説明

基板支持機構

【課題】基板支持機構上にある基板とハンドとの距離を可及的に短くして、ハンドに備えたセンサーが誤動作することなく簡単な機構を用いることで、ハンドがハンド上に基板を載置するまでの移動距離を基板の撓みに影響を受けることなく、正確に検出する基板支持機構を提供する。
【解決手段】基板5を搬送する非接触式センサー4を備えたハンド3によって搬入出される基板5を載置する基板支持機構1において、搬入出される基板5と基板支持機構1との間であってハンド3が搬入出する空間の近傍に基板5の撓みを防止する撓み防止機構2を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の液晶基板、ガラス基板等を搬入出する基板支持機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型の液晶基板、ガラス基板等(以下、基板という)の表面に塗布、露光等の加工処理を施す場合、基板は基板搬送装置によって各々の処理工程を行うための基板支持機構に載置される。
【0003】
図4を用いて従来の基板を載置する基板支持機構の説明をする。
図4は従来の基板支持機構上にある基板と基板搬送装置の先端に備えたハンドを示す概略模式図である。
図4に示すように、基板支持機構1上に突出させた支持ピン11によって支持された基板5は基板搬送装置(図示省略)の先端に備えられたハンド3(以下、ハンド3という)によって搬入または搬送される。ところで大型で薄い基板を基板支持機構1上の支持ピン11によって支持する場合は、基板の自重によって撓みを生じる。この撓みを生じた基板5と基板5を搬入出するハンド3とが干渉しないように、支持ピンの長さ、位置等を調整してハンド3の搬入出するスペースを確保するような機構が従来から用いられている。
ところで、図4に示すように、ハンド3の一部には非接触式のセンサー4が設けられており、このセンサー4によってハンド3上の基板5の有無や基板5とハンド3との距離を検出している。
すなわち、センサー4を設けることによって、基板5が基板支持機構1上に載置されているかどうかの確認及び基板支持機構1と基板5との間の空間にハンド3を挿入した後、ハンド3を上昇させてハンド3上に基板5を載置するまでに必要なハンド3の移動(上昇)距離を検出している。
【特許文献1】特開2004−337744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板支持機構1と基板5との間の空間は、ハンド3と撓みを生じた基板5とが干渉しないように十分な距離を設けている。そのために、基板5とハンド3に備えたセンサー4との距離も大きくなっている。すなわち、基板5の大型化に伴い基板5の撓みも大きくなるが、その基板5の撓みを考慮すると基板5を支持する支持ピン11の長さを大きくする必要があり、基板5とセンサー4との距離がさらに大きくなることとなる。そのため、センサー4は目的物(基板5)までの距離を検出する検出範囲の大きなものを採用する必要があり、さらに高品質のセンサーを使用することとなる。
また、基板5に撓みを生じると基板5とセンサー4との距離を正確に検出することが困難となる。図5は撓みを生じた基板5とセンサー4との関係を示した概略図である。通常、センサー4には光センサーが用いられている。光センサーは光を目的物に発光した後に反射した反射光がセンサーに戻るまでの時間を計測することでその目的物との距離を検出することができる。図5に示すように、基板5の撓みによってセンサー4のセンサー光が反射する部位に傾きが生じていると反射光が正確にセンサーに戻らないために、センサー4が誤動作して正確に基板5との距離を検出することができない。
すなわち、図5に示すように、センサー4から(破線で示す)矢示するようなセンサー光が基板5に向かって照射されるときに、基板5の傾きが非常に大きい場合は、基板5に反射した後の反射光が正確にセンサー4に戻らないことがあり、基板の傾きが大きい程、その可能性が大きく、そのため、センサー4が誤動作する可能性も大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、基板支持機構1上にある基板5とハンド3に備えたセンサー4との距離を可及的に短くしハンド3に備えたセンサー4が誤動作することなく簡単な機構を用いることで、ハンド3上に基板5を載置するまでのハンド3の移動距離を基板5の撓みに影響を受けることなく、正確に検出することができる基板支持機構1を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態は、基板5を搬送する非接触式センサー4を備えたハンド3によって搬入出される基板5を載置する基板支持機構1において、前記搬入出される基板5と前記基板支持機構1との間であって前記ハンド3が搬入出する空間の近傍に基板5の撓みを防止する撓み防止機構2を設けた基板支持機構1である。
【0007】
好ましい実施の形態は、前記空間に前記ハンド3を挿入したときに、前記ハンド3に備えた非接触式センサー4と前記非接触式センサー4の垂直上方に位置する基板5との距離を略一定に保つように、前記撓み防止機構2によって基板5の撓みを防止する基板支持機構1である。
【0008】
好ましい実施の形態は、前記撓み防止機構2が複数からなる基板支持機構1である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板5を載置した基板支持機構1において、基板5の撓みを防止する撓み防止機構2を基板支持機構1の近傍に備えることによって、基板5の大型化に伴う基板5の撓みが大きくなった場合でも、ハンド3に備えられた非接触式センサー4と基板5との距離を略一定に保つことができ、ハンド3と基板5との距離をより正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の撓み防止機構を備えた基板支持機構とハンドとを示す概略平面図である。同図において、2は基板支持機構1に取付けられた撓み防止機構であって、図示を省略する駆動機構、例えば一般的に用いられているシリンダーによって、(後述する図3に良く示されている)撓み防止部材21を上下方向に駆動及び水平方向に回動させることができる。3は基板搬送装置(図示省略)の先端に備えられたハンドであって、ハンド3の一部には非接触式のセンサー4が設けられている。
【0011】
図2は、本発明の基板支持機構1に取付けられた撓み防止機構2の動作を説明する概略平面図であって、図2(a)は基板支持機構1にハンド3を挿入する前の状態であって、図2(b)は基板支持機構1にハンド3を挿入したときの状態を示す概略平面図である。図3は図2(a)の矢示Aの方向から撓み防止機構21を見たときの一部拡大概略図であって、図3(a)は撓み防止機構2に取付けられた撓み防止部材21を水平方向に回動させた状態(すなわち図2(a)の実線で示す状態)であって、図3(b)は撓み防止部材21を上昇させた状態を示す一部拡大概略図である。
【0012】
図2及び図3に示すように、基板5が予め基板支持機構1の上部に載置されている場合に、この基板1が非常に大型で薄い基板であるときは、図3(a)に示すように自重によって基板5が撓むこととなる(このときの撓み量Tは非常に大きい)。このとき、撓み防止機構2に備えた撓み防止部材21を水平方向に回動(図2の実線または図3(a)の状態に)させた後、上方に駆動(図3(b)の実線で示した状態に)させて基板の撓みを可及的に小さくする。この状態で図2(b)に示すようにハンド3を基板5と基板支持機構1との間の空間に挿入させる。このとき、ハンド3に備えたセンサー4の近傍は、撓み防止機構2によって基板1の撓みが可及的に小さくなっており、撓みによる傾きも非常に小さなものとなっている。(例えば図3(b)に示すように撓み量Tは非常に小さい状態である。)そのため、センサー4によって基板5とハンド3との距離をより正確に検出することができる。
【0013】
以上のことから明らかなように、撓み防止機構2を基板支持機構1に備えるものであって、センサー5を高価なものとすることなく、簡単な機構を用いるだけでハンド3上に基板5を載置するまでの距離を基板5の撓みに影響を受けることなく検出することができる。
【0014】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
撓み防止機構2に備えた撓み防止部材21はセンサー5の近傍の撓みを可及的に防止するものであれば良く、センサー4を備えたハンド3が基板支持機構1に挿入出する際に干渉しない程度のものであって非常に小さなものとすることができる。
【0016】
本発明の実施例では、撓み防止機構2を基板支持機構1に備えたものとしているが、必ずしも基板支持機構1に備える必要はなく、撓み防止機構2を独立して基板支持機構1の近傍に設置させてもよい。
【0017】
また、撓み防止機構2は図2及び図3に示したように2箇所に設けているが、ハンド3が基板支持機構1上に挿入出するときの妨げにならない位置であれば2個に限定することなく、さらに複数個設けて(例えば基板の周辺に複数個設けて)基板5の撓みをさらに防止させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の基板支持機構とハンドとを示す概略平面図である。
【図2】本発明の撓み防止機構の動作を説明する概略平面図である。
【図3】図2の一部拡大概略図である。
【図4】従来の基板を載置する基板支持機構の概略模式図である。
【図5】従来の撓みを生じた基板とセンサーとの関係を示した概略図である。
【符号の説明】
【0019】
1 基板支持機構
11 支持ピン
2 撓み防止機構
21 撓み防止部材
3 ハンド
4 センサー
5 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する非接触式センサーを備えたハンドによって搬入出される基板を載置する基板支持機構において、前記搬入出される基板と前記基板支持機構との間であって前記ハンドが搬入出する空間の近傍に基板の撓みを防止する撓み防止機構を設けた基板支持機構。
【請求項2】
前記空間に前記ハンドを挿入したときに、前記ハンドに備えた非接触式センサーと前記非接触式センサーの垂直上方に位置する基板との距離を略一定に保つように、前記撓み防止機構によって基板の撓みを防止する請求項1に記載の基板支持機構。
【請求項3】
前記撓み防止機構が複数からなる。請求項1及び2に記載の基板支持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−273524(P2006−273524A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96613(P2005−96613)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】