説明

基準光源

【課題】微弱な光を安定して均一に面発光することができる基準光源を提供する。
【解決手段】LED5から発した光を導光部材4で導光させ、第一光出射面41から前方に出射すると共に、導光部材4を介してLED5と対向するように設けたSPD6により検出する。そして、検出した発光量に基づき制御部9でLED5から発する光の光量を制御する。ここで、第一減光フィルタ10A、マイクロレンズアレイ13、第一拡散板14、第二減光フィルタ15及び第二拡散板16を、第一光出射面41上にて当該第一光出射面41から遠ざかる方向にこの順で設けることで、第一光出射面41から出射した光を、SPD6で検出する光の光量よりも小さくなるように減光すると共に拡散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準光源に関し、特に、例えば遅延発光を計測する光検出器のキャリブレーションに用いられる基準光源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化学物質等の環境要因が生物の生長等に影響を及ぼすことが知られている。環境要因の影響の程度を評価する評価方法として、例えば以下の特許文献1には、藻類から発せられる遅延発光を計測することにより評価を行うものが開示されている。遅延発光とは、藻類等の光合成機能を有する生物(光合成サンプル)に対して光を照射した際に、当該光によるエネルギーにより、光合成色素から蛍光発光が生じる現象である。
【0003】
この評価方法では、まず、同一の培養から得られる藻類試料を用いて、環境要因を含まない対照試料と、環境要因を含む曝露試料とをそれぞれ調製する。続いて、対照試料からの遅延発光(遅延蛍光)の光量と、曝露資料からの遅延発光の光量とをそれぞれ計測する。そして、計測した各光量について時間的変化の特徴点の経過時間を算出し、これら経過時間の比較値を求めることにより、環境要因の影響の程度を評価する。このような評価方法によれば、短時間で環境要因の影響の程度を評価することが可能である。
【0004】
また、上述したような評価方法では、通常、対照試料からの遅延発光の計測と曝露試料からの遅延発光の計測とは、藻類試料の培養から遅延発光の計測までの時間を同一にして行われる。そのため、複数の光検出器を使用し、これら遅延発光の計測を別々の光検出器で同時に行う必要がある。よって、複数の光検出器の特性(感度、分光特性、ダーク、ユニフォミティ等)に機差があると評価を正確に行えないおそれがあるため、複数の光検出器に対しその特性が同程度となるよう予めキャリブレーションを行う必要がある。
【0005】
ここで、藻類は水の中に分散して存在していることから、対照試料及び曝露試料からの遅延発光は立体的に発光点が分散している発光で受光器側から見ると面状に発光(面発光)するものとなる。従って、上記キャリブレーションを行う場合、対照試料及び曝露試料からの遅延発光と同様に、面発光を行う基準光源が必要となる。この点、面発光を行う光源として、例えば、液晶表示装置(液晶パネル)のバックライトとして使用される面光源装置(バックライトユニット)が知られている(例えば、下記特許文献2〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第二005/062027号パンフレット
【特許文献2】特開2005−91526号公報
【特許文献3】特開2011− 102848号公報
【特許文献4】特開2010−244730号公報
【特許文献5】特開2009−76329号公報
【特許文献6】特開2007− 115530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、藻類からの遅延発光は微弱な光であるため、遅延発光を計測する光検出器のキャリブレーションに使用する基準光源には、微弱な光を均一に面発光することが求められる。加えて、キャリブレーションを精度よく行うため、基準光源は、微弱な光を所定期間に亘り安定して発光する必要がある。しかしながら、上述した面光源装置は、藻類からの遅延発光に比べ強い光を発するものであり、当該光を微弱な光量レベルで安定させるよう制御することは困難である。従って、上述した面光源装置を基準光源として使用したとしても、微弱な光を安定して発光できず、その結果、キャリブレーションを精度よく行えないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、微弱な光を安定して均一に面発光することができる基準光源を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る基準光源は、所定方向に向けて光を面状に発光する基準光源であって、所定方向を光の出射方向とする光出射面を有する導光部材と、所定方向と交差する方向における導光部材の一方側に設けられ、導光部材に向けて発光する発光部と、所定方向と交差する方向における導光部材の他方側に設けられ、導光部材を介して発光部と対向する受光面を有する受光部と、受光部で検出された光の光量に基づいて、発光部から発せられる光の光量を制御する制御部と、導光部材の光出射面上に設けられ、導光部材の光出射面から出射された光を拡散させると共に、当該光の光量を受光部で検出される光の光量よりも小さくなるように減光させる光出射部と、を備えたこと、を特徴とする。
【0010】
この本発明の基準光源においては、発光部から導光部材に向けて発せられた光は、導光部材で導かれて光出射面から所定方向に出射される共に、導光部材で導かれて受光部で受光され、これにより、発光部から発せられる光の光量が制御部により制御される。導光部材の光出射面から出射された光は、光出射部によって拡散されると共に受光部で検出される光の光量よりも小さい光量となるように減光され、その結果、最終的に微弱な光となって外部へ面発光されることとなる。ここで、発光部と受光部とは導光部材を介して対向するように設けられているため、発光部から発せられた光が受光部により検出されやすい。よって、受光部で大きな光量の光を検出し、制御部で大きな光量に基づき発光部を制御することができるため、発光部で発せられる光の光量を安定して制御することが可能となる。従って、本発明によれば、微弱な光を安定して均一に面発光することが可能となる。
【0011】
また、光出射部は、減光作用を有し、且つ光反射性を有する第一減光部と、光拡散作用を有する第一光拡散部と、減光作用を有する第二減光部と、光拡散作用を有する第二光拡散部と、を有し、第一減光部、第一光拡散部、第二減光部及び第二光拡散部は、所定方向に沿って、導光部材の光出射面から遠ざかる方向にこの順で積層されるように配置されていることが好ましい。この場合、導光部材の光出射面から出射された光は、第一減光部、第一光拡散部、第二減光部、及び第二光拡散部を順に通過することによって減光されると共に拡散されることとなる。このとき、第一減光部が光反射性を有することから、光出射面から出射された光の一部が第一減光部材によって導光部材内へ反射されて、受光部により検出される。そのため、受光部は一層大きな光量の光を検出することができる。
【0012】
また、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、第一減光部は、導光部材の光出射面の一部に設けられており、第一光拡散部は、方向性を持った光拡散を行なうマイクロレンズアレイと、光拡散作用を有する光拡散物質が内部に分散された拡散板と、を含み、マイクロレンズアレイ及び拡散板は、所定方向に沿って、導光部材の光出射面から遠ざかる方向にこの順で積層されるように配置されている構成が挙げられる。
【0013】
また、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、第一減光部は、導光部材の光出射面の全面に設けられており、第一光拡散部は、マイクロレンズアレイを含む構成が挙げられる。
【0014】
また、第一光拡散部、第二減光部及び第二光拡散部は、所定方向を出射方向とする光出射面をそれぞれ有し、導光部材の光出射面の面積、第一光拡散部の光出射面の面積、第二減光部の光出射面の面積、及び第二光拡散部の光出射面の面積は、この順に大きくされていることが好ましい。この場合、導光部材の光出射面から出射された光が拡がるのを好適に利用して面発光させることができ、当該拡がる光を遮光リング等を設けて遮光する必要性を低減することが可能となる。
【0015】
また、導光部材と第一光拡散部との間、第一光拡散部と第二減光部との間、及び、第二減光部と第二光拡散部との間の少なくとも1箇所における外縁部には、光を遮光する遮光部が設けられていることが好ましい。この場合、導光部材の光出射面から出射された光が、第一光拡散部、第二減光部及び第二光拡散部を通過する際、当該光がこれら各部位の間から漏れるのを一層抑制することができる。
【0016】
また、導光部材における光出射面の反対面には、光反射性を有する反射部が設けられていることが好ましい。この場合、導光部材で導光される光を反射部により導光部材内へと確実に反射させることができる。その結果、一層大きな光量を受光部で検出することができ、発光部で発せられる光の光量を一層安定して制御することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、微弱な光を安定して均一に面発光することができる基準光源を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基準光源の前方側を示す斜視図である。
【図2】図1の基準光源の後方側を示す斜視図である。
【図3】図1の基準光源を示す分解斜視図である。
【図4】図1中のIV−IV線に沿っての断面図である。
【図5】図1の基準光源の制御部を示す概念図である。
【図6】図1の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1の基準光源を用いてキャリブレーションを行う光検出器を示す概略図である。
【図8】図1の基準光源の発光量を示すグラフである。
【図9】比較形態に係る基準光源の発光量を示すグラフである。
【図10】図1の基準光源における発光の安定性を示す結果及び比較形態に係る基準光源における発光の安定性を示す結果である。
【図11】図1の基準光源による発光を示す分布図である。
【図12】比較形態に係る基準光源による発光を示す分布図である。
【図13】図1の基準光源を用いてキャリブレーションを行った光検出器の特性を示すグラフである。
【図14】本発明の第2実施形態に係る基準光源を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の基準光源に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る基準光源の前方側を示す斜視図、図2は図1の基準光源の後方側を示す斜視図、図3は図1の基準光源を示す分解斜視図、図4は図1中のIV-IV線に沿っての断面図である。図1〜4に示すように、基準光源1Aは、例えば藻類からの遅延発光を計測する光検出器P(図7参照)のキャリブレーションに用いられるものであり、前方(所定方向)に向けて微弱な光を面状に発光(面発光)する。図3に示すように、基準光源1Aは、筐体2、基板3、導光部材4、LED(Light Emitting Diode:発光部)5、SPD(Silicon PhotoDiode:受光部)6、反射板(反射部)7、光出射部8A、及び制御部9を備えている。
【0021】
筐体2は、基準光源1Aの外囲を成すものであり、略直方体状を呈している。筐体2は、その大きさが例えば60mm×32mm×12mm程度とされている。筐体2の長手方向一方側(図示右側)には、前後方向に貫く断面円形状の貫通孔21Aが設けられている。貫通孔21Aは、導光部材4及び光出射部8Aを収容するための孔であり、図4に示すように、光出射部8Aの外形に応じて前後方向に沿って直径が断続的に変化する段状を呈している。
【0022】
筐体2の後面23には、基板3を嵌合させるためのものとして、当該後面23よりも若干狭い領域を有する矩形状の凹部22が設けられている。この凹部22の底面には、LED5、SPD6、制御部9、及び蓄電部32(後述)等の電子部品を収容するための凹部(不図示)がさらに設けられている。筐体2は、例えば樹脂等で形成することができ、本実施形態では黒色の樹脂により形成されている。
【0023】
図3に戻り、基板3は、LED5、SPD6、制御部9、及び蓄電部32等の電子部品を固定して電気的に接続するものである。基板3は、筐体2の後面23よりやや小さい略矩形板状を呈しており、上記筐体2の凹部22に嵌められている。この基板3の前面は、電子部品が固定される基板面31となっている。基板面31において長手方向他方側には、基準光源1Aを駆動する電力を蓄電するための蓄電部32が設けられている。基板3の後面には、蓄電部32と対応する位置に、外部から蓄電部32に電力を取り込むための電極33が設けられている(図2参照)。ここでの基板3は、基板面31上から光が漏れることを抑制すべく、黒色とされている。
【0024】
導光部材4は、LED5から発せられた光を導光して、面状の光にするためのものである。導光部材4は、略円板状を呈しており、貫通孔21Aの後部に収容されている(図4参照)。この導光部材4の主面としての前面は、第一光出射面41とされている。第一光出射面41は、前後方向を法線方向とする平面となっており、前方を出射方向として光を出射(面出射)する。
【0025】
また、導光部材4は、その側面(円周面)に光入射面42及び第二光出射面43を有している。光入射面42は、LED5で発光された光を導光部材4内に取り込むための面であり、第二光出射面43は、導光部材4で導光した光をSPD6に向けて出射するための面である。これら光入射面42と第二光出射面43とは、基板3の長手方向において互いに対向しており、側面における互いに平行な二平面部を構成する。導光部材4は、光透過性を有する材料で形成することができる。導光部材4において、第一光出射面41、光入射面42及び第二光出射面43を除く外面には、内部から外部に向かう光を内部に向けて反射する反射材が塗布されている。
【0026】
このような導光部材4においては、その光入射面42から入射した光が内部で表面反射されて、略均一に広がる。そして、この広がった光の一部が第一光出射面41から前方に向けて面状に出射されると共に、その他部が第二光出射面43からSPDに向けて出射される。
【0027】
図4に示すように、LED5は、基板面31上において長手方向(すなわち前後方向と交差する方向)における導光部材4の一方側に設けられている。このLED5は、導光部材4の光入射面42に対して離間配置されており、光入射面42に向けて発光する。LED5は、制御部9に接続されており、制御部9から印加される電圧値に基づいて発光する。LED5からの発光量は、例えば、フォトンカウンティングによる計測で10〜1012(S−1)程度とされている。なお、フォトンカウンティングによる計測の値は、発光量がフォトンカウンティングの検出範囲を超えるような場合には、計測換算値として求めることができる。例えば、4桁減光するフィルターを通した光がフォトンカウンティングでは10(S−1)ならその光は10(S−1)となる。
【0028】
SPD6は、基板面31上において長手方向における導光部材4の他方側に設けられており、受光面61を有している。受光面61は、第二光出射面43と対向するように、つまり、導光部材4を介してLED5と対向するように設けられている。このSPD6は、導光部材4の第二光出射面43に対して離間配置されており、導光部材4で導光されて第二光出射面43から出射された光を受光する。
【0029】
また、SPD6は、制御部9に接続されており、受光した光の光量に応じた電流値を制御部9へ出力する。ここでのSPD6では、受光する光の光量を増大させるべく、受光面61が比較的広いものとされている。SPD6が受光可能な光量のレベルは、例えば、フォトンカウンティングによる計測で10〜1011(S−1)程度とされている。
【0030】
反射板7は、導光部材4の内部から外部に向かう光を内部に向けて反射するものである。反射板7は、導光部材4の直径と略同等の円板状を呈しており、導光部材4の後面(第一光出射面41の反対面)44に配設されている。この反射板7により、導光部材4内において後面44から出射しようとする光が、第一光出射面41に向けて反射されると共に、第二光出射面43を介してSPD6に向けて反射される。反射板7は、光を反射する性質である光反射性を有する材料で形成することができ、例えば基板面31上にメッキ加工を施すことで形成することができる。
【0031】
光出射部8Aは、導光部材4の第一光出射面41から出射された光を拡散すると共に、第一光出射面41から出射された光の光量をSPD6で検出される光の光量よりも小さくなるように減光する。光出射部8Aは、貫通孔21Aに収容されており、導光部材4の第一光出射面41と対向するように当該第一光出射面41上(導光部材4の前方)に設けられている。
【0032】
この光出射部8Aは、第一減光フィルタ(第一減光部)10A、第一マイクロプリズムシート11、第二マイクロプリズムシート12、マイクロレンズアレイ13、第一拡散板14、第二減光フィルタ(第二減光部)15、及び第二拡散板(第二光拡散部)16を備えている。これら第一減光フィルタ10A、第一マイクロプリズムシート11、第二マイクロプリズムシート12、マイクロレンズアレイ13、第一拡散板14、第二減光フィルタ15、及び第二拡散板16は、前後方向に沿って、第一光出射面41から遠ざかる方向にこの順で積層されるように配設されている。
【0033】
第一減光フィルタ10Aは、導光部材4の第一光出射面41から出射された光を減光して透過させる機能と、当該光を導光部材4の内部に向けて反射する機能とを有している。この第一減光フィルタ10Aは、前方から見て略三日月状を呈しており(図3参照)、第一光出射面41におけるLED5側の部分に積層されている。これにより、第一減光フィルタ10Aは、第一光出射面41のLED5近傍部分にて出射される光を、減光及び反射する。第一減光フィルタ10Aの前面は、前後方向に垂直な面となっており、前方を出射方向とする光出射面とされている。第一減光フィルタ10Aとしては、減光作用及び光反射性を有するものを使用することができ、ここでは、例えばマジックミラーフィルムが用いられている。
【0034】
第一マイクロプリズムシート11は、第一光出射面41から出射された光及び第一減光フィルタ10Aを通過した光を前方に集光し、その前方向の輝度を向上させる。第一マイクロプリズムシート11は、導光部材4の直径よりも若干大きな直径の円板状を呈しており、第一光出射面41の前方に同軸で配置されている。第一マイクロプリズムシート11の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前方を出射方向とする光出射面11aとされている。この第一マイクロプリズムシート11の前面及び後面には、光を集光して輝度を向上させるための縞状のパターンが形成されている。
【0035】
第二マイクロプリズムシート12は、第一マイクロプリズムシート11を通過した光を前方に集光し、その前方向の輝度を向上させる。第二マイクロプリズムシート12は、第一マイクロプリズムシート11の直径と略同等の円板状を呈しており、第一マイクロプリズムシート11の前方に同軸で配置されている。第二マイクロプリズムシート12の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前方を出射方向とする光出射面12aとされている。
【0036】
この第二マイクロプリズムシート12としては、第一マイクロプリズムシート11と同様なものを用いることができ、その前面及び後面には、同様な縞状のパターンが形成されている。なお、本実施形態では、第一マイクロプリズムシート11及び第二マイクロプリズムシート12は、その前面及び後面における上記縞状のパターンが互いに略直交するように配置されており、これにより、光を集光して輝度を向上させる効果が一層向上されている。
【0037】
マイクロレンズアレイ13は、方向性を持った光拡散を行なう光学素子であり、ここでは第二マイクロプリズムシート12を通過した光を拡散させて面状に均一化する光学素子である。マイクロレンズアレイ13は、第二マイクロプリズムシート12と略同様な直径の円板状を呈しており、第二マイクロプリズムシート12の前方に同軸で配置されている。マイクロレンズアレイ13の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前方を出射方向とする光出射面13aとされている。
【0038】
このマイクロレンズアレイ13の後面(すなわち光入射面)には、微細な凹凸によるサーフェース・レリーフホログラムパターンが設けられており、μm単位の微細なレンズを集積したような効果が得られるようになっている。これにより、マイクロレンズアレイ13は、光を拡散する作用である光拡散作用を有している。
【0039】
第一拡散板14は、スリガラス状となっており、マイクロレンズアレイ13を通過した光を藻類の遅延発光に似せるために、当該光を内部で拡散(内部拡散)するものである。第一拡散板14は、マイクロレンズアレイ13よりもやや小さい直径の円板状を呈しており、マイクロレンズアレイ13の前方に同軸で配置されている。第一拡散板14の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前方を出射方向とする光出射面14aとされている。
【0040】
この第一拡散板14は、透過性を有する材料の内部に光拡散物質を分散させることで形成されている。これにより、第一拡散板14は、第一光出射面41から出射された光の拡散点がその面内に並ばないように、第一光出射面41から出射された光を内部拡散し、分散点自体をばらつかせることが可能となっている。なお、本実施形態では、マイクロレンズアレイ13及び第一拡散板14が、第一光拡散部として機能する。
【0041】
第二減光フィルタ15は、第一拡散板14を通過した光を微弱な光にするために、当該光を減光するものである。第二減光フィルタ15は、第一拡散板14及びマイクロレンズアレイ13よりも大きな直径の円板状を呈しており、第一拡散板14の前方に同軸で配置されている。第二減光フィルタ15の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前方を出射方向とする光出射面15aとされている。第二減光フィルタ15としては、減光作用を有するものを使用することができ、ここでは、例えばゼラチンフィルターが用いられている。
【0042】
第二拡散板16は、第二減光フィルタ15を通過した光を藻類の遅延発光に似せるために、当該光を内部拡散するものである。第二拡散板16は、第二減光フィルタ15よりも大きな直径の円板状を呈しており、第二減光フィルタ15の前方に配置されている。第二拡散板16の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前後方向を出射方向とする光出射面16aとされている。光出射面16aは、外部に露出しており、基準光源1Aにおける光出射面を構成する。第二拡散板16としては、第一拡散板14と同様なものを使用することができる。
【0043】
制御部9は、SPD6により検出された光の光量に基づいて、LED5の発光量を制御するものである。図5は、図1の基準光源の制御部を示す概念図である。図5に示すように、制御部9は、IV変換器91及びコンパレータ92を有している。IV変換器91は、電流値を電圧値に変換するものであり、SPD6及びコンパレータ92に接続されている。
【0044】
IV変換器91は、SPD6から入力した電流値を電圧値に変換し、変換した電圧値を出力値Xとしてコンパレータ92に出力する。コンパレータ92は、LED5の発光量を決定するものであり、LED5に接続されている。コンパレータ92は、比較基準値Yを記憶しており、IV変換器から入力した出力値Xと、比較基準値Yとに基づいて、LED5に印加する電圧値を決定する。コンパレータ92は、決定した電圧値をLED5に印加する。
【0045】
また、基準光源1Aにおいて光出射部8Aを構成する各部材の間には、その外縁部に円環状の遮光リング(遮光部)R1〜R6が配置されて遮光されている。具体的には、遮光リングR1は、導光部材4と第一マイクロプリズムシート11との間の外周側に位置し、その一部が第一光出射面41よりも径方向外側に突出するように設けられている。
【0046】
遮光リングR2は、第一マイクロプリズムシート11と第二マイクロプリズムシート12との間の外周側に位置し、その一部が光出射面11aよりも径方向外側に突出するように設けられている。遮光リングR3は、第二マイクロプリズムシート12とマイクロレンズアレイ13との間の外周側に位置し、その一部が光出射面12aよりも径方向外側に突出するように設けられている。
【0047】
遮光リングR4は、マイクロレンズアレイ13と第一拡散板14との間の外周側に位置し、その一部が光出射面13aよりも径方向外側に突出するように設けられている。遮光リングR5は、第一拡散板14と第二減光フィルタ15との間の外周側に位置し、その一部が光出射面14aよりも径方向外側に突出するように設けられている。遮光リングR6は、第二減光フィルタ15と第二拡散板16との間の外周側に位置し、その一部が光出射面15aよりも径方向外側に突出するように設けられている。
【0048】
また、第二拡散板16の光出射面16aにおける外縁部には、その一部が光出射面15aよりも径方向外側に突出するように円環状の遮光リング(遮光部)R7が設けられている。これにより、貫通孔21Aと第二拡散板16の側面との間から光が漏れることが抑制されている。遮光リングR1〜R7は、例えば黒色の樹脂等により形成することができる。
【0049】
なお、基準光源1Aは、外部からの入力に基づいて発光量を設定することが可能とされている。すなわち、例えばコンピュータを基準光源1Aの制御部9に接続することにより、基準光源1Aの発光量が所望に可変される。ちなみに、コンパレータ92の比較基準値Yは、設定された発光量に応じて適宜変更される。
【0050】
次に、基準光源1Aの動作について説明する。
【0051】
LED5が導光部材4の光入射面42に向けて発光し、導光部材4内に光が入射すると、入射した光は、導光部材4で表面反射を繰り返して導光すると共に、導光部材4の外周面に塗布された反射材及び反射板7により反射され、その一部の光が第一光出射面41から前方に向けて面状に出射される。そして、第一光出射面41から出射された光の大部分は、第一マイクロプリズムシート11へそのまま向かい、第一光出射面41から出射された残りの光は、第一減光フィルタ10Aを通過し減光された上で、第一マイクロプリズムシート11に向かう。
【0052】
続いて、第一マイクロプリズムシート11へ向かった光は、第一マイクロプリズムシート11及び第二マイクロプリズムシート12をこの順に通過し、前方に集光されて前方向輝度が向上される。第一マイクロプリズムシート11及び第二マイクロプリズムシート12を通過した光は、マイクロレンズアレイ13を通過し、面状に拡散される。マイクロレンズアレイ13を通過した光は、第一拡散板14を通過し、その分散点がばらつく。
【0053】
続いて、第一拡散板14を通過した光は、第二減光フィルタ15を通過し、減光されて微弱な光になる。第二減光フィルタ15を通過した光は、第二拡散板16を通過し、その分散点がばらつく。そして、第二拡散板16を通過した光は、前向に向けて面状に発光される。以上により、最終的に、基準光源1Aから微弱な光が前方に向けて面発光されることとなる。
【0054】
このとき、第一光出射面41から出射された光は、導光部材4と第一マイクロプリズムシート11との間、第一マイクロプリズムシート11と第二マイクロプリズムシート12との間、第二マイクロプリズムシート12とマイクロレンズアレイ13との間、マイクロレンズアレイ13と第一拡散板14との間、第一拡散板14と第二減光フィルタ15との間、第二減光フィルタ15と第二拡散板16との間、及び、第二拡散板16の前面を通過する際、遮光リングR1〜R7により遮光され、側方から漏れることが抑制される。
【0055】
また、上述した面発光と同時に、LED5から導光部材4内に入射した光は、導光部材4で表面反射を繰り返しながら導光すると共に、導光部材4の外周面に塗布された反射材、第一減光フィルタ10A、及び反射板7により反射され、第二光出射面43からSPD6に向けて出射される。そして、第二光出射面43から出射された光の光量が、SPD6により検出される。
【0056】
SPD6は、検出した光量を、電流値として制御部9のIV変換器91に出力する。IV変換器91は、SPD6から入力された電流値を電圧値に変換し、変換した電圧値を出力値Xとしてコンパレータ92に出力する。図6に示すように、コンパレータ92は、IV変換器91から出力値Xが入力されると(ステップS10)、出力値Xと比較基準値Yとを比較する(ステップS12)。
【0057】
上記ステップS12において出力値Xが比較基準値Yよりも大きい場合、コンパレータ92は、LED5に印加する電力値を現在の電力値よりも低く決定する(ステップS14)。一方、上記ステップS12において出力値Xと比較基準値Yとが互いに等しい場合、コンパレータ92は、LED5に印加する電力値を変更しない(ステップS16)。他方、上記ステップS12において出力値Xが比較基準値Yよりも小さい場合、コンパレータ92は、LED5に印加する電力値を現在の電力値よりも高く決定する(ステップS18)。
【0058】
続いて、コンパレータ92は、決定した電圧値をLED5に印加して、LED5の発光量を制御する。その結果、LED5からの発光量が安定するようにLED5が制御され、基準光源1Aから発光される微弱な光が安定したものとなる。
【0059】
次に、基準光源1Aを用いて光検出器のキャリブレーションを行う方法について説明する。まず、基準光源1Aを用いてキャリブレーションを行う光検出器について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る基準光源を用いてキャリブレーションを行う光検出器を示す概略図である。
【0060】
図7に示すように、光検出器P(増倍型光検出器:Photo Multiplier Tube)は、藻類試料から調製された試料(光合成サンプルとも言う)からの遅延発光を検出する装置であり、計測ユニット100内に設けられている。計測ユニット100は、光検出器Pの他、試料設置部110、集光光学系120、励起光源130、透過光源140、透過光検出器150、第一シャッタ160、及び第二シャッタ170を備えている。これらの構成要素は、筐体180に収容されている。
【0061】
試料設置部110は、計測対象である試料を設置するための部分であり、試料室K内に配置されている。試料室Kは、扉の開閉によって試料の出し入れが可能であり、扉を閉めると外部からの光が遮断される暗箱になっている。試料設置部110は、光合成サンプルを試料として入れたセルを設置可能なように構成されている。なお、試料設置部110は、筐体180外から送液ポンプ等により試料を導入できるように構成されてもよい。
【0062】
光検出器Pは、試料への励起光の照射によって生じる遅延発光を受光し、受光した遅延発光を、その光強度(発光量)に応じた電気信号に変換し、印加電圧に応じた電気信号を出力値として不図示の演算ユニット等に出力する。光検出器Pは、例えば、光電子増倍管やアンバランシェフォトダイオードなど、増倍型光検出器を用いて構成される。集光光学系120は、試料への励起光の照射によって発生する微弱な遅延発光を集光し、集光した遅延発光を光検出器Pに導くように設けられている。
【0063】
励起光源130は、試料設置部110に設置された試料に光(励起光)を照射する。励起光源130は、植物の光合成に有効な光波長(280〜800nm)を放射可能であればよく、例えば、発光ダイオード、半導体レーザー素子又は電球が用いられる。透過光源140は、試料に透過光を照射し、透過光検出器150は、試料を透過した透過光や散乱光を計測する。
【0064】
第一シャッタ160は、集光光学系120及び光検出器Pと試料室Kとを光的に分画するために、集光光学系120と試料設置部110との間に開閉自在に設けられている。第一シャッタ160を閉じることで、励起光源130や透過光源140からの光が集光光学系120及び光検出器Pに直接入射することを防止でき、集光光学系等の構成部品の発光(残光)を防ぐことができる。
【0065】
第二シャッタ170は、励起光源130と試料室Kとを光的に分画するために、励起光源130と試料設置部110との間に開閉自在に設けられている。第二シャッタ170を閉じることで、励起光源130から試料設置部110に照射される光を遮断すると共に、励起光源130を消灯した直後に生じる僅かな残光が試料設置部110に照射されるのを防ぐことができる。
【0066】
このような光検出器Pを複数用いて複数の試料の遅延発光を同時計測する場合、光検出器Pの出力特性の個体差が問題になる。例えば、光検出器Pでは、印加電圧などの動作条件が同じでも、光入力に対する出力値(ゲイン)、検出上限、及び検出下限等の出力特性に個体差が生じることがある。これに対し、遅延発光は光強度が極めて小さい微弱な発光であり、且つ、遅延発光の光強度は経時的に4〜5桁の範囲で変化し、励起光の照射停止後の数秒間での変化が大きいため、複数の光検出器Pの出力特性に個体差があると、計測値にばらつきが生じやすい。なお、印加電圧とは、理想的な出力特性が得られる光入力の光強度の範囲を調節するために、光検出器P毎に調整された電圧である。
【0067】
そこで、遅延発光の計測を行う前に、複数の光検出器Pの個体差を小さくすべく、複数の光検出器Pごとに基準光源1Aを用いて次のキャリブレーションを実施する。すなわち、まず、電極33を介して蓄電部32に電力を予め充電した後、基準光源1Aからの発光量を藻類からの遅延発光の光量の範囲内で設定する。続いて、設定した発光量の光を基準光源1Aから面発光させた状態で、当該基準光源1Aを試料設置部110に直ちにセットする。なお、基準光源1Aからの発光量は、光検出器Pにより光の入力が無い状態(ダーク)を計測し、光の入力が無いにも拘らず光検出器Pから出力される誤差値(ダーク値)の影響を考慮して決定してもよい。
【0068】
続いて、第二シャッタ170を閉じ、この状態で基準光源1Aからの発光量を光検出器Pにより計測する。そして、このような光検出器Pによる計測を、基準光源1Aからの発光量を変えて複数回行う。得られた複数の計測値に基づいて、光検出器Pにおける入力(基準光源1Aからの発光量)に対する出力(計測値)の特性を求める。
【0069】
求めた特性が予め定められた所定範囲内に収まってない場合、印加電圧により光検出器Pを調節し、上述した光検出器Pによる計測を再び繰り返す。一方、求めた特性が予め定められた所定範囲内に収まっている場合、キャリブレーションを終了する。これにより、複数の光検出器Pの特性を予め定められた所定特性に揃えることが可能となる。
【0070】
ところで、藻類からの遅延発光の光量は、例えば、フォトンカウンティングによる計測で10(S−1)以下程度のものであり、非常に小さいのに対し、上述したように、LED5からの発光量は、例えばフォトンカウンティングによる計測で10〜1012(S−1)程度と大きいものとなっている。そのため、LED5から発せられた光を導光部材4の第一光出射面41からそのまま外部に面出射すると、面出射する光の光量が藻類からの遅延発光の光量に比べて大きすぎてしまう。従って、藻類からの遅延発光に似せるため、基準光源1Aから外部に面出射される光は、例えばフォトンカウンティングによる計測で10(S−1)以下程度の微弱光とされることが求められ、よって、LED5から発せられた光は、光出射部8Aによって例えば1/1000以下に減光される必要がある。
【0071】
この点、本実施形態に係る基準光源1Aでは、上述した構成を採用することにより、基準光源1Aから外部に面出射される光の光量をLED5から発せられる光の光量の1/1000以下まで減光することが可能となっている。つまり、基準光源1Aによれば、例えばフォトンカウンティングによる計測で、藻類からの遅延発光の光量と同程度(10〜10(S−1)程度)の微弱光を面出射することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態では、上述したように、LED5とSPD6とが導光部材4を介して対向するように設けられているため、LED5からSPD6に直接向かう光が増加してSPD6はLED5から発せられた光を検出しやすくなり、より大きな光量を検出することができる。加えて、第一減光フィルタ10A及び反射板7により導光部材4内で光を反射させることで、SPD6により大きな光量を検出することができる。従って、制御部9により大きな光量に基づいてLED5を制御することができ、LED5の発光量を安定させることができる。その結果、本実施形態によれば、微弱光を安定して均一に面発光することができる。
【0073】
図8は図1の基準光源からの発光量を示すグラフ、図9は比較形態に係る基準光源からの発光量を示すグラフ、図10は図1の基準光源の発光の安定性を示す結果及び比較形態に係る基準光源の発光の安定性を示す結果である。図8中における各データは、光検出器Pを用いて、発光量の異なる3個体の上記実施形態(基準光源1A)の光量を各々計測したものである。同様に、図9中における各データは、光検出器Pを用いて、発光量の異なる3個体の比較形態に係る基準光源の光量を各々計測したものである。
【0074】
なお、各計測では、計測時間を600秒間としている。また、比較形態に係る光源としては、第一減光フィルタ10A及びマイクロレンズアレイ13を有さない光源としている。また、図10中の安定性S(%)は、図8,9の各結果に基づき下式(1)により算出したものである。この安定性Sは、100(%)に近いほど発光の安定性が高いことを示している。
【数1】


但し、
(S−1):計測開始後0.1〜10秒の間の計測値の平均値
(S−1):計測開始後590.1〜600秒の間の計測値の平均値
【0075】
図8(a)〜(c)に示すように、基準光源1Aにおける発光量の経時変化(全体的な傾きや振幅)は、すべての設定値において小さいことがわかる。また、図10における実施形態の(a)〜(c)に示すように、基準光源1Aからの発光は、全ての設定値において安定性が高くなっている。一方、図9(a)〜(c)に示すように、比較形態における発光量の経時変化は、基準光源1Aからの発光量に比して大きいことがわかる。また、図10における比較形態の(a),(c)に示すように、比較形態に係る光源からの発光は、必ずしも安定性が高いものにはならない。以上の結果、本実施形態では微弱な光が所定期間に亘り安定して均一に面発光されることを確認することができる。
【0076】
図11は図1の基準光源からの発光を示す分布図、図12は比較形態に係る基準光源からの発光を示す分布図である。図11中における分布図は、上記基準光源1Aから面発光された光をフォトカウンター(浜松ホトニクス社製 ARGUS−50)によりフォトカウンティングし、得られた光量を積算することで求められている。同様に、図12中における分布図は、上記比較形態に係る光源から面発光された光をフォトカウンティングし、得られた光量を積算することで求められている。なお、図11,12中においては、発光量を変えた3種類の分布図を示しており、明部ほど発光量が大きい(暗部ほど発光量が小さい)ことを示している。
【0077】
図11(a)〜(c)に示すように、基準光源1Aでは、すべての設定値を通して円形状の光出射面16a(図1参照)内において発光量が略均一になっていることがわかる。一方、図12(b),(c)に示すように、比較形態に係る光源では、円形状の光出射面内において中心部よりも外縁付近で発光量が高くなっており、発光量は均一になっていない。以上の結果、本実施形態では微弱な光が均一に面発光されることを確認することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上述したように、光拡散作用を有する光拡散物質が内部に分散された第一拡散板14及び第二拡散板16を備えていることから、第一光出射面41から出射された光が第一拡散板14及び第二拡散板16を通過する際、その内部に分散された光拡散物質により分散点をばらつかせることができる。よって、基準光源1Aから面発光される光を、藻類による遅延発光に好適に似せることができる。
【0079】
また、本実施形態では、上述したように、導光部材4の後面44に反射板7が設けられているため、一層大きな光量をSPD6で検出することができ、微弱光を一層安定して均一に面発光することができる。また、上述したように、光を遮光する遮光リングR1〜R7が設けられているため、導光部材4の第一光出射面41から前方へ出射された光が前方に行くに従って過度に拡がった場合でも、当該光が外部へ漏れるのを確実に抑制することができる。
【0080】
図13は図1の基準光源を用いてキャリブレーションを行った光検出器の特性を示すグラフである。図13中の各データは、異なる3つの光検出器Pについて上記基準光源1Aを用いてキャリブレーションを行い、同一の試料からの遅延発光を計測したものである。図13(a)〜(c)に示すように、本実施形態では、異なる3つの光検出器Pそれぞれにおいて、その特性を互いに略同一にできたことがわかる。これにより、複数の光検出器の特性を略同一に揃えることが可能であり、良好なキャリブレーションが可能であることを確認できる。
【0081】
なお、導光部材4の第一光出射面41においてLED5の近傍部分では、LED5から光が届きやすいため、他の部分に比べて大きい光量の光が出射されやすい。この点、上述したように、本実施形態では、第一光出射面41のLED5の近傍部分に減光作用及び反射作用を有する第一減光フィルタ10Aが設けられているため、第一光出射面41において出射される光の光量分布を一層均一化することができる。
【0082】
次に、本発明の第2実施形態に係る基準光源について説明する。図14は、本発明の第2実施形態に係る基準光源を示す断面図である。図14に示すように、本実施形態に係る基準光源1Bが第1実施形態に係る基準光源1A(図4参照)と異なる点は、光出射部8Aに代えて光出射部8Bを備えた点、導光部材4の後面(第一光出射面41の反対面)44側に減光膜10Cを備えた点である。
【0083】
光出射部8Bは、貫通孔21Bに収容されており、導光部材4の第一光出射面41と対向するように当該第一光出射面41上に設けられている。この光出射部8Bは、減光膜(第一減光部)10B、マイクロレンズアレイ17(第一光拡散部)、減光フィルタ(第二減光部)18、及び拡散板(第二光拡散部)19を備えており、これらは、前後方向に沿って、第一光出射面41から遠ざかる方向にこの順で積層されるように配設されている。
【0084】
減光膜10Bは、導光部材4の第一光出射面41から出射された光を減光すると共に、第一光出射面41から出射された光を導光部材4の内部に向けて反射するものである。この減光膜10Bは、第一光出射面41上に全面に設けられている。ここでの減光膜10Bとしては、例えば、減光作用及び反射作用を有する材料を第一光出射面41上に蒸着させることで形成されている。
【0085】
マイクロレンズアレイ17は、減光膜10Bを通過した光を面状に均一にするために当該光を拡散させるものであり、減光膜10Bの前方に配置されている。マイクロレンズアレイ17の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前後方向を出射方向とする光出射面17aとされている。このマイクロレンズアレイ17は、導光部材4よりも大きな直径の円板状を呈しており、光出射面17aの面積は、導光部材4の第一光出射面41の面積よりも大きくされている。マイクロレンズアレイ17としては、例えば第1実施形態に係るマイクロレンズアレイ13と同様なものを使用することができる。
【0086】
減光フィルタ18は、マイクロレンズアレイ17を通過した光を微弱な光にするために当該光を減光するものであり、マイクロレンズアレイ17の光出射面17aに設けられている。減光フィルタ18の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前後方向を出射方向とする光出射面18aとされている。この減光フィルタ18はマイクロレンズアレイ17よりも大きな直径の円板状を呈しており、光出射面18aの面積は、マイクロレンズアレイ17の光出射面17aの面積よりも大きくされている。減光フィルタ18としては、例えば第1実施形態に係る第二減光フィルタ15と同様なものを使用することができ、マイクロレンズアレイ17と拡散板19との間に蒸着させることで配置することができる。
【0087】
拡散板19は、減光フィルタ18を通過した光を藻類の遅延発光に似せるために当該光を内部拡散するものであり、減光フィルタ18の光出射面18aに設けられている。拡散板19の前面は、前後方向に垂直な面となっており、前後方向を出射方向とする光出射面19aとされている。この拡散板19は、減光フィルタ18よりも大きな直径の円板状を呈しており、光出射面19aの面積は、減光フィルタ18の光出射面18aの面積よりも大きくされている。拡散板19の光出射面19aは、外部に露出しており、基準光源1Bにおける光出射面を構成する。拡散板19としては、第1実施形態に係る第一拡散板14と同様なものを使用することができる。
【0088】
減光膜10Cは、導光部材4の後面44と反射板7との間に設けられており、反射板7に達する光を減光し、導光部材4へむけて反射するものである。ここでの減光膜10Cとしては、上述の減光膜10Bと同様に、例えば、減光作用及び反射作用を有する材料を後面44上に蒸着させることで形成されている。なお、導光部材4において、第一光出射面41、光入射面42、第二光出射面43及び後面44を除く外面には、第一実施形態と同様に、内部から外部に向かう光を内部に向けて反射する反射材が塗布されている。
【0089】
以上、本実施形態においても、上記第1実施形態と略同様な効果を奏する。加えて、上述したように、減光膜10Bが導光部材4の第一光出射面41の全面に設けられていることから、減光膜10Bにより導光部材4内に反射させる光の光量を増加することができ、SPD6にて受光される光の光量を増加することができるため、面発光する光が一層安定するようにLED5を制御することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上述したように、導光部材4の第一光出射面41の面積、マイクロレンズアレイ17の光出射面17aの面積、減光フィルタ18の光出射面18aの面積、及び拡散板19の光出射面19aの面積がこの順に大きくされている。このように、基準光源1Bの光出射方向である前方に行くに従って光出射面41,17a,18a,19aが拡がるように構成されているため、導光部材4の第一光出射面41から出射された光が前方へ行くに従って拡がるのを好適に利用して面発光させることができ、遮光リング等を設けて当該光の拡がりを遮光する必要性を低減することが可能となる。その結果、部品点数を減らすことができる。
【0091】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0092】
例えば、上記第1実施形態では、第二減光フィルタ15と第二拡散板16との間に、光拡散作用を有するシート(拡散板)をさらに設けてもよい。また、上記第1実施形態は、場合によっては、第一マイクロプリズムシート11、第二マイクロプリズムシート12、反射板7を備えなくてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、光入射面42及び第二光出射面43を除く導光部材4の全面に、光反射性を有する蒸着膜を設けてもよい。この場合、SPD6にて受光される光の光量を例えば数十%増加させることができる。また、上記実施形態では、発光部としてLED5を備えたが、発光部としては、光を発光するものであれば種々の光学素子を用いることができる。また、上記実施形態では、受光部としてSPD6を備えたが、受光部としては、光を受光するものであれば種々の光学素子を用いることができる。
【0094】
なお、上記実施形態は、LED5から発せられた光を例えば1/1000以下に減光し、基準光源1Aから面発光される光をフォトンカウンティングによる計測で10(S−1)以下程度の微弱光としたが、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態は、面発光される光に余裕幅をもたせるため、当該光の上限値をフォトンカウンティングによる計測で10(S−1)としてもよい。この場合、LED5から発せられた光は例えば1/100に減光される。
【符号の説明】
【0095】
1A,1B…基準光源、4…導光部材、5…LED(発光部)、6…SPD(受光部)、7…反射板、8A,8B…光出射部、9…制御部、10A…第一減光フィルタ(第一減光部)、10B…減光膜(第一減光部)、13…マイクロレンズアレイ(第一光拡散部)、14…第一拡散板(第一光拡散部)、15…第二減光フィルタ(第二減光部)、16…第二拡散板(第二光拡散部)、17…マイクロレンズアレイ(第一光拡散部)、17a…光出射面、18…減光フィルタ(第二減光部)、18a…光出射面、19…拡散板(第二光拡散部)、19a…光出射面、41…第一光出射面(光出射面)、61…受光面、R1〜R8…遮光リング(遮光部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に向けて光を面状に発光する基準光源であって、
前記所定方向を光の出射方向とする光出射面を有する導光部材と、
前記所定方向と交差する方向における前記導光部材の一方側に設けられ、前記導光部材に向けて発光する発光部と、
前記所定方向と交差する方向における前記導光部材の他方側に設けられ、前記導光部材を介して前記発光部と対向する受光面を有する受光部と、
前記受光部で検出された光の光量に基づいて、前記発光部から発せられる光の光量を制御する制御部と、
前記導光部材の光出射面上に設けられ、前記導光部材の光出射面から出射された光を拡散させると共に、当該光の光量を前記受光部で検出される光の光量よりも小さくなるように減光させる光出射部と、を備えたことを特徴とする基準光源。
【請求項2】
前記光出射部は、
減光作用を有し、且つ光反射性を有する第一減光部と、
光拡散作用を有する第一光拡散部と、
減光作用を有する第二減光部と、
光拡散作用を有する第二光拡散部と、を有し、
前記第一減光部、前記第一光拡散部、前記第二減光部及び前記第二光拡散部は、前記所定方向に沿って、前記導光部材の光出射面から遠ざかる方向にこの順で積層されるように配置されていること、を特徴とする請求項1記載の基準光源。
【請求項3】
前記第一減光部は、前記導光部材の光出射面の一部に設けられており、
前記第一光拡散部は、方向性を持った光拡散を行なうマイクロレンズアレイと、光拡散作用を有する光拡散物質が内部に分散された拡散板と、を含み、
前記マイクロレンズアレイ及び前記拡散板は、前記所定方向に沿って、前記導光部材の光出射面から遠ざかる方向にこの順で積層されるように配置されていること、を特徴とする請求項2記載の基準光源。
【請求項4】
前記第一減光部は、前記導光部材の光出射面の全面に設けられており、
前記第一光拡散部は、マイクロレンズアレイを含むこと、を特徴とする請求項2記載の基準光源。
【請求項5】
前記第一光拡散部、前記第二減光部及び前記第二光拡散部は、前記所定方向を出射方向とする光出射面をそれぞれ有し、
前記導光部材の光出射面の面積、前記第一光拡散部の光出射面の面積、前記第二減光部の光出射面の面積、及び前記第二光拡散部の光出射面の面積は、この順に大きくされていること、を特徴とする請求項2〜4の何れか一項記載の基準光源。
【請求項6】
前記導光部材と前記第一光拡散部との間、前記第一光拡散部と前記第二減光部との間、及び、前記第二減光部と前記第二光拡散部との間の少なくとも1箇所における外縁部には、光を遮光する遮光部が設けられていること、を特徴とする請求項2〜5の何れか一項記載の基準光源。
【請求項7】
前記導光部材における光出射面の反対面には、光反射性を有する反射部が設けられていること、を特徴とする請求項1〜6の何れか一項記載の基準光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−113635(P2013−113635A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258101(P2011−258101)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】