説明

基板搬送装置のシャフト支持装置

【課題】 回転するシャフトの上に基板を乗せて搬送する構成の基板搬送装置において、搬送される基板の直下にシャフトを支持する機構を設けることなくシャフトのたわみを小さくでき、結果としてシャフト径を細くできるシャフト支持装置を提供する。
【解決手段】 シャフト2を複数本並べた構成の基板搬送装置1において、各シャフト2のたわみを小さくするため、シャフト両端をそれぞれ、2個のベアリング12、12を一定距離を離して設置した軸受ユニット10、10によって支持する構成とし、シャフト両端の支持強度を高め、シャフト中央部に生じるたわみを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を乗せて搬送する複数のシャフトを備えた基板搬送装置におけるシャフト支持装置に関し、特に、ガラス基板等の薄板搬送に用いるのに適した基板搬送装置のシャフト支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス基板等の基板を搬送する基板搬送装置として、図2に示すように、コロ3を保持したシャフト2を複数本並べた構成の基板搬送装置1が知られており、これらのコロ3に基板5を乗せて搬送していた。この構成の基板搬送装置1において、シャフト2の支持には、図3に示すように、シャフト2の両端をそれぞれ、支持フレーム6に取り付けられた1個のベアリング7によって支持する構造が採用されていた。
【0003】
この種の基板搬送装置1において、シャフト2のたわみは、搬送中の基板の振動や基板の衝撃の原因となるため、極力抑制することが必要である。特に近年、搬送対象であるガラス基板等の基板が大型化し且つ肉厚が薄くなる傾向があり、しかも、基板表面に形成している機能層には一層の精密さが要求されるため、搬送中の基板に加わる振動や衝撃を一層厳密に防止することが必要となっており、このため、シャフト2のたわみを一層厳密に抑制することが望まれてきた。そこで、従来は、シャフト2のたわみを抑えるため、シャフト径を太くする方法が採られている。また、図4に示すように、シャフト2の中間領域の下側に、回転自在な支持コロ9を備えた支持ユニット8を設け、シャフト2の支持点を増やす構造のものも知られている。
【0004】
しかしながら、シャフト径を太くした場合、シャフト自体の質量増加及び、シャフトと取り合う軸受等の部品の大型化による製作・運搬コストが増加するといった問題があった。一方、図4に示すようにシャフト2の支持点を増やした場合には、部品点数の増加による組み付け工数の増加及び、支持ユニット8の追加に伴う物理的スペース減少により他の付加装置設置時の形状的制約が大きくなり、また、発塵の可能性のある支持ユニット8が搬送される基板5の直下に位置するため、基板5への油分やゴミが付着する可能性が高くなるといった問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、搬送される基板の直下に発塵源となる支持ユニットを設けることなくシャフトのたわみを小さくでき、結果としてシャフト径を細くしてコストダウンを図ることの可能な、基板搬送装置におけるシャフト支持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板を乗せて搬送する複数のシャフトを備えた基板搬送装置において、前記シャフトのたわみを小さくするため、前記シャフト両端をそれぞれ、2個のベアリングを一定距離を離して設置した軸受ユニットによって支持する構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシャフト支持装置では、シャフト両端をそれぞれ、2個のベアリングを一定距離を離して設置した軸受ユニットによって支持する構成としたことで、シャフトの両端をそれぞれ強固に水平に保つように支持することができ、シャフトのたわみを少なくできる。そして、構造的にシャフトのたわみを少なくできるため、結果としてシャフト径を細くでき、装置質量の低減が図れ、製作・運搬コストを低減できる。また、細いシャフトで構成できるため材料価格を抑えることができ、安価な装置を提供できる。更に、搬送される基板の下方でシャフトを支える必要がないので、その位置に発塵源となる恐れのある支持機構を設ける必要がなく、基板に対するクリーン化を図ることができると共に、他の付加装置のためにスペースが取れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の好適な実施の形態に係るシャフト支持装置を用いた基板搬送装置の概略断面図であり、図2〜図4に示す従来例と同一若しくは同様な部品には同一符号を付している。図1において、基板搬送装置1は、平行に配置された複数のシャフト2(1本のみ図示)を備えており、そのシャフト2にはコロ3が挿入され、シャフト2を駆動装置(図示せず)で回転させることで、コロ3に基板5を乗せて搬送するようになっている。このシャフト2を支持するためのシャフト支持装置は、シャフト2の両端をそれぞれ回転可能に保持した軸受ユニット10、10を備えている。各軸受ユニット10は、ベアリングホルダ11に2個のベアリング12、12を一定距離を離して設置し、止め輪13で固定した構造を有しており、ベアリングホルダ11をボルト14で支持フレーム6に固定することで支持フレーム6に取り付けられている。また、シャフト2に固定したセットカラー15によってシャフト2の抜け止めが図られている。
【0009】
この構成のシャフト支持装置では、シャフト2の両端をそれぞれ、一定距離を離して設置した2個のベアリング12、12で支持しているため、シャフト2の両端をそれぞれ強固に水平に保つように支持することができ、このため、シャフト2の中間領域におけるたわみを少なくできる。ここで、シャフト2の各端部に配置した2個のベアリング12、12の間隔Lと、シャフト2の径dとは、シャフト2の最大たわみが許容値以下となるように設定する。その際、2個のベアリング12、12の間隔Lは、小さ過ぎるとシャフト2の支持強度が低下し、シャフト2の径dを大きくせざるを得なくなり、一方、大き過ぎると設置スペースが大きく必要となって得策でなくなるので、これらを考慮して定める。間隔Lのおおよその目安としては、シャフト2の径dに対して、L=2d〜6d程度となるように定めればよい。
【0010】
図1に示す構造のシャフト支持装置を用いると、上記したように、構造的にシャフト2のたわみを少なくできる。このため、シャフト2のたわみを図3に示す構造の場合と同程度とする場合には、シャフト径を図3に示す場合に比べて細くでき、装置質量の低減が図れ、製作・運搬コストを低減できる。また、細いシャフトで構成できるため材料価格を抑えることができ、安価な装置を提供できる。更に、シャフト2はその両端のみを軸受ユニット10で支持すればよいので、図4に示す場合のように、シャフト2の中間領域を支える必要がなく、このため、搬送される基板5の下方位置に発塵源となる支持機構(例えば、図4に示す支持ユニット8)を設ける必要がなく、基板5に対するクリーン化を図ることができると共に、他の付加装置のためにスペースが取れる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明のシャフト支持装置は、任意の基板の搬送に用いる基板搬送装置におけるシャフトの支持に用いることができるが、特に、振動や衝撃を加わることを嫌う薄い且つ大型のガラス基板の搬送に用いる基板搬送装置におけるシャフトの支持に用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係るシャフト支持装置を用いた基板搬送装置の概略断面図
【図2】従来の基板搬送装置を示す概略斜視図
【図3】従来の基板搬送装置の概略断面図
【図4】従来の基板搬送装置の他の例を示す概略断面図
【符号の説明】
【0013】
1 基板搬送装置
2 シャフト
3 コロ
5 基板
6 支持フレーム
7 ベアリング
8 支持ユニット
9 支持コロ
10 軸受ユニット
11 ベアリングホルダ
12 ベアリング
13 止め輪
14 ボルト
15 セットカラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を乗せて搬送する複数のシャフトを備えた基板搬送装置において、前記シャフトの両端をそれぞれ、2個のベアリングを一定距離を離して設置した軸受ユニットによって支持したことを特徴とする基板搬送装置のシャフト支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−298574(P2006−298574A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123020(P2005−123020)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】