堆積粒子に関する方法および生成物
本発明は、基体上に堆積したカプセル化された粒子からカプセル材料を除去する方法に関する。当該方法では、カプセル材料の前記除去が容易化された基体を用いられる。前記粒子はナノ粒子であってもよい。特に前記容易化された基体による除去は、前記粒子の焼結をもたらすことがある。本発明は、粒子状物質を用いて電気的構造を機能化し、簡単に例えば、印刷されたエレクトロニクスデバイスを作製するための新規な方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、印刷エレクトロニクスを目的とした、基体上に堆積されたカプセル化された粒子に関する。特に、本発明は、官能化された構造の形成を目的とした、基体上に堆積された、金属、酸化金属および半導体の粒子を覆うカプセル材料の効率的な除去方法に関する。また、本発明は、カプセル材料の除去により得られる生成物およびこの目的に適した装置に関する。本発明は、基体上へのカプセル化された金属粒子の堆積と、焼結を可能とするためのカプセル材料の除去による導体の製造方法を提供する。本発明は、別個の部品を焼結構造に相互接続する方法を提供する。加えて、本発明は、焼結と、別個の部品の焼結構造への相互接続とにより製造される生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷電子回路部品およびデバイスは、大部分、非吸収基体上に実施されてきた。このように、印刷された(および硬化された)層の物理的特性は、主に、材料それ自体と、例えば、印刷中の所望の濡れ挙動のみを対象とした基体表面の修飾とにより決定される。例えば、インクジェット写真紙または透明シートに反して、これらの印刷基体は、吸収による乾燥よりも溶媒/分散剤の完全な蒸発を必要とする。溶媒の除去に加えて、インク/ペーストを基にしたほとんどの粒子は、粒子間の物理的接触をさらに可能するために、粒子のカプセル材料を除去するための硬化工程を通常必要とする。カプセル材料は、粒子の凝集を防ぐことにより安定な分散をもたらすために、粒子核に、大抵は強固に結合している。したがって、前記カプセル材料の効率的な除去のために必要とされる硬化温度が、基体の耐熱性に対してしばしば問題となる。このことは、カプセル化された金属ナノ粒子の分散体の印刷と、それに続く、焼結を可能とするためのカプセル材料を除去するための熱硬化により、フレキシブルな基体上への金属導体の形成を試みるときに、頻繁に問題となる。その結果、レーザー焼結、パルス高エネルギー光焼結、マイクロ波焼結および電気焼結等の様々な代替の焼結方法が、開発された。電気焼結は、例えば、我々の先願の特許公開公報であるWO 2008/009779、EP 2001272、EP 2001053、EP 2001273およびEP 2003678において説明されている。
【0003】
全ての公知の焼結方法は、それらの利点を有するが、所定の欠点により劣っている。
【0004】
デバイスおよび回路部品の印刷は、いまだ技術の発展段階にある:プロセスに関する制限(例えば、印刷された導体間の最小ギャップ間隔)と同程度に材料の制限(例えば、有機半導体の安定性と可動性)が、科学界および産業界の努力にもかかわらず存続している。一見したところ、いくつかの先駆的な印刷エレクトロニクス処理工程は、完全に機能的なRFIDタグの全印刷が可能なようであるが、これらは、通常、高価な設備と制御された環境とを必要とする。アンテナ製造のための銀ペーストのスクリーン印刷等のより成熟した技術が競合することが判明したが、印刷回路(アンテナ)を用いた、シリコン系マイクロチップまたは他の別個の部品の集積は、高価な処理過程である。流体および振幅組立体等の他の方法が導入されたが、相互接続を形成するために用いられる一般的な方法は、フリップチップ接続(ピック・アンド・プレース)である。部品を印刷回路に相互接続することに関する全般的な問題は、個々の部品を正確な(印刷された接触パッドに位置合わせされた)位置に高スループットな方法でどのように供給するかである。(ナノ粒子インクの)インクジェット印刷および焼結された配線のフリップチップ接続に関するさらなる問題は、焼結導体の上面上に形成されやすい電気絶縁層である。
【0005】
したがって、特に、導体形成、部品相互接続、センサー材料形成ならびに金属酸化物粒子および半導体粒子の焼結促進を目的として、堆積した粒子からカプセル材料を除去して粒子核を露出させる効率的な方法が必要とされている。ドロップ・オン・デマンド印刷(デジタル的に規定された印刷パターン)およびチップ・オン・デマンド配置(印刷電極に対してデジタル的に規定された部品位置に様々な異なる部品を配置)により大型回路でさえも低コスト基体上に製造できる処理方法および装置は、多くの可能性を与える。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、堆積した粒子からカプセル材料を除去するための効率的な方法、特に、電子回路、部品、および/またはデバイスの大量生産に適した方法を提供することである。カプセル材料を除去することにより使用可能となった生成物およびそれと関連する装置の提供も目的である。
【0007】
本発明は、電子部品の接続方法を提供することも目的とする。
【0008】
それらの目的は、独立請求項に規定された方法、生成物および装置により達成される。有利な実施態様は、従属請求項の対象である。
【0009】
第一の実施態様では、カプセル材料を除去する方法は、容易化された基体である。
【0010】
したがって、本発明の一面では、核とその粒子核に結合したカプセル材料とを有する粒子から基体上の粒子構造を製造する方法が提供され、その方法は、前記粒子を前記基体上に堆積させる工程と、前記粒子の前記核から前記カプセル材料を除去して、粒子核を露出させ、粒子核を物理的に接触させる工程とを含む。好適な実施態様では、粒子核からカプセル材料を化学的に除去可能な基体が用いられる。
【0011】
本発明の特別な目的は、様々な範囲の基体に適した方法を提供することである。
【0012】
一の実施態様では、典型的には1以上の被覆層をベース基体上に設けることにより、基体が準備されてインク/ペーストの溶媒/分散剤を急速に(表面層の直下の液体吸収層内に)吸収可能となる一方、粒子が表面層上の目的とする領域から外に移動することを防ぐ。
【0013】
好適な実施態様では、基体は、表面層内の帯電したコロイドタイプの多孔質酸化物材料(非多孔質粒子の懸濁液)を含み、カプセル材料を粒子から化学的に除去し、粒子核同士を密着させる。
【0014】
その多孔質酸化物材料は、特には、メソポーラスであってもよい。
【0015】
一の実施態様では、帯電したコロイドタイプの多孔質酸化物材料は、ナノ−アルミナまたはナノ−シリカであり、その平均粒径は、具体的には5〜40nmである。その酸化物材料は、ニオブ、タンタル、チタニウム、ジルコニウム、セリウムまたは酸化スズであってもよい。
【0016】
本発明は、電気的構造が、基体上に、堆積され、そのままで焼結される方法を提供する。
【0017】
したがって、本発明の一面では、核を持つ粒子と、その粒子核に結合したカプセル材料から、基体上に焼結構造を製造する方法が提供され、その方法は、基体上に前記粒子を堆積する工程と、粒子を焼結するために粒子の核から前記カプセル材料を除去する工程とを含む。本発明では、カプセル材料を粒子核から化学的に除去可能な基体が用いられ、粒子を焼結して、前記焼結構造を形成する。
【0018】
本発明の一面では、本発明は、電子モジュール、典型的には印刷により形成されるモジュールであって、基体(具体的には、シートまたはウェブ基体)と、前記基体上の焼結構造とを具え、その焼結構造は、少なくとも一部が融合した粒子核から形成されている。本発明では、基体は、前記粒子核からカプセル材料を化学的に除去することが可能であり、粒子を焼結して前記焼結構造を形成する。
【0019】
本発明は、関連した処理方法の提供もして、その方法では、ドロップ・オン・デマンド印刷(デジタル的に規定された印刷パターン)およびチップ・オン・デマンド配置(印刷電極に対してデジタル的に規定された部品位置に様々な異なる部品を配置)により大型回路でさえも低コスト基体上に製造できる。
【0020】
一の実施態様では、最上部の基体層は、インク溶媒が吸収されるため、カプセル材料の除去が可能であり、1以上の別個の電子部品を基体に接続するために用いられる。溶媒吸収表面上に堆積されたときに除去されるカプセル材料を用いたインク/ペースト粒子は、基体への部品の良好な電気的および機械的な接触をもたらす。
【0021】
本発明の方法の一の実施態様では、部品は、導体パターニングに用いられたものよりもわずかに高い印刷解像度で接触パッド領域をはじめに印刷する工程と、その後、プリントヘッドに取り付けられたタワーに保持されているその部品を真空吸引フローを瞬間的に中断することによりその部品を規定された位置に落下させる工程とにより、配置される。その部品は湿潤したインクに接触するため、その部品は、瞬時に電極に固定され、電気的および機械的に高品質な接触をもたらす。その配置の精度は、プリンターのモーター駆動段階の精度により制限される。
【0022】
したがって、本発明は、化学的に活性な上述した種類の基体を保持または供給するための手段と、基体上にカプセルされた導電性粒子を含有するインクを堆積し、その粒子の焼結によりその基体上に導体構造を形成するための印刷ヘッドと、別個の電子部品をまだ湿潤したインク上に配置し、その部品を前記導体構造に電気的に接続し、その部品を基体に機械的に固定する手段とを具える装置も提供する。
【0023】
本発明は、重要な利点をもたらす。
【0024】
本発明は、電子回路および/または部品を多様な低コスト基体上に形成する方法と、別個の部品をコスト的に有利な方法により作製された導体に接続する方法とを提供する。斯かる被覆された基体の全体の価格は、通常、一般的に耐熱性と滑表面とが要求され、印刷電極において頻繁に用いられる基体の価格よりも低い。
【0025】
少なくとも2つの処理段階(すなわち、材料の塗布と実際の焼結)を含む従来の焼結方法と比較すると、本発明は、後処理段階のない、被覆されたベース基体上の直接焼結をもたらす。本発明において上述したように基体を被覆することにより、本発明の方法では、従来の方法で可能であったものよりも多様な低コスト印刷基体上への焼結が可能である。本発明の方法は、一段階の印刷と焼結のような、時間と収率の節約を意味する印刷電極の処理をもたらす。
【0026】
インクジェット印刷および熱焼結された配線へのフリップチップ接続に関する絶縁隔壁の形成の問題も、ここで開示される焼結が容易化された基体方法により克服される。したがって、本発明は、極めてコスト的に有利な方法による印刷中に、印刷された導体に別個の部品を直接取り付ける方法を提供する。
【0027】
「容易化された基体」方法とは、基体単体で、基体上に堆積した粒子のカプセル材料の除去プロセスを開始することが可能なことを意味する。具体的には、基体は、室温においてカプセル材料の少なくとも25%を除去することが可能である。その容易化された基体プロセスによりカプセル材料を完全に除去することも可能である。カプセル層の一部または全部の除去後に、焼結プロセスを自然にまたはその系に外部エネルギーを集めることのいずれかにより開始してもよい。
【0028】
「そのまま焼結」という用語は、具体的には、少なくとも部分的に、堆積後にその系に外部エネルギーを持ち込まなくとも焼結が起こることを意味する。しかしながら、本発明は、外部エネルギーが系に持ち込まれないような方法に限定されず、本発明は、基体と粒子インクとが、そのままで上述した焼結効果を少なくとも一定程度もたらし得るような幅広い全ての方法を含むことに留意されたい。換言すると、例えば、熱、光または電流を用いる追加の焼結(または「硬化」)は、排除されず、実際に、表面の導電性をさらに増加させることが見出されている。
【0029】
印刷電子回路用の導体を製造する場合、基体の焼結容易化後の所望の導電性レベルは、通常、1e6 S/m超であり、後述する本発明の方法により十分に得られる。
【0030】
特に、本発明によれば、追加の硬化がなくとも、粒子の核として用いられる金属のバルクな導電性が、1%超え、好ましくは10%超え、さらには25%超えの構造が製造され得る。
【0031】
結果的な導電性は、適切なカプセル材料の選択と、粒子を覆うカプセル層の厚さの調整とにより、変化させることもできる。したがって、様々な異なるインク/ペースト分散体が、同一の被覆された基体上に同時に印刷されてもよく、それにより、種々の目標の導電性/抵抗を有する導体および抵抗が可能となる。
【0032】
「(カプセル)材料」という用語は、粒子核材料に結合(例えば、共有結合、イオン結合もしくは水素結合により、または例えば、ファンデルワールス相互作用もしくはイオン−双極子相互作用により)することができ、粒子の凝集、絡み合いまたは融合を防止することができる分子を有する何らかの材料を表す。カプセル材料は、好適には0.1〜5nm、特に0.1〜1nmの範囲の厚さを有するキャップ層または被覆層を形成してもよい。
【0033】
カプセル材料は、好適には有機物である。
【0034】
粒子は、好適にはナノ粒子、典型的には球状のナノ粒子である。したがって、粒子の直径は、1000nm未満であり、好適には100nm未満である。最も良好なそのままの焼結の結果は、5〜50nmの粒径を有する粒子において観察された。
【0035】
インク/ペースト受容被覆層は、基体上の所定の位置にのみ形成され、カプセル材料を化学的に除去する能力の位置依存をもたらすようにしてもよい。
【0036】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施態様をさらに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)Siena写真紙、(b)エプソン高光沢写真紙、(c)エプソン透明シート上にインクジェット印刷された銀パターン。(d)印刷後に吸収された溶媒が直接視認でき、表面層における粒子の固定の証拠を示している一方、その溶媒は下層に引き寄せられている。
【図2】基体上にインクジェットにより印刷された配線の100℃、10分間のオーブン硬化前後において測定されたシートの抵抗。
【図3】温度25℃、相対湿度=25〜35%において保管された基体上に印刷されたナノ粒子インク。(a)エプソン透明シート、(b)エプソンDuraBrite写真紙、(c)Siena写真紙、(d)3M透明シートおよび(d)Star透明シート。
【図4】(a)相対湿度:L=1〜5%、(b)相対湿度:M=25〜35%および(c)相対湿度:H=85%に制御された雰囲気中に保管された、エプソン透明シート、エプソンDuraBrite写真紙およびSiena写真紙基体上に印刷された5mm長の線の(4配線)の測定された抵抗。3つのサンプルの各線の幅/相対湿度値が測定された。非常に優れた再現性が証明された。
【図5】エプソン透明シート上に印刷された銀ナノインクのSEM画像:4ピクセル幅の線の端。
【図6】(a)相対湿度:L、(b)相対湿度:M、(c)相対湿度:Hにおいてエプソン透明シート上に印刷された銀ナノインクの線(4ピクセル線幅)の中心からのSEM画像。湿度の上昇に伴い粒成長が観察された。(d)エプソン透明シートのナノ構造の最上層の被覆は、実際ははっきりとした微粒子である。
【図7】(a)相対湿度:L、(b)相対湿度:M、(c)相対湿度:HにおいてエプソンDuraBrite写真紙上に印刷された銀ナノインクの線(4ピクセル線幅)の中心からのSEM画像。湿度の上昇に伴い粒成長が観察された。(d)エプソンDuraBrite写真紙は、高密度のナノ粒子の最上層の被覆を有しており、全ての相対湿度レベルにおいて、ミクロン長さスケールのクラッキングを示していた。
【図8】(a)相対湿度:L、(b)相対湿度:M、(c)相対湿度:HにおいてSiena写真紙上に印刷された銀ナノインクの線(4ピクセル線幅)の中心からのSEM画像。湿度の上昇に伴い粒成長が観察された。(c)Siena写真紙は、ナノスケールの多孔を有することを示すが、最上層は、ナノ粒子からなるものではない。
【図9】本発明の相互接続手法を示す図解。(a)ナノ粒子インク電極が基体上に高解像度で印刷される。(b)部品はインクがまだ湿潤しているときにその印刷された電極上に配置されインクが部品の接触電極を湿潤させる。(c)チップが接触したときにインクは瞬時に吸収され、高品質な接触が形成されるる。溶媒は、下部の液体吸収層に完全に吸収される。
【図10】エプソンDuraBrite写真紙上に印刷された電極に接続された表面実装チップ抵抗。
【図11】印刷された電極(エプソンDuraBright)に接続された表面実装チップ抵抗。(a)R=102Ωが測定された100Ω0603タイプ、(b)R=10kΩが測定された10kΩ0805タイプ。
【図12】配線またはエプソンDuraBrite写真紙に相互接続された表面実装LED。基体を横切ってピペットを移動させ、LEDをまだ一部が湿潤したナノインク電極上に配置することにより、配線と相互接続が形成された。
【図13】回路配線のドロップ・オン・デマンド印刷と、別個の部品のプレース・オン・デマンド相互接続のための構成。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施態様の詳細な説明
記載された本発明は、修飾された基体表面に堆積した粒子からカプセル材料の除去が容易化された基体に関する。粒子のカプセル材料の前記除去を可能とするのに要求される主要なインク/ペーストおよび被覆層特性が、実施例と同様に、本発明が実施されるのを可能とするために以下に記載される。
【0039】
紙、プラスチック、テキスタイル等の多くのベース材料が、本発明で記載された受容被覆層の種類を用いて被覆されることができる。これらの材料は、印刷エレクトロニクスにおいて頻繁に用いられる被覆されていない基体に比べて安価である。
【0040】
例えば、印刷エレクトロニクス用途に開発された粒子インク/ペーストは、被覆層を形成する被覆材料を用いてカプセル化された粒子を含む。平均粒径1nm〜3μm、ナノ粒子の場合においてはより典型的には5〜50nmの範囲の粒子は、狭いサイズ分布において強く引き付けるファンデルワールス/カシミール力をもたらし、粒子のカプセル材を置換して粒子表面を接触可能とするのに小さいエネルギーしか必要とされない。好適には、カプセル材料は、液相中において静電反発力をもたらすイオン性末端基を有する。カプセル材は、ほとんどの場合、例えば、チオール、他の硫黄含有配位子、アミン、酸化物、ホスフィン、カルボキシレート配位子、高分子電解質、またはポリマー(例えば、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(PVP)またはポリエチレングリコール)である。金−硫黄結合は、チオール配位子において非常に強く、一方、例えば、金にそれほど強く結合していないポリマーでは、かなり緩く結合したカプセル材となり、したがって、良好な安定剤ではない。特に、チオールキャップされたナノ粒子は、不可逆凝集がなく、単離(乾燥)と再溶解が繰り返し可能である。粒子は、負または正のいずれかに帯電することができる。PVP等の非イオン性のカプセル材料も用いることができ、その場合、安定性は、立体障害の効力により保たれる。インク/ペースト分散剤は、極性または無極性のいずれであってもよい。
【0041】
インク/ペースト粒子の核は、例えば、銀、金、銅、アルミニウム、ニッケル、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、ITO、AZOでもよい。
【0042】
印刷基体は、好適には、ベース基体上の、少なくとも1つの表面層と、1つの液体吸収層とを具える。インク/ペーストが基体上に堆積されるとき、溶媒/分散剤が、基体の液体吸収層内に急速に吸収される一方、基体の表面層は、インク/ペースト粒子を固定し、核が露出された粒子が密に充填した層を残して粒子カプセル材料を化学的に除去する。キャップ層は、インク溶媒の吸収による高い充填効果を得るために可能な限り(好適には0.5nm未満)薄くする。ナノ粒子間の分散力の特質を決定する重要な物理的パラメータは、粒子間分離距離に対する金属核の大きさの比である。高い充填効率を得るために、キャップ層の厚さは、核の大きさと比較して小さく(好適には0.2〜5%)なければならない。
【0043】
基体の表面層は、好適には高電荷密度を保持する。好適には、表面層は、大きさが10〜150nm範囲の均一なコロイドタイプの多孔質酸化物粒子から構築される。基体は、インク/ペースト特性と適合して、基体の表面層が、インク/ペースト粒子に対して逆に帯電する。帯電密度は、高帯電固定物質をバインダー(例えば、カチオン性電荷密度が望まれる場合には、PEI)として使用することにより増加させることができる。同様に、基体の表面層に用いられるバインダーは、極性インク/ペースト分散剤の場合には、極性溶媒に対して適合し、無極性インク/ペースト分散剤に対しては反対となる。例えば、PVPまたはPVAが基体の被覆層におけるバインダーとして用いられる場合には、極性インク/ペースト溶媒/分散剤が要求される。
【0044】
上述したように、粒子のカプセル材料の除去についてのメカニズムは、カプセル材料の化学的な除去が容易化された基体に基づく。特に、基体の高帯電表面層は、エネルギー的に有利であれば、カプセル材料の分子を引き付け、その被覆を除去する。以下は、いくつかの例である:
・イオン性末端基を有する分子を組み込んだカプセル材料:粒子核からのカプセル材料の解離は、カプセル材分子の末端基と、基体の表面層との間のイオン結合の強さが、粒子核に対するカプセル材分子の結合の強さよりも強い場合に、達成される。
・非イオン性カプセル材料:何らイオン性基を有しない分子と、基体の高帯電表面層との間の引力は、イオン−双極子相互作用により生ずる。例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)は、双極子を示し、それは帯電した基体層とイオン−双極子相互作用を経て、その2つの部品を密に接触させる。カプセル材分子の解離は、基体との間にイオン−双極子結合を形成するためにPVP−粒子結合を切断することがエネルギー的に有利であれば、生ずる。
・化学物質の外部からの追加により容易化されたカプセル材料の除去:カプセル材分子−粒子核結合の切断プロセスは、外部の化学物質(例えば、水、メタノール、エタノール等)により容易化されることもある。この物質は、粒子からのカプセル材分子の剥離と基体への移動を促進する。
【0045】
粒子核に対するカプセル材料の結合の強さは、インク/ペースト分散体として保たれる高安定性の限度において最小化される。
【0046】
粒子からのカプセル材料の除去は、粒子が直接物理的な接触をすることを可能とする。金属粒子の場合には、この方法により粒子の焼結が可能となる。大きな表面積対体積率を有する金属粒子では、表面の原子が、対応する内側の核(バルクな)原子よりもより小さい配位数を有し、高い表面エネルギーの解放が焼結の駆動力となる。
【0047】
したがって、上記発明は、修飾された基体表面上の粒子の焼結が容易化されたそのままの基体と、前記粒子構造への別個の部品の直接の相互接続とに関する。焼結を容易にする主要なインクと被覆層の特性、および相互接続プロセスは、上述したとおりである。ドロップ・オン・デマンド印刷およびチップ・オン・デマンド配置についての工程環境と、装置についても提案される。
【0048】
本発明は、柔軟な基体上に回路およびアンテナを印刷する効率的な方法を提供する。周囲条件においてその方法を用いて達した導電性は、1e6 S/m超(1.5e7 S/m超が実証された)であり、それは多くのマイクロエレクトロニクス用途について深刻な発熱または電圧降下を被ることなく、電流を通すのに十分な導電性のレベルである。
【0049】
本発明のさらに好適な実施態様を以下に記載する。
【0050】
例えば、印刷エレクトロニクス用途に開発されたナノ粒子インクは、被覆層を形成するカプセル材料により覆われたナノスケールの粒子を含む。好適な実施態様では、狭いサイズ分布の平均粒径(典型的には)5〜50nmの範囲の金属ナノ粒子が用いられ、それらは強く引き付けるファンデルワールス力/カシミール力をもたらすため、粒子のカプセル材を置換して粒子表面を接触可能とするのに小さいエネルギーしか必要とされない。粒子間の接触の形成は、粒子の大きな表面積対体積率によりさらに容易化される;溶融/焼結温度は、表面分子振動の抑制により低下する。好適には、カプセル材料は、イオン性末端基を有し、印刷前に分散体として静電反発力をもたらす。PVP等の非イオン性カプセル材料を用いることもでき、その場合、安定性は、立体障害の効力により保たれる。
【0051】
導体を形成するため、被覆された金属ナノ粒子の層は、絶縁体金属遷移を経る。粒子間の直接の物理的接触は、カプセル材分子−粒子核の結合が(通常は加熱を経て)切断されることによりカプセル材料が除去されるときに、可能となる。焼結は、粒子がネック形成(ナノ粒子の伸長を引き起こす核−核の癒着)を見せ始めるにつれて起こる。
【0052】
焼結の駆動力は、表面の小さい曲率半径に関連した高い表面エネルギーの解放である。
【0053】
高い導電性は、バルクな金属へのナノ粒子の完全な崩壊を通じて、よりもむしろ、制御された浸透チャネルの形成を通じて達成される。
【0054】
一の実施態様では、水が、カプセル材料の化学的な除去を容易化する。斯かる水溶性カプセル材料の場合、その方法は、少なくとも10%の相対湿度、特に、少なくとも20%、好適には少なくとも40%、最適には少なくとも75%の相対湿度において実行される。
【0055】
上記全てのインクおよび基体特性は、印刷層から別個の部品への直接の相互接続を形成する場合にも好適である;電極への電気接触は、カプセル材料の化学的な除去によるナノ粒子の焼結によって、確かに形成される。
【実施例】
【0056】
以下の例は、適した市販のナノ粒子インクと被覆された基体とを用いた本発明を実証する。
【0057】
インクジェット印刷基体は、基体上へのインクの固定をもたらすことを意図しているため、いくつかの金属ナノ粒子インク処方についても強く固定することを予期することができる。色素性のインクについて、固定は、その色素塗膜と、基体の表面層との間の自己固定手法による化学的な反応により得られる。印刷されたエレクトロニクスインク/ペーストのカプセル材料の除去が容易化された基体について、キャップ材料に対するプリント基体の親和性は非常に強く、カプセル分子−粒子核結合を切断し、粒子核を物理的に接触させる。
【0058】
本明細書において示される実施例のテストの結果は、Advanced Nano Products社のDGP-45LT-15Cインクを用いて行われ、そのインクは、10〜20nmの公称粒子サイズの銀ナノ粒子と、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TGME)溶媒(極性)とを含む。カプセル材料の潜在的候補は、PVPである。PVP分子は、溶液中では静電反発力による安定性をもたらさないが、そのポリマーによりもたらされる立体障害により不可逆凝集を防ぐことができる。他の実施例は、PVP被覆された銀ナノ粒子がN,Nジメチルホルムアミド(DMF)およびエタノール中でどのようにして安定なのかを示すが、水中では、DMFとエタノールとの間の極性の違いよりもDMFと水との極性の違いが大きいため凝集が起こる。Virhe. Viiteen lahdetta ei loytynyt.水による極性の増大が、安定化剤の有効性を減少させる。よって、我々は、DGP-45LT-15Cを用いて行ったテストにおいて焼結を容易にするための周囲の相対湿度(RH)を予想することができる。
【0059】
我々は、異なる市販の被覆されたインクジェット印刷基体(写真紙および透明シート)の焼結能力間の重要な違いを証明することを予期する。これらの基体は、全て水ベースのインクに対して最適化されており、一般に同様の短い乾燥時間を示すが、我々は、被覆構造が、ある場合にはヒュームされたシリカであり、他の場合には例えば、コロイドアルミナであることを知っている。本発明の好適な実施態様では、ヒュームされた酸化物よりもコロイドタイプの酸化物が好適である。ヒュームされた酸化物は速い溶媒吸入と基体表面層上への色素の固定化をもたらし得て、その固定メカニズムは、静電的よりも実際はより立体的である。それ故に、本発明の好適な実施態様では、コロイドタイプの酸化物、特に高度にプロトン化された基体表面層と共に用いるアルミナ酸化物は、銀ナノ粒子からカプセル材料を最も効率的に除去することが予想される。
【0060】
導体の焼結が容易化された基体
焼結が容易化されたそのままの基体の焼結方法は、最初に、エプソンインクジェット透明シート(S041063)上に銀ナノ粒子インク(Advance Nano Products社のDGP-45LT-15C)をインクジェット印刷することにより実証された。結果を以下に示す。その後、得られた導電性(「焼結度」)における相対湿度の影響を実証する第二の一連のテストを示す。
【0061】
第一のテストでは、銀ナノ粒子インク(Advance Nano Products社のDGP-45LT-15C)が3つの印刷基体:Siena 250G、エプソン高光沢写真紙およびエプソンインクジェット透明シート、上に印刷された。パターンは、商業規模のインクジェットプリンター(iTiシステムにSpectra SX-128ヘッドを具えたApollo II PSK:10 pL液滴直径、128ノズル、50μm原解像度)を用いて、100 mm/sヘッドスピードと600 dpi印刷解像度(図1)にて印刷した。印刷試験は、周囲条件において行った。各基体種類からのサンプルも100℃において10分間、オーブン焼結した。未処理および硬化後(オーブン焼結後)のサンプルの抵抗を測定し(4配線)、対応するシート抵抗を光学顕微鏡を用いた寸法測定に基づいて算出した。
【0062】
エプソン透明シート上に印刷された配線は、硬化前において既に極めて高い導電性を示す。層の厚さを1μmと仮定すると、熱硬化したときに導電性は、7e6 S/mから1e7 S/mに増大(バルクな銀に対して11%〜16%)した。Sienaおよびエプソン高光沢紙についての相当値は、硬化前が100 S/mであり、硬化後が1e5 S/m(バルクな銀に対して0.16%)および5e5 S/m(バルクな銀に対して0.79%)である(図2)。
【0063】
第二の一連のテストサンプルは、50μmノズル、60μm液滴間隔でMicrodrop社のAutodropプリンターを用いて、5つの異なる基体:エプソンインクジェット透明シート、エプソンDuraBrite写真紙、Siena写真紙、3Mインクジェット透明シートおよびStarインクジェット透明シート、上に印刷(DGP-45LT-15Cインクを用いて)された(図3)。その実験方法は以下のように行った:サンプルは、印刷(25℃までに一定に保たれた温度、RH:L=1〜5%、RH:M=25〜35%、RH:H=85%と変えた相対湿度)前に温度/相対湿度が制御された環境に3日間入れられ、全てのサンプルは、印刷中、相対湿度50%以下、温度約28℃に合計時間3〜5分間さらされ、周囲条件にさらされる前に相対湿度が制御された環境に1日間戻された。全てのサンプルは、電気測定の前に1日間周囲条件に置かれた。
【0064】
エプソン透明シート、エプソンDuraBriteおよびSiena印刷基体は、1〜5分で手で触れるくらいまで乾くのに対して、3MとStar透明シートでは、インクが完全に吸収されるまで5〜20分かかった。3MとStar透明シートは、低い印刷品質と、測定した導電性において大きな分散を示した。
【0065】
相対湿度への暴露は、エプソン基体とSiena写真紙上に印刷した場合では、印刷品質に影響を与えなかったが、導電性を高めた。印刷された導電路の測定された抵抗は、基体に移動した一定の固体重量当たりの抵抗を示す良い指標を与える(図4)。そのシートの抵抗を計算し、その導電性を表1に見積もった。明らかに、高い相対湿度に保管されたエプソン透明シートとエプソンDuraBrite写真紙は、両方とも、後硬化が適用されていないにもかかわらず、バルクな銀の導電性に迫る極めて高い導電性を示した。
【表1】
【0066】
電気測定の後にSEM画像化を行った。エプソン基体とSiena写真紙についての結果を図5〜8に示す。
【0067】
SEM画像では、相対湿度の変化は印刷基体の表面構造には影響を及ぼさなかった。
【0068】
相対湿度の増大が得られた導電性をさらに向上させた。導電性における相対湿度に依存した増大は、エプソン透明シートではほぼ1桁分であり、エプソンDuraBrite写真紙では2桁分超えだった。SEM画像は、相対湿度の増大と共にナノ粒子層における粒成長を明確に示している。
【0069】
証明された相対湿度の導電性への依存は、水が配位子の除去を容易化したことを示唆しているが、我々は、水が、印刷前に影響を及ぼしたのか(基体の化学的性質を変えた)または印刷後(最上表面とインク層の端との反応)に影響を及ぼしたのか、またはその両方に影響を及ぼしたのかを推定することができない。後者であるならば(SEM画像から支持される)、DGP-45LT-15Cは水溶性配位子を有すると結論付けることが妥当である。
【0070】
より小さい公称粒径を有するが、より強固に結合したカプセル配位子を有するANP DGP-55HTGを用いて、同様のテストが行われた。n−テトラデカン溶媒は無極性である。
【0071】
DGH-55HTGは、エプソン透明シートではおおよそ5kΩ/sqのシート抵抗を示し、エプソンDuraBrite写真紙では20kΩ/sqのシート抵抗を示したのに対して、3MとStar透明シートでは、非導電のままだった。全ての測定は、分散の少なくとも24時間後に行われ、後硬化の工程は実施されなかった。
【0072】
要約すると、Siena写真紙、エプソン高光沢写真紙、エプソンDuraBrite写真紙およびエプソン透明シートでは、良好な印刷結果が得られた。エプソン透明シートおよびエプソンDuraBrite写真紙では、周囲条件における直接印刷により、非常に良好な導電性が得られた。しかしながら、エプソン高光沢写真紙とエプソンDuraBrite写真紙との間(同一の印刷パラメータと条件で印刷された)の5桁分を超える導電性の違いは、同じ製造によっても光沢写真紙間に大きな違いがあることを示している。エプソンDuraBrite写真紙は、粒子性色素インクに対して最適化されているのに対して、エプソン光沢写真紙は、染料タイプのインクを対象としている。
【0073】
SEM画像は、エプソン透明シートとエプソンDuraBrite基体(最も高い導電性を示したもの)がコロイドのナノサイズの粒子の表面層をもたらすことを明らかにしている。
【0074】
観察された顕著な違いは、エプソン透明シートとDuraBrite基体におけるDGP-45LT-15Cと比べたANP DGH-55HTGインクのより長い乾燥時間である。これは、極性タイプのインク分散剤に対して最適化されている基体のためである。
【0075】
別個の部品の直接相互接続
相互接続方法は、異なる基体上に表面実装抵抗(タイプ0805と0603)ための接触パッドを印刷し、インクがまだ湿潤しているときにそのパッド上に抵抗を配置することにより行った。インクと印刷パラメータは、液滴間隔が配線のために50μmに設定したことと、接触パッド領域のために35μmに設定したこと以外は、第2のテストと同じである。発明された相互接続方法を、図9に模式的に示す。
【0076】
特に、エプソンDuraBriteとエプソン透明シートを用いた場合に、別個の部品の電極と、印刷された配線との間の良好な電気接触が得られた。
【0077】
エプソン透明シートを用いて形成された相互接続は、より低い機械強度を有する。
【0078】
エプソンDuraBrite写真紙上で得られた相互接続は、図10および図11に示すように、低接触抵抗に加えて優れた機械的強度を示した。
【0079】
チップ抵抗への相互接続における成功に加えて、その方法は、図12に示すような表面実装LEDを用いて実証された。
【0080】
Siena写真紙とStarおよび3M透明シート基体を用いて、同様の印刷と配置プロセスを試みたが、不成功に終わった。インクは、チップの下で湿潤したままで、全く機械的強度または電気接続を示さなかった。
【0081】
インクの乾燥時間が、エプソンDuraBrite写真紙を用いた場合と、Siena写真紙を用いた場合とでおおよそ同じことから、基体の吸収性は、前記直接相互接続法の実施可能要因ではないことが結論付けられた。
【0082】
本明細書で示された発明は、柔軟な基体上に回路およびアンテナを印刷する効率的な方法を提供する。周囲条件においてその方法を用いて達した導電性は、1e6 S/m超(エプソン透明シートを用いて室温において1.5e7 S/m超が実証された)であり、それは多くのマイクロエレクトロニクス用途について深刻な発熱または電圧降下を被ることなく、電流を通すのに十分な導電性のレベルである。さらに、より良い適合を得るためにインクと基体被覆層の特性とを調整することにより、得られる導電性はさらに向上し得る。
【0083】
本発明において検討した被覆層の構造は、既に基体としてまたは様々なベース基体上へのスピンコーティング用の溶液として、市販されている。紙、プラスチック、テキスタイル等の多くのベース材料が、このタイプの受容層を用いて被覆され得る。これらの材料は、印刷エレクトロニクスにおいて頻繁に用いられる被覆されていない基体に比べて比較的安価でもある:例えば、エプソン透明シートは、およそ1.3〜1.7ユーロ/枚(A4サイズ、30枚のパッケージとして購入した場合)であるのに対し、例えば、Kapton(ポリイミド)は、12.6ユーロ/枚(A4、25枚パッケージ)であり、Mylar A(PET)は3.9ユーロ/枚(A4、25枚パッケージ)である。
【0084】
本発明は、印刷された配線上の別個の部品の直接相互接続の方法をも提供した。焼結された導体の最表面上に形成されがちな絶縁性のポリマー層に関する問題は、本発明の焼結が容易化された基体を用いることで克服される。
【0085】
図13は、印刷および相互接続方法の考えられる実用化を示している。電気回路用の基本配線を印刷(およびそのままの焼結)するために、高スループットのインクジェット印刷ヘッドが用いられる。別個の回路部品が、「供給タワー」内に位置し、各タワーは、1種類(A,B,C等)の部品を保持している。部品は、第一に、導体パターニングに使用されたものよりわずかに高い印刷解像度において接触パッドを印刷する工程と、その後、タワー内に部品を保持する真空吸引フローを瞬間的に中断することにより規定された位置に、その部品を落下させる工程と、によるプレース・オン・デマンド方式により配置される。部品が湿潤したインクに接触するため、その部品は瞬時に電極に固定され、電気的および機械的な高品質の接触をもたらす。その配置の精度は、プリンターのモーター駆動段階の精度によってのみ制限される。
【0086】
本発明は、低コストの柔軟な基体上に大規模な回路でさえも高速度で印刷する方法を提供する。相互接続の機械的強度は接着剤を用いることで向上され得て、部品が取り付けられるときの印刷されたパッドの短縮のリスクは、フッ素化学アクリレートポリマー(例えば、3M製のNovec EGC-1700)等の抗湿潤剤を用いることにより最小化され得る。したがって、相互接続プロセスは、さらに最適化され得る:タワーから部品を放出する前に、接着剤と抗湿潤特性とを具えた溶液を、印刷された接触パッド間の領域の基体上に印刷することができる。
【0087】
カプセル材料を除去する本発明の方法は、半導体および/または金属酸化物ナノ粒子の低温/低エネルギー焼結を容易にすることも予期される。すなわち、本発明で記載された方法は、他の焼結方法を相補するものとして用いてもよい。この場合、その方法は、印刷OLED、光起電、ダイオードおよびトランジスタの処理において重大な利益をもたらし得る。
【0088】
本発明は、市販されている被覆された基体において既に実証された。
【0089】
本発明は、市販されているナノ粒子インクと被覆された基体とを用いて実証されたが、開始材料のより一般的な定義が説明され、提案される。印刷(およびそのままの硬化)が室温で行われた場合には、基体上にインクジェット印刷された明確に定義された導体パターンは、バルクな銀の導電性の25%を超える導電性をもたらす。最適なインク−基体の組み合わせを用いた場合には、2オーム未満の相互接続抵抗を有する機械的に強い相互接続が得られた。
【0090】
本発明の方法は、柔軟な印刷回路用のよりコスト的に有利な別個の部品の接続方法を用いて、高スループット印刷エレクトロニクス構造(例えば、RFIDアンテナ、メモリーカード、センサープラットフォーム等)の製造に用いることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、印刷エレクトロニクスを目的とした、基体上に堆積されたカプセル化された粒子に関する。特に、本発明は、官能化された構造の形成を目的とした、基体上に堆積された、金属、酸化金属および半導体の粒子を覆うカプセル材料の効率的な除去方法に関する。また、本発明は、カプセル材料の除去により得られる生成物およびこの目的に適した装置に関する。本発明は、基体上へのカプセル化された金属粒子の堆積と、焼結を可能とするためのカプセル材料の除去による導体の製造方法を提供する。本発明は、別個の部品を焼結構造に相互接続する方法を提供する。加えて、本発明は、焼結と、別個の部品の焼結構造への相互接続とにより製造される生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷電子回路部品およびデバイスは、大部分、非吸収基体上に実施されてきた。このように、印刷された(および硬化された)層の物理的特性は、主に、材料それ自体と、例えば、印刷中の所望の濡れ挙動のみを対象とした基体表面の修飾とにより決定される。例えば、インクジェット写真紙または透明シートに反して、これらの印刷基体は、吸収による乾燥よりも溶媒/分散剤の完全な蒸発を必要とする。溶媒の除去に加えて、インク/ペーストを基にしたほとんどの粒子は、粒子間の物理的接触をさらに可能するために、粒子のカプセル材料を除去するための硬化工程を通常必要とする。カプセル材料は、粒子の凝集を防ぐことにより安定な分散をもたらすために、粒子核に、大抵は強固に結合している。したがって、前記カプセル材料の効率的な除去のために必要とされる硬化温度が、基体の耐熱性に対してしばしば問題となる。このことは、カプセル化された金属ナノ粒子の分散体の印刷と、それに続く、焼結を可能とするためのカプセル材料を除去するための熱硬化により、フレキシブルな基体上への金属導体の形成を試みるときに、頻繁に問題となる。その結果、レーザー焼結、パルス高エネルギー光焼結、マイクロ波焼結および電気焼結等の様々な代替の焼結方法が、開発された。電気焼結は、例えば、我々の先願の特許公開公報であるWO 2008/009779、EP 2001272、EP 2001053、EP 2001273およびEP 2003678において説明されている。
【0003】
全ての公知の焼結方法は、それらの利点を有するが、所定の欠点により劣っている。
【0004】
デバイスおよび回路部品の印刷は、いまだ技術の発展段階にある:プロセスに関する制限(例えば、印刷された導体間の最小ギャップ間隔)と同程度に材料の制限(例えば、有機半導体の安定性と可動性)が、科学界および産業界の努力にもかかわらず存続している。一見したところ、いくつかの先駆的な印刷エレクトロニクス処理工程は、完全に機能的なRFIDタグの全印刷が可能なようであるが、これらは、通常、高価な設備と制御された環境とを必要とする。アンテナ製造のための銀ペーストのスクリーン印刷等のより成熟した技術が競合することが判明したが、印刷回路(アンテナ)を用いた、シリコン系マイクロチップまたは他の別個の部品の集積は、高価な処理過程である。流体および振幅組立体等の他の方法が導入されたが、相互接続を形成するために用いられる一般的な方法は、フリップチップ接続(ピック・アンド・プレース)である。部品を印刷回路に相互接続することに関する全般的な問題は、個々の部品を正確な(印刷された接触パッドに位置合わせされた)位置に高スループットな方法でどのように供給するかである。(ナノ粒子インクの)インクジェット印刷および焼結された配線のフリップチップ接続に関するさらなる問題は、焼結導体の上面上に形成されやすい電気絶縁層である。
【0005】
したがって、特に、導体形成、部品相互接続、センサー材料形成ならびに金属酸化物粒子および半導体粒子の焼結促進を目的として、堆積した粒子からカプセル材料を除去して粒子核を露出させる効率的な方法が必要とされている。ドロップ・オン・デマンド印刷(デジタル的に規定された印刷パターン)およびチップ・オン・デマンド配置(印刷電極に対してデジタル的に規定された部品位置に様々な異なる部品を配置)により大型回路でさえも低コスト基体上に製造できる処理方法および装置は、多くの可能性を与える。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、堆積した粒子からカプセル材料を除去するための効率的な方法、特に、電子回路、部品、および/またはデバイスの大量生産に適した方法を提供することである。カプセル材料を除去することにより使用可能となった生成物およびそれと関連する装置の提供も目的である。
【0007】
本発明は、電子部品の接続方法を提供することも目的とする。
【0008】
それらの目的は、独立請求項に規定された方法、生成物および装置により達成される。有利な実施態様は、従属請求項の対象である。
【0009】
第一の実施態様では、カプセル材料を除去する方法は、容易化された基体である。
【0010】
したがって、本発明の一面では、核とその粒子核に結合したカプセル材料とを有する粒子から基体上の粒子構造を製造する方法が提供され、その方法は、前記粒子を前記基体上に堆積させる工程と、前記粒子の前記核から前記カプセル材料を除去して、粒子核を露出させ、粒子核を物理的に接触させる工程とを含む。好適な実施態様では、粒子核からカプセル材料を化学的に除去可能な基体が用いられる。
【0011】
本発明の特別な目的は、様々な範囲の基体に適した方法を提供することである。
【0012】
一の実施態様では、典型的には1以上の被覆層をベース基体上に設けることにより、基体が準備されてインク/ペーストの溶媒/分散剤を急速に(表面層の直下の液体吸収層内に)吸収可能となる一方、粒子が表面層上の目的とする領域から外に移動することを防ぐ。
【0013】
好適な実施態様では、基体は、表面層内の帯電したコロイドタイプの多孔質酸化物材料(非多孔質粒子の懸濁液)を含み、カプセル材料を粒子から化学的に除去し、粒子核同士を密着させる。
【0014】
その多孔質酸化物材料は、特には、メソポーラスであってもよい。
【0015】
一の実施態様では、帯電したコロイドタイプの多孔質酸化物材料は、ナノ−アルミナまたはナノ−シリカであり、その平均粒径は、具体的には5〜40nmである。その酸化物材料は、ニオブ、タンタル、チタニウム、ジルコニウム、セリウムまたは酸化スズであってもよい。
【0016】
本発明は、電気的構造が、基体上に、堆積され、そのままで焼結される方法を提供する。
【0017】
したがって、本発明の一面では、核を持つ粒子と、その粒子核に結合したカプセル材料から、基体上に焼結構造を製造する方法が提供され、その方法は、基体上に前記粒子を堆積する工程と、粒子を焼結するために粒子の核から前記カプセル材料を除去する工程とを含む。本発明では、カプセル材料を粒子核から化学的に除去可能な基体が用いられ、粒子を焼結して、前記焼結構造を形成する。
【0018】
本発明の一面では、本発明は、電子モジュール、典型的には印刷により形成されるモジュールであって、基体(具体的には、シートまたはウェブ基体)と、前記基体上の焼結構造とを具え、その焼結構造は、少なくとも一部が融合した粒子核から形成されている。本発明では、基体は、前記粒子核からカプセル材料を化学的に除去することが可能であり、粒子を焼結して前記焼結構造を形成する。
【0019】
本発明は、関連した処理方法の提供もして、その方法では、ドロップ・オン・デマンド印刷(デジタル的に規定された印刷パターン)およびチップ・オン・デマンド配置(印刷電極に対してデジタル的に規定された部品位置に様々な異なる部品を配置)により大型回路でさえも低コスト基体上に製造できる。
【0020】
一の実施態様では、最上部の基体層は、インク溶媒が吸収されるため、カプセル材料の除去が可能であり、1以上の別個の電子部品を基体に接続するために用いられる。溶媒吸収表面上に堆積されたときに除去されるカプセル材料を用いたインク/ペースト粒子は、基体への部品の良好な電気的および機械的な接触をもたらす。
【0021】
本発明の方法の一の実施態様では、部品は、導体パターニングに用いられたものよりもわずかに高い印刷解像度で接触パッド領域をはじめに印刷する工程と、その後、プリントヘッドに取り付けられたタワーに保持されているその部品を真空吸引フローを瞬間的に中断することによりその部品を規定された位置に落下させる工程とにより、配置される。その部品は湿潤したインクに接触するため、その部品は、瞬時に電極に固定され、電気的および機械的に高品質な接触をもたらす。その配置の精度は、プリンターのモーター駆動段階の精度により制限される。
【0022】
したがって、本発明は、化学的に活性な上述した種類の基体を保持または供給するための手段と、基体上にカプセルされた導電性粒子を含有するインクを堆積し、その粒子の焼結によりその基体上に導体構造を形成するための印刷ヘッドと、別個の電子部品をまだ湿潤したインク上に配置し、その部品を前記導体構造に電気的に接続し、その部品を基体に機械的に固定する手段とを具える装置も提供する。
【0023】
本発明は、重要な利点をもたらす。
【0024】
本発明は、電子回路および/または部品を多様な低コスト基体上に形成する方法と、別個の部品をコスト的に有利な方法により作製された導体に接続する方法とを提供する。斯かる被覆された基体の全体の価格は、通常、一般的に耐熱性と滑表面とが要求され、印刷電極において頻繁に用いられる基体の価格よりも低い。
【0025】
少なくとも2つの処理段階(すなわち、材料の塗布と実際の焼結)を含む従来の焼結方法と比較すると、本発明は、後処理段階のない、被覆されたベース基体上の直接焼結をもたらす。本発明において上述したように基体を被覆することにより、本発明の方法では、従来の方法で可能であったものよりも多様な低コスト印刷基体上への焼結が可能である。本発明の方法は、一段階の印刷と焼結のような、時間と収率の節約を意味する印刷電極の処理をもたらす。
【0026】
インクジェット印刷および熱焼結された配線へのフリップチップ接続に関する絶縁隔壁の形成の問題も、ここで開示される焼結が容易化された基体方法により克服される。したがって、本発明は、極めてコスト的に有利な方法による印刷中に、印刷された導体に別個の部品を直接取り付ける方法を提供する。
【0027】
「容易化された基体」方法とは、基体単体で、基体上に堆積した粒子のカプセル材料の除去プロセスを開始することが可能なことを意味する。具体的には、基体は、室温においてカプセル材料の少なくとも25%を除去することが可能である。その容易化された基体プロセスによりカプセル材料を完全に除去することも可能である。カプセル層の一部または全部の除去後に、焼結プロセスを自然にまたはその系に外部エネルギーを集めることのいずれかにより開始してもよい。
【0028】
「そのまま焼結」という用語は、具体的には、少なくとも部分的に、堆積後にその系に外部エネルギーを持ち込まなくとも焼結が起こることを意味する。しかしながら、本発明は、外部エネルギーが系に持ち込まれないような方法に限定されず、本発明は、基体と粒子インクとが、そのままで上述した焼結効果を少なくとも一定程度もたらし得るような幅広い全ての方法を含むことに留意されたい。換言すると、例えば、熱、光または電流を用いる追加の焼結(または「硬化」)は、排除されず、実際に、表面の導電性をさらに増加させることが見出されている。
【0029】
印刷電子回路用の導体を製造する場合、基体の焼結容易化後の所望の導電性レベルは、通常、1e6 S/m超であり、後述する本発明の方法により十分に得られる。
【0030】
特に、本発明によれば、追加の硬化がなくとも、粒子の核として用いられる金属のバルクな導電性が、1%超え、好ましくは10%超え、さらには25%超えの構造が製造され得る。
【0031】
結果的な導電性は、適切なカプセル材料の選択と、粒子を覆うカプセル層の厚さの調整とにより、変化させることもできる。したがって、様々な異なるインク/ペースト分散体が、同一の被覆された基体上に同時に印刷されてもよく、それにより、種々の目標の導電性/抵抗を有する導体および抵抗が可能となる。
【0032】
「(カプセル)材料」という用語は、粒子核材料に結合(例えば、共有結合、イオン結合もしくは水素結合により、または例えば、ファンデルワールス相互作用もしくはイオン−双極子相互作用により)することができ、粒子の凝集、絡み合いまたは融合を防止することができる分子を有する何らかの材料を表す。カプセル材料は、好適には0.1〜5nm、特に0.1〜1nmの範囲の厚さを有するキャップ層または被覆層を形成してもよい。
【0033】
カプセル材料は、好適には有機物である。
【0034】
粒子は、好適にはナノ粒子、典型的には球状のナノ粒子である。したがって、粒子の直径は、1000nm未満であり、好適には100nm未満である。最も良好なそのままの焼結の結果は、5〜50nmの粒径を有する粒子において観察された。
【0035】
インク/ペースト受容被覆層は、基体上の所定の位置にのみ形成され、カプセル材料を化学的に除去する能力の位置依存をもたらすようにしてもよい。
【0036】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施態様をさらに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)Siena写真紙、(b)エプソン高光沢写真紙、(c)エプソン透明シート上にインクジェット印刷された銀パターン。(d)印刷後に吸収された溶媒が直接視認でき、表面層における粒子の固定の証拠を示している一方、その溶媒は下層に引き寄せられている。
【図2】基体上にインクジェットにより印刷された配線の100℃、10分間のオーブン硬化前後において測定されたシートの抵抗。
【図3】温度25℃、相対湿度=25〜35%において保管された基体上に印刷されたナノ粒子インク。(a)エプソン透明シート、(b)エプソンDuraBrite写真紙、(c)Siena写真紙、(d)3M透明シートおよび(d)Star透明シート。
【図4】(a)相対湿度:L=1〜5%、(b)相対湿度:M=25〜35%および(c)相対湿度:H=85%に制御された雰囲気中に保管された、エプソン透明シート、エプソンDuraBrite写真紙およびSiena写真紙基体上に印刷された5mm長の線の(4配線)の測定された抵抗。3つのサンプルの各線の幅/相対湿度値が測定された。非常に優れた再現性が証明された。
【図5】エプソン透明シート上に印刷された銀ナノインクのSEM画像:4ピクセル幅の線の端。
【図6】(a)相対湿度:L、(b)相対湿度:M、(c)相対湿度:Hにおいてエプソン透明シート上に印刷された銀ナノインクの線(4ピクセル線幅)の中心からのSEM画像。湿度の上昇に伴い粒成長が観察された。(d)エプソン透明シートのナノ構造の最上層の被覆は、実際ははっきりとした微粒子である。
【図7】(a)相対湿度:L、(b)相対湿度:M、(c)相対湿度:HにおいてエプソンDuraBrite写真紙上に印刷された銀ナノインクの線(4ピクセル線幅)の中心からのSEM画像。湿度の上昇に伴い粒成長が観察された。(d)エプソンDuraBrite写真紙は、高密度のナノ粒子の最上層の被覆を有しており、全ての相対湿度レベルにおいて、ミクロン長さスケールのクラッキングを示していた。
【図8】(a)相対湿度:L、(b)相対湿度:M、(c)相対湿度:HにおいてSiena写真紙上に印刷された銀ナノインクの線(4ピクセル線幅)の中心からのSEM画像。湿度の上昇に伴い粒成長が観察された。(c)Siena写真紙は、ナノスケールの多孔を有することを示すが、最上層は、ナノ粒子からなるものではない。
【図9】本発明の相互接続手法を示す図解。(a)ナノ粒子インク電極が基体上に高解像度で印刷される。(b)部品はインクがまだ湿潤しているときにその印刷された電極上に配置されインクが部品の接触電極を湿潤させる。(c)チップが接触したときにインクは瞬時に吸収され、高品質な接触が形成されるる。溶媒は、下部の液体吸収層に完全に吸収される。
【図10】エプソンDuraBrite写真紙上に印刷された電極に接続された表面実装チップ抵抗。
【図11】印刷された電極(エプソンDuraBright)に接続された表面実装チップ抵抗。(a)R=102Ωが測定された100Ω0603タイプ、(b)R=10kΩが測定された10kΩ0805タイプ。
【図12】配線またはエプソンDuraBrite写真紙に相互接続された表面実装LED。基体を横切ってピペットを移動させ、LEDをまだ一部が湿潤したナノインク電極上に配置することにより、配線と相互接続が形成された。
【図13】回路配線のドロップ・オン・デマンド印刷と、別個の部品のプレース・オン・デマンド相互接続のための構成。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施態様の詳細な説明
記載された本発明は、修飾された基体表面に堆積した粒子からカプセル材料の除去が容易化された基体に関する。粒子のカプセル材料の前記除去を可能とするのに要求される主要なインク/ペーストおよび被覆層特性が、実施例と同様に、本発明が実施されるのを可能とするために以下に記載される。
【0039】
紙、プラスチック、テキスタイル等の多くのベース材料が、本発明で記載された受容被覆層の種類を用いて被覆されることができる。これらの材料は、印刷エレクトロニクスにおいて頻繁に用いられる被覆されていない基体に比べて安価である。
【0040】
例えば、印刷エレクトロニクス用途に開発された粒子インク/ペーストは、被覆層を形成する被覆材料を用いてカプセル化された粒子を含む。平均粒径1nm〜3μm、ナノ粒子の場合においてはより典型的には5〜50nmの範囲の粒子は、狭いサイズ分布において強く引き付けるファンデルワールス/カシミール力をもたらし、粒子のカプセル材を置換して粒子表面を接触可能とするのに小さいエネルギーしか必要とされない。好適には、カプセル材料は、液相中において静電反発力をもたらすイオン性末端基を有する。カプセル材は、ほとんどの場合、例えば、チオール、他の硫黄含有配位子、アミン、酸化物、ホスフィン、カルボキシレート配位子、高分子電解質、またはポリマー(例えば、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(PVP)またはポリエチレングリコール)である。金−硫黄結合は、チオール配位子において非常に強く、一方、例えば、金にそれほど強く結合していないポリマーでは、かなり緩く結合したカプセル材となり、したがって、良好な安定剤ではない。特に、チオールキャップされたナノ粒子は、不可逆凝集がなく、単離(乾燥)と再溶解が繰り返し可能である。粒子は、負または正のいずれかに帯電することができる。PVP等の非イオン性のカプセル材料も用いることができ、その場合、安定性は、立体障害の効力により保たれる。インク/ペースト分散剤は、極性または無極性のいずれであってもよい。
【0041】
インク/ペースト粒子の核は、例えば、銀、金、銅、アルミニウム、ニッケル、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、ITO、AZOでもよい。
【0042】
印刷基体は、好適には、ベース基体上の、少なくとも1つの表面層と、1つの液体吸収層とを具える。インク/ペーストが基体上に堆積されるとき、溶媒/分散剤が、基体の液体吸収層内に急速に吸収される一方、基体の表面層は、インク/ペースト粒子を固定し、核が露出された粒子が密に充填した層を残して粒子カプセル材料を化学的に除去する。キャップ層は、インク溶媒の吸収による高い充填効果を得るために可能な限り(好適には0.5nm未満)薄くする。ナノ粒子間の分散力の特質を決定する重要な物理的パラメータは、粒子間分離距離に対する金属核の大きさの比である。高い充填効率を得るために、キャップ層の厚さは、核の大きさと比較して小さく(好適には0.2〜5%)なければならない。
【0043】
基体の表面層は、好適には高電荷密度を保持する。好適には、表面層は、大きさが10〜150nm範囲の均一なコロイドタイプの多孔質酸化物粒子から構築される。基体は、インク/ペースト特性と適合して、基体の表面層が、インク/ペースト粒子に対して逆に帯電する。帯電密度は、高帯電固定物質をバインダー(例えば、カチオン性電荷密度が望まれる場合には、PEI)として使用することにより増加させることができる。同様に、基体の表面層に用いられるバインダーは、極性インク/ペースト分散剤の場合には、極性溶媒に対して適合し、無極性インク/ペースト分散剤に対しては反対となる。例えば、PVPまたはPVAが基体の被覆層におけるバインダーとして用いられる場合には、極性インク/ペースト溶媒/分散剤が要求される。
【0044】
上述したように、粒子のカプセル材料の除去についてのメカニズムは、カプセル材料の化学的な除去が容易化された基体に基づく。特に、基体の高帯電表面層は、エネルギー的に有利であれば、カプセル材料の分子を引き付け、その被覆を除去する。以下は、いくつかの例である:
・イオン性末端基を有する分子を組み込んだカプセル材料:粒子核からのカプセル材料の解離は、カプセル材分子の末端基と、基体の表面層との間のイオン結合の強さが、粒子核に対するカプセル材分子の結合の強さよりも強い場合に、達成される。
・非イオン性カプセル材料:何らイオン性基を有しない分子と、基体の高帯電表面層との間の引力は、イオン−双極子相互作用により生ずる。例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)は、双極子を示し、それは帯電した基体層とイオン−双極子相互作用を経て、その2つの部品を密に接触させる。カプセル材分子の解離は、基体との間にイオン−双極子結合を形成するためにPVP−粒子結合を切断することがエネルギー的に有利であれば、生ずる。
・化学物質の外部からの追加により容易化されたカプセル材料の除去:カプセル材分子−粒子核結合の切断プロセスは、外部の化学物質(例えば、水、メタノール、エタノール等)により容易化されることもある。この物質は、粒子からのカプセル材分子の剥離と基体への移動を促進する。
【0045】
粒子核に対するカプセル材料の結合の強さは、インク/ペースト分散体として保たれる高安定性の限度において最小化される。
【0046】
粒子からのカプセル材料の除去は、粒子が直接物理的な接触をすることを可能とする。金属粒子の場合には、この方法により粒子の焼結が可能となる。大きな表面積対体積率を有する金属粒子では、表面の原子が、対応する内側の核(バルクな)原子よりもより小さい配位数を有し、高い表面エネルギーの解放が焼結の駆動力となる。
【0047】
したがって、上記発明は、修飾された基体表面上の粒子の焼結が容易化されたそのままの基体と、前記粒子構造への別個の部品の直接の相互接続とに関する。焼結を容易にする主要なインクと被覆層の特性、および相互接続プロセスは、上述したとおりである。ドロップ・オン・デマンド印刷およびチップ・オン・デマンド配置についての工程環境と、装置についても提案される。
【0048】
本発明は、柔軟な基体上に回路およびアンテナを印刷する効率的な方法を提供する。周囲条件においてその方法を用いて達した導電性は、1e6 S/m超(1.5e7 S/m超が実証された)であり、それは多くのマイクロエレクトロニクス用途について深刻な発熱または電圧降下を被ることなく、電流を通すのに十分な導電性のレベルである。
【0049】
本発明のさらに好適な実施態様を以下に記載する。
【0050】
例えば、印刷エレクトロニクス用途に開発されたナノ粒子インクは、被覆層を形成するカプセル材料により覆われたナノスケールの粒子を含む。好適な実施態様では、狭いサイズ分布の平均粒径(典型的には)5〜50nmの範囲の金属ナノ粒子が用いられ、それらは強く引き付けるファンデルワールス力/カシミール力をもたらすため、粒子のカプセル材を置換して粒子表面を接触可能とするのに小さいエネルギーしか必要とされない。粒子間の接触の形成は、粒子の大きな表面積対体積率によりさらに容易化される;溶融/焼結温度は、表面分子振動の抑制により低下する。好適には、カプセル材料は、イオン性末端基を有し、印刷前に分散体として静電反発力をもたらす。PVP等の非イオン性カプセル材料を用いることもでき、その場合、安定性は、立体障害の効力により保たれる。
【0051】
導体を形成するため、被覆された金属ナノ粒子の層は、絶縁体金属遷移を経る。粒子間の直接の物理的接触は、カプセル材分子−粒子核の結合が(通常は加熱を経て)切断されることによりカプセル材料が除去されるときに、可能となる。焼結は、粒子がネック形成(ナノ粒子の伸長を引き起こす核−核の癒着)を見せ始めるにつれて起こる。
【0052】
焼結の駆動力は、表面の小さい曲率半径に関連した高い表面エネルギーの解放である。
【0053】
高い導電性は、バルクな金属へのナノ粒子の完全な崩壊を通じて、よりもむしろ、制御された浸透チャネルの形成を通じて達成される。
【0054】
一の実施態様では、水が、カプセル材料の化学的な除去を容易化する。斯かる水溶性カプセル材料の場合、その方法は、少なくとも10%の相対湿度、特に、少なくとも20%、好適には少なくとも40%、最適には少なくとも75%の相対湿度において実行される。
【0055】
上記全てのインクおよび基体特性は、印刷層から別個の部品への直接の相互接続を形成する場合にも好適である;電極への電気接触は、カプセル材料の化学的な除去によるナノ粒子の焼結によって、確かに形成される。
【実施例】
【0056】
以下の例は、適した市販のナノ粒子インクと被覆された基体とを用いた本発明を実証する。
【0057】
インクジェット印刷基体は、基体上へのインクの固定をもたらすことを意図しているため、いくつかの金属ナノ粒子インク処方についても強く固定することを予期することができる。色素性のインクについて、固定は、その色素塗膜と、基体の表面層との間の自己固定手法による化学的な反応により得られる。印刷されたエレクトロニクスインク/ペーストのカプセル材料の除去が容易化された基体について、キャップ材料に対するプリント基体の親和性は非常に強く、カプセル分子−粒子核結合を切断し、粒子核を物理的に接触させる。
【0058】
本明細書において示される実施例のテストの結果は、Advanced Nano Products社のDGP-45LT-15Cインクを用いて行われ、そのインクは、10〜20nmの公称粒子サイズの銀ナノ粒子と、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TGME)溶媒(極性)とを含む。カプセル材料の潜在的候補は、PVPである。PVP分子は、溶液中では静電反発力による安定性をもたらさないが、そのポリマーによりもたらされる立体障害により不可逆凝集を防ぐことができる。他の実施例は、PVP被覆された銀ナノ粒子がN,Nジメチルホルムアミド(DMF)およびエタノール中でどのようにして安定なのかを示すが、水中では、DMFとエタノールとの間の極性の違いよりもDMFと水との極性の違いが大きいため凝集が起こる。Virhe. Viiteen lahdetta ei loytynyt.水による極性の増大が、安定化剤の有効性を減少させる。よって、我々は、DGP-45LT-15Cを用いて行ったテストにおいて焼結を容易にするための周囲の相対湿度(RH)を予想することができる。
【0059】
我々は、異なる市販の被覆されたインクジェット印刷基体(写真紙および透明シート)の焼結能力間の重要な違いを証明することを予期する。これらの基体は、全て水ベースのインクに対して最適化されており、一般に同様の短い乾燥時間を示すが、我々は、被覆構造が、ある場合にはヒュームされたシリカであり、他の場合には例えば、コロイドアルミナであることを知っている。本発明の好適な実施態様では、ヒュームされた酸化物よりもコロイドタイプの酸化物が好適である。ヒュームされた酸化物は速い溶媒吸入と基体表面層上への色素の固定化をもたらし得て、その固定メカニズムは、静電的よりも実際はより立体的である。それ故に、本発明の好適な実施態様では、コロイドタイプの酸化物、特に高度にプロトン化された基体表面層と共に用いるアルミナ酸化物は、銀ナノ粒子からカプセル材料を最も効率的に除去することが予想される。
【0060】
導体の焼結が容易化された基体
焼結が容易化されたそのままの基体の焼結方法は、最初に、エプソンインクジェット透明シート(S041063)上に銀ナノ粒子インク(Advance Nano Products社のDGP-45LT-15C)をインクジェット印刷することにより実証された。結果を以下に示す。その後、得られた導電性(「焼結度」)における相対湿度の影響を実証する第二の一連のテストを示す。
【0061】
第一のテストでは、銀ナノ粒子インク(Advance Nano Products社のDGP-45LT-15C)が3つの印刷基体:Siena 250G、エプソン高光沢写真紙およびエプソンインクジェット透明シート、上に印刷された。パターンは、商業規模のインクジェットプリンター(iTiシステムにSpectra SX-128ヘッドを具えたApollo II PSK:10 pL液滴直径、128ノズル、50μm原解像度)を用いて、100 mm/sヘッドスピードと600 dpi印刷解像度(図1)にて印刷した。印刷試験は、周囲条件において行った。各基体種類からのサンプルも100℃において10分間、オーブン焼結した。未処理および硬化後(オーブン焼結後)のサンプルの抵抗を測定し(4配線)、対応するシート抵抗を光学顕微鏡を用いた寸法測定に基づいて算出した。
【0062】
エプソン透明シート上に印刷された配線は、硬化前において既に極めて高い導電性を示す。層の厚さを1μmと仮定すると、熱硬化したときに導電性は、7e6 S/mから1e7 S/mに増大(バルクな銀に対して11%〜16%)した。Sienaおよびエプソン高光沢紙についての相当値は、硬化前が100 S/mであり、硬化後が1e5 S/m(バルクな銀に対して0.16%)および5e5 S/m(バルクな銀に対して0.79%)である(図2)。
【0063】
第二の一連のテストサンプルは、50μmノズル、60μm液滴間隔でMicrodrop社のAutodropプリンターを用いて、5つの異なる基体:エプソンインクジェット透明シート、エプソンDuraBrite写真紙、Siena写真紙、3Mインクジェット透明シートおよびStarインクジェット透明シート、上に印刷(DGP-45LT-15Cインクを用いて)された(図3)。その実験方法は以下のように行った:サンプルは、印刷(25℃までに一定に保たれた温度、RH:L=1〜5%、RH:M=25〜35%、RH:H=85%と変えた相対湿度)前に温度/相対湿度が制御された環境に3日間入れられ、全てのサンプルは、印刷中、相対湿度50%以下、温度約28℃に合計時間3〜5分間さらされ、周囲条件にさらされる前に相対湿度が制御された環境に1日間戻された。全てのサンプルは、電気測定の前に1日間周囲条件に置かれた。
【0064】
エプソン透明シート、エプソンDuraBriteおよびSiena印刷基体は、1〜5分で手で触れるくらいまで乾くのに対して、3MとStar透明シートでは、インクが完全に吸収されるまで5〜20分かかった。3MとStar透明シートは、低い印刷品質と、測定した導電性において大きな分散を示した。
【0065】
相対湿度への暴露は、エプソン基体とSiena写真紙上に印刷した場合では、印刷品質に影響を与えなかったが、導電性を高めた。印刷された導電路の測定された抵抗は、基体に移動した一定の固体重量当たりの抵抗を示す良い指標を与える(図4)。そのシートの抵抗を計算し、その導電性を表1に見積もった。明らかに、高い相対湿度に保管されたエプソン透明シートとエプソンDuraBrite写真紙は、両方とも、後硬化が適用されていないにもかかわらず、バルクな銀の導電性に迫る極めて高い導電性を示した。
【表1】
【0066】
電気測定の後にSEM画像化を行った。エプソン基体とSiena写真紙についての結果を図5〜8に示す。
【0067】
SEM画像では、相対湿度の変化は印刷基体の表面構造には影響を及ぼさなかった。
【0068】
相対湿度の増大が得られた導電性をさらに向上させた。導電性における相対湿度に依存した増大は、エプソン透明シートではほぼ1桁分であり、エプソンDuraBrite写真紙では2桁分超えだった。SEM画像は、相対湿度の増大と共にナノ粒子層における粒成長を明確に示している。
【0069】
証明された相対湿度の導電性への依存は、水が配位子の除去を容易化したことを示唆しているが、我々は、水が、印刷前に影響を及ぼしたのか(基体の化学的性質を変えた)または印刷後(最上表面とインク層の端との反応)に影響を及ぼしたのか、またはその両方に影響を及ぼしたのかを推定することができない。後者であるならば(SEM画像から支持される)、DGP-45LT-15Cは水溶性配位子を有すると結論付けることが妥当である。
【0070】
より小さい公称粒径を有するが、より強固に結合したカプセル配位子を有するANP DGP-55HTGを用いて、同様のテストが行われた。n−テトラデカン溶媒は無極性である。
【0071】
DGH-55HTGは、エプソン透明シートではおおよそ5kΩ/sqのシート抵抗を示し、エプソンDuraBrite写真紙では20kΩ/sqのシート抵抗を示したのに対して、3MとStar透明シートでは、非導電のままだった。全ての測定は、分散の少なくとも24時間後に行われ、後硬化の工程は実施されなかった。
【0072】
要約すると、Siena写真紙、エプソン高光沢写真紙、エプソンDuraBrite写真紙およびエプソン透明シートでは、良好な印刷結果が得られた。エプソン透明シートおよびエプソンDuraBrite写真紙では、周囲条件における直接印刷により、非常に良好な導電性が得られた。しかしながら、エプソン高光沢写真紙とエプソンDuraBrite写真紙との間(同一の印刷パラメータと条件で印刷された)の5桁分を超える導電性の違いは、同じ製造によっても光沢写真紙間に大きな違いがあることを示している。エプソンDuraBrite写真紙は、粒子性色素インクに対して最適化されているのに対して、エプソン光沢写真紙は、染料タイプのインクを対象としている。
【0073】
SEM画像は、エプソン透明シートとエプソンDuraBrite基体(最も高い導電性を示したもの)がコロイドのナノサイズの粒子の表面層をもたらすことを明らかにしている。
【0074】
観察された顕著な違いは、エプソン透明シートとDuraBrite基体におけるDGP-45LT-15Cと比べたANP DGH-55HTGインクのより長い乾燥時間である。これは、極性タイプのインク分散剤に対して最適化されている基体のためである。
【0075】
別個の部品の直接相互接続
相互接続方法は、異なる基体上に表面実装抵抗(タイプ0805と0603)ための接触パッドを印刷し、インクがまだ湿潤しているときにそのパッド上に抵抗を配置することにより行った。インクと印刷パラメータは、液滴間隔が配線のために50μmに設定したことと、接触パッド領域のために35μmに設定したこと以外は、第2のテストと同じである。発明された相互接続方法を、図9に模式的に示す。
【0076】
特に、エプソンDuraBriteとエプソン透明シートを用いた場合に、別個の部品の電極と、印刷された配線との間の良好な電気接触が得られた。
【0077】
エプソン透明シートを用いて形成された相互接続は、より低い機械強度を有する。
【0078】
エプソンDuraBrite写真紙上で得られた相互接続は、図10および図11に示すように、低接触抵抗に加えて優れた機械的強度を示した。
【0079】
チップ抵抗への相互接続における成功に加えて、その方法は、図12に示すような表面実装LEDを用いて実証された。
【0080】
Siena写真紙とStarおよび3M透明シート基体を用いて、同様の印刷と配置プロセスを試みたが、不成功に終わった。インクは、チップの下で湿潤したままで、全く機械的強度または電気接続を示さなかった。
【0081】
インクの乾燥時間が、エプソンDuraBrite写真紙を用いた場合と、Siena写真紙を用いた場合とでおおよそ同じことから、基体の吸収性は、前記直接相互接続法の実施可能要因ではないことが結論付けられた。
【0082】
本明細書で示された発明は、柔軟な基体上に回路およびアンテナを印刷する効率的な方法を提供する。周囲条件においてその方法を用いて達した導電性は、1e6 S/m超(エプソン透明シートを用いて室温において1.5e7 S/m超が実証された)であり、それは多くのマイクロエレクトロニクス用途について深刻な発熱または電圧降下を被ることなく、電流を通すのに十分な導電性のレベルである。さらに、より良い適合を得るためにインクと基体被覆層の特性とを調整することにより、得られる導電性はさらに向上し得る。
【0083】
本発明において検討した被覆層の構造は、既に基体としてまたは様々なベース基体上へのスピンコーティング用の溶液として、市販されている。紙、プラスチック、テキスタイル等の多くのベース材料が、このタイプの受容層を用いて被覆され得る。これらの材料は、印刷エレクトロニクスにおいて頻繁に用いられる被覆されていない基体に比べて比較的安価でもある:例えば、エプソン透明シートは、およそ1.3〜1.7ユーロ/枚(A4サイズ、30枚のパッケージとして購入した場合)であるのに対し、例えば、Kapton(ポリイミド)は、12.6ユーロ/枚(A4、25枚パッケージ)であり、Mylar A(PET)は3.9ユーロ/枚(A4、25枚パッケージ)である。
【0084】
本発明は、印刷された配線上の別個の部品の直接相互接続の方法をも提供した。焼結された導体の最表面上に形成されがちな絶縁性のポリマー層に関する問題は、本発明の焼結が容易化された基体を用いることで克服される。
【0085】
図13は、印刷および相互接続方法の考えられる実用化を示している。電気回路用の基本配線を印刷(およびそのままの焼結)するために、高スループットのインクジェット印刷ヘッドが用いられる。別個の回路部品が、「供給タワー」内に位置し、各タワーは、1種類(A,B,C等)の部品を保持している。部品は、第一に、導体パターニングに使用されたものよりわずかに高い印刷解像度において接触パッドを印刷する工程と、その後、タワー内に部品を保持する真空吸引フローを瞬間的に中断することにより規定された位置に、その部品を落下させる工程と、によるプレース・オン・デマンド方式により配置される。部品が湿潤したインクに接触するため、その部品は瞬時に電極に固定され、電気的および機械的な高品質の接触をもたらす。その配置の精度は、プリンターのモーター駆動段階の精度によってのみ制限される。
【0086】
本発明は、低コストの柔軟な基体上に大規模な回路でさえも高速度で印刷する方法を提供する。相互接続の機械的強度は接着剤を用いることで向上され得て、部品が取り付けられるときの印刷されたパッドの短縮のリスクは、フッ素化学アクリレートポリマー(例えば、3M製のNovec EGC-1700)等の抗湿潤剤を用いることにより最小化され得る。したがって、相互接続プロセスは、さらに最適化され得る:タワーから部品を放出する前に、接着剤と抗湿潤特性とを具えた溶液を、印刷された接触パッド間の領域の基体上に印刷することができる。
【0087】
カプセル材料を除去する本発明の方法は、半導体および/または金属酸化物ナノ粒子の低温/低エネルギー焼結を容易にすることも予期される。すなわち、本発明で記載された方法は、他の焼結方法を相補するものとして用いてもよい。この場合、その方法は、印刷OLED、光起電、ダイオードおよびトランジスタの処理において重大な利益をもたらし得る。
【0088】
本発明は、市販されている被覆された基体において既に実証された。
【0089】
本発明は、市販されているナノ粒子インクと被覆された基体とを用いて実証されたが、開始材料のより一般的な定義が説明され、提案される。印刷(およびそのままの硬化)が室温で行われた場合には、基体上にインクジェット印刷された明確に定義された導体パターンは、バルクな銀の導電性の25%を超える導電性をもたらす。最適なインク−基体の組み合わせを用いた場合には、2オーム未満の相互接続抵抗を有する機械的に強い相互接続が得られた。
【0090】
本発明の方法は、柔軟な印刷回路用のよりコスト的に有利な別個の部品の接続方法を用いて、高スループット印刷エレクトロニクス構造(例えば、RFIDアンテナ、メモリーカード、センサープラットフォーム等)の製造に用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル材料の除去を容易化することが可能な基体を用いることを特徴とする、基体上に堆積したカプセル化された粒子からカプセル材料を除去する方法。
【請求項2】
前記カプセル化された粒子が、核と、前記核に結合し、前記カプセル材料として機能する少なくとも1つの配位子とを有するカプセル化されたナノ粒子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カプセル材料としての配位子に対する前記基体の親和性が、前記核−配位子結合を切断し、金属核が物理的に接触できるように解放するのに十分であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
帯電表面層を具える基体を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
帯電表面層、好適には帯電酸化物含有表面層を有する基体を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
プロトン化されたコロイド多孔質またはメソポーラス酸化物含有表面層を有する基体を用いることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基体が、5〜40nmの平均粒径を有するアルミナまたはシリカ粒子、極性溶媒のためのバインダー、および前記粒子の固定を容易化するためのカチオン性添加材を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記カプセル材料が、イオン性末端基、好適にはアニオン性末端基を有する配位子を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
5〜50nmの平均粒径を有するナノ粒子、好適には、前記ナノ粒子の少なくとも80%が、前記平均粒径から5nm未満外れた粒径を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記平均カプセル厚さが0.5nm未満であるナノ粒子を用いることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記基体上に、核と、前記核に結合した少なくとも1つのカプセル配位子とを有する粒子を堆積する工程、および
前記核から前記カプセル配位子を化学的に除去することが可能な基体を用いて、粒子の前記核から前記カプセル配位子を除去する工程、を特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
互いに接触し、かつ、少なくとも一部が焼結した構造を形成するため、カプセル配位子の前記除去後に、少なくとも一部が焼結する、ナノ粒子を用いることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
液体溶媒、特に極性溶媒と混合した前記粒子を、好適にはナノ粒子含有インクとして、前記基体に堆積することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノ粒子を前記基体に印刷することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分散剤と混合したナノ粒子を、ナノ粒子含有ペーストとして、前記基体に堆積することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒または分散剤を吸収可能な第一の層と、前記第一の層上に積層され、前記ナノ粒子を保持可能な第二の表面層とを具える基体を用いることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子の焼結を開始するために配位子の除去中に解放される表面エネルギーを利用することを特徴とする、請求項11〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記粒子を堆積して、配線構造のパターンと接触端子とを具える電子回路を形成することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記粒子を前記基体に堆積した後、別個の電子部品を前記堆積した粒子上の少なくとも一部に配置し、前記焼結中のために前記部品を前記基体に電気的に結合し、かつ、機械的に固定することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子が、金属核を含み、かつ、前記基体上でカプセル層の前記除去の後または間に、好適には、そのまま、少なくとも一部が焼結され得るナノ粒子であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記粒子が、半導体又は金属酸化物層を形成するために前記基体上で焼結され得る半導体または金属酸化物の核を含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記カプセル材料として、チオール、他の硫黄含有配位子、アミン、酸化物、ホスフィン、カルボキシレート配位子、高分子電解質およびポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(PVP)またはポリエチレングリコール等のポリマーからなる群より選択される配位子を用いることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
少なくとも10%の相対湿度、特に、少なくとも20%、好適には少なくとも40%、最適には少なくとも75%の相対湿度において実行されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
金属核を有する粒子を用いて、前記粒子の前記核として用いられる前記金属のバルクな導電性の少なくとも1%より高く、好適には5%より高く、さらに10%よりも高い導電性を有する構造を作製することを特徴とする、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1e6 S/mの導電性を有する構造を作製することを特徴とする、請求項12〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
基体、および
前記基体上の焼結構造を具え、前記焼結構造が、少なくとも一部が融合した粒子核から形成されており、
前記基体が、前記融合前に前記核に結合したカプセル配位子の除去を容易化し得ることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項27】
前記粒子がナノ粒子であり、かつ、前記基体が、前記ナノ粒子核からカプセル配位子を化学的に除去して、ナノ粒子を少なくとも一部が焼結して前記焼結構造を形成し得ることを特徴とする、請求項26に記載の電子モジュール。
【請求項28】
前記基体が、帯電表面層を具えることを特徴とする、請求項26または27に記載の電子モジュール。
【請求項29】
前記基体が、帯電表面層、好適には帯電酸化物含有表面層を具えることを特徴とする、請求項26〜28のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項30】
前記基体が、帯電コロイド多孔質またはメソポーラス酸化物含有表面層を具えることを特徴とする、請求項29に記載の電子モジュール。
【請求項31】
前記基体が、5〜40nmの平均粒径を有するアルミナまたはシリカ粒子、極性溶媒のためのバインダー、および前記ナノ粒子の固定を容易化するためのカチオン性添加材を含むことを特徴とする、請求項26〜29のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項32】
前記基体が、溶媒を吸収可能な第一の層と、ナノ粒子を保持可能な第二の表面層とを具えることを特徴とする、請求項26〜31のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項33】
前記焼結構造に電気的に接続され、かつ、前記基体に機械的に固定されている別個の部品を具えることを特徴とする、請求項26〜32のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項34】
印刷されたエレクトロニクスモジュールであることを特徴とする、請求項26〜33のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項35】
請求項1〜25のいずれかの方法により得られることを特徴とする、請求項26〜34のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項36】
前記粒子の粒径が、1nm〜3μm、特に5〜50nmであることを特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の方法または請求項26〜35のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項37】
化学的に活性な基体を保持または供給するための手段と、
前記基体上にカプセル化された導電性ナノ粒子含有インクを堆積し、前記ナノ粒子の焼結により前記基体上に導体構造を形成するための印刷ヘッドとを具え、
別個の電子部品をまだ湿潤したインク上に配置し、前記導体構造と前記部品を電気的に接続し、かつ、前記部品を前記基体に機械的に固定する手段をさらに具えることを特徴とする、電子モジュールを形成するための装置。
【請求項38】
部品を配置する前記手段が、真空吸引フローの瞬間的な中断により前記部品を落下させる真空手段を具えることを特徴とする、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記部品を配置する前記手段が、前記印刷ヘッドと一体のユニットであることを特徴とする、請求項37または38に記載の装置。
【請求項1】
カプセル材料の除去を容易化することが可能な基体を用いることを特徴とする、基体上に堆積したカプセル化された粒子からカプセル材料を除去する方法。
【請求項2】
前記カプセル化された粒子が、核と、前記核に結合し、前記カプセル材料として機能する少なくとも1つの配位子とを有するカプセル化されたナノ粒子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カプセル材料としての配位子に対する前記基体の親和性が、前記核−配位子結合を切断し、金属核が物理的に接触できるように解放するのに十分であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
帯電表面層を具える基体を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
帯電表面層、好適には帯電酸化物含有表面層を有する基体を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
プロトン化されたコロイド多孔質またはメソポーラス酸化物含有表面層を有する基体を用いることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基体が、5〜40nmの平均粒径を有するアルミナまたはシリカ粒子、極性溶媒のためのバインダー、および前記粒子の固定を容易化するためのカチオン性添加材を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記カプセル材料が、イオン性末端基、好適にはアニオン性末端基を有する配位子を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
5〜50nmの平均粒径を有するナノ粒子、好適には、前記ナノ粒子の少なくとも80%が、前記平均粒径から5nm未満外れた粒径を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記平均カプセル厚さが0.5nm未満であるナノ粒子を用いることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記基体上に、核と、前記核に結合した少なくとも1つのカプセル配位子とを有する粒子を堆積する工程、および
前記核から前記カプセル配位子を化学的に除去することが可能な基体を用いて、粒子の前記核から前記カプセル配位子を除去する工程、を特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
互いに接触し、かつ、少なくとも一部が焼結した構造を形成するため、カプセル配位子の前記除去後に、少なくとも一部が焼結する、ナノ粒子を用いることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
液体溶媒、特に極性溶媒と混合した前記粒子を、好適にはナノ粒子含有インクとして、前記基体に堆積することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノ粒子を前記基体に印刷することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分散剤と混合したナノ粒子を、ナノ粒子含有ペーストとして、前記基体に堆積することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒または分散剤を吸収可能な第一の層と、前記第一の層上に積層され、前記ナノ粒子を保持可能な第二の表面層とを具える基体を用いることを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子の焼結を開始するために配位子の除去中に解放される表面エネルギーを利用することを特徴とする、請求項11〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記粒子を堆積して、配線構造のパターンと接触端子とを具える電子回路を形成することを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記粒子を前記基体に堆積した後、別個の電子部品を前記堆積した粒子上の少なくとも一部に配置し、前記焼結中のために前記部品を前記基体に電気的に結合し、かつ、機械的に固定することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子が、金属核を含み、かつ、前記基体上でカプセル層の前記除去の後または間に、好適には、そのまま、少なくとも一部が焼結され得るナノ粒子であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記粒子が、半導体又は金属酸化物層を形成するために前記基体上で焼結され得る半導体または金属酸化物の核を含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記カプセル材料として、チオール、他の硫黄含有配位子、アミン、酸化物、ホスフィン、カルボキシレート配位子、高分子電解質およびポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)(PVP)またはポリエチレングリコール等のポリマーからなる群より選択される配位子を用いることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
少なくとも10%の相対湿度、特に、少なくとも20%、好適には少なくとも40%、最適には少なくとも75%の相対湿度において実行されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
金属核を有する粒子を用いて、前記粒子の前記核として用いられる前記金属のバルクな導電性の少なくとも1%より高く、好適には5%より高く、さらに10%よりも高い導電性を有する構造を作製することを特徴とする、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1e6 S/mの導電性を有する構造を作製することを特徴とする、請求項12〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
基体、および
前記基体上の焼結構造を具え、前記焼結構造が、少なくとも一部が融合した粒子核から形成されており、
前記基体が、前記融合前に前記核に結合したカプセル配位子の除去を容易化し得ることを特徴とする、電子モジュール。
【請求項27】
前記粒子がナノ粒子であり、かつ、前記基体が、前記ナノ粒子核からカプセル配位子を化学的に除去して、ナノ粒子を少なくとも一部が焼結して前記焼結構造を形成し得ることを特徴とする、請求項26に記載の電子モジュール。
【請求項28】
前記基体が、帯電表面層を具えることを特徴とする、請求項26または27に記載の電子モジュール。
【請求項29】
前記基体が、帯電表面層、好適には帯電酸化物含有表面層を具えることを特徴とする、請求項26〜28のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項30】
前記基体が、帯電コロイド多孔質またはメソポーラス酸化物含有表面層を具えることを特徴とする、請求項29に記載の電子モジュール。
【請求項31】
前記基体が、5〜40nmの平均粒径を有するアルミナまたはシリカ粒子、極性溶媒のためのバインダー、および前記ナノ粒子の固定を容易化するためのカチオン性添加材を含むことを特徴とする、請求項26〜29のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項32】
前記基体が、溶媒を吸収可能な第一の層と、ナノ粒子を保持可能な第二の表面層とを具えることを特徴とする、請求項26〜31のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項33】
前記焼結構造に電気的に接続され、かつ、前記基体に機械的に固定されている別個の部品を具えることを特徴とする、請求項26〜32のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項34】
印刷されたエレクトロニクスモジュールであることを特徴とする、請求項26〜33のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項35】
請求項1〜25のいずれかの方法により得られることを特徴とする、請求項26〜34のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項36】
前記粒子の粒径が、1nm〜3μm、特に5〜50nmであることを特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の方法または請求項26〜35のいずれかに記載の電子モジュール。
【請求項37】
化学的に活性な基体を保持または供給するための手段と、
前記基体上にカプセル化された導電性ナノ粒子含有インクを堆積し、前記ナノ粒子の焼結により前記基体上に導体構造を形成するための印刷ヘッドとを具え、
別個の電子部品をまだ湿潤したインク上に配置し、前記導体構造と前記部品を電気的に接続し、かつ、前記部品を前記基体に機械的に固定する手段をさらに具えることを特徴とする、電子モジュールを形成するための装置。
【請求項38】
部品を配置する前記手段が、真空吸引フローの瞬間的な中断により前記部品を落下させる真空手段を具えることを特徴とする、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記部品を配置する前記手段が、前記印刷ヘッドと一体のユニットであることを特徴とする、請求項37または38に記載の装置。
【図1】
【図3】
【図4】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図6(d)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図2】
【図5】
【図13】
【図3】
【図4】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図6(d)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図2】
【図5】
【図13】
【公表番号】特表2013−511143(P2013−511143A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538373(P2012−538373)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050917
【国際公開番号】WO2011/058230
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(511215207)テクノロジアン テュトキムスケスクス ヴェーテーテー (11)
【氏名又は名称原語表記】Teknologian tutkimuskeskus VTT
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050917
【国際公開番号】WO2011/058230
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(511215207)テクノロジアン テュトキムスケスクス ヴェーテーテー (11)
【氏名又は名称原語表記】Teknologian tutkimuskeskus VTT
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]