説明

基板検査装置、基板搬送方法

【課題】基板検査を短いタクトタイムで行うことができる基板検査装置および基板搬送方法を提供する。
【解決手段】本発明の基板検査装置1は、検査する基板を搬入する基板搬入部3と、基板を検査する基板検査部4と、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部5とを有し、さらに気体を吐出することによって前記基板を浮上させる浮上プレート20と、基板搬入部3に搬入され、浮上プレート20により浮上した基板を保持し、個別の搬送軸上を個別に移動して搬送する基板搬送部6,7と、基板を保持した基板搬送部6、7が、基板搬入部3と、基板検査部4と、基板搬出部5とに分割された各ブロックに重複して位置しないよう制御する制御部10と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の基板を浮上させて搬送する基板検査装置および基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の画面の大型化に伴い、FPDに使用するガラス基板(以下、基板という)のサイズが大型化してきている。このように大型の基板を搬送する基板搬送装置に関する技術として、上方に載置される基板の下面に対して圧搾した空気を吐出することによって基板を浮上させた状態で搬送する技術が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2003−086917号公報
【特許文献2】特開2006−237482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、基板を浮上させた状態で、該基板の両端部を吸着パッドで保持して対となるスライダにより、基板載置台から検査部が配置された搬送架台に搬送し、搬送架台のアライメント部等で異なるスライダに基板を受け渡しながら搬送を継続している。かかる技術では、スライダ同士での基板の受け渡しに時間を要するため、基板の搬入から検査、搬送が完了するまでの工程時間、即ちタクトタイム(Takt Time)が長くなるという問題を有していた。
【0005】
一方、特許文献2では、独立して基板を搬送できる2つの基板搬送部を有した基板処理装置が開示されている。この2の基板搬送部は、それぞれが基板の搬入と搬出を受け持つものの、レジスト塗布工程では前記2つの基板搬送部により1の基板を同時に保持して搬送しなければならないため、タクトタイムの大幅な短縮は困難であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、基板検査をより短いタクトタイムで行うことができる基板検査装置および基板搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る基板検査装置は、検査する基板を搬入する基板搬入部と、前記基板搬入部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、基板を検査する基板検査部と、前期基板検査部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部とを有する基板検査装置であって、気体を吐出することによって基板を浮上させる浮上プレートと、前記基板搬入部に搬入され、前記浮上プレートにより浮上した基板を保持し、前記基板搬入部から前記基板搬出部まで基板を個別に搬送する2または3の基板搬送部と、基板を保持した前記2または3の基板搬送部が、前記基板搬入部と、前記基板検査部と、前記基板搬出部とに重複して位置しないよう制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る基板検査装置は、上記発明において、前記制御部は、前記2または3の基板搬送部のいずれか1つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送とを同期させるように制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る基板検査装置は、上記発明において、前記基板搬入部に基板を載置する基板搬入装置と、前記基板搬出部から基板を搬出する基板搬出装置と、を備え、前記制御部は、前記基板搬入装置による前記基板搬入部への基板の搬入と、前記2または3の基板搬送部のいずれか一つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送と、前記基板搬出装置による前記基板搬出部からの基板の搬出とのいずれか2以上を同期させるように制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る基板検査装置は、上記発明において、前記2または3の基板搬送部は、吸着により基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部を昇降する昇降部と、を備え、前記2または3の基板搬送部は、前記昇降部により前記基板保持部を下降させた状態で前記基板搬出部から前記基板搬入部へ移動することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る基板検査装置は、上記発明において、基板検査のための基板位置決め機構を基板搬入部に備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る基板搬送方法は、検査する基板を搬入する基板搬入部と、前記基板搬入部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、基板を検査する基板検査部と、前記基板検査部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部と、2または3の基板搬送部とを有する基板検査装置の基板搬送方法であって、前記2または3の基板搬送部は、前記基板搬入部から前記基板搬出部まで基板を個別に搬送し、基板を保持した前記2または3の基板搬送部を、前記基板搬入部と、前記基板検査部と、前記基板搬出部とに重複して位置しないよう制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る基板搬送方法は、上記発明において、前記2または3の基板搬送部のいずれか一つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送とを同期させるように制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る基板搬送方法は、検査する基板を搬入する基板搬入部と、前記基板搬入部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、基板を検査する基板検査部と、前記基板検査部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部と、2または3の基板搬送部と、前記基板搬入部に基板を載置する基板搬入装置と、前記基板搬出部から基板を搬出する基板搬出装置とを有する基板検査装置の基板搬送方法であって、前記2または3の基板搬送部は、前記基板搬入部から前記基板搬出部まで基板を個別に搬送し、基板を保持した前記2または3の基板搬送部を、前記基板搬入部と、前記基板検査部と、前記基板搬出部とに重複して位置しないよう制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る基板搬送方法は、上記発明において、前記基板搬入装置による前記基板搬入部への基板の搬入と、前記2または3の基板搬送部のいずれか一つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送と、前記基板搬出装置による前記基板搬出部からの基板の搬出のいずれか2以上を同期させるように制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る基板搬送方法は、上記発明において、前記2または3の基板搬送部の前記基板搬出部から前記基板搬入部への移動は、吸着して基板を保持する基板保持部を昇降部により下降させた状態で移動することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る基板搬送方法は、上記発明において、基板検査のための基板位置決め処理は、前記基板搬入部で行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、浮上プレートにより浮上した基板を保持して、保持した基板を基板搬入部から基板搬出部まで個別に搬送する2以上の基板搬送部を備え、基板を保持した前記2以上の基板搬送部が、基板搬入部と、基板検査部と、基板搬出部とに重複して位置しないよう制御するため、所定時間に基板検査装置内で検査できる基板数を増やすことができ、検査に要するタクトタイムの短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の要部の構成を示す上面図である。
【図2】図2は、図1の基板検査装置の側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態の基板搬送部の要部の構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態の基板搬送部の要部の構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る基板搬送工程のフローチャートである。
【図6】図6は、図5の基板保持工程のフローチャートである。
【図7】図7は、図5の基板保持解除工程のフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態の変形例に係る基板搬送工程のフローチャートである。
【図9A】図9Aは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【図9B】図9Bは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【図9C】図9Cは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【図9D】図9Dは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【図9E】図9Eは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【図9F】図9Fは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【図9G】図9Gは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【図9H】図9Hは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置の基板搬送を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板検査装置1の要部の構成を示す上面図である。図2は、図1の基板検査装置1の側面図である。図1および図2に示す基板検査装置1は、LCDやPDP等のFPDに使用する矩形状の基板Gを浮上させながら搬送する装置である。
【0022】
基板検査装置1は、基板Gを載置する基板載置部2と、基板Gを搬送する第1基板搬送部6および第2基板搬送部7と、基板Gを検査する検査用機器9と、第1基板搬送部6および第2基板搬送部7の制御を行う制御部10とを備える。
【0023】
基板載置部2は、図示しないリフター等の基板搬入ロボットにより搬入された検査用の基板Gを載置する基板搬入部3と、検査用機器9により基板Gを検査する基板検査部4と、検査が終了した基板Gをリフター等の基板搬出装置により搬出するまで載置する基板搬出部5とを備える。
【0024】
基板載置部2の基板載置面には、基板Gの下方から基板Gの下面に向けて気体を吐出することによって基板Gを浮上させる複数の浮上プレート20が設けられる。浮上プレート20は、基板Gの搬送方向に沿って細長い帯状をなして延びている。複数の浮上プレート20は、互いに平行であり、かつ互いの高さが等しい状態で基板載置部2に取り付けられている。浮上プレート20には、上面に開口を有し、気体を上方へ吐出する複数の吐出孔21が、全面にわたってほぼ均一に設けられている。吐出孔21から吐出される気体は、例えばクリーンドライエアであり、吐出孔21から吐出された気体により基板載置面から基板Gを浮上させた状態で、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7が基板Gを保持して基板載置部2上を搬送する。
【0025】
基板搬入部3と基板搬出部5の浮上プレート20の間には、複数のリフトピン22が設けられる。リフトピン22は、基板載置面から昇降可能に設けられ、基板Gの搬入時および搬出時に上昇することにより、搬入出時の基板Gとの接触を低減して基板Gへの傷の発生を防止する。リフトピン22は、第1基板搬送部6および第2基板搬送部7による基板Gの搬送の際は、基板載置面より下降される。
【0026】
基板検査部4の略中央部には、基板載置部2を搬送方向と直交する方向に跨いで門型アーム8が設置され、門型アーム8に、顕微鏡、ラインセンサまたはCCDカメラ等の検査用機器9が設けられる。
【0027】
第1基板搬送部6は、基板載置部2の一端であって、基板Gの搬送方向と平行な方向に設けられる。第1基板搬送部6は、基板Gの搬送方向に沿って直線的に延びるレール60と、レール60上を搬送方向に沿って駆動する駆動部61と、駆動部61の上面に、昇降部64(図3参照)を介して取り付けられて基板Gの端部を吸着する複数の基板保持部62とを有する。駆動部61は、リニアモータや、ベルト、ボールネジ、ラック・アンド・ピニオンなどにより構成されるが、等速性に優れるリニアモータを使用することが好ましい。
【0028】
第2基板搬送部7は、基板載置部2の他端であって、基板Gの搬送方向と平行な方向に設けられる。第2基板搬送部7は、第1基板搬送部6と同様に、基板Gの搬送方向に沿って直線的に延びるレール70と、レール70上を搬送方向に沿って駆動する駆動部71と、駆動部71の上面に、昇降部(図示しない)を介して取り付けられて基板Gの端部を吸着する複数の基板保持部72とを有する。駆動部71は、リニアモータや、ベルト、ボールネジ、ラック・アンド・ピニオンなどにより構成されるが、等速性に優れるリニアモータを使用することが好ましい。
【0029】
図3は、基板Gが基板載置面に浮上している状態の第一基板搬送部6の周辺部を示した図である。図4は、第1基板搬送部6の基板保持部62により基板Gを保持した状態を示す図である。図3に示すように、基板保持部62は、アクチュエータ等により昇降可能な昇降部64を介して駆動部61上に設置されている。リフターにより基板搬入部3に基板Gが搬入されると、制御部10は、上昇して基板Gを保持するリフトピン22を下降させるとともに、エア供給部により吐出口21からエアを吐出させて、基板Gを浮上状態とする。
【0030】
基板Gの位置調整を行った後、制御部10は、昇降部64を上昇させるよう制御するとともに、基板保持部62の吸引口63を吸引部(図示しない)により吸引する。基板保持部62は、昇降部64の上昇により基板Gの下面と接触し、吸引口63を介して吸引されるため、基板Gに密着して保持する。
【0031】
続いて、図5〜図7を参照して、本実施の形態に係る基板検査装置1の基板搬送工程を説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る基板搬送工程のフローチャートである。図6は、図5の基板保持工程のフローチャートである。図7は、図5の基板保持解除工程のフローチャートである。
【0032】
まず、リフターにより検査する基板Gを基板搬入部3に搬入する(ステップS101)。基板Gを搬入する際、基板Gの保護のために、制御部10はリフトピン22を上昇させる。
【0033】
基板搬入部3に基板Gが搬入されると、制御部10は、基板保持部62により基板Gを保持させる(ステップS102)。
【0034】
基板保持部62による基板Gの保持は、図6の工程で行われる。まず、制御部10は、リフトピン22を降下させるとともに(ステップS201)、吐出口21からエアを吐出させる(ステップS202)。その後、制御部10は、吐出されたエアにより浮上状態の基板Gを、位置決め機構により位置決めした後(ステップS203)、昇降部64を上昇させるとともに(ステップS204)、吸引口63から吸引して、基板保持部62により基板Gを密着保持する(ステップS205)。
【0035】
基板保持部62が基板Gを保持すると、制御部10は、第2基板搬送部7が所定位置、例えば基板搬出部5に移動したか否かを確認する(ステップS103)。他の基板Gが検査中で、第2基板搬送部7が基板検査部4内に存在する場合は(ステップS103、No)、ステップS103に戻り、第2基板搬送部7が所定位置に移動したか否かの判断を繰り返す。基板Gの検査を終了し、第2基板搬送部7が基板検査部4から基板搬出部5に移動した場合は(ステップS103、Yes)、制御部10は、第1基板搬送部6の駆動部61を駆動して、基板保持部62で保持した基板Gを基板搬入部3から基板検査部4に搬送させる(ステップS104)。
【0036】
基板検査部4に搬送された基板Gは、検査用機器9により検査が行われ(ステップS105)、検査終了後、制御部10は、第2基板搬送部7が所定位置、例えば基板搬入部3に移動したか否かを確認する(ステップS106)。第2基板搬送部7が基板搬出部5内に存在する場合は(ステップS106、No)、ステップS105に戻り、第2基板搬送部7が所定位置に移動したか否かの判断を繰り返す。第2基板搬送部7が基板搬出部5から基板搬入部3に移動した場合は(ステップS106、Yes)、制御部10は、第1基板搬送部6の駆動部61を駆動して、基板保持部62で保持した基板Gを基板検査部4から基板搬出部5に搬送させる(ステップS107)。
【0037】
基板搬出部5に基板Gを搬送した後、制御部10は、基板保持部62による基板Gの保持を解除させる(ステップS108)。保持解除工程は、図7の工程で行われる。まず、制御部10は、吸引口63からの吸引を停止するとともに(ステップS301)、昇降部64を下降させて、基板保持部62による基板Gの密着保持を解除する(ステップS302)。その後、リフトピン22を上昇させて、吐出口21から吐出されているエアにより浮上状態の基板Gをリフトピン22で保持して(ステップS303)、基板保持部62による基板Gの保持解除を終了する。
【0038】
基板保持部62が基板Gの保持を解除すると、リフトピン22で保持された基板Gをリフターで基板検査装置1外へ搬出し(ステップS109)、基板Gの搬送が終了した第1基板搬送部6は基板搬入部3へ移動して(ステップS110)、新たに検査する基板Gの搬送のためにステップS102から繰り返す。基板搬出部5から基板搬入部3への移動の際、制御部10は、第1基板搬送部6の昇降部64を下降したまま保持させ、基板保持部62が基板検査装置1内に搬入済みの基板Gと接触しないよう制御する。
【0039】
一方、第2基板搬送部7が所定位置に移動したか否かを確認し(ステップS103)、第2基板搬送部7が基板検査部4から基板搬出部5に移動した場合(ステップS103、Yes)、制御部10は、第1基板搬送部6の駆動部61を駆動して、基板保持部62で保持した基板Gを基板検査部4に搬送するのと同期して(ステップS104)、搬入する検査基板Gがあるか否かを確認し(ステップS111)、搬入する検査基板がある場合は(ステップS111、Yes)、リフター等の基板搬入装置により、検査する基板Gを基板搬入部3に搬入する(ステップS112)。
【0040】
基板搬入部3に基板Gが搬入されると、制御部10は、第2基板搬送部7の基板保持部72により基板Gを保持させる(ステップS113)。
【0041】
基板保持部72による基板Gの保持は、基板保持部62による基板Gの保持と同様に、図6の工程で行われる。ただし、吐出口21からはエアが吐出された状態であるため、吐出口21からのエアの吐出工程は省略される。したがって、制御部10は、リフトピン22を降下させ(ステップS201)、吐出エアにより浮上状態の基板Gを、基板Gの位置決め機構等により位置決めした後(ステップS203)、昇降部を上昇させるとともに(ステップS204)、吸引口73を介して吸引して、基板Gを密着保持する(ステップS205)。
【0042】
基板保持部72が基板Gを保持すると、制御部10は、第1基板搬送部6が所定位置に移動したか否かを確認する(ステップS114)。第1基板搬送部6が基板検査部4内の場合は(ステップS114、No)、ステップS114に戻り、第1基板搬送部6が基板検査部4内か否かの判断を繰り返す。基板Gの検査が終了し、第1基板搬送部6が基板検査部4から基板搬出部5に移動した場合は(ステップS114、Yes)、制御部10は、第2基板搬送部7の駆動部71を駆動して、基板保持部72で保持した基板Gを基板検査部4に搬送させる(ステップS115)。
【0043】
基板検査部4に搬送された基板Gは、検査用機器9により検査が行われ(ステップS116)、検査終了後、制御部10は、制御部10は、第1基板搬送部6が所定位置、例えば基板搬入部3に移動したか否かを確認する(ステップS117)。第1基板搬送部6が基板搬出部5内に存在する場合は(ステップS117、No)、ステップS117に戻り、第1基板搬送部6が所定位置に移動したか否かの判断を繰り返す。第1基板搬送部6が基板搬出部5から基板搬入部3に移動した場合は(ステップS117、Yes)、第2基板搬送部7の駆動部71を駆動して、第2基板保持部72で保持した基板Gを基板搬出部5に搬送させる(ステップS118)。
【0044】
基板搬出部5に基板Gを搬送した後、制御部10は、基板保持部72による基板Gの保持を解除させる(ステップS119)。保持解除工程は、基板保持部62による基板Gの保持解除と同様に、図7の工程で行われる。まず、制御部10は、吸引口73からの吸引を停止するとともに(ステップS301)、昇降部を下降させて基板Gの密着保持を解除する(ステップS302)。その後、リフトピン22を上昇させて、吐出口21から吐出されているエアにより浮上状態の基板Gをリフトピン22で保持して(ステップS303)、基板保持部72による基板Gの保持解除を終了する。
【0045】
基板保持部72が基板Gの保持を解除すると、リフトピン22で保持された基板Gを基板搬出用ロボットで基板検査装置1外へ搬出し(ステップS120)、第2基板搬送部7は基板搬出部5から基板搬入部3へ移動して(ステップS121)、新たに検査する基板Gの搬送のためにステップS112から繰り返す。第2基板搬送部7の基板搬出部5から基板搬入部3への移動の際、制御部10は、昇降部を下降したまま保持させ、基板保持部72が基板検査装置1内に搬入済みの基板Gと接触しないよう制御する。
【0046】
一方、第1基板搬送部6が所定位置に移動したか否かを確認し(ステップS114)、第1基板搬送部6が基板検査部4から基板搬出部5に移動した場合(ステップS114、No)、制御部10は、第2基板搬送部7の駆動部71を駆動して、基板保持部72で保持した基板Gを基板搬入部3から基板検査部4に搬送させるのと同期して(ステップS115)、搬入する検査基板Gがあるか否かを確認し(ステップS122)、搬入する検査基板Gがある場合は(ステップS122、Yes)、リフター等の基板搬入ロボットにより、検査基板Gを基板搬入部3に搬入させ(ステップS123)、ステップS102から第1基板搬送部6による基板Gの搬送を繰り返す。
【0047】
ステップS111およびステップS122で、搬送する検査基板Gがない場合は(ステップS111およびステップS122、No)、基板搬送工程を終了する。なお、ステップS103およびステップS114において、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7による基板搬入部3から基板検査部4への基板Gの搬送と、リフター等の基板搬入装置による基板Gの基板搬入部3への搬入を同期させるために、所定位置は基板検査部4と基板搬出部5との境界より基板検査部4側とするのが好ましい。
【0048】
また、上記の基板搬送工程では、制御部10が、所定位置に設置した位置センサ等の情報を基に、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7が所定位置に移動したか否かを判断してもう一方の基板搬送部を移動させているが、図8のフローチャートに示すように、ステップS403およびステップS414において、制御部10が基板検査部4で基板の検査が終了したか否かを判断し、基板の検査終了をトリガーとして他の基板搬送部の搬送を制御してもよい。
【0049】
上述した基板搬送工程では、制御部10は、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7による基板搬入部3から基板検査部4への基板Gの搬送と、リフター等の基板搬入装置による基板Gの基板搬入部3への搬入を同期させているが、本実施の形態では、第1基板搬送部6および第2基板搬送部7が、基板搬入部3と、基板検査部4と、基板搬出部5とに分割された各ブロックに重複して位置しないよう制御できればよく、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7による基板搬入部3から基板検査部4への基板Gの搬送と、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7による基板検査部4から基板搬出部5への基板Gの搬送を同期させてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る基板搬送方法は、検査する基板を搬入する基板搬入部3と、基板搬入部3に対して基板搬送方向の下流側に位置し、基板を検査する基板検査部4と、基板検査部4に対して基板搬送方向の下流側に位置し、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部5と、第1基板搬送部6および第2基板搬送部7を備えた基板検査装置1において、制御部10により、第2基板搬送部7が所定位置に移動したか否かを確認するステップS103と、第1基板搬送部6により基板Gを基板搬入部3から基板検査部4に搬送させるステップS104と、第2基板搬送部7が所定位置に移動したか否かを確認するステップS106と、第1基板搬送部6により基板Gを基板検査部4から基板搬出部5に搬送させるステップS107と、第1基板搬送部6が所定位置に移動したか否かを確認するステップS114と、第2基板搬送部7により基板Gを基板搬入部3から基板検査部4に搬送させるステップS115と、第1基板搬送部6が所定位置に移動したか否かを確認するステップS117と、第2基板搬送部7により基板Gを基板検査部4から基板搬出部5に搬送させるステップS118と、により実施することが可能である。
【0051】
また、図9A〜図9Hに示すように、リフター等の基板搬入装置による基板Gの基板搬入部3への搬入と、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7による基板搬入部3から基板検査部4への基板Gの搬送と、第1基板搬送部6または第2基板搬送部7による基板検査部4から基板搬出部5への基板Gの搬送と、リフター等の基板搬出装置による基板Gの基板搬出部5からの搬出とを、すべて同期させてもよい。図9A〜図9Hは、本発明の実施の形態に係る基板検査装置1の基板搬送を説明する図である。なお、図9A〜図9Hにおいては、浮上プレート20および吐出口21の記載は省略し、リフトピン22の記載も、下降時は省略し、上昇時のみ明示している。
【0052】
図9Aに示すように、まず、リフトピン22が上昇している状態の基板搬入部3に、リフター等の基板搬入装置により基板Gが搬入される。
【0053】
続いて、図9Bに示すように、リフトピン22を下降し、吐出口21からエアを吐出し基板Gを浮上させ位置決めした後、昇降部64を上昇するともに吸引口63を介して吸引して、基板保持部62により基板Gを吸着保持する。
【0054】
基板保持部62による基板G保持の完了後、図9Cに示すように、第1基板搬送部6により基板搬入部3から基板検査部4に基板Gが搬送されるとともに、基板搬入部3には新たな検査用の基板Gが基板搬入装置により搬入される。
【0055】
図9Dに示すように、基板搬入部3に搬入された基板Gの基板保持部72による基板G保持が完了し、基板検査部4での基板Gの検査が終了した段階で、第1基板搬送部6により基板検査部4から基板搬出部5への基板Gの搬送と、第2基板搬送部7による基板搬入部3から基板検査部4への基板Gの搬送と、基板搬入装置による新たな検査用の基板Gの搬入とを同期して行う(図9E参照)。
【0056】
その後、図9Fに示すように、基板搬出部5に搬送された基板Gの基板保持部62による保持は解除され、基板搬出部5のリフトピン22は、基板搬出装置による搬出のために上昇される。また、基板搬入部3のリフトピン22は、基板搬入装置による基板Gの搬入後下降され、基板Gは位置決め機構により位置決めが行われる。
【0057】
基板搬出部5での基板搬出準備が終了すると、図9Gに示すように基板搬出装置により基板Gは搬出され、第1基板搬送部6はレール60上を移動して、図中の矢印で示すように基板搬出部5から基板搬入部3へ移動する。第1基板搬送部6の基板搬入部3への移動の際、昇降部64を下降したまま保持し、基板保持部62が基板検査部4内の基板Gや基板搬入部3内の基板Gとの接触を防止する。
【0058】
第1基板搬送部6が基板搬入部3へ移動し、基板搬入部3に搬入された基板Gの保持を行う間、基板検査部4では基板Gの検査がおこなわれる(図9H参照)。基板搬入部3に搬入された基板Gの基板保持部62による基板G保持が完了し、基板検査部4での基板Gの検査が終了した段階で、第2基板搬送部6により基板検査部4から基板搬出部5への基板Gの搬送と、第1基板搬送部6による基板搬入部3から基板検査部4への基板Gの搬送と、基板搬入装置による新たな検査用の基板Gの搬入とが同期して行われることにより、基板Gの検査工程が続行される。
【0059】
本実施の形態に係る基板検査装置1は、第一基板搬送部6および第2基板搬送部7を備え、第一基板搬送部6および第2基板搬送部7は、個別の搬送軸を有し、第1基板搬送部6および第2基板搬送部7間で基板Gを持ち変えることなく基板Gを基板搬入部3から基板検査部4および基板搬出部5まで搬送するため、基板Gの搬送や検査に要する時間を短縮することができる。また、通常、基板Gの検査に最も時間を要するが、本実施の形態では、基板Gの位置決め等の検査準備を基板搬入部3で行うことができるため、基板Gの検査に要するタクトタイムをさらに短くすることができる。
【0060】
なお、上記した本発明の実施の形態は、基板搬送部を2つ(第1基板搬送部6および第2基板搬送部7)備えた例について説明したが、例えば、基板搬送部を3つ(例えば、第一基板搬送部6と第2基板搬送部7との間に、搬送軸が第一基板搬送部6と第2基板搬送部7の搬送軸に平行な第3基板搬送部をさらに備える)備えた基板検査装置においても、同様の効果を得ることができる。
【0061】
上記の実施の形態に係る基板検査装置1において、基板搬入装置および基板搬出装置はリフター等を使用しているが、基板搬入装置および基板搬出装置としてコンベアーを使用し、基板検査装置1はリフトピン22なしとするリフターレスの構成としてもよい。或いは、複数の浮上プレートの間に搬送ロボットの搬送アームが挿通できる間隙部分を設け、搬送ロボットが基板載置部に基板Gを直接載置するリフターレスの構成としてもよい。
【0062】
さらにまた、第1基板搬送部6および第2基板搬送部7の基板保持部62および72は、吸引口63および73より吸引して基板Gを密着保持するが、基板保持部は、基板Gの端部を把持し、基板搬出部5から基板搬入部3への移動の際、基板検査装置1内に既に搬入された基板Gと接触しない機構を有するものであれば、使用することが可能である。
【0063】
また、上記の実施の形態に係る基板検査装置1では、基板載置部2を、複数の浮上プレートにより基板Gを浮上させながら搬送を行う浮上ステージの構成として説明したが、この複数の浮上プレートに代えて、基板載置面に複数のローラーを設け、この複数のローラーによって基板Gを移動可能に支持したローラーステージの構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 基板検査装置
2 基板載置部
3 基板搬入部
4 基板検査部
5 基板搬出部
6 第1基板搬送部
7 第2基板搬送部
8 門型アーム
9 検査用機器
10 制御部
20 浮上プレート
21 吐出口
22 リフトピン
60、70 レール
61、71 駆動部
62、72 基板保持部
63、73 吸引口
64 昇降部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査する基板を搬入する基板搬入部と、前記基板搬入部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、基板を検査する基板検査部と、前期基板検査部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部とを有する基板検査装置であって、
気体を吐出することによって基板を浮上させる浮上プレートと、
前記基板搬入部に搬入され、前記浮上プレートにより浮上した基板を保持し、前記基板搬入部から前記基板搬出部まで基板を個別に搬送する2または3の基板搬送部と、
基板を保持した前記2または3の基板搬送部が、前記基板搬入部と、前記基板検査部と、前記基板搬出部とに重複して位置しないよう制御する制御部と、
を備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記2または3の基板搬送部のいずれか1つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送とを同期させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記基板搬入部に基板を載置する基板搬入装置と、
前記基板搬出部から基板を搬出する基板搬出装置と、を備え、
前記制御部は、前記基板搬入装置による前記基板搬入部への基板の搬入と、前記2または3の基板搬送部のいずれか一つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送と、前記基板搬出装置による前記基板搬出部からの基板の搬出とのいずれか2以上を同期させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記2または3の基板搬送部は、
吸着により基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を昇降する昇降部と、を備え、
前記2または3の基板搬送部は、前記昇降部により前記基板保持部を下降させた状態で前記基板搬出部から前記基板搬入部へ移動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項5】
基板検査のための基板位置決め機構を基板搬入部に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項6】
検査する基板を搬入する基板搬入部と、前記基板搬入部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、基板を検査する基板検査部と、前記基板検査部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部と、2または3の基板搬送部とを有する基板検査装置の基板搬送方法であって、
前記2または3の基板搬送部は、前記基板搬入部から前記基板搬出部まで基板を個別に搬送し、基板を保持した前記2または3の基板搬送部を、前記基板搬入部と、前記基板検査部と、前記基板搬出部とに重複して位置しないよう制御することを特徴とする基板検査装置の基板搬送方法。
【請求項7】
前記2または3の基板搬送部のいずれか一つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送とを同期させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の基板検査装置の基板搬送方法。
【請求項8】
検査する基板を搬入する基板搬入部と、前記基板搬入部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、基板を検査する基板検査部と、前記基板検査部に対して基板搬送方向の下流側に位置し、検査が終了した基板を搬出する基板搬出部と、2または3の基板搬送部と、前記基板搬入部に基板を載置する基板搬入装置と、前記基板搬出部から基板を搬出する基板搬出装置とを有する基板検査装置の基板搬送方法であって、
前記2または3の基板搬送部は、前記基板搬入部から前記基板搬出部まで基板を個別に搬送し、基板を保持した前記2または3の基板搬送部を、前記基板搬入部と、前記基板検査部と、前記基板搬出部とに重複して位置しないよう制御することを特徴とする基板検査装置の基板搬送方法。
【請求項9】
前記基板搬入装置による前記基板搬入部への基板の搬入と、前記2または3の基板搬送部のいずれか一つによる前記基板搬入部から前記基板検査部への基板の搬送と、前記2または3の基板搬送部の残りのいずれか一つによる前記基板検査部から前記基板搬出部への基板の搬送と、前記基板搬出装置による前記基板搬出部からの基板の搬出のいずれか2以上を同期させるように制御することを特徴とする請求項8に記載の基板検査装置の基板搬送方法。
【請求項10】
前記2または3の基板搬送部の前記基板搬出部から前記基板搬入部への移動は、吸着して基板を保持する基板保持部を昇降部により下降させた状態で移動することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに記載の基板検査装置の基板搬送方法。
【請求項11】
基板検査のための基板位置決め処理は、前記基板搬入部で行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれか一つに記載の基板検査装置の基板搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【公開番号】特開2013−84798(P2013−84798A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224018(P2011−224018)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】