説明

堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物、複合材料及び埋立地生分解

ハロゲン化ビニルポリマー、例えばPVCの組成物が、有機チタネート又はジルコネートのモノマー付加物及び有機スズの分解促進剤系により堆肥化可能とされ、PVCシート及び複合材料が、埋立地中で堆肥化可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年1月24日に出願された米国特許出願第11/041322号(表題「堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物及び複合シート(Compostable Vinyl Halide Polymer Compositions and Composite Sheets)」)の一部継続出願であり、その出願の記載及び特許請求の範囲の全ては、本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、堆肥化可能な又は生分解性のハロゲン化ビニルポリマー組成物、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)及びこのようなポリマーの複合シートに関する。
【背景技術】
【0003】
長年にわたり、ハロゲン化ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル(PVC)から、例えば埋立地中で微生物により生分解性又は環境分解性のプラスチック材料を作製することが望まれてきた。かなりの努力にもかかわらず、埋立地は、おそらく数世紀にわたり分解しないプラスチック材料及びそれらから作製された物品で充満されつつある。このことは、非生分解性と考えられるハロゲン化ビニルポリマー材料、例えばPVCに関して特に当てはまり、即ち、これらは嫌気的条件下の埋立地中でそれほど分解せずにいつまでも残存する。この要因は、特性の有用なバランス及び低コストが魅力的である多数の製品におけるPVCの受容性を制限する。一例は、印刷可能フィルム及びシートの受容性である。可撓性(可塑化)PVCの試料をASTM D 5526(促進された埋立地条件下におけるプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験方法)により試験した場合、模擬家庭廃棄物と97°Fで接触させて100日後に明らかな損失重量又は外観変化は存在しない。対照的に、セルロース系ポリマー及び他の生分解性プラスチック、例えば、ポリ乳酸及びポリカプロラクトンは、完全に消費される。
【0004】
多数の最終製品、例えばポリ塩化ビニルフィルム、バナー、掲示板、標識、ラミネート、インクジェットメディア、ダイヤパー、衛生パッド等における使用のための堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物が特に必要とされている。これらの製品は、多数の有用物品において機能するために実用的な目的のための特性、例えば、引裂強さ、引張強さ及び衝撃強さを充足しなければならない。しかしながら、これらを有用にするまさにこの特性が、生分解性の欠損を招く。PVC及び他のハロゲン化ビニルポリマーは多数の実用品における広範な使用を達成してきた。しかしながら、堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物又は複合材料の目的は充足されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物を対象にする。特に、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物が、有機チタネート又はジルコネート化合物及び有機スズ化合物の分解促進剤(prodegradant)組成物との配合により堆肥化可能とされた。
【0006】
上述の第11/041322号特許出願において報告されているとおり、本発明のより広範な形態において、ポリ塩化ビニル組成物が、分解促進剤組成物とともに可塑剤及び安定剤と配合された。この組成物を含有するポリマーシート及び織布又は不織布を含む複合シートが、堆肥化可能とされた。
【0007】
また、上述の第11/041322号特許出願において報告されたとおり、PVCを配合してセルロース系ポリマーに匹敵するか又はそれより優れた生分解性を得ることができることが目下のところ見出された。本発明のより具体的な形態において、このような組成物は、(a)PVC;(b)完全に脂肪族のカルボン酸エステルの群から選択される可塑剤;(c)硫黄不含ジアルキル及びモノアルキルスズカルボキシレートの群から選択される熱安定剤;及び(d)反応性有機チタネート又は有機ジルコネートからなる。このような組成物は、標準的方法、例えばプラスチゾル若しくは有機ゾルからの押出、カレンダリング又はコーティングによりPVCフィルム及びシートを製造するために使用することができる。これらは、PVCコンパウンディングにおいて定型的に使用される他の添加剤、例えば、充填剤、顔料、抗酸化剤、UV光吸収剤、結合剤等を含有してよい。このようなフィルムは、ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリエステルから作製された生分解性布、又は紙に積層して埋立地条件下で完全に生分解性のラミネートを製造することができる。これらのラミネートは、使用後に標準的な埋立地中に処分することができる印刷可能なシート製構造物に特に有用である。
【0008】
自明でないか又は予期されない更なる改善が、本発明においてなされた。特に、ハロゲン化ビニル樹脂、例えばPVCの組成物は、可塑剤を有しなくても、本発明の分解促進剤系を使用した場合、堆肥化可能である。更に、反応性有機チタネート又は有機ジルコネートを拡張して上述の出願に開示のアミド付加物に加えて他のモノマー付加物を含めることができることも見出された。例えば、有機チタネート又は有機ジルコネートのエステル付加物及び有機スズ化合物は、相対量で、可塑剤の不存在下においてもハロゲン化ビニルポリマー組成物を堆肥化可能にすることが見出された。
【0009】
したがって、本出願は、ハロゲン化ビニルポリマー並びに有機チタネート又は有機ジルコネートのモノマー付加物及び有機スズ化合物を含む分解促進剤系を含み、該分解促進剤系が、ハロゲン化ビニルポリマー組成物を堆肥化可能にする相対量で使用される堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物を対象とする。本明細書において使用される用語「付加物」は、モノマー分子と有機チタネート又は有機ジルコネート分子との錯体会合物を意味するものとする。ネオアルコキシ変性モノアルコキシチタネート又はジルコネートのアミド塩が本発明の目的を達成することは既に報告された。アミド塩は、反応性チタネート又はジルコネートのモノマー付加物としてのメタクリルアミドにより特に定義された。特定の有機チタネート又はジルコネートのエステル付加物が本発明の分解促進剤系において機能することもできることも見出された。有機チタネート又は有機ジルコネート付加物のモノマーエステルは、ジメチルアミノエチルメタノクリレートにより例示される。ジメチルアミノプロピルアクリルアミドがメタクリルアミドと同等に有効であると見出されたことも見出された。
【0010】
本発明の組成物及び複合材料並びにそれらから作製された有用物品は、堆肥化可能である。「堆肥化可能」は、組成物又はシートが、他の公知の堆肥化可能物質、例えば紙及び庭廃棄物のように、完成堆肥(腐植質)中に取り込まれ得、これと物理的に区別不可能であり、最終的に環境中でCO、水及びバイオマスに鉱物化(生分解)するように化学的分解、物理的分解、熱的分解及び/又は生物学的分解を受けることを意味する。堆肥化可能なフィルム及び複合材料は、生分解性又は環境分解性である。「生分解性」は、組成物又は複合材料が、地中に埋められた場合又は他の形式で微生物の成長を導く条件下で微生物と接触した場合、微生物により同化され易いことを意味する。「環境分解性」は、フィルム又は層が、鉱物化する、例えば、二酸化炭素、水及びバイオマスに生分解する最終的に生分解性であり得る形態に微生物によらないで熱又は周囲の環境的要素により分解され得ることを意味する。本発明の目的のため、「堆肥化可能」は、「生分解性」又は「環境分解性」を含むものとする。
【0011】
組成物又は複合材料の化学的分解、物理的分解、熱的分解及び/又は生物学的分解を可能にする堆肥化条件は、変動し得る。本発明の組成物又は複合材料は、特に自治体の固体廃棄物堆肥化施設又は埋立地において堆肥化可能であるように適合される。例えば、ASTM D 5526−94(2002年再承認)、促進された埋立地条件下におけるプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験方法に従って、PVCの試料が分解され、試験埋立地中に取り込まれ、物理的に区別不可能にされた。
【0012】
本発明の堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物及び複合材料、それらの製造方法並びに堆肥化可能性は、以下の詳細な説明を参照することより解される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.ハロゲン化ビニルポリマー
使用されるハロゲン化ビニル樹脂は、最も一般には、塩化ビニルのホモポリマー、即ち、ポリ塩化ビニルである。しかしながら、本発明は、特定のハロゲン化ビニル樹脂、例えばポリ塩化ビニル又はそのコポリマーに限定されるものではないと解されるべきである。使用され、本発明の原理を説明する他のハロゲン含有ポリマー又は樹脂は、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、及び他のハロゲン化ビニルポリマー又は樹脂タイプを含む。本明細書において理解され、当該技術分野において認識されているハロゲン化ビニルポリマー又は樹脂は一般的な用語であり、塩化ビニルを含むビニルモノマーを他のコモノマー、例えばエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、塩化ビニリデン、メタクリレート、アクリレート、スチレン等を用いるか又は用いないで重合又は共重合することにより通常誘導される樹脂又はポリマーと定義することが採用されている。簡単なケースは、塩化ビニルHC=CHClのポリ塩化ビニル、(CHCHCl−)n(式中、ハロゲンは、ポリマーの炭素鎖の炭素原子に結合している)への変換である。このようなハロゲン化ビニル樹脂の他の例は、塩化ビニリデンポリマー、塩化ビニル−ビニルエステルコポリマー、塩化ビニル−ビニルエーテルコポリマー、塩化ビニル−ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−プロピレンコポリマー、塩素化ポリエチレン等を含む。無論、工業的に一般に使用されるハロゲン化ビニルは塩化物であるが、他の物、例えば臭化物及びフッ化物が使用されてよい。臭化物及びフッ化物のポリマーの例は、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、及びそれらのコポリマーを含む。
【0014】
B.分解促進剤系
本発明の分解促進剤系又は組成物は、有機ジルコネート又は有機チタネートのモノマー付加物及び有機スズ化合物を含む。モノマー付加物は、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレートのモノマー基及び本明細書に詳述の他の同様の反応性モノマー基により例示される。より広範な意味において、付加物は、より好ましくは、ジアルキルアミノ短アルキル鎖反応性モノマーを含む。分解促進剤系は、更に特定すると、以下のとおり定義することができる:
【0015】
(1)有機チタネート又は有機ジルコネートモノマー付加物
有機チタネート又はジルコネートの化学的記載及び化学的構造は十分展開されている。例えば、Kenrich LICA 38Jは、化学名がチタンIVネオアルカノラト、トリ(ジオクチル)ピロホスフェート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドである反応性チタネートである。更に、Kenrichは、チタンをジルコニウムに換えて、化学的記載がジルコニウムIVネオアルカノラト、トリ(ジオクチル)ピロホスフェート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドであるNZ38を製造している。これらの化合物は、一般に、ネオアルコキシ変性モノアルコキシチタネート又はジルコネートのアミド塩と言及される。本発明をこれらの特定の有機チタネート又は有機ジルコネートのこれらのアミド付加物により例示したが、他の同様の化合物が本発明の目的を達成することができると解されるべきである。
【0016】
K38Jピロホスファトチタン付加物は、K38+ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMPDMA)の反応生成物であり、以下の構造(式中、R’=メチルであり、R’’=プロピルであり、R=ブチルであり、n〜3である)による。
【化1】


K38=DMPDMAを有しない上述の構造である。これら2種の成分は、化学量論的割合(ほぼ3:1)で混合すると室温で急速に反応する。P−OHは、P−O及びRN、Rになる。明赤色が現れ、この色は熱変色性であり、適当なC=Oのチタンへの配位を示し、この配位は4配位ではなく5配位の場合にこのような色を示す。(例えば、アセトン・TiCl4は橙赤色であり、前駆体は無色である。)K38もDMPDMAも、単独で使用するとハロゲン化ポリマーの解重合を生じさせない。しかしながら、PCV化合物に別個に添加する場合、現場での組合せはK38Jと同等に有効である。したがって、用語「付加物」の使用は、予備形成された錯体の使用又は現場での会合若しくは錯化を可能にして本発明の分解促進作用を提供する成分の別個の添加を包含するものとする。
【0017】
置換メタクリルアミドは、有機チタネート又はジルコネートの付加物として使用することもできる。例えば、Kenrich Ken−React KR−238Jは、モノマー付加物が置換メタクリルアミドである別の反応性チタネートである。KR−238Jは、上述のKenrich−38Jのメタクリルアミド付加物と同等に有効であることが見出されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドである。KR−238Jの化学的記載は、ジ(ジオクチル)ピロホスファトエチレンチタネート(付加物)N−置換メタクリルアミドである。更に、ジメチルアミノエチルメタクリレートのモノマーエステル付加物は、チタン又はジルコニウムカップリング剤のピロホスファト形態との組合せにおいて同様に有効である。K238J付加物は、以下の化学構造:
【化2】


を有する。
【0018】
K238=DMPDMAを有しない上述の構造である。したがって、本明細書において使用される「K38及び「K238」は、モノマーアミド、エステル、又は他の同類のモノマーと錯化している付加物の有機ピロホスファトチタネート分を意味するものとする。具体的な化合物は、チタンIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド及びジルコニウムIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド、チタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミド、及びジルコニウムIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドにより例示される。
【0019】
上述のモノマー付加物は、チタネート/ジルコネート酸性−P=O(OH)基を介する塩形成から得られる。モノマーは、反応して塩を形成する(しかし、他の反応、例えば酸化に進行しない)塩基性官能基を含有する。第3級アミン基が好ましい。これは、ジアルキルアミン基、メチルピリジン官能基又は塩基性窒素複素環基の範囲であってよい。反応性モノマーの残部は、活性化炭素−炭素二重結合を含有しなければならない。活性化されるべきC=C結合は、エステル、ケトン、アルデヒド若しくはアミドにおけるC=O、−CN、ビニルエーテルにおける酸素、又はアリル結合における酸素、窒素若しくは硫黄、又はスチレン若しくはビニルフェロセンにおける芳香環と共役しているべきである。
【0020】
より一般化された形態において、付加物は、有機チタネート又はジルコネート−P=O(OH)塩形成基−R−C=C−活性化基(式中、Rは、炭化水素基又は置換炭化水素基であり、活性化基は、C=Cと共役している)と定義することができる。
【0021】
本発明の付加物の他のモノマーは、以下の:
エチルジメチルアミノエチルメタクリレート
【化3】


メチルジメチルアミノプロピルアクリレート
【化4】


2−モルホリン−N−エチルアクリルアミド
【化5】


2−ピペリジニル−N−エチルアクリロニトリル
【化6】


メチルN−メチル−N−エチル−プロピルケトン
【化7】


2−ジメチルアミノエチルアクロレイン
(CHN−CHCH−CH=CH−CH=O
ジメチルアミノエチルビニルエーテル
(CHN−CHCH−O−CH=CH
ジメチルアミノエチルビニルチオエーテル
4−ジメチルアミノメチルスチレン
(CHN−CH−ARYL−CH=CH
アリル3−ジメチルアミノプロピオネート
【化8】


メタリル3−ジメチルアミノプロピオネート
【化9】


チオアリル3−ジメチルアミノプロピオネート
【化10】


ジメチルアミノメチルアクリレート(逆エステル)、更に対応する逆アミド
【化11】


ジメチルアミノメチルアミド
【化12】


により例示される。
【0022】
これらの有機チタネート又はジルコネートは、全体として参照により本明細書に組み込まれる以下の米国特許、即ち、米国特許:第4,069,192号;第4,080,353号;第4,087,402号;第4,094,853号;第4,096,110号;第4,098,758号;第4,122,062号;第4,152,311号;第4,192.792号;第4,101,810号;第4,261,913号;第4,277,415号;第4,338,220号;第4,417,009号にかなり詳細に更に記載されている。
【0023】
(2)有機スズ化合物
モノ及びジ有機スズ化合物は、十分公知のPVC用安定剤である。一般化された有機スズ安定剤の式は、RSnX又はRSnXである。上述のスズ安定剤の一般式において使用されるR基は、低級アルキル、例えばブチルであってよい。最近では、入手可能性及び比較的低コストのため、脂肪酸カルボキシレートが使用されている。スズ中間体を製造し、次いでカルボン酸又はメルカプタン基を含有する配位子と反応させてハロゲン化ビニル樹脂用安定剤を得るコスト効率の良い方法が開発されている。したがって、本発明に従って使用するために好適な有機スズ化合物のクラスの中には、米国特許第2,641,588号;第2,648,650号、第2,726,227号;第2,726,254号;第2,801,258号;第2,870,119号;第2,891,922号;第2,914,506号及び第2,954,363号に記載の有機スズカルボキシレート又は有機スズ硫黄含有化合物、米国特許第2,641,596号に記載の有機スズメルカプト酸エステル;米国特許第2,870,119号;第2,870,182号;第2,872,468号及び第2,883,363号に記載のメルカプトアルコールの有機スズエステル;並びに米国特許第3,021,302号;第3,413,264号;第3,424,712号及び第3,424,717号に開示のブチルチオスズ酸のような有機チオスズ酸がある。これらの特許の全ては、全体として参照により本明細書に組み込まれる。有機スズカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート又はジブチルスズマレエートが好ましい。他の有機スズが使用されてよい。
【0024】
(3)分解促進剤相乗的組成物
有機チタネート又は有機ジルコネート付加物、即ち有機ピロホスファトモノマー付加物の化合物及び有機スズの分解促進剤組成物は、ハロゲン化ビニルポリマーの堆肥化可能性において予期されない相乗作用を示すことが発見された。必須成分比の範囲にわたり顕著な堆肥化可能特性が存在する。分解促進剤系によるハロゲン化ビニルポリマーの予期されない結果及び堆肥化可能性についての正確な機序は、完全に理解されているわけではない。提案され得る理論は確かに存在するが、理論を問わず、以下の本発明の数多くの実施例において明白な有益な結果は、この詳細な説明を更に見れば明らかである。本出願人は、本発明の原理のこれらの実験的証明を信頼してその長所を提唱する。
【0025】
本発明の分解促進剤系において、分解促進剤の全組成物は、100重量部のハロゲン化ビニルポリマーに対して約1重量部から約10重量部(phr)の範囲にわたり有用であることが見出された。全組成物における有機スズ又はジルコネートの全重量部の最も有用な範囲は、約5phrから約7phr程度である。有機スズ化合物の場合において、最も有用な部は、約2phrから約3phr程度である。系の各成分は、1phrから10phrで変動してよい。成分の比は、本発明のより広範な態様の中で決定的に限定されるものとは考えられない。
【0026】
(4)可塑剤
上述のとおり、未可塑化PVC組成物が本発明の分解促進剤系により堆肥化可能であることが見出された。しかしながら、より広範な様式において、ハロゲン化ビニル組成物は、脂肪族又は芳香族エステル、典型的には、アジピン酸ジオクチル(DOA)、シクロヘキサンジカルボン酸のジイソノニルエステル又はフタル酸ジイソデシル(DIDP)により可塑化することができる。現在のところ最良のこの様式において、脂肪族エステルが使用される。硬質PVC試料は堆肥化可能性をこれまで実証していないので、可塑剤により付与されるポリマーマトリックス中の移動度が重要であるとこれまで考えられていた。しかしながら、未可塑化PVC試料が本発明により堆肥化可能であることが目下のところ見出された。
【0027】
本発明の原理及びこの操作パラメータは、典型的なハロゲン化ビニルポリマー樹脂配合物中に使用される具体的な分解促進剤のタイプ及びこれらの量並びに本発明の分解促進剤系成分の必須の組合せにより示される堆肥化可能性を説明するのに役立つ以下の詳細な実施例を参照することにより更に理解される。これらの実施例は、本発明を説明するものと考えられ、特に本出願人の本発明の原理の広範な開示を考慮すると、限定されるものと考えられるべきではない。
【0028】
以下の実施例1〜11のそれぞれにおいて、100重量部のポリ塩化ビニルホモポリマー(B.F.GoodrichによるGeon 121 PVC)を含有する標準樹脂配合を使用した。標準配合物中には、可塑剤、例えばアジピン酸ジオクチル(DOA)又はフタル酸ジイソデシル(DIDP)が含まれていた。
【0029】
実施例のPVC組成物の堆肥化可能性は、ASTM D 5526−94(2002年再承認)、促進された埋立地条件下におけるプラスチック材料の嫌気的生分解を判定するための標準試験方法に従うことにより判定した。標準試験を使用して、60重量%の滅菌脱水肥料(処理された家庭廃棄物を模擬するため)、30%の蒸留水、及び活性堆肥化装置からの10%の発酵用種菌を含む混合物を調製した。50gを、PVC組成物又は複合シート材料の2×1インチ試料と密封ペトリ皿中で使用した。全ての実験を、暗インキュベータ中で97°Fで行った。
【実施例】
【0030】
(実施例1)
100部のPVC(Geon 121)、80部のフタル酸ジイソデシル(DIDP)、及び2部のジブチルスズジラウレート(DBTDL)熱安定剤からなるプラスチゾルを混合し;剥離紙上に2ミルのフィルムとして塗布し、融着させた。試料は、ASTM D 5526−94の試験条件に90日間曝露した後に変化しなかった。この手順を、DIDPに換えてアジピン酸ジオクチル(DOA)を使用して繰り返した。90日後、フィルム上に可視的なカビ成長が存在したが、分解の可視的形跡は存在しなかった。この手順を、イソチアゾロン殺生物剤(MICRO−CHEK 11、Ferro Corporation)の4%溶液を2.5部添加して繰り返した。この場合において、90日後にカビ成長の形跡は存在しなかった。
【0031】
(実施例2)
実施例1のプラスチゾルを、DOA、DBTDLと5部のチタンネオアルカノラト,トリ(ジオクチル)ピロホスファト−O−(付加物)−N−置換メタクリルアミド(Kenrich LICA 38J)を使用して混合した。融着させた試料は試験埋立地中で10日以内に消費され、肉眼で見えなくなった。この実験を2.5部のMICRO−CHEK 11殺生物剤を添加して繰り返したが、結果は同じであった。
【0032】
(実施例3)
実施例1のプラスチゾルを、DOAをシクロヘキサンジカルボン酸のジイソノニルエステル(DINCH、BASF)に換えて、DBTDL、LICA 38Jを用いて混合した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、融着させた試料は殺生物剤を添加しても添加しなくても7日間で消失した。
【0033】
(実施例4)
実施例3を、LICA 38Jのジルコネート類似体(Kenrich NZ 38J)を用いて繰り返した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、融着させた試料は10日以内に消失した。
【0034】
(実施例5)
プラスチゾルを、DINCH、LICA 38J及びDBTDLに換えたジブチルスズマレエートエステル熱安定剤(PLASTISTAB 2808、Halstab)を使用して混合した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、融着させた試料は10日以内に消失した。
【0035】
(実施例6)
プラスチゾルを、DINCH、LICA 38J及びDBTDL有機スズに換えた液体カルシウム/亜鉛安定剤(PLASTISTAB 3002、Halstab)2部を使用して混合した。90日後、融着させた試料は激しいカビ成長を示し、断片化したが、依然として明らかに同じ寸法であった。
【0036】
(実施例7)
対照試料を、比較のために処理した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、未処理濾紙の試料は1週間以内でカビ成長を示し、30日間で消費された。ポリ乳酸(PLA)2ミルフィルムの試料は、7日間で完全に消費された。1ミルの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムの試料は、90日後に変化しなかった。
【0037】
(実施例8)
100部のGeon 121 PVC、80部のDOA、2部のDBTDL安定剤、及び5部のLICA 38(メタクリルアミド付加物を有しないチタネートLICA 38J)からなるプラスチゾルを混合した。ASTM D 5526により971Fで30日後、分解の可視的兆候は存在しなかった。同じ結果は、NZ 38(NZ 38J用のジルコネート母体)及び5部のメタクリルアミド自体を用いて見出された。これらの試験は、有機チタネート又はジルコネートのメタクリルアミド付加物が堆肥化可能性にとって必要であることを立証している。
【0038】
(実施例9)
100部のPVC、80部のDOA、5部のLICA 38J有機チタネート−メタクリルアミド付加物、及び2部のジブチルスズジイソチオグリコレート(SP1002 Ferro Corporation)からなるプラスチゾルを混合した。30日後、わずかな分解が存在したにすぎなかった。このことは、おそらく、有機スズメルカプチドの抗酸化性を反映するものである。またこのことは、分解促進剤系において有機スズカルボキシレートが好ましいことを現在のところ立証している。
【0039】
(実施例10)
実施例9を、以下の安定化系:エポキシ化大豆油(ESO)−2部;フェニルジイソデシルホスファイト−2部;ステアリン酸亜鉛−0.2部を使用して繰り返した。30日後、可視的な堆肥化可能性は存在しなかったが、これはおそらく、多くの混合金属安定剤系において使用されるホスファイトの抗酸化性に起因する。しかしながら、この場合において、顕著なカビ成長が存在したので、(長年の期間の)最終的な分解が存在し得ると考えられる。4%のイソチアゾロン殺生物剤を含有するESOを使用して繰り返すと、カビ成長は生じなかった。
【0040】
(実施例11)
上述のとおり、100部のGeon 121 PVC、80部のDOA、2部のDBTDL、及び5部のKenrich LICA 38J反応性チタネートからなるプラスチゾルを混合した。これに、5部のVULCABOND MDX(Akzo Nobel)結合剤を添加した。プラスチゾルをポリエステル布上に塗布し、約5ミルの厚さの塗膜に融着させた。
【0041】
本発明の分解促進剤系を用いたこの塗布布の試料、及び同じ構成の完成市販製品の対照試料(分解促進剤系を有しない)を、ASTM D5526の条件により90°Fで曝露した。2週間曝露した後、対照試料は本質的に変化しなかった。本発明の試料は、プラスチゾルのほとんど全ての痕跡を損失して埋立地になり、唯一の残存物は布メッシュの交点に浸透したものであった。布はいくらかの分解の形跡を示し、ポリエステルがゆっくりと分解することが予想される。
【0042】
(実施例12)
実施例1〜11において、PVC試料を、K−38及びジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMPDMA)の付加物である分解促進剤系と組み合わせたDOA又はDIDPにより可塑化した。付加物成分のそれぞれと比較してモノマー付加物の有効性を実証するため、実施例1〜11と同様の実施例を、付加物成分のそれぞれを単独で用いて繰り返した。付加物の成分は、単独では、ハロゲン化ポリマーの解重合を生じさせなかった。しかしながら、付加物の成分のそれぞれをPVC化合物に別個に添加し、現場で反応させた場合、この組合せは付加物を添加するのと同等に有効であった。したがって、有機チタネート又はジルコネートのモノマー付加物は、分解促進剤系の所望の結果を得るために必須であることが現在のところ実証された。
【0043】
上述のとおり、本発明の分解促進剤系の有利な結果の理論又は機序は、完全に理解されているわけではない。しかしながら、埋立地中のPVCの解重合について考えられる説明として、おそらく、PVCがHClを損失して埋立地中で形成されるその塩としてのアミンになることが考えられる。更に、ASTMD 5526の埋立地への2%レベルでのPVCの分解は、埋立地の植物生長の支持能に対して悪影響を有するとは考えられない。この無害な作用は、ASTMD 6400 堆肥化可能プラスチックについての標準規格により要求されている。DMPDMA部分は、おそらく、Diels Alder縮合(添加剤が触媒性であり、消費されない可能性を導く可逆的経路である)によりPVC中に現れた共役不飽和と反応する。DMPDMAは、極度に反応性のモノマーである。結果として、ポリマー鎖中のC−C結合が配位活性(チタン又はジルコニウム)の直近に生じ、C−C結合の破壊を導くようである。45〜60日間で、分解促進添加剤を使用又は現場で形成した場合、PVCは肉眼で容易に見えない。顕微鏡により、PVC化合物であると考えられる5〜50ミクロンの淡色のフレーク及び粗い立方体状の2〜5ミクロンの炭酸カルシウム結晶を識別することができる。
【0044】
(実施例13)
実施例1〜12は、可塑化ハロゲン化ポリマー組成物をベースとした。未可塑化ハロゲン化ポリマー組成物を実証する目的のため、更なる実施例を実施した。組成物は、Dow Chemical VYHH、14%の酢酸ビニルを含有するPVCコポリマー(0.5の固有粘度及びMEK中で容易に可溶(ヘキサン中で不溶))をベースとした。VYHH PVCコポリマーは、それ自体埋立地に分解せず、このことは付加物のチタネート成分であるK−38を2〜5phr用いても生じない。しかしながら、試料が5phr、1phr、及び0.5phrのK38J付加物、並びに2phrのDBTDL安定剤を含有する場合、ASTMD 5526の条件を実施すると、解重合、又は堆肥化可能性が観察された。したがって、K38Jの分解促進剤系を使用した場合、暗所で35℃で60日後、PVC化合物の可視的痕跡は観察されなかった。したがって、これらの実施例は、未可塑化ハロゲン化ポリマーが本発明の分解促進剤系により有効に分解することを実証している。
【0045】
(実施例14)
実施例13の手順を、塩素化ポリエチレン(CPE)粉末、Dow Tyrin 3615を用いて繰り返した。60日後、CPE化合物は、ヘキサン中で不溶の0.1〜1.0mmの灰色を帯びた粉末の痕跡の形態であった。
【0046】
本発明をこの種々の実施形態及びパラメータにおいて説明したが、他の変形は、記載されている実施形態及び本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に明らかとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化ビニルポリマー、並びに
(a)有機チタネート又は有機ジルコネートのモノマー付加物及び(b)有機スズ化合物を含む分解促進剤系
を含み、前記分解促進剤系が、ハロゲン化ビニルポリマー組成物を堆肥化可能にする相対量である堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物。
【請求項2】
モノマー付加物が、アミド付加物又はエステル付加物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分解促進剤系の成分が、ポリマーに対して約1phrから約10phrの全量で含有される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
分解促進剤系の成分のそれぞれが、ポリマーに対して約1phrから約10phrの量で含有される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
有機チタネート又はジルコネートが、約5phrから約7phrの量であり、有機スズが、約2phrから約3phrの量である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
有機スズが、有機スズカルボキシレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記付加物が、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、メタクリレート及び置換メタクリレートからなる群から選択されるモノマーの有機ピロホスファト付加物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記有機チタネート又は有機ジルコネートが、ネオアルコキシ変性モノアルコキシチタネート又はジルコネートのアミド又はエステル付加物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
有機チタネートが、チタンIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド又はチタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
有機ジルコネートが、ジルコニウムIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド又はジルコニウムIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ハロゲン化ビニルポリマーが、ポリ塩化ビニル又はそのコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記付加物が次式により定義される、請求項1に記載の組成物
有機チタネート又はジルコネート−P=O(OH)塩形成基−R−C=C−活性化基
(式中、Rは、炭化水素基又は置換炭化水素基であり、活性化基は、C=Cと共役している)。
【請求項13】
モノマー付加物が、
エチルジメチルアミノエチルメタクリレート、
メチルジメチルアミノプロピルアクリレート、
2−モルホリン−N−エチルアクリルアミド、
2−ピペリジニル−N−エチルアクリロニトリル、
メチルN−メチル−N−エチル−プロピルケトン、
2−ジメチルアミノエチルアクロレイン、
ジメチルアミノエチルビニルエーテル、
ジメチルアミノエチルビニルチオエーテル、
4−ジメチルアミノメチルスチレン、
アリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
メタリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
チオアリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
ジメチルアミノメチルアクリレート、及び
ジメチルアミノメチルアミド
からなる群から選択されるモノマーの付加物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ポリ塩化ビニル又はそのコポリマー、並びに
有機スズカルボキシレートと、チタンIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド、及びジルコニウムIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド、チタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミド、及びジルコニウムIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドからなる群から選択されるモノマー付加物とを含む分解促進剤系
を含む堆肥化可能なポリ塩化ビニル(PVC)ポリマー組成物。
【請求項15】
有機スズカルボキシレートが、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズマレエートからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
分解促進剤系の成分のそれぞれが、ポリマーに対して約1phrから約10phrの量で含有される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
有機チタネート又はジルコネートが、約5phrから約7phrの量であり、有機スズが、約2phrから約3phrの量である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
ハロゲン化ビニルポリマーを含有する物品、並びに
(a)有機チタネート又は有機ジルコネートのモノマー付加物及び(b)有機スズ化合物を含む分解促進剤系
を含み、前記分解促進剤系が、ハロゲン化ビニルポリマーシートを堆肥化可能にする相対量である堆肥化可能なハロゲン化ビニルポリマー物品。
【請求項19】
有機チタネート又はジルコネートが、約5phrから約7phrの量であり、有機スズが、約2phrから約3phrの量である、請求項18に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項20】
有機チタネートが、チタンIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド又はチタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドである、請求項18に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項21】
有機ジルコネートが、ジルコニウムIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスフェート−O(付加物)N−置換メタクリルアミド又はジルコニウムIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドである、請求項19に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項22】
ハロゲン化ビニルポリマーが、ポリ塩化ビニル又はそのコポリマーである、請求項18に記載の堆肥化可能な物品。
【請求項23】
請求項18に記載の物品及び織布又は不織布を含む複合材料。
【請求項24】
前記織布又は不織布が、堆肥化可能である、請求項21に記載の複合材料。
【請求項25】
前記堆肥化可能な布が、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリエステルからなる群から選択されるポリマーである、請求項22に記載の複合材料。
【請求項26】
前記付加物が次式により定義される、請求項18に記載の組成物
有機チタネート又はジルコネート−P=O(OH)塩形成基−R−C=C−活性化基
(式中、Rは、炭化水素基又は置換炭化水素基であり、活性化基は、C=Cと共役している)。
【請求項27】
モノマー付加物が、
エチルジメチルアミノエチルメタクリレート、
メチルジメチルアミノプロピルアクリレート、
2−モルホリン−N−エチルアクリルアミド、
2−ピペリジニル−N−エチルアクリロニトリル、
メチルN−メチル−N−エチル−プロピルケトン、
2−ジメチルアミノエチルアクロレイン、
ジメチルアミノエチルビニルエーテル、
ジメチルアミノエチルビニルチオエーテル、
4−ジメチルアミノメチルスチレン、
アリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
メタリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
チオアリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
ジメチルアミノメチルアクリレート、及び
ジメチルアミノメチルアミド
からなる群から選択されるモノマーの付加物である、請求項18に記載の組成物。
【請求項28】
ポリ塩化ビニル又はそのコポリマーを含有する物品、並びに
有機スズ化合物と、チタンIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド及びジルコニウムIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド、チタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミド、及びジルコニウムIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドからなる群から選択されるモノマー付加物と、有機スズカルボキシレートとを含む分解促進剤系
を含み、前記分解促進剤系が、ポリ塩化ビニル又はコポリマーを堆肥化可能にする相対量である堆肥化可能なポリ塩化ビニル(PVC)物品。
【請求項29】
有機スズ化合物が、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズマレエートからなる群から選択される、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
請求項28に記載のシート及び織布又は不織布を含む複合物品。
【請求項31】
前記織布又は不織布が、堆肥化可能である、請求項30に記載の複合物品。
【請求項32】
前記堆肥化可能な布が、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリエステルからなる群から選択されるポリマーである、請求項31に記載の複合物品。
【請求項33】
ハロゲン化ビニルポリマー物品又は物理的に変形されたその形態を嫌気的に分解させるために埋立地中に導入すること(前記物品は、
ハロゲン化ビニルポリマー、
(a)有機チタネート又は有機ジルコネートのモノマー付加物及び(b)有機スズ化合物を含む分解促進剤系
の組成物を有し、前記分解促進剤系は、ハロゲン化ビニルポリマー物品を堆肥化可能にする相対量である)、及び
前記物品を埋立地中で嫌気的に生分解させること
を含む、ハロゲン化ビニルポリマー物品を埋立地中で嫌気的に生分解させる方法。
【請求項34】
前記付加物が次式により定義される、請求項33に記載の方法
有機チタネート又はジルコネート−P=O(OH)塩形成基−R−C=C−活性化基
(式中、Rは、炭化水素基又は置換炭化水素基である)。
【請求項35】
前記付加物が、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、メタクリレート及び置換メタクリレートからなる群から選択されるモノマーの有機ピロホスファト付加物である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリ塩化ビニル(PVC)ポリマー物品が、
ポリ塩化ビニル又はそのコポリマー、並びに
有機スズカルボキシレートと、チタンIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド、及びジルコニウムIVネオアルカノラトトリ(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N−置換メタクリルアミド、チタンIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミド、及びジルコニウムIVビス(ジオクチル)ピロホスファト−O(付加物)N,N−ジメチルアミノ−アルキルプロペンアミドからなる群から選択されるモノマー付加物とを含む分解促進剤系
を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
有機スズカルボキシレートが、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズマレエートからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
分解促進剤系の成分のそれぞれが、ポリマーに対して約1phrから約10phrの量で含有される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
有機チタネート又はジルコネートが、約5phrから約7phrの量であり、有機スズが、約2phrから約3phrの量である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
モノマー付加物が、
エチルジメチルアミノエチルメタクリレート、
メチルジメチルアミノプロピルアクリレート、
2−モルホリン−N−エチルアクリルアミド、
2−ピペリジニル−N−エチルアクリロニトリル、
メチルN−メチル−N−エチル−プロピルケトン、
2−ジメチルアミノエチルアクロレイン、
ジメチルアミノエチルビニルエーテル、
ジメチルアミノエチルビニルチオエーテル、
4−ジメチルアミノメチルスチレン、
アリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
メタリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
チオアリル3−ジメチルアミノプロピオネート、
ジメチルアミノメチルアクリレート、及び
ジメチルアミノメチルアミド
からなる群から選択されるモノマーの付加物である、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
物品が、シートと織布又は不織布を含む複合シートとからなる群から選択される、前記方法。

【公表番号】特表2010−529215(P2010−529215A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507381(P2010−507381)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/081937
【国際公開番号】WO2008/140552
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507314198)バイオテック プロダクツ、エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】