説明

基板搬送処理方法及び基板搬送処理装置

【課題】処理部中の塵埃を除去でき、装置の小型化、処理のスループットの向上及び歩留まりの向上を図れるようにすること。
【解決手段】搬送手段によって搬送されるウエハを処理部に搬送して処理を施す基板搬送処理において、ウエハWの処理前に、搬送手段であるメインアームA2によって搬送される、塵埃を捕集可能な状態の捕集プレートPLを塗布処理ユニット32に搬入して、塗布処理ユニット内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集する。塵埃を捕集した捕集プレートを洗浄ユニット80内に搬入し、この洗浄ユニット内において捕集した塵埃を洗浄により除去し、塵埃が除去された捕集プレートを、塵埃を捕集可能な状態例えばイオナイザ200によって帯電して再生する。塵埃を捕集可能な状態に再生された捕集プレートを、メインアームによって処理前の処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板搬送処理方法及び基板搬送処理装置に関するもので、更に詳細には、搬送手段によって搬送される被処理基板を処理部に搬入して適宜処理を施した後、処理部から搬出する基板搬送処理方法及び基板搬送処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造プロセス中のフォトリソグラフィ技術においては、ウエハ等の基板にフォトレジストを塗布してレジスト膜を形成し、その後、このレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に所望の回路パターンを形成する、一連のリソグラフィ工程によって行われている。
【0003】
このような一連の処理は、一般に、搬送手段によって搬送される基板を、レジスト液を塗布して処理するレジスト塗布処理ユニット、レジスト塗布処理終了後の基板や露光処理後の基板を加熱処理する加熱処理ユニット、露光処理後の基板に現像液を供給して現像処理する現像処理ユニット等の処理部に搬入して適宜処理を施す塗布・現像処理システムによって行われている。
【0004】
一般に、この種の塗布・現像処理システムにおいては、ウエハ等の搬送部及び処理部においてウエハ等にパーティクル等の塵埃が付着するのを防止するために、搬送部及び処理部の局部空間に清浄空気をダウンフローによって流すなどの気流制御がされている。
【0005】
しかし、塵埃制御粒子の微細化によりウエハ等への静電吸着が主因となり、従来の気流制御だけでは不十分である。また、熱の均一性を要求する加熱処理部や真空処理部においては、処理部内の雰囲気を清浄空気で置換することができず、ウエハ等への塵埃付着が生じるという問題がある。
【0006】
気流制御以外の方法で処理部において塵埃の発生を抑制し、ウエハ等に付着する塵埃の量を低減する方法として、処理部に、塵埃を静電気により吸着する塵埃吸着体と、吸着された塵埃を除去するクリーニング手段を設けた処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この処理装置によれば、塵埃吸着体に処理部内の塵埃を効果的に吸着すると共に、塵埃の発生を抑制することができ、また、クリーニング手段によって塵埃吸着体の吸着機能を維持することができる。
【特許文献1】特許第3452422号公報(特許請求の範囲、図1,図3,図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、処理部に、本来の処理機構を設ける以外に、塵埃吸着体と、この塵埃吸着体に吸着された塵埃を除去するクリーニング手段を設ける必要があるため、装置が複雑かつ大型化するという問題があった。特に、搬送手段によって搬送される被処理基板を複数の処理部に搬入して、各処理部で適宜処理を施した後、処理部から被処理基板を搬出して順次処理を施す基板搬送処理システムにおいては、各処理部に前記塵埃吸着体とクリーニング手段を設けることは、装置の複雑化及び大型化をきたすだけでなく、処理のスループットの低下及び歩留まりの低下を招く懸念がある。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、処理部中の塵埃を除去でき、装置の小型化を図ると共に、処理のスループットの向上及び歩留まりの向上を図れるようにした基板搬送処理方法及び基板搬送処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、搬送手段によって搬送される被処理基板を処理部に搬入し、この処理部において適宜処理を施した後、処理が施された被処理基板を前記搬送手段によって前記処理部から搬出する基板搬送処理方法において、 前記被処理基板の処理前に、前記搬送手段によって搬送される、塵埃を捕集可能な状態の捕集プレートを前記処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集する工程と、 塵埃を捕集した前記捕集プレートを前記処理部から搬出した後、洗浄ユニット内に搬入し、この洗浄ユニット内において捕集した塵埃を洗浄により除去する工程と、 塵埃が除去された前記捕集プレートに、塵埃を捕集可能な状態に再生する工程と、 塵埃を捕集可能な状態に再生された前記捕集プレートを、前記搬送手段によって前記処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の基板搬送処理方法において、前記塵埃を捕集可能な状態にするには、捕集プレートを帯電した状態、及び又は、捕集プレートを処理部の雰囲気温度より低い温度に冷却した状態にする方が好ましい(請求項2)。
【0012】
また、請求項1記載の基板搬送処理方法において、前記捕集した塵埃を洗浄により除去する工程は、前記捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離すると共に、剥離された塵埃と蒸発した気体を吸引して排気することが好ましい(請求項3)。この場合、前記捕集プレートの両面に対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離すると共に、剥離された塵埃と蒸発した気体を吸引して排気する方が好ましい(請求項4)。また、前記捕集プレートと蒸気噴射ノズルを相対的に平行移動しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射する方が好ましく(請求項5)、更には、前記捕集プレートと蒸気噴射ノズルを更に平行面上で相対的に回転しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射するようにしてもよい(請求項6)。
【0013】
また、前記塵埃を捕集可能な状態が捕集プレートを帯電した状態である場合にあっては、前記処理部内の雰囲気中の塵埃を前記捕集プレートの帯電極と反対の極に帯電する方が好ましい(請求項7)。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、請求項1記載の基板搬送処理方法を具現化するもので、 搬送手段によって搬送される被処理基板を処理部に搬入し、この処理部において適宜処理を施した後、処理が施された被処理基板を前記搬送手段によって前記処理部から搬出する基板搬送処理装置において、 前記被処理基板の処理前に、前記搬送手段によって上記処理部に搬入される捕集プレートを、塵埃が捕集可能な状態にする手段と、 塵埃を捕集した前記捕集プレートから塵埃を洗浄により除去する洗浄ユニットと、 前記処理部及び洗浄ユニットに対して前記捕集プレートを搬入・搬出する搬送手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9記載の発明は、請求項2記載の基板搬送処理方法を具現化するもので、前記捕集プレートを、塵埃が捕集可能な状態にする手段は、前記捕集プレートを帯電する帯電手段、及び又は、前記捕集プレートを前記処理部の雰囲気温度より低い温度に冷却する冷却手段である、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項10記載の発明は、請求項3記載の基板搬送処理方法を具現化するもので、上記洗浄ユニットは、前記捕集プレートに対して加熱蒸気を噴射する蒸気噴射ノズルと、前記捕集プレートから剥離された塵埃と蒸発気体を吸引する排気ダクトと、を具備することを特徴とする。この場合、排気ダクトは、蒸気噴射ノズルから噴射された加熱蒸気によって捕集プレートから剥離された塵埃と蒸発気体を吸引するものであれば、その配置位置は任意でよいが、好ましくは、排気ダクトは、蒸気噴射ノズルの周囲を包囲する位置に配置される方がよい(請求項11)。また、前記蒸気噴射ノズルを、捕集プレートの両面に対して加熱蒸気を噴射可能に形成する方が好ましい(請求項12)。また、前記蒸気噴射ノズルは、前記捕集プレートの幅全域に渡って加熱蒸気を噴射するノズル孔を具備し、前記蒸気噴射ノズルと前記捕集プレートを相対的に平行移動する移動機構を具備する方が好ましい(請求項13)。また、前記蒸気噴射ノズルと前記捕集プレートを平行面上で相対的に回転する回転機構を更に具備するようにしてもよい(請求項14)。
【0017】
また、請求項15記載の発明は、請求項7記載の基板搬送処理方法を具現化するもので、前記塵埃を捕集可能な状態が捕集プレートを帯電した状態の場合において、前記処理部に、この処理部内の雰囲気中の塵埃を前記捕集プレートの帯電極と反対の極に帯電する補助帯電手段を具備する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項1,8記載の発明によれば、被処理基板を処理部に搬入して処理を施す前に、塵埃を捕集可能な状態の捕集プレートを処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集することができる。また、塵埃を捕集した捕集プレートを処理部から搬出した後、洗浄ユニット内に搬入し、この洗浄ユニット内において捕集した塵埃を洗浄により除去した後、捕集プレートに、塵埃を捕集可能な状態に再生することができる。そして、塵埃を捕集可能な状態に再生された捕集プレートを、搬送手段によって処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集することができる。この場合、捕集プレートを帯電することで、塵埃を捕集プレートに付着(吸着)させて捕集することができ、また、捕集プレートを、処理部の雰囲気温度より低い温度に冷却することで、粒子を高温部から低温部へ移動させる熱泳動力によって塵埃は冷却された捕集プレートに付着(吸着)させて捕集することができる(請求項2,9)。
【0019】
請求項3,10記載の発明によれば、捕集した塵埃を洗浄により除去する際、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離し、捕集プレートから剥離された塵埃と加熱蒸気の蒸発した気体とが混合した状態で吸引により排気される。この場合、蒸気噴射ノズルの周囲を包囲する位置に排気ダクトを配置することにより、捕集プレートから剥離された塵埃を外方に飛散させることなく排気ダクトから排出することができる(請求項11)。
【0020】
請求項4,12記載の発明によれば、捕集プレートの両面に対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離すると共に、剥離された塵埃と蒸発した気体を吸引して排気することで、捕集プレートの両面に付着した塵埃を確実に除去することができる。
【0021】
請求項5,13記載の発明によれば、捕集プレートと蒸気噴射ノズルを相対的に平行移動しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射することにより、短時間で捕集プレートから塵埃を除去することができる。
【0022】
請求項6,14記載の発明によれば、捕集プレートと蒸気噴射ノズルを平行面上で相対的に回転しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射することにより、捕集プレートの表面に満遍なく加熱蒸気を噴射することができる。
【0023】
請求項7,15記載の発明によれば、捕集プレートを帯電して塵埃が捕集可能な状態とした場合に、処理部内の雰囲気を捕集プレートの帯電極と反対の極に帯電することにより、捕集プレートへの塵埃の付着(吸着)を促進することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上に説明したように、この発明の基板搬送処理方法は、前記のように構成されているので、以下のような顕著な効果が得られる。
【0025】
(1)請求項1,2,8,9記載の発明によれば、被処理基板を処理部に搬入して処理を施す前に、塵埃を捕集可能な状態の捕集プレートを処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集することができるので、被処理基板への塵埃の付着を防止することができる。また、塵埃を捕集した捕集プレートを洗浄ユニットによって捕集した塵埃を洗浄により除去した後、塵埃を捕集可能な状態に再生し、再生された捕集プレートによって処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集することができるので、処理部内に発生するパーティクル等の塵埃を除去して、被処理基板への塵埃の付着を防止することができ、かつ、処理部に塵埃捕集部と捕集された塵埃を除去する手段を設けるものに比べて装置の小型化を図ることができると共に、スループットの向上及び歩留まりの向上を図ることができる。
【0026】
(2)請求項3,10記載の発明によれば、捕集した塵埃を洗浄により除去する際、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離し、捕集プレートから剥離された塵埃と加熱蒸気の蒸発した気体とが混合した状態で吸引により排気するので、前記(1)に加えて、更に捕集した塵埃を捕集プレートから確実に除去することができる。この場合、蒸気噴射ノズルの周囲を包囲する位置に排気ダクトを配置することにより、捕集プレートから剥離された塵埃を外方に飛散させることなく排気ダクトから排出することができる(請求項11)。
【0027】
(3)請求項4,12記載の発明によれば、捕集プレートの両面に対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離すると共に、剥離された塵埃と蒸発した気体を吸引して排気するので、前記(1),(2)に加えて、更に捕集プレートの両面に付着した塵埃を確実に除去することができる。
【0028】
(4)請求項5,13記載の発明によれば、捕集プレートと蒸気噴射ノズルを相対的に平行移動しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射することにより、短時間で捕集プレートから塵埃を除去することができるので、前記(1)〜(3)に加えて、更にスループットの向上を図ることができる。
【0029】
(5)請求項6,14記載の発明によれば、捕集プレートと蒸気噴射ノズルを平行面上で相対的に回転しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射することにより、捕集プレートの表面に満遍なく加熱蒸気を噴射することができるので、前記(1)〜(4)に加えて、更に捕集プレートの塵埃捕集効率の向上を図ることができる。
【0030】
(6)請求項7,15記載の発明によれば、捕集プレートを帯電して塵埃が捕集可能な状態とした場合に、処理部内の雰囲気を捕集プレートの帯電極と反対の極に帯電することにより、捕集プレートへの塵埃の付着(吸着)を促進することができるので、前記(1)〜(5)に加えて、更に塵埃の捕集効率を高めることができると共に、被処理基板への塵埃の付着防止を更に確実にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る基板搬送処理方法(装置)を半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムに適用した場合について説明する。
【0032】
図1は、前記レジスト塗布・現像処理システムの一例を示す概略平面図、図2は、レジスト塗布・現像処理システムの概略斜視図である。
【0033】
前記レジスト塗布・現像処理システムは、被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)が例えば25枚密閉収容されたキャリア20を搬入出するための搬入・搬出部であるキャリアブロックS1と、複数個例えば4個の単位ブロックB1〜B4を縦に配列して構成された塗布・現像処理部である塗布・現像処理ブロックS2(以下に処理ブロックS2という)と、インターフェース部であるインターフェースブロックS3と、を具備するレジスト塗布・現像処理装置10と、レジスト塗布・現像処理装置10とインラインで接続された露光装置11とで主に構成されている。また、レジスト塗布・現像処理装置10には、各ブロックS1〜S3間,ブロック内の処理ユニットとの間で、ウエハWを搬送する搬送手段として後述するアームA1,A2,C,Dが備えられている。
【0034】
前記レジスト塗布・現像処理装置10のキャリアブロックS1には、複数個(例えば4個)のキャリア20を載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリア20からウエハWを取り出すためのトランスファーアームCとが設けられている。
【0035】
レジスト塗布・現像処理装置10におけるトランスファーアームCは、処理ブロックS2に設けられた受渡しステージTRS1との間でウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0036】
キャリアブロックS1の奥側には、筐体70にて周囲を囲まれる処理ブロックS2が接続されている。処理ブロックS2は、この例では、下方側から、レジスト液や現像液等の薬液容器類を収納する第1の単位ブロック(CHM)B1、現像処理を行うための第2の単位ブロック(DEV層)B2、2段のレジスト液の塗布処理を行うための塗布膜形成用単位ブロック及び洗浄処理を行う洗浄単位ブロックである第3,第4の単位ブロック(COT層)B3,B4として割り当てられている(図3参照)。なお、この場合、塗布膜形成用単位ブロックの一つ例えば第3の単位ブロック(COT層)B3を、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための単位ブロック(BCT層)としてもよい。また、更に第4の単位ブロック(COT層)B4の上段に、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための反射防止膜形成用単位ブロックを設けるようにしてもよい。
【0037】
第1〜第4の単位ブロックB1〜B4は、前面側に配設され、ウエハWに対して薬液を塗布するための液処理ユニットと、背面側に配設され、前記液処理ユニットにて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種の加熱処理ユニット等の処理ユニットと、前面側に配設される前記液処理ユニットと背面側に配設される加熱処理ユニット等の処理ユニットとの間、具体的には下段に現像処理部を配置し、上段にレジスト処理部を配置した液処理ユニットと加熱処理ユニット等の処理ユニットとの間でウエハWの受け渡しや、後述するパーティクル等の塵埃を捕集する捕集プレートPLの搬送を行うための基板搬送手段であるメインアームA1,A2とを備えている。
【0038】
これら単位ブロックB1〜B4は、この例では、各単位ブロックB1〜B4の間で、前記液処理ユニットと、加熱処理ユニット等の処理ユニットと、搬送手段との配置レイアウトが同じに形成されている。ここで、配置レイアウトが同じであるとは、各処理ユニットにおけるウエハWを載置する中心つまり液処理ユニットにおけるウエハWの保持手段であるスピンチャックの中心や、加熱処理ユニットにおける加熱プレートや冷却プレートの中心が同じという意味である。
【0039】
前記第2の単位ブロックすなわちDEV層B2は、図1に示すように、DEV層B2のほぼ中央には、DEV層B2の長さ方向(図中Y方向)に、キャリアブロックS1とインターフェースブロックS3とを接続するためのウエハWの搬送領域R1(メインアームA1の水平移動領域)が形成されている。また、第3,第4の単位ブロックすなわちCOT層B3,B4は、図示しないが、DEV層B2と同様に、COT層B3,B4のほぼ中央には、COT層B3,B4の長さ方向(図中Y方向)に、キャリアブロックS1とインターフェースブロックS3とを接続するためのウエハWの搬送領域R2(メインアームA2の水平移動領域)が形成されている。
【0040】
前記搬送領域R1(R2)のキャリアブロックS1側から見た両側には、手前側(キャリアブロックS1側)から奥側に向かって右側に、前記液処理ユニットとして、現像処理を行うための複数個例えば3個の現像処理ユニット31と、2段の塗布処理ユニット32及び洗浄ユニット(SCR)が設けられている。
【0041】
前記各単位ブロックは、手前側から奥側に向かって左側に、順に加熱系のユニットを多段化した例えば4個の棚ユニットU1,U2,U3,U4が設けられており、DEV層B2においては現像処理ユニット31にて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種処理ユニットを複数段、例えば3段ずつに積層した構成とされている。このようにして前記搬送領域R1によって現像処理ユニット31と棚ユニットU1〜U4が区画されており、搬送領域R1に洗浄エアを噴出させて排気することにより、当該領域内のパーティクルの浮遊を抑制するようになっている。
【0042】
上述の前処理及び後処理を行うための各種ユニットの中には、例えば図4に示すように、露光後のウエハWを加熱処理するポストエクスポージャーベーキングユニットなどと呼ばれている加熱処理ユニット(PEB)や、現像処理後のウエハWの水分を飛ばすために加熱処理するポストベーキングユニット等と呼ばれている加熱処理ユニット(POST)等が含まれている。これら加熱処理ユニット(PEB,POST)等の各処理ユニットは、それぞれ処理容器40内に収容されており、棚ユニットU1〜U4は、前記処理容器40が3段ずつ積層されて構成され、各処理容器40の搬送領域R1に臨む面にはウエハ搬出入口41が形成されている。なお、加熱処理ユニット(PEB,POST)は、コントローラ60に電気的に接続されており、コントローラ60からの制御信号に基づいて加熱温度や加熱時間が調整可能に形成されている。
【0043】
また、前記処理ブロックS2とインターフェースブロックS3の隣接する領域には、図1に示すように、メインアームA1がアクセスできる位置に棚ユニットU6が設けられている。この棚ユニットU6は、DEV層B2のメインアームA1との間でウエハWの受け渡しを行うように、受渡しステージTRS2と、ウエハWの受け渡しを行う冷却機能を有する受渡しステージ(図示せず)を備えている。また、処理ブロックS2とインターフェースブロックS3の隣接する領域には、図1及び図4に示すように、周縁露光装置(WEE)が2段配置されると共に、処理部すなわち現像処理ユニット31,塗布処理ユニット32や加熱処理ユニット等の処理ユニット内に発生するパーティクル等の塵埃を捕集する捕集プレートPLを洗浄するための洗浄ユニット80(PL.CLE)が配置されている。
【0044】
ここで、捕集プレートPLは、例えば、帯電によって塵埃を付着(吸着)して捕集する機能を有するもので、表面の材質は、例えばフッ素樹脂等のプラスチックや石英等の絶縁性材料によって形成されている。また、捕集プレートPLは、ウエハWの搬送手段であるメインアームA1,A2によって搬送されるため、ウエハWと同形状に形成されている。
【0045】
前記洗浄ユニット80は、図6及び図7に示すように、捕集プレートPLの搬入・搬出用の開口81aを有する筐体81内に、捕集プレートPLを水平状態に保持すると共に、水平面上に回転可能に保持する保持手段82と、捕集プレートPLに対して洗浄用の加熱蒸気を噴射する蒸気噴射ノズル83と、捕集プレートから剥離された塵埃と蒸発気体を吸引する排気ダクト84と、を具備している。
【0046】
排気ダクト84は、蒸気噴射ノズル83の周囲を包囲する位置に配置されている。この場合、蒸気噴射ノズル83は、図7及び図8に示すように、捕集プレートPLの幅すなわち直径と同じかやや長い寸法の矩形状噴頭85に適宜間隔をおいて円形又は四角形状のノズル孔85a又は85bを穿設してなり、噴頭85の上方に位置する加熱蒸気室86を中央の供給口87から噴頭85の左右両端に向かって拡開テーパ状に形成してなる。この蒸気噴射ノズル83の供給口87と蒸気供給源88とを接続する供給管路89に加熱蒸気発生器90が設けられており、蒸気供給源88から供給される蒸気源例えば水蒸気又は純水等を加熱蒸気発生器90によって例えば80〜250℃に加熱して加熱蒸気を生成し、この加熱蒸気を蒸気噴射ノズル83に供給するように構成されている。なお、供給管路89における蒸気供給源88と加熱蒸気発生器90との間には開閉弁Vが介設されている。
【0047】
このように構成される蒸気噴射ノズル83と排気ダクト84は、保持手段82によって水平状態に保持される捕集プレートPLの面に対して80度以上の角度、好ましくは90度(直角)の角度に配置されており、衝撃力を高めて塵埃の剥離が効率よく行われるようになっている。
【0048】
一方、排気ダクト84は、蒸気噴射ノズル83の外周を包囲するように蒸気噴射ノズル83と略相似形状に形成され、下端部には回収口84aが蒸気噴射ノズル83の外周側に開口して設けられ、上部中央部には回収口84aに連通する排出口84bが設けられている。また、排出口84bに排出管路84cが接続され、排出管路84cには排気装置例えば真空ポンプ91が設けられている。
【0049】
前記蒸気噴射ノズル83と排気ダクト84は、移動機構100によって保持手段82で保持されている捕集プレートPLに対して相対的に平行移動するように構成されている。この場合、蒸気噴射ノズル83と排気ダクト84は、筐体81の両側に対峙して配置される一対のリニアガイド101,102に摺動可能に装着される門形フレーム103に連結されており、一方のリニアガイド101に連結する例えばボールねじ機構にて形成される移動機構100の駆動によって蒸気噴射ノズル83と排気ダクト84が、保持手段82で保持されている捕集プレートPLに対して相対的に平行移動するようになっている。
【0050】
また、捕集プレートPLを保持する保持手段82は、捕集プレートPLの外周縁を保持する複数例えば3個のローラ82aと、各ローラ82aを水平方向に回転する回転機構例えばモータ82bと、ローラ82a及びモータ82bを捕集プレートPLの保持位置と非保持位置に進退移動するローラ移動機構例えば移動シリンダ82cとで主に構成されている。このように構成される保持手段82によれば、ローラ82aが非保持位置に退避した状態で、搬送手段であるメインアームA1又はA2によって捕集プレートPLが筐体81内に搬入されると、図示しない昇降手段によって上昇する支持ピン110がメインアームA1又はA2から捕集プレートPLを受け取り、その後、メインアームA1又はA2が筐体81の外方に後退した状態で、移動シリンダ82cが駆動してローラ82aが捕集プレートPLの外周縁を保持する。ローラ82aが捕集プレートPLの外周縁を保持した後、支持ピン110は下降して捕集プレートPLから離れた状態で、モータ82bが駆動して捕集プレートPLを水平方向に回転することができる。
【0051】
なお、保持手段82は、捕集プレートPLを水平状態に保持すると共に、水平方向に回転するものであれば、必ずしも前記ローラ82a,モータ82b及び移動シリンダ82cによって構成する必要はなく、例えば移動シリンダ82cに代えてローラ82aを捕集プレートPLの保持位置と非保持位置に揺動するカム機構を用いてもよい。
【0052】
塵埃が付着された捕集プレートPLを洗浄して塵埃を除去するには、搬送手段であるメインアームA1又はA2によって洗浄ユニット80内に搬入される捕集プレートPLを、上昇する支持ピン110が受け取った後、保持手段82を構成するローラ82aが保持して、捕集プレートPLを水平状態に保持する。そして、モータ82bを駆動して捕集プレートPLを水平方向に回転すると共に、捕集プレートPLの中心部の上方にセットされた蒸気噴射ノズル83から加熱蒸気を噴射しつつ蒸気噴射ノズル83と排気ダクト84を捕集プレートPLに対して相対的に平行移動する。これにより、蒸気噴射ノズル83から噴射された加熱蒸気が捕集プレートPLの表面に衝突して捕集プレート表面に付着する塵埃を剥離し、剥離された塵埃を加熱蒸気の蒸発気体と共に排気ダクト84の回収口84aから吸引して排出する。
【0053】
なお、ここでは、捕集プレートPLの片面の洗浄について説明したが、捕集プレートPLの両面を同様に洗浄して、捕集プレートPLの両面に付着する塵埃を除去する方が好ましい。捕集プレートPLの両面を洗浄する方法としては、例えば図9に示すように、洗浄ユニット80内に、上下に対向する対をなす蒸気噴射ノズル83と排気ダクト84を配設して、前記と同様に、捕集プレートPLの面に対して平行移動すればよい。また、これに代えて保持手段82を反転可能に形成して、片面を洗浄した後に、捕集プレートPLを反転させて残りの片面を洗浄するようにしてもよい。
【0054】
また、洗浄ユニット80の筐体81内における開口81aの近傍上部には、洗浄ユニット80内で塵埃が除去された捕集プレートPLに対して、塵埃が捕集可能な状態にするようにイオンを照射して帯電する帯電手段例えばイオナイザ200が設けられている。なお、帯電手段は必ずしもイオナイザ200である必要はなく、イオナイザ200に代えて紫外線照射ランプ(UVランプ)を用いてもよい。このように、洗浄ユニット80内に帯電手段例えばイオナイザ200を設けることにより、洗浄ユニット80内に搬送されて塵埃が除去された捕集プレートPLを洗浄ユニット80から取り出す際に、イオナイザ200からのイオン照射によって捕集プレートPLを塵埃が捕集可能な状態に帯電することができる。
【0055】
なお、洗浄ユニット80の筐体81の開口81aには、この開口81aを開閉するシャッタ81bが設けられている。また、筐体81の底部には排気口81cが設けられ、排気口81cを介して筐体81内の排気が外部に排出されるようになっている。
【0056】
前記のように構成される洗浄ユニット80は、例えば図10に示すように、鉛直方向に複数段例えば5段が積層された状態で形成されている。なお、この場合、洗浄ユニット80の近接位置に、複数例えば5枚の捕集プレートPLが収容可能なバッファ300を設けるようにしてもよい。このように複数の捕集プレートPLを収容するバッファ300を設けることにより、複数の処理ユニットに対して捕集プレートPLを同時に搬送して、処理ユニット内の塵埃を捕集することができる。
【0057】
前記搬送領域R1には前記メインアームA1が設けられている。このメインアームA1は、DEV層B2内の全てのモジュール(ウエハWが置かれる場所)、例えば棚ユニットU1〜U4の各処理ユニット、現像処理ユニット31の各部との間でウエハの受け渡しを行う他、現像処理ユニット31,棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットと洗浄ユニット80間で捕集プレートPLを搬送するように構成されており、このために水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0058】
また、前記搬送領域R2には前記メインアームA2が設けられている。このメインアームA2は、COT層B3,B4内の全てのモジュール(ウエハWが置かれる場所)、例えば棚ユニットU1〜U4の各処理ユニット、塗布処理ユニット32の各部との間でウエハの受け渡しを行う他、塗布処理ユニット32,棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットと洗浄ユニット80間で捕集プレートPLを搬送するように構成されており、このために水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0059】
前記メインアームA1,A2は、同様に構成されており、例えば図5に示すように、ウエハWの裏面側周縁領域を支持するための2本の湾曲アーム片51,52と、前記洗浄ユニット80に対して塵埃を捕集(付着)した捕集プレートPLを搬入する際に捕集プレートPLの裏面側周縁領域を支持するための捕集プレート専用の湾曲アーム片53を有するアーム本体50を備えており、これら湾曲アーム片51,52,53は基台54に沿って互いに独立して進退自在に構成されている。また、この基台54は鉛直軸回りに回転自在に構成されると共に、Y方向に移動自在、かつ昇降自在に構成されている。
【0060】
なお、湾曲アーム片51,52,53には、ウエハW又は捕集プレートPLを支持する支持突起55が絶縁性部材にて形成されており、帯電された捕集プレートPLを支持する際に帯電が転写しないように考慮されている。なお、湾曲アーム片51,52,53自体は導電性の材質例えばアルミニウム製部材にて形成されており、帯電された捕集プレートPLを支持している際に帯電が転写しても、アーム片自体を伝って流れるので、静電気による問題はない。むしろ、湾曲アーム片51,52にあっては、これら湾曲アーム片51,52に付着している塵埃を捕集プレートPLに付着(吸着)することができ、湾曲アーム片51,52の洗浄を行うことができる点で好適である。
【0061】
また、上方の2本の湾曲アーム片51,52と下方の湾曲アーム片53との間に遮蔽板56を設けるようにしてもよい。このように遮蔽板56を設けることにより、湾曲アーム片53に支持される捕集プレートPLに付着した塵埃が上方の湾曲アーム片51,52側に飛散して付着を防止することができる。
【0062】
このようにして湾曲アーム片51,52,53は、X方向に進退自在,Y方向に移動自在,昇降自在及び鉛直軸回りに回転自在に構成され、棚ユニットU1〜U4の各ユニットやキャリアブロックS1側に配置された棚ユニットU5の受渡しステージTRS1、液処理ユニットとの間でウエハWの受け渡しや、洗浄ユニット80と各処理ユニットとの間で捕集プレートPLの搬送を行うことができるようになっている。このようなメインアームA1,A2は、制御手段であるコントローラ60からの指令に基づいて駆動が制御される。
【0063】
また、前記塗布膜形成用の単位ブロックB3,B4は、いずれも同様に構成されており、具体的には、液処理ユニットとしてウエハWに対してレジスト液の塗布処理を行うための塗布処理ユニット32が設けられ、COT層B3,B4の棚ユニットU1〜U4には、レジスト液塗布後のウエハWを加熱クーリング処理する熱処理ユニット(CLHP)や、レジスト液とウエハWとの密着性を向上させるための疎水化処理ユニット(ADH)を備えており、DEV層B2と同様に構成されている。すなわち、塗布ユニットと熱処理ユニット(CLHP)及び疎水化処理ユニット(ADH)とをメインアームA2の搬送領域R2(メインアームA2の水平移動領域)によって区画するように構成されている。そして、このCOT層B3,B4では、メインアームA2により、棚ユニットU5の受渡しステージTRS1と、塗布処理ユニット32と、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットと、に対してそれぞれウエハWの受け渡しが行われるようになっている。なお、前記疎水化処理ユニット(ADH)は、HMDS雰囲気内でガス処理を行なうものであるが、塗布膜形成用の単位ブロックB3,B4のいずれかに設けられればよい。
【0064】
前記塗布処理ユニット32は、図11に示すように、ウエハWを回転可能に保持する保持手段であるスピンチャック33と、このスピンチャック33を回転する回転モータ34と、スピンチャック33及びこのスピンチャック33によって保持されるウエハWの側方及び下方を包囲する外カップ35aと内カップ35bとからなるカップ35と、スピンチャック33によって保持されたウエハWに対してシンナーを供給(吐出)するシンナーノズル36及びウエハWに対してレジスト液を供給(吐出)するレジストノズル37を有するノズル体38と、を具備している。そして、これらスピンチャック33,回転モータ34,カップ35及びノズル体38は、塗布処理ユニット用の容器39内に収容されている。
【0065】
なお、シンナーノズル36は、開閉弁V1を介設したシンナー供給管36aを介してシンナー供給源36bに接続されている。また、レジストノズル37は、開閉弁V2を介設したレジスト供給管37aを介してレジスト供給源37bに接続されている。
【0066】
この場合、容器39内には、容器39内の雰囲気中に存在する塵埃を帯電する補助帯電手段例えばイオナイザ200Aが設けられている。この場合、イオナイザ200によって塵埃を帯電するイオンは、前記洗浄ユニット80に設けられたイオナイザ200からのイオン照射によって捕集プレートPLを塵埃が捕集可能な状態に帯電するイオンと反対の極に帯電、すなわち、洗浄ユニット80のイオナイザ200によって−(マイナス)の電荷をもつイオンが照射されて帯電された場合には、イオナイザ200Aから+(プラス)の電荷をもつイオンが容器39内に照射されて容器39内の雰囲気中の塵埃が帯電される。これにより、塗布処理ユニット32内に搬入される捕集プレートPLへの塵埃の付着(吸着)を促進することができる。
【0067】
一方、処理ブロックS2における棚ユニットU6の奥側には、インターフェースブロックS3を介して露光装置11が接続されている。インターフェースブロックS3には、処理ブロックS2のDEV層B2の棚ユニットU6の各部と露光装置11とに対してウエハWの受け渡しを行うためのインターフェースアームDを備えている。このインターフェースアームDは、処理ブロックS2と露光装置11との間に介在するウエハWの搬送手段をなすものであり、この例では、前記DEV層B2の受渡しステージTRS2等に対してウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0068】
次に、前記のように構成されるレジスト塗布・現像処理システムにおけるウエハWの処理について説明する。
【0069】
まず、キャリアブロックS1の載置台21に処理に供されるウエハWを収納したキャリア20を開閉部22に載置する。次に、トランスファーアームCによってキャリア20から取り出されたウエハWは、受渡しステージTRS1に搬送された後、メインアームA2によって疎水化処理ユニット(ADH)に搬送されて、疎水化処理が施される。
【0070】
疎水化処理された後に棚ユニットU5に一時収納されたウエハWは、メインアームA2によって棚ユニットU5から取り出され、塗布処理ユニット32に搬送されて、レジスト膜が形成される。レジスト膜が形成されたウエハWは、メインアームA2によって熱処理ユニット(CLHP)に搬送されて、溶剤をレジスト膜から蒸発させるためのプリベーク(PAB)が施される。その後、ウエハWは熱処理ユニット(CLHP)内でクーリング処理が施される。なお、図示しないが、プリベーク(PAB)が施された後、ウエハWは周辺露光装置(WEE)に搬送されて、周辺露光処理が施された後に加熱処理及び前記クーリング処理が施される。次いで、ウエハWは、インターフェースアームDにより露光装置11に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。
【0071】
露光処理後のウエハWは、インターフェースアームDにより、DEV層B2にウエハWを受け渡すために、棚ユニットU6の受渡しステージTRS2に搬送され、このステージTRS2上のウエハWは、DEV層B2のメインアームA1に受け取られ、このDEV層B2にて、まず、加熱処理ユニット(PEB)でポストエクスポージャーベーク処理された後、加熱処理ユニット(PEB)内の冷却プレート(図示せず)で所定温度に調整される。次いで、ウエハWは、メインアームA1によって加熱処理ユニット(PEB)から取り出されて現像処理ユニット31に搬送されて、現像液が塗布される。その後、メインアームA1によって加熱処理ユニット(POST)に搬送され、所定の現像処理が行われる。
【0072】
現像処理後のウエハWは、キャリアブロックS1の載置台21に載置された空のキャリア20内に収納されて搬出される。
【0073】
なお、前記実施形態では、反射防止膜を形成しない場合について説明したが、レジスト膜の下側や上側に反射防止膜を形成する場合においても、前記塗布・現像処理システムを同様に適用することができる。すなわち、ウエハWの表面に疎水化処理を施し、その後、ウエハWの表面に犠牲膜を皮膜し、ベーク処理,クーリング処理を施した後、犠牲膜の表面に反射防止膜を形成(皮膜)する。そして、反射防止膜の表面にレジスト膜を形成した後、露光処理,現像処理を施すことができる。この場合、クーリング処理とレジスト塗布処理の間に、反射防止膜塗布処理→ベーク処理→クーリング処理の工程が追加される。
【0074】
1ロットのウエハWの処理が行われた後、次の処理が開始される前に、予め塵埃の捕集が可能な状態に帯電された捕集プレートPLを搬送手段例えばメインアームA2によって処理部例えば塗布処理ユニット32内に搬入して、塗布処理ユニット32内のスピンチャック33に受け渡す。すると、捕集プレートPLが帯電されているので、塗布処理ユニット32内に発生する塵埃は捕集プレートPLに付着(吸着)されて捕集される。このとき、塗布処理ユニット32内のイオナイザ200から捕集プレートPLの帯電と反対の極の電荷をもつイオンを容器39内に照射することによって、容器39内の塵埃の捕集プレートPLへの付着(吸着)が促進され、塗布処理ユニット32内に発生する塵埃を効率よく除去することができる。
【0075】
このようにして、塗布処理ユニット32内の塵埃を捕集した後、この捕集プレートPLは搬送手段例えばメインアームA2の湾曲アーム片53によって塗布処理ユニット32内から取り出されて、洗浄ユニット80内に搬入される。そして、洗浄ユニット80において、前述したように、メインアームA2によって洗浄ユニット80内に搬入される捕集プレートPLを、上昇する支持ピン110が受け取った後、保持手段82を構成するローラ82aが保持して、捕集プレートPLを水平状態に保持する。次に、モータ82bが駆動して捕集プレートPLは水平方向に回転すると共に、捕集プレートPLの中心部の上方に移動された蒸気噴射ノズル83から加熱蒸気を噴射しつつ蒸気噴射ノズル83と排気ダクト84を捕集プレートPLに対して相対的に平行移動する。これにより、蒸気噴射ノズル83から噴射された加熱蒸気が捕集プレートPLの表面に衝突して捕集プレート表面に付着する塵埃を剥離し、剥離された塵埃を加熱蒸気の蒸発気体と共に排気ダクト84の回収口84aから吸引して排出する。
【0076】
塵埃が除去された捕集プレートPLは、保持手段82から搬送手段例えばメインアームA2の湾曲アーム片51又は52に受け取られて、洗浄ユニット80内から搬出される。この際、イオナイザ200から捕集プレートPLに対してイオンが照射されて捕集プレートPLが再び塵埃を捕集可能な状態に帯電されて再生される。このようにして再生された捕集プレートPLは、搬送手段例えばメインアームA2によって搬送され処理前の処理部例えば棚ユニットU1〜U4のいずれかの処理ユニットに搬入されて、前記と同様にして処理ユニット内の塵埃を捕集(付着,吸着)する。なお、この場合、処理ユニット内に前記イオナイザ200Aを設けておけば、塵埃の捕集が促進される。塵埃を捕集した捕集プレートPLは、前記と同様に、洗浄ユニット80内に搬入されて、捕集した塵埃を加熱蒸気の噴射により除去した後、イオナイザ200からのイオン照射によって塵埃の捕集可能な状態に再生され、以下同様にして、処理前の処理部に搬送されて処理部内の塵埃を捕集するか、あるいは、バッファ300内に収容されて、次の塵埃の捕集まで待機する。
【0077】
前記説明では、第3,第4の単位ブロックB3,B4における処理部で塵埃を捕集する場合について説明したが、第2の単位ブロックB2における現像処理ユニット31や棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットにおける塵埃の捕集についても前記と同様の方法で行うことができる。
【0078】
また、前記説明では、1ロットのウエハWの処理が終了した後に、処理部に捕集プレートPLを搬入して塵埃を捕集する場合について説明したが、枚葉処理毎、あるいは、所定枚数のウエハWの処理を行った後に処理部に捕集プレートPLを搬入して塵埃を捕集するようにしてもよい。
【0079】
なお、前記実施形態では、捕集プレートPLを帯電して塵埃を捕集可能な状態にする場合について説明したが、帯電以外に、例えば捕集プレートPLを処理部の雰囲気温度より低い温度例えば処理部の雰囲気温度に対して、実験結果より得られた知見より例えば−5℃以下の温度に冷却することによって、処理部内の塵埃を捕集することができる。すなわち、処理部の雰囲気温度に対して−5℃以下の温度に冷却された捕集プレートPLを処理部内に搬入することにより、粒子を高温部から低温部へ移動させる熱泳動力によって塵埃は冷却された捕集プレートPLに付着(吸着)されて捕集される。
【0080】
この場合、捕集プレートPLを冷却する方法の一つとして、前記洗浄ユニット80によって洗浄すなわち塵埃が除去された捕集プレートPLを、図12に示すように、冷却手段例えばペルチェ素子401を内蔵する冷却プレート400上に載置して、捕集プレートPLを所定の温度に冷却する方法がある。この場合、冷却プレート400を貫通する昇降可能な3本の受渡しピン402を昇降機構403によって昇降させることによって搬送手段例えばメインアームA1,A2との間で捕集プレートPLを受け渡しすることができる。なお、ペルチェ素子401に代えて冷却水等の冷媒を用いてもよい。また、前記熱処理ユニットにおける冷却ユニット(CLHP)を用いて捕集プレートPLを冷却するようにしてもよい。
【0081】
なお、この場合、冷却される捕集プレートPLは、蓄熱性を有するものが好ましく、例えば捕集プレートPLの材質をセラミックや石英等の熱伝導性が低い材質とする方がよい。
【0082】
なお、前記のように、捕集プレートPLを冷却して塵埃を捕集可能な状態にする場合は、捕集プレートPLを冷却することのみによって塵埃を捕集してもよいが、前記帯電により塵埃を捕集可能な状態にする方法と組み合わせて、塵埃を捕集可能な状態にすれば、更に効率よく塵埃を捕集することができる。
【0083】
また、前記実施形態では、この発明に係る基板搬送処理方法(装置)がレジスト塗布・現像処理システムに適用される場合について説明したが、この発明に係る基板搬送処理方法(装置)は、レジスト塗布・現像処理システム以外の基板処理システム例えばウエハにエッチング処理を施すエッチング処理システムにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】この発明に係る基板搬送処理方法(装置)を適用したレジスト塗布・現像処理システムの一例を示す概略平面図である。
【図2】前記レジスト塗布・現像処理システムの概略斜視図である。
【図3】前記レジスト塗布・現像処理システムの液処理部を示す概略正面図である。
【図4】前記レジスト塗布・現像処理システムの熱処理部を示す概略背面図である。
【図5】この発明における搬送手段の一例を示す概略斜視図(a)及び搬送手段を構成するアーム片が捕集プレートを支持する状態を示す側面図(b)である。
【図6】この発明における洗浄ユニットの概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図7】この発明における蒸気噴射ノズルと排気ダクトを示す概略断面図である。
【図8】前記蒸気噴射ノズルを示す断面図(a)、この蒸気噴射ノズルのノズル孔の一例を示す底面図(b)及び別の形態のノズル孔を示す底面図(c)である。
【図9】この発明における捕集プレートを洗浄する状態の一例を示す概略断面図である。
【図10】この発明における洗浄ユニットを多段に積層した状態を示す概略断面図である。
【図11】この発明における処理部の一例である塗布処理ユニットを示す概略断面図である。
【図12】この発明における捕集プレートの冷却プレートを示す概略平面図(a)及び冷却プレートの概略断面図(b)である。
【符号の説明】
【0085】
W 半導体ウエハ(被処理基板)
PL 捕集プレート
A1,A2 メインアーム(搬送手段)
31 現像処理ユニット(処理部)
32 塗布処理ユニット(処理部)
80 洗浄ユニット
82 保持手段
82a ローラ
82b モータ(回転機構)
82c 移動シリンダ
83 蒸気噴射ノズル
84 排気ダクト
100 移動機構
200 イオナイザ(帯電手段)
200A イオナイザ(補助帯電手段)
400 冷却プレート
401 ペルチェ素子(冷却手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によって搬送される被処理基板を処理部に搬入し、この処理部において適宜処理を施した後、処理が施された被処理基板を前記搬送手段によって前記処理部から搬出する基板搬送処理方法において、
前記被処理基板の処理前に、前記搬送手段によって搬送される、塵埃を捕集可能な状態の捕集プレートを前記処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集する工程と、
塵埃を捕集した前記捕集プレートを前記処理部から搬出した後、洗浄ユニット内に搬入し、この洗浄ユニット内において捕集した塵埃を洗浄により除去する工程と、
塵埃が除去された前記捕集プレートに、塵埃を捕集可能な状態に再生する工程と、
塵埃を捕集可能な状態に再生された前記捕集プレートを、前記搬送手段によって前記処理部に搬入して、この処理部内に発生する塵埃を捕集プレートに付着して捕集する工程と、を有することを特徴とする基板搬送処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の基板搬送処理方法において、
前記塵埃を捕集可能な状態が、捕集プレートを帯電した状態、及び又は、捕集プレートを処理部の雰囲気温度より低い温度に冷却した状態である、ことを特徴とする基板搬送処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の基板搬送処理方法において、
前記捕集した塵埃を洗浄により除去する工程が、前記捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離すると共に、剥離された塵埃と蒸発した気体を吸引して排気する、ことを特徴とする基板搬送処理方法。
【請求項4】
請求項3記載の基板搬送処理方法において、
前記捕集プレートの両面に対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射して捕集プレートに付着した塵埃を捕集プレートから剥離すると共に、剥離された塵埃と蒸発した気体を吸引して排気することを含む、ことを特徴とする基板搬送処理方法。
【請求項5】
請求項3又は4記載の基板搬送処理方法において、
前記捕集プレートと蒸気噴射ノズルを相対的に平行移動しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射する、ことを特徴とする基板搬送処理方法。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれかに記載の基板搬送処理方法において、
前記捕集プレートと蒸気噴射ノズルを更に平行面上で相対的に回転しながら、捕集プレートに対して蒸気噴射ノズルから加熱蒸気を噴射する、ことを特徴とする基板搬送処理方法。
【請求項7】
請求項1又は2記載の基板搬送処理方法において、
前記塵埃を捕集可能な状態が捕集プレートを帯電した状態である場合において、前記処理部内の雰囲気中の塵埃を前記捕集プレートの帯電極と反対の極に帯電する、ことを特徴とする基板搬送処理方法。
【請求項8】
搬送手段によって搬送される被処理基板を処理部に搬入し、この処理部において適宜処理を施した後、処理が施された被処理基板を前記搬送手段によって前記処理部から搬出する基板搬送処理装置において、
前記被処理基板の処理前に、前記搬送手段によって上記処理部に搬入される捕集プレートを、塵埃が捕集可能な状態にする手段と、
塵埃を捕集した前記捕集プレートから塵埃を洗浄により除去する洗浄ユニットと、
前記処理部及び洗浄ユニットに対して前記捕集プレートを搬入・搬出する搬送手段と、を具備することを特徴とする基板搬送処理装置。
【請求項9】
請求項8記載の基板搬送処理装置において、
前記捕集プレートを、塵埃が捕集可能な状態にする手段は、前記捕集プレートを帯電する帯電手段、及び又は、前記捕集プレートを前記処理部の雰囲気温度より低い温度に冷却する冷却手段である、ことを特徴とする基板搬送処理装置。
【請求項10】
請求項8記載の基板搬送処理装置において、
上記洗浄ユニットは、前記捕集プレートに対して加熱蒸気を噴射する蒸気噴射ノズルと、前記捕集プレートから剥離された塵埃と蒸発気体を吸引する排気ダクトと、を具備することを特徴とする基板搬送処理装置。
【請求項11】
請求項10記載の基板搬送処理装置において、
前記排気ダクトを、前記蒸気噴射ノズルの周囲を包囲する位置に配置してなる、ことを特徴とする基板搬送処理装置。
【請求項12】
請求項10又は11記載の基板搬送処理装置において、
前記蒸気噴射ノズルは、捕集プレートの両面に対して加熱蒸気を噴射可能に形成される、ことを特徴とする基板搬送処理装置。
【請求項13】
請求項10ないし12のいずれかに記載の基板搬送処理装置において、
前記蒸気噴射ノズルは、前記捕集プレートの幅全域に渡って加熱蒸気を噴射するノズル孔を具備し、
前記蒸気噴射ノズルと前記捕集プレートを相対的に平行移動する移動機構を具備する、ことを特徴とする基板搬送処理装置。
【請求項14】
請求項10ないし13のいずれかに記載の基板搬送処理装置において、
前記蒸気噴射ノズルと前記捕集プレートを平行面上で相対的に回転する回転機構を更に具備する、ことを特徴とする基板搬送処理装置。
【請求項15】
請求項8又は9記載の基板搬送処理装置において、
前記塵埃を捕集可能な状態が捕集プレートを帯電した状態の場合において、前記処理部に、この処理部内の雰囲気中の塵埃を前記捕集プレートの帯電極と反対の極に帯電する補助帯電手段を具備する、ことを特徴とする基板搬送処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−277480(P2008−277480A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118143(P2007−118143)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】