説明

基板搬送装置およびそれを備えた基板処理装置

【課題】複数枚の基板の一括搬送および1枚の基板の枚葉搬送の切換えに要する時間を短縮することができ、構成も簡略化できる基板搬送装置およびそれを用いた基板処理装置を提供する。
【解決手段】搬出入機構4は、複数枚の基板Wを積層状態で一括して保持するバッチハンド40と、このバッチハンド40を進退させるバッチハンド進退機構と、1枚の基板Wを保持する枚葉ハンド39と、この枚葉ハンド39を進退させる枚葉ハンド進退機構と、バッチハンド進退機構および枚葉ハンド進退機構を保持する保持ベース41と、保持ベース41を上下動させる昇降ブロック43と、前記保持ベース41を鉛直方向に沿う旋回ブロック42とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数枚の基板に対して一括して処理を施すことができる基板処理装置、およびこの基板処理装置に備えられる基板搬送装置に関する。処理または搬送の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の基板に対して薬液を用いた処理を施す基板処理装置には、複数枚の基板に対して一括して処理を施すバッチ式のものがある。バッチ式の基板処理装置の一例は、下記特許文献1に示されている。この基板処理装置は、キャリヤ載置部、水平移載ロボット、姿勢変換機構、プッシャ、主搬送機構、および基板処理部を備えている。
キャリヤ載置部は、複数枚の基板を水平姿勢で垂直方向に積層した状態で保持するキャリヤ(収容器)を載置できるようになっている。
【0003】
水平移載ロボットは、垂直多関節アーム型の搬送ロボットで構成され、多関節アームを伸縮させ、かつ、鉛直軸線まわりに旋回させることができるように構成されている。これにより、水平移載ロボットは、多関節アームをキャリヤに向けて、このキャリヤに対して、水平姿勢で垂直方向に積層された複数枚の基板を出し入れし、さらに、多関節アームを姿勢変換機構に向けて、この姿勢変換機構に対して、水平姿勢で垂直方向に積層された複数枚の基板の受け渡しを行うようになっている。
【0004】
姿勢変換機構は、複数枚の積層された基板を一括して水平姿勢と垂直姿勢との間で姿勢変換させるためのものである。
プッシャは、上下動および水平移動が可能なホルダを備え、姿勢変換機構との間で垂直姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡しでき、主搬送機構との間で垂直姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡しすることができる。
【0005】
主搬送機構は、バッチを形成する複数枚(たとえば50枚)の基板を垂直姿勢で保持する基板チャックを有し、この基板チャックを水平方向に移動させることによって、バッチを構成する複数枚の基板を基板処理部に対して搬入/搬出するものである。
基板処理部は、主搬送機構の移動方向に沿って配置された複数の処理槽を有する。処理槽には、薬液槽、水洗槽、および乾燥槽が含まれる。薬液槽は、垂直姿勢の複数枚の基板を槽内に貯留された薬液中に浸漬させ、複数枚の基板に対して一括して薬液処理を施すものである。水洗槽は、垂直姿勢の複数枚の基板を槽内に貯留された純水(脱イオン水)中に浸漬して、複数枚の基板に対して一括して水洗(リンス)処理を施すものである。乾燥槽は、有機溶剤(たとえば、イソプロピルアルコール)を供給したり、液成分を振り切ったりする処理を、複数枚の基板に対して一括して施すものである。
【0006】
特許文献1の装置において、水平移載ロボットは、多関節アームに着脱することができるバッチハンドと枚葉ハンドとを備えている。バッチハンドは、複数枚の基板を一括して搬送するために用いられ、枚葉ハンドは基板を1枚ずつ搬送するために用いられる。ハンドの交換は、水平移載ロボットがハンド交換部にアクセスすることによって行われる。ハンド交換部には、バッチハンド、未処理基板用の枚葉ハンドおよび処理済み基板の枚葉ハンドをそれぞれ保持するための3つのハンドホルダが備えられている。水平移載ロボットは、たとえば、バッチハンドを取り外して枚葉ハンドを装着するとき、バッチハンド用ハンドホルダにバッチハンドを収納し、枚葉ハンド用ハンドホルダに収容されている枚葉ハンドを装着するように動作する。これにより、人手を要することなく自動的にハンドを交換できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−354604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の先行技術に係る構成では、使用中のハンド以外のハンドはハンド交換部に保管されているため、ハンド交換部のためのスペースを設ける必要がある。そのうえ、ハンドの交換の度に水平移載ロボットはハンド交換部にアクセスする必要があるから、そのための時間が必要であり、さらに、ハンド交換のための時間も必要である。したがって、ハンドの交換を要する処理を行うときには、基板処理速度が大きく損なわれてしまう。
【0009】
さらにまた、ハンド交換部にアクセスしてハンドの自動交換を実現するために、水平移載ロボットとして、垂直多関節アーム型ロボットが適用されている。しかし、垂直多関節アーム型ロボットは、構造が複雑であり、それに応じて高価であるため、コストが高くなる問題がある。
しかも、垂直多関アーム節型ロボットによって基板を水平方向に移動させるためには、複数の駆動軸を同期駆動する必要がある。そのため、基板を高速で搬送しようとすると、ハンドに振動が生じてしまい、搬送不良が生じるおそれがある。したがって、基板搬送速度を上げることが難しく、それに応じて、基板処理装置の生産性を向上することが難しいという問題もある。
【0010】
そこで、この発明の目的は、複数枚の基板の一括搬送および1枚の基板の枚葉搬送の切換えに要する時間を短縮することができ、構成も簡略化できる基板搬送装置およびそれを用いた基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、複数枚の基板を積層状態で一括して保持するバッチハンドと、このバッチハンドを進退させるバッチハンド進退機構と、1枚の基板を保持する枚葉ハンドと、この枚葉ハンドを進退させる枚葉ハンド進退機構と、前記バッチハンド進退機構および枚葉ハンド進退機構を保持する保持ベースと、この保持ベースを上下動させる昇降機構と、前記保持ベースを鉛直方向に沿う旋回軸線周りに旋回させる旋回機構とを含む、基板搬送装置である。前記バッチハンド進退機構は、前記保持ベースに支持され、互いに平行に延びた一対のバッチハンド用リニアガイドと、前記一対のバッチハンド用リニアガイドに結合され、前記バッチハンドを保持して進退するバッチハンド進退ブラケットとを含む。また、前記枚葉ハンド進退機構は、前記一対のバッチハンド用リニアガイドの間に配置されて前記保持ベースに支持され、前記一対のバッチハンド用リニアガイドと平行に延びた1本の枚葉ハンド用リニアガイドと、前記一本の枚葉ハンド用リニアガイドに結合され、前記枚葉ハンドを保持して進退する枚葉ハンド進退ブラケットとを含む。そして、前記バッチハンドおよび前記枚葉ハンドがそれぞれの後退位置にあるとき、前記枚葉ハンド進退ブラケットが前記バッチハンド進退ブラケットに内包され、前記バッチハンドおよび枚葉ハンドが上下方向に積層配置されるようになっている。
【0012】
この構成によれば、バッチハンドを進退させるバッチハンド進退機構と枚葉ハンドを進退させる枚葉ハンド進退機構とが共通の保持ベースに保持されている。そして、この共通の保持ベースが昇降機構によって上下動され、旋回機構によって鉛直軸線周りに旋回されるようになっている。したがって、搬送対象場所に対してバッチハンドまたは枚葉ハンドを対向させた状態で、バッチハンドまたは枚葉ハンドを当該搬送対象場所に対して進退させることによって、この搬送対象場所に対して基板を搬入/搬出することができる。バッチハンド進退機構および枚葉ハンド進退機構が個別に設けられているので、バッチハンドおよび枚葉ハンドを独立して進退させることができる。
【0013】
このように、ハンドを交換する必要がないので、バッチハンドによる複数枚の基板の一括搬送と、枚葉ハンドによる1枚の基板の枚葉搬送との切換えは、バッチハンド進退機構と枚葉ハンド進退機構とのいずれを作動させるかを選択することによって達成される。よって、前述の先行技術とは異なり、一括搬送と枚葉搬送との切換えに長い時間を必要とすることはない。これにより、一括搬送と枚葉搬送との切換えが必要な場合であっても、基板搬送を効率的に行うことができる。
【0014】
また、ハンドの交換が必要でないため、先行技術のような複雑な構造の垂直多関アーム節型ロボットを必要とせず、保持ベースを昇降させる昇降機構と、保持ベースを旋回させる旋回機構とを備え、さらに、保持ベースにバッチハンド進退機構と枚葉ハンド進退機構を備えればよい。したがって、先行技術に比較して構造が簡易であるため、コストを大幅に削減することができる。しかも、水平方向の基板の移動は、保持ベースの旋回およびハンドの進退によって行うことができ、垂直多関節アーム型ロボットの場合のように、複数の駆動軸の同期駆動を要することもない。そのため、基板の搬送速度を高めることが可能である。
【0015】
さらに、ハンド交換部を必要としないので、装置の専有面積(フットプリント)を削減でき、併せて、コストの削減も図ることができる。
なお、バッチハンドの進退方向と枚葉ハンドの進退方向とは、異なっていてもよいが、平行であることが好ましい。
また、この発明では、前記バッチハンドおよび前記枚葉ハンドがそれぞれの後退位置にあるとき、これらのバッチハンドおよび枚葉ハンドが上下方向に積層配置されるようになっている。この構成によれば、バッチハンドおよび枚葉ハンドを後退させた状態での旋回半径を小さくすることができるので、基板搬送装置の設置スペースを縮小することができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記枚葉ハンドが、水平方向に離れて配置された2つのハンド要素を備え、各ハンド要素は、高さの異なる第1および第2基板支持部を有し、前記基板搬送装置は、前記2つのハンド要素をそれぞれ水平方向に駆動することにより開閉するハンド開閉機構をさらに含み、前記枚葉ハンドは、前記2つのハンド要素を開いた状態では、当該2つのハンド要素の前記第1基板支持部によって第1の高さで基板を保持し、前記2つのハンド要素を閉じた状態では、当該2つのハンド要素の前記第2基板支持部によって第2の高さで基板を保持する、請求項1記載の基板搬送装置である。
【0017】
この構成によれば、ハンド開閉機構によって2つのハンド要素を開閉することによって、第1基板支持部で基板を支持している状態と、第2基板支持部で基板を支持している状態とを選択することができる。そして、第1および第2基板支持部は高さが異なるので、一方の基板支持部で基板を支持しているとき、この基板が他方の基板支持部に接しないようにすることができる。そこで、第1および第2基板支持部を使い分けて基板を支持することができる。
【0018】
たとえば、第1および第2基板支持部の一方を未処理基板の支持に用い、その他方を処理済みの基板の支持に用いることができる。これにより、枚葉ハンドを2種類の用途に使い分けることができ、前述の先行技術のように、未処理基板用の枚葉ハンドと処理済み基板用の枚葉ハンドとを個別に準備する必要も、それらの交換をする必要もない。これにより、交換用のハンドが不要であるうえ、ハンド交換の時間を要することなく未処理基板および処理済み基板に対して個別の基板支持部を割り当てることができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、複数枚の基板を積層状態で収容する収容器を保持する収容器保持部と、複数枚の基板を保持する基板保持部と、前記収容器保持部に保持された収容器と、前記基板保持部との間で基板を搬送する請求項1または2に記載の基板搬送装置とを含む、基板処理装置である。
この構成によれば、収容器保持部に保持された収容器と基板保持部との間の基板搬送を、バッチハンドを用いた一括搬送によって行ったり、枚葉ハンドを用いた枚葉搬送によって行ったりすることができる。一括搬送と枚葉搬送との切換えの際に、ハンド交換のための時間などは必要ではなく、その切換えは速やかに行うことができる。これにより、基板搬送を高速化できるので、それに応じて基板処理速度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を説明するための図解的な平面図である。この基板処理装置10は、フープ(FOUP)保持部1、基板処理部2、主搬送機構3、搬出入機構4、姿勢変換機構5、プッシャ6、受け渡し機構7、チャック洗浄ユニット8、およびコントローラ9(制御ユニット)を備えている。
【0021】
フープ保持部1は、平面視ほぼ長方形に形成された基板処理装置10の一角部に配置されている。このフープ保持部1は、水平姿勢の複数枚(たとえば25枚)の基板WをZ方向(上下方向、垂直方向)に積層した状態で収容する収容器としてのフープFを保持することができる収容器保持部である。基板処理装置10の前面10a(平面視における一短辺に対応)に対向するように、二点鎖線で示す自動フープ搬送装置11が配置されている。自動フープ搬送装置11は、未処理の基板Wを収容したフープFをフープ保持部1に供給する働きと、処理済みの基板Wを収容すべきフープF(空のフープ)をフープ保持部1に供給する働きと、フープ保持部1に保持させるフープを交換するために、フープ保持部1に保持されているフープFを退避させる働きとを有する。基板Wは、この実施形態では、半導体ウエハのような円形基板である。たとえば、半導体ウエハは、結晶方向を表すためのノッチを周縁部に有している。
【0022】
基板処理部2は、基板処理装置10の側面(平面視における一長辺に対応)10bに沿うY方向(水平方向)に沿って配列された複数の処理部20(処理ユニット)を備えている。複数の処理部20は、第1薬液槽21、第1リンス液槽22、第2薬液槽23、第2リンス液槽24および乾燥処理部25を含む。第1薬液槽21および第2薬液槽23は、それぞれ、同種または異種の薬液を貯留し、その薬液中に複数枚の基板Wを一括して浸漬させて薬液処理するものである。第1リンス液槽22および第2リンス液槽24は、それぞれ、リンス液(たとえば純水)を貯留し、そのリンス液中に複数枚(たとえば52枚)の基板Wを一括して浸漬させて、表面にリンス処理を施すものである。
【0023】
この実施形態では、第1薬液槽21と、これに隣接する第1リンス液槽22とが対になっており、第2薬液槽23と、これに隣接する第2リンス液槽24とが対になっている。そして、第1薬液槽21で薬液処理された基板Wを第1リンス液槽22に移すための専用搬送機構としての第1リフタ27と、第2薬液槽23で薬液処理された基板Wを第2リンス液槽24に移すための専用搬送機構としての第2リフタ28とが備えられている。第1および第2リフタ27,28は、垂直姿勢の複数枚(たとえば52枚)の基板WをX方向(水平方向)に沿って積層した状態で支持することができる基板支持部と、この基板支持部を上下動させる昇降駆動機構と、基板支持部をY方向に沿って横行させる横行駆動機構とを備えている。なお、X方向は、基板処理装置10の前面10aに沿う水平方向であり、Y方向と直交する方向である。
【0024】
この構成により、第1リフタ27は、主搬送機構3から垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取り、この複数枚の基板Wを第1薬液槽21中に下降させて薬液中に浸漬させる。さらに、所定の薬液処理時間だけ待機した後に、第1リフタ27は、基板支持部を上昇させて薬液中から複数枚の基板Wを引き上げ、第1リンス液槽22へと基板支持部を横行させ、さらに、この基板支持部を第1リンス液槽22内へと下降させてリンス液中に浸漬させる。所定のリンス処理時間だけ待機した後、第1リフタ27は、基板支持部を上昇させてリンス液中から基板Wを引き上げる。この後、第1リフタ27から主搬送機構3に複数枚の基板Wが一括して渡される。第2リフタ28も同様に、主搬送機構3から垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取り、この複数枚の基板Wを第2薬液槽23中に下降させて薬液中に浸漬させる。さらに、所定の薬液処理時間だけ待機した後に、第2リフタ28は、基板支持部を上昇させて薬液中から複数枚の基板Wを引き上げ、第2リンス液槽24へと基板支持部を横行させ、さらに、この基板支持部を第2リンス液槽24内へと下降させてリンス液中に浸漬させる。所定のリンス処理時間だけ待機した後、第2リフタ28は、基板支持部を上昇させてリンス液中から基板Wを引き上げる。この後、第2リフタ28から主搬送機構3に複数枚の基板Wが一括して渡される。
【0025】
乾燥処理部25は、複数枚(たとえば52枚)の基板Wを垂直姿勢でX方向に積層した状態で保持することができる基板保持機構を有しており、減圧雰囲気中で有機溶剤(イソプロピルアルコール等)を基板Wに供給したり、遠心力によって基板W表面の液成分を振り切ったりすることにより、基板Wを乾燥させるものである。この乾燥処理部25は、主搬送機構3との間で基板Wの受け渡しが可能である。
【0026】
主搬送機構3は、垂直姿勢の複数枚(たとえば52枚)の基板WをX方向に積層した状態で一括保持する基板一括保持手段としての一対の基板チャック(挟持機構)30と、この基板チャック30を作動させるチャック駆動機構と、基板チャック30をY方向に沿って水平移動(横行)させる横行駆動機構と、基板チャック30をZ方向に沿って昇降させるための昇降駆動機構とを備えている。一対の基板チャック30は、それぞれ、X方向に延びた軸状の一対の支持ガイド31を備え、各支持ガイド31の互いに対向する側には、垂直姿勢の複数枚の基板Wを受け入れて下方から支持するための複数の基板支持溝が軸方向に間隔を開けて形成されている。チャック駆動機構は、一対の基板チャック30を矢印33方向に回動させることにより、一対の支持ガイド31間の距離を拡縮する。これにより、基板チャック30は、基板Wを挟持して保持する保持状態と、基板Wの挟持を解放する解除状態とに切り換える開閉動作を行うことができる。この開閉動作と、第1および第2リフタ27,28の上下動とによって、第1および第2リフタ27,28と基板チャック30との間での基板Wの受け渡しを行うことができる。主搬送機構3は、さらに、乾燥処理部25との間で、垂直姿勢でX方向に積層した状態で複数枚の基板Wを一括して受け渡しすることができる。
【0027】
主搬送機構3は、垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の未処理基板Wを基板受け渡し位置Pで受け取り、垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の処理済み基板Wを基板受け渡し位置Pで払い出すように動作する。
チャック洗浄ユニット8は、基板受け渡し位置Pと処理部20との間に配置されている。チャック洗浄ユニット8は、一対の基板チャック30がそれぞれ差し入れられる一対の開口が上面に形成された洗浄槽35を有している。この洗浄槽35内において、基板チャック30(とくに支持ガイド31)が、洗浄液を用いて洗浄される。主搬送機構3は、乾燥処理部25での乾燥処理を終えた処理済み基板Wを搬送する前に、基板チャック30をチャック洗浄ユニット8の洗浄槽35に差し入れる。そして、洗浄槽35内で基板チャック30が洗浄された後に、主搬送機構3は、乾燥処理部25から処理済み基板Wを一括して受け取るように動作する。主搬送機構3は、基板チャック30の下端に備えられた一対の支持ガイド31の間隔を狭めることができる。そこで、支持ガイド31の間隔を狭めた状態で洗浄槽35における洗浄処理を行うこととすれば、洗浄槽35を小型化できるので、基板処理装置10の専有面積を抑制できる。
【0028】
チャック洗浄ユニット8と基板受け渡し位置Pとの間にはシャッタ15が設けられている。シャッタ15は、主搬送機構3が基板受け渡し位置Pから処理部20側へと移動するとき、および主搬送機構3が処理部20側から基板受け渡し位置Pへと移動するときに開かれ、他の期間は閉状態に保持される。これにより、処理部20側の薬液雰囲気の漏洩を抑制または防止している。
【0029】
図2Aは、フープFと主搬送機構3との間の基板搬送に関連する構成を説明するための拡大平面図である。フープ保持部1に搬出入機構4が対向している。フープ保持部1の搬出入機構4側には、フープFの前面を閉塞している蓋を開閉するためのオープナ12が配置されている。
搬出入機構4の基板受け渡し位置P側に、姿勢変換機構5が配置されている。また、姿勢変換機構5の基板受け渡し位置P側にプッシャ6が配置されている。そして、基板受け渡し位置Pには、受け渡し機構7が配置されている。受け渡し機構7は、プッシャ6の位置である基板移載位置Sと、基板受け渡し位置Pとの間で基板Wを搬送するように動作する。
【0030】
搬出入機構4とプッシャ6との間の搬送経路TP1と、プッシャ6と基板受け渡し位置Pとの間の搬送経路TP2とは、所定の角度(たとえば、170度〜185度)をなして交差している。すなわち、搬送経路TP2はX方向に平行であるのに対して、搬送経路TP1は、プッシャ6から搬出入機構4に向かうに従って前面10aから離れるように斜行する斜行経路を形成している。この搬送経路TP1に沿って、搬出入機構4、姿勢変換機構5およびプッシャ6が配列されている。また、搬送経路TP2に沿って、プッシャ6が配置された基板移載位置Sおよび基板受け渡し位置Pが配列されている。よって、プッシャ6は、搬送経路TP1,TP2の交差位置に配置されている。
【0031】
このような配置は、搬出入機構4がフープFにアクセスするときのハンドストロークを確保しつつ、基板処理装置10の占有面積(フットプリント)を削減するのに役立っている。また、搬出入機構4から基板受け渡し位置Pに至る搬送経路を直線とすると、搬出入機構4、姿勢変換機構5、プッシャ6および基板受け渡し位置Pを直線上に配列しなければならず、その精度を確保するための調整は難作業となる。これに対して、この実施形態では、搬送経路TP1,TP2が所定の角度をなして交差する構成となっているので、搬出入機構4および姿勢変換機構5を搬送経路TP1に沿って整列させ、プッシャ6および基板受け渡し位置Pを搬送経路TP2に沿って整列させるとともに、搬送経路TP1,TP2の交差点にプッシャ6を配置すればよいので、調整が容易になる。
【0032】
図2Bは、図2Aの矢印A1からみた立面図である。ただし、チャック洗浄ユニット8の図示は省略されている。
搬出入機構4は、この発明の一実施形態に係る基板搬送装置であり、1枚の基板Wを保持することができる枚葉ハンド39と、複数枚の基板Wを積層状態で一括して保持することができる複数枚保持ハンドであるバッチハンド40と、これらのハンド39,40を共通に保持する保持ベース41と、旋回ブロック42と、旋回ブロック42を鉛直軸線周りの回動が可能なように支持する昇降ブロック43と、この昇降ブロック43を昇降自在に支持する基台部44とを備えている。保持ベース41には、枚葉ハンド39およびバッチハンド40を独立して進退させるためのハンド進退機構(図示せず)が内蔵されている。旋回ブロック42は、保持ベース41を支持し、内蔵された旋回機構(図示せず)の働きによって鉛直軸線まわりに旋回し、これによって、保持ベース41とともにハンド39,40を鉛直軸線まわりに旋回させる。この旋回により、ハンド39,40をフープFに対向させたり、基板保持部の一例としての姿勢変換機構5に対向させたりすることができる。基台部44には、昇降ブロック43をZ方向に沿って昇降させるための昇降機構(図示せず)が内蔵されている。この昇降機構の働きによって、ハンド39,40を上下動させることができる。この上下動と前記ハンド進退機構による進退動作とによって、ハンド39,40は、フープFに対する基板Wの搬入および搬出、ならびに姿勢変換機構5との間での基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0033】
バッチハンド40は、フープFにおける基板保持間隔と同じ間隔で積層された複数(たとえば25個)のハンド要素を備えており、この複数のハンド要素によって、たとえば、25枚の基板Wを一括して保持することができる。したがって、バッチハンド40を用いることによって、たとえば、25枚の基板Wを一括してフープFに対して搬入/搬出することができ、25枚の基板Wを一括して姿勢変換機構5との間で受け渡しすることができる。
【0034】
枚葉ハンド39は、1枚の基板Wを保持することができるものであり、たとえば、25枚の基板Wの他にテスト用のダミー基板を追加して同時に処理させたり、フープF内の基板Wの並び順とは異なる順序に基板Wを並び替えて処理したりするために用いられる。この枚葉ハンド39を用いることによって、1枚の基板WをフープFに対して搬入/搬出することができ、1枚の基板Wを姿勢変換機構5との間で受け渡しすることができる。
【0035】
姿勢変換機構5は、基板Wの姿勢を水平姿勢と垂直姿勢との間で姿勢変換するものである。より具体的には、姿勢変換機構5は、搬出入機構4から水平姿勢で渡される基板Wを垂直方向に積層された状態で複数枚保持することができ、これらの基板Wを垂直姿勢で水平方向に積層された状態へと姿勢変換する。この垂直姿勢の複数枚の基板Wがプッシャ6に受け渡される。また、姿勢変換機構5は、プッシャ6から垂直姿勢で水平方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取り、これらの基板Wを水平姿勢で鉛直方向に積層された姿勢へと姿勢変換する。この水平姿勢の基板Wが搬出入機構4に受け渡される。
【0036】
より具体的には、姿勢変換機構5は、当該基板処理装置のフレームに固定されたベース49と、回動ブロック50と、この回動ブロック50に取り付けられた一対の第1保持機構51と、同じく回動ブロック50に取り付けられた一対の第2保持機構52と、基板規制機構53とを備えている。
回動ブロック50は、ベース49に対して回動軸50aまわりの回動が可能であるように取り付けられている。回動軸50aは、その軸線方向が水平方向に沿っており、この軸線方向は搬送経路TP1に直交する平面内にある。ベース49には回動ブロック50を回動軸50aまわりに回動させるためのモータ55がギヤヘッド54を介して取り付けられている。したがって、モータ55を駆動することによって、第1および第2保持機構51,52の姿勢を変更することができる。
【0037】
一対の第1保持機構51は、搬送経路TP1に垂直な水平方向に間隔を開けて配置された一対の長尺状部品である。第1保持機構51の周面には、中心軸を挟んで対向する位置に一対の保持溝群が形成されている。これらの保持溝群は、第1保持機構51の長手方向に対して垂直な方向に沿って形成された複数の保持溝で構成されており、これらの保持溝は、第1保持機構51の長手方向に所定のピッチで配列されている。このピッチは、搬出入機構4のバッチハンド40が複数枚の基板Wを保持するピッチ、すなわち、フープF内における基板保持ピッチに等しい。
【0038】
一対の第1保持機構51は、互いに平行な姿勢で回動ブロック50に取り付けられている。そして、一対の第1保持機構51が鉛直方向(Z方向)に沿う姿勢のときに、水平姿勢の複数枚の基板Wを、前記一対の保持溝群のいずれかによって下方から支持することができる。一対の保持溝群の一方は未処理の基板Wを保持するために用いられ、その他方は、処理済みの基板Wを保持するために用いられる。
【0039】
一対の第2保持機構52は、搬送経路TP1に垂直な水平方向に間隔を開けて配置された一対の長尺状部品である。これらの第2保持機構52は、第1保持機構51と平行な姿勢で回動ブロック50に取り付けられている。各第2保持機構52は、複数の保持溝部材を有している。複数の保持溝部材は、第2保持機構52の長手方向に所定ピッチで固定された複数の板状体からなる。このピッチは、搬出入機構4のバッチハンド40における基板保持ピッチに等しい。各保持溝部材は、対向する一対の端面に一対の保持溝を有している。複数の保持溝部材は、これらの保持溝が第2保持機構52の長手方向に沿って整列するように配列されている。各保持溝は、第2保持機構52の長手方向に直交する平面に沿って形成されている。
【0040】
一対の第2保持機構52は、互いに平行な姿勢で回動ブロック50に取り付けられている。そして、一対の第2保持機構52が水平方向に沿う姿勢のときに、垂直姿勢の複数枚の基板Wを各保持溝部材に形成された前記一対の保持溝のいずれかによって下方から支持することができるようになっている。一対の保持溝の一方は未処理の基板Wを保持するために用いられ、その他方は、処理済みの基板Wを保持するために用いられる。
【0041】
回動ブロック50は、第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53が垂直姿勢となる水平保持姿勢(図2Aおよび図2Bにおいて実線で示す姿勢)と、第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53が水平姿勢となる垂直保持姿勢(図2Aおよび図2Bにおいて二点鎖線で示す姿勢)との間で回動される。以下では、回動ブロック50が水平保持姿勢のときの第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53の姿勢も水平保持姿勢と呼ぶこととし、回動ブロック50が垂直保持姿勢のときの第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53の姿勢も垂直保持姿勢と呼ぶことにする。水平保持姿勢のとき、水平姿勢の基板Wの周縁部が、第1保持機構51によって、対向する2箇所で下方から支持される。垂直保持姿勢のときは、垂直姿勢の基板Wの周縁部が、第2保持機構52によって、下方の2箇所で支持される。
【0042】
基板規制機構53は、第1および第2保持機構51,52と平行に設けられた丸棒状の部材からなる。この基板規制機構53は、水平保持姿勢のときに、第2保持機構52よりもプッシャ6寄りに位置するように回動ブロック50に取り付けられている。基板規制機構53は、一対の第2保持機構52の対向方向に沿って、移動可能とされている。すなわち、基板規制機構53は、一対の第2保持機構52間の中間位置付近で基板Wの周端面に当接する規制位置(図2Aにおいて実線で示す位置)と、基板Wと干渉しない退避位置(図2Aにおいて二点鎖線で示す位置)との間で移動可能となっている。基板規制機構53は、退避位置にあるとき、第1および第2保持機構51,52の配列方向(搬送経路TP1に沿う方向)に沿って基板Wが移動するときに、この基板Wと干渉しないようになっている。
【0043】
回動ブロック50には、第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53を駆動するための駆動機構が収容されている。
プッシャ6は、姿勢変換機構5から垂直姿勢で水平方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取る昇降保持部105を有する昇降機構である。プッシャ6は、基板移載位置Sにおいて、昇降保持部105をZ方向に上下動させることができ、鉛直軸線まわりに回転させることができ、X方向に沿って微小距離(たとえば、5mm)だけ直線移動させることができる。より具体的には、昇降保持部105は、原点高さH10と、原点高さよりも高い第1移載高さH11と、第1移載高さH11よりも高い第2移載高さH12とに高さを変更することができる。
【0044】
プッシャ6は、昇降保持部105の上下動によって、姿勢変換機構5との間で複数枚の基板Wを受け渡すことができる。昇降保持部105は、姿勢変換機構5が一度に姿勢変換することができる枚数(たとえば26枚)の2倍の枚数(たとえば52枚)の基板Wを、姿勢変換機構5における基板保持ピッチ(フープF内での基板保持ピッチに等しい)の半分のピッチ(ハーフピッチ)で保持することができる。
【0045】
たとえば、姿勢変換機構5から25枚の基板Wが昇降保持部105に渡された後に、昇降保持部105が180度旋回させられる。旋回中心軸は、昇降保持部105の旋回中心軸は、複数の基板保持位置の中心に対して前記ハーフピッチの半分だけ基板整列方向に偏心している。そのため、180度の旋回によって、保持された25枚の基板Wがハーフピッチだけ移動することになる。この状態で、姿勢変換機構5から別の25枚の基板Wが昇降保持部105に渡される。これにより、後で渡された25枚の基板Wは、先に渡された25枚の基板Wの間に入り込み、合計で50枚の基板からなるバッチが昇降保持部105上に形成される。このように複数の基板群を組み合わせてバッチを形成するバッチ組みが行われる。このとき、隣り合う一対ずつの基板Wは、各表面同士(または裏面同士)が対向した状態(フェース・ツー・フェース)となる。
【0046】
全ての基板Wの表面を同方向に向け、各基板Wの表面が隣接基板Wの裏面に対向する状態(フェース・ツー・バック)での処理が望まれる場合もある。この場合には、前述の180度の旋回動作の代わりに、昇降保持部105がハーフピッチ分の微小距離だけ水平移動される。これにより、フェース・ツー・バックでのバッチ組みを行える。
プッシャ6から姿勢変換機構5に基板Wを渡すときは、昇降保持部105に保持された、たとえば50枚の基板Wのうちの25枚が姿勢変換機構5に渡され、この25枚の基板Wが水平姿勢に姿勢変換された後に、搬出入機構4に渡される。その後、昇降保持部105の180度旋回またはハーフピッチ分の水平移動を行う。その状態で、昇降保持部105上の残りの25枚の基板Wが姿勢変換機構5に渡され、水平姿勢に姿勢変換された後、搬出入機構4によって払い出される。こうして、50枚の基板Wが25枚ずつの2つの基板群に分離される。
【0047】
受け渡し機構7は、払出機構70と、搬入機構71と、仲介機構72とを備えており、これらは垂直姿勢で水平方向(X方向)に積層された複数枚の基板Wを一括して保持するチャック73,74,75をそれぞれ備えている。
払出機構70のチャック73(以下「払出チャック73」という。)は、搬入機構71のチャック74(以下「搬入チャック74」という。)よりも上方に配置されている。払出機構70は、払出高さH0に設定された第1横行経路101に沿って、第1横行保持部としての払出チャック73をX方向に沿って横行(水平移動)させることによって、基板Wを基板受け渡し位置Pから基板移載位置S(プッシャ6の位置)まで搬送する第1横行機構である。すなわち、払出チャック73は、処理済みの基板Wを基板受け渡し位置Pの払出高さH0において主搬送機構3から受け取り、それらの基板Wを払出高さH0で基板移載位置Sまで払い出す。プッシャ6は、昇降保持部105を第2移載高さH12まで上昇させることによって、その基板Wを払出チャック73から受け取る。
【0048】
搬入機構71は、払出高さH0よりも低い搬入高さH1に設定された第2横行経路102に沿って、第2横行保持部としての搬入チャック74をX方向に沿って横行(水平移動)させることによって、基板Wを基板移載位置Sから基板受け渡し位置Pまで搬送する第2横行機構である。すなわち、搬入チャック74は、未処理の基板Wをプッシャ6の昇降保持部105から渡され、それらの基板Wを基板受け渡し位置Pまで搬送して、搬入高さH1で保持する。
【0049】
仲介機構72は、仲介保持部としてのチャック75(以下「仲介チャック75」という。)を払出高さH0よりも下方の領域で上下動させることによって、搬入チャック74から基板Wを受け取り、その基板Wを払出高さH0と搬入高さH1との間にある移載高さH2まで上昇させる仲介機構である。この移載高さH2において仲介チャック75に保持されている基板Wが、主搬送機構3によって受け取られる。
【0050】
仲介機構72が搬入チャック74から基板Wを受け取ることにより、搬入チャック74は、主搬送機構3の動作を待つことなく、次のバッチの基板Wをプッシャ6から受け取ることができる状態となる。すなわち、仲介チャック75は、いわばバッファ位置を提供するので、搬出入機構4、姿勢変換機構5およびプッシャ6などの動作と主搬送機構3の動作とのタイミングのずれを吸収できる。これにより、搬入チャック74による基板搬入動作をスムーズに行わせることができる。とくに、基板処理条件(いわゆるレシピ)が変更されたときには、基板受け渡し位置Pにおいて待ち時間が生じる場合があるが、仲介チャック75において基板Wを待機させておくことができるので、搬出入機構4、姿勢変換機構5におよびプッシャ6などの動作に生じる待ち時間を解消または短縮することができる。
【0051】
基板受け渡し位置Pにおいて、搬入高さH1の下方には、必要に応じて基板方向整列機構13が配置される。基板方向整列機構13は、基板受け渡し位置Pの搬入高さH1において搬入チャック74に保持されているバッチを構成する基板Wの方向(たとえば、半導体ウエハのノッチの方向)を整列させる。この基板方向整列機構13によって基板整列処理を受けた後の基板Wが、仲介チャック75によって移載高さH2へと運ばれることになる。
【0052】
基板方向整列機構13は、整列処理ヘッド16と、この整列処理ヘッド16を昇降させる昇降機構17とを有している。整列処理ヘッド16は、Y方向に間隔を開けて対向配置された一対の基板ガイド18と、この一対の基板ガイド18間に配置されたローラ機構19とを備えている。詳細な図示は省略するが、ローラ機構19は、水平方向に積層された複数枚の下方周縁部に当接して、各基板Wを中心まわりに回転させるローラと、基板Wの周縁部に形成されたノッチに係合して基板Wの回転を規制する係合部材とを備えている。
【0053】
基板整列処理を行うときには、整列処理ヘッド16が搬入高さH1付近まで上昇させられ、搬入チャック74に保持されている基板Wをローラ機構19のローラ上に支持し、搬入チャック74から微小距離だけ持ち上げる。その状態でローラ機構19を作動させると、基板Wが基板ガイド18によって案内されながら回転する。基板Wが一回転するのに必要な時間に渡ってローラ機構19を作動させると、すべての基板Wのノッチが係合部材に係合し、ノッチが直線状に整列する。これにより、基板Wの方向(半導体ウエハの場合には結晶方向)が整列することになる。こうして、基板整列処理が行われた後には、整列処理ヘッド16が昇降機構17によって下降させられ、整列処理後の基板Wが搬入チャック74に渡される。
【0054】
図3は、搬出入機構4の旋回および上下動に関する構成を説明するための断面図である。保持ベース41が旋回ブロック42の上端に固定され、旋回ブロック42が昇降ブロック43に対して鉛直軸線周りの回動が可能なように取り付けられており、昇降ブロック43は基台部44に対してZ方向に昇降自在に取り付けられている。旋回ブロック42には、旋回機構45が内蔵されており、基台部44には昇降機構46が設けられている。
【0055】
旋回ブロック42は筒状に形成されている。旋回機構45は、旋回ブロック42の内部に固定されたモータ161と、このモータ161の駆動力が入力されるギヤヘッド162とを有している。ギヤヘッド162は、旋回ブロック42の下端に結合されている。このギヤヘッド162の出力軸162aが、昇降ブロック43の上端に結合されている。
この構成により、モータ161を駆動すると、その駆動力がギヤヘッド162を介して昇降ブロック43に伝達される。昇降ブロック43は非回転状態で基台部44に結合されているので、この昇降ブロック43からの反力によって、ギヤヘッド162およびこれに結合された旋回ブロック42が鉛直軸線まわりに回動することになる。
【0056】
昇降機構46は、モータ165と、ボールねじ機構166とを有している。モータ165は、基台部44に収容され、この基台部44に対して固定されている。モータ165の駆動軸は、ギヤヘッド167を介してボールねじ機構166のねじ軸168に伝達される。ねじ軸168は、鉛直方向に沿って配置されている。このねじ軸168にボールナット169が螺合している。このボールナット169が昇降ブロック43に結合されている。昇降ブロック43のZ方向への昇降移動は、図示しないリニアガイドによって案内されるようになっている。
【0057】
この構成により、モータ165を駆動することで、ボールナット169を上下動させることができ、それに応じて、昇降ブロック43およびこれに保持された旋回ブロック42を昇降させることができる。こうして、旋回ブロック42に支持された保持ベース41を昇降させることができるから、保持ベース41に支持された枚葉ハンド39およびバッチハンド40を昇降させることができる。
【0058】
図4Aは、枚葉ハンド39、バッチハンド40およびこれらを進退させるための進退駆動機構47の構成を説明するための透視側面図である。また、図4Bは、図4Aの矢印A4方向からみた背面図である。バッチハンド40は、ハンド要素群175を備えている。ハンド要素群175は、Z方向に積層された複数のハンド要素176からなる。各ハンド要素176は、水平方向に延びており、その延在方向と直交する別の水平方向に一対ずつ対向している。そして、水平方向に対向する各一対のハンド要素176が、1枚の基板Wを水平姿勢で下方から支持することができるようになっている。ハンド要素176のZ方向の配列ピッチは、フープF内における基板収容位置の配列ピッチに等しくなっている。
【0059】
左側のハンド要素176は左支持ブロック177(図4Aでは図示を省略した。)によって片持ち支持されており、右側のハンド要素176は右支持ブロック178によって片持ち支持されている。左支持ブロック177は、水平方向に対向する各対のハンド要素176の一方側をZ方向に積層した状態で支持している。右支持ブロック178は、前記各対のハンド要素の他方側をZ方向に積層した状態で支持している。これらの左右の支持ブロック177,178は、ハンド開閉機構180に結合されている。ハンド開閉機構180は、さらに、進退ブラケット179を介して、保持ベース41に結合されている。
【0060】
バッチハンド40の下方には、枚葉ハンド39が配置されている。より正確には、バッらハンド40および枚葉ハンド39がいずれも後退位置にあるときに、これらはZ方向に積層された状態で配置されている。
枚葉ハンド39は、バッチハンド40のハンド要素176と同様なハンド要素186を有している。すなわち、ハンド要素186は、水平方向に延びており、その延在方向と直交する別の水平方向に対向するように一対設けられている。この一対のハンド要素186は、1枚の基板Wを水平姿勢で下方から支持することができる。一方のハンド要素186は左ハンド支持部材187に片持ち支持されており、他方のハンド要素186は右ハンド支持部材188に片持ち支持されている。これらの左右のハンド支持部材187,188は、ハンド開閉機構190に結合されている。ハンド開閉機構190は、進退ブラケット189を介して保持ベース41に結合されている。
【0061】
バッチハンド40のための進退ブラケット179は、ハンド開閉機構180を支持する支持部182と、この支持部182が天面に固定された背面視略横向きC字形の連結部183とを有している。連結部183は、枚葉ハンド39が後退位置にあるときにハンド開閉機構190を内包するように形成されており、枚葉ハンド39またはバッチハンド40の進退時に、枚葉ハンド39等との干渉を回避するように形成されている。より具体的には、連結部183は、支持部182が固定された天面部183aと、枚葉ハンド39の側方に配置され、天面部183aの両側縁から垂れ下がった一対の側面部183bと、これら一対の側面部183bの下縁から互いに接近する方向に張り出した一対の底面部183cとを有している。一対の底面部183cの間には、枚葉ハンド39のための進退ブラケット189が移動する移動空間が確保されている。
【0062】
図5は、進退駆動機構47の構成を説明するための図解的な平面図である。この図5を図4Aおよび図4Bとともに参照する。
進退駆動機構47は、枚葉ハンド39を進退させるための枚葉ハンド進退機構201と、バッチハンド40を進退させるためのバッチハンド進退機構202とを有している。
枚葉ハンド進退機構201は、リニアガイド205と、ベルト駆動機構206とを備えている。リニアガイド205は、ハンド要素186の延在方向と平行に延びて配置されており、保持ベース41の内底面に立設された板状の支持部材207の上端面に固定されている。ベルト駆動機構206は、モータ208と、駆動プーリ209と、従動プーリ210と、ベルト211と、アイドルプーリ212とを有している。モータ208は、保持ベース41の下面側に固定されている。駆動プーリ209は、保持ベース41の底面壁の上面に配置されており、モータ208からの駆動力が与えられるようになっている。従動プーリ210は、駆動プーリ209に対してリニアガイド205と平行な方向に対向するように配置されている。ベルト211は、これらの駆動プーリ209および従動プーリ210の間に巻き掛けられている。アイドルプーリ212は、ベルト211に対して張力を付与するように、ベルト211に外周側から接している。枚葉ハンド39のための進退ブラケット189は、リニアガイド205に結合され、このリニアガイド205によって案内されることにより、直線移動できるようになっている。進退ブラケット189の下端部にはベルト固定部189aが設けられている。このベルト固定部189aは、ベルト押さえ213とともにベルト211を挟持している。
【0063】
モータ208を駆動すると、駆動プーリ209が回転し、それによってベルト211が周回する。その結果、進退ブラケット189に駆動力が与えられる結果、この進退ブラケット189がリニアガイド205に案内されながら直線移動する。これにより、進退ブラケット189にハンド開閉機構190を介して支持された枚葉ハンド39を進退させることができる。
【0064】
バッチハンド進退機構202は、左右一対のリニアガイド215と、ベルト駆動機構216とを備えている。一対のリニアガイド215は、互いに平行であり、ハンド要素176の延在方向と平行に延びて配置されている。これらの一対のリニアガイド215は、保持ベース41の内底面に立設された板状の一対の支持部材217の上端面にそれぞれ固定されている。ベルト駆動機構216は、モータ218と、駆動プーリ219と、従動プーリ220と、ベルト221と、アイドルプーリ222とを有している。モータ218は、保持ベース41の下面に固定されている。駆動プーリ219は、保持ベース41の底面壁の上面に配置されており、モータ218からの駆動力が与えられるようになっている。従動プーリ220は、駆動プーリ219に対してリニアガイド215と平行な方向に対向するように配置されている。ベルト221は、これらの駆動プーリ219および従動プーリ220の間に巻き掛けられている。アイドルプーリ222は、ベルト221に対して張力を付与するように、ベルト221に外周側から接している。バッチハンド40のための進退ブラケット179は、その連結部183の一対の底面部183cが一対のリニアガイド215にそれぞれ結合され、これらのリニアガイド215によって案内されることにより、直線移動できるようになっている。連結部183の一方の底面部183cの内縁からはベルト固定部183d進退が垂下している。このベルト固定部183dは、ベルト押さえ223とともにベルト221を挟持している。
【0065】
モータ218を駆動すると、駆動プーリ219が回転し、それによってベルト221が周回する。その結果、進退ブラケット179に駆動力が与えられる結果、この進退ブラケット179がリニアガイド215に案内されながら直線移動する。これにより、進退ブラケット179にハンド開閉機構180を介して支持されたバッチハンド40を進退させることができる。
【0066】
リニアガイド205,215は、保持ベース41上に互いに平行に固定されており、したがって、枚葉ハンド39およびバッチハンド40は、互いに平行な方向に進退する。この実施形態では、枚葉ハンド39およびバッチハンド40の進退経路は上下方向に重なりあっており、それらの後退位置では、枚葉ハンド39およびバッチハンド40は、上下に積層された位置関係となる。より具体的には、枚葉ハンド39の進退経路はバッチハンド40の進退経路の下方に位置しており、ハンド39,40がいずれも後退位置にあるときには、枚葉ハンド39はバッチハンド40の直下に位置している。したがって、保持ベース41を旋回させるときに、ハンド39,40を後退位置に制御することで、搬出入機構4の旋回半径を小さくすることができるので、搬出入機構4の設置スペースを小さくすることができ、それに応じて基板処理装置10の占有面積を抑制できる。
【0067】
図6は、枚葉ハンド39およびハンド開閉機構190の構成を説明するための断面図である。この図6を図4Aおよび図4Bとともに参照する。
水平方向に対向配置された一対のハンド要素186を、「左ハンド要素186L」および「右ハンド要素186R」と区別して呼ぶことにする。左ハンド要素186Lは左ハンド支持部材187に片持ち支持されており、右ハンド要素186Rは右ハンド支持部材188に片持ち支持されている。
【0068】
左右のハンド要素186L,186Rの先端縁は、外方に向かうに従って基端部側へと後退する傾斜辺(正確には途中で屈曲した屈曲傾斜辺)をなしており、この先端縁には、第1および第2基板支持部としての内側基板ガイド225および外側基板ガイド226が配置されている。内側基板ガイド225は、当該枚葉ハンド39に保持された状態の基板Wの中心からの距離が、外側基板ガイド226よりも短くなっている。すなわち、基板Wの中心に関して相対的に内側に内側基板ガイド225が位置し、相対的に外側に外側基板ガイド226が位置している。
【0069】
ハンド要素186L,186Rの基端部の上面には、第1および第2基板支持部としての内側基板ガイド227および外側基板ガイド228が配置されている。内側基板ガイド227は基板Wの中心に関して相対的に内側に位置し、相対的に外側に外側基板ガイド228が位置している。
基板ガイド225〜228は、平面視円形(ただし、先端側の基板ガイド225,226は半円形)に形成されており、図7に示すように、中央部には円柱状の突出部240が形成されている。この突出部の周囲は、外方に向かうに従って低くなる円錐面状傾斜面241となっている。この傾斜面241上に基板Wの周端縁が点接触するようになっている。そして、基板Wの水平移動が、突出部240の周面によって規制されるようになっている。
【0070】
外側基板ガイド226,228は、内側基板ガイド225,227よりも全体的に高く形成されている。すなわち、外側基板ガイド226,228による基板保持高さは、内側基板ガイド225,227による基板保持高さよりも高い。より具体的には、外側基板ガイド226,228によって基板Wが保持されるとき、その基板Wの下面の高さは、内側基板ガイド225,227の突出部240よりも高くなり、したがって、基板Wは内側基板ガイド225,227に接触しない。
【0071】
左右のハンド要素176L,176Rの対向方向(ハンド要素の開閉方向)に関してみると、内側基板ガイド225,227は、外側基板ガイド226,228よりも外側に位置している。そのため、左右のハンド要素186L,186Rの間隔を相対的に広くした開状態(図6に示す状態)では、内側基板ガイド225,227によって基板Wが保持され、外側基板ガイド226,228は、基板Wの外周縁よりも外側にあって、基板Wに接しない。これに対して、左右のハンド要素186L,186Rの間隔を相対的に狭くした閉状態では、外側基板ガイド226,228によって基板Wが保持され、内側基板ガイド225,227は、基板Wの下面よりも下方にあって、基板Wに接しない。したがって、左右のハンド要素186L,186Rの開閉によって、内側基板ガイド225,227または外側基板ガイド226,228のいずれかを基板Wの保持のために選択することができる。
【0072】
この実施形態では、未処理基板Wを搬送するときには、枚葉ハンド39を閉状態として外側基板ガイド226,228によって基板Wを支持し、処理済みの基板Wを搬送するときには、枚葉ハンド39を開状態として内側基板ガイド225,227によって基板Wを支持するように、ハンド開閉機構190の動作が制御される。むろん、未処理基板Wおよび処理済み基板Wと枚葉ハンド39の開閉状態との対応関係を逆転して、未処理基板Wを内側基板ガイド225,227で支持する一方で、処理済み基板Wを外側基板ガイド226,228で支持するようにしてもよい。
【0073】
ハンド開閉機構190は、開閉ガイド部231と、左シリンダ232Lと、右シリンダ232Rとを備えている。開閉ガイド部231は、ガイドベース233と、このガイドベース233に挿通された4本のガイド軸234とを有している。4本のガイド軸234は、ハンド要素186の開閉方向に平行な水平方向に沿ってガイドベース233に挿通されている。これらのガイド軸234は、枚葉ハンド39の進退方向に沿って配列されている。4本のガイド軸234のうちの一本おきに配置された2本のガイド軸234は、各一端が左ハンド支持部材187の後方に張り出した腕部に結合されており、各他端が右ハンド支持部材188の後方に張り出した腕部に形成された挿通孔188aを挿通している。この挿通孔188aを挿通した端部同士が連結板235で結合されている。残りの2本のガイド軸234は、各一端が右ハンド支持部材188に結合されており、各他端が左ハンド支持部材187に形成された挿通孔187aを挿通している。この挿通孔187aを挿通した端部同士が連結板236で結合されている。
【0074】
左右のシリンダ232L,232Rは、ガイドベース233を保持した進退ブラケット189に保持されている。これらのシリンダ232L,232Rの作動ロッドは、左右のハンド支持部材187,188の後方に張り出した腕部にそれぞれ結合されている。
この構成により、シリンダ232L,232Rを駆動することで、ハンド支持部材187,188が開閉ガイド部231によって案内されながら互いに接近または離反する。これにより、左右のハンド要素186L,186Rの間隔を狭めて枚葉ハンド39を閉状態としたり、これらの間隔を広げて枚葉ハンド39を開状態としたりすることができる。
【0075】
図8は、バッチハンド40等の構成を説明するための平面図である。この図8を図4Aおよび図4Bとともに参照する。
バッチハンド40のハンド要素群175は、一対ずつが水平方向に対向配置されている。これらの水平方向に対向配置された一対のハンド要素176を、「左ハンド要素176L」および「右ハンド要素176R」と区別して呼ぶことにする。左ハンド要素176Lは左支持ブロック177に片持ち支持されており、右ハンド要素176Rは右支持ブロック178に片持ち支持されている。
【0076】
左右のハンド要素176L,176Rの先端縁は、外方に向かうに従って基端部側へと後退する傾斜辺(正確には途中で屈曲した屈曲傾斜辺)をなしており、この先端縁には、内側基板ガイド245と、外側基板ガイド246とが配置されている。内側基板ガイド245は、ハンド要素176L,176Rに保持された状態の基板Wの中心からの距離が、外側基板ガイド246よりも短くなっている。すなわち、基板Wの中心に関して相対的に内側に内側基板ガイド245が位置し、相対的に外側に外側基板ガイド246が位置している。ハンド要素176L,176Rの基端部の上面には、内側基板ガイド247および外側基板ガイド248が配置されている。内側基板ガイド247は基板Wの中心に関して相対的に内側に位置し、相対的に外側に外側基板ガイド248が位置している。
【0077】
基板ガイド245〜248は、枚葉ハンド39に設けられた前述の基板ガイド225〜228と同様な構成となっている。すなわち、基板ガイド245〜248は、平面視円形(ただし、先端側の基板ガイド245,246は半円形)に形成されており、中央部には円柱状の突出部が形成されている。この突出部の周囲は、外方に向かうに従って低くなる円錐面状傾斜面となっている。この傾斜面状に基板Wの周端縁が点接触するようになっている。そして、基板Wの水平移動が、突出部の周面によって規制されるようになっている。
【0078】
外側基板ガイド246,248は、内側基板ガイド245,247よりも全体的に高く形成されている。すなわち、外側基板ガイド246,248による基板保持高さは、内側基板ガイド245,247による基板保持高さよりも高い。より具体的には、外側基板ガイド246,248によって基板Wが保持されるとき、その基板Wの下面の高さは、内側基板ガイド245,247の突出部よりも高くなり、したがって、基板Wは内側基板ガイド245,247に接触しない。
【0079】
左右のハンド要素176L,176Rの対向方向(ハンド要素の開閉方向)に関してみると、内側基板ガイド245,247は、外側基板ガイド246,248よりも外側に位置している。そのため、左右のハンド要素176L,176Rの間隔を相対的に広くした開状態では、内側基板ガイド245,247によって基板Wが保持され、外側基板ガイド246,248は、基板Wの外周縁よりも外側にあって、基板Wに接しない。これに対して、左右のハンド要素176L,176Rの間隔を相対的に狭くした閉状態では、外側基板ガイド246,248によって基板Wが保持され、内側基板ガイド245,247は、基板Wの下面よりも下方にあって、基板Wに接しない。したがって、左右のハンド要素176L,176Rの開閉によって、内側基板ガイド245,247または外側基板ガイド246,248のいずれかを基板Wの保持のために選択することができる。
【0080】
この実施形態では、未処理基板Wを搬送するときには、バッチハンド40を閉状態として外側基板ガイド246,248によって基板Wを支持し、処理済みの基板Wを搬送するときには、バッチハンド40を開状態として内側基板ガイド245,247によって基板Wを支持するように、ハンド開閉機構180の動作が制御される。むろん、未処理基板Wおよび処理済み基板Wとバッチハンド40の開閉状態との対応関係を逆転して、未処理基板Wを内側基板ガイド245,247で支持する一方で、処理済み基板Wを外側基板ガイド246,248で支持するようにしてもよい。
【0081】
ハンド開閉機構180は、開閉ガイド部251と、左シリンダ252Lと、右シリンダ252Rとを備えている。開閉ガイド部251は、ガイドベース253と、このガイドベース253に挿通された4本のガイド軸254とを有している。ガイドベース253は、上下方向に長い直方体形状に形成されており、4本のガイド軸254は、ハンド要素176L,176Rの開閉方向に平行な水平方向に沿ってガイドベース253に挿通されている。これらのガイド軸254は、側面視(図4A参照)において矩形の4つの頂点に対応する位置にそれぞれ配置されている。その矩形の対角位置に配置された2本のガイド軸254は、各一端が左支持ブロック177の後方張出部に結合されており、各他端が右支持ブロック178の後方張出部に形成された挿通孔178aを挿通している。この挿通孔178aを挿通した端部同士が連結板255で結合されている。前記矩形の他の対角位置に配置された残りの2本のガイド軸254は、各一端が右支持ブロック178の後方張出部に結合されており、各他端が左支持ブロック177の後方張出部に形成された挿通孔177aを挿通している。この挿通孔177aを挿通した端部同士が連結板256で結合されている。
【0082】
ガイドベース253には、背面視における中央部に矩形の開口部253aが形成されている。この開口部253aの両側面に、左右のシリンダ252L,252Rが固定されている。これらのシリンダ252L,252Rの作動ロッドは、左右の支持ブロック177,178にそれぞれ結合されている。
この構成により、シリンダ252L,252Rを駆動することで、支持ブロック177,178が開閉ガイド部251によって案内されながら互いに接近または離反する。これにより、左右のハンド要素176L,176Rの間隔を広げてバッチハンド40を開状態としたり、ハンド要素176L,176Rの間隔を狭めてバッチハンド40を閉状態としたりすることができる。
【0083】
次に、搬出入機構4の動作例について説明する。搬出入機構4の動作は、コントローラ9によって、搬出入機構4の各部、とくに、旋回機構45、昇降機構46、枚葉ハンド進退機構201およびバッチハンド進退機構202が制御されることによって達成される。
第1の動作例として、フープFに25枚の未処理基板Wが収容されており、これらを姿勢変換機構5に一括して搬送する動作(一括搬送)を説明する。
【0084】
搬出入機構4は、旋回機構45によって保持ベース41を旋回させ、バッチハンド40をフープFに対向させる。その状態で、バッチハンド進退機構202は、バッチハンド40をフープFに向かって前進させて、各ハンド要素176をフープF内の各基板Wの下方に進入させる。このとき、バッチハンド40は閉状態(外側基板ガイド246,248で基板Wを支持する状態)となっている。次に、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、フープF内における基板保持位置のピッチに等しい。)だけ上昇させられることにより、バッチハンド40が上昇し、フープF内の25枚の基板Wが一括してすくい取られる。その状態でバッチハンド進退機構202は、バッチハンド40を後退させる。これにより、フープF内の25枚の基板Wが一括して搬出される。
【0085】
次に、旋回機構45によって保持ベース41が旋回させられ、バッチハンド40が姿勢変換機構5に対向させられる。その状態で、バッチハンド進退機構202は、バッチハンド40を姿勢変換機構5に向けて前進させ、複数枚の基板Wを第1保持機構51の複数の保持溝に進入させる。このとき、一対の第1保持機構51は、未処理基板用の保持溝群を対向させた姿勢に制御されている。次いで、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、第1保持機構51における保持溝のピッチに等しい。)だけ下降させられることにより、バッチハンド40が下降し、25枚の基板Wは、バッチハンド40から第1保持機構51へと一括して渡される。その状態で、バッチハンド進退機構202は、バッチハンド40を後退させる。これにより、フープFから姿勢変換機構5への一括搬送が完了する。
【0086】
第2の動作例として、姿勢変換機構5に25枚の処理済み基板Wが保持されており、これらを一括してフープFに搬送する動作(一括搬送)を説明する。
搬出入機構4は、旋回機構45によって保持ベース41を旋回させ、バッチハンド40を姿勢変換機構5に対向させる。その状態で、バッチハンド進退機構202は、バッチハンド40を姿勢変換機構5に向かって前進させて、各ハンド要素176を第1保持機構51の各保持溝に保持された各基板Wの下方に進入させる。このとき、一対の第1保持機構51は未処理基板用の保持溝群を互いに対向させている。また、バッチハンド40は開状態(内側基板ガイド245,247で基板Wを支持する状態)となっている。次に、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、第1保持機構51における保持溝のピッチに等しい。)だけ上昇させられることにより、バッチハンド40が上昇し、第1保持機構51に保持されている25枚の基板Wが一括してすくい取られる。その状態でバッチハンド進退機構202は、バッチハンド40を後退させる。これにより、第1保持機構51から25枚の基板Wが一括して搬出される。
【0087】
次に、旋回機構45によって保持ベース41が旋回させられ、バッチハンド40がフープFに対向させられる。その状態で、バッチハンド進退機構202は、バッチハンド40をフープFに向けて前進させ、複数枚の基板WをフープF内の基板保持高さよりも若干上方の位置へと進入させる。次いで、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、フープF内における基板保持位置のピッチに等しい。)だけ下降させられることにより、バッチハンド40が下降し、25枚の基板Wは、バッチハンド40からフープF内の基板保持棚へと一括して渡される。その状態で、バッチハンド進退機構202は、バッチハンド40を後退させる。これにより、姿勢変換機構5からフープFへの一括搬送が完了する。
【0088】
第3の動作例として、フープFに収容されている未処理基板Wを1枚ずつ姿勢変換機構5に搬送する動作(枚葉搬送)を説明する。
搬出入機構4は、旋回機構45によって保持ベース41を旋回させ、枚葉ハンド39をフープFに対向させる。また、昇降機構46の働きによって保持ベース41が昇降されることにより、フープF内の搬送対象基板Wの収容位置よりも微小距離(フープF内の基板収容位置の間隔よりも短い距離)だけ下方の高さとなるように、枚葉ハンド39の高さが制御される。その状態で、枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39をフープFに向かって前進させて、枚葉ハンド39を搬送対象基板Wの下方に進入させる。このとき、枚葉ハンド39は閉状態(外側基板ガイド226,228で基板Wを支持する状態)となっている。次に、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、フープF内における基板保持位置のピッチに等しい。)だけ上昇させられることにより、枚葉ハンド39が上昇し、フープF内の1枚の搬送対象基板Wがすくい取られる。その状態で枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39を後退させる。これにより、フープF内の1枚の搬送対象基板Wが搬出される。
【0089】
次に、旋回機構45によって保持ベース41が旋回させられ、枚葉ハンド39が姿勢変換機構5に対向させられる。また、必要に応じて、昇降機構46の働きによって保持ベース41が昇降されることによって、枚葉ハンド39の高さが変更される。これにより、枚葉ハンド39に保持された基板Wを、第1保持機構51の任意の高さの保持溝に渡すことができる
次いで、枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39を姿勢変換機構5に向けて前進させ、1枚の基板Wを第1保持機構51の複数の保持溝のいずれか(枚葉ハンド39の高さに対応する保持溝)に進入させる。このとき、一対の第1保持機構51は、未処理基板用の保持溝群を対向させた姿勢に制御されている。
【0090】
次に、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、第1保持機構51における保持溝のピッチに等しい。)だけ下降させられることにより、枚葉ハンド39が下降し、1枚の基板Wが、枚葉ハンド39から第1保持機構51へと渡される。その状態で、枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39を後退させる。これにより、フープFから姿勢変換機構5への枚葉搬送が完了する。
【0091】
この枚葉搬送を繰り返し実行することによって、フープFから姿勢変換機構5へと複数枚の基板Wを搬送することができる。このとき、フープF内の任意の基板保持位置に保持された基板Wを第1保持機構51の任意の高さの保持溝へと搬送することができる。したがって、フープF内の基板Wの配列状態と異なる配列状態で第1保持機構51に基板Wを保持させることができる。具体的には、フープF内の基板Wの並び順とは異なる順序で第1保持機構51に基板Wを保持させることができる。また、フープF内に25枚未満(たとえば数枚)の基板Wが不等間隔で保持されている場合に、これらの基板Wを第1保持機構51に等間隔で保持させることができる。さらにまた、フープF内の中段位置に数枚の基板Wが保持されている場合に、それらの基板Wを第1保持機構51の上段位置や下段位置に固めて配列することができる。
【0092】
第4の動作例として、姿勢変換機構5に保持されている処理済み基板Wを1枚ずつフープFに搬送する動作(枚葉搬送)を説明する。
搬出入機構4は、旋回機構45によって保持ベース41を旋回させ、枚葉ハンド39を姿勢変換機構5に対向させる。また、昇降機構46の働きによって保持ベース41が昇降されることにより、姿勢変換機構5の第1保持機構51に保持された搬送対象基板Wの収容位置よりも微小距離(第1保持機構51の保持溝の間隔よりも短い距離)だけ下方の高さとなるように、枚葉ハンド39の高さが制御される。その状態で、枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39を姿勢変換機構5に向かって前進させて、枚葉ハンド39を搬送対象基板Wの下方に進入させる。このとき、一対の第1保持機構51は、処理済み基板用の保持溝群を対向させた姿勢に制御されている。また、枚葉ハンド39は開状態(内側基板ガイド225,227で基板Wを支持する状態)となっている。
【0093】
次に、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、第1保持機構51における保持溝のピッチに等しい。)だけ上昇させられることにより、枚葉ハンド39が上昇し、第1保持機構51から1枚の搬送対象基板Wがすくい取られる。その状態で枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39を後退させる。これにより、第1保持機構51から1枚の搬送対象基板Wが搬出される。
【0094】
次に、旋回機構45によって保持ベース41が旋回させられ、枚葉ハンド39がフープFに対向させられる。また、必要に応じて、昇降機構46の働きによって保持ベース41が昇降されることによって、枚葉ハンド39の高さが変更される。これにより、枚葉ハンド39に保持された基板Wを、フープFの任意の高さの基板保持棚に渡すことができる
次いで、枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39をフープFに向けて前進させ、1枚の基板WをフープF内の複数の基板保持棚のいずれか(枚葉ハンド39の高さに対応する基板保持棚)に進入させる。
【0095】
次に、昇降機構46の働きによって、保持ベース41が微小距離(たとえば、フープF内における基板保持位置のピッチに等しい。)だけ下降させられることにより、枚葉ハンド39が下降し、1枚の基板Wが、枚葉ハンド39からフープFの基板保持棚へと渡される。その状態で、枚葉ハンド進退機構201は、枚葉ハンド39を後退させる。これにより、姿勢変換機構5からフープFへの枚葉搬送が完了する。
【0096】
この枚葉搬送を繰り返し実行することによって、姿勢変換機構5からフープFへと複数枚の基板Wを搬送することができる。このとき、第1保持機構51の任意の保持溝に保持された基板WをフープFの任意の高さの基板保持棚へと搬送することができる。したがって、第1保持機構51における基板Wの配列状態と異なる配列状態でフープFに基板Wを収容することができる。具体的には、第1保持機構51での基板Wの並び順とは異なる順序でフープFに基板Wを収容することができる。たとえば、前記第3の動作例で述べたように、フープF内の未処理基板Wの配列を変更しながら第1保持機構51に搬送した場合に、それらの基板Wに対する処理が行われた後、これらの処理済み基板WをフープFに元の配列状態で戻すことができる。
【0097】
第5の動作例として、一括搬送と枚葉搬送との組み合わせについて説明する。
たとえば、一つのフープFから25枚の未処理基板Wを取り出して姿勢変換機構5へと搬送し、別のフープFから1枚の未処理基板W(たとえばテスト用のダミー基板)を取り出して姿勢変換機構5に搬送して、姿勢変換機構5に合計26枚の基板Wが保持させられる場合がある。
【0098】
この場合には、まず、前記第1の動作例で説明したバッチハンド40を用いた一括搬送によって、25枚の未処理基板Wが一つのフープFから姿勢変換機構5へと搬送される。次に、前記第3の動作例で説明した枚葉ハンド39を用いた枚葉搬送によって、別のフープFから姿勢変換機構5へと1枚の未処理基板Wが搬送される。
また、別の動作例として、一つのフープFから25枚の未処理基板Wをバッチハンド40で一括搬出し、別のフープFから1枚の未処理基板Wを枚葉ハンド39で搬出することにより、合計26枚の未処理基板Wを搬出入機構4に保持させることもできる。そして、旋回機構45によって枚葉ハンド39およびバッチハンド40を姿勢変換機構5に対向するまで旋回させた後に、バッチハンド40で25枚の基板Wを姿勢変換機構5に一括搬入し、さらに枚葉ハンド39で残り1枚の基板Wを姿勢変換機構5に搬入すればよい。
【0099】
一方、姿勢変換機構5に処理済みの26枚の基板Wが保持されており、そのうちの25枚の基板Wを一つのフープFに収容し、残り1枚の基板W(たとえばテスト用のダミー基板)を別のフープFに収容する場合がある。
この場合には、まず、前記第2の動作例で説明したバッチハンド40を用いた一括搬送によって、25枚の処理済み基板Wが姿勢変換機構5から一つのフープFへと搬送される。次に、前記第4の動作例で説明した枚葉ハンド39を用いた枚葉搬送によって、姿勢変換機構5から別のフープFへと残り1枚の基板Wが搬送される。
【0100】
また、別の動作例として、姿勢変換機構5から25枚の処理済み基板Wをバッチハンド40で一括搬出し、枚葉ハンド39で残り1枚の処理済み基板Wを搬出することにより、合計26枚の処理済み基板Wを搬出入機構4に保持させることもできる。そして、旋回機構45によって枚葉ハンド39およびバッチハンド40をフープFに対向するまで旋回させた後に、バッチハンド40で25枚の基板Wを一つのフープFに一括搬入し、さらに枚葉ハンド39で残り1枚の基板Wを別のフープFに搬入すればよい。
【0101】
一括搬送と枚葉搬送との切換えは、フープ保持部1に保持されたフープF内の基板の枚数によって行われてもよい。たとえば、フープF内に所定枚数以上の未処理基板Wが収容されている場合には、前記第1の動作例に従う一括搬送を行う一方で、フープF内に前記所定枚数未満の未処理基板Wが収容されている場合には、前記第3の動作例に従う枚葉搬送を行うようにしてもよい。むろん、フープF内に25枚の基板Wが収容されている場合であっても、基板Wの並び順を変更するために、前記第3の動作例に従う枚葉搬送を適用してもよい。
【0102】
以上のように、この実施形態によれば、保持ベース41に枚葉ハンド進退機構201およびバッチハンド進退機構202を共通に保持し、これらによって枚葉ハンド39およびバッチハンド40を独立して進退させる構成としている。さらに、保持ベース41は、旋回機構45によって鉛直軸線まわりに旋回され、昇降機構46によって昇降されるので、枚葉ハンド39およびバッチハンド40によって旋回機構45および昇降機構46が共有されている。
【0103】
このような構成により、バッチハンド40による一括搬送と枚葉ハンド39による枚葉搬送とを即座に切り換えることができるから、ハンド交換のための時間を必要としない。また、垂直多関節アーム型のロボットのように基板Wの水平搬送のために複数軸の同期駆動を要するような構成ではないので、基板Wの搬送を高速化することができる。したがって、基板処理速度を向上することができる。
【0104】
また、垂直多関節アーム型ロボットのような複雑な構造の搬送機構を用いる必要がなく、ハンド交換部も不要であるので、構成を簡単にすることができ、それに応じてコストを削減することができる。しかも、ハンド交換部が不要であるので、基板処理装置の占有面積の削減にも寄与することができる。
さらに、枚葉ハンド39は、水平方向に離れて配置された2つのハンド要素186の間隔を変更することによって、未処理基板Wと処理済み基板Wとで基板ガイド225,227;226,228を使い分けることができる。したがって、ハンドの交換を要しないから、基板処理の高速化に寄与できる。
【0105】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、枚葉ハンド39の上方にバッチハンド40を配置しているが、これらの上下関係を逆にしてもよい。
また、前述の実施形態では、フープFと姿勢変換機構5との間で基板Wを搬送する搬出入機構4にこの発明が適用された例について説明したが、これら以外の搬送対象場所間での基板搬送にこの発明を適用してもよい。
【0106】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
特許請求の範囲に記載した特徴以外にも、本明細書の記載から以下のような特徴が抽出され得る。
A1.複数枚の基板を積層状態で一括して保持するバッチハンドと、このバッチハンドを進退させるバッチハンド進退機構と、1枚の基板を保持する枚葉ハンドと、この枚葉ハンドを進退させる枚葉ハンド進退機構と、前記バッチハンド進退機構および枚葉ハンド進退機構を保持する保持ベースと、この保持ベースを上下動させる昇降機構と、前記保持ベースを鉛直方向に沿う旋回軸線周りに旋回させる旋回機構とを含む、基板搬送装置。
【0107】
この構成によれば、バッチハンドを進退させるバッチハンド進退機構と枚葉ハンドを進退させる枚葉ハンド進退機構とが共通の保持ベースに保持されている。そして、この共通の保持ベースが昇降機構によって上下動され、旋回機構によって鉛直軸線周りに旋回されるようになっている。したがって、搬送対象場所に対してバッチハンドまたは枚葉ハンドを対向させた状態で、バッチハンドまたは枚葉ハンドを当該搬送対象場所に対して進退させることによって、この搬送対象場所に対して基板を搬入/搬出することができる。バッチハンド進退機構および枚葉ハンド進退機構が個別に設けられているので、バッチハンドおよび枚葉ハンドを独立して進退させることができる。
【0108】
このように、ハンドを交換する必要がないので、バッチハンドによる複数枚の基板の一括搬送と、枚葉ハンドによる1枚の基板の枚葉搬送との切換えは、バッチハンド進退機構と枚葉ハンド進退機構とのいずれを作動させるかを選択することによって達成される。よって、前述の先行技術とは異なり、一括搬送と枚葉搬送との切換えに長い時間を必要とすることはない。これにより、一括搬送と枚葉搬送との切換えが必要な場合であっても、基板搬送を効率的に行うことができる。
【0109】
また、ハンドの交換が必要でないため、先行技術のような複雑な構造の垂直多関アーム節型ロボットを必要とせず、保持ベースを昇降させる昇降機構と、保持ベースを旋回させる旋回機構とを備え、さらに、保持ベースにバッチハンド進退機構と枚葉ハンド進退機構を備えればよい。したがって、先行技術に比較して構造が簡易であるため、コストを大幅に削減することができる。しかも、水平方向の基板の移動は、保持ベースの旋回およびハンドの進退によって行うことができ、垂直多関節アーム型ロボットの場合のように、複数の駆動軸の同期駆動を要することもない。そのため、基板の搬送速度を高めることが可能である。
【0110】
さらに、ハンド交換部を必要としないので、装置の専有面積(フットプリント)を削減でき、併せて、コストの削減も図ることができる。
なお、バッチハンドの進退方向と枚葉ハンドの進退方向とは、異なっていてもよいが、平行であることが好ましい。
A2.前記バッチハンドおよび前記枚葉ハンドがそれぞれの後退位置にあるとき、これらのバッチハンドおよび枚葉ハンドが上下方向に積層配置されるようになっている、A1項記載の基板搬送装置。
【0111】
この構成によれば、バッチハンドおよび枚葉ハンドを後退させた状態での旋回半径を小さくすることができるので、基板搬送装置の設置スペースを縮小することができる。
A3.前記枚葉ハンドが、水平方向に離れて配置された2つのハンド要素を備え、各ハンド要素は、高さの異なる第1および第2基板支持部を有し、前記基板搬送装置は、前記2つのハンド要素をそれぞれ水平方向に駆動することにより開閉するハンド開閉機構をさらに含み、前記枚葉ハンドは、前記2つのハンド要素を開いた状態では、当該2つのハンド要素の前記第1基板支持部によって第1の高さで基板を保持し、前記2つのハンド要素を閉じた状態では、当該2つのハンド要素の前記第2基板支持部によって第2の高さで基板を保持する、A1項またはA2項記載の基板搬送装置。
【0112】
この構成によれば、ハンド開閉機構によって2つのハンド要素を開閉することによって、第1基板支持部で基板を支持している状態と、第2基板支持部で基板を支持している状態とを選択することができる。そして、第1および第2基板支持部は高さが異なるので、一方の基板支持部で基板を支持しているとき、この基板が他方の基板支持部に接しないようにすることができる。そこで、第1および第2基板支持部を使い分けて基板を支持することができる。
【0113】
たとえば、第1および第2基板支持部の一方を未処理基板の支持に用い、その他方を処理済みの基板の支持に用いることができる。これにより、枚葉ハンドを2種類の用途に使い分けることができ、前述の先行技術のように、未処理基板用の枚葉ハンドと処理済み基板用の枚葉ハンドとを個別に準備する必要も、それらの交換をする必要もない。これにより、交換用のハンドが不要であるうえ、ハンド交換の時間を要することなく未処理基板および処理済み基板に対して個別の基板支持部を割り当てることができる。
【0114】
A4.複数枚の基板を積層状態で収容する収容器を保持する収容器保持部と、複数枚の基板を保持する基板保持部と、前記収容器保持部に保持された収容器と、前記基板保持部との間で基板を搬送するA1項〜A3項のいずれか一項に記載の基板搬送装置とを含む、基板処理装置。
この構成によれば、収容器保持部に保持された収容器と基板保持部との間の基板搬送を、バッチハンドを用いた一括搬送によって行ったり、枚葉ハンドを用いた枚葉搬送によって行ったりすることができる。一括搬送と枚葉搬送との切換えの際に、ハンド交換のための時間などは必要ではなく、その切換えは速やかに行うことができる。これにより、基板搬送を高速化できるので、それに応じて基板処理速度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を説明するための図解的な平面図である。
【図2A】フープと主搬送機構との間の基板搬送に関連する構成を説明するための拡大平面図である。
【図2B】図2Aの矢印A1からみた立面図である。
【図3】搬出入機構の旋回および上下動に関する構成を説明するための断面図である。
【図4A】枚葉ハンド、バッチハンドおよびこれらを進退させるための進退駆動機構の構成を説明するための透視側面図である。
【図4B】図4Aの矢印A4方向からみた背面図である。
【図5】枚葉ハンド進退機構およびバッチハンド進退機構の構成を説明するための図解的な平面図である。
【図6】枚葉ハンドおよびハンド開閉機構の構成を説明するための断面図である。
【図7】ハンドに備えられた基板ガイドの構成を説明するための部分拡大断面図である。
【図8】バッチハンドおよびハンド開閉機構の構成を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0116】
1 フープ保持部
2 基板処理部
3 主搬送機構
4 搬出入機構
5 姿勢変換機構
6 プッシャ
7 受け渡し機構
8 チャック洗浄ユニット
9 コントローラ
10 基板処理装置
13 基板方向整列機構
20 処理部
39 枚葉ハンド
40 バッチハンド
41 保持ベース
42 旋回ブロック
43 昇降ブロック
44 基台部
45 旋回機構
46 昇降機構
47 進退駆動機構
175 ハンド要素群
176 ハンド要素
176L 左ハンド要素
176R 右ハンド要素
177 左支持ブロック
178 右支持ブロック
179 進退ブラケット(バッチハンド用)
180 ハンド開閉機構
186 ハンド要素
186L 左ハンド要素
186R 右ハンド要素
187 左ハンド支持部材
188 右ハンド支持部材
189 進退ブラケット(枚葉ハンド用)
190 ハンド開閉機構
201 枚葉ハンド進退機構
202 バッチハンド進退機構
205 リニアガイド(枚葉ハンド用)
206 ベルト駆動機構
215 一対のリニアガイド(バッチハンド用)
216 ベルト駆動機構
225 内側基板ガイド
226 外側基板ガイド
227 内側基板ガイド
228 外側基板ガイド
231 開閉ガイド部
232L 左シリンダ
232R 右シリンダ
233 ガイドベース
234 ガイド軸
245 内側基板ガイド
246 外側基板ガイド
247 内側基板ガイド
248 外側基板ガイド
251 開閉ガイド部
252L 左シリンダ
252R 右シリンダ
253 ガイドベース
254 ガイド軸
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を積層状態で一括して保持するバッチハンドと、
このバッチハンドを進退させるバッチハンド進退機構と、
1枚の基板を保持する枚葉ハンドと、
この枚葉ハンドを進退させる枚葉ハンド進退機構と、
前記バッチハンド進退機構および枚葉ハンド進退機構を保持する保持ベースと、
この保持ベースを上下動させる昇降機構と、
前記保持ベースを鉛直方向に沿う旋回軸線周りに旋回させる旋回機構とを含み、
前記バッチハンド進退機構が、前記保持ベースに支持され、互いに平行に延びた一対のバッチハンド用リニアガイドと、前記一対のバッチハンド用リニアガイドに結合され、前記バッチハンドを保持して進退するバッチハンド進退ブラケットとを含み、
前記枚葉ハンド進退機構が、前記一対のバッチハンド用リニアガイドの間に配置されて前記保持ベースに支持され、前記一対のバッチハンド用リニアガイドと平行に延びた1本の枚葉ハンド用リニアガイドと、前記一本の枚葉ハンド用リニアガイドに結合され、前記枚葉ハンドを保持して進退する枚葉ハンド進退ブラケットとを含み、
前記バッチハンドおよび前記枚葉ハンドがそれぞれの後退位置にあるとき、前記枚葉ハンド進退ブラケットが前記バッチハンド進退ブラケットに内包され、前記バッチハンドおよび枚葉ハンドが上下方向に積層配置されるようになっている、基板搬送装置。
【請求項2】
前記枚葉ハンドが、水平方向に離れて配置された2つのハンド要素を備え、
各ハンド要素は、高さの異なる第1および第2基板支持部を有し、
前記基板搬送装置は、前記2つのハンド要素をそれぞれ水平方向に駆動することにより開閉するハンド開閉機構をさらに含み、
前記枚葉ハンドは、前記2つのハンド要素を開いた状態では、当該2つのハンド要素の前記第1基板支持部によって第1の高さで基板を保持し、前記2つのハンド要素を閉じた状態では、当該2つのハンド要素の前記第2基板支持部によって第2の高さで基板を保持する、請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
複数枚の基板を積層状態で収容する収容器を保持する収容器保持部と、
複数枚の基板を保持する基板保持部と、
前記収容器保持部に保持された収容器と、前記基板保持部との間で基板を搬送する請求項1または2に記載の基板搬送装置とを含む、基板処理装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−38436(P2013−38436A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204752(P2012−204752)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2008−234274(P2008−234274)の分割
【原出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】