説明

基礎を構築する不燃性の強化セメント質軽量パネル及び金属枠システム

基礎システムは、寸法的に安定した軽量強化セメント質パネルを支持する金属枠組み部材を含む。この基礎システムは、不燃性、耐水性、耐カビ性及び耐白カビ性、並びに耐シロアリ性である。パネルは、例えば、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、水硬性セメント、活性ポゾラン及び石灰の無機粘結剤の水性混合物の硬化によって得られる、1つ又は複数の層の連続相を用いる。連続相は、ガラス繊維で強化され、例えば、セラミック微小球などの軽量充填材粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2006年6月27日出願の米国仮特許出願第60/816,641号の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、居住及び商業用建築の、金属枠組みと、ここでSCPパネルと称する、軽量の構造用セメント質パネルとを備える基礎システムに関する。より詳細には、本発明は、機械式に又は接着剤でパネルを銅製枠システムに固定した不燃性の基礎システムに関する。パネルは、耐せん断ダイヤフラム及び重力荷重伝達基礎要素をもたらす。
【0003】
このシステムは、鋼製枠組みと共に使用するときに、不燃性、耐水性、耐カビ性、高比強度及び高比剛性、組立ての速度を上げる建築設計の経済性、建築物重量を軽減することによる基礎寸法の縮小、並びに所与の建築占有面積に対する利用可能な建築容積割合の増加など、有利な性能属性をもたらす。断熱材で充填し、且つその空洞を通して電線、管類又は他のユーティリティを走らせることを可能にするように、基礎壁が中空壁であることも有利である。本発明はまた、基礎の内壁に外観仕上げをもたらす。また、打設前に基礎材料に最初に加える水が、打設したコンクリートを水和するのに使用されず、蒸発してしまうときに、打設した基礎で起きる可能性がある収縮及び収縮クラックの可能性を避ける。これは、また、現場打ち基礎に関わる環境問題が起きるのを防止する。
【背景技術】
【0004】
屋内居住用及び軽量商業用の基礎システムは、一般に、現場打ちコンクリートスラブ及び打設コンクリート又は現場打ちフーチング上で支持された組積造壁を含む。
【0005】
典型的な基礎の床は、現場打ちフーチング上に載った現場打ちスラブである。
【0006】
金属の枠組みは、商業用空間を増築するときにも、全体の構造を建てるときにも、さらに一般的になっている。おそらく、最もよく知られ、最も普及している金属の枠組みの方法は、典型的には、シート鋼、場合によってはアルミニウムから圧延した金属チャンネル材の使用を含む。これらの金属枠組み部材又はスタッドは、商業用及び居住用構造を構築し補強するために使用されることが多いチャンネル材であり、そのチャンネル材は、断面が概してU字形であり、ベースが広く、側部が細く高さが一様である。スタッド又は枠組み部材の強度及び剛性を高めるためには、U字形チャンネル材構成要素の側方の縁部を曲げて、U字形チャンネル材のベースの平面に平行なリップを形成し、C字形構成要素を形成する。
【0007】
金属枠組み部材及びスタッドの外寸、並びにその部材又はスタッドの重量又はゲージは変化する。典型的には、それらの部材は、幅約4インチ(10cm)×深さ2インチ(5cm)に作製され、それにより、木製枠組み及びスタッド部材の幅及び深さに相当する。この場合、リップ部はスタッドの側部から1/4〜1/2インチ(0.63〜1.3cm)延びることができる。軽量(light gauge)の居住建築及び商業用壁建築のために18〜20ゲージの金属を使用することができる。より重い範囲の金属ゲージは、一部の居住用及び商業用枠組み、具体的には複数階の商業用建築物で使用される。
【0008】
金属枠及び壁スタッドを連結し固定するための様々な方法が開発されてきた。最も基本的なレベルでは、金属スタッドは、トラックの外壁から隣接する金属スタッドに、穴を開け、ねじ留めすることによって、金属トラックに挿入されその内部に固定される。同様に、例えばタイブラケット、シアコネクタ及びプレートコネクタのような、金属枠組み部材を相互に連結する市販の装置は、典型的には、トラック又はスタッド部材の外側から内側に取り付けられるねじ及びボルトを使用する。
【0009】
金属スタッド及び枠組み部材は、隣接するスタッド及び枠組み部材並びに/又はスタッド及び枠組み部材を補強する働きをするクロスバー及び他の非枠組み部材に、これらのスタッド及び枠組み部材を相互連結するのを容易にすることが意図されている、鋸又は打抜きスロット、タブ及びブラケットを含むように改変されてきた。金属スタッドを一緒に締結し相互連結するために現在使用されているブラケット、プレート及びタイコネクタを含む周知のコネクタは、一般に、現場で穴あけ及びねじ留めされる。固定されていないコネクタの穴あけ及びねじ留めは労働者に安全上の危険を呈する。というのは、コネクタは小さく軽量である傾向があり、したがって、ハンドドリルで簡単に把持され回転されるからである。
【0010】
米国特許第6,799,407号は、様々なコネクタ及びトラックによって、金属枠組み部材、トラック及びスタッドを相互連結するシステムを開示している。これらのコネクタは、枠組み部材、トラック及びスタッド内で嵌合し噛み合うように特別に構成及び設計されている。コネクタは、コネクタ内部から外向きに、部材、トラック又はスタッドの非表面側に施された留め具によって、1つの部材、トラック又はスタッドを、他の部材、トラック又はスタッドに固定するように働く。このトラックは、トラック及びスタッドの表面側に留め具の頭部又は他の突起がないようにしながら、内側から外側と外側から内側の両方から、3次元で施工される留め具を用いて他のトラック又はスタッドと相互連結するように特別に構成される。それは、シート鋼又はアルミニウム製の従来のU字形チャンネル材の形状の枠組み部材又はスタッドを用いる。このシステムによれば、U字形チャンネル材部材は、例えば、壁スタッド、トラック、ヘッダー、隅棟、床根太、屋根根太、屋根トラス、鼻隠、スタッド転び止めなど、商業用又は居住用建築物の多くの又は全ての枠組み構成要素を構成する。
【0011】
米国特許第5,687,538号は、主たる平坦な面と、その面に直角の2つの平坦な側壁とからなる、断面がC字形の構造枠組み部材を開示する。これらの側壁は、ベースに対してほぼ平行に形成された、内側に折り返したリップ部を備える。金属枠組み根太部分の耐力は、その部分の全長にわたる主平面の面に沿って連続する、深さが最小0.01インチ(0.025cm)の、上下の側壁に垂直な長手方向補剛材を型押しすることによって増加する。これらの長手方向補剛材を、それに限定されないが対角線の型押し補剛材とつなぐことによって、単純なせん断変形ではなく軸方向の変形によって荷重を伝達する隣接した幾何学形状の補剛材を介してウェブの剛性を増加させるように、長手方向弦間の一連の隣接する幾何学形状が作り出されている。
【0012】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Tonyanらの米国特許第6,620,487号は、枠組みに固定されるときに、合板又は配向性ストランドボードパネルによって与えられるせん断荷重と等しいか又はそれを超えるせん断荷重に耐えることができる、寸法的に安定した強化軽量構造セメントパネル(SCP)を開示する。そのパネルは、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、水硬性セメント、活性ポゾラン及び石灰の水性混合物の硬化によって得られる連続相の芯を用い、その連続相は、耐アルカリ性ガラス繊維で強化され、セラミック微小球又はセラミックとポリマー微小球との混合物を含むか、或いは所望の場合は、(例えば、水と反応性粉末の比が0.6/1〜0.7/1の重量比である水性混合物から連続相を形成することによって)密度及び釘打ち性を調整するために、ポリマー微小球の代わりに追加の水、又はそれらの組合せを使用することができる。このパネルの少なくとも1つの外面は、硬化した連続相を含むことができ、その連続相は、ガラス繊維で強化され、釘打ち性を改善するために十分なポリマー球を含むか、又はポリマー球と同様の効果をもたらす水と反応性粉末の比で作製されるか、或いは、それらの組合せから作製される。
【0013】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bonenの米国特許第6,241,815号もまた、SCPパネルに有用な配合を開示している。
【0014】
参照により本明細書に組み込まれる、Dubeyらの米国特許出願公開第2005/0064164号(米国特許出願第10/666,294号)は、構造セメント質パネル(SCP又はSCPパネル)を生産する複数層プロセス及びこうしたプロセスによって生産されたSCPを開示している。移動しているウェブ上にばらばらに分配され細断された繊維又は1層のスラリーの一方を最初に堆積した後で、繊維をスラリー層上に配置する。埋込み具が、直前に堆積した繊維をスラリー中に混合し、その後スラリーの追加の層、次いで、細断繊維を追加し、それに続けてさらに埋め込む。このプロセスは所望に応じて、ボードの各層で繰り返される。
【0015】
建築物で使用するためには、構造合板シートに適用されるASTM E72、ASTM 661、及びASTM C 1185又は同等物などの、認可された試験によって測定された状態で、SCPパネルは、耐せん断性、荷重容量、水による膨張及び耐燃焼性に関する建築基準法に適合しなければならない。SCPパネルは、不燃性についてASTM E−136でも試験する。合板はこの試験に適合しない。
【0016】
心々16インチ(40.6cm)間隔にわたってASTM 661及び米国合板協会(APA)試験方法S−1による試験を行うときに、パネルは、荷重が200lb(90.9kg)の場合に、静荷重で極限荷重容量が550lbs(250kg)より大きく、衝撃荷重で極限荷重容量が400lbs(182kg)より大きく、静荷重でも衝撃荷重でもたわみが0.078インチ(1.98mm)より小さくなければならない。
・上述の釘寸法及び間隔の下でASTM E72試験で測定した、厚さ0.5インチ(12.7mm)のパネルのラッキングせん断強度は、少なくとも720lbs/ft(1072kg/m)でなければならない。
・4×8フィート、厚さ1/2インチ(1.22m×2.44m、厚さ12.7mm)のパネルは、わずか99lbs(44.9kg)、好ましくは85lbs(38.6kg)程度の重量でなければならない。
・パネルは、木材の切断に使用される丸のこで切断可能でなければならない。
・パネルは、釘又はねじで枠組みに固定可能でなければならない。
・パネルは、パネルにさねはぎの縁部が作製可能になるように、機械加工可能でなければならない。
・パネルは、水にさらされたときに寸法的に安定していなければならなず、すなわち、できるだけ膨張量が小さく、好ましくはASTM C1185で測定したときに0.1%より小さい。
・パネルは、生分解可能であってはならず、或いは虫による腐食又は腐敗を受けるべきではない。
・パネルは、外側の仕上げシステムに接着可能な基体を設けなければならない。
・パネルは、ASTM E136で判定したときに不燃性でなければならない。
・48時間水に浸漬した後の乾燥密度がせいぜい65〜95lb/ft(1041〜1520kg/m)程度の、厚さ0.5インチ(12.7mm)のパネルの28日間の硬化後の曲げ強度は、ASTM C 947で測定したときに、少なくとも1700psi(11.7MPa)、好ましくは少なくとも2500psi(17.2MPa)であるべきである。パネルは乾燥強度の少なくとも75%保持すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
経済的で、組立てが容易で、耐久性及び不燃性のある基礎システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、せん断壁に金属枠及び軽量SCPパネルを含む、居住及び商業用軽量建築物の基礎システムに関する。基礎の床は、金属枠上の軽量SCPパネルでもよく、打設コンクリート床でもよい。
【0019】
低密度、改善された曲げ強度、及び釘打ち性/切断性の所望の組合せを実現する、本発明のSCPパネルの実施形態の典型的な組成は、パネルの全厚にわたって分布した、選択したガラス繊維を有する、無機粘結剤(例えば、石膏セメント、ポルトランドセメント又は他の水硬性セメント)と、軽量充填材(例えば、中空のガラス微小球、中空のセラミック微小球及び/又は均質のパーライト)と、高流動化剤/広範の減水剤(例えば、ポリナフタレンスルホネート、ポリアクリレートなど)とを含む。硬化促進剤及び凝結遅緩剤、粘度制御剤など、他の添加物を、任意選択で混合物に追加して、必要な製造プロセスの要求を満たすことができる。
【0020】
本発明のシステムは、単一層又は複数層のSCPパネルを用いることができる。単一又は複数層のパネルは、所望の場合に、シート状のメッシュ、例えば、繊維ガラスメッシュを備えることもできる。
【0021】
複数(2つ以上)の層を有するいくつかの実施形態では、層の組成は、同じでも異なってもよい。例えば、SCPパネルは、連続相の内層と、内層の対向する各側面に少なくとも1つの連続相の外層とを有することができ、内層の対向する各側面上の少なくとも1つの外層は、ガラス繊維の割合が内層より高い。これは、パネルに剛性を与え、強化し、靭性を高める。ガラス繊維は、単体でも、鋼繊維など、他のタイプの不燃性繊維との組合せでも使用することができる。
【0022】
他の例では、複数層パネル構造は、釘打ち性及び切断性を改善した少なくとも1つの外層を含むように作ることができる。これは、パネルの芯に関連する外層(1つ又は複数)を作製する際に(以下で定義する)水と反応性粉末の比をより高くすることによってもたらされる。少量のポリマー含有物と薄い外皮を組み合わせることにより、必ずしも不燃性試験に不合格になることなく、釘打ち性を改善することができる。勿論、ポリマー含有量が大きいと、その製品が不燃性試験に不合格になる。
【0023】
SCPパネルは、例えば、ねじ、リベットなどの機械式留め具又は接着剤によって、金属枠組み部材、例えば、スタッド又は根太に連結することができる。接着剤を現場で又は現場以外でパネルに塗布することができる。接着剤が現場以外であらかじめ塗布されている場合は、着脱可能なテープでカバーした接着剤のストリップとして提供することができる。
【0024】
SCPパネルを金属枠組み部材に連結することにより、パネル及びスタッド又は根太が一緒に働く複合物の作用を実現して、枠組み単体より大きい荷重を伝達することができる。
【0025】
金属枠とSCPパネルとの組合せを選択することにより、完全に不燃性の基礎システムの相乗効果を実現する。軽量金属枠上の完全に不燃性のSCPパネルとは、全ての要素がASTM E−136に合格するシステムを意味する。例えば、そのシステムは、枠組みシステムで用いられるSCPパネルを含むことができ、その枠組みシステムは、標準的な冷間圧延軽量鋼製C字形チャンネル材、U字形チャンネル材、I形鋼、角管、及びあらかじめ作製された軽量建築区分を用いる。
【0026】
基礎壁に用いるときは、現行のSCP金属枠システムは、耐荷重組積造システムより比剛性が高くてよい。比剛性は、特定の間隔及び荷重条件に対する設計たわみ要件、少なくとも1つの対応する強度要件を満たすように、ポンド/平方フィートで表すせん断壁システムの単位重量として定義される。この定義の強度は、せん断壁の垂直及び/又は水平荷重に対する軸方向強度、曲げ強度及び/又はせん断強度である。垂直荷重は活荷重及び/又は死荷重を含む。
【0027】
例えば、せん断壁に鋼製枠組みと組み合わせてSCPを使用する建築物は、せん断壁に同じ厚さ及び高さのCMU(コンクリート組積造ユニット)壁を用いる建築物と比較して死荷重が減少する。一例として、200リニアフィート(61リニアメートル)のせん断壁を必要とし、せん断壁の呼びラッキングせん断強度要件が500plf(ポンド/リニアフィート)(744kg/リニアメートル)で、幅4インチ(10cm)のせん断壁を使用し、壁の高さが8フィート(2.4m)の建築物。その場合、金属枠組みと組み合わせたSCPを使用すると、その建築物のせん断壁の死荷重がCMUせん断壁と比べて41600ポンド減少する。このように死荷重が減少した結果、建築物の下層の構造部材の寸法が減少するか、又は建築物基礎の寸法が減少する。類似の軽量化は、SCP/金属枠基礎壁が、同じ長さ及び高さの従来の組積造又は現場打ち基礎壁の代わりに用いられるときに実現される。
【0028】
軽量の、典型的には冷間圧延金属枠上の垂直せん断ダイヤフラムを有する本基礎システムは、典型的には、地下水の浸水を防ぐ耐水性及び封止性もある。
【0029】
好ましくは、本発明のシステムの垂直せん断ダイヤフラムの荷重伝達容量は、10フィート×20フィート(3×6m)の金属枠に固定された、厚さ3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルの水平方向のダイヤフラムの上に24時間にわたって、2インチ(5.1cm)の水頭が維持される試験で水にさらしたときに、低下が25%以下である(より好ましくは、低下が20%以下である)。この試験では、15分間隔で水をチェックし補充することによって2インチ(5.1cm)の水頭を維持する。次いで、このシステムを垂直方向に方向転換し、システムの垂直せん断ダイヤフラムの荷重伝達容量を測定する。
【0030】
好ましくは、本発明のシステムは、10フィート×20フィート(3×6m)の金属枠に固定された、厚さ3/4インチ(1.9cm)のSCPパネル上に、2インチ(5.1cm)の水頭が維持される試験で水にさらしたときに、水の吸収は0.7ポンド/平方フィート(3.4kg/平方メートル)以下である。この試験では、15分間隔で水をチェックし補充することによって2インチ(5.1cm)の水頭を維持する。
【0031】
また、不燃性のSCPパネルと金属枠組みとを組み合わせると、システム全体が水分による膨張に抵抗するようになる。好ましくは、本発明のシステムでは、10フィート×20フィート(3×6m)の金属枠に取り付けられたSCPパネルの幅10フィート×長さ20フィート(3×6m)×厚さ3/4インチ(1.9cm)のダイヤフラムは、金属枠に固定されたSCPパネル上に24時間にわたって維持した2インチ(5.1cm)の水頭にさらされるときに、膨張は5%以下である。この試験では、15分間隔で水をチェックし補充することによって2インチ(5.1cm)の水頭を維持する。
【0032】
また、SCPパネルの垂直又は水平ダイヤフラムがそれぞれ金属枠上にある本基礎壁及び床システムは、耐カビ性及び耐白カビ性があるシステムになる。好ましくは、本発明のシステムの構成要素は全て、システムが約1の等級を達成するASTM G−21に適合し、システムが約10の等級を達成するASTM D−3273に適合する。好ましくは、本発明のシステムは、清潔なときには実質上細菌が成長しないように助ける。
【0033】
金属枠上の本SCPパネルシステムの他の好ましい属性は、好ましくはシロアリに食べられないことである。
【0034】
本システムの可能性のある利点は、金属枠上に厚さ3/4又は1/2インチ(1.9又は1.3cm)のSCPパネルのダイヤフラムを組み合わせると、軽量で強度が高いので、所与の建築物の占有面積に対する建築容積を最大にするように、所与の建築物の占有面積に対する建築容積の効率的な利用を可能にすることである。したがって、本システムは、より効率的な建築容積を可能にすることができ、建築物の高さの制限がある状態で、壁から天井までの高さを高くするか、又は区分した領域の壁の数を増やすことを可能にする。基礎の場合、典型的なSCPパネルの厚さは0.5〜1.5インチ(1.3〜3.8cm)の範囲でよい。
【0035】
本システムの可能性のある利点は、金属枠上に厚さ3/4又は1/2インチ(1.9又は1.3cm)のSCPパネルの垂直ダイヤフラムの本せん断壁システムを組み合わせると、軽量で強度が高いので、所与の建築物の占有面積に対する建築容積を最大にするように、所与の建築物の占有面積に対する建築容積の効率的な利用を可能にすることである。したがって、本システムは、より効率的な建築容積を可能にすることができ、建築物の高さの制限がある状態で、壁から天井までの高さを高くするか、又は区分した領域のせん断壁の数を増やすことを可能にする。
【0036】
建築基準及び設計標準は、組積造せん断壁に関する最小厚さ要件を含む。1階建ての建物の組積造(CMU)のせん断壁の最小呼び厚さは6インチである。2階建て以上の建築物の組積造のせん断壁(CMU)の最小厚さは、8インチである。鋼製枠組みせん断壁を有するSCPは、同様の最小要件がなく、複数階の建築物では厚さ8インチ(20cm)未満、1階建ての建築物では厚さ6インチ(15cm)未満で、確立された工学的原理に従って設計することができる。厚さ8インチ(20cm)の組積造のせん断壁の代わりに、厚さ6インチ(15.2cm)のSCP/鋼製枠せん断壁を用いることにより、使用可能な建築容積を大幅に増加することができる。
【0037】
一例として、3階建て30000平方フィート(2787平方メートル)の建築物は、一床あたり10000平方フィート(929平方メートル)、床から天井までの高さ10フィート(3m)で作ることができる。この建築物は、一辺あたり100フィート(30.5m)の正方形だと仮定すると、外周が400リニアフィート(122m)になる。この例では、建築設計のせん断要件を満たすために、建築物のコア部分には100リニアフィート(30.5リニアメートル)のせん断壁が必要であると仮定している。厚さ8インチ(20.3cm)の組積造せん断壁(外周の壁を含む)の代わりに、厚さ6インチ(15.2cm)のSCP/鋼製枠せん断壁(外周の壁を含む)を使用すると、3階建て30000平方フィート(2787平方メートル)の例で使用可能な建築容積が2500立方フィート(71立方メートル)増加する。
【0038】
このシステムの軽量な性質により、典型的には、組積造又はコンクリートシステムに伴う死荷重がなくなる。死荷重が少ないと、伝達容量が比較的低い不安定な土壌に同等寸法の構造物を構築することも可能になる。
【0039】
また、本システムは、潜在的に無指向性であるという利点を有し、言い換えると、本システムのパネルは、強度も荷重伝達特性も失わずに、長い寸法が枠の金属根太又はスタッドに平行又は垂直に配置することができる。したがって、このシステムが破損せずに死荷重及び活荷重を支持する能力は、金属枠組みのSCPパネルの方向に関係なく同じである。
【0040】
ボードの厚さが物理的及び機械的特性、例えば、重量、荷重伝達容量、ラッキング強度などに影響を及ぼすので、所望の特性はボードの厚さによって変化する。したがって、例えば、呼び厚さが0.5インチ(12.7mm)のせん断等級パネルが満たすべき所望の特性は以下を含む。
【0041】
壁に使用するときは、適切な金属スタッド、留め具、スタッドの間隔及び留め具の間隔を使用してASTM E72試験で測定した厚さ0.5インチ(12.7mm)のパネルの呼びラッキングせん断強度は、典型的には、少なくとも720lbs/リニアフィート(1072kg/リニアメートル)である。
【0042】
4×8フィート、厚さ1/2インチ(1.22×2.44m、厚さ19.1mm)のパネルは、典型的には、重量が約104lbs(約47kg)以下であり、好ましくは約96lbs(約44kg)以下である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の基礎壁の第1の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。
【図2】本発明の基礎壁の第2の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。
【図3】スタッドが互い違いに配置された壁構造を有する、本発明の基礎壁の第3の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。
【図3A】内側及び外側の壁を示すように修正した、図3の実施形態のIIIA−IIIAに沿って見た上面図である。
【図3B】一方が水平でもう一方が垂直の、2層のSCPボードを有する、本発明の基礎壁の第4の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。
【図4】図1の壁を用いた地下室の床の斜視図を示す。
【図5】根太がフーチング上に着座した、図4の地下室の床の一部分の拡大断面斜視図を示す。
【図6】根太が壁の枠組みに取り付けられるように修正した、図4の地下室の床の部分拡大断面斜視図を示す。
【図6A】フッターに載ったヘッダーに、根太が着座するように修正した、図4の地下室の床の部分拡大断面斜視図を示す。
【図7】SCPパネルに貼られた支持ロッド及びガスケットを示す、SCPパネルが水平に配置された、図4の壁の一部分の2つの拡大断面斜視図を示し、一方の図は一緒に配置される直前のSCPパネルを示し、もう一方の図は一緒に配置された後のSCPパネルを示す。
【図8】壁のSCPパネルが垂直に向いた、図1の壁を用いた地下室の床の斜視図を示す。
【図9】SCPパネルが垂直に配置された、図8の壁の2つの部分拡大断面斜視図を示し、SCPパネルに貼られた支持ロッド及びガスケットを示す。一方の図は一緒に配置される直前のSCPパネルを示し、もう一方の図は一緒に配置された後のSCPパネルを示す。
【図10】本発明の基礎の角に関する構成の斜視図を示す。
【図10A】あらかじめ作製されたコーナー部品の斜視図、並びにあらかじめ作製されたコーナー部品の上側部分拡大図を示す。
【図10B】基礎壁の構造のスタッドにあらかじめ作製されたコーナーパネルを設置する、分解図及び組立図を示す。
【図11A】セメント又はコンクリート床に加えてフーチングの詳細を示す。
【図11B】波形の金属シート上に配置されたSCPパネルを備えた、本発明の基礎床の他の実施形態を示す。
【図12】接着剤のストリップをSCPパネルにあらかじめ貼り付け、使用前に接着剤のストリップが着脱可能なテープでカバーされた、図4又は図11Bの基礎床システムで用いることができるSCPパネルの一実施形態を示す。
【図12A】図12の実施形態の斜視図を示す。
【図12B】根太上に配置された図12Aのパネルを示す。
【図13】厚さ0.75インチ(1.9cm)のSCPパネルに用いられるさねはぎの典型的な設計及び寸法を示す。
【図14】厚さ0.75インチ(1.9cm)のSCPパネルに用いられるさねはぎの典型的な設計及び寸法を示す。
【図15】厚さ0.75インチ(1.9cm)のSCPパネルに用いられるさねはぎの典型的な設計及び寸法を示す。
【図16】複数層のSCPパネルの側面図である。
【図17】組み立てられた金属枠組み、例えば、鋼製床枠組みを示す。
【図17A】C字根太の金属枠組み部材のヘッダーへの取付けを示す。
【図18】図17の枠の部分拡大図を示す。
【図19】図17の金属枠に取り付けられた、試験用SCPパネル床システムの構成を示す。
【図20】図19の床の部分拡大図を示す。
【図21】図19の床の部分拡大図を示す。
【図22】図19の床の部分拡大図を示す。
【図23】図19の床の部分拡大図を示す。
【図24】せん断壁ダイヤフラム試験装置に設置された、図9の取り付けられたせん断壁の図17の枠を示す。
【図25】図24の装置の部分拡大図を示す。
【図26】図24の床ダイヤフラム試験装置を用いた例による、たわみデータに対する実験荷重を示す。
【図27】設計荷重で図24の試験装置に設置された、SCPパネル及び金属枠せん断壁の写真を示す。
【図28】破損時の図24の試験装置に設置された、SCPパネル及び金属枠せん断壁の写真を示す。
【図29】SCPパネル作製プロセスを実行するのに適した装置の概略立面図である。
【図30】SCPパネルを作製するプロセスで使用されるタイプのスラリー供給ステーションの斜視図である。
【図31】SCPパネル作製プロセスで使用するのに適した埋込み具の部分俯瞰平面図である。
【図32】AISI TS−7試験で使用された床枠組みを示す。
【図33】AISI TS−7試験で使用されたSCP床の1つを示す。
【図34】AISI TS−7試験で使用された試験装置を示す。
【図35】3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルを4インチ〜12インチ(10.1〜30.5cm)固定スケジュールで使用する、AISI TS−7片持ち式床ダイヤフラム試験によるデータを示す。
【図36】3/4インチ(1.9cm)合板と比較する3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルを6インチ〜12インチ(10.1〜30.5cm)固定スケジュールで使用する、AISI TS−7片持ち式床ダイヤフラム試験によるデータを示す。
【図37】0.75インチ(1.9cm)のSCPパネルを接着剤と共に使用する、AISI TS−7片持ち式床ダイヤフラム試験によるデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の基礎壁10の第1の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。第1の実施形態の基礎10は、基礎の垂直の外壁としてSCPパネル4を有し、そのSCPパネル4はC字形スタッド12に取り付けられ、そのC字形スタッド12は下側トラック16及び上側トラック14に取り付けられている。SCPパネル4、40(図3A)を、スタッド12の外側に、所望の場合は内側に、任意の知られた形で固定することができる。下側トラック16はフーチング20上に着座している。この実施形態では、フーチング20は地盤レベル「G」より下にある。防水コーティング、例えば、タール又はポリマーを、外側のSCPパネル4の外面に塗布することができる。
【0045】
せん断荷重及び重力に耐えるための他の要件と共に、基礎壁は、典型的に、凍結融解ストレス、すなわち水分に耐え、砂利による衝撃に対する抵抗、及び周囲の土壌からの圧力に耐える能力を有するように作られる。
【0046】
スタッド12は概してC字形である。より具体的には、スタッド12は、ウェブ13と、ウェブ13に垂直な1対のL字形フランジ15とを有する。金属スタッド12は、その一端部で、例えば、ねじ又はリベットなどの機械式の留め具によって、下側トラック16に固定される。同様に、金属スタッド12は上側トラック14に取り付けられる。下側トラック16は、U字形又はC字形であり、中心ウェブ部分17と、ウェブ17から突出した2つの脚部19を有する。本基礎システムでは、底部トラック16のウェブ19は、典型的には、ねじ、ボルト、リベットなど、従来の留め具で、フッター20に取り付けられる。
【0047】
任意選択のスタッドスペーサ部材11が、それぞれのスタッド12のウェブ13を通して設けられた、整列した開口部中を通して挿入される。典型的には、スタッドスペーサ部材11は、その長さに沿った断面が概してU字形又はV字形の細長い棒部材であり、スペーサ部材の平面の側方部分にそれぞれ切欠き(図示せず)を有する。切欠きは、各スタッドの開口部と係合するように、それぞれの側方部分の長手方向の外側縁部に開いている。スペーサ部材は必ずしもU字形又はV字形である必要はない。
【0048】
図2は、本発明の基礎壁30の第2の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。基礎壁30は、基礎の垂直の外壁としてSCPパネル4を有し、そのSCPパネル4はC字形スタッド12に取り付けられ、そのC字形スタッド12は下側金属プレート36及び上側金属プレート34に取り付けられている。ストリップ状のSCPパネル40はスタッド12の内側に取り付けられる。SCPパネル4、40を、スタッド12の外側及び内側に任意の知られた形で固定することができる。下側プレート36はフーチング20上に着座している。この実施形態では、フーチング20は地盤レベル「G」より下にある。
【0049】
金属スタッド12は、その一端部で、例えば、ねじ、リベットなど、機械式の留め具によって、下側プレート36に固定される。それらの機械式の留め具は典型的にはL字形ブラケット38と共に用いられる。同様に、金属スタッド12は上側プレート34に取り付けられる。本基礎システムでは、底部プレート36のウェブ19は、典型的には、ねじ、ボルト、リベットなど、従来の留め具で、フッター20に取り付けられる。
【0050】
図3は、スタッドが互い違いに配置された壁30を有する、本発明の基礎壁の第3の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。
【0051】
図3Aは、内壁及び外壁を示すように改変した、図3の実施形態のIIIA−IIIAに沿って見た上面図である。これは、スタッドが「互い違いに配置された」壁30であり、その壁30は、互いに反対側を向いたC字形スタッド32を有し、SCPパネル4、6を両側に有する。これは、基礎SCPパネル壁4に接触する土壌によって加えられる力に耐える追加の強度をもたらすという利点を有する。典型的には、外壁4及び内壁6は、6〜12インチ(15〜30cm)、例えば、8インチ(20cm)の距離「A」だけ離れている。典型的には、スタッド32は、幅「B」が4〜8インチ(10〜20cm)、例えば、6インチ(15cm)である。やはり、典型的には、スタッド12は、0.25〜0.5インチ(0.6〜1.3cm)の距離「C」だけ離れている。スタッド32の背面の間の空間にスペーサ50を設けることができる。スタッド32を、L字形の留め具38によって、下側トラック16に取り付けることができる。
【0052】
図3Bは、一方が水平でもう一方が垂直の2層のSCPボード4を有する、本発明の基礎壁の第4の実施形態に関する、構成要素の典型的な構成の斜視図である。
【0053】
基礎の外壁は、1層(図1)又は2層(図3B)のSCPパネルを有することができる。所望の場合は、建物の角と角の間で、第1の層の基礎壁パネルの継ぎ目を第2の層の基礎壁パネルの継ぎ目からずらすように、2重の層の外側パネルを配置することができる。これは、地下の基礎壁を通る地下水の浸透を防止する助けとなることができる。
【0054】
図4は、地下室の床及び図1の壁10を用いた基礎60の斜視図を示す。この床は根太62を含み、その根太62は、周囲のフーチング20上に着座した外周の根太67に取り付けられる。根太62は中間のフーチング66上にも着座する。壁10は、外側のSCPパネル4及び内側のSCPパネル6を有する。
【0055】
図5は、根太62がフーチング20上に着座した、図4の地下室の床の部分拡大断面斜視図を示す。フーチングは、締め固めた土壌7に着座している。図5はまた、根太62に載っているSCPパネル70も示す。SCPパネル70を、機械式の留め具又は接着剤によって、根太62に取り付けることができる。所望の場合は、(通常圧延又は剛体の形態で供給される)伸縮継手材料を、根太62の端部と内側SCPパネル6との間に配置することができる。典型的には、防湿シートが根太62の下に配置される。
【0056】
図6は、根太62がフッター20より上の高さでスタッド12に取り付けられるように修正した、図4の地下室の床の部分拡大断面斜視図を示す。図6はまた、根太62に載っているSCPパネル70も示す。機械式の留め具、例えば、リベットによって、根太62をスタッド12に取り付けることができる。機械式の留め具又は接着剤によって、SCPパネル70を根太62に取り付けることができる。
【0057】
図6Aは、フッター20に載ったヘッダー27に、根太62が着座するように修正した、図4の地下室の床の部分拡大断面斜視図を示す。所望の場合は、根太は垂直のSCPパネル(図示せず)に着座することもできる。
【0058】
図7は、SCPパネル4が水平に配置された、図4の壁の部分拡大断面斜視図を2つ示す。図7に示すように、第1のパネル4の第1の縁部は第1の溝57を有し、第2のパネル4の第2の縁部は第2の溝57を有する。SCPパネル4の溝57に支持ロッド63が配置される。
【0059】
図7の一方の図は、一緒に配置される前のSCPパネル4を示す。図7のもう一方の図「B」は、第1の溝57及び第2の溝57が隣接して対向し、支持ロッド63を挟むように、一緒に配置された後のSCPパネル4を示す。
【0060】
やはり、図7では、第1の枠組み部材(スタッド12)と第2の枠組み部材(スタッド12)が隣接して配置され、ガスケット65がこれらの枠組み部材(スタッド12、12)の対向する側面の間に配置される。
【0061】
支持ロッド63及びガスケット65は、典型的には、独立気泡のポリマー材料製である。
【0062】
図8は、SCPパネル4、6が垂直に向くように修正した、地下室の床及び図1の壁10を用いた基礎61の斜視図を示す。この床は根太62を含み、その根太62は、周囲のフーチング20上に着座した外周の根太67に取り付けられる。根太62は中間のフーチング66上にも着座する。
【0063】
図9は、SCPパネル4が垂直に配置された、図8の壁の部分拡大断面斜視図を2つ示し、SCPパネル4の溝57に配置された支持ロッド63と、スタッド12、12の間に施されたガスケット65とを示す。図9の一方の図は、一緒に配置される直前のSCPパネル4を示す。図9のもう一方の図「C」は、一緒に配置された後のSCPパネル4を示す。支持ロッド63及びガスケット65は、典型的には、独立気泡のポリマー材料製である。
【0064】
図10は、基礎の外側の角に関する構造の一例を示す。角は、外壁としてのSCPパネル4と、内面としてのSCPパネルの一部40と、スタッド22とを有する。SCPパネル4同士が接して角を成す場合は、重なったSCPパネルによって形成される接合部は、連続した防水テープ65を壁の上から下まで貼ることによって防水処理される。防水テープ63は、ガラス繊維強化ビチューメン又はポリマー繊維である。
【0065】
図10Aは、あらかじめ作製された、ある典型的な寸法の細長いコーナー部品72の斜視図、並びにコーナー部品72の上側部分の拡大図を示す。コーナー部品72は、L字形の断面を画定する脚部73、75を有する。所望の場合は、壁のコーナーに垂直の継ぎ目がなくなるように、細長いコーナー部品72を用いることができる。脚部73の長さL1は、脚部75の長さL2と寸法が同じでもよく、異なっていてもよい。これは、地下の基礎壁を通る地下水の浸透を防止する助けとなることができる。あらかじめ作製されたコーナーパネル72は、SCPパネル73、75の正面及び背面に6〜8インチ(約15〜20cm)のレリーフ(長さL3、L4)を機械加工することによって作ることができる。SCPパネル73、75は、長さ(長さL5)8〜10フィート(約2.4〜3m)、幅(長さL1、L2)12〜24インチ(約30.5〜61cm)である。次いで、2枚のパネルは、表面のレリーフに埋め込まれた繊維ガラスポリマーセメントを用いて結合されて、単一のコーナーパネルを作り、完成したパネルの厚さは直線の壁部分を成す基礎パネルの寸法と同じである。
【0066】
図10Bは、基礎壁の構造のスタッド22にあらかじめ作製されたコーナーパネル72を設置する、分解図及び組立図を示す。
【0067】
図11Aは、根太62及びSCPパネル70を、打設したセメント又はコンクリート床25に置き換えるように修正した、図4の地下室の床の部分拡大断面斜視図を示す。典型的には、床はセメント又はコンクリート25のスラブであり、締め固められた土壌78上に配置された防湿シート(図示せず)上に打設される。所望の場合は、仕上げ材又はSCPパネルの床76をセメント床25上に置くことができる。
【0068】
図11Bは、波形の金属シート79上に配置されたSCPパネル77を備えた、本発明の基礎床の他の実施形態を示し、その金属シート79は、上側の平坦な部分71を有し、機械式に(ねじなどで)或いは現場で塗布するか又は現場以外であらかじめ塗布した接着剤で固定されている。
【0069】
図12及び図12Aは、少なくともいくつかの上側の平坦な部分71と係合する位置に、接着剤のストリップ81をSCPパネル77にあらかじめ貼り付けた、図11の基礎床システムで用いることができるSCPパネル77の一実施形態を示す。接着剤のストリップ81は、使用前は着脱可能なテープ83でカバーされている。図12Bは根太62上のパネル77の使用を示す。
【0070】
壁のSCPパネル4、6、40及び床のSCPパネル70、77は、さねはぎ構造を有することができ、そのさねはぎ構造は、成型中にパネルの縁部を形成するか、又は使用前にさねはぎをルータで切断することによって作ることができる。例えば、パネル77のさねはぎは、図13、図14及び図15(寸法はインチ)に示すように、先細りにすることができる。先細りにすることによって、本発明のパネルの設置が容易になる。壁パネルの厚さは典型的には0.5〜1インチである。床パネルの厚さは典型的には0.75〜1インチ(1.9〜2.5cm)である。任意の対向する対のパネル縁部は、噛み合ったさねはぎ構造を備えることができる。
【0071】
防水加工
本発明の基礎を防水加工するのを助けるために、SCPパネル、例えば、SCPパネル4、70、77間の継ぎ目は、典型的には、液体塗布式のビチューメンタイプの防水バリア又は接着した防水ポリマーシートでシールされる。
【0072】
一般に、基礎システムの防水加工は、シート膜又は液体膜を使用して実現することができる。シート膜は、典型的には、厚さ約60ミル以上、例えば、60〜100ミルの膜であり、防水ポリエチレンフィルムに積層したゴム入りアスファルトから構成される。典型的なシート材料は、粘着性のゴム入りアスファルト膜である。この典型的に厚さ60ミルの膜は、防水ポリエチレンフィルムに積層したゴム入りアスファルトから構成される。アスファルト側は、粘着性があるが、使用中に取り外す剥離紙でカバーされている。
【0073】
シート膜の一例は、Protective Coatings Technology, Inc.、Menomonie、Wisconsinから入手可能なCRACK GUARD防水シート膜である。これは、常温使用の粘着性エラストマー膜であり、高密度ポリエチレン層に積層したポリマー改質アスファルト層から構成される。
【0074】
液体塗布膜は、典型的には、ポリマー改質アスファルト又はポリウレタン液体膜である。ポリマー改質アスファルトは、一般に、ゴムポリマーを添加した液状アスファルトである。ゴムポリマーは、収縮クラック上で伸びることを可能にするようにアスファルトを改良する。液体は硬化して、壁上のゴム状コーティングになる。両方とも、こて、ローラ又はスプレー塗布の場合に異なるグレードで設けることができる。典型的な塗布厚さは約60ミル以上である。
【0075】
スプレー塗布したアスファルト膜の一例は、Tremco Barrier Solutions、Reynoldsburg、OHから入手可能なTUFF−N−DRYポリマー強化アスファルト膜である。
【0076】
液体塗布式のアスファルト膜の他の例は、Applied Technologies、Fairfield、Ohioから入手可能なHYDRA−GUARDポリマー改質アスファルト膜であり、ブラシ、ロール、又はスプレーで塗布することができる。典型的には、塗布厚さは湿式で約60ミル、乾式で40ミルである。これは、所望の場合に、やはりApplied Technologies、Fairfield、Ohioから入手可能なFibR−DRI繊維ガラス保護パネルと共に使用することができる。例えば、HYDRA−GUARDポリマー改質アスファルト膜を壁に塗布、次いで、FibR−DRI繊維ガラス保護パネルを貼り付けることができる。FibR−DRI繊維ガラス保護パネルは、HYDRA Guard膜を、損傷から保護し、排水及び断熱を行うために設けられる。
【0077】
SCPパネルの組成
本発明の金属枠組みと共に用いられるSCPパネルは、均質の単一層でよい。しかし、パネルは典型的には、複数層に適用するプロセスで作られる。層をどのように施し硬化させるか、並びに層の組成が同じか異なるかに応じて、最終的なパネル製品は異質の層を含んでも含まなくてもよい。図16は、層22、24、26及び28を含む複数層構造のパネル31を示す。複数層構造では、層の組成は同じでも異なっていてもよい。層(1つ又は複数)の典型的な厚さは、約1/32〜1.0インチ(約0.79〜25.4mm)である。外側の層しか使用しない場合は、典型的にはパネルの全厚の3/8より薄くなる。
【0078】
SCPパネルを作るのに使用される主な出発材料は、無機粘結剤、例えば、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、水硬性セメント、及びポゾラン材料と、軽量充填材、例えば、パーライト、セラミック微小球、又はガラス微小球のうち1つ又は複数と、高流動化剤、例えば、ポリナフタレンスルホネート及び/又はポリアクリレート、水、及び任意選択の添加剤とである。
【0079】
硫酸カルシウム半水和物
本発明のパネルに使用することができる硫酸カルシウム半水和物は、天然に発生する鉱物である石膏鉱石(硫酸カルシウム二水和物CaSO・2HO)から作られる。明示しない限り「石膏」は硫酸カルシウムの二水和物の形を指す。採鉱された後で、未加工の石膏を熱処理して硬化可能な硫酸カルシウムを形成する。これは無水物でよいが、より典型的には、半水和物、CaSO・1/2HOである。よく知られている最終用途では、硬化可能な硫酸カルシウムは水と反応して、二水和物(石膏)を形成することによって固化する。半水和物は、2つの形態が認識されており、アルファ型半水和物及びベータ型半水和物と呼ばれる。それらは、物理的性質及びコストに基づき、様々な用途に合わせて選択される。それらの形態は両方とも水と反応して、硫酸カルシウムの二水和物を形成する。水和の際に、アルファ型水和物は、長方形面の結晶の石膏を生じることを特徴とし、ベータ型半水和物は、水和して、典型的にはアスペクト比が大きい針形結晶の石膏を生成することを特徴とする。本発明では、所望の機械的性能に応じて、アルファ型又はベータ型のいずれか、又はそれらの両方を使用することができる。ベータ型半水和物は、稠密ではない微細構造を形成し、低密度製品に好ましい。アルファ型半水和物は、ベータ型半水和物によって形成されたものより強度及び密度が高い、より稠密な微細構造を形成する。したがって、ベータ型半水和物の代わりに、アルファ型半水和物を使用して、強度及び密度を高めることができるか、又はそれらを組み合わせて特性を調節することができる。
【0080】
本発明のパネルを作製するために使用される無機粘結剤の典型的な実施形態は、ポルトランドセメント、高アルミナセメント、ポゾラン混合のポルトランドセメント、又はそれらの混合物などの水硬性セメントを含む。
【0081】
本発明のパネルを作製するために使用される無機粘結剤の他の典型的な実施形態は、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、水硬性セメント、ポゾラン、及び石灰を含む混合物を含む。
【0082】
水硬性セメント
ASTMは、「水硬性セメント」を、水との化学的相互作用によって固化し硬化し、水中でそのようにすることが可能なセメントであると定義している。建設業及び建築産業で使用される水硬性セメントにはいくつかのタイプがある。水硬性セメントの例には、ポルトランドセメント、高炉スラグセメント及び超硫酸塩セメントなどのスラグセメント、カルシウムスルホアルミネートセメント、高アルミナセメント、膨張セメント、白色セメント、並びに急結及び急硬セメントが含まれる。硫酸カルシウム半水和物は、水との化学的相互作用によって固化し硬化するが、これは本発明の文脈では水硬性セメントの広義の定義に含まれない。上述の水硬性セメントは全て、本発明のパネルを作製するために使用することができる。
【0083】
密接に関連する水硬性セメントのうち最も普及し広く使用されている種類は、ポルトランドセメントとして知られている。ASTMは、「ポルトランドセメント」を、通常1つ又は複数の形態の硫酸カルシウムを相互に粉砕した添加物として含有する、水硬性のケイ酸カルシウムで基本的に構成されたクリンカを粉砕することによって生成された水硬性セメントと定義している。ポルトランドセメントを製造するには、石灰石、アルガリシアスロック(argallicious rock)及び粘土の均質な混合物を窯で焼成してクリンカを生成し、次いでそれをさらに処理する。その結果、ポルトランドセメントの4つの主要相、ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiOであり、CSとも呼ばれる)、ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiOであり、CSと呼ばれる)、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al又はCA)、及びアルミン酸四カルシウム(4CaO・Al・Fe又はCAF)が生成される。ポルトランドセメント中に少量存在する他の化合物には、硫酸カルシウム及びアルカリ性硫酸の他の複塩、酸化カルシウム、並びに酸化マグネシウムが含まれる。ポルトランドセメントの様々な認定クラスのうち、タイプIIIのポルトランドセメント(ASTM分類)が、本発明のパネルの作製に好ましい。というのは、その細かさが強度を高めることが分かっているからである。高炉スラグセメント及び超硫酸塩セメントなどのスラグセメント、カルシウムスルホアルミネートセメント、高アルミナセメント、膨張セメント、白色セメント、超速硬セメント(regulated set cement)及びVHEセメントなどの急結及び急硬セメント、並びに他のポルトランドセメントのタイプを含む、水硬性セメントの他の認定クラスも首尾よく使用して、本発明のパネルを作製することができる。スラグセメント及びカルシウムスルホアルミネートセメントは、低アルカリ性であり、これも本発明のパネルを作製するのに適している。
【0084】
繊維
ガラス繊維は一般に断熱材として使用されているが、様々な基材と共に強化材としても使用されている。繊維自体は、それがないと脆性破壊の傾向がある材料に引っ張り強度を与える。繊維は荷重がかかると破損することがあるが、ガラス繊維を含む複合材の通常の破壊モードは、繊維と連続相材料との結合が劣化及び破損することから起きる。したがって、強化用繊維がある期間にわたって延性及び強度を高める能力を保持するためのものである場合は、こうした結合は重要である。時間が経過するにつれてガラス繊維強化セメントが強度を失い、これはセメントの硬化時に生成される石灰がガラスを腐食(attack)することが原因であると判明している。こうした腐食を克服するための可能な方法の1つは、ガラス繊維をポリマー層などの保護層でカバーすることである。一般に、こうした保護層は、石灰による腐食に抵抗することができるが、本発明のパネルの強度が低下し、したがって、保護層は好ましくないことが分かっている。石灰による腐食を制限する、より高価な方法は、日本電気硝子(NEG、Nippon Electric Glass)350Yなど、特殊な耐アルカリ性ガラス繊維(ARガラス繊維)を使用することである。このような繊維は、基材に優れた結合強度を与えることが分かっており、したがって、本発明のパネルには好ましい。ガラス繊維は、直径約5〜25ミクロン(マイクロメートル)、典型的には約10〜15ミクロン(マイクロメートル)のモノフィラメントである。フィラメントは通常、組み合わせて100本のフィラメントのストランドにし、これを束ねて約50本のストランドを含むロービングにすることができる。ストランド又はロービングは、一般に細断して、例えば、長さ約0.25〜3インチ(6.3〜76mm)、典型的には1〜2インチ(25.4〜50.8mm)の適切なフィラメント及びフィラメントの束にする。
【0085】
本発明のパネル中に他の不燃性の繊維を含むこともでき、例えば、鋼繊維も可能な添加物である。
【0086】
ポゾラン材料
上述したように、ほとんどのポルトランド及び他の水硬性セメントは、水和(固化)中に石灰を生成する。石灰を反応させてガラス繊維への腐食を低下させることが望ましい。硫酸カルシウム半水和物が存在するときは、セメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンジャイトを形成し、これが硬化した生成物の望ましくないクラックの原因となることも知られている。当技術分野では、これは「硫酸腐食」と呼ばれることが多い。こうした反応は、「ポゾラン」材料を添加することによって防止することができる。「ポゾラン」材料とは、ASTM C618−97で「・・・それ自体はセメント的価値をほとんど又は全く有しないが、細かく分割した形で且つ水分が存在すると、常温で水酸化カルシウムと化学反応し、セメント質特性を有する化合物を形成する、ケイ質材料又はケイ質及びアルミナ材料」と定義されている。しばしば使用されるポゾラン材料の1つは、シリカフューム、すなわち細かく分割されたアモルファスシリカであり、これはシリコン金属及びフェロシリコン合金製造の生成物である。特徴として、これはシリカ含有率が高く、アルミナ含有率が低い。軽石、パーライト、ケイ藻土、凝灰岩、トラス、メタカオリン、マイクロシリカ、高炉スラグ微粉末、及びフライアッシュを含む、様々な天然及び人造材料が、ポゾラン特性を有するとされている。シリカフュームは、本発明のパネルに使用するのに特に都合のよいポゾランであるが、他のポゾラン材料を使用してもよい。シリカフュームとは対照的に、メタカオリン、高炉スラグ微粉末、及びフライアッシュ粉末は、シリカ含有率がはるかに低く、多量のアルミナがあるが、効果的なポゾラン材料であり得る。シリカフュームを使用するときは、これは約5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%の反応性粉末(すなわち、水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、シリカフューム、及び石灰)を構成している。他のポゾランを代わりに使用する場合は、使用量はシリカフュームと同様の化学的性能をもたらすように選択される。
【0087】
軽量充填材/微小球
本発明のシステムで用いられる軽量パネルは、典型的には、密度が65〜90ポンド/立方フィート(1.04〜1.44グラム/cc、好ましくは65〜85ポンド/立方フィート(1.04〜1.36g/cc)、より好ましくは72〜80ポンド/立方フィート(1.15〜1.28g/cc)である。一方、木繊維なしの典型的なポルトランドセメントベースのパネルは、密度が95〜110ポンド/立方フィート(1.52〜1.76g/cc)の範囲であり、木繊維を含むポルトランドセメントベースのパネルは、SCP(1.04〜1.36g/cc)とほぼ同じ(約65〜85pcf)である。
【0088】
このような低密度の実現を助けるには、パネルは軽量充填材粒子を含む。こうした粒子は、典型的には、平均直径(平均粒子寸法)が約10〜500ミクロン(マイクロメートル)である。より典型的には、平均粒子直径が(平均粒子寸法)50〜250ミクロン(マイクロメートル)であり、及び/又は粒子直径(寸法)が10〜500ミクロンの範囲に入る。これらはまた、典型的には粒子密度(比重)が0.02〜1.00の範囲である。微小球又は他の軽量充填材粒子は、本発明のパネルの重要な目的を果たし、それがないとパネルを構築するのに望ましい重さより重くなってしまう。軽量充填材として使用される微小球は、製品の平均密度を低下させるのを助ける。
【0089】
微小球が中空のときは、マイクロバルーンと呼ばれることがある。
【0090】
微小球はそれ自体が不燃性であるか、又は、可燃性である場合はSCPパネルを可燃性にしないように十分に少ない量を添加する。本発明のパネルを作製するのに用いられる混合物を含む、典型的な軽量充填材は、セラミック微小球、ポリマー微小球、パーライト、ガラス微小球、及び/又はフライアッシュセノスフェアからなる群から選択される。
【0091】
セラミック微小球は、様々な材料から、様々な製造プロセスを使用して製造することができる。様々なセラミック微小球を本発明のパネルの充填材成分として使用することができるが、本発明の好ましいセラミック微小球は、石炭燃焼の副産物として生成され、石炭燃焼用途で見られるフライアッシュの成分である。それらは、例えば、Kish Company Inc.、Mentor、Ohio製のEXTENDOSPHERES−SG、又はのTrelleborg Fillite Inc.、Norcross、Georgia、USA製のFILLITE(登録商標)ブランドのセラミック微小球である。本発明の好ましいセラミック微小球の化学的性質は、主に、シリカ(SiO)約50〜75重量%、アルミナ(Al)約15〜40重量%、他の材料が最大35重量%である。本発明の好ましいセラミック微小球は、中空の球形粒子であり、直径が10〜500ミクロン(マイクロメートル)、シェルの厚さが典型的には球の直径の約10%、粒子密度が好ましくは約0.50〜0.80g/mLである。本発明の好ましいセラミック微小球の破砕強さは1500psi(10.3MPa)より大きく、好ましくは2500psi(17.2MPa)より大きい。
【0092】
本発明のパネルのセラミック微小球は、主にほとんどの人造のガラス微小球より約3〜10倍強度が高いので好ましい。さらに、本発明の好ましいセラミック微小球は、熱的に安定し、本発明のパネルの寸法的安定性を強化する。セラミック微小球は、接着剤、シール材、コーキング材、屋根用化合物、PVC床張り材、塗料、産業用コーティング、及び高耐熱性プラスチック複合材など、多くの他の用途で使用される。それらは好ましいが、粒子密度及び圧縮強さが本発明のパネルに軽い重量及び重要な物理的性質をもたらすので、微小球が中空で球形であることが不可欠ではないことを理解されたい。或いは、結果として生じるパネルが所望の性能を満たす場合は、多孔性の不規則な粒子を代わりに使用することができる。
【0093】
ポリマー微小球が存在する場合は、これは典型的には中空球であり、シェルはポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデンなどのポリマー材料、或いはそれらの組合せから作られる。シェルは、製造中にポリマーシェルを膨張させるために使用されるガスを封入することができる。ポリマー微小球の外面は、炭酸カルシウム、酸化チタン、雲母、シリカ及び滑石など、何らかのタイプの不活性コーティングを有することができる。ポリマー微小球は、好ましくは粒子密度約0.02〜0.15g/mL、直径10〜350ミクロン(マイクロメートル)である。ポリマー微小球が存在すると、パネルを低密度にし切断性及び釘打ち性を向上させることが同時に容易になり得る。
【0094】
他の軽量充填材、例えば、ガラス微小球、パーライト又は中空アルミノケイ酸セノスフェア、或いはフライアッシュ由来の微小球もまた、本発明のパネルの作製に用いられるセラミック微小球との組合せで、又はその代わりに混合物に含むのに適している。
【0095】
ガラス微小球は、典型的には、耐アルカリ性ガラス材料で作製され、中空でよい。典型的なガラス微小球は、GYPTEK INC.、Suite 135、16 Midlake Blvd SE、Calgary、AB、T2X 2X7、CANADA)から入手可能である。
【0096】
本発明で使用するSCP材料の一実施形態では、パネルの厚さ全体にわたってセラミック微小球のみを使用する。パネルは、典型的には、パネルの厚さ全体に一様に分布する約35〜42重量%のセラミック微小球を含む。
【0097】
本発明で使用するSCP材料の他の実施形態では、軽量セラミックとガラス微小球の混合物をパネルの厚さ全体にわたって使用する。本発明の第2の実施形態のパネルにおけるガラス微小球の体積分率は、典型的には乾燥成分の全体積の0〜15%であり、組成の乾燥成分は、反応性粉末(反応性粉末の例:水硬性セメントのみ、水硬性セメントとポゾランとの混合物、又は水硬性セメントと、硫酸カルシウムアルファ型半水和物と、ポゾランと石灰との混合物)、セラミック微小球、ポリマー微小球、及び耐アルカリ性ガラス繊維である。典型的な水性混合物は、水と反応性粉末の比が0.3/1〜0.7/1より大きい。
【0098】
SCPパネルの配合
本発明のせん断抵抗性のパネルの作製に用いられる構成成分は、水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、シリカフュームなどの活性ポゾラン、石灰、セラミック微小球、耐アルカリ性ガラス繊維、高流動化剤(例えば、ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩)、及び水を含む。典型的には、水硬性セメントと硫酸カルシウムアルファ型半水和物の両方が存在する。複合材の長期耐久性は、硫酸カルシウムアルファ型半水和物がシリカフュームと共に存在していない場合に低下する。ポルトランドセメントが存在しないときには耐水性/耐湿性が低下する。少量の硬化促進剤及び/又は凝結遅緩剤を組成に添加して、未加工の(すなわち、硬化していない)材料の硬化特徴を制御することができる。典型的な非制限的添加剤は、塩化カルシウムなどの水硬性セメント用の硬化促進剤、石膏などの硫酸カルシウムアルファ型半水和物用の硬化促進剤、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)などの凝結遅緩剤、酒石酸又は酒石酸のアルカリ塩(例えば、酒石酸カリウム)、グリコールなどの収縮緩和剤、及び混入空気を含む。
【0099】
本発明のパネルは、耐アルカリ性ガラス繊維及び軽量充填材、例えば、微小球が一様に分布した連続相を含む。連続相は、反応性粉末の水性混合物(すなわち、水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン、及び石灰の混合物)であり、好ましくは、高流動化剤及び/又は他の添加剤を含むものが硬化して生じる。
【0100】
反応性粉末(無機粘結剤)、例えば、水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン及び石灰の、本発明の実施形態の典型的な重量比は、反応性粉末の乾燥重量に基づいて表1に示される。表1Aは、本発明の組成の反応性粉末、軽量充填材、及びガラス繊維の典型的な範囲を列挙している。
【表1】


【表2】

【0101】
石灰は本発明の全ての配合に必要なわけではないが、石灰を添加するとパネルが優れたものになることが分かっており、通常約0.2重量%より多くの量が添加される。したがって、大抵の場合、反応性粉末中の石灰の量は約0.2〜3.5重量%になる。
【0102】
本発明で使用するSCP材料の一実施形態では、組成の乾燥成分は、反応性粉末(すなわち、水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン及び石灰の混合物)、セラミック微小球及び耐アルカリ性ガラス繊維であり、組成の湿潤成分は、水及び高流動化剤である。乾燥成分と湿潤成分とを組み合わせて、本発明のパネルを作製する。セラミック微小球は、パネルの全厚にわたって基材に一様に分布する。乾燥成分の全重量のうち、本発明のパネルは、約49〜56重量%の反応性粉末、35〜42重量%のセラミック微小球、及び7〜12重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成される。広い範囲では、本発明のパネルは、乾燥成分全体の35〜58重量%の反応性粉末、34〜49重量%の軽量充填材、例えば、セラミック微小球、及び6〜17重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成される。乾燥成分に添加される水及び高流動化剤の量は、任意の特定の製造プロセスに関する処理の考慮事項を満足するのに必要な所望のスラリー流動性を与えるのに十分な量である。典型的な水の添加率は、反応性粉末の重量の約35〜60%であり、高流動化剤の場合は反応性粉末の重量の約1〜8%である。
【0103】
ガラス繊維は、直径約5〜25ミクロン(マイクロメートル)、好ましくは約10〜15ミクロン(マイクロメートル)のモノフィラメントである。典型的には、モノフィラメントを組み合わせて、100本のフィラメントのストランドにし、これを束ねてストランド約50本のロービングにすることができる。ガラス繊維の長さは、典型的には、約0.25〜1又は2インチ(6.3〜25.5又は50.8mm)或いは約1〜2インチ(25.4〜50.8mm)、広義には約0.25〜3インチ(6.3〜76mm)である。繊維は、方向がランダムであり、パネルの平面内に等方性の機械的挙動をもたらす。
【0104】
本発明で使用するのに適したSCP材料の第2の実施形態は、パネルの全厚にわたって一様に分布するセラミックとガラス微小球との混合物を含む。したがって、組成の乾燥成分は、反応性粉末(水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン、及び石灰)、セラミック微小球、ガラス微小球、及び耐アルカリ性ガラス繊維であり、組成の湿潤成分は、水及び高流動化剤である。乾燥成分と湿潤成分とを組み合わせて、本発明のパネルを生成する。パネル中のガラス微小球の体積分率は、典型的には乾燥成分の全体積7〜15%になる。発明のパネルは、乾燥成分の全重量のうち、約54〜65重量%の反応性粉末、25〜35重量%のセラミック微小球、0.5〜0.8重量%のガラス微小球、及び6〜10重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成される。広い範囲では、本発明のパネルは、乾燥成分全体の、42〜68重量%、反応性粉末、23〜43重量%の軽量充填材、例えば、セラミック微小球、0.2〜1.0重量%のガラス微小球、及び5〜15重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成される。乾燥成分に添加される水及び高流動化剤の量は、任意の特定の製造プロセスに関する処理の考慮事項を満足するのに必要な所望のスラリー流動性を提供するように調節される。水の典型的な添加率は、反応性粉末の重量の35〜70%であるが、パネル密度を低下させ切断性を改善する水と反応性粉末の比を使用するのが望ましいときは、60%より多く、最大70%(水と反応性粉末の重量比が0.6/1〜0.7/1)、好ましくは65%から75%にすることもできる。高流動化剤の量は、反応性粉末の重量の1〜8%の間である。ガラス繊維は、直径約5〜25ミクロン(マイクロメートル)、好ましくは約10〜15ミクロン(マイクロメートル)のモノフィラメントである。それらは、典型的には、上記で検討したように束ねてストランド及びロービングにする。ガラス繊維の長さは、典型的には、約1〜2インチ(25.4〜50.8mm)、広義には約0.25〜3インチ(6.3〜76mm)である。繊維は方向がランダムであり、パネルの平面内に等方性の機械的挙動をもたらす。
【0105】
本発明で使用するのに適したSCP材料の第3の実施形態では、複数層構造のパネルが作製され、外層(1つ又は複数)は釘打ち性(固定能力)/切断性が改善されている。これは、外層(1つ又は複数)水とセメントの比を増加させ、及び/又は充填材の量を変更し、及び/又はパネルを不燃性のままにするのに十分に少ない量のポリマー微小球を添加することによって実現される。パネルの芯は、典型的には、層の厚さ全体にわたって一様に分布するセラミック微小球を含むか、或いはセラミック微小球、ガラス微小球及びフライアッシュセノスフェアのうち1つ又は複数の混合物を含む。
【0106】
この第3の実施形態の芯層の乾燥成分は、反応性粉末(典型的には水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン、及び石灰)、軽量充填材粒子(典型的には、セラミック微小球のみ又はセラミック微小球、ガラス微小球及びフライアッシュセノスフェアのうち1つ又は複数など、微小球)、及び耐アルカリ性ガラス繊維であり、芯層の湿潤成分は、水及び高流動化剤である。乾燥成分と湿潤成分を組み合わせて、本発明のパネルの芯層を生成する。本発明のパネルの芯は、好ましくは、乾燥成分の全重量のうち、約49〜56重量%の反応性粉末、35〜42重量%の中空のセラミック微小球及び7〜12重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成されるか、或いは、約54〜65重量%の反応性粉末、25〜35重量%のセラミック微小球、0.5〜0.8重量%のガラス微小球又はフライアッシュセノスフェア、及び6〜10重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成される。広い範囲では、本発明で使用するSCP材料の、この実施形態のパネルの芯層は、典型的には、全乾燥成分に基づいて、約35〜58重量%の反応性粉末、34〜49重量%の軽量充填材、例えば、セラミック微小球、及び6〜17重量%の耐アルカリ性ガラス繊維によって形成されるか、或いは、約42〜68重量%の反応性粉末、23〜43重量%のセラミック微小球、最大1.0重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%の他の軽量充填材、例えば、ガラス微小球又はフライアッシュセノスフェア、5〜15重量%の耐アルカリ性ガラス繊維によって形成される。乾燥成分に添加される水及び高流動化剤の量は、任意の特定の製造プロセスに関する処理の考慮事項を満足するのに必要な所望のスラリー流動性をもたらすように調整される。水の典型的な添加率は、反応性粉末の重量の約35〜70%であるが、パネル密度を低下させ釘打ち性を改善する水と反応性粉末の比を使用することが望ましいときは、60%より多く、最大70%になる高流動化剤の添加率は、反応性粉末の重量の1〜8%の間である。水と反応性粉末の比を調整するときは、本発明のパネルに所望の特性を与えるようにスラリーの組成を調整する。
【0107】
通常はSCPパネルを燃焼性にするポリマー微小球もポリマー繊維も存在しない。
【0108】
この第3の実施形態の外層(1つ又は複数)の乾燥成分は、反応性粉末(典型的には水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン、及び石灰)、軽量充填材粒子(典型的には、セラミック微小球のみ又はセラミック微小球、ガラス微小球及びフライアッシュセノスフェアのうち1つ又は複数など、微小球)、及び耐アルカリ性ガラス繊維であり、外層(1つ又は複数)の湿潤成分は水及び高流動化剤である。乾燥成分と湿潤成分を組み合わせて本発明のパネルの外層を生成する。本発明のこの実施形態のパネル外層(1つ又は複数)では、水の量は、パネルに良好な固定及び切断能力を与えるように選択される。本発明のパネルの外層(1つ又は複数)は、乾燥成分の全重量のうち、好ましくは、約54〜65重量%の反応性粉末、25〜35重量%セラミック微小球、0〜0.8重量%ガラス微小球、及び6〜10重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成される。広い範囲では、本発明のパネルの外層は、全乾燥成分に基づいて、約42〜68重量%の反応性粉末、23〜43重量%セラミック微小球、最大1.0重量%のガラス微小球(及び/又はフライアッシュセノスフェア)及び5〜15重量%の耐アルカリ性ガラス繊維から形成される。乾燥成分に添加される水及び高流動化剤の量は、任意の特定の製造プロセスに関する処理の考慮事項を満足するのに必要な所望のスラリー流動性をもたらすように調整される。典型的は水の添加率は、反応性粉末の重量の約35〜70%であり、パネル密度を低下させ釘打ち性を改善するように水と反応性粉末の比を調整するときは、特に60%より大きく、最大70%になる。典型的な高流動化剤の添加率は、反応性粉末の重量の約1〜8%である。外層(1つ又は複数)の好ましい厚さは、約1/32〜4/32インチ(0.8〜3.2mm)であり、外層を1つしか使用しない場合のその厚さは、パネルの全厚の3/8より小さい。
【0109】
本発明のこの実施形態の芯と外層(1つ又は複数)の両方で、ガラス繊維は、直径約5〜25ミクロン(マイクロメートル)、好ましくは10〜15ミクロン(マイクロメートル)のモノフィラメントである。モノフィラメントは、典型的には、上記で検討したように束ねてストランド及びロービングにする。長さは、典型的には、約1〜2インチ(25.4〜50.8mm)であり、広義には、約0.25〜3インチ(6.3〜76mm)である。繊維は方向がランダムであり、パネルの平面内に等方性の機械的挙動をもたらす。
【0110】
本発明で使用するSCP材料の第4の実施形態は複数層パネルを提供し、その複数層パネルは、密度が65〜90ポンド/立方フィート(1.04〜1.44g/cc)であり、枠組みに固定されたときにせん断荷重に抵抗することができ、水性混合物の硬化によって得られる連続相の芯層を含み、その連続相が、乾燥ベースで、35〜70重量%の反応性粉末、20〜50重量パーセントの軽量充填材、及び5〜20重量%のガラス繊維を含む水性混合物の硬化によって得られ、その連続相が、ガラス繊維で強化され、軽量充填材粒子を含み、その軽量充填材粒子が粒子比重0.02〜1.00、平均粒子寸法約10〜500ミクロン(マイクロメートル)であり、個々の他の連続相の少なくとも1つの外層が、乾燥ベースで、35〜70重量%の反応性粉末、20〜50重量パーセントの軽量充填材、及び5〜20重量%のガラス繊維を含む水性混合物の硬化によって得られ、その連続相が、ガラス繊維で強化され、軽量充填材粒子を含み、その軽量充填材粒子が、内層の対向する各側面で、粒子比重0.02〜1.00、平均粒子寸法約10〜500ミクロン(マイクロメートル)であり、少なくとも1つの外層のガラス繊維の割合が内層より高い。
【0111】
本発明のパネルの作製
反応性粉末(例えば、水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン及び石灰の混合物)と軽量充填材、例えば、微小球を、乾燥状態で適切なミキサーで混合する。
【0112】
次いで、水、高流動化剤(例えば、ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩)、及びポゾラン(例えば、シリカフューム又はメタカオリン)を、他のミキサーで1〜5分間混合する。所望の場合は、凝結遅緩剤(例えば、酒石酸カリウム)をこの段階で添加して、スラリーの硬化特徴を制御する。湿潤成分を入れているミキサーに乾燥成分を添加して、2〜10分間混合し、滑らかな均質のスラリーを形成する。
【0113】
次いで、一様なスラリー混合物を得るために、いくつかの方法でスラリーをガラス繊維と混合する。次いで、繊維を含んだスラリーを、所望の形状及び寸法の適切な型に注ぐことによって、セメント質パネルを形成する。必要な場合は、型に振動を与えて、型の中の材料を良好に締め固める。適切なスクリードバー又はこてを使用して、パネルに必要な表面仕上げ特徴が与えられる。
【0114】
複数層のSCPパネルを作製するいくつかの方法のうち1つは、以下の通りである。反応性粉末(例えば、水硬性セメント、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、ポゾラン及び石灰の混合物)と軽量充填材、例えば、微小球を、乾燥状態で適切なミキサーで混合する。次いで、水、高流動化剤(例えば、ポリナフタレンスルホン酸のナトリウム塩)及びポゾラン(例えば、シリカフューム又はメタカオリン)を、他のミキサーで1〜5分間混合する。所望の場合は、凝結遅緩剤(例えば、酒石酸カリウム)をこの段階で添加して、スラリーの硬化特徴を制御する。湿潤成分を入れているミキサーに乾燥成分を添加して、2〜10分間混合し、滑らかな均質のスラリーを形成する。
【0115】
次いで、一様な混合物を得るために、いくつかの方法でスラリーをガラス繊維と混合する。ガラス繊維は、典型的には、ロービングの形状であり、細断されて短くなる。好ましい実施形態では、スラリー及び細断されたガラス繊維を、パネルの型中に同時散布する。好ましくは、散布は、いくつかの工程で行われ、好ましくは、厚さ最大約0.25インチ(6.3mm)の薄い層を生成する。その薄い層が重なって、特定のパターンがない、厚さ1/4〜1インチ(6.3〜25.4mm)の一様なパネルになる。例えば、一用途では、3×5フィート(0.91×1.52m)のパネルを、長さ及び幅方向に6回散布する工程で作製する。各層を堆積させるときに、ローラを使用して、スラリーとガラス繊維とが確実に均質に接触させることができる。それらの層は、ローリングステップ後に、スクリードバー又は他の適切な手段で平らにすることができる。典型的には、圧縮空気を使用して、スラリーを霧状にすることができる。スラリーは、スプレーノズルから出るときに、スプレーガン上に装着されたチョッパー機構によってロービングから切断したガラス繊維と混合する。スラリーとガラス繊維との一様な混合物を、上記のようにパネルの型に堆積させる。
【0116】
所望の場合は、パネルの外面層は、パネルを枠組みに取り付けるのに使用する留め具を簡単に打ち込むために、ポリマー球を含むか又は他の形で構成することができる。こうした層の好ましい厚さは、約1/32インチから4/32インチ(0.8〜3.2mm)である。パネル芯を作製する、上述の同じ手順を利用して、パネルの外層を貼り付けることができる。
【0117】
スラリーとガラス繊維との混合物を堆積させる他の方法が、パネル作製技術分野に精通した当業者には思いつくであろう。例えば、各パネルの作製にバッチプロセスを利用するのではなく、同様にして連続したシートを準備することができ、材料が十分に硬化した後でそのシートを切断して、所望の寸法のパネルにすることができる。スラリーの体積に対する繊維の割合は、典型的には、約0.5%から3%、例えば1.5%を占める。典型的なパネルは、厚さが約1/4〜1・1/2インチ(6.3〜38.1mm)である。
【0118】
本発明のパネルを作製する他の方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Dubeyらの米国特許出願公開第2005/0064164号に記載のプロセスステップを使用することである。Dubeyらの米国特許出願公開第2005/0064164号は、ばらばらに分布させた細断繊維又はスラリー層を移動しているウェブ上に最初に1回堆積させた後で、繊維をスラリー層の上に堆積させることを開示している。埋込み装置が、堆積したばかりの繊維をスラリー中に締め固め、その後追加のスラリー層、次いで細断繊維を追加し、続けてさらに埋め込む。このプロセスを所望の通りにボードの各層に繰り返す。完成すると、ボードにはより一様に繊維成分が分布し、それにより、セメント質パネルの従来技術の生産技術で教示されているような、強化用繊維の厚いマットを必要としない比較的強度の高いパネルになる。
【0119】
より具体的には、Dubeyらの米国特許出願公開第2005/0064164号は、構造用セメント質パネルを生産する複数層プロセスを開示している。そのプロセスは、(a)移動ウェブを設けるステップと、(b)ばらばらの繊維の第1の層を1回堆積させるステップと、(c)ウェブ上に硬化可能なスラリーの層を堆積させるステップと、(d)ばらばらの繊維の第2の層をスラリー上に堆積させるステップと、(e)繊維の第2の層をスラリー中に埋め込むステップと、(f)パネル中に硬化可能な繊維強化スラリーの所望の数の層が得られるまで、ステップ(c)からステップ(d)のスラリーの堆積を繰り返すステップとを含む。
【0120】
図29は、Dubeyらの米国特許出願公開第2005/0064164号のプロセスを実行するのに適した装置の概略立面図である。次に図29を参照すると、構造パネルの生産ラインが概略的に示されており、全体を310で示す。生産ライン310は、支持フレーム又は形成テーブル312を含み、その支持フレーム又は形成テーブル312は複数の脚部313又は他の支持部を含む。支持フレーム312上には、ゴム様のエンドレスコンベヤーベルトなどの移動キャリア314が含まれる。その移動キャリア314は、表面が平滑で水を透過しないが、多孔質の表面も企図される。当技術分野では知られているように、支持フレーム312は、少なくとも1つのテーブル様の区分から作ることができ、その区分は指定の脚部313を含むことができる。支持フレーム312はまた、フレームの遠位端318に主駆動ロール316を、フレームの近位端322にアイドラーロール320を含む。さらに、ロール316、320上の所望の張力及びキャリア314の配置を維持するために、好ましくは、少なくとも1つのベルトトラッキング及び/又は張力調整装置324が設けられる。
【0121】
また、好ましい実施形態では、クラフト紙、剥離紙のウェブ326、及び/又は当技術分野で知られているような、硬化前にスラリーを支持するために設計された支持材料の他のウェブを設け、キャリア314上に配置して、それを保護し及び/又は清浄に維持することができる。しかし、現行のライン310によって生産されたパネルをキャリア314上に直接形成することも企図される。後者の状況では、少なくとも1つのベルト洗浄ユニット328が設けられる。キャリア314は、当技術分野で知られた主駆動ロール316を駆動するモータ、プーリ、ベルト又はチェーンの組合せによって、支持フレーム312に沿って動かされる。キャリア314の速度は用途に合わせて変更できることが企図される。
【0122】
図29の装置では、構造用セメント質パネルの生産は、ばらばらの細断繊維330の層又はスラリー層をウェブ326上に1回堆積させることによって開始する。スラリーの最初の堆積の前に繊維330を堆積させることの利点は、生成されるパネルの外面近くに繊維が埋め込まれることである。様々な繊維堆積及び細断装置が現行のライン310によって企図される。しかし、図29に示すシステムは、繊維ガラスコードのいくつかのスプール332を保持する少なくとも1つのラック331を用い、各スプールから、細断機336とも称される、細断ステーション又は装置に繊維のコード334が供給される。
【0123】
細断機336は回転式ブレード付きのロール338を含み、そのロール338から径方向に延びるブレード340が突き出し、そのブレード340は、キャリア314の幅全体にわたって横断方向に延び、アンビルロール342に近接し接触した回転関係に配置される。好ましい実施形態では、ブレード付きのロール338及びアンビルロール342は、ブレード付きのロール338が回転するとアンビルロール342も回転するように、比較的近接して配置されるが、逆も企図される。また、アンビルロール342は、好ましくは弾性支持材料でカバーされ、ブレード340がこの弾性支持材料に当たってコード334を細断してセグメントにする。ロール338上のブレード340の間隔により、細断する繊維の長さが決まる。図29に見られるように、細断機336は、生産ライン310の長さの生産的な使用を最大限にするように、近位端322に近接してキャリア314の上に配置される。繊維コード334が細断されると、繊維330はキャリアウェブ326上にばらばらに落下する。
【0124】
次に、スラリー供給ステーション、すなわち、スラリーフィーダ344が、ホッパ、ビンなど、離れた混合位置347からスラリー346の供給を受ける。キャリア314上にスラリーを最初に堆積させることで、そのプロセスを開始してよいことも企図される。スラリーは、好ましくは、様々な量のポルトランドセメント、石膏、骨材、水、硬化促進剤、流動化剤、発泡剤、充填材及び/又は上述した他の成分、及び参照により本明細書に組み込まれた、SCPパネルの生産のための上記の特許の他の成分から構成される。これらの成分の相対的な量は、上述のいくつかの成分の排除又は他の成分の追加を含め、用途に合わせて変更することができる。
【0125】
移動するキャリア314上にスラリー346の薄い層を一様に堆積させる、スラリーフィーダ344の様々な構成が企図される。図29には、主計量ロール348を含むスラリーフィーダ344を示し、その主計量ロール348はキャリア314の進行方向を横断する方向に配置される。コンパニオン又はバックアップロール350は、計量ロール348に近接して平行に、回転式に配置されて、それらの間にニップ352を形成する。1対の側壁354(図30に一方を示す)は、好ましくは、Teflon(登録商標)ブランドの材料などのこびりつかない材料から作られ、ニップ352に注がれるスラリー346がフィーダ344の側面から逃げるのを防止する。
【0126】
フィーダ344は、スラリー346の比較的薄い一様な層を、移動するキャリア314又はキャリアウェブ326上に堆積させる。適切な層の厚さは、約0.05インチから0.20インチ(0.127〜0.508cm)である。しかし、本プロセスで生産される好ましい構造パネルでは4つの層が好ましく、適切な建築パネルは、約0.5インチ(1.27cm)、特に好ましいスラリー層の厚さは約0.125インチ(0.318cm)である。
【0127】
次に、図29及び図30を参照すると、上述のようなスラリー層の厚さを実現するには、スラリーフィーダ344にいくつかの機構を設ける。最初に、スラリー346をウェブ326全体にわたって確実に一様に堆積させるには、スラリーは、当技術分野でよく知られたタイプの、横方向に往復する、ケーブル駆動の流体動力式ディスペンサ358に配置されたホース356を通して、フィーダ344に送出される。したがって、ホース356から流れるスラリーは、横方向に往復運動してフィーダ344に注入されて、ロール348、350及び側壁354によって画定されたリザーバ359を充填する。したがって、測量ロール348の回転により、リザーバ359からスラリー346の層が引き出される。
【0128】
次に、フィーダリザーバ359から主計量ロール348の外面362に引き出されるスラリー346の厚さを調整するように、厚さモニタリング又は厚さ制御ロール360が、主計量ロール348の垂直中心線の少し上及び/又は少し下流に配置される。また、厚さ制御ロール360により、粘度が様々であり常に変化するスラリーを扱うことが可能になる。主計量ロール348は、キャリア314及びキャリアウェブ326の動く方向と同じ進行方向「T」に駆動され、主計量ロール348、バックアップロール350及び厚さモニタリングロール360は全て同じ方向に回転駆動される。これは、移動している各外面上でスラリーが尚早に硬化する可能性を最小限に抑える。スラリー346が外面362上でキャリアウェブ326に向かって移動すると、主計量ロール348とキャリアウェブ326との間に配置された横断する剥ぎ取りワイヤ364により、確実に、スラリー346が完全にキャリアウェブ上に堆積し、ニップ352及びフィーダリザーバ359に向かって後退しないようにする。剥ぎ取りワイヤ364はまた、主計量ロール348に尚早に硬化したスラリーが付かないようにし、比較的一様のカーテン状のスラリーを維持するのを助ける。
【0129】
第2の細断機ステーション又は装置366は、好ましくは、細断機336と同一であり、繊維368の第2の層をスラリー346上に堆積させるように、フィーダ344の下流に配置される。図29の実施形態では、細断装置366は、細断機336に供給する同じラック331からコード334を供給される。しかし、用途に応じて、個々の各細断機に別個のラック331を設けることができることが企図される。
【0130】
次に図29及び図31を参照すると、次に、全体を370で示された埋込み具が、繊維368をスラリー346中に埋め込むように、スラリー346及び生産ライン310の移動キャリア314に対して動作関係で配置される。振動器、シープスフットローラなどを含むがそれらに限定されない様々な埋込み具が企図されるが、図31の実施形態では、埋込み具370は、概して平行な少なくとも1対のシャフト372を含む。それらのシャフト372は、フレーム312上のキャリアウェブ326の進行方向「T」を横切る方向に取り付けられる。各シャフト372は、相対的に大径の複数のディスク374を備え、それらのディスク374は、小径のディスク376によってシャフト上で互いに軸方向に分離されている。
【0131】
SCPパネルの生産中に、シャフト372及びディスク374、376は、シャフトの長手方向軸の周りを一緒に回転する。当技術分野でよく知られているように、シャフト372の片方又は両方に動力を与えることができ、片方のみに動力を与える場合は、もう一方をベルト、チェーン、歯車駆動装置又は他の動力伝達技術で駆動して、駆動ロールに対応する方向及び速度を維持することができる。隣接する、好ましくは平行のシャフト372のディスク374、376はそれぞれ、スラリーに「混練」又は「マッサージ」作用を生み出すように互いに噛み合い、それにより、その前にその上に堆積した繊維368が埋め込まれる。さらに、ディスク372、374に近接して噛み合う回転関係により、スラリー346がディスク上に蓄積するのが防止され、実際に、「自浄」作用を生み出し、これにより、スラリーの尚早に硬化することによる生産ラインの停止時間を大幅に短縮する。
【0132】
シャフト372上のディスク374、376の噛み合い関係は、小径のスペーサディスク376及び相対的に大径の主ディスク374の対向する外周が密接して配置されることを含み、これも自浄作用を促進する。ディスク374、376が密接して(ただし、好ましくは同じ方向に)互いに回転すると、スラリーの粒子が装置に捕捉され、尚早に硬化することが難しくなる。互いに横方向にずらして配置された2組のディスク374を設けることによって、スラリー346は複数の分断作用を受けて、「混練」作用を生み出し、繊維368をさらにスラリー346中に埋め込む。
【0133】
一旦繊維368が埋め込まれると、つまり、移動キャリアウェブ326が埋込み具370を通過すると、SCPパネルの第1の層377が完成する。好ましい実施形態では、第1の層377の高さ及び厚さは、約0.05〜0.20インチ(0.127〜0.508cm)の範囲である。この範囲は、SCPパネルの同様の層と組み合わせられると、所望の強度及び剛性をもたらすことが分かっている。しかし、他の厚さが用途に応じて企図される。
【0134】
所望厚さの構造用セメント質パネルを構築するには、追加の層が必要になる。そのためには、フィーダ344と実質的に同一である第2のスラリーフィーダ378を、移動キャリア314と動作関係に設け、既存の層377上にスラリー346の追加の層380を堆積させるように配置する。
【0135】
次に、細断機336及び366と実質的に同一である追加の細断機382を、フレーム312と動作関係に設けて、ラック331と同様の形でフレーム312に対して構築され配置されたラック(図示せず)から供給された繊維384の第3の層を堆積させる。繊維384をスラリー層380上に堆積させ、第2の埋込み具386を用いて埋め込む。埋込み具370と同様の構造及び配置で、第1の層377が分断されないように、第2の埋込み具386が、移動キャリアウェブ314より少し高く取り付けられる。このようにして、スラリーの第2の層380及び埋め込まれた繊維が作製される。
【0136】
次に、図29を参照すると、硬化可能なスラリー及び繊維の連続する各層と共に、追加のスラリーフィーダステーション344、378、402と、それに続く繊維細断機336、366、382、404と、埋込み具370、386、406とが生産ライン310上に設けられている。好ましい実施形態では、全部で4つの層(例えば、図16のパネル31参照)が設けられて、SCPパネルを形成する。上述のように、繊維を埋め込んだ硬化可能なスラリーの4つの層を堆積させる際に、形成装置394が、好ましくは、フレーム312に設けられて、パネルの上面396が形成される。こうした形成装置394は、硬化可能なスラリー/ボード生産分野で知られており、典型的には、所望の寸法特徴に合うように複数層のパネルの高さ及び形状を合わせるばね式又は振動板である。
【0137】
作製されるパネルは、複数の層(例えば、図16のパネル31の層22、24、26、28参照)を有し、それらの層は硬化の際に繊維強化された一体の塊を形成する。以下に開示し説明するような特定の所望のパラメータによって、各層の繊維の存在及び配置が制御され、それらに維持される場合は、パネルの層状剥離は実質上不可能である。
【0138】
この時点で、スラリー層は硬化を開始し、各パネルは切断装置398によって互いに分離する。その切断装置398は図29の実施形態では水ジェット切断装置である。現行のパネル構成物に適切な鋭利な縁部を作ることができる場合は、移動ブレードを含む他の切断装置がこの動作に適切であると考えられる。図29に示す代表例とは異なっていてよい所望の長さのパネルが生成されるように、切断装置398が線310及びフレーム312に対して配置される。キャリアウェブ314の速度が比較的遅いので、切断装置398をウェブ314の進行方向に垂直に切断するように取り付けることができる。生産速度が速くなると、こうした切断装置は、ウェブの進行方向に対してある角度で生産ライン310に取り付けられることが知られている。切断の際には、分離されたパネル321は、当技術分野でよく知られているように、さらなる取り扱い、包装、保存、及び/又は輸送のために、積み重ねられる。
【0139】
量的な意味では、繊維埋め込み効率に対する、繊維及びスラリー層の数、パネル中の繊維の体積分率、各スラリー層の厚さ、及び繊維ストランドの直径の影響が調査されている。分析において、以下のパラメータを特定した。
【0140】
=全複合材体積
=全パネルスラリー体積
=全パネル繊維体積
f,l=全繊維体積/層
T,l=全複合材体積/層
s,l=全スラリー体積/層
=スラリー層の総数;繊維層の総数
=全パネル繊維体積分率
=個々の繊維ストランドの等価直径
=個々の繊維ストランドの長さ
t=パネル厚さ
=スラリー及び繊維を含む個々の層の全厚
s,l=個々のスラリー層の厚さ
f,l、nf1,l、nf2,l=繊維層内の繊維の総数
【数1】


【数2】


【数3】

【0141】
同数のスラリー層と繊維層とから構成されたパネルを想定する。それらの層の数がNに等しく、パネル中の繊維の体積分率がVに等しいとする。
【0142】
要約すると、別個のスラリー層の上に堆積している繊維ネットワークの層の繊維投影面積分率
【数4】


は、以下の数学的関係式で与えられる。
【数5】

【0143】
ここで、Vは全パネル繊維体積分率であり、tは全パネル厚さであり、dが繊維ストランドの直径であり、Nは繊維層の総数であり、ts,lは使用している個々のスラリー層の厚さである。
【0144】
したがって、良好な繊維埋め込み効率を実現するには、目的となる機能は、繊維面積分率を特定の臨界値より低く維持することになる。式中の1つ又は複数の変数を変更することによって、繊維投影面積分率を調整して、良好な繊維埋め込み効率を実現することができることは、注目に値する。
【0145】
繊維投影面積分率の大きさに影響を及ぼす様々な変数を特定、「繊維投影面積分率」の大きさを調整して、良好な繊維埋め込み効率を実現する手法を提示している。こうした手法は、繊維投影面積分率を臨界閾値より低く維持するために以下の変数のうち1つ又は複数を変更することを含む。以下の変数とは、個々の繊維層及びスラリー層の数、個々のスラリー層の厚さ、及び繊維ストランドの直径である。
【0146】
この基本的な作業に基づいて、繊維投影面積分率の好ましい大きさ
【数6】


は、以下の通りであることが判明した。
【数7】


【数8】

【0147】
設計パネルの繊維体積分率Vについて、繊維投影面積分率の上述の好ましい大きさの実現は、以下の変数のうち1つ又は複数を調整することによって可能になる。変数とは、個々の繊維層の総数、個々のスラリー層の厚さ、及び繊維ストランドの直径である。具体的には、繊維投影面積分率の好ましい大きさを導くこれらの変数の所望の範囲は以下の通りである。
複数層のSCPパネルの個々のスラリー層の厚さ、s,l
個々のスラリー層の好ましい厚さts,l≦0.20インチ(5.1mm)
個々のスラリー層のより好ましい厚さts,l≦0.12インチ(3.0mm)
個々のスラリー層の最も好ましい厚さts,l≦0.08インチ(2.0mm)
複数層のSCPパネル中の個々の繊維層の数、
個々の繊維層の好ましい数N≧4
個々の繊維層の最も好ましい数N≧6
繊維ストランドの直径、
好ましい繊維ストランドの直径d≧30テックス
最も好ましい繊維ストランドの直径d≧70テックス
【0148】
パネルは、構造上の下張り又は床板の下敷きとして使用する際に、好ましくはさねはぎ構造で作られる。そのさねはぎ構造は、注入成型中に、又は使用前にルータで切断してさねはぎを作製することによって、パネルの縁部を形成することによって作ることができる。好ましくは、さねはぎは、例えば図12Aに示すように先細りにされ、その先細りによって本発明のパネルの設置が簡単になる。
【0149】
特性
本発明のSCPパネルの金属枠システムは、好ましくは、表2A〜表2Dに挙げる特性のうち1つ又は複数を有する。特に明示しない限り、それらの特性は厚さ1/2インチ(12.7mm)のSCPパネルである。
【表3】


【表4】


【表5】


【表6】

【0150】
表2Dの水平設計せん断容量は安全係数3をもたらす。
【0151】
厚さ3/8〜3/4インチ(9〜19mm)、例えば、1/2インチ(12.5mm)のSCPパネルを機械的に及び/又は接着剤で横方向に金属枠組みに固定したシステムは、ASTM E−72による試験を行った場合、典型的には、壁の呼びせん断容量(呼びラッキングせん断強度としても知られる)が200〜1200、又は400〜1200、又は800〜1200ポンド/リニアフィート(298〜1786、又は595〜1786、又は1190〜1786kg/リニアメートル)である。
【0152】
典型的な厚さ3/4インチ(19mm)のパネルは、ASTM E661及びAPA S−1試験方法に従って心々スパン16インチ(406.4mm)にわたって試験する場合に、静止荷重では極限負荷容量が550lb(250kg)より大きく、衝撃荷重では極限負荷容量が400lb(182kg)より大きく、200lb(90.9kg)の負荷では静止荷重でも衝撃荷重でもたわみは0.078インチ(1.98mm)より小さい。
【0153】
48時間水に浸漬した後に乾燥密度が65lb/ft(1.04g/cm)〜90lb/ft(1.44g/cm)又は65lb/ft(1.04g/cm)〜95lb/ft(1.52g/cm)である、厚さ0.75インチ(1.9cm)のSCPパネルの曲げ強度は、ASTM C 947で測定すると、28日間の硬化後に、少なくとも1000psi(7MPa)、例えば、少なくとも1300psi(9MPa)、好ましくは少なくとも1650psi(11.4MPa)、より好ましくは少なくとも1700psi(11.7MPa)である。パネルは、乾燥強度の少なくとも75%を保持すべきである。
【0154】
典型的には、SCP水平床システムは、オープンウェブバーの根太、金属デッキ及び現場打ちコンクリート又は耐力壁上にスラブを載せたプレキャスト厚板の床システムより比剛性が高い。さらに、典型的には、本システムは、木製床システムより比剛性が高い。
【0155】
典型的には、10フィート×20フィート(3.05×6.1m)の金属枠に固定した厚さ3/4インチ(1.9cm)のSCPパネル上に2インチの水頭を維持する試験で24時間水にさらしたときに、このシステムの水平せん断ダイヤフラムの荷重伝達容量は、25%以下の低下であり、好ましくは、20%以下の低下である。
【0156】
典型的には、このシステムは、10フィート×20フィート(3.05×6.1m)の金属枠に固定した厚さ3/4インチ(1.9cm)のSCPパネル上に2インチ(5.1cm)水頭を維持する試験で24時間水にさらしたときは、水の吸収は0.7ポンド/平方フィート(3.4kg/sq.m)以下である。
【0157】
典型的には、幅10フィート、長さ20フィート、厚さ3/4インチ(3.05m×6.1m×1.9cm)のSCPパネルのダイヤフラムを10フィート×20フィート(3.05×6.1m)の金属枠に取り付けた、本システムの一実施形態は、金属枠上に固定されたSCPパネル上に24時間維持される2インチ(1.9cm)の水頭にさらされるときに、膨張は5%以下である。
【0158】
典型的には、本システムの全ての構成要素は、システムが約1を達成するASTM G−21に適合し、システムが約10を達成するASTM D−3273に適合する。また、典型的には、本システムは、正常な場合には細菌の成長を実質的にゼロにする助けをする。また、典型的には、本システムは、シロアリが食べることができない。
【0159】
金属枠上に厚さ3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルがある、本水平ダイヤフラム床システムの組合せは、軽量で強度が高いので、所与の建築物の占有面積に対する建築容積を最大にするように、所与の建築物の占有面積に対する建築容積の効率的な利用を可能にする。このシステムが軽量な性質なので、パン/セメントシステムに伴う死荷重がなくなる。死荷重が少ないと、不安定な土壌に同等寸法の構造物を構築することが可能になる。さらに、このシステムは、このシステムのパネルが強度も荷重伝達特性も失わずに、長い寸法が枠の金属根太に平行又は垂直に配置できるという点で、無指向性でよい。したがって、このシステムが破損せずに死荷重及び活荷重を支持する能力は、金属枠組みのSCPパネルの方向に関係なく同じである。また、本システムの可能性のある利点は、圧縮強度が高いことである。これは、構造物の壁がシステムの一部分、例えば、パネルで形成された床ダイヤフラムの外周に着座する建築物で有効である。複数階が追加されるときは、それらの階の重さが、下の方の階の床パネルに非常に大きい圧縮力を加えることがある。
【0160】
本発明は、耐寒性能で予期しない利点を有する。従来のセメント質パネルは寒冷気候では脆い場合がある。したがって、こうしたパネルを寒冷気候で設置するには、設置中に建設作業員によって注意深く取り扱う必要がある。しかし、本システムでは、SCPパネルは、好ましくは、外気温が32°F(0℃)未満か、又は20°F(−7.5℃)未満のときでさえも、クラックなしで金属床部材への設置に耐えることができる。これは、冬の過酷な気候で構築することを容易にし、したがって、建設業者の生産性を高めるので、非常に重要な利点である。本SCPパネルは、好ましくは、こうした低温時の設置中に通常の雑な扱いに耐えることができる。例えば、こうした低温時におけるSCPパネルの配置は、パネルの少なくとも一方の端部が、少なくとも2フィート(61cm)、典型的には少なくとも3フィート(91cm)、例えば、3〜6フィート(91〜183cm)の範囲にクラックなしで自由落下するように、金属床部材、例えば、トラス上にパネルを落下させるステップを含む。例えば、これは、パネルの一方の端部が1つ又は複数の金属床部材上に配置され、次いで、もう一方の端部が1つ又は複数の金属床部材上に自由落下で落ちるように放されるときに起きる。
【0161】
[実施例]
実施例1〜5では、小規模水平炉(SSHF)中で同等の構造シージングの耐火性試験に関する実験を行った。5つのサンプルは1/2インチ(13mm)である。本発明の組成物の構造セメントパネル(SCP)、3/4インチ(19mm)のVIROCパネル、1/2インチ(13mm)のNOVATECHパネル(これもSCPパネルである)、15/32インチ(12mm)の合板(等級A〜C)及び31/64インチ(12mm)の配向性ストランドボード(OSB)を、4ft×4ft(1.2×1.2m)アセンブリの一部分として試験した。
【0162】
各アセンブリは、20ゲージ、358CRランナー及び心々24インチ間隔の358STスタッドの金属枠組みで構築した。試験材料を露出した面に施し、1層のUSGのSHEETROCKの5/8インチ(16mm)FIRECODEタイプSCX石膏壁板を、5つの試験片の露出していない面に貼り付けた。継ぎ目がアセンブリのスパン中央にある状態で、露出面の材料をスタッドに対して垂直に施した。アセンブリの温度比較のために、露出パネル下側と露出しない面上の両方の空洞に熱伝対を配置した。ASTM E119の時間/温度曲線に合わせて表面温度を制御した。試験の継続時間にわたって仕上げ評価及び露出していない表面の温度測定を行った。試験中に露出面の推定される状態について観察を行った。規格ASTM E119の温度限界は、熱伝対の読取り値では、平均に対して周囲より250°F(136℃)高く、個別に対して周囲より325°F(183℃)上の温度を管理限界として使用した。この試験の目的は、火災試験での製品材料の性能を相対的に比較することであった。手順はシステムに対する耐火性評価を与えるものではない。
【0163】
小規模水平炉試験で使用したSCPパネルの配合は以下の表2Eの通りである。
【表7】

【0164】
5つのサンプルの試験結果は表3で見ることができる。各試験中に温度基準限界を超えたときの、平均(A)と個別(I)の両方の読取り値は分単位である。SCPボードは本発明のパネルの組成を有する。
【表8】

【実施例1】
【0165】
サンプルの構成
寸法:48インチ(122cm)×48・5/8インチ(124cm)
スタッド:358ST、20ゲージ 間隔:心々24インチ(61cm)
ランナー:358CR、20ゲージ;空洞:有り
表面材:(火炎側)1層1/2インチ(13mm)USG構造用セメントパネル(SCP);(露出しない側)1層5/8インチ(16mm)SHEETROCK(登録商標)FIRECODE(登録商標)(タイプX)パネル
【0166】
表4にはこの実施例で試験材料として用いたボードを示す。これらのボードを表5に示すように加熱した。この加熱の観察結果を表6に示す。
【表9】


【表10】

【0167】
火災試験期間:70分0秒
試験終了時:ボード脱落なし
【表11】

【実施例2】
【0168】
サンプル構成
寸法:48インチ(122cm)×48・5/8インチ(124cm)
スタッド:358ST、20ゲージ、間隔:心々24インチ(61cm)
ランナー:358CR、20ゲージ;空洞:有り
表面材:(火炎側)1層3/4インチVIROCボード、(露出しない側)1層5/8インチ(16mm)SHEETROCK(登録商標)FIRECODE(登録商標)(タイプX)パネル
【0169】
表7にはこの実施例で試験材料として用いたボードを示す。これらのボードを表8に示すように加熱した。この加熱の観察結果を表9に示す。
【表12】


【表13】

【0170】
火災試験期間:60分0秒。
試験終了時:ボード脱落なし
【表14】

【実施例3】
【0171】
サンプル構成
寸法:48インチ(122cm)×48・5/8インチ(124cm)
スタッド:358ST、20ゲージ、間隔:心々24インチ(61cm)
ランナー:358CR、20ゲージ;空洞:有り
表面材:(火炎側)1層1/2インチNovaTechボード、(露出しない側)1層5/8インチ(16mm)SHEETROCK(登録商標)FIRECODE(登録商標)(タイプX)パネル。
【0172】
表10にはこの実施例で試験材料として用いたボードを示す。これらのボードを表11に示すように加熱した。この加熱の観察結果を表12に示す。
【表15】


【表16】

【0173】
火災試験期間:70分0秒。
試験終了時:ボード脱落なし
【表17】

【実施例4】
【0174】
サンプル構成
寸法:48インチ(122cm)×48・5/8インチ(124cm)
スタッド:358ST、20ゲージ、間隔:心々24インチ(61cm)
ランナー:358CR、20ゲージ;空洞:有り
表面材:(火炎側)1層15/32インチ(12mm)合板(A/C)ボード;(露出しない側)1層5/8インチ(16mm)SHEETROCK(登録商標)FIRECODE(登録商標)(タイプX)パネル。
【0175】
表13にはこの実施例で試験材料として用いたボードを示す。これらのボードを表14に示すように加熱した。この加熱の観察結果を表15に示す。
【表18】


【表19】

【0176】
火災試験期間:32分0秒。
試験終了時:ボード脱落
【表20】

【実施例5】
【0177】
サンプル構成
寸法:48インチ(122cm)×48・5/8インチ(124cm)
スタッド:358ST、20ゲージ 間隔:心々24インチ(61cm)
ランナー:358CR、20ゲージ;空洞:有り
表面材:(火炎側)1層31/64インチ(1.2cm)配向性ストランドボード(OSB);(露出しない側)1層5/8インチ(16mm)SHEETROCK(登録商標)FIRECODE(登録商標)(タイプX)パネル。
【0178】
表16にはこの実施例で試験材料として用いたボードを示す。これらのボードを表17に示すように加熱した。この加熱の観察結果を表18に示す。
【表21】


【表22】


火災試験期間:32分0秒。
試験終了時:ボード脱落
【表23】

【実施例6】
【0179】
この実施例は、プロトタイプの厚さ3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルを用いて以下に説明するように構築された、単一の床ダイヤフラムの水平ダイヤフラム強度を、ASTM E 455−98建築物の枠組み床又は屋根ダイヤフラム構造の静止荷重試験、単一梁方法(Static Load Testing of Framed Floor or Roof Diaphragm Construction for Buildings, single beam method)によって求める。
【0180】
試験体の材料
A.床ダイヤフラム材料
プロトタイプ3/4インチ(1.9cm)SCP−繊維ガラスストランドで強化した、本発明の構造セメントパネル。「V」字形の雌実部及び雄実部が4フィート×8フィート(122×244cm)シートの8フィート寸法に沿って配置される。この床ダイヤフラム試験の実施例のSCPパネルで使用される組成を表18Aに列挙する。
【表24】


留め具−外周に沿って心々6インチ(15cm)、パネル領域で心々12インチ(30cm)間隔の、#8−18×長さ1・5/8インチ(4.1cm)のBUGLE HEAD GRABBER SUPER DRIVE(商標)ねじ。全ての留め具をパネル縁部から最短3/4インチ内側、継ぎ目から1/2インチ(1.3cm)内側に配置した。パネルの角では、留め具は2インチ(5.1cm)内側にした。
接着剤−Flexible Products Company of Canada,Inc.によって製造された、ENERFOAM SFポリウレタンフォーム接着剤を、全ての突合わせ継手、及びさねはぎ継手に塗布した。定位置に配置する前に、3/8インチ(0.95cm)ビードを1つ溝の底部に施した。突合わせ継手に3/8インチの隙間を残して、その隙間に接着剤の3/8インチ(0.95cm)ビードを1つ施し、その後で継手を一緒に滑動させることを可能にした。
【0181】
B.床枠組み
図17は、組み立てた金属、例えば、鋼製の床枠組み160を示す。これは以下の部品を含む。
【0182】
A.横根太150−16ゲージ×深さ10インチ(25.4cm)×長さ10フィート(3.05m)のDietrich industries製のTRADE READY(商標)根太。この根太には、Dietrich TDW5 W 10IN×L 10FT 28324013 16GAUGE G60 50KSIの刻印があった。
【0183】
B.縦リムトラック152−16ゲージ×深さ10・3/16インチ(25.9cm)×長さ16フィート(4.88m)であり、Dietrich Industries社によって製造され、あらかじめ曲げられた根太の取付け位置は心々間隔24インチ(0.61m)である。トラックには、Dietrich TD16 W9 1/4IN×L16FT 28323858 16GAUGE 3RD Flの刻印があった。
【0184】
C.厚さ0.125インチ×2インチ×2インチ(0.32×5.08×5.08cm)の鋼製アングル154(図18)を、端部横根太156それぞれに配置し、支承側で開始し荷重側アングルから最大3インチ(7.6cm)の間隔をあけて配置し、それぞれの端部横根太に#10−1インチ(2.54cm)DRIVALLねじで心々6インチ(15.24cm)の間隔で固定した。
【0185】
D.留め具
枠組みを取り付けるための、#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)の六角頭DRIVALLねじ。
最外縁部周り及び突合わせ継手の両側で心々6インチ(15.24cm)で枠組みに取り付けるための、#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)ウエハ頭のセルフドリリングねじ。
【0186】
試験体の構成
1つの試験サンプルを、全体の寸法を10フィート0インチ×20フィート0インチ(3.05×6.1m)で構築した。図8は金属枠の斜視図を示す。
【0187】
図17Aは、図17の枠の部分拡大図を示す。
【0188】
図18は、図17の枠のAAの部分拡大図を示す。
【0189】
図19は、SCPパネル120の(パネルの寸法付きの)上面図を示すが、さねはぎの縁部(図示せず)を金属枠に取り付けるように製造した。
【0190】
図20、図21、図22及び図23は、図19の床のそれぞれBB、CC、DD及びEEの部分拡大図を示す。
【0191】
A.3本の六角頭の#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)のDRIVALLねじを、あらかじめ曲げたタブを通して根太の側部に、1本の#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)のウエハ頭のセルフドリリングねじをリムトラックの上部を通して根太に、それぞれ端部で用いて根太をリムトラックに取り付けた。長さ5インチ(12.7cm)厚さ0.078インチ×1・1/2インチ×4インチ(0.2×3.8×10.2cm)の鋼製アングル151も、長さ3/4インチ(1.9cm)のDRIVALLねじで心々1インチ(2.54cm)で各根太に固定し、1本の長さ3/4インチ(1.9cm)DRIVALLねじでリムトラックに固定した。
【0192】
B.1・1/2インチ×2・5/8インチ×21・3/4インチ(3.8×6.7×145cm)のKATZ転び止め158を、各端部で長さ2インチ×1・3/4インチ(5.1×4.5cm)のタブで、床の中心線にわたって根太の底部に固定した。KATZ転び止め部材158の各端部を通る1本の#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)のDRIVALLねじで転び止め158を取り付けた。具体的には、Katz転び止め158を、中間点の両側に交互に配置することによって横根太150間に配置し、タブごとに1本の#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)のDRIVALLねじによって取り付ける。
【0193】
C.追加の水平転び止めを荷重側のリムトラック152に2つの位置に追加して、点荷重のためにリムトラック152を強化した。すなわち、荷重支持のための24インチの転び止め157を、いくつかの横根太150の間に縦リムトラックに沿って設ける。長さ20インチの転び止め159を、各端部横根太156とそれぞれ2番目の端部横根太150の間に、概して枠の長手方向軸に沿って、4本の#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)のDRIVALLねじで各端部に固定する。
【0194】
D.枠を方形にし、次いで、図19に示すようにプロトタイプSCPパネルをその枠に固定した。プロトタイプのSCPを、外周に沿って角から2インチ内側に心々6インチ(15.2cm)で、領域では心々12インチ(30.5cm)で、#8−18×長さ1・5/8インチ(4.1cm)のビューグル(Bugle)頭部のGRABBER SUPER DRIVE(商標)ねじ(ウイング付きセルフドリリングねじ162)で固定した。留め具を、プロトタイプSCPの表面と面一又はそれより少し下に確実に維持し鋼製枠組み中で潰れないように注意した。突合わせ継手及びさねはぎの位置では、Flexible Products Company of Canada, Inc.製のENERFOAM SFポリウレタンフォーム接着剤の3/8インチ(0.95cm)ビードを継手に施した。
【0195】
E.次いで、1/8インチ×2インチ×2インチ(0.32×5.1×5.1cm)の鉄アングルを、端部根太に根太の底部と面一に固定して、支承部で根太が裂けるのを最小限に抑え、上部プレート部材になる。長さ6インチの追加のアングルを、端部根太の支承側に根太の上部と面一に固定して、やはり裂けるのを最小限に抑える。
【0196】
F.試験サンプルを最短36時間固定し、接着剤の硬化を可能にした。
【0197】
G.図24は、コンクリート床98(図17)上でサンプル181の外周に沿って心々2フィート(0.6m)で器具ローラ70によって支持された、図19の取り付けた床120を有する、図17の枠160から作製された試験サンプル181を示す。
【0198】
図25は、図24のFFの部分拡大図を示す。支承支持部74、84を試験サンプル181の両端に配置した。3つの荷重シリンダ80を試験サンプル181の反対側に配置した。シリンダ80から鋼梁を通して、6つの18インチ(46cm)の支承ブロックに荷重を加えて、床の試験サンプル181に荷重を均等に加えた。5つのダイヤル表示器を、試験サンプル181の支承側に沿って配置して、たわみを測定した。図24は、スペーサ90を備えた押さえ具92を示す。隙間96約1/8インチ(0.32cm)、18インチ(46cm)の荷重ブロック94。押さえ具92をセメント98に取り付ける。試験サンプル181のもう一方の端部に他の押さえ具82を設ける。押さえ具92は中実のローラ72上で支持される。
【0199】
試験機器
A.ENERPACモデルP−39油圧手動ポンプ、3つ。
B.ENERPACモデルRC−1010油圧シリンダ、3つ。
C.ダイヤル表示器、5つ:移動距離2インチ−0.001インチ増分。
D.オメガデジタルメータ、3つ。
E.オメガ圧力変換器、3つ。
F.6フィートのI形鋼、3本。
G.床のボルト留めされた剛性支承部、5箇所。
【0200】
手順
A.3つの直径1・1/2インチ(3.8cm)×10インチ(25.4cm)ストロークの油圧シリンダ80を、各荷重点に1つ使用して荷重を発生させた。加えた力を、3台のデジタルメータ及び圧力変換器で測定した。加えた力を添付のデータシートに永久的に記録した。
【0201】
B.油圧を加えて荷重を発生させて、デジタルメータ上で必要な荷重が示されるまで、機械的な力を生成した。
【0202】
C.床アセンブリ全体に700ポンド(317.5kg)の増分で荷重を加えた。各荷重を1分間保持してから、たわみを読み取った。14000ポンド(6350kg)のたわみを読み取った後で、破壊が生じるまで、アセンブリに1分間に約2800ポンド(1270kg)の割合で荷重を加えた。
【0203】
図27は、設計荷重で図24の試験装置に取り付けられたSCPパネル及び金属枠床の写真を示す。
【0204】
図28は、破壊時の図24の試験装置に取り付けられたSCPパネル及び金属枠床の写真を示す。
【0205】
試験結果




表19は、上述の床アセンブリ全体に荷重を加える、床ダイヤフラム試験の結果を示す。床は幅が120インチ(3.05m)である。
【0206】
安全率3.0を利用して以下の値が得られた。
極限荷重=14618.5ポンド/10.0フィート=1461.8PLF(ポンド/リニアフィート)(2175kg/リニアメートル)
設計せん断強度=1461.8/3.0安全係数=487.2PLF(725kg/リニアメートル)
設計せん断強度は、極限加重を安全係数3で割って計算する。
【表25】

【0207】
表20は、床に荷重を加えた結果起きるたわみを示す。表20のデータを図26でグラフに示す。図26は、図24の床ダイヤフラム試験装置を用いた、3/4インチ(1.9cm)構造セメントパネル(SCPパネル)を使用して、床ダイヤフラム試験から実験荷重対たわみデータを示す。
【表26】

【0208】
表21は、試験サンプル床に支承点で荷重を加えることによる平均支承たわみを示す。
【0209】
この単一の試験サンプルから得られたデータに基づいて、上記で説明した単一の床ダイヤフラムサンプルから、487.2PLF(ポンド/リニアフィート)(725kg/リニアメートル)の設計せん断を達成することができる。
【表27】

【実施例7】
【0210】
この実施例は、アセンブリの水平ダイヤフラムの強度に対する水への曝露の影響を、厚さ3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルを用いて、ASTM E455−98建築物の枠組み床又は屋根ダイヤフラム構造の静止荷重試験、単一梁方法によって求める。
【0211】
試験体の材料
A.床ダイヤフラム材料
繊維ガラスストランドで強化した3/4インチ(1.9cm)SCPパネル。「V」字形の雌実部及び雄実部が、4フィート×8フィート(1.2×2.4m)シートの8フィート(2.4m)寸法に沿って配置される。
【0212】
使用した留め具は、外周に沿って心々間隔6インチ、パネル領域で心々12インチ間隔に配置された、GRABBER Construction Productsから利用可能な、#8−18×長さ1・5/8インチ(4.1cm)のビューグル頭部のGRABBER SUPER DRIVEねじを含んだ。全ての留め具をパネル縁部から最短3/4インチ内側、継ぎ目から1/2インチ(1.3cm)内側に配置した。パネルの角では、留め具は2インチ(5.1cm)内側にした。留め具の位置については図19参照。
【0213】
B.床枠組み
根太は、Dietrich Industries製のCSJ16ゲージ×深さ8インチ×10フィート(16ゲージ×20cm×305cm)のリムトラックを含んだ。
【0214】
試験体の構成
上記の実施例6で説明した試験サンプルのように、4つの試験サンプルを、全体の寸法を10フィート0インチ×20フィート0インチ(3.05×6.1m)で構築した。図17は、この実験で使用した枠と同様の金属枠160の斜視図を示す。
【0215】
枠をを方形にし、次いで、図19に示すようにプロトタイプSCPパネルをその枠に固定した。プロトタイプのSCPを、外周に沿って角から2インチ内側に心々6インチ(15.2cm)で、領域では心々12インチ(30.5cm)で、#8−18×長さ1・5/8インチ(4.1cm)のビューグル頭部のGrabber SuperDriveねじ(ウイング付きセルフドリリングねじ162)で固定した。留め具を、プロトタイプSCPの表面と面一又はそれより少し下に確実に維持し鋼製枠組み中で潰れないように注意した。実施例6の試験サンプルとは異なり、突合わせ継手及びさねはぎの位置では、Flexible Products Company of Canada, Inc.製造のENERFOAM SFポリウレタンフォーム接着剤の3/8インチ(0.95cm)ビードを継手に施さなかった。
【0216】
試験機器
A.ENERPACモデルP−39油圧手動ポンプ、4つ。
B.ENERPACモデルRC−1010油圧シリンダ、4つ。
C.ダイヤル表示器、5つ:移動距離2インチ−0.001インチ増分。
D.オメガデジタルメータ、4つ。
E.オメガ圧力変換器、4つ。
F.6フィートのI形鋼、4本。
G.床のボルト留めされた剛性支承部、6箇所
【0217】
手順
A.試験アセンブリのうち2つは、「受け取ったままの状態」すなわち乾燥状態で試験し、2つのサンプルは、1インチ(2.54cm)の水頭が最低24時間存在した後で試験した。
【0218】
B.直径1・1/2インチ(3.8cm)の油圧シリンダ4つを各荷重点に1つ用いて荷重を発生させた。4つの較正したデジタルメータ及び圧力変換器で、加えた力を測定した。加えた力を添付のデータシートに永久的に記録した。
【0219】
C.油圧を加えて荷重を発生させて、デジタルメータ上で必要な荷重が示されるまで、機械的な力を生成した。
【0220】
D.床アセンブリ全体に700ポンドの増分で荷重を加えた。各荷重を1分間保持してから、たわみを読み取った。14000ポンド(6350kg)のたわみを読み取った後で、破壊が生じるまで、アセンブリに1分間に約2800ポンド(1270kg)の割合で荷重を加えた。
【0221】
試験結果
表22〜表36は、上述の床アセンブリ全体に荷重を加える、床ダイヤフラム試験の結果を示す。
【0222】
床は幅が120インチ(305cm)である。
【0223】
安全率3.0を利用して以下の値が得られた。
乾燥サンプルの平均極限荷重=15908.2ポンド/10フィート=1590.8PLF(2367kg/リニアメートル)
乾燥サンプルの設計せん断強度=1590.8PLF/3.0安全係数=530.2PLF(789kg/リニアメートル)
湿潤サンプルの平均極限荷重=14544.5ポンド/10フィート=1454.4PLF(2164kg/リニアメートル)。
湿潤サンプルの設計せん断強度=1454.4PLF/3.0安全係数=484.8PLF(721kg/リニアメートル)
【0224】
これらの結果は、24時間水に継続的に曝露した後でダイヤフラム強度が約91%以上保持されたことを示す。
【表28】


【表29】


【表30】


【表31】


【表32】


【表33】


【表34】


【表35】


【表36】


【表37】


【表38】


【表39】


【表40】


【表41】


【表42】

【実施例8】
【0225】
鋼製枠組み及びSCPシージングを使用した床ダイヤフラムアセンブリのせん断強度及びせん断剛性を求めるために、AISI TS−7−02冷間成形鋼製ダイヤフラムの片持ち梁試験法(Cantilever Test Method for Cold−Formed Steel Diaphrams)による試験を10個の試験体で実施した。このデータはせん断壁としてのせん断性能を示すことができる。
【0226】
図32はAISI TS−7試験で使用した床枠組み400を示す。
【0227】
床ダイヤフラムの材料
プロトタイプ3/4インチ(1.9cm)SCP−繊維ガラスストランドで強化した構造セメントパネル。「V」字形の雌実部及び雄実部が4フィート×8フィート(1.2×2.4m)シートの8フィート(2.4m)の寸法に沿って配置される。
【0228】
3/4インチ(1.9cm)の合板−23/32インチ(1.83cm)GP PLUS、さねはぎ(Quick Fit)。APA Rated Sturd−i−Floor(商標)、曝露1、PS1−95下敷、砂地面、PRP−108、Georgia Pacific Corporation製造。
【0229】
留め具−#8−18×長さ1・5/8インチ(4.1cm)のウイング付き穴あけ機ビューグル頭部のGrabber Super Drive(商標)(Lox drive)ねじ、アイテム番号CHS8158JBW、外周に沿って心々4インチ、6インチ及び12インチ(10.1、15.4及び30.5cm)間隔、パネルの領域では心々12インチ(30.5cm)間隔。全ての留め具をパネル縁部から最低3/4インチ(1.9cm)内側、継ぎ目から1インチ(1.3cm)内側に配置した。パネルの角では、留め具は2インチ(5.08cm)内側にした。
【0230】
接着剤−OSI Sealants製のPL Polyurethane Premium Construction接着剤。1/4インチ(0.635cm)のビードを全ての枠組み部材に施し、パネル突合わせ継手ではビードを2重に施した。荷重を加える前に最短24時間の硬化時間を設けた。
【0231】
床枠組み
根太−16ゲージ×深さ10インチ(25.4cm)×長さ10フィートの、Dietrich Industries製のTRADE READY(商標)根太。この根太には、Dietrich TDJ5 W 9−1/4 inches (23.5cm)×L11 foot 10−1/2 inches(6.02m)14453223 16 GAUGE G60 50KSIの刻印があった。平均試験降伏強度は51.0ksi(352Mpa)であった。
【0232】
リムトラック−16ゲージ×深さ10・3/16インチ×長さ16フィート、あらかじめ曲げられた根太の取付け位置は心々24インチ間隔。トラックには、Dietrich D16 W 9−1/4IN(23.5cm)×L 16FT(4.88m)14453203 16 GAUGE G60の刻印があった。平均試験降伏強度は62.7ksi(432MPa)であった。留め具−#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)の六角頭DRIVALLねじ。
【0233】
試験体の構成
10個の試験サンプルを、全体の寸法を11フィート11インチ×12フィート0インチ(3.63m×3.66m)で構築した。リムトラックは、心々16インチ(41cm)であらかじめ曲げたタブを有し、したがって、クリップアングルを心々24インチ(61cm)間隔で溶接した。
【0234】
3本の六角頭の#10−16×長さ3/4インチ(1.9cm)のDRIVALLねじを用いてあらかじめ曲げたタブを通して根太の側部に、根太をトラックに取り付けた。48本の#10×長さ3/4インチ(1.9cm)の六角頭セルフドリリングねじを用いて、Simpson Strong−Tie Holdown部品番号S/HD15を床の張力側に固定した。14本の#10×長さ3/4インチ(1.9cm)の六角頭セルフドリリングねじを用いて、6・1/8インチ×長さ16インチの12ゲージのスタッドを圧縮根太に取り付けた。これは、ダイヤフラムの損傷前に端部根太が潰れるのを避けるために補強材として追加した。枠を方形にし、次いでプロトタイプSCP又は合板をそれに固定した。床シージングを、角から2インチ(5.08cm)内側で外周に沿って心々4インチ、6インチ又は12インチ(10.1、15.2又は30.5cm)で、領域では心々12インチ(30.5cm)で、#8−18×長さ1・5/8インチ(4.1cm)のビューグル頭部のGrabber Super Drive(商標)ねじで固定した。留め具を床シージングの表面と面一に又は少し下に確実に維持し、鋼製枠組み中で潰れないように注意した。詳細については添付の図面番号B6〜B11を参照されたい。接着剤を使用した試験サンプルは、最短24時間固定し、推奨の接着剤の硬化を可能にした。
【0235】
図33は、接着剤を配置してAISI TS−7試験で使用したSCP床420の1つを示す。ボード442はSCPパネルであり0.670インチ×厚さ0.705インチ(1.70〜1.79cm)であった。図EEは継手でずらしたパネルを示す。図FFは「V」字形の1/2インチ(1.27cm)さねはぎ継手を示す。図GGは角を示す。図HHは3枚のSCPパネルが合う箇所を示す。図IIは角を示す。
【0236】
試験の設定
図34はAISI TS−7試験で使用した試験装置450を示す。試験装置450は8インチ×長さ72インチ(20.3×183cm)の荷重ビーム454を2本有する。試験体452が1インチローラ458上に配置され、鋼製プレート460がローラ458の下に設けられる。剛性支承部466、試験固定具456、及びI形鋼固定具も設けられる。油圧シリンダ462は試験体452に圧力を加える。支承部用のI形鋼464も設けられる。
【0237】
リムトラックの一方が10インチ−30ポンド/フィート(25.4cm−44.6kg/m)のC形チャネルの上部と面一に設定された状態で、試験サンプルを試験固定具に配置した。次に、リムトラックを心々12インチ(30.5cm)で#12−24T5六角頭ねじで、C形チャネルに取り付けた。次いで、#10×長さ3/4インチ(1.9cm)の六角頭セルフドリリングねじを用いて、2つの8インチ×長さ72インチ(20.3×183cm)のI形鋼を、上部と面一のもう一方のリムトラックに取り付けた。留め具をI形鋼のフランジ側部に交互に心々6インチ(15.2cm)間隔で固定した。I形鋼も一緒にボルト締めした。油圧シリンダを反応ビームI形鋼と直列に配置した。
【0238】
直径1インチ(2.54cm)のねじロッドをSimpson Holdownによって配置し、剛性の鋼製固定具に接続した。ねじロッドの結合ナットには特定のトルクを加えなかった。荷重側のリムトラックを、約48インチ間隔で2組のローラ上に配置した。圧力側で押さえ具をシージングの上に配置して、隆起を防止した。床シージング上で押さえ具のチューブと鋼板との間に、直径1インチ(2.54cm)の2つのローラを配置した。
【0239】
4つの線形変換器を床ダイヤフラムアセンブリ上の以下の位置に配置した。
#1−張力根太と直列
#2−固定リムトラックと直列
#3−クリップアングル上で荷重を加えたリムトラックと直列
#4−圧縮根太と直列
【0240】
線形変換器及び油圧変換器をデータ取得システムと接続した。
【0241】
試験機器
4つの線形変換器を床ダイヤフラムアセンブリの以下の位置に配置した。
ENERPACモデルP−39油圧手動ポンプ、1つ。
EnerPacモデルRC−1010油圧シリンダ、3つ。
線形変換器、4つ。
床のボルト留めした剛性支承部、5箇所。
3つの支承部にボルト留めした1つのC10×30剛性チャネル。
オメガデジタルメータ、1つ。
オメガ圧力変換器、1つ。
6フィート(1.83m)I形鋼、2つ。
【0242】
手順
荷重点で油圧シリンダを使用して荷重を発生させた。データ取得機器及び圧力変換器で加えた力を測定した。加えた力を添付のデータシートに永久的に記録した。油圧を加えて荷重を発生させて、デジタルメータ上で必要な荷重が示されるまで、機械的な力を生成した。荷重が増加しなくなるまで、床アセンブリ全体に一定の割合で荷重を加えた。
【0243】
試験結果
表37は試験結果の要約である。
【表43】

【0244】
図35〜図37は、表37に要約された値を生成するために使用した変位データに対する荷重をポンドで示す。
【0245】
図35は、4インチ〜12インチ(10.2〜30.5cm)の固定スケジュールで3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルを使用した、AISI TS−7片持ち式床ダイヤフラム試験からのデータを示す。
【0246】
図36は、6インチ〜12インチの固定スケジュールで、3/4インチ(1.9cm)合板と比較して3/4インチ(1.9cm)のSCPパネルを使用した、AISI TS−7片持ち式床ダイヤフラム試験からのデータを示す。図37は、3/4インチ(1.9cm)SCPパネルを接着剤と使用した、AISI TS−7片持ち式床ダイヤフラム試験からのデータを示す。
【0247】
表38〜表47は、増分が0.001インチの図35、図36及び図37のデータを表形式で示す。
【表44】


【表45】


【表46】


【表47】


【表48】


【表49】


【表50】


【表51】


【表52】


【表53】

【実施例9】
【0248】
表48は、シージングとしてFORTACRETEブランドの構造セメント質パネルを用いた、冷間成型鋼製枠壁のラッキングせん断性能に関する試験を示す。結果はASTM E 72壁ラッキング試験とAISI TS−07片持ち式試験の両方を含んだ。その結果は、ブロックした試験体及びブロックしていない試験体を含み、呼びせん断強度が約450lbs/ft(670kg/m)〜1100lbs/ft(1640kg/m)以上の範囲である。
【0249】
安全係数2.5を使用すると、パネルの方向及び、転び止めが使用されているかに応じて、約180lbs/ft(268kg/m)〜450lbs/ft(670kg/m)以上の範囲の許容せん断強度を生じる。
【0250】
留め具の間隔を狭め、さらなる転び止めを追加するか、又はスタッドの両側にFORTACRETEブランドの構造セメント質パネルを配置することによって著しく高い2倍以上のせん断荷重を獲得することができた。(これらの試験は全て、FORTACRETEブランドの構造セメント質パネルを片側のみに配置して行われた)。その結果により、FORTACRETEブランドの構造セメント質パネルでシージングした冷間成型鋼製壁が、居住及び軽商業建築物で横及び/又はせん断荷重に抵抗するのに十分に貢献する十分なせん断容量をもたらすことを証明する。
【0251】
ASTM E 72試験を、垂直の姿勢の壁と向けられた壁に行った。壁スタッドは、深さ3・5/8インチ(9.2cm)、フランジが長さ1・5/8インチ(4.12cm)で16ゲージ鋼製である。幅3・5/8インチ(9.2cm)、脚部1・1/4インチ(3.2cm)、16ゲージ鋼製の標準的なランナートラックを使用した。各フランジの上部及び底部で壁スタッドをランナートラックに単一のねじで固定した。全体が4フィート×8フィート(122×244cm)のFORTACRETE構造パネルのシートを各試験体に使用した。全ての試験体の枠組みの一方のみを覆った。Steel Stud Manufacturers Association Product Technical Information、Copyright 2001、page50に記載の、冷間圧延水平ブレースに関するSteel Stud Manufacturers Association(SSMA)の要件に従って、壁を固定した。1・1/2インチ(3.8cm)のクリップアングルを使用して、ブリッジングをスタッドに取り付けた。シージングを枠組みに取り付けるのに使用したねじは、#8〜18×1・5/8インチ(4.1cm)長さのウイング付き穴あけ機Grabber Super Drive Lox Driveねじアイテム番号CH58158JBWG2であった。壁スタッドをトラック及びブリッジングに取り付けるのに使用したねじは、セルフドリリングなべ頭#8シートメタルねじであった。
【0252】
水平姿勢に配置された試験装置に対してAISI TS−07試験を行った。それらにかかる片持ち式荷重により、その結果を垂直姿勢の壁にも適用可能にする。AISI TS−07試験装置の詳細は実施例8に上記で説明した。
【0253】
表48のデータでは、全ての試験パネルを、心々24インチ(61cm)間隔の3・5/8インチ(9.2cm)16ゲージ鋼製スタッド枠組み上に載せた。全ての試験パネルを、外周では心々6インチ(15cm)、領域では心々12インチ(30cm)間隔に配置された留め具で枠組みに取り付けた。「FS」は安全係数を表し、FS2.5はこのような特定の組の試験で使用した。表48は以下の単位でパラメータを表す。以下の単位とは、極限荷重(ポンド)、せん断強度(ポンド/リニアフィート)、剛性(ポンド/リニアフィート)である。
【表54】

【0254】
金属枠上の繊維強化構造セメントパネルの水平ダイヤフラムを用いたシステムの特定の実施形態を示し説明してきたが、より広範の態様で、以下の特許請求の範囲に記述されたような本発明から逸脱することなしに、これを変形及び改変することができることが当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直壁及び水平床からなる群から選択された少なくとも1つの外壁を備える、商業用又は居住用建築物の基礎であって、
前記少なくとも1つの外壁が、金属枠上で支持され、
前記少なくとも1つの外壁の少なくとも一部分が、地盤レベルより下にあり、前記少なくとも1つの外壁が、少なくとも1つの寸法的に安定した軽量強化セメント質パネルを具備し、
前記枠が、波形の金属シート、金属根太及び金属スタッドからなる群から選択された少なくとも1つの金属枠組み部材を具備し、
前記パネルが、密度65〜90ポンド/立方フィートであり、枠組みに固定されるときはせん断荷重に抵抗することができ、乾燥ベースで、35〜70重量%の反応性粉末、20〜50重量%の軽量充填材、及び5〜20重量%のガラス繊維を含む水性混合物の硬化によって得られる連続相を含み、前記連続相が、ガラス繊維で強化され、前記軽量充填材粒子を含み、前記軽量充填材粒子の粒子比重が0.02〜1.00であり、平均粒子寸法が約10〜500ミクロン(マイクロメートル)である、商業用又は居住用建築物の基礎。
【請求項2】
前記連続相が、乾燥ベースで、35〜75重量%の硫酸カルシウムアルファ型半水和物、20〜55重量%の水硬性セメント、0.2〜3.5重量%の石灰、及び5〜25重量%の活性ポゾランを含む反応性粉末の水性混合物の硬化によって得られ、前記連続相が、耐アルカリ性ガラス繊維で一様に強化され、一様に分布したセラミック微小球を含む一様に分布した軽量充填材粒子を含む、請求項1に記載の基礎。
【請求項3】
前記セラミック微小球の平均粒子寸法が、50〜250ミクロン及び/又は粒子寸法が10〜500ミクロンの範囲に入る、請求項2に記載の基礎。
【請求項4】
前記パネルが、35〜58重量%の反応性粉末、6〜17重量%のガラス繊維、及びそれぞれ乾燥ベースで、34〜49重量%の、セラミック微小球、ガラス微小球、フライアッシュセノスフェア又はパーライトからなる群から選択された前記軽量充填材のうち少なくとも1つから形成されている、請求項1に記載の基礎。
【請求項5】
前記床及び壁が、セメント質パネルを備える、請求項1に記載の基礎。
【請求項6】
前記壁がセメント質パネルを備え、前記床が打設したセメントを備える、請求項1に記載の基礎。
【請求項7】
前記パネルが、それぞれ乾燥ベースで、42〜68重量%の反応性粉末、5〜15重量%のガラス繊維、23〜43重量%のセラミック微小球、及び0〜1.0重量%のガラス微小球の混合物から形成される、請求項1に記載の基礎。
【請求項8】
前記パネルが、乾燥ベースで、35〜75重量%の硫酸カルシウムアルファ型半水和物、20〜55重量%の水硬性セメント、0.2〜3.5重量%の石灰、5〜25重量%の活性ポゾランを含む反応性粉末の水性混合物の硬化によって得られる連続相を含む芯を備え、前記連続相が、耐アルカリ性ガラス繊維で一様に強化され、一様に分布したセラミック微小球を含む軽量充填材を含み、
前記パネルがさらに、少なくとも1つの外層を備え、前記各外層が、乾燥ベースで、35〜75重量%の硫酸カルシウムアルファ型半水和物、20〜55重量%の水硬性セメント、0.2〜3.5重量%の石灰、及び5〜25重量%の活性ポゾランを含む反応性粉末の水性混合物の硬化によって得られる連続相を含み、前記連続相が、耐アルカリ性ガラス繊維で一様に強化され、軽量充填材粒子の粒子比重が、0.02〜1.00であり、平均粒子寸法が約10〜500ミクロン(マイクロメートル)であり、少なくとも1つの外層の相密度が、前記芯に対して減少している、請求項2に記載の基礎。
【請求項9】
前記基礎の外壁が、SCPパネルの第1及び第2の層を備え、前記第1の層の継ぎ目が、前記第2の層の継ぎ目に対してずれている、請求項8に記載の基礎。
【請求項10】
前記パネルの厚さが約1/4〜1・1/2インチ(6.3〜38.11mm)である、請求項1に記載の基礎。
【請求項11】
前記壁用の金属枠が、互い違いに配置されたスタッドを備える、請求項1に記載の基礎。
【請求項12】
前記ガラス繊維が、直径約5〜25ミクロン(マイクロメートル)、長さ約0.25〜3インチ(6.3〜76mm)のモノフィラメントである、請求項1に記載の基礎。
【請求項13】
前記パネルの乾燥密度が、65lb/ft(1.04g/cc)〜90lb/ft(1.44g/cc)であり、48時間水に浸漬した後の曲げ強度が、ASTM C 947試験で測定したときに、少なくとも1650psi(11.4MPa)である、請求項1に記載の基礎。
【請求項14】
前記水硬性セメントがポルトランドセメントである、請求項2に記載の基礎。
【請求項15】
前記反応性粉末が、45〜65重量%の硫酸カルシウム半水和物、25〜40重量%の水硬性セメント、0.75〜1.25重量%の石灰、及び10〜15重量%の活性ポゾランを含む、請求項1に記載の基礎。
【請求項16】
前記システムが、10フィート×20フィート(3.05×6.1m)の金属枠に固定された厚さ3/4インチ(19mm)のパネル上に、2インチ(5.08cm)の水頭を24時間維持する試験で水にさらしたときに、水の吸収が0.7ポンド/平方フィート以下である、請求項1に記載の基礎。
【請求項17】
10フィート×20フィート(3.05×6.1m)の金属枠に取り付けられた、幅10フィート×長さ20フィート×厚さ3/4インチ(3.05×6.1m×1.9cm)の前記パネルのダイヤフラムが、金属枠に固定されたSCPパネル上に24時間にわたって維持した2インチ(5.08cm)の水頭にさらされたときに、膨張が5%以下である、請求項1に記載の基礎。
【請求項18】
前記パネルが、
前記連続相を含む芯層と、
乾燥ベースで、35〜70重量%の反応性粉末、20〜50重量パーセントの軽量充填材、及び5〜20重量%のガラス繊維を含む水性混合物の硬化によって得られる、それぞれ他の連続相から作製される、少なくとも1つの外層と
を備え、
前記連続相が、ガラス繊維で強化され、軽量充填材粒子を含み、前記軽量充填材粒子が、前記内層の対向する各側面上で、粒子比重0.02〜1.00、平均粒子寸法約10〜500ミクロン(マイクロメートル)であり、前記少なくとも1つの外層のガラス繊維の割合が前記内層より高い、請求項1に記載の基礎。
【請求項19】
第1の前記パネルの第1の縁部が第1の溝を有し、第2の前記パネルの第2の縁部が第2の溝を有し、前記第1の溝及び前記第2の溝が互いに対向し且つ隣接し、支持ロッドを含む、請求項1に記載の基礎。
【請求項20】
第1の前記枠組み部材及び第2の前記枠組み部材が互いに隣接し、ガスケットが、前記第1の枠組み部材と前記第2の枠組み部材の対向する側部間に配置される、請求項1に記載の基礎。
【請求項21】
波形の金属シート状に配置された前記パネルを具備する床を備える、請求項1に記載の基礎。
【請求項22】
金属スタッドに取り付けられた前記パネルを具備する直線の壁部分と、
金属スタッドに取り付けられたコーナー部品と
を備え、
前記コーナー部品が、L字形断面を画定する、寸法的に安定した軽量強化セメント質パネルの脚部を具備し、
前記パネルが、前記コーナー部品の外側の角で結合する外面の第1の表面レリーフと、前記コーナー部品の内側の角で結合する内面の第2の表面レリーフとを有し、
前記コーナー部品の2つのパネルが、前記表面レリーフに埋め込まれた繊維ガラスポリマーセメントを使用して接合されて、単一のコーナーパネルを作り、
前記単一のコーナーパネルの仕上がりパネル厚さが前記直線の壁部分のパネルと同じ寸法である、請求項1に記載の基礎。
【請求項23】
前記少なくとも1つの外壁が少なくとも1つの前記垂直壁であり、少なくとも1つの前記垂直壁の外面上に、液体塗布式のビチューメンタイプの防水バリア及び接着した防水ポリマーシートからなる群から選択された1層の防水材料をさらに備える、請求項1に記載の基礎。
【請求項24】
少なくとも1つの水平外側床部材を備える、商業用又は居住用建築物の基礎床システムであって、
前記少なくとも1つの床部材が、金属枠上で支持され、
前記少なくとも1つの床部材の少なくとも一部分が、地盤レベルより下にあり、前記少なくとも1つの床部材が、寸法的に安定した軽量強化セメント質パネルを具備し、
前記枠が、金属根太、金属スタッド及び波形の金属シートからなる群のうち少なくとも1つの部材を具備し、
当該基礎床システムがさらに、
前記床部材を伝達する前記枠が直接その上に載るフーチングを備え、
前記パネルが、密度65〜90ポンド/立方フィートであり、枠組みに固定されるときはせん断荷重に抵抗することができ、乾燥ベースで、35〜70重量%の反応性粉末、20〜50重量%の軽量充填材、及び5〜20重量%のガラス繊維を含む水性混合物の硬化によって得られる連続相を含み、前記連続相が、ガラス繊維で強化され、前記軽量充填材粒子を含み、前記軽量充填材粒子が、粒子比重0.02〜1.00、平均粒子寸法約10〜500ミクロン(マイクロメートル)である、商業用又は居住用建築物の基礎床システム。
【請求項25】
心々16インチ(406.4mm)間隔にわたって、ASTM 661及びAPA S−1試験方法による試験を行うときに、厚さ3/4インチ(19mm)の前記パネルでは、荷重が200lb(90.9kg)の場合に、静荷重で極限荷重容量が550lb(250kg)より大きく、衝撃荷重で極限荷重容量が400lb(182kg)より大きく、静荷重でも衝撃荷重でもたわみが0.078インチ(1.98mm)より小さい、請求項24に記載の基礎床システム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのパネルが、前記基礎床ダイヤフラムの一部であり、前記基礎床ダイヤフラムの水平設計せん断容量が、300〜1000ポンド/リニアフィートである、請求項24に記載の基礎床システム。
【請求項27】
10フィート×20フィートの金属枠に固定された厚さ3/4インチのSCPパネルの上に、2インチの水頭が24時間にわたって維持される試験で水にさらしたときに、当該基礎床システムの前記水平せん断ダイヤフラムの荷重伝達容量が25%以下の低下である、請求項24に記載の基礎床システム。
【請求項28】
密度65〜90ポンド/立方フィートであり、枠組みに固定したときにせん断荷重に抵抗することができるSCPパネルであって、
乾燥ベースで、35〜70重量%の反応性粉末、20〜50重量%の軽量充填材と、5〜20重量%のガラス繊維を含む水性混合物の硬化によって得られる連続相を含み、
前記連続相が、ガラス繊維で強化され、前記軽量充填材粒子を含み、前記軽量充填材粒子が、粒子比重0.02〜1.00、平均粒子寸法約10〜500ミクロン(マイクロメートル)であり、
当該SCPパネルが、対向する第1及び第2の縁部を有し、前記第1の縁部が第1の溝を有し、前記第2の縁部が第2の溝を有し、支持ロッドが、前記第1の溝及び前記第2の溝からなる群のうち少なくとも1つの部材に配置される、SCPパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate


【公表番号】特表2009−542940(P2009−542940A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518196(P2009−518196)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/014674
【国際公開番号】WO2008/002511
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】