説明

基板用端子およびこれを備えた基板用コネクタ

【課題】金属線材によって形成されて、径の小さなスルーホールへの挿通が可能とされる一方、後めっきを必要とすることなく十分な半田濡れ性が発揮され得る、新規な構造の基板用端子を提供すること。
【解決手段】表面の全面に亘ってめっき層20が形成された長方形断面の角状金属線材を所定長さで切断した切断線材12を用いると共に、プリント基板30のスルーホール32に挿通されて半田付けされる挿通部16において、長辺方向で対向する幅方向一方の縁部のみを切除して長辺方向寸法を小さくすることによって、挿通部16の3つの側面18a,18b,18cに、前記角状金属線材の前記めっき層20を残した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板のスルーホールに挿入されて基板上の導電路に半田付けされる、金属線材から形成された基板用端子とその基板用端子を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車に搭載される電気接続箱には、各種電装品に電力を分配するために多数のリレーおよびヒューズ等が搭載されたプリント基板が用いられている。このようなプリント基板では、プリント基板上の導電路に対して外部の導電路を電気的に接続するために基板用端子が採用される。かかる基板用端子は、一般に、プリント基板のスルーホールに対して先端部分を挿入されて、プリント基板上の導電路に半田付けされることにより、プリント基板に固定されている。
【0003】
ところで、近年では、プリント基板における実装や配線の高密度化が要求されている。基板用端子においても、かかる高密度化に対応するために、基板用端子の狭ピッチ化が検討されている。しかし、基板用端子を狭ピッチ化すると、プリント基板のスルーホールの間隔が狭くなってスルーホールの形成や半田付けが難しくなり、スルーホール間の基板強度も確保し難いという不具合がある。
【0004】
そこで、特開2000−30834号公報(特許文献1)には、スルーホールに挿入される先端部分だけをカッティング等して小幅寸法とした基板用端子が提案されている。このような基板用端子によれば、接続側端部では部材幅寸法を充分に確保しつつ、プリント基板のスルーホール径を小さくすることが可能となる。
【0005】
ところが、基板用端子として、金属線材を用いる場合には、基板用端子の挿通部を形成するに際して、端子の幅方向で対向する両側面をカッティング等して幅狭とすることにより、端子の両側面にはめっきが施されていない母材が露呈してしまう。そのために、半田付けの際に半田上がりが悪くなるという問題があった。特に、近年は環境面への配慮から鉛フリー半田を使用する傾向にあるが、鉛フリー半田の場合には、めっき剥がれによる半田濡れ性の低下が一層顕著な問題となっていた。
【0006】
なお、特許文献1には、半田濡れ性の向上を図るべく、金属線材からなる基板用端子を用い、その端子挿通部をカッティング等で小幅加工した後に、その表面に導電性金属のめっき層を形成することが提案されている。しかしながら、このような後めっき工程は、基板用端子の製造工程が複雑になることに加えて、コストも嵩むことから、別の解決策が望まれていたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−30834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、金属線材によって形成されて、径の小さなスルーホールへの挿通が可能とされる一方、後めっきを必要とすることなく十分な半田濡れ性が発揮され得る、新規な構造の基板用端子を提供することにある。
【0009】
また、本発明は、そのような基板用端子を備えた基板用コネクタを提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
基板用端子に関する本発明は、長方形断面の角状金属線材を所定長さで切断した切断線材を用いて形成されており、長さ方向の一方の端部が、プリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされる挿通部とされている基板用端子において、前記角状金属線材の表面には全面に亘って導電性金属のめっき層が形成されていると共に、前記挿通部では長辺方向で対向する幅方向一方の縁部だけが切除されて長辺方向寸法が小さくされていることを、特徴とする。
【0011】
本発明に従う構造とされた基板用端子によれば、スルーホールに挿通される挿通部において、長辺方向の寸法が小さくされている。これにより、基板側のスルーホールを小さくすることが出来る。その結果、挿通部と反対側の端部は長方形断面形状をもって相手側コネクタ等との接続を可能にしつつ、基板側の省スペース化を図ることが出来る。
【0012】
しかも、長方形断面の切断線材において、幅方向の一方の縁部のみを切除して挿通部を形成したことによって、挿通部には、切除された幅方向一方の面以外の3面において、切断線材に予め施されためっき層を残すことが出来る。これにより、残された3面のめっき層を巧く利用して、後めっき加工を要することなく、挿通部における半田濡れ性が十分に確保された基板用端子をコスト効率良く提供することが出来る。特に、鉛フリー半田など、基板用端子のはんだ濡れ性の向上が要求される場合にも、後めっき加工無しで十分なはんだ上がりを実現することが出来る。
【0013】
基板用コネクタに関する本発明の第一の態様は、複数の基板用端子が貫通状態でコネクタハウジングに取り付けられており、前記基板用端子の一方の端部がプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされる挿通部とされている一方、他方の端部がコネクタハウジング内に突出して外部端子と接続可能とされている基板用コネクタにおいて、前記複数の基板用端子の少なくとも1つが前記基板用端子に関する本発明に従う構造とされた基板用端子によって構成されていることを、特徴とする。
【0014】
本発明に従う構造とされた基板用コネクタによれば、コネクタハウジングに取り付けられる複数の基板用端子のうち、任意の端子を本発明に係る基板用端子で構成することによって、回路配策等の要求に応じて、必要な部分のスルーホールを小型化して基板スペースを確保することが出来る。また、本発明に係る基板用端子を用いて、挿通部の大きさをその他の基板用端子と揃えることによって、スルーホールの共通化を図ることが出来る。
【0015】
基板用コネクタに関する本発明の第二の態様は、基板用コネクタに関する第一の態様に記載のものにおいて、前記複数の基板用端子が、その整列方向における幅寸法が異なる複数種類の端子によって構成されており、前記幅寸法が大きい方の前記端子が請求項1に記載の基板用端子を用いて構成されているものである。
【0016】
本態様によれば、幅寸法(断面形状)の異なる端子が混在する基板用コネクタの場合、幅寸法の大きな長方形断面の基板用端子を本発明に係る基板用端子とすることで、挿通部の幅寸法を小さくすることができる。これにより、長方形断面および正方形断面の端子が混在する基板用コネクタであっても、挿通部の大きさを揃えることが可能となる。従って、プリント基板のスルーホールの形状を端子の幅寸法に係わらず共通化することができて、長穴スルーホールの形成を不要とすることによるコスト低減が実現される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、全面にめっき層が形成された長方形断面を有する切断線材において、幅方向一方の縁部のみを切除してスルーホールへの挿通部を形成した。これにより、基板用端子の挿通部において長辺方向寸法を小さくして、基板側のスルーホールを小型化することが出来る。その結果、基板スペースを有効利用することが出来る。更に、挿通部において、切除された面以外の3面にめっき層を残すことで半田濡れ性が確保されることから、後めっき加工を不要とすることが出来て、製造コスト効率の向上を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態としての基板用端子の斜視図。
【図2】図1に示した基板用端子の正面図。
【図3】図2におけるIII−III断面に相当する断面説明図。
【図4】図1に示した基板用端子の基板への取付状態を説明するための一部断面説明図。
【図5】本発明の一実施形態としての基板用コネクタおよびプリント基板を示す分解斜視図。
【図6】本発明の異なる態様を示す要部拡大説明図。
【図7】本発明の異なる態様としての基板用端子を示す正面図。
【図8】本発明に従う構造とされた基板用端子の異なる利用方法を説明するための一部断面説明図。
【図9】図1に示した基板用端子の基板への取付状態の異なる態様を説明するための一部断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
先ず、図1〜図3に、基板用端子に関する本発明の一実施形態としての基板用端子10を示す。基板用端子10は、長方形断面を有する角状金属線材が所定長さで切断されてなる切断線材12から形成されている。基板用端子10の長さ方向(図2中、上下方向)の一方の端部には、切断線材12そのままの略一定の長方形断面形状をもって延びる端子接続部14が形成されていると共に、他方の端部には、略一定の略正方形断面形状をもって延びる挿通部16が形成されている。なお、切断線材12の長さ方向両端縁部は、必要に応じて、潰し加工等により先細のテーパ形状とされている。
【0021】
切断線材12を形成する角状金属線材は、長方形断面を有する銅や鉄等の導電性金属線材からなる母材の4つの側面の全面に亘って、錫や金などの導電性金属材料からなるめっきが施された構造とされている。この角状金属線材が切断されてなる切断線材12は、例えば、1.5mm×0.64mmや、2.3mm×0.64mmの長方形断面形状を有しており、端子接続部14の4つの側面18a〜18dには、全面に亘ってめっき層20(図3参照)が形成されている。
【0022】
切断線材12の長さ方向で端子接続部14と反対側には、長方形断面の長辺方向となる幅方向(図2中、左右方向)で対向する一対の側面18c、18dのうち、一方の側面18d側の縁部が切除されてなる切欠部22が形成されている。なお、切欠部22は、切削等により形成しても良いが、好適には、プレス加工で切断線材12の側面18d側の縁部を打ち抜くことにより形成される。
【0023】
そして、切断線材12において切欠部22が形成されて、長辺方向寸法が小さくされた部分で挿通部16が形成されている。これにより、挿通部16は、切断線材12の幅方向一方(図2中、左方)に偏倚して形成されて、3つの側面を端子接続部14の側面18a,18b,18cと共通する略正方形断面とされており、これら3つの側面18a,18b,18cの表面には略全面に亘ってめっき層20が形成されている。一方、切欠部22が形成されることによって現出された残り一つの側面24は、切断線材12の母材が外部に露出された、めっき層20の非形成面とされている。なお、挿通部16の長さ寸法は、基板用端子10の剛性や端子接続部14の外部端子との接続性を確保するために、端子接続部14の長さ寸法よりも小さくされることが好ましい。
【0024】
また、図2の基板用端子10を下方(図2中、下方)から臨む図3に示すように、切欠部22が形成されることによって、挿通部16と端子接続部14の接続部分には、挿通部16の側面24から挿通部16の長さ方向に直交して突出する突出面26が形成されている。特に本実施形態において、突出面26における側面18d側の突出先端部には、切欠部22を側面18dに向けて拡開する第一テーパ面27が形成されており、切欠部22の開口端縁部の角が落とされていることによって、取り扱い上の安全性が向上されている。また、基板用端子10の端子接続部14を、挿通部16から例えば基板用コネクタの台座に形成された貫通孔や、基板用コネクタをインサート成形する際の金型駒などに挿入する際に、第一テーパ面27を案内面として利用して、端子接続部14における挿通部16側の端部の挿入をより容易にすることが出来る。更に、突出面26における側面24側の突出基端部には、挿通部16の幅寸法が端子接続部14に向けて次第に大きくなる第二テーパ面28が形成されており、挿通部16と端子接続部14の接続部分の強度が確保されている。これにより、後述するスルーホール32への挿入や半田付け、切欠部22の打ち抜き加工などに際して、挿通部16と端子接続部14の接続部分に応力が集中してクラック等の損傷や変形を生じるおそれを軽減することが出来る。
【0025】
このような構造とされた基板用端子10は、例えば、図4に示すように、挿通部16がプリント基板30に貫設されたスルーホール32に挿通されて半田付けされることによって、プリント基板30上に形成されたプリント回線(図示省略)等と電気的に接続される。そして、端子接続部14がプリント基板30上に突設されて、図示しない外部端子としての相手側コネクタ等と接続可能とされる。
【0026】
そして、本実施形態に従う構造とされた基板用端子10によれば、挿通部16において略正方形断面形状とされていることから、挿通部16を円形状のスルーホール32に挿通することが可能とされており、スルーホール32を長穴形状とすることが不要とされる。これにより、スルーホール32の小型化を図ることが出来て、端子接続部14において略長方形断面形状をもって相手側コネクタ等との接続を可能としつつ、基板スペースの効率化を図ることが出来ると共に、スルーホール32を容易にコスト効率良く形成することが出来る。また、図4に示したように、複数の基板用端子10が幅方向で並設されるような場合には、互いの挿通部16,16間の離隔距離をより大きくすることが出来て、短絡防止を図ることも出来る。
【0027】
さらに、切断線材12の幅方向一方の端縁部側のみを切除して挿通部16を形成したことによって、挿通部16における側面18a,18b,18cの3面に、切断線材12を形成する角状金属線材の表面に形成されためっき層20を残すことが出来る。これにより、より高度な半田濡れ性が要求される鉛フリー半田においても、後めっき加工を要することなく、挿通部16における半田濡れ性を確保することが出来て、製造コスト効率を向上することが出来る。
【0028】
加えて、切断線材12の幅方向一方側のみを切除して挿通部16における長辺方向寸法を小さくしたことによって、切断線材12の幅方向両側を切除する場合に比して、プレス打ち抜き加工等に際する切除代を切断線材12の幅方向でより大きく確保することが出来る。これにより、挿通部16をより容易且つ精度良く形成することが出来る。
【0029】
なお、本発明における基板用端子10は、図4に示したように、単体でプリント基板30に突設して用いることも可能であるし、例えば、基板用コネクタの基板用端子として用いることも可能である。図5に、基板用コネクタに関する本発明の一実施形態としての基板用コネクタ40を示す。
【0030】
基板用コネクタ40は、コネクタハウジング42に、複数の基板用端子44、46が貫通状態で取り付けられた構造とされている。コネクタハウジング42は、従来公知のように、非導電性の合成樹脂から形成されており、底部48と、底部48から突出する周壁50が一体形成された、一方に開口する略箱体形状とされている。
【0031】
基板用端子44は、本発明に従う構造とされた前記基板用端子10と略同様の構造とされたものであることから、図中に前記基板用端子10と同一の符号を付することによりその詳細な説明は省略するが、基板用端子44は、前記基板用端子10において、端子接続部14の中間部分が略垂直に屈曲された屈曲部52を有する全体としてL字形状とされている。一方、基板用端子46は、全長に亘って、基板用端子44の挿通部16と略等しい大きさの略正方形断面形状を有する線状端子とされており、長さ方向中間部分に屈曲部54を有する、全体としてL字形状とされている。
【0032】
そして、これら基板用端子44,46の複数が、コネクタハウジング42に対して底部48を貫通した状態で取り付けられている。これにより、基板用端子44の端子接続部14、および基板用端子46の一方の端部(図示省略)が、周壁50で囲まれたコネクタハウジング42内に突出されると共に、基板用端子44の屈曲部52と挿通部16、および基板用端子46の屈曲部54と他方の端部56がコネクタハウジング42外に突出されて、挿通部16および端部56がそれぞれプリント基板30に向けて延び出される。なお、基板用端子44,46のコネクタハウジング42への固定は、コネクタハウジング42の底部48に貫通孔を設けて、この貫通孔に圧入しても良いし、コネクタハウジング42にインサート成形しても良い。
【0033】
これにより、複数の基板用端子44,46が整列状態でコネクタハウジング42に取り付けられており、本実施形態においては、2列上に並んで配設されている。なお、基板用端子44は、端子接続部14における長方形断面の長辺方向が整列方向となるように配設されている。これにより、長方形断面を有する基板用端子44と正方形断面を有する基板用端子46は、整列方向の幅寸法が互いに異ならされており、基板用端子44は、基板用端子46に比して、整列方向の幅寸法がより大きくされている。また、複数の基板用端子44は、それぞれの挿通部16が整列方向で互いに同じ側に偏倚して位置するように配設されている。
【0034】
このような構造とされた基板用コネクタ40は、コネクタハウジング42外に突出された基板用端子44の挿通部16および基板用端子46の端部56が、プリント基板30のスルーホール32に挿通されて半田付けされることによって、プリント基板30に取り付けられる。そして、コネクタハウジング42内に突出された基板用端子44の端子接続部14および基板用端子46の端部(図示省略)が、図示しない外部端子としての相手側コネクタ等と接続可能とされる。
【0035】
本実施形態における基板用コネクタ40によれば、コネクタハウジング42に取り付けられる複数の端子のうちの任意の端子に、本発明に従う構造とされた基板用端子44を採用することによって、相手側コネクタに対して長方形断面の端子接続部14による接続を可能としつつ、挿通部16でスルーホール32を小型化して、プリント基板30の有効スペースをより大きく確保することが出来る。更に、挿通部16と基板用端子46の断面形状が、互いに略等しい略正方形断面形状とされていることから、基板用端子44および基板用端子46の何れも同じ円形状のスルーホール32に挿通することが可能となる。これにより、長穴形状のスルーホールを形成することも不要となり、スルーホール形状を共通化することが出来て、より優れた製造効率を得ることが出来る。
【0036】
加えて、挿通部16において基板用端子44の幅寸法が小さくされて剛性が低減されることから、基板用コネクタ40をプリント基板30に半田付けする際のハンダクラックの発生を低減することも出来る。更に、挿通部16において幅寸法が小さくされることから、複数の基板用端子44,46のスルーホール32への挿通部分の視認性を向上することも出来て、半田上がりの確認等の容易性も向上することが出来る。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、挿通部16の断面形状は略正方形に限定されるものではなく、要求される基板用端子10の剛性や基板スペース等を考慮して、側面18a,18bの幅寸法(図3中、左右方向寸法)が側面18c、24の幅寸法(図3中、上下方向寸法)よりも大きな長方形断面形状や、側面18a,18bの幅寸法が側面18c、24の幅寸法よりも小さな長方形断面形状とする等しても良い。
【0038】
また、例えば図6に要部を拡大して示すように、前記実施形態における第一テーパ面27および第二テーパ面28の形成部分を、それぞれ第一湾曲面57および第二湾曲面58とする等しても良い。このようにすれば、より円滑な案内効果や更なる応力緩和を図ることが出来る。但し、第一テーパ面27および第二テーパ面28や第一湾曲面57および第二湾曲面58は必ずしも必要ではないのであって、例えば前記実施形態において、第一テーパ面27および第二テーパ面28を設けることなく、突出面26の全体を切断線材12の長さ方向に直交する方向に広がる平坦面形状として、突出面26と側面18dおよび側面24との接続部分を角状に形成しても良い。更にまた、図7に示す基板用端子に関する本発明の異なる態様としての基板用端子59のように、突出面26の全体を、切断線材12の長さ方向に直交する方向に対する傾斜面として、切断線材12の長方形断面における長辺方向寸法(図7中、左右方向寸法)が端子接続部14から挿通部16に向けて次第に小さくされるようにしても良い。
【0039】
さらに、図8に示すように、本発明に従う基板用端子は、台座型の基板用コネクタ60の基板用端子として用いることも可能である。図8における基板用コネクタ60は、プリント基板30上に載置される従来公知のコネクタ台座62を有している。コネクタ台座62は非導電性の合成樹脂から形成された略ブロック形状とされており、コネクタ台座62の四隅部には、プリント基板30に向けて突出する脚部64が形成されている。このコネクタ台座62に貫設された端子挿通孔66に、前記実施形態における基板用端子10の複数がそれぞれの端子接続部14において圧入状態で挿通されてコネクタ台座62に貫通状態で取り付けられることによって、基板用コネクタ60が形成されている。勿論、複数の基板用端子10は、コネクタ台座62にインサート成形されていても良い。
【0040】
そして、コネクタ台座62がプリント基板30上に載置されると共に、コネクタ台座62から突出された複数の基板用端子10の挿通部16が、それぞれ、スルーホール32に挿通されて半田付けされている。このような基板用コネクタ60に、本発明に従う構造とされた基板用端子10を用いることによって、前記基板用コネクタ40と同様、挿通部16において剛性を低減してハンダクラックの発生を低減したり、挿通部16において幅寸法が小さくされていることによって、プリント基板30の有効スペースの確保や短絡防止効果、およびコネクタ台座62とプリント基板30との間の空間の視認性を向上して、半田上がりの確認等をより容易にすること等が出来る。
【0041】
なお、基板用コネクタに用いられる場合等のように、複数の基板用端子10が幅方向で並設される場合には、例えば図9に要部を概略的に示すように、複数の基板用端子10の向きを部分的に異ならせて(図9においては基板用端子10bの向きを異ならせて)、隣接する一対の基板用端子10a,10bにおいて、切欠部22,22の位置を配列方向で互いに反対側に位置させても良い。このようにすれば、一対の基板用端子10a,10bの挿通部16,16の離隔距離をより大きく確保することが出来る。これにより、基板用端子10a,10bの間に、より幅寸法の大きなプリント配線68を配索することも出来る。
【0042】
また、基板用端子において、挿通部から突出する端子接続部の端面(前記実施形態における突出面26)をプリント基板に接触させることによって、基板用端子のプリント基板への挿通量を規定するようにしても良い。このようにすれば、複数の基板用端子のプリント基板からの突出量を容易に揃えることが出来る。なお、そのような場合には、基板のスペース効率向上効果や短絡防止効果を損なうことの無いように、基板用端子の幅寸法は、スルーホールのランドからはみ出さない大きさに設定されることが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
10、44、58:基板用端子、12:切断線材、14:端子接続部、16:挿通部、18a〜d:側面、20:めっき層、22:切欠部、24:側面、30:プリント基板、32:スルーホール、40:基板用コネクタ、42:コネクタハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形断面の角状金属線材を所定長さで切断した切断線材を用いて形成されており、長さ方向の一方の端部が、プリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされる挿通部とされている基板用端子において、
前記角状金属線材の表面には全面に亘って導電性金属のめっき層が形成されていると共に、前記挿通部では長辺方向で対向する幅方向一方の縁部だけが切除されて長辺方向寸法が小さくされていることを特徴とする基板用端子。
【請求項2】
複数の基板用端子が貫通状態でコネクタハウジングに取り付けられており、前記基板用端子の一方の端部がプリント基板のスルーホールに挿通されて半田付けされる挿通部とされている一方、他方の端部がコネクタハウジング内に突出して外部端子と接続可能とされている基板用コネクタにおいて、
前記複数の基板用端子の少なくとも1つが請求項1に記載の基板用端子によって構成されていることを特徴とする基板用コネクタ。
【請求項3】
前記複数の基板用端子が、その整列方向における幅寸法が異なる複数種類の端子によって構成されており、前記幅寸法が大きい方の前記端子が請求項1に記載の基板用端子を用いて構成されている請求項2に記載の基板用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−103251(P2011−103251A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258249(P2009−258249)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】