説明

基板搬送装置

【課題】搬送機構及び反転機構が各々独立したチャンバーに設けられているため、チャンバーの数が複数必要となり、設置面積が大きくなる。
【解決手段】、基板搬送装置1は、基板90を搬送方向へ移動させる搬送機構2と、基板90の上下を反転させる反転機構3と、を具備し、搬送機構2は、基板90を搬送方向へ摺動させる搬送アーム14を備え、反転機構3は、基板90を反転させる際に上方向から抑える上部チャック34と、基板90を反転させる際に下方向から支持する下部チャック35と、上部チャック34及び下部チャック35を上下方向に回動可能に軸支する回動軸32とを備え、搬送機構2及び反転機構3は一つの支持台5に固定支持される。搬送機構2及び反転機構3が同一チャンバー内に設けられることにより必要なチャンバーの数を少なくし、配置するための面積を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置の技術に関し、基板を搬送方向へ移動させる搬送機構と、基板の上下を反転させる反転機構と、を具備する基板搬送装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を搬送方向へ移動させる搬送機構を備える基板搬送装置は公知となっている。前記搬送機構は、真空状態にした複数のチャンバーの内部で使用する機構であり、基板を第一のチャンバーから第二のチャンバーへ移動させる機構である。例えば、特許文献1に記載されている。
また、基板の上下を反転させる反転機構を備える基板搬送装置も公知となっている。前記反転機構は、真空中で基板の上下関係を反転させる機構である。例えば、特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に示す通り、従来、搬送機構及び反転機構はそれぞれ独立したチャンバー内に設けられており、搬送機構が設けられたチャンバーにおいては基板の移動のみが行われ、反転機構が設けられたチャンバーにおいては基板の上下の反転のみが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−134993号公報
【特許文献2】特開2010−251075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の基板搬送装置では、搬送機構及び反転機構がそれぞれ独立したチャンバー内に設けられているため、チャンバーの数が複数必要となるという問題点があった。また、複数のチャンバーを配置するための必要な面積が大きくなるという問題点もあった。
【0006】
そこで本発明は係る課題に鑑み、搬送機構及び反転機構を備えつつ、必要なチャンバーの数を少なくし、配置するための面積を小さくすることができる基板搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、基板を搬送方向へ移動させる搬送機構と、前記基板の上下を反転させる反転機構と、を具備し、前記搬送機構は、前記基板を搬送方向へ摺動させる搬送アームを備え、前記反転機構は、前記基板を反転させる際に上方向から抑える上部チャックと、前記基板を反転させる際に下方向から支持する下部チャックと、前記上部チャック及び下部チャックを上下方向に回動可能に軸支する回動軸とを備え、前記搬送機構及び反転機構は一つの支持台に固定支持されるものである。
【0009】
請求項2においては、前記回動軸は、搬送方向に対して垂直に配置されており、前記上部チャックと、前記下部チャックとで基板を挟持して上下方向に180°回動させることで基板の上下を反転させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記基板を搬送方向に対する左右方向に回転させるための旋回機構を具備し、
前記旋回機構は、前記支持台に固定支持され、前記旋回機構は、上下摺動可能であって基板を下方向から支持する基板載置部と、前記基板載置部を搬送方向に対する左右方向に回動可能に軸支する旋回軸とを備え、前記基板載置部によって基板を下方向から支持して搬送方向に対する左右方向に180°回動させることで基板の左右を反転させるものである。
【0011】
請求項4においては、前記上部チャック及び下部チャックは、前記搬送アームの平面視最外側よりも外側に配置されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記下部チャックは、上下方向に摺動自在であるシリンダを有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、搬送機構と反転機構とを具備する基板搬送装置を配置するために必要なチャンバーの数を一つにすることができるため、チャンバーの数を減らすことができ、基板搬送装置を配置するための面積を小さくすることができる。
【0015】
請求項2においては、上下方向に回動させることで、搬送方向に対する左右方向に回動させた場合と比較して旋回するのに必要な設置面積を小さくすることができ、結果として、基板搬送装置を配置するための面積を小さくすることができる。
【0016】
請求項3においては、搬送機構と反転機構と旋回機構とを具備する基板搬送装置を配置するために必要なチャンバーの数を一つにすることができるため、チャンバーの数を減らすことができ、基板搬送装置を配置するための面積を小さくすることができる。
【0017】
請求項4においては、搬送機構と反転機構とが接触しないように配置することができる。これにより、基板搬送装置を配置するために必要なチャンバーの数を一つにすることができるため、チャンバーの数を減らすことができ、基板搬送装置を配置するための面積を小さくすることができる。
【0018】
請求項5においては、上部チャックのシリンダを省くことができるため、部品点数を少なくすることができ、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る基板搬送装置を示す平面図。
【図2】基板搬送装置を示す側面図。
【図3】基板を搬送する基板搬送装置を示す側面図。
【図4】基板を搬送する基板搬送装置を示す側面図。
【図5】基板を搬送する基板搬送装置を示す側面図。
【図6】基板を旋回する基板搬送装置を示す側面図。
【図7】基板を反転させる前の基板搬送装置を示す側面図。
【図8】基板を反転させる途中の基板搬送装置を示す側面図。
【図9】基板を反転させた後の基板搬送装置を示す側面図。
【図10】第二搬送機構を基板搬送装置を示す平面図。
【図11】第三搬送機構を有する基板搬送装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0021】
まず、本発明の一実施形態に係る基板搬送装置1の全体的な構成について図1及び図2を用いて説明する。
なお、以下の説明では、図1の矢印で示す方向を搬送方向と定義し、搬送方向及び上下方向に垂直な方向を左右方向と定義する。また、搬送方向に平行な軸をX軸、左右方向に平行な軸をY軸、上下方向に平行な軸をZ軸として定義する。
【0022】
基板搬送装置1は、図1及び図2に示すように、基板90を搬送方向に移動させる搬送機構2と、基板90の上下を反転させる反転機構3とを具備する装置である。基板搬送装置1は、搬送装置用チャンバー91内に設けられており、搬送装置用チャンバー91は真空状態である。搬送装置用チャンバー91よりも搬送方向上流側には同じく真空状態である上流側チャンバー92が設けられており、搬送装置用チャンバー91と上流側チャンバー92とは連通されている。基板搬送装置1は、上流側チャンバー92内に載置された基板90を搬送方向へ移動させ、基板90の上下を反転させ、搬送装置用チャンバー91内から下流側へ移動させる装置である。
基板搬送装置1の最下部には、支持台5が設けられており、搬送機構2及び反転機構3は支持台5に固定支持される。
【0023】
支持台5は、搬送装置用チャンバー91の下部上面に設けられており、螺子等からなる図示せぬ支持台固定部材により搬送装置用チャンバー91に固定されている。支持台5は、前記支持台固定部材を取り外すことにより、搬送装置用チャンバー91から取り外すことが可能となっており、支持台5を取り外すことで支持台5に固設された搬送機構2及び反転機構3を一体的に取り外すことができる。
【0024】
搬送機構2は、支持柱11と、本体部12と、スライダ13と、搬送アーム14と、により構成される。
【0025】
支持柱11は、軸方向を上下方向とする円柱である。支持柱11の下端は、支持台5に固設されている。これにより、搬送機構2全体が支持柱11を介して支持台5に固定支持される。
【0026】
本体部12は、長手方向を搬送方向へ向け、且つその板面を上下方向へ向けた略矩形板状に形成される。本体部12の下面は支持柱11の上面に固定されている。本体部12の上面には搬送方向と平行に一対のガイドレール21が形成される。本体部12の内部には、図示せぬ本体部駆動ユニットが設けられる。
【0027】
スライダ13は、搬送アーム14を支持する部材である。スライダ13は、ガイドレール21と係合する脚部材22を二つ有している。二つの脚部材22・22は、それぞれガイドレール21・21と係合する位置になるように、言い換えれば、各脚部材22・22の左右方向の位置がガイドレール21・21の位置と一致するように配置されている。二つの脚部材22・22は、本体部12の二つのガイドレール21・21に搬送方向へ向けて往復摺動自在に係合される。スライダ13は図示せぬベルト等の駆動伝達機構を介して前記本体部駆動ユニットに接続される。スライダ13は、前記駆動伝達機構を介して伝達された前記本体部駆動ユニットの駆動力によって、搬送方向に往復移動可能に構成される。
【0028】
搬送アーム14は、基板90を保持、又は載置する部材である。搬送アーム14は、搬送方向を長手方向とする二本の爪14a・14aから構成されており、スライダ13を介して搬送方向に往復移動(スライド移動)可能に構成される。
【0029】
スライダ13及び搬送アーム14は本体部のガイドレール21・21に沿って搬送方向に往復摺動可能となっており、スライダ13がガイドレール21・21の搬送方向上流側端部に移動したとき、搬送アーム14が上流側チャンバー92内に載置された基板90の下に位置するように構成されている。
【0030】
反転機構3は、回動軸支持部材31と、回動軸32と、回動アーム33と、上部チャック34と、下部チャック35と、を備える。
【0031】
回動軸支持部材31は、二本の柱材である。回動軸支持部材31・31の下端は、支持台5に固定支持される。これにより反転機構3全体が回動軸支持部材31・31を介して支持台5に固定支持される。
また、各回動軸支持部材31は、搬送機構2の本体部12よりも左右方向外側に配置されている。これにより、回動軸支持部材31・31と搬送機構2とが接触することを防止することができる。
【0032】
回動軸32は、回動アーム33を軸支するための軸であり、左右の回動支持部材31に対応して二つ設けられている。各回動軸32は、軸方向が左右方向になるように配置されている。回動軸32・32の外側端部は、回動軸支持部材31・31によって片持ち支持されている。また、回動軸32・32は、搬送方向に対して垂直に配置されている。言い換えれば、回動軸32・32は、Y軸に平行に設けられている。
また、回動軸32・32は、搬送機構2の本体部12よりも左右方向外側に配置されている。これにより、回動軸32・32と搬送機構2とが接触することを防止することができる。
【0033】
回動アーム33は、回動軸32・32を中心に上下方向に回動する部材である。言い換えれば、回動アーム33はY軸周りに回動する部材である。回動アーム33は回動基部41、上部チャック支持部42、及び下部チャック支持部43を有する。回動基部41は、左右一対の板状部材であり、各回動基部41はそれぞれ回動軸32によって回動可能に軸支されている。本実施形態においては、各回動基部41の外側面から回動軸32が挿入されて軸支されている。
また、回動基部41は、搬送機構2の本体部12よりも左右方向外側に配置されている。これにより、回動基部41と搬送機構2とが接触することを防止することができる。
【0034】
上部チャック支持部42・42は、各回動基部41の搬送方向上流側の面の上端から搬送方向上流側へ向かって延伸された左右一対の部材であり、複数の上部チャック34・34・34・・を固定支持する。左右の上部チャック支持部42・42は、それぞれの上流端部を繋ぐ上部接続部材44によって連結されている。これにより、上部チャック支持部42・42が左右方向へ揺動するのを防止することができる。
【0035】
下部チャック支持部43・43は、各回動基部41の搬送方向上流側の面の下端から搬送方向上流側へ向かって延伸された左右一対の部材であり、複数の下部チャック35・35・35・・を固定支持する。左右の下部チャック支持部43・43は、それぞれの上流端部を繋ぐ下部接続部材45によって連結されている。これにより、下部チャック支持部43・43が左右方向へ揺動するのを防止することができる。
上部接続部材44及び下部接続部材45は、搬送機構2の搬送アーム14の上流端よりも上流側に配置されており、反転機構3を反転させた際に搬送アーム14に接触しないように配置されている。
これにより、反転機構3と搬送機構2とが接触することを防止することができる。
【0036】
上部チャック34の詳細な構造について図1、図2、及び図3を用いて説明する。
上部チャック34は、上部チャック支持部42の内側側面から突出した複数の棒状部材34aと、各棒状部材34aの先端に設けられた接触部材34bとから構成される。棒状部材34aは上部チャック支持部42の内側側面から内側方向へ突出している。また、棒状部材34aは内側端部において上下に延伸されており、その下端に接触部材34bがそれぞれ設けられている。接触部材34bは基板90に接触して基板90を上面から支持するための部材である。接触部材34bは、シリコンなどの樹脂で構成されている。
上部チャック34は、搬送アーム14の平面視最外側よりも外側(具体的には搬送アーム14よりも搬送方向に対する左右外側)に配置されている。
【0037】
下部チャック35の詳細な構造について図1、図2、及び図3を用いて説明する。
下部チャック35は、下部チャック支持部43の内側側面から突出した複数の棒状部材35aと、棒状部材35aの内側先端に設けられたシリンダ35bと、各シリンダ35bの先端に設けられた接触部材35cとから構成される。棒状部材35aは下部チャック支持部43の内側側面から内側方向へ突出している。シリンダ35bは、その中途部側面が棒状部材35aの内側端部に固設されている。シリンダ35bは外筒35dと外筒35dの内部に設けられた内筒35eから構成される。シリンダ35bは上下方向が長手となるように配置され、内筒35eが上下方向に往復移動可能となるように構成されている。内筒35eの上端に接触部材35cがそれぞれ設けられている。接触部材35cは基板90に接触して基板90を下面から支持するための部材である。接触部材35cは、シリコンなどの樹脂で構成されている。
下部チャック35は、搬送アーム14の平面視最外側よりも外側(具体的には搬送アーム14よりも搬送方向に対する左右外側)に配置されている。
【0038】
また、基板搬送装置1は、図1、図2及び図3に示すように、基板90をZ軸を中心として回転(旋回)させるための旋回機構4を具備する。旋回機構4は、支持台5に固定支持される。また、旋回機構4は搬送機構2の左右方向中央に設けられている。搬送機構2の本体部12の左右方向中央部には、旋回機構4を配置するための旋回機構用孔12aが設けられている。旋回機構用孔12aは、図1に示すように、旋回機構4の旋回軸支持柱51の左右方向最外部及び搬送方向最外部よりも外側に孔縁が配置されるように形成されている。基板搬送装置1においては、孔縁は略ひし形状であってその角部が丸められた形状に形成されている。
【0039】
旋回機構4は、旋回軸支持柱51と、旋回軸52と、基板載置部53と、により構成される。
【0040】
旋回軸支持柱51は、軸方向を上下方向とする円柱である。旋回軸支持柱51は旋回軸52を旋回方向に対する左右方向に回動可能に軸支する。また、旋回軸支持柱51は旋回軸52を上下摺動可能に軸支する。旋回軸支持柱51の下面は支持台5の上面に固設されている。これにより、旋回機構4全体が旋回軸支持柱51を介して支持台5に固定支持される。
【0041】
旋回軸52は、軸方向を上下方向とする軸部材であり、基板載置部53を搬送方向に対する左右方向に回動可能に軸支する。旋回軸52は、旋回軸支持柱51によって左右方向に回動可能に軸支されている。言い換えれば、旋回軸52はZ軸周りに回動可能に軸支されている。また、旋回軸52は、旋回軸支持柱51によって上下摺動可能に軸支されている。旋回軸52は旋回軸支持柱51内部に設けられた図示せぬ旋回軸駆動ユニットに接続される。旋回軸52は、前記旋回軸駆動ユニットの駆動力によって、上下方向に往復摺動可能に構成され、さらに左右方向に回転可能に構成される。
【0042】
基板載置部53は、基板90を旋回する際に基板90を下方向から支持する部材である。基板載置部53は、旋回軸52の上部に設けられる。基板載置部53は、旋回軸52の側面から突出した複数の棒状部材53aと、各棒状部材53aの先端に設けられた接触部材53bとから構成される。棒状部材53aは旋回軸52の側面から任意の方向へ突出している。基板搬送装置1においては、搬送方向上流側、下流側、搬送方向に対する左右両側の計四方向へ突出している。また、棒状部材53aは中途部において上方へ屈曲されており、その先端(上端)に接触部材53bがそれぞれ設けられている。接触部材53bは基板90に接触して基板90を下面から支持するための部材である。接触部材53bは、シリコンなどの樹脂で構成されている。
【0043】
次に、基板搬送装置1を用いた基板90の搬送方法について説明する。
まず、図3及び図4に示すように、上流側チャンバー92に載置された基板90を搬送装置用チャンバー91内へ搬送する。
上流側チャンバー92には、基板90を上下方向に移動させるための昇降装置95が設けられている。
【0044】
昇降装置95は、基板90を下方から支持する装置であり、基板90は昇降装置95の上面に載置される。昇降装置95の載置部95aは搬送方向上流側と下流側の左右に一つずつ、合計四つ設けられており、基板は四つの載置部95a・95a・95a・95aによって下方から支持される。また、各載置部95aはそれぞれシリンダ95bによって支持されている。シリンダ95bは、その下面が昇降装置用支持台96の上面に固設されている。シリンダ95bは外筒95cと外筒95cの内部に設けられた内筒95dから構成される。シリンダ95bは上下方向が長手となるように配置され、内筒95dが上下方向に往復移動可能となるように構成されている。内筒95dの上端に載置部95aがそれぞれ設けられている。四つの載置部95a・95a・95a・95aは搬送アーム14よりも左右方向内側に配置されている。
【0045】
昇降装置95は、基板90が上流側チャンバー92内で待機している通常時は、搬送アーム14の上面よりも上方で基板90を支持している。図3に示すように、搬送アーム14が搬送方向上流側へ移動してきて基板90の下方に位置した際に昇降装置95を下降させて、載置部95a・95a・95a・95aを搬送アーム14の上面よりも下方へ移動させる。これにより、基板90は搬送アーム14によって下方から支持されることとなる。そして、図4に示すように、搬送アーム14を搬送方向下流側へ移動させて、基板90を搬送装置用チャンバー91内へ搬送する。
【0046】
次に、図5に示すように、旋回機構4を上昇させる。旋回機構4は、基板載置部53の接触部材53bの上面が搬送アーム14の上面よりも上方になる位置まで上昇する。また、旋回機構4が上昇した位置においては、上部チャック34と基板90とが接触しないようにする。これにより、旋回機構4の基板載置部53が基板90を下方から支持する。次に、旋回機構4によって基板90を左右方向に180°回動させることで、基板90の左右を反転させる。言い換えれば、基板90がZ軸周りに180°回動される。これにより、基板90の搬送方向前後が逆になる。
【0047】
次に、図6に示すように、旋回機構4を更に上昇させる。旋回機構4は、上部チャック34の接触部材34b下面と基板90とが接触する位置まで上昇する。これにより、基板90を、上部チャック34の接触部材34bと旋回機構4の基板載置部53の接触部材53bとで挟持する。
【0048】
次に、図7に示すように、下部チャック35のシリンダ35bを上方へ摺動させる。下部チャック35のシリンダ35bは、下部チャック35の接触部材35c上面と基板90とが接触する位置まで上方へ摺動する。これにより、基板90を上部チャック34の接触部材34bと下部チャック35の接触部材35cとで挟持する。その後、旋回機構4を元の位置まで下降させる。
【0049】
次に、図8及び図9に示すように、反転機構3を回動軸32を中心として上下方向へ180°回転させる。言い換えれば、反転機構3はY軸周りに180°回転する。これにより、基板90は反転し、回動前に上方にあった面が下方に、回動前に下方にあった面が上方になる。また、回動前と回動後においては、基板90の前後も逆転するが、旋回機構4により前もって基板90の前後を逆にすることにより、基板90の前後は搬送装置用チャンバー91に移動してきた直後の状態に戻る。
【0050】
次に、図9に示すように、反転機構3の反転後に上側に位置する下部チャック35のシリンダ35bを上方へ摺動させる。下部チャック35のシリンダ35bは、下部チャック35における接触部材35cの基板側面と基板90とが離間する位置まで上方へ摺動する。これにより、上部チャック34の接触部材34bと下部チャック35の接触部材35cとによる挟持が解消され、基板90は、反転機構3の反転後に下側に位置する上部チャック34の接触部材34bにより下側から支持される。
【0051】
このようにして上下が反転した基板90は、例えば、図9に示すように、下流側チャンバー93に設けられた別の搬送機構98によって下流側へと搬送される。
【0052】
このように構成することにより、一つの搬送装置用チャンバー91内において、基板90の搬送及び反転を行うことが可能となる。
【0053】
また、基板搬送装置1の別実施形態として、リンクアーム113を有する搬送機構(以下では、「第二搬送機構102」と称する。)を具備する基板搬送装置101について図10を用いて簡単に説明する。なお、以下の説明において、基板搬送装置1と同一の構成である箇所については、その説明を省略する。
【0054】
基板搬送装置101の第二搬送機構102は、主として、支持柱11、リンクアーム113、及び搬送アーム14により構成される。
リンクアーム113は、それぞれ略長板状の部材である下段リンクアーム121及び上段リンクアーム122を備える。下段リンクアーム121の一端部は、支持台5に固設された支持柱11に第一回動軸123を介して相対回転可能に連結される。また、下段リンクアーム121の他端部は、第二回動軸124を介して上段リンクアーム122一端部に相対回転可能に連結される。上段リンクアーム122の他端部には、搬送アーム14が相対回転可能に連結される。下段リンクアーム121は、平面視で第一回動軸123の軸心を中心としてZ軸周りに旋回可能に構成される。上段リンクアーム122は、平面視で第二回動軸124の軸心を中心としてZ軸周りに旋回可能に構成される。搬送アーム14は、上段リンクアーム122の他端部にZ軸周りに旋回可能に構成される。また、下段リンクアーム121及び上段リンクアーム122の回動角度は図示せぬ制御装置によって制御されている。前記制御装置は、搬送アーム14が搬送方向に往復移動するように、下段リンクアーム121及び上段リンクアーム122の回動角度を制御している。これによって、リンクアーム113は、搬送アーム14によって保持した基板90を、搬送方向に往復移動させることが可能となっている。
【0055】
また、基板搬送装置1の別実施形態として、回動後の基板90を搬送方向下流側へ搬送する第三搬送機構202を具備する基板搬送装置201について、図11を用いて、簡単に説明する。なお、以下の説明において、搬送機構2と同一の構成である箇所については、その説明を省略する。
【0056】
基板搬送装置201の第三搬送機構202は、支持柱11と、本体部212と、スライダ213と、搬送アーム214と、により構成される。支持柱11は搬送機構の支持柱と共通である。本体部212は、基板搬送装置1の本体部12と比較して、下流側へ延伸して設けられている。本体部212の下流側端部は、搬送アーム214の下流側端部よりも下流側になるように配置されている。本体部212の上面には搬送方向と平行に一対のガイドレール221・221が形成される。ガイドレール221・221は、基板搬送装置1のガイドレール21・21と比較して、下流側へ延伸して設けられている。
【0057】
スライダ213は、搬送アーム214を支持する部材である。スライダ213は、ガイドレール221・221と係合する脚部材222・222を有している。二つの脚部材222・222は、それぞれガイドレール221・221と係合する位置になるように、言い換えれば、各脚部材の左右方向の位置がガイドレール221・221の位置と一致するように配置されている。また、二つの脚部材222・222は、搬送機構2の脚部材22・22と比較して上下方向が短くなるように構成されている。言い換えれば、各脚部材222・222は、反転機構3を回動させた際における基板90の下面の位置よりも搬送アーム214の上面の位置が下になるように形成されている。二つの脚部材222・222は、本体部212の二つのガイドレール221・221に搬送方向へ向けて往復摺動自在に係合される。スライダ213は図示せぬベルト等の駆動伝達機構を介して前記本体部駆動ユニットに接続される。スライダ213は、前記駆動伝達機構を介して伝達された前記本体部駆動ユニットの駆動力によって、搬送方向に往復移動可能に構成される。
【0058】
搬送アーム214は、基板90を保持、又は載置する部材である。搬送アーム214は、搬送方向を長手方向とする二本の爪214a・214aから構成されており、スライダ213を介して搬送方向に往復移動(スライド移動)可能に構成される。
【0059】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
【0060】
支持台5は搬送装置用チャンバー91の外部に設けることもできる。
また、搬送装置用チャンバー91の形状はドーム状に構成することもできる。
また、反転機構の回動軸は左右方向に延びる一本の回動軸で構成することもできる。
また、上部チャックの本数及び配置並びに下部チャックの本数及び配置は変更することもできる。
また、旋回機構の基板載置部の形状は、接触部材の本数や配置を限定するものではない。
また、シリンダ35bで上下方向に動作させて基板を挟持する代わりに、下部チャック支持部43を上下方向に動作させる機構を備えることによって基板を挟持するように構成することもできる。
【0061】
以上のように、基板搬送装置1は、基板90を搬送方向へ移動させる搬送機構2と、基板90の上下を反転させる反転機構3と、を具備し、搬送機構2は、基板90を搬送方向へ摺動させる搬送アーム14を備え、反転機構3は、基板90を反転させる際に上方向から抑える上部チャック34と、基板90を反転させる際に下方向から支持する下部チャック35と、上部チャック34及び下部チャック35を上下方向に回動可能に軸支する回動軸32とを備え、搬送機構2及び反転機構3は一つの支持台5に固定支持されるものである。
このように構成することにより、搬送機構2と反転機構3とを具備する基板搬送装置1を配置するために必要なチャンバーが、搬送装置用チャンバー91だけになるため、チャンバーの数を減らすことができ、基板搬送装置1を配置するための面積を小さくすることができる。
【0062】
また、回動軸32は、搬送方向に対して垂直に配置されており、上部チャック34と、下部チャック35とで基板90を挟持して上下方向に180°回動させることで基板90の上下を反転させるものである。
このように構成することにより、上下方向に回動させることで、搬送方向に対する左右方向に回動させた場合と比較して旋回するのに必要な設置面積を小さくすることができ、結果として、基板搬送装置1を配置するための面積を小さくすることができる。
【0063】
また、基板搬送装置1は、基板90を搬送方向に対する左右方向に回転させるための旋回機構4を具備し、旋回機構4は、支持台5に固定支持され、旋回機構4は、上下摺動可能であって基板90を下方向から支持する基板載置部53と、基板載置部53を搬送方向に対する左右方向に回動可能に軸支する旋回軸52とを備え、基板載置部53によって基板90を下方向から支持して搬送方向に対する左右方向に180°回動させることで基板90の左右を反転させるものである。
このように構成することにより、搬送機構2と反転機構3と旋回機構4とを具備する基板搬送装置1を配置するために必要なチャンバーが、搬送装置用チャンバー91だけになるため、チャンバーの数を減らすことができ、基板搬送装置1を配置するための面積を小さくすることができる。
【0064】
また、上部チャック34及び下部チャック35は前記搬送アーム14の平面視最外側よりも外側に配置したものである。
このように構成することにより、搬送機構2と反転機構3とが接触しないように配置することができる。これにより、基板搬送装置1を配置するために必要なチャンバーが、搬送装置用チャンバー91だけになるため、チャンバーの数を減らすことができ、基板搬送装置1を配置するための面積を小さくすることができる。
【0065】
また、下部チャック35は、上下方向に摺動自在であるシリンダ35bを有するものである。
このように構成することにより、上部チャックのシリンダを省くことができるため、部品点数を少なくすることができ、コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 基板搬送装置
2 搬送機構
3 反転機構
4 旋回機構
5 支持台
14 搬送アーム
34 上部チャック
35 下部チャック
35b シリンダ
53 基板載置部
90 基板
91 搬送装置用チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送方向へ移動させる搬送機構と、
前記基板の上下を反転させる反転機構と、を具備し、
前記搬送機構は、前記基板を搬送方向へ摺動させる搬送アームを備え、
前記反転機構は、前記基板を反転させる際に上方向から抑える上部チャックと、前記基板を反転させる際に下方向から支持する下部チャックと、前記上部チャック及び下部チャックを上下方向に回動可能に軸支する回動軸とを備え、
前記搬送機構及び反転機構は一つの支持台に固定支持される、
基板搬送装置。
【請求項2】
前記回動軸は、搬送方向に対して垂直に配置されており、
前記上部チャックと、前記下部チャックとで基板を挟持して上下方向に180°回動させることで基板の上下を反転させる、
請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記基板を搬送方向に対する左右方向に回転させるための旋回機構を具備し、
前記旋回機構は、前記支持台に固定支持され、
前記旋回機構は、上下摺動可能であって基板を下方向から支持する基板載置部と、前記基板載置部を搬送方向に対する左右方向に回動可能に軸支する旋回軸とを備え、
前記基板載置部によって基板を下方向から支持して搬送方向に対する左右方向に180°回動させることで基板の左右を反転させる、
請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記上部チャック及び下部チャックは、前記搬送アームの平面視最外側よりも外側に配置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記下部チャックは、上下方向に摺動自在であるシリンダを有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−105859(P2013−105859A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248109(P2011−248109)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】