説明

堆積物の除去方法

水素化ケイ素を、分子フッ素または分子フッ素から発生する反応種を含むガスで処理する工程を含む、水素化ケイ素を固形体の表面から除去するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2009年10月30日に出願された欧州特許出願第09174705.5号(その全内容を参照によって本特許出願に組み込む)の利益を請求する。
【0002】
本発明は、特にチャンバ清浄化プロセスとして有用である堆積物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0003】
処理チャンバは、半導体、フラットパネルディスプレイまたは光電池素子を製造するために半導体および光電池産業において使用されている。製造は一般に、処理の間、処理チャンバ内に設けられた支持体上に典型的に配置される基材のエッチングまたは化学蒸着などの作業を含む。
【0004】
製造工程の間、特に化学蒸着工程の間、材料は一般に基材上に堆積されるだけでなく、チャンバ壁および対電極などのチャンバの内部部品上にも堆積される。後続の製造段階の間の汚染問題を防ぐために、このような材料は好適には除去される。
【0005】
(特許文献1)には、処理チャンバの内部部品上に堆積された非晶質ケイ素が、清浄化ガスとしてフッ素によって熱的に清浄化され得ることが開示されている。また、この文献は、酸化ケイ素または窒化ケイ素をこの方法によって除去することができないことを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第A−1138802号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は現在、特に、効率的なチャンバ清浄化プロセスを利用可能にしている。
【0008】
したがって、本発明は、水素化ケイ素を分子フッ素を含むガスで処理する工程を含む、水素化ケイ素を固形体の表面から除去するための方法に関する。あるいは水素化ケイ素は、または分子フッ素から発生する反応種で処理され得る。
【0009】
驚くべきことに、分子フッ素は水素化ケイ素の除去のために特に効率的であり、したがって、良い清浄化効率および低減された清浄化時間を可能にする。フッ素ガスは、水素化ケイ素堆積物を効率的に除去するが、地球温暖化を引き起こす恐れがなく、例えば慣例的に使用されたNF清浄化ガスと比べて比較的低いエネルギー消費量で使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「水素化ケイ素」は、ケイ素と水素とを含有する固体を特に意味すると理解される。固相中の水素原子含有量は一般に、1モルのケイ素に対して1モル未満である。この含有量は一般に、0.01モル/モル以上のケイ素である。しばしばこの含有量は、0.1モル/モル以上のケイ素である。
【0011】
しばしば、水素化ケイ素中のHの濃度は、非晶相中、0.1〜0.35モル/モルのケイ素である。それは典型的に、微結晶相中、0.03〜0.1モル/モルのケイ素である。
【0012】
「反応種」は、フッ素含有プラズマまたは原子フッ素を特に意味すると理解される。
【0013】
「分子フッ素から発生する」は、分子フッ素(F)が、反応種を発生させるために使用されたガス中に初期に存在することを特に意味すると理解される。
【0014】
典型的に、水素化ケイ素は、シラン含有堆積ガスを用いて化学蒸着によって固形体の表面上に堆積された。典型的に堆積ガスはシランと水素とを含む。適したシランの例には、SiHおよびSiなどがある。シランと水素とを含む堆積ガスが使用されるとき、堆積ガス中のシラン含有量は一般に少なくとも50%、しばしば少なくとも60%である。シランと水素とを含む堆積ガスが使用されるとき、堆積ガス中のシラン含有量は一般に多くても90%、しばしば80%以下である。
【0015】
欧州特許出願第1138802号明細書は、シランと水素とによるプラズマCVD法を実施して非晶質ケイ素層を形成することを教示する。本発明において除去される材料は、上に規定されたように特に水素化ケイ素である。堆積法は、水素化ケイ素の水素含有量およびその結晶度を制御するように実施され得る。
【0016】
本発明の方法によって除去され得る水素化ケイ素は一般に、非晶質および微結晶質水素化ケイ素から選択される。1つの態様において水素化ケイ素は本質的に非晶質水素化ケイ素からなる。別の態様において水素化ケイ素は本質的に微結晶質水素化ケイ素からなる。さらに別の態様において、水素化ケイ素は非晶質および微結晶質水素化ケイ素を含む。
【0017】
本発明において、分子フッ素(F)は、ガスの必須成分として使用される。
【0018】
1つの好ましい態様において、ガスは、分子フッ素からなるかまたは本質的に分子フッ素からなる。別の態様において、分子フッ素と例えば不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、キセノンまたはそれらの混合物とを含む混合物、特に窒素とアルゴンと分子フッ素との混合物が使用される。この場合、混合物中の分子フッ素の含有量は典型的に50%モル以下である。好ましくは、この含有量は20%モル以下である。適した混合物は例えば、本出願者の名前での国際公開第2007/116033号パンフレット(その全内容を参照によって本特許出願に組み込む)に開示されている。特定の混合物は本質的に約10%モルのアルゴン、70%モルの窒素、および20%モルのFからなる。
【0019】
この態様の特定の実施形態において、上に記載されたような不活性ガスとの混合物中の分子フッ素の含有量は50%モル超である。好ましくは、この含有量は80%モル以上、例えば約90%モルである。この特定の実施形態において、アルゴンは好ましい不活性ガスである。約90モル%の分子フッ素および約10モル%のアルゴンからなる混合物が特により好ましい。この態様のこの特定の実施形態において、上に記載されたような不活性ガスとの混合物中の分子フッ素の含有量は95%モル以下である。
【0020】
本発明において使用するための分子フッ素は、適したフルオロ金属酸塩、例えばフルオロニッケル酸塩または四フッ化マンガンを例えば加熱することによって製造され得る。好ましくは、分子フッ素は、溶融塩電解質、特にフッ化カリウム/フッ化水素電解質、最も好ましくはKF.2HFの電気分解によって製造される。
【0021】
好ましくは、精製された分子フッ素が本発明において使用される。本発明において使用するための精製された分子フッ素を得るために適している精製作業には、例えば濾過または吸収による粒子の除去、および例えば吸収による出発原料、特にHFの除去、および特にCFおよびOなどの不純物の除去などがある。典型的に、本発明において使用された分子フッ素中のHF含有量は10ppmモル未満である。典型的に、本発明において使用されたフッ素は、少なくとも0.1モルppmのHFを含有する。
【0022】
好ましい実施形態において、本発明において使用するための精製された分子フッ素は、
(a) 特に上に記載されたように溶融塩を電気分解して、HFと粒子と任意の不純物とを含有する粗原料分子フッ素を提供する工程と、
(b) 例えばフッ化ナトリウム上の吸着を含む、粗原料分子フッ素のHF含有量に対してHF含有量を低減させる作業および好ましくは分子フッ素中のHF含有量を前述の値まで低減する工程と、
(c) 例えば、粒子を含有するフッ素ストリームを例えばフッ化ナトリウムなどの固体吸収剤中に通す工程を含む、粗原料分子フッ素の粒子含有量に対して粒子含有量を低減させる作業とを含む方法によって得られる。
【0023】
特に前述のように製造および精製された分子フッ素は、例えば、可搬型容器内で本発明による方法によって供給され得る。この供給方法は、特に上に記載されたようなフッ素ガスと不活性ガスとの混合物が本発明による方法において使用される時に好ましい。
【0024】
あるいは、分子フッ素は、例えば、水素化ケイ素の除去工程とフッ素の製造および/または精製との両方に接続されたガス供給システムによって、本発明による方法によってその製造および任意選択の精製から直接に供給され得る。この実施形態は、本発明による方法において使用されたガスが分子フッ素からなるかまたは本質的にからなる場合、特に有利である。
【0025】
本発明による方法において、固形体は一般に、電気導電材料、例えばアルミニウム、またはアルミニウム合金、特にアルミニウム/マグネシウム合金、ステンレス鋼および炭化ケイ素を含むかまたはからなる。アルミニウムおよびアルミニウム合金が好ましい。好ましい実施形態において、固形体は、半導体、フラットパネルディスプレイまたは光電池素子の製造のための処理チャンバの内部部品である。特定の態様において、固形体は、CVD法において電場を生じるために適した電極であり、それは、特に上に記載されたような電気導電材料から好ましくは製造される。
【0026】
本発明による方法は、光電池素子の製造のために使用されたプロセスチャンバ内の水素化ケイ素堆積物を清浄化するために特に適している。
【0027】
本発明による方法の第1の特定の実施形態において、処理は、プラズマをガスから発生させる工程を含む。特定のプラズマ発生器が公知である。プラズマを発生するための典型的な方法は、ガスを高周波電場に暴露する工程を含む。
【0028】
第1の特定の実施形態の第1の態様において、発生する場の周波数は10〜15MHzである。典型的な周波数は13.56MHzである。
【0029】
第1の特定の実施形態の第2の態様において、発生する場の周波数は40〜100MHzであり、好ましくは40〜80MHzである。典型的な周波数は40MHzおよび60MHzから選択される。また、本発明は、上に記載されたような分子フッ素含有ガス、特に、分子フッ素からなるかまたは本質的にからなるガスを40〜80MHzの周波数を有する高周波電場に暴露することによって得られたプラズマに関する。また、本発明は、半導体、フラットパネルディスプレイまたは光電池素子製造プロセスにおいて使用された処理チャンバを清浄化するためにこのようなプラズマを使用することに関する。
【0030】
本発明による方法の第1の特定の実施形態において、ガス圧力は一般に0.5〜50トル、しばしば1〜10トルおよび好ましくは5トル以下である。
【0031】
本発明による方法の第1の特定の実施形態において、ガスの滞留時間は一般に1〜180s、しばしば30〜70sおよび好ましくは40〜60sである。
【0032】
本発明による方法の第1の特定の実施形態において、プラズマを発生させるために印加された電力は一般に1〜100000W、しばしば5000〜60000Wおよび好ましくは10000〜40000Wである。
【0033】
また、これらの特定の条件は本発明によるプラズマおよび本発明によるその使用にも適用されるということは理解されたい。
【0034】
第1の特定の実施形態の1つの態様において、処理は、遠隔プラズマ技術によって行なわれる。この実施形態の別の態様において、in situプラズマが発生する。例えば、このようなin situプラズマは、上に説明されたガスから、特に、精製された分子フッ素からプラズマを発生させるために適したデバイスを含む処理チャンバ内で発生する。適したデバイスには、例えば、高周波電場を発生させうる一対の電極が挙げられる。
【0035】
本発明による方法の第2の特定の実施形態において、処理は、水素化ケイ素を高温のガスと接触させる工程を含む。この実施形態において典型的な温度は100℃〜300℃の範囲である。しばしば温度は150℃〜250℃である。200℃以下の温度が好ましい。
【0036】
1つの態様において、温度は、固形体を所望の温度まで加熱することによって達成される。別の態様においてガスは例えば、それを加熱された管に流すことによって加熱されてもよい。また、加熱されたガスは、例えば、プラズマを発生するには不十分な条件下で上に記載されたような、特に40〜60MHzの周波数を有する高周波場を印加することによってin situ発生させてもよい。特定の態様において、ガスは、固形体の温度を所望の値に維持することに寄与するかまたは達成する反応熱を発生させるために処理工程に導入される。特に、ガスが分子フッ素からなるかまたは本質的にからなるとき、処理工程へのその導入は好ましくは高くても300℃、好ましくは高くても250℃の温度を維持するように制御される。
【0037】
本発明による方法の第2の特定の実施形態において、ガス圧力は一般に50〜500トル、しばしば75〜300トルおよび好ましくは100〜200トルである。
【0038】
本発明による方法の第2の特定の実施形態において、ガスの滞留時間は一般に50〜500s、しばしば100〜300sおよび好ましくは150〜250sである。
【0039】
本発明による方法およびその特定の実施形態において、処理は一般に、表面上の水素化ケイ素の量をその初期含有量に対して1%未満まで、好ましくは0.1%未満まで低減させるために十分な時間にわたって行なわれる。
【0040】
また、本発明は、製品の製造のための少なくとも1つの処理工程が処理チャンバ内で行なわれ、水素化ケイ素が処理チャンバの内部部品上に、例えば電極上に堆積される、製品の製造のための方法に関し、この方法は、本発明による方法によって前記内部部品を清浄化する工程を含む。典型的に、製品の製造は、上に記載されたように、非晶質および/または微結晶質水素化ケイ素の、基材上への少なくとも1つの化学蒸着工程を含む。典型的な製品は、半導体、フラットパネルディスプレイの他、ソーラーパネルなどの光電池素子から選択される。
【0041】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しているが、しかしながら、それを限定しない。
【実施例】
【0042】
以下の実施例のSi−Hの水素濃度は、分子百分率として示される。
【0043】
実施例1 分子フッ素を使用する遠隔プラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。パネル基材をチャンバから取り出した後、本質的に分子フッ素からなるガスを、100mbの圧力において遠隔プラズマ(RPS)装置(10kW)を通してチャンバ内に35slmにおいて導入する。3分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0044】
実施例2 分子フッ素と不活性ガスとの混合物を使用する遠隔プラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。パネル基材をチャンバから取り出した後、分子フッ素(20%)および窒素(70%)およびAr(10%)からなるガス混合物を、200mbの圧力においてRPS装置(40kW)を通して35slmにおいてチャンバ内に導入する。10分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0045】
実施例3 分子フッ素を使用する熱清浄化
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。パネル基材をチャンバから取り出した後、200℃まで予め加熱された本質的に分子フッ素からなるガスを、220mbの圧力において35slmにおいてチャンバ内に導入する。2分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0046】
実施例4 分子フッ素を使用するin situプラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。パネル基材をチャンバから取り出した後、本質的に分子フッ素からなるガスを5mbの圧力においてチャンバ内に10slmにおいて導入する。13.56MHzにおいて運転するin situプラズマ源が作動され、安定なプラズマが達せられる。5分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0047】
実施例5 分子フッ素と不活性ガスとの混合物を使用するin situプラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。パネル基材をチャンバから取り出した後、分子フッ素(20%)および窒素(70%)およびAr(10%)からなるガス混合物を5mbの圧力においてチャンバ内に10slmにおいて導入する。in situプラズマ源が作動され、安定なプラズマが達せられる。20分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0048】
実施例6 分子フッ素を使用するin situプラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。高周波(40MHz)のプラズマ源は、活性aSi:HおよびμmSi:Hを改良された速度においておよび十分な均一性によって堆積させることを可能にする。パネル基材をチャンバから取り出した後、本質的に分子フッ素からなるガスを5mbの圧力においてチャンバ内に10slmにおいて導入する。in situプラズマ源が作動され、安定なプラズマが達せられる。3分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0049】
実施例7 分子フッ素と不活性ガスとの混合物を使用するin situプラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。高周波(40MHz)のプラズマ源は、活性aSi:HおよびμmSi:Hを改良された速度においておよび十分な均一性によって堆積させることを可能にする。パネル基材をチャンバから取り出した後、分子フッ素(20%)および窒素(70%)およびAr(10%)からなるガス混合物を、5mbの圧力においてチャンバ内に10slmにおいて導入する。in situプラズマ源が作動され、安定なプラズマが達せられる。15分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0050】
実施例8 分子フッ素と不活性ガスとの混合物を使用するin situプラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。高周波(60MHz)のプラズマ源は、活性aSi:HおよびμmSi:Hを改良された速度においておよび十分な均一性によって堆積させることを可能にする。パネル基材をチャンバから取り出した後、本質的に分子フッ素からなるガスを5mbの圧力においてチャンバ内に10slmにおいて導入する。in situプラズマ源が作動され、安定なプラズマが達せられる。2.5分の処理後に、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0051】
実施例9 分子フッ素と不活性ガスとの混合物を使用するin situプラズマ洗浄
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。高周波(60MHz)のプラズマ源は、活性a−Si:Hおよびμc−Si:Hを改良された速度においておよび十分な均一性によって堆積させることを可能にする。パネル基材をチャンバから取り出した後、分子フッ素(20%)および窒素(70%)およびAr(10%)からなるガス混合物を5mbの圧力においてチャンバ内に10slmにおいて導入する。in situプラズマ源が作動され、安定なプラズマが達せられる。13分の処理後、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。
【0052】
実施例10 分子フッ素と低含有量の不活性ガス(10%のAr)との混合物を使用するin situプラズマ洗浄
フッ素と低濃度の不活性ガスとの混合物は高純度フッ素の高い反応性をほぼ維持してバルク(チューブトレーラ)で輸送され得るので、重要である。
【0053】
ソーラーパネルの製造において、シランガスとHとPH含有ドーピングガスとを使用する化学蒸着工程を実施し、アルミニウム合金から製造された内壁を有する処理チャンバ内の支持体上に取り付けられたパネル基材上にケイ素含有層を堆積させる。堆積条件および試薬の濃度に応じて、PECVD工程の後に微結晶質および/または非晶質Si:H堆積物がチャンバの内壁上および対電極上に存在することが観察される。水素化ケイ素中のHの濃度は非晶相において10%〜25%であるが、微結晶相においてそれは3%〜10%である。高周波(60MHz)のプラズマ源は、活性a−Si:Hおよびμc−Si:Hを改良された速度においておよび十分な均一性によって堆積させることを可能にする。パネル基材をチャンバから取り出した後、分子フッ素(90%)およびAr(10%)からなるガス混合物を、5mbの圧力においてチャンバ内に10slmにおいて導入する。in situプラズマ源が作動され、安定なプラズマが達せられる。2,5分の処理後に、微結晶質および非晶質Si:H層がチャンバ壁および対電極から実質的に除去される。高純度フッ素と上述の混合物との間にエッチング速度のいかなる偏差も測定できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化ケイ素を、分子フッ素または分子フッ素から発生する反応種を含むガスで処理する工程を含む、水素化ケイ素を固形体の表面から除去するための方法。
【請求項2】
前記水素化ケイ素が非晶質および微結晶質水素化ケイ素から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化ケイ素が、シラン含有堆積ガスを用いて化学蒸着によって前記固形体の前記表面上に堆積された、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記固形体が、半導体、フラットパネルディスプレイまたは光電池素子の製造のための処理チャンバの内部部品である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスが本質的に分子フッ素からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガスが分子フッ素と好ましくは窒素およびアルゴンから選択される不活性ガスとの混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ガスの分子フッ素含有量が50%モル超〜95%モル、好ましくは80〜90%モルであり、不活性ガス含有量が5%モル〜50%モル、好ましくは10%モル〜20%モルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガスが約90モル%の分子フッ素および約10モル%のアルゴンからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記処理がプラズマを前記ガスから発生させる工程を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プラズマを発生させる工程が、前記ガスを40〜80MHzの周波数を有する高周波電場に暴露する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ガス圧力が0.5〜50トルである、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマを発生させるために印加された電力が5000〜60000W、好ましくは10000〜40000Wである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記処理が前記水素化ケイ素を100〜300℃の温度の前記ガスと接触させる工程を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ガス圧力が50〜500トルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加熱されたガスを、プラズマを発生するには不十分な条件下で特に40〜60MHzの周波数を有する高周波場を印加することによってin situ発生させる、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記処理が、前記表面上の水素化ケイ素層の量をその初期量に対して1%未満に低減させるために十分な時間にわたって行なわれる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記固形体がアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼およびSiCから選択される材料を含むかまたはからなる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法において使用するための分子フッ素を溶融塩電解質の電気分解によって提供する工程をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
製品の製造のための方法であって、製品の製造のための少なくとも1つの処理工程が処理チャンバ内で行なわれ、水素化ケイ素が前記処理チャンバの内部部品上に堆積され、方法が、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法によって前記内部部品を清浄化する工程を含む方法。
【請求項20】
前記製品が半導体、フラットパネルディスプレイおよびソーラーパネルから選択される、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2013−509701(P2013−509701A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535837(P2012−535837)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066408
【国際公開番号】WO2011/051410
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】