説明

基板接続構造

【課題】硬質基板に重ね合わされたフレキシブル基板を、簡単な作業で接続する。
【解決手段】信号入出力端子部11および21と、貫通孔12および22とをそれぞれ有するフレキシブル基板10および硬質基板20とが、基板接続ピン30によって接続される。基板接続ピン30は、硬質基板20およびフレキシブル基板10にそれぞれ設けられた貫通孔12を軸部31が挿通して、軸部31の各端部が、硬質基板20およびフレキシブル基板10に係合されることによって、硬質基板20の信号入出力端子部21と、フレキシブル基板10の信号入出力端子部12とが相互に圧接されるように、硬質基板20およびフレキシブル基板10を一体的に固定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質基板とフレキシブル基板との接続構造である基板接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型軽量化が進んでいる携帯電話、ビデオカメラ等の電子機器の内部には、多くの電子部品が組み込まれている。機器内部に組み込まれる電子部品は、通常、機器内部の硬質基板上に配置され、硬質基板上に設けられた部品搭載用ランドと半田によって接続されている。小型化の進んだ携帯電話では、液晶表示モジュール、キーパッド等の専有面積の大きい部品も機器内部に組み込む必要がある。そのために、通常は、複数枚の硬質基板を用いて、各硬質基板同士、あるいは硬質基板と他の部品とを、フレキシブル基板によって電気的に接続する構成が採用されている。フレキシブル基板によって接続された硬質基板同士、あるいは硬質基板と他の部品とは、フレキシブル基板を介して、電気信号が送受信される。
【0003】
従来、フレキシブル基板と硬質基板とを電気的に接続するためには、以下のような方法が知られている。第1は、フレキシブル基板に設けられた信号入出力端子を、硬質基板に設けられた信号入出力端子に半田付けする方法である。
【0004】
第2は、図8に示すように、フレキシブル基板61の端部に設けられた信号入出力端子62を、硬質基板64上に取り付けられたコネクタ65に差し込むことによって接続する方法である。
【0005】
第3は、特開平9−22760号公報(特許文献1)に記載された方法である。この方法では、図9に示すように、コネクタ75設けられた硬質基板74が使用される。このコネクタ75には、接触子76が所定方向に並んで形成されており、接触子76の両側に基板係合部77がそれぞれ設けられている。各基板係合部77は、先端部が爪状に形成されている。フレキシブル基板71の端部には、コネクタ75の接触子76に接触される信号入出力端子72が設けられており、信号入力端子72の両側に、硬質基板74のコネクタ75に設けられた基板係合部77が係合される係合孔73がそれぞれ設けられている。
【0006】
フレキシブル基板71の信号入出力端子72を、硬質基板74の接触子76に接触させる際には、硬質基板74のコネクタ75に設けられた基板係合部77が、フレキシブル基板71に設けられた係合孔73に挿入されて、それぞれの先端部の爪状部分がフレキシブル基板71に係合されることによって、硬質基板74のコネクタ75に信号入出力端子72が固定され、コネクタ75の接触子76と信号入力端子72とが、電気的に接触された状態に保持される。
【0007】
さらに、第4の方法として、特開平9−69678号公報(特許文献2)に記載された方法がある。この方法では、図10に示すように、信号入出力端子87が設けられた硬質基板86に、専用の接続保持体81が装着される。接続保持体81は、硬質基板86に設けられた貫通孔86aに、接続保持体81に設けられた脚部81aを挿入することによって装着される。この場合、硬質基板86と接続保持体81との間に、フレキシブル基板84が挟み込まれている。接続保持体81の内部には、板バネ82によって弾性的に保持された突起83が設けられており、この突起83によってフレキシブル基板84の信号入出力端子85が、硬質基板86の信号入出力端子87に弾性的に押し付けられる。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−22760号公報
【特許文献2】
特開平9−69678号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の基板接続技術には、以下のような問題がある。
【0010】
フレキシブル基板に設けられた信号入出力端子を、硬質基板に設けられた信号入出力端子に半田付けする第1の技術では、半田付け作業が必要であるために、作業効率が低下するという問題がある。しかも、半田付け作業を実施する前に、フレキシブル基板を硬質基板に対して位置合わせをする必要がある。フレキシブル基板では、信号入出力端子の端子間ピッチが細かくなり、位置合わせが少しでもずれると隣接する端子とショートしてしまうおそれがあるため、位置合わせは慎重に行わなければならない。そのために、作業効率が著しく低下する。さらには、半田付けに際して、半田、半田ごて等を準備する必要があり、半田付けのために広い作業スペースを確保する必要もある。また、メンテナンス、欠陥部品交換等のために、フレキシブル基板を硬質基板から取り外す場合には、半田付け部分を取り外さなければならず、その作業が容易でないという問題がある。しかも、この場合には、半田付けされた部分を取り外すことが容易でなく、フレキシブル基板が破損し、さらには、硬質基板までもが破損するおそれがある。その結果、フレキシブル基板のみならず、硬質基板も再利用することができなくなるおそれがある。
【0011】
図8に示すように、フレキシブル基板61の信号入力端子部62を、硬質基板64上のコネクタ65に差し込む第2の方法では、硬質基板64にコネクタ65を予め実装する作業が必要になる。しかも、硬質基板64に設けられたコネクタ65に、フレキシブル基板61の端部に設けられた信号入出力端子62を接続するために、信号入出力端子62が設けられるフレキシブル基板61の端部裏面に、一定の厚みを確保するとともに端部の補強のために、樹脂等からなる板材63が、通常、取り付けられている。このように、板材63を準備してフレキシブル基板61の端部に取り付けるために、作業性および経済性が損なわれるという問題がある。また、フレキシブル基板61の信号入出力端子62をコネクタ65へ差し込む作業、コネクタ65の可動部を操作する細かな作業等も必要となり、作業性がさらに損なわれる。
【0012】
図9に示すように、硬質基板74上に設置したコネクタ75の接触子76に対しフレキシブル基板の信号入出力端子を接触させる第3の技術では、第2の技術の場合と同様に、予め硬質基板74に接触子76が設けられたコネクタ75を実装する必要があり、作業性に問題がある。しかも、フレキシブル基板71に係合孔73が設けられているために、フレキシブル基板71の強度が低下しており、係合片77が係合孔73に対して着脱する際に、フレキシブル基板71の一部が破損するおそれがある。
【0013】
図10に示すように、硬質基板86に専用の接続保持体81が装着されて、接続保持体81に設けられた突起83が板バネ82によってフレキシブル基板84の信号入出力端子85を硬質基板86の信号入出力端子87に押し付ける第4の技術では、専用の接続保持体81を使用する必要があり、硬質基板86の形状、入出力端子87の配置が変更されると、それに合わせて、接続保持体81を新たに作製する必要がある。その結果、形状の異なる機種に対応した硬質基板86が製作されると、それに合わせて接続保持体81を作製しなければならず、汎用性に問題がある。また、突起83および板バネ62が設けられた接続保持体81の形状は複雑であり、製造コストが高くなるおそれもある。
【0014】
このように、フレキシブル基板を硬質基板に接続する従来の接続技術では、作業性および経済性に問題がある。
【0015】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、フレキシブル基板の信号入出力端子を硬質基板の信号入出力端子に、簡単な作業で効率よく接続でき、しかも経済性に優れた基板接続構造を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の基板接続構造は、信号入出力端子部および貫通孔を有するフレキシブル基板と、信号入出力端子部および貫通孔を有し、該貫通孔を、該フレキシブル基板の貫通孔に整合状態で重ね合わせることにより、該信号入出力端子部が該フレキシブル基板の信号入出力端子部と相互に接触した状態になるように構成された硬質基板と、該硬質基板および該フレキシブル基板にそれぞれ設けられた貫通孔を軸部が挿通して、該軸部の各端部が、該硬質基板および該フレキシブル基板に係合されることによって、該硬質基板の信号入出力端子部と、該フレキシブル基板の信号入出力端子部とが相互に圧接されるように、該硬質基板および該フレキシブル基板を一体的に固定する基板接続ピンと、を具備することを特徴とする。
【0017】
前記フレキシブル基板の信号入出力端子部は、該フレキシブル基板に設けられた貫通孔の近傍に設けられ、前記硬質基板の信号入出力端子部は、該硬質基板に設けられた貫通孔の近傍に設けられている。
【0018】
前記フレキシブル基板の信号入出力端子部は、該フレキシブル基板に設けられた貫通孔の周囲に、該貫通孔の放射方向に沿って配置された複数の端子を有し、前記硬質基板の信号入出力端子部は、該硬質基板に設けられた貫通孔の周囲に、該貫通孔の放射方向に沿って配置された複数の端子を有する。
【0019】
前記フレキシブル基板に設けられる前記貫通孔および前記硬質基板に設けられる前記貫通孔がそれぞれ複数設けられており、前記基板接続用ピンも複数設けられている。
【0020】
前記基板接続用ピンは、軸部の一部が、スリットによって二分された一対の軸半体部を有しており、各軸半体部が相互に接触することにより、前記フレキシブル基板および前記硬質基板に設けられた各貫通孔内に挿入される。
【0021】
前記基板接続用ピンの各軸半体部の先端部に、前記フレキシブル基板および前記硬質基板のいずれか一方に係合する係合部がそれぞれ設けられている。
【0022】
前記基板接続用ピンは、前記各係合部が設けられた先端部とは反対側に、前記フレキシブル基板および前記硬質基板の他方に係合する頭部が設けられている。
【0023】
前記基板接続用ピンには、前記フレキシブル基板の信号入出力端子部および前記硬質基板の信号入出力端子部同士を弾性的に圧接する弾性体が設けられており、前記頭部は、該弾性体を介して前記フレキシブル基板および前記硬質基板の他方に係合される。
【0024】
前記弾性体は、複数設けられている。
【0025】
前記弾性体は、前記フレキシブル基板または前記硬質基板に対向する面が、中心部から外周側になるにつれて、対向する前記フレキシブル基板または前記硬質基板に接近するテーパー形状になっている。
【0026】
前記弾性体は、前記フレキシブル基板および前記硬質基板に対向する面が凹凸形状になっている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の基板接続構造の実施形態の一例を示す分解斜視図、図2は、その基板接続構造の断面図である。本実施形態の基板接続構造は、図1および図2に示すように、硬質基板20上にフレキシブル基板10が重ね合わされて、硬質基板20に設けられた信号入出力端子部21に、フレキシブル基板10に設けられた信号入出力端子部11を接続するようになっている。
【0029】
このフレキシブル基板10は、フレキシブルなフレキシブル基板本体13を有しており、このフレキシブル基板本体13の端部には、円形の貫通孔12が設けられている。フレキシブル基板本体13における一方の面には、貫通孔12の周囲近傍に、信号入出力端子部11が設けられている。信号入出力端子部11は、貫通孔12の周囲近傍に、周方向に一定のピッチでそれぞれが放射方向に沿って配置された複数の端子11aを有しており、各端子11aにフレキシブル基板本体13に沿って設けられた各配線(図示せず)が、それぞれ接続されている。
【0030】
硬質基板20には、硬質材料によって構成された硬質基板本体23を有しており、この硬質基板本体23に、フレキシブル基板本体13に設けられた貫通孔12と同じ内径の円形の貫通孔22が設けられている。硬質基板本体23における一方の面には、貫通孔22の周囲近傍に信号入出力端子部21が設けられている。この信号入力端子部21も、それぞれが、貫通孔22の周囲近傍に、周方向に一定のピッチでそれぞれが放射方向に沿って配置された複数の端子21aを有しており、各端子21aが、硬質基板本体23に沿ってそれぞれ設けられた各配線(図示せず)に、それぞれ接続されている。硬質基板本体23に設けられた信号入出力端子部21の各端子21aは、フレキシブル基板本体13に設けられた信号入出力端子部11の各端子11aに整合状態で対応するように配置されている。
【0031】
フレキシブル基板10は、信号入力端子部11が、硬質基板20の信号入力端子部21に対向するように、硬質基板20に対して配置されて、フレキシブル基板10に設けられた貫通孔12と、硬質基板20に設けられた貫通孔22とを整合状態で配置すると、フレキシブル基板10に設けられた信号入力端子部11の各端子11aが、硬質基板20に設けられた信号入力端子部21の各端子部21aにそれぞれ相互に突き合わされるようになっている。
【0032】
硬質基板20に重ね合わされたフレキシブル基板10は、樹脂によって構成された基板接続用ピン30を用いて、硬質基板20に接続されるようになっている。図3は、基板接続用ピン30の断面図である。基板接続用ピン30は、図3に示すように、円盤状の頭部31と、頭部31の裏面中心部から頭部31に対して垂直に延出した丸棒状の軸部32とを有しており、軸部32が、硬質基板20に重ね合わされたフレキシブル基板10の貫通孔12内に挿入されて、硬質基板20の貫通孔22内を挿通するようになっている。
【0033】
基板接続用ピン30の頭部31は、フレキシブル基板10に設けられた貫通孔12の内径より十分に大きい外径を有しており、頭部31には、軸部32が設けられた裏面側に、一対の第1の弾性体41および第2の弾性体42が設けられている。頭部31は、フレキシブル基板10に対して、第1の弾性体41および第2の弾性体42を介して係合されるようになっている。各弾性体41および42は、基板接続用ピン30の頭部31とほぼ同じ外径を有する環状に、それぞれ、ゴム等の弾性を有する物質によって形成されており、軸部32の基端部に頭部31側からその順番に嵌合されている。基板接続用ピン30の頭部31側に配置された第1の弾性体41は、頭部31の遠方側に配置された第2の弾性体42とは硬度が異なっており、第2の弾性体42が第1の弾性体41よりも高い硬度の物質によって構成されている。
【0034】
頭部31の遠方側に配置された第2の弾性体42のフレキシブル基板10と対向する側の表面は、中心部から外周縁側に向かってフレキシブル基板10に接近するように傾斜したテーパー形状になっており、この第2弾性体42の厚さは、中心部から外周縁部側になるにつれて、順次、増大している。
【0035】
図4(a)に示すように、軸部32の軸方向中程から先端面にかけて、軸部32の先端部分を二分するスリット32bが形成されている。このスリット32bは、先端側になるにつれてその間隙が広くなるようにV字状に形成されており、このスリット32bによって、軸部32の先端部が二股状に二分されて、一対の軸半体部32aが形成されている。各軸半体部32aは、スリット32bによって、適当な間隔をあけた状態に保持されており、相互に接触するように、それぞれ可撓性を有している。
【0036】
従って、図4(b)に示すように、各軸半体部32aの先端部同士は、相互に接近することによって、スリット32bを相互に接触した状態になる。このように、各軸半体部32aが相互に接触した状態になると、各軸半体部32aの外周面は、それぞれの先端部を除いて、先端側になるにつれて順次外径が小さくなるようにテーパー形状になっている。
【0037】
各軸半体部32aの先端部には、軸半体部32aが、硬質基板20の貫通孔22を挿通することによって、貫通孔22の周縁部に係合する係合部32cが、それぞれ設けられている。各係合部32cは、軸半体部32aが相互に密着した状態で、それぞれの外周面が、先端側になるにつれて外径が順次小さくなったテーパー形状になっており、各係合部32c同士が密着した状態では、その先端の外径は、フレキシブル基板10に設けられた貫通孔12の内径よりも小さくなる。各係合部32cの先端側とは反対側には、段差がそれぞれ形成されている。
【0038】
基板接続用ピン30の軸部32の長さは、頭部31の遠方側に配置された第2の弾性体42から係合部32cの段差までの距離が、フレキシブル基板10における貫通孔12の長さと、硬質基板20における貫通孔22の長さとの合計よりも若干短く設定されている。
【0039】
このような構成の基板接続構造によって、フレキシブル基板10と硬質基板20とは、次のようにして接続される。
【0040】
まず、フレキシブル基板10を硬質基板20上の所定の位置に重ねる。この場合、硬質基板20の貫通孔22に、フレキシブル基板10の貫通孔12を整合状態になるように重ねて、硬質基板20の信号入出力端子部21における各信号入力端子21aと、フレキシブル基板10の信号入出力端子部11における各信号入力端子11aとをそれぞれ重ね合わせる。このようにして、硬質基板20にフレキシブル基板10を位置合わせして重ね合わせると、フレキシブル基板10の貫通孔12に基板接続用ピン30の軸部32を、係合部32cが設けられ先端部側から挿入する。
【0041】
この場合、軸部32の軸半体部32a同士を相互に密着させることによって、各係合部32cの先端部は、フレキシブル基板10の貫通孔12の内径よりも小さな外径になり、フレキシブル基板10の貫通孔12内に容易に挿入することができる。フレキシブル基板10の貫通孔12内に挿入された各係合部32cは、フレキシブル基板10の貫通孔12を挿通して、硬質基板20の貫通孔22内に挿入される。
【0042】
その後、基板接続用ピン30の各係合部32cが、硬質基板20の貫通孔22を挿通するように、基板接続用ピン30の頭部31を、フレキシブル基板10側に押し付ける。これにより、第1の弾性体41および第2の弾性体42は、フレキシブル基板10と頭部31との間にて圧縮された状態になり、基板接続用ピン30の各係合部32cが、硬質基板20の貫通孔22を挿通する。硬質基板20の貫通孔22を挿通した各係合部32cは、スリット32bによって、相互に離隔する方向に付勢されて、図2に示すように、各係合部32cの段差が、硬質基板20における貫通孔22の周囲に係合される。
【0043】
これにより、基板接続用ピン30の頭部31が、フレキシブル基板10に対して第1の弾性体41および第2の弾性体42を介して係合された状態になっていることから、基板接続用ピン30の軸部32は、フレキシブル基板10の貫通孔12および硬質基板20の貫通孔22を挿通して抜け止めされた状態になる。
【0044】
この場合、基板接続用ピン30の軸部32の長さが、第2の弾性体42から各係合部32cまでの距離が、各貫通孔12および22の長さの合計よりも若干短くなっているために、第1の弾性体41および第2の弾性体42は、フレキシブル基板10の表面と基板接続用ピン30の頭部31とによって圧縮された状態になる。そして、第1の弾性体41および第2の弾性体42の圧縮に伴う反発力により、フレキシブル基板10が硬質基板20に強く圧接された状態になり、フレキシブル基板10における貫通孔12の周囲近傍に設けられた信号入出力端子部11の各端子11aが、硬質基板20における貫通孔22の周囲近傍に設けられた信号入出力端子部21の各端子21aにそれぞれ圧接された状態になる。
【0045】
この場合、第1および第2の弾性体41および42は、フレキシブル基板10の貫通孔12の周囲に圧接されて、フレキシブル基板10および硬質基板20同士を相互に圧接しているために、フレキシブル基板10および硬質基板20に設けられたそれぞれの貫通孔12および22の周囲に設けられた信号入出力端子部11および信号入力端子部21同士が、相互に強く圧接されることになる。このため、信号入出力端子部11および21の各端子11aおよび12a同士は、それぞれ、確実に相互に電気的に接触された状態になる。
【0046】
しかも、第2の弾性体42の硬度が第1の弾性体41の硬度よりも高く、従って、第1の弾性体41が第2の弾性体42よりも軟質になっているために、第1の弾性体41によって、第2の弾性体42全体がフレキシブル基板10に確実に圧接される。さらには、第2の弾性体42におけるフレキシブル基板10に圧接される表面が、中心部から外周縁部側にかけてフレキシブル基板10の表面に接近するようなテーパー形状になっているために、貫通孔12の周囲から離れるほど圧接力が大きくなる。従って、各貫通孔12および22の周囲に放射方向に沿ってそれぞれ設けられた各端子11aおよび12aは、相互に圧接された状態で、各貫通孔12および22に対して回転することが確実に防止されるために、各端子11aおよび12aが位置ずれするおそれがない。これによっても、各端子11aおよび12aの電気的な接続の信頼性が向上する。
【0047】
さらに、フレキシブル基板10と硬質基板20との接続に使用されている基板接続用ピン30は、硬質基板20の貫通孔22から突出した各係合部32cを相互に密着するように接近させて、硬質基板20との係合状態を解除して、各貫通孔12および22から引き抜くことにより、フレキシブル基板10と硬質基板20との接続状態を解除することができる。
【0048】
このように、基板接続用ピン30の引き抜きという簡単な作業によって、フレキシブル基板10と硬質基板20との接続状態を解除することができるために、各信号入出力端子部11および21におけるそれぞれの端子11aおよび21aの損傷、および、各端子11aおよび21aの剥離を防止することができ、フレキシブル基板10および硬質基板20を再利用することが可能になる。同様に、基板接続用ピン30および各弾性体41および42の損傷も防止され、従って、これらも、再使用することが可能である。
【0049】
なお、前記実施の形態では、基板接続用ピン30に、一対の第1の弾性体41および第2の弾性体42を設けて2層構造にしたが、このような構成に限らず、図5(a)および(b)に示すように、1つの弾性体43を設けるようにしてもよい。この場合にも、弾性体43におけるフレキシブル基板10に対向する面を、中心部から外周縁部側になるにつれてフレキシブル基板10に接近するテーパー形状とされる。
【0050】
このように1層の弾性体43が設けられた基板接続用ピン30によっても、フレキシブル基板10と硬質基板20とを確実に接続することができる。
【0051】
図6(a)は、第2の弾性体42の他の例を示している。第2の弾性体42におけるフレキシブル基板10と対向するテーパー形状の面には、放射方向に沿った複数の凸部42aが周方向に一定のピッチで形成されている。各凸部42aは、周方向に沿った断面がそれぞれ三角形状になっている。従って、第2の弾性体42のフレキシブル基板42に圧接される面は、周方向に一定のピッチの凸部42aが形成されていることによって、凹凸形状になっている。このように、フレキシブル基板10に圧接される面が凹凸形状になっていることにより、フレキシブル基板10には凸部42aのみが接触することになり、第2の弾性体42の単位面積あたりの圧接力を大きくすることができる。これにより、各端子11aおよび21a同士の電気的な接続の信頼性を、さらに向上させることができる。
【0052】
図6(b)は、第2の弾性体42のさらに他の例を示しており、第2の弾性体42におけるフレキシブル基板10と対向するテーパー形状の面に、周方向に沿った複数の凸部42bが放射方向に一定のピッチで設けられている。各凸部42bは、放射方向に沿った断面が、それぞれ三角形状になっている。このような構成によっても、第2の弾性体42の単位面積あたりの圧接力を大きくすることができ、従って、各端子11aおよび21a同士の電気的な接続の信頼性を、さらに向上させることができる。
【0053】
なお、図6(a)および(b)に示す第2の弾性体42は、フレキシブル基板10および硬質基板20にそれぞれ設けられ端子11aおよび12aの形状、配置等によって、適宜、使い分けることによって、各端子11aおよび21a同士の電気的な接続の信頼性を、さらに向上させることができる。
【0054】
図6(c)は、第2の弾性体42のさらに他の例を示しており、第2の弾性体42におけるフレキシブル基板10と対向するテーパー形状の面に、多数の円錐形状の凸部42cがランダムに分散した状態に設けられて、凹凸形状になっている。このような構成によっても、第2の弾性体42の単位面積あたりの圧接力を大きくすることができる。この場合には、フレキシブル基板10および硬質基板20にそれぞれ設けられ端子11aおよび12aの形状、配置等にかかわらず、各端子11aおよび21a同士の電気的な接続の信頼性を、さらに向上させることができる。
【0055】
なお、図5に示した1層の弾性体43におけるフレキシブル基板10に対向する面も、図6R>6(a)、(b)、(c)のいずれかに示されるような凹凸形状としてもよい。
【0056】
さらに、フレキシブル基板10と硬質基板20とを、1つの基板接続ピン30によって接続する構成に限らず、例えば、図7に示すように、一対の基板接続用ピン30によって、フレキシブル基板10と硬質基板20とを接続するようにしてもよい。この場合には、フレキシブル基板10には、一対の貫通孔12が設けられるとともに、各貫通孔12の周囲近傍に、それぞれが放射方向に沿った端子11aが周方向に一定のピッチで設けられた信号入出力端子部11がそれぞれ設けられ、同様に、硬質基板20に、一対の貫通孔22が設けられるとともに、各貫通孔22の周囲に、それぞれが放射方向に沿った端子21aが周方向に一定のピッチで設けられた信号入出力端子部21がそれぞれ設けられる。
【0057】
このように、一対の基板接続用ピン30を使用して、フレキシブル基板10と硬質基板20とを接続することにより、各基板接続用ピン30の軸部32を中心として、フレキシブル基板10が硬質基板20に対して回転することを確実に防止することができる。従って、相互に接触される各端子11aおよび21a同士がずれることによって、各端子11aおよび21a同士の電気的な接続が得られなくなるおそれがない。また、この場合には、フレキシブル基板10および硬質基板20に、それぞれ一対の信号入出力端子部11および21が設けられているために、同じ機能を有する信号入力端子11aおよび21aを、各信号入出力端子部11および21毎に、それぞれまとめて設けることができる。さらには、一対の信号入出力端子部11および21それぞれを、フレキシブル基板10および硬質基板20の任意の位置に配置することができるために、信号入出力端子部11および21の設計上の自由度が増加し、配線設計等が容易になる。
【0058】
なお、上述した実施形態は、信号入出力端子部11および21に設けられる各端子11aおよび21aが、周方向に一定のピッチであって、それぞれ放射方向に沿って配置された構成になっているが、このような形状に限らず、例えば、各貫通孔12および22の近傍に直線状に並んで配置された構成であってもよい。また、基板接続用ピン30についても、頭部31が円形のもので説明したが、長方形、多角形等の他の形状でもよい。また、軸部32も、1本に限らず、2本以上設けられていてもよい。ただし、軸部32の本数が多くなると、基板接続用ピン30を取り外す作業が複雑になるおそれがあり、適当な本数とすることが好ましい。
【0059】
【発明の効果】
本発明の基板接続構造は、フレキシブル基板と硬質基板とを、簡潔な構成の基板接続用ピンによって接続しているために、専用のコネクタのような複雑で高価な部品が必要でなく、また、半田付けのような煩雑な作業を必要としない。従って、フレキシブル基板と硬質基板の接続作業が簡単になり、作業者の疲労を軽減できる。また、部品コストが安いことに加え、フレキシブル基板、硬質基板及び基板接続用ピンの再使用が可能になるので、経済性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板接続構造の一例を示す分解斜視図である。
【図2】その基板接続部の縦断面図である。
【図3】その基板接続部に使用されている基板接続用ピンの縦断面図である。
【図4】(a)および(b)は、それぞれ、基板接続用ピンの動作説明図である。
【図5】(a)は、基板接続用ピンの他の例を示し、(b)は、その動作説明図である。
【図6】(a)、(b)、(c)は、それぞれ、基板接続用ピンに設けられる弾性体の更に別の例を示す斜視図である。
【図7】本発明の基板接続構造のさらに他の例を示す分解斜視図である。
【図8】従来の基板接続技術の一例を示す説明図である。
【図9】従来の基板接続技術の他の例を示す説明図である。
【図10】従来の基板接続技術のさらに他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 フレキシブル基板
11 信号入出力端子部
11a 端子
12 貫通孔
20 硬質基板
21 信号入出力端子部
21a 端子
22 貫通孔
30 基板接続用ピン
31 頭部
32 軸部
32a 軸半体部
32b スリット
32c 係合部
41 弾性体
42 弾性体
43 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号入出力端子部および貫通孔を有するフレキシブル基板と、
信号入出力端子部および貫通孔を有し、該貫通孔を、該フレキシブル基板の貫通孔に整合状態で重ね合わせることにより、該信号入出力端子部が該フレキシブル基板の信号入出力端子部と相互に接触した状態になるように構成された硬質基板と、
該硬質基板および該フレキシブル基板にそれぞれ設けられた貫通孔を軸部が挿通して、該軸部の各端部が、該硬質基板および該フレキシブル基板に係合されることによって、該硬質基板の信号入出力端子部と、該フレキシブル基板の信号入出力端子部とが相互に圧接されるように、該硬質基板および該フレキシブル基板を一体的に固定する基板接続ピンと、
を具備することを特徴とする基板接続構造。
【請求項2】
前記フレキシブル基板の信号入出力端子部は、該フレキシブル基板に設けられた貫通孔の近傍に設けられ、前記硬質基板の信号入出力端子部は、該硬質基板に設けられた貫通孔の近傍に設けられている請求項1に記載の基板接続構造。
【請求項3】
前記フレキシブル基板の信号入出力端子部は、該フレキシブル基板に設けられた貫通孔の周囲に、該貫通孔の放射方向に沿って配置された複数の端子を有し、前記硬質基板の信号入出力端子部は、該硬質基板に設けられた貫通孔の周囲に、該貫通孔の放射方向に沿って配置された複数の端子を有する請求項2に記載の基板接続構造。
【請求項4】
前記フレキシブル基板に設けられる前記貫通孔および前記硬質基板に設けられる前記貫通孔がそれぞれ複数設けられており、前記基板接続用ピンも複数設けられている請求項1に記載の基板接続構造。
【請求項5】
前記基板接続用ピンは、軸部の一部が、スリットによって二分された一対の軸半体部を有しており、各軸半体部が相互に接触することにより、前記フレキシブル基板および前記硬質基板に設けられた各貫通孔内に挿入される請求項1に記載の基板接続構造。
【請求項6】
前記基板接続用ピンの各軸半体部の先端部に、前記フレキシブル基板および前記硬質基板のいずれか一方に係合する係合部がそれぞれ設けられている請求項5に記載の基板接続構造。
【請求項7】
前記基板接続用ピンは、前記各係合部が設けられた先端部とは反対側に、前記フレキシブル基板および前記硬質基板の他方に係合する頭部が設けられている請求項6に記載の基板接続構造。
【請求項8】
前記基板接続用ピンには、前記フレキシブル基板の信号入出力端子部および前記硬質基板の信号入出力端子部同士を弾性的に圧接する弾性体が設けられており、前記頭部は、該弾性体を介して前記フレキシブル基板および前記硬質基板の他方に係合される請求項7に記載の基板接続構造。
【請求項9】
前記弾性体は、複数設けられている請求項8に記載の基板接続構造。
【請求項10】
前記弾性体は、前記フレキシブル基板または前記硬質基板に対向する面が、中心部から外周側になるにつれて、対向する前記フレキシブル基板または前記硬質基板に接近するテーパー形状になっている請求項8に記載の基板接続構造。
【請求項11】
前記弾性体は、前記フレキシブル基板および前記硬質基板に対向する面が凹凸形状になっている請求項8に記載の基板接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2004−95446(P2004−95446A)
【公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−257094(P2002−257094)
【出願日】平成14年9月2日(2002.9.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】