説明

基板検査装置

【課題】剥離帯電によって発生する静電気の量を低減することができ、基板の平面度が出し易い基板検査装置を提供すること。
【解決手段】検査対象の基板Sを下面から照明する透過照明ユニット4と、基板の上面に沿って移動され、基板の像を結像する顕微鏡8とを備えた基板検査装置1は、透過照明ユニットの上面に、柱状をなし、互いに所定の間隔をおいて互いの軸線と平行に複数立設され、基板を支持すると共に、軸線方向に沿った長さを調整自在な支持部材5を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査基板を下面から照明し、検査基板の上面から顕微鏡によって観察又は検査する透過照明型の基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に用いられるガラス基板等の基板の検査においては、基板を載置したガラス板の下面から基板を照明し、ガラス板の上方から基板を検査する、いわゆる透過照明型の基板検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された基板検査装置は、板面同士を接してガラス板上に基板を載置するため、検査終了後に基板を搬出するために持ち上げた際、剥離帯電によって基板に静電気が発生し、発生した静電気の放電によって基板上に形成したパターンを損傷することがあった。
【0003】
一方、基板表面を傷つけることがなく、撓みや振動の発生を抑えるために複数の支持ピンによって基板を支持するガラス基板保持具が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示された複数の支持ピンを使用すると、前記ガラス板で発生する剥離帯電を防止することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−351810号公報
【特許文献2】特開2000−7146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示されたガラス基板保持具は、複数の支持ピンで基板を支持した際に基板の平面度を出し難いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、剥離帯電によって発生する静電気の量を低減することができ、基板の平面度が出し易い基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の基板検査装置は、検査対象の基板を下面から照明する透過照明ユニットと、前記基板の上面に沿って移動され、前記基板の像を取得する顕微鏡とを備えた基板検査装置において、前記透過照明ユニットの上面に、柱状をなし、互いに所定の間隔をおいて互いの軸線と平行に複数立設され、前記基板を支持すると共に、前記軸線方向に沿った長さを調整自在な支持部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透過照明ユニットの上面、柱状をなし、互いに所定の間隔をおいて互いの軸線と平行に複数立設され、基板を支持すると共に、軸線方向に沿った長さを調整自在な支持部材を有するので、従来に比べて基板と支持部材との接触面積が低減され、剥離帯電によって発生する静電気の量を低減することができるうえ、各支持部材の位置で軸線方向に沿った支持部材の長さを調整することができるので、基板の平面度が出し易いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る基板検査装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る基板検査装置で使用する透過照明ユニットの内部構造を示す断面正面図である。
【図3】図3は、支持ピンの構造を説明する部分断面正面図である。
【図4】図4は、図3のA部拡大図である。
【図5】図5は、図4に示す支持ピンにおいて、ねじ穴に対するねじの螺合量を調整することで、軸線方向に沿った長さを調節した状態を示す拡大図である。
【図6】図6は、不透明素材を用いた支持ピンにおける上部材の要部を示す断面正面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2に係る基板検査装置の透過照明ユニットを示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の基板検査装置に係る実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る基板検査装置を示す斜視図である。基板検査装置1は、図1に示すように、基台2の上面の中央に設置され、平面光源4を有する透過照明ユニット3と、透過照明ユニット3の上面に複数立設される支持ピン5と、透過照明ユニット3の両側に配置される2つのガイド部材6と、顕微鏡8を移動自在に支持する門型アーム7と、制御部9とを有している。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る基板検査装置で使用する透過照明ユニットの内部構造を示す断面正面図である。透過照明ユニット3は、図1に示すように、基台2の上面に設けた2つのガイド部材6の間に配置されている。透過照明ユニット3は、図2に示すように、本体3aに形成した凹部3bの全体にLEDを用いて構成される平面光源4が敷設され、上部が透明カバー3cで覆われている。
【0013】
図3は、支持ピンの構造を説明する部分断面正面図である。図4は、図3のA部拡大図である。支持ピン5は、透過照明ユニット3の上面に、柱状をなし、互いに所定の間隔をおいて互いの軸線と平行に複数立設され、基板Sを支持すると共に、軸線方向に沿った長さが調整自在な支持部材である。支持ピン5は、透明な素材、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂から成形されており、図3に示すように、軸線方向である長手方向に沿った中間で上部材5aと下部材5bとに分割されている。下部材5bには、図4に示すように、上部材5aに形成したねじ穴5cに螺合して支持ピン5の軸線Axの方向に沿った長さを調整するねじ5dが一体に設けられている。
【0014】
このように、支持ピン5の全体を透明素材から成形すると、下方の透過照明ユニット3から検査対象の基板Sに照明光を照射した際、照明光が支持ピン5を透過するので、支持ピン5の影が基板Sに生じない。このため、検査対象の基板Sは、透過照明ユニット3から照射される照明光によって均一な明るさに照明される。
【0015】
ガイド部材6は、図1に示すように、門型アーム7を基板Sの搬入方向(図中X方向)に沿って案内する2本のガイドレール6aが上面に設置されている。
【0016】
門型アーム7は、図1に示すように、各ガイド部材6の上に配置される支柱7aと、2本の支柱7aに支持される支持アーム7bとを有している。支柱7aの内部には、門型アーム7をX方向に沿って移動させる駆動機構が配置されている。支持アーム7bの基板Sの搬入方向(図中X方向)と直交する一方の側面には、顕微鏡8を基板Sの搬入方向(図中X方向)と直交する方向(図中Y方向)に沿って移動自在に支持する2本のガイドレール7cが設けられている。支持アーム7bの内部には、顕微鏡8をガイドレール7c沿ったY方向へ移動させる駆動機構が内部に配置されている。
【0017】
顕微鏡8は、図1に示すように、門型アーム7によって検査対象の基板Sの上方を基板Sの搬入方向(図中X方向)及びの所望の位置へ移動され、透過照明ユニット3によって下面から照明される検査対象の基板Sの搬入方向(図中X方向)と直交する方向(図中Y方向)に沿った像を取得し、その画像信号を制御部9へ出力する。
【0018】
制御部9は、基板検査装置1の作動を制御するもので、例えば、マイクロコンピュータが使用される。制御部9は、基板Sについて事前に行なったマクロ検査による欠陥位置情報が入力され、この欠陥位置情報に基づいて門型アーム7の移動位置を制御し、顕微鏡8を欠陥位置へ移動させる。また、制御部9は、顕微鏡8から入力される画像信号を画像処理し、マクロ検査による基板Sの欠陥をミクロ的に判定する。
【0019】
基板検査装置1は、図示しない基板搬送装置(ロボット)によって搬入される検査対象の基板Sを複数の支持ピン5によって支持し、事前に行なったマクロ検査による基板S上の欠陥位置情報に基づく欠陥位置へ顕微鏡8を門型アーム7によって移動する。欠陥位置へ移動された顕微鏡8は、基板Sの欠陥位置において顕微鏡8が取得した像の画像信号を制御部9へ出力する。そして、制御部9は、画像信号を画像処理することによりマクロ検査による基板Sの欠陥をミクロ的に判定する。なお、基板検査装置1は、上記マクロ検査による欠陥位置情報に基づく他、予め入力された位置情報に基づいて基板S上の特定位置をミクロ的に判定する場合もある。
【0020】
ここで、顕微鏡8による基板Sの像を取得する際、複数の支持ピン5によって支持された基板Sが撓む等、平面度が確保されていないと、以下のような問題が生じる。即ち、基板Sの平面度が確保されていないと、平面光源4による透過照明によって基板Sの下面を均一に照明しても、顕微鏡8と基板Sの上面との距離が変化してしまい、顕微鏡8が取得した基板Sの像の鮮明度が低下してしまう部分が発生する。
【0021】
このため、基板検査装置1では、上部材5aに対して下部材5bを相対回転させることにより、図5に示すように、ねじ穴5cに対するねじ5dの螺合量を調整することで、支持ピン5の軸線Axの方向に沿った長さを調節する。これにより、基板Sは、欠陥位置において顕微鏡8に対する高さが調整され、平坦度を向上させることができる。この結果、基板検査装置1は、検査対象の基板Sの欠陥位置において、顕微鏡8による鮮明度の高い像を取得することができる。
【0022】
しかも、基板検査装置1は、複数の支持ピン5によって基板Sを支持することにより、ガラス板上に基板Sを載置する従来に比べて複数の支持ピン5と基板Sとの接触面積を低減している。このため、基板検査装置1は、検査終了後の基板Sを搬出するために持ち上げた際、剥離帯電によって発生する静電気の量を従来よりも低減することができる。
【0023】
更に、基板検査装置1は、図1に示すように、透明カバー3cの上面に検査対象の基板Sを支持する複数の支持ピン5が互いに所定の間隔をおいて複数立設されている。このため、基板検査装置1は、図示しない基板搬送装置(ロボット)との間で検査対象の基板Sを受け渡す際、所定の間隔をおいて立設した支持ピン5の間にロボットアームを挿通すれば、別途リフタ機構等を設けることなく基板Sを直接受け渡すことができる。従って、基板検査装置1は、基板Sの1枚当たりに要する検査時間を短縮することができ、装置構成が簡単となり、安価に製作することができる。
【0024】
尚、実施の形態1では、支持ピン5は、全体を透明とした。しかし、透過照明ユニット3から照射される照明光によって基板Sの下面を全面に亘って均一に照明することができれば、支持ピン5は、少なくとも先端部分が透明であればよく、例えば、上部材5aのみを透明部材としてもよい。
【0025】
また、支持ピン5は、ねじ5dを金属とし、ねじ5dと下部材5bとを一体にモールド成形してもよい。更に、支持ピン5は、ねじ穴5cに螺合するねじ5dに代えて、ねじ5dを金属とする場合と同様に、一端を突出させて位置決めピンの他端を下部材5bと一体にモールド成形し、この位置決めピンを利用して上部材5aと下部材5bとの間にスペーサを配置してもよい。
【0026】
(変形例1)
図6は、不透明素材を用いた支持ピンにおける上部材の要部を示す断面正面図である。本発明の支持ピンは、軸線方向に沿った長さを調整することができれば、支持ピン5に代えてアルミニウム等の不透明素材からなる支持ピンとしてもよい。不透明素材を用いた支持ピンとした場合、図6に示すように、支持ピン51は、基板Sと当接する上部材51aの上部に凹部51bが形成され、凹部51bにLEDからなる補助光源52が埋設されると共に、凹部51bの開口に拡散板53が設けられている。
【0027】
この場合、支持ピン5は、ねじ穴5cの表面及びねじ5dを導電性金属とすることで、補助光源52への給電路を確保する。
【0028】
このように補助光源52を使用すると、支持ピン51は、透過照明ユニット3から照射される照明光の支持ピン51による影が生ずる基板Sの部分を補助光源52によって照明することができ、基板Sの下面を全面に亘って一定以上の明るさに均一に照明することができる。
【0029】
なお、基板Sの厚さ,補助光源52の明るさ或いは支持ピン5の本数によっては、拡散板53は設けなくてもよい。また、支持ピン51は、透明素材を使用して先端部分を透明としてもよく、例えば、上部材51aのみを透明部材としてもよい。
【0030】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る基板検査装置について説明する。実施の形態1の基板検査装置は、LEDからなる平面光源を有する透過照明ユニットを使用し、複数の支持ピンを透過照明ユニットの透明カバー上に設けた。これに対し、実施の形態2の基板検査装置は、蛍光灯を有する透過照明ユニットを使用し、複数の支持ピンを透過照明ユニットの拡散板上に設けている。ここで、実施の形態2の基板検査装置は、実施の形態1の基板検査装置と比べて透過照明ユニットの構成が異なることを除き、他の構成は同一であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明している。
【0031】
図7は、本発明の実施の形態2に係る基板検査装置の透過照明ユニットを示す断面正面図である。透過照明ユニット31は、図7に示すように、本体31aに形成した凹部31bに複数の蛍光灯32が配列されており、各蛍光灯32に反射板33が設けられると共に、上部が拡散板34で覆われている。ここで、反射板33は、半円筒に成形され、両側縁が拡散板34の下面に当接している。拡散板34の上面には、検査対象の基板Sを支持する複数の支持ピン5が互いに所定の間隔をおいて複数立設されている。
【0032】
このように、蛍光灯32を光源として使用する場合、蛍光灯32は線光源となる傾向がある。このため、蛍光灯32が出射する照明光を拡散板34によって拡散させることにより、実施の形態2に係る基板検査装置は、基板Sの下面を全面に亘って均一な明るさに照明している。
【0033】
実施の形態2の基板検査装置は、上部材5aに対して下部材5bを相対回転させることによりねじ穴5cに対するねじ5dの螺合量を調整する。これにより、基板Sは、欠陥位置において顕微鏡8に対する高さが調整され、平坦度を向上させることができる。この結果、基板検査装置1は、検査対象の基板Sの欠陥位置において、顕微鏡8による鮮明度の高い像を取得することができる。
【0034】
また、実施の形態2の基板検査装置は、複数の支持ピン5によって基板Sを支持することにより、ガラス板上に基板Sを載置する従来に比べて複数の支持ピン5と基板Sとの接触面積を低減している。このため、実施の形態2の基板検査装置は、検査終了後の基板Sを搬出するために持ち上げた際、剥離帯電によって発生する静電気の量を従来よりも低減することができる。しかも、実施の形態2の基板検査装置は、反射板33によって拡散板34を支持することができ、透過照明ユニット31が蛍光灯32を使用するので、透過照明ユニット3よりも安価になる。
【0035】
尚、実施の形態2の基板検査装置で使用する支持ピン5は、実施の形態1の支持ピン5と同様に、少なくとも先端部分が透明であればよく、例えば、上部材5aのみを透明部材としてもよいし、スペーサによって軸線方向に沿った長さを調整するようにしてもよい。また、軸線方向に沿った長さを調整することができれば、支持ピンは、凹部51bにLEDからなる補助光源52を埋設した図6に示す支持ピン51を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明の基板検査装置は、剥離帯電によって発生する静電気の量を低減し、基板の平面度を出すのに有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 基板検査装置
2 基台
3 透過照明ユニット
3a 本体
3b 凹部
3c 透明カバー
4 平面光源
5 支持ピン
5a 上部材
5b 下部材
5c ねじ穴
5d ねじ
6 ガイド部材
6a ガイドレール
7 門型アーム
7a 支柱
7b 支持アーム
7c ガイドレール
8 顕微鏡
9 制御部
31 透過照明ユニット
31a 本体
31b 凹部
32 蛍光灯
33 反射板
34 拡散板
51 支持ピン
51a 上部材
51b 凹部
52 補助光源
53 拡散板
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板を下面から照明する透過照明ユニットと、前記基板の上面に沿って移動され、前記基板の像を取得する顕微鏡とを備えた基板検査装置において、
前記透過照明ユニットの上面に、柱状をなし、互いに所定の間隔をおいて互いの軸線と平行に複数立設され、前記基板を支持すると共に、前記軸線方向に沿った長さを調整自在な支持部材を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記軸線方向に沿った中間で分割されると共に、分割された一方に、他方に形成したねじに螺合して前記軸線方向に沿った長さを調整するねじ穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記支持部材は、少なくとも前記基板を支持する上部が透明であることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記基板と当接する上部に凹部が形成され、前記凹部に埋設される補助光源を有することを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記凹部は、前記凹部の開口に拡散板が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記透過照明ユニットは、上面に拡散板が設けられており、
前記各支持部材は、前記拡散板上に立設されていることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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