説明

基礎体温測定装置

【課題】基礎体温及び基礎体温に影響を与える情報を手軽に記録できる基礎体温測定装置を提供する。
【解決手段】温度センサ8は、体温測定タイミングになったときに、体温を測定する。人感センサ11は、検知開始タイミングから体温測定タイミングまでの検知期間において、人の動きを検知する。CPU2は、温度センサ8によって測定された体温と、人感センサ11によって検知された人の動きを示す検知情報とを対応付けてデータベース15に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の基礎体温を測定して記録する基礎体温測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康な女性の基礎体温を毎日継続的に測定すると、体温の低い期間(低温期)と体温の高い期間(高温期)の2つの期間があることが分かる。この2つの期間の周期は月経周期と密接に関係しており、月経周期とともに低温期と高温期が繰り返される。一般的な女性では、約14日周期で高温期と低温期が交互に繰り返される。高温期が終わり低温期に入る時に月経が始まる。したがって、女性は基礎体温を毎日記録して低温期と高温期を知ることで自分の月経周期を知ることができる。
【0003】
基礎体温を正確に測定しなければ、正確な月経周期を知ることができない。基礎体温の測定を正確に行うには、毎朝一定の時間に測定を行う必要がある。しかし、毎朝一定の時間に起きて体温を測定し、記録することは使用者にとって負担である。
【0004】
このような事情に鑑み、特許文献1には、基礎体温を測定できる携帯端末が記載されている。使用者は携帯端末が有する温度センサによって体温を測定することができる。また、携帯端末のタイマによって毎日決められた時間に体温測定を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−138439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基礎体温をより正確に測定するためには、毎日一定の時間に測定を行うことに加えて、一定時間以上の睡眠をとった後に測定を行う必要がある。しかし、睡眠の途中で起き、動いた後に再び寝る場合がある。このような場合、その後の起床時に測定する基礎体温に影響が出る可能性があるため、起きて動いたという記録を残すことが望ましい。しかし、起きて動いたことをその都度使用者自身が記録するのは手間がかかり、また、起きて動いたことを忘れている可能性もある。
【0007】
本発明の目的は、基礎体温及び基礎体温に影響を与える情報を手軽に記録できる基礎体温測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基礎体温測定装置は、
体温を測定するタイミングを示す体温測定タイミングを記憶する体温測定タイミング記憶部と、
人の動きを検知することを開始するタイミングを示す検知開始タイミングを記憶する検知開始タイミング記憶部と、
前記体温測定タイミングになったときに、体温を測定する体温測定部と、
前記検知開始タイミングから前記体温測定タイミングまでの期間を示す検知期間において、人の動きを検知する検知部と、
前記測定した体温と前記検知した人の動きを示す検知情報とを対応付けて記憶するデータ記憶部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基礎体温及び基礎体温に影響を与える情報を手軽に記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る携帯端末の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る携帯端末の外観図である。
【図3】実施形態1のデータベースの構成図である。
【図4】(a)は基礎体温測定がオンであることを通知する表示例を示す図であり、(b)は目覚まし時計に時刻を設定することを促す表示例を示す図であり、(c)は測定を促す表示例を示す図であり、(d)は測定開始ができないことを警告する表示例を示す図であり、(e)は測定が終了したことを通知する表示例を示す図である。
【図5】実施形態1において、基礎体温を測定してデータベースに記録するまでのCPUの処理を示すフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートに続くフローチャートである。
【図7】実施形態1において、データベースに記録された基礎体温データをグラフ化した表示例を示す図である。
【図8】実施形態1において、データベースに記録された基礎体温データを高温期になる日を基点にしてグラフ化した表示例を示す図である。
【図9】実施形態1において、データベースに記録された基礎体温データを低温期になる日を基点にしてグラフ化した表示例を示す図である。
【図10】(a)は実施形態1において、カレンダに直近の月経予定日を記載した場合の表示例を示す図であり、(b)はカレンダに数ヶ月先の月経予定日を記載した場合の表示例を示す図である。
【図11】(a)は実施形態1の人感センサの感知範囲を示す図であり、(b)は実施形態2の人感センサの感知範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素を均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0012】
本発明に係る基礎体温測定装置が実現されうる携帯端末として、例えば、携帯型の電話機やその他タッチパネルを備えた携帯端末が挙げられる。
【0013】
(実施形態1)
以下、図1〜図3を参照して、本実施形態に係る携帯端末1の構成を説明する。本実施形態の携帯端末1は筐体CAと筐体CBとから構成される折りたたみ式の携帯端末である。
【0014】
携帯端末1は、CPU(Central Processing Unit)2、通信部3、音声部4、表示部5、タイマ機能部6、メモリ7、温度センサ8、加速度センサ9、磁気センサ10、人感センサ11、操作キー12、予測部13から構成されている。
【0015】
CPU2は、携帯端末1の上記構成要素と接続されており、これらの構成要素との間で制御信号やデータのやりとりをする。また、CPU2は、メモリ7に記憶されたアプリケーションソフト14を実行する。
【0016】
通信部3は、他の携帯端末の通信部との間で所定のプロトコルに従ってデータの通信を行う。なお、通信部3は、所定のアクセスポイントを介してインターネット等の通信ネットワークに接続することができ、その場合には無線LAN(Local Area Network)に準拠したプロトコルに従って通信を行う。
【0017】
音声部4は、CPU2の制御下、所定の効果音や音声等を出力する。音声部4は、DAC(Digital to Analog Converter)、アンプ、スピーカ等からなり、図2に示すように、筐体CAの表示部5の上部に設けられている。
【0018】
表示部5は、CPU2の制御下、所定の画像を表示する。表示部5は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、図2に示すように、筐体CAの表面(携帯端末1を折り曲げた際に向かい合う面)に備えられている。
【0019】
図1に示すタイマ機能部6は、時刻や日付を管理する。具体的には、タイマ機能部6は、表示部5にカレンダを表示させる機能や、目覚まし時計の時間(起床するタイミングを示す起床タイミング)を設定する機能を有する。また、タイマ機能部6は、CPU2の要求に応答して、現在日時をCPU2に通知する機能、予め設定した時間(期間)をカウントし、CPU2へ通知する機能などを有する。
【0020】
メモリ7は、アプリケーションソフト14やデータベース15等のデータやプログラム等を記憶する。データベース15は、タイマ機能部6から取得した日付(日時)を示す日付情報と温度センサ8によって測定された温度(基礎体温)と後述するメモ情報71とを対応付けて基礎体温データとして、図3に示すように記憶する。アプリケーションソフト14は、携帯端末1の機能を実現するためCPU2が実行するソフトウェアである。
【0021】
温度センサ8は、温度を測定し、測定値をCPU2に通知する。本実施形態では、温度センサ8は、携帯端末1の筐体CBの裏面に設けられている。温度センサ8の分解能は、0.1度以上であることが望ましい。
【0022】
加速度センサ9は、携帯端末1が移動した場合に、移動時の加速度や3軸方向の動きを検出し、CPU2に通知する。CPU2は、加速度センサ9から通知された携帯端末1の移動方向と加速度の方向と、タイマ機能部6から取得した移動を検出していた時間とから、携帯端末1の移動距離を算出する。
【0023】
磁気センサ10は、携帯端末1の置かれている向きや角度などの状態を検出し、CPU2に通知する。
【0024】
人感センサ11は、携帯端末1の筐体CAの裏面に設けられ、赤外線により温度の高い物体(人体)が移動したことを検知し、CPU2に通知する。これにより、CPU2は、人が移動したか否かを判別する。
【0025】
操作キー12は、携帯端末1の筐体CBの表面に配置されたキースイッチ等を備え、使用者の操作に応じた操作信号をCPU2に供給する。なお、予測部13については、後述する。
【0026】
ここで、携帯端末1によって基礎体温を測定する際の処理の一例を、図4(a)〜図4(e)に示す携帯端末1の表示部5の表示例、及び図5、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0027】
まず、使用者は、所定の操作キー12を操作することにより、前述したアプリケーションソフト14を起動する旨を指示する。CPU2は、使用者の操作指示に応答して、アプリケーションソフト14を実行し、基礎体温測定をオンにする(ステップS51)。具体的には、CPU2は、図4(a)に示すように基礎体温測定がオンである旨(ON)を表示部5に表示する。続いて、CPU2はタイマ機能部6に目覚し時計の時刻が設定されているか否かを問い合わせることにより、目覚し時計の時刻が設定されているか否かを判別する(ステップS52)。
【0028】
目覚し時計の時刻が設定されていないと判別した場合(ステップS52;No)、CPU2は、図4(b)に示すように、目覚まし時計の時刻の設定を促す通知を表示部5に表示するとともに、音声部4に通知音を出力させる(ステップS53)。これにより、使用者が目覚まし時計の時刻(起床タイミング)を設定する。
具体的には、使用者は、操作キー12を操作して、起床タイミングを記憶する旨を指示する。CPU2は、使用者の操作指示に応答して、入力された起床タイミングをメモリ7に記憶する。
その後、CPU2は、ステップS52に処理を戻し、再度目覚まし時計が設定されているか否かを判別する。
【0029】
目覚まし時計の時刻を設定した後、使用者は自身の近くに携帯端末1の人感センサ11が上に向くように携帯端末1を置く。CPU2は、目覚し時計に設定された時刻の所定の時間(基礎体温を測定するために必要とされる睡眠の標準的な期間を示す標準睡眠期間)前から、人感センサ11を作動させる(ステップS54)。最低4時間以上の睡眠をとった後に基礎体温を測定することが望ましいので、本実施形態では所定の時間(標準睡眠期間)を4時間とする。なお、標準睡眠期間は、メモリ7に予め記憶されている。
具体的には、CPU2は、メモリ7に記憶された起床タイミングから、メモリ7に記憶された標準睡眠期間を減じることにより、人の動きを検知することを開始するタイミングを示す検知開始タイミングを算出してメモリ7に記憶する。CPU2は、タイマ機能部6から取得した現在の日時が、メモリ7に記憶された検知開始タイミングになっているか否かを判別する。そして、現在の日時が検知開始タイミングになっていると判別した場合、人感センサ11を作動させる。
【0030】
CPU2は、人感センサ11が使用者の動きを感知した場合、データベース15にその日付と、動いた情報を含むメモ情報71とを対応付けて記憶する(ステップS55)。動いた情報(検知情報)には、使用者が動いた時刻、動いた回数が含まれる。
【0031】
次に、CPU2は、タイマ機能部6に問い合わせることにより、目覚し時計に設定された時刻の所定の時間前になっているか否かを判別する(ステップS56)。ここで言う所定の時間(標準測定期間)は、温度センサ8が体温を測定するために要する標準的な期間であり、温度センサ8の性能によって変化する。本実施形態では一例として、所定の時間(標準測定期間)を5分とする。なお、標準測定期間は、メモリ7に予め記憶されている。
具体的には、CPU2は、メモリ7に記憶された起床タイミングから、メモリ7に記憶された標準測定期間を減じることにより、体温を測定するタイミングを示す体温測定タイミングを算出してメモリ7に記憶する。そして、CPU2は、タイマ機能部6から取得した現在の日時が、メモリ7に記憶された体温測定タイミングになっているか否かを判別する。
【0032】
CPU2は、目覚し時計に設定された時刻の5分前になっていないと判別した場合(ステップS56;No)、ステップS55に処理を戻し、使用者の動きの監視を続ける。CPU2は、目覚し時計に設定された時刻の5分前になったと判別した場合(ステップS56;Yes)、ステップS57に処理を進める。
【0033】
CPU2は図4(c)に示すように、測定を促す通知を表示部5に表示するとともに、音声部4に測定を促す通知音を出力させる。さらに、人感センサ11を停止し、磁気センサ10、加速度センサ9、及び温度センサ8を起動する(ステップS57)。
【0034】
使用者が基礎体温測定のために携帯端末1を手に取ったか否かを判別するため、CPU2は、磁気センサ10と加速度センサ9からの通知により、携帯端末1が移動したか否かを判別する(ステップS58)。携帯端末1が移動していないと判別した場合(ステップS58;No)、ステップS58に処理を戻し、CPU2はステップS57で行った測定を促す通知を続ける。
【0035】
携帯端末1が移動したと判別した場合(ステップS58;Yes)、CPU2は磁気センサ10と加速度センサ9から通知された移動方向、加速度、タイマ機能部6から取得した移動を検出していた時間に基づいて、携帯端末1の移動距離を算出し、その移動距離が予め設定された距離(閾値L)以下であるか否かを判別する(ステップS59)。本実施形態では一例として、この閾値Lを2メートルとする。なお、使用者は、操作キー12を操作して、事前に閾値Lを記憶する旨を指示することができる。CPU2は、使用者の操作指示に応答して、入力された閾値Lをメモリ7に記憶する。
【0036】
携帯端末1の移動距離が2メートルを越えたと判別した場合(ステップS59;No)、CPU2は、図4(c)に示すように、再度測定を促す通知を表示部5に表示するとともに、音声部4に測定開始を促す通知音を出力させる(ステップS60)。これは、使用者が基礎体温の測定を忘れて移動した可能性があるためである。
【0037】
携帯端末1の移動距離が2メートル以下であると判別した場合(ステップS59;Yes)、CPU2は測定を促す通知を停止する(ステップS61)。続いてCPU2は、磁気センサ10と加速度センサ9からの通知により携帯端末1が予め設定した角度(設定角度)にて静止しているか否かを判別する(ステップS62)。ここで、設定角度(体温測定時装置方向)とは、基礎体温測定を行うときの携帯端末1の角度(向き)であり、使用者が予め携帯端末1に測定角度を設定したものである。本実施形態では、使用者は、例えば、携帯端末1を腹の上に置いて基礎体温を測定することとする。携帯端末1を腹の上において測定する場合、携帯端末1の温度センサ8が下の方向に向いていなければならないので、その状態の携帯端末1の角度を設定角度とする。なお、使用者は、操作キー12を操作して、事前に設定角度(体温測定時装置方向)を記憶する旨を指示することができる。CPU2は、使用者の操作指示に応答して、入力された設定角度(体温測定時装置方向)をメモリ7に記憶する。
【0038】
携帯端末1が設定角度で静止していないと判別した場合(ステップS62;No)、CPU2は図4(d)に示すように、測定を開始できないという警告を表示部5に表示するとともに、音声部4に警告音を出力させる(ステップS63)。
【0039】
携帯端末1が設定角度で静止していると判別した場合(ステップS62;Yes)、CPU2は温度センサ8から通知された温度が予め設定された所定の温度範囲内(本実施形態では、一例として、温度範囲を30℃以上、かつ、45℃以下とする。)であるか否かを判別する(ステップS64)。なお、使用者は、操作キー12を操作して、事前に所定の温度範囲を記憶する旨を指示することができる。CPU2は、使用者の操作指示に応答して、入力された所定の温度範囲をメモリ7に記憶する。
【0040】
温度センサ8から通知された温度が所定の温度範囲内でないと判別した場合(ステップS64;No)、CPU2は図4(d)に示すように、測定を開始できない旨の警告を表示部5に表示するとともに、音声部4に警告音を出力させる(ステップS65)。これは、測定された温度が体温とかけ離れている場合、携帯端末1が布団の上など腹の上以外の場所に置かれている可能性があるためである。
【0041】
温度センサ8から通知された温度が所定の温度範囲内であると判別した場合(ステップS64;Yes)、CPU2は基礎体温の測定を開始する(ステップS66)。測定時間中、CPU2は磁気センサ10と加速度センサ9からの通知により携帯端末1の移動及び姿勢の変化が無いか否かを判別する(ステップS67)。
【0042】
携帯端末1の移動又は姿勢の変化があったと判別した場合(ステップS67;No)、CPU2は、図4(c)に示すように、測定を促す通知を表示部5に表示するとともに、音声部4に通知音を出力させる(ステップS68)。これは、基礎体温の測定中に使用者が誤って動いた可能性があるためである。測定を促す通知をした後、CPU2は、所定の時間後(本実施形態では一例として数秒後)に再度測定を開始する。携帯端末1の移動又は姿勢の変化がないと判別した場合(ステップS67;Yes)、CPU2は、測定が正しく行われていると判断し、測定を続ける。
【0043】
測定が完了すると、CPU2は、図4(e)に示すように、測定終了通知を表示部5に表示するとともに、音声部4に測定終了の通知音を出力させる(ステップS69)。このように使用者に通知することで、測定中に使用者が寝てしまった場合でも目覚し時計に設定した時刻に目覚めることができる。これは、測定が終了する時刻が目覚し時計に設定した時刻と同一であるためである。測定終了通知後、CPU2は、タイマ機能部6から取得した日付と、測定結果である基礎体温、測定の際に行った通知、警告などを含むメモ情報71とを対応付けてデータベース15に記憶する(ステップS70)。なお、測定の際に、通知や警告を行わなかった場合、メモ情報71は空(NULL)となる。
【0044】
測定終了後、基礎体温データを閲覧したい場合、使用者は操作キー12を操作して、その旨を指示する。図7に示すように、CPU2は、使用者の操作指示に応答して、使用者によって指定された期間においてデータベース15に記憶された基礎体温データをグラフ化して表示部5に表示する。また、CPU2は、操作キー12によってグラフ内の日付が指定されたことに応答して、メモ情報71の内容を表示する。メモ情報71には、ステップS55において記憶した人感センサ11で取得した就寝中に動いたという情報に加えて、ステップS70で記憶した体温測定時の通知及び警告の内容、回数をメモ情報71として含む。また、使用者は、操作キー12を操作して、メモ情報71に、体温測定時に携帯端末1が自動で取得した情報の他に、使用者が自身で情報を入力する旨を指示することができる。CPU2は、使用者の操作指示に応答して、入力された情報を指定された日付に対応するメモ情報71に追加して、データベース15を更新する。使用者の気分などの精神状態や病気などが基礎体温に与える影響は大きいので、これらの情報も追加しておくことが望ましいからである。
【0045】
携帯端末1は、このようにして蓄積された基礎体温データに基づいて、月経が始まる日を予測するという特徴的な動作を行う。
以下、携帯端末1の予測部13が、月経が始まる日を予測する動作を、図8、図9を参照して説明する。以下、理解を容易にするため、CPU2が、使用者からの要求に応答して、過去の基礎体温データに基づいて、図8に示すように、高温期になる日(高温期開始タイミング)を基点にしたグラフを表示部5に表示した後、月経が始まる日を予測する場合を例にして説明する。CPU2は、図8の点81が示す現在の日付の時点で低温期が始まる日を予測することによって、月経が始まる日を予測する。
具体的には、月経が始まる日を予測したい場合、使用者は、操作キー12を操作して、その旨を指示する。予測部13としてのCPU2は、使用者の操作指示に応答して、過去の基礎体温データの中から、高温期が始まってから低温期に移る(体温が所定の閾値T以上、下がるとき)までの日数が最短となる基礎体温データと最長となる基礎体温データを選択する。
【0046】
CPU2は、図8において点81から伸びる破線で示すように、選択した基礎体温データを示すグラフを表示部5に表示する。図8に示す例では、使用者は、表示されたグラフを参照することにより、現在の日付から7〜11日後に低温期が始まること、即ち、月経が開始することを予想することができる。
【0047】
一方、排卵が始まる日を予測したい場合、使用者は、操作キー12を操作して、その旨を指示する。予測部13としてのCPU2は、使用者の操作指示に応答して、過去の基礎体温データの中から、低温期が始まってから高温期に移る(体温が所定の閾値T以上、上がるとき)までの日数が最短となる基礎体温データと最長となる基礎体温データを選択する。CPU2は、図9に示すように、過去の基礎体温データを低温期になる日(低温期開始タイミング)を基点にして、選択した基礎体温データを示すグラフを表示する。図9に示す例では、使用者は、表示されたグラフを参照することにより、現在の日付から8〜11日後に高温期が始まること、即ち、排卵が開始することを予想することができる。
【0048】
また、予測部13は、メモ情報71がある日の基礎体温データについては、参考値として扱うことで、月経が始まる日又は排卵日の予測に影響を及ぼさないようにすることもできる。図7ではメモ情報71のある日に約0.5度の体温上昇があるが、メモ情報71のある日の前日と翌日は低温のままなので、メモ情報71のある日での体温上昇はメモ情報71に起因する一時的なものであると判断できる。そこで、予測部13は、メモ情報71のある日の基礎体温とその前後の日の基礎体温との差が所定の温度以上であった場合に、メモ情報71のある日の基礎体温を高温期の基点として含めることなく、低温期が始まる日の予測範囲を求める。高温期が始まる日の予測範囲を求める際も同様である。
具体的には、CPU2は、使用者の操作指示に応答して、月経が始まる日を予測するときに、データベース15のメモ情報71が空(NULL)のレコードを参照し、この中から、高温期が始まってから低温期に移るまでの日数が最短となる基礎体温データと最長となる基礎体温データを選択し、選択した基礎体温データを表示部5に表示する。なお、メモ情報71が空(NULL)の場合、人の動きが人感センサ11で検知されなかったことを意味する。
一方、CPU2は、使用者の操作指示に応答して、排卵が始まる日を予測するときに、データベース15のメモ情報71が空(NULL)のレコードを参照し、この中から、低温期が始まってから高温期に移るまでの日数が最短となる基礎体温データと最長となる基礎体温データを選択し、選択した基礎体温データを表示部5に表示する。
【0049】
図10(a)、(b)は、携帯端末1のタイマ機能部6のカレンダと連動させ、表示部5に月経予定日を丸印にて表示した例である。図10(a)の直近の月経予定日から、図10(b)の数ヶ月先の月経予定日を確認することが可能となり、旅行等の計画を考える際に、その時の体調を確認及び考慮することができる。
この場合、CPU2は、過去の基礎体温データの中から、高温期が始まってから低温期に移るまでの日数が最短となる基礎体温データと最長となる基礎体温データを選択したときに、最短となる日数と最長となる日数とタイマ機能部6から取得した現在の日付とに基づいて、月経が始まる予定日を算出し、算出した予定日をタイマ機能部6に供給する。タイマ機能部6は、CPU2から供給された月経が始まる予定日の表示態様を通常の表示態様と変えて(例えば、丸付きの数字で表す)、カレンダを表示する。
【0050】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、基礎体温に影響を与える情報を基礎体温とともに手軽に記録できるので、より正確な基礎体温データを容易に収集できる。また、携帯端末1のタイマを利用することにより測定を忘れることがない。さらに、測定が正常に終了するまで通知又は警告を行うので、基礎体温の測定に失敗することを回避できる。
【0051】
(実施形態2)
実施形態2について、図11を参照して説明する。実施形態1との違いは人感センサ11の構成であり、その他の構成については実施形態1と同様である。実施形態1では、携帯端末1の人感センサ11により人の動きを感知している。しかし、人感センサ11が360度全ての方向を感知する構成となっていると、近くに使用者以外の人間111が寝ていた場合に、使用者112自身が動いたのか、使用者以外の人間111が動いたのかを区別できない場合がある。
【0052】
そこで、本実施形態では、人感センサ11の開口部を狭めることで人感センサ11の感知範囲113を狭めて指向性を持たせ、使用者112が動いた場合のみ記録に残すようにする。この場合、使用者112が人感センサ11の感知範囲114内に寝る必要がある。
【0053】
本実施形態によれば、人感センサ11が指向性を持っているので、使用者112の近くに複数の使用者以外の人間111が寝ている場合でも、使用者112が動いた場合に限定して基礎体温データを記録することができる。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明は実施形態1、2に限定されるものではなく、種々の変形及び応用が可能である。
【0055】
例えば、動いた情報には、動いた回数、動いた時刻に加えて、動いた時間(期間)を含めることができる。動いた時間とは、使用者が動き始めてから動き終わるまでの時間である。これは、タイマ機能部6と人感センサ11とを連動させて求めることができる。
具体的には、CPU2は、人感センサ11からの通知に基づいて、使用者が動き始めたタイミングと使用者の動きがなくなった(検知されなくなった)タイミングをタイマ機能部6に通知し、これらのタイミングをそれぞれ始期、終期とする期間(動き期間)をタイマ機能部6から取得する。そして、CPU2は、タイマ機能部6から取得した現在の日付と、温度センサ8によって測定された基礎体温と、タイマ機能部6から取得した動き期間を含めたメモ情報71と、を対応付けてデータベース15に記憶する。
【0056】
また、各実施形態では、磁気センサ10及び加速度センサ9で携帯端末の移動や姿勢を検知していたが、これに替えて加速度センサ9や傾きセンサ等により、携帯端末1の移動や姿勢を検知してもよい。また、温度センサ8を携帯端末1と別体とし、脇の下に挟める形状や、口にくわえられる形状とすることもできる。
【0057】
また、表示部5に文字を表示して通知及び警告をするのではなく、アイコン表示のような絵を表示させる他、表示部5以外に携帯端末1の表面に別途LED等を設けて点灯させることで測定状態であることを通知するようにしてもよい。
【0058】
また、各実施形態では、CPU2が音声部4に通知音や警告音を出力させていたが、これに替えて一般的な携帯端末の殆どが有しているバイブレーション機能を使用してもよい。
【0059】
また、図5のフローチャートのステップS51の基礎体温測定の設定について、各実施形態のように使用者自身が設定してもよいが、事前にタイマ機能部6に設定しておくことで、毎日同一時刻に基礎体温測定をONとする構成にしてもよい。
【0060】
また、ステップS68の後について、各実施形態では、測定を促す通知をした数秒後に自動で再測定を開始していたが、使用者自身が携帯端末1を操作して再測定を開始する構成としてもよい。例えば、表示部5に測定を促す通知がされた場合、使用者がいずれかの操作キー12を押下することで再測定が開始される構成とすることができる。また、使用者が、携帯端末1を振ることにより再測定を開始する構成としてもよい。例えば、表示部5に測定を促す通知がされた場合、使用者が携帯端末1を振ったことを加速度センサ9又は磁気センサ10で感知して再測定が開始される構成とすることができる。また、携帯端末1を開いて閉じた後に再測定を開始する構成としてもよい。
【0061】
また、携帯端末1の通信部3を介して、図10(a)、(b)で示す月経予定日、あるいは、排卵予定日が記載されたカレンダを特定の相手に送信する構成にしてもよい。これにより、女性同士又は夫婦間で情報の共有化ができる。特に、子供が欲しいと考えている夫婦にとっては便利な機能であると考えられる。
なお、本発明の携帯端末1は、専用の装置を用いる必要はなく、通常のコンピュータにより実現することができる。例えばコンピュータに上記した各処理を実行させるためのプログラム及びデータを記録媒体(CD−ROM等)に記録して配布し、これをインストールしてOS(Operating System)上で実行することにより、本発明の携帯端末1を実現できる。また、プログラム及びデータの配布は、CD−ROM等に限らず、通信回線等を介して行われてもよい。
【0062】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0063】
(付記1)
体温を測定するタイミングを示す体温測定タイミングを記憶する体温測定タイミング記憶部と、
人の動きを検知することを開始するタイミングを示す検知開始タイミングを記憶する検知開始タイミング記憶部と、
前記体温測定タイミングになったときに、体温を測定する体温測定部と、
前記検知開始タイミングから前記体温測定タイミングまでの期間を示す検知期間において、人の動きを検知する検知部と、
前記測定した体温と前記検知した人の動きを示す検知情報とを対応付けて記憶するデータ記憶部と、
を備えることを特徴とする基礎体温測定装置。
【0064】
(付記2)
起床するタイミングを示す起床タイミングを記憶する起床タイミング記憶部と、
前記起床タイミングに基づいて、前記体温測定タイミングを決定し、前記体温測定タイミング記憶部に記憶する体温測定タイミング決定部と、
前記起床タイミングに基づいて、前記検知開始タイミングを決定し、前記検知開始タイミング記憶部に記憶する検知開始タイミング決定部と、
をさらに備えることを特徴とする付記1に記載の基礎体温測定装置。
【0065】
(付記3)
前記体温測定部が体温を測定するために要する標準的な期間を示す標準測定期間を記憶する標準測定期間記憶部、
をさらに備え、
前記体温測定タイミング決定部は、
前記起床タイミングの前記標準測定期間前のタイミングを、前記体温測定タイミングに決定し、前記体温測定タイミング記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の基礎体温測定装置。
【0066】
(付記4)
前記体温測定タイミングになったときに、その旨を通知する体温測定タイミング通知部、
をさらに備えることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の基礎体温測定装置。
【0067】
(付記5)
前記基礎体温測定装置が移動した距離を示す移動距離を測定する移動距離測定部と、
前記体温測定タイミング以後において、前記測定した移動距離が所定の閾値以上であるときに、警告を通知する第1の警告通知部と、
をさらに備えることを特徴とする付記4に記載の基礎体温測定装置。
【0068】
(付記6)
体温を測定するときの前記基礎体温測定装置の向きを示す体温測定時装置方向を記憶する体温測定時装置方向記憶部と、
前記基礎体温測定装置の向きを検知する向き検知部と、
前記体温測定タイミング以後において、前記検知した前記基礎体温測定装置の向きが、前記体温測定時装置方向と異なるときに、警告を通知する第2の警告通知部と、
をさらに備えることを特徴とする付記4又は5に記載の基礎体温測定装置。
【0069】
(付記7)
体温の範囲を示す体温範囲を記憶する体温範囲記憶部と、
前記体温測定タイミング以後において、前記測定した体温が前記体温範囲内に属さないときに、警告を通知する第3の警告通知部と、
をさらに備えることを特徴とする付記4乃至6のいずれかに記載の基礎体温測定装置。
【0070】
(付記8)
人の動きがなかったことを示す前記検知情報に対応する体温に基づいて、体温が所定の閾値以上変化する時期を示す体温変化時期を予測する体温変化時期予測部と、
前記予測した体温変化時期を出力する出力部と、
をさらに備えることを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の基礎体温測定装置。
【0071】
(付記9)
前記体温測定部が体温の測定を終了したときに、その旨を通知する体温測定終了通知部、
をさらに備えることを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の基礎体温測定装置。
【0072】
(付記10)
前記体温変化時期を他の機器に通知する体温変化時期通知部、
をさらに備えることを特徴とする付記1乃至9のいずれかに記載の基礎体温測定装置。
【0073】
(付記11)
体温を測定するタイミングを示す体温測定タイミングになったときに、体温を測定する体温測定工程と、
人の動きを検知することを開始するタイミングを示す検知開始タイミングから前記体温測定タイミングまでの期間を示す検知期間において、人の動きを検知する検知工程と、
前記測定した体温と前記検知した人の動きを示す検知情報とを対応付けて記憶するデータ記憶工程と、
を備えることを特徴とする基礎体温測定方法。
【0074】
(付記12)
コンピュータに、
体温を測定するタイミングを示す体温測定タイミングになったときに、体温を体温測定部に測定させる体温測定手順と、
人の動きを検知することを開始するタイミングを示す検知開始タイミングから前記体温測定タイミングまでの期間を示す検知期間において、人の動きを検知部に検知させる検知手順と、
前記測定した体温と前記検知した人の動きを示す検知情報とを対応付けて記憶部に記憶するデータ記憶手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0075】
1 携帯端末
2 CPU
3 通信部
4 音声部
5 表示部
6 タイマ機能部
7 メモリ
8 温度センサ
9 加速度センサ
10 磁気センサ
11 人感センサ
12 操作キー
13 予測部
14 アプリケーションソフト
15 データベース
71 メモ情報
81 現在の時点(高温期)
91 現在の時点(低温期)
101 月経予定日
111 使用者以外の人間
112 使用者
113 感知範囲(実施形態1の人感センサ)
114 感知範囲(実施形態2の人感センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体温を測定するタイミングを示す体温測定タイミングを記憶する体温測定タイミング記憶部と、
人の動きを検知することを開始するタイミングを示す検知開始タイミングを記憶する検知開始タイミング記憶部と、
前記体温測定タイミングになったときに、体温を測定する体温測定部と、
前記検知開始タイミングから前記体温測定タイミングまでの期間を示す検知期間において、人の動きを検知する検知部と、
前記測定した体温と前記検知した人の動きを示す検知情報とを対応付けて記憶するデータ記憶部と、
を備えることを特徴とする基礎体温測定装置。
【請求項2】
起床するタイミングを示す起床タイミングを記憶する起床タイミング記憶部と、
前記起床タイミングに基づいて、前記体温測定タイミングを決定し、前記体温測定タイミング記憶部に記憶する体温測定タイミング決定部と、
前記起床タイミングに基づいて、前記検知開始タイミングを決定し、前記検知開始タイミング記憶部に記憶する検知開始タイミング決定部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の基礎体温測定装置。
【請求項3】
前記体温測定部が体温を測定するために要する標準的な期間を示す標準測定期間を記憶する標準測定期間記憶部、
をさらに備え、
前記体温測定タイミング決定部は、
前記起床タイミングの前記標準測定期間前のタイミングを、前記体温測定タイミングに決定し、前記体温測定タイミング記憶部に記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎体温測定装置。
【請求項4】
前記体温測定タイミングになったときに、その旨を通知する体温測定タイミング通知部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基礎体温測定装置。
【請求項5】
前記基礎体温測定装置が移動した距離を示す移動距離を測定する移動距離測定部と、
前記体温測定タイミング以後において、前記測定した移動距離が所定の閾値以上であるときに、警告を通知する第1の警告通知部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の基礎体温測定装置。
【請求項6】
体温を測定するときの前記基礎体温測定装置の向きを示す体温測定時装置方向を記憶する体温測定時装置方向記憶部と、
前記基礎体温測定装置の向きを検知する向き検知部と、
前記体温測定タイミング以後において、前記検知した前記基礎体温測定装置の向きが、前記体温測定時装置方向と異なるときに、警告を通知する第2の警告通知部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の基礎体温測定装置。
【請求項7】
体温の範囲を示す体温範囲を記憶する体温範囲記憶部と、
前記体温測定タイミング以後において、前記測定した体温が前記体温範囲内に属さないときに、警告を通知する第3の警告通知部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の基礎体温測定装置。
【請求項8】
人の動きがなかったことを示す前記検知情報に対応する体温に基づいて、体温が所定の閾値以上変化する時期を示す体温変化時期を予測する体温変化時期予測部と、
前記予測した体温変化時期を出力する出力部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基礎体温測定装置。
【請求項9】
前記体温測定部が体温の測定を終了したときに、その旨を通知する体温測定終了通知部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基礎体温測定装置。
【請求項10】
前記体温変化時期を他の機器に通知する体温変化時期通知部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基礎体温測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−220287(P2012−220287A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84914(P2011−84914)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)