説明

報知システム、緊急報知方法、及び、表示装置

【課題】複数の表示装置により、緊急を報知する動作を遅延なく実行させることが可能な報知システム、緊急報知方法、及び、表示装置を提供する。
【解決手段】報知システム10は、画像を投射する投射部3、及び音声を出力するスピーカー127をそれぞれ有する複数のプロジェクター11と、複数のプロジェクター11に通信ネットワーク17を介して接続されたIPルーティングサーバー2とを備え、IPルーティングサーバー2は、緊急報知の要否を判定する緊急判定部21Dと、緊急判定部21Dにより緊急報知を要すると判定された場合に、複数のプロジェクター11のうち緊急報知を行うプロジェクター11を選択し、選択されたプロジェクター11に報知音声を出力させる音声出力制御部21Eとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知システム、緊急報知方法、及び、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急時に、複数の表示装置を利用して緊急警報を表示するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のシステムでは、緊急警報放送を受信する受信装置が、表示装置に対して有線ネットワークを介してオーディオ/ビデオ信号を送出することで、音声及び表示による警報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−245872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、有線ネットワークを利用すると多数の表示装置を容易に接続できるという利点がある一方、信号の伝送に遅延が発生する可能性があった。
本発明は、上記の課題に鑑み、複数の表示装置により、緊急を報知する動作を遅延なく実行させることが可能な報知システム、緊急報知方法、及び、表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、画像を表示する表示手段、及び音声を出力する音声出力手段をそれぞれ有する複数の表示装置と、前記複数の表示装置に通信回線を介して接続された制御装置とを備え、前記制御装置は、緊急報知の要否を判定する判定手段と、前記判定手段により緊急報知を要すると判定された場合に、前記複数の表示装置のうち緊急報知を行う表示装置を選択し、選択された前記表示装置に報知音声を出力させる音声出力制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、通信回線を介して表示装置に接続された制御装置が、表示装置のうち緊急報知を行う表示装置を選択し、選択された表示装置に報知音声を出力させるので、例えば報知音声を出力させる表示装置の数を制限する等の制御を行うことによって、各表示装置に緊急を報知する動作を遅延なく実行させることができる。
【0006】
また、本発明は、上記報知システムにおいて、前記制御装置は、前記複数の表示装置の動作状態を検出する動作状態検出手段を備え、前記音声出力制御手段は、前記動作状態検出手段の検出結果に基づいて、停止中の前記表示装置と、動作中の前記表示装置とを区別することを特徴とする。
本発明によれば、停止中の表示装置と動作中の表示装置とを区別して、報知音声を出力させる表示装置を効率よく選択することができ、システム全体の効率向上を図ることができる。
【0007】
また、本発明は、上記報知システムにおいて、前記音声出力制御手段は、停止中の前記表示装置を起動させて、前記報知音声を出力させることを特徴とする。
本発明によれば、停止中の表示装置を速やかに起動させて、報知音声を出力させることができる。
【0008】
また、本発明は、上記報知システムにおいて、前記音声出力制御手段は、動作中の前記表示装置のみを対象として、前記報知音声を出力させることを特徴とする。
本発明によれば、停止中の表示装置を除外することで効率的に表示装置を制御して、速やかに報知音声を出力させることができる。
【0009】
また、本発明は、上記報知システムにおいて、前記表示装置は、前記制御装置の制御により報知音声を出力する際に、緊急報知用の画像を表示することを特徴とする。
本発明によれば、表示装置が報知音声を出力するとともに、画像を表示して効果的に報知を行うことができる。
【0010】
さらに、本発明は、上記報知システムにおいて、前記表示装置は、予め緊急報知用の表示に用いる画像を記憶する画像記憶手段を備え、前記制御装置の制御により報知音声を出力する際に、前記画像記憶手段に記憶された画像を読み出して表示することを特徴とする。
本発明によれば、制御装置から画像等を表示装置に送信することなく、表示を用いて効果的に報知を行うことができる。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、画像を表示する表示手段、及び音声を出力する音声出力手段をそれぞれ有する複数の表示装置に対し、通信回線を介して制御装置を接続し、前記制御装置により、緊急報知の要否を判定し、緊急報知を要すると判定した場合に、前記複数の表示装置のうち緊急報知を行う表示装置を選択し、選択された前記表示装置に報知音声を出力させることを特徴とする。
本発明によれば、通信回線を介して表示装置に接続された制御装置が、表示装置緊急報知を行う表示装置を選択し、選択された表示装置に報知音声を出力させるので、例えば報知音声を出力させる表示装置の数を制限する等の制御を行うことによって、各表示装置に緊急を報知する動作を遅延なく実行させることができる。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明は、画像を表示する表示手段、及び音声を出力する音声出力手段を備えた表示装置であって、他の表示装置と通信回線を介して接続され、緊急報知の要否を判定する判定手段と、前記判定手段により緊急報知を要すると判定された場合に、当該表示装置及び前記他の表示装置を含む複数の前記表示装置のうち緊急報知を行う表示装置を選択し、選択された前記表示装置に報知音声を出力させる音声出力制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、通信回線を介して他の表示装置に接続された表示装置が、当該表示装置及び他の表示装置の中から選択された表示装置に報知音声を出力させるので、表示装置自身の制御によって報知を行うことができる。また、例えば報知音声を出力させる表示装置の数を制限する等の制御を行うことによって、緊急を報知する動作を遅延なく実行させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示装置に制御装置を接続したシステムを効率よく制御して、表示装置により、緊急を報知する動作を遅延なく実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した実施形態に係る報知システムの概略構成及び表示態様の例を示す図である。
【図2】報知システムを構成する各装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】報知システムの動作を示すフローチャートであり、(A)はIP電話機の動作を示し、(B)はIPルーティングサーバーの動作を示し、(C)はプロジェクターの動作を示し、(D)は音声出力装置の動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した報知システム10の概略構成を示す図である。報知システム10は、通信ネットワーク17(通信回線)に接続されたIPルーティングサーバー2(制御装置)を備えて構成される。通信ネットワーク17には複数のIP電話機58が接続され、IPルーティングサーバー2は、IP電話機58との間でIP(Internet Protocol)に従って制御データ及び音声データを送受信する。IPルーティングサーバー2は、各IP電話機58が指定した通話相手先の機器に対して呼び出し動作を行い、この呼び出し動作への応答を検知して、通話相手先とIP電話機58との通信を確立して、IP電話機58と発信先との間の通話を可能とする。IPルーティングサーバー2が送信する制御データ及び音声データは全てIPに準拠したパケットとして送受信され、IPルーティングサーバー2は、パケットを送信する相手先のIPアドレスに基づいて、通信ネットワーク17におけるルーティングを実行する。
【0016】
通信ネットワーク17には、複数の電話機56を備えたIP−PBX57が接続されている。IP−PBX57は外部のインターネット53にも接続可能に構成され、電話機56が外部のIP電話機またはPC(Personal Computer)54等との間でIP通話を行う場合には、電話機56の操作に応答して、インターネット53を介して各電話機56が指定した通話相手先の機器に対して呼び出し動作を行い、この呼び出し動作への応答を検知して、通話相手先と電話機56との通信を確立して、電話機56と通信相手先との間の通話を可能とする。IP−PBX57は、回線交換方式による電話通信を行う仕様の電話機56が発する発呼信号や通信相手先の電話番号と、制御データのパケットとを変換する変換機能を有する。また、IP−PBX57は、電話機56が入出力する音声と音声データのパケットとを変換する変換機能を備えている。
【0017】
IP電話機58は、IP−PBX57を介して電話機56との間で内線通話を実行することができ、また、IP−PBX57を介してインターネット53にアクセスすることで、PC54やIP電話機等の外部の機器との間で音声通話が可能である。また、通信ネットワーク17には公衆回線網51が接続され、IPルーティングサーバー2は、公衆回線網51を介して接続される外部の各種機器(図示略)との間で通信を行うことが可能である。
【0018】
通信ネットワーク17は、例えば、一つの建物のフロアー、建物、地域等を単位として敷設されたLAN、WAN等の広帯域通信ネットワークであり、例えば、Ethernet(登録商標)規格に準拠した通信方式により各種データを送受信する。通信ネットワーク17は、図示しないサーバー、ハブ、スイッチ、ルーター等の通信装置を有し、有線ケーブル又は無線通信回線からなる通信路によりIPルーティングサーバー2を含む各種装置を接続する。IPルーティングサーバー2は、通信ネットワーク17を構成する各種通信装置と通信路との組み合わせに基づき、例えばIP電話機58が送受信するパケットのルーティングを行う。
【0019】
また、通信ネットワーク17には、複数のプロジェクター11(表示装置)及び音声出力装置14が接続される。
通信ネットワーク17が敷設されたエリアには複数の室があり、このうち複数の室にはプロジェクター11が設置されている。図1に示す設置室Aにはプロジェクター11及び音声出力装置14が設置され、設置室Bにはプロジェクター11が設置されている。プロジェクター11は、設置室A、Bの壁面に設置された投射面としてのスクリーンSCに対して画像を投射(表示)する表示装置であり、音声を出力するスピーカー127を備えている。また、音声出力装置14は、設置室Aにおいて音声を出力するスピーカー144を備える。プロジェクター11及び音声出力装置14には固有のIPアドレスが付与されており、IPルーティングサーバー2は、例えばWSD(Web services on devices)プロトコルによりプロジェクター11及び音声出力装置14との間の通信を実行する。
なお、プロジェクター11、音声出力装置14の数及びこれらが設置された設置室の数については任意である。
【0020】
プロジェクター11は、通常時は外部の画像供給装置(図示略)から入力される静止画像や映像を表示するものであるが、IPルーティングサーバー2から緊急報知を指示するコマンドを受信した場合には、緊急報知の音声をスピーカー127から出力し、さらに緊急報知の画像をスクリーンSCに投射する。また、音声出力装置14は、通信ネットワーク17を介してIPルーティングサーバー2から緊急報知を指示するコマンドを受信した場合には、緊急報知の音声をスピーカー144から出力する。
これにより、例えば、事業所や学校等を含む施設内に設置された複数のプロジェクター11から一斉に音声及び画像(動画像を含む)による報知を行える。緊急報知が指示される具体的な例としては、ライン加工を行う生産あるいは加工工場において、ラインにおける複数の工程に影響を与える仕様変更や不具合が発生した場合に、ラインの各工程の作業者及び担当者に対して報知を行うケースが挙げられる。この場合、複数のプロジェクター11から一斉に音声及び画像による報知を行うことで、各工程の作業者、担当者に対して速やかに報知を行うとともに、音声および画像によって詳細な情報を伝えることができ、報知が間に合わないことによる時間の損失、生産ラインでの無駄な製造による損失を回避できる。また、別の具体例として、学校等の施設において、廊下やロビー等の共有空間にいる人だけでなく、閉鎖された室内にいる人に対しても報知を行うケースが挙げられる。このケースでは、通常の一斉放送が届かない、あるいは届きにくい場所にいる人に対しても速やかに報知を行うとともに、音声および画像によって詳細な情報を伝えることができる。
【0021】
このように、報知システム10は、IPルーティングサーバー2、プロジェクター11、音声出力装置14、IP−PBX57、IP電話機58等の各種装置を、通信ネットワーク17を介して相互にデータ通信可能に接続して構成される。
【0022】
図2は、報知システム10を構成するIPルーティングサーバー2、プロジェクター11及び音声出力装置14の機能的構成を示すブロック図である。
IPルーティングサーバー2は、例えば一般的なPCと同様のアーキテクチャにより構成されている。IPルーティングサーバー2は、CPU、ROM、RAM等により構成され、各部を制御する制御部21を備える。制御部21には、磁気記録媒体や半導体記憶素子を備えて構成される記憶部22が接続され、制御部21は記憶部22に記憶された制御プログラム22Aを読み出して実行することにより、IPルーティングサーバー2の各種機能を実現する。
制御部21には、また、キーボードやマウス等の入力デバイスを有する入力部23が接続されている。入力部23は、各入力デバイスに対する操作を検出して操作内容を制御部21に出力する。また、制御部21には、制御部21の制御に従って、制御部21が処理する画像や処理結果等をモニター(図示略)に表示する表示部25が接続されている。
【0023】
また、制御部21には、通信部26が接続されている。通信部26は、プロジェクター11の通信部47と通信可能に接続され、通信部47との間で各種データを送受信する。通信部26は、制御部21の制御に従って、プロジェクター11に対して投射開始を指示する制御データを送信し、プロジェクター11から送信される制御データを受信する。
制御部21は、制御プログラム22Aを実行することで通信制御部21A、ルーティングコントロール部21B、動作状態監視部21C、緊急判定部21D、及び音声出力制御部21Eとして機能する。
【0024】
通信制御部21Aは、通信ネットワーク17を介して送受信するパケットの生成、受信したデータを転送するためのパケットの変換(再構成)、送信タイミングの制御等の各種処理のほか、通信ネットワーク17を介して、IP−PBX57やIP電話機58との間でパケットを送受信し、プロジェクター11及び音声出力装置14へパケットの送信を行うなど、通信ネットワーク17を介した各種通信制御を実行する。
【0025】
ルーティングコントロール部21Bは、いわゆるルーターの機能を実現するものであり、通信ネットワーク17上を送受信されるパケットのルーティングを行い、通信ネットワーク17に接続された機器から別の機器へパケットが送信された際に、パケットのヘッダーに含まれる宛先IPアドレスや宛先MAC(Media Access Control)アドレスを抽出し、記憶部22に記憶されているルーティングテーブル(図示略)に基づいてルーティングを行う。
【0026】
記憶部22には、通信ネットワーク17に接続され、IPルーティングサーバー2との通信が可能な装置(デバイス)のIPアドレスが、デバイスの種類、名称、MACアドレス等に対応づけてデバイスIPアドレス22Bとして記憶されている。ルーティングコントロール部21Bは、ルーティングを行う際に、デバイスIPアドレス22Bを参照して、MACアドレスからIPアドレスへ、及び逆方向のアドレス変換処理等を実行する。
【0027】
また、記憶部22には、通信ネットワーク17に接続され、IPルーティングサーバー2との通信が可能なデバイスのうち、少なくともプロジェクター11及び音声出力装置14が動作中であるか停止中であるかを示す情報を含む動作状態データ22Eが記憶されている。プロジェクター11及び音声出力装置14は、いずれも緊急報知の音声を出力する装置であり、動作状態データ22Eは、緊急報知の音声を出力する際に、各デバイスが動作中か否かを判別し、動作中のデバイスのみを選択したり、停止中のデバイスを選択したりするために用いられる。
動作状態監視部21C(動作状態検出手段)は、各プロジェクター11及び各音声出力装置14について、動作中か停止中かを所定時間毎に検出し、検出結果に基づいて、動作状態データ22Eを更新する。
【0028】
緊急判定部21D(判定手段)は、通信ネットワーク17を介して通信部26が受信したパケットが、緊急報知の音声の出力を指示するコマンドであるか否かを判別する。このコマンドは、例えば、IP電話機58の操作により送信される。具体的には、IP電話機58の受話器を上げて、IP電話機58が備えるプッシュボタン(図示略)により「#1」と入力することで、IP電話機58が、予め設定された送信先であるIPルーティングサーバー2に対し、緊急用のコマンドを送信する。緊急判定部21Dは、このコマンドを含むパケットを受信すると、緊急報知の音声の出力が必要であると判定する。
ここで、緊急報知の音声の出力に関し、緊急性の違いに対応して複数段階の優先度が予め設定されている。例えば、最も優先度が高い(緊急性が高い)場合には、全てのプロジェクター11及び音声出力装置14から音声が出力され、優先度が低い場合には一部のプロジェクター11及び音声出力装置14のみから音声が出力される。記憶部22には、それぞれの優先度においてどのプロジェクター11及び音声出力装置14から音声を出力するかを定めた優先度データ22Cが記憶されている。優先度データ22Cは、各プロジェクター11及び各音声出力装置14と優先度とを対応付けるデータである。
【0029】
IP電話機58がコマンドを送信する操作は優先度を指定する操作を兼ねており、例えば、IP電話機58のプッシュボタンにより「#1」と入力された場合には最も高い優先度を示すコマンドが送信され、「#2」と入力された場合には2番目に高い優先度を示すコマンドが送信される。緊急判定部21Dは、通信部26により受信したコマンドに基づき緊急報知の要否を判定し、さらに優先度を判定する。
【0030】
さらに、記憶部22には緊急用ルーティングテーブル22Dが記憶されている。緊急用ルーティングテーブル22Dは、優先度データ22Cによって各優先度で音声を出力するプロジェクター11及び音声出力装置14に対してパケットを送信する際に、ルーティングコントロール部21Bがルーティングに用いるルーティングテーブルである。緊急用ルーティングテーブル22Dには、各優先度の場合に緊急報知の音声を出力するプロジェクター11及び音声出力装置14へのルーティングを行うための情報が含まれており、緊急報知の対象外である他の装置(IP−PBX57やIP電話機58)や、当該優先度において音声を出力しないプロジェクター11及び音声出力装置14へのルーティングに関する情報は含まれない。
【0031】
ルーティングコントロール部21Bは、緊急判定部21Dが優先度を判定した場合に、判定された優先度に対応するプロジェクター11及び音声出力装置14へのルーティングを行う。これにより、緊急時には必要最小限のルーティングのみを実行し、効率よく、かつ速やかに、該当するプロジェクター11及び音声出力装置14へ緊急報知を指示するコマンドと、緊急報知の音声のデータとを送信できる。
【0032】
音声出力制御部21E(音声出力制御手段)は、緊急判定部21Dが判定した優先度に対応するプロジェクター11及び音声出力装置14を、優先度データ22Cを参照して決定し、これらのプロジェクター11及び音声出力装置14に対して、緊急報知を指示するコマンド及び緊急報知の音声のデータを送信するためのパケットを生成する。そして、音声出力制御部21Eは、生成したパケットを、ルーティングコントロール部21Bのルーティングに従って、各プロジェクター11及び音声出力装置14へ送信する。
緊急報知を指示するコマンドとは、IP電話機58からIPルーティングサーバー2へ送信されるコマンドそのもの、或いは、このコマンドに基づいて音声出力制御部21Eが生成する制御データである。また、コマンドを送信したIP電話機58の受話器に向かってユーザーが発話した音声が、緊急報知の音声としてIP電話機58からIPルーティングサーバー2に送信され、この音声のデータを音声出力制御部21Eがプロジェクター11及び音声出力装置14へ送信する。従って、緊急報知を指示するユーザーは、IP電話機58の受話器を上げてプッシュボタンを操作し、その後に発話すれば、その音声をプロジェクター11及び音声出力装置14から緊急報知の音声として出力させることができる。
【0033】
また、優先度データ22Cは、例えば、音声を出力するプロジェクター11及び音声出力装置14のIPアドレスと、これら各デバイスにより音声を出力させる優先度との対応を定義するデータであるが、各デバイスの動作状態と優先度とを対応づけるデータであっても良い。例えば、2番目に高い優先度に対し、音声を出力するデバイスを、「動作中のデバイス」と設定し、最も高い優先度に対して「停止中のデバイスを含めて全てのデバイス」を対応づけても良い。
【0034】
音声出力制御部21Eは、動作状態データ22Eを参照して動作中のデバイスと停止中のデバイスを特定し、優先度データ22Cに基づいて決定した緊急報知の対象であるデバイスが停止中である場合には、当該デバイスに対し、起動を指示するコマンドを含むパケットを送信する。プロジェクター11は、後述するように外部から受信したコマンドに従って停止状態から起動する機能を有する。従って、音声出力制御部21Eがコマンドを送信することで、停止中のデバイスから緊急報知の音声を出力させることができる。
【0035】
一方、プロジェクター11は、PCやDVDプレーヤー等の外部の画像供給装置に接続され、画像データが入力されるI/F(インターフェース)101を備えている。I/F101は、上述したようにUSBインターフェース、有線または無線LANインターフェース、HDMI(登録商標)規格に準拠したHDMIコネクター及びインターフェース回路を備えている。また、I/F101は、アナログ映像信号が入力されるVGA端子、デジタル映像信号が入力されるDVI(Digital Visual Interface)、NTSC、PAL、SECAM等のコンポジット映像信号が入力されるS映像端子、コンポジット映像信号が入力されるRCA端子、コンポーネント映像信号が入力されるD端子、及び、これらの端子を介して信号を入出力するインターフェース回路を備えた構成としてもよい。
【0036】
プロジェクター11は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う投射部3(表示手段)と、この投射部3に入力される画像信号を電気的に処理する画像処理系とからなる。投射部3は、照明光学系31、液晶パネル等を備えた光変調装置32、及び投射光学系33から構成されている。照明光学系31は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)等からなる光源を備えている。また、照明光学系31は、光源が発した光を光変調装置32に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えていてもよく、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)、偏光板、或いは光源が発した光の光量を光変調装置32に至る経路上で低減させる調光素子等を備えたものであってもよい。
【0037】
光変調装置32は、例えば透過型液晶パネルを備えて構成され、この液晶パネルに後述する画像処理系からの信号を受けて画像を形成する。この場合、光変調装置32は、カラーの投影を行うため、RGBの三原色に対応した3枚の液晶パネルを備え、照明光学系31からの光はRGBの3色の色光に分離され、各色光は対応する各液晶パネルに入射する。各液晶パネルを通過して変調された色光はクロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射光学系33に射出される。
【0038】
なお、光変調装置32は、3枚の透過型液晶パネルを用いた構成に限らず、例えば3枚の反射型の液晶パネルを用いることも可能であるし、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式、3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成してもよい。ここで、光変調装置32として1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネル及びDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成であれば問題なく採用できる。
【0039】
投射光学系33は、投射する画像の拡大・縮小および焦点の調整を行うズームレンズ、ズームの度合いを調整するズーム調整用モーター、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター等を備えている。投射光学系33は、光変調装置32で変調された入射光を、ズームレンズを用いてスクリーンSC上に投射し、結像させる。
投射部3には、制御部103の制御に従って投射光学系33が備える各モーターを駆動する投射光学系駆動部121、及び、制御部103の制御に従って照明光学系31が備える光源を駆動する光源駆動部117が接続されている。
【0040】
画像処理系は、プロジェクター11全体を統合的に制御する制御部103を中心に構成され、制御部103が処理するデータや制御部103が実行する制御プログラム105Aを記憶した記憶部105(画像記憶手段)、操作パネル45及びリモコン受光部41を介した操作を検出する入力処理部123、I/F101から入力される入力画像を処理する画像処理部113、及び、画像処理部113から出力される画像信号に基づいて光変調装置32を駆動して描画を行う光変調装置駆動部119を備えている。
【0041】
制御部103は、記憶部105に記憶された制御プログラム105Aを読み出して実行することにより、プロジェクター11の各部を制御する。制御部103は、入力処理部123から入力される操作信号に基づいて、ユーザーが行った操作の内容を検出し、この操作に応じて画像処理部113、光変調装置駆動部119、投射光学系駆動部121及び光源駆動部117を制御して、投射部3によりスクリーンSCに画像を投射させる。
【0042】
プロジェクター11の本体には、ユーザーが操作を行うための各種スイッチ及びインジケーターランプを備えた操作パネル45が配置されている。操作パネル45は入力処理部123に接続されており、入力処理部123は、制御部103の制御に従い、プロジェクター11の動作状態や設定状態に応じて操作パネル45のインジケーターランプを適宜点灯或いは点滅させる。この操作パネル45のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応する操作信号が入力処理部123から制御部103に出力される。
また、プロジェクター11は、ユーザーが使用するリモコン(図示略)を有する。リモコンは各種のボタンを備えており、これらのボタンの操作に対応して赤外線信号を送信する。プロジェクター11の本体には、リモコンが発する赤外線信号を受光するリモコン受光部41が配置されている。リモコン受光部41は、リモコンから受光した赤外線信号をデコードして、リモコンにおける操作内容を示す操作信号を生成し、制御部103に出力する。
【0043】
I/F101には、画像処理部113が接続されている。画像処理部113は、画像供給装置から入力された画像データを取得する。画像処理部113は、アナログ画像信号かデジタル画像データかの判別、デジタル画像データのデータフォーマットの識別等を行い、アナログ画像信号が入力された場合には、このアナログ入力信号をA/D変換してデジタル画像データを出力する。
画像処理部113は、入力画像の画像データを、光変調装置32の液晶パネルの仕様に適合した解像度のデータに変換する解像度変換処理等を実行し、光変調装置32により表示する表示用画像をフレームメモリー115に展開し、展開した表示用画像を光変調装置駆動部119に出力する。光変調装置駆動部119は、画像処理部113から入力される表示用画像に基づいて、光変調装置32を駆動する。これにより、制御部103の制御によって、光変調装置32に画像が描画され、この画像が投射光学系33を介して、スクリーンSC上に投射画像として投射される。
【0044】
制御部103は、制御プログラム105Aを実行することで表示制御部103A、通信制御部103B、音声制御部103C、及び起動制御部103Dとして機能する。
表示制御部103Aは、画像処理部113を制御して、I/F101に入力された画像データに基づく画像をフレームメモリー115に展開させるとともに、光変調装置駆動部119を制御して、フレームメモリー115に展開された画像を光変調装置32の液晶パネルに描画させ、投射部3により投射させる。
【0045】
制御部103には、通信部47が接続されている。通信部47は通信ネットワーク17に接続され、制御部103の制御に従って、通信ネットワーク17を介してデータを送受信する。通信制御部103Bは、通信ネットワーク17を介してIPルーティングサーバー2から送信されるパケットを受信し、受信したパケットに緊急報知を指示するコマンドが格納されているかを判別する。受信したパケットが通常のパケットである場合、通信制御部103Bはパケットに格納されたデータを通常通り処理する。一方、受信したパケットに緊急報知を指示するコマンドが格納されている場合には、このデータを音声制御部103Cに出力して、音声制御部103Cにより緊急報知の動作を開始するとともに、その後に受信するパケットから緊急報知の音声データを取得する。
【0046】
音声制御部103Cは、緊急報知を指示するコマンドが通信制御部103Bから入力された場合に、音声出力の動作を開始し、音声制御部103Cは音声出力回路125を制御して、音声出力回路125が内蔵するアンプのゲイン値等を設定し、その後に通信制御部103Bが取得した音声データに基づいてアナログ音声信号を生成して、音声出力回路125に出力する。これにより、スピーカー127(音声出力手段)から緊急報知の音声が出力される。
さらに、音声制御部103Cは、通信制御部103Bから入力されるデータに基づいて優先度を判定し、この優先度に対応づけて記憶部105に記憶された緊急表示データ105Bを取得する。緊急表示データ105Bは、緊急時にスクリーンSCに投射するための画像データであり、優先度毎に記憶部105に記憶されている。なお、一つの緊急表示データ105Bが複数の優先度に共通して使用されても良い。
【0047】
起動制御部103Dは、プロジェクター11の動作状態を制御し、例えばI/F101への画像の入力がない状態が、所定時間以上継続した場合に、プロジェクター11をスリープ状態に移行させる。このスリープ状態では、通信部47、リモコン受光部41、操作パネル45、制御部103及び記憶部105が動作し、他の機能部への電源供給が停止される。起動制御部103Dは、スリープ状態において通信制御部103Bが受信したパケットに、起動を指示するコマンドが含まれている場合には、スリープ状態から通常動作状態に復帰する。これにより、音声出力回路125への電源供給が開始され、音声制御部103Cの制御によりスピーカー127から音声が出力される。
【0048】
音声出力装置14は、通信ネットワーク17に接続された通信部141と、通信部141により受信されたパケットに基づいて音声出力動作を制御する制御部142と、制御部142の制御に従ってスピーカー144を駆動し、音声を出力する音声変換回路143とを備えている。
通信部141は、制御部142が生成したパケットを通信ネットワーク17を介して送信する一方、通信ネットワーク17から受信したパケットを制御部142に出力する。制御部142は、音声出力装置14の各部の動作状態を制御し、通常時は、通信部141及び制御部142のみ通電されるスリープ状態で待機している。制御部142は、通信部141が受信したパケットに緊急報知を指示するコマンドが格納されている場合に、スリープ状態から通常動作状態に復帰して、音声変換回路143及びスピーカー144への電力供給を開始させる。制御部142は、音声変換回路143が内蔵するアンプのゲイン値等を設定し、その後に通信部141が取得した音声データに基づいてアナログ音声信号を生成して、音声変換回路143に出力する。これにより、スピーカー144から緊急報知の音声が出力される。
【0049】
図3は、報知システム10の動作を示すフローチャートであり、(A)はIP電話機58の動作を示し、(B)はIPルーティングサーバー2の動作を示し、(C)はプロジェクター11の動作を示し、(D)は音声出力装置14の動作を示す。
IP電話機58のプッシュボタンの操作により、緊急報知指示のコマンドがIP電話機58からIPルーティングサーバー2へ送信される(ステップS11)。続いて、IP電話機58の受話器に対してユーザーが発話した音声が緊急報知の音声として取得され、この音声をデジタル化した音声データがIPルーティングサーバー2へ送信される(ステップS12)。
【0050】
IPルーティングサーバー2の通信制御部21Aは、IP電話機58から送信されたパケットを受信して、受信したパケットに含まれるコマンドを検出し(ステップS21)、続いて音声データを含むパケットが送信された場合には、このパケットを受信して音声データを取得する(ステップS22)。ここで、緊急判定部21Dが、受信したパケットに含まれるコマンドが緊急報知を指示するコマンドであるか否かを判定する(ステップS23)。受信したコマンドが緊急報知を指示するコマンドであって、緊急報知を要する場合(ステップS23;Yes)、緊急判定部21Dは、受信したコマンドに基づいて優先度を特定し(ステップS24)、音声出力制御部21Eが、優先度データ22Cを参照して、特定された優先度に対応する送信先のデバイスに関する情報を取得する(ステップS25)。次いで、ルーティングコントロール部21Bが緊急用ルーティングテーブル22Dを参照し、送信先のデバイスに対するルーティングを行う(ステップS26)。
【0051】
さらに、音声出力制御部21Eは、動作状態データ22Eを参照して、送信先のデバイスのうち停止中のものがあるか否かを判別し(ステップS27)、この判別の結果をもとに緊急報知の音声を出力するデバイスを決定する(ステップS28)。音声出力制御部21Eは、緊急報知を指示するコマンドと音声データを送信するパケットを生成して、決定したデバイスに送信する(ステップS29)。ここで、音声出力制御部21Eは、停止中(スリープ状態)のデバイスに対して送信するコマンドには、緊急報知を指示するコマンドとは別に、スリープ状態からの復帰を指示するコマンドを含めてもよい。
【0052】
プロジェクター11の通信制御部103Bは、IPルーティングサーバー2が送信したパケットを通信部47によって受信し、受信したパケットから緊急報知を指示するコマンド、及び音声データを取得する(ステップS31)。次いで、音声制御部103Cは、音声出力回路125を制御して、受信した音声データに基づく音声をスピーカー127から出力し(ステップS32)、さらに、受信したコマンドが示す優先度に対応する画像を、投射部3によってスクリーンSCに投射する(ステップS33)。
【0053】
また、音声出力装置14の制御部142は、IPルーティングサーバー2が送信したパケットを通信部141によって受信し、受信したパケットから緊急報知を指示するコマンド、及び音声データを取得する(ステップS41)。次いで、制御部142は、音声変換回路143を制御して、受信した音声データに基づく音声をスピーカー144から出力する(ステップS42)。
【0054】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る報知システム10によれば、報知システム10は、画像を投射(表示)する投射部3、及び音声を出力するスピーカー127をそれぞれ有する複数のプロジェクター11と、複数のプロジェクター11に通信ネットワーク17を介して接続されたIPルーティングサーバー2とを備え、IPルーティングサーバー2は、緊急報知の要否を判定する緊急判定部21Dと、緊急判定部21Dにより緊急報知を要すると判定された場合に、複数のプロジェクター11のうち緊急報知を行うプロジェクター11を選択し、選択したプロジェクター11に報知音声を出力させる音声出力制御部21Eとを備え、IPルーティングサーバー2が、プロジェクター11を選択して、選択したプロジェクター11を識別して報知音声を出力させるので、例えば報知音声を出力させるプロジェクター11の数を制限する等の制御を行うことによって、各プロジェクター11に緊急を報知する動作を遅延なく実行させることができる。
【0055】
また、IPルーティングサーバー2は、複数のプロジェクター11の動作状態を検出する動作状態監視部21Cを備え、音声出力制御部21Eは、動作状態監視部21Cの検出結果に基づいて更新される動作状態データ22Eをもとに、停止中のプロジェクター11と、動作中のプロジェクター11とを区別するので、報知音声を出力させるプロジェクター11を効率よく選択することができ、システム全体の効率向上を図ることができる。
【0056】
また、音声出力制御部21Eは、停止中のプロジェクター11を起動させて報知音声を出力させることができる。
或いは、音声出力制御部21Eは、動作中のプロジェクター11のみを対象として、報知音声を出力させることもでき、停止中のプロジェクター11を除外することで効率的にプロジェクター11を制御し、速やかに報知音声を出力させることができる。
【0057】
また、プロジェクター11は、IPルーティングサーバー2の制御により報知音声を出力する際に緊急報知用の画像を表示するので、音声の出力とともに画像を表示して効果的に報知を行うことができる。さらに、プロジェクター11は、予め緊急報知用の表示に用いる緊急表示データ105Bを記憶部105に記憶し、IPルーティングサーバー2の制御により報知音声を出力する際に緊急表示データ105Bを読み出して表示するので、IPルーティングサーバー2から画像等をプロジェクター11に送信することなく、表示を用いて効果的に報知を行うことができる。
【0058】
なお、上述した実施形態は本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記実施形態では、IPルーティングサーバー2、プロジェクター11、音声出力装置14、IP−PBX57、及びIP電話機58の各装置が通信ネットワーク17に有線接続された構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、無線通信方式によって各種データを送受信可能に接続した構成とすることも可能である。この場合、無線通信方式として、例えば無線LAN、Bluetooth(登録商標)、UWB、赤外線通信等の近距離無線通信方式や、携帯電話回線を利用した無線通信方式を採用することができる。
【0059】
また、IPルーティングサーバー2を他の装置とは別体として構成する必要はなく、例えば、IPルーティングサーバー2の機能をプロジェクター11に持たせる構成とすることも可能である。この場合、報知システム10が有するプロジェクター11のうち少なくとも一つが、その制御部103によってIPルーティングサーバー2の機能を実行し、あるいは、プロジェクター11の筐体内にIPルーティングサーバー2として機能する制御部と記憶部とを備えた構成とすればよく、より具体的には制御部103の機能と制御部21の機能とを一つのCPUが複数のプログラムを実行することで実現できる。この構成では、プロジェクター11が通信部47を使用して、通信ネットワーク17を介してIP電話機58からのコマンドを受信し、他のプロジェクター11及び音声出力装置14へ緊急報知を指示するコマンドを送信し、さらに自装置が有するスピーカー127から緊急報知用の音声を出力し、緊急報知用の画像をスクリーンSCに投射する。この構成によれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができ、さらに、緊急報知用のサーバーを設ける必要がないという利点がある。
【0060】
また、例えば、上記実施形態では、IP電話機58を操作したユーザーが発話した音声を、緊急報知の音声として出力する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、IP電話機58が予め緊急報知の音声データを記憶しておき、プッシュボタンの操作により当該音声データをIPルーティングサーバー2に送信する構成としてもよいし、IPルーティングサーバー2が予め緊急報知用の音声データを記憶しておく構成としても良い。これらの場合、予め複数の音声データが記憶され、IP電話機58が送信するコマンドによって、使用する音声データが指定される構成とすることができる。
また、上記実施形態では、IP電話機58がコマンドを送信することにより緊急報知が行われる構成を例に挙げて説明したが、IP電話機58に代えて、通信機能を有する他の装置を用いることも可能である。具体的には、PHS等の簡易型携帯電話機を含む携帯電話機、データ通信機能を有する携帯型端末装置等を用いることができる。これらの装置は、通話機能または通信機能によってIPルーティングサーバー2にコマンドを送信することができればよい。すなわち、IPルーティングサーバー2に送信されるコマンドが、デジタル符号化された制御データである場合、データ通信機能を有する装置であればどのような装置であってもIP電話機58の代わりに利用できる。
さらに、本発明の表示装置は、スクリーンSCに画像を投射するプロジェクターに限定されず、液晶表示パネルに画像を表示する液晶モニターまたは液晶テレビ、或いは、PDP(プラズマディスプレイパネル)に画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機、OLED、OEL等の有機EL表示パネルに画像を表示するモニター装置またはテレビ受像機等の自発光型の表示装置など、各種の表示装置も本発明の表示装置に含まれ、入力された画像信号に基づく画像をカラー表示することができる携帯型の表示装置も含まれる。この場合、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示パネルが変調手段に相当する。
【0061】
また、上記実施形態においてプロジェクター11の記憶部105に記憶された制御プログラム105A、及び、IPルーティングサーバー2の記憶部22に記憶された制御プログラム22Aを図示しない不揮発性メモリーが記憶する構成であってもよいし、可搬型の記録媒体に記憶されている構成であってもよく、或いは、IPルーティングサーバー2が通信ネットワーク17を介して接続された他の装置にダウンロード可能に記憶されていてもよい。
また、図2に示したIPルーティングサーバー2及びプロジェクター11の各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。例えば、ルーティングコントロール部21BをASICで構成してもよく、このASICに接続された専用のメモリーに緊急用ルーティングテーブル22Dやルーティングテーブルを格納する構成としてもよい。その他、報知システム10の具体的な細部構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0062】
2…IPルーティングサーバー(制御装置)、3…投射部(表示手段)、10…報知システム、11…プロジェクター(表示装置)、14…音声出力装置、17…通信ネットワーク(通信回線)、21…制御部、21A…通信制御部、21B…ルーティングコントロール部、21C…動作状態監視部(動作状態検出手段)、21D…緊急判定部(判定手段)、21E…音声出力制御部(音声出力制御手段)、22…記憶部、22A…制御プログラム、22B…デバイスIPアドレス、22C…優先度データ、22D…緊急用ルーティングテーブル、22E…動作状態データ、26…通信部、47…通信部、51…公衆回線網、53…インターネット、56…電話機、57…IP−PBX、58…IP電話機、103…制御部、103A…表示制御部、103B…通信制御部、103C…音声制御部、103D…起動制御部、105…記憶部(画像記憶手段)、105A…制御プログラム、105B…緊急表示データ、125…音声出力回路、127…スピーカー(音声出力手段)、141…通信部、142…制御部、143…音声変換回路、144…スピーカー、SC…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段、及び音声を出力する音声出力手段をそれぞれ有する複数の表示装置と、
前記複数の表示装置に通信回線を介して接続された制御装置とを備え、
前記制御装置は、
緊急報知の要否を判定する判定手段と、
前記判定手段により緊急報知を要すると判定された場合に、前記複数の表示装置のうち緊急報知を行う表示装置を選択し、選択された前記表示装置に報知音声を出力させる音声出力制御手段と、を備えること、
を特徴とする報知システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記複数の表示装置の動作状態を検出する動作状態検出手段を備え、
前記音声出力制御手段は、前記動作状態検出手段の検出結果に基づいて、停止中の前記表示装置と、動作中の前記表示装置とを区別することを特徴とする請求項1記載の報知システム。
【請求項3】
前記音声出力制御手段は、停止中の前記表示装置を起動させて、前記報知音声を出力させることを特徴とする請求項2記載の報知システム。
【請求項4】
前記音声出力制御手段は、動作中の前記表示装置のみを対象として、前記報知音声を出力させることを特徴とする請求項2記載の報知システム。
【請求項5】
前記表示装置は、前記制御装置の制御により報知音声を出力する際に、緊急報知用の画像を表示することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の報知システム。
【請求項6】
前記表示装置は、予め緊急報知用の表示に用いる画像を記憶する画像記憶手段を備え、前記制御装置の制御により報知音声を出力する際に、前記画像記憶手段に記憶された画像を読み出して表示することを特徴とする請求項5記載の報知システム。
【請求項7】
画像を表示する表示手段、及び音声を出力する音声出力手段をそれぞれ有する複数の表示装置に対し、通信回線を介して制御装置を接続し、
前記制御装置により、
緊急報知の要否を判定し、緊急報知を要すると判定した場合に、前記複数の表示装置のうち緊急通知を行う表示装置を選択し、選択された前記表示装置に報知音声を出力させること、
を特徴とする緊急報知方法。
【請求項8】
画像を表示する表示手段、及び音声を出力する音声出力手段とを備えた表示装置であって、他の表示装置と通信回線を介して接続され、
緊急報知の要否を判定する判定手段と、
前記判定手段により緊急報知を要すると判定された場合に、当該表示装置及び前記他の表示装置を含む複数表示装置のうち緊急報知を行う表示装置を選択し、選択された前記表示装置に報知音声を出力させる音声出力制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−34050(P2013−34050A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168073(P2011−168073)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】