説明

基板表面欠陥検査方法およびその装置

【課題】基板表面の離散的であって線状に分布する欠陥(線状スクラッチ欠陥)を他のランダムに分布する微小な欠陥と区別して分類することを可能にする。
【解決手段】基板表面欠陥検査装置1000は、基板1を載置して回転可能なステージ手段190と、基板1に光を照射する照明光源110と、基板1からの反射・散乱光を検出する検出手段120,130,140と、検出される信号を増幅してA/D変換するA/D変換手段151,152,153と、このA/D変換手段で変換された検出器から出力される信号を処理して基板上の欠陥を検出して検出した欠陥を分類する欠陥検出手段160とを備えて構成し、欠陥検出手段160は、検出器から出力される信号を処理して基板の表面の微小な欠陥を抽出し、この抽出した微小な欠陥の中から線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面欠陥を検出する方法及びその装置に係り、特に、磁気ディスク基板の表面の線状の欠陥を検出するのに適した基板表面欠陥検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク用基板の表面を検査する装置では、プロセス管理の高度化、工程改善に寄与させる目的で、検出した欠陥を分類するニーズがある。磁気ディスク用基板の表面を検査する装置の検出光学系には一般に複数の検出器が装備されているが、これら複数の検出器からの検出信号による微小欠陥の分類に加えて、磁気ディスク面内での欠陥の分布形状に特徴に基づく欠陥の分類が求められている。即ち、連続した微小欠陥は線状欠陥として認識可能であるが、離散的であって線状に分布する欠陥(以下、線状スクラッチ欠陥と記す)を他の微小な欠陥集合と区別する必要が有った。
【0003】
従来の磁気ディスクの表面の欠陥を検査する装置としては、例えば、特許文献1には、検査対象試料である磁気ディスクにレーザを照射して磁気ディスク表面からの反射光、散乱光を複数の検出器で受光し、それぞれの受光器の受光条件によって微小欠陥の分類を行っている。また、検出した微小欠陥の平面連続性を判定して欠陥の長さの大小や、線状欠陥、塊状欠陥の分類を行っている。
【0004】
また、特許文献2には、特許文献1に記載されているのと同様な磁気ディスクの表面の欠陥を検査する装置をもちいて、線状欠陥の周期性を検出してしわ状の欠陥を検出することが記載されている。
【0005】
更に、特許文献3には、半導体ウェハ表面を検査して得られた欠陥の分布の状態によって欠陥を分類することが記されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−180376号公報
【特許文献2】特開2009−180590号公報
【特許文献3】特開2006−352173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
線状に分布している欠陥には連続的に線状な欠陥と線状の領域に離散的に分布している欠陥が有る。しかし、特許文献1に記載されている欠陥の分類方法では、連続的に線状な欠陥は線状欠陥として検出できても、線状の領域に離散的に分布している欠陥(連続スクラッチ欠陥)をランダムな微小欠陥と区別して検出することについては配慮されていない。また、特許文献2に記載されている発明では、磁気ディスク表面の緩やかな凹凸によって生じる反射光の増減を検出しているため、微小な欠陥を検出することはできない。更に、特許文献3に記載されている欠陥の分類方法では、欠陥の位置情報だけを用いているために、複数の検出器から得られる欠陥の中から特定の特徴を持つ欠陥点を選択して処理することが難しい。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決して、基板表面の離散的であって線状に分布する欠陥(線状スクラッチ欠陥)を他のランダムに分布する微小な欠陥と区別して分類することを可能にする基板表面欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明では、検査対象の基板を載置して回転可能なステージ手段と、ステージ手段に載置された基板に光を照射する1つ以上の照明光源と該照明光源により光が照射された基板からの反射或いは散乱光を検出する1つ以上の検出器とを備えた検査光学系手段と、検査光学系手段の1つ以上の検出器から出力される信号を増幅してA/D変換するA/D変換手段と、このA/D変換手段で変換された検出器から出力される信号を処理して基板上の欠陥を検出して検出した欠陥を分類する欠陥検出手段とを備えた基板の表面の欠陥を検査する装置において、欠陥検出手段は、1つ以上の検出器から出力される信号を処理して基板の表面の微小な欠陥を抽出し、この抽出した微小な欠陥の中から線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を検出するようにした。
【0010】
また、上記した目的を達成するために、本発明では、回転可能なステージを回転させながらステージに載置された基板に1つ以上の照明光源から照明光を照射し、照明光源により光が照射された基板からの反射・散乱光を1つ以上の検出器で検出し、基板からの反射或いは散乱光を検出した1つ以上の検出器から出力される信号を増幅してA/D変換し、 このA/D変換された1つ以上の検出器から出力される信号を処理して基板上の欠陥を検出し、この検出した欠陥を分類する基板の表面の欠陥を検査する方法において、欠陥を検出するステップで、1つ以上の検出器から出力される信号を処理して基板の表面の微小な欠陥を抽出し、検出した欠陥を分類するステップで、抽出した微小な欠陥の中から線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を検出するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁気ディスクの基板表面に線状に離散的に発生した欠陥を線状欠陥として、ランダムに発生した欠陥と区別して検出することができるようになった。
【0012】
また、検出した磁気ディスク表面に線状に離散的に発生した欠陥の形状や磁気ディスク基板上の発生位置を把握することにより、製造工程での欠陥発生原因となる箇所の絞込みを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る表面欠陥検査装置の全体の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例に係る欠陥を検出して分類する処理の流れを示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明の実施例に係る微小な欠陥の中から線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を抽出する処理の流れを示すフロー図である。
【図4】図4は、Hough変換の原理を説明する図である。
【図5】図5は、検出された微小な欠陥の中から抽出した直線状の領域に離散的に存在する線状欠陥の例を示す図である。
【図6】図6は、検出された微小な欠陥の中から抽出した曲線状の領域に離散的に存在する線状欠陥の例を示す図である。
【図7】図7は、図2で説明した欠陥を検出して分類する処理の流れの変形例を示すフロー図である。
【図8】図8は、本発明の実施例における線状欠陥を抽出して結果を表示する表示画面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0015】
先ず、本実施例に係る磁気ディスクの表面欠陥検査装置1000の概略の構成を図1に示す。磁気ディスクの表面欠陥検査装置1000は、2系統の照明検出光学系(以下、光学系と記す)を備える。第1の光学系100は、1つの照明手段と3つの検出手段を備えている。照明手段は、高角度方向から試料1である磁気ディスクの表面に第1の波長のレーザを照射する第1の照明手段110である。3つの検出手段は、高角度検出手段120、中角度検出手段130及び低角度検出手段140を備えている。
【0016】
高角度検出手段120は、第1の照明手段110で照射されて試料1の表面で反射・散乱して点線で示した方向のうち高角度方向に進んだ正反射光を含む反射・散乱光を集光するレンズ121とこの集光レンズ121で集光された光のうち第1の照明手段110から発射されたレーザと同じ波長の光を透過して異なる波長の光を遮光する波長選択フィルタ122、この波長選択フィルタ122を透過した光を検出する高角度検出器123、集光レンズ121で集光された光のうち試料1からの正反射光を反射するミラー124、ミラー124で反射された試料1からの正反射光のうち第1の照明手段110から発射されたレーザと同じ波長の光を透過して異なる波長の光を遮光する波長選択フィルタ125、この波長選択フィルタ125を透過した光を検出する正反射光検出器126を備えている。
【0017】
中角度検出手段130は、第1の照明手段110から発射され、試料1の表面で反射・散乱した光のうち中角度方向に進んだ散乱光を集光する集光レンズ131、集光レンズ131で集光された光を検出する中角度検出器132を備えている。
【0018】
低角度検出手段140は、第1の照明手段110から発射され、試料1の表面で反射・散乱した光のうち低角度方向に進んだ散乱光を集光する集光レンズ141、集光レンズ141で集光された光を検出する低角度検出器142を備えている。
【0019】
第2の光学系200は、1つの照明手段と1つの検出手段(を備えている。照明手段は、第1の光学系100とは異なる平面上にあり、斜め方向から試料1である磁気ディスクの表面に第2の波長のレーザを照射する第2の照明手段210である。第2の光学系検出手段は、第2の照明手段210によりレーザが照射され、試料1表面の凹凸によって集光・拡散して実線で示した方向に進んだ正反射光のうちピンポール素子221を透過した光を検出する検出器222を備えている。 検出器123、222,127,132,142から出力された信号は、それぞれA/D変換器151,152,153,154,155で増幅されてA/D変換されて処理装置160に入力される。
【0020】
処理装置160は、A/D変換された各検出器123、222,127,132,142から出力された信号を受けて微小欠陥を検出する微小欠陥検出部161、微小欠陥検出部161からの信号を受けて微小欠陥の種類を判定する微小欠陥種類判定部162、微小欠陥種類判定部162からの信号を受けて欠陥候補点を選択する欠陥候補点選択部163、欠陥候補点選択部163からの信号を受けて演算処理する演算処理部164、演算処理部164で処理した結果を受けて線状欠陥の種類を判定する線状欠陥種類判定部165を備えている。
【0021】
処理装置160には表示画面171を有する入出力手段170が接続されている。また、
処理装置160と入出力手段170とは、全体制御部180と接続している。全体制御部180は、試料1を載置して試料1を回転させると共に試料1が回転する面内で少なくとも1軸方向に移動可能なステージを備えたステージ手段190を制御する。
【0022】
以上の構成で、全体制御部180で制御してステージ手段190を試料1を載置した状態で試料1の表面の法線方向を回転中心として回転させ、法線方向に直角な1方向に一定の速度で移動を開始する。
【0023】
この状態で第1の光学系100の第1の照明手段110から第1の波長のレーザをステージ手段190上で回転している試料1の表面に照射する。また、第2の光学系200の第2の照明手段210からも、第2の波長のレーザをステージ手段190上で回転している試料1の表面の第1のレーザが照射されている領域に照射する。
【0024】
集光レンズ121で集光され、そのうち正反射光成分はミラー124で検出器126の方向へ光路を折り曲げられる。集光レンズ121で集光された光のうち正反射光が除去された光(正反射光の光軸近傍の散乱光)は波長選択フィルタ122に入射し、第1のレーザを同じ波長の成分の光が波長選択フィルタ122を透過し、他の波長成分の光は遮光される。波長選択フィルタ122を透過した正反射光が除去された光は検出器123に入射して検出される。
【0025】
一方、ミラー124で検出器126の方向へ光路を折り曲げられた正反射光成分は、第1のレーザを同じ波長の光成分だけが波長選択フィルタ125を透過し、他の波長成分の光は遮光される。波長選択フィルタ125を透過した正反射光が除去された光は検出器126に入射して検出される。即ち、第2の波長のレーザによる試料1からの散乱光のうち集光レンズ121で集光されたレーザは、波長選択フィルタ122及び波長選択フィルタ125で遮光されて、検出器123及び検出器126の何れにも検出されない。
【0026】
また、第2の光学系200は第1の光学系100とは、試料1の磁気ディスクが円形に見える上方向から見て、異なる角度で配置されており、それぞれの正反射光成分の影響は無視できる程度となるようにしている。
【0027】
このような検査を試料1を回転させながら直進移動させて試料1の外周部から内周部にかけて行うことにより、試料1の全面を検査することができる。又、図示していない基板反転機構を用いて試料1を反転させて未検査の裏面が上になるようにし、表面と同様な検査を行うことにより、試料の両面を検査することができる。
【0028】
なお、本例では第1の光学系100において、光路中の光学素子に波長選択フィルタ122、125を用いたが、これらの代わりに光学マスクフィルター(ピンホールを含む)又は偏光フィルターを単独あるいは波長選択フィルターと併用して用いて特定成分の光を通過するようにしても良い。
【0029】
次に、図1に示した検査装置を用いて、試料1上の欠陥を検出するための処理の流れについて、図2を用いて説明する。
【0030】
まず、試料1をステージ手段190で回転させながら一方向に連続的に移動させる。この状態で第1の光学系100の第1の照明手段110と第2の光学系200の第2の照明手段210とからそれぞれレーザを発射して試料1の表面に照射する。
このレーザが照射された試料1で発生した反射・散乱光は第1の光学系100の高角度検出手段120、中角度検出手段130、低角度検出手段140及び第2の光学系の検出手段でそれぞれ検出され、各検出器123,126,132,142及び222から出力された検出信号はそれぞれA/D変換器151〜155で増幅されてA/D変換され、処理装置160に入力される(S201)。
【0031】
処理装置160に入力したそれぞれの検出器からの検出信号は欠陥検出部において欠陥候補が抽出され(S202)、抽出された欠陥候補の特徴量が算出され(S203)、算出した特徴量から、試料面上で連続性のある欠陥を抽出し(S204)、この抽出した欠陥が線状であるか否かを判定し(S205)、線状であると判定した時には連続する線状の欠陥であるとし(S206)、線状ではなく広がりがあると判定した時には面状の欠陥とする(S207)。次に、S204で連続性のない欠陥であると判定された欠陥について中角度検出手段130の検出器132と低角度検出手段140の検出器142で欠陥を検出しているか否かをチェックし(S208),検出していればその欠陥は異物欠陥と判定し(S209),検出していないときには微小欠陥と判定する(S210)。
【0032】
次に、S210で微小欠陥と判定された欠陥の中から線状の小域に離散的に分布する線状欠陥を抽出する処理の流れについて、図3を用いて説明する。
【0033】
まず、S210で微小欠陥と判定された欠陥の信号は、S203で算出された特徴量の情報と共に欠陥候補点選択部162に送られて(S301)、微小欠陥がディスク平面上に展開されて線状の欠陥を構成する欠陥種類が選択される(S302)。選択する欠陥種類は1種類とは限らず、複数の種類を選択しても良い。また、分類された欠陥種類を選択する代わりに、検出器の受光条件を直接指定して線状欠陥を形成する微小欠陥群を選択しても良い。
【0034】
次に、選択した欠陥種類または微小欠陥群の情報は演算処理部163に送られ、個々の微小欠陥の平面上の位置データを用いて、例えばHough変換処理によって直線状に並んでいる候補を検出する(S303)。
【0035】
Hough変換は、図4Aに示すように、複数の特徴点(本実施例においては欠陥の位置)を最も多く通る直線を決定するものであり、例えばP1とP2とを通る直線に0点から引いた垂線のx軸方向に対する角度θと垂線の長さρとを各2点を結ぶ直線について順次算出し、それらを図4Bに示すような2次元空間にプロットしたときに交わる点Pから決まる長さρと角度θの組(θm、ρm)で表される1本の直線が複数の特徴点を最も多く通る直線として決定される。
【0036】
Hough変換は、線を構成する点群が不連続であっても、それらの点群を通る線を検出することができるものであって、離散的に存在する欠陥点から線状欠陥成分を抽出するのに有効である。
【0037】
このHough変換処理では一定個数以上の欠陥点を通る線を検出するが、検出位置の誤差を考慮して、図5に示すように検出した直線の周辺距離w内に存在する欠陥点を線状の欠陥点とみなし、それらを含めて線状の総欠陥点数及び欠陥密度を計算する。
【0038】
また、欠陥の密度が一定値以下になる線端を欠陥終点として、線状欠陥候補の長さと位置を決定する。決定した線状欠陥候補から、長さ、位置、密度などの空間特徴量を元に欠陥を確定する。
【0039】
この処理は直線状の微小欠陥の検出に限定するものでなく、一般化Hough変換を用いて円又は円弧あるいは任意関数で示される図形を定義すれば、例えば図6に示すように、その形状に沿った曲線状の微小欠陥と曲線の曲率の中心位置を検出することができる。
【0040】
このように処理することで、離散的な点群からなる線状欠陥であっても、他のランダム欠陥と区別して検知することが可能になる。
【0041】
なお、処理時間を短縮するために、プロセス条件に合わせて予め検出形状条件を限定しても良い。あるいは、検出した欠陥の幾何学形状と発生工程の対応が経験的あるいは論理的に判明している場合は、定式化して判定しても良い。
【0042】
次に演算処理部163で処理されたデータは線状欠陥種類判定部164へ送られて、検出した線状欠陥の物理形状によって線状欠陥種類を判定する(S304)。たとえば、検知対象線を円又は円弧とした場合は、円弧の中心点と半径も欠陥の幾何学特徴量として算出する。
【0043】
また、S208において散乱光検出系の検出信号の有無によって、離散欠陥点を異物か或いは微小欠陥に分類したが、ここでは分類せずにS303において、直線状に並んでいる候補に該当しなかった欠陥(ランダム欠陥)を対象にして、S208の条件によって、異物かどうかを判定しても良い。
また、S206において連続した線状欠陥と判定された欠陥は、S210の微小欠陥と併せてS301の欠陥候補点選択部に入力しても良い。これにより、同一発生原因の線状欠陥であって連続部と離散部とに分離した特徴を有する欠陥を単一欠陥として検出することが可能となる。これらの変形例のフローを図7に示す。
【0044】
図7のフローを説明する。
まず、試料1をステージ手段190で回転させながら一方向に連続的に移動させる。この状態で第1の光学系100の第1の照明手段110と第2の光学系200の第2の照明手段210とからそれぞれレーザを発射して試料1の表面に照射する。
このレーザが照射された試料1で発生した反射・散乱光は第1の光学系100の高角度検出手段120、中角度検出手段130、低角度検出手段140及び第2の光学系の検出手段でそれぞれ検出され、各検出器123,126,132,142及び222から出力された検出信号はそれぞれA/D変換器151〜155で増幅されてA/D変換され、処理装置160に入力される(S701)。
【0045】
処理装置160に入力したそれぞれの検出器からの検出信号は欠陥検出部において欠陥候補が抽出され(S702)、抽出された欠陥候補の特徴量が算出され(S703)、算出した特徴量から抽出した欠陥が連続欠陥であるかを判断し(S704),連続欠陥であると判断された(YES)欠陥については、それが線状の欠陥であるかを判断し(S705),YESの場合は連続する線状欠陥と判定する(S706)。NOの場合には面状欠陥と判定する(S707)。一方、S704で連続欠陥ではない(NO)と判定された欠陥については微小欠陥と分類され(S708),この微小欠陥の情報を欠陥候補点選択部162に入力する(S709)。次に、この欠陥候補点選択部162に入力された微小欠陥の情報とS706で連続する線状欠陥と判定された欠陥について欠陥候補点が選択され(S710)、この欠陥候補点の情報から線状欠陥を抽出し(S711)、この抽出された線状欠陥の種類を判定する(S712)。
【0046】
このように、連続欠陥でない微小欠陥と連続する線状欠陥とを一緒にして欠陥候補点を選択することにより、同一発生原因の線状欠陥であって連続部と離散部とに分離した特徴を有する欠陥を単一欠陥として検出することが可能となる。一方、S711で線状欠陥として抽出されなかった欠陥を非線状(ランダム)欠陥としてそれらの欠陥について散乱光検出系132,142からの検出信号が有ったか否かをチェックし(S713),散乱光検出系132,142からの検出信号が有った場合にはその微小欠陥は異物であると判定し(S714)、一方、散乱光検出系132,142からの検出信号が無かった場合には基板表面の微小な傷であると判定する(S715)。
【0047】
一般に、磁気ディスクの研磨工程では、上面にドーナツ状の砥石を装着した下部の定盤を自転させながら下面に砥石を装着した上部の定盤を自転と公転させて、上下面を砥石で挟んだ磁気ディスク基板が研磨される。このような研磨装置の構成については、例えば特開平04−013553号公報に記載されている。磁気ディスク基板は、このように研磨されることから、研磨工程により発生する線状欠陥の円弧の大きさ、中心位置は有る程度限定される。そのため、欠陥の円弧中心点が磁気ディスクの中心か否か、また否の場合、磁気ディスクの面内か外かによって欠陥の発生工程を推定すること可能になる。円弧中心点が磁気ディスクの中心と一致またはほぼ一致した場合には、ヘッドタッチによる欠陥と推定することができる。更に、検出した線状欠陥の位置や形状によっては、基板をハンドリングするときに生じた欠陥などプロセス処理時に発生した欠陥を推定可能であることはいうまでもない。
【0048】
本実施例により検出した離散的な線状欠陥を検出した結果を出力する入出力手段170の画面171の例を図8に示す。
【0049】
検査結果を出力する画面171には、検出した線状欠陥の磁気ディスク上の位置をマップ形式に示す欠陥マップ表示領域810と、検出した線状欠陥に関するデータを表示するデータ表示領域820を備えている。欠陥マップ表示領域810には磁気ディスクの外形図811上に検出した線状欠陥を種類ごとに線状欠陥A812、線状欠陥B813、線状欠陥C814を表示する。また、データ表示領域820には、検査対象磁気ディスクのロットNo.やディスクNo.等のディスク情報を表示する領域821、検査日時を表示する領域822及び各線状欠陥ごとの欠陥の長さ、欠陥密度、欠陥の幅、(図4の幅W)、微小欠陥の数、微小欠陥の平均サイズ等の線状欠陥に関する情報を表示する領域823を備えている。
【0050】
本実施例によれば、磁気ディスク表面からの反射・散乱光を検出した信号から得られる欠陥信号の中から離散的に検出される微小欠陥を抽出し、この抽出した離散的な欠陥の中から線状の領域に並ぶ線状(直線状及び曲線状)欠陥を検出することが可能になり、磁気ディスク製造プロセスに起因して発生する比較的密度が低い線状の欠陥をより高い感度で検出することが可能になった。
【0051】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1・・・磁気ディスク 100・・・第1の光学系 110・・・第1の照明手段 120・・・高角度検出手段 130・・・中角度検出手段 140・・・低角度検出手段 160・・・処理装置 161・・・微小欠陥検出部 162・・・微小欠陥種類判定部 163・・・欠陥候補点選択部 164・・・演算処理部 165・・・線状欠陥種類判定部 170・・・入出力手段 180・・・全体制御部 190・・・ステージ手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板を載置して回転可能なステージ手段と、
該ステージ手段に載置された基板に光を照射する1つ以上の照明光源と該照明光源により光が照射された前記基板からの反射・散乱光を検出する1つ以上の検出器とを備えた検査光学系手段と、
該検査光学系手段の前記1つ以上検出器から出力される信号を増幅してA/D変換するA/D変換手段と、
該A/D変換手段で変換された前記1つ以上の検出器から出力される信号を処理して前記基板上の欠陥を検出して該検出した欠陥を分類する欠陥検出手段と
を備えた基板の表面の欠陥を検査する装置であって、
前記欠陥検出手段は、前記1つ以上の検出器から出力される信号を処理して前記基板の表面の微小な欠陥を抽出し、該抽出した微小な欠陥の中から線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を検出することを特徴とする基板表面欠陥検査装置。
【請求項2】
前記1つ以上の照明光源は、それぞれ異なる波長のレーザを前記試料に照射することを特徴とする請求項1記載の基板表面欠陥検査装置。
【請求項3】
前記欠陥検出手段は、前記抽出した微小な欠陥の中から直線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板表面欠陥検査装置。
【請求項4】
前記欠陥検出手段は、前記抽出した微小な欠陥の中から曲線状の領域に離散的に存在する線状欠陥と該曲線状の領域の曲率の中心位置を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板表面欠陥検査装置。
【請求項5】
前記欠陥検出手段で検出した線状の領域に離散的に存在する線状欠陥の前記試料状の文と該線状欠陥の特徴量に関する情報を出力する出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板表面欠陥検査装置。
【請求項6】
回転可能なステージを回転させながら該ステージに載置された基板に1つ以上の照明光源から1つ以上の照明光を照射し、
該1つ以上の照明光源により光が照射された前記基板からの反射・散乱光を1つ以上の検出器で検出し、
前記基板からの反射・散乱光を検出した1つ以上の検出器から出力される信号を増幅してA/D変換し、
該A/D変換された前記1つ以上の検出器から出力される信号を処理して前記基板上の欠陥を検出し、
該検出した欠陥を分類する
基板の表面の欠陥を検査する方法であって、
前記欠陥を検出するステップにおいて、前記1つ以上の検出器から出力される信号を処理して前記基板の表面の微小な欠陥を抽出し、前記検出した欠陥を分類するステップにおいて、前記抽出した微小な欠陥の中から線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を検出することを特徴とする基板表面欠陥検査方法。
【請求項7】
前記基板に照射する1つ以上の照明光は、それぞれ波長の異なるレーザであることを特徴とする請求項6記載の基板表面欠陥検査方法。
【請求項8】
前記欠陥を分類するステップにおいて、前記抽出した微小な欠陥の中から直線状の領域に離散的に存在する線状欠陥を検出することを特徴とする請求項6又は7に記載の基板表面欠陥検査方法。
【請求項9】
前記欠陥を分類するステップにおいて、前記抽出した微小な欠陥の中から曲線状の領域に離散的に存在する線状欠陥と該曲線状の領域の曲率の中心位置を検出することを特徴とする請求項6又は7に記載の基板表面欠陥検査方法。
【請求項10】
前記欠陥を分類するステップにおいて検出した線状の領域に離散的に存在する線状欠陥の前記試料状の文と該線状欠陥の特徴量に関する情報を出力することを特徴とする請求項6又は7に記載の基板表面欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−78140(P2012−78140A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221889(P2010−221889)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】