堆肥散布機
【課題】堆肥の散布方向を自在に制御することのできる堆肥散布機を提供する。
【解決手段】本堆肥散布機1の散布口4には、該散布口4の幅方向略中央部位に配置され、開閉自在な開口部を有する中央ブラケット11と、散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを開閉自在とする一対の散布制御板20、20とが着脱自在に取り付けられているので、堆肥50の散布方向を自在に制御することができる。
【解決手段】本堆肥散布機1の散布口4には、該散布口4の幅方向略中央部位に配置され、開閉自在な開口部を有する中央ブラケット11と、散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを開閉自在とする一対の散布制御板20、20とが着脱自在に取り付けられているので、堆肥50の散布方向を自在に制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥を散布ビータの回転により、荷台に設けた散布口から散布する堆肥散布機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の堆肥散布機は、堆肥を搭載する荷台と、該荷台の端部に備えられる散布ビータと、荷台に設けられ、散布ビータの回転により堆肥を散布する散布口とを備えている。また、散布口には、幅方向両端に設けた各支柱に回動自在に一対の散布制御板が備えられている。そして、堆肥を散布する際には、一対の散布制御板を回動させることで散布口を開放して、散布口から堆肥を散布するようにしていた。
しかしながら、従来の堆肥散布機では、全面散布以外で、散布する区域(方向)を限定することができず、不都合を生じることがある。
【0003】
上述の問題に対して提案された特許文献1には、荷台後方の散布口の両側部に夫々立設された支柱に、回動自在及び上下摺動自在に散布制御板を夫々設け、しかも、各散布制御板は、各支柱上に任意角度及び任意高さで固定できる堆肥散布機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72084
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明に係る堆肥散布機では、散布口からの堆肥の散布幅を変化させることが可能であるが、堆肥を散布口の幅方向左右の両方またはいずれか一方に所定幅で散布できる等、散布方向を自在に制御することはできず、まだ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、堆肥の散布方向を自在に制御することのできる堆肥散布機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、堆肥を散布ビータの回転により、荷台に設けた散布口から散布する堆肥散布機であって、前記堆肥散布機の散布口に、該散布口の幅方向略中央部位に配置され、開閉自在な開口部を有する中央ブラケットと、前記散布口における前記中央ブラケットから両側の開口範囲を開閉自在とする一対の散布制御板と、を着脱自在に取り付けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記一対の散布制御板は、前記中央ブラケットの幅方向両端を支点に回動自在に設けられることを特徴とするものである。
請求項1及び2の発明では、第1に、中央ブラケットの開口部を閉鎖して、一対の散布制御板により散布口における中央ブラケットから両側またはいずれか一側の開口範囲を開放すると、堆肥が散布口からその幅方向左右の両方またはいずれか一方に所定幅で散布される。また、第2に、中央ブラケットの開口部を開放して、一対の散布制御板により散布口における中央ブラケットから両側の開口範囲を閉鎖すると、堆肥が散布口からその幅方向中央に所定幅で散布される。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明において、前記散布口から幅方向両側に、前記堆肥散布機の進行方向と同一方向に突出して、前記散布口の幅方向両端から外側への堆肥の飛散を規制する飛散規制板を着脱自在に取り付けたことを特徴とするものである。
請求項3の発明では、散布口における中央ブラケットから両側の開口範囲から飛散した堆肥は、各飛散規制板に干渉するために、散布口の両端部から幅方向外側への散布が規制される。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれかに記載した発明において、前記中央ブラケットの開口部から幅方向両側に、ガイド板を支柱を中心に回動自在にそれぞれ設け、該各ガイド板に、該各ガイド板の開き幅を調整する調整板を設けることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、各ガイド板の開き幅を調整することにより、散布幅を自在に調整することが可能になる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した発明において、前記各ガイド板に、前記開口部を囲むような包囲部材を取り付けることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、散布幅を精度良く設定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の堆肥散布機の発明によれば、堆肥を全面散布以外に、散布口からその幅方向左右の両方またはいずれか一方の所定幅に散布することができ、また、散布口の幅方向中央に所定幅散布することもできる。このように、本堆肥散布機では、堆肥の散布方向を自在に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機の側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機の散布口が全面開放された状態を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機の底面図である。
【図4A】図4Aは、(a)は散布口に着脱自在に取り付けられた中央ブラケットの正面図であり、(b)は、該中央ブラケットの下面図である。
【図4B】図4Bは、中央ブラケットの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第1の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図6】図6は、図5のA−A矢視図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第2の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図8】図8は、図7のB‐B矢視図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第3の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図10】図10は、図9のC‐C矢視図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第5の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図12】図12は、図11のD−D矢視図である。
【図13】図13は、ガイド板に包囲部材が取り付けられている状態を示す側面図である。
【図14】図14は、調整板によりガイド板の開き幅を調整する様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図14に基いて詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1は、図1〜図3に示すように、堆肥50が収容される荷台2を駆動車両3に搭載して構成される。荷台2の前面の全範囲が開口され、正面視略矩形状の散布口4として形成される。また、荷台2の前端の底部には散布ビータ用テーブル5が配設されており、該散布ビータ用テーブル5上に堆肥50を散布口4から外部に散布する散布ビータ6、6が、堆肥散布機1の進行方向と直交する方向に間隔を置いて2台配置される。なお、進行方向右側の散布ビータ6は時計周り方向に回転して、進行方向左側の散布ビータ6は反時計周り方向に回転する。すなわち、各散布ビータ6は対向回転するように設けられている。また、荷台2の底面には、収容される堆肥50を前端に位置する各散布ビータ6、6へ移送するコンベア7が進行方向に沿って配置される。
【0014】
また、図2に示すように、散布ビータ用テーブル5の前端で幅方向略中央には平面視く字状のガイド10が立設されており、屈曲部が散布ビータ6、6側に位置するように配置される。該く字状のガイド10の高さは、各散布ビータ6、6の各羽根の高さより低く設定される。そして、散布ビータ6、6の回転により堆肥50が散布口4から飛散される。図2に示す状態では、正面視略矩形状の散布口4が全範囲で開放されているので、堆肥50を散布口4から進行方向前方の全面に散布することができる。
【0015】
そして、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1の散布口4には、堆肥の散布方向を自在に制御できるように以下で説明する各構成部材が着脱自在に取り付けられる。
すなわち、図3〜図6に示すように、荷台2の前方の散布口4には、その幅方向略中央部位に幅方向に所定幅で延びる中央ブラケット11が着脱自在に取り付けられる。
該中央ブラケット11は、図4A及び図4Bから解るように、幅方向中央が後方に屈曲される平面視く字状の本体部12と、該本体部12の上下にそれぞれ前方に突設される取付用フランジ13a、13bと、本体部12の正面視略中央には設けられた正面視略矩形状の開口部15とから構成される。上方の取付用フランジ13aには、前方側に部材を取り付けるための孔11b、11cが幅方向両側にそれぞれ設けられており、後方側は折れ曲がって立ち上がる取付壁11eが設けられ、該取付壁11eに孔11aが設けられている。一方、下方の取付用フランジ13bは、本体部12の下縁に沿って吊下げ状態で取り付けられており、部材を取り付けるための孔11b、11cが幅方向両側にそれぞれ設けられている。
【0016】
そして、中央ブラケット11は、その平面視く字状の本体部12が平面視く字状のガイド10(図2参照)に上下方向で一致するように、荷台2の枠体に取付壁11eに設けた孔11aを介してノブボルトにより取り付けられる。中央ブラケット11の本体部12に設けた開口部15には、該開口部15の全範囲を閉鎖する平面視く字状のカバー16が孔11d、11dを介して必要に応じて着脱自在に取り付けられる。
【0017】
図3、図5及び図6に示すように、中央ブラケット11の各取付用フランジ13a、13bの幅方向両端に設けた孔11b、11bには、一対の散布制御板20の幅方向端部に一体的に連結された支柱17a、17aがそれぞれ嵌合される。これにより、一対の散布制御板20、20が中央ブラケット11の幅方向両端の各孔11b、11bを支点にそれぞれ回動自在となる。散布制御板20の幅方向の長さは、散布口4における中央ブラケット11から荷台2の一側壁までの開口範囲4aを閉鎖できる程度の長さに形成される。各散布制御板20、20の回動により散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aが開閉自在に構成され、その回動量により開口範囲4a、4aの大きさが決定される。
【0018】
図1及び図3に示すように、各散布制御板20の開閉操作は、駆動車両3の操作場所で操作できるようになっている。すなわち、散布制御板20と一体的に連結された支柱17aの下端にはアーム23の一端が一体的に接続されている。アーム23の他端にワイヤ24の一端が固定される。ワイヤ24の他端は、駆動車両3の操作場所まで延び、支点を中心に回動自在に備えられた操作レバー25に連結される。アーム23の他端と荷台2の側壁とはスプリング26で連結され、該スプリング26の付勢力により散布制御板20は、常時、散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aを開放する方向に作用する(図3の実線)。なお、左右一対の散布制御板20、20には、夫々にアーム23、23、ワイヤ24、24及び操作レバー25、25(一方の操作レバーの図示は省略した)が連結されている。
【0019】
また、図3、図5及び図6に示すように、散布口4の幅方向両側で荷台2の両側壁の前端下部に飛散規制板21、21が立てた状態でそれぞれ設けられる。詳しくは、各飛散規制板21、21は、その取付用フランジ21a、21aが荷台2の両側壁の前面に固定ボルト21b、21bにより固定され、堆肥散布機1の進行方向と同一方向に荷台2の前方から突出するように立てた状態で備えられる。各飛散規制板21、21の上端は、各散布制御板20の高さ方向略中間に位置して、その下端は、荷台2の下端よりも下方に突出する状態となる。
【0020】
そして、作業者が、各操作レバー25、25を、支点を中心に、例えば反時計周り方向に回動させると、各ワイヤ24がスプリング26の付勢力に抗して引っ張られ各アーム23の他端が散布口4の幅方向中央に向かって回動し、各散布制御板20、20が散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを閉鎖する方向に回動する(図3の2点鎖線)。一方、各操作レバー25、25を、支点を中心に、例えば時計周り方向に回動させれば、スプリング26の付勢力により、各散布制御板20、20が散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを開放する方向に回動する(図3の実線)。
当然ながら、各操作レバー25、25の回動角度を適宜調整することにより、各散布制御板20、20の回動角度(開度)を調整することもできる。また、左右の操作レバー25、25の回動角度を相違させて、左右の散布制御板20、20の回動角度(開度)を相違させることもできる。さらに、一方の散布制御板20により散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aだけを閉鎖し、他方の散布制御板20により散布口4における中央ブラケット11から他側の開口範囲4aだけを開放することもできる。
【0021】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、各散布制御板20、20を、開方向に最大で、その他端(先端)が荷台2の前端から前方に突出させた各飛散規制板21、21の先端に近接する位置するまで回動させることができる。当然ながら、各散布制御板20、20を、それ以上内方へ回動できるように設定してもよい。
【0022】
また、図11及び図12に示すように、中央ブラケット11の取付用フランジ13a、13bには、各散布制御板20の各支柱17a、17aの内側に、ガイド板28用の支柱17b、17bが孔11c、11cを挿通してそれぞれ立設される。ガイド板28用の各支柱17b、17bには、ガイド板28、28の幅方向一端が回動自在にかつ着脱自在に取り付けられる。各ガイド板28、28の高さは、図13に示すように、ガイド板28用の支柱17b、17bの高さと略同一である。図12〜図14に示すように、両ガイド板28、28の他端(先端)の上面には、両ガイド板28、28を跨るように調整板29が設けられる。そして、調整板29の一端部は一方のガイド板28にクランプボルトにより固着され、調整板29の他端部に設けた長孔30内において、他方のガイド板28との固着位置を調整することで対向するガイド板28、28の開き幅を調整できるようになっている。
【0023】
図11〜図14に示すように、各ガイド板28、28の幅方向他端にはその全高に亘って、平面視で円弧状に屈曲するように樹脂製の包囲部材31が取り付けられる。これにより、中央ブラケット11に設けた開口部15は、間隔を置いて包囲部材31により囲まれた状態となる。なお、図13に示すように、包囲部材31の高さは若干各ガイド板28の高さより高く、包囲部材31を各ガイド板28、28に取り付けた際には、各ガイド板28の下端よりも包囲部材31の下端が下方に位置するようになる。
【0024】
次に、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1における堆肥50の散布方向の制御方法を説明する。
まず、第1の散布方向の制御方法を図5及び図6に基いて説明する。
開口部15にカバー16を取り付けた中央ブラケット11が、散布口4の幅方向中央部位に配置され荷台2に固定される。続いて、散布口4から幅方向両側で荷台2の両側壁の前面には、各飛散規制板21、21が立てた状態で荷台2から前方に向かって突出するようにそれぞれ固定される。続いて、中央ブラケット11の取付用フランジ13a、13bに設けた孔11b、11bに、各散布制御板20、20に一体的に連結された支柱17a、17aが嵌合され、各散布制御板20、20が中央ブラケット11の幅方向両端(孔11b、11b)を支点に回動自在に支持される。なお、各散布制御板20の支柱17aの下端に設けたアーム23には、上述したように、ワイヤ24を介して開閉操作のための操作レバー25が連結される。
【0025】
次に、作業者が各操作レバー25を開方向へ回動させることで、各散布制御板20、20が最大限開方向に回動、すなわち、各散布制御板20、20の先端が各飛散規制板21、21の先端に近接される位置まで回動して、散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aが全開放される。
【0026】
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の両側の開口範囲4a、4aから外部にそれぞれ飛散するが、その堆肥50は各飛散規制板21、21に干渉するため、それ以上荷台2(散布口4)の両側壁から幅方向外側へ飛散することはない。その結果、堆肥50は、散布口4から荷台2(散布口4)の幅方向内側の範囲に、幅方向左右に間隔をおいて所定幅で散布される。
【0027】
次に、第2の散布方向の制御方法を図7及び図8に基いて説明する
図5及び図6に示す取付状態から各飛散規制板21、21を取り外すか、または、図7の矢印Eのように、各飛散規制板21、21を、固定ボルト21b、21bを中心に回動させて上方に移動させる。
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の両側の開口範囲4a、4aから外部にそれぞれ飛散して、荷台2(散布口4)の両側壁から幅方向外側へも飛散するようになる。その結果、散布幅が荷台2(散布口4)の両側壁から幅方向外側へ拡大され、図5及び図6に示す第1の散布方向の制御方法における散布幅よりも広範囲な散布幅が得られる。
【0028】
次に、第3の散布方向の制御方法を図9及び図10に基いて説明する。
図7及び図8に示す取付状態から各散布制御板20、20のうち一つだけを閉方向に回動させて、散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aだけを全開放した状態とする。
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の一側の開口範囲4aから外部に飛散して、荷台2の一側壁から幅方向外側へも飛散するようになる。その結果、堆肥50は、散布口4から幅方向左右のいずれか一方に散布され、その散布幅は図7及び図8に示す第2の散布方向の制御方法と略同じで荷台2の一側壁から幅方向外側へ拡大される。
【0029】
次に、図示はしないが第4の散布方向の制御方法を説明する。
図5及び図6に示す取付状態から各散布制御板20、20のうち一つだけを閉方向に回動させて、散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aだけを全開放した状態とする。
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の一側の開口範囲4aから外部に飛散するが、その堆肥50は一方の飛散規制板21に干渉して、それ以上荷台2の一側壁から幅方向外側へ飛散することはない。その結果、堆肥50は、散布口4から荷台2の幅方向内側の範囲に、幅方向左右のいずれか一方に所定幅(図5及び図6に示す第1の散布方向の制御方法と同じ散布幅)散布される。
【0030】
次に、第5の散布方向の制御方法を図11及び図12に基いて説明する。
まず、図7及び図8に示す取付状態から中央ブラケット11のカバー16を取り外して開口部15を露出させる。続いて、作業者が各操作レバー25を共に閉方向へ回動させることで、各散布制御板20、20により散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを全て閉鎖した状態とする。
【0031】
引き続き、各ガイド板28、28の一端を、中央ブラケット11に設けたガイド板28用の支柱17b、17bに、該各支柱17b、17bを支点に回動自在にそれぞれ取り付ける。続いて、各ガイド板28、28の他端に、中央ブラケット11の開口部15を、間隔を置いて囲むように樹脂製の包囲部材31を平面視円弧状に屈曲させた状態で取り付ける。続いて、各ガイド板28、28を跨るようにその上面に調整板29を取り付け、該調整板29により対向するガイド板28、28の開き幅を調整する。
【0032】
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50は、散布口4に配置した中央ブラケット11の開口部15から一対のガイド板28、28に沿って飛散して、包囲部材31の内面に干渉して落下するようになる。その結果、堆肥50は散布口4の幅方向中央に所定幅で散布される。また、図14に示すように、調整板29により各ガイド板28、28の開き幅を変化させることにより、その散布幅を自在に変化させることができる。
なお、本実施の形態では、各ガイド板28、28、調整板29及び包囲部材31を採用しているので、散布幅を自在に調整できると共に散布幅を精度良くすることが可能になる。しかしながら、散布幅を調整する必要がない場合には、必ずしも各ガイド板28、28、調整板29及び包囲部材31を採用する必要はない。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1では、散布口4からその幅方向左右の両方またはいずれか一方の所定幅に散布することができ、しかも、その散布幅を荷台2(散布口4)の幅方向内側のみから外側へ拡大させることもできる。また、本堆肥散布機1では、堆肥を散布口4の幅方向中央に所定幅で散布することもでき、その散布幅を適宜変化させることができる。
これにより、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1では、全面散布以外に、散布方向(散布区域)を作業者の意図に従って自在に制御することができるので、基肥の散布に限らず、追肥の散布にも使用することができ、非常に有効である。
【符号の説明】
【0034】
1 堆肥散布機,2 荷台,4 散布口,4a 開口範囲,6 散布ビータ,11 中央ブラケット,15 開口部,16 カバー,17a 支柱,17b 支柱,20 散布制御板,21 飛散規制板,28 ガイド板,29 調整板,31 包囲部材,50 堆肥
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥を散布ビータの回転により、荷台に設けた散布口から散布する堆肥散布機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の堆肥散布機は、堆肥を搭載する荷台と、該荷台の端部に備えられる散布ビータと、荷台に設けられ、散布ビータの回転により堆肥を散布する散布口とを備えている。また、散布口には、幅方向両端に設けた各支柱に回動自在に一対の散布制御板が備えられている。そして、堆肥を散布する際には、一対の散布制御板を回動させることで散布口を開放して、散布口から堆肥を散布するようにしていた。
しかしながら、従来の堆肥散布機では、全面散布以外で、散布する区域(方向)を限定することができず、不都合を生じることがある。
【0003】
上述の問題に対して提案された特許文献1には、荷台後方の散布口の両側部に夫々立設された支柱に、回動自在及び上下摺動自在に散布制御板を夫々設け、しかも、各散布制御板は、各支柱上に任意角度及び任意高さで固定できる堆肥散布機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72084
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明に係る堆肥散布機では、散布口からの堆肥の散布幅を変化させることが可能であるが、堆肥を散布口の幅方向左右の両方またはいずれか一方に所定幅で散布できる等、散布方向を自在に制御することはできず、まだ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、堆肥の散布方向を自在に制御することのできる堆肥散布機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、堆肥を散布ビータの回転により、荷台に設けた散布口から散布する堆肥散布機であって、前記堆肥散布機の散布口に、該散布口の幅方向略中央部位に配置され、開閉自在な開口部を有する中央ブラケットと、前記散布口における前記中央ブラケットから両側の開口範囲を開閉自在とする一対の散布制御板と、を着脱自在に取り付けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記一対の散布制御板は、前記中央ブラケットの幅方向両端を支点に回動自在に設けられることを特徴とするものである。
請求項1及び2の発明では、第1に、中央ブラケットの開口部を閉鎖して、一対の散布制御板により散布口における中央ブラケットから両側またはいずれか一側の開口範囲を開放すると、堆肥が散布口からその幅方向左右の両方またはいずれか一方に所定幅で散布される。また、第2に、中央ブラケットの開口部を開放して、一対の散布制御板により散布口における中央ブラケットから両側の開口範囲を閉鎖すると、堆肥が散布口からその幅方向中央に所定幅で散布される。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明において、前記散布口から幅方向両側に、前記堆肥散布機の進行方向と同一方向に突出して、前記散布口の幅方向両端から外側への堆肥の飛散を規制する飛散規制板を着脱自在に取り付けたことを特徴とするものである。
請求項3の発明では、散布口における中央ブラケットから両側の開口範囲から飛散した堆肥は、各飛散規制板に干渉するために、散布口の両端部から幅方向外側への散布が規制される。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれかに記載した発明において、前記中央ブラケットの開口部から幅方向両側に、ガイド板を支柱を中心に回動自在にそれぞれ設け、該各ガイド板に、該各ガイド板の開き幅を調整する調整板を設けることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、各ガイド板の開き幅を調整することにより、散布幅を自在に調整することが可能になる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した発明において、前記各ガイド板に、前記開口部を囲むような包囲部材を取り付けることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、散布幅を精度良く設定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の堆肥散布機の発明によれば、堆肥を全面散布以外に、散布口からその幅方向左右の両方またはいずれか一方の所定幅に散布することができ、また、散布口の幅方向中央に所定幅散布することもできる。このように、本堆肥散布機では、堆肥の散布方向を自在に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機の側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機の散布口が全面開放された状態を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機の底面図である。
【図4A】図4Aは、(a)は散布口に着脱自在に取り付けられた中央ブラケットの正面図であり、(b)は、該中央ブラケットの下面図である。
【図4B】図4Bは、中央ブラケットの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第1の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図6】図6は、図5のA−A矢視図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第2の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図8】図8は、図7のB‐B矢視図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第3の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図10】図10は、図9のC‐C矢視図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機において第5の散布方向の制御方法を説明するための図である。
【図12】図12は、図11のD−D矢視図である。
【図13】図13は、ガイド板に包囲部材が取り付けられている状態を示す側面図である。
【図14】図14は、調整板によりガイド板の開き幅を調整する様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図14に基いて詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1は、図1〜図3に示すように、堆肥50が収容される荷台2を駆動車両3に搭載して構成される。荷台2の前面の全範囲が開口され、正面視略矩形状の散布口4として形成される。また、荷台2の前端の底部には散布ビータ用テーブル5が配設されており、該散布ビータ用テーブル5上に堆肥50を散布口4から外部に散布する散布ビータ6、6が、堆肥散布機1の進行方向と直交する方向に間隔を置いて2台配置される。なお、進行方向右側の散布ビータ6は時計周り方向に回転して、進行方向左側の散布ビータ6は反時計周り方向に回転する。すなわち、各散布ビータ6は対向回転するように設けられている。また、荷台2の底面には、収容される堆肥50を前端に位置する各散布ビータ6、6へ移送するコンベア7が進行方向に沿って配置される。
【0014】
また、図2に示すように、散布ビータ用テーブル5の前端で幅方向略中央には平面視く字状のガイド10が立設されており、屈曲部が散布ビータ6、6側に位置するように配置される。該く字状のガイド10の高さは、各散布ビータ6、6の各羽根の高さより低く設定される。そして、散布ビータ6、6の回転により堆肥50が散布口4から飛散される。図2に示す状態では、正面視略矩形状の散布口4が全範囲で開放されているので、堆肥50を散布口4から進行方向前方の全面に散布することができる。
【0015】
そして、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1の散布口4には、堆肥の散布方向を自在に制御できるように以下で説明する各構成部材が着脱自在に取り付けられる。
すなわち、図3〜図6に示すように、荷台2の前方の散布口4には、その幅方向略中央部位に幅方向に所定幅で延びる中央ブラケット11が着脱自在に取り付けられる。
該中央ブラケット11は、図4A及び図4Bから解るように、幅方向中央が後方に屈曲される平面視く字状の本体部12と、該本体部12の上下にそれぞれ前方に突設される取付用フランジ13a、13bと、本体部12の正面視略中央には設けられた正面視略矩形状の開口部15とから構成される。上方の取付用フランジ13aには、前方側に部材を取り付けるための孔11b、11cが幅方向両側にそれぞれ設けられており、後方側は折れ曲がって立ち上がる取付壁11eが設けられ、該取付壁11eに孔11aが設けられている。一方、下方の取付用フランジ13bは、本体部12の下縁に沿って吊下げ状態で取り付けられており、部材を取り付けるための孔11b、11cが幅方向両側にそれぞれ設けられている。
【0016】
そして、中央ブラケット11は、その平面視く字状の本体部12が平面視く字状のガイド10(図2参照)に上下方向で一致するように、荷台2の枠体に取付壁11eに設けた孔11aを介してノブボルトにより取り付けられる。中央ブラケット11の本体部12に設けた開口部15には、該開口部15の全範囲を閉鎖する平面視く字状のカバー16が孔11d、11dを介して必要に応じて着脱自在に取り付けられる。
【0017】
図3、図5及び図6に示すように、中央ブラケット11の各取付用フランジ13a、13bの幅方向両端に設けた孔11b、11bには、一対の散布制御板20の幅方向端部に一体的に連結された支柱17a、17aがそれぞれ嵌合される。これにより、一対の散布制御板20、20が中央ブラケット11の幅方向両端の各孔11b、11bを支点にそれぞれ回動自在となる。散布制御板20の幅方向の長さは、散布口4における中央ブラケット11から荷台2の一側壁までの開口範囲4aを閉鎖できる程度の長さに形成される。各散布制御板20、20の回動により散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aが開閉自在に構成され、その回動量により開口範囲4a、4aの大きさが決定される。
【0018】
図1及び図3に示すように、各散布制御板20の開閉操作は、駆動車両3の操作場所で操作できるようになっている。すなわち、散布制御板20と一体的に連結された支柱17aの下端にはアーム23の一端が一体的に接続されている。アーム23の他端にワイヤ24の一端が固定される。ワイヤ24の他端は、駆動車両3の操作場所まで延び、支点を中心に回動自在に備えられた操作レバー25に連結される。アーム23の他端と荷台2の側壁とはスプリング26で連結され、該スプリング26の付勢力により散布制御板20は、常時、散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aを開放する方向に作用する(図3の実線)。なお、左右一対の散布制御板20、20には、夫々にアーム23、23、ワイヤ24、24及び操作レバー25、25(一方の操作レバーの図示は省略した)が連結されている。
【0019】
また、図3、図5及び図6に示すように、散布口4の幅方向両側で荷台2の両側壁の前端下部に飛散規制板21、21が立てた状態でそれぞれ設けられる。詳しくは、各飛散規制板21、21は、その取付用フランジ21a、21aが荷台2の両側壁の前面に固定ボルト21b、21bにより固定され、堆肥散布機1の進行方向と同一方向に荷台2の前方から突出するように立てた状態で備えられる。各飛散規制板21、21の上端は、各散布制御板20の高さ方向略中間に位置して、その下端は、荷台2の下端よりも下方に突出する状態となる。
【0020】
そして、作業者が、各操作レバー25、25を、支点を中心に、例えば反時計周り方向に回動させると、各ワイヤ24がスプリング26の付勢力に抗して引っ張られ各アーム23の他端が散布口4の幅方向中央に向かって回動し、各散布制御板20、20が散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを閉鎖する方向に回動する(図3の2点鎖線)。一方、各操作レバー25、25を、支点を中心に、例えば時計周り方向に回動させれば、スプリング26の付勢力により、各散布制御板20、20が散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを開放する方向に回動する(図3の実線)。
当然ながら、各操作レバー25、25の回動角度を適宜調整することにより、各散布制御板20、20の回動角度(開度)を調整することもできる。また、左右の操作レバー25、25の回動角度を相違させて、左右の散布制御板20、20の回動角度(開度)を相違させることもできる。さらに、一方の散布制御板20により散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aだけを閉鎖し、他方の散布制御板20により散布口4における中央ブラケット11から他側の開口範囲4aだけを開放することもできる。
【0021】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、各散布制御板20、20を、開方向に最大で、その他端(先端)が荷台2の前端から前方に突出させた各飛散規制板21、21の先端に近接する位置するまで回動させることができる。当然ながら、各散布制御板20、20を、それ以上内方へ回動できるように設定してもよい。
【0022】
また、図11及び図12に示すように、中央ブラケット11の取付用フランジ13a、13bには、各散布制御板20の各支柱17a、17aの内側に、ガイド板28用の支柱17b、17bが孔11c、11cを挿通してそれぞれ立設される。ガイド板28用の各支柱17b、17bには、ガイド板28、28の幅方向一端が回動自在にかつ着脱自在に取り付けられる。各ガイド板28、28の高さは、図13に示すように、ガイド板28用の支柱17b、17bの高さと略同一である。図12〜図14に示すように、両ガイド板28、28の他端(先端)の上面には、両ガイド板28、28を跨るように調整板29が設けられる。そして、調整板29の一端部は一方のガイド板28にクランプボルトにより固着され、調整板29の他端部に設けた長孔30内において、他方のガイド板28との固着位置を調整することで対向するガイド板28、28の開き幅を調整できるようになっている。
【0023】
図11〜図14に示すように、各ガイド板28、28の幅方向他端にはその全高に亘って、平面視で円弧状に屈曲するように樹脂製の包囲部材31が取り付けられる。これにより、中央ブラケット11に設けた開口部15は、間隔を置いて包囲部材31により囲まれた状態となる。なお、図13に示すように、包囲部材31の高さは若干各ガイド板28の高さより高く、包囲部材31を各ガイド板28、28に取り付けた際には、各ガイド板28の下端よりも包囲部材31の下端が下方に位置するようになる。
【0024】
次に、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1における堆肥50の散布方向の制御方法を説明する。
まず、第1の散布方向の制御方法を図5及び図6に基いて説明する。
開口部15にカバー16を取り付けた中央ブラケット11が、散布口4の幅方向中央部位に配置され荷台2に固定される。続いて、散布口4から幅方向両側で荷台2の両側壁の前面には、各飛散規制板21、21が立てた状態で荷台2から前方に向かって突出するようにそれぞれ固定される。続いて、中央ブラケット11の取付用フランジ13a、13bに設けた孔11b、11bに、各散布制御板20、20に一体的に連結された支柱17a、17aが嵌合され、各散布制御板20、20が中央ブラケット11の幅方向両端(孔11b、11b)を支点に回動自在に支持される。なお、各散布制御板20の支柱17aの下端に設けたアーム23には、上述したように、ワイヤ24を介して開閉操作のための操作レバー25が連結される。
【0025】
次に、作業者が各操作レバー25を開方向へ回動させることで、各散布制御板20、20が最大限開方向に回動、すなわち、各散布制御板20、20の先端が各飛散規制板21、21の先端に近接される位置まで回動して、散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aが全開放される。
【0026】
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の両側の開口範囲4a、4aから外部にそれぞれ飛散するが、その堆肥50は各飛散規制板21、21に干渉するため、それ以上荷台2(散布口4)の両側壁から幅方向外側へ飛散することはない。その結果、堆肥50は、散布口4から荷台2(散布口4)の幅方向内側の範囲に、幅方向左右に間隔をおいて所定幅で散布される。
【0027】
次に、第2の散布方向の制御方法を図7及び図8に基いて説明する
図5及び図6に示す取付状態から各飛散規制板21、21を取り外すか、または、図7の矢印Eのように、各飛散規制板21、21を、固定ボルト21b、21bを中心に回動させて上方に移動させる。
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の両側の開口範囲4a、4aから外部にそれぞれ飛散して、荷台2(散布口4)の両側壁から幅方向外側へも飛散するようになる。その結果、散布幅が荷台2(散布口4)の両側壁から幅方向外側へ拡大され、図5及び図6に示す第1の散布方向の制御方法における散布幅よりも広範囲な散布幅が得られる。
【0028】
次に、第3の散布方向の制御方法を図9及び図10に基いて説明する。
図7及び図8に示す取付状態から各散布制御板20、20のうち一つだけを閉方向に回動させて、散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aだけを全開放した状態とする。
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の一側の開口範囲4aから外部に飛散して、荷台2の一側壁から幅方向外側へも飛散するようになる。その結果、堆肥50は、散布口4から幅方向左右のいずれか一方に散布され、その散布幅は図7及び図8に示す第2の散布方向の制御方法と略同じで荷台2の一側壁から幅方向外側へ拡大される。
【0029】
次に、図示はしないが第4の散布方向の制御方法を説明する。
図5及び図6に示す取付状態から各散布制御板20、20のうち一つだけを閉方向に回動させて、散布口4における中央ブラケット11から一側の開口範囲4aだけを全開放した状態とする。
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50が散布口4における中央ブラケット11の一側の開口範囲4aから外部に飛散するが、その堆肥50は一方の飛散規制板21に干渉して、それ以上荷台2の一側壁から幅方向外側へ飛散することはない。その結果、堆肥50は、散布口4から荷台2の幅方向内側の範囲に、幅方向左右のいずれか一方に所定幅(図5及び図6に示す第1の散布方向の制御方法と同じ散布幅)散布される。
【0030】
次に、第5の散布方向の制御方法を図11及び図12に基いて説明する。
まず、図7及び図8に示す取付状態から中央ブラケット11のカバー16を取り外して開口部15を露出させる。続いて、作業者が各操作レバー25を共に閉方向へ回動させることで、各散布制御板20、20により散布口4における中央ブラケット11から両側の開口範囲4a、4aを全て閉鎖した状態とする。
【0031】
引き続き、各ガイド板28、28の一端を、中央ブラケット11に設けたガイド板28用の支柱17b、17bに、該各支柱17b、17bを支点に回動自在にそれぞれ取り付ける。続いて、各ガイド板28、28の他端に、中央ブラケット11の開口部15を、間隔を置いて囲むように樹脂製の包囲部材31を平面視円弧状に屈曲させた状態で取り付ける。続いて、各ガイド板28、28を跨るようにその上面に調整板29を取り付け、該調整板29により対向するガイド板28、28の開き幅を調整する。
【0032】
そして、各散布ビータ6、6を駆動させると、堆肥50は、散布口4に配置した中央ブラケット11の開口部15から一対のガイド板28、28に沿って飛散して、包囲部材31の内面に干渉して落下するようになる。その結果、堆肥50は散布口4の幅方向中央に所定幅で散布される。また、図14に示すように、調整板29により各ガイド板28、28の開き幅を変化させることにより、その散布幅を自在に変化させることができる。
なお、本実施の形態では、各ガイド板28、28、調整板29及び包囲部材31を採用しているので、散布幅を自在に調整できると共に散布幅を精度良くすることが可能になる。しかしながら、散布幅を調整する必要がない場合には、必ずしも各ガイド板28、28、調整板29及び包囲部材31を採用する必要はない。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1では、散布口4からその幅方向左右の両方またはいずれか一方の所定幅に散布することができ、しかも、その散布幅を荷台2(散布口4)の幅方向内側のみから外側へ拡大させることもできる。また、本堆肥散布機1では、堆肥を散布口4の幅方向中央に所定幅で散布することもでき、その散布幅を適宜変化させることができる。
これにより、本発明の実施の形態に係る堆肥散布機1では、全面散布以外に、散布方向(散布区域)を作業者の意図に従って自在に制御することができるので、基肥の散布に限らず、追肥の散布にも使用することができ、非常に有効である。
【符号の説明】
【0034】
1 堆肥散布機,2 荷台,4 散布口,4a 開口範囲,6 散布ビータ,11 中央ブラケット,15 開口部,16 カバー,17a 支柱,17b 支柱,20 散布制御板,21 飛散規制板,28 ガイド板,29 調整板,31 包囲部材,50 堆肥
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥を散布ビータの回転により、荷台に設けた散布口から散布する堆肥散布機であって、
前記堆肥散布機の散布口に、該散布口の幅方向略中央部位に配置され、開閉自在な開口部を有する中央ブラケットと、
前記散布口における前記中央ブラケットから両側の開口範囲を開閉自在とする一対の散布制御板と、
を着脱自在に取り付けたことを特徴とする堆肥散布機。
【請求項2】
前記一対の散布制御板は、前記中央ブラケットの幅方向両端を支点に回動自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の堆肥散布機。
【請求項3】
前記散布口から幅方向両側に、前記堆肥散布機の進行方向と同一方向に突出して、前記散布口の幅方向両端から外側への堆肥の飛散を規制する飛散規制板を着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1または2に記載の堆肥散布機。
【請求項4】
前記中央ブラケットの開口部から幅方向両側に、ガイド板を支柱を中心に回動自在にそれぞれ設け、該各ガイド板に、該各ガイド板の開き幅を調整する調整板を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の堆肥散布機。
【請求項5】
前記各ガイド板に、前記開口部を囲むような包囲部材を取り付けることを特徴とする請求項4に記載の堆肥散布機。
【請求項1】
堆肥を散布ビータの回転により、荷台に設けた散布口から散布する堆肥散布機であって、
前記堆肥散布機の散布口に、該散布口の幅方向略中央部位に配置され、開閉自在な開口部を有する中央ブラケットと、
前記散布口における前記中央ブラケットから両側の開口範囲を開閉自在とする一対の散布制御板と、
を着脱自在に取り付けたことを特徴とする堆肥散布機。
【請求項2】
前記一対の散布制御板は、前記中央ブラケットの幅方向両端を支点に回動自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の堆肥散布機。
【請求項3】
前記散布口から幅方向両側に、前記堆肥散布機の進行方向と同一方向に突出して、前記散布口の幅方向両端から外側への堆肥の飛散を規制する飛散規制板を着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1または2に記載の堆肥散布機。
【請求項4】
前記中央ブラケットの開口部から幅方向両側に、ガイド板を支柱を中心に回動自在にそれぞれ設け、該各ガイド板に、該各ガイド板の開き幅を調整する調整板を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の堆肥散布機。
【請求項5】
前記各ガイド板に、前記開口部を囲むような包囲部材を取り付けることを特徴とする請求項4に記載の堆肥散布機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−10607(P2012−10607A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147612(P2010−147612)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(390010928)株式会社デリカ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(390010928)株式会社デリカ (4)
【Fターム(参考)】
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