説明

基板搬送用キャリアおよびその製造方法

【課題】繰り返し使用後も搬送される基板と良好な剥離性を示す基板搬送用キャリア基板を生産性よく製造することができる、基板搬送用キャリアの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体14上に配置されたシリコーン樹脂層と、加水分解性基を有する金属化合物とを接触させ、シリコーン樹脂層表面の少なくとも一部を表面修飾する表面修飾工程を備える、支持体14と、支持体14上に配置され、表面修飾されたシリコーン樹脂層12とを有する基板搬送用キャリア10の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送用キャリアおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品が実装されるプリント配線基板は、あらゆる電子機器に使用されている。一般に、このプリント配線基板は、表面に導体パターンを備えており、近年、電子機器の小型化、軽量化に対応すべく、さまざまなプリント配線基板が提供されている。
【0003】
プリント配線基板を製造する際には、電子部品実装、薬品洗浄、プラズマ処理などの各種処理が基板に対して施される。その際に、各処理工程に基板を搬送するために、基板搬送用キャリアという治具を用いることが提案されている(特許文献1)。
特許文献1では、シリケート化合物と、所定の構造を有するポリジメチルシロキサンとを有する混合物から得られる樹脂層を固定したベースを備える、基板の搬送用キャリアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4438891号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、基板搬送用キャリアは繰り返して使用されるため、複数回使用した後も基板搬送用キャリア中の樹脂層が搬送される基板と剥離可能に密着することが必要とされる。
特許文献1に記載の基板搬送用キャリアは、ポリイミド基板などフレキシブルな基板に対して複数回使用しても良好な剥離性を示す。
【0006】
一方、搬送される基板は、使用される材料によって硬さや表面性状が大きく異なる。
本発明者らは、特許文献1に記載の基板搬送用キャリアの樹脂層に対して、剛直な基板の密着・剥離を繰り返して実施すると、所定回数後には基板が基板搬送用キャリアから剥離し難くなる場合があることを見出した。
【0007】
基板と基板搬送用キャリアの密着性・剥離性を調整する手段としては、基板搬送用キャリア中の基板と密着する樹脂層の組成を変更する手法がある。
しかしながら、該方法では、基板の種類に応じて数多くの樹脂組成物を調製する必要があり、作業が煩雑となり、生産性に劣る。
また、基板の搬送中に実施される処理は、薬品洗浄、加熱処理など多種多様な処理が実施されるため、実施される処理によっても樹脂組成物の組成を微調整する必要があり、該観点からも、樹脂層の組成を変更する手法は作業性に劣る。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、繰り返し使用後も搬送される基板と良好な剥離性を示す基板搬送用キャリア基板を生産性よく製造することができる、基板搬送用キャリアの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、繰り返し使用後も搬送される基板と良好な剥離性を示す基板搬送用キャリア基板を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討を行った結果、基板と密着する樹脂層表面を所定の化合物で表面修飾することによって、基板との密着性を容易に制御することができ、所望の効果が得られることを見出した。
つまり、本発明者らは、以下の構成により課題が解決できることを見出した。
【0010】
(1) 支持体上に配置されたシリコーン樹脂層と、加水分解性基を有する金属化合物とを接触させ、前記シリコーン樹脂層表面の少なくとも一部を表面修飾する表面修飾工程を備える、
前記支持体と、前記支持体上に配置され、表面修飾されたシリコーン樹脂層とを有する基板搬送用キャリアの製造方法。
【0011】
(2) 前記表面修飾工程の前に、支持体上に配置されたシリコーン樹脂層に対して酸化処理を施す酸化処理工程をさらに備える、(1)に記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
(3) 前記表面修飾工程の後に、前記加水分解性基を有する金属化合物が溶解する溶媒で前記シリコーン樹脂層を洗浄する洗浄工程をさらに備える、(1)または(2)に記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
【0012】
(4) 前記加水分解性基を有する金属化合物の金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、ガリウム、および鉛からなる群から選択される少なくとも1つを含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
(5) 前記酸化処理が、紫外線照射処理、コロナ処理、プラズマ処理、または、オゾン雰囲気処理のいずれかである、(2)〜(4)のいずれかに記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
【0013】
(6) 基板の搬送に用いられ、前記基板の下面と密着する樹脂層と、
前記樹脂層を配置した支持体とを備えた基板搬送用キャリアであって、
前記樹脂層が、加水分解性基を有する金属化合物を用いて少なくとも表面の一部が表面修飾されたシリコーン樹脂層である、基板搬送用キャリア。
(7) 前記加水分解性基を有する金属化合物の金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、ガリウム、および鉛からなる群から選択される少なくとも1つを含む、(6)に記載の基板搬送用キャリア。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、繰り返し使用後も搬送される基板と良好な剥離性を示す基板搬送用キャリア基板を生産性よく製造することができる、基板搬送用キャリアの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、繰り返し使用後も搬送される基板と良好な剥離性を示す基板搬送用キャリア基板を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板用搬送用キャリアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、基板搬送用キャリアの製造方法、および、基板搬送用キャリアについて詳述する。
まず、本実施形態の製造方法の特徴点としては、基板上のシリコーン樹脂層と加水分解性基を有する金属化合物とを接触させ、その表面を修飾している点が挙げられる。該処理を実施することによって、シリコーン樹脂層上の少なくとも一部を該金属化合物の加水分解縮合物が覆い、基板に対する密着性が調整される。特に、シリコーン樹脂層上の密着性に寄与する表面活性の高い領域(表面エネルギーの高い領域)と該金属化合物とが優先的に反応し、基板に対する密着性を低下させることによって、基板の剥離性が向上したものと推測される。また、金属化合物を用いてシリコーン樹脂層上を表面修飾することにより、基板の剥離の際に生じるシリコーン樹脂層の破壊などがより抑制される。
【0017】
<第1の実施形態>
本発明の製造方法の第1の実施形態は、支持体上に配置されたシリコーン樹脂層と、加水分解性基を有する金属化合物とを接触させ、シリコーン樹脂層表面(露出表面)の少なくとも一部を表面修飾する表面修飾工程を備える。
以下、まず、該工程で使用される材料について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
【0018】
(シリコーン樹脂層が配置された支持体(シリコーン樹脂層付き支持体))
本工程で使用される支持体は、その表面上にシリコーン樹脂層が配置(固定)されている。
まず、使用される支持体およびシリコーン樹脂層の態様について詳述する。
【0019】
(支持体)
支持体は、シリコーン樹脂層を支持することができればその種類は特に制限されないが、例えば、シリコンウエハ、ガラス基板、樹脂基板、金属基板(例えば、アルミニウム基板、鋼板、銅基板など)が挙げられる。
使用される支持体の長さ、および、幅は、被搬送物の大きさに応じて適宜調整される。また、支持体の厚みも特に制限されないが、搬送時の割れなどを抑制する観点から、0.3〜5.0mm程度であることが多い。
【0020】
(シリコーン樹脂層)
シリコーン樹脂層は、上記支持体上に配置された層であり、後述する表面修飾工程によって、その表面の少なくとも一部が表面修飾される層である。後述するように、表面修飾されたシリコーン樹脂層は、その表面に配置される基板と剥離可能に密着することができる層(樹脂層)である。また、該シリコーン樹脂層は、その表面上に密着された基板の位置を保持することができ、基板の反りやねじれを防止することができる。
通常、シリコーン樹脂層と支持体との間の密着力(剥離強度)は、シリコーン樹脂層とその上部に配置される基板(例えば、FPC)との間の密着力よりも高い。結果として、シリコーン樹脂層の剥離を生じさせることなく、基板をシリコーン樹脂層から容易に剥離することができる。
【0021】
シリコーン樹脂層の厚みはその上に配置される基板の種類などに応じて適宜設定されるが、耐熱性、耐薬品性、および剥離性により優れ、電子部品の基板への実装性能がより向上する観点から、0.1〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましく、30〜400μmが特に好ましい。
【0022】
シリコーン樹脂層は、耐薬品性および剥離性に優れるシリコーン系樹脂を主成分として含有する。シリコーン系樹脂としては、オルガノポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなど)が代表的に挙げられる。
該シリコーン樹脂層は、公知のシリコーン系樹脂を使用して、公知の方法で製造することができる。例えば、縮合反応型シリコーン、付加反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、または電子線硬化型シリコーンなどを硬化させて製造することができる。
【0023】
(製造方法)
シリコーン樹脂層が配置された支持体を製造する手順は特に制限されず、フィルム状のシリコーン樹脂層を支持体上に配置する方法や、シリコーン樹脂層を構成する成分またはその前駆体を含む液状組成物を支持体上に塗布して、シリコーン樹脂層を形成する方法などが挙げられる。
なお、組成物の塗布後には、溶媒の除去、前駆体の硬化などのために、必要に応じて加熱処理が行われる。加熱処理の条件は使用される材料に応じて適宜設定されるが、シリコーン樹脂層の安定化などの観点から、50〜300℃で0.5〜12時間行うのが好ましい。
【0024】
(好適態様)
シリコーン樹脂層の好適態様としては、シリケート化合物と、末端をシリケート変性したオルガノポリシロキサンとを有する混合物を、加水分解反応および縮合反応することによって得られる組成物を用いて得られるシリコーン樹脂層が挙げられる。該シリコーン樹脂層であれば、耐熱性、耐薬品性により優れると共に、密着された基板の剥離性がより優れる。なかでも、オルガノポリシロキサンとしては、本発明の効果がより優れる点で、ポリジメチルシロキサンを使用することが好ましい。
なお、以後、オルガノポリシロキサンがポリジメチルシロキサンの場合について、詳述する。ポリジメチルシロキサンを「PDMS」と略し、末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンを「変性PDMS」と略す。
【0025】
(シリケート化合物)
シリケート化合物とは、シリコン(Si)でできた金属アルコキシドまたはそのオリゴマーである。オリゴマーとは、主鎖にシロキサン(−Si−O−Si−)骨格を持ち、側鎖にアルコキシ基(RO)を導入した化合物のことである。ここで、アルコキシ基(RO)のアルキル部分である(R)は、メチル基、エチル基、プロピル基等が例示される。このシリケート化合物は、水と容易に反応する特性を持っている。
なかでも、シリコーン樹脂層の密着性がより向上する、および、低分子の遊離物が少なくなる点で、オリゴマーを使用することが好ましい。より具体的には、シリケート化合物は、4量体〜16量体(4量体以上16量体以下)であることが望ましい。これは、4量体未満ではシリケート化合物が持つ特性の効果が小さく、また16量体を超えるとシリケート化合物の粘度が高くなることから製造時に扱いにくい。
【0026】
また、使用するシリケート化合物の種類として、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート等、または、これらのオリゴマーが挙げられる。品質の安定性および安全性の点からエチルシリケート、またはそのオリゴマーが好ましい。
【0027】
シリケート化合物の好適態様としては、〔化学式1〕Sin(n-1)(RO)2(n+1)(R=アルキル基、n=4〜16)で表されるシリケート化合物が挙げられる。上記化合物を使用した場合、シリコーン樹脂層の支持体への密着性がより向上する。
【0028】
なお、化学式1で表されるシリケート化合物の好適態様としては、以下の式(X)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
【化1】

【0030】
上記式中、Rは炭素数4以下のアルキル基、nは4〜16の整数である。
【0031】
上記シリケート化合物は公知の方法に従って合成してもよく、市販品(例えば、エチルシリケート45(多摩化学工業製))を使用してもよい。
【0032】
(変性PDMS)
変性PDMSとは、シリケート化合物にてPDMSの末端を変性処理したものであり、例えば、両末端にシラノール基を有するPDMSと、主鎖の片側または両側に加水分解可能な官能基であるアルコキシ基を有するアルコキシシラン部分縮合物とを反応させて得られるものをいう。
この変性PDMSは、通常のPDMSと比べると、格段に高い官能基濃度を有している。また、変性PDMSは、シリケート化合物との縮合反応性が高いため、変性PDMSに含まれるアルコキシシラン部分縮合物は、円滑に縮合反応が行われ、硬化してポリマー化することができる。
【0033】
本発明で使用される変性PDMSは、質量平均分子量が5000以上で100000以下の範囲にあるものが使用されることが好ましい。
【0034】
変性PDMSの好適態様としては、〔化学式2〕Sin(n-1)(RO)2(n+1)(OSi(CH3)2)m(RO)2(n+1)Sin(n-1)(R=アルキル基、n=4〜16、m>50)で表される変性PDMSが挙げられる。上記変性PDMSを使用した場合、粘着層の支持体への密着性がより向上する。
【0035】
変性PDMSは、公知の合成方法(例えば、特許4255088号)などを参照して合成してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0036】
また、シリケート化合物(A)と、変性PDMS(B)との配合の割合は、A/Bのモル比にて、0.1以上10以下の範囲であることが好ましい。最適な配合の割合は、A/Bのモル比にて1前後である。
粘着層に対して柔軟性を要求する場合は変性PDMSを増加し、反対に高硬度を要求する場合はシリケート化合物を増加させるのがよい。
【0037】
(組成物の生成)
上記シリケート化合物と、上記変性PDMSとを有する混合物を加水分解および縮合反応させることにより、組成物を製造する。
【0038】
シリケート化合物は、水の存在下にて容易に加水分解するため、シリケート化合物の分子内のアルコキシ基が、反応性の高いシラノール基(−OH基)となる。
一方、変性PDMSも同様に、加水分解をすることにより、水の存在によってシラノール基(「シラノール変性」とも呼ぶ。)となる。
【0039】
これら双方のシラノール基は、高い反応性を有していると同時に、似通った反応性を有しているため、シリケート化合物と変性PDMSとを有する混成物を加水分解することによって、シラノール化合物の凝集が加速されることなく、変性PDMSとの縮合反応が順調に進行する。これにより、変性PDMSに含まれる低分子のシロキサンも、反応生成物(組成物)中に取り込まれる。
【0040】
組成物は液状(「ゾル」とも呼ぶ。)であるので、該組成物を上述したように支持体上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施すことにより、所望の粘着層を支持体上に形成することができる。加熱条件は、上記の通りである。
また、他の方法としては、組成物を金型等のトレイに塗布し、乾燥焼成処理によって、硬化させてシート状(板状)に成形し、該シート状に成形した粘着層を、支持体の表面に、密着または接着させて固定(保持)する。
【0041】
なお、シリコーン樹脂層が配置された支持体は上述した方法により製造してもよく、市販品を使用してもよい。
【0042】
(加水分解性基を有する金属化合物)
加水分解性基を有する金属化合物(以後、単に金属化合物とも称する)は、上述したシリコーン樹脂層の表面を修飾する際に使用される化合物であり、少なくとも1以上の加水分解性基を有する。該金属化合物が、加水分解反応および縮合反応を介して、上記シリコーン樹脂層表面(特に、シリコーン樹脂層表面上の水酸基)と反応する。
なお、該金属化合物としては、例えば、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0043】
加水分解性基としては、水と反応して分解する基であれば特に制限されない。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;イソシアネート基;シアノ基等が挙げられる。
【0044】
金属化合物中に含まれる加水分解性基の数は特に制限されず、1〜4個の場合が多い。例えば、金属化合物中に含まれる金属原子がケイ素(Si)の場合、1〜4個の加水分解性基が含まれる。
【0045】
金属化合物中には含まれる金属(金属原子)の種類は特に制限されないが、例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、ガリウム、鉛などが挙げられる。なかでも、繰り返し使用後の剥離性がより良好な点で、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、ガリウム、鉛が好ましく、アルミニウムまたはスズがより好ましい。
【0046】
(好適態様)
該金属化合物の好適態様としては、以下の式(1)で表される化合物が挙げられる。
式(1) M(R)n(X)m-n
式(1)中、Mは、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、ガリウム、および鉛からなる群から選ばれる金属原子を表す。
【0047】
式(1)中、Rは、非加水分解性基を表す。非加水分解性基は、加水分解性を有さない基であり、具体的には、置換基を有していてもよい炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基)などが挙げられる。
なお、置換基の種類は特に制限されず、例えば、アミノ基、エポキシ基、シアノ基、イソシアネート基、アクリレート基などが挙げられる。
【0048】
式(1)中、Xは、加水分解性基を表す。加水分解性基の定義は、上述の通りである。
【0049】
式(1)中、nは0〜(m−1)のいずれかの整数を表し、mはMの原子価を表す。nが2以上のとき、Rは、同一であっても、異なっていてもよく、(m−n)が2以上のとき、Xは同一であっても、異なっていてもよい。
【0050】
(工程の手順)
上述した支持体上に配置されたシリコーン樹脂層と、加水分解性基を有する金属化合物とを接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を使用することができる。例えば、シリコーン樹脂層上に該金属化合物を塗布する塗布方法、該金属化合物中にシリコーン樹脂層付き支持体を浸漬する浸漬方法などが挙げられる。なお、塗布方法の具体例としては、例えば、バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ドクターブレード法などが挙げられる。
なお、金属化合物が粘調または固形状の場合、必要に応じて、各種溶媒(例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン溶系媒等)を金属化合物に添加して粘度を調整してもよい。
【0051】
シリコーン樹脂層と金属化合物との接触時間(処理時間)は、使用される金属化合物の種類などに応じて適宜設定されるが、シリコーン樹脂層と金属化合物との反応性が効率的に進行する点より、0.5分以上が好ましく、1〜10分程度がより好ましい。
【0052】
また、必要に応じて、シリコーン樹脂層と金属化合物との接触後に、風乾処理、または、加熱処理を施してもよい。
加熱処理を実施する場合、その加熱条件は特に制限されないが、シリコーン樹脂層と金属化合物との反応がより進行する点から、加熱温度は80〜300℃が好ましく、120〜200℃がより好ましく、加熱時間は5分〜2時間が好ましく、10分〜1時間がより好ましい。
【0053】
(基板搬送用キャリア)
上記工程を実施することによって、シリコーン樹脂層表面(露出表面)の少なくとも一部が加水分解性基を有する金属化合物によって表面修飾される。より詳細には、金属化合物の加水分解反応および縮合反応が進行して加水分解縮合物が形成され、該加水分解縮合物によってシリコーン樹脂層表面の少なくとも一部が修飾される。言い換えれば、該加水分解縮合物を含む表面処理層によってシリコーン樹脂層の少なくとも一部が覆われる。該表面処理層によって、基板の剥離の際のシリコーン樹脂層の破壊がより抑制され、基板搬送用キャリアの繰り返し耐久性が向上する。
【0054】
より具体的には、図1に示すように、上記製造方法により得られた基板搬送用キャリア10は、被搬送物である基板の下面と剥離可能に密着する、上記金属化合物によってその表面の少なくとも一部が表面処理されたシリコーン樹脂層12と、該シリコーン樹脂層12が配置された支持体14とを含む。
この基板搬送用キャリア10は、フレキシブル基板などのシート状の薄い基板を粘着層12表面に貼り合せて、薬品処理が施される工程に基板を搬送できるキャリアである。
なお、基板とは、FPC等のプリント配線基板に限るものではなく、シート状のものであれば、特に制限されない。
【0055】
<第2の実施形態>
本発明の製造方法の第2の実施形態は、上述した表面修飾工程の前に、支持体上に配置されたシリコーン樹脂層に対して酸化処理を施す酸化処理工程をさらに備える。該酸化処理工程を実施することにより、シリコーン樹脂層と金属化合物との反応性が向上し、結果として表面修飾効率が向上し、結果として繰り返し使用後の基板の剥離性がより向上するため、好ましい。
以下では、主に、酸化処理工程の手順について詳述する。
【0056】
(酸化処理工程)
酸化処理工程は、支持体上に配置されたシリコーン樹脂層に対して酸化処理を施す工程である。該処理を実施することによって、シリコーン樹脂層表面を活性化させ、金属化合物との反応性をより向上させることができる。
酸化処理の手段は特に制限されないが、例えば、紫外線照射処理、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン雰囲気処理などが挙げられる。なかでも、金属化合物の反応性がより向上する点で、プラズマ処理が好ましい。
【0057】
プラズマ処理の条件は、使用される処理装置、処理ガスの種類、圧力、電源の周波数などによって異なるが、適宜最適条件を選択することができる。
処理ガスの種類としては、例えば、Ar、N2、He、CO2、CO、空気、水蒸気、O2、CF4などを単独で、または混合して用いることができる。
処理ガスの流量は特に制限されず、使用するガスの種類によって異なるが、金属化合物の反応性がより向上する点で、10〜100L/minが好ましい。
【0058】
プラズマ処理の際のプラズマパワーとしては、金属化合物の反応性がより向上する点で、30〜100Wが好ましい。
プラズマ処理の処理時間としては、金属化合物の反応性がより向上する点で、0.1〜1分が好ましい。
【0059】
なお、紫外線照射処理を実施する場合は、例えば、公知の紫外線照射装置(UB031−2A/BM、アイグラフィックス社製)を用い、1〜1000mJ/cm2の積算光量(紫外線)を照射することが好ましい。
【0060】
また、コロナ放電処理を実施する場合は、例えば、公知の高周波電源装置(AGI−020S、春日電機社製)を用い、10〜2000mJ/cm2で放電することが好ましい。
【0061】
さらに、オゾン雰囲気処理を実施する場合は、公知の装置(UVCオゾンエージングテスター)(PPHM UVC−D、東洋精機製作所社製)を用い、オゾン濃度1〜10pphm、温度10〜35℃の雰囲気下で、0.1〜1時間処理をすることが好ましい。
【0062】
上記酸化処理工程を実施した後に、上述した表面修飾工程を実施する。
【0063】
<第3の実施形態>
本発明の製造方法の第3の実施形態は、上述した表面修飾工程の後に、上記加水分解性基を有する金属化合物が溶解する溶媒で、表面修飾が施されたシリコーン樹脂層の表面を洗浄する洗浄工程をさらに備える。該洗浄工程を実施することにより、シリコーン樹脂層上に堆積している余分な金属化合物を洗浄除去することができ、結果としてシリコーン樹脂層上の任意の場所における、シリコーン樹脂層とその上に積層される基板とのタック力(密着力)のバラツキを抑制することができ、好ましい。このようなタック力のバラツキをより抑制できれば、工業的な生産ラインにおいて各ロッドの基板のタック力がより一定となり、一定の引き剥がし力で設定された基板の取り外し工程の際に基板の引き剥がし不良がより抑制される。
以下では、主に、洗浄工程の手順について詳述する。
【0064】
(溶媒)
洗浄工程で使用される溶媒は、上述した金属化合物が溶解する溶媒であれば、特に制限されない。該溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド系溶媒(例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、エステル系溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン)、カーボネート系溶媒(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、ハロゲン系溶媒、グリコールエーテル系溶媒(例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテル)、グリコールエステル系溶媒(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)などが挙げられる。
【0065】
なかでも、洗浄性がより優れ、結果としてタック力のバラツキがより抑制される点で、アルコール系溶媒が好ましい。
【0066】
(工程の手順)
表面修飾されたシリコーン樹脂層の表面を洗浄する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、所定の溶媒をシリコーン樹脂層上に塗布する方法や、所定の溶媒中に該シリコーン樹脂層付き支持体を浸漬する方法などが挙げられる。
シリコーン樹脂層と溶媒との接触時間は特に制限されないが、効率的にシリコーン樹脂層を洗浄する点から、0.1〜5分が好ましく、0.5〜2分がより好ましい。
【0067】
なお、該洗浄工程を実施した後に、必要に応じて、風乾処理、または、加熱処理を施してもよい。
加熱処理を実施する場合、その加熱条件は特に制限されないが、シリコーン樹脂層と金属化合物との反応がより進行する点から、加熱温度は80〜300℃が好ましく、120〜200℃がより好ましく、加熱時間は5分〜2時間が好ましく、10分〜1時間がより好ましい。
【0068】
なお、上述した酸化処理工程および表面処理工程を実施した後に、該洗浄工程を実施してもよい。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
(組成物の製造)
本実施例で使用するシリコーン樹脂層は、シリケート化合物と、末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサンとを有する混合物を、加水分解反応および縮合反応することによって得られた組成物を用いて形成された。この組成物の製造について以下に具体的に説明する。
【0071】
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、エチルシリケート(多摩化学工業株式会社製、シリケート45(n=8〜10))1.0gと、エチルシリケートを両末端にアルコキシ変性したポリジメチルシロキサン(質量平均分子量;32,000相当)(荒川化学株式会社製HBSIL039)32.0gとを入れ、大気中(室温)にて約30分間、攪拌混合し、混成物である原料液Aを得た。
ここで、エチルシリケートと、エチルシリケートを両末端にアルコキシ変性したポリジメチルシロキサンで用いられたシリケートは、同じ種類および同じ特性を持つシリケートを使用した。
【0072】
そして、原料液Aを加水分解工程および縮合工程にて、水0.93gを約1時間かけて滴下して加え、攪拌混合した。
その後、攪拌しながら約30分かけて室温まで自然冷却し、組成物を得た。
【0073】
上記で製造した組成物を、アルミニウム基板(日本軽金属製、商品名:A3003P−H24、長さ:180mm、幅:120mm、厚み:1.5mm)上にブレードコート法により、焼成乾燥後の膜厚が100μmとなるように塗布した。その後、オーブンにて200℃で1時間の乾燥焼成を実施し、アルミニウム基板上にシリコーン樹脂層である粘着層(長さ:150mm、幅:110mm、厚み:100μm)を形成し、シリコーン樹脂層付き支持体を製造した。
【0074】
[実施例1]
上記で得られたシリコーン樹脂層付き支持体を(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドのエタノール溶液に5分間浸漬した。なお、エタノール溶液中における(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドの濃度は、0.5質量%であった。
次に、シリコーン樹脂層付き支持体に150℃で1時間の加熱処理を施し、基板搬送用キャリアを得た。なお、蛍光X線分析(XRF)より、シリコーン樹脂層表面上にAl(アルミニウム)の存在が確認され、表面修飾が行われたことを確認した。
【0075】
[実施例2]
(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドをテトラメトキシシランに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、基板搬送用キャリアを得た。
【0076】
[実施例3]
上記で得られたシリコーン樹脂層付き支持体を(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドのエタノール溶液に5分間浸漬した。なお、エタノール溶液中における(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドの濃度は、0.5質量%であった。
5分間の浸漬後、次に、シリコーン樹脂層付き支持体をエタノール溶液中に1分間浸漬して、その表面を洗浄した。
1分間の浸漬後、シリコーン樹脂層付き支持体に150℃で1時間の加熱処理を施し、基板搬送用キャリアを得た。なお、蛍光X線分析(XRF)より、シリコーン樹脂層表面上にAl(アルミニウム)の存在が確認され、表面修飾が行われたことを確認した。
【0077】
[実施例4]
(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドをテトラメトキシシランに変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、基板搬送用キャリアを得た。
【0078】
[実施例5]
シリコーン樹脂層付き支持体を(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドのエタノール溶液に5分間浸漬する前に、シリコーン樹脂層に対してプラズマ処理を実施した以外は、実施例3と同様の手順に従って、基板搬送用キャリアを得た。
なお、プラズマ処理の条件は、酸素流量70L/min、アルゴン流量77L/min、RF値(印加電圧)60W、処理時間30秒であった。
【0079】
[実施例6]
(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドをテトラメトキシシランに変更した以外は、実施例5と同様の手順に従って、基板搬送用キャリアを得た。
【0080】
[実施例7]
(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドをジラウリン酸ジブチル錫に変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、基板搬送用キャリアを得た。
【0081】
[実施例8]
(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドをテトラプロポキシドジルコニウムに変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、基板搬送用キャリアを得た。
【0082】
[実施例9]
(エチルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロポキシドをチタンテトライソプロポキシドに変更した以外は、実施例3と同様の手順に従って、基板搬送用キャリアを得た。
【0083】
[剥がし性評価(その1)]
実施例1〜9で得られた基板搬送用キャリアのシリコーン樹脂層上に、基板としてSUS303((L:100×W:50×H:1mm)を置き、手で軽く加圧して密着させた後、SUS303を剥離する操作を10回繰り返した。その際、以下の基準に従って、基板の剥離性を評価した。なお、実用上、「◎」「○」であればよい。
「◎」:10回目も基板を剥離することができ、基板のシリコーン樹脂層と密着していた面にはシリコーン樹脂層の欠片などが見られない場合
「○」:10回目も基板を剥離することができるが、基板のシリコーン樹脂層と密着していた面にはシリコーン樹脂層の欠片の付着が見える場合
「×」:10回目以内に基板の剥離性ができなくなった場合
【0084】
[剥がし性評価(その2)]
上記[剥がし性評価(その1)]で実施した基板(SUS303)の密着・剥離操作を500回繰り返した。その際、以下の基準に従って、基板の剥離性を評価した。なお、実用上、「◎」「○」であればよい。
「◎」:500回目も基板を剥離することができ、基板のシリコーン樹脂層と密着していた面にはシリコーン樹脂層の欠片などが見られない場合
「○」:500回目も基板を剥離することができるが、基板のシリコーン樹脂層と密着していた面にはシリコーン樹脂層の欠片の付着が見える場合
「×」:500回目以内に基板の剥離性ができなくなった場合
【0085】
[タック力のバラツキ評価]
実施例1〜9で得られた基板搬送用キャリアのシリコーン樹脂層上の任意の場所に、L:100mm×W:50mmに切り出した基板(カプトン300H(東レ・デュポン社製))の長手方向の端部を10mm程度残して、残りの部分をローラー圧着した。次に、樹脂層と接触していない該端部を鉛直方向に100mm/minの速度で引き上げて、基板の剥離を行い、その際の剥離強度を測定した。評価は、90°剥離試験機(IMADA社製)を用いた。
該操作は、シリコーン樹脂層上の10箇所の異なる位置に基板を置いて評価を行った。10箇所の平均値を算出した後、測定値から該平均値と最も大きな偏差(最大偏差)を算出して、(最大偏差/平均値)を求めた。
(最大偏差/平均値)の値が0.1以内の場合、タック力のバラツキがないとして、該値が0.1超の場合、タック力にバラツキがあるとした。
【0086】
なお、比較例1として、シリコーン樹脂層に対してなんら処理を施していない、シリコーン樹脂層付き支持体を使用して、同様の剥がし性評価を実施した。結果を表1にまとめて示す。
なお、表1中、「−」は未実施を意図する。
【0087】
【表1】

【0088】
表1に示されるように、実施例1〜9においては、剛直な基板であるSUS303を使用した場合も、基板搬送用キャリアから基板を剥離することができた。
なお、実施例4と6との比較より、酸化処理工程を実施することにより、500回目の剥離評価においてもシリコーン樹脂の欠片などの付着が見えず、剥離性がより良好に進行することが確認された。
また、実施例1〜2と3〜6との比較より、洗浄工程を実施することにより、基板のシリコーン樹脂層に対するタック力のバラツキをより抑制できることが確認された。
さらに、実施例3〜4および7〜9の比較より、金属化合物中の金属としてケイ素以外の金属(例えば、アルミニウム)を使用すると、500回目の剥離評価においてもシリコーン樹脂の欠片などの付着が見えず、剥離性がより良好に進行することが確認された。
一方、所定の処理を実施しなかった比較例1においては、基板を剥離することができなかった。
【符号の説明】
【0089】
10 基板搬送用キャリア
12 表面修飾されたシリコーン樹脂層
14 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に配置されたシリコーン樹脂層と、加水分解性基を有する金属化合物とを接触させ、前記シリコーン樹脂層表面の少なくとも一部を表面修飾する表面修飾工程を備える、
前記支持体と、前記支持体上に配置され、表面修飾されたシリコーン樹脂層とを有する基板搬送用キャリアの製造方法。
【請求項2】
前記表面修飾工程の前に、支持体上に配置されたシリコーン樹脂層に対して酸化処理を施す酸化処理工程をさらに備える、請求項1に記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
【請求項3】
前記表面修飾工程の後に、前記加水分解性基を有する金属化合物が溶解する溶媒で前記シリコーン樹脂層を洗浄する洗浄工程をさらに備える、請求項1または2に記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
【請求項4】
前記加水分解性基を有する金属化合物の金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、ガリウム、および鉛からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
【請求項5】
前記酸化処理が、紫外線照射処理、コロナ処理、プラズマ処理、または、オゾン雰囲気処理のいずれかである、請求項2〜4のいずれかに記載の基板搬送用キャリアの製造方法。
【請求項6】
基板の搬送に用いられ、前記基板の下面と密着する樹脂層と、
前記樹脂層を配置した支持体とを備えた基板搬送用キャリアであって、
前記樹脂層が、加水分解性基を有する金属化合物を用いて少なくとも表面の一部が表面修飾されたシリコーン樹脂層である、基板搬送用キャリア。
【請求項7】
前記加水分解性基を有する金属化合物の金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、ガリウム、および鉛からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項6に記載の基板搬送用キャリア。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−77742(P2013−77742A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217428(P2011−217428)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】