説明

基礎埋設用排水管および該基礎埋設用排水管の長さ調整方法

【課題】屋内排水管を接続する作業時に内管が鞘管から過剰にはみ出さない基礎埋設用排水管を提供する。
【解決手段】基礎埋設用排水管1Aを鞘管2と内管3とで構成し、該内管3の上流側受口部材32(屋内側管端部)の外周面に内管側移動規制部34を設け、該鞘管2の内周面に鞘管側移動規制部21を設け、該鞘管2内に該内管3が配置される際に、該鞘管2の鞘管側移動規制部21に、該内管3の内管側移動規制部34が当接した位置で、該内管3の屋外方向への移動が規制されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の基礎に埋設される基礎埋設用排水管および該基礎埋設用排水管の長さ調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物内に配置されているトイレなどの屋内排水設備から出る排水を、該建物の基礎に貫通状に埋設した排水管を介して屋外の排水経路へ排出するようにした排水構造が提供されている。例えば、該排水構造としては、基礎に埋設されたさや管と、該さや管内に装着される可撓管継手とからなるものが提案されている(特許文献1参照。)。また、該特許文献1には、基礎のコンクリート層から突出した上記さや管部分を該コンクリート層との境界で切断する構成も開示されている。
【0003】
このように基礎に貫通状に埋設される排水管をさや管と可撓管継手とで構成すると、さや管に対して該可撓管継手を脱着することができるため、該基礎を傷めることなく該可撓管継手の点検や交換等を簡単に行えるという利点がある。また、コンクリート層から突出したさや管部分を切断すると、床下側の排水管の横引きが行いやすくなるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−150889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成は、可撓管継手をさや管内で固定しておく手段がないため、例えば該可撓管継手の屋内側管端に屋内排水管を接続する際には、この接続作業時に該可撓管継手が屋外方向へ押し出されて該可撓管継手がさや管の屋外側管端からはみ出してしまったり飛び出してしまったりすることがある。あるいは、該可撓管継手に無理な力が作用して該可撓管継手がさや管内で座屈してしまい、円滑な排水の流動が確保できないような不具合が生じることもある。
【0006】
また、上記特許文献1に開示されている構成は、さや管の管端面がいずれも該さや管の管軸方向に対して直角でないため、該さや管の屋内側管端に汎用の管継ぎ足し用受け口ソケットを装着することができない。したがって、該さや管に管継ぎ足し用排水管を連結することができず、該さや管の屋内方向への差し出し長さを延長することが難しい。
【0007】
さらに、上記特許文献1の構成は、コンクリート層から突き出たさや管の突出部分を切断しても可撓管継手の長さ寸法があらかじめ適切に選定されていない場合は該可撓管継手の上端が該コンクリート層から露出してしまうという問題もある。ここで、コンクリート層から突き出たさや管部分および可撓管継手部分を切断して、可撓管継手もコンクリート層から突き出ることがないようにすることも提案可能であるが、互いに硬さの異なるさや管および可撓管継手を切断する作業は面倒かつ煩雑であり、切り口の仕上がりも雑になりやすい。
【0008】
結局、上記特許文献1の構成は、さや管および可撓管継手を施工現場で長さ調整することが難しいため、施工現場での長さ調整を不要とすべくさや管および可撓管継手について予め長さ寸法の異なる製品を多数取り揃え、最適な長さ寸法のものを適宜選定して使用していく必要がある。しかし、多数の在庫を抱えなければならないこのような構成は、全体として製品のコストが高くなってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題を解決することができる基礎埋設用排水管、およびこれの長さ調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、建物の基礎に貫通状に埋設されている鞘管と、該鞘管の屋内側管端から挿入されて該鞘管内に配置され、該建物内の排水を屋外の排水経路に排水する内管と、を備える基礎埋設用排水管であって、該内管の屋内側管端部の外周面には、内管本体部の外径より径大な内管側移動規制部が設けられており、該鞘管の内周面には、該鞘管の屋内側管端の内径より径小な鞘管側移動規制部が設けられており、該鞘管内に該内管が配置される際に、該鞘管の鞘管側移動規制部に、該内管の内管側移動規制部が当接した位置で、該鞘管内において該内管の屋外方向への移動が規制されることを特徴とする基礎埋設用排水管である。
【0011】
上記構成においては、鞘管の鞘管側移動規制部に内管の内管側移動規制部が当接すると該内管の屋外方向への移動が規制されるため、該内管と屋内排水管とを連結させる(継手を介する連結を含む。以下同じ。)際に該内管が屋外方向へ押し出されて鞘管から過剰にはみ出したり飛び出したりしてしまうことがない。
また、鞘管の鞘管側移動規制部に内管の内管側移動規制部を押し当てながら、該内管に所要の管を接続することも可能となるため、内管と屋内排水管との連結作業が行いやすくなるという利点もある。さらに、鞘管の鞘管側移動規制部に内管の内管側移動規制部が当接した状態では、該内管の内管本体部に無理な力が作用しないため、上記連結作業時に内管本体部の変形が抑制され、該内管本体部の座屈等の不具合が発生しない。
【0012】
また、前記鞘管は、曲管形状の鞘管本体部と該鞘管本体部に連成された直管形状の屋内側管端部とを有し、前記内管の屋内側管端には、一端が建物内の屋内排水管に接続される直管形状の中継管の他端が接続され、該鞘管の屋内側管端部内に該中継管が配置されており、該鞘管および該中継管は内管本体部より硬い材料で構成され、該鞘管の屋内側管端部および該中継管は切断自在とされている構成が望ましい。
【0013】
上記構成においては、鞘管の屋内側管端部および中継管を切断することで該基礎埋設用排水管の長さを所望の長さまで短くすることができる。なお、この切断作業時において、内管の内管側移動規制部と鞘管の鞘管側移動規制部とを当接させた状態とすると、中継管が鞘管内で安定的に位置固定されるため、上記切断作業が行いやすくなる。また、該鞘管および該中継管は内管本体部より硬い材料で構成されているため、作業者の意図に沿って切断することが容易である。そして、該切断作業後、長さ調整された中継管の一端に屋内排水管が接続される(継手を介する接続を含む。以下同じ。)ことにより、屋内排水設備の排水を屋外の排水経路へ排水することが可能となる。
【0014】
また、該鞘管の屋内側管端部の外周面に、切断可能な範囲を示す管切断用目印が設けられていることが望ましい。
【0015】
上記構成とすると、切断作業時において、適切な切断位置がより一層明確となる。
【0016】
また、該鞘管および該中継管のうち少なくとも一方の屋内側の管端面が、該管端面を有する該鞘管の屋内側管端部または該中継管の管軸方向に対して直角に形成されており、該管端面を有する管端には、管継ぎ足し用ソケットを介して管継ぎ足し用排水管が接続されている構成としてもよい。
【0017】
上記構成においては、該基礎埋設用配水管の長さを管継ぎ足し用ソケットを介して屋内方向へ延長することが可能となる。
【0018】
また、本発明は、上記基礎埋設用排水管の長さ調整方法であって、該鞘管の屋内側管端部および該中継管を屋内側において切断することにより、該基礎埋設用排水管の長さを調整することを特徴とする基礎埋設用排水管の長さ調整方法である。
【0019】
上記長さ調整方法においては、該鞘管の屋内側管端部および該中継管を屋内側において切断することにより、屋内側に差し出された基礎埋設用排水管の長さを所望の長さまで短くすることができる。
【0020】
また、該鞘管の屋内側管端部および該中継管を切断する際に、該鞘管については該鞘管の屋内側管端部の管軸方向と直交する方向に沿って切断し、該中継管については該中継管の管軸方向と直交する方向に切断することが望ましい。
【0021】
上記方法であれば、管軸方向に対して非直交方向に切断する構成に比べて切断作業が容易であるし、切り落とした管の切り口が該管の管軸に対して直角となるため、該切り落とした管を他の用途に再利用しやすいという利点もある。また、汎用の管継ぎ足し用ソケットがそのまま使用可能となる。
【0022】
また、本発明は、上記基礎埋設用排水管の長さ調整方法であって、該鞘管および該中継管のうち少なくとも一方の屋内側の管端面を、該管端面を有する該鞘管の屋内側管端部または該中継管の管軸方向に対して直角に形成し、該管端面を有する管端に、管継ぎ足し用ソケットを介して管継ぎ足し用排水管を接続することを特徴とする基礎埋設用排水管の長さ調整方法である。
【0023】
上記長さ調整方法においては、基礎埋設用排水管の長さを屋内方向へ所望の長さまで延長することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の基礎埋設用排水管は、屋内排水管の連結作業時に内管が屋外方向へ押し出されて鞘管から過剰にはみ出してしまう、ということを防止することができる。
また、本発明の基礎埋設用排水管の長さ調整方法は、容易かつ確実に基礎埋設用排水管の長さを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施例の基礎埋設用排水管の側断面図
【図2】図1の拡大図
【図3】第2実施例の基礎埋設用排水管の側断面図
【図4】第3実施例の基礎埋設用排水管の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施例〕
図1,2に従って、建物の基礎100に埋設されて使用される基礎埋設用排水管1Aの実施例を説明する。
【0027】
図1に示すように、該基礎埋設用排水管1Aは、建物(図示省略)の基礎100に貫通状に埋設された鞘管2を有している。該鞘管2は、曲管形状の鞘管本体部2Aと、該鞘管本体部2Aの屋内側端部から水平面に対して上向きにほぼ45°の角度で延出されている直管形状の屋内側管端部2Bとで構成されている。
【0028】
該鞘管2は、断面円形(内径:100mm)で、外周面および内周面共に非凹凸形状とされた硬質塩化ビニル樹脂材料からなる成形品が使用されている。
【0029】
さらに、該鞘管2の内周面には、該屋内側管端部2Bの内径を鞘管本体部方向(屋外方向)に向かって小さくする鞘管側移動規制部21が設けられている。具体的には、図2に示すように、該鞘管2の屋内側管端部2Bにおける鞘管本体部2A近傍位置の管壁が、鞘管本体部方向(屋外方向)に向かうに従って縮径する形状に成形加工されることにより、該鞘管側移動規制部21が構成されている。
なお、該鞘管側移動規制部21は、該鞘管2の屋内側管端部2Bの内周面を傾斜させて該屋内側管端部2Bの内径を鞘管本体部方向(屋外方向)に向かって小さくするテーパー部で構成されていてもよいし、該内周面から突き出された凸段部で構成されていてもよい。また、該鞘管側移動規制部21は、該鞘管2の周方向に沿って連続状に形成されていてもよいし、非連続状に形成されていてもよい。さらに、該鞘管側移動規制部21は、鞘管2とは別体の部品で構成されていてもよい。
【0030】
また、図1に示すように、該基礎埋設用排水管1Aは、該鞘管2内に配置される内管3を有している。該内管3は、内管本体部を構成するあらかじめ曲管形状に成形されている可撓性の内管本体31と、該内管本体31の屋内側管端に接続された、該内管3の屋内側管端部を構成する上流側受口部材32と、該内管本体31の屋外側管端に接続された下流側受口部材33とで構成されている。
【0031】
該内管本体31は、断面円形で、外周面および内周面共に非凹凸形状とされており、鞘管2より軟質の材料であるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴムや熱可塑性エラストマー、あるいは軟質塩化ビニル樹脂材料からなる可撓性の成形品が使用されている。また、該上流側受口部材32および該下流側受口部材33は、硬質塩化ビニル樹脂材料からなる成形品が使用されている。
【0032】
さらに、該内管3の上流側受口部材32(即ち、該内管3における屋内側管端部)の外周面には、該内管本体31の外径より径大な内管側移動規制部34が設けられている。具体的には、図2に示すように、該上流側受口部材32の外周面に、複数(例えば4個)の凸片34Aが該上流側受口部材32の周方向に沿って等間隔に凸設されることにより、該内管側移動規制部34が構成されている。
なお、該内管側移動規制部34は、該内管3の周方向に沿って連続状に形成された凸部等で構成されていてもよい。また、該内管側移動規制部34は、内管3とは別体の部品で構成されていてもよい。
【0033】
また、図1に示すように、該内管3の上流側受口部材32には、直管形状の中継管4がさらに接続されており、該中継管4は、水平面に対して上向きにほぼ45°の角度で該鞘管2の屋内側管端部2B内に配置されている。
【0034】
該中継管4は、断面円形で、外周面および内周面共に非凹凸形状とされ、上記内管本体31より硬質の硬質塩化ビニル樹脂材料からなる成形品が使用されている。
【0035】
上記構成において、該内管3は、該鞘管2の屋内側管端から挿入されて該鞘管2内に配置される。このとき、該鞘管2内に該内管3が配置される際に、該内管3が過剰に屋外方向へ移動した場合は、該鞘管2の鞘管側移動規制部21に該内管3の内管側移動規制部34が当接し、該内管3の屋外方向への過剰な移動が規制される。
【0036】
上記の基礎埋設用排水管1Aを施工する場合には、まず基礎100に鞘管2を貫通状に埋設し、次に、基礎100に埋設された鞘管2内に、中継管4が接続された内管3を、該鞘管2の屋内側管端(上端側の管端)から挿入して、図1に示すように、該内管3および該中継管4を該鞘管2内に配置する。
【0037】
次に、該内管3の下流側受口部材33と、鞘管2の屋外側管端との間隙に、シールリング5を介在させて水密処理を行う。一方、該中継管4の屋内側管端には、建物内に配置される屋内排水管(図示省略)を接続し、屋内排水設備(例えばトイレ)からの排水を屋外の排水経路に排水可能とする。
【0038】
上記施工過程において、中継管4と屋内排水管とを接続する際には、該中継管4を介して内管3に屋外方向の外力が作用することがあるが、このような場合においても該鞘管2の鞘管側移動規制部21と該内管3の内管側移動規制部34とが当接することにより、該内管3の屋外方向への過剰な移動が制限され、該内管3が該鞘管2の屋外側管端から過剰にはみ出したり飛び出したりすることがない。
【0039】
また、上記施工過程において、鞘管2の鞘管側移動規制部21に内管3の内管側移動規制部34を当接させながら該中継管4に屋内排水管を接続することができるため、内管3が位置決めされることにより中継管4が安定して固定されることになり、該中継管4と屋内排水管との接続作業が容易となる。さらに、鞘管2の鞘管側移動規制部21に内管3の内管側移動規制部34が当接した状態では、該内管3の内管本体31に無理な力が作用しないため、該内管本体31の座屈が発生しない。
【0040】
また、上記基礎埋設用排水管1Aにあっては、屋内排水管を中継管4に接続する前に、該鞘管2の屋内側管端部2Bおよび該中継管4を屋内側において切断して該基礎埋設用排水管1Aの長さを短くしておくことができる。
さらに詳述すると、図1に示すように、該鞘管2の屋内側管端部2Bの外周面には、該鞘管2の屋内側管端部2Bの管軸方向(即ち該中継管4の管軸方向)と直交する方向に沿って形成された隆起状の管切断用目印22が設けられている。該管切断用目印22は、適切な切断が可能となる範囲を示しており、具体的には該管切断用目印22よりも屋内側部分の所望位置を切断すれば、屋内排水管の管端を適正に嵌着するのに必要な中継管4の管長さを確保しつつ、屋内側に差し出された基礎埋設用排水管1Aの長さを所望の長さまで短くすることができる。ここで、切断対象となる鞘管2と中継管4とは、共に内管本体31より硬く、切断に適した硬さの硬質塩化ビニル樹脂材料で構成されており、しかも該鞘管2の屋内側管端部2Bの管軸方向(即ち該中継管4の管軸方向)と直交する方向を切断方向kとしているため、作業性が極めて良い。仮に可撓性のある内管本体31を切断しようとすると、該鞘管2に比べて該内管本体31が過剰に弾性変形してしまって意図せず切断個所が位置ずれしたり波打ったりして切断作業が極めて面倒かつ煩雑となる。また、仮に切断方向kが鞘管2の屋内側管端部2Bの管軸方向(即ち中継管4の管軸方向)に対して非直交方向であった場合、切断作業に熟練を要することとなり、作業効率がやや劣ることとなる。なお、上記管切断用目印22は、マーカーであってもよいし、溝形状のものであってもよい。
【0041】
〔第2実施例〕
図3に従って、第2実施例の基礎埋設用排水管1Bを説明する。該第2実施例の基礎埋設用排水管1Bは、管長さを屋内方向へ延長することができる構成である。なお、第1実施例と共通する構成については、説明を簡略または省略する。
【0042】
図3に示すように、該基礎埋設用排水管1Bにおいては、鞘管2の屋内側管端に、管継ぎ足し用ソケット10を介して管継ぎ足し用排水管11が接続されている。さらに、該中継管4の屋内側管端に、管継ぎ足し用ソケット12を介して管継ぎ足し用排水管13が接続されている。
【0043】
さらに詳述すると、上記鞘管2の屋内側の管端面は、該鞘管2の屋内側管端部2Bの管軸方向に対して直角に形成されている。このため、両端に受口部を配した汎用の管継ぎ足し用ソケット10が装着可能となり、これにより管継ぎ足し用排水管11が接続可能となる。このため、適切な長さ寸法の管継ぎ足し用排水管11を選定することにより、該基礎埋設用排水管1Bの管長さを適宜屋内方向へ延長することができる。
【0044】
なお、該管継ぎ足し用ソケット10の両端には、同一寸法の受口部が配されているため、該鞘管2の屋内側管端部2Bの外径と該管継ぎ足し用排水管11の外径とが同じ寸法で揃えることが可能となっている。このため、該管継ぎ足し用ソケット10周辺の外観形状が凹凸の少ないシンプルな形状となっており、建物の床下空間において無駄なスペースが生じない。
【0045】
また、中継管4においても、同様に、該中継管4の屋内側の管端面が、該中継管4の管軸方向に対して直角に形成されているため、汎用の管継ぎ足し用ソケット12が装着可能となっている。そして、管継ぎ足し用排水管13が連結されることにより、屋内方向への延長が可能となっている。さらに、該管継ぎ足し用ソケット12の両端には同一寸法の受口部が配されているため、該管継ぎ足し用ソケット12周辺の外観形状が凹凸の少ないシンプルな形状となり、中継管4における継ぎ足し部分が鞘管2の屋内側管端部2B内にコンパクトに収容される。
【0046】
〔第3実施例〕
図4に従って、第3実施例の基礎埋設用排水管1Cを説明する。なお、第1実施例および第2実施例と共通する構成については、説明を簡略または省略する。
【0047】
図4に示すように、該基礎埋設用排水管1Cにおいては、該鞘管50の屋内管端部が水平面に対して上向きにほぼ90°の角度で延出されており、該鞘管50の屋内側管端面と内管60の屋内側管端面とがほぼ鉛直上向きに開口し、かつ、鞘管50の屋外側管端面と内管60の屋外側管端面とがほぼ水平向きに開口している。
【0048】
また、本実施例における内管60の内管本体61の外周面には、該内管本体61の周方向に沿う環状凸部62が管軸方向に沿って間隔をおいて複数設けられている。具体的には、該環状凸部62は、該内管本体61の外周面に形成された凹溝に嵌着された環状リングによって構成されている。このような構成とすると、内管60の脱着作業時に、鞘管50と内管60との接触点を該環状凸部62のみとすることができ、該鞘管50と該内管60との間で生じる摩擦抵抗を低減して脱着作業を容易とすることができる。
【0049】
本発明は、上記第1実施例〜第3実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、上記内管3,60は、公知の二層コルゲート管であってもよい。
また、内管3,60と屋内排水管とを連結させる際に中継管4を介在させず直接内管3,60と屋内排水管とを接続するようにしてもよい。
また、屋内排水設備としては、集水枡、雑排水配管、トイレ排水配管、あるいは縦樋(ルーフドレン配管)などであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B,1C 基礎埋設用排水管
2,50 鞘管
2B 鞘管の屋内側管端部
3,60 内管
4 中継管
10,12 管継ぎ足し用ソケット
11,13 管継ぎ足し用排水管
21 鞘管側移動規制部
22 管切断用目印
31,61 内管本体(内管本体部)
32 上流側受口部材(内管の屋内側管端部)
34 内管側移動規制部
100 基礎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に貫通状に埋設されている鞘管と、
該鞘管の屋内側管端から挿入されて該鞘管内に配置され、該建物内の排水を屋外の排水経路に排水する内管と、
を備える基礎埋設用排水管であって、
該内管の屋内側管端部の外周面には、内管本体部の外径より径大な内管側移動規制部が設けられており、
該鞘管の内周面には、該鞘管の屋内側管端の内径より径小な鞘管側移動規制部が設けられており、
該鞘管内に該内管が配置される際に、
該鞘管の鞘管側移動規制部に、該内管の内管側移動規制部が当接した位置で、該鞘管内において該内管の屋外方向への移動が規制される
ことを特徴とする基礎埋設用排水管。
【請求項2】
前記鞘管は、曲管形状の鞘管本体部と該鞘管本体部に連成された直管形状の屋内側管端部とを有し、
前記内管の屋内側管端には、一端が建物内の屋内排水管に接続される直管形状の中継管の他端が接続され、
該鞘管の屋内側管端部内に該中継管が配置されており、
該鞘管および該中継管は内管本体部より硬い材料で構成され、
該鞘管の屋内側管端部および該中継管は切断自在とされている
請求項1に記載の基礎埋設用排水管。
【請求項3】
該鞘管の屋内側管端部の外周面に、切断可能な範囲を示す管切断用目印が設けられている
請求項2に記載の基礎埋設用排水管。
【請求項4】
該鞘管および該中継管のうち少なくとも一方の屋内側の管端面が、該管端面を有する該鞘管の屋内側管端部または該中継管の管軸方向に対して直角に形成されており、
該管端面を有する管端には、管継ぎ足し用ソケットを介して管継ぎ足し用排水管が接続されている請求項2又は請求項3に記載の基礎埋設用排水管。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の基礎埋設用排水管の長さ調整方法であって、
該鞘管の屋内側管端部および該中継管を屋内側において切断することにより、該基礎埋設用排水管の長さを調整する
ことを特徴とする基礎埋設用排水管の長さ調整方法。
【請求項6】
該鞘管の屋内側管端部および該中継管を切断する際に、
該鞘管については該鞘管の屋内側管端部の管軸方向と直交する方向に沿って切断し、
該中継管については該中継管の管軸方向と直交する方向に切断する
請求項5に記載の基礎埋設用排水管の長さ調整方法。
【請求項7】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の基礎埋設用排水管の長さ調整方法であって、
該鞘管および該中継管のうち少なくとも一方の屋内側の管端面を、該管端面を有する該鞘管の屋内側管端部または該中継管の管軸方向に対して直角に形成し、
該管端面を有する管端に、管継ぎ足し用ソケットを介して管継ぎ足し用排水管を接続する
ことを特徴とする基礎埋設用排水管の長さ調整方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−77576(P2012−77576A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226232(P2010−226232)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】