説明

基板搬送装置

【課題】幅方向及び高さ方向の一方又は両方の規制を解除することで無端ベルトを容易に取り外すことができ、搬送基準面を調整する手間を省いてベルト交換が容易となり、無端ベルトの強度低下を防ぐとともにベルトにかかるコストを抑える。
【解決手段】基板Pを搬送する無端ベルト3と、無端ベルト3を幅方向に規制するとともにこの無端ベルト3の走行をガイドするガイド溝20が設けられたガイドレール10とを備える基板搬送装置1において、ガイドレール10は、ガイド溝20の少なくとも一部が設けられた第1レール12と、無端ベルト3を押える上部規制部18が設けられた第2レール16とを有し、第1レール12と第2レール16とは分離可能に連結され、一方のレール16から他方のレール12を取り外すことで無端ベルト3の幅方向及び高さ方向の一方又は両方の規制が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルトで基板を搬送する基板搬送装置に係り、前記無端ベルトの交換を容易に行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品実装装置、半田印刷装置、電子部品の外観検査装置などの電子部品実装ラインには、無端ベルト上にプリント基板を載置して所定の搬送方向に搬送する基板搬送装置が設備されている。
【0003】
図7に示すように、基板搬送装置100では、無端ベルト101がフレーム102の長手方向両端部に設けられた図示しない2つのプーリ間に掛け回されている。無端ベルト101の下面中央には突起101aがベルト101の長手方向に沿って等間隔に並んで設けられ突起列を形成している。この無端ベルト101は、フレーム102と一体形成されたガイド部材103の上面を走行する。ガイド部材103の上面には長手方向に沿ってガイド溝103aが設けられ、突起101aが嵌入されることで無端ベルト101の走行をガイドするとともに、この無端ベルト101を水平方向(ベルト幅方向)に規制している。また、フレーム102上には押え部材104が着脱自在に設けられ、無端ベルト101の上面を押えてこの無端ベルト101を上下方向(ベルト高さ方向)に規制している。
【0004】
この基板搬送装置100では、無端ベルト101をガイド部材103と押え部材104とで挟み込んで上下方向に規制し、且つ突起101aがガイド溝103aに嵌入されて水平方向に規制している。そのため、無端ベルト101を交換するには、押え部材104を取り外したうえで突起101aをガイド溝103aから離脱させなければならない。したがって、ベルト交換作業が煩雑となっていた。また、押え部材104の内方側面は、搬送するプリント基板Pの幅にあわせた搬送基準面を形成しており、ベルト交換時に押え部材104を取り外したことで基準面を再度調整しなければならず、その調整作業に手間がかかっていた。
【0005】
そこで、下記特許文献1に開示される基板搬送装置では、無端ベルトの下面に設けられた突起列を部分的に除去し、この除去部を無端ベルトをガイド溝から取り外すための先導部とすることで押え部材を装着したままでのベルト交換を可能としている。この場合、まず、除去部をガイド部材の一端部に位置させ、プーリのテンションボルトを緩めることで無端ベルトが緩められる。次いで、除去部を水平面内で屈曲させてガイド部材の端部から張り出した部分の突起列をガイド部材の内方へ変位させる。この変位させた突起列を先導部として残りの突起列をガイド部材の側面に沿って他端部まで移動させ、突起列全体をガイド溝から離脱させることにより無端ベルトをガイド部材から取り外すことができる。
【特許文献1】特開平10−242690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示の基板搬送装置では、押え部材を装着したままで無端ベルトをガイド部材から取り外すことができ、さらに、搬送基準面を調整する必要がないことから比較的容易にベルト交換が可能となるが、それでも、無端ベルトの突起が除去された除去部をガイド部材の一端部に位置させる作業は思いのほか面倒であり、除去部がフレームの他端部側にある場合、フレームの長さだけ無端ベルトを引き回して来なければならない。また、無端ベルトに除去部を設けたことで強度が低下し、ベルト破断を起こす危険性がある。さらに、除去部を設けるためのコストが別途かかるため、無端ベルト自体が高価なものとなる。
【0007】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、ベルト交換時にガイドレールが分離して無端ベルトの幅方向及び高さ方向のいずれか一方又は両方の規制を解除することで無端ベルトをガイドレールから容易に取り外すことが可能となるとともに、搬送基準面を調整する手間を省くことでベルト交換が更に容易となり、また、無端ベルトを加工する必要がないためベルトの強度低下を防ぎ、さらに、その加工にかかるコストを抑えることで安価に得られる基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の基板搬送装置1は、基板Pを搬送する無端ベルト3(40)と、前記無端ベルト3(40)の下面側が嵌入され前記無端ベルト3(40)を幅方向に規制するとともに前記無端ベルト3(40)の走行をガイドするガイド溝20(44)が設けられたガイドレール10(30,41)とを備える基板搬送装置1において、
前記ガイドレール10(30,41)は、前記ガイド溝20(44)の少なくとも一部が設けられた第1レール12(31,42)と、前記無端ベルト3(40)の上面を押える上部規制部18が設けられた第2レール16(32,43)とを有し、
前記第1レール12(31,42)と前記第2レール16(32,43)とは、いずれか一方のレール16(31,43)を前記基板Pの幅にあわせた搬送基準面21bを所定位置に設定するための基準側として固定とし、前記一方のレール16(31,43)に他方のレール12(32,42)が分離可能に連結し、前記他方のレール12(32,42)を前記一方のレール16(31,43)から取り外すことで前記無端ベルト3(40)の幅方向及び高さ方向のいずれか一方又は両方の規制が解除されることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の基板搬送装置1は、前記無端ベルト3の下面中央には前記ガイド溝20に嵌入される突起部3aが該無端ベルト3の長手方向に沿って設けられ、
前記第1レール12(31)は、前記無端ベルト3が載置される上面の一端側に長手方向に沿って切欠き13が設けられ、
前記第2レール16(32)は、前記無端ベルト3が幅方向から嵌入される横溝17が設けられて前記上部規制部18を形成し、
前記第1レール12(31)と前記第2レール16(32)とが連結したときに前記第1レール12(31)の前記切欠き13と前記第2レール16(32)の内方側面21aとは前記ガイド溝20を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の基板搬送装置1は、前記第1レール12(31,42)及び前記第2レール16(32,43)のうち前記基準側となる前記一方のレール16(31,43)には、該一方のレール16(31,43)に連結される他方のレール12(31,42)の連結位置を一定の位置に決める位置決め手段19(33)が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による基板搬送装置によれば、ガイドレールを第1レールと第2レールとに分離可能に構成し、第1レール及び第2レールのうちいずれか一方から他方を取り外すことで無端ベルトの幅方向及び高さ方向のいずれか一方又は両方の規制が解除される。これにより、無端ベルトをガイドレールから容易に取り外すことが可能となる。すなわち、ベルト交換が容易となる。特に、ガイドレールに設けられたガイド溝が、第1レールと第2レールとの連結により形成される場合には、搬送する基板の幅にあわせた搬送基準面となる第2レールの内方側面が移動せずに無端ベルトの幅方向の規制が解除されるため、ベルト交換時に搬送基準面を再度調整する手間を省くことが可能となる。したがって、ベルト交換が更に容易となる。
【0012】
また、無端ベルトに従来のような除去部などを設ける必要がないためベルト強度の低下を防ぐことができるとともに、その加工にかかるコストを抑えることができる。
【0013】
さらに、無端ベルトに設けられていた従来の除去部は、無端ベルトの下面にベルト長手方向に沿って等間隔に並んで設けられた突起部を一部除去したものであり、この除去部を不要としたことでベルト走行が安定し、ベルトの蛇行などを防ぐことが可能となる。
【0014】
また、第1レール及び第2レールのうち、搬送する基板の幅にあわせて設定された搬送基準面を所定位置に固定する基準側となるいずれか一方のレールは、この搬送装置のフレームの大半を構成しているため移動しない。したがって、この基準側となるレールに位置決め手段が設けられることにより他方のレールを基準側に対して常に正しい位置に取り付けることが可能となる。つまり、無端ベルトを正しく取り付けることができ、安定したベルト走行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による基板搬送装置の全体構成を示す平面図、図2は同基板搬送装置を示す正面図である。
【0016】
本発明による基板搬送装置は、例えば、電子部品実装装置、半田印刷装置、電子部品の外観検査装置などの電子部品実装ラインに設備され、主にプリント基板などを所定の搬送方向に搬送するものである。図1に示すように、この基板搬送装置1は、対向する一対のベルトコンベア2,2で構成されている。また、搬送ベルトにはウレタンゴムなどのエラストマーを素材とした無端ベルト3が用いられている。さらに、無端ベルト3の下面中央には、略矩形の突起部3aがベルト3の長手方向に沿って等間隔に並んで設けられている(図3参照)。なお、搬送されるプリント基板Pの両面に電子部品が実装されるため、プリント基板Pは両端部が無端ベルト3上に載置され搬送される。
【0017】
図1,2に示すように、前記ベルトコンベア2は、搬送方向Xに長く形成されたフレーム4の長手方向の両端部にプーリ5,5が設けられて略構成されている。また、フレーム4の両端部のいずれか一方には、プーリ5を駆動するための駆動モータ6が設けられている。さらに、駆動モータ6には駆動プーリ7が連結されている。そして、駆動モータ6が駆動プーリ7を駆動し、中間プーリ8を介してフレーム4の一方端部のプーリ5を駆動することで無端ベルト3は搬送方向Xに走行する。
【0018】
ここから、本発明の要旨である前記フレームを構成しているガイドレールについて各実施の形態ごとに説明する。
【0019】
まず、第1の実施の形態について説明する。
図3は本発明による基板搬送装置の第1の実施の形態を示す側面図、図4(a),(b)は同実施の形態のベルト交換時における動作を示す正面図である。
【0020】
図3,4に示すように、ガイドレール10には、無端ベルト3の走行をガイドするガイド溝20と、無端ベルト3の上面を押える上部規制部18とが設けられている。このガイドレール10は、第1レール12と、第2レール16とで略構成され、第1レール12と第2レール16とが分離可能に連結されている。
なお、図3に示すように、このガイドレール10(フレーム4)に取り付けられている無端ベルト3は、上述したように両端部のプーリ5,5間に掛け回され、両プーリ5,5間に介在している中間プーリ8がスプリング11と動作的に連結していることで無端ベルト3に一定のテンションを負荷している。
【0021】
図3に示すように、第1レール12は、フレーム4の長手方向(搬送方向X)に沿って長く形成され、フレーム4の内方側面に取り付けられる。なお、この第1レール12を取り付けた状態では、フレーム4両端部の両プーリ5,5は外部に表出している。
【0022】
また、図4に示すように、第1レール12の上面における長手方向Xと直交する一端側、つまり外側端側には、この長手方向Xに沿って切欠き13が形成されている。この切欠き13は、後述するガイド溝20の一部を構成している。そして、第1レール12を後述する第2レール16に取り付けた状態では、第1レール12の上面に無端ベルト3の略半部が載置されるとともに、ガイド溝20の一部を形成する切欠き13には無端ベルト3の突起部3aが嵌入される。なお、第1レール12は、長手方向Xの所定位置に取付け孔14が複数設けられ、ボルト15などを無端ベルト3の幅方向から締め付けることによって第2レールの内方側面21aに取り付けられる。
【0023】
図4に示すように、前述した第2レール16は、ガイドレール10の大半を構成しており、第1レール12に対する基準側のレールとなっている。なお、なお、基準側となるレールは、プリント基板Pを搬送するために、このプリント基板Pの幅にあわせた搬送基準面21bが所定位置に設定されるように固定されている。第2レール16の無端ベルト3の取付け位置における内方側面21aには、無端ベルト3がベルト幅方向に嵌入されるための横溝17が設けられている。この横溝17の上面部が、無端ベルト3の上面を押える上部規制部18となる。また、この上部規制部18の上方の内方側面は、上述した搬送基準面21bを形成している。さらに、無端ベルト3の取付け位置における内方側面21aの下部には、長手方向Xに沿って凸部19が設けられベルト幅方向に突出している。この凸部19が、第1レール12を第2レール16に取り付けるときの位置決め手段となっている。
【0024】
図4に示すように、第1レール12と第2レール16とを連結させたときに、第1レール12の切欠き13と第2レール16の内方側面21aとで前述したガイド溝20を形成している。ガイド溝20は、ガイドレール10の長手方向Xに沿って設けられている。
【0025】
ここでは、第1レール12と第2レール16とは、連結状態において、突起部3aがガイド溝20に嵌入されていることで無端ベルト3をベルト幅方向に規制している。また、第2レール16の上部規制部18と第1レール12の上面とで上下に挟み込むことで無端ベルト3をベルト高さ方向に規制している。
【0026】
次に、図4を参照して第1の実施の形態による基板搬送装置から無端ベルトをガイドレールから取り外す手順について説明する。
【0027】
まず、図4(a)に示すように、無端ベルト3をベルト幅方向とベルト高さ方向に規制しているガイドレール10を第1レール12と第2レール16に分離させるために、第1レール12と第2レール16とを連結固定しているボルト15を緩める。これで無端ベルト3の各規制が緩和される。
次いで、図4(b)に示すように、第1レール12を第2レール16から取り外すことで無端ベルト3のベルト幅方向とベルト高さ方向の規制が一度に解除される。特に、これまでガイド溝20に突起部3aが嵌入されていた無端ベルト3の規制が解除されることで容易に無端ベルト3をガイドレール10から取り外すことができる。このとき、第1レール12を第2レール16から完全に取り去らなくても、第1レール12を第2レール16からある程度離間させれば無端ベルト3を取り外すことができる。
【0028】
なお、無端ベルト3をガイドレール10に取り付ける手順は、上述した取り外し手順を逆から行うだけでよい。このとき、これまでベルト交換時に行っていた搬送基準面の調整は、第2レール16の位置が移動しないことから第2レール16上部の内方側面からなる搬送基準面21bがずれないため再度調整する必要はない。
【0029】
この第1の実施の形態によれば、ガイドレール10を第1レール12と第2レール16とに分離可能に構成し、所定位置に固定された基準側のレールである第2レール16から第1レール12を取り外すことで無端ベルト3のベルト幅方向とベルト高さ方向の規制が解除される。これにより、ガイド溝20が分割されて無端ベルト3の突起部3aが脱出することとなり、無端ベルト3をガイドレール10から容易に取り外すことが可能となる。また、第2レール16の位置が移動しないため搬送基準面21bがずれることはなくなり、無端ベルト3を取り付けるときに搬送基準面21bを再度調整する手間を省くことが可能となる。
【0030】
また、基準側となる第2レール16が移動しないことから、第2レール16の内方側面21aに位置決め手段としての凸部19が設けられていることで第1レール12は第2レール16に対して常に正しい位置に取り付けられる。
【0031】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図5(a),(b)は本発明による基板搬送装置の第2の実施の形態のベルト交換時における動作を示す正面図である。
なお、以下で説明する第2の実施の形態において、上述した第1の実施の形態と同等あるいは同一箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
図5に示すように、ガイドレール30は、第1レール31と、第2レール32とで略構成され、第1レール31と第2レール32とが分離可能に連結されている。
【0033】
図5に示すように、第1レール31は、ガイドレール30の大半を構成しており、後述する第2レール32に対する基準側のレールとなっている。なお、基準側となるレールは、プリント基板Pを搬送するために、このプリント基板Pの幅にあわせた搬送基準面21bが所定位置に設定されるように固定されている。
【0034】
図5に示すように、前述した第2レール32は、フレーム4(第1レール31)の外方側面に取り付けられる。
【0035】
また、図5に示すように、第1レール31の外方側面にはステージ部33が設けられ、第2レール32が取り付けられるときは、このステージ部33が第2レール32の下面をガイドし、第1レール31に第2レール32を正しく取り付けるための位置決め手段となっている。さらに、このように、第2レール32が正しく取り付けられることで、第2レール32上部の内方側面21からなる上述した搬送基準面21bを常に所定位置に設定することができる。
【0036】
次に、図5を参照して第2の実施の形態による基板搬送装置から無端ベルトをガイドレールから取り外す手順について説明する。
【0037】
まず、図5(a)に示すように、無端ベルト3をベルト幅方向とベルト高さ方向に規制しているガイドレール10を第1レール31と第2レール32に分離させるために、第1レール31と第2レール32とを連結固定しているボルト15を緩める。これで無端ベルト3の各規制が緩和される。
次いで、図5(b)に示すように、第2レール32を第1レール31から取り外すことで無端ベルト3のベルト幅方向とベルト高さ方向の規制が一度に解除される。特に、これまでガイド溝20に突起部3aが嵌入されていた無端ベルト3の規制が解除されることで容易に無端ベルト3をガイドレール30から取り外すことができる。このとき、第2レール32を第1レール31から完全に取り去らなくても、第2レール32を第1レール31からある程度離間させれば無端ベルト3を取り外すことができる。
【0038】
なお、無端ベルト3をガイドレール30に取り付ける手順は、上述した取り外し手順を逆から行うだけでよい。
【0039】
この第2の実施の形態によれば、ガイドレール30を第1レール31と第2レール32とに分離可能に構成し、所定位置に固定された基準側のレールである第1レール31から第2レール32を取り外すことで無端ベルト3のベルト幅方向とベルト高さ方向の規制が解除される。これにより、ガイド溝20が分割されて無端ベルト3の突起部3aが脱出することとなり、無端ベルト3をガイドレール30から容易に取り外すことが可能となる。また、第1レール31が固定されており、第2レール32がステージ部33を介して第1レール32に取り付けられることで、第2レール32の内方側面21が形成する搬送基準面21bを常に所定位置に設定することができる。この結果、上記第1の実施の形態による効果と同様に、無端ベルト3を取り付けるときに搬送基準面21bを再度調整する手間を省くことができる。
【0040】
さらに、基準側となる第1レール31が移動しないことから、第1レール31の外方側面に位置決め手段としてステージ部33が設けられていることで第2レール32は第1レール31に対して常に正しい位置に取り付けられるという上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0041】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図6(a),(b)は本発明による基板搬送装置の第3の実施の形態のベルト交換時における動作を示す正面図である。
なお、以下で説明する第3の実施の形態において、上述した第1及び第2の実施の形態と同等あるいは同一箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、無端ベルト40の下面にはベルト幅と同等幅の突起部40aが設けられている。この突起部40aは、ベルト40の長手方向に沿って等間隔に並んでいる。
【0043】
図6に示すように、ガイドレール41には、無端ベルト40の走行をガイドするガイド溝44と、上部規制部18とが設けられている。ガイドレール41は、第1レール42と、第2レール43とで略構成され、これら第1レール42と第2レール43とが分離可能に連結されている。
【0044】
図6に示すように、第1レール42は、フレーム4(第2レール43)の内方側面に取り付けられる。
【0045】
また、第1レール42の上面にはガイド溝44が長手方向Xに沿って設けられている。このガイド溝44には無端ベルト40の突起部40aが嵌入される。
【0046】
図6に示すように、第2レール43の内方側面21aには、第1レール42がベルト幅方向から嵌入可能な嵌入部45が設けられている。さらに、この嵌入部45の下部には位置決め手段としての凸部19が設けられている。
【0047】
ここでは、第1レール42のガイド溝44に突起部40aが嵌入されることで無端ベルト40をベルト幅方向に規制し、第2レール43の上部規制部18と第1レール42の上面とで上下に挟み込むことでベルト高さ方向に規制している。
【0048】
さらに、図示しないが、第2レール43は、ガイドレール41の大半を構成しており、第1レール42に対する基準側のレールとなっている。なお、基準側となるレールは、プリント基板Pを搬送するために、このプリント基板Pの幅にあわせた搬送基準面21bが所定位置に設定されるように固定されている。また、上部規制部18の上方の内方側面は、この搬送基準面21bを形成している。
【0049】
次に、図6を参照して第3の実施の形態による基板搬送装置から無端ベルトをガイドレールから取り外す手順について説明する。
【0050】
まず、図6(a)に示すように、無端ベルト40をベルト幅方向とベルト高さ方向に規制しているガイドレール41を第2レール43と第1レール42とに分離させるために、第1レール42と第2レール43とを連結固定しているボルト15を緩める。これで無端ベルト40の高さ方向の規制が緩和される。
次いで、図6(b)に示すように、第1レール42を第2レール43から取り外すことで無端ベルト40のベルト高さ方向の規制が解除される。その後、第1レール42を第2レール43の嵌入部45から離間させることで突起部40aをガイド溝44から上方に脱出させることができるようになる。これにより、無端ベルト40を容易にガイドレール41から取り外すことが可能となる。
【0051】
なお、無端ベルト40をガイドレール41に取り付ける手順は、上述した取り外し手順を逆から行うだけでよい。このとき、上述した第1の実施の形態と同様に、ベルト交換時の搬送基準面21bの調整を再度行う必要はない。
【0052】
この第3の実施の形態によれば、ガイドレール41を第1レール42と第2レール43とに分離可能に構成し、所定位置に固定された基準側のレールである第2レール43から第1レール42を取り外すことで無端ベルト40の高さ方向の規制が解除される。これにより、突起部をガイド溝44から上方に脱出させることが可能となり、無端ベルト40をガイドレール41から容易に取り外すことが可能となる。また、上記第1の実施の形態と同様に、第2レール43の位置が移動しないため搬送基準面21bがずれることはなくなり、無端ベルト40を取り付けるときに搬送基準面21bを再度調整する手間を省くことが可能となる。
【0053】
さらに、基準側となる第2レール43が移動しないことから、第2レール43の内方側面21aに位置決め手段としての凸部19が設けられていることで第1レール42は第2レール43に対して常に正しい位置に取り付けられるという上記第1及び第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0054】
なお、上述し第1〜3の実施の形態では、無端ベルト3,40の下面に突起部3a,40aが設けられ、第1及び第2の実施の形態では断面凸形、第3の実施の形態では断面矩形をなしているが、これに限定されずに、例えば、断面L形や断面凹形をしたベルトを搬送ベルトとして使用することも可能である。また、第1〜3の実施の形態では、この突起部3a,40aは、無端ベルト3,40の長手方向に沿って等間隔に並んで設けられる構成としたが、連続的に延びた凸条に構成してもよい。さらに、突起部3a,40aなどが設けられていない平坦な無端ベルトでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による基板搬送装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】同基板搬送装置を示す正面図である。
【図3】同基板搬送装置の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図4】(a)第1の実施の形態のベルト交換時における動作を示す正面図である。 (b)第1の実施の形態のベルト交換時における動作を示す正面図である。
【図5】(a)第2の実施の形態のベルト交換時における動作を示す正面図である。 (b)第2の実施の形態のベルト交換時における動作を示す正面図である。
【図6】(a)第3の実施の形態のベルト交換時における動作を示す部分拡大正面図である。 (b)第3の実施の形態のベルト交換時における動作を示す部分拡大正面図である。
【図7】従来の基板搬送装置を示す部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1…基板搬送装置
3,40…無端ベルト
3a,40a…突起部
10,41…ガイドレール
12,31,42…第1レール
13…切欠き
16,32,43…第2レール
17…横溝
19,33…凸部,ステージ部(位置決め手段)
20,44…ガイド溝
21a…第2レールの内方側面
21b…第2レールの内方側面(搬送基準面)
P…プリント基板(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(P)を搬送する無端ベルト(3)と、前記無端ベルトの下面側が嵌入され前記無端ベルトを幅方向に規制するとともに前記無端ベルトの走行をガイドするガイド溝(20)が設けられたガイドレール(10)とを備える基板搬送装置(1)において、
前記ガイドレールは、前記ガイド溝の少なくとも一部が設けられた第1レール(12)と、前記無端ベルトの上面を押える上部規制部(18)が設けられた第2レール(16)とを有し、
前記第1レールと前記第2レールとは、いずれか一方のレールを前記基板の幅にあわせた搬送基準面(21b)を所定位置に設定するための基準側として固定とし、前記一方のレールに他方のレールが分離可能に連結し、前記他方のレールを前記一方のレールから取り外すことで前記無端ベルトの幅方向及び高さ方向のいずれか一方又は両方の規制が解除されることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記無端ベルト(3)の下面中央には前記ガイド溝(20)に嵌入される突起部(3a)が該無端ベルトの長手方向に沿って設けられ、
前記第1レール(12)は、前記無端ベルトが載置される上面の一端側に長手方向に沿って切欠き(13)が設けられ、
前記第2レール(16)は、前記無端ベルトが幅方向から嵌入される横溝(17)が設けられて前記上部規制部(18)を形成し、
前記第1レールと前記第2レールとが連結したときに前記第1レールの前記切欠きと前記第2レールの内方側面(21a)とは前記ガイド溝(20)を形成することを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記第1レール(12)及び前記第2レール(16)のうち前記基準側となる前記一方のレールには、該一方のレールに連結される他方のレールの連結位置を一定の位置に決める位置決め手段(19)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−137627(P2007−137627A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335843(P2005−335843)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】