説明

基板洗浄チャンバ及び構成部品

基板洗浄チャンバは、例えば消耗セラミックライナ、基板加熱台座部及び処理キット等の様々な構成部品を備える。消耗セラミックライナは、遠隔ガスエナジャイザのガス出口チャネルを基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続するために設置される。基板加熱台座部は、配列された凹部内に複数のセラミックボールが位置決めされた基板受け面を有する環状プレートを備える。処理キットは、トッププレート、トップライナ、ガス分散プレート、ボトムライナ及びフォーカスリングを備える。

【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
半導体及びディスプレイ等の基板の処理においては、層を基板上に形成し、次にエッチングにより導電性の相互接続部、コンタクトホール、ビアホール、ゲート及びバリア等の特徴部(feature)を形成する。例えば、電気的相互接続線のパターンは、金属を含有する導体を基板上に堆積し、導体上にパターン形成された耐エッチング性の材料を形成し、導体をエッチングすることにより相互接続線を形成し、不要なレジストを除去し、エッチングされた特徴部に誘電体を堆積することにより形成することができる。誘導体層を更にエッチングすることにより、その下の金属含有導体材料又はその他の基板層を露出させるコンタクトホール又はビアホールを形成することができる。次に、導電性の材料をエッチングされたホール又はトレンチに堆積することによりその下の導体と電気的に接触させる。例えば、銅含有相互接続部を形成する場合、誘電体層をエッチングすることにより、その下の銅導体材料を露出させるコンタクトホールを形成することができる。銅の薄いシード層を、露出した導体及びコンタクトホール上に堆積することにより、コンタクトホールを充填するための後続の銅の電気めっき処理を促進することができる。
【0002】
しかしながら、後続の処理工程を実行するに先立って、金属含有導体上の汚染物質及び望ましくない表面材料を、露出した導体表面から洗浄する必要がある。例えば、中間処理工程(例えば、酸素含有ガスプラズマを用いてレジストを剥離するレジスト剥離処理又は異なるチャンバ間での基板搬送時)の間に、酸素種に曝露された導体上には天然の酸化物膜が形成されることが多い。酸化物膜は、導体表面間の接触界面における電気抵抗を増大させる。表面材料には、先行の処理からの残留処理堆積物(例えば、炭素含有、ケイ素含有、フッ素含有及び窒素含有処理残留物等)が含まれることもある。これらの処理堆積物により、露出部と堆積させた材料との界面に空隙又はその他の凸凹が形成されることがある。
【0003】
プレ洗浄チャンバとしても知られる基板洗浄チャンバを使用することにより、処理前及び処理工程間に、基板表面から酸化物膜及びその他の望ましくない処理堆積物を洗浄する。洗浄処理中、基板を洗浄チャンバ内で支持し、遠隔ガスチャンバ内でエネルギー印加された洗浄ガスを生成し、エネルギー印加された洗浄ガスをチャンバに導入する。洗浄ガスは表面残留物と反応し、残留物を除去する。一部の方法において、基板加熱台座部は、洗浄中に基板の温度を制御するための加熱素子を含む。
【0004】
しかしながら、このような洗浄過程におけるエネルギー印加された洗浄ガスの使用には、励起させた洗浄ガスのラジカル種及びイオン種のエネルギーの制御が困難であるとの問題がある。洗浄ガスと基板表面との間での高エネルギーの衝突が、その下の基板に損傷を引き起こす場合がある。洗浄ガス中の軽量のイオン(例えば、H等)もまた、これらが基板表面に浸透してその下の誘電体層を損傷する場合、有害となる可能性がある。従って、処理チャンバに導入されるエネルギー印加種のエネルギー及びタイプを制御することが望ましい。
【0005】
ガスエナジャイザ(gas energizer)内の遠隔チャンバの励起領域を取り囲む遠隔チャンバ壁を洗浄ガスがエッチングにより削って侵食することが多く、また洗浄チャンバ内の構成部品をエッチングにより削って侵食する場合さえあることも問題である。このような侵食によりこれらの構成部品は損傷を受け、構成部品がチャンバと一体化した部品の場合は、既定の処理サイクル数の後にその構成部品を再調整する又は交換するためにチャンバを停止させなくてはならず、望ましくない。従来のステンレススチール壁及びライナは特に侵食され易く、頻繁な交換又は再調整を必要とする。
【0006】
基板と接触する洗浄チャンバ内の基板加熱台座部から基板の背面に汚染物質及び処理残留堆積物が移ってしまう又は基板搬送過程において台座部が基板に傷をつけてしまいさえする場合、更に別の問題が生じる。加熱素子を備えた基板加熱台座部では、基板表面全体を均等に加熱できないこともある。隆起部及び溝から成る基板受け面を有する基板加熱台座部では、基板の裏側を流れる熱伝達ガスにより温度の均一性を改善することができるものの、依然として望ましくない量の処理残留物及び堆積物が基板に移ってしまう。
【0007】
従って、エネルギー印加されたガス種を選別し、例えば、特定のイオン種を洗浄ガスから除外することができる洗浄チャンバ及びガスエナジャイザを有することが望ましい。また、簡単に交換又は再調整することができるチャンバ構成部品を有することが望ましい。処理堆積物が基板背面に移ることによる基板汚染を最小限に抑える基板加熱台座部を有することが更に望ましい。基板のより均等な加熱を可能にする基板加熱台座部を有することも望ましい。
【概要】
【0008】
遠隔チャンバのガス出口チャネルを基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続するための消耗セラミックライナが提供される。ライナは、遠隔チャンバのガス出口チャネルに適合した外径を有する入口シリンダと、基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続された出口シリンダと、入口シリンダを出口シリンダに接合する円錐フレア部とを備える。
【0009】
消耗セラミックライナの幾つかの実施形態が提供される。一実施形態において、ライナの円錐フレア部は、約10〜約60°の角度で垂直軸から傾斜した円錐面を備える。一実施形態において、円錐フレア部の長さと出口シリンダの長さとの比は、約1:2〜約1:8である。一実施形態において、ライナの入口シリンダは第1直径を有し、ライナの出口シリンダは、第1直径の少なくとも1.5倍大きい第2直径を有する。更なる実施形態において、第1直径は約1〜約4cmであり、第2直径は約2〜約8cmである。一実施形態において、ライナは、遠隔ガスエナジャイザ内で発生させたエネルギー印加ガスからイオン種を捕捉可能なセラミック材料を含む。一実施形態において、ライナは石英、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムから構成され、約2mm〜約6mmの厚ささえ有することができる。ライナは、出口シリンダの外径に適合するように寸法設計されたライナ固定シリンダを更に備えることができる。
【0010】
セラミックライナを上部チャンバ壁に挿入することにより遠隔チャンバのガス出口チャネルを基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続する方法が提供され、セラミックライナは、遠隔チャンバのガス出口チャネルに適合するように寸法設計された入口シリンダと、基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続された出口シリンダと、入口シリンダを出口シリンダに接合するための円錐フレア部とを備える。本方法は、(a)ライナ固定シリンダをセラミックライナの出口シリンダ上に設置し、(b)セラミックライナの出口シリンダにライナ保持ツールを摺入し、ここでライナ保持ツールの外径は、出口シリンダの内径を支持するように寸法設計されており、(c)ライナ保持ツールを把持し、セラミックライナの入口シリンダを遠隔チャンバのガス出口チャネルに挿入する工程を有する。
【0011】
一実施形態において、本方法は、(d)ライナ保持ツールを捻ることにより固定シリンダの環状フランジを上部チャンバ壁の対応する環状リップ部にはめこむことを更に含む。
【0012】
基板洗浄チャンバのための基板加熱台座部が提供される。基板加熱台座部は、(a)凹部の配列を備えた基板受け面を有する第1ディスクと、加熱素子を受容するように成形されたチャネルを有する第2ディスクと、第1ディスクと第2ディスクとを接合するロウ付け接着部とを備えた環状プレートと、(b)基板受け面の凹部にそれぞれ位置決めされた複数のセラミックボールと、(c)環状プレートに埋設された加熱素子とを備える。
【0013】
基板加熱台座部のロウ付け接着部は、アルミニウムロウ付け化合物を含むことができる。台座部の第1ディスク及び第2ディスクは、アルミニウムを含むことができる。台座部のセラミックボールは、アルミナ酸化物、石英、サファイア、窒化ケイ素、合成コランダム、酸化ジルコニウム、Al又はこれらの混合物から構成することができる。一実施形態において、台座部のセラミックボールは、約1〜約3mmの直径を有し、基板受け面を環状プレートの上面より約0.01mm〜約0.5mm高く維持するに十分な大きさの直径を有することさえできる。
【0014】
基板処理チャンバのためのガス分散プレートが提供される。ガス分散プレートは、直径dをそれぞれ有する第1穴から構成される第1リングと、直径2dをそれぞれ有する第2穴から構成され且つ第1リングの半径方向外側に位置する第2リングと、直径3dをそれぞれ有する第3穴から構成され且つ第2リングの半径方向外側に位置する第3リングと、直径4dをそれぞれ有する第4穴から構成され且つ第3リングの半径方向外側に位置する第4リングとを有する。
【0015】
ガス分散プレートの一実施形態において、直径dは約1〜約5mmである。ガス分散プレートはセラミックから構成することができ、また酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含むことさえできる。
【0016】
基板加熱台座部に面するガス分散プレートを保持するチャンバ蓋部を有する基板洗浄チャンバのための処理キットが提供される。処理キットは、(a)チャンバ蓋部に接触する、処理ガスを通過させるためのオリフィス及び周縁部を有する石英のトッププレートと、(b)石英のトッププレートの周縁部と接触し且つガス分散プレートの上方に位置するトップライナと、(c)ガス分散プレートの下方のボトムライナと、(d)基板加熱台座部の周縁部上に載るフォーカスリングとを有する。
【0017】
処理キットの一実施形態において、トッププレート、トップライナ、ボトムライナ及びフォーカスリングは全て石英を含む。処理キットのトッププレートは、外周縁部及び処理ガスを通過させるためのオリフィスを有する環状ディスクを含むことができる。トッププレートは、約1mm〜約5mmの厚さを有することができる。一実施形態において、処理キットのガス分散プレートはセラミックから構成され、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含むことさえできる。処理キットのトップライナ及びボトムライナは、シリンダを含むことができる。処理キットのフォーカスリングは、基板加熱台座部の周縁部上に載る内方フランジを有することができ、フランジは、基板の周縁部にて垂直面に接する傾斜上面を含む。更なる実施形態において、処理キットの傾斜上面は、約85〜約100°の角度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のこれらの構成、態様及び利点は、本発明の実施形態について説明している以下の記載、特許請求の範囲及び添付図面との関連でより良く理解することができる。しかしながら、各構成は特定の図面に関連してだけでなく本発明全般について用いることができ、また本発明がこれらの構成のいずれの組み合わせも含むことを理解すべきである。
【0019】
【図1】基板洗浄チャンバを備えた基板処理装置の実施形態の側部断面図である。
【図2A】ライナ固定シリンダ及びライナ保持ツールを使用して洗浄チャンバのトッププレートに嵌装された消耗セラミックライナの分解斜視図である。
【図2B】洗浄チャンバのトッププレートに嵌装されたセラミックライナ及びライナ固定シリンダの概略側面図である。
【図3A】基板受け面に埋設されたセラミックボールを有する基板加熱台座部の斜視図である。
【図3B】ロウ付け接着部で接着された第1ディスク及び第2ディスク並びに埋設された加熱素子を有する図3Aの基板加熱台座部の概略断面図である。
【図4A】処理キット及びガス分散プレートの分解斜視図である。
【図4B】洗浄チャンバ内の処理キット、ガス分散プレート及び基板加熱台座部の概略部分断面図である。
【図4C】ガス分散プレートの上面図である。
【図5】基板洗浄チャンバを備えた基板処理装置の概略図である。
【説明】
【0020】
基板22の洗浄に適した洗浄チャンバ24を備える基板装置20の実施形態が図1に示される。図示されるように、洗浄チャンバ24は、半導体ウェハ等の基板22の洗浄に適している。しかしながら、当業者は、洗浄チャンバ24を、その他の基板22(フラットパネルディスプレイ、ポリマーパネル又はその他の電気回受容構造体等)の洗浄用に改造することができる。従って、本発明の範囲は、図に示す洗浄チャンバの実施形態例に限定されるべきではない。一般に、洗浄チャンバ24は、1つ以上の囲壁30を備え、囲壁には上壁32、側壁34及び底壁36を含むことができ、これらは処理区域38を取り囲む。エネルギー印加された洗浄ガスは、遠隔チャンバ42から洗浄チャンバ24のガス入口チャネル40に供給される。洗浄ガスは基板22及びチャンバ24内のその他の表面と反応する。使用済みのガス及び副生成物は排気システム44を介してチャンバ24から排出され、排気システム44はガスを処理区域38から受け取る排気ポート46を含んでいてよく、またチャンバ24内のガス圧を制御するための絞り弁48及び1つ以上の排気ポンプ50(ターボ分子排出ポンプ等)を含むこともできる。排気システム44は、チャンバ24内を大気圧より低い圧力に維持可能である。
【0021】
洗浄ガスに遠隔的にエネルギー印加するのに適した遠隔チャンバ42は、エネルギーをガスエナジャイザ区域54に結合する遠隔ガスエナジャイザ52を備える。洗浄ガス供給源56は、洗浄ガスをガスエナジャイザ区域54に供給する。流量弁58を設置することにより、遠隔チャンバ42への洗浄ガスの流量を制御することができる。ガスエナジャイザ52は、ガスエナジャイザ区域54内においてエネルギーを洗浄ガスに結合することにより、イオン種及びラジカル種を含むエネルギー印加洗浄ガスを生成する。ガスエナジャイザ52は、例えば、RF又はマイクロ波エネルギーを洗浄ガスに結合することができる。ある態様において、遠隔ガスエナジャイザ52は誘導子アンテナ57を備え、アンテナ57は、ガスエナジャイザ区域54においてRFエネルギーを洗浄ガスに例えば約100ワット〜約10キロワットの電力レベルで誘導結合する。ガスエナジャイザ52が、例えばスミスらの米国特許第6150628号(参照により本願に全て組み込まれる)に記載されるように、遠隔区域54においてエネルギーを洗浄ガスに結合するための環状ガスエナジャイザの場合もある。環状ガスエナジャイザにより印加する適切なRF電力レベルは、約1000ワット〜約10000ワットであってよい。約300ワット〜約5キロワットのマイクロ波電力レベルを提供するマイクロ波ガス賦活装置を備えた遠隔ガスエナジャイザ52を使用することもできる。
【0022】
図2A及び2Bに示されるように、消耗セラミックライナ60は、遠隔ガスエナジャザイザ52のガス出口チャネル62をチャンバ24のガス入口チャネル40に接続する。ライナ60は、チャネル40、62の内面をライナ60の表面の少なくとも一部でもって被覆することによりチャネル40、62を保護することため、ライナ60の内面61はエネルギー印加されたガス種に曝露される。ライナ60は、遠隔ガスエナジャイザのガス出口チャネル62に適合した外径を有する入口シリンダ64を備える。一態様において、入口シリンダ64は、遠隔チャンバ42から少なくとも約50mm外に延びるに十分な長さの長さLを有する。長さLは、チャンバ24のガス入口40の端部より少なくとも約1mm手前で終端するに十分な短さである。一態様において、入口シリンダ64は、約100〜約110mmの長さL及び約1cm〜約4cmの直径を有する。
【0023】
円錐フレア部66は、入口シリンダ64を出口シリンダ68に接合する。円錐フレア部66は、フレア部66の長さに亘って円錐面に沿って増大する直径を有する管を含む。円錐フレア部66は、上端部70及び下端部72とを有する。円錐フレア部66の上端部70の外径は、円錐フレア部66と入口シリンダ64との接合部にて入口シリンダ64の外径に対応するように寸法設計されている。円錐フレア部66の下端部72の外径は、円錐フレア部66と出口シリンダ68との接合部にて出口シリンダ68の外径に対応するように寸法設計されている。円錐フレア部66の下端部72の直径は、円錐フレア部66の上端部70の直径より少なくとも1.5倍大きい。一態様において、入口シリンダ64、円錐フレア部66及び出口シリンダ68は一体に接続される。
【0024】
円錐フレア部66は、上端部70と下端部72との間でライナ60の内部容積の直径を徐々に増大させることにより、処理チャンバに進入するエネルギー印加ガス種をより均等に分散させる役割を果たす。直径の突然の変化は、ライナの出口からのガス分散を不均等にすると考えられていた。円錐フレア部66は、入口シリンダ64の第1直径から出口シリンダ68の第2直径へと徐々に末広がりとなり、解離したガス種の流路に沿って容積は徐々に増大する。一態様において、円錐フレア部66は、円錐フレア部の中央線を通る垂直軸に対して約10°〜約60°の角度のついた円錐面を備える。また、円錐フレア部66の長さの出口シリンダ68の長さに対する比は約1:2〜約1.8である。円錐フレア部66の長さに亘って容積の増大を段階的にすることにより、円錐フレア部66の出口端部72においてガス種がより良好に分散する。
【0025】
ライナ60は、基板洗浄チャンバ24のガス入口チャネル40に接続された出口シリンダ68も有する。一態様において、出口シリンダ68は、基板洗浄チャンバ24のガス入口チャネル40に適合する外径を有する。出口シリンダ68は、チャンバ環境における侵食を回避するために、洗浄チャンバ24の処理区域の手前で終端するに十分な短さである長さLを有する。入口シリンダ64が第1直径を有する場合、出口シリンダ68は、第1直径より少なくとも1.5倍大きい第2直径を有する。一態様において、出口シリンダ68は、約2cm〜約8cm、より典型的には約4cmの直径を有する。出口シリンダ68は、チャンバのガス入口40の内面をエネルギー印加されたガス種による侵食から保護し、またライナの直径を増大させることにより、遠隔区域54内で生成されたエネルギー印加されたガス種間での衝突が軽減される。
【0026】
消耗ライナ60は、遠隔ガスエナジャイザ内で発生させたエネルギー印加ガスからイオン種を捕捉可能なセラミック材料を含む。例えば、ライナ60は石英、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムを含むことができる。一態様において、ライナ60は石英を含み、水素イオンの一部をその内面74に吸着することによりエネルギー印加ガスから水素イオンを捕捉可能である。石英の内面74は、水素含有種が吸着できる表面を提供することによりラジカルの再結合を低減するイオンフィルタ76として作用すると考えられている。また、石英の表面74に衝突する水素含有種は、吸着された水素含有ラジカルをエネルギー印加ガスに放出することにより遊離の水素ラジカルを再生させると考えられている。しかしながら、石英の表面74により水素イオンは再生しないことから、石英の表面に衝突する水素イオンは再結合することにより電気的に中性の、非イオン種を生成する。従って、石英の表面74上を賦活させた又はエネルギー印加された洗浄ガスを通過させることにより、エネルギー印加された洗浄ガスからイオン種が除去されて、水素ラジカルが保存される。
【0027】
消耗ライナ60の厚さは、交換するまでにライナが耐えなくてはならない処理サイクル数に応じて選択される。エネルギー印加されたガスは、ライナ60のエッチング及び侵食が可能なことから、ライナ60を、既定の処理サイクル数を経た後に交換しなくてはならない。また、ライナ60の吸着特性は、セラミックライナの表面にイオンが吸着されればされるほど低下する。ライナ60が耐え得る処理サイクル数は、ライナ60の厚さに関係する。一態様において、ライナ60は、少なくとも約30000回の処理サイクルに亘ってイオン種を捕捉するに十分な厚さであり、約2mm〜約6mmの厚さを有する。
【0028】
ライナ60は、セラミック粉末を所望の形状に例えば冷間静水圧プレスにより成型することにより形成することができる。例えば、セラミック粉末を、液状の結合剤(有機結合剤ポリビニルアルコール等)と組み合わせる。この混合物を静水圧プレス装置のゴムバッグに入れ、圧力をバッグの壁に均等にかけることにより混合物を圧縮し、所望の管形状を有するセラミック構造体を形成する。圧力は、例えば、水中に可撓性容器を浸漬することにより又はその他の加圧方法により印加することができる。成型されたセラミック予備成型物は、中空の管状鋳型を用いて円筒状又はリング状に形成することができ、得られる成型されたセラミック予備成型物を機械加工により更に成形することができる。次に、成形されたセラミック予備成型物を焼結することにより焼結セラミックを形成する。例えば、酸化アルミニウムを約1300℃〜約1800℃で約48時間〜約96時間に亘って、典型的には約1atmの圧力で焼結することができる。焼結したセラミック材料を、例えば、機械加工、研磨、レーザー加工又はその他の方法により更に成形して所望のセラミック構造体を得ることができる。
【0029】
ライナ60は、ライナ固定シリンダ71によりチャンバ内の所定の位置に保持される。図2A及び2Bに示されるように、ライナ固定シリンダ71は、ライナ60の出口シリンダ68の外径上に摺嵌するように寸法設計されており、出口シリンダ68の環状リップ部69に突き当たる。図1に示されるように、ライナ固定シリンダ71は、ライナ60の外側シリンダ68と開口壁73との間に嵌合して気密シールを形成し、また金属又はセラミック材料から形成することができる。
【0030】
有利には、ライナ固定シリンダ71により、上部チャンバ壁32へのライナ60の設置が容易になり、また既定の処理サイクル数を経た後にプラズマに曝露されたライナ60の再調整又は交換を目的とした取り外しが容易になる。ライナ固定シリンダ71は、固定シリンダ71の一端から外方向に延びる円形フランジ73を備える。円形フランジ73は、図2Bに示されるように、上部チャンバ壁32から延びる環状リップ部79上の対応するフラットキー部77に挿入されるフラットキー75を有する。ライナ固定シリンダ71を捻ることにより円形フランジ73が回転して上部チャンバ壁32の環状リップ部79の裏側で摺動し、円形フランジ73は環状リップ部79の裏側で固定される。固定ピン等の固定ブロッカ(図示せず)を回転する円形フランジ73の経路に挿入することにより、フランジのそれ以上の回転を阻止して停止させることができる。
【0031】
遠隔チャンバ42のガス出口チャネル62を洗浄チャンバ24のガス入口チャネル40に接続するためにライナ60をチャンバ蓋部に挿入する方法も、図2Bに示される。この方法においては、まずライナ固定シリンダ71をセラミックライナ60の出口シリンダ68に嵌める。次に、ライナ保持ツール81をセラミックライナ60の出口シリンダ68に通すことにより、ライナ保持ツール81の外径で出口シリンダ68の内径を支持する。ユーザはライナ保持ツール81を把持し、次にセラミックライナ60の入口シリンダ64を遠隔チャンバ42のガス出口チャネル62に挿入する。次に、上述したように、ライナ保持ツール81を捻ってライナ固定シリンダ71の円形フランジ73を上部チャンバ壁32の対応する環状リップ部79にはめこむ。
【0032】
チャンバ24は、任意で、エネルギーをチャンバ24の処理区域38内のガスに結合するチャンバガスエナジャイザ(図示せず)を備えていてよい。例えば、チャンバガスエナジャイザは、1つ以上の電極及びRFエネルギーを結合するための誘導子アンテナを備えることができる。
【0033】
図1、3A、3B及び4Bに示されるように、基板加熱台座部80が、基板洗浄チャンバ24の処理区域38において基板22を保持するために設置される。台座部80は、凹部88の配列を備えた基板受け面84を有する環状プレート82及び環状プレート82に埋設された加熱素子92を備える。加熱素子92は、コントローラ78により制御される。コントローラ78は、洗浄チャンバ24若しくは遠隔チャンバ42内の状態を監視する1つ以上の検出装置106からの入力又は装置20のユーザからの入力の少なくとも一方に応答して、様々なレベルの電力を加熱素子92に供給可能である。台座部80は任意で電極(図示せず)を備えることができ、電極にバイアス電圧を印加することにより基板22を台座部80に保持する又は処理の特性(基板22のイオン衝撃の程度等)に影響を与えることができる。電極に印加されるバイアス電圧も、コントローラ78により制御される。
【0034】
図3Aに示されるように、複数のセラミックボール90が、基板受け面84上の凹部88にそれぞれ位置決めされる。セラミックボール90は、各ボール90の表面の一部が台座部の表面84の面より上にくるように台座部80の表面84に埋設される。このため、ボール90の上部領域144が、N不連続領域から成る隆起基板受け面86を構成する。ここでNは、台座部80の表面84に埋設されたボール90の数である。隆起基板受け面86は、台座部の表面84とは垂直方向に分離している。つまり、隆起基板受け面86は、環状プレート82の表面より約0.0lmm〜約0.5mm高い。一連の不連続点でもって基板22を加熱台座部80の環状プレート82の表面から垂直方向に距離を置いて支持することにより、チャンバ24内のガスは、加熱中、基板22と環状プレート82の表面との間で熱を伝達することができる。基板22を環状プレート82の表面の上方に載架することにより、基板22を環状プレート82の表面に接触させる場合と比較して、基板22の加熱がより均等となるが、これは熱的な接触が、プレート82の熱伝導率及び表面接触特性における局所的なムラに直接的に影響されないからである。
【0035】
一態様において、セラミックボール90の形状は球状であり、ボール90の直径は、基板受け面を環状プレートの上面より約0.01mm〜約0.5mm高く維持するに十分な大きさである。典型的には、ボール90は、約1mm〜約3mmの直径を有する。一態様において、球体は約2mmの直径を有し、環状プレート82の上面から約0.04mm突出する。セラミックボール90は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、サファイア、合成コランダム及びアルミナ酸化物の少なくとも1つを含み、一態様においてアルミナ酸化物を含む。
【0036】
環状プレート82は、2枚のディスク94、96から構成され、これらのディスクは、ロウ付け接着部により接着される。一態様において、図3A及び3Bに示されるように、環状プレート82は、隆起基板受け面86を有する第1ディスク94を備える。第1ディスク94は、約10mm〜約30mmの厚さ及び約10cm〜約70cmの直径を有する。ディスク94の直径は、処理対象の基板の寸法に左右される。ディスク94の受け面は複数の凹部88を備え、各凹部はセラミックボール90を受容するに十分な直径及び深さを有する。凹部88は機械加工により形成することができ、好ましくは、約2〜約20°内側に傾斜した側部を備えているため、第1ディスクの表面における凹部88の直径は、セラミックボール90の直径より若干小さい。このように機械加工された凹部88は、挿入されたセラミックボール90を、挿入後、環状プレート82の表面に閉じ込めることが可能である。
【0037】
第1ディスク94の直径に対応した直径及び約6mm〜約15mmの厚さを有する第2ディスク96が設置される。第2ディスク96は、加熱素子92を受容するように成形されたチャネル98を備え、アルミニウム、銅、チタン、モリブデン、ステンレススチール及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから形成される。一態様において、第2ディスクはアルミニウムを含み、ロウ付け接着材料は、アルミニウムロウ付け材料を含む。加熱素子92は、環状プレート82の表面84を室温前後〜約400℃に維持するに十分な電気抵抗を有する抵抗器アセンブリを含む。加熱素子92は、ディスクの中心102付近にて第2ディスク96を貫通して延びる端子ポスト100を介して給電される。
【0038】
加熱素子92が埋設された環状プレート82は、厚さ約5mmを有するアルミニウムシートから第1ディスク94を機械加工することにより形成され得る。第1ディスク94の表面84から約2mmの深さを有する凹部88は、皿穴に埋め込むセラミックボール90の望ましい配置に対応してディスク94の表面84にドリル加工される。第2ディスク96は、厚さ約11.5mm〜約12.5mmを有するアルミニウムシートから、第1ディスク94と同じ直径を有するように機械加工される。蛇行チャネル98がディスク96に機械加工され、チャネル98は、加熱素子92の寸法に対応した幅及び深さを有する。少なくとも1組の穴(図示せず)が、第2ディスク96の中心102付近にドリル加工される。ドリル加工により形成された穴は、加熱素子92の端子100の直径より少なくとも10%大きい直径を有する。加熱素子92は、第2ディスク96の溝が形成された側で素子をチャネル98に圧入し、ドリル加工により形成された穴に端子100を通すことにより適用される。ロウ付けホイル又はロウ付け化合物は、第2ディスク96の表面を被覆するように第2ディスク96の溝が形成された表面に置かれる。第1ディスク94の穴が形成されていない面はロウ付け表面に面して保持され、アセンブリは、第1ディスク94及び第2ディスク96の周縁部が重なり合うように揃えられる。アセンブリは、加熱プレスの場合のように、アセンブリを炉に入れ、ロウ付け材料の融点より高い温度にまでアセンブリを加熱し、圧力を印加することにより接着される。次に、アセンブリを冷却してロウ付け接着部104を形成する。
【0039】
環状プレート82の背面には、環状プレート82を支持するために使用される支持ポスト110が取り付けられる。支持ポスト110は、環状プレート82の背面を受容するように構成された受け面を有するロッドを含む。ロッドは、ステンレススチール又はアルミニウム等の金属を含んでいてよく、中実又は中空の構造体であってよい。一態様において、支持ポスト110は、台座部80を基板22を受け取るための位置、基板22を処理するための位置、基板22をチャンバ24から取り除くための位置へと昇降させるように構成された蛇腹部及び昇降機構(図示せず)も備える。環状プレート82を支持ポスト110に固締する方法は、支持ポスト110の環状プレート82の底面への溶接や、環状プレート82の底面に螺刻したアダプタを溶接し、次に環状プレート82を支持ポスト110に螺合させることを含むことができる。或いは、環状プレート82は支持ポスト110に、中空の管を環状プレート82の底面に溶接し、次に中空管を支持ポスト110に圧締することにより固締される。
【0040】
図4A及び4Bに示されるように、幾つかの構成部品112を含む処理キット114が、洗浄チャンバ24にエネルギー印加ガスを収容し、基板表面全体にガスを分散させるために設置される。処理キット114の構成部品112は、例えば、トッププレート116、トップライナ118、ガス分散プレート120、ボトムライナ122及びフォーカスリング124を含むことができる。処理キット114の構成部品112は、例えば、侵食された構成部品を交換若しくは修理する又は異なるサイズの基板22の処理を目的として洗浄チャンバ24を改造する際に、チャンバ24から簡単に取り外すことができる。処理キット114の構成部品は石英から形成することができるが、これは石英が水素ラジカル等の処理ガスラジカルの再結合速度を低下させるのに効果的だからである。
【0041】
トッププレート116は、図4Aに示されるように、外周縁部128及び処理ガスを通過させるためのオリフィス130を有する環状ディスク126を含む。トッププレート116は、基板洗浄チャンバ24に納まるように寸法設計されており、オリフィス130は、約40mm〜約45mmの直径を有し且つトッププレート116のほぼ中心に位置することから、上部チャンバ壁32のガス入口チャネル40と実質的に重なる。トッププレート116は、チャンバ24の上部チャンバ壁32と接触する。トッププレート116はトップライナ118と接触し且つトップライナ118により支持される。トッププレート116は、約1mm〜約10mmの厚さを有する。
【0042】
トップライナ118は、トッププレート116の外周縁部128と接触する。トップライナ118は、エネルギー印加された処理ガスを閉じ込め且つ洗浄チャンバ24の壁30をエネルギー印加された処理ガスから保護する役割を果たすシリンダを含む。ライナ118は、約0.60cm〜約0.70cmの厚さを有する。一態様において、トッププレート116の外周縁部128は、トップライナ118の上端部132上に載る。
【0043】
ガス分散プレート120は、トップライナ118と接触する上面134、底面136及びプレートに穿孔された、処理ガスをチャンバ24内で分散させるための複数の穴140を有する。穴140は、基板22の表面への処理ガスの均等な供給を促進するための形状及びサイズを有し、またプレート120の表面全体に離間関係でもって分散させられる。一態様において、複数の穴140は、図4Cに示されるように、それぞれ異なる直径を有する穴140a〜dから構成される4つのリング139a〜dを含む。一態様において、第1穴140aから構成される最内方第1リング139aは直径dに寸法設計される。それぞれ直径2dを有する第2穴140bから構成される第2リング139bは、第1リング139aの半径方向外側に位置している。それぞれ直径3dを有する第3穴140cから構成される第3リング139cは、第2リング139bの半径方向外側に位置している。それぞれ直径4dを有する第4穴140dから構成される第4リング139dは、第3リング139cの半径方向外側に位置している。穴140a〜dのこのような分散により、基板22の表面へと処理ガスがより均等に供給される。一態様において、第1穴140aは約1〜約5mmの直径dを有し、その他の穴140b〜dは、それに従った寸法設計をされている。一例として、第1リングの穴140aはそれぞれ直径約1〜約5mmを有し、第2リングの穴140bはそれぞれ直径約2〜約10mmを有し、第3リングの穴140cはそれぞれ直径3〜約15mmを有し、第4リングの穴140aはそれぞれ直径約4〜約20mmを有する。一態様において、異なる直径の穴140a〜dは、第4リング139d上により多数の穴が含まれるようにと離間されており、第3リング139c、第2リング139b及び第1リング139aに含まれる穴の数は段階的に少なくなる。ガス分散プレート120は、セラミック(例えば、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素等)から構成することができ、酸化ケイ素は石英であってよい。
【0044】
図4A及び4Bに示されるように、ボトムライナ122は、ガス分散プレート120の底面136に接触する。ボトムライナ122もシリンダを含み、シリンダはこのシリンダから外方向に延びる環状周縁部142を有する。周縁部142は、ガス分散プレート120の底面136及び洗浄チャンバ24の側壁34に接触する。
【0045】
フォーカスリング124が、エネルギー印加された処理ガスを基板22に集束させるために設置される。図3B及び4Bに示されるように、フォーカスリング124は、支持台座部80の周縁部上に載り且つ基板周縁部にて垂直面151に接する傾斜上面150を有する内方フランジ148を備える。傾斜上面150は、約85〜約100°(例えば、約95°)の角度を有する。フォーカスリング124は、基板加熱台座部80の外方棚部154付近で隆起した脚部152も有する。
【0046】
上記記載の処理キット114の構成部品は、エネルギー印加ガスからイオン種を吸着により除外するためのフィルタ材料(例えば、石英等)を含むことができる。一態様において、トッププレート116、トップライナ118、ガス分散プレート120、ボトムライナ122及びフォーカスリング124の表面の少なくとも一部は、石英、例えば石英のコーティングを含む。石英は、処理キット114のこれらの構成部品の表面上に、物理気相蒸着又は熱水堆積(hydrothermal deposition)により堆積させることができる。これらの表面上の石英層に適した厚さは、約0.01mm〜約4mmである。一態様において、処理キット114の構成部品112は、石英から構成される。
【0047】
石英の表面74は、エネルギー印加された洗浄ガスから水素イオン種を最適に選別するために配置することができる。一態様において、石英の表面74は、ガスエナジャイザ区域54と洗浄チャンバ24とをつなぐセラミックライナ60の一部の内面を含む。例えば、セラミックライナ60は、石英の管を含むことができる。別の態様において、石英の表面74は、ガス分散装置の1つ以上の表面(例えば、ガス分散プレート120の上面等)を含む。石英の表面は、遠隔区域と基板との間(例えば、処理区域の上方)に設置される、賦活させた洗浄ガスを更に選別するためのワイヤグリッドも含んでいてよい。
【0048】
装置20の洗浄チャンバ24において実行するある洗浄処理において、基板22の温度は、堆積物における酸化物を低減するのに最適な条件をもたらすように設定されており、温度は、水素含有ラジカルと堆積物との間での化学反応を促進するようにさえ設定することができる。例えば、基板22の温度は、約0〜約500℃(約150℃〜約450℃等)に維持され、約25℃〜約350℃(約150℃〜約350℃等)でさえある。一態様において、洗浄処理中に基板22に印加されるバイアス電力レベルは望ましくは低く、これはバイアス電力レベルが高いと、エネルギー印加された洗浄ガスの中のイオンの基板22への衝突が多くなるからである。適切なバイアス電力レベルは約100ワット未満(例えば、約0〜約10ワット等)であってよく、約1〜約10ワットであってさえよく、また実質的にゼロでさえあってよい。別の態様においては、より高いバイアス電力レベルで印加することにより洗浄速度を上昇させ、バイアス電力レベルは例えば100ワットより高く、約100ワット〜約200ワットでさえある。
【0049】
基板22の洗浄は、熱処理工程又はアニーリング工程を実行して基板22から堆積物を除去することにより改善することができることが更に発見されている。加熱処理工程において、基板22を、基板22から材料を気化させるに十分な温度にまで加熱する。加熱処理工程中、還元ガス流も供給することにより、基板22上での酸化物の生成を阻害してもよい。適切な還元ガスは水素含有ガス(例えば、H)を含んでいてよい。加熱処理工程は、エネルギー印加水素ラジカル洗浄工程に先立って基板22を比較的軽く初期洗浄するために、実質的に還元ガスにエネルギー印加することなく(例えば、RF又はマイクロ波エネルギーを還元ガスに実質的に結合することなく)行うことができる。
【0050】
適切な洗浄処理の一態様において、約50〜約1000sccmのH(300sccmのH等)及び約0〜約10sccmのHO(3sccmのHO等)を含む洗浄ガスは、約300ワット〜約3000ワット(1050ワット等)の電力レベルを印加することにより、遠隔ガスエナジャイザ52のチャンバ42内で賦活させられる。遠隔チャンバ42の圧力は、約10Torr未満(約1Torr等)に維持される。約0〜約100ワット(50ワット等)のバイアス電力レベルで印加を行って基板22にバイアスをかけ、基板22の温度は、約150〜約450℃(250℃等)に維持される。洗浄処理により実質的に堆積物が除去されて、洗浄済みの表面が得られる。
【0051】
洗浄処理の完了後、チャンバ24内の圧力を約10mTorr未満にまで下げることにより使用済みの洗浄ガス及び洗浄処理の副生成物を排出し、また洗浄チャンバ24によるマルチチャンバ装置26の汚染の可能性を低下させる。次に、基板22を、搬送ロボット119を有する基板搬送チャンバを介して真空下で堆積チャンバ24bに搬送し、第2金属含有導体21(銅、アルミニウム、タンタル、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステンの少なくとも1つ等)を洗浄したての金属含有導体表面上に堆積することができる。
【0052】
図5に示されるように、基板22の処理に適したマルチチャンバ装置20は1つ以上の処理チャンバ28a〜dを備え、処理チャンバは洗浄チャンバ24を含むことができる。チャンバは電気的機能、配管的機能及びその他の支援機能を提供するプラットフォーム上に取り付けられる。プラットフォームは、典型的には、処理対象である基板22のカセット158を受け取るためのロードロック156並びに、処理の際に基板22をカセット158から異なるチャンバ28a〜dに搬送するため及び処理後に基板を戻すためのロボット162が納まった基板搬送チャンバ154を支持する。異なるチャンバ28a〜dは、例えば、洗浄チャンバ24、材料をウェハ上に堆積するための堆積チャンバ28b、任意の加熱処理チャンバ28c及びその他の処理チャンバを含む。例えば、一態様において、チャンバの1つは基板22の金属含有導体上に形成された堆積物を除去するための洗浄チャンバ24を含む。洗浄処理の完了後、基板22を、ロボット162により、洗浄済みの基板22上に材料(金属含有導体等)を堆積するための堆積チャンバ28dに搬送することができる。基板22は、ロボット162により、第1チャンバ28bにおいて堆積された第1材料上に別の材料(別の金属含有導体等)を堆積可能な第2堆積チャンバ28cに搬送することもできる。チャンバ28a〜dは、基板搬送チャンバ154の壁164内で連続的な真空環境を形成するために相互接続されており、これにより処理は中断されることなく進行し、また基板22の汚染は軽減される。搬送チャンバ154は、ガスを排気する及びチャンバの汚染を軽減するための低圧環境(約10mTorr未満の圧力等)を維持するための排気ポート164を有する壁160を備える。
【0053】
マルチチャンバ装置26は、ハードウェアインターフェースを介してコントローラ170により操作することができる。コントローラ170は、メモリ及びコンピュータ周辺機器に連結された中央処理装置(CPU)を有するコンピュータ(図示せず)を含む。好ましくは、メモリは、取り外し可能な記録媒体(例えば、CD又はフロッピー(商標名)ドライブ等)、取り外し不可能な記録媒体(例えば、ハードドライブ等)及びランダムアクセスメモリを含んでいてよい。コントローラ170は、例えば、アナログ及びデジタル入力/出力ボード、インターフェースボード及びモータコントローラボードを含む複数のインターフェースカードを更に備えていてよい。一態様において、コントローラ170は、メモリ(例えば、取り外し不可能な記録媒体又は取り外し可能な記録媒体)に保存されたコンピュータ可読性プログラムを含む。コンピュータ可読性プログラムは、一般に、例えば、チャンバ28a〜d及びその構成部品並びに搬送チャンバ154及びロボット162を操作するためのプログラムコードを含む処理制御ソフトウェア、チャンバ内で行われている処理を監視するための処理監視用ソフトウェア、安全システムソフトウェア、その他の制御ソフトウェアを含む。コンピュータ可読性プログラムは、いずれの慣用のコンピュータ可読性プラグラム言語で書かれてもよい。
【0054】
本発明の例示的な実施形態を図示し説明してきたが、当業者は、本発明を取り入れた、本発明の範囲内でもあるその他の実施形態を考案し得る。例えば、チャンバ24は、具体的に説明したもの以外の構成部品を備えていてよく、これは当業者に明らかである。更に、下方、上方、底部、上部、上、下、第1、第2及びその他の相対的又は位置的な用語は、図の例示的な実施形態に関して使用したものであり入れ替え可能である。従って、特許請求の範囲は、本発明を説明するための好ましい態様、材料又は本願に記載の空間的な配置についての記載に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔チャンバのガス出口チャネルを基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続するための消耗セラミックライナであって、
(a)遠隔チャンバのガス出口チャネルに適合した外径を有する入口シリンダと、
(b)基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続された出口シリンダと、
(c)入口シリンダを出口シリンダに接合する円錐フレア部とを備えるライナ。
【請求項2】
円錐フレア部の長さの出口シリンダの長さに対する比が約1:2〜約1:8である請求項1記載のライナ。
【請求項3】
遠隔ガスエナジャイザで発生させたエネルギー印加ガスからイオン種を捕捉可能なセラミック材料を含む請求項1記載のライナ。
【請求項4】
セラミックライナを上部チャンバ壁に挿入することにより遠隔チャンバのガス出口チャネルを基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続する方法であって、
セラミックライナは、遠隔チャンバのガス出口チャネルに適合するように寸法設計された入口シリンダと、基板洗浄チャンバのガス入口チャネルに接続された出口シリンダと、入口シリンダを出口シリンダに接合するための円錐フレア部とを備え、
(a)ライナ固定シリンダをセラミックライナの出口シリンダ上に設置し、
(b)セラミックライナの出口シリンダにライナ保持ツールを摺入し、ここでライナ保持ツールの外径は、出口シリンダの内径を支持するように寸法設計されており、
(c)ライナ保持ツールを把持し、セラミックライナの入口シリンダを遠隔チャンバのガス出口チャネルに挿入することを含む方法。
【請求項5】
(d)ライナ保持ツールを捻ることにより固定シリンダの環状フランジを上部チャンバ壁の対応する環状リップ部にはめこむことを更に含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
基板洗浄チャンバのための基板加熱台座部であって、
(a)凹部の配列を備えた基板受け面を有する第1ディスクと、加熱素子を受容するように成形されたチャネルを有する第2ディスクと、第1ディスクと第2ディスクとを接合するロウ付け接着部とを備えた環状プレートと、
(b)基板受け面の凹部にそれぞれ位置決めされた複数のセラミックボールと、
(c)環状プレートに埋設された加熱素子とを備える台座部。
【請求項7】
セラミックボールが、アルミナ酸化物、石英、サファイア、窒化ケイ素、合成コランダム、酸化ジルコニウム、Al又はこれらの混合物から構成される請求項6記載の台座部。
【請求項8】
セラミックボールが約1〜約3mmの直径を有する請求項6記載の台座部。
【請求項9】
セラミックボールの直径が、基板受け面を環状プレートの上面より約0.01mm〜約0.5mm高く維持するに十分な大きさである請求項8記載の台座部。
【請求項10】
基板処理チャンバのためのガス分散プレートであって、
(a)直径dをそれぞれ有する第1穴から構成される第1リングと、
(b)直径2dをそれぞれ有する第2穴から構成され且つ第1リングの半径方向外側に位置する第2リングと、
(c)直径3dをそれぞれ有する第3穴から構成され且つ第2リングの半径方向外側に位置する第3リングと、
(d)直径4dをそれぞれ有する第4穴から構成され且つ第3リングの半径方向外側に位置する第4リングとを備えるプレート。
【請求項11】
直径dが約1〜約5mmである請求項10記載のガス分散プレート。
【請求項12】
セラミックから構成される請求項10記載のガス分散プレート。
【請求項13】
基板加熱台座部に面するガス分散プレートを保持するチャンバ蓋部を有する基板洗浄チャンバのための処理キットであって、
(a)チャンバ蓋部に接触する、処理ガスを通過させるためのオリフィス及び周縁部を有する石英のトッププレートと、
(b)石英のトッププレートの周縁部と接触し且つガス分散プレートの上方に位置するトップライナと、
(c)ガス分散プレートの下方のボトムライナと、
(d)基板加熱台座部の周縁部上に載るフォーカスリングとを備える処理キット。
【請求項14】
トッププレート、トップライナ、ボトムライナ及びフォーカスリングが全て石英を含む請求項13記載の処理キット。
【請求項15】
フォーカスリングが、基板加熱台座部の周縁部上に載る内方フランジを備え、フランジは、基板の周縁部にて垂直面に接する傾斜上面を含む請求項13記載の処理キット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528488(P2010−528488A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510311(P2010−510311)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/006702
【国際公開番号】WO2008/153785
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】