説明

基板検査方法及び装置

【課題】マスク基板に対して洗浄加工を行なった場合の洗浄加工後にマスク基板に残る欠陥が洗浄加工プロセスによるものなのか、マスク基板自体の内部欠陥によるものなかを容易に判定する。
【解決手段】第1及び第2の受光手段に受光された散乱光に基づいて基板の両面(表面及び裏面)に存在する欠陥を検出することができるので、基板の洗浄加工の前後で両面の欠陥の存在位置をそれぞれ比較することによって、洗浄加工によって基板両面に存在していた欠陥が除去されたか否かを容易に判定することができる。すなわち、基板の洗浄加工処理によって基板から所定数の欠陥が除去されなかった場合には、マスク基板の内部に欠陥が存在する可能性が高いので、基板内部の欠陥の検出処理行い。その結果に基づいて洗浄加工によって除去できなかった欠陥が基板内部の欠陥であるのか、洗浄加工プロセスの問題によるものかを容易に判定することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光用マスク等に用いられるガラス基板や石英基板等の板厚の大きな基板の欠陥を検出する基板検査方法及び装置に係り、特に透明な基板を検査するのに好適な基板検査方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトマスクのパターンをガラス基板やプラスチック基板等のパネル基板に転写して行われる。フォトマスクは、ガラス基板や石英基板等のマスク基板の表面に、パターンの部分以外の光を遮断するクロム膜等を形成して製造される。マスク基板に傷や異物等の欠陥が存在すると、クロム膜等の形成やパターンの転写が良好に行われず、不良の原因となる。このため、基板検査装置を用いて、マスク基板の欠陥の検査が行われている。この様な基板検査装置として、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−52552号公報
【特許文献2】特開2005−156924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、基板検査装置によるマスク基板の検査においては、検出した欠陥の画像をカメラ等の画像取得装置により取得して、欠陥を詳細に観察したいという要求がある。これを実行するために、検査で検出した欠陥の位置の座標に基づいて、カメラ等の画像取得装置を含む観察系を正確に欠陥の上方へ移動させて観察している。また、マスク基板の表面等に欠陥が観察された場合でも、マスク基板を洗浄加工することによってそれらの欠陥を除去することが可能である。しかしながらマスク基板の洗浄加工プロセスに問題がある場合には、欠陥を除去することが困難であった。さらに、マスク基板の内部に欠陥が存在する場合にも、マスク基板の表面及び裏面を洗浄加工しただけではその欠陥を除去することは困難であった。従来は、このようにマスク基板を洗浄加工した場合に、洗浄加工プロセスに問題があって欠陥を除去できなかったのか、又はマスク基板の内部に欠陥が存在するために欠陥を除去しきれなかったのか、いずれに問題があって欠陥を除去することができないのかを判定することができなかった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、マスク基板に対して洗浄加工を行なった場合の洗浄加工後にマスク基板に残る欠陥が洗浄加工プロセスによるものなのか、マスク基板自体の内部欠陥によるものなのか又は傷などの加工プロセスによるものなのかを容易に判定することのできる基板検査方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板検査方法の第1の特徴は、光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行い、前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第1のレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光し、前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光し、前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出し、検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定することにある。
基板の表面へ照射された光線のうち一部が基板の表面で反射され、その残りが基板の内部へ透過するような角度で基板の表面へ斜めに照射しながら、光線を移動させることによって基板に対して走査検査を行う。基板の表面に欠陥が存在する場合、基板の表面へ照射された光線がその基板表面の欠陥によって散乱され、その周囲に散乱光が発生する。また、基板の内部に欠陥が存在する場合、基板の内部へ透過した光線が基板内部の欠陥によって散乱され、その周囲に散乱光が発生する。さらに、基板の裏面に欠陥が存在する場合、基板の内部へ透過して基板の裏面から射出された光線が基板裏面の欠陥により散乱され、その周囲に散乱光が発生する。これらの散乱光は、基板の表面側に配置された第1の受光手段及び基板の裏面側に配置された第2の受光手段でそれぞれ受光される。
第1及び第2の受光手段に受光された散乱光に基づいて基板の両面(表面及び裏面)に存在する欠陥を検出することができるので、基板の洗浄加工の前後で両面の欠陥の存在位置をそれぞれ比較することによって、洗浄加工によって基板両面に存在していた欠陥が除去されたか否かを容易に判定することができる。すなわち、基板の洗浄加工処理によって基板から所定数の欠陥が除去されなかった場合には、マスク基板の内部に欠陥が存在する可能性が高いので、基板内部の欠陥の検出処理行い。その結果に基づいて洗浄加工によって除去できなかった欠陥が基板内部の欠陥であるのか、洗浄加工プロセスの問題によるものかを容易に判定することができるようになる。
【0007】
本発明に係る基板検査方法の第2の特徴は、光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ第1の偏光成分を多く含む光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行い、第1の偏光成分の光のみを通過させる第1の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させるバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第1の偏光板手段及び前記バンドパスフィルタ手段を通過した光をレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第1の偏光板手段、前記第1のバンドパスフィルタ手段及び前記第1のレンズ手段を介して前記第1の受光手段にて受光し、前記第1の偏光成分の光のみを通過させる第2の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させる第2のバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第2の偏光板手段及び前記第2のバンドパスフィルタ手段を通過した光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第2の偏光板手段、前記第2のバンドパスフィルタ手段及び前記第2のレンズ手段を介して前記第2の受光手段にて受光し、前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出し、検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定することにある。本発明では、基板の表面へ照射する光線として第1の偏光成分を多く含むものを用い、それぞれの受光手段の前に第1の偏光成分のみを通過させる偏光手段及びこの光線の周波数成分付近の光のみを通過させるバンドパスフィルタ手段が設けられている。照射光線が第1の偏光成分を多く含むものなので、各散乱光も第1の偏光成分を多く含むものとなる。また、第1の偏光成分を多く含む散乱光のみが偏光手段及びバンドパスフィルタ手段を通過して受光手段に取り込まれるようになる。これにより、基板の周辺環境から検出光学系に入り込もうとする外乱光ノイズの影響は極力低減され、欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る基板検査方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の基板検査方法において、前記再洗浄加工後に、前記洗浄加工前後における前記欠陥の存在位置及び前記再洗浄加工後における前記欠陥の存在位置をそれぞれ比較し、その比較結果に応じて前記基板の内部の欠陥の検出を行なうか否かを決定することにある。洗浄加工後に欠陥の除去が不十分な場合に、再洗浄加工を行なうことがある。この場合、最初の洗浄加工前における基板の欠陥の存在位置を示す洗浄前データと、洗浄加工後データ(再洗浄前データ)と、再洗浄加工後データとの3種類のデータに基づいて、すなわち、洗浄前データと再洗浄加工後データとの比較結果、洗浄加工後データ(再洗浄前データ)と再洗浄加工後データとの比較結果、又は両比較結果のいずれか一つに基づいて、基板内部の欠陥の検出を行なうか否かの判定を行なうようにしたものである。
【0009】
本発明に係る基板検査方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の基板検査方法において、前記欠陥の存在位置を検出する際の測定条件を前記基板に付与してあるバーコード等から読み取ることにある。マスク基板には、そのマスク基板を特定するためのバーコードやQRコード等が付与されているので、この発明では、そのバーコードやQRコード等を読み取って、欠陥検査の測定条件を決定している。これによって、マニュアル入力によって誤検査するおそれもなく、マスク基板に対応した測定条件で速やかに欠陥検査を行なうことができる。
【0010】
本発明に係る基板検査方法の第5の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の基板検査方法において、前記第1及び第2の受光手段の焦点位置を前記基板の内部に合わせ、前記第1及び第2の受光手段が受光した散乱光の形状的特徴に基づいて前記基板の内部の欠陥を検出することにある。基板の内部に欠陥が存在する場合、光線を移動して光線による基板の走査を行うと、基板の内部へ透過した光線が欠陥により散乱されて、散乱光が発生する。また、基板の内部へ透過して基板の裏面で反射された光線が欠陥により散乱されて、散乱光が発生する。これらの散乱光が、基板を透過して、基板の裏面側に配置された受光系で受光される。複数の光ファイバーを束ねた受光部で受光された散乱光は、欠陥の形状に関わらず、縦横に広がった十字形状となる。本発明では、この散乱光の形状的特徴から、基板の内部の欠陥を検出する。基板の裏面側に配置された受光系により、基板を透過した散乱光を受光するので、基板の表面付近の欠陥だけでなく、基板の表面から離れた深い位置にある欠陥も検出される。
【0011】
本発明に係る基板検査装置の第1の特徴は、光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行う投光系手段と、前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第1のレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光するように構成された第1の受光系手段と、前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光するように構成された第2の受光系手段と、前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出する欠陥検出手段と、前記欠陥検出手段によって検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定する制御手段とを備えたことにある。これは、前記第1の特徴に記載の基板検査方法を実現するための基板検査装置の発明である。
【0012】
本発明に係る基板検査装置の第2の特徴は、光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ第1の偏光成分を多く含む光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行う投光系手段と、第1の偏光成分の光のみを通過させる第1の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させるバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第1の偏光板手段及び前記バンドパスフィルタ手段を通過した光をレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第1の偏光板手段、前記第1のバンドパスフィルタ手段及び前記第1のレンズ手段を介して前記第1の受光手段にて受光するように構成された第1の受光系手段と、前記第1の偏光成分の光のみを通過させる第2の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させる第2のバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第2の偏光板手段及び前記第2のバンドパスフィルタ手段を通過した光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第2の偏光板手段、前記第2のバンドパスフィルタ手段及び前記第2のレンズ手段を介して前記第2の受光手段にて受光するように構成された第2の受光系手段と、前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出する欠陥検出手段と、前記欠陥検出手段によって検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定する制御手段とを備えたことにある。これは、前記第2の特徴に記載の基板検査方法を実現するための基板検査装置の発明である。
【0013】
本発明に係る基板検査装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の基板検査装置において、前記制御手段が、前記再洗浄加工後に、前記洗浄加工前後における前記欠陥の存在位置及び前記再洗浄加工後における前記欠陥の存在位置をそれぞれ比較し、その比較結果に応じて前記基板の内部の欠陥の検出を行なうか否かを決定することにある。これは、前記第3の特徴に記載の基板検査方法を実現するための基板検査装置の発明である。
【0014】
本発明に係る基板検査装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の基板検査装置において、前記欠陥検出手段が、前記欠陥の存在位置を検出する際の測定条件を前記基板に付与してあるバーコード等から読み取ることにある。これは、前記第4の特徴に記載の基板検査方法を実現するための基板検査装置の発明である。
【0015】
本発明に係る基板検査装置の第5の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の基板検査装置において、前記欠陥検出手段が、前記第1及び第2の受光手段の焦点位置を前記基板の内部に合わせ、前記第1及び第2の受光手段が受光した散乱光の形状的特徴に基づいて前記基板の内部の欠陥を検出することにある。これは、前記第5の特徴に記載の基板検査方法を実現するための基板検査装置の発明である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マスク基板に対して洗浄加工を行なった場合の洗浄加工後にマスク基板に残る欠陥が洗浄加工プロセスによるものなのか、マスク基板自体の内部欠陥によるものなのか又は傷などの加工プロセスによるものなのかを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の検査テーブルに搭載された基板1の状態を示す斜視図である。
【図3】図1の走査部の詳細を示す図である。
【図4】図1の上受光系の概略構成を示す図であり、投光系側から見た上面図である。
【図5】図1の下受光系の概略構成を示す図であり、図1の左側から見た側面図である。
【図6】本発明の基板検査方法の検査結果の一例を示す図である。
【図7】基板検査方法の第1の検査処理の一例を示す図である。
【図8】基板検査方法の第2の検査処理となるマスク基板洗浄加工後処理の一例を示す図である。
【図9】基板検査方法の第3の検査処理となるマスク基板再洗浄加工後処理の一例を示す図である。
【図10】基板検査方法の第4の検査処理となるマスク基板の内部欠陥検査処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板検査装置の概略構成を示す図である。基板検査装置は、検査テーブル5、投光系、角度検出器15、上受光系20、下受光系30、アンプ27,37、欠陥検出回路28,38、焦点調節機構40、焦点調節制御回路41、基板移動機構50、基板移動制御回路51、投光系移動機構52、投光系移動制御回路53、上受光系移動機構54、上受光系移動制御回路55、下受光系移動機構56、下受光系移動制御回路57、制御部(CPU)60、及びメモリ70を含んで構成されている。
【0019】
図2は、検査テーブル5に搭載された基板1の状態を示す斜視図である。検査対象となるマスク基板1は検査テーブル5の上に載置されている。検査テーブル5には、図面横方向に伸びる基板支持部5aが、図面奥行き方向に2つ、それぞれ平行となるように配置されている。各基板支持部5aのそれぞれ対向辺側には、その長手方向に渡って、基板1に接触するような傾斜面5bが形成されている。略四角形状の基板1はこの検査テーブル5上(傾斜面5b上)に搭載される。これによって、基板支持部5aの傾斜面5bに対して、基板1の向かい合う二辺の底面側がそれぞれ接触するようにして基板1は保持されることになる。すなわち、検査テーブル5は四角形の基板1をその向かい合う二辺だけで支持することとなる。
【0020】
図1において、検査テーブル5に搭載された基板1の上方には、走査部10、角度検出器15及びミラー14を含んで構成される投光系が配置されている。図3は、走査部10の詳細を示す図である。走査部10は、レーザー光源11、レンズ12a、fθレンズ12c、及びポリゴンミラー13を含んで構成されている。レーザー光源11は、レーザー光線であり、主にS偏光成分の検査光を発生する。レーザー光源11から出射されるレーザー光線は、主にS偏光成分から構成されるが、若干のP偏光成分を含むこともあり、その割合は、S偏光成分の方がP偏光成分よりも十分に大きいものとする。なお、レーザー光源11がS偏光成分のみを出射するようにしてもよい。レンズ12aは、レーザー光源11から発生されたレーザー光線を集光し、基板1の表面に焦点が合う様に収束する。レンズ12aで集光されたレーザー光線は、ポリゴンミラー13で反射され、fθレンズ12cへ入射する。fθレンズ12cは、ポリゴンミラー13の回転によって振られるレーザー光線の焦点面を基板1の平面位置に合わせる。fθレンズ12cを透過したレーザー光線は、図1のミラー14へ照射される。ミラー14は、走査部10から照射されたレーザー光線を、基板1の表面へ斜めに照射する。このとき、ポリゴンミラー13が図2の矢印方向へ回転することによって、ミラー14から基板1の表面へ照射されるレーザー光線が図1の図面奥行き方向へ交互移動して、レーザー光線による基板1の走査が行われる。本実施の形態では、一例として、この走査範囲を約200[mm]としている。
【0021】
図1において、制御部となるCPU60は、後述する様に基板1の検査範囲を決定して、基板移動制御回路51へ基板1の移動を指示する。基板移動制御回路51は、CPU60の指示に応じて基板移動機構50を駆動制御する。基板移動機構50は、例えば直動モータを含んで構成され、検査テーブル5を図面横方向へ移動するものであるが、図1ではその詳細構成は省略してある。基板移動機構50が検査テーブル5全体を横方向に移動することによって、検査テーブル5に搭載された基板1が矢印に示す基板移動方向へ移動され、投光系からのレーザー光線が基板1の図面横方向の長さに渡って照射される。従って、検査テーブル5の一回の移動によって、図面奥行き方向に走査範囲の幅だけ基板1の検査が行われることとなる。
【0022】
続いて、CPU60は、投光系移動制御回路53へ走査範囲の変更を指示する。投光系移動制御回路53は、CPU60の指示によって、投光系移動機構52を駆動制御する。投光系移動機構52は、例えば直動モータを含んで構成され、投光系を図面奥行き方向へ移動するものであるが、図1ではその詳細構成は省略してある。投光系移動機構52が投光系全体を移動することによって、投光系から照射されるレーザー光線による基板1の走査範囲が図面奥行き方向へ変更制御される。そして、レーザー光線による基板1の走査及び検査テーブル5の移動と、走査範囲の変更とを順番に繰り返すことによって、基板1の検査範囲全体の検査を行なうことができるようになっている。
【0023】
上述のように投光系を移動制御する場合は、CPU60は、上受光系20及び下受光系30を含めたものを全体的に、投光系の移動に同期させて移動制御している。すなわち、CPU60は、上受光系移動制御回路55及び下受光系移動制御回路57へも移動を指示して制御する。上受光系移動制御回路55及び下受光系移動制御回路57は、CPU60からの移動指示に応じて、上受光系移動機構54及び下受光系移動機構56をそれぞれ駆動制御する。上受光系移動機構54及び下受光系移動機構56は、例えば直動モータを含んで構成され、上受光系20及び下受光系30を投光系に同期させてそれぞれ移動制御する。
【0024】
なお、検査テーブル5を移動する代わりに、投光系を図面横方向へ移動することによって、基板1と投光系とをレーザー光線の走査方向と直交する方向へ相対的に移動してもよい。この場合は、上受光系及び下受光系を、投光系と一緒に移動する。また、投光系を移動する代わりに、検査テーブル5を図面奥行き方向へ移動することによって、基板1と投光系とをレーザー光線の走査方向へ相対的に移動して、レーザー光線による基板の走査範囲を変更してもよい。すなわち、投光系及び受光系と、基板1は相対的に移動可能な構成であればよい。
【0025】
投光系から基板1へ斜めに照射されたレーザー光線の一部は基板1の表面で反射され、残りは基板1の内部へ透過する。基板1の内部へ透過したレーザー光線は、基板1の表面から離れるに従って広がり、その一部は基板1の裏面で反射され、残りは基板1の裏面から基板1の外へ透過する。なお、これは基板1が理想的な平坦形状の透明基板の場合である。
【0026】
基板1の表面側において、基板1の表面で反射されたレーザー光線の光軸から外れた位置には、上受光系20が配置されている。上受光系20は、上受光子21及び光電子倍増管26から構成されている。上受光子21は、S偏光板22、バンドパスフィルタ23、レンズ24、受光部25を含んで構成されている。図4は、上受光系20の概略構成を示す図であり、投光系側から見た上面図である。図4では、レーザー光源11から出射されるレーザー光線として、ミラー14から反射したものを示している。このレーザー光線は、図示のように走査方向に走査制御され、ほとんどがS偏光成分で構成されており、基板1の表面、内部、裏面などで散乱したものが上受光子21の受光部25へ向かうように配置してある。S偏光板22は、S偏光成分の光のみを通過させるものであり、基板1の表面、内部、裏面で散乱したレーザー光線(散乱光)のS偏光成分のみを通過させる。バンドパスフィルタ23は、レーザー光源11から出射されるレーザー光線の周波数成分付近の光、すなわち出射レーザー光線の波長成分付近の光のみを通過させ、それ以外の周波数成分(波長成分)の光を除去するものである。レンズ24は、基板1からの散乱光であって、S偏光板22及びバンドパスフィルタ23を通過した光のみを集光し、受光部25へ導入する。レンズ24の焦点位置は、基板1の表面に合っている。受光部25は、複数の光ファイバー25aを束ねて構成され、レンズ24で集光した散乱光を受光して光電子倍増管26の受光面へ導く。光電子倍増管26は、受光面で受光した散乱光の強度に応じた検出信号を出力する。図1において、光電子倍増管26の検出信号は、アンプ27で増幅され、欠陥検出回路28へ入力される。このように、レンズ24の前面にS偏光板22及びバンドパスフィルタ23を設けることによって、装置の周辺環境からの外乱光であって、前述の周波数成分(波長成分)以外の光及びP偏光成分の光を有効に除去し、投光系から基板1へ斜めに照射されたレーザー光線であって、基板1の表面、内部、裏面などで散乱したS偏光成分の光のみをレンズ24及び受光部25へ有効に導入することができる。
【0027】
基板1の表面に欠陥が存在する場合、基板1の表面へ照射されたレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。また、基板1の内部へ透過して基板1の裏面で反射され、再び基板1の表面へ到達したレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。これらの散乱光が、基板1の表面側に配置された上受光系20で受光される。基板1の内部に欠陥が存在する場合、基板1の内部へ透過したレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。また、基板1の内部へ透過して基板1の裏面で反射されたレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。これらの散乱光が、基板1を透過して、基板1の表面側に配置された上受光系20で受光される。基板1の表面の欠陥によって発生した散乱光は、基板1の内部の欠陥によって発生した散乱光よりも、上受光系20の受光部25で受光される強度が大きい。欠陥検出回路28は、アンプ27で増幅された検出信号の強度から、基板1の表面の欠陥を検出する。
【0028】
基板1の裏面側において、基板1の裏面から透過されたレーザー光線の光軸から外れた位置に、下受光系30が配置されている。下受光系30は、下受光子31及び光電子倍増管36から構成されている。下受光子31は、S偏光板32、バンドパスフィルタ33、レンズ34、受光部35から構成される。図5は、下受光系30の概略構成を示す図であり、図1の左側から見た側面図である。図5では、レーザー光源11から出射されるレーザー光線として、ミラー14から反射したものを示している。このレーザー光線は、図示のように走査方向に走査制御され、ほとんどがS偏光成分の光で構成されており、基板1の表面、内部、裏面などで散乱したもので、基板1を通過したものが下受光子31の受光部35へ向かうように配置してある。S偏光板32は、S偏光成分の光のみを通過させるものであり、基板1の表面、内部、裏面などで散乱したもので、基板1を通過したレーザー光線のS偏光成分のみを通過させる。バンドパスフィルタ33は、レーザー光源11から出射されるレーザー光線の周波数成分付近の光、すなわち出射レーザー光線の波長成分付近の光のみを通過させ、それ以外の周波数成分(波長成分)の光を除去するものである。レンズ34は、基板1の表面、内部、裏面からの散乱光であって、S偏光板32及びバンドパスフィルタ33を通過した光のみを集光し、受光部35へ導入する。レンズ34の焦点位置は、基板1の裏面に合っている。受光部35は、複数の光ファイバー35aを束ねて構成され、レンズ34で集光した散乱光を受光して光電子倍増管36の受光面へ導く。光電子倍増管36は、受光面で受光した散乱光の強度に応じた検出信号を出力する。図1において、光電子倍増管36の検出信号は、アンプ37で増幅され、欠陥検出回路38へ入力される。このように、レンズ34の前面にS偏光板32及びバンドパスフィルタ33を設けることによって、装置の周辺環境からの外乱光であって、前述の周波数成分(波長成分)以外の光及びP偏光成分光を有効に除去し、投光系から基板1へ斜めに照射されたレーザー光線であって、基板1の表面、内部、裏面などで散乱したS偏光成分の光のみをレンズ34及び受光部35へ導入することができる。
【0029】
基板1の表面に欠陥が存在する場合、基板1の表面へ照射されたレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。この散乱光が、基板1を透過して、基板1の裏面側に配置された下受光系30で受光される。複数の光ファイバー35aを束ねた受光部35で受光された散乱光は、欠陥の形状をほぼそのまま表した形状となる。また、基板1の内部へ透過して基板1の裏面で反射され、再び基板1の表面へ到達したレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。基板1の板厚が大きいとき、この散乱光は、レーザー光線が基板1の表面へ照射された位置からかなり離れた位置で発生する。下受光系30のレンズ34による受光領域を最適位置にすると、この散乱光は下受光系30で受光されない。
【0030】
基板1の内部に欠陥が存在する場合、基板1の内部へ透過したレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。また、基板1の内部へ透過して基板1の裏面で反射されたレーザー光線が欠陥によって散乱されて、散乱光が発生する。これらの散乱光が、基板1を透過して、基板1の裏面側に配置された下受光系30で受光される。複数の光ファイバー35aを束ねた受光部35で受光された散乱光をZ方向(基板厚さ方向)にスキャンしたマップと重ね合わせると、欠陥の形状に関わらず、レーザスキャン方向により縦横に広がった十字形状となる。欠陥検出回路38は、この散乱光の形状的特徴から、基板1の内部の欠陥を選択検出する。基板1の裏面側に配置された下受光系30によって、基板1を透過した散乱光を受光するので、基板1の表面付近の欠陥だけでなく、基板1の表面から離れた深い位置にある欠陥も検出される。
【0031】
CPU60は、焦点調節制御回路41へ下受光系30の焦点位置の調節を指示する。焦点調節制御回路41は、CPU60の指示によって、焦点調節機構40を駆動する。焦点調節機構40は、例えばパルスモータを含んで構成され、下受光子31を上下に移動する。焦点調節機構40が下受光子31を上下に移動することによって、下受光系30の焦点位置が基板1の内部に合う様に調節される。
【0032】
以上説明した実施の形態によれば、板厚の大きい透明な基板の欠陥の検査において、基板の周辺環境から検出光学系に入り込む外乱光すなわちレーザー光源から照射された光線の周波数成分(波長成分)以外の光及びP偏光成分光を有効に除去し、投光系から基板1へ斜めに照射されたレーザー光線であって、基板1の表面、内部、裏面などで散乱したS偏光成分の光のみをレンズ34及び受光部35へ導入することができ、ノイズなどの影響を無くし、欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0033】
図6は、本発明の基板検査方法の検査結果の一例を示す図である。図6は、マスク基板の表面及び裏面における傷や異物等の欠陥の分布状況を示すものであり、図6(A)はマスク基板の洗浄加工処理前の検査結果である欠陥分布状況を示し、図6(B)はマスク基板の洗浄加工処理後の検査結果である欠陥分布状況を示し、図6(C)は図6(A)の洗浄加工処理前の欠陥分布から図6(B)の洗浄加工処理後の欠陥分布を減算したもの、すなわち洗浄加工処理によって除去された欠陥及び傷などの分布状況を示すものである。図6(C)の分布状況を観察することで、洗浄加工処理によってどれだけの傷や異物等の欠陥が除去され、マスク基板の表面及び裏面が綺麗に洗浄されたことを理解することができる。もし、この図6(C)に示すような、洗浄加工処理によって除去された傷や異物等の欠陥の分布状況が極端に少ない場合には、洗浄加工処理のプロセスに問題があると理解することができる。この発明では、この図6(C)の分布状況を用いてそのプロセス良否の判定を行なっている。
【0034】
図7は、基板検査方法の第1の検査処理の一例を示す図である。本発明の基板検査方法の処理の一例をこのフローチャート図に従って説明する。この検査処理では、第1にマスク基板1に対して図1の基板検査装置を用いて所定の検査行なう。最初のステップS71では、マスク基板1のレシピ番号(測定条件等)及びワーク番号をマスク基板1に付与してあるバーコードやQRコード等から読み取る。ステップS72では、マスク基板1に対して洗浄加工前基板検査Aを先に読み取ったレシピ番号に従って実行する。ステップS73では、基板検査Aが終了したので、マスク基板1の排出を行い、処理を終了し、次のマスク基板に対して検査準備を行なう。基板検査Aの結果は、図6(A)に示すような検査結果A(欠陥分布)となり、メモリ70に格納される。
【0035】
図8は、基板検査方法の第2の検査処理となるマスク基板洗浄加工後処理の一例を示す図である。図7の洗浄加工前基板検査Aの結果に従って、マスク基板に対して、傷や異物等の欠陥を除去するための洗浄加工処理が行なわれる。図8では、この洗浄加工処理後のマスク基板に対して図1の基板検査装置を用いて上述と同様の検査を行なう。まず、ステップS81では、マスク基板1のレシピ番号(測定条件等)及びワーク番号をマスク基板1に付与してあるバーコードやQRコード等から読み取る。ステップS82では、マスク基板1に対して洗浄加工後基板検査Bをレシピ番号に従って実行する。ステップS83では、基板検査Bが終了したので、そのマスク基板1の排出を行なう。基板検査Bの結果は、図6(B)に示すような検査結果B(欠陥分布)となり、メモリ70に格納される。ステップS84では、検査結果Bから検査結果Aを減算する。すなわち、洗浄加工処理後のマスク基板の欠陥分布(図6(B))から洗浄加工処理前のマスク基板の欠陥分布(図6(A))を減算する。この減算結果は、図6(C)に示すように、図6(A)の欠陥分布から図6(B)の欠陥分布を差し引いたものとなる。
【0036】
図6(C)の欠陥分布は、マスク基板の洗浄加工処理によって除去された欠陥分布を示すものである。従って、次のステップS85では、この減算結果を示す値(減算値)が所定値よりも大きいか否かの判定を行い、所定値よりも大きい(yes)場合はステップS86に進み、所定値以下(no)の場合はステップS87に進む。ステップS86では、減算値が所定値よりも大きいということは、マスク基板の洗浄加工処理によってマスク基板から傷や異物等の欠陥が除去されたことを意味するので、ここでは、洗浄加工完了(再洗浄加工不要)を管理者などに指示して処理を終了する。一方、ステップS87では、減算値が所定値以下ということは、マスク基板の洗浄加工処理によってマスク基板から所定数の欠陥が除去されなかったことを意味するので、ここでは、マスク基板の再洗浄加工を管理者などに指示して処理を終了する。
【0037】
図9は、基板検査方法の第3の検査処理となるマスク基板再洗浄加工後処理の一例を示す図である。図8のステップS85の判定の結果に従って、マスク基板に対して、傷や異物等の欠陥を除去するために2度目の洗浄加工処理(再洗浄加工処理)が行なわれる。図9では、この再洗浄加工処理後のマスク基板に対して図1の基板検査装置を用いて図8と同様の検査を行なう。まず、ステップS91では、マスク基板1のレシピ番号(測定条件等)及びワーク番号をマスク基板1に付与してあるバーコードやQRコード等から読み取る。ステップS92では、マスク基板1に対して再洗浄加工後基板検査Cをレシピ番号に従って実行する。ステップS93では、基板検査Cが終了したので、そのマスク基板1の排出を行なう。ステップS94では、今回の検査結果Cから図8の検査結果Bを減算する。すなわち、再洗浄加工処理後のマスク基板の欠陥分布(図示せず)から再洗浄加工処理前(1回目の洗浄加工処理後)のマスク基板の欠陥分布(図6(B))を減算する。この減算処理の結果は、マスク基板の再洗浄加工処理によって除去された欠陥分布を示すものであり、メモリ70に格納される。従って、次のステップS95では、この減算結果を示す値(減算値)が所定値よりも大きいか否かの判定を行い、所定値よりも大きい(yes)場合はステップS96に進み、所定値以下(no)の場合はステップS97に進む。ステップS96では、減算値が所定値よりも大きいということは、マスク基板の再洗浄加工処理によってマスク基板から所定量の傷や異物等の欠陥が除去されたことを意味するので、ここでは、洗浄加工完了(再々洗浄加工不要)を管理者などに指示して処理を終了する。一方、ステップS97では、減算値が所定値以下ということは、マスク基板の再洗浄加工処理によってマスク基板から所定数の傷や異物等の欠陥が除去されなかったことを意味するので、ここでは、マスク基板の内部に傷や異物等の欠陥が存在する可能性が高いので、管理者などに内部欠陥検査を行なうように指示を出して処理を終了する。
【0038】
図10は、基板検査方法の第4の検査処理となるマスク基板の内部欠陥検査処理の一例を示す図である。図9のステップS95の判定の結果に従って、マスク基板の内部に対する欠陥検査処理が行なわれる。図10では、散乱光の形状的特徴から、マスク基板1の内部の傷や異物等の欠陥を選択的に検出する処理を行なう。まず、ステップS101では、マスク基板1のレシピ番号(測定条件等)及びワーク番号をマスク基板1に付与してあるバーコードやQRコード等から読み取る。ステップS102では、マスク基板1に対して内部欠陥検査Dをレシピ番号に従って実行する。ステップS103では、内部欠陥検査Dが終了したので、そのマスク基板1の排出を行なう。ステップS104では、今回の内部欠陥検査の結果Dに基づいてプロセス判定を行って、処理を終了する。
【0039】
なお、上述の実施の形態では、ステップS94で、検査結果Cから検査結果Bを減算する場合について説明したが、検査結果Cから検査結果Aを減算してもよい。また、上述の実施の形態では、減算値に基づいて再洗浄加工又は再々洗浄加工を判定しているが、検査結果B又はCの値が所定値以下か否かに基づいて判断してもよいし、これと減算値との組み合わせに基づいて判断するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、検査テーブル5に基板1をアライメントする方法として、図2に示すように基板1を載置した状態で基板1のY軸方向の端部を位置決めピンなどに突き当て位置決めする。この場合、位置決めピンは、基板1のY軸方向の端部に少なくとも2箇所設ければよい。
【符号の説明】
【0040】
1…マスク基板
10…走査部
11…レーザー光源
12a…レンズ
12c…fθレンズ
13…ポリゴンミラー
14…ミラー
15…角度検出器
20…上受光系
21…上受光子
22,32…S偏光板
23,33…バンドパスフィルタ
24,34…レンズ
25,35…受光部
25a,35a…光ファイバー
26,36…光電子倍増管
27,37…アンプ
28,38…欠陥検出回路
30…下受光系
31…下受光子
40…焦点調節機構
41…焦点調節制御回路
5…検査テーブル
50…基板移動機構
51…基板移動制御回路
52…投光系移動機構
53…投光系移動制御回路
54…上受光系移動機構
55…上受光系移動制御回路
56…下受光系移動機構
57…下受光系移動制御回路
5a…基板支持部
5b…傾斜面
60…制御部(CPU)
70…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行い、
前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第1のレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光し、
前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光し、
前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出し、
検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定することを特徴とする基板検査方法。
【請求項2】
光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ第1の偏光成分を多く含む光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行い、
第1の偏光成分の光のみを通過させる第1の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させるバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第1の偏光板手段及び前記バンドパスフィルタ手段を通過した光をレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第1の偏光板手段、前記第1のバンドパスフィルタ手段及び前記第1のレンズ手段を介して前記第1の受光手段にて受光し、
前記第1の偏光成分の光のみを通過させる第2の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させる第2のバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第2の偏光板手段及び前記第2のバンドパスフィルタ手段を通過した光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第2の偏光板手段、前記第2のバンドパスフィルタ手段及び前記第2のレンズ手段を介して前記第2の受光手段にて受光し、
前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出し、
検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定することを特徴とする基板検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基板検査方法において、
前記再洗浄加工後に、前記洗浄加工前後における前記欠陥の存在位置及び前記再洗浄加工後における前記欠陥の存在位置をそれぞれ比較し、その比較結果に応じて前記基板の内部の欠陥の検出を行なうか否かを決定することを特徴とする基板検査方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の基板検査方法において、
前記欠陥の存在位置を検出する際の測定条件を前記基板に付与してあるバーコード等から読み取ることを特徴とする基板検査方法。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の基板検査方法において、
前記第1及び第2の受光手段の焦点位置を前記基板の内部に合わせ、前記第1及び第2の受光手段が受光した散乱光の形状的特徴に基づいて前記基板の内部の欠陥を検出することを特徴とする基板検査方法。
【請求項6】
光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行う投光系手段と、
前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第1のレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光するように構成された第1の受光系手段と、
前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光するように構成された第2の受光系手段と、
前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出する欠陥検出手段と、
前記欠陥検出手段によって検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定する制御手段と
を備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項7】
光線の一部が基板の表面で反射され、その残りの光線が前記基板の内部へ透過するような角度で前記基板の表面へ第1の偏光成分を多く含む光線を斜めに照射しながら、前記光線を移動させながら前記基板の走査を行う投光系手段と、
第1の偏光成分の光のみを通過させる第1の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させるバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第1の偏光板手段及び前記バンドパスフィルタ手段を通過した光をレンズ手段で集光して第1の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の表面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第1の偏光板手段、前記第1のバンドパスフィルタ手段及び前記第1のレンズ手段を介して前記第1の受光手段にて受光するように構成された第1の受光系手段と、
前記第1の偏光成分の光のみを通過させる第2の偏光板手段及び前記光線の周波数成分付近の光のみを通過させる第2のバンドパスフィルタ手段を前面に備え、前記第2の偏光板手段及び前記第2のバンドパスフィルタ手段を通過した光を第2のレンズ手段で集光して第2の受光手段にて受光する受光系手段であって、前記基板の裏面側に配置され、前記光線が前記基板の欠陥によって散乱された散乱光を前記第2の偏光板手段、前記第2のバンドパスフィルタ手段及び前記第2のレンズ手段を介して前記第2の受光手段にて受光するように構成された第2の受光系手段と、
前記第1及び第2の受光系手段が受光した散乱光に基づいた信号から前記基板の欠陥の存在位置を検出する欠陥検出手段と、
前記欠陥検出手段によって検出された前記欠陥の存在位置を前記基板の洗浄加工の前後で比較し、その比較結果に応じて前記基板の再洗浄加工を行なうか否かを決定する制御手段と
を備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の基板検査装置において、
前記制御手段は、前記再洗浄加工後に、前記洗浄加工前後における前記欠陥の存在位置及び前記再洗浄加工後における前記欠陥の存在位置をそれぞれ比較し、その比較結果に応じて前記基板の内部の欠陥の検出を行なうか否かを決定することを特徴とする基板検査装置。
【請求項9】
請求項6、7又は8に記載の基板検査装置において、
前記欠陥検出手段は、前記欠陥の存在位置を検出する際の測定条件を前記基板に付与してあるバーコード等から読み取ることを特徴とする基板検査装置。
【請求項10】
請求項6、7、8又は9に記載の基板検査装置において、
前記欠陥検出手段は、前記第1及び第2の受光手段の焦点位置を前記基板の内部に合わせ、前記第1及び第2の受光手段が受光した散乱光の形状的特徴に基づいて前記基板の内部の欠陥を検出することを特徴とする基板検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−257304(P2011−257304A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133137(P2010−133137)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】