基板搬送コンベヤ
【課題】搬送時におけるプリント基板の側縁部の噛込み等の問題の少なくとも1つを解決して、より実用的な基板搬送コンベヤを得る。
【解決手段】3個以上の上ガイドプーリ76と、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ76の間であって、上ガイドプーリ76より下方に配置した2個以上の下ガイドプーリ78とにより周回ベルト70を蛇行状態に案内する。周回ベルト70が下ガイドプーリ78により案内される下方通過領域82にガイドブロック86,押付部材100を設ける。プリント基板32は、周回ベルト70の上ガイドプーリ76に巻き掛けられた部分により支持され、周回ベルト70の周回により搬送される。周回ベルト70が存在しない箇所において、周回ベルト70と干渉することなく、ガイドブロック86がプリント基板32を案内し、押付部材100がプリント基板32の側縁部100を下方から支持し、基板受け部68と共に上下から挟持する。
【解決手段】3個以上の上ガイドプーリ76と、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ76の間であって、上ガイドプーリ76より下方に配置した2個以上の下ガイドプーリ78とにより周回ベルト70を蛇行状態に案内する。周回ベルト70が下ガイドプーリ78により案内される下方通過領域82にガイドブロック86,押付部材100を設ける。プリント基板32は、周回ベルト70の上ガイドプーリ76に巻き掛けられた部分により支持され、周回ベルト70の周回により搬送される。周回ベルト70が存在しない箇所において、周回ベルト70と干渉することなく、ガイドブロック86がプリント基板32を案内し、押付部材100がプリント基板32の側縁部100を下方から支持し、基板受け部68と共に上下から挟持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板を搬送するコンベヤに関するものであり、特に、一対の周回ベルトによりプリント基板の幅方向の両側縁部を支持し、プリント基板を直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板搬送コンベヤは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。一対の周回ベルトはそれぞれ、複数のガイドプーリに巻き掛けられ、その一部に直線部を備え、プリント基板の互いに平行な両縁側部をそれぞれ直線部により下方から支持し、ベルト周回装置によって周回させられることにより、プリント基板を直線的な搬送経路に沿って搬送する。
【特許文献1】特開2002−173214公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の基板搬送コンベヤには、種々の問題がある。
例えば、基板搬送コンベヤが一対の案内部材を備え、プリント基板の両側縁部の各側面をそれぞれ案内する場合、側縁部が案内部材と周回ベルトとの間の隙間に噛み込まれて搬送が妨げられることがある。プリント基板の両側縁部はそれぞれ、一対の周回ベルトの互いに近い側の部分である内側部分により支持され、プリント基板の搬送,支持のために必要な側縁部の幅ができる限り小さくされ、製品としてのプリント回路板の大形化が回避されるようにされる。そのため、案内部材は、一対の周回ベルトの互いに遠い側の部分である外側部分を覆うように設けられ、プリント基板の側縁部の側面を案内するようにされるのであるが、周回ベルトに対しては、周回を許容する隙間を有する状態で設けられる。この隙間はできる限り小さくされるのであるが、プリント基板が薄いものである場合、側縁部が周回ベルトと案内部材との間の隙間に噛み込まれる恐れがあるのである。また、ガイドプーリと案内部材との間の隙間が狭く、周回ベルトのガイドプーリに対する取付け,取外しがやり難い問題もある。
さらに、プリント基板を基板支持装置により下方から支持する場合、プリント基板の両側縁部は周回ベルト上に載せられているため、支持することができず、両側縁部の表面に作業を行うことができない場合がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、基板搬送コンベヤに存在する問題の少なくとも1つを解決して、より実用的な基板搬送コンベヤを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、プリント基板を、そのプリント基板の幅方向の両側縁部を一対の周回ベルトにより支持し、直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤを、(a)搬送経路に沿って、かつ、互いに間隔をあけて配列された2個以上の上ガイドプーリと、搬送経路に平行な方向において互いに隣接する上ガイドプーリの2つの間であって、それら上ガイドプーリより下方にそれぞれ配置された1個以上の下ガイドプーリとを含み、一対の周回ベルトの一方が、上ガイドプーリの1つ以上に上方から巻き掛けられた後、下ガイドプーリの1つ以上に下方から巻き掛けられ、その後、上ガイドプーリの別の1つ以上に上方から巻き掛けられ、その一方の周回ベルトの一部が蛇行する状態とされたベルト案内装置と、(b)そのベルト案内装置を支持する装置本体とを含むものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0005】
プリント基板は、周回ベルトのうち、2個以上の上ガイドプーリに巻き掛けられた部分により側縁部を支持され、搬送される。周回ベルトの下ガイドプーリに巻き掛けられた部分は搬送経路より下方に位置し、プリント基板を支持せず、プリント基板の搬送方向における少なくとも1箇所に、周回ベルトが存在せず、プリント基板が周回ベルトにより支持されない非支持箇所が得られ、この非支持箇所の利用により、従来、基板搬送コンベヤに生じていた種々の問題の少なくとも1つを解決することができる。
例えば、下記(3)項に記載の基板搬送コンベヤによれば、プリント基板の側縁部の側面を案内部材により案内する場合に生じる問題を解決することができ、下記(4)項に記載の基板搬送コンベヤによれば、プリント基板を下方から支持する場合に生じる問題を解決することができる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(8)項が請求項5に、(16)項が請求項6に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)プリント基板を、そのプリント基板の幅方向の両側縁部を一対の周回ベルトにより支持し、直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤであって、
前記搬送経路に沿って、かつ、互いに間隔をあけて配列された2個以上の上ガイドプーリと、前記搬送経路に平行な方向において互いに隣接する前記上ガイドプーリの2つの間であって、それら上ガイドプーリより下方にそれぞれ配置された1個以上の下ガイドプーリとを含み、前記一対の周回ベルトの一方が、前記上ガイドプーリの1つ以上に上方から巻き掛けられた後、前記下ガイドプーリの1つ以上に下方から巻き掛けられ、その後、前記上ガイドプーリの別の1つ以上に上方から巻き掛けられ、その一方の周回ベルトの一部が蛇行する状態とされたベルト案内装置と、
そのベルト案内装置を支持する装置本体と
を含む基板搬送コンベヤ。
一対の周回ベルトの両方が本項の構成のベルト案内装置に案内されるようにしても、一方のみが案内されるようにしてもよい。
2個以上の上ガイドプーリおよび1個以上の下ガイドプーリは、種々の態様で配置することができる。例えば、隣接する2個の上ガイドプーリの間に1個の下ガイドプーリが配置されてもよく、あるいは2個以上の下ガイドプーリが配置されてもよく、1個の下ガイドプーリが配置された箇所と2個以上の下ガイドプーリが配置された箇所との両方があってもよい。2個の上ガイドプーリが互いに隣接する箇所が複数箇所あり、それらにそれぞれ下ガイドプーリが配設される場合、各箇所の下ガイドプーリの数は同じでなくてもよいのである。隣接する2個の上ガイドプーリの間に2個以上の下ガイドプーリが配置されれば、例えば、後述する下方通過領域の、搬送方向における長さを長くすることができる。上ガイドプーリが2個以上連続して(隣接する2個の上ガイドプーリの間に下ガイドプーリが設けられない状態で)設けられてもよい。
(2)前記上ガイドプーリが3個以上設けられ、前記下ガイドプーリが2個以上設けられて、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域が2つ以上設けられた(1)項に記載の基板搬送コンベヤ。
例えば、上ガイドプーリと下ガイドプーリとが1個ずつ、交互に配置されれば、プリント基板は、搬送方向に隔たった少なくとも3箇所において周回ベルトにより支持されて搬送され、駆動力の不足や、プリント基板の撓みによる垂れ下がりが良好に回避される。
(3)前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記一方の周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域にそれぞれ配設され、前記互いに隣接する2つの上ガイドプーリに案内された前記周回ベルトの一方に前記両側縁部の一方が支持されたプリント基板のその一方の側縁部の側面を案内する1個以上の案内部材を含む(1)項または(2)項に記載の基板搬送コンベヤ。
案内部材による側面の案内により、プリント基板が搬送経路に平行な姿勢で安定して搬送される。
搬送経路のうち、下方通過領域に対応する部分には周回ベルトが存在せず、案内部材はプリント基板の側縁部の側面を周回ベルトがない部分において案内する。したがって、案内部材は、プリント基板の上方から下方まで連続して延びる状態で形成することも可能であり、従来のように、周回ベルトの上面と案内部材の下面との間に隙間が形成されることはなく、プリント基板の側縁部の噛込みの問題は生ぜず、プリント基板を安定して搬送することができる。また、案内部材の下面と周回ベルトの上面との間の隙間を厳しく管理する必要がなく、案内部材と周回ベルトとの間に摩擦が発生することもない。
さらに、上,下ガイドプーリに対する周回ベルトの取付け,取外しを案内部材に妨げられることなく、容易に行うことができる。
(4)前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域に、上昇位置と下降位置とに昇降可能にそれぞれ配設され、前記上昇位置において、前記プリント基板の前記両側縁部の一方を下方から支持する縁部支持部材と、
その縁部支持部材を前記上昇位置と前記下降位置との間で昇降させる縁部支持部材昇降装置と
を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
従来のように、プリント基板の両側縁部が一対の周回ベルトの直線部により下方から支持される場合に縁部支持部材を設けようとすれば、プリント基板の幅方向において周回ベルトの直線部から外れた位置に設けざるを得ず、その分、プリント基板の搬送,支持のために必要な側縁部の幅が広くなり、製品としてのプリント回路板が大形化することを避け得ない。それに対して、本項の基板搬送コンベヤにおいては、プリント基板の搬送のために必要な側縁部を支持のためにも使用し得ることとなり、プリント回路板の大形化を回避することができる。プリント基板の側縁部は、その下面に電子回路部品が装着されていたりすることがなく、縁部支持部材に支持させることができるのである。また、必要に応じて、プリント基板の側縁部をも下方から強固に支持することができるため、側縁部に対しても安定して作業を行うことが可能となり、プリント基板に対する作業性を確保することができる。
(5)前記縁部支持部材が、昇降方向に直角で上向きの縁部支持面に開口させられ、負圧源から供給される負圧を前記縁部支持面に導く少なくとも1つの負圧供給通路を備えた(4)項に記載の基板搬送コンベヤ。
プリント基板の側縁部が縁部支持部材と受け部材とによって上下両側から挟まれていなくても、縁部支持面から浮き上がることなく、平面状に支持された状態に保たれる。
(6)前記負圧供給通路が前記縁部支持部材に複数設けられ、それら負圧供給通路が、前記プリント基板の搬送方向に沿って少なくとも1つの列を成す状態で前記縁部支持面に開口させられた(5)項に記載の基板搬送コンベヤ。
複数の負圧供給通路により、縁部支持面に十分な量の負圧が供給され、プリント基板が確実に吸着され、保持される。複数の負圧供給通路は、搬送方向と直角な方向に並ぶ状態で設けてもよいが、搬送方向に沿って設ける方が、側縁部の被支持部の、搬送方向と直角な方向における寸法が大きくなることを回避しつつ、保持に十分な量の負圧を得ることができる。
(7)前記一対の周回ベルトの間であって前記プリント基板の搬送方向における中間部に対応する位置において、上昇位置と下降位置とに昇降可能に設けられ、前記プリント基板を支持する基板支持装置と、
その基板支持装置を昇降させる基板支持装置昇降装置と
を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
プリント基板が薄く、可撓性があるものであっても、作業面に作業が施される際に、下方に凸状に撓むことが基板支持装置により防止され、作業が精度良く行われ、高品質の製品が得られる。
(8)前記一対の周回ベルトの間であって前記プリント基板の搬送方向における中間部に対応する位置において、上昇位置と下降位置とに昇降可能に設けられ、前記プリント基板の前記両側縁部の間の部分である中間部を支持する中間部支持装置と、
その中間部支持装置を昇降させる中間部支持装置昇降装置と
を含み、その中間部支持装置昇降装置の駆動源が前記縁部支持部材昇降装置の駆動源を兼ねる(4)項ないし(6)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
中間部支持装置の上昇と連動して縁部支持部材が下降位置から上昇位置へ上昇させられる。中間部支持装置昇降装置と縁部支持部材昇降装置とを備えた基板搬送コンベヤを簡易にかつ安価に構成することができる。
なお、下記(9)項ないし(17)項の各々に記載の特徴は、上記(8)項に記載の基板搬送コンベヤにおけるように、中間部支持装置昇降装置の駆動源が縁部支持部材昇降装置の駆動源を兼ねる態様において特に有効なものではあるが、兼ねない態様においても採用可能であり、それぞれ類似の効果が得られる。
(9)少なくとも前記下方通過領域において、前記上ガイドプーリより高い位置に配置された1つ以上の受け部材を含み、かつ、前記縁部支持部材が前記プリント基板の前記側縁部を下方から支持して前記受け部材に押し付ける押付部材である(8)項に記載の基板搬送コンベヤ。
受け部材は、プリント基板の側縁部を受け、押付部材と共同して側縁部を挟むことにより、例えば、プリント基板の反りを除去し、作業面が平坦面となるように姿勢を矯正する姿勢矯正部材として機能し、あるいは、プリント基板に作業が施される間も押付部材と共同して側縁部を挟む状態に保たれる場合、プリント基板を固定する固定部材として機能し、基板固定装置を構成する。
受け部材は、搬送方向に連続して延び、プリント基板の側縁部の搬送方向における全部を受けるものとしてもよく、下方通過領域が複数設けられる場合に、それら複数の下方通過領域に対応する複数の箇所にそれぞれ設けられ、搬送方向において点在し、プリント基板の側縁部の複数箇所を部分的に受けるものとしてもよい。受け部材は上ガイドプーリより高い位置に配置されるため、プリント基板の側縁部全部を受けるものとされても、上ガイドプーリへの周回ベルトの巻掛けを妨げることは少ないが、下方通過領域のみに設けられれば、上ガイドプーリへの周回ベルトの巻き掛けがより容易となる。下方通過領域が1つのみ設けられる場合、その1つのみに受け部材が設けられてもよい。
(10)前記縁部支持部材昇降装置が、前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、その被駆動部と前記縁部支持部材との相対位置を調節する調節装置とを含む(9)項に記載の基板搬送コンベヤ。
縁部支持部材と被駆動部との相対位置の調節により、例えば、縁部支持部材の上昇位置を調節し、側縁部を適切に支持させるようにすることができる。
(11)前記受け部材が、厚さが0.5mm以下である板ばねから成り、その板ばねの基端部が板ばね保持部材に固定され、自由端部において前記押付部材と共同して前記プリント基板の前記側縁部を上下両側から弾性的に挟んで保持する(9)項または(10)項に記載の基板搬送コンベヤ。
装置本体を板ばね保持部材とすることも、装置本体に対して相対移動可能な部材を板ばね保持部材とすることも可能である。
板ばねの厚さは、0.5mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下と薄いほど望ましいことが多い。
縁部支持部材が上昇位置へ上昇させられるとき、プリント基板の側縁部を受け部材との間に挟んだ後、僅かに上昇させられた位置において停止させられれば、その上昇は受け部材の弾性変形により許容され、受け部材の損傷を回避しつつ、側縁部を確実に保持することができる。
例えば、スクリーン印刷機において印刷時にも受け部材が押付部材と共同してプリント基板の側縁部を挟持した状態に保たれる場合、受け部材に隣接する箇所においてはスクリーンマスクがプリント基板の印刷面に密着し得ないこととなるが、受け部材を薄い板ばね製とすることにより、受け部材上の位置あるいは受け部材に隣接する位置からスキージをスクリーンマスクに押し付けることが可能となる。
(12)前記縁部支持部材昇降装置が、前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、弾性変形部とを備えた伝達装置を含み、常には前記駆動源から前記被駆動部に付与される運動が前記弾性変形部を介して前記縁部支持部材に伝達されるが、前記縁部支持部材の移動が前記受け部材により阻止された場合には、前記駆動源からの運動が前記弾性変形部の弾性変形により吸収される(9)項ないし(11)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
中間部支持装置の上昇量が多く、縁部支持部材がプリント基板の側縁部を受け部材に押し付けた状態から更に中間部支持装置が上昇させられても、被駆動部の縁部支持部材に対する相対移動が弾性変形部の弾性変形によって許容されることにより、プリント基板が過大な力で受け部材に押し付けられ、プリント基板,受け部材,縁部支持部材等が損傷することが回避される。本項が(11)項に従属する態様において、弾性変形部が板ばねの損傷を防止する機能を果たすようにすることが特に有効である。 保持部が弾性変形部とは別に設けられてもよく、弾性変形部と一体的に設けられてもよい。
(13)前記受け部材を、前記押付部材と対向する作用位置と、その作用位置からプリント基板に平行な方向に退避した退避位置とに移動させる受け部材移動装置を含む(9)項ないし(12)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
退避位置は、プリント基板の幅方向外方でもよく、搬送方向外方でもよい。
本項に記載の基板搬送コンベヤによれば、例えば、作用位置において受け部材にプリント基板の側縁部を受けさせてプリント基板の反りを除去させ、作業時には退避位置へ移動させて、側縁部にも作業を施し得るようにすることができる。
(14)前記プリント基板を前記幅方向の両側から挟んで固定する基板固定装置を含む(8)項ないし(13)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
本項は(13)項に記載の基板搬送コンベヤに適用して特に有効なものであるが、それに限定されるわけではない。
本項が(13)項に従属する態様では、例えば、受け部材が作用位置に位置する状態において基板固定装置にプリント基板を固定させることにより、受け部材が退避位置へ退避させられて側縁部を拘束しなくなっても、良好にプリント基板の移動を防止することができる。
(15)前記縁部支持部材昇降装置が、前記下ガイドプーリより上方に位置して前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記下ガイドプーリより下方に位置して駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、それら保持部と被駆動部とを連結するとともに前記装置本体により昇降可能に保持された連結部とを備えた可動部材を含む(8)項ないし(14)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
保持部は縁部支持部材と一体に構成されても、縁部支持部材とは別体に構成されてもよい。前者の場合には、保持部の一部が縁部支持部材として機能することとなる。被駆動部も、可動部材と一体に構成されても、可動部材とは別体の被駆動部材により構成されてもよい。本項の構成によれば、下ガイドプーリより下方において、可動部材に駆動源からの駆動力を伝達することが容易となる。下ガイドプーリは、可動部材の下方に設けてもよい。しかし、保持部と被駆動部との間に設ける方が、周回ベルトの長さが短くて済む。あるいは被駆動部に駆動源からの駆動力を伝達することが容易になる。
(16)前記装置本体が、それぞれ前記搬送経路に沿って延びる一対のコンベヤレールを含み、それら一対のコンベヤレールの一方が、他方のコンベヤレールに対向する側である内側に前記ベルト案内装置を保持し、前記可動部材の前記連結部がその一方のコンベヤレールの外側に配設され、前記保持部および前記被駆動部がその一方のコンベヤレールを貫通してその一方のコンベヤレールの内側へ突入させられた(15)項に記載の基板搬送コンベヤ。
連結部をコンベヤレールの外側に配設すれば、下ガイドプーリを避けつつ、保持部を下ガイドプーリの上方に位置させ、被駆動部を下ガイドプーリの下方に位置させることが容易である。
また、連結部がコンベヤレールの外側に配設されれば、例えば、コンベヤレールの内側の構成を簡単にすることができる。
一対のコンベヤレールの両方が内側にベルト案内装置を保持し、各可動部材の連結部がコンベヤレールの外側に配設されてもよい。
(17)前記中間部支持装置昇降装置が、前記中間部支持装置を支持し、前記駆動源により昇降させられる昇降台を含み、前記可動部材の前記被駆動部がその昇降台により押し上げられる(16)項に記載の基板搬送コンベヤ。
被駆動部は昇降台により直接押し上げられても、中間部支持装置の支持板等、昇降台に固定の別部材を介して間接的に押し上げられてもよい。
可動部材が複数設けられる場合、昇降台により複数の可動部材を同時に一斉に押し上げることができる。
【実施例】
【0009】
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0010】
図1に、請求可能発明の一実施例としての基板搬送コンベヤを備えた電子回路部品装着システムが概略的に図示されている。電子回路部品装着システムは、対基板作業システムの一種であり、本実施例では、基板搬送コンベヤ10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14,装着装置16および制御装置18を含む。
【0011】
基板搬送コンベヤ10は、図1に示すように、システム本体としてのベッド30上に設けられ、プリント基板32を、例えば、水平で直線的な搬送経路に沿って搬送して、作業領域である部品装着領域へ搬入し、部品装着領域から搬出する。搬送経路が延びる方向であって、搬送方向をX軸方向とし、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板搬送コンベヤ10については、後に詳細に説明する。フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本電子回路部品装着システムでは、ベッド30上の、基板搬送コンベヤ10に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ設けられている。
【0012】
装着装置16は、図1に示すように、作業ヘッドたる部品装着ヘッド36,ヘッド保持装置38,ヘッド移動装置40,ヘッド昇降装置(図示省略)およびヘッド回転装置(図示省略)を含む。ヘッド移動装置40は、図1に示すように、X軸方向移動装置42およびY軸方向移動装置44を含む。X軸方向移動装置42は、可動部材としてのX軸スライド46とX軸スライド移動装置48とを含む。X軸スライド移動装置48は、駆動源たるX軸移動用モータ(図示省略)と、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構たるボールねじ機構(図示省略)とを含む。Y軸方向移動装置44はX軸スライド46上に設けられ、可動部材としてのY軸スライド50とY軸スライド移動装置52とを含む。Y軸スライド移動装置52は、X軸スライド移動装置48と同様に、駆動源たるY軸移動用モータ(図示省略)とボールねじ機構(図示省略)とを含む。X軸移動用モータおよびY軸移動用モータは、例えば、電動モータの一種である電動回転モータたるエンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。リニアモータを用いてもよい。
【0013】
上記Y軸スライド50に前記ヘッド保持装置38,ヘッド昇降装置およびヘッド回転装置が設けられている。ヘッド保持装置38は部品装着ヘッド36を保持し、X軸スライド46およびY軸スライド50の移動により、ヘッド昇降装置およびヘッド回転装置と共に水平面上の任意の位置へ移動させられ、部品装着ヘッド36に部品供給装置12,14から電子回路部品を受け取らせ、プリント基板32に装着させる。ヘッド移動装置40は、部品装着ヘッド36とプリント基板32とを相対移動させる相対移動装置である。これら部品装着ヘッド36およびヘッド保持装置38等は、特開2006−261325公報に記載の部品装着ヘッドおよびヘッド保持装置等と同様に構成されており、説明を省略する。また、X軸スライド46の部品供給装置12,14と基板搬送コンベヤ10との間の部分にはそれぞれ、部品撮像システム54が設けられ、Y軸スライド50にはマーク撮像システム56が設けられている。
【0014】
前記基板搬送コンベヤ10を説明する。
本基板搬送コンベヤ10の装置本体60は、図4に示すように、一対のコンベヤレール62を含む。これらコンベヤレール62はそれぞれ、ベッド30上にX軸方向に平行に設けられ、搬送経路に沿って延びる。一方のコンベヤレール62は位置を固定して設けられた固定のコンベヤレール62とされ、他方のコンベヤレール62は、Y軸方向に移動可能であって、一方のコンベヤレール62に接近,離間可能に設けられた可動のコンベヤレール62とされている。可動のコンベヤレール62は、図示を省略するレール移動装置によりY軸方向において任意の位置へ移動させられ、プリント基板32の幅に応じて固定のコンベヤレール62との間の間隔が調節される。プリント基板32の幅は、基板搬送コンベヤ10により搬送されるプリント基板32の、部品装着面に平行な平面であって、水平面内において搬送方向と直交する方向の寸法である。
【0015】
一対のコンベヤレール62はそれぞれ、図2および図4に示すように、板状を成し、板面が鉛直な姿勢でX軸方向に平行に配設されたベルト案内部66と、ベルト案内部66の上端から直角に内側へ、すなわち対向するコンベヤレール62側へ水平に延び出させられ、搬送経路に沿って連続して延びる基板受け部68とを備えている。コンベヤレール62の基板受け部68が設けられた部分が受け部材を構成している。これら一対のコンベヤレール62の各々のベルト案内部66の内側にベルト案内装置70が保持され、それぞれ周回ベルト72を案内する。これらベルト案内装置70は同様に構成されており、一方のコンベヤレール62のベルト案内装置70を代表的に説明する。
【0016】
ベルト案内装置70は、図2に示すように、3個以上の上ガイドプーリ76および2個以上の下ガイドプーリ78を含む。これら上ガイドプーリ76はそれぞれ、本実施例では、Vプーリとされ、ベルト案内部66の基板受け部68の下方の部分に、搬送方向に平行な方向において等間隔に配列され、搬送方向に対して直角で水平な軸線まわりに回転可能に支持されている。
【0017】
また、2個以上の下ガイドプーリ78は、図2に示すように、ベルト案内部66の上ガイドプーリ76より下方であって、搬送方向に平行な方向において、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ76の間にそれぞれ、1個ずつ配置され、搬送方向に直角で水平な軸線まわりに回転可能に支持されている。搬送方向に平行な方向において上ガイドプーリ76と下ガイドプーリ78とが1個ずつ、交互に配置されているのであり、3個以上の上ガイドプーリ76は、隣接する2個の上ガイドプーリ76が、下ガイドプーリ78の直径よりやや大きく、それらの間に下ガイドプーリ78を配置することができる距離を隔てて設けられている。本実施例においては、下ガイドプーリ78は平プーリとされている。周回ベルト72は、無端の環状のベルトであり、本実施例では、図4に示すように、横断面形状が概してT字形を成し、図2に示すように、上ガイドプーリ76の1つに上方から巻き掛けられた後、隣接する下ガイドプーリ78に下方から巻き掛けられ、その後、下ガイドプーリ78に隣接する別の上ガイドプーリ76に上方から巻き掛けられている。周回ベルト72の上ガイドプーリ76および下ガイドプーリ78のそれぞれに対する巻掛けの繰り返しにより、周回ベルト72の一部であって、搬送方向に平行な方向において最も隔たった両端の上ガイドプーリ76の間の部分は蛇行する状態とされている。
【0018】
図示は省略するが、周回ベルト72の上記両端の上ガイドプーリ76の間の部分以外の部分は、下ガイドプーリ78より下方において、別の複数のガイドプーリ,テンションプーリおよび駆動プーリに巻き掛けられ、駆動プーリが電動モータを駆動源とする回転駆動装置(図示省略)によって回転させられることにより周回させられる。一対の周回ベルト72は回転駆動装置を共通とし、同時に同方向に周回させられる。これら駆動プーリおよび回転駆動装置がベルト周回装置を構成している。
【0019】
プリント基板32は、図4に示すように、その幅方向の両側縁部80がそれぞれ、一対の周回ベルト72のそれぞれ、3個以上の上ガイドプーリ78に巻き掛けられた部分に載せられ、下方から支持される。プリント基板32の両側縁部80はそれぞれ、一対の周回ベルト72の互いに対向する側の部分である内側部分寄りに載せられ、周回ベルト72が周回させられることにより移動させられる。搬送経路は、一対の周回ベルト72のそれぞれ、3個以上の上ガイドプーリ76に巻き掛けられて、上ガイドプーリ76の上端上に位置し、プリント基板32が接触する3箇所以上の部分を含み、幅を有し、搬送方向に長く、2個以上の下ガイドプーリ78はそれぞれ搬送経路より下方に位置し、本実施例では、図2に示すように、周回ベルト72が、下ガイドプーリ78に案内されて搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域82が2つ以上設けられている。基板受け部68は、搬送経路に沿って連続して設けられ、全部の下方通過領域82の上方に位置し、周回ベルト82の上ガイドプーリ78に巻き掛けられた部分に対しては、図2および図4に示すように、プリント基板の厚さより大きい距離を隔てて対向させられている。
【0020】
前記コンベヤレール62のベルト案内部66の上記2つ以上の下方通過領域82の各々に対応する箇所にはそれぞれ、図2および図3に示すように、下ガイドプーリ78の上方に案内部材としてのガイドブロック86が設けられている。これらガイドブロック86はそれぞれ、3個以上の上ガイドプーリ76の互いに隣接する2つずつの間であって、搬送方向に平行な方向において周回ベルト72が存在しない箇所に設けられているのであり、図2および図4に示すように、ベルト案内部66の前記基板受け部68の直下の部分から上ガイドプーリ76の上端を超え、搬送経路より下側に至る状態で設けられている。ガイドブロック86は、図3および図4に示すように、ガイドプーリ76,78の回転軸線に平行な方向において、周回ベルト72の幅方向の中央近傍に対応する位置まで突出させられ、その突出端面が鉛直な案内面88を構成し、プリント基板32の側縁部80の側面90を、周回ベルト72が存在せず、側縁部80が周回ベルト72により支持されていない非支持部分において案内する。また、図2および図3に示すように、案内面88の搬送方向に平行な方向の両端部はそれぞれ、搬送経路に対して傾斜させられ、互いに遠ざかるほどベルト案内部66に接近し、案内面88から離れる向きに傾斜させられた傾斜面92とされている。なお、図3においてコンベヤレール62は、基板受け部68が除かれた状態が図示されている。
【0021】
2つ以上の下方通過領域82の各々にはまた、図2および図5に示すように、縁部支持部材としての押付部材100が上昇位置と下降位置とに昇降可能に配設され、縁部支持部材昇降装置としての押付部材昇降装置102により上昇位置と下降位置との間で昇降させられる。押付部材100は棒状を成し、押付部材昇降装置102の可動部材としてのスライダ104に昇降可能に保持されている。スライダ104は、図5に示すように、側面形状がコの字形を成し、コの字の一方の腕部により構成される保持部106と、他方の腕部107およびその腕部107に取り付けられたアジャストボルト108により構成される被駆動部109と、保持部106と被駆動部109とを連結する連結部110とを備えている。
【0022】
ベルト案内部66の外側面には、図5に示すように、保持部材112が固定され、ベルト案内部66との間に上下方向に貫通する嵌合孔113が形成されており、スライダ104の連結部110は嵌合孔113に昇降可能に嵌合され、コンベヤレール62の外側に配設されている。保持部106および被駆動部109(詳細には腕部107)はそれぞれ、ベルト案内部66を厚さ方向に貫通して設けられた開口114,116を通り、コンベヤレール62の内側へ突入させられている。保持部106はさらに、ガイドブロック86を厚さ方向に貫通して設けられた開口117を通ってガイドブロック86から、下ガイドプーリ78の上方であって、上ガイドプーリ76の上端より下方の位置へ突入させられ、被駆動部109は下ガイドプーリ78の下方の位置へ突入させられている。スライダ104は、連結部110とコンベヤレール62との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての引張コイルスプリング118により下方へ付勢されている。このスプリング118の付勢によるスライダ104の下降限度は、腕部107が開口116の下側の端面に当接することにより規定される。開口117は、図2および図5に示すように、ガイドブロック86の、搬送経路より下側の部分に設けられ、案内面88のプリント基板32の側面90を案内する部分より下側に設けられている。そのため、案内面88が開口117によって分断されることがなく、搬送方向において連続した面により側面90を案内する。
【0023】
前記押付部材100は、図2,図3および図5に示すように、保持部106のガイドブロック86からコンベヤレール62の内側への突入端部であって、搬送方向と直角な方向において周回ベルト72の配設領域に位置し、基板受け部68と対向する部分に昇降可能に嵌合されるとともに、保持部106との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング122により、上方であって、保持部106および被駆動部109から離間する向きに付勢されている。このスプリング122の付勢による押付部材100の移動限度は、押付部材100の頭部124が保持部106に当接することにより規定される。押付部材100は、スライダ104がスプリング118の付勢による下降限度を規定された位置に位置する状態において下降位置に位置し、周回ベルト72により支持されたプリント基板32のやや下側に位置する。この状態では、押付部材100の頭部124が保持部106に当接し、押付部材100は保持部106から最も突出した状態にある。
【0024】
また、腕部107のコンベヤレール62の内側への突入端部に、図5に示すように、前記アジャストボルト108が上下方向に螺合され、その腕部107から下方への突出端部には、ねじ部より大径の頭部により構成される係合部130が設けられている。アジャストボルト108の腕部107に対する上下方向の位置を調節することにより、被駆動部109の上下方向の位置が変えられ、被駆動部109(詳細には係合部130)と押付部材100との相対位置が調節される。本実施例では、アジャストボルト108が調節装置を構成している。
【0025】
一対の周回ベルト72の間であって、部品装着領域へ搬入されて停止させられた前記プリント基板32の搬送方向における中間部に対応する位置には、図4および図5に示すように、中間部支持装置140および中間部支持装置昇降装置142が設けられている。中間部支持装置140は基板支持装置であり、支持部材としての複数の基板支持ピン144および支持部材支持板としてのピン支持板146を含み、プリント基板32の両側縁部80の間の部分である中間部147を下方から支持する。基板支持ピン144は、例えば、その底面に永久磁石を保持するものとされ、ピン支持板146は、少なくとも、その上面であって、基板支持ピン144を支持するピン支持面148が磁性材料製とされ、ピン支持面148の任意の位置に基板支持ピン144が磁力によって着脱可能に固定され、基板支持ピン144は、その先端面である基板支持面150においてプリント基板32を下方から支持する。
【0026】
中間部支持装置昇降装置142は、図4に示すように、昇降台154および昇降台駆動装置156を含む。昇降台駆動装置156は、例えば、駆動源たるエンコーダ付サーボモータ158と、そのサーボモータの回転を昇降台154の昇降に変換する運動変換機構としてのボールねじ機構160とを含み、案内装置(図示省略)に案内させつつ、昇降台154を上下方向において任意の位置へ移動させる。ボールねじ機構160は、例えば、昇降台154に上下方向に固定された送りねじとしてのボールねじ(図示省略)と、そのボールねじに螺合され、サーボモータ158により回転させられるナット(図示省略)とを含む。
【0027】
ピン支持板146は、昇降台154に着脱可能に固定され、中間部支持装置140は、昇降台154の昇降により、上昇位置と下降位置との間で昇降させられる。上昇位置は、基板支持ピン144の基板支持面150が、前記基板受け部68の下面より、プリント基板32の厚さに等しい距離、下方に位置する位置であり、中間部支持装置140は、サーボモータ158の駆動量の制御により上昇位置へ移動させられる。下降位置は、図5に示すように、基板支持ピン144の基板支持面150が、下降位置に位置する押付部材100より下方に位置し、ピン支持板146がアジャストボルト108の係合部130より下方に位置する位置であって、ピン支持板146と係合部130との距離が、基板支持面150と押付部材100の上面である押付面162との距離よりやや短い距離となる位置である。中間部支持装置140は、例えば、図示を省略するストッパにより下降位置に位置決めされるが、係合部130の位置の調節により、ピン支持板146と係合部130との間に所定の距離が得られる。また、ピン支持板146は、図5に示すように、昇降台154に固定され、支持された状態において、搬送方向と直角な方向において、一対のコンベヤレール62についてそれぞれ設けられた2つ以上のアジャストボルト108の各係合部130と対向する幅を有する。基板支持ピン144は、ピン支持板146の、一対のコンベヤレール62にそれぞれ取り付けられたガイドプーリ76,78の間の部分のうち、プリント基板32の中間部147の基板支持ピン144により支持される被支持箇所に対応する位置に取り付けられている。
【0028】
以上のように構成された電子回路部品装着システムにおいて、プリント基板32への電子回路部品の装着時には、プリント基板32が基板搬送コンベヤ10により搬送されて部品装着領域に搬入される。プリント基板32は、その両側縁部80がそれぞれ、一対の周回ベルト72の上ガイドプーリ76に巻き掛けられた部分の上に載せられ、搬送方向に平行な方向に隔たった3箇所以上を周回ベルト72により支持され、周回ベルト72が周回させられることにより直線的に搬送される。この際、プリント基板32は、図2,図3および図5に示すように、両側縁部80の各側面90をそれぞれ、複数個のガイドブロック86の各案内面88により案内される。両側縁部80はそれぞれ、周回ベルト72の幅方向の一部であって、内側寄りの部分によって支持され、周回ベルト72により支持される被支持部の幅が狭くて済むとともに、搬送方向と直角な方向において周回ベルト72の幅方向の中央近傍に対応する位置に位置する案内面88により案内され、搬送方向に平行な姿勢を保って搬送される。ガイドブロック86は搬送方向において周回ベルト72が存在しない下方通過領域82に設けられ、側縁部80の案内部材と周回ベルトとの間の隙間への噛込みの問題を生じることなく、プリント基板32が安定して搬送される。
【0029】
一対のコンベヤレール62の各ベルト案内部66にそれぞれ設けられた2個以上のガイドブロック86はそれぞれ、図2および図3に示すように、下方通過領域82に設けられ、搬送方向に平行な方向において間隔をあけて設けられており、プリント基板32の側面90は、案内面88により部分的に案内される。プリント基板32の搬送方向において下流側の端部は、ガイドブロック86が設けられていない部分から、ガイドブロック86が設けられた部分に至る際、案内面88より外側(ベルト案内部66側)へ外れていることがあっても、傾斜面92の傾斜により案内面88へ導かれ、案内面88により案内される状態とされる。傾斜面92はプリント基板32を案内面88へ案内する案内面である。また、下方通過領域82に設けられたガイドブロック86は、周回ベルト72が存在しない箇所において側面90を案内し、周回ベルト72の内側寄りの部分において支持された側縁部80の側面90を、部品装着面側から、周回ベルト72により支持される被支持面側まで、周回ベルト72と干渉することなく案内することができる。
【0030】
プリント基板32の搬送時には、中間部支持装置140は、図5に示すように、下降位置に位置し、ピン支持板146は係合部130から離れ、押付部材100は下降位置に位置し、周回ベルト72により支持されて搬送されるプリント基板32よりやや下方に位置する。プリント基板32が部品装着領域へ搬送され、停止装置(図示省略)により停止させられたならば、中間部支持装置140が上昇させられる。この上昇の途中で、図6(a)に、一対のコンベヤレール62のうちの一方を示すように、ピン支持板146が、搬送方向に平行に並ぶ複数の係合部130に当接し、その状態から更にピン支持板146が上昇させられることにより、それら係合部130が一斉に中間部支持装置昇降装置142の駆動力を受け、図6(b)に複数のスライダ104の1つを示すように、スプリング118の付勢力に抗して押し上げられるとともに、スライダ104に保持された押付部材100が上昇させられる。押付部材100には、スプリング122を介して被駆動部109の上昇運動が伝達され、スライダ104と一体的に上昇し、プリント基板32に当接させられる。
【0031】
ピン支持板146が下降位置に位置する状態において、ピン支持板146と係合部130との距離は、押付部材100の押付面162と基板支持ピン144の基板支持面150との距離よりやや短くされており、ピン支持板146が係合部130に当接した状態では、基板支持面150は押付面162より下方に位置し、押付部材100がプリント基板32に当接させられた状態では、基板支持面150は、まだプリント基板32に当接させられない。そして、更にピン支持板146が上昇させられることにより、押付部材100は、スプリング122の付勢により保持部106に対して上方への突出端位置に位置したままの状態でプリント基板32を下方から支持して上昇し、図6(c)に示すように、周回ベルト72から持ち上げて基板受け部68に当接させる。その状態から更にピン支持板146が上昇させられ、予め設定された上昇位置へ到達すれば、図6(d)に示すように、基板支持ピン144の基板支持面150がプリント基板32を平面状に水平に支持した状態が得られる。押付部材100がプリント基板32を基板受け部68に当接させた後は、押付部材100の上昇が基板受け部68により阻止されるが、その後、ピン支持板146が上昇させられるとき、被駆動部109の上昇はスプリング122の圧縮により吸収され、被駆動部109および中間部支持装置140の上昇が許容される。本実施例においては、中間部支持装置昇降装置142が押付部材駆動装置を兼ね、スライダ104等と共に押付部材昇降装置102を構成している。また、スプリング122が弾性変形部を構成し、保持部106および被駆動部109と共に伝達装置を構成している。押付部材100は、スプリング122の付勢力によりプリント基板32の両側縁部80を基板受け部68に押し付け、基板受け部68と共同して両側縁部80を上下両側から挟んで保持する。押付部材100は、搬送方向と直角な幅方向において周回ベルト72が配設された領域に設けられているが、搬送方向に平行な方向において、周回ベルト72が搬送経路に存在しない下方通過領域82に設けられており、プリント基板32の周回ベルト72により支持される側縁部80を基板受け部68と共同して保持し、プリント基板32を固定することができる。また、基板支持ピン144は、プリント基板32の中間部147を支持する。本実施例においては、複数の押付部材100および基板受け部68が、プリント基板32の両側縁部80を上下両側から挟んで保持し、固定する基板保持装置ないし基板固定装置を構成している。
【0032】
このように押付部材100と基板受け部68とによって両側縁部80が保持されるとともに、中間部147が基板支持ピン144により下方から支持されたプリント基板32に装着装置16によって電子回路部品が装着される。電子回路部品の装着終了後、中間部支持装置140が下降させられ、基板支持ピン144が中間部147から離間させられる。また、スライダ104はスプリング118の付勢により、ピン支持板146の下降に追従して下降させられ、中間部支持装置140が下降位置へ下降させられた状態では、プリント基板32が両側縁部80をそれぞれ、周回ベルト72により支持され、押付部材100がスプリング122の付勢により頭部124が保持部106に当接させられ、突出端位置に位置させられるとともに、プリント基板32から離間させられて下降位置に位置する状態となる。その後、一対の周回ベルト72が周回させられ、プリント基板32が部品装着領域から搬出される。
【0033】
別の実施例である基板搬送コンベヤを図7〜図13に基づいて説明する。本実施例の基板搬送コンベヤは、対基板作業システムないし対基板作業機の一種である基板スクリーン印刷機に設けられている。本スクリーン印刷機は、図7および図8に示すように、作業機本体たる印刷機本体としてのフレーム200,プリント基板搬送装置202,基板位置調節装置204(図9参照),スクリーンマスク支持装置206,スキージ装置208,撮像装置210,基板停止位置規定装置212および制御装置214等を含む。
【0034】
スクリーンマスク支持装置206は、図7に示すように、スクリーンマスク(以後、マスクと略称する)220を水平に保持するものとされている。また、スキージ装置208は、本スクリーン印刷機では、解放型とされており、図7に示すように、作業ヘッドたる1対のスキージヘッド222(図1には1つのみ図示されている),それらスキージヘッド222をそれぞれ昇降させ、スキージ224をマスク220に接触,離間させる接触・離間装置たるスキージ昇降装置226と、一対のスキージヘッド222をマスク220に平行な方向に移動させ、マスク220上に載せられたクリーム状はんだをマスク220に沿ってスキージ224に移動させるスキージ移動装置228を含む。スキージ昇降装置226は、マスク220とスキージ224とを、マスク220に直角な方向に相対移動させる相対移動装置であり、スキージ移動装置228は、マスク220とスキージ224とを、マスク220に平行な方向に相対移動させる相対移動装置であり、スキージヘッド222とプリント基板とを相対移動させる相対移動装置である。
【0035】
撮像装置210は基準マークカメラを備え、撮像装置移動装置230により、スクリーンマスク支持装置206に支持されたマスク220に平行な平面であって、水平面内において互いに直交する2方向であるX軸方向およびY軸方向に移動させられ、マスク220およびプリント基板232にそれぞれ設けられた基準マーク(図示省略)を撮像する。撮像装置移動装置230はまた、基板停止位置規定装置212を移動させ、プリント基板搬送装置202により搬送されるプリント基板232を所定の位置に停止させる。これら撮像装置210,基板停止位置規定装置212および撮像装置移動装置230は、特開2007−38456公報に記載の撮像装置等と同様に構成されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0036】
プリント基板搬送装置202は、本実施例においては、図8に示すように、それぞれ基板搬送コンベヤとしての搬入コンベヤ240,メインコンベヤ242および搬出コンベヤ244を含む。これらコンベヤ240,242,244はそれぞれ、ベルトコンベヤとされ、1列に並んで設けられ、プリント基板232を、その板面である作業面たるはんだ印刷面が水平となる姿勢で、はんだ印刷面に平行な方向であって水平方向に搬送する。前記X軸方向は搬送方向に平行な方向であり、前記Y軸方向は、プリント基板搬送装置202により搬送されるプリント基板232のはんだ印刷面に平行な平面であって、水平面内において搬送方向に直角な方向であり、プリント基板232の幅方向とする。プリント基板搬送装置202については、後に詳細に説明する。
【0037】
メインコンベヤ242は、図8に示すように、フレーム200の前記スクリーンマスク支持装置206およびスキージ装置208の下方に設けられ、相対移動装置の一種である接近・離間装置たる昇降装置254(図9参照)により昇降させられ、マスク220に接近,離間させられる。メインコンベヤ242は、基板位置調節装置204によりX軸方向,Y軸方向に移動させられるとともに、X軸方向およびY軸方向と直交するZ軸方向に平行な軸線であって鉛直な軸線まわりに回転させられ、次に説明する基板固定装置により保持されたプリント基板232とスクリーンマスク支持装置206により支持されたマスク220との位置が調節される。本基板位置調節装置206は、特開2007−38456公報に記載の基板位置調節装置と同様に構成されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0038】
本メインコンベヤ242の一部は、特開2006−281712公報に記載の基板保持装置と同様とされており、簡単に説明する。
本メインコンベヤ242は、図9ないし図11に示すように、ベルト案内装置260,押付部材262,縁部支持部材昇降装置たる押付部材昇降装置264,中間部支持装置266,中間部支持装置昇降装置268,基板固定装置270および受け装置272を含む。受け装置272は、図9に示すように、1対の受け部材274と、それら受け部材274をそれぞれ移動させる受け部材移動装置276とを含む。受け部材移動装置276は、Y軸方向に移動可能に設けられた移動部材278と、移動部材278を移動させる移動部材移動装置279とを含み、受け部材274は移動部材278上に、移動部材278に対して昇降可能に設けられるとともに、付勢装置の一種である弾性部材としての引張コイルスプリング280により下方へ付勢されている。このスプリング280の付勢による受け部材274の下降限度は、受け部材274に螺合された調節装置としてのアジャストボルト282が移動部材278に当接することにより規定される。受け部材274は、その上端部に、搬送方向に平行な方向に長く、受け部材274から、対向する受け部材274側である内側へ水平に延び出させられた受け部284を備えている。
【0039】
基板固定装置270は、図9に示すように、1対のクランプ部材290を含み、基板固定装置昇降装置294により、受け装置272に対して昇降させられる。基板固定装置昇降装置294は、昇降部材としての昇降台296および昇降台駆動装置298を含む。基板固定装置270の一対のクランプ部材290は、搬送方向に平行な方向に長く、それらのうちの一方は昇降台296に固定して設けられた固定クランプ部材290とされ、他方は可動クランプ部材290とされ、間隔変更装置302により、Y軸方向であって、プリント基板232の幅方向の任意の位置へ移動させられる。それにより、可動クランプ部材290が固定クランプ部材290に接近,離間させられ、後述するように、一対のクランプ部材290によりそれぞれ保持される一対の周回ベルトの間隔がプリント基板232の寸法に応じた大きさに変更される。可動クランプ部材290はまた、クランプ部材移動装置304により、間隔変更方向と同じ方向である固定方向に移動させられ、プリント基板232を保持,解放する。間隔変更装置302は、クランプ部材移動用モータ306を駆動源とし、クランプ部材移動装置304は、例えば、流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダたるエアシリンダであって、単動のエアシリンダにより構成される。
【0040】
1対のクランプ部材290の互いに対向する側である内側にはそれぞれ、図10に固定クランプ部材290について示すように、前記ベルト案内装置260が保持され、それぞれ周回ベルト310を案内する。これらベルト案内装置260は同様に構成されており、固定クランプ部材290のベルト案内装置260を代表的に説明する。
【0041】
固定クランプ部材290は門形を成し、搬送方向に平行に延びる板状のベルト案内部312を有する。ベルト案内部312は、図9に示すように、板面が鉛直に、かつ上端が前記受け部材274の受け部284より下方に位置する状態で設けられ、その鉛直な板面にベルト案内装置260が設けられている。ベルト案内装置260は、前記ベルト案内装置70の3個以上の上ガイドプーリ76および2個以上の下ガイドプーリ78と同様に配置された3個以上の上ガイドプーリ314および2個以上の下ガイドプーリ316を有している。これら上ガイドプーリ314は、固定クランプ部材290の上端から、プリント基板232の厚さより大きい距離下側の位置に設けられ、2個以上の下ガイドプーリ316は、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ314の間の部分であって、上ガイドプーリ314より下側の部分にそれぞれ1個ずつ配置され、周回ベルト310は上ガイドプーリ314に上方から巻き掛けられ、下ガイドプーリ316に下方から巻き掛けられ、図10に示すように、搬送方向に平行な方向において、両端に位置する上ガイドプーリ314の間の部分は蛇行する状態とされている。周回ベルト310は、前記周回ベルト72と同様に、図示を省略するベルト周回装置により周回させられ、プリント基板232が直線的な搬送経路に沿って搬送される。本実施例においては、一対のクランプ部材290がそれぞれ、コンベヤレールとしても機能し、基板搬送コンベヤの装置本体317を構成している。クランプ部材とコンベヤレールとが一体的に設けられていると考えることもできる。
【0042】
プリント基板232の側縁部318は、図9に示すように、周回ベルト310の内側寄りの部分に載せられ、支持される。また、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ314の間の部分にそれぞれ、下方通過領域320(図10参照)が設けられるとともに、2つ以上の下方通過領域320にそれぞれ、案内部材としてのガイドブロック322が設けられている。ガイドブロック322は前記ガイドブロック86と同様に構成され、図9および図10に示すように、その上面は固定クランプ部材290の上面と同一平面内に位置させられ、上ガイドプーリ314の上端を下方へ超え、搬送経路より下側に至る状態で設けられている。ガイドブロック322は、ガイドプーリ314,316の回転軸線に平行な方向において周回ベルト310の幅方向の中央近傍に対応する位置まで突出させられた鉛直な案内面324および案内面324の両側に設けられた一対の傾斜面326を有し、案内面324は、前記案内面88と同様に、プリント基板232の側縁部318の周回ベルト310により支持された部分の間の部分であって、周回ベルト310により支持されていない非支持部分において側面328を案内する。
【0043】
下方通過領域320にはさらに、図10および図11に示すように、前記押付部材262が上昇位置と下降位置とに昇降可能に配設され、前記押付部材昇降装置264により昇降させられる。押付部材262および押付部材昇降装置264は、押付部材262が縁部支持部材昇降装置の可動部材たるスライダの保持部に固定して設けられていることを除いて、前記押付部材100および押付部材昇降装置102と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0044】
押付部材昇降装置264の可動部材たるスライダ104の保持部106は、ガイドブロック322に形成された開口117を通ってガイドブロック322から固定クランプ部材290の内側へ突入させられ、その突入端部であって、搬送方向と直角な方向において周回ベルト310の配設領域に位置する部分に、押付部材262が上下方向に延び、保持部106から上方へ突出する状態で固定されている。押付部材262は、スライダ104がスプリング118により付勢され、腕部107が開口116の下側の端面に当接した状態において下降位置に位置し、その上面である側縁部支持面344が、周回ベルト310により支持されたプリント基板232よりやや下側に位置させられる。
【0045】
前記基板固定装置昇降装置294の昇降台296には、図9に示すように、前記中間部支持装置266および中間部支持装置昇降装置268が設けられている。これら中間部支持装置266および中間部支持装置昇降装置268は、一対のクランプ部材290の間のプリント基板232の搬送方向における中間部に対応する位置に設けられているのであり、基板固定装置昇降装置294により、基板固定装置270と共に昇降させられる。中間部支持装置266は、複数の基板支持部材としての基板支持ピン350と、ピン支持板352とを含む。これら基板支持ピン350は、例えば、特開平11−195899号公報に記載の基板支持ピンと同様に構成され、板状のピン支持台の長手方向の一端部に立設され、ピン支持台が、ピン支持板352のピン支持面353に開口して設けられた複数の雌ねじ穴(図示省略)の1つにボルト350によって固定されることにより、基板支持ピン350がピン支持板352に着脱可能に固定され、基板支持ピン350の先端面である基板支持面354を雌ねじ穴を囲む円環状の領域内の任意の位置に位置決め可能である。
【0046】
中間部支持装置昇降装置268は、図9に示すように、可動部材としての昇降台356および昇降台駆動装置358を含み、昇降台356にピン支持板352が着脱可能に取り付けられる。昇降台駆動装置358は、前記基板固定装置昇降装置294の昇降台296に保持された昇降台昇降用モータ360,ボールねじ362およびナット364を含み、昇降台356を昇降台296に対して上下方向の任意の位置へ昇降させ、昇降台356上に設けられた中間部支持装置266を基板固定装置270に対して昇降させ、上昇位置と下降位置とに昇降させる。
【0047】
中間部支持装置266の上昇位置は、押付部材262がプリント基板232の側縁部318を前記受け部材274の受け部284に押し付けた状態となる位置であり、下降位置は、基板支持ピン350の基板支持面354が、下降位置に位置する押付部材262より下方に位置し、その押付部材262の側縁部支持面344と基板支持面354との間の距離が、ピン支持板352のピン支持面353とアジャストボルト108の係合部130との距離と等しくなる位置である。ピン支持面353と係合部130との間の距離は、アジャストボルト108の腕部107に対する螺合位置の調節により、側縁部支持面344と基板支持面354との距離と等しくなるように正確に調節される。
【0048】
前記搬入コンベヤ240および搬出コンベヤ244はそれぞれ、プリント基板232を搬送する機能は有するが、支持し、固定する機能は有さず、一対のコンベヤレール,ベルト案内装置260およびガイドブロック322を有するが、昇降装置254,押付部材262,押付部材昇降装置264,中間部支持装置266,中間部支持装置昇降装置268,基板固定装置270および受け装置272を有さないものとされている。
【0049】
本スクリーン印刷機においてプリント基板232は、その両側縁部318をそれぞれ、一対の周回ベルト310上に載せられ、周回ベルト310が周回させられることにより、側面328をガイドブロック322の案内面324により案内されつつ、直線状の搬送経路に沿って搬送される。ガイドブロック322は下方通過領域320に設けられ、周回ベルト310がない箇所においてプリント基板232を案内するため、案内面324は、周回ベルト310の内側寄りの部分に位置させられているが、側縁部318の側面328を、はんだ印刷面側から周回ベルト310により支持される被支持面側まで、周回ベルト310と干渉することなく、案内することができ、案内部材と周回ベルトとの間への側縁部318の噛込みの問題を生じることなく、プリント基板232がスムーズに搬送される。コンベヤ240,242,244のいずれにおいても同様である。
【0050】
プリント基板232が搬入コンベヤ240からメインコンベヤ242に搬入され、基板停止位置規定装置212により所定の位置に停止させられたならば、プリント基板232が基板固定装置270により側方から固定されるとともに、押付部材262および基板支持ピン350により下方から支持される。この固定および支持に受け装置272が利用されるが、それについては特開2006−281712公報に記載されており、簡単に説明する。
【0051】
受け装置272の一対の受け部材274は、基板搬送時には、図9に示すように、クランプ部材290上からプリント基板232の幅方向外方へ退避した位置であって、各受け部284の間に一対のクランプ部材290が隙間なく嵌合される距離を隔てた位置である退避位置に位置させられており、プリント基板232の搬入,停止後、図12(a)に一方のクランプ部材290および受け部材274を示すように、受け部材移動装置276により作用位置へ移動させられ、受け部284の延出端部が、クランプ部材290およびガイドブロック322を超えてガイドブロック322から内側へ突出させられ、押付部材262と対向させられる。
【0052】
この状態でクランプ部材290が基板固定装置昇降装置294により、受け部材274に対して上昇させられ、図12(b)に示すように、クランプ部材290およびガイドブロック322が受け部284に当接させられる。中間部支持装置266は昇降台296に設けられており、基板固定装置270と共に上昇させられ、クランプ部材290およびガイドブロック322が受け部284に当接させられた後、中間部支持装置昇降装置268によりクランプ部材290およびガイドブロック322に対して上昇させられ、図12(c)に示すように、ピン支持板352がアジャストボルト108の係合部130に当接させられる。この状態では、基板支持ピン350の基板支持面354と押付部材262の側縁部支持面344とが同一面内に位置し、その状態から更に中間部支持装置266が上昇させられる。
【0053】
ピン支持板352の上昇により、基板支持ピン350が上昇させられるとともに、スライダ104が押し上げられ、押付部材262が上昇させられ、図12(d)に示すように、基板支持ピン350がプリント基板232の両側縁部318の間の部分である中間部370を支持し、押付部材262が側縁部318を支持して周回ベルト310から持ち上げ、中間部支持装置266が上昇位置へ上昇させられた状態では、押付部材262が側縁部318を受け部284に押し付ける状態となる。下方通過領域320に設けられた押付部材262は、プリント基板232の周回ベルト310により支持される側縁部318を、周回ベルト310と干渉することなく下方から支持することができる。中間部支持装置262は、押付部材262が側縁部318を受け部284にちょうど当接させた状態から更にやや上昇させられるが、この上昇は受け部材274がスプリング280の付勢力に抗して上昇することにより許容され、プリント基板232は受け部284に押し付けられて反りが修正される。また、プリント基板232の作業面であるはんだ印刷面と、クランプ部材290の上面およびガイドブロック322の上面とが同一平面内に位置する状態とされる。
【0054】
このようにプリント基板232の側縁部318が受け部284に押し付けられた後、可動クランプ部材290がクランプ部材移動装置304により固定クランプ部材290に接近する向きに移動させられ、一対のクランプ部材290にそれぞれ設けられた複数ずつのガイドブロック322の各案内面324がプリント基板232を幅方向の両側から挟んで固定する。プリント基板232の搬送時には、プリント基板232の側面328と案内面324との間にはプリント基板232の搬送を許容する隙間があるが、搬送が停止され、プリント基板32にクリーム状はんだが印刷される際には、プリント基板232が一対のクランプ部材290により挟まれて固定されるのである。ガイドブロック322は、基板クランプ部ないし基板固定部でもあり、案内面324は基板クランプ面ないし基板固定面でもある。
【0055】
基板固定後、図13(a)に示すように、基板固定装置270が下降させられ、プリント基板232は、基板固定装置270により固定され、押付部材262および基板支持ピン350によって支持されたままの状態で、一旦、下降させられ、受け部284から離間させられる。離間後、図13(b)に示すように、受け部材274が退避位置へ退避させられ、退避後、図13(c)に示すように、基板固定装置270が基板固定装置上昇装置294により上昇させられ、プリント基板232,クランプ部材290およびガイドブロック322が、一対の受け部284の間に嵌合され、各上面が受け部284の上面と隙間なく同一平面内に位置させられる。プリント基板232は、その姿勢を修正された状態で基板固定装置70により固定されるため、受け部284が退避させられ、受け部284により受けられなくても、真っ直ぐな状態に保たれるとともに、両側縁部318をそれぞれ複数ずつの押付部材262により下方から支持され、中間部を複数の基板支持ピン350により下方から支持される。このように受け部材274が退避位置へ退避させられた後は、押付部材262は側縁部318を単に下方から支持する支持部材として機能することとなる。
【0056】
そして、撮像装置210によるマスク220およびプリント基板232にそれぞれ設けられた基準マークの撮像,基板位置調節装置204によるマスク220とプリント基板232との位置ずれの修正の後、メインコンベヤ242全体が昇降装置254により上昇させられ、図13(d)に示すように、受け部284,クランプ部材290,ガイドブロック322およびプリント基板232がマスク220に接触させられる。接触後、スキージ224がスキージ移動装置228により移動させられ、クリーム状はんだをマスク220の貫通孔に押し込み、プリント基板232に印刷する。
【0057】
スキージ224は、マスク220の受け部284が接触させられた部分に接触させられ、その後、マスク220に沿って移動させられ、プリント基板232の側縁部318上もクリーム状はんだを移動させつつ移動するが、側縁部318は、スライダ104に固定された押付部材262によって下方から支持されており、スキージ224のマスク220に対する接触力を受けることができる。そのため、側縁部318にもクリーム状はんだを印刷することができるとともに、側縁部318から始まるプリント基板232へのクリーム状はんだの印刷開始時に、スキージ224のマスク220への接触力を検出装置により正確に検出することができ、その検出結果に基づいて接触力を制御し、プリント基板232全体についてクリーム状はんだの印刷を品質高く行うことができる。
【0058】
印刷終了後、基板固定装置270が小距離下降させられ、プリント基板232がマスク220から離間させられる。次いで、基板固定装置270が下降させられるとともに、昇降装置254によりメインコンベヤ242全体が下降させられる。この下降の途中で、可動クランプ部材290がクランプ部材移動装置304により、固定クランプ部材290から離れる向きに移動させられ、一対のクランプ部材290によるプリント基板232の固定が解除され、メインコンベヤ242全体が下降端位置へ下降させられた後、中間部支持装置262が下降させられ、プリント基板232が周回ベルト310により支持され、搬出される。
【0059】
プリント基板の両側縁部はそれぞれ、縁部支持部材によって負圧により吸着されて保持されてもよい。その実施例である基板搬送コンベヤを図14〜図16に基づいて説明する。本実施例の基板搬送コンベヤはスクリーン印刷機に設けられている。このスクリーン印刷機は、プリント基板の両側縁部がそれぞれ、縁部支持部材により負圧によって吸着されることを除いて図7〜図13に示すスクリーン印刷機と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0060】
本実施例の基板搬送コンベヤにおいて縁部支持部材500は、図15に示すように、横断面形状が矩形を成し、図15および図16に示すように、スライダ104の保持部106の、クランプ部材290の内側への突出端部に上方へ突出する向きに固定して設けられ、スライダ104と共に昇降させられる。縁部支持部材500の上面が、その昇降方向に直角で上向きの縁部支持面502を構成している。縁部支持部材500内には、少なくとも1つ、本実施例では、2つの負圧供給通路504が設けられている。これら負圧供給通路504は、上下方向に延びるとともに、搬送方向に平行な方向に並び、1つの列を成す状態で設けられ、各一端は縁部支持面502に開口させられている。2つの負圧供給通路504の各他端は、共通の通路506等を介して負圧源たる負圧ポンプ508に接続され、負圧が供給される。負圧ポンプ508から複数の縁部支持部材500の各負圧供給通路504へ負圧が一斉に供給されるが、その供給は、例えば、負圧ポンプ508に接続された通路の途中に設けられた制御弁装置たる電磁弁装置、例えば、電磁方向切換弁の切換えにより制御され、プリント基板232の保持時に負圧が供給され、保持が不要になった状態では負圧の供給が遮断されるとともに大気に開放され、プリント基板232が解放されるようにされる。これら負圧供給通路504は負圧供給部を構成し、縁部支持面502は縁部吸着部たる縁部吸着面を構成している。
【0061】
一対のクランプ部材290にそれぞれ設けられた複数ずつの縁部支持部材500はそれぞれ、前記押付部材262と同様に、中間部支持装置266の上昇に伴って上昇させられ、プリント基板232の側縁部318を受け部材274の受け部284に押し付ける。それによりプリント基板232の反りが修正された状態で、複数の縁部支持部材500の各2本ずつの負圧供給通路504に負圧が供給され、縁部支持面502に負圧が導かれて、負圧供給通路504の縁部支持面502への開口に負圧が供給され、側縁部318が縁部支持面502に吸着され、密着させられて保持される。その状態で可動クランプ部材290が固定クランプ部材290側へ移動させられ、プリント基板232を幅方向の両側から挟み、プリント基板232は反りを修正された状態を保って基板固定装置270により固定される。
【0062】
このようにプリント基板232が基板固定装置270によって固定された後、受け部材274は退避位置へ退避させられるが、プリント基板232は、その両側縁部318がそれぞれ、複数ずつの縁部支持部材500によって吸着され、保持されているため、修正された反りが元に戻ることがなく、確実に平らな状態に保たれる。縁部支持部材500は、縁部保持部材でもあり、側縁部318を受け部284に押し付ける際には押付部材でもある。プリント基板232は、クリーム状はんだの印刷が終了するまで縁部支持部材500により吸着された状態に保たれ、印刷終了後、プリント基板232がマスク220から離間させられた後、負圧供給通路504への負圧の供給が遮断されるとともに大気に開放され、縁部支持部材500によるプリント基板232の保持が解除される。
【0063】
スクリーン印刷機においてプリント基板は、印刷時にも、その両側縁部が押付部材によって受け部材に押し付けられたままの状態とされてもよい。その実施例であるスクリーン印刷機を説明する。
本実施例のスクリーン印刷機は、図7〜図13に示すスクリーン印刷機と同様に、作業機本体たる印刷機本体としてのフレーム,プリント基板搬送装置,基板位置調節装置,スクリーンマスク支持装置,スキージ装置,撮像装置,基板停止位置規定装置および制御装置等を含む。これらフレーム等は、プリント基板搬送装置のメインコンベヤを除いて、前記フレーム200等と同様に構成されている。プリント基板搬送装置は、前記プリント基板搬送装置202と同様に、搬入コンベヤ,メインコンベヤおよび搬出コンベヤを備えており、メインコンベヤを図面に基づいて説明する。
【0064】
本スクリーン印刷機のメインコンベヤ400は、図17に示すように、基板位置調節装置402上に設けられ、昇降装置404により昇降させられる。メインコンベヤ400は、図17ないし図19に示すように、装置本体406を構成する一対のコンベヤレール408,それらコンベヤレール408の各ベルト案内部410によりそれぞれ支持されたベルト案内装置412,複数のガイドブロック414,押付部材416,押付部材昇降装置418,中間部支持装置420,中間部支持装置昇降装置422および受け部材424を含む。これらコンベヤレール408等は、コンベヤレール408に設けられる受け部材424を除いて図7〜図13に示すベルト案内装置260等と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。なお、中間部支持装置昇降装置422は、モータおよび送りねじ機構を含むことは前記中間部支持装置昇降装置268と同じであるが、図17に示すように、昇降台428および昇降台駆動装置430を備え、送りねじ機構432を構成するナット434が駆動源たる昇降台昇降用モータ436によって回転させられることにより、昇降台428に固定のボールねじ438が昇降させられ、昇降台428が昇降させられて中間部支持装置420が上下方向の任意の位置へ移動させられる。
【0065】
受け部材424は、図17に示すように、一対のコンベヤレール408の各上端に設けられている。受け部材424は、本実施例では厚さが0.1mmの板ばねから成り、その基端部がコンベヤレール408に固定され、搬送方向に平行に延び、図19に示すように、自由端部はコンベヤレール408から内側へ突出させられて押付部材416と対向させられている。コンベヤレール408が板ばね保持部材を構成している。
【0066】
中間部支持装置420等によるプリント基板の支持等には、図17に示す押付部材450および検出装置たるタッチセンサ452が用いられる。これら押付部材450およびタッチセンサ452は、未だ公開されていないが、本出願人の出願に係る特願2006−320838の明細書に記載の押付部材およびタッチセンサと同様に構成されており、簡単に説明する。なお、押付部材450はプリント基板を、プリント基板の上側から押すため、プリント基板を下側から押す押付部材416に対して上側押付部材450と称する。
【0067】
上側押付部材450は、撮像装置移動装置453の移動部材に昇降可能に設けられ、撮像装置移動装置453により、基板支持ピン350の基板支持面354に平行な方向に移動させられ、水平面内の任意の位置へ移動させられる。上側押付部材450は、図20に示すように、複数の押付部ないし接触部455を備え、流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダとしてのエアシリンダ454により昇降させられる。接触部455は、ゴム、例えば、制電ウレタンゴム製とされている。また、エアシリンダ454は、押付部材昇降装置を構成する。正圧源456からエアシリンダ454の2つのエア室への正圧の供給は、電磁制御弁たる電磁方向切換弁458の切換えにより行われ、上側押付部材450は、図20に実線で示すように、前記受け部材424より上方に位置する退避位置と、図20に二点鎖線で示すように、接触部455の下端面ないし先端面である押さえ面,押付面ないし接触面460が、受け部材424の下向きであって、押付部材416と対向する受け面462より下方に位置し、プリント基板464を押さえ、基板支持ピン350に押し付ける押付位置とに移動させられる。エアシリンダ452は付勢手段の一種である弾性部材として機能し、上側のエア室が正圧源456に連通させられる状態では、上側押付部材450を下向きに付勢する。この付勢力の大きさは、エア圧の制御により適切な大きさに調節することができ、例えば、正圧源456に設けられた圧力制御装置(図示省略)によりエア圧が制御される。
【0068】
タッチセンサ452は、上側押付部材450と共に撮像装置移動装置453の移動部材に設けられ、水平面内の任意の位置へ移動させられる。タッチセンサ452は、図20に示すように、センサ本体470および接触子472を備え、上側押付部材450と同心に設けられ、昇降装置たるエアシリンダ474により昇降させられる。エアシリンダ474の2つのエア室への正圧の供給は、電磁方向切換弁476の切換えにより行われ、タッチセンサ452は、図20に実線で示すように、接触子472の下端が前記受け部材424の受け面462より上方に位置する退避位置と、二点鎖線で示すように、接触子472の下端が受け部材424の受け面462と同じ高さの位置に位置する検出位置とに昇降させられる。
【0069】
プリント基板464は、図17に示すように、その両側縁部480がそれぞれ、一対の周回ベルト310の上ガイドプーリ314に巻き掛けられた部分の上に載せられ、周回ベルト310が周回させられることにより、側面482をガイドブロック414の案内面324により案内されつつ搬送される。プリント基板464の搬送時には、図17に示すように、一対のコンベヤレール408によりそれぞれ保持された2つ以上の押付部材416および中間部支持装置420はそれぞれ下降位置に位置させられ、上側押付部材450およびタッチセンサ452は退避位置に位置させられている。押付部材416は下降位置において、その上面である側縁部支持面ないし押付面484が周回ベルト310により支持されたプリント基板464よりやや下側に位置する。中間部支持装置420の下降位置は、本実施例では、ピン支持板352のピン支持面353とスライダ104に設けられたアジャストボルト108の係合部130との距離が、基板支持ピン350の基板支持面354と押付部材416の押付面484との距離と等しくなる位置である。ピン支持面353と係合部130との距離は、アジャストボルト108の腕部107に対する螺合位置の調節により、基板支持面354と押付面484との距離と等しくなるように正確に調節される。
【0070】
プリント基板464の停止後、上側押付部材450およびタッチセンサ452がプリント基板464の中間部の上方であって、中間部支持装置420の上方へ移動させられるとともに、図21(a)に示すように、上側押付部材450は押付位置へ下降させられ、タッチセンサ452は検出位置へ下降させられる。その状態で中間部支持装置420が上昇させられ、基板支持ピン350が上昇させられる。この上昇の途中で、図21(b)に示すように、ピン支持板352が、一対のコンベヤレール408によりそれぞれ保持された複数ずつのアジャストボルト108の係合部130に当接し、複数のスライダ104を一斉に押し上げ、複数の押付部材416を基板支持ピン350と共に上昇させる。この状態では、押付部材416の押付面484と基板支持面354とは高さが同じになり、同一平面内に位置する。
【0071】
プリント基板464に上方へ凸の反りがある場合、図22(a)に示すように、まず、プリント基板464の両側縁部480にそれぞれ、複数の押付部材416が接触し、プリント基板464を周回ベルト310から持ち上げる。それにより、プリント基板464の中間部に上側押付部材450の接触部455が接触してプリント基板464の上昇を阻止し、プリント基板464を押付部材416および基板支持ピン350に向かって押すのに対し、中間部支持装置420が上昇させられ、プリント基板464が押付部材416により押されて反りが矯正される。複数の基板支持ピン350もプリント基板464に接触する状態になれば、プリント基板464は押付部材416および基板支持ピン350と上側押付部材450とによって上下から挟まれて反りが除去され、図22(b)に示すように、真っ直ぐな姿勢に矯正される。上側押付部材450はエアシリンダ454の付勢により、プリント基板464の反りが矯正され、プリント基板464が基板支持ピン350の基板支持面354により支持された状態になるまで押付位置に位置する状態に保たれ、矯正後は、中間部支持装置420の上昇に伴って上側押付部材450が上昇することが許容される。
【0072】
その後、中間部支持装置420は、エアシリンダ454の付勢力に抗して上側押付部材450を後退させつつ上昇させられる。そして、図23に示すように、両側縁部480がそれぞれ受け部材424に当接したとき、タッチセンサ452の接触子472がプリント基板464に接触し、プリント基板464が受け部材424に当接する位置へ到達したことを検出する。この検出に基づいて昇降台駆動装置430が停止させられ、一対の受け部材424はそれぞれ、プリント基板464の両側縁部480を押さえ、押付部材416は側縁部480を受け部材424に押し付け、両側縁部480が受け部材424と押付部材416とにより上下から挟まれて保持される。プリント基板464はまた、複数の基板支持ピン350により下方から支持され、受け部材424と基板支持ピン350とにより上下から挟まれて保持される。押付部材416は、下方通過領域320に設けられ、搬送方向において周回ベルト310が存在しない箇所に設けられており、プリント基板464の周回ベルト310により支持される側縁部480を下方から支持し、受け部材424に押し付けて保持することができる。
【0073】
タッチセンサ452は、プリント基板464が受け部材424に当接する位置へ到達し、接触子472がプリント基板464の上面に接触した瞬間にその接触を検知し、その検知に基づいて制御装置により昇降台駆動装置430の作動が直ちに停止させられ、中間部支持装置420の上昇が直ちに停止させられる。そのため、薄い受け部材424やプリント基板464が破損させられたりする恐れなく、プリント基板464を、その上面が予め設定された位置に位置する高さへ上昇させ、基板支持ピン350により支持されることができる。
【0074】
タッチセンサ452によるプリント基板464の上面の検出から中間部支持装置420の上昇停止までの時間は極く短いが、その間、押付部材416が受け部材424により上昇を阻止されるのに対し、中間部支持装置420が僅かに上昇する。この上昇は、板ばねから成る受け部材424の弾性変形により許容され、両側縁部480はそれぞれ、受け部材424の自由端部と複数の押付部材416との共同により、上下両側から弾性的に挟まれて保持される。また、プリント基板464が受け部材424に接触させられた後の中間部支持装置420の上昇による基板支持ピン350の僅かな上昇は、プリント基板464の撓みにより許容される。
【0075】
このようにプリント基板464が保持された後、上側押付部材450およびタッチセンサ452がそれぞれ退避位置へ上昇させられる。そして、撮像装置が移動させられてプリント基板464およびマスクにそれぞれ設けられた基準マークの撮像,それらの位置ずれの検出および修正後、メインコンベヤ400が昇降装置404により上昇させられてプリント基板464がマスクに接触させられる。プリント基板464は、両側縁部480が受け部材424により押さえられたままの状態でマスクがスキージにより押し付けられてクリーム状はんだが印刷される。そのため、受け部材424の厚さ分、スクリーンとプリント基板464との間に隙間が生じるが、受け部材424の厚さは極く薄く、本実施例では0.1mmとされており、スキージはマスクをプリント基板464に押し付けてマスク上を移動し、マスクの貫通孔を通してプリント基板464にクリーム状はんだを印刷することができる。スキージは、例えば、受け部材424上の位置からマスクに押し付けられる。また、プリント基板464が薄いものであっても、一対の受け部材424によるプリント基板464の両側縁部480の押さえ、さらには受け部材424と押付部材416とによる側縁部480の挟持により、上反りが除去された状態に保たれ、印刷が良好に行われる。
【0076】
クリーム状はんだの印刷後、メインコンベヤ400が昇降装置404により下降させられ、プリント基板464がマスクから離間させられる。メインコンベヤ400が昇降装置404による昇降の下降端位置へ下降させられた後、中間部支持装置420が中間部支持装置昇降装置422により下降させられ、プリント基板464が一対の周回ベルト310上に載置されるとともに、押付部材416および基板支持ピン350がプリント基板464から離間させられ、ピン支持板352がアジャストボルト108の係合部130から離間させられる。そして、プリント基板搬送装置が作動させられ、搬入,メイン,搬出の各コンベヤが作動させられてプリント基板464の搬入,搬出が行われる。
【0077】
なお、下ガイドプーリは、縁部支持部材昇降装置の可動部材の下方に設けてもよい。
【0078】
また、周回ベルトを蛇行状態に案内するベルト案内装置を備えた基板搬送コンベヤにおいて、案内部材を周回ベルトの外側に設け、プリント基板の側縁部の側面を案内させてもよい。この場合、案内部材は、搬送方向に平行な方向において下方通過領域に対応する箇所に設けてもよく、あるいは搬送方向に沿って設け、連続した長い案内面を有するものとしてもよい。案内面は、プリント基板の上方から下方まで連続して延びる状態で設けられることが望ましい。
【0079】
さらに、電子回路部品装着システムにおいてプリント基板を、図7〜図13に示すスクリーン印刷機におけると同様に、基板固定装置により幅方向の両側から挟んで固定し、部品装着時に両側縁部の少なくとも一方が受け部材により受けられず、開放されるようにしてもよい。それにより、例えば、側縁部に電子回路部品を装着することができる。
【0080】
縁部支持部材に負圧を供給し、プリント基板の側縁部を負圧によって吸着させ、保持させることの効果は、作業時に側縁部が受け部材により受けられず、プリント基板が基板固定装置によって固定される場合に最も有効に享受することができるが、それに限らず、図1〜図6に示す電子回路部品装着システムおよび図17〜図23に示すスクリーン印刷機のように、プリント基板の側縁部が受け部材により受けられたままの状態でプリント基板に作業が施される作業機においても、縁部支持部材に負圧供給通路を設け、プリント基板の側縁部が負圧によって吸着され、保持されるようにしてもよい。
また、搬送方向に沿って並ぶ複数の負圧供給通路を含む負圧供給通路列を複数列設けてもよい。
【0081】
さらに、下ガイドプーリの上下両側にそれぞれ位置する保持部および被駆動部と、それら保持部と被駆動部とを連結する連結部とを含む可動部材の連結部は、コンベヤレールの内側に設けてもよい。
【0082】
また、スクリーン印刷機において縁部支持部材昇降装置を、保持部,被駆動部および弾性変形部を備えた伝達装置を含む装置としてもよい。
【0083】
さらに、プリント基板の両側縁部の少なくとも一方の上方に、押付部材を、プリント基板を周回ベルトに押し付ける押付位置とプリント基板を解放する解放位置とに移動可能に設け、移動装置により移動させ、押付位置においてプリント基板を上ガイドプーリと共に上下両側から挟んで保持するようにしてもよい。
【0084】
また、受け部材を縁部支持部材に対して昇降可能に設け、受け部材を受け部材昇降装置により下降させてプリント基板の側縁部を縁部支持部材に押し付け、支持させるようにしてもよい。
さらに、可動部材の保持部に縁部支持部材を流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダたるエアシリンダを介して保持させ、エアシリンダを付勢装置として機能させ、弾性変形部として機能させてもよい。エアシリンダのピストンロッドそのものを押付部材としてもよい。
【0085】
また、請求可能発明は、電子回路部品装着システム,スクリーン印刷機以外の対基板作業システム、例えば、プリント基板に接着剤を塗布する接着剤塗布機や、プリント基板における電子回路部品の装着状態を検査する装着状態検査機等においてプリント基板を搬送する基板搬送コンベヤに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】請求可能発明の一実施例である基板搬送コンベヤを備えた電子回路部品装着システムを概略的に示す平面図である。
【図2】上記基板搬送コンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図である。
【図3】上記ベルト案内装置の一部を示す平面図(一部断面)である。
【図4】上記基板搬送コンベヤを、プリント基板が周回ベルトにより支持された部分において断面にして示す側面図である。
【図5】上記基板搬送コンベヤを、押付部材および押付部材昇降装置が設けられた部分において断面に示す側面図である。
【図6】上記基板搬送コンベヤにより搬送されるプリント基板の押付部材および基板支持ピンによる支持を説明する図である。
【図7】別の実施例である基板搬送コンベヤを備えたスクリーン印刷機を概略的に示す正面図である。
【図8】図7に示すスクリーン印刷機のプリント基板搬送装置をスクリーン等と共に概略的に示す正面図である。
【図9】図7に示すスクリーン印刷機を示す側面図(一部断面)である。
【図10】図7に示すスクリーン印刷機のプリント基板搬送装置のうち、メインコンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図である。
【図11】図10に示すメインコンベヤを、押付部材および押付部材昇降装置が設けられた部分において断面にして示す側面図である。
【図12】図10に示すメインコンベヤにより搬送されるプリント基板の押付部材および基板支持ピンによる支持,受け部材による受けおよび基板固定装置による固定を説明する図である。
【図13】図10に示すメインコンベヤにより搬送されるプリント基板の押付部材および基板支持ピンによる支持および基板固定装置による固定の後、スクリーンに接触させられてクリーム状はんだの印刷が行われる状態を説明する図である。
【図14】別の実施例である基板搬送コンベヤを備えたスクリーン印刷機のうち、メインコンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図(一部断面)である。
【図15】図14に示すベルト案内装置の一部を示す平面図(一部断面)である。
【図16】図14に示すベルト案内装置を備えた基板コンベヤを、縁部支持部材および縁部支持部材昇降装置が設けられた部分において断面にして示す側面図である。
【図17】更に別の実施例である基板搬送コンベヤを備えたスクリーン印刷機を示す側面図(一部断面)である。
【図18】図17に示すスクリーン印刷機のメインコンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図である。
【図19】図17に示すメインコンベヤを押付部材および押付部材昇降装置が設けられた部分において断面にして示す側面図である。
【図20】図17に示すメインコンベヤについて設けられた押付部材およびタッチセンサを示す側面図(一部断面)である。
【図21】図17に示すスクリーン印刷機における押付部材および中間部支持装置によるプリント基板の支持を説明する図であり、ピン支持台が係合部に当接させられるまでを説明する図である。
【図22】図17に示すスクリーン印刷機における押付部材および中間部支持装置によるプリント基板の支持を説明する図であり、押付部材および中間部支持装置がプリント基板を上方の押付部材に押し付け、その姿勢を矯正するまでを説明する図である。
【図23】図17に示すスクリーン印刷機における押付部材および中間部支持装置によるプリント基板の支持を説明する図であり、押付部材および中間部支持装置により支持されたプリント基板の側縁部が受け部材により受けられ、保持されるまでを説明する図である。
【符号の説明】
【0087】
10:基板搬送コンベヤ 32:プリント基板 60:装置本体 62:コンベヤレール 70:ベルト案内装置 72:周回ベルト 76:上ガイドプーリ 78:下ガイドプーリ 80:側縁部 82:下方通過領域 86:ガイドブロック 88:案内面 90:側面 100:押付部材 102:押付部材昇降装置 104:スライダ 106:保持部 109:被駆動部 110:連結部 122:圧縮コイルスプリング 130:係合部 140:中間部支持装置 142:中間部支持装置昇降装置 144:基板支持ピン 146:ピン支持台 147:中間部 154:昇降台 202:プリント基板搬送装置 232:プリント基板 240:搬入コンベヤ 242:メインコンベヤ 244:搬出コンベヤ 260:ベルト案内装置 262:押付部材 264:押付部材昇降装置 266:中間部支持装置 268:中間部支持装置昇降装置 270:基板固定装置 272:受け装置 274:受け部材 284:受け部 290:クランプ部材 294:基板固定装置昇降装置 310:周回ベルト 314:上ガイドプーリ 316:下ガイドプーリ 318:側縁部 320:下方通過領域 322:ガイドブロック 324:案内面 328:側面 350:基板支持ピン 352:ピン支持台 356:昇降台 358:昇降台駆動装置 400:メインコンベヤ 406:装置本体 408:コンベヤレール 412:ベルト案内装置 414:ガイドブロック 416:押付部材 418:押付部材昇降装置 420:中間部支持装置 422:中間部支持装置昇降装置 424:受け部材 428:昇降台 464:プリント基板 480:側縁部 482:側面 500:縁部支持部材 502:縁部支持面 504:負圧供給通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板を搬送するコンベヤに関するものであり、特に、一対の周回ベルトによりプリント基板の幅方向の両側縁部を支持し、プリント基板を直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板搬送コンベヤは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。一対の周回ベルトはそれぞれ、複数のガイドプーリに巻き掛けられ、その一部に直線部を備え、プリント基板の互いに平行な両縁側部をそれぞれ直線部により下方から支持し、ベルト周回装置によって周回させられることにより、プリント基板を直線的な搬送経路に沿って搬送する。
【特許文献1】特開2002−173214公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の基板搬送コンベヤには、種々の問題がある。
例えば、基板搬送コンベヤが一対の案内部材を備え、プリント基板の両側縁部の各側面をそれぞれ案内する場合、側縁部が案内部材と周回ベルトとの間の隙間に噛み込まれて搬送が妨げられることがある。プリント基板の両側縁部はそれぞれ、一対の周回ベルトの互いに近い側の部分である内側部分により支持され、プリント基板の搬送,支持のために必要な側縁部の幅ができる限り小さくされ、製品としてのプリント回路板の大形化が回避されるようにされる。そのため、案内部材は、一対の周回ベルトの互いに遠い側の部分である外側部分を覆うように設けられ、プリント基板の側縁部の側面を案内するようにされるのであるが、周回ベルトに対しては、周回を許容する隙間を有する状態で設けられる。この隙間はできる限り小さくされるのであるが、プリント基板が薄いものである場合、側縁部が周回ベルトと案内部材との間の隙間に噛み込まれる恐れがあるのである。また、ガイドプーリと案内部材との間の隙間が狭く、周回ベルトのガイドプーリに対する取付け,取外しがやり難い問題もある。
さらに、プリント基板を基板支持装置により下方から支持する場合、プリント基板の両側縁部は周回ベルト上に載せられているため、支持することができず、両側縁部の表面に作業を行うことができない場合がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、基板搬送コンベヤに存在する問題の少なくとも1つを解決して、より実用的な基板搬送コンベヤを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、プリント基板を、そのプリント基板の幅方向の両側縁部を一対の周回ベルトにより支持し、直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤを、(a)搬送経路に沿って、かつ、互いに間隔をあけて配列された2個以上の上ガイドプーリと、搬送経路に平行な方向において互いに隣接する上ガイドプーリの2つの間であって、それら上ガイドプーリより下方にそれぞれ配置された1個以上の下ガイドプーリとを含み、一対の周回ベルトの一方が、上ガイドプーリの1つ以上に上方から巻き掛けられた後、下ガイドプーリの1つ以上に下方から巻き掛けられ、その後、上ガイドプーリの別の1つ以上に上方から巻き掛けられ、その一方の周回ベルトの一部が蛇行する状態とされたベルト案内装置と、(b)そのベルト案内装置を支持する装置本体とを含むものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0005】
プリント基板は、周回ベルトのうち、2個以上の上ガイドプーリに巻き掛けられた部分により側縁部を支持され、搬送される。周回ベルトの下ガイドプーリに巻き掛けられた部分は搬送経路より下方に位置し、プリント基板を支持せず、プリント基板の搬送方向における少なくとも1箇所に、周回ベルトが存在せず、プリント基板が周回ベルトにより支持されない非支持箇所が得られ、この非支持箇所の利用により、従来、基板搬送コンベヤに生じていた種々の問題の少なくとも1つを解決することができる。
例えば、下記(3)項に記載の基板搬送コンベヤによれば、プリント基板の側縁部の側面を案内部材により案内する場合に生じる問題を解決することができ、下記(4)項に記載の基板搬送コンベヤによれば、プリント基板を下方から支持する場合に生じる問題を解決することができる。
【発明の態様】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0007】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(8)項が請求項5に、(16)項が請求項6に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)プリント基板を、そのプリント基板の幅方向の両側縁部を一対の周回ベルトにより支持し、直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤであって、
前記搬送経路に沿って、かつ、互いに間隔をあけて配列された2個以上の上ガイドプーリと、前記搬送経路に平行な方向において互いに隣接する前記上ガイドプーリの2つの間であって、それら上ガイドプーリより下方にそれぞれ配置された1個以上の下ガイドプーリとを含み、前記一対の周回ベルトの一方が、前記上ガイドプーリの1つ以上に上方から巻き掛けられた後、前記下ガイドプーリの1つ以上に下方から巻き掛けられ、その後、前記上ガイドプーリの別の1つ以上に上方から巻き掛けられ、その一方の周回ベルトの一部が蛇行する状態とされたベルト案内装置と、
そのベルト案内装置を支持する装置本体と
を含む基板搬送コンベヤ。
一対の周回ベルトの両方が本項の構成のベルト案内装置に案内されるようにしても、一方のみが案内されるようにしてもよい。
2個以上の上ガイドプーリおよび1個以上の下ガイドプーリは、種々の態様で配置することができる。例えば、隣接する2個の上ガイドプーリの間に1個の下ガイドプーリが配置されてもよく、あるいは2個以上の下ガイドプーリが配置されてもよく、1個の下ガイドプーリが配置された箇所と2個以上の下ガイドプーリが配置された箇所との両方があってもよい。2個の上ガイドプーリが互いに隣接する箇所が複数箇所あり、それらにそれぞれ下ガイドプーリが配設される場合、各箇所の下ガイドプーリの数は同じでなくてもよいのである。隣接する2個の上ガイドプーリの間に2個以上の下ガイドプーリが配置されれば、例えば、後述する下方通過領域の、搬送方向における長さを長くすることができる。上ガイドプーリが2個以上連続して(隣接する2個の上ガイドプーリの間に下ガイドプーリが設けられない状態で)設けられてもよい。
(2)前記上ガイドプーリが3個以上設けられ、前記下ガイドプーリが2個以上設けられて、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域が2つ以上設けられた(1)項に記載の基板搬送コンベヤ。
例えば、上ガイドプーリと下ガイドプーリとが1個ずつ、交互に配置されれば、プリント基板は、搬送方向に隔たった少なくとも3箇所において周回ベルトにより支持されて搬送され、駆動力の不足や、プリント基板の撓みによる垂れ下がりが良好に回避される。
(3)前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記一方の周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域にそれぞれ配設され、前記互いに隣接する2つの上ガイドプーリに案内された前記周回ベルトの一方に前記両側縁部の一方が支持されたプリント基板のその一方の側縁部の側面を案内する1個以上の案内部材を含む(1)項または(2)項に記載の基板搬送コンベヤ。
案内部材による側面の案内により、プリント基板が搬送経路に平行な姿勢で安定して搬送される。
搬送経路のうち、下方通過領域に対応する部分には周回ベルトが存在せず、案内部材はプリント基板の側縁部の側面を周回ベルトがない部分において案内する。したがって、案内部材は、プリント基板の上方から下方まで連続して延びる状態で形成することも可能であり、従来のように、周回ベルトの上面と案内部材の下面との間に隙間が形成されることはなく、プリント基板の側縁部の噛込みの問題は生ぜず、プリント基板を安定して搬送することができる。また、案内部材の下面と周回ベルトの上面との間の隙間を厳しく管理する必要がなく、案内部材と周回ベルトとの間に摩擦が発生することもない。
さらに、上,下ガイドプーリに対する周回ベルトの取付け,取外しを案内部材に妨げられることなく、容易に行うことができる。
(4)前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域に、上昇位置と下降位置とに昇降可能にそれぞれ配設され、前記上昇位置において、前記プリント基板の前記両側縁部の一方を下方から支持する縁部支持部材と、
その縁部支持部材を前記上昇位置と前記下降位置との間で昇降させる縁部支持部材昇降装置と
を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
従来のように、プリント基板の両側縁部が一対の周回ベルトの直線部により下方から支持される場合に縁部支持部材を設けようとすれば、プリント基板の幅方向において周回ベルトの直線部から外れた位置に設けざるを得ず、その分、プリント基板の搬送,支持のために必要な側縁部の幅が広くなり、製品としてのプリント回路板が大形化することを避け得ない。それに対して、本項の基板搬送コンベヤにおいては、プリント基板の搬送のために必要な側縁部を支持のためにも使用し得ることとなり、プリント回路板の大形化を回避することができる。プリント基板の側縁部は、その下面に電子回路部品が装着されていたりすることがなく、縁部支持部材に支持させることができるのである。また、必要に応じて、プリント基板の側縁部をも下方から強固に支持することができるため、側縁部に対しても安定して作業を行うことが可能となり、プリント基板に対する作業性を確保することができる。
(5)前記縁部支持部材が、昇降方向に直角で上向きの縁部支持面に開口させられ、負圧源から供給される負圧を前記縁部支持面に導く少なくとも1つの負圧供給通路を備えた(4)項に記載の基板搬送コンベヤ。
プリント基板の側縁部が縁部支持部材と受け部材とによって上下両側から挟まれていなくても、縁部支持面から浮き上がることなく、平面状に支持された状態に保たれる。
(6)前記負圧供給通路が前記縁部支持部材に複数設けられ、それら負圧供給通路が、前記プリント基板の搬送方向に沿って少なくとも1つの列を成す状態で前記縁部支持面に開口させられた(5)項に記載の基板搬送コンベヤ。
複数の負圧供給通路により、縁部支持面に十分な量の負圧が供給され、プリント基板が確実に吸着され、保持される。複数の負圧供給通路は、搬送方向と直角な方向に並ぶ状態で設けてもよいが、搬送方向に沿って設ける方が、側縁部の被支持部の、搬送方向と直角な方向における寸法が大きくなることを回避しつつ、保持に十分な量の負圧を得ることができる。
(7)前記一対の周回ベルトの間であって前記プリント基板の搬送方向における中間部に対応する位置において、上昇位置と下降位置とに昇降可能に設けられ、前記プリント基板を支持する基板支持装置と、
その基板支持装置を昇降させる基板支持装置昇降装置と
を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
プリント基板が薄く、可撓性があるものであっても、作業面に作業が施される際に、下方に凸状に撓むことが基板支持装置により防止され、作業が精度良く行われ、高品質の製品が得られる。
(8)前記一対の周回ベルトの間であって前記プリント基板の搬送方向における中間部に対応する位置において、上昇位置と下降位置とに昇降可能に設けられ、前記プリント基板の前記両側縁部の間の部分である中間部を支持する中間部支持装置と、
その中間部支持装置を昇降させる中間部支持装置昇降装置と
を含み、その中間部支持装置昇降装置の駆動源が前記縁部支持部材昇降装置の駆動源を兼ねる(4)項ないし(6)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
中間部支持装置の上昇と連動して縁部支持部材が下降位置から上昇位置へ上昇させられる。中間部支持装置昇降装置と縁部支持部材昇降装置とを備えた基板搬送コンベヤを簡易にかつ安価に構成することができる。
なお、下記(9)項ないし(17)項の各々に記載の特徴は、上記(8)項に記載の基板搬送コンベヤにおけるように、中間部支持装置昇降装置の駆動源が縁部支持部材昇降装置の駆動源を兼ねる態様において特に有効なものではあるが、兼ねない態様においても採用可能であり、それぞれ類似の効果が得られる。
(9)少なくとも前記下方通過領域において、前記上ガイドプーリより高い位置に配置された1つ以上の受け部材を含み、かつ、前記縁部支持部材が前記プリント基板の前記側縁部を下方から支持して前記受け部材に押し付ける押付部材である(8)項に記載の基板搬送コンベヤ。
受け部材は、プリント基板の側縁部を受け、押付部材と共同して側縁部を挟むことにより、例えば、プリント基板の反りを除去し、作業面が平坦面となるように姿勢を矯正する姿勢矯正部材として機能し、あるいは、プリント基板に作業が施される間も押付部材と共同して側縁部を挟む状態に保たれる場合、プリント基板を固定する固定部材として機能し、基板固定装置を構成する。
受け部材は、搬送方向に連続して延び、プリント基板の側縁部の搬送方向における全部を受けるものとしてもよく、下方通過領域が複数設けられる場合に、それら複数の下方通過領域に対応する複数の箇所にそれぞれ設けられ、搬送方向において点在し、プリント基板の側縁部の複数箇所を部分的に受けるものとしてもよい。受け部材は上ガイドプーリより高い位置に配置されるため、プリント基板の側縁部全部を受けるものとされても、上ガイドプーリへの周回ベルトの巻掛けを妨げることは少ないが、下方通過領域のみに設けられれば、上ガイドプーリへの周回ベルトの巻き掛けがより容易となる。下方通過領域が1つのみ設けられる場合、その1つのみに受け部材が設けられてもよい。
(10)前記縁部支持部材昇降装置が、前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、その被駆動部と前記縁部支持部材との相対位置を調節する調節装置とを含む(9)項に記載の基板搬送コンベヤ。
縁部支持部材と被駆動部との相対位置の調節により、例えば、縁部支持部材の上昇位置を調節し、側縁部を適切に支持させるようにすることができる。
(11)前記受け部材が、厚さが0.5mm以下である板ばねから成り、その板ばねの基端部が板ばね保持部材に固定され、自由端部において前記押付部材と共同して前記プリント基板の前記側縁部を上下両側から弾性的に挟んで保持する(9)項または(10)項に記載の基板搬送コンベヤ。
装置本体を板ばね保持部材とすることも、装置本体に対して相対移動可能な部材を板ばね保持部材とすることも可能である。
板ばねの厚さは、0.5mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下と薄いほど望ましいことが多い。
縁部支持部材が上昇位置へ上昇させられるとき、プリント基板の側縁部を受け部材との間に挟んだ後、僅かに上昇させられた位置において停止させられれば、その上昇は受け部材の弾性変形により許容され、受け部材の損傷を回避しつつ、側縁部を確実に保持することができる。
例えば、スクリーン印刷機において印刷時にも受け部材が押付部材と共同してプリント基板の側縁部を挟持した状態に保たれる場合、受け部材に隣接する箇所においてはスクリーンマスクがプリント基板の印刷面に密着し得ないこととなるが、受け部材を薄い板ばね製とすることにより、受け部材上の位置あるいは受け部材に隣接する位置からスキージをスクリーンマスクに押し付けることが可能となる。
(12)前記縁部支持部材昇降装置が、前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、弾性変形部とを備えた伝達装置を含み、常には前記駆動源から前記被駆動部に付与される運動が前記弾性変形部を介して前記縁部支持部材に伝達されるが、前記縁部支持部材の移動が前記受け部材により阻止された場合には、前記駆動源からの運動が前記弾性変形部の弾性変形により吸収される(9)項ないし(11)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
中間部支持装置の上昇量が多く、縁部支持部材がプリント基板の側縁部を受け部材に押し付けた状態から更に中間部支持装置が上昇させられても、被駆動部の縁部支持部材に対する相対移動が弾性変形部の弾性変形によって許容されることにより、プリント基板が過大な力で受け部材に押し付けられ、プリント基板,受け部材,縁部支持部材等が損傷することが回避される。本項が(11)項に従属する態様において、弾性変形部が板ばねの損傷を防止する機能を果たすようにすることが特に有効である。 保持部が弾性変形部とは別に設けられてもよく、弾性変形部と一体的に設けられてもよい。
(13)前記受け部材を、前記押付部材と対向する作用位置と、その作用位置からプリント基板に平行な方向に退避した退避位置とに移動させる受け部材移動装置を含む(9)項ないし(12)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
退避位置は、プリント基板の幅方向外方でもよく、搬送方向外方でもよい。
本項に記載の基板搬送コンベヤによれば、例えば、作用位置において受け部材にプリント基板の側縁部を受けさせてプリント基板の反りを除去させ、作業時には退避位置へ移動させて、側縁部にも作業を施し得るようにすることができる。
(14)前記プリント基板を前記幅方向の両側から挟んで固定する基板固定装置を含む(8)項ないし(13)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
本項は(13)項に記載の基板搬送コンベヤに適用して特に有効なものであるが、それに限定されるわけではない。
本項が(13)項に従属する態様では、例えば、受け部材が作用位置に位置する状態において基板固定装置にプリント基板を固定させることにより、受け部材が退避位置へ退避させられて側縁部を拘束しなくなっても、良好にプリント基板の移動を防止することができる。
(15)前記縁部支持部材昇降装置が、前記下ガイドプーリより上方に位置して前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記下ガイドプーリより下方に位置して駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、それら保持部と被駆動部とを連結するとともに前記装置本体により昇降可能に保持された連結部とを備えた可動部材を含む(8)項ないし(14)項のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
保持部は縁部支持部材と一体に構成されても、縁部支持部材とは別体に構成されてもよい。前者の場合には、保持部の一部が縁部支持部材として機能することとなる。被駆動部も、可動部材と一体に構成されても、可動部材とは別体の被駆動部材により構成されてもよい。本項の構成によれば、下ガイドプーリより下方において、可動部材に駆動源からの駆動力を伝達することが容易となる。下ガイドプーリは、可動部材の下方に設けてもよい。しかし、保持部と被駆動部との間に設ける方が、周回ベルトの長さが短くて済む。あるいは被駆動部に駆動源からの駆動力を伝達することが容易になる。
(16)前記装置本体が、それぞれ前記搬送経路に沿って延びる一対のコンベヤレールを含み、それら一対のコンベヤレールの一方が、他方のコンベヤレールに対向する側である内側に前記ベルト案内装置を保持し、前記可動部材の前記連結部がその一方のコンベヤレールの外側に配設され、前記保持部および前記被駆動部がその一方のコンベヤレールを貫通してその一方のコンベヤレールの内側へ突入させられた(15)項に記載の基板搬送コンベヤ。
連結部をコンベヤレールの外側に配設すれば、下ガイドプーリを避けつつ、保持部を下ガイドプーリの上方に位置させ、被駆動部を下ガイドプーリの下方に位置させることが容易である。
また、連結部がコンベヤレールの外側に配設されれば、例えば、コンベヤレールの内側の構成を簡単にすることができる。
一対のコンベヤレールの両方が内側にベルト案内装置を保持し、各可動部材の連結部がコンベヤレールの外側に配設されてもよい。
(17)前記中間部支持装置昇降装置が、前記中間部支持装置を支持し、前記駆動源により昇降させられる昇降台を含み、前記可動部材の前記被駆動部がその昇降台により押し上げられる(16)項に記載の基板搬送コンベヤ。
被駆動部は昇降台により直接押し上げられても、中間部支持装置の支持板等、昇降台に固定の別部材を介して間接的に押し上げられてもよい。
可動部材が複数設けられる場合、昇降台により複数の可動部材を同時に一斉に押し上げることができる。
【実施例】
【0009】
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0010】
図1に、請求可能発明の一実施例としての基板搬送コンベヤを備えた電子回路部品装着システムが概略的に図示されている。電子回路部品装着システムは、対基板作業システムの一種であり、本実施例では、基板搬送コンベヤ10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14,装着装置16および制御装置18を含む。
【0011】
基板搬送コンベヤ10は、図1に示すように、システム本体としてのベッド30上に設けられ、プリント基板32を、例えば、水平で直線的な搬送経路に沿って搬送して、作業領域である部品装着領域へ搬入し、部品装着領域から搬出する。搬送経路が延びる方向であって、搬送方向をX軸方向とし、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板搬送コンベヤ10については、後に詳細に説明する。フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本電子回路部品装着システムでは、ベッド30上の、基板搬送コンベヤ10に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ設けられている。
【0012】
装着装置16は、図1に示すように、作業ヘッドたる部品装着ヘッド36,ヘッド保持装置38,ヘッド移動装置40,ヘッド昇降装置(図示省略)およびヘッド回転装置(図示省略)を含む。ヘッド移動装置40は、図1に示すように、X軸方向移動装置42およびY軸方向移動装置44を含む。X軸方向移動装置42は、可動部材としてのX軸スライド46とX軸スライド移動装置48とを含む。X軸スライド移動装置48は、駆動源たるX軸移動用モータ(図示省略)と、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構たるボールねじ機構(図示省略)とを含む。Y軸方向移動装置44はX軸スライド46上に設けられ、可動部材としてのY軸スライド50とY軸スライド移動装置52とを含む。Y軸スライド移動装置52は、X軸スライド移動装置48と同様に、駆動源たるY軸移動用モータ(図示省略)とボールねじ機構(図示省略)とを含む。X軸移動用モータおよびY軸移動用モータは、例えば、電動モータの一種である電動回転モータたるエンコーダ付サーボモータにより構成される。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであり、サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。リニアモータを用いてもよい。
【0013】
上記Y軸スライド50に前記ヘッド保持装置38,ヘッド昇降装置およびヘッド回転装置が設けられている。ヘッド保持装置38は部品装着ヘッド36を保持し、X軸スライド46およびY軸スライド50の移動により、ヘッド昇降装置およびヘッド回転装置と共に水平面上の任意の位置へ移動させられ、部品装着ヘッド36に部品供給装置12,14から電子回路部品を受け取らせ、プリント基板32に装着させる。ヘッド移動装置40は、部品装着ヘッド36とプリント基板32とを相対移動させる相対移動装置である。これら部品装着ヘッド36およびヘッド保持装置38等は、特開2006−261325公報に記載の部品装着ヘッドおよびヘッド保持装置等と同様に構成されており、説明を省略する。また、X軸スライド46の部品供給装置12,14と基板搬送コンベヤ10との間の部分にはそれぞれ、部品撮像システム54が設けられ、Y軸スライド50にはマーク撮像システム56が設けられている。
【0014】
前記基板搬送コンベヤ10を説明する。
本基板搬送コンベヤ10の装置本体60は、図4に示すように、一対のコンベヤレール62を含む。これらコンベヤレール62はそれぞれ、ベッド30上にX軸方向に平行に設けられ、搬送経路に沿って延びる。一方のコンベヤレール62は位置を固定して設けられた固定のコンベヤレール62とされ、他方のコンベヤレール62は、Y軸方向に移動可能であって、一方のコンベヤレール62に接近,離間可能に設けられた可動のコンベヤレール62とされている。可動のコンベヤレール62は、図示を省略するレール移動装置によりY軸方向において任意の位置へ移動させられ、プリント基板32の幅に応じて固定のコンベヤレール62との間の間隔が調節される。プリント基板32の幅は、基板搬送コンベヤ10により搬送されるプリント基板32の、部品装着面に平行な平面であって、水平面内において搬送方向と直交する方向の寸法である。
【0015】
一対のコンベヤレール62はそれぞれ、図2および図4に示すように、板状を成し、板面が鉛直な姿勢でX軸方向に平行に配設されたベルト案内部66と、ベルト案内部66の上端から直角に内側へ、すなわち対向するコンベヤレール62側へ水平に延び出させられ、搬送経路に沿って連続して延びる基板受け部68とを備えている。コンベヤレール62の基板受け部68が設けられた部分が受け部材を構成している。これら一対のコンベヤレール62の各々のベルト案内部66の内側にベルト案内装置70が保持され、それぞれ周回ベルト72を案内する。これらベルト案内装置70は同様に構成されており、一方のコンベヤレール62のベルト案内装置70を代表的に説明する。
【0016】
ベルト案内装置70は、図2に示すように、3個以上の上ガイドプーリ76および2個以上の下ガイドプーリ78を含む。これら上ガイドプーリ76はそれぞれ、本実施例では、Vプーリとされ、ベルト案内部66の基板受け部68の下方の部分に、搬送方向に平行な方向において等間隔に配列され、搬送方向に対して直角で水平な軸線まわりに回転可能に支持されている。
【0017】
また、2個以上の下ガイドプーリ78は、図2に示すように、ベルト案内部66の上ガイドプーリ76より下方であって、搬送方向に平行な方向において、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ76の間にそれぞれ、1個ずつ配置され、搬送方向に直角で水平な軸線まわりに回転可能に支持されている。搬送方向に平行な方向において上ガイドプーリ76と下ガイドプーリ78とが1個ずつ、交互に配置されているのであり、3個以上の上ガイドプーリ76は、隣接する2個の上ガイドプーリ76が、下ガイドプーリ78の直径よりやや大きく、それらの間に下ガイドプーリ78を配置することができる距離を隔てて設けられている。本実施例においては、下ガイドプーリ78は平プーリとされている。周回ベルト72は、無端の環状のベルトであり、本実施例では、図4に示すように、横断面形状が概してT字形を成し、図2に示すように、上ガイドプーリ76の1つに上方から巻き掛けられた後、隣接する下ガイドプーリ78に下方から巻き掛けられ、その後、下ガイドプーリ78に隣接する別の上ガイドプーリ76に上方から巻き掛けられている。周回ベルト72の上ガイドプーリ76および下ガイドプーリ78のそれぞれに対する巻掛けの繰り返しにより、周回ベルト72の一部であって、搬送方向に平行な方向において最も隔たった両端の上ガイドプーリ76の間の部分は蛇行する状態とされている。
【0018】
図示は省略するが、周回ベルト72の上記両端の上ガイドプーリ76の間の部分以外の部分は、下ガイドプーリ78より下方において、別の複数のガイドプーリ,テンションプーリおよび駆動プーリに巻き掛けられ、駆動プーリが電動モータを駆動源とする回転駆動装置(図示省略)によって回転させられることにより周回させられる。一対の周回ベルト72は回転駆動装置を共通とし、同時に同方向に周回させられる。これら駆動プーリおよび回転駆動装置がベルト周回装置を構成している。
【0019】
プリント基板32は、図4に示すように、その幅方向の両側縁部80がそれぞれ、一対の周回ベルト72のそれぞれ、3個以上の上ガイドプーリ78に巻き掛けられた部分に載せられ、下方から支持される。プリント基板32の両側縁部80はそれぞれ、一対の周回ベルト72の互いに対向する側の部分である内側部分寄りに載せられ、周回ベルト72が周回させられることにより移動させられる。搬送経路は、一対の周回ベルト72のそれぞれ、3個以上の上ガイドプーリ76に巻き掛けられて、上ガイドプーリ76の上端上に位置し、プリント基板32が接触する3箇所以上の部分を含み、幅を有し、搬送方向に長く、2個以上の下ガイドプーリ78はそれぞれ搬送経路より下方に位置し、本実施例では、図2に示すように、周回ベルト72が、下ガイドプーリ78に案内されて搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域82が2つ以上設けられている。基板受け部68は、搬送経路に沿って連続して設けられ、全部の下方通過領域82の上方に位置し、周回ベルト82の上ガイドプーリ78に巻き掛けられた部分に対しては、図2および図4に示すように、プリント基板の厚さより大きい距離を隔てて対向させられている。
【0020】
前記コンベヤレール62のベルト案内部66の上記2つ以上の下方通過領域82の各々に対応する箇所にはそれぞれ、図2および図3に示すように、下ガイドプーリ78の上方に案内部材としてのガイドブロック86が設けられている。これらガイドブロック86はそれぞれ、3個以上の上ガイドプーリ76の互いに隣接する2つずつの間であって、搬送方向に平行な方向において周回ベルト72が存在しない箇所に設けられているのであり、図2および図4に示すように、ベルト案内部66の前記基板受け部68の直下の部分から上ガイドプーリ76の上端を超え、搬送経路より下側に至る状態で設けられている。ガイドブロック86は、図3および図4に示すように、ガイドプーリ76,78の回転軸線に平行な方向において、周回ベルト72の幅方向の中央近傍に対応する位置まで突出させられ、その突出端面が鉛直な案内面88を構成し、プリント基板32の側縁部80の側面90を、周回ベルト72が存在せず、側縁部80が周回ベルト72により支持されていない非支持部分において案内する。また、図2および図3に示すように、案内面88の搬送方向に平行な方向の両端部はそれぞれ、搬送経路に対して傾斜させられ、互いに遠ざかるほどベルト案内部66に接近し、案内面88から離れる向きに傾斜させられた傾斜面92とされている。なお、図3においてコンベヤレール62は、基板受け部68が除かれた状態が図示されている。
【0021】
2つ以上の下方通過領域82の各々にはまた、図2および図5に示すように、縁部支持部材としての押付部材100が上昇位置と下降位置とに昇降可能に配設され、縁部支持部材昇降装置としての押付部材昇降装置102により上昇位置と下降位置との間で昇降させられる。押付部材100は棒状を成し、押付部材昇降装置102の可動部材としてのスライダ104に昇降可能に保持されている。スライダ104は、図5に示すように、側面形状がコの字形を成し、コの字の一方の腕部により構成される保持部106と、他方の腕部107およびその腕部107に取り付けられたアジャストボルト108により構成される被駆動部109と、保持部106と被駆動部109とを連結する連結部110とを備えている。
【0022】
ベルト案内部66の外側面には、図5に示すように、保持部材112が固定され、ベルト案内部66との間に上下方向に貫通する嵌合孔113が形成されており、スライダ104の連結部110は嵌合孔113に昇降可能に嵌合され、コンベヤレール62の外側に配設されている。保持部106および被駆動部109(詳細には腕部107)はそれぞれ、ベルト案内部66を厚さ方向に貫通して設けられた開口114,116を通り、コンベヤレール62の内側へ突入させられている。保持部106はさらに、ガイドブロック86を厚さ方向に貫通して設けられた開口117を通ってガイドブロック86から、下ガイドプーリ78の上方であって、上ガイドプーリ76の上端より下方の位置へ突入させられ、被駆動部109は下ガイドプーリ78の下方の位置へ突入させられている。スライダ104は、連結部110とコンベヤレール62との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての引張コイルスプリング118により下方へ付勢されている。このスプリング118の付勢によるスライダ104の下降限度は、腕部107が開口116の下側の端面に当接することにより規定される。開口117は、図2および図5に示すように、ガイドブロック86の、搬送経路より下側の部分に設けられ、案内面88のプリント基板32の側面90を案内する部分より下側に設けられている。そのため、案内面88が開口117によって分断されることがなく、搬送方向において連続した面により側面90を案内する。
【0023】
前記押付部材100は、図2,図3および図5に示すように、保持部106のガイドブロック86からコンベヤレール62の内側への突入端部であって、搬送方向と直角な方向において周回ベルト72の配設領域に位置し、基板受け部68と対向する部分に昇降可能に嵌合されるとともに、保持部106との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング122により、上方であって、保持部106および被駆動部109から離間する向きに付勢されている。このスプリング122の付勢による押付部材100の移動限度は、押付部材100の頭部124が保持部106に当接することにより規定される。押付部材100は、スライダ104がスプリング118の付勢による下降限度を規定された位置に位置する状態において下降位置に位置し、周回ベルト72により支持されたプリント基板32のやや下側に位置する。この状態では、押付部材100の頭部124が保持部106に当接し、押付部材100は保持部106から最も突出した状態にある。
【0024】
また、腕部107のコンベヤレール62の内側への突入端部に、図5に示すように、前記アジャストボルト108が上下方向に螺合され、その腕部107から下方への突出端部には、ねじ部より大径の頭部により構成される係合部130が設けられている。アジャストボルト108の腕部107に対する上下方向の位置を調節することにより、被駆動部109の上下方向の位置が変えられ、被駆動部109(詳細には係合部130)と押付部材100との相対位置が調節される。本実施例では、アジャストボルト108が調節装置を構成している。
【0025】
一対の周回ベルト72の間であって、部品装着領域へ搬入されて停止させられた前記プリント基板32の搬送方向における中間部に対応する位置には、図4および図5に示すように、中間部支持装置140および中間部支持装置昇降装置142が設けられている。中間部支持装置140は基板支持装置であり、支持部材としての複数の基板支持ピン144および支持部材支持板としてのピン支持板146を含み、プリント基板32の両側縁部80の間の部分である中間部147を下方から支持する。基板支持ピン144は、例えば、その底面に永久磁石を保持するものとされ、ピン支持板146は、少なくとも、その上面であって、基板支持ピン144を支持するピン支持面148が磁性材料製とされ、ピン支持面148の任意の位置に基板支持ピン144が磁力によって着脱可能に固定され、基板支持ピン144は、その先端面である基板支持面150においてプリント基板32を下方から支持する。
【0026】
中間部支持装置昇降装置142は、図4に示すように、昇降台154および昇降台駆動装置156を含む。昇降台駆動装置156は、例えば、駆動源たるエンコーダ付サーボモータ158と、そのサーボモータの回転を昇降台154の昇降に変換する運動変換機構としてのボールねじ機構160とを含み、案内装置(図示省略)に案内させつつ、昇降台154を上下方向において任意の位置へ移動させる。ボールねじ機構160は、例えば、昇降台154に上下方向に固定された送りねじとしてのボールねじ(図示省略)と、そのボールねじに螺合され、サーボモータ158により回転させられるナット(図示省略)とを含む。
【0027】
ピン支持板146は、昇降台154に着脱可能に固定され、中間部支持装置140は、昇降台154の昇降により、上昇位置と下降位置との間で昇降させられる。上昇位置は、基板支持ピン144の基板支持面150が、前記基板受け部68の下面より、プリント基板32の厚さに等しい距離、下方に位置する位置であり、中間部支持装置140は、サーボモータ158の駆動量の制御により上昇位置へ移動させられる。下降位置は、図5に示すように、基板支持ピン144の基板支持面150が、下降位置に位置する押付部材100より下方に位置し、ピン支持板146がアジャストボルト108の係合部130より下方に位置する位置であって、ピン支持板146と係合部130との距離が、基板支持面150と押付部材100の上面である押付面162との距離よりやや短い距離となる位置である。中間部支持装置140は、例えば、図示を省略するストッパにより下降位置に位置決めされるが、係合部130の位置の調節により、ピン支持板146と係合部130との間に所定の距離が得られる。また、ピン支持板146は、図5に示すように、昇降台154に固定され、支持された状態において、搬送方向と直角な方向において、一対のコンベヤレール62についてそれぞれ設けられた2つ以上のアジャストボルト108の各係合部130と対向する幅を有する。基板支持ピン144は、ピン支持板146の、一対のコンベヤレール62にそれぞれ取り付けられたガイドプーリ76,78の間の部分のうち、プリント基板32の中間部147の基板支持ピン144により支持される被支持箇所に対応する位置に取り付けられている。
【0028】
以上のように構成された電子回路部品装着システムにおいて、プリント基板32への電子回路部品の装着時には、プリント基板32が基板搬送コンベヤ10により搬送されて部品装着領域に搬入される。プリント基板32は、その両側縁部80がそれぞれ、一対の周回ベルト72の上ガイドプーリ76に巻き掛けられた部分の上に載せられ、搬送方向に平行な方向に隔たった3箇所以上を周回ベルト72により支持され、周回ベルト72が周回させられることにより直線的に搬送される。この際、プリント基板32は、図2,図3および図5に示すように、両側縁部80の各側面90をそれぞれ、複数個のガイドブロック86の各案内面88により案内される。両側縁部80はそれぞれ、周回ベルト72の幅方向の一部であって、内側寄りの部分によって支持され、周回ベルト72により支持される被支持部の幅が狭くて済むとともに、搬送方向と直角な方向において周回ベルト72の幅方向の中央近傍に対応する位置に位置する案内面88により案内され、搬送方向に平行な姿勢を保って搬送される。ガイドブロック86は搬送方向において周回ベルト72が存在しない下方通過領域82に設けられ、側縁部80の案内部材と周回ベルトとの間の隙間への噛込みの問題を生じることなく、プリント基板32が安定して搬送される。
【0029】
一対のコンベヤレール62の各ベルト案内部66にそれぞれ設けられた2個以上のガイドブロック86はそれぞれ、図2および図3に示すように、下方通過領域82に設けられ、搬送方向に平行な方向において間隔をあけて設けられており、プリント基板32の側面90は、案内面88により部分的に案内される。プリント基板32の搬送方向において下流側の端部は、ガイドブロック86が設けられていない部分から、ガイドブロック86が設けられた部分に至る際、案内面88より外側(ベルト案内部66側)へ外れていることがあっても、傾斜面92の傾斜により案内面88へ導かれ、案内面88により案内される状態とされる。傾斜面92はプリント基板32を案内面88へ案内する案内面である。また、下方通過領域82に設けられたガイドブロック86は、周回ベルト72が存在しない箇所において側面90を案内し、周回ベルト72の内側寄りの部分において支持された側縁部80の側面90を、部品装着面側から、周回ベルト72により支持される被支持面側まで、周回ベルト72と干渉することなく案内することができる。
【0030】
プリント基板32の搬送時には、中間部支持装置140は、図5に示すように、下降位置に位置し、ピン支持板146は係合部130から離れ、押付部材100は下降位置に位置し、周回ベルト72により支持されて搬送されるプリント基板32よりやや下方に位置する。プリント基板32が部品装着領域へ搬送され、停止装置(図示省略)により停止させられたならば、中間部支持装置140が上昇させられる。この上昇の途中で、図6(a)に、一対のコンベヤレール62のうちの一方を示すように、ピン支持板146が、搬送方向に平行に並ぶ複数の係合部130に当接し、その状態から更にピン支持板146が上昇させられることにより、それら係合部130が一斉に中間部支持装置昇降装置142の駆動力を受け、図6(b)に複数のスライダ104の1つを示すように、スプリング118の付勢力に抗して押し上げられるとともに、スライダ104に保持された押付部材100が上昇させられる。押付部材100には、スプリング122を介して被駆動部109の上昇運動が伝達され、スライダ104と一体的に上昇し、プリント基板32に当接させられる。
【0031】
ピン支持板146が下降位置に位置する状態において、ピン支持板146と係合部130との距離は、押付部材100の押付面162と基板支持ピン144の基板支持面150との距離よりやや短くされており、ピン支持板146が係合部130に当接した状態では、基板支持面150は押付面162より下方に位置し、押付部材100がプリント基板32に当接させられた状態では、基板支持面150は、まだプリント基板32に当接させられない。そして、更にピン支持板146が上昇させられることにより、押付部材100は、スプリング122の付勢により保持部106に対して上方への突出端位置に位置したままの状態でプリント基板32を下方から支持して上昇し、図6(c)に示すように、周回ベルト72から持ち上げて基板受け部68に当接させる。その状態から更にピン支持板146が上昇させられ、予め設定された上昇位置へ到達すれば、図6(d)に示すように、基板支持ピン144の基板支持面150がプリント基板32を平面状に水平に支持した状態が得られる。押付部材100がプリント基板32を基板受け部68に当接させた後は、押付部材100の上昇が基板受け部68により阻止されるが、その後、ピン支持板146が上昇させられるとき、被駆動部109の上昇はスプリング122の圧縮により吸収され、被駆動部109および中間部支持装置140の上昇が許容される。本実施例においては、中間部支持装置昇降装置142が押付部材駆動装置を兼ね、スライダ104等と共に押付部材昇降装置102を構成している。また、スプリング122が弾性変形部を構成し、保持部106および被駆動部109と共に伝達装置を構成している。押付部材100は、スプリング122の付勢力によりプリント基板32の両側縁部80を基板受け部68に押し付け、基板受け部68と共同して両側縁部80を上下両側から挟んで保持する。押付部材100は、搬送方向と直角な幅方向において周回ベルト72が配設された領域に設けられているが、搬送方向に平行な方向において、周回ベルト72が搬送経路に存在しない下方通過領域82に設けられており、プリント基板32の周回ベルト72により支持される側縁部80を基板受け部68と共同して保持し、プリント基板32を固定することができる。また、基板支持ピン144は、プリント基板32の中間部147を支持する。本実施例においては、複数の押付部材100および基板受け部68が、プリント基板32の両側縁部80を上下両側から挟んで保持し、固定する基板保持装置ないし基板固定装置を構成している。
【0032】
このように押付部材100と基板受け部68とによって両側縁部80が保持されるとともに、中間部147が基板支持ピン144により下方から支持されたプリント基板32に装着装置16によって電子回路部品が装着される。電子回路部品の装着終了後、中間部支持装置140が下降させられ、基板支持ピン144が中間部147から離間させられる。また、スライダ104はスプリング118の付勢により、ピン支持板146の下降に追従して下降させられ、中間部支持装置140が下降位置へ下降させられた状態では、プリント基板32が両側縁部80をそれぞれ、周回ベルト72により支持され、押付部材100がスプリング122の付勢により頭部124が保持部106に当接させられ、突出端位置に位置させられるとともに、プリント基板32から離間させられて下降位置に位置する状態となる。その後、一対の周回ベルト72が周回させられ、プリント基板32が部品装着領域から搬出される。
【0033】
別の実施例である基板搬送コンベヤを図7〜図13に基づいて説明する。本実施例の基板搬送コンベヤは、対基板作業システムないし対基板作業機の一種である基板スクリーン印刷機に設けられている。本スクリーン印刷機は、図7および図8に示すように、作業機本体たる印刷機本体としてのフレーム200,プリント基板搬送装置202,基板位置調節装置204(図9参照),スクリーンマスク支持装置206,スキージ装置208,撮像装置210,基板停止位置規定装置212および制御装置214等を含む。
【0034】
スクリーンマスク支持装置206は、図7に示すように、スクリーンマスク(以後、マスクと略称する)220を水平に保持するものとされている。また、スキージ装置208は、本スクリーン印刷機では、解放型とされており、図7に示すように、作業ヘッドたる1対のスキージヘッド222(図1には1つのみ図示されている),それらスキージヘッド222をそれぞれ昇降させ、スキージ224をマスク220に接触,離間させる接触・離間装置たるスキージ昇降装置226と、一対のスキージヘッド222をマスク220に平行な方向に移動させ、マスク220上に載せられたクリーム状はんだをマスク220に沿ってスキージ224に移動させるスキージ移動装置228を含む。スキージ昇降装置226は、マスク220とスキージ224とを、マスク220に直角な方向に相対移動させる相対移動装置であり、スキージ移動装置228は、マスク220とスキージ224とを、マスク220に平行な方向に相対移動させる相対移動装置であり、スキージヘッド222とプリント基板とを相対移動させる相対移動装置である。
【0035】
撮像装置210は基準マークカメラを備え、撮像装置移動装置230により、スクリーンマスク支持装置206に支持されたマスク220に平行な平面であって、水平面内において互いに直交する2方向であるX軸方向およびY軸方向に移動させられ、マスク220およびプリント基板232にそれぞれ設けられた基準マーク(図示省略)を撮像する。撮像装置移動装置230はまた、基板停止位置規定装置212を移動させ、プリント基板搬送装置202により搬送されるプリント基板232を所定の位置に停止させる。これら撮像装置210,基板停止位置規定装置212および撮像装置移動装置230は、特開2007−38456公報に記載の撮像装置等と同様に構成されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0036】
プリント基板搬送装置202は、本実施例においては、図8に示すように、それぞれ基板搬送コンベヤとしての搬入コンベヤ240,メインコンベヤ242および搬出コンベヤ244を含む。これらコンベヤ240,242,244はそれぞれ、ベルトコンベヤとされ、1列に並んで設けられ、プリント基板232を、その板面である作業面たるはんだ印刷面が水平となる姿勢で、はんだ印刷面に平行な方向であって水平方向に搬送する。前記X軸方向は搬送方向に平行な方向であり、前記Y軸方向は、プリント基板搬送装置202により搬送されるプリント基板232のはんだ印刷面に平行な平面であって、水平面内において搬送方向に直角な方向であり、プリント基板232の幅方向とする。プリント基板搬送装置202については、後に詳細に説明する。
【0037】
メインコンベヤ242は、図8に示すように、フレーム200の前記スクリーンマスク支持装置206およびスキージ装置208の下方に設けられ、相対移動装置の一種である接近・離間装置たる昇降装置254(図9参照)により昇降させられ、マスク220に接近,離間させられる。メインコンベヤ242は、基板位置調節装置204によりX軸方向,Y軸方向に移動させられるとともに、X軸方向およびY軸方向と直交するZ軸方向に平行な軸線であって鉛直な軸線まわりに回転させられ、次に説明する基板固定装置により保持されたプリント基板232とスクリーンマスク支持装置206により支持されたマスク220との位置が調節される。本基板位置調節装置206は、特開2007−38456公報に記載の基板位置調節装置と同様に構成されており、詳細な図示および説明は省略する。
【0038】
本メインコンベヤ242の一部は、特開2006−281712公報に記載の基板保持装置と同様とされており、簡単に説明する。
本メインコンベヤ242は、図9ないし図11に示すように、ベルト案内装置260,押付部材262,縁部支持部材昇降装置たる押付部材昇降装置264,中間部支持装置266,中間部支持装置昇降装置268,基板固定装置270および受け装置272を含む。受け装置272は、図9に示すように、1対の受け部材274と、それら受け部材274をそれぞれ移動させる受け部材移動装置276とを含む。受け部材移動装置276は、Y軸方向に移動可能に設けられた移動部材278と、移動部材278を移動させる移動部材移動装置279とを含み、受け部材274は移動部材278上に、移動部材278に対して昇降可能に設けられるとともに、付勢装置の一種である弾性部材としての引張コイルスプリング280により下方へ付勢されている。このスプリング280の付勢による受け部材274の下降限度は、受け部材274に螺合された調節装置としてのアジャストボルト282が移動部材278に当接することにより規定される。受け部材274は、その上端部に、搬送方向に平行な方向に長く、受け部材274から、対向する受け部材274側である内側へ水平に延び出させられた受け部284を備えている。
【0039】
基板固定装置270は、図9に示すように、1対のクランプ部材290を含み、基板固定装置昇降装置294により、受け装置272に対して昇降させられる。基板固定装置昇降装置294は、昇降部材としての昇降台296および昇降台駆動装置298を含む。基板固定装置270の一対のクランプ部材290は、搬送方向に平行な方向に長く、それらのうちの一方は昇降台296に固定して設けられた固定クランプ部材290とされ、他方は可動クランプ部材290とされ、間隔変更装置302により、Y軸方向であって、プリント基板232の幅方向の任意の位置へ移動させられる。それにより、可動クランプ部材290が固定クランプ部材290に接近,離間させられ、後述するように、一対のクランプ部材290によりそれぞれ保持される一対の周回ベルトの間隔がプリント基板232の寸法に応じた大きさに変更される。可動クランプ部材290はまた、クランプ部材移動装置304により、間隔変更方向と同じ方向である固定方向に移動させられ、プリント基板232を保持,解放する。間隔変更装置302は、クランプ部材移動用モータ306を駆動源とし、クランプ部材移動装置304は、例えば、流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダたるエアシリンダであって、単動のエアシリンダにより構成される。
【0040】
1対のクランプ部材290の互いに対向する側である内側にはそれぞれ、図10に固定クランプ部材290について示すように、前記ベルト案内装置260が保持され、それぞれ周回ベルト310を案内する。これらベルト案内装置260は同様に構成されており、固定クランプ部材290のベルト案内装置260を代表的に説明する。
【0041】
固定クランプ部材290は門形を成し、搬送方向に平行に延びる板状のベルト案内部312を有する。ベルト案内部312は、図9に示すように、板面が鉛直に、かつ上端が前記受け部材274の受け部284より下方に位置する状態で設けられ、その鉛直な板面にベルト案内装置260が設けられている。ベルト案内装置260は、前記ベルト案内装置70の3個以上の上ガイドプーリ76および2個以上の下ガイドプーリ78と同様に配置された3個以上の上ガイドプーリ314および2個以上の下ガイドプーリ316を有している。これら上ガイドプーリ314は、固定クランプ部材290の上端から、プリント基板232の厚さより大きい距離下側の位置に設けられ、2個以上の下ガイドプーリ316は、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ314の間の部分であって、上ガイドプーリ314より下側の部分にそれぞれ1個ずつ配置され、周回ベルト310は上ガイドプーリ314に上方から巻き掛けられ、下ガイドプーリ316に下方から巻き掛けられ、図10に示すように、搬送方向に平行な方向において、両端に位置する上ガイドプーリ314の間の部分は蛇行する状態とされている。周回ベルト310は、前記周回ベルト72と同様に、図示を省略するベルト周回装置により周回させられ、プリント基板232が直線的な搬送経路に沿って搬送される。本実施例においては、一対のクランプ部材290がそれぞれ、コンベヤレールとしても機能し、基板搬送コンベヤの装置本体317を構成している。クランプ部材とコンベヤレールとが一体的に設けられていると考えることもできる。
【0042】
プリント基板232の側縁部318は、図9に示すように、周回ベルト310の内側寄りの部分に載せられ、支持される。また、隣接する2個ずつの上ガイドプーリ314の間の部分にそれぞれ、下方通過領域320(図10参照)が設けられるとともに、2つ以上の下方通過領域320にそれぞれ、案内部材としてのガイドブロック322が設けられている。ガイドブロック322は前記ガイドブロック86と同様に構成され、図9および図10に示すように、その上面は固定クランプ部材290の上面と同一平面内に位置させられ、上ガイドプーリ314の上端を下方へ超え、搬送経路より下側に至る状態で設けられている。ガイドブロック322は、ガイドプーリ314,316の回転軸線に平行な方向において周回ベルト310の幅方向の中央近傍に対応する位置まで突出させられた鉛直な案内面324および案内面324の両側に設けられた一対の傾斜面326を有し、案内面324は、前記案内面88と同様に、プリント基板232の側縁部318の周回ベルト310により支持された部分の間の部分であって、周回ベルト310により支持されていない非支持部分において側面328を案内する。
【0043】
下方通過領域320にはさらに、図10および図11に示すように、前記押付部材262が上昇位置と下降位置とに昇降可能に配設され、前記押付部材昇降装置264により昇降させられる。押付部材262および押付部材昇降装置264は、押付部材262が縁部支持部材昇降装置の可動部材たるスライダの保持部に固定して設けられていることを除いて、前記押付部材100および押付部材昇降装置102と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0044】
押付部材昇降装置264の可動部材たるスライダ104の保持部106は、ガイドブロック322に形成された開口117を通ってガイドブロック322から固定クランプ部材290の内側へ突入させられ、その突入端部であって、搬送方向と直角な方向において周回ベルト310の配設領域に位置する部分に、押付部材262が上下方向に延び、保持部106から上方へ突出する状態で固定されている。押付部材262は、スライダ104がスプリング118により付勢され、腕部107が開口116の下側の端面に当接した状態において下降位置に位置し、その上面である側縁部支持面344が、周回ベルト310により支持されたプリント基板232よりやや下側に位置させられる。
【0045】
前記基板固定装置昇降装置294の昇降台296には、図9に示すように、前記中間部支持装置266および中間部支持装置昇降装置268が設けられている。これら中間部支持装置266および中間部支持装置昇降装置268は、一対のクランプ部材290の間のプリント基板232の搬送方向における中間部に対応する位置に設けられているのであり、基板固定装置昇降装置294により、基板固定装置270と共に昇降させられる。中間部支持装置266は、複数の基板支持部材としての基板支持ピン350と、ピン支持板352とを含む。これら基板支持ピン350は、例えば、特開平11−195899号公報に記載の基板支持ピンと同様に構成され、板状のピン支持台の長手方向の一端部に立設され、ピン支持台が、ピン支持板352のピン支持面353に開口して設けられた複数の雌ねじ穴(図示省略)の1つにボルト350によって固定されることにより、基板支持ピン350がピン支持板352に着脱可能に固定され、基板支持ピン350の先端面である基板支持面354を雌ねじ穴を囲む円環状の領域内の任意の位置に位置決め可能である。
【0046】
中間部支持装置昇降装置268は、図9に示すように、可動部材としての昇降台356および昇降台駆動装置358を含み、昇降台356にピン支持板352が着脱可能に取り付けられる。昇降台駆動装置358は、前記基板固定装置昇降装置294の昇降台296に保持された昇降台昇降用モータ360,ボールねじ362およびナット364を含み、昇降台356を昇降台296に対して上下方向の任意の位置へ昇降させ、昇降台356上に設けられた中間部支持装置266を基板固定装置270に対して昇降させ、上昇位置と下降位置とに昇降させる。
【0047】
中間部支持装置266の上昇位置は、押付部材262がプリント基板232の側縁部318を前記受け部材274の受け部284に押し付けた状態となる位置であり、下降位置は、基板支持ピン350の基板支持面354が、下降位置に位置する押付部材262より下方に位置し、その押付部材262の側縁部支持面344と基板支持面354との間の距離が、ピン支持板352のピン支持面353とアジャストボルト108の係合部130との距離と等しくなる位置である。ピン支持面353と係合部130との間の距離は、アジャストボルト108の腕部107に対する螺合位置の調節により、側縁部支持面344と基板支持面354との距離と等しくなるように正確に調節される。
【0048】
前記搬入コンベヤ240および搬出コンベヤ244はそれぞれ、プリント基板232を搬送する機能は有するが、支持し、固定する機能は有さず、一対のコンベヤレール,ベルト案内装置260およびガイドブロック322を有するが、昇降装置254,押付部材262,押付部材昇降装置264,中間部支持装置266,中間部支持装置昇降装置268,基板固定装置270および受け装置272を有さないものとされている。
【0049】
本スクリーン印刷機においてプリント基板232は、その両側縁部318をそれぞれ、一対の周回ベルト310上に載せられ、周回ベルト310が周回させられることにより、側面328をガイドブロック322の案内面324により案内されつつ、直線状の搬送経路に沿って搬送される。ガイドブロック322は下方通過領域320に設けられ、周回ベルト310がない箇所においてプリント基板232を案内するため、案内面324は、周回ベルト310の内側寄りの部分に位置させられているが、側縁部318の側面328を、はんだ印刷面側から周回ベルト310により支持される被支持面側まで、周回ベルト310と干渉することなく、案内することができ、案内部材と周回ベルトとの間への側縁部318の噛込みの問題を生じることなく、プリント基板232がスムーズに搬送される。コンベヤ240,242,244のいずれにおいても同様である。
【0050】
プリント基板232が搬入コンベヤ240からメインコンベヤ242に搬入され、基板停止位置規定装置212により所定の位置に停止させられたならば、プリント基板232が基板固定装置270により側方から固定されるとともに、押付部材262および基板支持ピン350により下方から支持される。この固定および支持に受け装置272が利用されるが、それについては特開2006−281712公報に記載されており、簡単に説明する。
【0051】
受け装置272の一対の受け部材274は、基板搬送時には、図9に示すように、クランプ部材290上からプリント基板232の幅方向外方へ退避した位置であって、各受け部284の間に一対のクランプ部材290が隙間なく嵌合される距離を隔てた位置である退避位置に位置させられており、プリント基板232の搬入,停止後、図12(a)に一方のクランプ部材290および受け部材274を示すように、受け部材移動装置276により作用位置へ移動させられ、受け部284の延出端部が、クランプ部材290およびガイドブロック322を超えてガイドブロック322から内側へ突出させられ、押付部材262と対向させられる。
【0052】
この状態でクランプ部材290が基板固定装置昇降装置294により、受け部材274に対して上昇させられ、図12(b)に示すように、クランプ部材290およびガイドブロック322が受け部284に当接させられる。中間部支持装置266は昇降台296に設けられており、基板固定装置270と共に上昇させられ、クランプ部材290およびガイドブロック322が受け部284に当接させられた後、中間部支持装置昇降装置268によりクランプ部材290およびガイドブロック322に対して上昇させられ、図12(c)に示すように、ピン支持板352がアジャストボルト108の係合部130に当接させられる。この状態では、基板支持ピン350の基板支持面354と押付部材262の側縁部支持面344とが同一面内に位置し、その状態から更に中間部支持装置266が上昇させられる。
【0053】
ピン支持板352の上昇により、基板支持ピン350が上昇させられるとともに、スライダ104が押し上げられ、押付部材262が上昇させられ、図12(d)に示すように、基板支持ピン350がプリント基板232の両側縁部318の間の部分である中間部370を支持し、押付部材262が側縁部318を支持して周回ベルト310から持ち上げ、中間部支持装置266が上昇位置へ上昇させられた状態では、押付部材262が側縁部318を受け部284に押し付ける状態となる。下方通過領域320に設けられた押付部材262は、プリント基板232の周回ベルト310により支持される側縁部318を、周回ベルト310と干渉することなく下方から支持することができる。中間部支持装置262は、押付部材262が側縁部318を受け部284にちょうど当接させた状態から更にやや上昇させられるが、この上昇は受け部材274がスプリング280の付勢力に抗して上昇することにより許容され、プリント基板232は受け部284に押し付けられて反りが修正される。また、プリント基板232の作業面であるはんだ印刷面と、クランプ部材290の上面およびガイドブロック322の上面とが同一平面内に位置する状態とされる。
【0054】
このようにプリント基板232の側縁部318が受け部284に押し付けられた後、可動クランプ部材290がクランプ部材移動装置304により固定クランプ部材290に接近する向きに移動させられ、一対のクランプ部材290にそれぞれ設けられた複数ずつのガイドブロック322の各案内面324がプリント基板232を幅方向の両側から挟んで固定する。プリント基板232の搬送時には、プリント基板232の側面328と案内面324との間にはプリント基板232の搬送を許容する隙間があるが、搬送が停止され、プリント基板32にクリーム状はんだが印刷される際には、プリント基板232が一対のクランプ部材290により挟まれて固定されるのである。ガイドブロック322は、基板クランプ部ないし基板固定部でもあり、案内面324は基板クランプ面ないし基板固定面でもある。
【0055】
基板固定後、図13(a)に示すように、基板固定装置270が下降させられ、プリント基板232は、基板固定装置270により固定され、押付部材262および基板支持ピン350によって支持されたままの状態で、一旦、下降させられ、受け部284から離間させられる。離間後、図13(b)に示すように、受け部材274が退避位置へ退避させられ、退避後、図13(c)に示すように、基板固定装置270が基板固定装置上昇装置294により上昇させられ、プリント基板232,クランプ部材290およびガイドブロック322が、一対の受け部284の間に嵌合され、各上面が受け部284の上面と隙間なく同一平面内に位置させられる。プリント基板232は、その姿勢を修正された状態で基板固定装置70により固定されるため、受け部284が退避させられ、受け部284により受けられなくても、真っ直ぐな状態に保たれるとともに、両側縁部318をそれぞれ複数ずつの押付部材262により下方から支持され、中間部を複数の基板支持ピン350により下方から支持される。このように受け部材274が退避位置へ退避させられた後は、押付部材262は側縁部318を単に下方から支持する支持部材として機能することとなる。
【0056】
そして、撮像装置210によるマスク220およびプリント基板232にそれぞれ設けられた基準マークの撮像,基板位置調節装置204によるマスク220とプリント基板232との位置ずれの修正の後、メインコンベヤ242全体が昇降装置254により上昇させられ、図13(d)に示すように、受け部284,クランプ部材290,ガイドブロック322およびプリント基板232がマスク220に接触させられる。接触後、スキージ224がスキージ移動装置228により移動させられ、クリーム状はんだをマスク220の貫通孔に押し込み、プリント基板232に印刷する。
【0057】
スキージ224は、マスク220の受け部284が接触させられた部分に接触させられ、その後、マスク220に沿って移動させられ、プリント基板232の側縁部318上もクリーム状はんだを移動させつつ移動するが、側縁部318は、スライダ104に固定された押付部材262によって下方から支持されており、スキージ224のマスク220に対する接触力を受けることができる。そのため、側縁部318にもクリーム状はんだを印刷することができるとともに、側縁部318から始まるプリント基板232へのクリーム状はんだの印刷開始時に、スキージ224のマスク220への接触力を検出装置により正確に検出することができ、その検出結果に基づいて接触力を制御し、プリント基板232全体についてクリーム状はんだの印刷を品質高く行うことができる。
【0058】
印刷終了後、基板固定装置270が小距離下降させられ、プリント基板232がマスク220から離間させられる。次いで、基板固定装置270が下降させられるとともに、昇降装置254によりメインコンベヤ242全体が下降させられる。この下降の途中で、可動クランプ部材290がクランプ部材移動装置304により、固定クランプ部材290から離れる向きに移動させられ、一対のクランプ部材290によるプリント基板232の固定が解除され、メインコンベヤ242全体が下降端位置へ下降させられた後、中間部支持装置262が下降させられ、プリント基板232が周回ベルト310により支持され、搬出される。
【0059】
プリント基板の両側縁部はそれぞれ、縁部支持部材によって負圧により吸着されて保持されてもよい。その実施例である基板搬送コンベヤを図14〜図16に基づいて説明する。本実施例の基板搬送コンベヤはスクリーン印刷機に設けられている。このスクリーン印刷機は、プリント基板の両側縁部がそれぞれ、縁部支持部材により負圧によって吸着されることを除いて図7〜図13に示すスクリーン印刷機と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0060】
本実施例の基板搬送コンベヤにおいて縁部支持部材500は、図15に示すように、横断面形状が矩形を成し、図15および図16に示すように、スライダ104の保持部106の、クランプ部材290の内側への突出端部に上方へ突出する向きに固定して設けられ、スライダ104と共に昇降させられる。縁部支持部材500の上面が、その昇降方向に直角で上向きの縁部支持面502を構成している。縁部支持部材500内には、少なくとも1つ、本実施例では、2つの負圧供給通路504が設けられている。これら負圧供給通路504は、上下方向に延びるとともに、搬送方向に平行な方向に並び、1つの列を成す状態で設けられ、各一端は縁部支持面502に開口させられている。2つの負圧供給通路504の各他端は、共通の通路506等を介して負圧源たる負圧ポンプ508に接続され、負圧が供給される。負圧ポンプ508から複数の縁部支持部材500の各負圧供給通路504へ負圧が一斉に供給されるが、その供給は、例えば、負圧ポンプ508に接続された通路の途中に設けられた制御弁装置たる電磁弁装置、例えば、電磁方向切換弁の切換えにより制御され、プリント基板232の保持時に負圧が供給され、保持が不要になった状態では負圧の供給が遮断されるとともに大気に開放され、プリント基板232が解放されるようにされる。これら負圧供給通路504は負圧供給部を構成し、縁部支持面502は縁部吸着部たる縁部吸着面を構成している。
【0061】
一対のクランプ部材290にそれぞれ設けられた複数ずつの縁部支持部材500はそれぞれ、前記押付部材262と同様に、中間部支持装置266の上昇に伴って上昇させられ、プリント基板232の側縁部318を受け部材274の受け部284に押し付ける。それによりプリント基板232の反りが修正された状態で、複数の縁部支持部材500の各2本ずつの負圧供給通路504に負圧が供給され、縁部支持面502に負圧が導かれて、負圧供給通路504の縁部支持面502への開口に負圧が供給され、側縁部318が縁部支持面502に吸着され、密着させられて保持される。その状態で可動クランプ部材290が固定クランプ部材290側へ移動させられ、プリント基板232を幅方向の両側から挟み、プリント基板232は反りを修正された状態を保って基板固定装置270により固定される。
【0062】
このようにプリント基板232が基板固定装置270によって固定された後、受け部材274は退避位置へ退避させられるが、プリント基板232は、その両側縁部318がそれぞれ、複数ずつの縁部支持部材500によって吸着され、保持されているため、修正された反りが元に戻ることがなく、確実に平らな状態に保たれる。縁部支持部材500は、縁部保持部材でもあり、側縁部318を受け部284に押し付ける際には押付部材でもある。プリント基板232は、クリーム状はんだの印刷が終了するまで縁部支持部材500により吸着された状態に保たれ、印刷終了後、プリント基板232がマスク220から離間させられた後、負圧供給通路504への負圧の供給が遮断されるとともに大気に開放され、縁部支持部材500によるプリント基板232の保持が解除される。
【0063】
スクリーン印刷機においてプリント基板は、印刷時にも、その両側縁部が押付部材によって受け部材に押し付けられたままの状態とされてもよい。その実施例であるスクリーン印刷機を説明する。
本実施例のスクリーン印刷機は、図7〜図13に示すスクリーン印刷機と同様に、作業機本体たる印刷機本体としてのフレーム,プリント基板搬送装置,基板位置調節装置,スクリーンマスク支持装置,スキージ装置,撮像装置,基板停止位置規定装置および制御装置等を含む。これらフレーム等は、プリント基板搬送装置のメインコンベヤを除いて、前記フレーム200等と同様に構成されている。プリント基板搬送装置は、前記プリント基板搬送装置202と同様に、搬入コンベヤ,メインコンベヤおよび搬出コンベヤを備えており、メインコンベヤを図面に基づいて説明する。
【0064】
本スクリーン印刷機のメインコンベヤ400は、図17に示すように、基板位置調節装置402上に設けられ、昇降装置404により昇降させられる。メインコンベヤ400は、図17ないし図19に示すように、装置本体406を構成する一対のコンベヤレール408,それらコンベヤレール408の各ベルト案内部410によりそれぞれ支持されたベルト案内装置412,複数のガイドブロック414,押付部材416,押付部材昇降装置418,中間部支持装置420,中間部支持装置昇降装置422および受け部材424を含む。これらコンベヤレール408等は、コンベヤレール408に設けられる受け部材424を除いて図7〜図13に示すベルト案内装置260等と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。なお、中間部支持装置昇降装置422は、モータおよび送りねじ機構を含むことは前記中間部支持装置昇降装置268と同じであるが、図17に示すように、昇降台428および昇降台駆動装置430を備え、送りねじ機構432を構成するナット434が駆動源たる昇降台昇降用モータ436によって回転させられることにより、昇降台428に固定のボールねじ438が昇降させられ、昇降台428が昇降させられて中間部支持装置420が上下方向の任意の位置へ移動させられる。
【0065】
受け部材424は、図17に示すように、一対のコンベヤレール408の各上端に設けられている。受け部材424は、本実施例では厚さが0.1mmの板ばねから成り、その基端部がコンベヤレール408に固定され、搬送方向に平行に延び、図19に示すように、自由端部はコンベヤレール408から内側へ突出させられて押付部材416と対向させられている。コンベヤレール408が板ばね保持部材を構成している。
【0066】
中間部支持装置420等によるプリント基板の支持等には、図17に示す押付部材450および検出装置たるタッチセンサ452が用いられる。これら押付部材450およびタッチセンサ452は、未だ公開されていないが、本出願人の出願に係る特願2006−320838の明細書に記載の押付部材およびタッチセンサと同様に構成されており、簡単に説明する。なお、押付部材450はプリント基板を、プリント基板の上側から押すため、プリント基板を下側から押す押付部材416に対して上側押付部材450と称する。
【0067】
上側押付部材450は、撮像装置移動装置453の移動部材に昇降可能に設けられ、撮像装置移動装置453により、基板支持ピン350の基板支持面354に平行な方向に移動させられ、水平面内の任意の位置へ移動させられる。上側押付部材450は、図20に示すように、複数の押付部ないし接触部455を備え、流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダとしてのエアシリンダ454により昇降させられる。接触部455は、ゴム、例えば、制電ウレタンゴム製とされている。また、エアシリンダ454は、押付部材昇降装置を構成する。正圧源456からエアシリンダ454の2つのエア室への正圧の供給は、電磁制御弁たる電磁方向切換弁458の切換えにより行われ、上側押付部材450は、図20に実線で示すように、前記受け部材424より上方に位置する退避位置と、図20に二点鎖線で示すように、接触部455の下端面ないし先端面である押さえ面,押付面ないし接触面460が、受け部材424の下向きであって、押付部材416と対向する受け面462より下方に位置し、プリント基板464を押さえ、基板支持ピン350に押し付ける押付位置とに移動させられる。エアシリンダ452は付勢手段の一種である弾性部材として機能し、上側のエア室が正圧源456に連通させられる状態では、上側押付部材450を下向きに付勢する。この付勢力の大きさは、エア圧の制御により適切な大きさに調節することができ、例えば、正圧源456に設けられた圧力制御装置(図示省略)によりエア圧が制御される。
【0068】
タッチセンサ452は、上側押付部材450と共に撮像装置移動装置453の移動部材に設けられ、水平面内の任意の位置へ移動させられる。タッチセンサ452は、図20に示すように、センサ本体470および接触子472を備え、上側押付部材450と同心に設けられ、昇降装置たるエアシリンダ474により昇降させられる。エアシリンダ474の2つのエア室への正圧の供給は、電磁方向切換弁476の切換えにより行われ、タッチセンサ452は、図20に実線で示すように、接触子472の下端が前記受け部材424の受け面462より上方に位置する退避位置と、二点鎖線で示すように、接触子472の下端が受け部材424の受け面462と同じ高さの位置に位置する検出位置とに昇降させられる。
【0069】
プリント基板464は、図17に示すように、その両側縁部480がそれぞれ、一対の周回ベルト310の上ガイドプーリ314に巻き掛けられた部分の上に載せられ、周回ベルト310が周回させられることにより、側面482をガイドブロック414の案内面324により案内されつつ搬送される。プリント基板464の搬送時には、図17に示すように、一対のコンベヤレール408によりそれぞれ保持された2つ以上の押付部材416および中間部支持装置420はそれぞれ下降位置に位置させられ、上側押付部材450およびタッチセンサ452は退避位置に位置させられている。押付部材416は下降位置において、その上面である側縁部支持面ないし押付面484が周回ベルト310により支持されたプリント基板464よりやや下側に位置する。中間部支持装置420の下降位置は、本実施例では、ピン支持板352のピン支持面353とスライダ104に設けられたアジャストボルト108の係合部130との距離が、基板支持ピン350の基板支持面354と押付部材416の押付面484との距離と等しくなる位置である。ピン支持面353と係合部130との距離は、アジャストボルト108の腕部107に対する螺合位置の調節により、基板支持面354と押付面484との距離と等しくなるように正確に調節される。
【0070】
プリント基板464の停止後、上側押付部材450およびタッチセンサ452がプリント基板464の中間部の上方であって、中間部支持装置420の上方へ移動させられるとともに、図21(a)に示すように、上側押付部材450は押付位置へ下降させられ、タッチセンサ452は検出位置へ下降させられる。その状態で中間部支持装置420が上昇させられ、基板支持ピン350が上昇させられる。この上昇の途中で、図21(b)に示すように、ピン支持板352が、一対のコンベヤレール408によりそれぞれ保持された複数ずつのアジャストボルト108の係合部130に当接し、複数のスライダ104を一斉に押し上げ、複数の押付部材416を基板支持ピン350と共に上昇させる。この状態では、押付部材416の押付面484と基板支持面354とは高さが同じになり、同一平面内に位置する。
【0071】
プリント基板464に上方へ凸の反りがある場合、図22(a)に示すように、まず、プリント基板464の両側縁部480にそれぞれ、複数の押付部材416が接触し、プリント基板464を周回ベルト310から持ち上げる。それにより、プリント基板464の中間部に上側押付部材450の接触部455が接触してプリント基板464の上昇を阻止し、プリント基板464を押付部材416および基板支持ピン350に向かって押すのに対し、中間部支持装置420が上昇させられ、プリント基板464が押付部材416により押されて反りが矯正される。複数の基板支持ピン350もプリント基板464に接触する状態になれば、プリント基板464は押付部材416および基板支持ピン350と上側押付部材450とによって上下から挟まれて反りが除去され、図22(b)に示すように、真っ直ぐな姿勢に矯正される。上側押付部材450はエアシリンダ454の付勢により、プリント基板464の反りが矯正され、プリント基板464が基板支持ピン350の基板支持面354により支持された状態になるまで押付位置に位置する状態に保たれ、矯正後は、中間部支持装置420の上昇に伴って上側押付部材450が上昇することが許容される。
【0072】
その後、中間部支持装置420は、エアシリンダ454の付勢力に抗して上側押付部材450を後退させつつ上昇させられる。そして、図23に示すように、両側縁部480がそれぞれ受け部材424に当接したとき、タッチセンサ452の接触子472がプリント基板464に接触し、プリント基板464が受け部材424に当接する位置へ到達したことを検出する。この検出に基づいて昇降台駆動装置430が停止させられ、一対の受け部材424はそれぞれ、プリント基板464の両側縁部480を押さえ、押付部材416は側縁部480を受け部材424に押し付け、両側縁部480が受け部材424と押付部材416とにより上下から挟まれて保持される。プリント基板464はまた、複数の基板支持ピン350により下方から支持され、受け部材424と基板支持ピン350とにより上下から挟まれて保持される。押付部材416は、下方通過領域320に設けられ、搬送方向において周回ベルト310が存在しない箇所に設けられており、プリント基板464の周回ベルト310により支持される側縁部480を下方から支持し、受け部材424に押し付けて保持することができる。
【0073】
タッチセンサ452は、プリント基板464が受け部材424に当接する位置へ到達し、接触子472がプリント基板464の上面に接触した瞬間にその接触を検知し、その検知に基づいて制御装置により昇降台駆動装置430の作動が直ちに停止させられ、中間部支持装置420の上昇が直ちに停止させられる。そのため、薄い受け部材424やプリント基板464が破損させられたりする恐れなく、プリント基板464を、その上面が予め設定された位置に位置する高さへ上昇させ、基板支持ピン350により支持されることができる。
【0074】
タッチセンサ452によるプリント基板464の上面の検出から中間部支持装置420の上昇停止までの時間は極く短いが、その間、押付部材416が受け部材424により上昇を阻止されるのに対し、中間部支持装置420が僅かに上昇する。この上昇は、板ばねから成る受け部材424の弾性変形により許容され、両側縁部480はそれぞれ、受け部材424の自由端部と複数の押付部材416との共同により、上下両側から弾性的に挟まれて保持される。また、プリント基板464が受け部材424に接触させられた後の中間部支持装置420の上昇による基板支持ピン350の僅かな上昇は、プリント基板464の撓みにより許容される。
【0075】
このようにプリント基板464が保持された後、上側押付部材450およびタッチセンサ452がそれぞれ退避位置へ上昇させられる。そして、撮像装置が移動させられてプリント基板464およびマスクにそれぞれ設けられた基準マークの撮像,それらの位置ずれの検出および修正後、メインコンベヤ400が昇降装置404により上昇させられてプリント基板464がマスクに接触させられる。プリント基板464は、両側縁部480が受け部材424により押さえられたままの状態でマスクがスキージにより押し付けられてクリーム状はんだが印刷される。そのため、受け部材424の厚さ分、スクリーンとプリント基板464との間に隙間が生じるが、受け部材424の厚さは極く薄く、本実施例では0.1mmとされており、スキージはマスクをプリント基板464に押し付けてマスク上を移動し、マスクの貫通孔を通してプリント基板464にクリーム状はんだを印刷することができる。スキージは、例えば、受け部材424上の位置からマスクに押し付けられる。また、プリント基板464が薄いものであっても、一対の受け部材424によるプリント基板464の両側縁部480の押さえ、さらには受け部材424と押付部材416とによる側縁部480の挟持により、上反りが除去された状態に保たれ、印刷が良好に行われる。
【0076】
クリーム状はんだの印刷後、メインコンベヤ400が昇降装置404により下降させられ、プリント基板464がマスクから離間させられる。メインコンベヤ400が昇降装置404による昇降の下降端位置へ下降させられた後、中間部支持装置420が中間部支持装置昇降装置422により下降させられ、プリント基板464が一対の周回ベルト310上に載置されるとともに、押付部材416および基板支持ピン350がプリント基板464から離間させられ、ピン支持板352がアジャストボルト108の係合部130から離間させられる。そして、プリント基板搬送装置が作動させられ、搬入,メイン,搬出の各コンベヤが作動させられてプリント基板464の搬入,搬出が行われる。
【0077】
なお、下ガイドプーリは、縁部支持部材昇降装置の可動部材の下方に設けてもよい。
【0078】
また、周回ベルトを蛇行状態に案内するベルト案内装置を備えた基板搬送コンベヤにおいて、案内部材を周回ベルトの外側に設け、プリント基板の側縁部の側面を案内させてもよい。この場合、案内部材は、搬送方向に平行な方向において下方通過領域に対応する箇所に設けてもよく、あるいは搬送方向に沿って設け、連続した長い案内面を有するものとしてもよい。案内面は、プリント基板の上方から下方まで連続して延びる状態で設けられることが望ましい。
【0079】
さらに、電子回路部品装着システムにおいてプリント基板を、図7〜図13に示すスクリーン印刷機におけると同様に、基板固定装置により幅方向の両側から挟んで固定し、部品装着時に両側縁部の少なくとも一方が受け部材により受けられず、開放されるようにしてもよい。それにより、例えば、側縁部に電子回路部品を装着することができる。
【0080】
縁部支持部材に負圧を供給し、プリント基板の側縁部を負圧によって吸着させ、保持させることの効果は、作業時に側縁部が受け部材により受けられず、プリント基板が基板固定装置によって固定される場合に最も有効に享受することができるが、それに限らず、図1〜図6に示す電子回路部品装着システムおよび図17〜図23に示すスクリーン印刷機のように、プリント基板の側縁部が受け部材により受けられたままの状態でプリント基板に作業が施される作業機においても、縁部支持部材に負圧供給通路を設け、プリント基板の側縁部が負圧によって吸着され、保持されるようにしてもよい。
また、搬送方向に沿って並ぶ複数の負圧供給通路を含む負圧供給通路列を複数列設けてもよい。
【0081】
さらに、下ガイドプーリの上下両側にそれぞれ位置する保持部および被駆動部と、それら保持部と被駆動部とを連結する連結部とを含む可動部材の連結部は、コンベヤレールの内側に設けてもよい。
【0082】
また、スクリーン印刷機において縁部支持部材昇降装置を、保持部,被駆動部および弾性変形部を備えた伝達装置を含む装置としてもよい。
【0083】
さらに、プリント基板の両側縁部の少なくとも一方の上方に、押付部材を、プリント基板を周回ベルトに押し付ける押付位置とプリント基板を解放する解放位置とに移動可能に設け、移動装置により移動させ、押付位置においてプリント基板を上ガイドプーリと共に上下両側から挟んで保持するようにしてもよい。
【0084】
また、受け部材を縁部支持部材に対して昇降可能に設け、受け部材を受け部材昇降装置により下降させてプリント基板の側縁部を縁部支持部材に押し付け、支持させるようにしてもよい。
さらに、可動部材の保持部に縁部支持部材を流体圧アクチュエータの一種である流体圧シリンダたるエアシリンダを介して保持させ、エアシリンダを付勢装置として機能させ、弾性変形部として機能させてもよい。エアシリンダのピストンロッドそのものを押付部材としてもよい。
【0085】
また、請求可能発明は、電子回路部品装着システム,スクリーン印刷機以外の対基板作業システム、例えば、プリント基板に接着剤を塗布する接着剤塗布機や、プリント基板における電子回路部品の装着状態を検査する装着状態検査機等においてプリント基板を搬送する基板搬送コンベヤに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】請求可能発明の一実施例である基板搬送コンベヤを備えた電子回路部品装着システムを概略的に示す平面図である。
【図2】上記基板搬送コンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図である。
【図3】上記ベルト案内装置の一部を示す平面図(一部断面)である。
【図4】上記基板搬送コンベヤを、プリント基板が周回ベルトにより支持された部分において断面にして示す側面図である。
【図5】上記基板搬送コンベヤを、押付部材および押付部材昇降装置が設けられた部分において断面に示す側面図である。
【図6】上記基板搬送コンベヤにより搬送されるプリント基板の押付部材および基板支持ピンによる支持を説明する図である。
【図7】別の実施例である基板搬送コンベヤを備えたスクリーン印刷機を概略的に示す正面図である。
【図8】図7に示すスクリーン印刷機のプリント基板搬送装置をスクリーン等と共に概略的に示す正面図である。
【図9】図7に示すスクリーン印刷機を示す側面図(一部断面)である。
【図10】図7に示すスクリーン印刷機のプリント基板搬送装置のうち、メインコンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図である。
【図11】図10に示すメインコンベヤを、押付部材および押付部材昇降装置が設けられた部分において断面にして示す側面図である。
【図12】図10に示すメインコンベヤにより搬送されるプリント基板の押付部材および基板支持ピンによる支持,受け部材による受けおよび基板固定装置による固定を説明する図である。
【図13】図10に示すメインコンベヤにより搬送されるプリント基板の押付部材および基板支持ピンによる支持および基板固定装置による固定の後、スクリーンに接触させられてクリーム状はんだの印刷が行われる状態を説明する図である。
【図14】別の実施例である基板搬送コンベヤを備えたスクリーン印刷機のうち、メインコンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図(一部断面)である。
【図15】図14に示すベルト案内装置の一部を示す平面図(一部断面)である。
【図16】図14に示すベルト案内装置を備えた基板コンベヤを、縁部支持部材および縁部支持部材昇降装置が設けられた部分において断面にして示す側面図である。
【図17】更に別の実施例である基板搬送コンベヤを備えたスクリーン印刷機を示す側面図(一部断面)である。
【図18】図17に示すスクリーン印刷機のメインコンベヤのベルト案内装置および周回ベルトの一部を示す正面図である。
【図19】図17に示すメインコンベヤを押付部材および押付部材昇降装置が設けられた部分において断面にして示す側面図である。
【図20】図17に示すメインコンベヤについて設けられた押付部材およびタッチセンサを示す側面図(一部断面)である。
【図21】図17に示すスクリーン印刷機における押付部材および中間部支持装置によるプリント基板の支持を説明する図であり、ピン支持台が係合部に当接させられるまでを説明する図である。
【図22】図17に示すスクリーン印刷機における押付部材および中間部支持装置によるプリント基板の支持を説明する図であり、押付部材および中間部支持装置がプリント基板を上方の押付部材に押し付け、その姿勢を矯正するまでを説明する図である。
【図23】図17に示すスクリーン印刷機における押付部材および中間部支持装置によるプリント基板の支持を説明する図であり、押付部材および中間部支持装置により支持されたプリント基板の側縁部が受け部材により受けられ、保持されるまでを説明する図である。
【符号の説明】
【0087】
10:基板搬送コンベヤ 32:プリント基板 60:装置本体 62:コンベヤレール 70:ベルト案内装置 72:周回ベルト 76:上ガイドプーリ 78:下ガイドプーリ 80:側縁部 82:下方通過領域 86:ガイドブロック 88:案内面 90:側面 100:押付部材 102:押付部材昇降装置 104:スライダ 106:保持部 109:被駆動部 110:連結部 122:圧縮コイルスプリング 130:係合部 140:中間部支持装置 142:中間部支持装置昇降装置 144:基板支持ピン 146:ピン支持台 147:中間部 154:昇降台 202:プリント基板搬送装置 232:プリント基板 240:搬入コンベヤ 242:メインコンベヤ 244:搬出コンベヤ 260:ベルト案内装置 262:押付部材 264:押付部材昇降装置 266:中間部支持装置 268:中間部支持装置昇降装置 270:基板固定装置 272:受け装置 274:受け部材 284:受け部 290:クランプ部材 294:基板固定装置昇降装置 310:周回ベルト 314:上ガイドプーリ 316:下ガイドプーリ 318:側縁部 320:下方通過領域 322:ガイドブロック 324:案内面 328:側面 350:基板支持ピン 352:ピン支持台 356:昇降台 358:昇降台駆動装置 400:メインコンベヤ 406:装置本体 408:コンベヤレール 412:ベルト案内装置 414:ガイドブロック 416:押付部材 418:押付部材昇降装置 420:中間部支持装置 422:中間部支持装置昇降装置 424:受け部材 428:昇降台 464:プリント基板 480:側縁部 482:側面 500:縁部支持部材 502:縁部支持面 504:負圧供給通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板を、そのプリント基板の幅方向の両側縁部を一対の周回ベルトにより支持し、直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤであって、
前記搬送経路に沿って、かつ、互いに間隔をあけて配列された2個以上の上ガイドプーリと、前記搬送経路に平行な方向において互いに隣接する前記上ガイドプーリの2つの間であって、それら上ガイドプーリより下方にそれぞれ配置された1個以上の下ガイドプーリとを含み、前記一対の周回ベルトの一方が、前記上ガイドプーリの1つ以上に上方から巻き掛けられた後、前記下ガイドプーリの1つ以上に下方から巻き掛けられ、その後、前記上ガイドプーリの別の1つ以上に上方から巻き掛けられ、その一方の周回ベルトの一部が蛇行する状態とされたベルト案内装置と、
そのベルト案内装置を支持する装置本体と
を含む基板搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記上ガイドプーリが3個以上設けられ、前記下ガイドプーリが2個以上設けられて、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域が2つ以上設けられた請求項1に記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記一方の周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域にそれぞれ配設され、前記互いに隣接する2つの上ガイドプーリに案内された前記周回ベルトの一方に前記両側縁部の一方が支持されたプリント基板のその一方の側縁部の側面を案内する1個以上の案内部材を含む請求項1または2に記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域に、上昇位置と下降位置とに昇降可能にそれぞれ配設され、前記上昇位置において、前記プリント基板の前記両側縁部の一方を下方から支持する縁部支持部材と、
その縁部支持部材を前記上昇位置と前記下降位置との間で昇降させる縁部支持部材昇降装置と
を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項5】
前記一対の周回ベルトの間であって前記プリント基板の搬送方向における中間部に対応する位置において、上昇位置と下降位置とに昇降可能に設けられ、前記プリント基板の前記両側縁部の間の部分である中間部を支持する中間部支持装置と、
その中間部支持装置を昇降させる中間部支持装置昇降装置と
を含み、その中間部支持装置昇降装置の駆動源が前記縁部支持部材昇降装置の駆動源を兼ねる請求項4に記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項6】
前記縁部支持部材昇降装置が、前記下ガイドプーリより上方に位置して前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記下ガイドプーリより下方に位置して駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、それら保持部と被駆動部とを連結するとともに前記装置本体により昇降可能に保持された連結部とを備えた可動部材を含み、前記装置本体が、それぞれ前記搬送経路に沿って延びる一対のコンベヤレールを含み、それら一対のコンベヤレールの一方が、他方のコンベヤレールに対向する側である内側に前記ベルト案内装置を保持し、前記可動部材の前記連結部がその一方のコンベヤレールの外側に配設され、前記保持部および前記被駆動部がその一方のコンベヤレールを貫通してその一方のコンベヤレールの内側へ突入させられた請求項5に記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項1】
プリント基板を、そのプリント基板の幅方向の両側縁部を一対の周回ベルトにより支持し、直線的な搬送経路に沿って搬送する基板搬送コンベヤであって、
前記搬送経路に沿って、かつ、互いに間隔をあけて配列された2個以上の上ガイドプーリと、前記搬送経路に平行な方向において互いに隣接する前記上ガイドプーリの2つの間であって、それら上ガイドプーリより下方にそれぞれ配置された1個以上の下ガイドプーリとを含み、前記一対の周回ベルトの一方が、前記上ガイドプーリの1つ以上に上方から巻き掛けられた後、前記下ガイドプーリの1つ以上に下方から巻き掛けられ、その後、前記上ガイドプーリの別の1つ以上に上方から巻き掛けられ、その一方の周回ベルトの一部が蛇行する状態とされたベルト案内装置と、
そのベルト案内装置を支持する装置本体と
を含む基板搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記上ガイドプーリが3個以上設けられ、前記下ガイドプーリが2個以上設けられて、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域が2つ以上設けられた請求項1に記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記一方の周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域にそれぞれ配設され、前記互いに隣接する2つの上ガイドプーリに案内された前記周回ベルトの一方に前記両側縁部の一方が支持されたプリント基板のその一方の側縁部の側面を案内する1個以上の案内部材を含む請求項1または2に記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記2個以上の上ガイドプーリの互いに隣接する2つの間であって、前記周回ベルトが前記下ガイドプーリに案内されて前記搬送経路より下方を通過する領域である下方通過領域に、上昇位置と下降位置とに昇降可能にそれぞれ配設され、前記上昇位置において、前記プリント基板の前記両側縁部の一方を下方から支持する縁部支持部材と、
その縁部支持部材を前記上昇位置と前記下降位置との間で昇降させる縁部支持部材昇降装置と
を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項5】
前記一対の周回ベルトの間であって前記プリント基板の搬送方向における中間部に対応する位置において、上昇位置と下降位置とに昇降可能に設けられ、前記プリント基板の前記両側縁部の間の部分である中間部を支持する中間部支持装置と、
その中間部支持装置を昇降させる中間部支持装置昇降装置と
を含み、その中間部支持装置昇降装置の駆動源が前記縁部支持部材昇降装置の駆動源を兼ねる請求項4に記載の基板搬送コンベヤ。
【請求項6】
前記縁部支持部材昇降装置が、前記下ガイドプーリより上方に位置して前記縁部支持部材を保持する保持部と、前記下ガイドプーリより下方に位置して駆動源からの駆動力を受ける被駆動部と、それら保持部と被駆動部とを連結するとともに前記装置本体により昇降可能に保持された連結部とを備えた可動部材を含み、前記装置本体が、それぞれ前記搬送経路に沿って延びる一対のコンベヤレールを含み、それら一対のコンベヤレールの一方が、他方のコンベヤレールに対向する側である内側に前記ベルト案内装置を保持し、前記可動部材の前記連結部がその一方のコンベヤレールの外側に配設され、前記保持部および前記被駆動部がその一方のコンベヤレールを貫通してその一方のコンベヤレールの内側へ突入させられた請求項5に記載の基板搬送コンベヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−99692(P2009−99692A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268361(P2007−268361)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]