説明

基礎インスリン療法を算出する分析物試験方法及び装置

ここに記載されているのは、治療用糖尿病プロトコルの安全性及び順守を確実にする様々な方法である。本方法は、複数のデータに基づいて、基礎インスリン投与量におけるいずれかの変更の前に、ユーザーの低血糖症に対して安全措置を実施することによって達成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は米国特許法109条及び/又は120条に基づき2009年6月30日に出願された先出願の米国仮特許出願第61/222,006号の利益を主張するものであり、これらの出願はその全体が参照により本願に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
糖尿病を罹患する患者へのインスリン療法の導入及び管理は、それを行うための従来の方法及び装置が複雑なため、患者の手に負えず、供給者にとって重荷である場合がある。患者の相当な訓練が必要であり得る。患者は、例えば、低血糖症管理、注入、及びインスリン投与装置の適切な使用、並びに血糖測定器を使用する機械的、電気的、及びソフトウェアに関する側面を含む、様々な概念及び働きを学ぶ必要があり得る。また、患者は、規則的な(例えば、食事毎、毎日、週2回、又は週1回の頻度)インスリン投薬量の開始及び調整における医師の指示に従うよう努めなければならない。
【0003】
所定の血糖試験及びインスリン滴定プロトコルに関する詳細な指示は、典型的には、医療専門家によって書面化され、一枚の紙に印が付けられる。患者は、手書きの記録を付けて従うことが多い。インスリン療法を始めた後でさえも、患者の血糖管理が良くないことは珍しいことではない。ユーザーは、現在及び以前のグルコース測定をもとに、就寝前にどれくらいのインスリンをとるべきかを判定するのが困難である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願者ら、自己投与インスリン治療における安全措置に対する必要性が存在するということを認識している。この必要性を満足させると考えられている解決法を提供するにあたり、本出願者らは、携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニットを用いたユーザーの糖尿病の管理の方法を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
データ管理ユニットは、分析物試験センサ、メモリに連結されたプロセッサ、及びディスプレイを有する。本方法は、分析物試験センサを用いて、ユーザーの複数の血糖濃度値を複数の期間にわたって測定することと、携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニットを用いて、複数の空腹時の血糖濃度値を表すデータを回収することと、回収されたデータから、ユーザーが4つの所定の期間のうちの少なくとも1つ内で、最小数の空腹時の血糖濃度測定を実施したがどうかを確認することと、回収されたデータが、第1低血糖濃度パターン、及び第1低血糖濃度パターンよりも低い第2低血糖濃度パターンのうちの1つを示しているかどうかを判定することと、ユーザーの第1低血糖濃度パターン及び第2低血糖濃度パターンのうちの少なくとも1つの判定の際に、携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニットのディスプレイスクリーンに安全通知を表示することと、によって達成され得る。
【0006】
更なる実施形態では、携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニットを用いて、基礎インスリン投与量の変更を保護する方法が提供される。データ管理ユニットは、テストセンサ、メモリに連結されたプロセッサ、及びディスプレイを有する。本方法は、携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニットのテストセンサにより測定された時、複数の空腹時の血糖濃度値を表すデータを回収することと、複数のデータに基づいて、基礎インスリン投与量におけるいずれかの変更の前に、ユーザーの低血糖症に対して安全措置を実施することと、安全措置が完了すると、複数の空腹時の血糖濃度値から、少なくとも3つの連続する空腹時のグルコース濃度の関数として、現在の基礎インスリン投与量において変更なし、現在の基礎インスリン投与量において増加又は減少のうちの1つを推奨することと、によって達成され得る。
【0007】
これら及び他の実施形態、特徴並びに利点は、以下に述べる本発明の実施形態のより詳細な説明を、はじめに下記に簡単に述べる付属の図面とあわせて参照することによって当業者にとって明らかになるであろう。
【0008】
本明細書中に用いた明細書の一部をなす添付図面は、本発明の好適な実施形態を示したものであって、上記に述べた一般的説明及び以下に述べる詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態に基づく、分析物の測定及び管理装置、治療用投与装置、及びデータ/通信装置を含む糖尿病管理システムを図示する図。
【図2】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態に基づく、分析物の測定及び管理装置の回路基板の上部を図示する図。
【図3】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態に基づく、分析物の測定及び管理装置の回路基板の下部を図示する図。
【図4】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態による、インスリンポンプの機能要素の概略図。
【図5】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態による、基礎インスリン療法を提供するための分析物の測定及び管理装置のユーザーインターフェース。
【図6】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態による、基礎インスリン療法を起動するため及びセットアップするための方法の実施形態を示すフローチャート。
【図7】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態による、グルコースを測定するための方法の実施形態を示すフローチャート。
【図8】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態による、パターンを認識するため、及び基礎インスリン療法中のユーザーへの警告メッセージを提供するための方法の実施形態を示すフローチャート。
【図9】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態による、基礎療法のためのインスリンの量を増加させる又は減少させるための方法の実施形態を示すフローチャート。
【図10】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態による、基礎療法のためのインスリンの量を増加させる又は減少させるための方法の他の実施形態を示すフローチャート。
【図11】本明細書で述べ、図示する例示的な一実施形態に基づく、図10の方法のためのユーザーインターフェースのスクリーンショット。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、特定の例示の実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。詳細な説明は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として説明するものである。この説明文は、当業者による発明の製造及び使用を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0011】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその所望の目的に従って機能することを可能とするような適当な寸法の許容誤差を示すものである。更に、本明細書で用いる「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、及び「被験者」という用語は任意のヒト又は動物の被験対象を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における本発明の使用は好ましい実施形態を代表するものである。
【0012】
本明細書に記載及び説明する実施形態は、どのように基礎インスリン療法を調整するかに関して、訓練を簡素化し、患者を案内する、分析物(例えば、血糖)測定及び管理装置、並びに関連した方法を提供する。かかる方法はまた、潜在的な問題が存在する時及び医師と連絡を取るべき時をユーザーに通知する。分析物測定及び管理装置、並びにシステムの実施形態は、所定の分析物管理計画に従うことが患者にとってどのように効果的であるかに関する洞察を提供する情報を収集する、体系化する、及び格納することによって、医療提供者(例えば、医師)にも有益である。
【0013】
一実施形態では、医療提供者(「HCP」)は、患者が繰り返して(例えば、毎日就寝前)、基礎インスリンをとるということを指示する場合がある。基礎インスリンは、定期的及び連続的なグルコース代謝を説明するのに必要なバックグラウンドインスリンを指す場合がある。典型的に基礎インスリンは、長期的に続く又は中期的に続くインスリンタイプの注入を指す。患者のグルコース濃度値がハイポ、すなわち高血糖性である場合、HCPは、基礎インスリンを増加させる又は減少させることを推奨する場合がある。しかしながら、本出願人は、特定の時間に対して、正確にどれくらい基礎インスリンを増加させるか、又は減少させるかを判定するための方法は、一般のユーザーにとっては伝わりにくいと考える。この問題を更に悪化させるように、インスリン投与量を誤って過度に増加させるユーザーは、深刻な生理学的悪影響を引き起こす場合がある。インスリン基礎投与量を増加させるか、又は減少させるかを判定することは、低血糖又は高血糖性の十分な数の空腹時のグルコース濃度値に基づく場合がある。更に、増加又は減少の量は、低血糖又は高血糖性測定の規模に基づく場合がある。
【0014】
図1は、分析物測定及び管理装置10、治療用投与装置(28及び48)、並びにデータ/通信装置(68、26、及び70)を含む糖尿病管理システムを示す。分析物測定及び管理装置10は、本明細書で記載のように、携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニット、すなわちDMU、例えばインスリンペン28、インスリンポンプ48、携帯電話68で、又はパーソナルコンピュータ26若しくはネットワークサーバー70と通信する例示の携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニット装置の組み合わせを通じて、無線で通信するように構成されてもよい。本明細書で使用する時、用語「DMU」は、個々のユニット10、28、48、68を別々に、又は疾患管理システムにおいて共に使用可能である携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニット(28、48、68)全てのいずれかを表す。更に、分析物測定及び管理装置、すなわちDMU 10は、グルコース測定器、測定器、分析物測定装置、インスリン送達装置、又は分析物試験及び薬剤送達装置の組み合わせを含むことを意図されている。
【0015】
図1に示されるように、DMU 10は、ハウジング11、ユーザーインターフェースボタン(16、18、及び20)、ディスプレイ14、ストリップポート22、及びデータポート13を含むことができる。ユーザーインターフェースボタン(16、18及び20)は、データの入力、メニューのナビゲーション、及びコマンドの実行を可能とするように構成することができる。具体的には、ユーザーインターフェースボタン(16、18及び20)には、第1のユーザーインターフェースボタン16、第2のユーザーインターフェースボタン18、及び第3のユーザーインターフェースボタン20が含まれる。ユーザーインターフェースボタン(16、18及び20)には、ユーザーがユーザーインターフェースをナビゲートすることを可能にする第1のマーキング17、第2のマーキング19、及び第3のマーキング21がそれぞれ含まれる。入力されるデータには、分析物の濃度を表す値(すなわち個人の日常の生活習慣に関連した情報に連結される分析物の濃度値という意味で)が含まれ得る。日常の生活習慣に関連した情報は、日又は週の特定の時間にユーザーの分析物の濃度値に組み合わされて、すなわちこれと「タグが付けられて」、個人の食物の摂取、薬の使用、健康診断の実施、並びに一般的な健康状態及び運動レベルを含むことができる。
【0016】
DMU 10の電子要素は、ハウジング11内部の回路基板34上に配置され得る。図2及び3は、回路基板34の上面及び下面に配置された電子要素をそれぞれ図示している。上面において、電子要素には、試験ストリップ24の試験ストリップコネクタ部分を受容するように構成されたストリップポート22、オペアンプ回路35、マイクロコントローラ38、ディスプレイコネクタ14a、不揮発性メモリ40、クロック42、及び第1無線モジュール46が挙げられる。下面において、電子要素には、バッテリーコネクタ44a及びデータポート13が挙げられる。マイクロコントローラ38は、ストリップポート22、オペアンプ回路35、第1無線モジュール46、ディスプレイ14、不揮発性メモリ40、クロック42、バッテリーコネクタ344a、データポート13、及びユーザーインターフェースボタン(16、18及び20)に電気的に接続することができる。
【0017】
オペアンプ回路35は、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を与えるように構成された2つ以上のオペアンプであってもよい。ポテンシオスタット機能とは、試験ストリップの少なくとも2つの電極間に試験電圧を加えることを指し得る。電流機能とは、加えられた試験電圧によって生じる試験電流を測定することを指し得る。電流測定は、電流電圧変換器によって行うことができる。マイクロコントローラ38は、例えばTexas Instrument MSP 430などの混合シグナルマイクロプロセッサ(MSP)の形態であってよい。MSP 430は、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部を実施するように構成することもできる。更に、MSP 430は揮発性及び不揮発性メモリも含み得る。別の実施形態では、電子要素の多くを特定用途向け集積回路(ASIC)の形態でマイクロコントローラに組み込むことができる。
【0018】
ストリップポート22は、試験ストリップと電気的接続を形成するように構成することができる。ディスプレイコネクタ14aは、ディスプレイ14に取り付けるように構成することができる。ディスプレイ14は、測定された血糖値を報告し、生活習慣に関連した情報の入力を助け、並びにグラフィックデータ、画像結果、及び動画ビデオの操作のための液晶ディスプレイの形態であってよい。ディスプレイ14は、任意にバックライトを有してよい。データポート13は、接続リード線に取り付けられた適切なコネクタを受容することにより、DMU 10をパーソナルコンピュータなどの外部装置に接続することができる。データポート13は、例えば、シリアル、USB、又はパラレルポートなど、データ送信が可能な任意のポートであってもよい。クロック42は、時間を測定するように構成することができ、振動結晶の形態であってよい。バッテリーコネクタ44aは、電源に電気的に接続されるように構成することができる。
【0019】
一実施形態では、試験ストリップ24は、電気化学的グルコース試験ストリップの形態であり得る。試験ストリップ24は、1つ以上の作用電極及び対電極を含んでよい。試験ストリップ24は、複数の電気的接触パッドを更に含んでよく、その場合、各電極は少なくとも1つの電気的接触パッドと電気的に導通している。ストリップポート22は、電気的接触パッドと電気的に接続し、試験ストリップ24の電極と電気的な導通を形成するように構成されてもよい。試験ストリップ24は、少なくとも1つの電極上に配置されている試薬層を含んでよい。試薬層は、酵素及び調節物質を含み得る。試薬層に使用するのに適した例示的な酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(ピロロキノリンキノン補因子「PQQ」と共に)、及びグルコースデヒドロゲナーゼ(フラビンアデニンジヌクレオチド補因子「FAD」と共に)が挙げられる。試薬層に使用するのに適した例示的な調節物質としては、フェリシアニドがあり、この場合では酸化型である。試薬層はグルコースを酵素的副産物に物理的に変換させ、その過程でグルコース濃度値に比例した所定量の還元型調節物質(例、フェロシアニド)を生成するように構成することができる。この後、作用電極によって還元型調節物質の濃度を電流の形態で測定することができる。次いで、DMU 10は、電流の大きさをグルコース濃度値に変換することができる。
【0020】
再び図1を参照すると、インスリンペン28は、好ましくは細長く人の手で快適に扱えるような充分な大きさを有するハウジングを含んでもよい。ユーザーにより送達された投与量を記録するために、装置28には電子モジュール30が備えられている。装置28は、ユーザーから促されることなく自動的にDMU 10の第1無線モジュール46(図1及び2を参照)に信号を送信する、ハウジング内配置された第2無線モジュール32を含んでもよい。例示的な一実施形態における無線信号は、(a)投与される治療薬の種類、(b)ユーザーに送達される治療薬の量、又は(c)治療薬の送達の時間若しくは日付のデータを含むことができる。
【0021】
一実施形態では、治療用送達装置は「ユーザー起動型」の治療用送達装置の形態であってよく、この装置は、1回の治療薬送達を開始するために、装置とユーザーとの間で手による相互作用(例えば、ユーザーが装置のボタンを押すことによる)を必要とし、こうした手による相互作用がなければユーザーに治療薬を送達しない。そのようなユーザーが起動させる治療薬送達装置の非限定的な実施例は、同時係属の米国特許仮出願第61/040,024号(代理人整理番号LFS−5180);同第61/051,258号(代理人整理番号LFS−5183USPSP);同第61/082,106号(代理人整理番号LFS−5186)、及び表題「Analyte Measurement and Management Device and Associated Methods」、並びに、参照により全体が本明細書に組み込まれる同第61/089,343号(代理人整理番号DDI−5176USPSP)に記載されている。こうしたユーザー起動型の治療薬送達装置の別の非限定的な例は、インスリンペン28である。インスリンペンは、インスリンのバイアル又はカートリッジが装填され、使い捨て針に取り付けられる。インスリンペンの部分が再使用可能であってもよく、インスリンペンが完全に使い捨てであってもよい。インスリンペンはNovo Nordisk、Aventis、及びEli Lillyなどの会社から市販されており、Novolog、Humalog、Levemir及びLantusといった各種のインスリンと共に使用することができる。米国特許出願公開第2005/0182358号は、医療提供者からのプロトコルとあわせて使用するための薬剤送達装置を図示している。米国特許出願公開第2005/0182358号は、本明細書において参照により本出願に組み込まれる。
【0022】
図1を参照すると、治療用投与装置はまた、ハウジング50、バックライトボタン52、アップボタン54、カートリッジキャップ56、ボーラスボタン58、ダウンボタン60、バッテリーキャップ62、OKボタン64、及びディスプレイ66を含むポンプ48であってもよい。ポンプ48は、例えば血糖値を調節するためのインスリンなど薬物を分配するように構成することができる。
【0023】
図4を参照すると、ポンプ48は以下の機能要素、すなわち、ディスプレイ(DIS)66、ナビゲーションボタン(NAV)72、リザーバ(RES)74、赤外線通信ポート(IR)76、無線周波数モジュール(RF)78、電池(BAT)80、アラームモジュール(AL)82、及びマイクロプロセッサ(MP)84を含む。ナビゲーションボタン72には、アップボタン54、ダウンボタン60、及びOKボタン64が含まれる点に注意されたい。
【0024】
図5は、DMUのうちの1つ(例示としてここではDMU 10として示されている)において基礎インスリン療法を提供するユーザーインターフェース1001を図示する。一実施形態では、ユーザーインターフェース1001を実施するためのプログラム及び方法は、DMU 10の不揮発性メモリ40に保存することができる。ユーザーインターフェース1001のステップ及び指示は、DMU 10のディスプレイ14上に表示することができる。基礎インスリン療法は、推奨される基礎インスリン投与量を算出する及び/又は調整することができる。他の実施形態では、推奨される基礎インスリン投与量は、ユーザーにより摺動で、又はDMU 10からペン28まで無線で、インスリンペンまで伝えることができる。
【0025】
ユーザーインターフェース1001において、ユーザーは、基礎インスリン調整600(図6)を起動させる、又はグルコース試験700(図7)を実施するなど、特定の機能又はサブルーチンを選択することができ、すなわち、携帯用グルコース−インスリンデータ管理ユニットのテストセンサにより測定された時、複数の空腹時の血糖濃度値を表すデータを回収する。グルコース試験700を実施する時に、低血糖症800に対する安全措置を含む、以下のサブルーチンも実施することができ(図8)、これは複数のデータに基づいて調整900において、基礎インスリン投与量におけるいずれかの変更の前に、ユーザーの低血糖症に対する安全装置を実施する(図9)。基礎インスリン調整900は、実施形態900A又は900Bのいずれかによって表され得る(図9及び10を参照のこと)。基礎インスリン調整が起動されない場合は、ステップ800及び900は実施することができない。基礎インスリン調整600の起動は、HCP、糖尿病療養指導士、又はユーザーが設定をセットアップするように構成するのを可能にし、またグルコース測定器がステップ800及び900を実施するのを可能にする。低血糖症800に対する安全措置は、十分に低い頻度の空腹時のグルコース測定、及び低いグルコース読取りの有意な数などのパターンを識別することができ、これらのいずれかは、警告が出力されるようにすることができるか、又は基礎インスリン調整900の禁止を生じさせることができる。したがって、安全措置800が完了すると、現在の基礎インスリン投与量において変化なし、複数の空腹時の血糖濃度値から少なくとも3つの連続する空腹時のグルコース濃度値の関数として、現在の基礎インスリン投与量において増加又は減少のうちの1つを含み得る推奨が提供され得る。
【0026】
本出願者らは、グルコース測定器上での方法900の実施は、基礎インスリン投与量を調整するプロセスを簡素化させると考える。しかしながら、本出願者らはまた、本方法が測定器上に正しく設定され得るように、HCP又は糖尿病療養指導士が、事前にユーザーを訓練すべきであると考える。一実施形態では、DMUは、マイクロプロセッサによって実行され得る測定器のメモリ部分上で方法900を有する。HCP、すなわち糖尿病療養指導士は、特定のコードを入力して、測定器上でこの機能を解除することによって、方法900を測定器上で起動することができる。あるいは、ユーザーは、HCP、すなわち糖尿病療養指導士からコードを与えられた後に、測定器を解除してもよい。以下は、基礎インスリン調整を起動するための方法600を記載する。
【0027】
図6は、基礎インスリン調整を起動するため及びセットアップするための方法600の実施形態を示すフローチャートである。ユーザー、HCP、又は糖尿病療養指導士は、ステップ604に示されるように、メニューから基礎インスリンセットアップを選択することができる。基礎インスリンセットアップが、まだ起動されていない場合、ステップ606に示されるように、起動コードを入力しなければならない。一実施形態では、ユーザーが十分に訓練されている場合、起動コードは、測定器に入力され得る4桁の数字であってもよい。一実施形態では、HCP又は糖尿病療養指導士は、コードをDMUに直接入力することによって、又はインターネットを介して、DMUに接続されたパーソナルコンピュータを通じて入力することによって基礎インスリン調整を起動することができる。他の実施形態では、DMUはチップ、ドングル、電子キー、又は非電子キーを挿入することによって起動され得る。コードを入力した後、インスリンタイプ(ステップ608)、インスリン開始投与量(ステップ610)、許容可能な最大インスリン投与量(ステップ612)、第1インスリン投与増加量及び第2インスリン投与増加量(ステップ614及び616)、並びにインスリン投与量減少量(617)など、以下の情報が測定器に入力され得る。セッティングが設定された後、セッティングは、それが正確性を精査され得るように、ステップ618に示されるように、測定器のスクリーンに出力することができる。
【0028】
以下は、基礎インスリン調整のセットアップのための入力に関する詳細を提供する。ステップ608を参照して、インスリンタイプは、Lantus、NPH、Detemir、又は予備混合物であってもよい。ステップ610を参照して、開始インスリン投与量は、約10単位から約60単位までの範囲であってもよい。ステップ612を参照して、許容可能な最大インスリン投与量は、約50単位から約100単位までの範囲であってもよい。ステップ614及び616を参照して、第1インスリン増加は、約1〜約4単位の範囲であってもよく、第2インスリン増加は約2単位から約8単位の範囲であってもよい。ステップ616を参照して、第1インスリン減少は、約0から約10単位までの範囲であってもよい。
【0029】
図7は、患者又はユーザーの血糖を測定するための方法700の実施形態を図示するフローチャートである。患者又はユーザーは、ステップ702に示されるように、グルコース試験ストリップ24をDMU 10内に挿入することにより、メインメニュー1000からグルコース試験を選択することによってグルコース試験を開始することができる。次いで、ユーザーは、ステップ704に示されるように、試験ストリップに血液を塗布することによりグルコース試験を実施することができる。試験期間の後、ステップ706に示されるように、グルコース結果はDMU上に表示され得る。次いで、ユーザーは、ユーザーが6〜8時間食べていない期間に実施される時に、その試験にフラグを付けることができ(本明細書では「空腹時」の血糖と呼ばれる)あるいはステップ708において示されるように、空腹でない間に実施された試験にフラグを付けることができる。好ましい方法では、分析物試験センサを用いて、ユーザーの複数の血糖濃度値が複数の期間にわたって測定され、携帯用糖尿病データ管理ユニットを用いて、複数の空腹時の血糖濃度値を表すデータが回収される。次いで、現在のグルコース測定及び先の測定を含むデータを使用して、低血糖症800に対する安全措置が実施され得る。
【0030】
本出願者らは、ユーザーの低血糖症に対する保護のために、ユーザーの基礎インスリン投与量を調整するプロセスのために、安全措置が実施されるべきであると考える。図8に示されるように、方法800は、ユーザーが推奨される基礎投与量のインスリンを受け取らないようにさせる特定のパターンを認識するために使用することができる。ユーザーが十分な数の空腹時のグルコーステストを忘れた場合、又は十分な数の低グルコース濃度値を有する場合、測定器は、推奨される基礎インスリン投与量を出力しない場合があり、任意に基礎インスリン調整900(図9)を停止する又は禁止する場合がある。試験をしないことによって、又は空腹時としてグルコース測定にフラグ付けないことによって、ユーザーは十分な数の空腹時のグルコース試験をし忘れる場合がある。このように、回収されたデータから、ユーザーが4つの規定の時間周期のうちの少なくとも1つ内で、最低回数の空腹時の血糖濃度測定を実施したがどうかを確認される。
【0031】
再び図8を参照して、データ管理ユニットは、回収されたデータが、第1低血糖濃度パターン(ステップ818)、及び第1低血糖濃度パターン(ステップ824)よりも低い第2低血糖濃度パターンのうちの1つを示しているかどうかを判定することができる。特に、グルコース試験が実施された後、例えばユーザーが2つ以上の空腹時グルコース試験を最後の4日で忘れたかどうか(ステップ804)、空腹時のグルコース試験が昨日忘れられたかどうか(ステップ806)、空腹時のグルコース濃度値が連続する3日間で目標内であるかどうか(ステップ812)、空腹時のグルコース濃度値が連続する4日間で第1低値と低閾値との間であるかどうか(ステップ816)、及び空腹時のグルコース濃度値の結果が、連続する2日間で第1低値以下であるかどうかなど、測定器は一連のクエリーを実施することができる。
【0032】
第1低値は、約50mg/dL以下のグルコース濃度であってもよい。ステップ816及び820は空腹時のグルコース濃度を指すが、一実施形態では、方法800は、例えば食前、食後、就寝前、朝食前/後、昼食前/後、夕食前/後、及び運動前/後など、任意のグルコース濃度(すなわち、空腹時及び非空腹時)を使用することができる。
【0033】
ステップ816及び820を再び参照すると、連続する日は、第1グルコース測定を有する第1日、及び第2グルコース測定を有する第2日を含んでもよく、ここでは第1グルコース測定及び第2グルコース測定は、2つの測定が少なくとも第1の時間間隔により離されているように測定されていた。一実施形態では第1の時間間隔は、約2時間より大きい。グルコース濃度測定の間に最小時間を要求することによって、パターン認識安全措置800は、時期尚早にインスリンアルゴリズムを停止しない。例えば、2つのグルコース測定が1日目は午後11:45、及び次の日の午前12:01に実施された場合、方法800はこれらの2つのグルコース測定を連続する日にあるものとして特徴付けない。
【0034】
測定器は好ましくは、各グルコース測定と共に、日付、時間、フラグのタイプをメモリ部分に保存し、これはマイクロプロセッサが上記のクエリー(804、806、812、816、及び820)を実施するのを可能にする。すなわち、ユーザーの第1低血糖濃度パターン及び第2低血糖濃度パターンのうちの少なくとも1つの判定の際に(ステップ818又は824)、携帯用糖尿病データ管理ユニットのディスプレイスクリーン上に安全通知が表示される。特に、クエリー(804、806、812、816、及び820)が、全て否定である場合、DMU 10は、基礎インスリン調整900を使用して、推奨される基礎インスリン投与量を出力することができる。しかしながら、クエリー(804、806、812、816、及び820)が肯定である場合、DMU 10は、通知を出力することができ、かつユーザーにHCP又は糖尿病療養指導士と連絡を取ることを推奨し得る。他の実施形態では、最大インスリン投与量が使用された場合、インスリン調整の頻度が高すぎる場合、又はグルコース濃度値が一定期間十分に低血糖である場合、DMU 10は警告を出力し、基礎インスリン調整900を停止する又は禁止し得る。
【0035】
以下は、クエリー(804、806、812、816、及び820)のうちの1つが肯定的である場合の、ユーザーに提供されるメッセージを記載する。最後の4日で2つ以上の空腹時のグルコース試験が忘れられた場合(804)、DMU 10は、ステップ808に示されるように、試験における不履行の通知を出力し、HCPと連絡を取ることを推奨することができる。クエリー804は、HCP又はユーザーによって修正されて、必要とされる空腹時のグルコース測定の数及びクエリーに対して使用される日数を変更してもよい。空腹時のグルコース試験が昨日忘れられた場合(806)、DMU 10は、ステップ810に示されるように、忘れられた空腹時のグルコース試験の通知を出力し、朝に、朝食の前に試験をすることをユーザーに推奨することができる。空腹時のグルコース濃度値が、3つの連続する日で目標内である場合(12)、ステップ814に示されるように、DMU 10はユーザーが空腹時のグルコース濃度値目標に到達したというお祝いのメッセージを出力することができる。4つの連続する日に関して、空腹時のグルコース濃度値が50mg/dLと低閾値との間にある場合(816)、ステップ818に示されるように、DMU 10は、低測定が多すぎるという通知を出力し、ユーザーがHCPと連絡を取ることを推奨することができる。2つの連続する日に関して、空腹時のグルコース濃度値の結果が50mg/dL以下である場合(820)、DMU 10は、ステップ824に示されるように、非常に低いグルコース濃度値の通知を出力し、ユーザーができるだけ早くHCPと連絡を取ることを推奨することができる。任意に、基礎インスリン調整900は、ステップ818又は824のいずれかの発生の後、ステップ826において停止され得る。
【0036】
図9は、基礎療法のためのインスリンの量を増加させる又は減少させるための第1方法900Aの実施形態を図示するフローチャートである。一実施形態では、ユーザーは最初に約10単位の比較的低い基礎インスリン投与量を処方される場合があり、これは毎夕又は就寝前にとらなければならない。典型的に、空腹時のグルコースレベルが本質的に正常血糖領域にあり、HbA1cレベルもまた目標領域にある場合は、ユーザーは、基礎インスリン療法の利益を受容するために、約40単位〜約55単位を慎重に増加しなければならない。
【0037】
いったん低血糖症800に対する安全措置が実施されると、ステップ910に示されるように、DMU 10は、グルコース濃度値が低閾値以下であるかどうかを判定することができる。低閾値は約60mg/dL〜約100mg/dLの範囲、又は好ましくは約70mg/dLであってもよい。ステップ910はまた、HCP又はユーザーによって修正されて、1回のグルコース測定の代わりに、2回から3回の連続するグルコース測定が低閾値未満でなければならないということを要求してもよいということに留意されたい。空腹時のグルコース濃度値が低閾値未満である場合、ステップ912に示されるように、DMU 10は、現在の基礎インスリン投与量をDMU 10のディスプレイに出力することができる。いったんユーザーが現在の基礎インスリン投与量を確認すると、ステップ914に示されるように、DMU 10は、例えば約4単位など、第1減少だけインスリン投与量を減少させることができる。
【0038】
グルコース濃度値が低閾値以下でない場合、ステップ916に示されるように、DMU 10は、最後の3つの空腹時のグルコース測定が高閾値より高いかどうかを判定する。一実施形態では、要約スクリーンがステップ916の直前又は直後に表示されてもよく、ここでは最後の3つの空腹時のグルコース測定値がディスプレイ14上に表示され、最低値がハイライトされる。高閾値は約100mg/dL〜約140mg/dLの範囲、又は好ましくは約130mg/dLであってもよい。空腹時のグルコース濃度値が高閾値未満である場合は、ステップ918に示されるように、現在のインスリン投与量への変更は推奨されない。グルコース濃度値が高閾値より高い場合、ステップ920に示されるように、DMU 10は、DMU 10の現在の基礎インスリン投与量を出力することができる。いったん、ユーザーが現在の基礎インスリン投与量を確認すると、ステップ922に示されるように、DMU 10は、最後の3つの空腹時のグルコース測定が上限より高いかどうかを判定することができる。上限は約160mg/dL〜約200mg/dLの範囲、又は好ましくは約180mg/dLであってもよい。上限は、高閾値より高いということに注意されたい。ステップ916及び922はまた、HCP又はユーザーによって修正されて、異なる頻度の、連続する空腹時のグルコース測定が、異なる期間にわたって特定の範囲内であることを要求してもよいということに注意されたい。最後の3つの連続する空腹時のグルコース濃度値が上限未満ではあるが、高閾値より高い場合は、ステップ924に示されるように、DMU 10は、第1増加により増加されている(例えば、約2単位)新しいインスリン投与量を推奨してもよい。最後の3つの連続する空腹時のグルコース濃度値が上限より高い場合は、ステップ926(step 326)に示されるように、DMU 10は、第2増加により増加されている(例えば、約4単位)新しいインスリン投与量を推奨してもよい。一実施形態では、基礎インスリン投与量は、夜、就寝前にとられてもよい。
【0039】
図10は、基礎療法のためのインスリンの量を増加させる又は減少させるための第2の方法900Bの他の実施形態を図示するフローチャートであり、ここでは方法900Bが方法900Aの代わりに、又はこれと共に使用され得る。前と同様に、いったん低血糖症800に対する安全措置が実施されると、ステップ928に示されるように、DMU 10は、少なくとも3つの空腹時のグルコース測定がメモリ40にあるかどうかを判定することができる。少なくとも3つの空腹時のグルコース濃度値が存在する場合は、ステップ930に示されるように、DMU 10は、現在のインスリン投与量への変更の推奨を出力することができる。しかしながら、少なくとも3つの空腹時のグルコース濃度値がある場合、DMU 10は、少なくとも3つの空腹時のグルコース濃度をディスプレイ14上に表示することができ、ここではステップ932及び図11のスクリーンショットで示されるように、3つのうちの最も低いグルコース濃度値がハイライトされている。
【0040】
ステップ934に示されるように、DMU 10は次いで、3つのグルコース濃度値のうちの最低値が低閾値以下であるかどうかを判定することができる。最も低い空腹時のグルコース濃度値が低閾値未満である場合、ステップ936に示されるように、DMU 10は、第1の増加、例えば約4単位などによりインスリン投与量の減少を出力することができる。しかしながら、最低値が低閾値以下である場合、ステップ938に示されるように、DMU 10は、最低値が高閾値より大きく、かつ上限未満であるかどうかを判定する。
【0041】
ステップ940に示されるように、DMU 10は、第1の増加分(例えば約2単位)だけ高い新しいインスリン投与量を推奨することができ、ここでは最低値は、上限より高い。あるいは、ステップ942に示されるように、DMU 10は、最低値が上限よりも高いかどうかを判定することができる。最低値が上限より高い場合、ステップ944に示されるように、DMU 10は、第2増加分(例えば約4単位)だけ高い新しいインスリン投与量を推奨することができる。最低値が上限よりも大きくない場合、ステップ946に示されるように、DMU 10は、現在のインスリン投与量に対して変更しないことを推奨することができる。
【0042】
一実施形態では、方法1001は、先の空腹時のグルコース測定に基づいて調節されている、推奨基礎インスリン投与量を出力するために使用され得る。推奨投与量の情報は、DMU 10の第1無線トランシーバ46から、インスリンペン28の第2無線トランシーバに伝送され得る。インスリンペン28の投与量選択器は、推奨投与量を入力するためにユーザーがボタンを押すだけでよいように、推奨投与量に自動的に調整されてもよい。ユーザーがインスリンペン28上のボタンを押すと、これにより、信号がDMU 10に送信されて、時間、日付、及び投与量がDMUのメモリ部分に記録され得る。
【0043】
図1を参照して、パーソナルコンピュータ26は、DMU 10及びインスリンペン28と通信するために使用されてもよい。1つの実施例では、コンピュータ26はまた、モバイルネットワークを介して装置10又は28に接続されてもよい。あるいは、コンピュータ26は、例えば赤外線、Bluetooth(登録商標)又はWiFi等の短距離無線ネットワークを介した通信用に接続されてもよい。例示的に示したシステムでは、コンピュータ26は、糖尿病診療所又は病院内にて遠隔に配置されてもよく、それにより特定の糖尿病のユーザーの生理学的要求にカスタマイズされた所定の治療プロトコルを、そのようなユーザーに遠隔から移動させることができる。例えば、DMU 10上に基礎インスリン療法をセットアップすることは、コンピュータ26を使用しながら遠隔的に実施されてもよい。より具体的には、図3におけるステップ、例えばインスリンタイプを選択すること(208)、インスリン投与を開始すること(210)、最大インスリン投与(212)、インスリン投与増加及び減少は、コンピュータ26を使用して、遠隔で設定することができる。分析物測定デバイス10をローカル又はリモートコンピュータと連結することは、医療提供者による治療の改善を促進することができる。
【0044】
方法1001の基礎インスリン療法を効果的にするために、ユーザーは、空腹時のグルコース測定の実施、及び空腹時としてそのような測定にフラグ付けをすることに比較的高い順守性を有するべきである。したがって、予測プロセスは、DMU 10上で実施されて、空腹時として、ユーザーが空腹時のグルコース測定にフラグ付けをすることにおいて遵守性を増加させることができる。以下は、図7のステップ706において、グルコース結果を出力する前又はその後に、推奨するタイプのフラグのために実施され得る予測的なプロセスを記載する。いったん空腹時のフラグが推奨されると、ユーザーは推奨されたフラグを許可するか、又はそれを拒否するという選択肢を有する。正しいフラグを高い確率で推奨することによって、ユーザーは測定値を高い遵守性でフラギングするが、これは推奨を許可するために1つのボタンを押すだけでよいからであると、本出願者らは考える。
【0045】
一実施形態では、空腹時のフラグは、時間、日付、及び/又は過去のユーザーの試験パターンに基づいて推奨されてもよい。例えば、ユーザーが「空腹時」フラグを午前7時に複数回選択した場合、測定器は、午前7時頃実施される次の読取りに同じ「空腹時」フラグを提案する。一実施形態では、予測プロセスは少なくとも「n」グルコース読取りが、空腹時のフラグと共に同じ期間中に実施されることを要求してもよい。特定の時間間隔において一致するフラグを有する最小数のグルコース読取りが、ユーザー又は医療提供者により調整されてもよい。例えば、サブルーチンは、特定期間の最後の5つのグルコース読取りのうちの3つが、空腹時のフラグを有することを必要としてもよい。期間は、2時間の期間として定義されてもよいが、任意にユーザー又は医療提供者によって調整されてもよい。いったんユーザーが推奨される空腹時のフラグを提示されると、ユーザーはこの推奨を無効にするか、又はそれを許可する選択肢を有する。
【0046】
他の実施形態では、空腹時のフラグは試験がその日の最初の試験の場合である場合に、推奨され得る。DMU 10のマイクロプロセッサ及びクロックは、それが初めて起動される時を判定することができる。他の実施形態では、空腹時のフラグは、ユーザーが入力した食事時間のスケジュールにも基づいて推奨され得る。グルコース試験を実施する前に、ユーザーは、DMU 10のユーザーインターフェースを使用して、食事時間のスケジュールを入力してもよい。あるいは、デフォルトの食事時間のスケジュールを、工場で測定器のメモリ部分に保存してもよい。グルコース試験が、その日の最初の食事の前に実施された場合、空腹時のフラグが推奨され得る。他の実施形態では、グルコース試験が、その日最初の試験である場合、かつ、例えば午前6時から午前10時の間など午前中である場合、空腹時のフラグが推奨され得る。午前の時間間隔はユーザーによって定義されてもよく、又は測定器が製造された時にデフォルト設定が設定されてもよい。
【0047】
先に述べたように、マイクロプロセッサは、本明細書に記載の様々なプロセスのステップを一般的に実施するようにプログラムされてもよい。このマイクロプロセッサは、例えば、血糖値計、インスリンペン、インスリンポンプ、サーバ、携帯電話、パーソナルコンピュータ、又は移動携帯型装置などの特定の装置の一部であってよい。更に、本明細書で述べた様々な方法を用い、例えば、C、C+、C++、C−Sharp、Visual Studio 6.0、Windows(登録商標) 2000 Server及びSQL Server 2000などの既存のソフトウェア開発ツールを使用することによってソフトウェアコードを生成することができる。しかしながら、これらの方法は、こうした方法をコードするための新しいソフトウェア言語の必要条件及び入手可能性に応じて、他のソフトウェア言語に変換することもできる。更に、本明細書で述べた様々な方法は、適当なソフトウェアコードにいったん変換されれば、適当なマイクロプロセッサ又はコンピュータによって実行される際に、これらの方法において述べられた工程をあらゆる他の必要な工程と共に実行するように動作する、任意のコンピュータ読み出し可能な記憶媒体として実施することができる。
【0048】
本明細書では本発明の好ましい実施形態が図示、説明されているが、こうした実施形態はあくまで例として与えられたものであることは当業者には明らかであろう。例えば本発明は、ドッキングステーション及びグルコース測定器のみに適用されるのではなく、電源を必要とし、リセット可能な任意の電子装置、例えばインスリン注入ポンプ、継続的グルコース監視システムなどにも適用されてよい。本発明から逸脱することなく、多くの変形例、変更例、及び代替例が、当業者には思い浮かぶだろう。本発明の実施に際し本明細書で述べた本発明の実施形態には、様々な代替例を用い得る。以下の「特許請求の範囲」は発明の範囲を規定することを目的としたものであり、「特許請求の範囲」に含まれる方法及び構造並びにそれらの均等物をこれによって網羅することを目的としたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物試験センサ、メモリに連結されたプロセッサ、及びディスプレイスクリーンを有する携帯用糖尿病データ管理ユニットを用いて、ユーザーの糖尿病を管理する方法であって、前記方法は、
前記分析物試験センサを用いて、前記ユーザーの複数の血糖濃度値を複数の期間にわたって測定することと、
前記携帯用糖尿病データ管理ユニットを用いて、複数の空腹時の血糖濃度値を表すデータを回収することと、
回収された前記データから、前記ユーザーが4つの所定の期間のうちの少なくとも1つ内で、最小数の空腹時の血糖濃度測定を実施したがどうかを確認することと、
回収された前記データが、第1低血糖濃度パターン、及び該第1低血糖濃度パターンよりも低い第2低血糖濃度パターンのうちの1つを示しているかどうかを判定することと、
前記ユーザーの前記第1低血糖濃度パターン及び第2低血糖濃度パターンのうちの少なくとも1つの判定の際に、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記ディスプレイスクリーンに安全通知を表示することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1低血糖濃度パターン又は第2低血糖濃度パターンのいずれか1つが判定される時にはいつでも、インスリン送達装置及び前記携帯用糖尿病データ管理ユニットのうちの1つにおいて、基礎インスリン調整を禁止することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
連続する2日のグルコース濃度値の結果が、第1低値以下である場合に、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットにおける基礎インスリン調整が適切であるかを評価することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
連続する4日のグルコース濃度値の結果がそれぞれ、およそ低閾値とおよそ第1低値との間である場合には、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットにおける基礎インスリン調整が適切であるかを評価することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記連続する日が、第1のグルコース測定を有する第1日、及び第2のグルコース測定を有する第2日を含み、前記2つのグルコース測定は、少なくとも第1の時間間隔だけ離れている、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記グルコース濃度値の結果が、空腹時のグルコース値の結果を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の時間間隔が約2時間より大きい、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記確認することは、前記ユーザーの前記空腹時の血糖濃度値が、所定の期間において所定の目標内であるかどうかを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の期間が、およそ3つの連続する日を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記確認することは、前記ユーザーが第1の期間に少なくとも2回の空腹時の血糖試験を忘れたかどうかを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記判定することは、前記ユーザーが(a)前記第1の期間中に少なくとも2回の空腹時の血糖試験を忘れている場合、(b)試験に従っていない場合、又は(c)所定のインスリン投与量で続けている場合には、前記ユーザーに通知することと、
前記ユーザーが医療提供者と連絡を取ることを推奨することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記確認することは、前記ユーザーが空腹時の血糖試験の前に1日忘れているかどうかを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記判定することは、最後のグルコース濃度値の前が、第1低閾値未満である場合には、第1減少分だけ少ないインスリン投与量を推奨することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記判定することは、3つの先の連続する空腹時の血糖濃度値全てが、高閾値より高くない場合、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量を変更しないよう推奨することと、
前記3つの先の連続する空腹時の血糖濃度値全てが、上限より高い場合には、インスリンの第1増加分の増加を推奨すること、そうでない場合インスリンの第2増加分の増加を推奨することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記評価することは、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットに保存された、少なくとも3つの空腹時の血糖測定が存在するかどうかを判定することと、当てはまる場合は、現在のインスリン投与量を変更しないことを推奨し、そうでない場合は最後の3つの血糖濃度値を表示し、前記3つの値のうちの最低値がハイライトすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記判定することは、最低値が所定の低閾値未満であるかどうかを判定し、当てはまる場合は、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量よりも、減少値だけ低い値を有する、新しいインスリン投与量を表示することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記減少値が約4単位を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記判定することは、前記最低値が所定の高閾値よりも大きく、かつ所定の上限未満であるかどうかを判定し、当てはまる場合は、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量より高い増加値を有する、新しいインスリン投与量を表示することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記増加値が約2単位を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記判定することは、前記最低値が所定の上限より高いかどうか決定し、当てはまる場合は、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量より高い増加値を有する、新しいインスリン投与量を表示することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記増加値が約4単位を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
最近のグルコース濃度値を空腹時の測定値としてフラグ付けすることと、
最後の3つのグルコース濃度値が全て、高閾値より高いが、上限未満である場合には、第1増加分だけ高い推奨インスリン投与量を表示することと、
前記最後の3つのグルコース濃度値が全て前記上限より高い場合には、第2増加分だけ高い推奨インスリン投与量を表示することと、
前記ユーザーが4日間にわたって2回以上の空腹時のグルコース測定を忘れていてる場合には、基礎調整アルゴリズムを停止することと、
前記ユーザーが空腹時のグルコース測定を昨日忘れている場合には、警告メッセージを提供することと、
4つの連続する空腹時のグルコース濃度値が50mg/dL未満である場合には、前記基礎調整アルゴリズムを停止することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
試験センサ、メモリに連結されたプロセッサ、及びディスプレイを有する携帯用糖尿病データ管理ユニットを用いて、基礎インスリン投与量の変更を保護する方法であって、前記方法は、
前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記試験センサにより測定された時、複数の空腹時の血糖濃度値を表すデータを回収することと、
前記複数のデータに基づいて、基礎インスリン投与量におけるいずれかの変更の前に、前記ユーザーの低血糖症に対して安全措置を実施することと、
前記安全措置が完了すると、前記複数の空腹時の血糖濃度値から、少なくとも3つの連続する空腹時のグルコース濃度値の関数として、現在の基礎インスリン投与量において変更なし、該現在の基礎インスリン投与量において増加又は減少のうちの1つを推奨することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記ユーザーが、2つの所定の期間のうちの少なくとも1つ内で、最低回数の空腹時の血糖測定を実施したかどうかを、回収された前記データから確認して、インスリン送達装置及び携帯用糖尿病データ管理ユニットのうちの1つにおいて基礎インスリン調整を禁止することと、
回収された前記データが、第1低血糖濃度パターン及び第2低血糖濃度パターンのうちの1つを示しているかどうかを判定することと、
前記ユーザーの前記第1低血糖濃度パターン及び第2低血糖濃度パターンのうちの少なくとも1つの判定の際に、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットのディスプレイスクリーンに、対応する安全通知を表示することと、を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記判定することは、最後のグルコース濃度値の前が、第1低閾値未満である場合には、第1減少により減少されているインスリン投与量を推奨することと、
3つの先の連続する空腹時の血糖濃度値全てが、高閾値より高くない場合、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量を変更しないことを推奨することと、
前記3つの先の連続する空腹時の血糖濃度値全てが、上限より高い場合、インスリンの第1増加分の増加を推奨することと、そうでない場合インスリンの第2増加分の増加を推奨することと、を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記推奨することは、
前記携帯用糖尿病データ管理ユニットに保存された、少なくとも3つの空腹時の血糖測定が存在するかどうかを判定し、当てはまる場合は、現在のインスリン投与量を変更しないことを推奨し、そうでない場合は最後の3つの血糖濃度値を表示し、前記3つの値のうちの最低値がハイライトすることと、
前記最低値が所定の低閾値未満であるかを判定し、当てはまる場合は、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量よりも、減少値だけ低い値を有する、新しいインスリン投与量を表示することと、を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記減少値が約4単位を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記推奨することは、前記最低値が所定の低閾値より大きく、かつ所定の上限未満であるかどうかを決定し、当てはまる場合は、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量より高い増加値を有する、新しいインスリン投与量を表示することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記増加値が約2単位を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記推奨することは、前記最低値が所定の上限より高いかどうかを決定し、当てはまる場合は、前記携帯用糖尿病データ管理ユニットの前記メモリに保存された現在のインスリン投与量より高い増加値を有する、新しいインスリン投与量を表示することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記増加値が約4単位を含む、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−531950(P2012−531950A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517845(P2012−517845)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040309
【国際公開番号】WO2011/008520
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】