説明

堆砂測量調査を含む、環境修復のプロセスおよびシステムのための地形学

本発明は、1以上の堆砂測量調査技術を使用して三次元で流路の堆砂を地図に描く。堆砂測量調査技術は、汚染物質を含有する可能性がある堆砂帯(面積または体積のいずれであっても)を同定するために使用してもよい堆砂の定義を生み出す。これは、堆砂の実体、流路における堆砂の位置、堆砂の深さおよび/または堆砂層の厚さに基づいていてもよい。一態様では、堆砂測量調査技術、および得られた堆砂の定義を、地形学技術と組み合わせて使用し、堆砂帯の補正された汚染物質濃度を算出してもよい。現場の補正された汚染物質濃度に基づき、選択的な堆砂除去を使用して、最少の堆砂除去または堆砂試験により、最も効果的な汚染物質除去が達成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔優先権主張〕〔0001〕本出願は2005年3月25日に出願された米国特許出願第11/090,538号の部分継続出願であり、2006年2月7日に出願された米国特許出願第60/765,899号の利益を主張する。
【0002】
〔0002〕本発明は一般に、汚染された堆砂の修復の区域、そしてより明確には、修復されることになる現場の地形学に基づいた探査および修復に関するプロセスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
〔0003〕水域の環境修復は、しばしば汚染された堆砂を除去するという極めて経費を要し、時間を消費するプロセスである。従来の技術には、非常にたくさんの課題が存在する。歴史的には、浚渫または掘削法を使用して、修復現場の堆砂をすべて除去してきた。そのような方法は最終的には効果的であるが、2つの主要な欠点を有する。
【0004】
〔0004〕第1は堆砂の過剰な除去である。高度に汚染された堆砂だけでなく、比較的汚染されていない堆砂も除去されることになる。浚渫または掘削された堆砂はすべて、まるでそれが汚染されていたように処理されなければならないため、堆砂の過剰な除去が処理費用の増大を導く。堆砂処理が修復の主要な費用の1つであるため、除去される堆砂の量を限定することが好ましい。
【0005】
〔0005〕第2は生息環境破壊である。浚渫または掘削方法はかなり不正確な手段であり、修復された区域の自然の特徴、天然の生息環境を著しく破壊することになる。これはとりわけ、小川、川、池および湖のような流路にあてはまる。区域全体を洗い流してむき出しにし、汚染された堆砂をすべて取り去る浚渫または掘削は、露天採鉱にたとえることができる。
【0006】
〔0006〕進歩は遂げられているが、汚染を修復するために効果的でありながら、除去される堆砂の量を最小化することに役立つ技術に対する必要性が依然として存在する。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
〔0007〕本発明は、1以上の堆砂測量調査(sediment survey)技術を使用して三次元で流路の堆砂を地図に描く。堆砂調査技術は、堆砂を定義付け、それを使用して、汚染物質を含んでいる可能性がある堆砂のゾーン(面積または体積のいずれにしても)を同定するために使用してもよい。この技術は、堆砂の実体、流路における堆砂の位置、堆砂の深さおよび/または堆砂層の厚さに基づいていてもよい。一態様では、堆砂調査技術、および得られた堆砂の定義を地形学技術と組み合わせて使用し、堆砂帯の補正された汚染物質濃度を算出してもよい。現場の補正された汚染物質濃度に基づき、選択的な堆砂除去を使用して、最少の堆砂除去または堆砂試験により、最も効果的な汚染物質除去が達成されてもよい。
【0008】
詳細な説明
〔0012〕本発明は、流路および周辺区域の修復中に除去されなければならない汚染された堆砂の量を最少にするために役立ちながら、さらに現場から汚染物質を適切に除去する方法を含む。堆砂の選択的な除去は修復費用を軽減しながら、さらに自然環境に対する修復の影響を最少にする。
【0009】
〔0013〕進行中の汚染が取り除かれた後、流路の修復を始めることができる。修復は一般に、流路自体から汚染物質を除去し、さらに将来流路が再汚染されないことを確実にするように計画される。これらの二重の目的を達成するために、本発明の方法は修復が必要な流路に沿った堆砂帯を同定することを含む。堆砂帯は流路(たとえば、河道中、河岸上、高水敷上など)中に容認できない汚染物質レベルを含むために修復が必要であってもよい。堆砂帯はまた、将来、流路に再導入される可能性がある汚染物質を含むために修復が必要であってもよい。
【0010】
〔0014〕航行が可能であるか否かにかかわらず、流路は典型的には川、小川、クリーク、河口、デルタ、湿地帯などである。流路はまた、池、湖、貯水池、ため池などを含む。さらに、流路はまた、河岸、高水敷、氾濫原などのような、水と接触する、過去に水に覆われていた、または将来水に覆われる可能性がある隣接した区域を含む。
【0011】
〔0015〕堆砂帯の同定は堆砂がどこに堆積するか、および堆砂が関心のある流路内のどこで侵食されるかを特定することを含んでいてもよい。地形学の原則を使用して、流路の堆積、侵食および安定帯を同定してもよい。Dave Rosgenによる“Applied River Morphology”は、地形学の基礎的な背景を提供する。この教科書はそのまま参照として援用される。その通常の意味以外に、侵食帯は、期間が数時間、数日、数週間、数ヶ月または数年であるかどうかにかかわらず、示された期間にわたり、構成要素(たとえば、堆砂)を失う傾向がある流路の区域も意味する。その通常の意味以外に、堆積帯はある期間にわたり構成要素を獲得する傾向がある流路の区域も意味する。安定帯は従って、示された期間にわたり、構成要素を失うことも獲得することもない区域である。堆砂帯はある期間(たとえば、洪水中)は浸食帯、そして別の期間は堆積帯であってもよい。
【0012】
〔0016〕一態様では、堆積および侵食帯の同定は、異なる地点における流路の画像を時間の中で(in time)比較することを包含し;好ましくは、長年(たとえば、画像間で5〜20年間)にわたり記録されてきたいくつかの画像が比較される。より好ましくは、コンピュータによる使用を促進するために、画像はデジタル画像またはデジタル化された画像である。流路の大規模な状況を示す航空画像が好ましい。
【0013】
〔0017〕できれば、航空写真を比較すると、流路が汚染の進行に従ってどのように変化してきたかを確認できる。たとえば河床に堆砂が堆積し、横に移動するため、または洪水のために、年月を経て小川および川は蛇行し、好ましい流れの型を作り出す。流路のそのような変化が、流路の堆積、侵食および安定帯の同定に重要であってもよい。現在流路の河道近くにない堆砂は、ある時期において近くにあってもよく、以前の堆積帯が現在の堆積帯から離れていてもよいことを意味する。
【0014】
〔0018〕画像を使用することに加え、流路および周辺区域の地形学データ(たとえば、地図)は堆砂帯を同定することに好適に使用される。たとえば、河道の勾配は、それが堆積帯、侵食帯または安定帯のいずれにあるかを決めることができる。また、流路の目視観察、堆砂測量調査(以下で論ずる)、流路の河道における堆砂の型の同定、および土壌特性の説明のような、別のデータおよびデータ収集技術を使用して、堆積帯の同定を補助することができる。洪水、侵食作用、または堆積のような類似のパラメーターに曝されてきた地表面では、土壌層位の推移は類似している。これらを総合して、集めた情報を地図に描き、堆積、侵食および安定帯を説明するアウトプット(たとえば、地図、グラフまたはチャートなど)を生み出してもよい。同定のアウトプットは、具体的な媒体(たとえば、紙)または無形の媒体(たとえばコンピュータ可読媒体)の形状中にあってもよく、または修復現場に送られる情報(たとえばGPS受信機によって使用されることになる地図作製のための位置)としてでもよい。
【0015】
〔0019〕本発明は、1以上の堆砂測量調査技術を使用して、修復が企図される現場の堆積帯を地図に描く、または画像にすることも含む。適切な測量調査技術には、現場の堆砂への電磁気エネルギーの適用が挙げられる。電磁気エネルギーの適用後、反射されたエネルギーがモニターされる。どんな周波数の電磁気エネルギーが使用されてもよいが、一部の周波数が堆砂測量調査技術における使用にいっそう適する。たとえば、ソナー、レーダー、ライダーなどが使用されてもよく、なかでも音響測定、表層探査ソナー、サイドスキャンソナー、地中レーダー、光検出と測距、連続周波数変調のような技術におけるそれらの使用が挙げられる。
【0016】
〔0020〕他の適切な堆砂測量調査技術は堆砂についての情報を得るために、現場全体の周囲電磁気エネルギーにおける揺動をモニターする。たとえば、現場の磁場における揺動をモニターすることが使用されてもよく;そのようなモニタリング技術には磁力計および/またはグラジオメーターの使用を含んでいてもよい。もちろん、放射能のモニタリングまたは堆砂温度のモニタリングのような、他の周囲条件のモニタリングがまた、有用な情報を提供してもよい。
【0017】
〔0021〕本明細書で論じる堆砂測量調査技術は、好適には水面下(たとえば流路の谷線におけるような)である堆砂帯を測量調査するために有用である。しかし、測量調査技術はまた、水面下であるかどうかにかかわらず、現場のすべての堆砂帯に適用されてもよい。水面下である堆砂は目視検査に向かず、他のやり方では堆砂試験が困難であるため、これら区域の測量調査はとりわけ好ましい。その上、これらの技術は、流路における大きな面積の堆砂が適度な期間測量調査されてよいような効率的なやり方で提供することができる。たとえば、ボートに固定したソナーシステムは、好ましくは約0.5kmより長い、約1.0kmより長い、約2.0kmより長い、約5.0kmより長い、約10kmより長い、または約20kmより長い流路を測量調査するために使用される。もちろん、より短いか、または長い距離の堆砂測量調査がさらに実施されてもよい。
【0018】
〔0022〕適用されるエネルギーの波長およびそのエネルギーの反射に基づいて、または環境エネルギーにおける揺動に基づいて、堆砂の実体についての情報が得られる。たとえば、シルト(微砂)は豆礫(pea gravel)と識別されうる。その上、流路内の種々の型の堆砂の位置を地図に描くことができる。たとえば、主要な谷線におけるシルトは同定され、流路の河岸により近い豆礫から識別されうる。初期には堆砂測量調査は流路の底の種々の堆砂の2D表示(たとえば、地図)を提供する。この情報は、たとえば流路の底のサイドスキャンソナーマッピングから得られてもよい。
【0019】
〔0023〕その上、堆砂測量調査は三次元において同様に堆砂の位置を示すことができる。これは流路の表面下および/または流路の底面下の堆砂を同定する(たとえば、サブボトムプロファイリング)。この型の堆砂測量調査の利点は、それが堆砂層の厚みも同定することである。他の情報と共に、特定の型の堆砂の堆砂体積が同定されてもよい。
【0020】
〔0024〕従って、図1および2に表すように、種々の堆砂層、ならびにそれぞれの層の深さおよび厚さが同定されてもよい。図1からわかるように、底面上の第1層は約2.3フィートの厚さであり、シルトである。次の下方の層も約2.3フィートの厚さのシルトである。この下は約1.7フィートの厚さのシルトロームおよび約0.9フィートの厚さの砂質のロームである。記載された最後の層は湖底ロームである。上部の2つの層は、残りの層に比較して、それぞれ9.4および16ppmの最も高濃度の汚染物質を含有する。これらの層は水に曝されるか、または水の近くであるため、それらはおそらく早い流れの間に侵食され、それゆえ再導入されうる汚染物質の源である。結果として、これらの層は1.0の高リスク低減因子を示している可能性がある。これらの2つの層の下の層は比較的少量(たとえば、<0.01ppm)の汚染物質を含有し、従ってそれらが侵食されるかどうかにかかわらず、汚染物質を再導入する高いリスクを表さない。これらの層の場合、それらが侵食帯、堆積帯、または安定帯に位置するかどうかに依存して、0.1または0.01のリスク低減因子が適用されてもよい。同様に、図2はシルト層(約3.4フィート)、続いてシルトローム(約0.5フィート)、砂質ローム(約0.9フィート)および別のシルトローム(約1.1フィート)を示す。頂上の大部分の層は約18ppmの比較的高濃度の汚染物質を含有し、従って再導入源である。リスク低減因子1.0を割り当てることが適切であろう。2番目の層は0.25ppmの低い汚染物質濃度を有し、従ってたとえば0.25のリスク低減因子を割り当てられてもよい。残っている層は約<0.01ppmのかなり低い濃度レベルを含有する。上記のように、これらの層は層が位置する地帯の型に依存して。0.1または0.01のリスク低減因子を割り当てられてもよい。
【0021】
〔0025〕汚染物質の実体および堆砂の実体から、特定の堆砂帯の堆砂が汚染物質を含有することになる可能性を同定することができる。たとえば、シルトまたは有機物は、豆礫より汚染物質を停留させる可能性が高い。堆砂測量調査に由来する情報を一緒に合わせることが、採取される必要がある試料数の減少を可能にし、補正された汚染物質濃度および/または、以下で論ずるリスク低減因子に対する補正を可能にする。堆砂測量調査は除去される堆砂の量を減らすための別の技術である。
【0022】
〔0026〕流路の堆積および侵食帯の同定の1つの成果は、実行される必要がある試料試験の量を限定する能力である。堆砂がどこで侵食され、堆積されるかを理解することにより、試験は汚染物質を含有している可能性のある堆砂に限定することができる。流路堆積環境を理解することにより、より少ない試験試料が使用される。堆積区域に主眼を置くことは、探査および修復の費用の削減に等しい。たとえば、侵食帯ではいずれかの汚染物質が下流に洗い流されてしまっている可能性があるため、そこでは試験が必要でなくてもよい。
【0023】
〔0027〕堆積および侵食帯の同定の別の成果は、将来侵食される可能性がある堆砂を同定する能力である。将来の侵食は汚染物質を流路に再導入させる可能性がある。
〔0028〕堆砂帯の同定は、それぞれの堆砂帯の汚染物質の補正された濃度を算出することを含んでいてもよい。特定の地帯の補正された濃度は、既知の、または推定した汚染物質濃度(ppmで測定)、平方フィートで表した該地帯の面積、侵食因子、およびリスク低減因子を含む、いくつもの因子を組み入れる。
【0024】
〔0029〕ある地帯の汚染物質濃度は、関心のある堆砂を試験した試料によって知ってもよい。あるいは、ある地帯の汚染物質濃度は推定してもよい。ある推定技術としては、プロクシ(proxy:代用となるもの)の使用が挙げられる。あるプロクシ地帯の汚染物質の既知濃度は、類似の堆砂型、流路との類似の関係(たとえば、河道内、河岸または高水敷)、流路に対する類似の位置(たとえば、彎曲および蛇行への近接、河道勾配、河道幅など)に基づいて、推定された地帯に割り当てられる。柔らかい堆砂は、流路から沈殿し、流路に堆積している、緩やかな構造の無機/有機物であり、高水位(bankfull)または洪水期放出条件下、流路中で容易に移動可能である。柔らかくない堆砂は、河床上に存在する、固まった無機/有機物であり、高水位または洪水期放出条件下、流路中で容易に移動できない。ある好ましい態様では、0.5ppmの推定濃度が河道内、非柔軟堆砂帯に使用されてもよく、0.05ppmの推定濃度が、岩盤、または巨礫および大礫の河道に使用されてもよい。推定、またはプロクシ濃度の使用は必要とするサンプリングの量を減らすため、その技術は好まれる。
【0025】
〔0030〕侵食因子は、将来のある時期に流路に堆砂が再導入されることになる可能性を定量化する。高い侵食因子は、堆砂が流路の河道中にあるか、または水と接触する可能性が高いことを示し、したがって流路を再汚染するリスクを増大させる。一方、低い侵食因子は、将来堆砂が水に再導入される機会が低いことを示す。
【0026】
〔0031〕侵食因子の割り当ては、問題になっている流路の地形学を考慮する。水に接する区域および比較的急な彎曲の外側にある区域の場合、侵食因子1(高)が使用される。これらの区域は流路の谷線の侵食されやすい性質のため、最も高い侵食因子を有する。谷線は最も速い速度を有する流路の部分であり、直線流域では、流路の中央に置かれる。彎曲部では、谷線は彎曲の外側に押され、彎曲の外側に最大の侵食を引き起こす。
【0027】
〔0032〕より緩やかな彎曲の場合、谷線の最大限の力は彎曲の外側に対して適用されないため、侵食因子0.5(中)が使用される。侵食因子0.25(低)は河岸、彎曲の内側、および流路のかなりまっすぐな流域の高水敷に使用される;つまり洪水期中にこれらの区域に多少の侵食リスクが存在する。彎曲の内側は通常堆積帯であるが、層状であるものとしてここに挙げられる。最後に、流路から離れた区域、および流路中の保護された区域(たとえば、巨礫、詰枠、護岸、割栗石、蛇篭など)は、侵食因子0.01(非常に低い)が与えられる。また、巨礫、詰枠、護岸、割栗石、蛇篭、その他の技術によって保護されるような、ある種の河岸区域には、さらに低い侵食因子が使用されてもよい。
【0028】
〔0033〕補正された濃度において考慮される別の因子は、リスク低減因子である。修復活動によって、所定の堆砂帯における汚染物質の試験または推定された濃度がずれることがある。これは、修復後に流路に汚染物質を再導入するリスクがある高水敷区域における堆砂帯にとりわけ該当する。
【0029】
〔0034〕理想的には、汚染されていない物だけを使用して、汚染された堆砂を覆い、汚染物質濃度をゼロにする。しかし、層状であるために、リスク低減因子は以下のように適用される。2インチ未満の土壌カバーまたは割栗石が使用される場合、リスク低減因子1(低減なし)が適用されてもよく;土壌カバーが再導入のリスクの低減を提供しないと考えられることを意味する。2〜6インチの土壌カバーが使用された場合、リスク低減因子0.5(低い低減)が適用可能であり、再導入のリスクが半分になっていることを意味する。6インチより厚い土壌カバーまたは割栗石が使用される場合、リスク低減因子0.1(中等度の低減)が適用可能である。6インチより厚い土壌カバーまたは割栗石がジオテキスタイルと組み合わせて使用される場合、リスク低減因子0.01(高い低減)が適用されてもよい。たとえば、修復現場に進入するために構築された常設道路は汚染されていない土壌および/またはジオテキスタイルを使用し、従って著しい度合い(たとえば、0.01)で再導入のリスクを低減することができる。
【0030】
〔0035〕堆砂帯の典型的な、補正された濃度は以下の通りである。流路の河道中の地帯から採取された試料を試験した結果、濃度1.2ppmであった。該地帯は河道中にあったため、侵食因子1(高)が適用された。同様に、カバー土壌がこの地帯では使用されなかったため、やはりリスク低減因子1が適用された。この例では、補正された濃度は出発濃度と同じである。別の例では、初期濃度2.6ppmの高水敷においてカバーされていない地帯から採取された試料は侵食因子が0.1であり、リスク低減因子が0.1であるため、0.026ppmの補正された濃度を有する。
【0031】
〔0036〕一態様では、堆砂測量調査技術は地形学と組み合わせて、除去が必要であってもよい堆砂帯をさらに同定する。たとえば、堆砂の実体は堆砂帯の補正された汚染物質濃度における因子として包含される。汚染物質を含有する可能性がある堆砂は比較的高い因子または重み(たとえば1.0)を与えられるが、汚染物質を含有する可能性がない堆砂は比較的低い因子または重み(たとえば0.1または0.01)を与えられる。
【0032】
〔0037〕その上、堆砂測量調査を使用して、補正された汚染物質濃度のリスク低減因子を補正してもよい。侵食帯にある、汚染物質を含有する可能性がある堆砂(たとえばシルト)の場合、高いリスク低減因子(たとえば、0.5または1.0)が割り当てられてもよい。なぜなら、この堆砂帯の汚染物質は流路に再導入される可能性があるからである。一方、汚染物質を含有する可能性があるが、汚染されていない堆砂(たとえば、豆礫)の層の下にある堆砂は、低いリスク低減因子(たとえば、0.1または0.01)を与えられてもよい。なぜなら、この堆砂の再導入のリスクはより低いからである。同様に、堆積帯にあり、汚染物質を含有する可能性がある堆砂がやはり低いリスク低減因子を与えられてもよい。なぜなら、この堆砂は適従する汚染されていない堆砂によって覆われる可能性があり、それゆえ再導入のリスクはより低いからである。
【0033】
〔0038〕堆砂測量調査技術を使用する1つの利点は堆砂帯における堆砂の体積がいっそう容易に測定できることである。これらの技術は流路の垂直堆砂層内の堆砂の位置を同定する。たとえば、体積に対して補正された濃度を算出することによって、除去される堆砂の量が低減されてもよい。なぜなら、最もひどく汚染された堆砂、または乱されるか、もしくは流路に汚染物質を再導入する可能性がいっそう高い堆砂を除去しながら、比較的汚染されていない、および/または安定な堆砂を残して、堆砂層を選択的に除去することができるからである。
【0034】
〔0039〕分かるだろうが、堆砂中の汚染物質の有効量を定量化する場合、補正された汚染物質濃度算出は、流路の堆積および侵食特性を考慮する。適用可能な標準(たとえば、現場に特異的な必要条件、地方自治、州または連邦の法律、条例または規則など)に対して補正された濃度を標準化し、比較することを使用して、堆砂帯が修復を必要とするか、または十分に修復されているかどうかを判断することができる。
【0035】
〔0040〕また、堆砂帯の同定は、それぞれの堆砂帯の補正された濃度および平方フィートで表された面積から、それぞれの堆砂帯の面積‐濃度を算出することを含んでいてもよい。堆砂帯の面積はThiessenのポリゴン法を使用して得てもよい。面積‐濃度は、堆砂帯の表面における汚染物質の量を定量化し、堆砂帯における汚染物質の全体量を提供する。
【0036】
〔0041〕面積‐濃度の算出は以下の式に要約される:
C × EF × RAF × A = PA、
式中:
C=試験された、または推定された濃度、
EF=侵食因子、
RAF=リスク低減因子、
A=堆砂帯の面積(sq.ft.)、および
PA=面積‐濃度(ppmsq.ft.)
〔0042〕面積‐濃度は、堆砂帯が除去される必要があるかを判断するため、または堆砂が十分に修復されているかどうかを判断するために、標準と比較してもよい。
【0037】
〔0043〕堆砂帯の面積‐濃度の修復前の算出を使用して、堆砂を除去する価値があるかどうかを判断してもよい。さらに、面積‐濃度の修復後の算出を使用して、修復が効果的であったかどうかを判断してもよい。
【0038】
〔0044〕たとえば、隣接した堆砂帯の面積‐濃度を一緒にまとめて、具体的な流路の区画または流域の表面加重平均濃度(SWAC)を提供してもよい。修復前および修復後のSWACを比較することは、その流域の修復事業の有効性を判断するか、または予想する1つの方法である。
【0039】
〔0045〕SWACは、流域の堆砂帯の合計した面積‐濃度を流域の該地帯の合計面積で割ることにより算出され、以下の式で表される:ΣPA/ΣA。
〔0046〕本明細書で検討される方法の一部またはすべての工程は、コンピュータシステムにより実行されるか、または補われてもよい。コンピュータシステムは、開示された方法の工程を実行するか、または開示されたシステムを稼働させるために必要であっても、または好ましくてもよい、いずれか、およびすべての機能を実行するための、適切なコンピュータで実行可能な命令を含んでいてもよい。コンピュータシステムは、コンピュータで実行可能な命令、コンピュータ可読媒体、およびコミュニケーション媒体を含んでいてもよい。プログラムモジュール(たとえば、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造など)のような、コンピュータで実行可能な命令(たとえば、ソフトウェアおよびソフトウェアアップデート)は、1以上のコンピュータまたは他の装置によって実行されてもよく、そして特定のタスクを実行するか、または特定のアブストラクトデータタイプを実施させてもよい。プログラムモジュールのようなコンピュータで実行可能な命令は、種々のコンピュータ可読媒体上で実施されるか、またはそれらと関連していてもよい。コミュニケーション媒体は、典型的には、搬送波または別の転送機序のような、変調されたデータシグナル中にコンピュータで実行可能な命令を包含し、いずれかの情報送達媒体を含む。例としては、コミュニケーション媒体は有線ネットワークまたは直接有線接続のような有線媒体、およびアコースティック、RF赤外線、赤外線などのような無線媒体が挙げられるが、それらに限定されない。上記のいずれかの組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0040】
〔0047〕本発明の方法およびシステムは、ポリ塩化ビフェニル、殺虫剤、多環芳香族炭化水素、石油炭化水素、金属、またはいずれか別の有機、無機もしくは有機金属化合物等の多様な汚染物質に適切であり、それらはあるメカニズムまたは別のメカニズムにより堆砂と関連することになってもよい。
【0041】
〔0048〕たとえば、汚染物質は以下のクラス由来の1以上の化合物を含んでいてもよい:アクリルアミド、アクリル酸およびそのエステル、アルデヒド、脂肪族イミン、アルカノールアミン、アルケン、アルキルベンゼン、アルミニウムおよびその化合物、アミノアゾベンゼン、アゾベンゼン、アンチモンおよびその化合物、ヒ素およびその化合物、アリールスルホン酸および塩、アリールホスフェート、アジド、無機物、ベンゼンポリカルボキシレート、ベンゾトリアゾール、ベリリウムおよびその化合物、ビフェニルオキシド、ホウ素およびその化合物、臭素化ジベンゾ−p−ダイオキシン、臭素化ジフェニルエーテル、臭素化芳香族化合物、ブロモベンゼン、ブロモクロロメタン、カドミウムおよびその化合物、クロロフルオロカーボン、クロロフルオロエチレン、塩素化ジベンゾフラン、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン、塩素化ベンゼン、クロロペンタジエン、クロロフェノール、クロロプロペン、クロロトルエン、クロムおよびその化合物、コバルトおよびその化合物、銅およびその化合物、クレオソート、環状アルケン、シクロペンタジエン、ジニトロフェノール、ジニトロトルエン、ジニトロクレゾール、エポキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エチルフルオロカーボン、フルオリド、フルオロカーボン、グリコール、グリコールエーテル、グリシジルエーテル、ハロアルコール、ハロエタン、ハロエーテル、ハロメタン、ハロン、ハロエチレン、ハロ不飽和エタン、ヒドロクロロフルオロカーボン、鉄およびその化合物、インジウムおよびその化合物、無機塩素、無機硫黄、ケトン溶媒、鉛およびその化合物、リチウムおよびその化合物、マンガンおよびその化合物、メタロセン、メルカプタン、メルカプトベンゾチアゾール、メタクリル酸およびそのエステル、モリブデンおよびその化合物、メチルフルオロカーボン、メチルエチルベンゼン、ニッケルおよびその化合物、ニトロパラフィン、ニトロ芳香族化合物、ニトリル、ニコチンおよび塩、ニトロベンゼン、ニトロパラフィン、ニトロフェノール、ニトロトルエン、有機酸、有機無水物、有機過酸化物、有機シリコン化合物、有機ヒ素化合物、有機イソシアネート、有機鉛化合物、有機水銀、有機リン酸化合物、パラジウムおよびその化合物、殺虫剤、過フッ素化化合物(たとえば、過フッ素化炭素)、石油炭化水素、フタレートエステル、プラチナおよびその化合物、ポリ塩化ビフェノール、ポリ塩化ビフェニル、多環有機物、ポリエチレングリコール、多核芳香族炭化水素、ポリプロピレングリコール、セレンおよびその化合物、シリコン、シロキサン、銀およびその化合物、テルルおよびその化合物、テトラメチルベンゼン、タリウムおよびその化合物、チオウレア、チタンおよびその化合物、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、トリニトロフェノール、ウランおよびその化合物、キシレノール、亜鉛およびその化合物、ならびにこれらの組み合わせ。
【実施例】
【0042】
〔0049〕実施例
〔0050〕表1は、図1に示された流路の高水敷区域の修復前のデータを示す。それぞれのポリゴン番号はそれぞれの試料IDのように、図1で表示される。表からわかるように、それぞれのポリゴンは汚染物質濃度、侵食因子、およびリスク低減因子を有する。これらから、補正された汚染物質濃度が算出される。ポリゴンの区域では、それぞれにポリゴンの面積濃度が算出される。SWACを決定するために、合計したポリゴンの面積濃度を、合計したポリゴンの面積で割る。この特定の流路の区画の場合、修復前SWACは0.35である。
〔0051〕
【0043】
【表1】

【0044】
〔0052〕表2は図2に示された流路の高水敷区域の修復後のデータを示す。表1のように、それぞれのポリゴン番号はそれぞれの試料IDのように、図2で表示される。
〔0053〕
【0045】
【表2】

【0046】
〔0054〕この流路の高水敷区画の特定の部分の場合、修復後SWACは0.15であり、従って、流路の該区画における汚染物質量の改善(すなわち、減少)を示唆する。
〔0055〕さらに、複数の成分または工程の機能または構造を合わせて、単一の成分または工程に一体化してもよいこと、または1工程または成分の機能または構造を複数の工程または成分に分割してもよいことは認められるであろう。本発明はすべてのこれらの組み合わせを企図する。特記しない限り、本明細書に示された種々の構造の規模および形状は本発明を限定することを意図せず、そして別の規模または形状も可能である。複数の構造成分または工程が単一の統合された構造または工程によって提供されてもよい。あるいは、単一の統合された構造または工程が別個の複数の成分または工程に分割されてもよい。さらに、本発明の特徴が、説明された態様のただ1つに関連して記載されていてもよいが、いずれか特定の適用の場合、そのような特徴を別の態様の1以上の別の特徴と組み合わせてもよい。また、上記のことから、本明細書に特有の構造の組み立ておよびその稼働が、本発明に従った方法を構成することは認められるであろう。
【0047】
〔0056〕本明細書に提示された説明および図解は、他の当業者に本発明、その原則、およびその実際的適用を知らせることを意図する。当業者は、特定の使用の必要条件に最も適切であることができるように、本発明の非常に多い形態においてそれを適合させ、利用してもよい。したがって、説明されたような本発明の具体的な態様は、包括的であること、または本発明を限定することを意図しない。本発明の範囲は、したがって、上記の説明を参照することによって決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲が権利を与える等価物の全範囲と一緒に、そのような特許請求の範囲を参照することにより決定されるべきである。特許出願および公開公報を含む、すべての条項および参考文献の開示はすべての目的に対して、参照として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】〔0009〕異なる型の堆砂が堆砂の深さと一緒にお互いに識別される、川底の水路測量学的調査の結果を示す。
【図2】〔0009〕異なる型の堆砂が堆砂の深さと一緒にお互いに識別される、川底の水路測量学的調査の結果を示す。
【図3】〔0010〕補正された汚染物質濃度が算出された修復現場を示す。
【図4】〔0011〕修復後の汚染物質濃度が算出された修復現場を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、汚染物質を含有する堆砂の可能な選択的除去のために現場を測量調査する方法:
流路を含む現場において、1以上の堆砂帯の堆砂測量調査を実行すること;
該1以上の堆砂帯それぞれの補正された汚染物質濃度を:
該1以上の堆砂帯それぞれの初めの汚染物質濃度を測定すること;
該1以上の堆砂帯それぞれに侵食因子を割り当てること;および
該1以上の堆砂帯それぞれにリスク低減因子を割り当てること
によって算出すること。
【請求項2】
前記実行する工程が、堆砂帯に電磁気エネルギーを適用すること、そして、その堆砂帯によって反射されたエネルギーをモニターすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電磁気エネルギーがソナーまたはレーダーである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記実行する工程が、堆砂帯それぞれにおける、堆砂の型、堆砂の位置、堆砂の体積およびこれらの組み合わせを同定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
割り当てられたリスク低減因子が堆砂の型、堆砂の位置、堆砂の体積およびこれらの組み合わせに基づいて補正される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
堆砂帯が侵食帯、堆積帯または安定帯のどれであるかを同定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
補正された汚染物質濃度と標準との比較により、前記1以上の堆砂帯が修復を必要とするかどうかを判断することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標準が現場の必要条件、または地方自治、州もしくは連邦の法律、規則もしくは条例、およびこれらの組み合わせである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記初めの濃度を測定する工程が、初めの濃度を推定するか、または堆砂を試験することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記侵食因子を割り当てる工程が、前記1以上の堆砂帯それぞれを堆積帯、侵食帯、または安定帯として同定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記堆砂帯を同定することが、時間において分離された現場の画像を比較すること、現場の地形学的特徴を分析すること、またはこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記同定する工程が堆砂帯に電磁気エネルギーを適用すること、そして、その堆砂帯によって反射されたエネルギーをモニターすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1以上の堆砂帯のどれが修復を必要とするかという判断に基づいて修復計画を企画することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
修復計画を考慮して現場を修復することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
汚染物質がポリ塩化ビフェニルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
以下の工程を含む、汚染物質を含有する堆砂の選択的除去のための方法:
堆砂測量調査および地形学的原則の適用により、ある現場の流路の1以上の堆砂帯を同定して、流路内の堆積帯、侵食帯および安定帯の位置を測定すること:
該現場の1以上の堆砂帯の補正された汚染物質濃度を算出すること;
補正された汚染物質濃度と標準との比較により、前記1以上の堆砂帯が修復を必要とするかどうかを判断すること;および
前記1以上の堆砂帯のどれが修復を必要とするかという判断に基づいて修復計画を企画すること。
【請求項17】
企画された修復計画を実行することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
修復計画の実行を確認することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記確認する工程が、修復後の堆砂サンプリング、修復された1以上の堆砂帯の修復後に補正された汚染物質濃度を算出すること、堆砂測量調査またはこれらの組み合わせを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
修復計画を企画する前に、流路のある区画の表面加重平均濃度を算出することをさらに含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−526238(P2009−526238A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554486(P2008−554486)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/061784
【国際公開番号】WO2007/092892
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506322363)アン・アーバー・テクニカル・サービシーズ (2)
【Fターム(参考)】