基礎杭の施工方法
【課題】水分を多く含むシルト粘土質の地盤で、杭の不等沈下を防止すると共に、冬期に生じる凍上現象を防止して、安価に施工することができる基礎杭の施工方法を提供するものである。
【解決手段】杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝2を形成して、この溝2にセメント3混合した土1を埋め戻した後、杭貫通孔8を開孔した支持板6を、前記地盤改良部5の上面に載せてから、上部側に水平方向にボルト12を貫通した丸太杭10を、前記支持板6の杭貫通孔8から地盤改良部5を貫通させて地盤15に打ち込み、前記ボルト12を支持板6の截頭円錐状の突出部7の上面で支持するようにしたものである。
【解決手段】杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝2を形成して、この溝2にセメント3混合した土1を埋め戻した後、杭貫通孔8を開孔した支持板6を、前記地盤改良部5の上面に載せてから、上部側に水平方向にボルト12を貫通した丸太杭10を、前記支持板6の杭貫通孔8から地盤改良部5を貫通させて地盤15に打ち込み、前記ボルト12を支持板6の截頭円錐状の突出部7の上面で支持するようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木造建築の基礎となる地中に埋設する基礎杭の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に軟弱な地盤に、住宅や店舗、事務所、倉庫など比較的小規模な独立基礎の建物を建築する場合、地中に基礎杭を打ち込んで木造建築の不等沈下を防止している。この基礎杭としては松などの丸太杭やコンクリート杭、鋼管杭などが用いられている。特に小型の木造建築では、安価で耐久性に優れた丸太杭が多く使用されている。また丸太杭の上部にコンクリート杭を接合し、垂直に打ちこめるようにした基礎杭も開発されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、自然含水率の高いシルト粘土質の地盤では、摩擦抵抗が少ないため杭を打ち込んでも、上からの荷重に耐えられずに沈んでしまい基礎杭の不等沈下の原因となっていた。また水分を多く含むシルト粘土質の地盤では、冬期に水分が凍って霜柱となり地面を押し上げる凍上現象が生じ、基礎杭を持ち上げて建物が傾く危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−34929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を改善し、水分を多く含むシルト粘土質の地盤で、杭の不等沈下を防止すると共に、冬期に生じる凍上現象を防止して、住宅や店舗、事務所、倉庫など比較的小規模な独立基礎の建物を安価に施工することができる基礎杭の施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の基礎杭の施工方法は、杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔を開孔した支持板を、前記地盤改良部の上面に載せてから、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持板の上面で支持するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項2記載の基礎杭の施工方法は、請求項1において、支持板に開孔した杭貫通孔の周囲に截頭錐状の突出部を形成し、この突出部の上面でボルトを支持するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項3記載の基礎杭の施工方法は、杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔の上面周囲を囲むように枠状のストッパー部を突設した支持板を前記地盤改良部の上面に載せてから、中央に杭の上部側が貫通する上部貫通孔を開孔した支持台を、前記枠状のストッパー部の内側に取付けた後、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持台の上部貫通孔を通して、支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持台の上面で支持するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項4記載の基礎杭の施工方法は、請求項1または2もしくは3において、支持板がコンクリート板で形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項5記載の基礎杭の施工方法は、請求項1または3において、杭が丸太または鋼材で形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載の基礎杭の施工方法によれば、杭の周囲に凍上深さ以上の厚さで地盤改良部を形成し、この上に載置した支持板で、ボルトを介して杭を支持した構造なので、杭の上に支えられた建物の荷重を杭の摩擦力と、支持板の底面支持力によって受けるので軟弱なシルト粘土質の地盤でも不等沈下を防止することができる。
【0012】
更に水分を多く含むシルト粘土質の地盤では、冬期に水分が凍って霜柱となり地面を押し上げる凍上現象が生じるが、杭を支持する地盤改良部が凍上深さ以上の深さまで形成されているので、霜柱が発生せず、凍上現象により建物が持ち上げられて傾くのを防止することができ、比較的小規模な独立基礎の建物を安価に施工することができる。
【0013】
また請求項2記載の基礎杭の施工方法によれば、支持板に突設した截頭錐状の突出部の上面でボルトを支持するので、荷重を支持板の広い部分で受けて支持板の破損を防止することができる。
【0014】
また請求項3記載の基礎杭の施工方法によれば、支持台の上にボルトで杭を支持しているので、土台と支持台との間の杭の露出部分を少なくすることができ、丸太杭の場合に腐食を少なくすることができる。
【0015】
また請求項4記載の基礎杭の施工方法によれば、支持板がコンクリート板で形成されているので、予め工場で生産でき、安価で施工性も良い。
【0016】
また請求項5記載の基礎杭の施工方法によれば、杭が丸太または鋼材で形成されているので、打ち込むだけで安価に施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の一形態を図1および図2を参照して詳細に説明する。先ず図1(A)に示すように杭埋設位置の周囲の地面の土1を掘り起こし凍上深さ以上の深さ、例えば20〜50cm程度の溝2を形成する。次にこの掘り起こした土1とセメント3を混合して、図1(B)に示すように前記溝2に埋め戻して転圧して地盤改良部5を形成する。
【0018】
この後、図1(C)に示すようにコンクリートで形成した四角形状の支持板6を地盤改良部5の上に載せる。この支持板6は、図2に示すように中央部に截頭円錐状の突出部7を形成し、この中心部に杭貫通孔8を上下方向に開孔したものである。この後、図1(D)に示すように、松などの先端を尖らせた丸太杭10の上部側に横方向にボルト挿着孔11を開孔し、ここにボルト12を通して先端にナット13を取付ける。
【0019】
次に丸太杭10を前記コンクリート製支持板6の杭貫通孔8から地盤改良部5を貫通させて地盤15に打ち込み、図1(E)に示すように前記ボルト12が支持板6の截頭円錐状の突出部7の上面に接触するまで打ち込む。この後、数日〜1週間程度放置しておくと、地盤改良部5の土1に含まれている水分と、混合したセメント3が反応して硬化した地盤改良部5が形成される。次に丸太杭10の上に土台16を水平に取付け、建物を建築していく。
【0020】
この結果、丸太杭10の周囲に凍上深さ以上の厚さで地盤改良部5が形成され、この上に載置した支持板6で、ボルト12を介して丸太杭10を支持した構造なので、丸太杭10の上に支えられた建物の荷重を丸太杭10の摩擦力と、支持板6の底面支持力によって受けるので軟弱なシルト粘土質の地盤15でも不等沈下を防止することができる。
【0021】
更に水分を多く含むシルト粘土質の地盤では、冬期に水分が凍って霜柱となり地面を押し上げる凍上現象が生じるが、丸太杭10を支持する地盤改良部5が凍上深さ以上の深さまで形成されているので、霜柱が発生せず、凍上現象により建物が持ち上げられて傾くのを防止することができる。
【0022】
図3は本発明の他の実施の形態を示すもので、基礎杭として角パイプ17を用いた場合で、施工方法は図1と同様である。また図4は本発明の異なる他の実施の形態を示すもので、基礎杭としてH形鋼18を用いた場合である。H形鋼18を用いる場合は、リブ19にボルト挿着孔11を開孔しここにボルト12を取付けて、この下部を支持板6の突出部7の上面で支持する。
【0023】
なお基礎杭として丸太杭10や角パイプ17、H形鋼18を用いた場合について説明したが、丸パイプを用いても良い。また上記説明では、支持板6の中央に截頭円錐状の突出部7を形成した場合について説明したが、截頭角錐状の突出部7を形成しても良く、また図5に示すように平板状の構造で、中央部に杭貫通孔8を形成しただけの構造でも良い。
【0024】
図6および図7は本発明の他の実施の形態を示すものである。杭埋設位置の周囲の地面の土1を掘り起こし凍上深さ以上の深さの溝2を形成し、この掘り起こした土1とセメント3を混合して、溝2に埋め戻して転圧して地盤改良部5を形成するまでは図1と同様である。
【0025】
この後、図7に示す中央に杭貫通孔8を開孔し、この上面周囲を囲むように四角枠状のストッパー部21を突設した四角形状の支持板6を地盤改良部5の上面に載せる。この後、上面中央に上部貫通孔22を開口した中空截頭角錐状のコンクリート製支持台23を、支持板6の四角枠状のストッパー部21の内側に取付ける。
【0026】
この後、図6に示すように松などの先端を尖らせた丸太杭10の上部側に横方向にボルト挿着孔11を開孔し、ここにボルト12を通して先端にナット13を取付ける。次に丸太杭10を前記支持台23の上部貫通孔22から差し込み、更に支持板6の杭貫通孔8を通して地盤改良部5を貫通させ、ボルト12が支持台23の上面に接触するまで地盤15に打ち込む。この後、数日〜1週間程度放置しておくと、地盤改良部5の土1に含まれている水分と、混合したセメント3が反応して硬化した地盤改良部5が形成される。
【0027】
上記構成の基礎杭の施工方法は、支持台23の上にボルト12で丸太杭10を支持しているので、土台16と支持台23との間の丸太杭10の露出部分を少なくすることができる。
【0028】
なおこの場合も、丸太杭10の代わりに角パイプ17や丸パイプ、H形鋼18などの鋼材を用いても良い。また上記説明では地盤改良部5を、掘り起こした土1とセメント3を混合して形成した場合について示したが、土1と石灰を混合したものでも良く、また溝2に砕石を敷き詰めて形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の一形態による基礎杭の施工方法を順次工程に従って示した説明図である。
【図2】図1の截頭円錐状の突出部を設けた支持板の斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態による角パイプを用いた基礎杭の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施の形態によるH形鋼を用いた基礎杭の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による平板状の支持板を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施の形態による支持台に支持した丸太杭を示す斜視図である。
【図7】図6に示すストッパー部を形成した支持板と中空截頭角錐状の支持台とを分離した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 土
2 溝
3 セメント
5 地盤改良部
6 支持板
7 截頭円錐状の突出部
8 杭貫通孔
10 丸太杭
11 ボルト挿着孔
12 ボルト
13 ナット
15 地盤
16 土台
17 角パイプ
18 H形鋼
19 リブ
21 ストッパー部
22 上部貫通孔
23 支持台
【技術分野】
【0001】
本発明は木造建築の基礎となる地中に埋設する基礎杭の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に軟弱な地盤に、住宅や店舗、事務所、倉庫など比較的小規模な独立基礎の建物を建築する場合、地中に基礎杭を打ち込んで木造建築の不等沈下を防止している。この基礎杭としては松などの丸太杭やコンクリート杭、鋼管杭などが用いられている。特に小型の木造建築では、安価で耐久性に優れた丸太杭が多く使用されている。また丸太杭の上部にコンクリート杭を接合し、垂直に打ちこめるようにした基礎杭も開発されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、自然含水率の高いシルト粘土質の地盤では、摩擦抵抗が少ないため杭を打ち込んでも、上からの荷重に耐えられずに沈んでしまい基礎杭の不等沈下の原因となっていた。また水分を多く含むシルト粘土質の地盤では、冬期に水分が凍って霜柱となり地面を押し上げる凍上現象が生じ、基礎杭を持ち上げて建物が傾く危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−34929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を改善し、水分を多く含むシルト粘土質の地盤で、杭の不等沈下を防止すると共に、冬期に生じる凍上現象を防止して、住宅や店舗、事務所、倉庫など比較的小規模な独立基礎の建物を安価に施工することができる基礎杭の施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の基礎杭の施工方法は、杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔を開孔した支持板を、前記地盤改良部の上面に載せてから、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持板の上面で支持するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項2記載の基礎杭の施工方法は、請求項1において、支持板に開孔した杭貫通孔の周囲に截頭錐状の突出部を形成し、この突出部の上面でボルトを支持するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項3記載の基礎杭の施工方法は、杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔の上面周囲を囲むように枠状のストッパー部を突設した支持板を前記地盤改良部の上面に載せてから、中央に杭の上部側が貫通する上部貫通孔を開孔した支持台を、前記枠状のストッパー部の内側に取付けた後、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持台の上部貫通孔を通して、支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持台の上面で支持するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項4記載の基礎杭の施工方法は、請求項1または2もしくは3において、支持板がコンクリート板で形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項5記載の基礎杭の施工方法は、請求項1または3において、杭が丸太または鋼材で形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載の基礎杭の施工方法によれば、杭の周囲に凍上深さ以上の厚さで地盤改良部を形成し、この上に載置した支持板で、ボルトを介して杭を支持した構造なので、杭の上に支えられた建物の荷重を杭の摩擦力と、支持板の底面支持力によって受けるので軟弱なシルト粘土質の地盤でも不等沈下を防止することができる。
【0012】
更に水分を多く含むシルト粘土質の地盤では、冬期に水分が凍って霜柱となり地面を押し上げる凍上現象が生じるが、杭を支持する地盤改良部が凍上深さ以上の深さまで形成されているので、霜柱が発生せず、凍上現象により建物が持ち上げられて傾くのを防止することができ、比較的小規模な独立基礎の建物を安価に施工することができる。
【0013】
また請求項2記載の基礎杭の施工方法によれば、支持板に突設した截頭錐状の突出部の上面でボルトを支持するので、荷重を支持板の広い部分で受けて支持板の破損を防止することができる。
【0014】
また請求項3記載の基礎杭の施工方法によれば、支持台の上にボルトで杭を支持しているので、土台と支持台との間の杭の露出部分を少なくすることができ、丸太杭の場合に腐食を少なくすることができる。
【0015】
また請求項4記載の基礎杭の施工方法によれば、支持板がコンクリート板で形成されているので、予め工場で生産でき、安価で施工性も良い。
【0016】
また請求項5記載の基礎杭の施工方法によれば、杭が丸太または鋼材で形成されているので、打ち込むだけで安価に施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の一形態を図1および図2を参照して詳細に説明する。先ず図1(A)に示すように杭埋設位置の周囲の地面の土1を掘り起こし凍上深さ以上の深さ、例えば20〜50cm程度の溝2を形成する。次にこの掘り起こした土1とセメント3を混合して、図1(B)に示すように前記溝2に埋め戻して転圧して地盤改良部5を形成する。
【0018】
この後、図1(C)に示すようにコンクリートで形成した四角形状の支持板6を地盤改良部5の上に載せる。この支持板6は、図2に示すように中央部に截頭円錐状の突出部7を形成し、この中心部に杭貫通孔8を上下方向に開孔したものである。この後、図1(D)に示すように、松などの先端を尖らせた丸太杭10の上部側に横方向にボルト挿着孔11を開孔し、ここにボルト12を通して先端にナット13を取付ける。
【0019】
次に丸太杭10を前記コンクリート製支持板6の杭貫通孔8から地盤改良部5を貫通させて地盤15に打ち込み、図1(E)に示すように前記ボルト12が支持板6の截頭円錐状の突出部7の上面に接触するまで打ち込む。この後、数日〜1週間程度放置しておくと、地盤改良部5の土1に含まれている水分と、混合したセメント3が反応して硬化した地盤改良部5が形成される。次に丸太杭10の上に土台16を水平に取付け、建物を建築していく。
【0020】
この結果、丸太杭10の周囲に凍上深さ以上の厚さで地盤改良部5が形成され、この上に載置した支持板6で、ボルト12を介して丸太杭10を支持した構造なので、丸太杭10の上に支えられた建物の荷重を丸太杭10の摩擦力と、支持板6の底面支持力によって受けるので軟弱なシルト粘土質の地盤15でも不等沈下を防止することができる。
【0021】
更に水分を多く含むシルト粘土質の地盤では、冬期に水分が凍って霜柱となり地面を押し上げる凍上現象が生じるが、丸太杭10を支持する地盤改良部5が凍上深さ以上の深さまで形成されているので、霜柱が発生せず、凍上現象により建物が持ち上げられて傾くのを防止することができる。
【0022】
図3は本発明の他の実施の形態を示すもので、基礎杭として角パイプ17を用いた場合で、施工方法は図1と同様である。また図4は本発明の異なる他の実施の形態を示すもので、基礎杭としてH形鋼18を用いた場合である。H形鋼18を用いる場合は、リブ19にボルト挿着孔11を開孔しここにボルト12を取付けて、この下部を支持板6の突出部7の上面で支持する。
【0023】
なお基礎杭として丸太杭10や角パイプ17、H形鋼18を用いた場合について説明したが、丸パイプを用いても良い。また上記説明では、支持板6の中央に截頭円錐状の突出部7を形成した場合について説明したが、截頭角錐状の突出部7を形成しても良く、また図5に示すように平板状の構造で、中央部に杭貫通孔8を形成しただけの構造でも良い。
【0024】
図6および図7は本発明の他の実施の形態を示すものである。杭埋設位置の周囲の地面の土1を掘り起こし凍上深さ以上の深さの溝2を形成し、この掘り起こした土1とセメント3を混合して、溝2に埋め戻して転圧して地盤改良部5を形成するまでは図1と同様である。
【0025】
この後、図7に示す中央に杭貫通孔8を開孔し、この上面周囲を囲むように四角枠状のストッパー部21を突設した四角形状の支持板6を地盤改良部5の上面に載せる。この後、上面中央に上部貫通孔22を開口した中空截頭角錐状のコンクリート製支持台23を、支持板6の四角枠状のストッパー部21の内側に取付ける。
【0026】
この後、図6に示すように松などの先端を尖らせた丸太杭10の上部側に横方向にボルト挿着孔11を開孔し、ここにボルト12を通して先端にナット13を取付ける。次に丸太杭10を前記支持台23の上部貫通孔22から差し込み、更に支持板6の杭貫通孔8を通して地盤改良部5を貫通させ、ボルト12が支持台23の上面に接触するまで地盤15に打ち込む。この後、数日〜1週間程度放置しておくと、地盤改良部5の土1に含まれている水分と、混合したセメント3が反応して硬化した地盤改良部5が形成される。
【0027】
上記構成の基礎杭の施工方法は、支持台23の上にボルト12で丸太杭10を支持しているので、土台16と支持台23との間の丸太杭10の露出部分を少なくすることができる。
【0028】
なおこの場合も、丸太杭10の代わりに角パイプ17や丸パイプ、H形鋼18などの鋼材を用いても良い。また上記説明では地盤改良部5を、掘り起こした土1とセメント3を混合して形成した場合について示したが、土1と石灰を混合したものでも良く、また溝2に砕石を敷き詰めて形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の一形態による基礎杭の施工方法を順次工程に従って示した説明図である。
【図2】図1の截頭円錐状の突出部を設けた支持板の斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態による角パイプを用いた基礎杭の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施の形態によるH形鋼を用いた基礎杭の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による平板状の支持板を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施の形態による支持台に支持した丸太杭を示す斜視図である。
【図7】図6に示すストッパー部を形成した支持板と中空截頭角錐状の支持台とを分離した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 土
2 溝
3 セメント
5 地盤改良部
6 支持板
7 截頭円錐状の突出部
8 杭貫通孔
10 丸太杭
11 ボルト挿着孔
12 ボルト
13 ナット
15 地盤
16 土台
17 角パイプ
18 H形鋼
19 リブ
21 ストッパー部
22 上部貫通孔
23 支持台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔を開孔した支持板を、前記地盤改良部の上面に載せてから、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持板の上面で支持するようにしたことを特徴とする基礎杭の施工方法。
【請求項2】
支持板に開孔した杭貫通孔の周囲に截頭錐状の突出部を形成し、この突出部の上面でボルトを支持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の基礎杭の施工方法。
【請求項3】
杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔の上面周囲を囲むように枠状のストッパー部を突設した支持板を前記地盤改良部の上面に載せてから、中央に杭の上部側が貫通する上部貫通孔を開孔した支持台を、前記枠状のストッパー部の内側に取付けた後、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持台の上部貫通孔を通して、支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持台の上面で支持するようにしたことを特徴とする基礎杭の施工方法。
【請求項4】
支持板がコンクリート板で形成されていることを特徴とする請求項1または2もしくは3記載の基礎杭の施工方法。
【請求項5】
杭が丸太または鋼材で形成されていることを特徴とする請求項1または3記載の基礎杭の施工方法。
【請求項1】
杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔を開孔した支持板を、前記地盤改良部の上面に載せてから、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持板の上面で支持するようにしたことを特徴とする基礎杭の施工方法。
【請求項2】
支持板に開孔した杭貫通孔の周囲に截頭錐状の突出部を形成し、この突出部の上面でボルトを支持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の基礎杭の施工方法。
【請求項3】
杭埋設位置の周囲の地面に凍上深さ以上の深さの溝を形成して、この溝にセメントまたは石灰を混合した土を埋め戻すか、砕石を敷いて地盤改良部を形成した後、杭貫通孔の上面周囲を囲むように枠状のストッパー部を突設した支持板を前記地盤改良部の上面に載せてから、中央に杭の上部側が貫通する上部貫通孔を開孔した支持台を、前記枠状のストッパー部の内側に取付けた後、上部側に水平方向にボルトを貫通した杭を、前記支持台の上部貫通孔を通して、支持板の杭貫通孔から地盤改良部を貫通させて地盤に打ち込み、前記ボルトを支持台の上面で支持するようにしたことを特徴とする基礎杭の施工方法。
【請求項4】
支持板がコンクリート板で形成されていることを特徴とする請求項1または2もしくは3記載の基礎杭の施工方法。
【請求項5】
杭が丸太または鋼材で形成されていることを特徴とする請求項1または3記載の基礎杭の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−19094(P2013−19094A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150597(P2011−150597)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(393028313)株式会社リビングメディカル (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(393028313)株式会社リビングメディカル (2)
【Fターム(参考)】
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