基板検査装置および基板検査プログラム
【課題】基板パターンの何れか一辺が搬送方向と平行となっている基板の回折光観察において、合焦不良欠陥などの観察方向によって欠陥検出感度が不安定である欠陥に対して、欠陥検出感度を向上させるための基板検査装置および基板検査プログラムを提供すること。
【解決手段】繰返しパターンが表面に形成された基板を搬送する手段と、搬送された基板に対して線状の照明光を照射する手段と、照明された基板の線状領域の画像を撮像する手段と、照射される照明光の照射方向を、搬送される基板の搬送方向と一致する第1の方向と、搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える手段と、繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、照射方向を第2の方向に切替え、縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、照射する照明光の照明角度と撮像するための撮像角度とを調整する手段とを備える。
【解決手段】繰返しパターンが表面に形成された基板を搬送する手段と、搬送された基板に対して線状の照明光を照射する手段と、照明された基板の線状領域の画像を撮像する手段と、照射される照明光の照射方向を、搬送される基板の搬送方向と一致する第1の方向と、搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える手段と、繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、照射方向を第2の方向に切替え、縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、照射する照明光の照明角度と撮像するための撮像角度とを調整する手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的なパターンが形成された基板、例えば、半導体ウェハや、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)に用いられるディスプレイ基板などの被検体の表面を検査する基板検査装置およびその基板検査装置を制御するための基板検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトリソグラフィプロセスでは、FPDのガラス基板表面上に塗布したレジストに膜厚ムラが生じたり、あるいは塵芥等が付着すると、エッチング工程後のパターンの線幅に不良が発生したり、パターン内にピンホールや気泡等が生じるなどの欠陥が発生する原因となっている。
【0003】
また、フォトリソグラフィプロセスでは、パターン露光において合焦不良が生じると、現像後のレジストの断面形状やパターン周期が正常なものと異なり、その後のプロセスにおいて不良を生じる原因となっている。
【0004】
そこで、エッチング前のFPDガラス基板に対して、欠陥の有無の検査が行われる。このような欠陥を検査するための技術として、例えば特許文献1に開示されているような基板検査装置がある。
【0005】
図1および図2は、従来の基板検査装置の原理を説明するための図である。図1が平面図であり、図2が側面図である。
これらの図1および図2において、半導体ウェハやディスプレイ基板などの被検体10の上方には、光源を有する2つの照明部2が配置されている。これらの照明部2から出力された光束は、コリメートレンズ11により平行光束Piに整形され、被検体10に対して入射角θiでライン照明される。2つの照明部2は、コリメートレンズ11の光軸Oxiに対称な位置に設けられている。
【0006】
この被検体10の表面上で正反射または回折、散乱された光のうち出射角θdの光束は、コリメートレンズ12により収束され、結像レンズ9により被検体10の像として撮像素子(ラインイメージセンサ)5に結像される。この結像レンズ9およびラインイメージセンサ5は、コリメートレンズ12の光軸Oxd上に配置され、このうち結像レンズ9の入射瞳は、コリメートレンズ12のほぼ焦点位置に設置されている。
【0007】
これと共に被検体10は、被検体10の表面上に照射された平行光束Piに対して直行する方向(基板移動方向:図中の矢印イ方向)に移動される。この平行光束Piと被検体10との相対移動により被検体10の全体が撮像され、その検査画像が取得される。
【0008】
このような欠陥検査においては、被検体10の表面の欠陥のうち膜厚ムラ等は正反射光の明暗となって現れ、形状不良等は被検体10の周期パターンからの回折光の明暗となって観察される。このことから、出射角θdを変えて複数の検査画像を取得し、この検査画像から正常な被検体10と輝度の異なる部分を検査画像から抽出し、欠陥の種類とその位置とを得ている。
【0009】
ここで、照明部2に関して言えば、この基板検査装置の照明部2から出射される光束の基板移動方向に対する角度φiは、変更することが可能となっている。すなわち、照明部2がコリメートレンズ11に対して図中の矢印ロで示す方向に沿って相対的に移動することで基板移動方向に対する照明の方位角φiを自由に変更することが可能となる。
【0010】
角度φi=0°で固定であれば、基板移動方向に対して直角方向のパターンからの回折光成分しか取得できないが、角度φiを可変にすることで、基板移動方向に対して直角方向以外の斜めになったパターンから射出される回折光を撮像素子5まで導くことが可能となる。
【0011】
ところで、FPD基板の回折光検査においては、被検体10の観察方向によって欠陥像のコントラストが変化することがある。代表的なものに合焦不良欠陥がある。これは、パターン露光中に被検体10であるガラス基板の表面の一部で合焦不良が発生し、不良エリア内では画素ごとにパターン間隔が微妙に変化する欠陥である。
【0012】
図3は、合焦不良欠陥の観察を説明するための図である。
図3において、FPD基板1に対して入射角θiでライン照明された照射光6は、FPD基板1で正反射光7として正反射するとともに、回折した回折光8となって現れる。図3に示すように、FPD基板1のパターンは、通常、縦横比の異なる格子形状となっているが、合焦不良欠陥の観察においてはパターン周期の短い方向から照明光6を照射し、その回折光8を観察することでコントラストを良好に観察することが可能な場合が多い。
【0013】
図4、図5および図6は、パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図である。
これらの図4、図5および図6を用いて、パターン周期の短い側から発生する回折光8を撮像手段に取り込むための条件を、実際の基板検査に当てはめながら説明する。
【0014】
なお、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの短周期方向とが一致しているパターンを横長パターン13と呼び、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの長周期方向とが一致しているパターンを縦長パターン14と呼び、FPD基板1の搬送方向に平行であり、かつ撮像手段による観察光学系の光軸を含む面を平面Aと呼ぶ。また、説明を簡単にするため、観察光学系の物体側の開口数(NA:Numerical Aperture)は、各回折次数間の角度差に比べて十分小さく、1つの回折次数光(回折光8)しか撮像素子5に導くことができないものとする。
【0015】
図4において、FPD基板1上の繰返しパターンである横長パターン13は、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの短周期方向とが一致している。このような状態のFPD基板1に対して、観察光学系の光軸を含み、搬送方向に平行な平面である平面Aと平行になるように照明光6を入射させると、横長パターン13の短周期パターンからの回折光8は、平面Aの面内に沿って射出される。この際、観察光学系の光軸を、平面Aと平行になるように角度調整を行って、光軸と一致した任意の回折光8を取得し、撮像素子5に導くことで合焦不良欠陥を良好な感度で親察することが可能となる。
【0016】
ところが、図5に示すように、FPD基板1上の繰返しパターンである縦長パターン14は、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの長周期方向とが一致している。このような状態のFPD基板1に対して、平面Aに平行となるように照明光6を入射させると、縦長パターン14の短周期パターンからの回折光8は、正反射光7を母線に含む円錐面に沿って射出される。この場合、観察光学系の光軸を含む平面A内には正反射光7しか存在しないので、観察光学系の光軸と、平面Aと平行になるように角度調整を行っても、縦長パターン14の短周期パターンからの回折光8を観察することは出来ず、従って欠陥を捕捉することはできない。
【0017】
これに対して、縦長パターン14の短周期パターンからの回折光8を平面Aと平行になるように配置された観察光学系に導くようにしたのが図6である。すなわち、平面Aに対して入射光6に角度φiの方位角を持たせることで正反射光7を観察光学系の光軸から外し、回折光8が平面Aと平行になるように配置された観察光学系に入射可能なようにする。これにより、縦長パターン14の短周期パターンから発生する回折光8を平面Aと平行になるように配置された観察光学系に取り込むことが可能となる。
【特許文献1】特開2004−286483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、基板パターンが縦長パターン14である場合、特許文献1のような基板検査装置を用いて合焦不良欠陥を感度良く検出しようとすると、基板の搬送方向に対して照明手段2が照明する照明光に適切な方位角を持たせ、短周期パターンから発生する回折光が撮像素子5に導かれるよう、照明光の照明角度および観察光学系の観察角度の調整を行う必要がある。ところが、特許文献1のような基板検査装置では、主に搬送方向に対して斜めになっている、つまり直角あるいは平行ではないパターンから発生する回折光による検査を想定しており、パターンの基本形状が搬送方向に対して縦長であるか横長であるかの何れかである基板に対して、最適な観察を行う制御を行うことができない、という問題点があった。
【0019】
また、基板の中には、いわゆる共取り基板と呼ばれ、1枚のガラス基板の中に縦長パターンと横長パターンを持つ基板が存在することがある。
図7は、1枚のガラス基板の中に縦長パターンおよび横長パターンを持つFPD基板1の例を示す図である。
【0020】
図7に示した例は、FPD基板1の搬送方向に対してFPD基板パターンが縦長パターン14である面が1つ存在し、FPD基板1の搬送方向に対してFPD基板パターンが横長パターン13である面が2つ存在している。このような場合、合焦不良欠陥を最も感度良く取得するには面が切り替わる面切替位置27の前後それぞれで、照明光の照明角度および観察光学系の観察角度を最適に調整しなければならないが、特許文献1のような基板検査装置では、必要な観察条件を最適化することができない、という問題点があった。
【0021】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、基板パターンの基本形状が長方形であり、長方形の短辺、長辺の何れか一辺が搬送方向と平行となっている基板の回折光観察において、合焦不良欠陥などの観察方向によって欠陥検出感度が変化し、不安定である欠陥に対して、欠陥検出感度を安定させるための基板検査装置およびその基板検査装置を制御するための基板検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の基板検査装置は、同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の基板検査装置は、さらに、前記基板に関する基板情報を格納する基板情報格納手段を備え、前記切替手段が、予めメモリに格納された前記基板情報に基づいて、前記第1の方向と前記第2の方向とを切替えることが望ましい。
【0024】
また、本発明の基板検査装置は、前記基板情報格納手段が、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの長い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である縦長パターンであるのか、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの短い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である横長パターンであるのかという情報を含み、前記切替手段が、前記繰り返しパターンが前記縦長パターンであれば、前記照射方向を前記第2の方向に切替え、前記繰り返しパターンが前記横長パターンであれば、前記照射方向を前記第1の方向に切替えることが望ましい。
【0025】
また、本発明の基板検査装置は、さらに、前記照明手段による照明光の照明角度および前記撮像手段による撮像の撮像角度を変化させた際の回折光の強度変化を測定する測定手段を備え、前記照明手段が、前記測定手段によって測定された前記強度変化に基づいて照明条件を定め、前記照明条件に基づいて前記照明光を照射することが望ましい。
【0026】
また、本発明の一態様によれば、本発明の基板検査プログラムは、基板検査装置のコンピュータを、同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段として機能させることを特徴とする基板検査プログラムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基板パターンの基本形状が長方形形状の基板において、基板の搬送方向に対して、平行方向、直角方向の何れのパターンの回折光を用いて検査するかを選択することが可能となる。
【0028】
また、本発明によれば、基板上のパターンに対する観察方向によって検出感度が変化する欠陥に対して、安定した検出感度で検査を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。すべての図面において、実施の形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0030】
まず、本発明の概要を説明する。
すなわち、本発明は、基板に形成された基板パターンの基本形状が長方形形状である場合において、基板の搬送方向に対して基板パターンの長辺、あるいは短辺のどちらが平行であるかという情報に基づき、基板を照明する照明光の照明角度、基板パターンからの回折光を撮像する撮像角度のどちらか一方、あるいは両方を切り換え可能なように構成された基板検査装置である。
【0031】
また、本発明は、異なる基板パターン形状が混在し、基板の面内の任意の位置で縦長パターン14と横長パターン13とが切り替わる場合、基板を照明する照明光の照明角度、基板パターンからの回折光を撮像する撮像角度のどちらか一方、あるいは両方を縦長パターン14と横長パターン13が切り替わる位置において、切り換え可能に構成された基板検査装置である。
【0032】
次に、図8、図9、図10、図11および図12を用いて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図8および図9は、検査ユニット29による横長パターン13の検査を説明するための図であり、図8は、検査ユニット29の平面図であり、図9は、検査ユニット29の側面図である。また、図10および図11は、検査ユニット29による縦長パターン14の検査を説明するための図であり、図10は、検査ユニット29の平面図であり、図11は、検査ユニット29の側面図である。そして、図12は、検査ユニット29を備える基板検査装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
まず、主に図8および図9を用いて、検査ユニット29の構成について説明する。
FPD基板1は、その表面に基本形状が長方形である格子パターンが形成されている。また、FPD基板1は、図示しない搬送装置によって図8中の矢印ハ(X方向)に沿って搬送可能になっている。さらに、FPD基板1の上方には検査ユニット29が設置されており基板検査装置の主要部分を構成している。
【0034】
カバー28によって囲われた検査ユニット29の内部には、光源を有する照明部2Aおよび照明部2Bとして、例えばラインファイバを有する。照明部2Aは、照明光を射出する射出端面において、照明光が幅方向に対して垂直に射出するラインファイバであり、照明部2Bは、照明光が搬送方向に対して方位角φi(図10参照)で射出するラインファイバである。それぞれの照明部2Aおよび照明部2Bから射出された光束は、シリンドリカルレンズ30により点SにおいてXZ平面内で焦点を結ぶよう構成されている。なお、これらの照明部2A、照明部2Bおよびこれらに接続されたシリンドリカルレンズ30によって構成される照明手段は、図示しない駆動機構により、点Sを中心として回転可能に構成され、照明手段による照明光の入射角θiを可変にする。
【0035】
他方、観察側の光学系である撮像手段は以下のように構成されている。
まず、撮像素子5は、例えば密着型ラインCCD(Charge Coupled Device)であり、FPD基板1の幅方向に沿って画素が並んでいる。撮像素子5には撮像素子5の画素周期と一致する間隔でレンズが配置されたマイクロレンズアレイ4が取り付けられている。また、マイクロレンズアレイ4に入射する光束を最適に規制するため、撮像素子5の画素ピッチと一致する一定間隔で穴が設けられた絞り3がマイクロレンズアレイ4の瞳位置に配置されている。これらの撮像素子5、マイクロレンズアレイ4および絞り3によって構成される撮像手段は、点Sを中心として、図示しない駆動機構により回転可能に構成され、撮像手段により撮像する出射角θdを可変とする。
【0036】
次に、図12を説明の中心にし、補足的に図8乃至図11を用いて、基板検査装置の構成、動作機能および作用について説明する。
図12において、基板搬送制御部19は、FPD基板1を吸着および支持する移動ステージ31をX方向に所定の速度で移動制御するとともに、この移動ステージ31の位置決め制御を行なう機能を有する。
【0037】
光学系制御部18は、照明部2Aおよび照明部2Bの光量を調整する。また、光学系制御部18は、照明部2A、照明部2Bおよびシリンドリカルレンズ30から構成される照明手段による照明光の入射角θiを可変制御する機能を有し、また、絞り3、マイクロレンズアレイ4および撮像素子5から構成される撮像手段により撮像する出射角θdを可変制御する機能を有する。
【0038】
検査を開始する際、FPD基板1に対して、照明部2Aおよび照明部2Bの何れを用いるかは、装置PC15に接続された上位側のホストコンピュータ32上に格納され、ホストコンピュータ32から通信で送られてくるFPD基板1基板情報(例えば、搬送方向に対してのパターン情報、パターンの形状情報、パターンが切替わる位置情報等)に基づいて決定される。ここでの決定のための条件設定は以下の通りである。なお、基板情報は、予め入力されている設計データから取得しても良いし、検査開始前に、手動で入力するようにして取得しても良い。
【0039】
まず、FPD基板1上のパターンが、FPD基板1の搬送方向に対して縦長の縦長パターン14であるか横長の横長パターン13であるか判断する。ここで、横長パターン13であれば基本的には照明部2Aを用い、縦長パターン14であれば照明部2Bを用いる。ただし、工程や種類毎にFPD基板1上のパターン形状が異なり、場合によっては短周期側、あるいは長周期側のパターン成分が存在しない場合もあり得る。例えば、縦長ではあるが短周期側のパターン成分が存在しない場合、照明部2Bを用いても、短周期側のパターンから回折光は発生しないので、回折光を用いた検査が出来ない。その場合は、照明部2Aを用いる。
【0040】
逆に、横長ではあるが短周期側のパターン成分が存在しない場合も同様の考えで、この場合は照明部2Bを用いる。要するに、照明部2Aか照明部2Bの選択に関しては、パターンが搬送方向に対して横長であるか縦長であるかという基準に加え、パターン形状の情報に基づいて判断する機能を有する。
【0041】
次に、照明部2Aが選択されると、欠陥観察が最適化されるよう、照明手段による入射角θiと撮像手段による出射角θdが決定される。すなわち、パターン周期と照明波長から、次数毎の回折角度を求め、所望の次数の回折光が、撮像手段に取り込まれる条件になるよう設定される。この設定は、基本的にパターン形状等のホストコンピュータ32上に格納されている基板情報から自動で求められるようになっているが、基板情報が不明な場合は、ユーザーが手動で条件設定できる機能を有する。また、照明部2Bが選択されると、欠陥観察が最適化されるように、照明部2Aが選択された場合と同様に、照明手段による入射角θiと撮像手段による出射角θdが決定され、照明手段による入射角θiと撮像手段による出射角θdが設定される。また、所望の次数の回折光が、撮像手段に取り込まれるように、照明部2Bによる方位角φiも変更できるようになっている。なお、一度設定された検査条件をメモリ23に記憶させ、同様の検査条件が有効であるFPD基板1が搬送された際、メモリ23から装置PC15に検査条件を呼び出すことも可能である。
【0042】
また、共取り基板(1枚のガラス基板の中に縦長パターンと横長パターンを持つ基板)を検査する場合は、搬送方向に沿った、横長パターン13と縦長パターン14とが切替わる位置の前後で、撮像条件を最適化する調整機能を有する。すなわち、検査時に、図示していない位置検出手段により搬送装置の位置を検出しながらFPD基板1を搬送し、図7に示したような面切替位置27が検査エリア内に差し掛かると、それ以降の横長パターン13または縦長パターン14に最適化された検査条件に切り換える機能を有する。なお、面切替位置は、予め記憶されている基板情報、または、メモリ23に記憶されている検査条件に基づいて決定するようにしても良いし、別に、横長パターン13と縦長パターン14とが切替わる位置を検出する手段を設けて決定するようにしてもよい。
【0043】
撮像素子5は、駆動回路21および画像インターフェース(I/F)20と接続されている。駆動回路21は、基板搬送制御部19に同期して撮像素子5を駆動する機能を有する。画像I/F20は、撮像素子5により撮像された検査画像を画像処理部17に転送するもので、1ラインずつ撮像された検査画像を再構成する機能を有する。
【0044】
画像処理部17は、装置PC15によって制御され、撮像素子5から出力され検査画像を画像I/F20を介して入力し、この検査画像を処理して合焦不良等の欠陥を抽出し、その欠陥の種類、数、位置、面積等のテ一夕を求め、これらのデータを装置PC15に転送する機能を有する。また、画像処理部17には、モニタテレビジョン(モニタTV)26および画像記憶部24が接続され、検査画像やその処理画像をモニタTV26に表示し、必要に応じて検査画像やその処理画像を画像記憶部24に保存する機能を有する。
【0045】
装置PC15は、画像処理部17から送られてきた欠陥の種類、数、位置、面積等のデータを受け取り、これらのデータをFPD基板1の種類毎の検査条件(光学系の設定、検査面積、画像処理の条件等)に含まれている合格基準と照合してFPD基板1の良否を判定する機能を有する。
【0046】
この装置PC15には、メニュー画面を表示するモニタTV25と、基板検査装置に必要なメニューを指示するためのキーボート22と、FPD基板1の種類毎の上記検査条件および検査データ等を保存するためのメモリ23とが接続されている。また、装置PC15には、シーケンサ16を介して上述した基板搬送制御部19、光学系制御部18および駆動回路21が接続されている。
【0047】
次に、基板検査装置の動作および作用について以下に説明する。
操作者がキーボード22からFPD基板1と共に、検査の開始を指示すると、メモリ23に格納されている検査条件の中から該当するFPD基板1の条件が装置PC15に読み込まれる。
【0048】
そして、装置PC15は、読み込んだ検査条件に基づいてシーケンサ16を介して、照明部2A、照明部2Bおよびシリンドリカルレンズ30によって構成される照明手段と、絞り3、マイクロレンズアレイ4および撮像素子5から構成される撮像手段の設定を行う。また、装置PC15は、ホストコンピュータ32から送信されるFPD基板1の設計データを読み取り、下記のような条件設定を行う。
【0049】
条件設定について、図8および図9を用いて横長パターン13の検査の場合を説明し、図10および図11を用いて縦長パターン14の検査の場合を説明する。
上述したように、図8および図9は、基板1の搬送方向(図8中の矢印ハ)に対して、繰り返しパターンが横長になっている横長パターン13を検査する例である。
【0050】
この場合、照明部2Aを用いてFPD基板1を照明する。入射角θiおよび出射角θdは、FPD基板1の表面から発生する回折光の観察において、欠陥のコントラストが良好となる所望の次数の回折光が取り込める条件に設定する。
【0051】
また、図10および図11は、FPD基板1の搬送方向(図10中の矢印ハ)に対して、繰り返しパターンが縦長になっている縦長パターン14を検査する例である。
この場合、照明部2Bを用いてFPD基板1を照明する。入射角θiと出射角θdは、FPD基板1の短周期側パターンから発生する回折光の観察において、回折光が取り込める条件に設定する。なお、欠陥のコントラストが良好となるような所望の次数の回折光が取り込めるように、照明部2Bによる方位角Φiも変更するようにしてもよい。
【0052】
ただし、上述の照明部2Aと照明部2Bとの切替設定は検査対象となる繰り返しパターンの形状によっても左右され、例えば図8に示したFPD基板1上の幅方向に伸びる短周期側のパターン成分が存在しない場合は照明部2Bを用い、図10に示したFPD基板1上の搬送方向に伸びる短周期側のパターン成分が存在しない場合は照明部2Aを用いるように設定する。
【0053】
上述したように、これらの設定は、基板データと照明波長から自動的に求めているが、実際にFPD基板1を前記照明手段により照明し、前記撮像手段で撮像した回折光の強度変化を測定することで、前記各設定条件(照明条件および撮影条件等)を求めるようにしてもよい。なお、この場合、回折光の強度変化を測定する測定手段を有する。また、特に基板データが無い場合などには、ユーザーが実際にFPD基板1を基板検査装置に投入して、検査結果を検証しながら各設定を手動で行っても良い。
【0054】
そして、装置PC15は、これらの設定動作が完了した時点で、この設定条件をシーケンサ16に送信する。
シーケンサ16は、照明部2Aまたは照明部2Bの照明光の入射角θiと、撮像素子5での撮像する出射角θdと、照明部2Aあるいは照明部2Bの選択の設定条件を受け取り、光学系制御部18に対して、FPD基板1に対する照明部2Aまたは照明部2Bの照明光の入射角θiとなるように照明手段の角度を制御し、撮像素子5で撮像する出射角θdとなるように撮像手段の角度を制御する。
【0055】
これにより、照明手段(照明部2A、照明部2B、シリンドリカルレンズ30)と撮像手段(マイクロレンズアレイ4、絞り3、撮像素子5)の設定が終了する。
次に、基板搬送制御部19は、移動ステージ31をX方向に所定の速度で移動制御する。これと共に照明部2Aあるいは照明部2Bから照明光が出射され、これら照明光がシリンドリカルレンズ30により撮像エリア上のXZ面内の点Sで集光する。
【0056】
他方、撮像手段を構成する撮像素子5は、移動ステージ31のX方向への移動に同期して1ラインずつ撮像し、その1ライン毎の画像データを画像I/F20に転送する。また、画像I/F20は、撮像素子5により1ラインずつ撮像された検査画像を再構成する。
【0057】
そして、FPD基板1に対する全面走査が終了すると、画像I/F20は、FPD基板1の全面の検査画像を画像処理部17に転送する。
画像処理部17は、撮像素子5から出力され検査画像を画像I/F20を介して入力し、この検査画像を処理して合焦不良等の欠陥を抽出し、その欠陥の種類、数、位置、面積等のデータを求め、これらのデータを装置PC15に転送する。
【0058】
装置PC15は、画像処理部17から送られてきた欠陥の種類、数、位置、面積等のデータを受け取り、これらのデータをFPD基板1の種類毎の検査条件に含まれている合格基準と照合してFPD基板1の良否を判定する。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、上述の実施の形態においては、照明部2Aおよび照明部2Bを繰り返しパターンの形状によって切り替え、FPD基板1に対する照明手段の入射角θiおよび撮像手段の出射角θdを変更するので、縦長パターン14が形成されたFPD基板1を検査する場合であっても、短周期パターンから発生する回折光を撮像することができ、その検査画像からFPD基板1の検査を行うことができる。
【0060】
なお、複数の繰り返しパターンが混在し、横長パターン13と縦長パターン14が共存する共取りのFPD基板1を検査する場合には、FPD基板1の移動の際、図7に示した面切替位置27が検査エリアに差し掛かったことが検知されると、それ以降の横長パターン13または縦長パターン14に最適化された検査条件になるよう、照明手段の光量および入射角θi並びに撮像手段の出射角θdを調整する。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用される基板検査装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態等に限定されることなく、それぞれ単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0062】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、可搬記憶媒体、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記憶媒体を、基板検査装置に供給し、その基板検査装置のコンピュータがプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0063】
この場合、可搬記憶媒体等から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した可搬記憶媒体等は本発明を構成することになる。
【0064】
プログラムコードを供給するための可搬記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記憶媒体などを用いることができる。
【0065】
また、コンピュータがメモリ上に読み出したプログラムコードを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0066】
さらに、可搬型記憶媒体から読み出されたプログラムコードやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0067】
また、本発明の実施の形態では、検査対象としてFPD基板を用いて説明したが、これに限定されず、例えば、縦長パターン、横長パターン、または、縦長パターンと横長パターンが共存する基板であればよく、このようなパターンを有する半導体基板等で構わない。
【0068】
また、本発明の実施の形態では、搬送方向と一致する方向から照明する照明部2Aと、搬送方向に対して所定の角度を有する方向から照明する照明部2Bの2つの照明部を用いて説明したが、これに限定されず、例えば、図示していない照明部の移動機構を用いて照明位置を変更することで、搬送方向と一致する方向からの照明と、搬送方向に対して所定の角度を有する方向からの照明を1つの照明部により、実現するようにしてもよい。
【0069】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来の基板検査装置の原理を説明するための図(平面図)である。
【図2】従来の基板検査装置の原理を説明するための図(側面図)である。
【図3】合焦不良欠陥の観察を説明するための図である。
【図4】パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図(その1)である。
【図5】パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図(その2)である。
【図6】パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図(その3)である。
【図7】1枚のガラス基板の中に縦長パターンおよび横長パターンを持つFPD基板1の例を示す図である。
【図8】検査ユニット29による横長パターン13の検査を説明するための図(平面図)である。
【図9】検査ユニット29による横長パターン13の検査を説明するための図(側面図)である。
【図10】検査ユニット29による縦長パターン14の検査を説明するための図(平面図)である。
【図11】検査ユニット29による縦長パターン14の検査を説明するための図(側面図)である。
【図12】検査ユニット29を備える基板検査装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
1 FPD基板
2、2A、2B 照明部(光源)
3 絞り
4 マイクロレンズアレイ
5 撮像素子(ラインイメージセンサ)
6 照明光
7 正反射光
8 回折光
9 結像レンズ
10 被検体
11 コリメートレンズ
12 コリメートレンズ
13 横長パターン
14 縦長パターン
15 装置PC
16 シーケンサ
17 画像処理部
18 光学系制御部
19 基板搬送制御部
20 画像インターフェース(I/F)
21 駆動回路
22 キーボード
23 メモリ
24 画像記憶部
25 モニタTV
26 モニタTV
27 面切替位置
28 カバー
29 検査ユニット
30 シリンドリカルレンズ
31 移動ステージ
32 ホストコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的なパターンが形成された基板、例えば、半導体ウェハや、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)に用いられるディスプレイ基板などの被検体の表面を検査する基板検査装置およびその基板検査装置を制御するための基板検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトリソグラフィプロセスでは、FPDのガラス基板表面上に塗布したレジストに膜厚ムラが生じたり、あるいは塵芥等が付着すると、エッチング工程後のパターンの線幅に不良が発生したり、パターン内にピンホールや気泡等が生じるなどの欠陥が発生する原因となっている。
【0003】
また、フォトリソグラフィプロセスでは、パターン露光において合焦不良が生じると、現像後のレジストの断面形状やパターン周期が正常なものと異なり、その後のプロセスにおいて不良を生じる原因となっている。
【0004】
そこで、エッチング前のFPDガラス基板に対して、欠陥の有無の検査が行われる。このような欠陥を検査するための技術として、例えば特許文献1に開示されているような基板検査装置がある。
【0005】
図1および図2は、従来の基板検査装置の原理を説明するための図である。図1が平面図であり、図2が側面図である。
これらの図1および図2において、半導体ウェハやディスプレイ基板などの被検体10の上方には、光源を有する2つの照明部2が配置されている。これらの照明部2から出力された光束は、コリメートレンズ11により平行光束Piに整形され、被検体10に対して入射角θiでライン照明される。2つの照明部2は、コリメートレンズ11の光軸Oxiに対称な位置に設けられている。
【0006】
この被検体10の表面上で正反射または回折、散乱された光のうち出射角θdの光束は、コリメートレンズ12により収束され、結像レンズ9により被検体10の像として撮像素子(ラインイメージセンサ)5に結像される。この結像レンズ9およびラインイメージセンサ5は、コリメートレンズ12の光軸Oxd上に配置され、このうち結像レンズ9の入射瞳は、コリメートレンズ12のほぼ焦点位置に設置されている。
【0007】
これと共に被検体10は、被検体10の表面上に照射された平行光束Piに対して直行する方向(基板移動方向:図中の矢印イ方向)に移動される。この平行光束Piと被検体10との相対移動により被検体10の全体が撮像され、その検査画像が取得される。
【0008】
このような欠陥検査においては、被検体10の表面の欠陥のうち膜厚ムラ等は正反射光の明暗となって現れ、形状不良等は被検体10の周期パターンからの回折光の明暗となって観察される。このことから、出射角θdを変えて複数の検査画像を取得し、この検査画像から正常な被検体10と輝度の異なる部分を検査画像から抽出し、欠陥の種類とその位置とを得ている。
【0009】
ここで、照明部2に関して言えば、この基板検査装置の照明部2から出射される光束の基板移動方向に対する角度φiは、変更することが可能となっている。すなわち、照明部2がコリメートレンズ11に対して図中の矢印ロで示す方向に沿って相対的に移動することで基板移動方向に対する照明の方位角φiを自由に変更することが可能となる。
【0010】
角度φi=0°で固定であれば、基板移動方向に対して直角方向のパターンからの回折光成分しか取得できないが、角度φiを可変にすることで、基板移動方向に対して直角方向以外の斜めになったパターンから射出される回折光を撮像素子5まで導くことが可能となる。
【0011】
ところで、FPD基板の回折光検査においては、被検体10の観察方向によって欠陥像のコントラストが変化することがある。代表的なものに合焦不良欠陥がある。これは、パターン露光中に被検体10であるガラス基板の表面の一部で合焦不良が発生し、不良エリア内では画素ごとにパターン間隔が微妙に変化する欠陥である。
【0012】
図3は、合焦不良欠陥の観察を説明するための図である。
図3において、FPD基板1に対して入射角θiでライン照明された照射光6は、FPD基板1で正反射光7として正反射するとともに、回折した回折光8となって現れる。図3に示すように、FPD基板1のパターンは、通常、縦横比の異なる格子形状となっているが、合焦不良欠陥の観察においてはパターン周期の短い方向から照明光6を照射し、その回折光8を観察することでコントラストを良好に観察することが可能な場合が多い。
【0013】
図4、図5および図6は、パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図である。
これらの図4、図5および図6を用いて、パターン周期の短い側から発生する回折光8を撮像手段に取り込むための条件を、実際の基板検査に当てはめながら説明する。
【0014】
なお、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの短周期方向とが一致しているパターンを横長パターン13と呼び、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの長周期方向とが一致しているパターンを縦長パターン14と呼び、FPD基板1の搬送方向に平行であり、かつ撮像手段による観察光学系の光軸を含む面を平面Aと呼ぶ。また、説明を簡単にするため、観察光学系の物体側の開口数(NA:Numerical Aperture)は、各回折次数間の角度差に比べて十分小さく、1つの回折次数光(回折光8)しか撮像素子5に導くことができないものとする。
【0015】
図4において、FPD基板1上の繰返しパターンである横長パターン13は、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの短周期方向とが一致している。このような状態のFPD基板1に対して、観察光学系の光軸を含み、搬送方向に平行な平面である平面Aと平行になるように照明光6を入射させると、横長パターン13の短周期パターンからの回折光8は、平面Aの面内に沿って射出される。この際、観察光学系の光軸を、平面Aと平行になるように角度調整を行って、光軸と一致した任意の回折光8を取得し、撮像素子5に導くことで合焦不良欠陥を良好な感度で親察することが可能となる。
【0016】
ところが、図5に示すように、FPD基板1上の繰返しパターンである縦長パターン14は、FPD基板1の搬送方向とFPD基板1上の繰返しパターンの長周期方向とが一致している。このような状態のFPD基板1に対して、平面Aに平行となるように照明光6を入射させると、縦長パターン14の短周期パターンからの回折光8は、正反射光7を母線に含む円錐面に沿って射出される。この場合、観察光学系の光軸を含む平面A内には正反射光7しか存在しないので、観察光学系の光軸と、平面Aと平行になるように角度調整を行っても、縦長パターン14の短周期パターンからの回折光8を観察することは出来ず、従って欠陥を捕捉することはできない。
【0017】
これに対して、縦長パターン14の短周期パターンからの回折光8を平面Aと平行になるように配置された観察光学系に導くようにしたのが図6である。すなわち、平面Aに対して入射光6に角度φiの方位角を持たせることで正反射光7を観察光学系の光軸から外し、回折光8が平面Aと平行になるように配置された観察光学系に入射可能なようにする。これにより、縦長パターン14の短周期パターンから発生する回折光8を平面Aと平行になるように配置された観察光学系に取り込むことが可能となる。
【特許文献1】特開2004−286483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、基板パターンが縦長パターン14である場合、特許文献1のような基板検査装置を用いて合焦不良欠陥を感度良く検出しようとすると、基板の搬送方向に対して照明手段2が照明する照明光に適切な方位角を持たせ、短周期パターンから発生する回折光が撮像素子5に導かれるよう、照明光の照明角度および観察光学系の観察角度の調整を行う必要がある。ところが、特許文献1のような基板検査装置では、主に搬送方向に対して斜めになっている、つまり直角あるいは平行ではないパターンから発生する回折光による検査を想定しており、パターンの基本形状が搬送方向に対して縦長であるか横長であるかの何れかである基板に対して、最適な観察を行う制御を行うことができない、という問題点があった。
【0019】
また、基板の中には、いわゆる共取り基板と呼ばれ、1枚のガラス基板の中に縦長パターンと横長パターンを持つ基板が存在することがある。
図7は、1枚のガラス基板の中に縦長パターンおよび横長パターンを持つFPD基板1の例を示す図である。
【0020】
図7に示した例は、FPD基板1の搬送方向に対してFPD基板パターンが縦長パターン14である面が1つ存在し、FPD基板1の搬送方向に対してFPD基板パターンが横長パターン13である面が2つ存在している。このような場合、合焦不良欠陥を最も感度良く取得するには面が切り替わる面切替位置27の前後それぞれで、照明光の照明角度および観察光学系の観察角度を最適に調整しなければならないが、特許文献1のような基板検査装置では、必要な観察条件を最適化することができない、という問題点があった。
【0021】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、基板パターンの基本形状が長方形であり、長方形の短辺、長辺の何れか一辺が搬送方向と平行となっている基板の回折光観察において、合焦不良欠陥などの観察方向によって欠陥検出感度が変化し、不安定である欠陥に対して、欠陥検出感度を安定させるための基板検査装置およびその基板検査装置を制御するための基板検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の基板検査装置は、同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の基板検査装置は、さらに、前記基板に関する基板情報を格納する基板情報格納手段を備え、前記切替手段が、予めメモリに格納された前記基板情報に基づいて、前記第1の方向と前記第2の方向とを切替えることが望ましい。
【0024】
また、本発明の基板検査装置は、前記基板情報格納手段が、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの長い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である縦長パターンであるのか、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの短い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である横長パターンであるのかという情報を含み、前記切替手段が、前記繰り返しパターンが前記縦長パターンであれば、前記照射方向を前記第2の方向に切替え、前記繰り返しパターンが前記横長パターンであれば、前記照射方向を前記第1の方向に切替えることが望ましい。
【0025】
また、本発明の基板検査装置は、さらに、前記照明手段による照明光の照明角度および前記撮像手段による撮像の撮像角度を変化させた際の回折光の強度変化を測定する測定手段を備え、前記照明手段が、前記測定手段によって測定された前記強度変化に基づいて照明条件を定め、前記照明条件に基づいて前記照明光を照射することが望ましい。
【0026】
また、本発明の一態様によれば、本発明の基板検査プログラムは、基板検査装置のコンピュータを、同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段として機能させることを特徴とする基板検査プログラムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基板パターンの基本形状が長方形形状の基板において、基板の搬送方向に対して、平行方向、直角方向の何れのパターンの回折光を用いて検査するかを選択することが可能となる。
【0028】
また、本発明によれば、基板上のパターンに対する観察方向によって検出感度が変化する欠陥に対して、安定した検出感度で検査を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。すべての図面において、実施の形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0030】
まず、本発明の概要を説明する。
すなわち、本発明は、基板に形成された基板パターンの基本形状が長方形形状である場合において、基板の搬送方向に対して基板パターンの長辺、あるいは短辺のどちらが平行であるかという情報に基づき、基板を照明する照明光の照明角度、基板パターンからの回折光を撮像する撮像角度のどちらか一方、あるいは両方を切り換え可能なように構成された基板検査装置である。
【0031】
また、本発明は、異なる基板パターン形状が混在し、基板の面内の任意の位置で縦長パターン14と横長パターン13とが切り替わる場合、基板を照明する照明光の照明角度、基板パターンからの回折光を撮像する撮像角度のどちらか一方、あるいは両方を縦長パターン14と横長パターン13が切り替わる位置において、切り換え可能に構成された基板検査装置である。
【0032】
次に、図8、図9、図10、図11および図12を用いて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図8および図9は、検査ユニット29による横長パターン13の検査を説明するための図であり、図8は、検査ユニット29の平面図であり、図9は、検査ユニット29の側面図である。また、図10および図11は、検査ユニット29による縦長パターン14の検査を説明するための図であり、図10は、検査ユニット29の平面図であり、図11は、検査ユニット29の側面図である。そして、図12は、検査ユニット29を備える基板検査装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
まず、主に図8および図9を用いて、検査ユニット29の構成について説明する。
FPD基板1は、その表面に基本形状が長方形である格子パターンが形成されている。また、FPD基板1は、図示しない搬送装置によって図8中の矢印ハ(X方向)に沿って搬送可能になっている。さらに、FPD基板1の上方には検査ユニット29が設置されており基板検査装置の主要部分を構成している。
【0034】
カバー28によって囲われた検査ユニット29の内部には、光源を有する照明部2Aおよび照明部2Bとして、例えばラインファイバを有する。照明部2Aは、照明光を射出する射出端面において、照明光が幅方向に対して垂直に射出するラインファイバであり、照明部2Bは、照明光が搬送方向に対して方位角φi(図10参照)で射出するラインファイバである。それぞれの照明部2Aおよび照明部2Bから射出された光束は、シリンドリカルレンズ30により点SにおいてXZ平面内で焦点を結ぶよう構成されている。なお、これらの照明部2A、照明部2Bおよびこれらに接続されたシリンドリカルレンズ30によって構成される照明手段は、図示しない駆動機構により、点Sを中心として回転可能に構成され、照明手段による照明光の入射角θiを可変にする。
【0035】
他方、観察側の光学系である撮像手段は以下のように構成されている。
まず、撮像素子5は、例えば密着型ラインCCD(Charge Coupled Device)であり、FPD基板1の幅方向に沿って画素が並んでいる。撮像素子5には撮像素子5の画素周期と一致する間隔でレンズが配置されたマイクロレンズアレイ4が取り付けられている。また、マイクロレンズアレイ4に入射する光束を最適に規制するため、撮像素子5の画素ピッチと一致する一定間隔で穴が設けられた絞り3がマイクロレンズアレイ4の瞳位置に配置されている。これらの撮像素子5、マイクロレンズアレイ4および絞り3によって構成される撮像手段は、点Sを中心として、図示しない駆動機構により回転可能に構成され、撮像手段により撮像する出射角θdを可変とする。
【0036】
次に、図12を説明の中心にし、補足的に図8乃至図11を用いて、基板検査装置の構成、動作機能および作用について説明する。
図12において、基板搬送制御部19は、FPD基板1を吸着および支持する移動ステージ31をX方向に所定の速度で移動制御するとともに、この移動ステージ31の位置決め制御を行なう機能を有する。
【0037】
光学系制御部18は、照明部2Aおよび照明部2Bの光量を調整する。また、光学系制御部18は、照明部2A、照明部2Bおよびシリンドリカルレンズ30から構成される照明手段による照明光の入射角θiを可変制御する機能を有し、また、絞り3、マイクロレンズアレイ4および撮像素子5から構成される撮像手段により撮像する出射角θdを可変制御する機能を有する。
【0038】
検査を開始する際、FPD基板1に対して、照明部2Aおよび照明部2Bの何れを用いるかは、装置PC15に接続された上位側のホストコンピュータ32上に格納され、ホストコンピュータ32から通信で送られてくるFPD基板1基板情報(例えば、搬送方向に対してのパターン情報、パターンの形状情報、パターンが切替わる位置情報等)に基づいて決定される。ここでの決定のための条件設定は以下の通りである。なお、基板情報は、予め入力されている設計データから取得しても良いし、検査開始前に、手動で入力するようにして取得しても良い。
【0039】
まず、FPD基板1上のパターンが、FPD基板1の搬送方向に対して縦長の縦長パターン14であるか横長の横長パターン13であるか判断する。ここで、横長パターン13であれば基本的には照明部2Aを用い、縦長パターン14であれば照明部2Bを用いる。ただし、工程や種類毎にFPD基板1上のパターン形状が異なり、場合によっては短周期側、あるいは長周期側のパターン成分が存在しない場合もあり得る。例えば、縦長ではあるが短周期側のパターン成分が存在しない場合、照明部2Bを用いても、短周期側のパターンから回折光は発生しないので、回折光を用いた検査が出来ない。その場合は、照明部2Aを用いる。
【0040】
逆に、横長ではあるが短周期側のパターン成分が存在しない場合も同様の考えで、この場合は照明部2Bを用いる。要するに、照明部2Aか照明部2Bの選択に関しては、パターンが搬送方向に対して横長であるか縦長であるかという基準に加え、パターン形状の情報に基づいて判断する機能を有する。
【0041】
次に、照明部2Aが選択されると、欠陥観察が最適化されるよう、照明手段による入射角θiと撮像手段による出射角θdが決定される。すなわち、パターン周期と照明波長から、次数毎の回折角度を求め、所望の次数の回折光が、撮像手段に取り込まれる条件になるよう設定される。この設定は、基本的にパターン形状等のホストコンピュータ32上に格納されている基板情報から自動で求められるようになっているが、基板情報が不明な場合は、ユーザーが手動で条件設定できる機能を有する。また、照明部2Bが選択されると、欠陥観察が最適化されるように、照明部2Aが選択された場合と同様に、照明手段による入射角θiと撮像手段による出射角θdが決定され、照明手段による入射角θiと撮像手段による出射角θdが設定される。また、所望の次数の回折光が、撮像手段に取り込まれるように、照明部2Bによる方位角φiも変更できるようになっている。なお、一度設定された検査条件をメモリ23に記憶させ、同様の検査条件が有効であるFPD基板1が搬送された際、メモリ23から装置PC15に検査条件を呼び出すことも可能である。
【0042】
また、共取り基板(1枚のガラス基板の中に縦長パターンと横長パターンを持つ基板)を検査する場合は、搬送方向に沿った、横長パターン13と縦長パターン14とが切替わる位置の前後で、撮像条件を最適化する調整機能を有する。すなわち、検査時に、図示していない位置検出手段により搬送装置の位置を検出しながらFPD基板1を搬送し、図7に示したような面切替位置27が検査エリア内に差し掛かると、それ以降の横長パターン13または縦長パターン14に最適化された検査条件に切り換える機能を有する。なお、面切替位置は、予め記憶されている基板情報、または、メモリ23に記憶されている検査条件に基づいて決定するようにしても良いし、別に、横長パターン13と縦長パターン14とが切替わる位置を検出する手段を設けて決定するようにしてもよい。
【0043】
撮像素子5は、駆動回路21および画像インターフェース(I/F)20と接続されている。駆動回路21は、基板搬送制御部19に同期して撮像素子5を駆動する機能を有する。画像I/F20は、撮像素子5により撮像された検査画像を画像処理部17に転送するもので、1ラインずつ撮像された検査画像を再構成する機能を有する。
【0044】
画像処理部17は、装置PC15によって制御され、撮像素子5から出力され検査画像を画像I/F20を介して入力し、この検査画像を処理して合焦不良等の欠陥を抽出し、その欠陥の種類、数、位置、面積等のテ一夕を求め、これらのデータを装置PC15に転送する機能を有する。また、画像処理部17には、モニタテレビジョン(モニタTV)26および画像記憶部24が接続され、検査画像やその処理画像をモニタTV26に表示し、必要に応じて検査画像やその処理画像を画像記憶部24に保存する機能を有する。
【0045】
装置PC15は、画像処理部17から送られてきた欠陥の種類、数、位置、面積等のデータを受け取り、これらのデータをFPD基板1の種類毎の検査条件(光学系の設定、検査面積、画像処理の条件等)に含まれている合格基準と照合してFPD基板1の良否を判定する機能を有する。
【0046】
この装置PC15には、メニュー画面を表示するモニタTV25と、基板検査装置に必要なメニューを指示するためのキーボート22と、FPD基板1の種類毎の上記検査条件および検査データ等を保存するためのメモリ23とが接続されている。また、装置PC15には、シーケンサ16を介して上述した基板搬送制御部19、光学系制御部18および駆動回路21が接続されている。
【0047】
次に、基板検査装置の動作および作用について以下に説明する。
操作者がキーボード22からFPD基板1と共に、検査の開始を指示すると、メモリ23に格納されている検査条件の中から該当するFPD基板1の条件が装置PC15に読み込まれる。
【0048】
そして、装置PC15は、読み込んだ検査条件に基づいてシーケンサ16を介して、照明部2A、照明部2Bおよびシリンドリカルレンズ30によって構成される照明手段と、絞り3、マイクロレンズアレイ4および撮像素子5から構成される撮像手段の設定を行う。また、装置PC15は、ホストコンピュータ32から送信されるFPD基板1の設計データを読み取り、下記のような条件設定を行う。
【0049】
条件設定について、図8および図9を用いて横長パターン13の検査の場合を説明し、図10および図11を用いて縦長パターン14の検査の場合を説明する。
上述したように、図8および図9は、基板1の搬送方向(図8中の矢印ハ)に対して、繰り返しパターンが横長になっている横長パターン13を検査する例である。
【0050】
この場合、照明部2Aを用いてFPD基板1を照明する。入射角θiおよび出射角θdは、FPD基板1の表面から発生する回折光の観察において、欠陥のコントラストが良好となる所望の次数の回折光が取り込める条件に設定する。
【0051】
また、図10および図11は、FPD基板1の搬送方向(図10中の矢印ハ)に対して、繰り返しパターンが縦長になっている縦長パターン14を検査する例である。
この場合、照明部2Bを用いてFPD基板1を照明する。入射角θiと出射角θdは、FPD基板1の短周期側パターンから発生する回折光の観察において、回折光が取り込める条件に設定する。なお、欠陥のコントラストが良好となるような所望の次数の回折光が取り込めるように、照明部2Bによる方位角Φiも変更するようにしてもよい。
【0052】
ただし、上述の照明部2Aと照明部2Bとの切替設定は検査対象となる繰り返しパターンの形状によっても左右され、例えば図8に示したFPD基板1上の幅方向に伸びる短周期側のパターン成分が存在しない場合は照明部2Bを用い、図10に示したFPD基板1上の搬送方向に伸びる短周期側のパターン成分が存在しない場合は照明部2Aを用いるように設定する。
【0053】
上述したように、これらの設定は、基板データと照明波長から自動的に求めているが、実際にFPD基板1を前記照明手段により照明し、前記撮像手段で撮像した回折光の強度変化を測定することで、前記各設定条件(照明条件および撮影条件等)を求めるようにしてもよい。なお、この場合、回折光の強度変化を測定する測定手段を有する。また、特に基板データが無い場合などには、ユーザーが実際にFPD基板1を基板検査装置に投入して、検査結果を検証しながら各設定を手動で行っても良い。
【0054】
そして、装置PC15は、これらの設定動作が完了した時点で、この設定条件をシーケンサ16に送信する。
シーケンサ16は、照明部2Aまたは照明部2Bの照明光の入射角θiと、撮像素子5での撮像する出射角θdと、照明部2Aあるいは照明部2Bの選択の設定条件を受け取り、光学系制御部18に対して、FPD基板1に対する照明部2Aまたは照明部2Bの照明光の入射角θiとなるように照明手段の角度を制御し、撮像素子5で撮像する出射角θdとなるように撮像手段の角度を制御する。
【0055】
これにより、照明手段(照明部2A、照明部2B、シリンドリカルレンズ30)と撮像手段(マイクロレンズアレイ4、絞り3、撮像素子5)の設定が終了する。
次に、基板搬送制御部19は、移動ステージ31をX方向に所定の速度で移動制御する。これと共に照明部2Aあるいは照明部2Bから照明光が出射され、これら照明光がシリンドリカルレンズ30により撮像エリア上のXZ面内の点Sで集光する。
【0056】
他方、撮像手段を構成する撮像素子5は、移動ステージ31のX方向への移動に同期して1ラインずつ撮像し、その1ライン毎の画像データを画像I/F20に転送する。また、画像I/F20は、撮像素子5により1ラインずつ撮像された検査画像を再構成する。
【0057】
そして、FPD基板1に対する全面走査が終了すると、画像I/F20は、FPD基板1の全面の検査画像を画像処理部17に転送する。
画像処理部17は、撮像素子5から出力され検査画像を画像I/F20を介して入力し、この検査画像を処理して合焦不良等の欠陥を抽出し、その欠陥の種類、数、位置、面積等のデータを求め、これらのデータを装置PC15に転送する。
【0058】
装置PC15は、画像処理部17から送られてきた欠陥の種類、数、位置、面積等のデータを受け取り、これらのデータをFPD基板1の種類毎の検査条件に含まれている合格基準と照合してFPD基板1の良否を判定する。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、上述の実施の形態においては、照明部2Aおよび照明部2Bを繰り返しパターンの形状によって切り替え、FPD基板1に対する照明手段の入射角θiおよび撮像手段の出射角θdを変更するので、縦長パターン14が形成されたFPD基板1を検査する場合であっても、短周期パターンから発生する回折光を撮像することができ、その検査画像からFPD基板1の検査を行うことができる。
【0060】
なお、複数の繰り返しパターンが混在し、横長パターン13と縦長パターン14が共存する共取りのFPD基板1を検査する場合には、FPD基板1の移動の際、図7に示した面切替位置27が検査エリアに差し掛かったことが検知されると、それ以降の横長パターン13または縦長パターン14に最適化された検査条件になるよう、照明手段の光量および入射角θi並びに撮像手段の出射角θdを調整する。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用される基板検査装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態等に限定されることなく、それぞれ単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0062】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、可搬記憶媒体、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記憶媒体を、基板検査装置に供給し、その基板検査装置のコンピュータがプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0063】
この場合、可搬記憶媒体等から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した可搬記憶媒体等は本発明を構成することになる。
【0064】
プログラムコードを供給するための可搬記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記憶媒体などを用いることができる。
【0065】
また、コンピュータがメモリ上に読み出したプログラムコードを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0066】
さらに、可搬型記憶媒体から読み出されたプログラムコードやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0067】
また、本発明の実施の形態では、検査対象としてFPD基板を用いて説明したが、これに限定されず、例えば、縦長パターン、横長パターン、または、縦長パターンと横長パターンが共存する基板であればよく、このようなパターンを有する半導体基板等で構わない。
【0068】
また、本発明の実施の形態では、搬送方向と一致する方向から照明する照明部2Aと、搬送方向に対して所定の角度を有する方向から照明する照明部2Bの2つの照明部を用いて説明したが、これに限定されず、例えば、図示していない照明部の移動機構を用いて照明位置を変更することで、搬送方向と一致する方向からの照明と、搬送方向に対して所定の角度を有する方向からの照明を1つの照明部により、実現するようにしてもよい。
【0069】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】従来の基板検査装置の原理を説明するための図(平面図)である。
【図2】従来の基板検査装置の原理を説明するための図(側面図)である。
【図3】合焦不良欠陥の観察を説明するための図である。
【図4】パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図(その1)である。
【図5】パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図(その2)である。
【図6】パターン周期の短い側から発生する回折光を観察するための条件を説明するための図(その3)である。
【図7】1枚のガラス基板の中に縦長パターンおよび横長パターンを持つFPD基板1の例を示す図である。
【図8】検査ユニット29による横長パターン13の検査を説明するための図(平面図)である。
【図9】検査ユニット29による横長パターン13の検査を説明するための図(側面図)である。
【図10】検査ユニット29による縦長パターン14の検査を説明するための図(平面図)である。
【図11】検査ユニット29による縦長パターン14の検査を説明するための図(側面図)である。
【図12】検査ユニット29を備える基板検査装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
1 FPD基板
2、2A、2B 照明部(光源)
3 絞り
4 マイクロレンズアレイ
5 撮像素子(ラインイメージセンサ)
6 照明光
7 正反射光
8 回折光
9 結像レンズ
10 被検体
11 コリメートレンズ
12 コリメートレンズ
13 横長パターン
14 縦長パターン
15 装置PC
16 シーケンサ
17 画像処理部
18 光学系制御部
19 基板搬送制御部
20 画像インターフェース(I/F)
21 駆動回路
22 キーボード
23 メモリ
24 画像記憶部
25 モニタTV
26 モニタTV
27 面切替位置
28 カバー
29 検査ユニット
30 シリンドリカルレンズ
31 移動ステージ
32 ホストコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、
前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、
前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記基板に関する基板情報を格納する基板情報格納手段と、
を備え、
前記切替手段は、予めメモリに格納された前記基板情報に基づいて、前記第1の方向と前記第2の方向とを切替えることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記基板情報格納手段は、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの長い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である縦長パターンであるのか、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの短い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である横長パターンであるのかという情報を含み、
前記切替手段は、前記繰り返しパターンが前記縦長パターンであれば、前記照射方向を前記第2の方向に切替え、前記繰り返しパターンが前記横長パターンであれば、前記照射方向を前記第1の方向に切替えることを特徴とする請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記照明手段による照明光の照明角度および前記撮像手段による撮像の撮像角度を変化させた際の回折光の強度変化を測定する測定手段と、
を備え、
前記照明手段は、前記測定手段によって測定された前記強度変化に基づいて照明条件を定め、前記照明条件に基づいて前記照明光を照射することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
基板検査装置のコンピュータを、
同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、
前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、
前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段と、
して機能させることを特徴とする基板検査プログラム。
【請求項1】
同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、
前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、
前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記基板に関する基板情報を格納する基板情報格納手段と、
を備え、
前記切替手段は、予めメモリに格納された前記基板情報に基づいて、前記第1の方向と前記第2の方向とを切替えることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記基板情報格納手段は、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの長い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である縦長パターンであるのか、前記繰り返しパターンが前記縦横サイズの短い方の方向と前記基板の搬送方向と一致する前記第1の方向とが同一方向である横長パターンであるのかという情報を含み、
前記切替手段は、前記繰り返しパターンが前記縦長パターンであれば、前記照射方向を前記第2の方向に切替え、前記繰り返しパターンが前記横長パターンであれば、前記照射方向を前記第1の方向に切替えることを特徴とする請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記照明手段による照明光の照明角度および前記撮像手段による撮像の撮像角度を変化させた際の回折光の強度変化を測定する測定手段と、
を備え、
前記照明手段は、前記測定手段によって測定された前記強度変化に基づいて照明条件を定め、前記照明条件に基づいて前記照明光を照射することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
基板検査装置のコンピュータを、
同一パターンの繰り返しである繰返しパターンが表面に形成されたシート状の基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記基板に対して線状の照明光を照射する照明手段と、
前記照明手段によって照明された前記基板の線状領域の画像を撮像する撮像手段と、
前記照明手段を制御することにより、前記照明手段によって照射される線状の照明光の照射方向を、前記搬送手段によって搬送される前記基板の搬送方向と一致する第1の方向と、前記搬送方向に対して所定の角度を有する第2の方向とで切替える切替手段と、
前記繰り返しパターンの縦横サイズが縦方向と横方向とで異なる長さである場合、前記切替手段によって前記照射方向を切替え、前記縦横サイズの短い方から発生する回折光が取り込めるように、前記照明手段が照射する照明光の照明角度と前記撮像手段によって撮像するための撮像角度とを調整する調整手段と、
して機能させることを特徴とする基板検査プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−186264(P2009−186264A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25063(P2008−25063)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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