説明

基板搬送用パレット

【課題】本発明は、ピールバックの角度を適宜制御するために、正確な角度調整が簡単且つ迅速にできること。
【解決手段】固定枠本体1と、長辺方向が略対称の平板状で基板取付用の内部パレット2とからなり、固定枠本体1に平行状態に保持できる固定具とともに、前記内部パレット2が複数の異なる上昇所定角度となった一側先端高さ位置に対応した前記固定枠本体1の一側内端箇所に設けられた上昇位置台座部4と、上昇を押えるようにスライド可能で前記固定枠本体1に止着できる複数の上昇側押え片5と、他側先端に適宜な高さのスペーサ21を介しての前記固定枠本体1の他側内端箇所に設けられた下降位置台座部6と、上昇を押えるようにスライド可能で止着できる複数の下降側押え片7とが備えられること。それぞれ同一の上昇所定角度及び下降所定角度に対応して上昇位置台座部4,上昇側押え片5,下降位置台座部6,下降側押え片7が対応可能に設けられること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピールバックの角度を適宜制御するために、正確な角度調整が簡単且つ迅速にできる、はんだ付けのための基板搬送用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品装着のための自動はんだ付け装置は、種々開発されている。特に、フロー工法[図14(A)参照]とセル工法[図14(B)参照]とがある。このフロー工法における自動はんだ付け装置では、電子部品を設けたプリント基板が適宜な傾斜角にてチェーンなどの搬送部にて搬送されつつ噴流はんだによる、はんだ付けが行われている。この傾斜角は、その機械又は設備ごとに若干異なるが、一般に5度前後の傾斜角が設けられている。この傾斜角は、機械又は設備ごとに一定に構成され、容易に変更できない構成となっている。
【0003】
図13に示したものは、従来技術図であって、電子部品を設けたプリントされた基板と、噴流はんだとの関係図である。前記基板の上向きの進行方向を基準線(水平線)Gに対して約5度の傾斜角を有して前記基板が搬送される。このとき、噴流はんだが前記基板に接触しはじめる領域(初期領域)と、溶融はんだが母材に濡れる領域(はんだ付け領域)と、基板からはんだが切れる離脱領域とがある。この離脱領域の三角地帯をピールバックという。該ピールバックの角度をγとすると、該角度γが90度に近づくほど、はんだがゆっくり離れ、通称「切れ」が悪く、ブリッジが発生し易い状態となる。また、前記ピールバックの角度γが鈍角になれば成る程、溶融はんだが垂直方向に離脱すると、マランゴニ効果により溶融はんだ側(噴流側)へはんだが引っ張られる。こうした場合、はんだ接合部は十分なはんだ量を得ることができず、フィレット形状が痩せることで接合寿命や強度を低下させる恐れがあった。
【0004】
ところで、フロー工法[図14(A)参照]における自動はんだ付け装置における、はんだ付けの品質は、基板の搬送速度Vと、その自動はんだ付け装置の設備条件によることが殆どである。設備条件は、機械又は装置ごとの傾斜角度(実際には、約5度前後)である。この傾斜角度が変えられないとすると、はんだ付けの品質は、搬送速度Vのみで行うのが実情である。特許文献1及び2には、角度を変えられる、はんだチップを実装する治具本体は存在するが、その角度を如何に止めた状態で保持するかの具体的な構成は一切存在しない。
【0005】
基板搬送用パレットによるはんだ付け作業は、工場などでは、一般に、月産台数などが計画されると、その装置又は設備の台数などによって、自ずと適正な搬送速度Vが決定される。たとえば、受注量が多くなったときに、搬送速度Vを上げて行うと、前記ピールバックの角度γが、より鈍角となり、はんだが急に離れ、通称「切れ」が良くなるが、コンベアスピードを上げることで、ハンダ付け領域に滞在している時間が短くなり、必要な熱量を得られないことで、十分なはんだ付けができなくなることもあった。また、受注量が少なくなったときには、搬送速度Vを下げる。このようにすると、通称「切れ」が悪くなり、場合によっては、ブリッジが発生し易くなると共に、ハンダ付け領域に滞在している時間が長くなることで、必要以上の熱量がかかり、電子部品の熱破壊や耐熱保証限度を超えるという重大な欠点がある。つまり、ゆっくり基板を送ると、今度は、熱量が増加し、ブリッジが発生し易い状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−139440号
【特許文献2】特開平6−344132号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、月産台数などの要因などに応じて、はんだ付けの品質を良好に保つ、又は向上する場合に、基板搬送用パレットによるピールバックの角度を制御することで、はんだ付けの熱量、ブリッジ防止効果、はんだ付けの「切れ」などを良好にすることが望まれており、これを簡単なる操作、構造で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、本固定枠体と、該固定枠本体内で左右側が上下方向に揺動可能に軸支され、且つ略左右対称の平板状で基板取付用の内部パレットとからなる基板搬送用パレットにおいて、前記内部パレットが前記固定枠本体に平行状態に保持できる固定具とともに、前記内部パレットが複数の異なる上昇所定角度となった一側先端高さ位置に対応した前記固定枠本体の一側内端箇所に設けられた上昇位置台座部と、該上昇位置台座部には前記内部パレットの一側先端の上昇を押えるようにスライド可能で前記固定枠本体に止着できる複数の上昇側押え片と、前記上昇所定角度と同角度で対応する複数の異なる下降所定角度となった他側先端に適宜な高さのスペーサを介しての該スペーサ高さ位置に対応した前記固定枠本体の他側内端箇所に設けられた下降位置台座部と、該下降位置台座部には前記内部パレットの他側先端の上昇を押えるようにスライド可能で止着できる複数の下降側押え片とが備えられてなり、前記複数の内のそれぞれ同一の上昇所定角度及び下降所定角度に対応して前記上昇位置台座部,前記上昇側押え片及び前記下降位置台座部,前記下降側押え片が対応可能に設けられてなることを特徴とする基板搬送用パレットとしたことにより、前記課題を解決した。
【0009】
請求項2の発明を、請求項1において、前記固定枠本体に平行状態に保持された前記内部パレットの上面からのそれぞれの前記スペーサの高さは同等としてなることを特徴とする基板搬送用パレットとしたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記固定枠本体に平行状態に保持された前記内部パレット上面からの前記スペーサの高さは同等とし、最大の下降所定角度となった下降位置台座部の前記パレット上面からの高さよりも、最小の下降所定角度となった下降位置台座部の前記パレット上面からの高さの方が大きく形成され、該高さよりも、前記スペーサの高さが大きく形成されてなることを特徴とする基板搬送用パレットとしたことにより、前記課題を解決した。
【0010】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3において、前記上昇側押え片及び前記下降側押え片は、断面L形状をなし、その水平片が長孔を介してスライド可能で前記固定枠本体に止着できるように設けられてなることを特徴とする基板搬送用パレットとしたことにより、前記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4において、前記複数の上昇所定角度又は下降所定角度は、1度、2度としてなることを特徴とする基板搬送用パレットとしたことにより、前記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項5において、2種類の上昇側押え片と、2種類の下降側押え片とは、対応する上昇所定角度又は下降所定角度ごとに斜め掛け状態となるようにしてなることを特徴とする基板搬送用パレットとしたことにより、前記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項1,2,4,5又は6において、複数の上昇所定角度又は下降所定角度は、3つ以上の所定角度としてなることを特徴とする基板搬送用パレットとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明においては、特に、ピールバックの角度を適宜制御するために、正確な角度調整が簡単且つ迅速にできる。何等の調整などが一切不要で、ほぼ一瞬に角度調整ができ、これによってピールバックの角度を適宜制御することが簡単にできる。従来でも、角度調整という概念があったとしても、間違いなく、しかも簡単にできる。また汎用性は抜群である。さらに、取付ける方向を逆にすることで、ピールバックの角度をマイナス側に簡単に変えることができる利点がある。スペーサを設けたことで、固定枠本体などの強度性を確保できたものである。請求項2の発明では、スペーサの高さを同等とすることにより、極めて造り易くできると共に、安価に提供できる。
【0012】
請求項3の発明では、万一、操作を慌てて行ったとしても、作動しないため、確実なる行いができる利点がある。請求項4の発明では、角度変更などの操作が簡易且つ迅速にできる。請求項5の発明では、確実で、しかも、ニーズに対応した上昇所定角度又は下降所定角度のものにできる効果がある。請求項6の発明において、本体の捩れなどに対応した基板搬送用パレットを提供できる。また、請求項7の発明においては、3つ以上の所定角度としたことで、あらゆる角度に対応できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A)は本発明の基板搬送用パレットの斜視図、(B)は(A)のP−P矢視断面図である。
【図2】(A)は本発明において押え片を外した基板搬送用パレットの斜視図、(B)は(A)のQ−Q矢視断面図である。
【図3】(A)乃至(C)は、内部パレットを最低の傾斜角度にセットする工程図。
【図4】(A)乃至(C)は、内部パレットを最高の傾斜角度にセットする工程図。
【図5】(A)乃至(C)は、内部パレットを最低の傾斜角度にセットする別の実施形態の工程図である。
【図6】(A)乃至(C)は、内部パレットを最高の傾斜角度にセットする別の実施形態の工程図である。
【図7】(A)は、平行状態の内部パレットに対して、第1下降側押え片及び第1上昇側押え片がそれぞれ設けられている断面図、(B)は(A)の第1下降側押え片付近の箇所の拡大断面図、(C)は、平行状態の内部パレットに対して、第2下降側押え片及び第2上昇側押え片がそれぞれ設けられている断面図である。
【図8】(A)は、固体枠本体の下降側付近の一部切除された要部斜視図、(B)は(A)のR−R矢視断面図、(C)は押え片の斜視図である。
【図9】(A)は、固体枠本体の下降側付近の一部切除された要部斜視図、(B)は(A)のS−S矢視断面図である。
【図10】(A)は本発明の基板搬送用パレットの軸受箇所の断面図、(B)は固定具箇所の断面図、(C)は(B)の平面図である。
【図11】(A)は上昇などの角度を3段階とした本発明の略示平面図、(B)は上昇などの角度を4段階とした本発明の略示平面図である。
【図12】(A)は上昇角度を適宜プラスした基板の断面図、(B)は上昇角度を適宜マイナスした基板の断面図である。
【図13】噴流はんだと、基板との関係グラフである。
【図14】(A)フローはんだ付け作業との工程図、(B)はセル型のはんだ付け作業との工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、図1乃至図2は本発明の全体の斜視図である。1は方形状(長方形状)の固定枠本体であって、底部主板11には、開口部11aが形成され、周囲には、立上り縁12が設けられ、さらには、幅方向(図1においてY方向)両側には、長さ方向((図1においてX方向)に全長に亘って突出条11bが形成されている。該突出条11b,11bが、はんだ付け装置(図示しない)の搬送部としての無端搬送帯(チェーン等)に取り付けるための構成である。
【0015】
前記開口部11a内には、該開口部11aと同等大きさの平板状の内部パレット2が軸受3を介して揺動可能に設けられている。つまり、該内部パレット2が前記開口部11a内で左右側が上下方向に揺動可能に軸支されている。具体的には、前記開口部11aを閉塞するようにして前記内部パレット2の中間部の両側に軸受片31,31がそれぞれ固定され、該軸受片31,31に対応して前記固定枠本体1の中間部の両側に軸受片32,32が固定され、軸片33が前記軸受片31,32に挿通されて、前記内部パレット2が前記固定枠本体に対して左右側(長さ方向:図1においてX方向)が上下方向に揺動可能に設けられている。
【0016】
本発明では、特に、前記内部パレット2が略左右対称に構成され(後述のスペーサの存在を除いて)、且つ該内部パレット2が所定角度(傾斜角度1度、2度など)の状態で、簡易且つ容易に止めておくことができ、且つ強度を備えた基板搬送用パレットである。また、前記固定枠本体1及び前記内部パレット2は、約300度前後の耐熱性と、耐静電性を有するガラス繊維入り合成樹脂材等である。まず、本発明の図面においては、前記内部パレット2が全て左回転し(回転でも約1度乃至数度)、右側が上昇側とし、左側を下降側とする。そして、前記内部パレット2が第1上昇所定角度θ1(傾斜角1度、又は0.5度などであるが、図面上では、正確に角度1度で描かれている。)状態となって、その一側先端(図において右側端)高さ位置に対応して第1上昇位置台座部41が前記固定枠本体1の一側内端箇所(図において右側)に平坦状に設けられている。該第1上昇位置台座部41には、前記内部パレット2の一側先端(図において右側端)が上昇するのを押えるようにして第1上昇側押え片51がスライド可能に設けられている。
【0017】
該第1上昇側押え片51は、断面L型状をなし、水平片511と垂直片512とから構成されている。前記水平片511には、下面が前記第1上昇位置台座部41面に一致してスライド(摺動)可能に構成され、該スライド方向に長孔511a,511aが設けられている。さらに、図に示すように、第1上昇側押え片51が左側にスライドして前記水平片511の先端側下面にて前記内部パレット2の一側先端(図において右側端)が押えられる。そのスライド及び固着は、前記固定枠本体1に植設された螺子杆6aが前記長孔511aを介してナット6bが螺着されている。
【0018】
また、前記内部パレット2が第2上昇所定角度θ2(傾斜角2度、又は1.5度などであるが、図面上では、正確に角度2度で描かれている。)状態となって、その一側先端(図において右側端)高さ位置に対応して第2上昇位置台座部41が前記固定枠本体1の一側内端箇所(図において右側)に平坦状に設けられている。具体的には、前記第2上昇位置台座部41は、前記第1上昇位置台座部41の横に、該第1上昇位置台座部41と同等形状で高さのみが高くなって形成されている。そして、前記第2上昇位置台座部42には、前記内部パレット2の一側先端(図において右側端)が上昇するのを押えるようにして第2上昇側押え片52がスライド可能に設けられている。
【0019】
該第2上昇側押え片52は、前記第1上昇側押え片51と同一形状をなし、水平片521,垂直片522及び長孔521a,521aが設けられている。前記螺子杆111a及びナット111bを介してスライド及び固着されている。また、前記第1上昇側押え片51の水平片511の上面、前記第2上昇側押え片52の水平片521の上面には、それぞれ、上昇角度の具体的数値、「1度」、「2度」が描かれている。また、第3、第4の上昇所定角度等にすることもあるが、その場合には、符号は付さないが、第3上昇位置台座部、第4上昇位置台座部等とすることがある。この場合には、第3上昇側押え片、第4上昇側押え片等が適宜設けられる。
【0020】
また、前記内部パレット2が第1下降所定角度β1(傾斜角1度、又は0.5度等であって、角度β1=角度θ1である。これは、上昇側をθ、下降側をβとした。)状態となって、その他側先端(図において左側端)に第1スペーサ211が固着され、該第1スペーサ211の高さ位置に対応して第1下降位置台座部61が前記固定枠本体1の他側内端箇所(図において左側)に平坦状に設けられている。該第1下降位置台座部61には、前記内部パレット2の他側先端(図において右側端)の第1スペーサ211の上昇などを規制する第1下降側押え片71がスライド可能に設けられている。
【0021】
該第1下降側押え片71は、断面L型状をなし、水平片711と垂直片712とから構成され、さらに、長孔711aも穿設されており、前記第1上昇側押え片51、第2上昇側押え片52と同一形状に構成されている。そのスライド及び固着は、前記固定枠本体1に植設された螺子杆111aが前記長孔511aを介してナット111bが螺着されている。また、前記内部パレット2が第2下降所定角度β2(傾斜角2度、又は1.5度等であって、角度β2=角度θ2である。)状態となって、その他側先端(図において左側端)に第2スペーサ212が固着され、該第2スペーサ212の高さ位置に対応して第2下降位置台座部62が前記固定枠本体1の他側内端箇所(図において左側)に平坦状に設けられている。該第2下降位置台座部62には、前記内部パレット2の他側先端(図において右側端)の第2スペーサ212の上昇などを規制する第2下降側押え片72がスライド可能に設けられている。
【0022】
前記第1下降側押え片71の水平片711の上面、前記第2下降側押え片72の水平片721の上面には、それぞれ、上昇角度の具体的数値、「1度」、「2度」が描かれ、前記第1上昇側押え片51及び前記第2上昇側押え片52に対応している。さらに、第3、第4の下降所定角度等にすることもあるが、その場合には、符号は付さないが、第3下降位置台座部、第3下降側押え片、第4下降位置台座部、第4下降側押え片等とすることがある。特に、前記第1スペーサ211及び第2スペーサ212の上面は、通常は、水平面として形成されているが、その上面に僅かな角度Δγ1、角度Δγ2だけ傾斜させて、前記第1下降側押え片71、第2下降側押え片72の下面に、良好に面接触するように形成されることがある。
【0023】
次に、作用又は操作について図3及び4にて説明する。ピールバックの角度γをさらに鋭角にしたい場合であって、第1上昇所定角度θ1(傾斜角1度又は0.5度等)を得るには、図3(A)に示すように、まず、第1上昇側押え片51をスライドさせて、前記内部パレット2の一側先端(図3において右側端)位置に被せるようにする。そして、今度は、前記内部パレット2の他側先端(図3において左側端)を押えて、図3において、左回転させて、第1上昇所定角度θ1を得て、この状態にしつつ、前記第1下降側押え片71をスライドさせて、前記内部パレット2の他側先端(図3において左側端)に被せるようにする。これは、実際には、数秒でセットできるものであり、角度制御が正確で且つ簡単にできる。
【0024】
また、同様に、第2上昇所定角度θ2(傾斜角2度又は1.5度等)を得るには、図4(A)に示すように、図3と同様に、第2上昇側押え片52をスライドする。そして、今度は、前記内部パレット2の他側先端(図4において左側端)を押えて左回転させて、第2上昇所定角度θ2を得て、この状態にしつつ[図4(B)参照]、前記第2下降側押え片72をスライドさせて、前記内部パレット2の他側先端(図4において左側端)に被さるようにする[図4(C)参照]。これも、実際には数秒でセットでき、角度制御が正確で且つ簡単にできる。
【0025】
また、ピールバックの角度γを鋭角にしたい場合であって、別の実施形態として、第1上昇所定角度θ1(傾斜角1度又は0.5度等)を得るには、図5(A)に示すように、まず、前記内部パレット2の他側先端(図5において左側端)を適宜の量を押えて第1上昇所定角度θとして、左回転させて、その、第1上昇側押え片51をスライドさせつつ、この状態にしつつ前記第1下降側押え片71をスライドさせてセットする。これでも、角度制御が正確で且つ簡単にできる。
【0026】
また、ピールバックの角度γを鋭角にする別の実施形態として、第2上昇所定角度θ2(傾斜角2度又は2.5度等)を得るには、図6(A)に示すように、まず、前記内部パレット2の他側先端(図6において左側端)を適宜の量押えて第2上昇所定角度θ2として左回転させて、この状態にしつつ前記第1下降側押え片71をスライドさせてセットする。そして第2上昇側押え片52をスライドさせつつ、これでも、角度制御が正確で且つ簡単に行うことができる。
【0027】
また、図12は、基板の搬送状態を示すもので、図12(A)が1度上昇させた(通常の5度プラス1度)ものであり、この場合には、搬送速度Vが一定でも、リードの中間までしか溶融はんだが入らないこともある。この状態で通電できたとしても、この箇所の強度が低下するのみならずノイズ発生原因ともなり、製品寿命も短くなるなどの欠点があった。このような場合でも、従来では、速度制御するのみであるが、本発明では、図12(B)のように、1度下降させた(通常の5度マイナス1度)ものであり、この場合には、搬送速度Vが一定でも、ピールバックの角度γが大きくなり、熱量が増加してリードの上側まで溶融はんだが入ることとなり、従来の速度制御に加えて、角度制御ができ、ピールバックの角度γの制御が大幅に増加しうる。
【0028】
本発明の基板搬送用パレットにおいて、前記スペーサ21を設けたことは、固定枠本体1の厚みを決定する上で重要な要素となっている。つまり、スペーサ21が存在しなければ、例えば、図4の状態において、固定枠本体1の厚みがゼロに近くなってしまい、強度的に無理のため、必然的に固定枠本体1の厚みを増加して基板搬送用パレット強度を確保する必要があるが、本発明では、スペーサ21を設けたことで、固定枠本体1の厚みを薄くしつつも基板搬送用パレットの強度を確保している。さらに前記スペーサ21の高さを同等としたことで、簡単に製造できる利点もある。
【0029】
本発明では、図7に示すように、H2,H1,H0の関係を説明する。つまり、最大の下降所定角度となった前記下降位置台座部の前記パレット上面からの高さよりも、最小の下降所定角度となった前記下降位置台座部の前記パレット上面から高さの方が大きく形成され、該高さよりも、それぞれの前記スペーサの高さが大きく形成されてなることであり、このことによって、万一、操作を慌てて行ったとしても、作動しないため、誤動作にならず、確実なる操作ができる。つまり、前記内部パレット2が平行状態では、図7において、第1下降側押え片71や第2下降側押え片72の何れかを右側にスライドさせようとしても、前記スペーサ21に当たってスライドできない。慌てて行うような誤動作を排除できる。まず、上昇所定角度を何度にするかという上昇側押え片5の第1上昇側押え片51又は第2上昇側押え片52をセットしてから行うことで正確な操作ができる。
【0030】
図11においては、本発明の別の実施形態であって、図11(A)は、上昇などの角度を3段階とした本発明の略示平面図であり、同図右側が上昇側押え片5が3つ、同図左側が下降側押え片7が3つ設けられ、左右の1度の角度相互、2度の角度相互はタスキ掛けになっており、1.5度のみ左右対称に構成されている。また、図11(B)は、上昇などの角度を4段階とした本発明の略示平面図であり、同図右側が上昇側押え片5が4つ、同図左側が下降側押え片7が4つ設けられ、左右の1度、1.5度、2度又は2.5のそれぞれの角度相互はタスキ掛けになって構成されている。角度などは実施形態に限定されない。
【0031】
図10(B)においては、前記固定具8の断面構造が開示されており、上下に小判状鍔部が形成された固定具本体81に対して、内部に貫通孔が形成され、この下側に固定筒部82が埋設され、該固定筒部82の上側で前記貫通孔内に拡大孔83が穿孔されている。そして、前記固定具8が、固定枠本体1又は内部パレット2の一部に下側からビス86を介して前記固定筒部82に螺合され、さらに、上側では、上ねじ84(ねじ頭径は前記拡大孔83の径よりも小)のねじ部が前記固定筒部82に螺合され、且つこのねじ頭と前記拡大孔83下端との間に圧縮コイルスプリング85が介在されている。このような構造により、図10(B)点線のように、つまんで少し上昇させつつ、図10(C)点線のように、回転させて、固定枠本体1に対して内部パレット2の固定を解除したり、該内部パレット2に対して基板9の固定を解除する。
【符号の説明】
【0032】
1…本固定枠体、2…内部パレット、21…スペーサ、4…上昇位置台座部、
5…上昇側押え片、6…下降位置台座部、7…下降側押え片。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本固定枠体と、該固定枠本体内で左右側が上下方向に揺動可能に軸支され、且つ略左右対称の平板状で基板取付用の内部パレットとからなる基板搬送用パレットにおいて、前記内部パレットが前記固定枠本体に平行状態に保持できる固定具とともに、前記内部パレットが複数の異なる上昇所定角度となった一側先端高さ位置に対応した前記固定枠本体の一側内端箇所に設けられた上昇位置台座部と、該上昇位置台座部には前記内部パレットの一側先端の上昇を押えるようにスライド可能で前記固定枠本体に止着できる複数の上昇側押え片と、前記上昇所定角度と同角度で対応する複数の異なる下降所定角度となった他側先端に適宜な高さのスペーサを介しての該スペーサ高さ位置に対応した前記固定枠本体の他側内端箇所に設けられた下降位置台座部と、該下降位置台座部には前記内部パレットの他側先端の上昇を押えるようにスライド可能で止着できる複数の下降側押え片とが備えられてなり、前記複数の内のそれぞれ同一の上昇所定角度及び下降所定角度に対応して前記上昇位置台座部,前記上昇側押え片及び前記下降位置台座部,前記下降側押え片が対応可能に設けられてなることを特徴とする基板搬送用パレット。
【請求項2】
請求項1において、前記固定枠本体に平行状態に保持された前記内部パレットの上面からのそれぞれの前記スペーサの高さは同等としてなることを特徴とする基板搬送用パレット。
【請求項3】
請求項1又は2において、最大の下降所定角度となった前記下降位置台座部の前記パレット上面からの高さよりも、最小の下降所定角度となった前記下降位置台座部の前記パレット上面からの高さの方が大きく形成され、該高さよりも、それぞれの前記スペーサの高さが大きく形成されてなることを特徴とする基板搬送用パレット。
【請求項4】
請求項1,2又は3において、前記上昇側押え片及び前記下降側押え片は、断面L形状をなし、その水平片が長孔を介してスライド可能で前記固定枠本体に止着できるように設けられてなることを特徴とする基板搬送用パレット。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4において、前記複数の上昇所定角度又は下降所定角度は、1度、2度としてなることを特徴とする基板搬送用パレット。
【請求項6】
請求項5において、2種類の上昇側押え片と、2種類の下降側押え片とは、対応する上昇所定角度又は下降所定角度ごとに斜め掛け状態となるようにしてなることを特徴とする基板搬送用パレット。
【請求項7】
請求項1,2,4又は5において、複数の上昇所定角度又は下降所定角度は、3つ以上の所定角度としてなることを特徴とする基板搬送用パレット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−225988(P2010−225988A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73558(P2009−73558)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【特許番号】特許第4333967号(P4333967)
【特許公報発行日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(501295372)キクデン インターナショナル株式会社 (3)
【Fターム(参考)】