基板搬送方法、その基板搬送方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び基板搬送装置
【課題】2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を基板保持部との間で搬送するときに、搬送時間を短くすることができる基板搬送方法を提供する。
【解決手段】積層体を保持していないときにスペーサ部材を保持する基板保持部に対して、積層体を搬送する基板搬送方法であって、第1のフォーク53の上方に設けられた第2のフォーク54の一方の面54a側に設けられた第1の掴み機構61により、第1の基板を下掴みして受け取り、第2のフォーク54を上下反転させて第1のフォーク53に載置する第1の工程と、第2のフォーク54の一方の面54aと同一面側に設けられた第2の掴み機構62により、基板保持部に保持されているスペーサ部材を上掴みして受け取り、第1の基板上に載置する第2の工程と、第1の掴み機構61により第2の基板を上掴みして受け取り、スペーサ部材上に載置する第3の工程とを有する。
【解決手段】積層体を保持していないときにスペーサ部材を保持する基板保持部に対して、積層体を搬送する基板搬送方法であって、第1のフォーク53の上方に設けられた第2のフォーク54の一方の面54a側に設けられた第1の掴み機構61により、第1の基板を下掴みして受け取り、第2のフォーク54を上下反転させて第1のフォーク53に載置する第1の工程と、第2のフォーク54の一方の面54aと同一面側に設けられた第2の掴み機構62により、基板保持部に保持されているスペーサ部材を上掴みして受け取り、第1の基板上に載置する第2の工程と、第1の掴み機構61により第2の基板を上掴みして受け取り、スペーサ部材上に載置する第3の工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する基板搬送方法、その基板搬送方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体、及び基板を搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、例えば半導体ウェハ等の被処理基板(以下、「基板」ともいう。)に、酸化、拡散、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの処理を施すために、各種の処理装置が用いられている。そして、その一つとして、一度に多数枚の被処理基板の熱処理が可能な縦型の熱処理装置よりなる成膜装置が知られている。
【0003】
成膜装置は、ボートと、昇降機構と、移載機構(基板搬送装置)とを有する。ボートは、複数の基板を上下方向に所定の保持間隔で保持して成膜容器に搬入搬出される基板保持部である。昇降機構は、成膜容器の下方に形成されたローディングエリアに設けられており、成膜容器の開口を閉塞する蓋体の上部にボートを載置した状態で蓋体を上昇下降させて成膜容器とローディングエリアとの間でボートを昇降させる。移載機構は、ローディングエリアに搬出されたボートと複数枚の基板を収容する収納容器との間で基板の移載を行う。
【0004】
このような成膜装置を用いた成膜方法の一つとして、基板の表面にポリイミド膜を成膜する方法が挙げられる。基板の表面にポリイミドを成膜して得られるポリイミド膜は、半導体デバイスにおける絶縁膜として用いることが可能である。ポリイミド膜を成膜する方法としては、原料モノマーとして例えばピロメリット酸二無水物(PMDA)と、例えば4,4'−オキシジアニリン(ODA)を用いた蒸着重合による成膜方法が知られている。
【0005】
このような成膜装置においては、ボートにおける基板の搭載枚数を増やすために、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の保持間隔でボートに保持することがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、基板を収容する収納容器と、基板保持部との間で基板を搬送する際に、ストッパ部材とクランプ手段とで基板をクランプする基板搬送装置がある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載の基板搬送装置では、ストッパ部材は、フォークの先端部に設けられており、基板の周縁部と接触する。クランプ手段は、フォークの基端部側に前進及び後退が可能に設けられており、基板をストッパ部材側へ押してクランプする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−81259号公報
【特許文献2】特開2009−99918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したような積層体を保持するボートを有する成膜装置に設けられた移載機構、すなわち基板搬送装置には、以下のような問題がある。
【0009】
成膜処理を行わないときに、スペーサ部材が、成膜装置の外部に設けられている収納容器に収容され、基板が収納容器に収容されるものとする。このとき、基板用の収納容器を成膜装置の内部と連通する接続口の1つがスペーサ部材用の収容容器と接続された状態になり、基板用の収納容器と接続される接続口の数が減少する。そのため、複数の基板用の収納容器を切り替えて基板を搬送するときに待ち時間が発生し、搬送時間が長くなる。
【0010】
例えば、最初の基板用の収納容器を成膜装置の内部と連通させ、基板を移載した後、最初の基板用の収納容器を成膜装置の内部と遮断する。そして、最初の基板用の収納容器を次の基板用の収納容器と交換し、次の基板用の収納容器を成膜装置の内部と連通させ、基板を移載する。このとき、最初の基板用の収納容器と成膜装置の内部とを遮断してから、次の基板用の収納容器と成膜装置の内部とを連通させ、基板を搬送可能な状態になるまでに、待ち時間が発生するため、搬送時間が長くなる。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を基板保持部との間で搬送するときに、搬送時間を短くすることができる基板搬送方法及び基板搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の一実施例によれば、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送方法であって、第1のフォークの上方に設けられている第2のフォークの一方の面側に設けられた第1の掴み機構により、収容部に収容されている第1の基板を下掴みして受け取り、受け取った前記第1の基板を前記第2のフォークを上下反転させて前記第1のフォークに載置する第1の工程と、前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられた第2の掴み機構により、前記基板保持部に保持されているスペーサ部材を上掴みして受け取り、受け取った前記スペーサ部材を前記第1のフォークに載置された前記第1の基板上に載置する第2の工程と、前記第1の掴み機構により前記収容部に収容されている第2の基板を上掴みして受け取り、受け取った前記第2の基板を前記第1のフォークに載置された前記スペーサ部材上に載置する第3の工程とを有する、基板搬送方法が提供される。
【0014】
また、本発明の他の一実施例によれば、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送装置であって、前記基板保持部に対して進退可能に設けられており、前記基板保持部との間で前記積層体を受け渡す第1のフォークと、前記第1のフォークの上方に、前記基板を収容する収容部と前記基板保持部とに進退可能であって上下反転可能に設けられており、前記収容部と前記第1のフォークとの間で前記基板を受け渡すとともに、前記基板保持部と前記第1のフォークとの間で前記スペーサ部材を受け渡す第2のフォークと、前記第2のフォークの一方の面側に設けられており、前記基板を上掴みする第1の掴み機構と、前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられており、前記スペーサ部材を上掴みする第2の掴み機構とを有する、基板搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を基板保持部との間で搬送するときに、搬送時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る成膜装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】ローディングエリアを概略的に示す斜視図である。
【図3】前のバッチのウェハが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチのウェハの状態を示す図である。
【図4】ボートの一例を概略的に示す斜視図である。
【図5】ボートに複板ユニットが搭載されている状態を示す断面図である。
【図6】スペーサ部材の一例を概略的に示す平面図である。
【図7】成膜容器の付近を拡大して示す一部縦断面を含む図である。
【図8】移載機構の一例を概略的に示す側面図である。
【図9】上側フォークがウェハを下方から支持(下掴み)している状態を模式的に示す上面図及び横断面図である。
【図10】上側フォークがウェハを上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。
【図11】上側フォークがスペーサ部材を上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。
【図12】実施の形態に係る移載機構の上側フォークの先端部と、比較例に係る移載機構の上側フォークの先端部とを比較して示す縦断面図である。
【図13】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その1)である。
【図14】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その2)である。
【図15】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その3)である。
【図16】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その4)である。
【図17】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その5)である。
【図18】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その6)である。
【図19】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その7)である。
【図20】上側フォークがウェハを下側フォークに受け渡す際の上側フォーク及び第2の押し部の動きを示す図である。
【図21】実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
【0018】
最初に、図1から図6を参照し、本発明の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
【0019】
本実施の形態に係る成膜装置は、本発明に係る基板搬送装置を含み、複数枚の被処理基板(以下「基板」又は「ウェハW」という。)にバッチ処理により膜を成膜する成膜装置に適用した例である。
【0020】
本実施の形態に係る成膜装置は、例えばピロメリット酸二無水物(Pyromellitic Dianhydride、以下「PMDA」と略す。)を気化した第1の原料ガスと、例えば4,4'−3オキシジアニリン(4,4'-Oxydianiline、以下「ODA」と略す。)を気化した第2の原料ガスとを、成膜容器内に保持されている基板に供給することによって、基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置に適用することができる。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る成膜装置10を概略的に示す縦断面図である。図2は、ローディングエリア20を概略的に示す斜視図である。図3は、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチ(バッチ2)のウェハWの状態を示す図である。図4は、ボート24の一例を概略的に示す斜視図である。図5は、ボート24に複板ユニット36が搭載されている状態を示す断面図である。図6は、スペーサ部材35の一例を概略的に示す平面図である。図7は、成膜容器40の付近を拡大して示す一部縦断面を含む図である。
【0022】
図1に示すように、成膜装置10は、載置台(ロードポート)12、筐体18、及び制御部50を有する。
【0023】
載置台(ロードポート)12は、筐体18の前部に設けられている。筐体18は、ローディングエリア(作業領域)20及び成膜容器40を有する。ローディングエリア20は、筐体18内の下方に設けられており、成膜容器40は、筐体18内であってローディングエリア20の上方に設けられている。また、ローディングエリア20と成膜容器40との間には、ベースプレート19が設けられている。
【0024】
ベースプレート19は、成膜容器40の後述する反応管41を設置するための例えばSUS製のベースプレートであり、反応管41を下方から上方に挿入するための図示しない開口部が形成されている。
【0025】
載置台(ロードポート)12は、筐体18内へのウェハWの搬入搬出を行うためのものである。載置台(ロードポート)12には、収納容器13、14が載置されている。すなわち、収納容器13、14は、筐体18の外部に設けられている。収納容器13、14は、前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた、複数枚例えば50枚程度のウェハを所定の間隔で収容する密閉型収納容器(フープ)である。
【0026】
なお、収納容器13、14は、本発明における収容部に相当する。
【0027】
また、載置台12の下方には、後述する移載機構27により移載されたウェハWの外周に設けられたノッチを一方向に揃えるための整列装置(アライナ)15が設けられていてもよい。整列装置15は、筐体18内で後述するスペーサ部材35の回転角度を位置合わせするものであってもよい。整列装置15は、本発明における位置合わせ機構に相当する。
【0028】
ローディングエリア(作業領域)20は、収納容器13と後述するボート24との間でウェハWの移載を行い、ボート24を成膜容器40内に搬入(ロード)し、ボート24を成膜容器40から搬出(アンロード)するためのものである。ローディングエリア20には、ドア機構21、シャッター機構22、蓋体23、ボート24、基台25a、25b、昇降機構26(図2参照)、及び移載機構27が設けられている。
【0029】
なお、蓋体23及びボート24は、本発明における基板保持部に相当する。また、移載機構27は、本発明における基板搬送装置に相当する。
【0030】
ドア機構21は、収納容器13、14の蓋を取外して収納容器13、14内をローディングエリア20内に連通開放するためのものである。
【0031】
シャッター機構22は、ローディングエリア20の上方に設けられている。シャッター機構22は、蓋体23を開けているときに、後述する成膜容器40の開口43から高温の炉内の熱がローディングエリア20に放出されるのを抑制ないし防止するために開口43を覆う(又は塞ぐ)ように設けられている。
【0032】
蓋体23は、保温筒28及び回転機構29を有する。保温筒28は、蓋体23上に設けられている。保温筒28は、ボート24が蓋体23側との伝熱により冷却されることを防止し、ボート24を保温するためのものである。回転機構29は、蓋体23の下部に取り付けられている。回転機構29は、ボート24を回転するためのものである。回転機構29の回転軸は蓋体23を気密に貫通し、蓋体23上に配置された図示しない回転テーブルを回転するように設けられている。
【0033】
なお、前述したスペーサ部材35の回転角度を位置合わせする位置合わせ機構は、整列装置15に限定されない。例えば発光素子と受光素子よりなるセンサ等をボート24の近傍に設け、スペーサ部材35に回転角度を位置合わせするための位置合わせマークを形成してもよい。そして、スペーサ部材35がボート24に保持されているときに、回転機構29によりボート24を微小角度回転させ、センサと位置合わせマークとを用いて位置合わせしてもよい。
【0034】
昇降機構26は、ボート24のローディングエリア20から成膜容器40に対する搬入、搬出に際し、蓋体23を昇降駆動する。そして、昇降機構26により上昇させられた蓋体23が成膜容器40内に搬入されているときに、蓋体23は、後述する開口43に当接して開口43を密閉するように設けられている。そして、蓋体23に載置されているボート24は、成膜容器40内でウェハWを水平面内で回転可能に保持することができる。
【0035】
なお、成膜装置10は、ボート24を複数有していてもよい。以下、本実施の形態では、図2を参照し、ボート24を2つ有する例について説明する。
【0036】
ローディングエリア20には、ボート24a、24bが設けられている。そして、ローディングエリア20には、基台25a、25b及びボート搬送機構25cが設けられている。基台25a、25bは、それぞれボート24a、24bが蓋体23から移載される載置台である。ボート搬送機構25cは、ボート24a、24bを、蓋体23から基台25a、25bに移載するためのものである。
【0037】
図3に示すように、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが搭載されたボート24aが成膜容器40に搬入され、成膜処理されている時に、ローディングエリア20において、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを収納容器13からボート24bへ移載することができる。これにより、前のバッチ(バッチ1)のウェハWの成膜工程が終了し、成膜容器40からボート24aを搬出した直後に、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを搭載したボート24bを成膜容器40に搬入することができる。その結果、成膜処理に要する時間(タクト時間)を短縮することができ、製造コストを低減することができる。
【0038】
ボート24a、24bは、例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウェハWを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。ボート24a、24bは、例えば図4に示すように、天板30と底板31の間に複数本例えば3本の支柱32を介設してなる。支柱32には、ウェハWを保持するための爪部33が設けられている。また、支柱32と共に補助柱34が適宜設けられていてもよい。
【0039】
ボート24a、24bは、爪部33に、裏面同士が対向する2枚のウェハWがスペーサ部材35を介して積層されてなる複板ユニット36を、上下方向に所定の間隔で複数保持可能である。また、ボート24a、24bは、爪部33に、複板ユニット36を複数保持可能であるとともに、複板ユニット36を保持していないときに複板ユニット36に代えてスペーサ部材35を保持する。すなわち、ボート24a、24bは、ウェハWに成膜処理を行わないときに、スペーサ部材35を筐体18内に収容するためのものである。
【0040】
以下、本実施の形態では、複板ユニット36が、2枚のウェハWがリング形状を有するスペーサ部材35を介して積層されてなるものである例について説明する。
【0041】
なお、複板ユニット36は、本発明における積層体に相当する。
【0042】
図5に示すように、爪部33は、底部33a及び側壁部33bを有し、ボート24の周方向に垂直な縦断面がL字形状を有する。底部33aには、裏面Wbを上面(すなわち表面Waを下面)にした下側ウェハW1の周縁部が支持されている。底部33aに裏面Wbの周縁部が支持されている下側ウェハW1上には、スペーサ部材35が積み重ねられている。そして、スペーサ部材35上には、裏面Wbを下面(すなわち表面Waを上面)にした上側ウェハW2が支持されている。側壁部33bは、複板ユニット36を構成する下側ウェハW1、スペーサ部材35及び上側ウェハW2の側面に近接するように設けられており、複板ユニット36の水平方向のずれを防止する。
【0043】
なお、下側ウェハW1は、本発明における第1の基板に相当し、上側ウェハW2は、本発明における第2の基板に相当する。
【0044】
また、ウェハWとして、単独の1枚のウェハの他に、複数のウェハを張り合わせた張り合わせウェハを用いてもよい。これら各種のウェハを含め、例えば0.75〜1.2mmの厚さを有するウェハを用いることができる。
【0045】
図5及び図6に示すように、スペーサ部材35は、ウェハWの外径と略等しい外径を有するとともに、ウェハWの外径よりもやや小さい内径を有するリング形状を有する。スペーサ部材35は、成膜容器40内で成膜処理される際に、リング形状の部分が、裏面同士が対向する2枚のウェハWである下側ウェハW1の周縁部と上側ウェハW2の周縁部との間に挟まれている。これにより、裏面同士で対向する2枚のウェハW1、W2の隙間に原料ガスが入り込み、ウェハW1、W2の裏面に膜が成膜されることを抑制することができる。スペーサ部材35は、例えばSiC、シリコン、石英よりなる。
【0046】
図6に示すように、スペーサ部材35は、切欠部35a、35bを有する。図11を用いて後述するように、切欠部35aは、第2の掴み機構62によりスペーサ部材35を支持する際に、第1の掴み機構61の第1の爪部61aにスペーサ部材35が干渉しないように、設けられている。また、切欠部35bは、第2の掴み機構62によりスペーサ部材35を支持する際に、第1の掴み機構61の第1の押し部61bにスペーサ部材35が干渉しないように、設けられている。
【0047】
なお、切欠部35a、35bは、前述した位置合わせマークとして機能するものであってもよい。そして、爪部33を、切欠部が形成された位置に対応して設けるとともに、スペーサ部材35の周方向に沿ってテーパ形状を有するテーパ部を備えるように設けてもよい。そして、切欠部35a、35bが、テーパ部に係合しながら爪部33に保持されることによって、スペーサ部材35の回転角度を位置合わせしてもよい。
【0048】
図5に示すように、ウェハWの厚さをWtとし、1つの複板ユニット36全体の厚さをPaとし、複板ユニット36が上下方向に保持される間隔、すなわち爪部33の間隔をPbとする。このとき、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、Pa−2Wtであり、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、Pb−Paである。このような配置のとき、Pa−2WtがPb−Paよりも小さくなるようにすることが好ましい。すなわち、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pa−2Wt)が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)よりも狭くなるように、上下方向に複数保持されることが好ましい。
【0049】
ここで、複板ユニット36の厚さPaを例えば3.3mmとし、複板ユニット36が上下方向に保持される間隔(爪部33の間隔)Pbを例えば21mmとすることができる。すると、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)を21−3.3=17.7mmとすることができる。一方、複板ユニット36の間隔Pbである21mmに通常通り2枚のウェハWが等間隔に入るように支持するときは、上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、(21−0.9×2)/2=9.6mmであり、17.7mmよりも小さい。従って、複板ユニット36を用いて裏面同士が対向するようにウェハWを支持することにより、一のウェハWの表面Waと他のウェハWの表面Waとの隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面Waに十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0050】
移載機構27については、後述する。
【0051】
図7は、成膜容器40、供給機構44及び排気機構47の構成の概略を示す断面図である。
【0052】
成膜容器40は、例えば、複数枚の被処理基板例えば薄板円板状のウェハWを収容して所定の処理例えばCVD処理等を施すための縦型炉とすることができる。成膜容器40は、反応管41、及びヒータ(加熱装置)42を有する。
【0053】
反応管41は、例えば石英製であり、縦長の形状を有しており、下端に開口43が形成されている。ヒータ(加熱装置)42は、反応管41の周囲を覆うように設けられており、反応管41内を所定の温度例えば100〜1200℃に加熱制御可能である。
【0054】
供給機構44は、第1の原料ガス供給部45及び第2の原料ガス供給部46を有する。第1の原料ガス供給部45は、バルブ45bを介し、インジェクタ45cに接続されている。第2の原料ガス供給部46は、バルブ46bを介し、インジェクタ46cに接続されている。
【0055】
第1の原料ガス供給部45は、例えばPMDA原料を気化するための第1の気化器45aを有する。第1の気化器45aは、PMDAよりなる第1の原料を加熱して気化させ、気化して得られたPMDAガスよりなる第1の原料ガスを窒素ガス(N2ガス)よりなる第1のキャリアガスとともに反応管41内に供給する。
【0056】
第2の原料ガス供給部46は、例えばODA原料を気化するための第2の気化器46aを有する。第2の気化器46aは、ODAよりなる第2の原料を加熱して気化させ、気化して得られたODAガスよりなる第2の原料ガスを窒素ガス(N2ガス)よりなる第2のキャリアガスとともに反応管41内に供給する。第2のキャリアガスは、ODAガスよりなる第2の原料ガスを搬送するためのものであるとともに、液体状態のODAをバブリングするためのものでもある。
【0057】
排気機構47は、排気装置48、及び、成膜容器40内に設けられた排気管49を含む。排気機構47は、成膜容器40内からガスを排気するためのものである。
【0058】
インジェクタ45c、46cの側面には開口部が設けられており、第1の原料ガス供給部45及び第2の原料ガス供給部46により気化したPMDAガス及びODAガスが図面において矢印で示すようにウェハWに供給される。供給されたPMDAガス及びODAガスがウェハW上で蒸着重合反応することによりポリイミド膜が成膜される。なお、ポリイミド膜の成膜に寄与しないPMDAガス及びODAガス等は、そのまま流れ、排気管49より成膜容器40の外に排出される。また、ウェハW上に均一にポリイミド膜が成膜されるように、ボート24は、前述した回転機構29により回転駆動される。
【0059】
制御部50は、例えば、図示しない演算処理部、記憶部及び表示部を有する。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、ボート24(基板保持部)、後述する移載機構27、供給機構44、及び、排気機構47を構成する各部に制御信号を送り、後述するような基板搬送方法及び成膜処理を実行する。
【0060】
次に、図8から図11を参照し、移載機構27について説明する。
【0061】
図8は、移載機構27の一例を概略的に示す側面図である。図9は、上側フォーク54がウェハWを下方から支持(下掴み)している状態を模式的に示す上面図及び横断面図である。図10は、上側フォーク54がウェハWを上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。図11は、上側フォーク54がスペーサ部材35を上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。
【0062】
なお、図9から図11において、(b)の右半分は(a)のA−A線に沿う断面図を示し、(b)の左半分は(a)のD−D線に沿う断面図を示し、(c)の右半分は(a)のB−B線に沿う断面図を示し、(c)の左半分は(a)のC−C線に沿う断面図を示す。
【0063】
移載機構27は、収納容器13、14とボート24a、24bの間でウェハW又はスペーサ部材35の移載を行うためのものである。移載機構27は、基台51、昇降機構52、下側フォーク53及び上側フォーク54を有する。基台51は、旋回可能に設けられている。昇降機構52は、例えば上下方向に設けられたレール52a(図1参照)に沿って上下方向に移動可能(昇降可能)に設けられている。下側フォーク53は、基台51に対して水平動可能かつ昇降可能に設けられている。上側フォーク54は、基台51に対して水平動可能であるとともに上下反転可能に設けられている。
【0064】
なお、下側フォーク53は、本発明における第1のフォークに相当し、上側フォーク54は、本発明における第2のフォークに相当する。また、下側フォーク53と上側フォーク54とは、いずれか一方が他方に対して上下方向に移動可能に設けられていればよい。従って、下側フォーク53に代え、上側フォーク54が基台51に対して昇降可能に設けられていてもよい。
【0065】
下側フォーク53は、移動体55により、複板ユニット36を搭載するボート24a、24bに向けて進退可能に設けられており、ボート24a、24bとの間で複板ユニット36を受け渡しするためのものでもある。一方、上側フォーク54は、移動体56により、水平動可能に設けられているとともに、ウェハWを収容する収納容器13に向けて進退可能に設けられており、収納容器13との間でウェハWを受け渡しするためのものである。また、上側フォーク54は、移動体56により、スペーサ部材35を収容する収納容器14に向けて進退可能に設けられており、収納容器14との間でスペーサ部材35を受け渡しするためのものである。
【0066】
図9に示すように、上側フォーク54の先端部58は、二股状態に分かれている。また、下側フォーク53の先端部57も、図示を省略するが、上側フォーク54と同様に、二股状態に分かれている。
【0067】
下側フォーク53は、第1の掴み機構61、第2の掴み機構62及び支持部71を有する。
【0068】
第1の掴み機構61は、2つの第1の爪部61aと、2つの第1の押し部61bを有する。2つの第1の爪部61aは、上側フォーク54の二股状態に分かれている先端部58の各々の面54a側に1つずつ固定されている。2つの第1の押し部61bは、上側フォーク54の基端部60側であって面54a側に第1の爪部61aに対して進退可能に設けられており、ウェハWの周縁部に接触してウェハWを第1の爪部61a側に押すことによって第1の爪部61aとの間でウェハWを挟持する。2つの第1の押し部61bは、一体に設けられていてもよい。
【0069】
第2の掴み機構62は、2つの第2の爪部62aと、2つの第2の押し部62bを有する。2つの第2の爪部62aは、上側フォーク54の二股状態に分かれている先端部58の各々の面54a側に1つずつ固定されている。2つの第2の押し部62bは、上側フォーク54の基端部60側であって面54a側に第2の爪部62aに対して進退可能に設けられており、ウェハWの周縁部に接触してウェハWを第2の爪部62a側に押すことによって第2の爪部62aとの間でウェハWを挟持する。2つの第2の押し部62bは、一体に設けられていてもよい。
【0070】
すなわち、第1の掴み機構61は、上側フォーク54の一方の面54a側に設けられており、面54aを下方に向けた状態でウェハWを上掴みして支持可能に設けられている。また、第2の掴み機構62は、上側フォーク54の第1の掴み機構61が設けられている面54aと同一面側に設けられており、面54aを下方に向けた状態でスペーサ部材35を上掴みして支持可能に設けられている。
【0071】
なお、「ウェハWを上掴み」するとは、ウェハWを上方から掴むことを意味し、「スペーサ部材35を上掴み」するとは、スペーサ部材35を上方から掴むことを意味する。
【0072】
また、第1の爪部61a、第1の押し部61bは、少なくとも3箇所でウェハWの周縁部に接触して挟持できればよく、第1の爪部61aの個数と第1の押し部61bの個数との合計が3以上になるように設けられていればよい。また、第2の爪部62a、第2の押し部62bは、少なくとも3箇所でウェハWの周縁部に接触して挟持できればよく、第2の爪部62aの個数と第2の押し部62bの個数との合計が3以上になるように設けられていればよい。
【0073】
また、第1の掴み機構61は、第1の押し部61bを第1の爪部61aに対して進退駆動させる第1の進退駆動部63を有する。また、第2の掴み機構62は、第2の押し部62bを第2の爪部62aに対して進退駆動させる第2の進退駆動部64を有する。
【0074】
なお、第1の押し部61bと第2の押し部62bとは、一体に構成されていてもよい。これにより、第1の押し部61bを進退駆動する第1の進退駆動部63と第2の押し部62bを進退駆動する第2の進退駆動部64とをまとめて設けることができる。図8から図11では、第1の押し部61bと第2の押し部62bとが、一体に構成されており、同一の進退駆動部63(64)が設けられている例を示している。
【0075】
また、第1の掴み機構61として、ウェハWを上掴みできればよく、第1の爪部61a及び第1の押し部61b以外の部材を有するものであってもよい。また、第2の掴み機構62として、スペーサ部材35を上掴みできればよく、第2の爪部62aと第2の押し部62b以外の部材を有するものであってもよい。
【0076】
支持部71は、2つの接触部71aを有する。支持部71は、ウェハWを下掴みするときにウェハWの周縁部が載置される部分である。
【0077】
ウェハWを下掴みして支持するときは、図9(a)及び図9(b)に示すように、ウェハWは、第1の爪部61aと第1の押し部61bとに挟持されることによって、水平方向に拘束される。また、ウェハWの下面が、第1の爪部61aの底部61eと接触するとともに、接触部71aと接触することによって、上下方向に支持される。一方、図9(a)及び図9(c)に示すように、ウェハWは、第2の爪部62a及び第2の押し部62bのいずれにも接触しておらず、第2の爪部62aと第2の押し部62bとには挟持されない。
【0078】
なお、「ウェハWを下掴み」するとは、ウェハWを下方から掴むことを意味する。
【0079】
ウェハWを上掴みして支持するときは、図10(a)及び図10(b)に示すように、ウェハWは、第1の爪部61aと第1の押し部61bとに挟持されることによって、水平方向に拘束される。また、ウェハWの下面が、第1の爪部61aの鍔部61cと接触するとともに、第1の押し部61bの鍔部61dと接触することによって、上下方向に支持される。一方、図10(a)及び図10(c)に示すように、ウェハWは、第2の爪部62a及び第2の押し部62bのいずれにも接触しておらず、第2の爪部62aと第2の押し部62bとには挟持されない。
【0080】
スペーサ部材35を上掴みして支持するときは、図11(a)及び図11(c)に示すように、スペーサ部材35は、第2の爪部62aと第2の押し部62bとに挟持されることによって、水平方向に拘束される。また、スペーサ部材35の下面が、第2の爪部62aの鍔部62cと接触するとともに、第2の押し部62bの鍔部62dと接触することによって、上下方向に支持される。一方、図11(a)及び図11(b)に示すように、スペーサ部材35には、図6で示したように、切欠部35a、35bが設けられているため、第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれにも接触しておらず、第1の爪部61aと第1の押し部61bとには挟持されない。
【0081】
また、スペーサ部材35が第2の爪部62aの鍔部62cと接触する部分は、上方に少し切り欠かれた切欠部35cが形成されていてもよい。これにより、ボート24から複板ユニット36を受け取った後、ボート24にスペーサ部材35を戻すときに、ウェハW1上に載置されているスペーサ部材35を上掴みしやすくなる。
【0082】
また、第1の掴み機構61と第2の掴み機構62とは、第1の掴み機構61に支持されているウェハWの中心位置C1と、第2の掴み機構62に支持されているスペーサ部材35の中心位置C2とが、上側フォーク54の進退方向に沿って異なる位置になるように、設けられている。これにより、第2の爪部62aと第2の押し部62bとによりスペーサ部材35を挟持したときに、スペーサ部材35が第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれとも干渉しないようにすることができる。
【0083】
ウェハWの外径を例えば300mmとするとき、C1とC2との距離DCを例えば2mmとすることができる。
【0084】
ここで、図12を参照し、本実施の形態に係る移載機構によれば、収納容器に収容されているウェハ及びスペーサ部材の間隔を小さくすることができることを、比較例と対比しながら示す。
【0085】
図12は、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の先端部58と、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の先端部158とを比較して示す縦断面図である。図12(a)は、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の先端部58を示し、図12(b)は、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の先端部158を示す。
【0086】
先端部58、158の厚さをTFとし、第1の爪部61aの最大厚さをTWとし、第2の爪部62aの最大厚さをTSとする。また、第2の爪部62aの最大厚さTSが、第1の爪部61aの最大厚さTWよりも厚い、すなわちTS>TWであるものとする。これは、例えば1.5mmのスペーサ部材35の厚さが例えば0.9mmのウェハWの厚さよりも厚いことによる。
【0087】
図12(b)に示すように、比較例に係る移載機構では、第1の爪部61aと第2の爪部62aとが上側フォーク154の互いに反対側の面154a、154bに設けられている。従って、上側フォーク154の先端部158における厚さは、TS+TF+TWとなる。
【0088】
一方、図12(a)に示すように、本実施の形態に係る移載機構27では、第1の爪部61aと第2の爪部62aとが上側フォーク54の同一面54aに設けられている。従って、上側フォーク54の先端部58における厚さは、TS>TWより、TS+TFとなる。すなわち、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の厚さ(TS+TF)を、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の厚さ(TS+TF+TW)よりも薄くすることができる。従って、収納容器13、14におけるウェハW及びスペーサ部材35の間隔を小さくすることができる。
【0089】
また、ウェハWを収容する収納容器13では、ウェハWを上下方向に収容する所定のピッチが予め規定されている。所定のピッチをPL1とし、ウェハWの厚さをWtとするときに、図12(b)に示す比較例では、収納容器13における上側フォーク154と上下両側のウェハWとのクリアランスCL0は、(PL1−Wt−(TS+TF+TW))/2である。一方、図12(a)に示す本実施の形態では、収納容器13における上側フォーク54と上下両側のウェハWとのクリアランスCL1は、(PL1−Wt−(TS+TF))/2となり、CL0よりも大きくなる。このように、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の収納容器13内におけるクリアランスCL1を、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の収納容器13内におけるクリアランスCL0よりも大きくすることができる。
【0090】
例えば、PL1を10mmとし、Wtを0.9mmとし、比較例におけるTS+TF+TWを7.2mmとし、本実施の形態におけるTS+TFを5.3mmとする。すると、比較例におけるCL0は、0.95mmとなり、本実施の形態におけるCL1は1.9mmとなるため、CL1をCL0よりも大きくすることができる。
【0091】
次に、図13から図20を参照し、移載機構27が複板ユニット36を構成して搬送する基板搬送方法について説明する。
【0092】
図13から図19は、移載機構27が複板ユニット36を構成して搬送する手順を示す側面図である。また、図20は、上側フォーク54がウェハWを下側フォーク53に受け渡す際の上側フォーク54及び第2の押し部62bの動きを示す図である。図20(a)は、上側フォーク54がウェハWを下側フォーク53に受け渡す前の状態を示し、図20(b)は、上側フォーク54がウェハWを下側フォーク53に受け渡した後の状態を示している。
【0093】
まず、上側フォーク54を収納容器13内に前進させ、第1の掴み機構61によりウェハW1を下掴みに支持して受け取り、上側フォーク54を後退させるとともに上下反転させ、ウェハW1を下側フォーク53に載置する(第1の工程)。
【0094】
上側フォーク54を、面54aを上方に向けた状態で、ウェハW1が収容されている収納容器13内に前進させる(図13(a))。このとき、ウェハW1が第1の爪部61aと第1の押し部61bとの間に位置するように、前進させる。次いで、第1の押し部61bを前進させ、ウェハW1を第1の爪部61a側に押しながら下掴みして支持することによって、ウェハW1を受け取る(図13(b))。次いで、ウェハW1を支持したまま上側フォーク54を収納容器13内から後退させる(図13(c))。次いで、ウェハW1を支持したまま上側フォーク54を上下反転させる(図14(a))。次いで、下側フォーク53を、上昇させて上側フォーク54に近づける(図14(b))。次いで、第1の押し部61bを後退させ、ウェハW1を下側フォーク53に載置する(図14(c))。次いで、下側フォーク53を、もとの位置まで下降させる(図15(a))。
【0095】
上側フォーク54がウェハW1を下側フォーク53に受け渡す前は、図20(a)に示すように、第1の爪部61aと第1の押し部61bとによりウェハW1を挟持している。そして、上側フォーク54がウェハW1を下側フォーク53に受け渡す際に、図20(b)に示すように、第1の押し部61bを後退させると同時に、上側フォーク54を移動体56により少し前進させるとともに、移載機構27を昇降機構52により少し上昇させてもよい。これにより、ウェハW1を下側フォーク53に受け渡す際に、ウェハW1が第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれにも引っかからないようにすることができる。また、スペーサ部材35及びウェハW2を上側フォーク54から下側フォーク53に受け渡すときも同様にすることができる(図16(c)及び図18(c)参照)。
【0096】
なお、前述したように、下側フォーク53に代え、上側フォーク54が基台51に対して昇降可能に設けられていてもよい。このときは、上側フォーク54を下降させて下側フォーク53に近づけ、第1の押し部61bを後退させてウェハW1を下側フォーク53に載置した後、上側フォーク54をもとの位置まで上昇させてもよい。また、スペーサ部材35及びウェハW2を上側フォーク54から下側フォーク53に受け渡すときも同様にすることができる(図16(c)及び図18(c)参照)。
【0097】
次いで、上側フォーク54を、ボート24内に前進させ、第2の掴み機構62によりスペーサ部材35を上掴みに支持して受け取り、上側フォーク54を後退させ、スペーサ部材35を下側フォーク53に載置されているウェハW1上に載置する(第2の工程)。
【0098】
上側フォーク54を、面54aを下方に向けた状態で、爪部33にスペーサ部材35が保持されているボート24内に前進させる(図15(b))。このとき、スペーサ部材35が第2の爪部62aと第2の押し部62bとの間に位置するように、前進させる。次いで、第2の押し部62bを前進させ、スペーサ部材35を第2の爪部62a側に押しながら上掴みして支持することによって、爪部33からスペーサ部材35を受け取る(図15(c))。次いで、スペーサ部材35を支持したまま上側フォーク54をボート24内から後退させる(図16(a))。次いで、下側フォーク53を、上昇させて上側フォーク54に近づける(図16(b))。次いで、第2の押し部62bを後退させ、スペーサ部材35を下側フォーク53に載置されているウェハW1上に載置する(図16(c))。次いで、下側フォーク53を、もとの位置まで下降させる(図17(a))。
【0099】
第2の工程では、第2の掴み機構62に支持されているスペーサ部材35の中心位置C2が、上側フォーク54の進退方向に沿って、第1の掴み機構61に支持されているウェハW1の中心位置C1と異なる位置にあるときに、スペーサ部材35を受け取る。これにより、第2の爪部62aと第2の押し部62bとによりスペーサ部材35を挟持したときに、スペーサ部材35が第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれとも干渉しないようにすることができる。
【0100】
次いで、上側フォーク54を、収納容器13内に前進させ、第1の掴み機構61によりウェハW2を上掴みに支持して受け取り、上側フォーク54を後退させ、ウェハW2を下側フォーク53に載置されているスペーサ部材35上に載置する(第3の工程)。
【0101】
上側フォーク54を、面54aを下方に向けた状態で、ウェハW2が収容されている収納容器13内に前進させる(図17(b))。このとき、ウェハW2が第1の爪部61aと第1の押し部61bとの間に位置するように、前進させる。次いで、第1の押し部61bを前進させ、ウェハW2を第1の爪部61a側に押しながら上掴みして支持することによって、ウェハW2を受け取る(図17(c))。次いで、ウェハW2を支持したまま上側フォーク54を収納容器13内から後退させる(図18(a))。次いで、下側フォーク53を、上昇させて上側フォーク54に近づける(図18(b))。次いで、第1の押し部61bを後退させ、ウェハW2を下側フォーク53に載置されているスペーサ部材35上に載置する(図18(c))。次いで、下側フォーク53を、もとの位置まで下降させる(図19(a))。
【0102】
次いで、下側フォーク53を、ボート24内に前進させ、複板ユニット36を爪部33に受け渡す(第4の工程)。
【0103】
下側フォーク53を、ボート24内に前進させ、ウェハW1、スペーサ部材35及びウェハW2よりなる複板ユニット36を、第2の工程でスペーサ部材35が上側フォーク54に受け渡された爪部33に受け渡す(図19(b))。次いで、下側フォーク53をボート24内から後退させる(図19(c))。
【0104】
また、本実施の形態では、基板搬送方法において、例えば整列装置15により、筐体18の内部でスペーサ部材35の回転角度を位置合わせしてもよい(位置合わせ工程)。これにより、後述するように、筐体18の外部でスペーサ部材35の回転角度の位置合わせを行う工程が不要になる。
【0105】
次に、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理について説明する。図21は、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0106】
成膜処理開始後、ステップS11では、成膜容器40に複板ユニット36を搬入する(搬入工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばローディングエリア20において、移載機構27によりボート24aに複板ユニット36を搭載し、複板ユニット36を搭載したボート24aをボート搬送機構25cにより蓋体23に載置することができる。そして、ボート24aを載置した蓋体23を昇降機構26により上昇させて成膜容器40内に挿入することにより、複板ユニット36を搬入する。収納容器13、14からボート24aへのウェハW及びスペーサ部材35の移載は、図13から図19を用いて説明した手順により行うことができる。
【0107】
次に、ステップS12では、成膜容器40の内部を減圧する(減圧工程)。排気装置48の排気能力又は排気装置48と排気管49との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、排気管49を介して成膜容器40を排気する排気量を増大させる。そして、成膜容器40の内部を所定圧力例えば大気圧(760Torr)から例えば0.3Torrに減圧する。
【0108】
次に、ステップS13では、ポリイミド膜を成膜する(成膜工程)。
【0109】
予め、又はステップS13において、制御部50により、インジェクタ45cに第1の原料ガス(PMDAガス)を流す第1の流量F1と、インジェクタ46cに第2の原料ガス(ODAガス)を流す第2の流量F2とを設定しておく。そして、回転機構29によりウェハWを回転させた状態で、設定した第1の流量F1で第1の原料ガス供給部45からPMDAガスをインジェクタ45cに流し、設定した第2の流量F2で第2の原料ガス供給部46からODAガスをインジェクタ46cに流す。これにより、PMDAガスとODAガスとを所定の混合比で混合させた状態で成膜容器40内に供給する。そして、ウェハWの表面でPMDAとODAを重合反応させ、ポリイミド膜を成膜する。具体的には、例えば第1の流量F1を900sccmとし、第2の流量F2を900sccmとすることができる。
【0110】
このときの、PMDAとODAとの重合反応は、次の式(1)に従う。
【0111】
【化1】
本実施の形態では、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔よりも狭くなるように、複数のウェハWを上下方向に保持することができる。これにより、ボート24のウェハ搭載枚数を等しくした状態で、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔を増加することが可能となる。その結果、一のウェハWの表面と他のウェハWの表面との隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面に十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0112】
次に、ステップS14では、第1の原料ガス供給部45からのPMDAガスの供給及び第2の原料ガス供給部46からのODAガスの供給を停止し、成膜容器40の内部を大気圧に復圧する(復圧工程)。排気装置48の排気能力又は排気装置48と排気管49との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、成膜容器40を排気する排気量を減少させ、成膜容器40の内部を例えば0.3Torrから例えば大気圧(760Torr)に復圧する。
【0113】
次に、ステップS15では、成膜容器40から複板ユニット36を搬出する(搬出工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばボート24aを載置した蓋体23を昇降機構26により下降させて成膜容器40内からローディングエリア20に搬出することができる。そして、移載機構27により、搬出した蓋体23に載置されているボート24aから収納容器13へウェハWを移載することによって、複板ユニット36を成膜容器40から搬出する。ボート24aから収納容器13へのウェハWの移載は、図13から図19を用いて説明した収納容器13からボート24aへのウェハWの移載と逆の手順により行うことができる。このとき、スペーサ部材35は、ボート24a内に戻され、ボート24aの爪部33に保持される。その後、成膜処理を終了する。
【0114】
なお、複数のバッチについて連続して成膜処理を行うときは、更に、ローディングエリア20において、移載機構27により収納容器13からウェハWをボート24へ移載し、再びステップS11に戻り、次のバッチの成膜処理を行う。
【0115】
本実施の形態では、ボート24が、複板ユニット36を保持していないときに、複板ユニット36に代えてスペーサ部材35を保持する。
【0116】
成膜処理を行わないときに、スペーサ部材35が、筐体18の外部に設けられている収納容器14(以下「スペーサ部材用収納容器」という。)に収容され、ウェハWが収納容器(以下「ウェハ用収納容器」という。)13に収容されるものとする。このとき、ウェハ用収納容器13を筐体18と連通するドア機構21の1つがスペーサ部材用収容容器14と接続された状態になり、ウェハ用収納容器13と接続されるドア機構21の数が減少する。そのため、ウェハ用収納容器13を切り替えるための待ち時間が発生し、搬送時間が長くなる。
【0117】
例えば、最初のウェハ用収納容器13−1をドア機構21により筐体18と連通させ、最初のウェハ用収納容器13−1からウェハWを移載した後、ドア機構21により筐体18と遮断する。そして、最初のウェハ用収納容器13−1を次のウェハ用収納容器13−2と交換し、次のウェハ用収納容器13−2をドア機構21により筐体18と連通させ、次のウェハ用収納容器13−2からウェハWを移載する。このとき、最初のウェハ用収納容器13−1と筐体18の内部とを遮断してから、次のウェハ用収納容器13−2と筐体18の内部とを連通させ、搬送可能な状態になるまでに、待ち時間が発生するため、搬送時間が長くなる。
【0118】
特に、複板ユニット36が2枚のウェハWと1枚のスペーサ部材35よりなるときは、搬送されるウェハWの枚数は、搬送されるスペーサ部材35の枚数の、例えば2倍になる。従って、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14に収容するときは、ウェハ用収納容器13を同一のドア機構21に切り換えて連通させるための待ち時間の割合が増える。
【0119】
また、ウェハWが成膜処理用のウェハに代えて、モニタ用のウェハ、テスト用のウェハである場合も、全く同様に、搬送時間が長くなる。
【0120】
一方、本実施の形態では、筐体18の内部に設けられているボート24にスペーサ部材35が収容される。そのため、ウェハ用収納容器13と接続されるドア機構21の数が減ることがない。従って、最初のウェハ用収納容器13−1と筐体18の内部とを遮断する前に、次のウェハ用収納容器13−1をドア機構21により筐体18と連通させておくことができ、搬送時間を短くすることができる。
【0121】
また、スペーサ部材35が、スペーサ部材用収納容器14に収容されるときは、ウェハ用収納容器13に加え、スペーサ部材用収納容器14を成膜装置10に備えなくてはならず、部品点数が増大する。また、成膜装置10の載置台12以外の部分にスペーサ部材用収納容器14を収容するためのストッカを設けなくてはならず、成膜装置の設置面積又は装置全体のサイズが増大する。
【0122】
一方、本実施の形態では、筐体18の内部に設けられているボート24にスペーサ部材35が収容される。そのため、スペーサ部材用収納容器14を成膜装置10に備える必要がなく、部品点数を減らすことができるとともに、成膜装置の設置面積又は装置全体のサイズを低減できる。
【0123】
また、スペーサ部材35をボート24に保持した状態で、成膜容器40内で熱処理してクリーニングを行うことがある。ここで、スペーサ部材35が、スペーサ部材用収納容器14に収容されるときは、クリーニングを行う都度、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14からボート24に搬送する工程が必要になり、クリーニング時間が長くなる。
【0124】
一方、本実施の形態では、筐体18の内部に設けられているボート24にスペーサ部材35が収容される。そのため、クリーニングを行う都度、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14からボート24に搬送する工程が不要であり、クリーニング時間を短くすることができる。
【0125】
更に、成膜処理を複数回行い、スペーサ部材35を複数回連続して使用した場合、熱膨張の影響、移載機構27による回転角度の位置ずれが積み重なって許容範囲を超え、搬送ができなくなることがある。このようなとき、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14に戻し、筐体18の外部で回転角度の位置合わせを行う工程が必要である。
【0126】
一方、本実施の形態では、前述したように、位置合わせ機構により、筐体18の内部でスペーサ部材35の回転角度を位置合わせすることができる。これにより、筐体18の外部でスペーサ部材35の回転角度の位置合わせを行う工程が不要になる。
【0127】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0128】
なお、実施の形態では、移載機構が、成膜装置のボートに複板ユニットを移載するものである場合について説明した。しかし、移載機構は、複板ユニットを上下方向に所定の保持間隔で複数保持可能であるとともに、複板ユニットを保持していないときにスペーサ部材を保持する基板保持部に対して、複板ユニットを搬送するものであればよい。従って、移載機構は、成膜装置のボート以外の各種の基板処理装置の基板保持部に対して、複板ユニットを移載するものであってもよい。
【符号の説明】
【0129】
10 成膜装置
13、14 収納容器
24、24a、24b ボート
26 昇降機構
27 移載機構
35 スペーサ部材
36 複板ユニット
52 昇降機構
53 下側フォーク
54 上側フォーク
54a 面
58 先端部
60 基端部
61 第1の掴み機構
61a 第1の爪部
61b 第1の押し部
62 第2の掴み機構
62a 第2の爪部
62b 第2の押し部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する基板搬送方法、その基板搬送方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体、及び基板を搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、例えば半導体ウェハ等の被処理基板(以下、「基板」ともいう。)に、酸化、拡散、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの処理を施すために、各種の処理装置が用いられている。そして、その一つとして、一度に多数枚の被処理基板の熱処理が可能な縦型の熱処理装置よりなる成膜装置が知られている。
【0003】
成膜装置は、ボートと、昇降機構と、移載機構(基板搬送装置)とを有する。ボートは、複数の基板を上下方向に所定の保持間隔で保持して成膜容器に搬入搬出される基板保持部である。昇降機構は、成膜容器の下方に形成されたローディングエリアに設けられており、成膜容器の開口を閉塞する蓋体の上部にボートを載置した状態で蓋体を上昇下降させて成膜容器とローディングエリアとの間でボートを昇降させる。移載機構は、ローディングエリアに搬出されたボートと複数枚の基板を収容する収納容器との間で基板の移載を行う。
【0004】
このような成膜装置を用いた成膜方法の一つとして、基板の表面にポリイミド膜を成膜する方法が挙げられる。基板の表面にポリイミドを成膜して得られるポリイミド膜は、半導体デバイスにおける絶縁膜として用いることが可能である。ポリイミド膜を成膜する方法としては、原料モノマーとして例えばピロメリット酸二無水物(PMDA)と、例えば4,4'−オキシジアニリン(ODA)を用いた蒸着重合による成膜方法が知られている。
【0005】
このような成膜装置においては、ボートにおける基板の搭載枚数を増やすために、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の保持間隔でボートに保持することがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、基板を収容する収納容器と、基板保持部との間で基板を搬送する際に、ストッパ部材とクランプ手段とで基板をクランプする基板搬送装置がある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載の基板搬送装置では、ストッパ部材は、フォークの先端部に設けられており、基板の周縁部と接触する。クランプ手段は、フォークの基端部側に前進及び後退が可能に設けられており、基板をストッパ部材側へ押してクランプする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−81259号公報
【特許文献2】特開2009−99918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記したような積層体を保持するボートを有する成膜装置に設けられた移載機構、すなわち基板搬送装置には、以下のような問題がある。
【0009】
成膜処理を行わないときに、スペーサ部材が、成膜装置の外部に設けられている収納容器に収容され、基板が収納容器に収容されるものとする。このとき、基板用の収納容器を成膜装置の内部と連通する接続口の1つがスペーサ部材用の収容容器と接続された状態になり、基板用の収納容器と接続される接続口の数が減少する。そのため、複数の基板用の収納容器を切り替えて基板を搬送するときに待ち時間が発生し、搬送時間が長くなる。
【0010】
例えば、最初の基板用の収納容器を成膜装置の内部と連通させ、基板を移載した後、最初の基板用の収納容器を成膜装置の内部と遮断する。そして、最初の基板用の収納容器を次の基板用の収納容器と交換し、次の基板用の収納容器を成膜装置の内部と連通させ、基板を移載する。このとき、最初の基板用の収納容器と成膜装置の内部とを遮断してから、次の基板用の収納容器と成膜装置の内部とを連通させ、基板を搬送可能な状態になるまでに、待ち時間が発生するため、搬送時間が長くなる。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を基板保持部との間で搬送するときに、搬送時間を短くすることができる基板搬送方法及び基板搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の一実施例によれば、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送方法であって、第1のフォークの上方に設けられている第2のフォークの一方の面側に設けられた第1の掴み機構により、収容部に収容されている第1の基板を下掴みして受け取り、受け取った前記第1の基板を前記第2のフォークを上下反転させて前記第1のフォークに載置する第1の工程と、前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられた第2の掴み機構により、前記基板保持部に保持されているスペーサ部材を上掴みして受け取り、受け取った前記スペーサ部材を前記第1のフォークに載置された前記第1の基板上に載置する第2の工程と、前記第1の掴み機構により前記収容部に収容されている第2の基板を上掴みして受け取り、受け取った前記第2の基板を前記第1のフォークに載置された前記スペーサ部材上に載置する第3の工程とを有する、基板搬送方法が提供される。
【0014】
また、本発明の他の一実施例によれば、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送装置であって、前記基板保持部に対して進退可能に設けられており、前記基板保持部との間で前記積層体を受け渡す第1のフォークと、前記第1のフォークの上方に、前記基板を収容する収容部と前記基板保持部とに進退可能であって上下反転可能に設けられており、前記収容部と前記第1のフォークとの間で前記基板を受け渡すとともに、前記基板保持部と前記第1のフォークとの間で前記スペーサ部材を受け渡す第2のフォークと、前記第2のフォークの一方の面側に設けられており、前記基板を上掴みする第1の掴み機構と、前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられており、前記スペーサ部材を上掴みする第2の掴み機構とを有する、基板搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を基板保持部との間で搬送するときに、搬送時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る成膜装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】ローディングエリアを概略的に示す斜視図である。
【図3】前のバッチのウェハが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチのウェハの状態を示す図である。
【図4】ボートの一例を概略的に示す斜視図である。
【図5】ボートに複板ユニットが搭載されている状態を示す断面図である。
【図6】スペーサ部材の一例を概略的に示す平面図である。
【図7】成膜容器の付近を拡大して示す一部縦断面を含む図である。
【図8】移載機構の一例を概略的に示す側面図である。
【図9】上側フォークがウェハを下方から支持(下掴み)している状態を模式的に示す上面図及び横断面図である。
【図10】上側フォークがウェハを上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。
【図11】上側フォークがスペーサ部材を上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。
【図12】実施の形態に係る移載機構の上側フォークの先端部と、比較例に係る移載機構の上側フォークの先端部とを比較して示す縦断面図である。
【図13】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その1)である。
【図14】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その2)である。
【図15】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その3)である。
【図16】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その4)である。
【図17】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その5)である。
【図18】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その6)である。
【図19】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図(その7)である。
【図20】上側フォークがウェハを下側フォークに受け渡す際の上側フォーク及び第2の押し部の動きを示す図である。
【図21】実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
【0018】
最初に、図1から図6を参照し、本発明の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
【0019】
本実施の形態に係る成膜装置は、本発明に係る基板搬送装置を含み、複数枚の被処理基板(以下「基板」又は「ウェハW」という。)にバッチ処理により膜を成膜する成膜装置に適用した例である。
【0020】
本実施の形態に係る成膜装置は、例えばピロメリット酸二無水物(Pyromellitic Dianhydride、以下「PMDA」と略す。)を気化した第1の原料ガスと、例えば4,4'−3オキシジアニリン(4,4'-Oxydianiline、以下「ODA」と略す。)を気化した第2の原料ガスとを、成膜容器内に保持されている基板に供給することによって、基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置に適用することができる。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る成膜装置10を概略的に示す縦断面図である。図2は、ローディングエリア20を概略的に示す斜視図である。図3は、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチ(バッチ2)のウェハWの状態を示す図である。図4は、ボート24の一例を概略的に示す斜視図である。図5は、ボート24に複板ユニット36が搭載されている状態を示す断面図である。図6は、スペーサ部材35の一例を概略的に示す平面図である。図7は、成膜容器40の付近を拡大して示す一部縦断面を含む図である。
【0022】
図1に示すように、成膜装置10は、載置台(ロードポート)12、筐体18、及び制御部50を有する。
【0023】
載置台(ロードポート)12は、筐体18の前部に設けられている。筐体18は、ローディングエリア(作業領域)20及び成膜容器40を有する。ローディングエリア20は、筐体18内の下方に設けられており、成膜容器40は、筐体18内であってローディングエリア20の上方に設けられている。また、ローディングエリア20と成膜容器40との間には、ベースプレート19が設けられている。
【0024】
ベースプレート19は、成膜容器40の後述する反応管41を設置するための例えばSUS製のベースプレートであり、反応管41を下方から上方に挿入するための図示しない開口部が形成されている。
【0025】
載置台(ロードポート)12は、筐体18内へのウェハWの搬入搬出を行うためのものである。載置台(ロードポート)12には、収納容器13、14が載置されている。すなわち、収納容器13、14は、筐体18の外部に設けられている。収納容器13、14は、前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた、複数枚例えば50枚程度のウェハを所定の間隔で収容する密閉型収納容器(フープ)である。
【0026】
なお、収納容器13、14は、本発明における収容部に相当する。
【0027】
また、載置台12の下方には、後述する移載機構27により移載されたウェハWの外周に設けられたノッチを一方向に揃えるための整列装置(アライナ)15が設けられていてもよい。整列装置15は、筐体18内で後述するスペーサ部材35の回転角度を位置合わせするものであってもよい。整列装置15は、本発明における位置合わせ機構に相当する。
【0028】
ローディングエリア(作業領域)20は、収納容器13と後述するボート24との間でウェハWの移載を行い、ボート24を成膜容器40内に搬入(ロード)し、ボート24を成膜容器40から搬出(アンロード)するためのものである。ローディングエリア20には、ドア機構21、シャッター機構22、蓋体23、ボート24、基台25a、25b、昇降機構26(図2参照)、及び移載機構27が設けられている。
【0029】
なお、蓋体23及びボート24は、本発明における基板保持部に相当する。また、移載機構27は、本発明における基板搬送装置に相当する。
【0030】
ドア機構21は、収納容器13、14の蓋を取外して収納容器13、14内をローディングエリア20内に連通開放するためのものである。
【0031】
シャッター機構22は、ローディングエリア20の上方に設けられている。シャッター機構22は、蓋体23を開けているときに、後述する成膜容器40の開口43から高温の炉内の熱がローディングエリア20に放出されるのを抑制ないし防止するために開口43を覆う(又は塞ぐ)ように設けられている。
【0032】
蓋体23は、保温筒28及び回転機構29を有する。保温筒28は、蓋体23上に設けられている。保温筒28は、ボート24が蓋体23側との伝熱により冷却されることを防止し、ボート24を保温するためのものである。回転機構29は、蓋体23の下部に取り付けられている。回転機構29は、ボート24を回転するためのものである。回転機構29の回転軸は蓋体23を気密に貫通し、蓋体23上に配置された図示しない回転テーブルを回転するように設けられている。
【0033】
なお、前述したスペーサ部材35の回転角度を位置合わせする位置合わせ機構は、整列装置15に限定されない。例えば発光素子と受光素子よりなるセンサ等をボート24の近傍に設け、スペーサ部材35に回転角度を位置合わせするための位置合わせマークを形成してもよい。そして、スペーサ部材35がボート24に保持されているときに、回転機構29によりボート24を微小角度回転させ、センサと位置合わせマークとを用いて位置合わせしてもよい。
【0034】
昇降機構26は、ボート24のローディングエリア20から成膜容器40に対する搬入、搬出に際し、蓋体23を昇降駆動する。そして、昇降機構26により上昇させられた蓋体23が成膜容器40内に搬入されているときに、蓋体23は、後述する開口43に当接して開口43を密閉するように設けられている。そして、蓋体23に載置されているボート24は、成膜容器40内でウェハWを水平面内で回転可能に保持することができる。
【0035】
なお、成膜装置10は、ボート24を複数有していてもよい。以下、本実施の形態では、図2を参照し、ボート24を2つ有する例について説明する。
【0036】
ローディングエリア20には、ボート24a、24bが設けられている。そして、ローディングエリア20には、基台25a、25b及びボート搬送機構25cが設けられている。基台25a、25bは、それぞれボート24a、24bが蓋体23から移載される載置台である。ボート搬送機構25cは、ボート24a、24bを、蓋体23から基台25a、25bに移載するためのものである。
【0037】
図3に示すように、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが搭載されたボート24aが成膜容器40に搬入され、成膜処理されている時に、ローディングエリア20において、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを収納容器13からボート24bへ移載することができる。これにより、前のバッチ(バッチ1)のウェハWの成膜工程が終了し、成膜容器40からボート24aを搬出した直後に、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを搭載したボート24bを成膜容器40に搬入することができる。その結果、成膜処理に要する時間(タクト時間)を短縮することができ、製造コストを低減することができる。
【0038】
ボート24a、24bは、例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウェハWを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。ボート24a、24bは、例えば図4に示すように、天板30と底板31の間に複数本例えば3本の支柱32を介設してなる。支柱32には、ウェハWを保持するための爪部33が設けられている。また、支柱32と共に補助柱34が適宜設けられていてもよい。
【0039】
ボート24a、24bは、爪部33に、裏面同士が対向する2枚のウェハWがスペーサ部材35を介して積層されてなる複板ユニット36を、上下方向に所定の間隔で複数保持可能である。また、ボート24a、24bは、爪部33に、複板ユニット36を複数保持可能であるとともに、複板ユニット36を保持していないときに複板ユニット36に代えてスペーサ部材35を保持する。すなわち、ボート24a、24bは、ウェハWに成膜処理を行わないときに、スペーサ部材35を筐体18内に収容するためのものである。
【0040】
以下、本実施の形態では、複板ユニット36が、2枚のウェハWがリング形状を有するスペーサ部材35を介して積層されてなるものである例について説明する。
【0041】
なお、複板ユニット36は、本発明における積層体に相当する。
【0042】
図5に示すように、爪部33は、底部33a及び側壁部33bを有し、ボート24の周方向に垂直な縦断面がL字形状を有する。底部33aには、裏面Wbを上面(すなわち表面Waを下面)にした下側ウェハW1の周縁部が支持されている。底部33aに裏面Wbの周縁部が支持されている下側ウェハW1上には、スペーサ部材35が積み重ねられている。そして、スペーサ部材35上には、裏面Wbを下面(すなわち表面Waを上面)にした上側ウェハW2が支持されている。側壁部33bは、複板ユニット36を構成する下側ウェハW1、スペーサ部材35及び上側ウェハW2の側面に近接するように設けられており、複板ユニット36の水平方向のずれを防止する。
【0043】
なお、下側ウェハW1は、本発明における第1の基板に相当し、上側ウェハW2は、本発明における第2の基板に相当する。
【0044】
また、ウェハWとして、単独の1枚のウェハの他に、複数のウェハを張り合わせた張り合わせウェハを用いてもよい。これら各種のウェハを含め、例えば0.75〜1.2mmの厚さを有するウェハを用いることができる。
【0045】
図5及び図6に示すように、スペーサ部材35は、ウェハWの外径と略等しい外径を有するとともに、ウェハWの外径よりもやや小さい内径を有するリング形状を有する。スペーサ部材35は、成膜容器40内で成膜処理される際に、リング形状の部分が、裏面同士が対向する2枚のウェハWである下側ウェハW1の周縁部と上側ウェハW2の周縁部との間に挟まれている。これにより、裏面同士で対向する2枚のウェハW1、W2の隙間に原料ガスが入り込み、ウェハW1、W2の裏面に膜が成膜されることを抑制することができる。スペーサ部材35は、例えばSiC、シリコン、石英よりなる。
【0046】
図6に示すように、スペーサ部材35は、切欠部35a、35bを有する。図11を用いて後述するように、切欠部35aは、第2の掴み機構62によりスペーサ部材35を支持する際に、第1の掴み機構61の第1の爪部61aにスペーサ部材35が干渉しないように、設けられている。また、切欠部35bは、第2の掴み機構62によりスペーサ部材35を支持する際に、第1の掴み機構61の第1の押し部61bにスペーサ部材35が干渉しないように、設けられている。
【0047】
なお、切欠部35a、35bは、前述した位置合わせマークとして機能するものであってもよい。そして、爪部33を、切欠部が形成された位置に対応して設けるとともに、スペーサ部材35の周方向に沿ってテーパ形状を有するテーパ部を備えるように設けてもよい。そして、切欠部35a、35bが、テーパ部に係合しながら爪部33に保持されることによって、スペーサ部材35の回転角度を位置合わせしてもよい。
【0048】
図5に示すように、ウェハWの厚さをWtとし、1つの複板ユニット36全体の厚さをPaとし、複板ユニット36が上下方向に保持される間隔、すなわち爪部33の間隔をPbとする。このとき、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、Pa−2Wtであり、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、Pb−Paである。このような配置のとき、Pa−2WtがPb−Paよりも小さくなるようにすることが好ましい。すなわち、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pa−2Wt)が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)よりも狭くなるように、上下方向に複数保持されることが好ましい。
【0049】
ここで、複板ユニット36の厚さPaを例えば3.3mmとし、複板ユニット36が上下方向に保持される間隔(爪部33の間隔)Pbを例えば21mmとすることができる。すると、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)を21−3.3=17.7mmとすることができる。一方、複板ユニット36の間隔Pbである21mmに通常通り2枚のウェハWが等間隔に入るように支持するときは、上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、(21−0.9×2)/2=9.6mmであり、17.7mmよりも小さい。従って、複板ユニット36を用いて裏面同士が対向するようにウェハWを支持することにより、一のウェハWの表面Waと他のウェハWの表面Waとの隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面Waに十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0050】
移載機構27については、後述する。
【0051】
図7は、成膜容器40、供給機構44及び排気機構47の構成の概略を示す断面図である。
【0052】
成膜容器40は、例えば、複数枚の被処理基板例えば薄板円板状のウェハWを収容して所定の処理例えばCVD処理等を施すための縦型炉とすることができる。成膜容器40は、反応管41、及びヒータ(加熱装置)42を有する。
【0053】
反応管41は、例えば石英製であり、縦長の形状を有しており、下端に開口43が形成されている。ヒータ(加熱装置)42は、反応管41の周囲を覆うように設けられており、反応管41内を所定の温度例えば100〜1200℃に加熱制御可能である。
【0054】
供給機構44は、第1の原料ガス供給部45及び第2の原料ガス供給部46を有する。第1の原料ガス供給部45は、バルブ45bを介し、インジェクタ45cに接続されている。第2の原料ガス供給部46は、バルブ46bを介し、インジェクタ46cに接続されている。
【0055】
第1の原料ガス供給部45は、例えばPMDA原料を気化するための第1の気化器45aを有する。第1の気化器45aは、PMDAよりなる第1の原料を加熱して気化させ、気化して得られたPMDAガスよりなる第1の原料ガスを窒素ガス(N2ガス)よりなる第1のキャリアガスとともに反応管41内に供給する。
【0056】
第2の原料ガス供給部46は、例えばODA原料を気化するための第2の気化器46aを有する。第2の気化器46aは、ODAよりなる第2の原料を加熱して気化させ、気化して得られたODAガスよりなる第2の原料ガスを窒素ガス(N2ガス)よりなる第2のキャリアガスとともに反応管41内に供給する。第2のキャリアガスは、ODAガスよりなる第2の原料ガスを搬送するためのものであるとともに、液体状態のODAをバブリングするためのものでもある。
【0057】
排気機構47は、排気装置48、及び、成膜容器40内に設けられた排気管49を含む。排気機構47は、成膜容器40内からガスを排気するためのものである。
【0058】
インジェクタ45c、46cの側面には開口部が設けられており、第1の原料ガス供給部45及び第2の原料ガス供給部46により気化したPMDAガス及びODAガスが図面において矢印で示すようにウェハWに供給される。供給されたPMDAガス及びODAガスがウェハW上で蒸着重合反応することによりポリイミド膜が成膜される。なお、ポリイミド膜の成膜に寄与しないPMDAガス及びODAガス等は、そのまま流れ、排気管49より成膜容器40の外に排出される。また、ウェハW上に均一にポリイミド膜が成膜されるように、ボート24は、前述した回転機構29により回転駆動される。
【0059】
制御部50は、例えば、図示しない演算処理部、記憶部及び表示部を有する。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、ボート24(基板保持部)、後述する移載機構27、供給機構44、及び、排気機構47を構成する各部に制御信号を送り、後述するような基板搬送方法及び成膜処理を実行する。
【0060】
次に、図8から図11を参照し、移載機構27について説明する。
【0061】
図8は、移載機構27の一例を概略的に示す側面図である。図9は、上側フォーク54がウェハWを下方から支持(下掴み)している状態を模式的に示す上面図及び横断面図である。図10は、上側フォーク54がウェハWを上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。図11は、上側フォーク54がスペーサ部材35を上方から支持(上掴み)している状態を模式的に示す下面図及び横断面図である。
【0062】
なお、図9から図11において、(b)の右半分は(a)のA−A線に沿う断面図を示し、(b)の左半分は(a)のD−D線に沿う断面図を示し、(c)の右半分は(a)のB−B線に沿う断面図を示し、(c)の左半分は(a)のC−C線に沿う断面図を示す。
【0063】
移載機構27は、収納容器13、14とボート24a、24bの間でウェハW又はスペーサ部材35の移載を行うためのものである。移載機構27は、基台51、昇降機構52、下側フォーク53及び上側フォーク54を有する。基台51は、旋回可能に設けられている。昇降機構52は、例えば上下方向に設けられたレール52a(図1参照)に沿って上下方向に移動可能(昇降可能)に設けられている。下側フォーク53は、基台51に対して水平動可能かつ昇降可能に設けられている。上側フォーク54は、基台51に対して水平動可能であるとともに上下反転可能に設けられている。
【0064】
なお、下側フォーク53は、本発明における第1のフォークに相当し、上側フォーク54は、本発明における第2のフォークに相当する。また、下側フォーク53と上側フォーク54とは、いずれか一方が他方に対して上下方向に移動可能に設けられていればよい。従って、下側フォーク53に代え、上側フォーク54が基台51に対して昇降可能に設けられていてもよい。
【0065】
下側フォーク53は、移動体55により、複板ユニット36を搭載するボート24a、24bに向けて進退可能に設けられており、ボート24a、24bとの間で複板ユニット36を受け渡しするためのものでもある。一方、上側フォーク54は、移動体56により、水平動可能に設けられているとともに、ウェハWを収容する収納容器13に向けて進退可能に設けられており、収納容器13との間でウェハWを受け渡しするためのものである。また、上側フォーク54は、移動体56により、スペーサ部材35を収容する収納容器14に向けて進退可能に設けられており、収納容器14との間でスペーサ部材35を受け渡しするためのものである。
【0066】
図9に示すように、上側フォーク54の先端部58は、二股状態に分かれている。また、下側フォーク53の先端部57も、図示を省略するが、上側フォーク54と同様に、二股状態に分かれている。
【0067】
下側フォーク53は、第1の掴み機構61、第2の掴み機構62及び支持部71を有する。
【0068】
第1の掴み機構61は、2つの第1の爪部61aと、2つの第1の押し部61bを有する。2つの第1の爪部61aは、上側フォーク54の二股状態に分かれている先端部58の各々の面54a側に1つずつ固定されている。2つの第1の押し部61bは、上側フォーク54の基端部60側であって面54a側に第1の爪部61aに対して進退可能に設けられており、ウェハWの周縁部に接触してウェハWを第1の爪部61a側に押すことによって第1の爪部61aとの間でウェハWを挟持する。2つの第1の押し部61bは、一体に設けられていてもよい。
【0069】
第2の掴み機構62は、2つの第2の爪部62aと、2つの第2の押し部62bを有する。2つの第2の爪部62aは、上側フォーク54の二股状態に分かれている先端部58の各々の面54a側に1つずつ固定されている。2つの第2の押し部62bは、上側フォーク54の基端部60側であって面54a側に第2の爪部62aに対して進退可能に設けられており、ウェハWの周縁部に接触してウェハWを第2の爪部62a側に押すことによって第2の爪部62aとの間でウェハWを挟持する。2つの第2の押し部62bは、一体に設けられていてもよい。
【0070】
すなわち、第1の掴み機構61は、上側フォーク54の一方の面54a側に設けられており、面54aを下方に向けた状態でウェハWを上掴みして支持可能に設けられている。また、第2の掴み機構62は、上側フォーク54の第1の掴み機構61が設けられている面54aと同一面側に設けられており、面54aを下方に向けた状態でスペーサ部材35を上掴みして支持可能に設けられている。
【0071】
なお、「ウェハWを上掴み」するとは、ウェハWを上方から掴むことを意味し、「スペーサ部材35を上掴み」するとは、スペーサ部材35を上方から掴むことを意味する。
【0072】
また、第1の爪部61a、第1の押し部61bは、少なくとも3箇所でウェハWの周縁部に接触して挟持できればよく、第1の爪部61aの個数と第1の押し部61bの個数との合計が3以上になるように設けられていればよい。また、第2の爪部62a、第2の押し部62bは、少なくとも3箇所でウェハWの周縁部に接触して挟持できればよく、第2の爪部62aの個数と第2の押し部62bの個数との合計が3以上になるように設けられていればよい。
【0073】
また、第1の掴み機構61は、第1の押し部61bを第1の爪部61aに対して進退駆動させる第1の進退駆動部63を有する。また、第2の掴み機構62は、第2の押し部62bを第2の爪部62aに対して進退駆動させる第2の進退駆動部64を有する。
【0074】
なお、第1の押し部61bと第2の押し部62bとは、一体に構成されていてもよい。これにより、第1の押し部61bを進退駆動する第1の進退駆動部63と第2の押し部62bを進退駆動する第2の進退駆動部64とをまとめて設けることができる。図8から図11では、第1の押し部61bと第2の押し部62bとが、一体に構成されており、同一の進退駆動部63(64)が設けられている例を示している。
【0075】
また、第1の掴み機構61として、ウェハWを上掴みできればよく、第1の爪部61a及び第1の押し部61b以外の部材を有するものであってもよい。また、第2の掴み機構62として、スペーサ部材35を上掴みできればよく、第2の爪部62aと第2の押し部62b以外の部材を有するものであってもよい。
【0076】
支持部71は、2つの接触部71aを有する。支持部71は、ウェハWを下掴みするときにウェハWの周縁部が載置される部分である。
【0077】
ウェハWを下掴みして支持するときは、図9(a)及び図9(b)に示すように、ウェハWは、第1の爪部61aと第1の押し部61bとに挟持されることによって、水平方向に拘束される。また、ウェハWの下面が、第1の爪部61aの底部61eと接触するとともに、接触部71aと接触することによって、上下方向に支持される。一方、図9(a)及び図9(c)に示すように、ウェハWは、第2の爪部62a及び第2の押し部62bのいずれにも接触しておらず、第2の爪部62aと第2の押し部62bとには挟持されない。
【0078】
なお、「ウェハWを下掴み」するとは、ウェハWを下方から掴むことを意味する。
【0079】
ウェハWを上掴みして支持するときは、図10(a)及び図10(b)に示すように、ウェハWは、第1の爪部61aと第1の押し部61bとに挟持されることによって、水平方向に拘束される。また、ウェハWの下面が、第1の爪部61aの鍔部61cと接触するとともに、第1の押し部61bの鍔部61dと接触することによって、上下方向に支持される。一方、図10(a)及び図10(c)に示すように、ウェハWは、第2の爪部62a及び第2の押し部62bのいずれにも接触しておらず、第2の爪部62aと第2の押し部62bとには挟持されない。
【0080】
スペーサ部材35を上掴みして支持するときは、図11(a)及び図11(c)に示すように、スペーサ部材35は、第2の爪部62aと第2の押し部62bとに挟持されることによって、水平方向に拘束される。また、スペーサ部材35の下面が、第2の爪部62aの鍔部62cと接触するとともに、第2の押し部62bの鍔部62dと接触することによって、上下方向に支持される。一方、図11(a)及び図11(b)に示すように、スペーサ部材35には、図6で示したように、切欠部35a、35bが設けられているため、第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれにも接触しておらず、第1の爪部61aと第1の押し部61bとには挟持されない。
【0081】
また、スペーサ部材35が第2の爪部62aの鍔部62cと接触する部分は、上方に少し切り欠かれた切欠部35cが形成されていてもよい。これにより、ボート24から複板ユニット36を受け取った後、ボート24にスペーサ部材35を戻すときに、ウェハW1上に載置されているスペーサ部材35を上掴みしやすくなる。
【0082】
また、第1の掴み機構61と第2の掴み機構62とは、第1の掴み機構61に支持されているウェハWの中心位置C1と、第2の掴み機構62に支持されているスペーサ部材35の中心位置C2とが、上側フォーク54の進退方向に沿って異なる位置になるように、設けられている。これにより、第2の爪部62aと第2の押し部62bとによりスペーサ部材35を挟持したときに、スペーサ部材35が第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれとも干渉しないようにすることができる。
【0083】
ウェハWの外径を例えば300mmとするとき、C1とC2との距離DCを例えば2mmとすることができる。
【0084】
ここで、図12を参照し、本実施の形態に係る移載機構によれば、収納容器に収容されているウェハ及びスペーサ部材の間隔を小さくすることができることを、比較例と対比しながら示す。
【0085】
図12は、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の先端部58と、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の先端部158とを比較して示す縦断面図である。図12(a)は、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の先端部58を示し、図12(b)は、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の先端部158を示す。
【0086】
先端部58、158の厚さをTFとし、第1の爪部61aの最大厚さをTWとし、第2の爪部62aの最大厚さをTSとする。また、第2の爪部62aの最大厚さTSが、第1の爪部61aの最大厚さTWよりも厚い、すなわちTS>TWであるものとする。これは、例えば1.5mmのスペーサ部材35の厚さが例えば0.9mmのウェハWの厚さよりも厚いことによる。
【0087】
図12(b)に示すように、比較例に係る移載機構では、第1の爪部61aと第2の爪部62aとが上側フォーク154の互いに反対側の面154a、154bに設けられている。従って、上側フォーク154の先端部158における厚さは、TS+TF+TWとなる。
【0088】
一方、図12(a)に示すように、本実施の形態に係る移載機構27では、第1の爪部61aと第2の爪部62aとが上側フォーク54の同一面54aに設けられている。従って、上側フォーク54の先端部58における厚さは、TS>TWより、TS+TFとなる。すなわち、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の厚さ(TS+TF)を、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の厚さ(TS+TF+TW)よりも薄くすることができる。従って、収納容器13、14におけるウェハW及びスペーサ部材35の間隔を小さくすることができる。
【0089】
また、ウェハWを収容する収納容器13では、ウェハWを上下方向に収容する所定のピッチが予め規定されている。所定のピッチをPL1とし、ウェハWの厚さをWtとするときに、図12(b)に示す比較例では、収納容器13における上側フォーク154と上下両側のウェハWとのクリアランスCL0は、(PL1−Wt−(TS+TF+TW))/2である。一方、図12(a)に示す本実施の形態では、収納容器13における上側フォーク54と上下両側のウェハWとのクリアランスCL1は、(PL1−Wt−(TS+TF))/2となり、CL0よりも大きくなる。このように、本実施の形態に係る移載機構27の上側フォーク54の収納容器13内におけるクリアランスCL1を、比較例に係る移載機構の上側フォーク154の収納容器13内におけるクリアランスCL0よりも大きくすることができる。
【0090】
例えば、PL1を10mmとし、Wtを0.9mmとし、比較例におけるTS+TF+TWを7.2mmとし、本実施の形態におけるTS+TFを5.3mmとする。すると、比較例におけるCL0は、0.95mmとなり、本実施の形態におけるCL1は1.9mmとなるため、CL1をCL0よりも大きくすることができる。
【0091】
次に、図13から図20を参照し、移載機構27が複板ユニット36を構成して搬送する基板搬送方法について説明する。
【0092】
図13から図19は、移載機構27が複板ユニット36を構成して搬送する手順を示す側面図である。また、図20は、上側フォーク54がウェハWを下側フォーク53に受け渡す際の上側フォーク54及び第2の押し部62bの動きを示す図である。図20(a)は、上側フォーク54がウェハWを下側フォーク53に受け渡す前の状態を示し、図20(b)は、上側フォーク54がウェハWを下側フォーク53に受け渡した後の状態を示している。
【0093】
まず、上側フォーク54を収納容器13内に前進させ、第1の掴み機構61によりウェハW1を下掴みに支持して受け取り、上側フォーク54を後退させるとともに上下反転させ、ウェハW1を下側フォーク53に載置する(第1の工程)。
【0094】
上側フォーク54を、面54aを上方に向けた状態で、ウェハW1が収容されている収納容器13内に前進させる(図13(a))。このとき、ウェハW1が第1の爪部61aと第1の押し部61bとの間に位置するように、前進させる。次いで、第1の押し部61bを前進させ、ウェハW1を第1の爪部61a側に押しながら下掴みして支持することによって、ウェハW1を受け取る(図13(b))。次いで、ウェハW1を支持したまま上側フォーク54を収納容器13内から後退させる(図13(c))。次いで、ウェハW1を支持したまま上側フォーク54を上下反転させる(図14(a))。次いで、下側フォーク53を、上昇させて上側フォーク54に近づける(図14(b))。次いで、第1の押し部61bを後退させ、ウェハW1を下側フォーク53に載置する(図14(c))。次いで、下側フォーク53を、もとの位置まで下降させる(図15(a))。
【0095】
上側フォーク54がウェハW1を下側フォーク53に受け渡す前は、図20(a)に示すように、第1の爪部61aと第1の押し部61bとによりウェハW1を挟持している。そして、上側フォーク54がウェハW1を下側フォーク53に受け渡す際に、図20(b)に示すように、第1の押し部61bを後退させると同時に、上側フォーク54を移動体56により少し前進させるとともに、移載機構27を昇降機構52により少し上昇させてもよい。これにより、ウェハW1を下側フォーク53に受け渡す際に、ウェハW1が第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれにも引っかからないようにすることができる。また、スペーサ部材35及びウェハW2を上側フォーク54から下側フォーク53に受け渡すときも同様にすることができる(図16(c)及び図18(c)参照)。
【0096】
なお、前述したように、下側フォーク53に代え、上側フォーク54が基台51に対して昇降可能に設けられていてもよい。このときは、上側フォーク54を下降させて下側フォーク53に近づけ、第1の押し部61bを後退させてウェハW1を下側フォーク53に載置した後、上側フォーク54をもとの位置まで上昇させてもよい。また、スペーサ部材35及びウェハW2を上側フォーク54から下側フォーク53に受け渡すときも同様にすることができる(図16(c)及び図18(c)参照)。
【0097】
次いで、上側フォーク54を、ボート24内に前進させ、第2の掴み機構62によりスペーサ部材35を上掴みに支持して受け取り、上側フォーク54を後退させ、スペーサ部材35を下側フォーク53に載置されているウェハW1上に載置する(第2の工程)。
【0098】
上側フォーク54を、面54aを下方に向けた状態で、爪部33にスペーサ部材35が保持されているボート24内に前進させる(図15(b))。このとき、スペーサ部材35が第2の爪部62aと第2の押し部62bとの間に位置するように、前進させる。次いで、第2の押し部62bを前進させ、スペーサ部材35を第2の爪部62a側に押しながら上掴みして支持することによって、爪部33からスペーサ部材35を受け取る(図15(c))。次いで、スペーサ部材35を支持したまま上側フォーク54をボート24内から後退させる(図16(a))。次いで、下側フォーク53を、上昇させて上側フォーク54に近づける(図16(b))。次いで、第2の押し部62bを後退させ、スペーサ部材35を下側フォーク53に載置されているウェハW1上に載置する(図16(c))。次いで、下側フォーク53を、もとの位置まで下降させる(図17(a))。
【0099】
第2の工程では、第2の掴み機構62に支持されているスペーサ部材35の中心位置C2が、上側フォーク54の進退方向に沿って、第1の掴み機構61に支持されているウェハW1の中心位置C1と異なる位置にあるときに、スペーサ部材35を受け取る。これにより、第2の爪部62aと第2の押し部62bとによりスペーサ部材35を挟持したときに、スペーサ部材35が第1の爪部61a及び第1の押し部61bのいずれとも干渉しないようにすることができる。
【0100】
次いで、上側フォーク54を、収納容器13内に前進させ、第1の掴み機構61によりウェハW2を上掴みに支持して受け取り、上側フォーク54を後退させ、ウェハW2を下側フォーク53に載置されているスペーサ部材35上に載置する(第3の工程)。
【0101】
上側フォーク54を、面54aを下方に向けた状態で、ウェハW2が収容されている収納容器13内に前進させる(図17(b))。このとき、ウェハW2が第1の爪部61aと第1の押し部61bとの間に位置するように、前進させる。次いで、第1の押し部61bを前進させ、ウェハW2を第1の爪部61a側に押しながら上掴みして支持することによって、ウェハW2を受け取る(図17(c))。次いで、ウェハW2を支持したまま上側フォーク54を収納容器13内から後退させる(図18(a))。次いで、下側フォーク53を、上昇させて上側フォーク54に近づける(図18(b))。次いで、第1の押し部61bを後退させ、ウェハW2を下側フォーク53に載置されているスペーサ部材35上に載置する(図18(c))。次いで、下側フォーク53を、もとの位置まで下降させる(図19(a))。
【0102】
次いで、下側フォーク53を、ボート24内に前進させ、複板ユニット36を爪部33に受け渡す(第4の工程)。
【0103】
下側フォーク53を、ボート24内に前進させ、ウェハW1、スペーサ部材35及びウェハW2よりなる複板ユニット36を、第2の工程でスペーサ部材35が上側フォーク54に受け渡された爪部33に受け渡す(図19(b))。次いで、下側フォーク53をボート24内から後退させる(図19(c))。
【0104】
また、本実施の形態では、基板搬送方法において、例えば整列装置15により、筐体18の内部でスペーサ部材35の回転角度を位置合わせしてもよい(位置合わせ工程)。これにより、後述するように、筐体18の外部でスペーサ部材35の回転角度の位置合わせを行う工程が不要になる。
【0105】
次に、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理について説明する。図21は、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0106】
成膜処理開始後、ステップS11では、成膜容器40に複板ユニット36を搬入する(搬入工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばローディングエリア20において、移載機構27によりボート24aに複板ユニット36を搭載し、複板ユニット36を搭載したボート24aをボート搬送機構25cにより蓋体23に載置することができる。そして、ボート24aを載置した蓋体23を昇降機構26により上昇させて成膜容器40内に挿入することにより、複板ユニット36を搬入する。収納容器13、14からボート24aへのウェハW及びスペーサ部材35の移載は、図13から図19を用いて説明した手順により行うことができる。
【0107】
次に、ステップS12では、成膜容器40の内部を減圧する(減圧工程)。排気装置48の排気能力又は排気装置48と排気管49との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、排気管49を介して成膜容器40を排気する排気量を増大させる。そして、成膜容器40の内部を所定圧力例えば大気圧(760Torr)から例えば0.3Torrに減圧する。
【0108】
次に、ステップS13では、ポリイミド膜を成膜する(成膜工程)。
【0109】
予め、又はステップS13において、制御部50により、インジェクタ45cに第1の原料ガス(PMDAガス)を流す第1の流量F1と、インジェクタ46cに第2の原料ガス(ODAガス)を流す第2の流量F2とを設定しておく。そして、回転機構29によりウェハWを回転させた状態で、設定した第1の流量F1で第1の原料ガス供給部45からPMDAガスをインジェクタ45cに流し、設定した第2の流量F2で第2の原料ガス供給部46からODAガスをインジェクタ46cに流す。これにより、PMDAガスとODAガスとを所定の混合比で混合させた状態で成膜容器40内に供給する。そして、ウェハWの表面でPMDAとODAを重合反応させ、ポリイミド膜を成膜する。具体的には、例えば第1の流量F1を900sccmとし、第2の流量F2を900sccmとすることができる。
【0110】
このときの、PMDAとODAとの重合反応は、次の式(1)に従う。
【0111】
【化1】
本実施の形態では、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔よりも狭くなるように、複数のウェハWを上下方向に保持することができる。これにより、ボート24のウェハ搭載枚数を等しくした状態で、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔を増加することが可能となる。その結果、一のウェハWの表面と他のウェハWの表面との隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面に十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0112】
次に、ステップS14では、第1の原料ガス供給部45からのPMDAガスの供給及び第2の原料ガス供給部46からのODAガスの供給を停止し、成膜容器40の内部を大気圧に復圧する(復圧工程)。排気装置48の排気能力又は排気装置48と排気管49との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、成膜容器40を排気する排気量を減少させ、成膜容器40の内部を例えば0.3Torrから例えば大気圧(760Torr)に復圧する。
【0113】
次に、ステップS15では、成膜容器40から複板ユニット36を搬出する(搬出工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばボート24aを載置した蓋体23を昇降機構26により下降させて成膜容器40内からローディングエリア20に搬出することができる。そして、移載機構27により、搬出した蓋体23に載置されているボート24aから収納容器13へウェハWを移載することによって、複板ユニット36を成膜容器40から搬出する。ボート24aから収納容器13へのウェハWの移載は、図13から図19を用いて説明した収納容器13からボート24aへのウェハWの移載と逆の手順により行うことができる。このとき、スペーサ部材35は、ボート24a内に戻され、ボート24aの爪部33に保持される。その後、成膜処理を終了する。
【0114】
なお、複数のバッチについて連続して成膜処理を行うときは、更に、ローディングエリア20において、移載機構27により収納容器13からウェハWをボート24へ移載し、再びステップS11に戻り、次のバッチの成膜処理を行う。
【0115】
本実施の形態では、ボート24が、複板ユニット36を保持していないときに、複板ユニット36に代えてスペーサ部材35を保持する。
【0116】
成膜処理を行わないときに、スペーサ部材35が、筐体18の外部に設けられている収納容器14(以下「スペーサ部材用収納容器」という。)に収容され、ウェハWが収納容器(以下「ウェハ用収納容器」という。)13に収容されるものとする。このとき、ウェハ用収納容器13を筐体18と連通するドア機構21の1つがスペーサ部材用収容容器14と接続された状態になり、ウェハ用収納容器13と接続されるドア機構21の数が減少する。そのため、ウェハ用収納容器13を切り替えるための待ち時間が発生し、搬送時間が長くなる。
【0117】
例えば、最初のウェハ用収納容器13−1をドア機構21により筐体18と連通させ、最初のウェハ用収納容器13−1からウェハWを移載した後、ドア機構21により筐体18と遮断する。そして、最初のウェハ用収納容器13−1を次のウェハ用収納容器13−2と交換し、次のウェハ用収納容器13−2をドア機構21により筐体18と連通させ、次のウェハ用収納容器13−2からウェハWを移載する。このとき、最初のウェハ用収納容器13−1と筐体18の内部とを遮断してから、次のウェハ用収納容器13−2と筐体18の内部とを連通させ、搬送可能な状態になるまでに、待ち時間が発生するため、搬送時間が長くなる。
【0118】
特に、複板ユニット36が2枚のウェハWと1枚のスペーサ部材35よりなるときは、搬送されるウェハWの枚数は、搬送されるスペーサ部材35の枚数の、例えば2倍になる。従って、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14に収容するときは、ウェハ用収納容器13を同一のドア機構21に切り換えて連通させるための待ち時間の割合が増える。
【0119】
また、ウェハWが成膜処理用のウェハに代えて、モニタ用のウェハ、テスト用のウェハである場合も、全く同様に、搬送時間が長くなる。
【0120】
一方、本実施の形態では、筐体18の内部に設けられているボート24にスペーサ部材35が収容される。そのため、ウェハ用収納容器13と接続されるドア機構21の数が減ることがない。従って、最初のウェハ用収納容器13−1と筐体18の内部とを遮断する前に、次のウェハ用収納容器13−1をドア機構21により筐体18と連通させておくことができ、搬送時間を短くすることができる。
【0121】
また、スペーサ部材35が、スペーサ部材用収納容器14に収容されるときは、ウェハ用収納容器13に加え、スペーサ部材用収納容器14を成膜装置10に備えなくてはならず、部品点数が増大する。また、成膜装置10の載置台12以外の部分にスペーサ部材用収納容器14を収容するためのストッカを設けなくてはならず、成膜装置の設置面積又は装置全体のサイズが増大する。
【0122】
一方、本実施の形態では、筐体18の内部に設けられているボート24にスペーサ部材35が収容される。そのため、スペーサ部材用収納容器14を成膜装置10に備える必要がなく、部品点数を減らすことができるとともに、成膜装置の設置面積又は装置全体のサイズを低減できる。
【0123】
また、スペーサ部材35をボート24に保持した状態で、成膜容器40内で熱処理してクリーニングを行うことがある。ここで、スペーサ部材35が、スペーサ部材用収納容器14に収容されるときは、クリーニングを行う都度、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14からボート24に搬送する工程が必要になり、クリーニング時間が長くなる。
【0124】
一方、本実施の形態では、筐体18の内部に設けられているボート24にスペーサ部材35が収容される。そのため、クリーニングを行う都度、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14からボート24に搬送する工程が不要であり、クリーニング時間を短くすることができる。
【0125】
更に、成膜処理を複数回行い、スペーサ部材35を複数回連続して使用した場合、熱膨張の影響、移載機構27による回転角度の位置ずれが積み重なって許容範囲を超え、搬送ができなくなることがある。このようなとき、スペーサ部材35をスペーサ部材用収納容器14に戻し、筐体18の外部で回転角度の位置合わせを行う工程が必要である。
【0126】
一方、本実施の形態では、前述したように、位置合わせ機構により、筐体18の内部でスペーサ部材35の回転角度を位置合わせすることができる。これにより、筐体18の外部でスペーサ部材35の回転角度の位置合わせを行う工程が不要になる。
【0127】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0128】
なお、実施の形態では、移載機構が、成膜装置のボートに複板ユニットを移載するものである場合について説明した。しかし、移載機構は、複板ユニットを上下方向に所定の保持間隔で複数保持可能であるとともに、複板ユニットを保持していないときにスペーサ部材を保持する基板保持部に対して、複板ユニットを搬送するものであればよい。従って、移載機構は、成膜装置のボート以外の各種の基板処理装置の基板保持部に対して、複板ユニットを移載するものであってもよい。
【符号の説明】
【0129】
10 成膜装置
13、14 収納容器
24、24a、24b ボート
26 昇降機構
27 移載機構
35 スペーサ部材
36 複板ユニット
52 昇降機構
53 下側フォーク
54 上側フォーク
54a 面
58 先端部
60 基端部
61 第1の掴み機構
61a 第1の爪部
61b 第1の押し部
62 第2の掴み機構
62a 第2の爪部
62b 第2の押し部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送方法であって、
第1のフォークの上方に設けられている第2のフォークの一方の面側に設けられた第1の掴み機構により、収容部に収容されている第1の基板を下掴みして受け取り、受け取った前記第1の基板を前記第2のフォークを上下反転させて前記第1のフォークに載置する第1の工程と、
前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられた第2の掴み機構により、前記基板保持部に保持されているスペーサ部材を上掴みして受け取り、受け取った前記スペーサ部材を前記第1のフォークに載置された前記第1の基板上に載置する第2の工程と、
前記第1の掴み機構により前記収容部に収容されている第2の基板を上掴みして受け取り、受け取った前記第2の基板を前記第1のフォークに載置された前記スペーサ部材上に載置する第3の工程と
を有する、基板搬送方法。
【請求項2】
前記第1の掴み機構は、前記第2のフォークの先端部に固定されている第1の爪部と、前記第2のフォークの基端部側に前記第1の爪部に対して進退可能に設けられている第1の押し部とを有し、
前記第2の掴み機構は、前記第2のフォークの前記先端部に固定されている第2の爪部と、前記第2のフォークの前記基端部側に前記第2の爪部に対して進退可能に設けられている第2の押し部とを有し、
前記第1の工程は、前記第1の押し部により、前記第1の基板を前記第1の爪部側に押すことによって、前記第1の爪部と前記第1の押し部との間で前記第1の基板を挟持するものであり、
前記第2の工程は、前記第2の押し部により、前記スペーサ部材を前記第2の爪部側に押すことによって、前記第2の爪部と前記第2の押し部との間で前記スペーサ部材を挟持するものであり、
前記第3の工程は、前記第1の押し部により、前記第2の基板を前記第1の爪部側に押すことによって、前記第1の爪部と前記第1の押し部との間で前記第2の基板を挟持するものである、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記第2の工程は、前記第2の掴み機構に支持されている前記スペーサ部材の中心位置が、前記第1の掴み機構に支持されている前記基板の中心位置と異なる位置になるように、前記スペーサ部材を上掴みするものである、請求項1又は請求項2に記載の基板搬送方法。
【請求項4】
前記収容部は、内部に前記基板保持部が設けられた筐体の外部に設けられたものであり、
前記筐体の内部で前記スペーサ部材の回転角度を位置合わせする位置合わせ工程を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項5】
前記スペーサ部材は、リング形状を有するものである、請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記基板保持部は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔よりも狭くなるように、複数の前記積層体を保持するものである、請求項1から請求項5のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項7】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとは、いずれか一方が他方に対して上下方向に移動可能に設けられており、
前記基板又は前記スペーサ部材を前記第1のフォークに載置する際に、前記第1のフォークと前記第2のフォークとを相互に近接させる、請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項8】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとは、昇降機構により一体に上下動可能に設けられている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項9】
コンピュータに請求項1から請求項8のいずれかに記載の基板搬送方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送装置であって、
前記基板保持部に対して進退可能に設けられており、前記基板保持部との間で前記積層体を受け渡す第1のフォークと、
前記第1のフォークの上方に、前記基板を収容する収容部と前記基板保持部とに進退可能であって上下反転可能に設けられており、前記収容部と前記第1のフォークとの間で前記基板を受け渡すとともに、前記基板保持部と前記第1のフォークとの間で前記スペーサ部材を受け渡す第2のフォークと、
前記第2のフォークの一方の面側に設けられており、前記基板を上掴みする第1の掴み機構と、
前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられており、前記スペーサ部材を上掴みする第2の掴み機構と
を有する、基板搬送装置。
【請求項11】
前記第1の掴み機構は、前記第2のフォークの先端部に固定されている第1の爪部と、前記第2のフォークの基端部側に前記第1の爪部に対して進退可能に設けられており、前記基板を前記第1の爪部側に押すことによって前記第1の爪部との間で前記基板を挟持する第1の押し部とを有し、
前記第2の掴み機構は、前記第2のフォークの前記先端部に固定されている第2の爪部と、前記第2のフォークの前記基端部側に前記第2の爪部に対して進退可能に設けられており、前記スペーサ部材を前記第2の爪部側に押すことによって前記第2の爪部との間で前記スペーサ部材を挟持する第2の押し部とを有する、請求項10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記第2の掴み機構に支持されている前記スペーサ部材の中心位置が、前記第1の掴み機構に支持されている前記基板の中心位置と異なる位置に配置されている、請求項10又は請求項11に記載の基板搬送装置。
【請求項13】
前記収容部は、内部に前記基板保持部が設けられた筐体の外部に設けられたものであり、
前記筐体の内部で前記スペーサ部材の回転角度を位置合わせする位置合わせ機構を有する、請求項10から請求項12のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項14】
前記スペーサ部材は、リング形状を有するものである、請求項10から請求項13のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項15】
前記基板保持部は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔よりも狭くなるように、複数の前記積層体を保持するものである、請求項10から請求項14のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項16】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとは、いずれか一方が他方に対して上下方向に移動可能に設けられている、請求項10から請求項15のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項17】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとを一体に上下動させる昇降機構を有する、請求項10から請求項16のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項1】
裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送方法であって、
第1のフォークの上方に設けられている第2のフォークの一方の面側に設けられた第1の掴み機構により、収容部に収容されている第1の基板を下掴みして受け取り、受け取った前記第1の基板を前記第2のフォークを上下反転させて前記第1のフォークに載置する第1の工程と、
前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられた第2の掴み機構により、前記基板保持部に保持されているスペーサ部材を上掴みして受け取り、受け取った前記スペーサ部材を前記第1のフォークに載置された前記第1の基板上に載置する第2の工程と、
前記第1の掴み機構により前記収容部に収容されている第2の基板を上掴みして受け取り、受け取った前記第2の基板を前記第1のフォークに載置された前記スペーサ部材上に載置する第3の工程と
を有する、基板搬送方法。
【請求項2】
前記第1の掴み機構は、前記第2のフォークの先端部に固定されている第1の爪部と、前記第2のフォークの基端部側に前記第1の爪部に対して進退可能に設けられている第1の押し部とを有し、
前記第2の掴み機構は、前記第2のフォークの前記先端部に固定されている第2の爪部と、前記第2のフォークの前記基端部側に前記第2の爪部に対して進退可能に設けられている第2の押し部とを有し、
前記第1の工程は、前記第1の押し部により、前記第1の基板を前記第1の爪部側に押すことによって、前記第1の爪部と前記第1の押し部との間で前記第1の基板を挟持するものであり、
前記第2の工程は、前記第2の押し部により、前記スペーサ部材を前記第2の爪部側に押すことによって、前記第2の爪部と前記第2の押し部との間で前記スペーサ部材を挟持するものであり、
前記第3の工程は、前記第1の押し部により、前記第2の基板を前記第1の爪部側に押すことによって、前記第1の爪部と前記第1の押し部との間で前記第2の基板を挟持するものである、請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記第2の工程は、前記第2の掴み機構に支持されている前記スペーサ部材の中心位置が、前記第1の掴み機構に支持されている前記基板の中心位置と異なる位置になるように、前記スペーサ部材を上掴みするものである、請求項1又は請求項2に記載の基板搬送方法。
【請求項4】
前記収容部は、内部に前記基板保持部が設けられた筐体の外部に設けられたものであり、
前記筐体の内部で前記スペーサ部材の回転角度を位置合わせする位置合わせ工程を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項5】
前記スペーサ部材は、リング形状を有するものである、請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記基板保持部は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔よりも狭くなるように、複数の前記積層体を保持するものである、請求項1から請求項5のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項7】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとは、いずれか一方が他方に対して上下方向に移動可能に設けられており、
前記基板又は前記スペーサ部材を前記第1のフォークに載置する際に、前記第1のフォークと前記第2のフォークとを相互に近接させる、請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項8】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとは、昇降機構により一体に上下動可能に設けられている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項9】
コンピュータに請求項1から請求項8のいずれかに記載の基板搬送方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
裏面同士が対向する2枚の基板がスペーサ部材を介して積層されてなる積層体を上下方向に所定の間隔で複数保持可能であるとともに、前記積層体を保持していないときに前記積層体に代えて前記スペーサ部材を保持する基板保持部に対して、前記積層体を搬送する基板搬送装置であって、
前記基板保持部に対して進退可能に設けられており、前記基板保持部との間で前記積層体を受け渡す第1のフォークと、
前記第1のフォークの上方に、前記基板を収容する収容部と前記基板保持部とに進退可能であって上下反転可能に設けられており、前記収容部と前記第1のフォークとの間で前記基板を受け渡すとともに、前記基板保持部と前記第1のフォークとの間で前記スペーサ部材を受け渡す第2のフォークと、
前記第2のフォークの一方の面側に設けられており、前記基板を上掴みする第1の掴み機構と、
前記第2のフォークの前記一方の面と同一面側に設けられており、前記スペーサ部材を上掴みする第2の掴み機構と
を有する、基板搬送装置。
【請求項11】
前記第1の掴み機構は、前記第2のフォークの先端部に固定されている第1の爪部と、前記第2のフォークの基端部側に前記第1の爪部に対して進退可能に設けられており、前記基板を前記第1の爪部側に押すことによって前記第1の爪部との間で前記基板を挟持する第1の押し部とを有し、
前記第2の掴み機構は、前記第2のフォークの前記先端部に固定されている第2の爪部と、前記第2のフォークの前記基端部側に前記第2の爪部に対して進退可能に設けられており、前記スペーサ部材を前記第2の爪部側に押すことによって前記第2の爪部との間で前記スペーサ部材を挟持する第2の押し部とを有する、請求項10に記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記第2の掴み機構に支持されている前記スペーサ部材の中心位置が、前記第1の掴み機構に支持されている前記基板の中心位置と異なる位置に配置されている、請求項10又は請求項11に記載の基板搬送装置。
【請求項13】
前記収容部は、内部に前記基板保持部が設けられた筐体の外部に設けられたものであり、
前記筐体の内部で前記スペーサ部材の回転角度を位置合わせする位置合わせ機構を有する、請求項10から請求項12のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項14】
前記スペーサ部材は、リング形状を有するものである、請求項10から請求項13のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項15】
前記基板保持部は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔よりも狭くなるように、複数の前記積層体を保持するものである、請求項10から請求項14のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項16】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとは、いずれか一方が他方に対して上下方向に移動可能に設けられている、請求項10から請求項15のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項17】
前記第1のフォークと前記第2のフォークとを一体に上下動させる昇降機構を有する、請求項10から請求項16のいずれかに記載の基板搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−190850(P2012−190850A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50747(P2011−50747)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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