説明

基板遮蔽層形成方法及び装置及びプログラム

【課題】電子部品の搭載された基板は樹脂系のコーティング剤を塗布することによって基盤遮蔽層を形成し、錆や腐食が生じないように覆われていた。しかし電極の為のホールや端子部分にコーティング剤を塗布すると不良品の発生になった。
【解決手段】ディスプレイ上でコーティング禁止エリアを設定し、制御部によってノズルパスを演算し、効率よく塗布作業するようにプログラミングするとともに、マスキング作業を不要にしたので簡単に塗布作業ができるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る装置は、電子部品を取り付けた基板の上にコーティング剤を塗布し、基板に直接水が付着したり、空気中の湿気によって錆を発生させることを防止する基板遮蔽層形成方法及び装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような電子部品が取り付けられた基板をコーティングする際、コーティング剤を付着させたくないエリア(以下禁止エリアという)にマスキングを施して全体をコーティングした後、マスキングを剥がして塗布作業を完了していた。
【0003】
また、コーティング剤によって塗布されなかった部分や塗布厚にバラつきがあることによって発生するピンホール等が生じないように均等にコーティング剤を塗布しなくてはならない。
【0004】
図7に図示しした特許文献1に示された従来例では、ノズル90からコーティング剤91を加圧液体94として吐出し、扇状吐出パターン(タブティル状フィルム)92の最大幅近傍の霧化直前の箇所(断面Y-Y)によって基板20が塗布されるように構成していた。
【0005】
従来例の図の断面Y−Yから下は扇状吐出パターン92が霧化状93になる。コーティング剤が霧化状93になると塗布されない部分やピンホールが多くなると共にコーティング剤が霧散して禁止エリアまでコーティング剤の飛沫が飛んで付着してしまうことがある。
【0006】
禁止エリア内部は基板から他の部品に通電する為の電極用の差込部やコネクタ用の取り付け部になっていることが多く、コーティング剤が付着すると不良品になってしまう。
また、基板の側面や裏面も搬送時にコンベアなどが接触する部分であり、コーティング剤が付着するとべた付いて、搬送詰まりの原因になることがあり、このような箇所には塗布されることのないようにすることが望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特公平6-59451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例においては基板の上面全体をコーティング剤で塗布していた。しかし基板には電子部品等があるため、コーティング剤が付着しないようにマスキングテープなどで覆いをして塗布作業していた。このマスキングテープで覆いをしていた部分(以下禁止エリアという)は後にマスキングテープを剥がす作業をしなくてはならない。
この禁止エリアに対して覆い(以下マスキングという)をしないで塗布するためには、ノズルが禁止エリア上を通過する際にコーティング剤の吐出を止め塗布作業を中止しなければならない。このためにノズルの移動順序とコーティング剤の吐出位置を詳細に設定する必要があり、大変時間を有するものであった。
【0009】
また、禁止エリアの設定条件によっては塗布領域が細幅となることがあり、効率が悪くても均等な塗布厚で塗布するには当初から細幅のノズルを使用するか、塗布作業の途中でノズルを細幅の物に交換を余儀なくされることがあった。
更に1回のノズルの塗布工程では扇状吐出パターンの効率の良い基準塗布幅hでは塗布しきれない領域の場合は数回ノズルに塗布処理させて塗布しなければならない。しかし数回通過すると重ね塗り領域が生じて塗布厚が厚すぎたり垂れてしまうことがあった。重ね塗り領域を少なくするには前述したようにノズルを変更しなくてはならず、交換作業に大幅に時間がかかってしまい、既に塗布された部分の硬化が始まってしまうと全体の塗布がうまくいかなくなることがあった。
ノズルから吐出されるコーティング剤による扇状吐出パターンはノズルの形状と吐出時の加圧によって微妙に変化させることが可能とされているが、加圧を変化させて扇状吐出パターンを変更させるには時間がかかる微調整をする必要があった。
また、ノズルの吐出口でコーティング剤が硬化して扇状吐出パターンが変化していることもあり、塗布作業中は定期的に扇状吐出パターンの形状を測定しなければならないほどに繊細なものであり、ノズルの塗布幅を変更するのは、容易な仕事ではなかった。

【課題を解決するための手段】
【0010】
そこでディスプレイと入力部と記憶部と基板載置部とを備えたノズルによってコーティング剤を該基板載置部に載置された電子部品で構成された基板に塗布する基板遮蔽層形成装置における基板遮蔽層形成方法において、 前記入力部を介して前記記憶部に前記基板の撮像を記憶する撮像記憶工程と、 前記撮像記憶工程で記憶された撮像を前記ディスプレイに表示するディスプレイ表示工程と、 前記ディスプレイ表示工程で前記ディスプレイに表示された撮像上の基板原点位置と撮像上の基板塗布作業領域を設定する原点・作業領域設定工程と、 前記原点・作業領域設定工程で設定された基板原点位置と基板塗布作業領域に前記入力部を介して前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域を設定する禁止エリア設定工程と、 前記コーティング剤を塗布する前記ノズルの種別に基づいてノズル移動速度とコーティング剤吐出圧に基づく基準塗布幅と基準塗布厚を設定する塗布幅・塗布厚設定工程と、 前記禁止エリア設定工程で設定された前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域と前記塗布幅・塗布厚設定工程で設定された基準塗布幅と基準塗布厚に基づいて前記ノズルによる塗布作業手順を設定するノズルパス設定工程と、 前記ノズルパス設定工程で設定された塗布作業手順を前記ディスプレイに表示する塗布作業手順表示工程と、 前記入力部から入力された作業開始信号に基づいて前記塗布作業手順を開始する塗布作業開始工程とを備える基板遮蔽層形成方法、
さらにはディスプレイと入力部と記憶部と基板載置部とを備えたノズルによってコーティング剤を該基板載置部に載置された電子部品で構成された基板に塗布する基板遮蔽層形成装置において、 前記入力部を介して前記記憶部に前記基板の撮像を記憶する撮像記憶手段と、 前記撮像記憶手段で記憶された撮像を前記ディスプレイに表示するディスプレイ表示手段と、 前記ディスプレイ表示手段で前記ディスプレイに表示された撮像上の基板原点位置と撮像上の基板塗布作業領域を設定する原点・作業領域設定手段と、 前記原点・作業領域設定手段で設定された基板原点位置と基板塗布作業領域に前記入力部を介して前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域を設定する禁止エリア設定手段と、 前記コーティング剤を塗布する前記ノズルの種別に基づいてノズル移動速度とコーティング剤吐出圧に基づく基準塗布幅と基準塗布厚を設定する塗布幅・塗布厚設定手段と、 前記禁止エリア設定手段で設定された前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域と前記塗布幅・塗布厚設定手段で設定された基準塗布幅と基準塗布厚に基づいて前記ノズルによる塗布作業手順を設定するノズルパス設定手段と、 前記ノズルパス設定手段で設定された塗布作業手順を前記ディスプレイに表示する塗布作業手順表示手段と、 前記入力部から入力された作業開始信号に基づいて前記塗布作業手順を開始する塗布作業開始手段とを備えることを特徴とした基板遮蔽層形成装置、
また、ディスプレイと入力部と記憶部と基板載置部とを備えたノズルによってコーティング剤を該基板載置部に載置された電子部品で構成された基板に塗布する基板遮蔽層形成装置に基板遮蔽層形成処理を実行させるプログラムにおいて、 前記入力部を介して前記記憶部に前記基板の撮像を記憶する撮像記憶ステップと、 前記撮像記憶ステップで記憶された撮像を前記ディスプレイに表示するディスプレイ表示ステップと、 前記ディスプレイ表示ステップで前記ディスプレイに表示された撮像上の基板原点位置と撮像上の基板塗布作業領域を設定する原点・作業領域設定ステップと、 前記原点・作業領域設定ステップで設定された基板原点位置と基板塗布作業領域に前記入力部を介して前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域を設定する禁止エリア設定ステップと、 前記コーティング剤を塗布する前記ノズルの種別に基づいて定まるノズル移動速度とコーティング剤吐出圧に基づく基準塗布幅と基準塗布厚を設定する塗布幅・塗布厚設定ステップと、 前記禁止エリア設定ステップで設定された前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域と前記塗布幅・塗布厚設定ステップで設定された基準塗布幅と基準塗布厚に基づいて前記ノズルによる塗布作業手順を設定するノズルパス設定ステップと、 前記ノズルパス設定ステップで設定された塗布作業手順を前記ディスプレイに表示する塗布作業手順表示ステップと、 前記入力部から入力された作業開始信号に基づいて前記塗布作業手順を開始する塗布作業開始ステップとを実行するプログラム
を提示するものである。
【0011】
そして前記禁止エリア設定工程は前記記憶部に記憶した前記撮像を前記ディスプレイに表示して前記入力部で前記禁止エリア設定値を変更できるようにしたことを特徴とする基板遮蔽層形成装置、
更には、前記禁止エリア設定手段は前記記憶部に記憶した前記撮像を前記ディスプレイに表示して前記入力部で前記禁止エリア設定値を変更できるようにしたことを特徴とする基板遮蔽層形成装置、
また、前記禁止エリア設定ステップは前記記憶部に記憶した前記撮像を前記ディスプレイに表示して前記入力部で前記禁止エリア設定値を変更できるようにしたことを特徴とするプログラムを提示するものである。

【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板を撮像して制御部に記憶させ実際の大きさに矯正して現物と撮像が一致するように配置してディスプレイに映し出し基板の撮像に直接禁止エリアをキーボード(図示しない)やタッチパネル式のディスプレイなどの入力部から設定できるようにしたので、禁止エリアの設定が容易で作業が短時間で終了する。
【0013】
また本発明であればノズルの移動順序を入力部よりの設定条件を変更することにより短時間に設定変更することができる。
更に、最も効率よいノズルの作業順序(以下ノズルパスという)を制御部で演算して実行することができ、効率よく塗布作業を完了させることができる。
【0014】
本発明であれば塗布作業を実行する前にディスプレイで塗布作業手順や塗布作業方向をシュミレーションすることができ、作業ミスを大幅に軽減することができる。
入力部を介して取り込まれた基板の撮像の大きさと、基板載置部に載置された基板の大きさが一致するように制御部で位置決め矯正することによって、一度設定されると、その基板に対する位置決め画像(撮像)が記憶されているので、基板を所定の位置にセットすれば正確に塗布作業でき、量産効果を向上することができる。
【0015】
ノズルから塗布されたコーティング剤の扇状吐出パターンは霧化状パターンに変化する手前の基準塗布幅hに直交するように進行し塗布作業を行う。
また、効率の良い基準塗布幅hより狭い幅を塗布する場合はノズルを基準位置から一定角度回転させて進行するようにしたことによって、進行方向に対して扇状吐出パターンが斜めに進行するようにして塗布作業が行われることになり基準塗布幅hよりも狭い任意の幅でコーティング剤を塗布することができるようになった。
【0016】
更に、上記のようにノズルを所定角度θ回転させて進行方向に対して扇状吐出パターンが斜めに進行するようにして基準塗布幅hよりも狭い幅の塗布作業をするときは、ノズルの回転角度θに応じて進行速度を速めることで、基準塗布幅hで塗布作業したときと同じ塗布厚でコーティングすることができる。
このような構成によって塗布厚が均一になりコーティング剤の単位面積当たりの消費量も抑える事ができ、使用量を算定しやすく、幅の狭いところではノズルが早く移動するので効率よい塗布作業ができる。
ノズルの交換やコーディング剤の加圧量や吐出量などの繊細な部分を変更せず塗布幅を任意に変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の基板遮蔽層形成装置の実施例の一例としては図1のような構成になっている。本実施例の基板遮蔽層形成装置は製造ラインの一部として使用することもできるので、基板20を自動送りにしてノズル22の直下の基板載置台19の所定位置に載置し、塗布作業終了後に基板20を移送するように構成すれば連続作業も可能なように構成されている。

【実施例】
【0018】
図1によって本発明を説明する。本実施例の基板遮蔽層形成装置に使用されるコーティング剤21を塗布するノズル22はX方向ガイド31とX方向モータ311の駆動によってX方向に移動する。同様にY方向ガイドとY方向モータ321の駆動によってY方向に移動し、Z方向ガイド33とZ方向モータ331の駆動によってZ方向に移動するように構成されている。
コーティング剤はポリオレフィン系若しくはアクリル系若しくはポリウレタン系の絶縁コーティング剤である。シンナーで希釈して液状で基板20に塗布し10分程度乾燥させて基板遮蔽層を形成する。
【0019】
ここでノズル22及びコーティング剤21の構成を図2のノズル拡大図(C)で説明する。ノズル22から扇状吐出パターン211で吐出したコーティング剤21は断面A-Aで最大幅(以下基準塗布幅と称す)hになる。
基準塗布幅hは最も効率の良い塗布幅である。ノズル拡大図(C)に図示されるように扇状吐出パターン211状に吐出されたコーティング剤21は断面A-Aから下は霧化状パターン212になり、塗布に適さなくなる。霧化状パターン212で塗布したコーティング剤21は塗布されない部分やピンホールが多くなり、不良品になることがある。
また、ノズル22は回転モータ34によってθ方向に回転するように構成されている。ノズル22の移動は架台3の中に設置された制御部2によって制御される。制御部2の中には入力部301、演算部302、記憶部303を備えたコンピュータになっている。
【0020】
ノズル22の移動範囲内に基板載置台19があり、基板載置台19内に基板20が載置される構成になっている。基板載置台19の上部にはカメラ35が配置され基板載置台19の上の基板20を撮像することができるようになっている。
そしてカメラ35の撮像は制御部2の記憶部303に記憶され、ディスプレイ30に表示されるように構成されている。
【0021】
本発明の制御部2にはカメラ35の撮像以外にも制御部2の入力部301から他所で写された基板20の撮像を入力することができる。
このときディスプレイ30に表示された基板の撮像50と基板載置部19に載置された基板20とが完全に一致するように制御部2内で補正される。例えばディスプレイ20上の基板撮像50上で原点aからX方向に1cm仮想ノズルを移動させると、基板載置部19の実物の基板20上でも同様に原点aからX方向に1cm実際のノズル22が移動する。
ディスプレイ30に表示された仮想基板の撮像50と基板載置台19に載置された実物の基板20が完全に一致するよう制御部2で補正するようになっている。
また、このとき実際の基板20の大きさとディスプレイに表示された基板の撮像50の大きさが制御部2で一致しておればカメラ35で動作確認しなくとも、ノズル22が移動した量を基板の撮像50上に表示することができる。
【0022】
本装置では原点位置を設定しディスプレイ30に表示された仮想基板の撮像50と基板載置台19に載置された実物の基板20が完全に一致するよう制御部2で補正するようになっている。
例えば基板載置台19の角部(隅部)を座標上の原点aとし、この原点aを中心としてノズル22のXY方向の移動距離が設定される。
制御部2に記憶されディスプレイ30に表示された撮像も原点aを中心として原寸で表示できるように設定され、記憶される。実物の基板20も基板の位置19の原点aに基板20の原点aが一致するように載置して塗布作業が開始される。原点aのような点のほかに更に1点、もしくは基板20の側面にあてがうような壁面があれば、常に同じ位置に載置された基板20はディスプレイ30の矯正された撮像と制御部2内において一致させることができる。
実際には載置台19の2箇所にピンが吐出しており、基板20の2箇所に前記ピンを挿入する穴が開いている。これらの穴をピンに挿入させることで、基板の位置決めに誤差なく載置されるようになっている。
【0023】
図2によって基板20とノズル22によるコーティング剤21の詳細を説明する。通常の塗布作業は図2の(A)のように行われる。
ノズル22はコーティング剤21を扇状吐出パターン211で基板20に塗布する。このときの扇状パターン211は従来例で説明したように霧化状93になる手前(ノズル22の吐出口寄り)で、ピンホールや塗り残しが発生しないで且つ幅広く均一にコーティング剤21を塗布することができる、効率の良い基準塗布幅hである。
【0024】
そして扇状吐出パターン211の形成する基準吐出幅hがノズル進行方向(図2の場合はX1方向)と直交するような状態で塗布される。
そして禁止エリア203〜207上にノズル22が達すると、コーティング剤21の吹き出しが停止し、禁止エリア203〜207にはコーティング剤21が塗布されないように制御部2によって制御されている。
【0025】
しかし禁止エリア205と禁止エリア207の間隙や禁止エリア205と禁止エリア206の間隙などは大変狭くなっており基準塗布幅hのままコーティング剤21を塗布すると禁止エリア205,206,207の一部も塗布してしまう。
【0026】
そこで図2の(B)の図のように、ノズル22をθ方向に回転しノズル進行方向(X1方向)に対して細い塗布幅fになるようにしてコーティング剤21を塗布すれば禁止エリア203〜207を塗布することがない。
【0027】
ノズル進行方向はX方向だけでなくY方向でも、図3の(A)のような円方向や斜め方向であっても可能である。一旦X方向で基板全面(禁止エリア203〜207を除く)をコーティング剤21で塗布した後、基板20の輪郭や禁止エリア203〜207をそれぞれの輪郭だけを細く塗布することで、基板20の外周や禁止エリア203〜207間際まで確実に塗布することができる。
図3の(A)の直線方向塗布502が基準塗布幅hである。細い塗布幅fで塗布するときはノズル22をθ方向に回転し直線方向塗布502と同じ方向に移動速度を早くして(図3の(B)のグラフに準じて)コーティング剤21を塗布することによって、直線方向塗布502の時の基準塗布幅hとの時と同じ塗布厚になるように構成されている。
円方向塗布503や斜め方向塗布504についても同様に基準塗布幅hよりも細い細い塗布幅fで塗布するときはノズル22の回転と移動速度を早くすることによって同じ塗布厚にすることができる構成になっている。
【0028】
また、全体の塗布を基準塗布幅hでノズルパス55を設定すると、基板20全体を基準塗布幅hだけでは塗布することができない場合がある。最後は基準塗布幅hより幅の狭い未塗布箇所が発生する。このような場合には重ね塗りをして塗布厚が変化するよりも、ノズル22を回転して細い塗布幅fにして塗布すれば均一な塗布を行うことができる。
ここでノズルパス55とはノズル22が基板20にコーティング剤21を塗布するときのノズル22の移動方向と作業順序をいうものである。図6の(A)の図に示すように、基準塗布幅hで塗布方向を三角表示505で表示するとともに、三角表示内部に作業順序を記載して表示している。
もとろん細い塗布幅fで作業するときは、その塗布幅で表示されるし、縦方向か横方向などの方向も三角表示505で表示される。
従来は人手でノズル22の移動方向と作業順序を一つ一つ入力していたが、本発明では制御部でその組み合わせを一番合理的な作業工程になるように演算処理しているものである。
【0029】
また細い塗布幅fはノズル22の回転角度に応じて任意に変更することができる。さらにノズル22を回転して塗布幅fにした場合は、ノズル22の移動速度(送り速度とも云う)以外の塗布設定条件を変更せず移動速度を図3の(B)の表及びグラフに応じるように変化させることで、均一な塗布厚にすることができる。図3の(B)の表及びグラフはあらかじめ設定した、均一に塗布するためのノズル22の回転角に応じた移動速度である。
例えば扇状吐出パターン211がY方向に扇状に広がって、X方向にノズル22が移動する、つまり扇状吐出パターン211とノズル22の移動方向が90度で直行する場合は、図3の(C)によると角度90度、基本塗布幅h10mm、ノズル22の移動速度300mm毎秒である。
扇状吐出パターン211とノズル22の移動方向が45度の場合は、図3の(C)によると角度45度、細い塗布幅f7.071068mm、ノズル22の移動速度475.7359mm毎秒である。
扇状吐出パターン211とノズル22の移動方向が30度の場合は、図3の(C)によると角度30度、細い塗布幅f5mm、ノズル22の移動速度600mm毎秒である。
【0030】
図3の(A)はディスプレイ30に表示された表示の1例である。ディスプレイ30の表示の基板の撮像50の原点aは、基板載置台19に載置された基板20の原点aと一致している。基板の撮像50は表示された縦横スケール511,512と一致するように矯正されこの座標は基板載置台19に載置された基板20の座標と一致している。
【0031】
塗布してはならない区域は禁止エリア501で囲まれた内部である。塗布作業する区域はXY方向の直線方向塗布502である。直線方向塗布502の中に描かれた三角表示505はノズル22の進行方向を示す。三角表示505の中に記載されている数字がノズルパス55の順序を示している。
同様に円方向塗布503、斜め方向塗布504が図示されている。
【0032】
図3の(B)は図2の(B)のようにノズル22をθ方向に回転して、ノズル進行方向X1に対して角度θが変化し、効率よい塗布幅hが細い塗布幅fに変化したときのノズル進行速度g(mm毎秒)の関係をグラフ52に示したものである。
【0033】
また、図3の(C)は図3の(B)のグラフ52を部分的に抽出して表53として示したものである。これによれば、進行方向に対して扇状吐出パターン211が直行する場合は、角度θが90度で効率よい幅hが10でノズル進行速度は300に設定している。
これが角度θが30度になったときは、細い塗布幅fが5になり、このときのノズル進行速度g(mm毎秒)が600になることを示している。
【0034】
図4は、本発明に係る作業をフローチャートにして図示したものである。
基板を撮像するステップS1について説明する。基板20は塗布装置に設置されたカメラ35で撮像して基板の撮像50を製作しても良いし、他所で撮像された基板の撮像50のデータを使用することもできる。
このような構成にすることによってわざわざ現物の基板20を塗布装置1にセットして塗布作業のタクトやコーティング剤21の量などをシュミレーションしなくてもよく、データの転送だけでシュミレーションできるので、作業時間が短縮でき概算見積もりなどが容易にできる。
【0035】
前記撮像を制御部に記憶するステップS2について説明する。基板の撮像50を制御部2に記憶してディスプレイ上に表示するので、具体的に基板上の電子部品が把握しやすく禁止エリア203〜207等の設定がやりやすい。
【0036】
前記撮像を実際の大きさに矯正するステップS3について説明する。基板の撮像50をディスプレイ30に表示して、制御部2に記憶している基板の撮像50を実際の基板20と同じ大きさになるように記憶部303で記憶したデータを矯正する。つまり段落21で上述したようにディスプレイ30に表示された基板の撮像50と基板載置部19に載置された基板20とが完全に一致するように制御部2内で補正される。例えばディスプレイ20上の基板撮像50上で原点aからX方向に1cm仮想ノズルを移動させると、基板載置部19の実物の基板20上でも同様に原点aからX方向に1cm実際のノズル22が移動するように構成されている。
ディスプレイ30に表示された仮想基板の撮像50と基板載置台19に載置された実物の基板20が完全に一致するよう制御部2で補正するようになっている。
本装置1に設置されたカメラ35で撮像された基板の撮像50は実際の基板20と完全に一致して記憶するように制御部2に制御させることができるが、他所で様々なカメラによって撮像された画像(撮像)は、解像度によって大きさが異なるので、現実の大きさと制御部2の縮尺とが一致するように基板の撮像50を矯正しなくてはならない。本発明ではそのような補正も可能にしている。
【0037】
前記撮像にノズルパス原点位置を設定するステップS4について説明する。ノズルパス55とはノズル22の通過する順序のことである。本発明に係る装置1のノズル22の原点と制御部2に記憶された基板の撮像50が一致するようにする作業である。現実に載置する基板20とディスプレイ30に表示された基板の撮像50の原点位置を一致させるものである。例えば基板載置台19の角aをノズル22の原点とし、その位置に基板20の角aを当接させ基板載置台19の所定位置に基板20を載置する。
制御部2は基板載置部19の角aが原点であるように記憶し、基板の撮像50を実際に載置された基板20と一致するようにディスプレイ30に表示するようにするものである。
【0038】
スプレーパターン若しくは扇状パターン(ノズル種別)を設定するステップS5について説明する。ノズル22のスプレーパターン若しくは扇状吐出パターン211は加圧液体34の加圧力やノズル22の種別によって異なる。 従来はスプレーパターンで霧化して基板20にコーティング剤21を塗布したのでマスキングが必要であった。本装置1では霧化しないタブティル状(扇状膜)の部分を使ってフィルム状の液剤を塗布するので、マスキングなしで塗布作業できる。
扇状吐出パターン211の効率よい塗布の幅h及び塗布厚の条件を設定することによってノズルパス55の順序や重ね塗りなどの設定が異なってしまう。
【0039】
重ね塗り量の設定をするステップS6に付いて説明する。効率の良い塗布幅hで塗布する際に隣のすでに塗布された部分にどれだけ重ねて塗布するかを設定する工程である。重ね塗りされた部分は重ね塗り部57で図示している。通常は重ね塗りしないでノズルパス55を設定しても、液化したコーティング剤21の塗布後の僅かな拡張によって隣同士の塗布が合体し隙間のない塗布が完成する。
しかし付着しない部分やピンホールを完全に防ぐための塗布作業ないし厚みのある塗布を必要とする場合は重ね塗り量を多く設定する必要がある。
但しコーティング剤21の塗布厚が厚くなりすぎるとコーティング膜に気泡ができたりクラックが入ったりして、基板20に水分が付着し電極腐食を引き起こすことがあるので、重ね塗り量は慎重に設定する必要がある。
【0040】
基板外周のり代の設定をするステップS7について説明する。基板20の端面までコーティング剤21を塗布するとコーティング剤21が流れ落ちピンホールや付着しない部分を形成することがある。また、コーティング剤21が流れ出して基板20の側面や裏面に付着すると粘着性が発生するともに厚みが変化し、後の搬送に支障をきたす恐れがある。また、必要なコーティング剤21の量が不正確になる。
【0041】
基板20の外周に数ミリ間隔の塗布しない基板外周のり代56を設定すると、基板外周のり代56手前に塗布されたコーティング剤21の表面張力によって基板20上に塗装厚を保持しコーティング膜を作成することができる。この表面張力によってコーティング剤21が流れ落ちることもない。
【0042】
基板の厚みを設定するステップS8について説明する。基板の厚みを設定することによりノズル22の高さが決まり、常に効率よい塗布幅hで塗布することができるようになる。ノズル22から出たコーティング剤21は、従来例で記述したY-Y線で液膜から液滴に変形するか、Y-Y線若しくはY-Y線より上方で効率の良い塗布幅hになる。
この効率の良い塗布幅hで塗布作業すると飛沫(スプラツシング)がなく、均一の塗布厚が得られる。
【0043】
塗布方向を設定するステップS9について説明する。効率的で短時間に塗布作業を完成させる為に、基板20が横方向(X方向)か縦方向(Y方向)のどちらに主にノズル22を移動させたほうが良いかを設定する。作業効率が上昇し塗布作業を短縮することができる。
【0044】
塗布高さを設定するステップS10について説明する。基板20の厚みを設定するステップS8でも説明したようにノズル22の形状と吐出圧力の選定によってコーティング剤21の扇状パターン211が形成される。
基板20上の電子部品の高さにも応じたノズル22の位置高さであって扇状吐出パターン211が霧化しないタブティル状の部分を使って塗布するための高さを設定しなければならない。過去のデータが揃っていれば条件を入力するだけで自動的に効率よい塗布幅hに設定することができる。
また、塗布高さを設定するステップS10の作業をすることによって、基板20上の凹凸に当接しないようにノズル22の高さを設定し塗布作業することができる。
【0045】
移動高さを設定するステップS11について説明する。塗布作業しないで基板20上をノズル22が通過するときは、基板20上の電子部品201〜202の高さに考慮して移動しなくてはならない。ノズル22が電子部品201〜202に当接して破損するようなことがあってはならない。
しかしあまりに移動高さを高く設定するとヘッド22のZ方向の移動に時間をとられ非効率になってしまう。
【0046】
塗布速度を設定するステップS12について説明する。ノズル22の選定と吐出圧の設定と塗布速度の設定によってコーティング剤21の塗布厚が決定する。
塗布速度を下げるとコーティング剤21が厚く塗布され、ひび割れの原因になったり、あふれて禁止エリア203〜207に入ってしまうことがある。
塗布速度を早くするとコーティング剤21が薄く塗布され、塗布されない箇所ができてしまうと共に、飛沫量が大きくなり、禁止エリア203〜207飛沫が飛んでしまうことがある。ここでは直線方向塗布501を塗布するときの塗布速度を設定する。
【0047】
塗布速度を設定するステップS12の作業により、ノズル22を回転して細い塗布幅fで塗布作業するときにも同一塗布厚で塗布できるように図3の(B)のグラフのようにノズル22の角度と速度調整を行うことによって、均一な塗布厚を保持することができる。
【0048】
斜め線塗布速度を設定するステップS13について説明する。図3の(A)の斜め方向塗布504の様に塗布するときの塗布速度を設定することによって、同一塗布厚で塗布できるようにすることができる。
禁止エリアに斜めの部品がある場合、塗布方向を設定するステップS9の工程・手段・プログラムではXY方向からしか塗装しないので斜め部分は階段状に塗布が終了する。そこで最後に図3の(A)の斜め方向塗布504の様に重ね塗りすることによって禁止エリアの斜め部分近傍に沿って仕上げ塗布することができる。
【0049】
円弧塗布の塗布速度を設定するステップS14について説明する。図3の(A)の円方向塗布503の様に塗布するときの塗布速度を設定することによって、同一塗布厚で塗布できるようにすることができる。
禁止エリアに円弧状の部品がある場合、塗布方向を設定するステップS9の工程・手段・プログラムではXY方向からしか塗装しないので円弧状部分は階段状に塗布が終了する。そこで最後に図3の(A)の円方向塗布503の様に重ね塗りすることによって禁止エリアの円弧状部分近傍に沿って仕上げ塗布することができる。
【0050】
特に円方向塗布503の場合は、円の内側は塗布厚が厚く外側は薄く塗布されるので直線状の塗布とは異なる塗布速度が設定される。
【0051】
塗布タイミング設定するステップS15について説明する。塗布方向にノズル22が移動する際、ノズル22が停止した状態から加速して一定速度に達するまでに吐出したコーティング剤21は厚く塗布されてしまう。同様にノズル22の速度が減速して停止するまでの間に吐出したコーティング剤21も厚く塗布されてしまう。
【0052】
また、一定速度で移動していたノズル22が停止するまでコーティング剤21が吐出されると、慣性力によってノズル22の停止位置よりも先にコーティング剤21が塗布されてしまう。そこでノズル22の移動が一定速度に達してからコーティング剤21を塗布するとともに、一定速度より減速するとコーティング剤21の塗布を中止するように構成することによってノズル22が停止状態から一定速度になるまでの加速の間と、一定速度のノズル22が停止するまでの減速の間はコーティング剤21を塗布しないように設定したものである。
【0053】
禁止エリアの設定ステップS16について説明する。撮像された基板20の映像をディスプレイ30に表示し、塗布禁止エリア203〜207を囲うことによってコーティング剤21が塗布されない区域を設定する工程である。禁止エリア203〜207の設定はディスプレイ30に表示された基板の撮像50の塗布したくない箇所をマウスやタッチペンなどを用いて禁止エリアの領域を設定する。
【0054】
ノズルパス55の作成ステップS17について説明する。今まで記述した条件を組み込んで図6の(B)のようなノズルパス55の方向や順序を演算しディスプレイ30上に表示する。この表示は塗布の開始位置や終了位置は塗布タイミング設定するステップS15等で設定された条件や飛沫を考慮して余分に開設してあるので、全体をX方向に塗布した後、各禁止エリア203〜207の周辺と、基板20の外周を上塗りするように構成している。
【0055】
また、禁止エリア203〜207周辺や基板端部においては一定の幅の扇状吐出パターン211では、はみ出して塗布してしまうので、ノズル22をθ方向に回転し図6の(B)の折れ線グラフによって(ノズル22によって異なる)一例を示すような数値に基づいて塗布速度を変更し、残った間隙のみを細い塗布幅fで塗布することができる。一例ではあるが図6の(B)(C)の数値に基づいて塗布作業することによって塗布厚を均一に仕上げることができる。
【0056】
ノズルパス55のシュミレーション実行ステップS18について説明する。前述したノズルパス55の作成ステップS17で作成されたノズルパス55をディスプレイ30に表示された基板撮像50にノズル22の動作を表示してシュミレーションすることである。また必要があれば各条件の変更を行い何度でもシュミレーションできるのでコーティング剤の消費がなく効率的である。
【0057】
塗布作業実行ステップS19について説明する。前述したノズルパス55のシュミレーション実行ステップS18の通りに塗布作業を実行する。
【0058】
なお、スプレーパターン若しくは扇状パターン(ノズル種別)を設定するステップS5から塗布タイミング設定するステップS15までの設定条件の入力作業を基板遮蔽層形成条件設定するステップS30とする(図4(B)参照)。
【0059】
次に図5で禁止エリア203〜207の設定について説明する。表示304はディスプレイ30に表示された基板20の基板の撮像50である。
角aを基準にして基板20のY方向が基板の撮像50の横方向スケール512に一致するように制御部2の記憶部303に記憶させる。同様に角aを基準にして基板20のX方向は基板の撮像50の縦方向スケール511に一致するように制御部2の記憶部303に記憶させる。
【0060】
このことによってディスプレイ上の基板の撮像50と実際の基板20が一致する。ノズル22が移動した距離は同じ縮尺でディスプレイ30に表示された撮像50に反映される。
従って、図5の(B)の表示305のように禁止エリア203〜207を入力部301によって図5の(B)の斜線部のように指定すれば、その囲まれた部分はコーティング剤21を塗布しない範囲として、ノズル22かコーティング剤21を吐出しない部位として記憶される。
【0061】
つまり基板の撮像50の上に禁止エリア203〜207を入力すると、基板の撮像50と同一縮尺で、図2の(A)のように載置された基板20の同一部位が禁止エリア203〜207として設定される。この設定作業は図4のフローチャートの禁止エリアの設定ステップS16のことである。
【0062】
ついで図6の(A)で示したノズルパスの作成ステップS17について説明する。表示306は禁止エリア203〜207を設定した後にノズルパスの作成ステップS17を実行したときの表示306である。
【0063】
禁止エリア203〜207には塗布しないようにしてノズルパス55が設定される。これらのノズルパス55はスプレーパターン若しくは扇状パターンを設定するステップS5で設定された基準塗布幅hで設定される。
基準塗布幅hでは重なってしまい塗布厚が増加してしまうときには基準塗布幅hよりも細い塗布幅fで塗布しなければならない。このような時はノズル22を回転して必要な細い塗布幅fに塗布幅を変更して塗布作業をする。
【0064】
また、そのように任意に細い塗布幅fを変更できるので基板外周のり代の設定をするステップS7で設定された基板外周のり代56の幅を任意に細い塗布幅fを変更することによって任意に設定することもできる。
【0065】
表示306ではノズルパス55のそれぞれのパスに三角表示505が表示され、三角表示505の向きによってパスの移動方向を示している。
また、三角表示505の内部にノズルパス55の順序を示す番号が記載されている。
【0066】
図6の(A)の表示306によれば角aを原点として横方向スケール512方向に禁止エリア203〜207を塗布しないように塗布作業を行う。
このとき禁止エリア203〜207に対して充分な間隔を開けてコーティング剤21が禁止エリア203〜207内に付着しないように横方向スケール512方向に全体を塗布した後、禁止エリア203〜207を囲うように間際まで塗布作業する。
このように禁止エリア203〜207を囲うように塗布することで禁止エリア203〜207にコーティング剤21が付着することを防止するとともに間際まで塗布できるようになった。
【0067】
最後に基板20及び基板の撮像50の外周を一周するように塗布作業することで、基板外周のり代56を一定幅に保ちかつ重ね塗り部57を一定幅で一定幅になるようにすることができる。
【0068】
図6の(B)は禁止エリア203上部の部分を拡大した図である。電子部品201の上部のパスはノズル22を回転して細い塗布幅fで塗布作業した部分である。図6の(B)のひときわ黒く表示された箇所はノズル22が回転した状態で塗布したことによってによって、重ね塗り部57が三角形状に重ね塗りされたものである。
【0069】
図6の(B)の表示306拡大においてひときわ白く表示されたシュミレーション実行部551は、図4のフローチャートのノズルパスのシュミレーション実行519のシュミレーションを示すものである。
ノズルパス55の三角表示505の順序に従ってノズルパスのシュミレーション実行ステップS19を実行し、シュミレーションの状態をディスプレイ30に表示して確認することができるようにしたものである。
このシュミレーションによってノズルパス55が効率的で設定内容に間違いがないかチェックすることができる。
【0070】
本発明によれば、基板20を撮像して制御部2に記憶させ実際の大きさに矯正して現物と撮像が一致するように配置してディスプレイ30に映し出し基板20の撮像に直接禁止エリア203〜207をキーボードやタッチパネル式のディスプレイ30などの入力部301から実物と同じ縮尺の撮像の上に設定できるようにしたので、禁止エリア203〜207の設定が容易で作業が短時間で終了する。
また本発明であればノズル22の移動順序を制御部2の演算部302において短時間で全ての条件をクリアするようにして設定することができる。
更に最も効率のよい作業順を演算して実行することができ、効率よく塗布作業を完了させることができる。
【0071】
そして本発明であれば塗布作業を実行する前にディスプレイ30で塗布作業順や塗布作業方向をシュミレーションすることができ、作業ミスを大幅に軽減することができる。
基板20の撮像の矯正と実物の基板20のとの位置決め工程・手段・プログラムがあるので何度でも基板20を所定の位置にセットすれば正確に塗布作業できるので量産効果を向上することができる。
【0072】
ノズル22から塗布されたコーティング剤21の扇状吐出パターン211は霧化状パターン93に変化する手前の基準塗布幅hに直交するように進行し塗布作業を行う。しかし効率良い塗布幅hより狭い幅を塗布する場合はノズル22をθ方向に回転して進行方向に対して扇状吐出パターン211が斜めに進行するようにして塗布作業することによって効率よい塗布幅hよりも狭い幅を任意の幅に塗布することができる。その結果必要に応じて塗布幅を変更することができるので、塗り残しがない。また、大幅な重ね塗りもない。
【0073】
更にノズル22をθ方向に回転して進行方向に対して扇状吐出パターン211が斜めに進行するようにして扇状吐出パターン211の効率良い塗布幅hよりも狭い幅の塗布作業をするときは、ノズル22の回転角度θに応じて進行速度を速めるようにしたので、効率よい塗布幅で塗布作業したときと同じ塗布厚でコーティングすることができる。
このような構成によって塗布厚が均一になりコーティング剤21の単位面積当たりの消費量も増えないので使用量を算定しやすく、幅の狭いところではノズル22が早く移動するので効率よい塗布作業ができる。
ノズル22の交換やコーディング剤21の加圧量や吐出量などの繊細な部分を変更せず塗布幅を任意に変更できる。


【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は塗布装置に限ることなく、基板接着装置やレーザ加工装置などに応用することができる。


【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本体1の鳥瞰図である。
【図2】基板20とノズル22の関係を示した図である。
【図3】ディスプレイ30に表示される塗布方向及び塗布幅と塗布速度の関係のグラフと表である。
【図4】基板20の撮像から塗布作業までの工程を示すフローチャートである。
【図5】ディスプレイ30に表示された基板の撮像50と禁止エリア203〜207を表示したものである。
【図6】ディスプレイ30に表示されたノズルパス55ならびに一部の拡大である。
【図7】時由来例のノズル90とコーティング剤91の吐出状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 本体
2
制御部
3
架台
19
基板載置部
20
基板
201
電子部品
202
電子部品
203
禁止エリア
204
禁止エリア
205
禁止エリア
206
禁止エリア
207
禁止エリア
21
コーティング剤
211
扇状吐出パターン
212 霧化状パターン
22 ノズル
30 ディスプレイ(モニター)
301
入力部
302 演算部
303 記憶部
304
表示
305
表示
306 表示
31
X方向ガイド
311
X方向モータ
32
Y方向ガイド
321
Y方向モータ
33
Z方向ガイド
331
Z方向モータ
34
回転モータ
35
カメラ
50
基板の撮像
501
禁止エリア
502
直線方向塗布
503
円方向塗布
504
斜め方向塗布
505
三角表示
511
縦方向スケール
512
横方向スケール
52 グラフ
53 表
55
ノズルパス
551 シュミレーション実行部
56 基板外周のり代
57 重ね塗り部
90
ノズル(従来)
91
コーティング剤
92
扇状パターン
93
霧化状パターン
94 加圧液体


a 原点
θ (ノズル)回転角
h
基準塗布幅
f
細い塗布幅




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと入力部と記憶部と基板載置部とを備えたノズルによってコーティング剤を該基板載置部に載置された電子部品で構成された基板に塗布する基板遮蔽層形成装置における基板遮蔽層形成方法において、
前記入力部を介して前記記憶部に前記基板の撮像を記憶する撮像記憶工程と、
前記撮像記憶工程で記憶された撮像を前記ディスプレイに表示するディスプレイ表示工程と、
前記ディスプレイ表示工程で前記ディスプレイに表示された撮像上の基板原点位置と撮像上の基板塗布作業領域を設定する原点・作業領域設定工程と、
前記原点・作業領域設定工程で設定された基板原点位置と基板塗布作業領域に前記入力部を介して前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域を設定する禁止エリア設定工程と、
前記コーティング剤を塗布する前記ノズルの種別に基づいてノズル移動速度とコーティング剤吐出圧に基づく基準塗布幅と基準塗布厚を設定する塗布幅・塗布厚設定工程と、
前記禁止エリア設定工程で設定された前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域と前記塗布幅・塗布厚設定工程で設定された基準塗布幅と基準塗布厚に基づいて前記ノズルによる塗布作業手順を設定するノズルパス設定工程と、
前記ノズルパス設定工程で設定された塗布作業手順を前記ディスプレイに表示する塗布作業手順表示工程と、
前記入力部から入力された作業開始信号に基づいて前記塗布作業手順を開始する塗布作業開始工程とを備える基板遮蔽層形成方法。

【請求項2】
前記禁止エリア設定工程は前記記憶部に記憶した前記撮像を前記ディスプレイに表示して前記入力部で前記禁止エリア設定値を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の基板遮蔽層形成装置。

【請求項3】
ディスプレイと入力部と記憶部と基板載置部とを備えたノズルによってコーティング剤を該基板載置部に載置された電子部品で構成された基板に塗布する基板遮蔽層形成装置において、
前記入力部を介して前記記憶部に前記基板の撮像を記憶する撮像記憶手段と、
前記撮像記憶手段で記憶された撮像を前記ディスプレイに表示するディスプレイ表示手段と、
前記ディスプレイ表示手段で前記ディスプレイに表示された撮像上の基板原点位置と撮像上の基板塗布作業領域を設定する原点・作業領域設定手段と、
前記原点・作業領域設定手段で設定された基板原点位置と基板塗布作業領域に前記入力部を介して前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域を設定する禁止エリア設定手段と、
前記コーティング剤を塗布する前記ノズルの種別に基づいてノズル移動速度とコーティング剤吐出圧に基づく基準塗布幅と基準塗布厚を設定する塗布幅・塗布厚設定手段と、
前記禁止エリア設定手段で設定された前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域と前記塗布幅・塗布厚設定手段で設定された基準塗布幅と基準塗布厚に基づいて前記ノズルによる塗布作業手順を設定するノズルパス設定手段と、
前記ノズルパス設定手段で設定された塗布作業手順を前記ディスプレイに表示する塗布作業手順表示手段と、
前記入力部から入力された作業開始信号に基づいて前記塗布作業手順を開始する塗布作業開始手段とを備えることを特徴とした基板遮蔽層形成装置。

【請求項4】
前記禁止エリア設定手段は前記記憶部に記憶した前記撮像を前記ディスプレイに表示して前記入力部で前記禁止エリア設定値を変更できるようにしたことを特徴とする請求項3 記載の基板遮蔽層形成装置。

【請求項5】
ディスプレイと入力部と記憶部と基板載置部とを備えたノズルによってコーティング剤を該基板載置部に載置された電子部品で構成された基板に塗布する基板遮蔽層形成装置に基板遮蔽層形成処理を実行させるプログラムにおいて、
前記入力部を介して前記記憶部に前記基板の撮像を記憶する撮像記憶ステップと、
前記撮像記憶ステップで記憶された撮像を前記ディスプレイに表示するディスプレイ表示ステップと、
前記ディスプレイ表示ステップで前記ディスプレイに表示された撮像上の基板原点位置と撮像上の基板塗布作業領域を設定する原点・作業領域設定ステップと、
前記原点・作業領域設定ステップで設定された基板原点位置と基板塗布作業領域に前記入力部を介して前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域を設定する禁止エリア設定ステップと、
前記コーティング剤を塗布する前記ノズルの種別に基づいて定まるノズル移動速度とコーティング剤吐出圧に基づく基準塗布幅と基準塗布厚を設定する塗布幅・塗布厚設定ステップと、
前記禁止エリア設定ステップで設定された前記コーティング剤の塗布禁止エリアの領域と前記塗布幅・塗布厚設定ステップで設定された基準塗布幅と基準塗布厚に基づいて前記ノズルによる塗布作業手順を設定するノズルパス設定ステップと、
前記ノズルパス設定ステップで設定された塗布作業手順を前記ディスプレイに表示する塗布作業手順表示ステップと、
前記入力部から入力された作業開始信号に基づいて前記塗布作業手順を開始する塗布作業開始ステップとを実行するプログラム。

【請求項6】
前記禁止エリア設定ステップは前記記憶部に記憶した前記撮像を前記ディスプレイに表示して前記入力部で前記禁止エリア設定値を変更できるようにしたことを特徴とする請求項5記載のプログラム。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4878(P2013−4878A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136814(P2011−136814)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(596119113)アルファーデザイン株式会社 (46)
【Fターム(参考)】