの分子量が500未満であれば、架橋密度が高くなって壊れ易く、前記熱硬化性液晶オリゴマーの分子量が15,000超過であれば、溶液の粘度が高くなってガラス繊維不織布への含浸の際に不利になるおそれがある。
【0079】
前記熱硬化性液晶オリゴマーの製造方法は、特に限定されず、重合によって可溶性構造単位を含む液晶オリゴマーを製造することが可能な化合物と、熱硬化性基を導入することが可能な化合物とを反応させて製造できる。
【0080】
前記において、可溶性構造単位を含む液晶オリゴマーを製造することが可能な化合物は特に限定されない。例えば、少なくとも一つの芳香族、芳香族へテロ環または脂肪族ジカルボン酸;芳香族、芳香族へテロ環または脂肪族ジオール;芳香族、芳香族へテロ環または脂肪族ジアミン;アミノフェノール;ヒドロキシ安息香酸;およびアミノ安息香酸よりなる群から選択でき、芳香族、芳香族へテロ環または脂肪族ジオール;アミノフェノール;アミノ安息香酸の中の少なくとも一つを使用することが好ましい。
【0081】
一例として、熱硬化性液晶オリゴマーは、溶液重合またはバルク重合によって製造できる。溶液重合およびバルク重合は、適切な攪拌手段が設置された一つの反応タンク内で行われ得る。
【0082】
溶液重合方法について例を挙げて説明すると、まず、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride)、アミノフェノール、2,6−ジヒドロキシナフタレン(2,6−dihydroxynaphthalene)、トリエチルアミン(triethylamine)を反応器に入れた後、常温で攪拌しながら反応を行わせる。一定の時間経過後、熱硬化性基を付加することが可能な化合物(例えば、マレイミド−ベンゾイルクロリドなどのマレイミド、ネドイミドまたはアセチレンなどを付加することが可能な化合物)をさらに添加して反応させ、熱硬化性液晶オリゴマーを収得した後、これを分離精製することにより、前記熱硬化性液晶オリゴマーを合成することができる。
【0083】
一方、バルク重合によって熱硬化性液晶オリゴマーを製造する場合には、イソフタル酸、アミノフェノール、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、酢酸無水物を反応器に添加した後、攪拌させながら温度を徐々に150℃まで上げた後、還流させながら一定の時間反応させる。次いで、流出する副生酢酸および無水酢酸を除去した後、4−ヒドロキシ安息香酸をさらに添加し、320℃まで昇温して反応させる。こうして、主鎖の両末端の少なくとも一方にアルコール基を有する液晶オリゴマーを合成する。両末端にアルコール基を有する液晶オリゴマーが収得されると、液晶オリゴマーを溶媒(例えば、DMF)に溶解させた後、熱硬化性基を付加することが可能な化合物を添加して反応させると、主鎖の両末端の少なくとも一方に熱硬化性基が付加された熱硬化性液晶オリゴマーを収得することができる。
【0084】
別のバルク重合によって熱硬化性液晶オリゴマーを製造する場合には、イソフタル酸、アミノフェノール、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、酢酸無水物を反応器に添加した後、攪拌させながら150℃まで上げた後、還流させながら一定の時間反応させる。次いで、230℃まで徐々に昇温させながら副生酢酸および無水酢酸を除去してオリゴマーを合成する。ネドイミド安息香酸をさらに添加し、250℃まで昇温させて熱硬化性液晶オリゴマーを収得することができる。
【0085】
本発明では、上述した熱硬化性液晶オリゴマーを主なマトリクスとして使用し、これと共に従来の充填剤の導入および添加量に依存して誘電率を低める方式ではなく、前記熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に反応することが可能な官能基を含有しているフッ素化合物を重合反応によって熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に共有結合によって導入する。これにより、熱硬化性液晶オリゴマーの固有の熱的、機械的特性を維持させると同時に、低誘電率特性を有するフッ素化合物を分散の難しさなしでマトリクス内に均一に分布させることができる。
【0086】
前記フッ素化合物は、構造体内にフッ素原子を少なくとも一つ有する化合物であって、例えば、−COOH、−OH、−NH、および/または−Clなどの熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖と反応可能なフッ素化合物の官能基を持つことができるが、前記官能基には特別な制限なしで通常重合反応に参加することが可能な公知の全ての官能基が含まれ得る。
【0087】
好適な実施例によれば、前記フッ素化合物は、下記化学式24で表される化合物の中から選択できるが、これに限定されない。
【0088】
【化24】

式中、pは1〜10の整数であり得る。
【0089】
一方、上述した熱硬化性液晶オリゴマーとフッ素化合物との重合反応物は、特に限定されず、当業界における公知の通常の重合反応を介して共有結合によって合成できる。
【0090】
前記フッ素化合物の使用量は、熱硬化性液晶オリゴマーの特性および低誘電率特性を同時に実現することができるように、前記液晶オリゴマー100重量部に対して5〜100重量部、さらに好ましくは5〜50重量部であり得るが、これに限定されない。
【0091】
本発明の基板形成用組成物には、必要に応じて目的の特性を極大化するために少量(約5〜30重量%)の無機充填剤がさらに添加できる。
【0092】
また、本発明の基板形成用組成物は、溶媒キャスティング工程に適用可能であり、ガラス繊維などの含浸が容易であり得る。前記基板形成用組成物への溶媒は、特に限定されないが、極性非プロトン性溶媒を使用することができる。例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N−メチルカプロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルリン酸アミド、および酢酸エチルセロソルブよりなる群から選択されるものを使用することができ、選択的にこれらのうちの2種以上の混合溶媒を使用することができる。前記基板形成用組成物には、溶媒100重量部に対して上述の重合反応物0.1〜300重量部が含まれ得る。
【0093】
また、本発明の基板形成用組成物は、柔軟性の向上のために強化剤(toughening agent)をさらに含むことができる。前記強化剤は芳香族高分子であり、前記芳香族高分子の数平均分子量は2,000〜500,000であり得る。このような芳香族高分子の例は、主鎖にエステル、エステル−アミド、エステル−イミド、エステル−エーテル、およびエステル−カーボネイトよりなる群から選択された一つまたは二つ以上のメソゲン基を含む芳香族高分子を含むが、これに限定されない。前記重合反応物と強化剤との混合比は99.5:0.5〜35:65であり得る。
【0094】
本発明の基板形成用組成物は、必要に応じて充填剤、軟化剤、可塑剤、潤滑剤、静電気防止剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤およびUV吸収剤などの少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。充填剤の例は、PTFE樹脂粉末、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末およびスチレン樹脂などの有機充填剤;およびシリカ、アルミナ、酸化チタニウム、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムなどの無機充填剤を含む。
【0095】
前記基板形成用組成物は、銅箔との接着強度が高く、耐熱性、低膨張性および機械的特性に優れるので、優れたパッケージング材料として使用できる。基板形成用組成物は、基板に成形するか、或いは含浸またはコーティング用バニッシュを形成することができる。前記組成物はプリント基板、多層基板の各層、銅張積層物(例えば、RCC、CCL)、TAB用フィルムに適用可能であるが、前記基板形成用組成物の用途はこれに限定されない。
【0096】
前記組成物を基板などの材料として使用するためには基板上にキャスティングし、硬化させて製造することができる。
【0097】
本発明の基板形成用組成物は、ガラス繊維不織布に含浸してプリプレグの形で製作されることも可能であり、また、ビルドアップフィルム自体から製作されてプリント基板などの基板の絶縁材料として使用できる。
【0098】
プリプレグは、組成物を補強材に含浸させて製造されるが、具体的に、基板形成用尾生物を補強材に含浸させた後、硬化させてシート状に製造して使用することができる。前記補強材は、特に限定されないが、一例としてガラス繊維織布、アルミナガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、セルロース不織布、炭素繊維織布、および高分子織物などを例として挙げることができる。補強材に基板形成用組成物を含浸させる方法としては、ディップコーティング、ロールコーティング法などがあり、その他の通常の含浸方法を使用することができる。
【0099】
前記基板形成用組成物を用いて基板を製造することができる。前記基板は、特に限定されず、例えば多層基板の各層、金属箔に結合した積層物形態、プリント基板などであり得る。また、前記プリプレグが金属箔などに結合する形態を含むことができる。
【0100】
前記基板は、多様な形態であってもよく、フィルム形態であってもよい。フィルムは、前記基板形成用組成物を薄膜化することにより製造できる。
【0101】
フィルム形態以外の前記基板は、金属箔に結合した積層物形態であってもよい。前記金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔などが使用される。金属箔は、厚さが用途によって異なるが、厚さ5〜100μmのものが適切に使用される。金属箔被覆積層板の金属箔に対して回路加工を施すことにより、プリント基板として製作することができる。プリント積層板の表面に前記金属箔被覆積層板を同一に積層し、加工して多層プリント基板として製作することができる。
【0102】
前記金属箔に結合する積層物は、特に限定されず、例えば樹脂付銅箔(RCC)、銅張積層板(CCL)などがある。
【実施例】
【0103】
以下、下記実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範疇を限定するものではない。
【0104】
(実施例1)
[A.4−ネドイミド安息香酸の合成]
1000mLのフラスコに5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.83g(0.2moL)を氷酢酸400mLに入れて110℃で加熱して溶解させた後、過量の4−アミノ安息香酸41.1g(0.3moL)を投入した。投入後2時間攪拌しながら反応させた後、常温で沈殿させた。沈殿物は氷酢酸と水でそれぞれ洗浄した後、60℃の真空オーブンで乾燥させてネドイミド安息香酸を製造した。この際、収率は95%であった。
【0105】
[B.フッ素化合物との重合反応物の合成]
凝縮器(condenser)と攪拌器(mechanical stirrer)を取り付けた500mLのフラスコにイソフタル酸10.789g(0.065moL)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸47.948g(0.254moL)、4−アミノフェノール14.187g(0.130moL)、酢酸無水物58.396g(9.5moL)を入れ、窒素雰囲気の下で140℃まで徐々に温度を増加させた後、温度を維持しながら3時間反応させてアセチル化反応を完結した。次いで、前記A段階で収得した4−ネドイミド安息香酸36.79g(0.130moL)とクロロターミネイテッドモノカルボン酸ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド(chloro−terminated monocarboxylic acid polyhexafluoropropylene oxide)27.25gを添加した後、反応副産物としての酢酸および未反応酢酸無水物を除去しながら分当り1〜2℃の速度で215℃まで昇温させた後、その温度で4時間反応させることにより、主鎖にフッ素化合物が含有され且つ両末端の少なくとも一方にネドイミド基が導入された下記化学式25の重合反応物を収得した。
【0106】
【化25】

式中、n、mおよびlはそれぞれ1〜50の整数である。
【0107】
前記化学式25の重合反応物から得られたフィルムに対してそれぞれ熱膨張係数(CTE)および誘電率を測定し、その結果を下記表1に示した。CTE測定の際に、窒素をパージした状態で昇温速度10℃/minにして測定した。熱膨張係数は50〜100℃を区間として求めた平均値である。
【0108】
(実施例2)
[A.4−マレイミド−ベンゾイルクロリドの合成]
250mLのフラスコにp−アミノ安息香酸41.1g(0.3moL)および酢酸300mLを入れて溶解させた後、これにマレイン酸無水物29.4g(0.3moL)を10℃で徐々に添加して黄色の沈殿物を得た。この沈殿物をDMF/エタノール(50:50、w/w)溶液で再結晶した。再結晶された中間体を酢酸ナトリウムと酢酸無水物を用いて85℃で15分間処理し、常温に冷却させた後、氷浴に沈殿させて沈殿物を得た。収得された沈殿物を酢酸エチル/n−ヘキサン(50:50、w/w)溶液で再結晶してN−(p−カルボキシフェニル)マレイミドを収得した。
【0109】
N−(p−カルボキシフェニル)マレイミド15g(0.07moL)を80mLのベンゼンに添加した。ここに塩化オキサリル21.83g(0.172moL)を徐々に添加し、温度を高めて2時間還流させた。未反応塩化オキサリルを除去し、常温に冷却させた後、フィルタリングし、ヘキサンで洗浄して4−マレイミド−ベンゾイルクロリドを収得した。
【0110】
[B.フッ素化合物との重合反応物の合成]
250mLのフラスコに100mLのジメチルホルムアミドを入れた後、4−アミノフェノール3.274g(0.03moL)、4,4−ジヒドロキシビフェニル4.655g(0.025moL)、トリエチルアミン18mLを添加して溶解させた後、氷水に浸して冷却させた状態でイソフタロイルクロリド10.151g(0.05moL)を添加した。常温で60時間反応させ、水とエタノールを用いて精製した後、乾燥させた。
乾燥した試料1gを9gのNMPに溶解させた後、前記A段階で収得した4−マレイミド−ベンゾイルクロリド0.1g、クロロターミネイテッドモノカルボン酸ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド(chloro−terminated monocarboxylic acid polyhexafluoropropylene oxide)0.1g、およびトリエチルアミン10mLを添加して常温で12時間反応させることにより、主鎖にフッ素化合物が含有され且つ両末端の少なくとも一方にマレイミド反応基が導入された下記化学式26の重合反応物を収得した。
【0111】
【化26】

式中、n、mおよびlはそれぞれ1〜50の整数である。
【0112】
前記化学式26の重合反応物から得られたフィルムに対してそれぞれ熱膨張係数(CTE)および誘電率を測定し、その結果を下記表1に示した。CTE測定の際に、窒素をパージした状態で昇温速度10℃/minにして測定した。熱膨張係数は、50〜100℃を区間として求めた平均値である。
【0113】
(比較例1)
エポキシ樹脂−ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEPA)から得られたフィルムに対してそれぞれ熱膨張係数(CTE)および誘電率を測定し、その結果を下記表1に示した。CTE測定の際に、窒素をパージした状態で昇温温度10℃/minにして測定した。熱膨張係数は50〜100℃を区間として求めた平均値である。
【0114】
(比較例2)
PTFE樹脂(SFLON)から得られたフィルムに対してそれぞれ熱膨張係数(CTE)および誘電率を測定し、その結果を、下記表1に示した。CTE測定の際に、窒素をパージした状態で昇温温度10℃/minにして測定した。熱膨張係数は50〜100℃を区間として求めた平均値である。
【0115】
【表1】

【0116】
表1に示すように、本発明の熱硬化性液晶オリゴマーとフッ素化合物との重合反応物を用いて製造されたフィルム(実施例1〜2)は、従来の技術によって製造されたフィルム(比較例1〜2)に比べて低い誘電率および熱膨張係数を有する。よって、本発明の基板形成用組成物は、高速回路および高周波領域のプリント基板絶縁材料として活用するとき、優れた熱的、機械的および電気的特性を示すであろうと期待される。
【0117】
以上、本発明を具体的な実施例によって詳細に説明したが、これらの実施例は本発明を具体的に説明するためのものに過ぎない。本発明に係る基板形成用組成物とこれを用いたプリプレグおよび基板は、これらの実施例に限定されず、本発明の技術的思想内において、当該分野における通常の知識を有する者によって多様な変形および改良が可能である。
【0118】
本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の領域に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は、特許請求の範囲によって明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、基板形成用組成物とこれを用いたプリプレグおよび基板に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖に一つ以上の可溶性構造単位を有し且つ主鎖の末端の一つ以上に熱硬化性基を有する熱硬化性液晶オリゴマー(Liquid Crystal Thermosetting Oligomer)と、前記熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に反応可能な官能基を有するフッ素化合物とを重合反応させてなる化合物を含むことを特徴とする基板形成用組成物。
【請求項2】
前記可溶性構造単位が、C4〜C30のアリール−アミン基またはC4〜C30のアリール−アミド基を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物。
【請求項3】
前記可溶性構造単位が、下記化学式1で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物:
【化1】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり、XおよびYはそれぞれ独立にCOO、O、CONR”、NR”’およびCOよりなる群から選択され、ここで、前記R”およびR”’はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C20のアルキル基およびC6〜C30のアリール基よりなる群から選択され、XおよびYの少なくとも一つはCONR”またはNR”’である。
【請求項4】
前記可溶性構造単位が、下記化学式2で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位を含むことを特徴とする請求項3に記載の基板形成用組成物:
【化2】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【請求項5】
前記Arが、下記化学式3で表される化合物の中から選ばれるアリール基またはこれらの置換体であることを特徴とする請求項4に記載の基板形成用組成物:
【化3】

【請求項6】
前記可溶性構造単位が、全体構造単位の合計に対し5モル%超過60モル%以下で含まれることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物。
【請求項7】
前記熱硬化性液晶オリゴマーが、主鎖に、下記化学式4で表される構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物:
【化4】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり、XおよびYはそれぞれ独立にCOO、O、CONR”、NR”’およびCOよりなる群から選択され、ここで、前記R”およびR”’はそれぞれ独立に水素原子、C1〜C20のアルキル基およびC6〜C30のアリール基よりなる群から選択される。
【請求項8】
前記化学式4で表される構造単位が、下記化学式5で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位を含むことを特徴とする請求項7に記載の基板形成用組成物:
【化5】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【請求項9】
前記Arが、下記化学式6で表される化合物の中から選択されることを特徴とする請求項8に記載の基板形成用組成物:
【化6】

【請求項10】
前記熱硬化性基が、熱架橋性反応基であることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物。
【請求項11】
前記熱硬化性基が、マレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物。
【請求項12】
前記熱硬化性液晶オリゴマーが、下記化学式7で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物:
【化7】

式中、Rは下記化学式8で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位であり;Rは下記化学式9で表される化合物の中から選ばれる一つまたは二つ以上の構造単位であり;ZおよびZは互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、マレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され;ZおよびZの少なくとも一つはマレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され;nとmはそれぞれ独立に1〜50の整数であり;n/(n+m+2)は5%超過60%以下である:
【化8】

式中、ArはC4〜C30のアリール基であり;
【化9】

式中、ArはC4〜C30のアリール基である。
【請求項13】
前記熱硬化性液晶オリゴマーが、下記化学式10または化学式11で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物:
【化10】

【化11】

式中、ZおよびZは互いに同じでも異なってもよく、それぞれマレイミド(maleimide)、ネドイミド(nedimide)、フタルイミド(phthalimide)、アセチレン(acetylene)、プロパルギルエーテル(propargyl ether)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、シアン酸塩(cyanate)、およびこれらの置換体または誘導体よりなる群から選択され、 mは1〜50の整数であり、nは1〜50の整数である。
【請求項14】
前記熱硬化性液晶オリゴマーの数平均分子量が、500〜15,000であることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物。
【請求項15】
前記熱硬化性液晶オリゴマーの主鎖に反応可能な官能基が、−COOH、−OH、−NHおよび−Clの中から少なくとも一つ選択されることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物。
【請求項16】
前記フッ素化合物が、下記化学式12で表される化合物の中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物:
【化12】

式中、pは1〜10の整数である。
【請求項17】
前記組成物が、無機充填剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の基板形成用組成物。
【請求項18】
請求項1の基板形成用組成物から製造されるプリプレグ。
【請求項19】
請求項1の基板形成用組成物から製造される基板。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−111619(P2011−111619A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12408(P2010−12408)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】