説明

基板搬送装置及び基板乾燥装置

【課題】基板汚染の原因となるパーティクルを発生させることなく、基板を安定して搬送できるようにする。
【解決手段】基板Wを支持するローラ部181と、回転軸182と、回転軸182の一方端側に設けられた第1磁気部材11とを有する複数の搬送ローラ18と、各搬送ローラ18の回転軸182の他方端側を回転自在に支持する第1支持部101と、第1磁気部材11に対向する位置に第1磁気部材11と同一極性の第2磁気部材13が設けられ、基板搬送方向に直交する方向における基板の中央寄りに配置された各搬送ローラ18の回転軸182の前記一方端側を、第1磁気部材11と第2磁気部材13との間の反発力により軸支する第2支持部102と、駆動モータとを備え、搬送ローラ18は第1支持部101及び第2支持部102に支持され、隣り合う搬送ローラ18と一定間隔を空けて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並設された複数の搬送ローラにより基板を搬送する基板搬送装置及び当該基板搬送装置を備えた基板乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、並設された複数の搬送ローラにより基板を搬送する基板搬送装置として、下記特許文献1に示されるように、基板搬送方向に直交する方向に延びる回転軸を有する複数の片持ち式の搬送ローラが、同方向における基板両端部位置に、隣り合う搬送ローラと一定間隔を空けて配置されたものが知られている。この基板搬送装置によれば、基板両端部の下面側に接する上記片持ち式の搬送ローラが回転することで、基板が当該複数の搬送ローラ上を次々と移動して基板が搬送される。
【特許文献1】実開平6−59794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に示される基板搬送装置は、上記片持ち式の搬送ローラの回転軸の一方端はベアリングにより支持されているが、他方端側は支持されていない。そのため、当該片持ち式の搬送ローラにより基板を支持すると、支持されていない回転軸の端部には基板の重さによる下向きの負荷がかかる。その結果、ベアリングで支持されている側の端部には上向きの負荷がかかることになり、搬送ローラの回転動作に支障をきたしたり、ベアリングの故障の原因になるという問題を生じる。
【0004】
また、上記問題を解決するために、回転軸の両端部をいずれもベアリングで回転自在に支持する構成の採用が考えられるが、この場合、搬送される基板の裏面となる位置にも、回転軸支持用のベアリングが配置されることになるため、当該ベアリングから発生するパーティクルが基板に付着して基板を汚染する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、基板汚染の原因となるパーティクルを発生させることなく、基板を安定して搬送できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、搬送の対象となる基板を支持するローラ部と、前記ローラ部の中心を貫通して前記ローラ部に固定された回転軸と、前記回転軸の一方端側に設けられた第1磁気部材とを有する複数の搬送ローラと、
前記各搬送ローラの回転軸の他方端側を回転自在に支持する第1支持手段と、
前記第1磁気部材との対向面が同一極性とされ、前記第1磁気部材に対して少なくとも下方側から対向する第2磁気部材が設けられ、基板搬送方向に直交する方向における基板の中央寄りに配置された前記各搬送ローラの回転軸の前記一方端側を、前記第1磁気部材と第2磁気部材との間の反発力により回転自在に支持する第2支持手段と、
前記複数の搬送ローラの回転軸の他方端側に回転駆動力を供給する回転駆動手段とを備え、
前記搬送ローラは、前記基板搬送方向に直交する方向における基板両端部位置に配設され、隣り合う搬送ローラとは基板搬送方向に一定間隔を空けて配置されている基板搬送装置である。
【0007】
この構成の場合、搬送ローラが基板を搬送するときに、基板の重さによる下向きの負荷が、基板の中央寄りの搬送ローラ回転軸端部に加わっても、この回転軸端部は第2支持手段に支持されているので、第1支持手段に支持された側の回転軸端部には上向きの負荷が加わらない。そのため、第1支持手段に支持された搬送ローラの回転動作に、上向きの負荷による支障が生じることがなく、第1支持手段で回転軸を支持する部分、例えばベアリング等が故障するという問題が生じない。
【0008】
また、上記第2支持手段による各搬送ローラの上記基板中央寄りの回転軸端部の支持は、第1磁気部材と第2磁気部材との間に発生する反発力を利用して非接触で行われるため、回転軸と第2支持手段の間で摩擦が生じることがなく、回転軸端部をベアリング等で支持する場合のようにパーティクルが発生することがない。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板搬送装置であって、前記第2支持手段の前記第2磁気部材は、前記第1磁気部材の全周を覆うように設けられているものである。
【0010】
この構成によれば、搬送ローラの回転軸端部に設けられている第1磁気部材の全周を、第2支持手段の第2磁気部材が覆うので、搬送ローラの回転軸端部は、第2支持手段によって、上下左右全ての方向において磁気による反発力で支持され、第2支持手段により安定した状態で支持される。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板搬送装置であって、前記第2磁気部材は、前記第1磁気部材に上方側から対向する上部部材と、当該上部部材とは別個の部材とされ、前記第1磁気部材に下方側から対向する下部部材とを有し、これら上部部材及び下部部材は、一方の部材が他方の部材に取り付けられて前記第1磁気部材の全周を覆う状態となり、一方の部材の他方の部材に対する取付位置を可変させることで当該両部材の間隔が変更されるものである。
【0012】
この構成によれば、第2磁気部材をなす上部部材及び下部部材によって、第1磁気部材の全周を覆う状態となり、一方の部材の他方の部材に対する取付位置を可変させることで当該両部材の間隔が変更されるので、搬送ローラの回転軸の径や、第1及び第2磁気部材のそれぞれの磁気力、或いは基板搬送時に搬送ローラにかかる負荷等に応じて、第2磁気部材と第1磁気部材との間に発生する反発力を上記各種条件に応じて調整することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置と、
前記搬送ローラによって搬送される基板に対して気体を噴射する気体噴射手段とを備える基板乾燥装置である。
【0014】
気体噴射手段によって基板表面に気体を噴射した処理を行う場合、基板周囲に気流が発生するため、パーティクル発生を軽減及び防止して基板処理面に悪影響を及ぼさないようにすることが重要になるが、上記構成によれば、基板搬送時に第2支持手段に下方向の負荷が加わっても、第1及び第2磁気部材の間に発生する反発力により、搬送ローラは第2支持手段に非接触で支持されるために摩擦が生じず、パーティクルが発生しない。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の基板乾燥装置であって、前記気体噴射手段には、基板の搬送方向に交差する方向に延びるスリット状の噴射口を有するエアナイフノズルが設けられている。
【0016】
エアナイフノズルから基板表面に気体を噴射するときには、基板周囲に気流が発生するため、パーティクル発生を軽減及び防止して基板処理面に悪影響を及ぼさないようにすることが重要になるが、上記構成によれば、基板搬送時に第2支持手段に下方向の負荷が加わっても、第1及び第2磁気部材の間に発生する反発力により、搬送ローラは第2支持手段に非接触で支持されるために摩擦が生じず、パーティクルが発生しない。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、第1支持手段に支持された搬送ローラの回転動作に、上向きの負荷による支障が生じることがなく、第1支持手段で回転軸を支持する例えばベアリングが故障するという問題が生じないので、基板を汚染するパーティクルを発生させることなく、基板を安定して搬送することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、搬送ローラの回転軸端部は、第2支持手段によって、上下左右全ての方向において磁気による反発力で支持されるため、より安定した状態で第2支持手段に支持される。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、搬送ローラの回転軸の径や、第1及び第2磁気部材のそれぞれの磁気力、或いは基板搬送時に搬送ローラにかかる負荷等に応じて、第2磁気部材と第1磁気部材との間に発生する反発力を上記各種条件に応じて調整することができる。
【0020】
請求項4及び請求項5に記載の発明によれば、基板表面に気体を噴射して処理を行う場合に問題となるパーティクル発生を軽減及び防止し、基板処理面に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る基板搬送装置及び基板乾燥装置について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る基板搬送装置を備えた基板乾燥装置を示す図である。本発明に係る基板搬送装置1は、基板を乾燥させる基板乾燥装置10に適用される。基板乾燥装置10は、基板Wの搬入口12及び搬出口14を有する閉鎖型の処理チャンバ100を備えている。処理チャンバ100における基板Wの搬入口12側には、天井面及び底面にそれぞれ排気口16a、16bが設けられている。処理チャンバ100の底面に設けられた排気口16bは、処理チャンバ100の一隅部分に配置されている。各排気口16a、16bには、図示していないが、それぞれ排気管が連通して接続されており、各排気管は排気ポンプにそれぞれ流路接続されている。
【0022】
処理チャンバ100の内部には、基板Wを支持して水平方向へ搬送する複数の搬送ローラ18と、図1では図略の回転軸支持部とで構成されたローラコンベアからなる基板搬送装置1が配設されている。
【0023】
搬送ローラ18は、基板搬送方向に直交する方向における処理チャンバ100の両側部に支持され軸着されている。各搬送ローラ18は、隣り合う搬送ローラ18と一定間隔を空けて配置されている。搬送ローラ18は、基板Wの裏面に接触して基板Wを支持するローラ部181と、ローラ部181の中心を貫通してローラ部181が固定される回転軸182とを有する。搬送ローラ18の回転軸182の一方端、すなわち、基板搬送方向に直交する方向における基板Wの中央寄りの回転軸端部は、第2支持部102(第2支持手段)に回転自在に支持されている。この第2支持部102は、昇降部1022により昇降可能に構成されており、搬送ローラ18の回転軸182の軸支部の上下位置を調整できるようになっている。さらに、搬送ローラ18の回転軸182は、その他方端が処理チャンバ100の側壁100a及び当該側壁100aに設けられた軸受部からなる第1支持部(第1支持手段)101により回転自在に支持されている(軸受部及び第1支持部は図2参照)。搬送ローラ18及びその支持機構の詳細については後述する。
【0024】
また、処理チャンバ100の内部には、基板搬送装置1によって搬送される基板Wの搬送路を挟んでその上下両側に一対のエアナイフ20a、20bが配設されている。なお、基板Wの搬送方向に間隔をあけて二対あるいはそれ以上のエアナイフを設置するようにしてもよい。この実施形態では、平面視で基板搬送方向に対して交差する斜め方向にエアナイフ20a、20bが配置されている(後述の図5参照)。なお、図示の便宜上、図1にはエアナイフ20a、20bを基板搬送方向と直交するように描いている。
【0025】
エアナイフ20a、20bには、基板Wと対向するように、基板Wの幅方向全体にわたって空気、不活性ガス等の気体を噴射するスリット状の噴射口がそれぞれ形設されている。従って、エアナイフ20a、20bのスリット状の噴射口は、基板搬送方向と交差する方向に延びている。エアナイフ20a、20bは、その噴射口から基板搬送方向における上流側に向けて気体を噴射するように鉛直面に対し傾斜した姿勢に保持されている。
【0026】
また、基板搬送路の下方側空間には、エアナイフ20bの配設位置より基板搬送方向における下流側に複数の補助ローラ32が配設されている。補助ローラ32は、処理チャンバ100の底壁面上に垂設された図略の支柱桿の上端部に支持されている。さらに、処理チャンバ100の内部には、基板搬送路の上方側の空間を、エアナイフ20aの配設位置を境に、基板搬送方向における上流側と下流側とに仕切るように内部仕切壁34が配設されている。
【0027】
上記構成を備えた基板乾燥装置10においては、前段の洗浄装置による洗浄処理を終えた基板Wが処理チャンバ100内に搬入口12から搬入され、ローラコンベアによって基板Wが処理チャンバ100内を搬送される過程で、エアナイフ20a、20bの噴射口から基板Wの上下両面に向かって気体が噴射される。エアナイフ20a、20bの噴射口から噴出した気体は、基板Wの上下両面に当たって基板搬送方向における上流側へ跳ね返る。この際に、基板Wに付着した純水等の洗浄液が気体によって吹き飛ばされ、基板Wの上下両面から洗浄液が除去される。そして、洗浄液が除去された基板Wは、搬出口14を通って処理チャンバ100内から搬出され、基板搬送方向下流側の装置へ搬送される。
【0028】
エアナイフ20a、20bの噴射口から噴出し基板Wから除去された洗浄液のミストを含んだ気体は、排気口16a、16bに向かって流動する。洗浄液のミストを含んだ気体は、処理チャンバ100の内壁面に対し斜め方向に当たって排気口16a,16bの方へ流動し、排気口16a,16bを通って処理チャンバ100内から排出される。このように、エアナイフ20bの噴射口から噴射され基板Wの下面で跳ね返った気体は、排気口16bに導かれて排気され、その気体と一緒に洗浄波のミストも処理チャンバ100内から排出される。このため、基板Wの下面から除去された洗浄液のミストが、エアナイフ20bの配設位置より基板搬送方向における下流側まで飛散して基板Wの下面に再付着することが防止される。
【0029】
一方、上側のエアナイフ20aの噴射口から基板Wの上面に対し噴射され基板Wの上面に当たってはね返った気体は、場合によっては乱流状態となりながら排気口16aに向かって流動するが、基板Wの上面から除去された洗浄液のミストの一部は、重力の作用で処理チャンバ100内を降下し、下側のエアナイフ20bの噴射口から噴射された気体と一緒になって、排気口16bを通って処理チャンバ100内から排出される。また、基板Wの上面から吹き飛ばされて除去された洗浄液のミストは、内部仕切壁34により、エアナイフ20aよりも基板搬送方向における下流側の室内に流れ込むことが阻止される。このため、エアナイフ20aの配設位置を通過した基板Wの上面側に洗浄液のミストが再付着することが防止される。
【0030】
図2は、基板搬送装置1における搬送ローラ18及びその支持機構部分を示す斜視図である。図3は第2支持部102の第2磁気部材13による搬送ローラ18の回転軸182の軸支を処理チャンバ100の内側から見た状態を示す斜視図、図4は第2支持部102の第2磁気部材13による搬送ローラ18の回転軸182の軸支を処理チャンバ100の外側から見た状態を示す斜視図である。
【0031】
搬送ローラ18の回転軸182の一方端を軸支する第1支持部101は、処理チャンバ100の側壁100a及び軸受部100bで構成されている。軸受部100bは、回転軸182のスラスト方向における移動を規制する。第1支持部101よりも更に外側に位置する回転軸182の先端部には、図2では図略の駆動モータからの駆動力を伝達すベルトが巻き付けられるプーリが設けられている。かかる駆動機構の詳細は後述する。
【0032】
回転軸182の他方端(基板搬送方向に直交する方向における基板Wの中央寄りとなる側の回転軸端部)の周面上には、例えば7000ガウスの磁力を有する第1磁気部材11が設けられている。また、当該第1磁気部材11が設けられている回転軸182端部側を軸支する第2支持部102には、第1磁気部材11との対向面が同一極性とされ、第1磁気部材11の全周を覆う第2磁気部材13が設けられている。第2磁気部材13は、例えば、9600ガウスの磁力を有する。第2支持部102は、第1磁気部材11と第2磁気部材13との間に生じる反発力により、回転軸182を非接触状態で軸支する。
【0033】
第2磁気部材13は、上部部材131及び下部部材132からなる。上部部材131は、第1磁気部材11に上方側から対向する。下部部材132は、上部部材131とは別個の部材からなり、第2支持部102に設けられた凹部1021に取り付けられている。下部部材132は、回転軸182の第1磁気部材11に下方側から対向する。
【0034】
上部部材131は、逆U字型状に形成され、逆U字型状の内側の縁部には、磁気部1310が設けられている。上部部材131は、その両下端部1311が第2支持部102の下部部材132近傍に取り付けられ、磁気部1310と下部部材132とで、搬送ローラ18の回転軸182が貫通可能な孔を形成し、回転軸182の第1磁気部材11が当該孔部分に位置することで、回転軸182の第1磁気部材11の全周が磁気部1310と下部部材132とで覆われるようになっている。上部部材131の両下端部1311には、長孔1311aが設けられている。また、第2支持部102の下部部材132近傍位置には、図略のネジ孔が設けられている。上部部材131を第2支持部102に取り付ける場合は、上部部材131の長孔1311aを、第2支持部102のネジ孔部分にあてがい、図略のネジを長孔1311a及びネジ孔に貫通させて、ネジ止めにより上部部材131を第2支持部102に固定する。この上部部材131の固定時には、上部部材131の長孔1311a内におけるネジ位置を変更することで、第2支持部102及び下部部材132に対する上部部材131の取り付け位置を変えることができ、これにより上部部材131及び下部部材132の間隔が変更される。
【0035】
搬送ローラ18の回転軸182に設けられた第1磁気部材11は、第2支持部102に設けられた第2磁気部材13をなす上部部材131及び下部部材132によって全周が覆われる位置に配置される。このように回転軸182の第1磁気部材11の全周が第2磁気部材13に覆われることで、当該回転軸182端部は、上下左右全ての方向において磁気による反発力を受け、第2支持部102に対して非接触状態で安定して支持される。これにより、基板W搬送時に回転軸182が回転しても、回転軸182と第2支持部102との間に摩擦が生じないので、パーティクルが発生しない。
【0036】
また、第2支持部102では、上部部材131の取付位置を変更することによって、上部部材131及び下部部材132の間隔を拡げる又は狭めることが可能であるため、搬送する基板Wの重量に応じて回転軸182に対して下向きにかかる負荷が相違する場合に、各負荷に応じて回転軸182を非接触状態で軸支可能な磁力が得られるように、上部部材131及び下部部材132の間隔を調整できる。また、上部部材131及び下部部材132が発する磁力には個体差があることが予想されるが、この場合、各個体差に応じて、回転軸182の軸支に必要な磁力が得られるように、第2支持部102に設けられている各第2磁気部材13の上部部材131及び下部部材132の間隔を、それぞれ調整できる。
【0037】
また、搬送ローラ18のローラ部181の高さは、上部部材131を第2支持部102に対して最も高い位置に取り付けた場合における上部部材131の高さ、及び第1支持部101に回転軸182を軸支させた場合における第1支持部101又は回転軸182の高い方の高さよりも高く設定されている。これにより、基板Wがローラ部181に載置された状態となっても、基板Wがローラ部181以外には接触しない。
【0038】
搬送ローラ18の駆動機構を説明する。図5は基板乾燥装置10の概略構成を示す平面図、図6は図5のA方向から見た基板乾燥装置10の概略側面図、図7は図5のB方向から見た基板乾燥装置10の概略側面図である。なお、図5では便宜上、上部部材131及びエンドレスベルトの図示を省略している。
【0039】
処理チャンバ100の一方の側壁100aの外壁部には、搬送ローラ18に回転駆動力を供給する駆動源となる駆動モータ50が設けられている。この駆動モータ50は、側壁100aの外壁部に設けられている回転駆動軸51に連結されて、回転駆動軸51に回転駆動力を伝達するようになっている。各搬送ローラ18はその回転軸182が、第1支持部101よりも更に外側まで延び、側壁100aから外側に突出している。第1支持部101よりも外側に位置する回転軸182の先端部には、駆動モータ50からの駆動力を伝達するためのエンドレスベルト60が張架されるプーリ185が設けられている。
【0040】
更に側壁100aの外壁部には、側壁100aから突出した各回転軸182先端の間に第1補助回転軸52が設けられている。さらに、回転軸182先端の下方には第2補助回転軸53と、第3補助回転軸54とが設けられている。
【0041】
上記駆動モータ50が設けられている側壁100aとは反対側の側壁100aにも、図7に示すように、駆動モータ50配設側の側壁100aと同様に、各回転軸182の先端部にプーリ185と、第1補助回転軸52と、第2補助回転軸53と、第3補助回転軸54とが設けられている。なお、当該反対側の側壁100aには、回転駆動軸51は設けられておらず、対応する位置には、エンドレスベルト60の走行に応じて従動回転する第3補助回転軸54が設けられている。
【0042】
さらに、一方の側壁100aから他方の側壁100aに、駆動力伝達シャフト70が架け渡されている。この駆動力伝達シャフト70は、駆動モータ50が設けられている側壁100a側から、反対側の側壁100a側に駆動モータ50からの回転駆動力を伝達するものである。駆動力伝達シャフト70は、その両端部がそれぞれ側壁100aに回転自在に軸支されている。駆動力伝達シャフト70は、いずれの側壁100aからも突出されており、側壁100aよりも外側となる両先端部にプーリ71が設けられている。なお、駆動力伝達シャフト70には、基板Wの裏面に接触して基板Wを搬送するためのローラ部72が、長さ方向における適所に設けられている。
【0043】
上記エンドレスベルト60は、回転軸182の先端部のプーリ185と、回転駆動軸51と、第1補助回転軸52と、第2補助回転軸53と、第3補助回転軸54と、さらに、駆動力伝達シャフト70のプーリ71とに、緊張を持たせた状態で架け渡されている。駆動モータ50からの回転駆動力で回転駆動軸51が回転すると、駆動モータ50が設けられている側壁100aにおいて、エンドレスベルト60が走行し、回転軸182の先端部のプーリ185、第1補助回転軸52、第2補助回転軸53、第3補助回転軸54、及び駆動力伝達シャフト70のプーリ71が回転する。これにより、駆動モータ50が設けられている側壁100aに設けられている各搬送ローラ18が回転する。
【0044】
上記のように駆動力伝達シャフト70が回転すると、この駆動力伝達シャフト70の回転により、反対側の側壁100a側において、駆動力伝達シャフト70のプーリ71に張架されているエンドレスベルト60が走行し、回転軸182の先端部のプーリ185、第1補助回転軸52、第2補助回転軸53、及び第3補助回転軸54が回転する。すなわち、駆動モータ50の回転駆動力が、駆動力伝達シャフト70によって反対側の側壁100aまで伝達され、当該反対側の側壁100aに設けられている各搬送ローラ18が回転する。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、搬送ローラ18の回転軸182の第1磁気部材11の全周が、第2支持部102の第2磁気部材13をなす上部部材131及び下部部材132によって覆われる構成としているが、本発明は当該構成に限定されるものはない。例えば、第2磁気部材13として下部部材132のみが設けられ、この下部部材132の磁力によって搬送ローラ18の回転軸182が第2支持部102に軸支されるものとしてもよい。この場合には、下部部材132及び第1磁気部材11の磁力は、搬送ローラ18及び搬送される基板Wの重量を、下部部材132及び第1磁気部材11の間に発生する反発力で支持できる大きさに設定される。
【0046】
また、上記実施形態では、処理チャンバ100の内部には、基板搬送装置1によって搬送される基板Wの搬送路を挟んでその上下両側に一対のエアナイフ20a、20bが配設される構成を採っているが、基板Wの搬送路を挟んでその上側のみにエアナイフ20aが配設される構成であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板搬送装置を備えた基板乾燥装置を示す図である。
【図2】基板搬送装置における搬送ローラ及びその支持機構部分を示す斜視図である。
【図3】第2支持部の第2磁気部材による搬送ローラの回転軸の軸支を処理チャンバの内側から見た状態を示す斜視図である。
【図4】第2支持部の第2磁気部材による搬送ローラの回転軸の軸支を処理チャンバの外側から見た状態を示す斜視図である。
【図5】基板乾燥装置の概略構成を示す平面図である。
【図6】図5のA方向から見た基板乾燥装置の概略側面図である。
【図7】図5のB方向から見た基板乾燥装置の概略側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基板搬送装置
10 基板乾燥装置
11 第1磁気部材
12 搬入口
13 第2磁気部材
131 上部部材
132 下部部材
18 搬送ローラ
181 ローラ部
182 回転軸
185 プーリ
20a エアナイフ
20b エアナイフ
50 駆動モータ
51 回転駆動軸
52 第1補助回転軸
53 第2補助回転軸
54 第3補助回転軸
60 エンドレスベルト
70 駆動力伝達シャフト
100 処理チャンバ
100a 側壁
100b 軸受部
101 第1支持部
102 第2支持部
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送の対象となる基板を支持するローラ部と、前記ローラ部の中心を貫通して前記ローラ部に固定された回転軸と、前記回転軸の一方端側に設けられた第1磁気部材とを有する複数の搬送ローラと、
前記各搬送ローラの回転軸の他方端側を回転自在に支持する第1支持手段と、
前記第1磁気部材との対向面が同一極性とされ、前記第1磁気部材に対して少なくとも下方側から対向する第2磁気部材が設けられ、基板搬送方向に直交する方向における基板の中央寄りに配置された前記各搬送ローラの回転軸の前記一方端側を、前記第1磁気部材と第2磁気部材との間の反発力により回転自在に支持する第2支持手段と、
前記複数の搬送ローラの回転軸の他方端側に回転駆動力を供給する回転駆動手段とを備え、
前記搬送ローラは、前記基板搬送方向に直交する方向における基板両端部位置に配設され、隣り合う搬送ローラとは基板搬送方向に一定間隔を空けて配置されている基板搬送装置。
【請求項2】
前記第2支持手段の前記第2磁気部材は、前記第1磁気部材の全周を覆うように設けられている請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記第2磁気部材は、前記第1磁気部材に上方側から対向する上部部材と、当該上部部材とは別個の部材とされ、前記第1磁気部材に下方側から対向する下部部材とを有し、これら上部部材及び下部部材は、一方の部材が他方の部材に取り付けられて前記第1磁気部材の全周を覆う状態となり、一方の部材の他方の部材に対する取付位置を可変させることで当該両部材の間隔が変更される請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の基板搬送装置と、
前記搬送ローラによって搬送される基板に対して気体を噴射する気体噴射手段とを備える基板乾燥装置。
【請求項5】
前記気体噴射手段には、基板の搬送方向に交差する方向に延びるスリット状の噴射口を有するエアナイフノズルが設けられている請求項4に記載の基板乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−153542(P2007−153542A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351891(P2005−351891)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】