説明

報知制御装置、その方法、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体

【課題】 煩わしくなることなく効果的にメッセージを報知できる報知制御システムを提供する。
【解決手段】 移動状況認識手段382で認識した車両の移動状況と地図情報とに基づき、車両の移動について注意を喚起する旨の報知情報を搭乗者に報知する際、報知制御手段387にて、案内誘導手段383で地図情報に基づいて移動状況に応じて車両の移動を案内誘導するために出力手段200で出力させる案内情報に、搭乗者が認識不可能な状態で出力手段200から報知情報を出力する状態で重畳させて出力する。繰り返し報知しても不快感を与えず、繰り返し出力することで潜在的に注意を喚起させるサブリミナル効果を提供でき、十分に搭乗者に注意を喚起させることができる。車両を移動させる操作に支障なく確実に報知するメッセージを潜在的に効果的に伝達できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカから注意を喚起する旨の案内を出力させる報知制御装置、その方法、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転の安全性や快適性を高めるために、ドライバーに警告する運転支援システムが知られている。この運転支援システムとして、路面の状態に基づいてドライバーに警告する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、日向における日射量と、高度を含む地形情報とから、走行予定の路面の凍結のおそれを予測する。そして、予測した路面の凍結のおそれを、液晶表示パネルで表示中の道路地図上の箇所を赤などの周囲とは異なる色で表示させるとともに、スピーカからブザー音や警報メッセージを出力し、ドライバーに警告する構成が採られている。
【特許文献1】特開平9−114371号公報(第2頁右欄−第4頁右欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の凍結のおそれを表示やブザー音を出力するなどして警告するなどの従来の構成では、警告当初ではドライバーが意識するが、凍結区間が長いなど、警告からの所定時間が長くなるに従ってドライバーの意識が低減し、十分な警告効果が得られなくなるおそれがある。特に、表示にて警告する場合、ドライバーは車両の移動のために画面を逐次確認することが困難であることから、十分な警告効果が得られなくなる。一方、ブザー音や警報メッセージを頻繁に出力して警告したのでは、逆に煩わしく感じられる。
【0005】
本発明は、このような実情などに鑑みて、煩わしくなることなく効果的にメッセージを報知する報知制御装置、その方法、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、移動体の移動状況を認識する移動状況認識手段と、地図情報に基づいて前記移動状況に応じて前記移動体の移動を案内誘導するための案内情報を、前記移動体に搭載されたスピーカで音声出力させて報知させる移動支援手段と、前記移動状況および前記地図情報に基づく前記移動体の移動について注意を喚起する旨の報知情報を、前記スピーカから音声出力される前記案内情報に聴取不可能に重畳させて出力させる報知制御手段と、を具備したことを特徴とする報知制御装置である。
【0007】
請求項6に記載の発明は、音声データを取得する音声データ取得手段と、前記音声データをスピーカで音声出力される頻度に基づいて利用者の嗜好性を判断する嗜好性判断手段と、注意を喚起する旨の報知情報を前記スピーカから出力させる要求に関する報知指令情報を認識する報知指令情報認識手段と、前記音声データに関する特性を認識する特性認識手段と、を具備し、前記報知指令情報認識手段が前記報知指令情報を認識することにより、前記嗜好性判断手段にて判断した利用者の嗜好性に沿う前記特性を有した前記音声データを前記音声データ取得手段にて取得させ、この取得した前記音声データに前記報知情報を聴取不可能に重畳させて前記スピーカから音声出力させる報知制御手段と、を具備したことを特徴とする報知制御装置である。
【0008】
請求項20に記載の発明は、演算手段により、移動体に搭載されたスピーカで前記移動体の移動を案内誘導するための案内情報を報知させる報知制御方法であって、前記演算手段は、前記移動体の移動状況を認識し、この認識した移動状況に応じて地図情報に基づき前記移動体の移動を案内誘導するための前記案内情報を前記スピーカで音声出力させる際に、前記移動状況および前記地図情報に基づく前記移動体の移動について注意を喚起する旨の報知情報を、前記スピーカから音声出力される前記案内情報に聴取不可能に重畳させて出力させることを特徴とする報知制御方法である。
【0009】
請求項21に記載の発明は、演算手段により、注意を喚起する旨の報知情報をスピーカから出力させる報知制御方法であって、音声データを前記スピーカで音声出力する頻度に基づく利用者の嗜好性を判断する嗜好性判断工程と、前記注意を喚起する旨の報知情報を前記スピーカから出力させる要求に関する報知指令情報を認識する報知指令情報認識工程と、前記スピーカで音声出力させる前記音声データの特性を認識する特性認識工程と、前記報知指令情報認識工程で前記報知指令情報を認識することにより、前記嗜好性判断工程で判断した前記利用者の嗜好性に沿う前記特性を有した前記音声データを取得させる音声データ取得工程と、この音声データ取得工程で取得した前記音声データに前記報知情報を聴取不可能に重畳させて前記スピーカから前記音声データを音声出力させる報知制御工程と、を実施することを特徴とする報知制御方法である。
【0010】
請求項22に記載の発明は、演算手段を、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載の報知制御装置として機能させることを特徴とする報知制御プログラムである。
【0011】
請求項23に記載の発明は、請求項20または請求項21に記載の報知制御方法を演算手段に実行させることを特徴とする報知制御プログラムである。
【0012】
請求項24に記載の発明は、請求項22または請求項23に記載の報知制御プログラムが演算手段に読取可能に記録されたことを特徴とする報知制御プログラムを記録した記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、本発明の報知制御装置を備え移動体に搭載された出力手段で注意を喚起する旨の案内を出力させる報知制御システムを例示して説明する。なお、このシステム構成に限らず、一体型の装置構成などいずれの形態を対象とすることができる。また、出力手段や移動体の移動を支援する移動支援の構成を備えない構成などとしてもよい。そして、移動体として車両を例示するが、車両に限らず、航空機や船舶などいずれの移動体を対象とすることができ、さらには携帯可能な構成として利用者を移動体の対象とすることもできる。また、移動体に搭載される構成に限らず、例えば家屋や建造物などに設置され音声データを出力可能な再生装置などの構成として適用するなどしてもよい。
〔報知制御システムの構成〕
図1は、本発明に係る一実施の形態における報知制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図1において、100は報知制御システムで、この報知制御システム100は、利用者である車両に搭乗する搭乗者に注意を喚起する旨の案内を報知するシステムである。この報知制御システム100は、出力手段200と、報知制御装置300と、などを備えている。
【0015】
出力手段200は、報知制御装置300に接続され、この報知制御装置300から出力される音声や楽曲などの音データや静止画や動画である映像などの像データを出力、すなわち再生する。この出力手段200は、音データを音として出力すなわち再生する図示しないスピーカを備えた音出力手段210と、像データを再生する図示しないモニタを備えた像出力手段220と、を備えている。なお、音出力手段210と像出力手段220とは、別体の構成に限らず、一体の構成のものでもよい。また、音出力手段210としては、スピーカを備えた構成に限らず、例えば車両にあらかじめ搭載されたものを利用する構成としたり、車両にスピーカを別途搭載する構成などでもよい。一方、像出力手段220としては、例えばモニタを複数備えた構成などでもよい。そして、モニタとしては、例えば液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode-Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、電気泳動ディスプレイパネルなど、いずれのモニタを利用することができる。
【0016】
報知制御装置300は、搭乗者、特に車両を走行させる運転者に、注意を喚起する旨の案内を、搭乗者が認知手可能な状態で、出力手段200で再生させる各種音声データに重畳して報知する処理をする。この報知制御装置300は、チューナ部310と、通信手段320と、センサ部330と、操作手段340と、集音手段350と、記憶手段としてのメモリ360と、記憶手段370と、報知制御装置としても機能する演算手段380と、を備えている。
【0017】
チューナ部310は、アンテナ311が着脱可能に接続され、アンテナ311にてテレビ放送やラジオ放送、衛星放送などの各種放送波を受信する。このチューナ部310は、演算手段380に接続され、演算手段380の制御により、例えば所定の周波数帯の放送波を受信してストリームデータである所定の放送番組、さらには、例えばビーコンやFM多重放送などにより、交通情報や施設情報、施設の内容などに関する各種情報などをも取得可能である。そして、チューナ部310は、変換した放送番組のデータであるコンテンツデータを演算手段380へ順次出力する。なお、チューナ部310が受信する放送波としては、例えばテレビ放送やラジオ放送、衛星放送など、地上波アナログ信号、地上波デジタル信号、衛星デジタル信号などの配信元である放送局や放送衛星などの放送基地から出力される無線媒体で、電波に限らず、光、電磁波などの各種無線媒体を対象とすることができる。また、チューナ部310は、放送番組に重畳して文字データや、電子番組表などの電子番組案内(EPG:Electronic Program Guide)などの付帯情報も受信可能となっている。
【0018】
通信手段320は、図示しないネットワークと送受信可能に接続される。そして、通信手段320は、演算手段380に接続され、演算手段380の制御により、ネットワーク上に配信される放送番組データの他、交通情報や施設情報、施設の内容、気象状況などの気象情報、さらには、サーバ装置などから配信される地図情報をも取得可能となっている。そして、通信手段320は、取得した各種情報を、演算手段380へ出力する。ここで、ネットワークとしては、例えば、TCP/IPなどの汎用のプロトコルに基づくインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、電話回線などの通信回線網などが例示できる。なお、通信手段320としては、例えば携帯電話などが着脱可能に接続され、携帯電話により通信回線網を利用して放送番組データを取得して演算手段380へ出力する構成などとすることも可能である。
【0019】
センサ部330は、車両の移動の状態、すなわち現在位置や走行状況などを検出し、接続された演算手段380へ所定の信号を出力する。このセンサ部330は、例えば図示しないGPS(Global Positioning System)受信部と、図示しない速度センサ、方位角センサおよび加速度センサなどの各種センサなどにて構成されている。GPS受信部は、図示しない人工衛星であるGPS衛星から出力される航法電波を図示しないGPSアンテナにて受信する。そして、GPS受信部は、受信した航法電波に対応した信号に基づいて現在位置の擬似座標値を演算し、GPSデータとして演算手段380へ出力する。また、センサ部330のセンサである速度センサは、移動体である例えば車両に配設され、車両の移動速度である走行速度に対応して変動する信号に基づいて、車両の走行速度や実際の加速度を検出する。この速度センサは、例えば車軸や車輪の回転により出力されるパルス信号や電圧値などを読み取る。そして、速度センサは、読み取ったパルス信号や電圧値などの検出情報を演算手段380へ出力する。センサである方位角センサは、車両に配設され、図示しないいわゆるジャイロセンサを有し、車両の方位角すなわち車両が前進する走行方向を検出し、走行方向に関する検出情報である信号を演算手段380へ出力する。センサである加速度センサは、車両に配設され、車両の走行方向における加速度を検出し、検出した加速度を例えばパルスや電圧などによる検出情報であるセンサ出力値に変換して演算手段380へ出力する。
【0020】
操作手段340は、例えば、車両に搭乗する搭乗者により入力操作される図示しない各種操作ボタンや操作つまみなどを有している。そして、操作手段340は、演算手段380に接続され、操作ボタンや操作つまみなどの利用者による入力操作に応じて所定の操作信号を演算手段380へ出力し、演算手段380で入力操作に応じた各種設定項目を入力設定させる。この操作手段340で設定入力される設定項目としては、例えば報知制御システム100の動作内容を設定するためなどの設定事項である。具体的には、チューナ部310で受信する対象番組であるチャンネルすなわち所定の周波数帯の設定、通信手段320で受信する対象番組であるURL(Uniform Resource Locator)などのアドレスの設定、受信した対象番組の出力手段200での出力状態の設定、記憶手段370における各種データの記憶や削除の設定、車両が移動する先である目的地の設定、施設などの各種情報を検索するための設定、注意を喚起する旨の報知情報の設定、報知情報を報知させる時期であるタイミングの設定などが例示できる。なお、操作手段340としては、操作ボタンや操作つまみなどの入力操作に限らず、例えば出力手段200の像出力手段220や別途接続される出力手段としての表示装置に設けられたタッチパネルによる入力操作や、後述する集音手段350で集音した音声による入力操作、あるいは、リモートコントローラなどの無線媒体による操作信号を出力する構成など、各種設定事項を設定入力可能ないずれの構成が適用できる。また、操作手段340は、タッチセンサなど指紋の画像データや撮像手段にて搭乗者を撮像した画像データなどを取得し、設定入力した搭乗者に関する情報として操作信号を出力可能な構成としてもよい。すなわち、操作手段340を操作した搭乗者が演算手段380にて認識可能となる操作者を特定する情報を演算手段380へ出力可能な構成としてもよい。なお、この演算手段380による操作者を特定して、各種バイオメトリックスに関する情報を対象とすることができる。
【0021】
集音手段350は、例えば図示しないマイクロフォンを備えている。この集音手段350は、演算手段380に接続され、マイクロフォンにて報知制御装置の周囲である車内における発話や車両の走行時の音、車両外から車両内に進入する外部音などを集音し、環境音データとして演算手段380へ出力する。なお、集音手段350は、車両内の複数の箇所にマイクロフォンが設置される構成とした場合、集音した環境音データに取得したマイクロフォンを特定する識別情報などを関連付けて演算手段380へ出力する。また、集音手段350は、例えば操作手段340の所定の入力操作にて、報知情報としてサブリミナル出力させる音声によるメッセージの設定要求に基づいて、発話を集音して音データの報知情報として演算手段380へ出力する。
【0022】
メモリ360は、演算手段380に接続され、操作手段340で入力操作される設定事項、各種コンテンツデータ、地図情報などを、演算手段380が適宜読み出し可能に記憶する。なお、演算手段380における演算処理のための記憶領域などとして利用可能となっている。また、メモリ360には、報知制御システム100全体を動作制御するOS(Operating System)上に展開される各種プログラムなどを記憶している。このメモリ360としては、例えば停電などにより突然電源が落ちた際にも記憶が保持される構成のメモリ、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)メモリなどを用いることが望ましい。なお、メモリ360としては、半導体メモリのみならず、HD(Hard Disk)やFD(Flexible Disk)などの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、メモリカードなどの記録媒体に読み出し可能に記憶するドライブやドライバなどを備えた構成としてもよい。
【0023】
記憶手段370は、演算手段380に接続され、磁気ディスクや光ディスク、光磁気ディスク、メモリカードなどの各種記録媒体に、演算手段380が適宜読み出し可能に、コンテンツデータや地図情報などの各種情報を記憶する。この記憶手段370に記憶する地図情報は、例えば、いわゆるPOI(Point Of Interest)データである表示用データと、車両の移動状況や移動する経路の設定などに利用するマッチングデータと、地物構成情報と、などを備えた地図に関する情報が、所定の領域で複数分割されて記憶するテーブル構造に構成されている。また、例えば、音声や楽曲などの音声データや静止画像や映像などの像データなどのコンテンツデータを複数記憶するテーブル構造に構成されている。なお、コンテンツに関する付帯情報がある場合には、そのコンテンツデータに付帯情報が関連付けられて記憶してもよい。また、プレイリストやいわゆるサムネイルなども記憶可能である。そして、記憶手段370は、着脱可能に装着される記録媒体を対象とする構成の他、HDのような記録媒体が固定のもの、さらには半導体メモリなどとしてもよい。さらには、複数のドライブを備えた構成や複数の記録媒体を装着可能な構成などとしてもよい。
【0024】
演算手段380は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、チューナ部310や通信手段320、センサ部330、操作手段340、集音手段350、メモリ360、記憶手段370などと各種情報を送受信可能に接続する図示しない各種入出力ポートを有している。そして、演算手段380は、各種プログラムとして、音声データ取得手段としてのコンテンツデータ取得手段381と、移動状況認識手段382と、移動支援手段としての案内誘導手段383と、特性認識手段384と、嗜好性判断手段385と、報知指令情報認識手段386と、報知制御手段387と、報知指令情報認識手段としても機能する計時手段388と、などを備えている。
【0025】
コンテンツデータ取得手段381は、チューナ部310や通信手段320から出力されるコンテンツデータを取得する。そして、コンテンツデータ取得手段381は、例えば操作手段340における入力操作により出力される操作信号で、チューナ部310や通信手段320により外部から取得したコンテンツデータを記憶手段370へ記憶させる要求に関する記憶要求信号を認識すると、取得したコンテンツデータを記憶手段370へ適宜出力して記憶させる。また、コンテンツデータ取得手段381は、記憶手段370に記憶されたコンテンツデータを読み出して取得する。そして、コンテンツデータ取得手段381は、取得したコンテンツデータから音データと像データとを適宜抽出する処理をする。なお、コンテンツデータ取得手段381は、コンテンツデータのみならず、コンテンツデータに関連付けられる付帯情報や識別情報などの各種情報も取得可能となっている。
【0026】
移動状況認識手段382は、センサ部330から出力される信号に基づいて、車両の移動状況を認識する。この移動状況認識手段382は、現在位置認識手段382Aと、目的地認識手段382Bと、気象情報取得手段としても機能する経路処理手段382Cと、を備えている。
【0027】
現在位置認識手段382Aは、車両の現在位置を認識する。具体的には、センサ部330の速度センサおよび方位角センサから出力される車両の速度データおよび方位角データに基づいて、車両の現在の擬似位置を複数算出する。さらに、現在位置認識手段382Aは、GPS受信部から出力される現在位置に関するGPSデータに基づいて、車両の現在の擬似座標値を認識する。そして、現在位置認識手段382Aは、算出した現在の擬似位置と、認識した現在の擬似座標値とを比較し、記憶手段370に記憶された地図情報に基づいて、地図上における車両の現在位置を算出し、現在位置を認識する。また、現在位置認識手段382Aは、加速度センサから出力される加速度データに基づいて、走行する道路の傾斜や高低差を判断し、車両の現在の擬似位置を算出し、現在位置を認識する。すなわち、立体交差点や高速道路など、平面上で重なる箇所でも、車両の現在位置を正確に認識できる。さらに、山道や坂道を走行する際に、速度データや方位角データのみから得る移動距離と、実際の車両の走行距離との誤差を、検出した道路の傾斜を用いて補正するなどにより正確な現在位置を認識する。なお、現在位置認識手段382Aは、現在位置として上述した車両の現在位置の他、操作手段340にて設定入力された起点となる出発地点などを、擬似現在位置として認識可能である。そして、現在位置認識手段382Aで得られた各種情報は、メモリ360へ適宜出力されて記憶される。
【0028】
目的地認識手段382Bは、例えば操作手段340の入力操作により設定入力された目的地に関する目的地情報を取得し、目的地の位置を認識する。設定入力される目的地情報としては、例えば緯度・経度などの座標、住所、電話番号など、場所を特定するための各種情報が利用可能である。そして、この目的地認識手段382Bで認識した目的地情報は、メモリ360へ適宜出力されて記憶される。
【0029】
経路処理手段382Cは、利用者により設定入力される経路設定のための設定事項情報、および、記憶手段370に記憶された地図情報や通信手段320で受信した地図情報に基づいて、車両の移動経路を演算してルート探索する。なお、この経路処理手段382Cは、設定事項情報に基づいて、交通規制や渋滞、渋滞予測などの交通情報や気象情報などを加味するか否か、最短距離、最短時間などの各種ルート探索のための要求に基づいて移動経路を演算する。この経路設定のための設定事項情報は、例えば移動経路の設定要求に関する入力操作に応じた操作信号に基づいて、各種条件の設定入力を促す表示画面を、報知制御手段387により出力手段200の像出力手段220で画面表示させ、画面表示に従った入力操作により取得する。この設定された移動経路は、メモリ360へ適宜出力されて記憶される。また、経路処理手段382Cは、地図情報を構成する道路情報や施設情報、さらには気象情報などに基づいて、設定した移動経路上で移動体の移動について注意を喚起する旨、すなわち車両が移動する際における運転者が注意する必要がある位置やその注意する内容などの報知情報を認識する。この報知情報の認識としては、あらかじめ地図情報に設定された報知情報や、チューナ部310あるいは通信手段320で外部から取得、さらには利用者が操作手段340や集音手段350で設定したもの、あらかじめ位置情報が1つのレコードとして関連付けられたデータ構造でメモリ360や記憶手段370にあらかじめ記憶された報知情報などが利用できる。そして、経路処理手段382Cは、報知情報における位置に関する情報と現在位置認識手段382Aで認識した現在位置とに基づいて、所定の距離内に現在位置が近づいたことを認識すると、報知指令情報を報知指令情報認識手段386へ出力する。
【0030】
この移動状況認識手段382で認識する報知情報の具体例としては、以下のようなものが例示できる。例えば、地図情報と現在位置とに基づいて、通学路や細街路などを走行する場合では、「飛び出し注意」などの音声出力やテキスト文書の画面表示が実施される音データや像データである。高速道路の走行時では、「スピード超過に注意」や「居眠り運転注意」、「休憩しましょう」などの音声出力や画像表示されるデータである。過去の統計情報に基づいて交通事故が比較的に多く発生している場所を通過する場合には、「交通事故に注意」、「一旦停止」、「左右の確認」などを報知するデータである。地図情報における法定速度と実走行速度とに基づいて、「スピード超過」などを報知するデータである。渋滞情報に基づいて、渋滞する場合には、「焦らずにゆっくり行こう」などを報知するデータである。設定された目的地が会社や学校の場合、「今日も頑張っていきましょう」、「挨拶は大事」などの労働意欲や道徳などを喚起させる報知内容のデータである。設定された移動経路で過去に走行していない場合、「ゆっくり走行しよう」などを報知するデータである。気象情報に基づいて、悪天候により視界が悪くなる場合や凍結や積雪などのスリップのおそれがある場合などでは、「慎重に走行しよう」、「凍結注意」などを報知するデータである。
【0031】
案内誘導手段383は、移動状況認識手段で認識する移動状況に基づいて、車両の移動を案内誘導するための案内情報を出力手段200で出力、すなわち音声出力や画面表示させて搭乗者、特に運転者に報知させる処理をする。この案内誘導手段383は、案内情報生成手段383Aと、案内報知手段383Bと、を備えている。
【0032】
案内情報生成手段383Aは、記憶手段370に記憶された地図情報や通信手段320にて受信した地図情報に基づいて、出力手段200で各種案内を報知する案内情報を生成する。この報知する案内情報は、例えば車両の移動状況や移動を支援するための誘導、交通情報、施設の内容などの情報、気象情報など、車両の移動に関係する各種情報である。具体的には、所定の矢印や記号などを像出力手段220のモニタで画面表示される像データや、「700m先、○○交差点を△△方面右方向です。」、「移動経路から逸脱しました。」、「この先、渋滞です。」などの音出力手段210における音声により発音される音データなどが例示できる。なお、案内情報の生成としては、例えば、音声合成や画像合成などにより適宜生成する構成や、あらかじめメモリ360や記憶手段370に記憶された案内する音声や画像などの案内情報を取得する構成としてもよい。また、案内情報生成手段383Aは、例えば、搭乗者が操作手段340における所定の入力操作にてテキスト入力などで設定されたメッセージに基づいて音データや像データとして報知情報を生成したり、集音手段350で搭乗者による所定のメッセージの発話を集音した音データを報知情報として生成したりする。これら生成した報知情報は、記憶手段370に適宜出力されて記憶される。この報知情報は、例えば、搭乗者がサブリミナル効果で出力させたい時期や車両の移動状況であるタイミングについて、操作手段340の入力操作にて設定されたタイミングに関する情報を有する報知指令情報と関連付けられて記憶される。この報知指令情報として、報知させたい対象者が運転者のみか他の特定の搭乗者か、不特定かなどの報知条件などに関する情報も関連付けられて記憶可能である。
【0033】
案内報知手段383Bは、案内情報生成手段383Aで生成した案内情報を、出力手段200で画面表示や音声出力させる処理をする。すなわち、上述したように、像出力手段220のモニタで画面表示させたり、音出力手段210で音声出力させたりする処理をする。
【0034】
特性認識手段384は、コンテンツデータ取得手段381で取得したコンテンツデータに関する特性、すなわちコンテンツデータ自体の特性やコンテンツデータの配信元に関する特性を認識する。この特性認識手段384は、配信特性認識手段384Aと、データ特性認識手段384Bと、を備えている。
【0035】
配信特性認識手段384Aは、チューナ部310や通信手段320から出力されるコンテンツデータの配信元に関する特性である配信特性を認識する。この配信特性としては、例えば、コンテンツデータが配信される放送局や受信した周波数帯、URL、放送番組名、放送時間帯などの放送番組に関する配信特性情報を取得する。なお、配信特性認識手段384Aは、コンテンツデータに関連付けられて受信した特性情報や電子番組案内などの付帯情報に基づいて配信特性情報を取得してもよい。そして、取得した配信特性情報は、メモリ360や記憶手段370へ適宜出力されて記憶される。
【0036】
データ特性認識手段384Bは、コンテンツデータ取得手段381で取得、すなわちチューナ部310や通信手段320から出力されるコンテンツデータ自体や記憶手段370に記憶されたコンテンツデータ自体の特性であるデータ特性を認識する。このデータ特性としては、例えば、コンテンツデータのリズムやテンポ、音量、曲調などの楽曲特性、タイトル、ミュージシャンや映画監督名、ポップスあるいはロックなどのジャンルやバラエティあるいはドキュメントなどのジャンルなど、コンテンツデータの内容に関するデータ特性情報を取得する。なお、データ特性認識手段384Bは、コンテンツデータに関連付けられた付帯情報に基づいてデータ特性情報を取得してもよい。そして、取得したデータ特性情報は、メモリ360や記憶手段370へ適宜出力されて記憶される。また、データ特性認識手段384Bは、集音手段350から出力される環境音データを取得し、環境音データの周波数解析などにて発話している搭乗者を、あらかじめ設定され記憶手段370などに記憶した搭乗者に関する音声データなど近況音データとを照合して特定可能である。さらに、データ特性認識手段384Bは、集音手段350で複数のマイクロフォンにより環境音を集音した場合、各環境音データの音量などに基づいて、発話している搭乗者の位置、すなわち車両の搭乗している位置を認識可能で、搭乗者の特定およびその搭乗者が着座している位置を認識可能となっている。
【0037】
嗜好性判断手段385は、出力手段200で出力されたコンテンツデータの頻度に基づいて搭乗者の嗜好性を判断する。この嗜好性の判断としては、例えば、出力手段200で再生されているコンテンツデータの配信特性毎に再生された回数や、再生された時間長などに基づいて、スコア値で設定される。具体的には、嗜好性判断手段385は、再生されたコンテンツデータについての配信特性やデータ特性を、特性認識手段384で取得した配信特性情報やデータ特性情報に基づいて認識し、配信特性毎やデータ特性毎に回数に対応した値を加算したり、時間長に対応した値を加算したりするなどして、スコア値を設定する。すなわち、利用される頻度が高いコンテンツデータは、スコア値が高くなり、利用者の嗜好性が高いものとして判断する。このスコア値の設定方法としては、あらかじめ設定された閾値や換算値に基づいて設定するなどしてもよい。そして、嗜好性判断手段385は、嗜好性として設定したスコア値に関するスコア情報を、メモリ360や記憶手段370へ適宜出力し、特性認識手段384で取得して認識した配信特性情報に関連付けて1つのレコードとして複数記憶されたテーブル構造となる状態に記憶させる。また、嗜好性判断手段385は、操作手段340における搭乗者による入力操作にて、例えば好みのジャンルやミュージシャンなどの好みのデータ特性を設定することにより、対応するコンテンツデータに関連付けられたスコア情報のスコア値を、あらかじめ所定されたスコア値を加算あるいは設定したり、スコア値をあらかじめ設定された割合で増大させたりするなど、いわゆる手動操作により、スコア値が増大、すなわち嗜好性が増大する状態に設定可能である。
【0038】
報知指令情報認識手段386は、車両の移動について注意を喚起する旨の報知情報を、案内情報やコンテンツデータを出力手段200で出力させる際に、搭乗者が聴取不可能な状態で重畳させて出力、すなわちサブリミナル効果で報知情報を出力させるサブリミナル出力の処理の実施を要求する旨の報知指令情報の有無を認識する。そして、報知指令情報認識手段386は、報知指令情報を認識すると、報知情報を出力手段200でサブリミナル出力させる信号を報知制御手段387へ出力する。この報知指令情報の認識としては、例えば、移動状況認識手段382で認識する車両の移動状況に応じて車両を走行させる際に注意を促す報知情報がある旨の信号である報知指令情報の認識や、詳細は後述するが計時手段388から出力され操作手段340の入力操作にて搭乗者があらかじめ設定した注意を喚起する所定の報知内容の報知情報を報知する時期であるタイミングとなったことを認識した旨の信号である報知指令情報の認識などが例示できる。
【0039】
報知制御手段387は、報知情報を出力手段200からサブリミナル効果で出力させる処理をする。また、報知制御手段387は、コンテンツデータ取得手段381で取得したコンテンツデータや、メモリ360あるいは記憶手段370に記憶された所定の音データや画面表示されるフォームなどを、出力手段200で音声出力や画面表示させる処理をする。そして、報知制御手段387は、発音報知制御手段387Aと、表示報知制御手段387Bと、を備えている。
【0040】
発音報知制御手段387Aは、報知情報における音データである報知音データを出力手段200の音出力手段210でサブリミナル出力させる。この報知音データのサブリミナル出力として、搭乗者が聴取できる周波数帯以外の周波数帯に変調したり、出力手段200で出力されるコンテンツデータの音量に比して聴取できない程度の音量で出力したり、コンテンツデータが楽曲である場合に、楽曲の音程などに対応して楽調が変更されずに重畳出力される状態に音程を適宜変調したりするなどが例示できる。また、発音報知制御手段387Aは、報知音データをサブリミナル出力させる際に、コンテンツデータが再生されていない場合、嗜好性判断手段385で認識している搭乗者の嗜好に適合した配信特性やデータ特性のコンテンツデータをコンテンツデータ取得手段381で取得させ、この取得したコンテンツデータを音出力手段210で音声出力させるとともに、音声出力されるコンテンツデータにサブリミナル効果で報知音データを出力させる処理をする。この嗜好性に適合するコンテンツデータとしては、報知情報が音データであることから、ラジオ放送番組や楽曲あるいは音声などの音データに関するコンテンツデータを取得させる。また、嗜好に適合した配信特性やデータ特性のコンテンツデータの選出は、あらかじめメモリ360や記憶手段370に記憶されたスコア値が高いスコア情報が関連付けられた配信特性情報やデータ特性情報を認識し、これら配信特性およびデータ特性に対応するコンテンツデータをコンテンツデータ取得手段381で、チューナ部310や通信手段320で受信させて取得したり、記憶手段370から読み出して取得したりする。そして、報知指令情報に基づいて、報知情報を報知する対象が運転者や所定の搭乗者を対象とする場合には、報知対象者のみにサブリミナル出力される状態に出力させる制御をしてもよい。この所定の報知対象者へのサブリミナル出力としては、例えば指向性スピーカを利用したり、他のスピーカでは設定に対応してコンテンツデータを通常の音声出力状態として報知対象者が搭乗する位置の近傍に配設されたスピーカのみで報知音データをサブリミナル出力させたりするなどが例示できる。
【0041】
表示報知制御手段387Bは、報知情報における像データである報知像データを出力手段200の像出力手段220でサブリミナル出力させる。この報知像データのサブリミナル出力として、搭乗者が視認不可能な短時間でのみテキスト文書や画像を画面表示させたり、画面表示されている地図情報やTV放送番組あるいは記憶手段370に記憶された映画などの像データ中に識別不可能にコントラストや色調を変調してテキスト文書や画像を画面表示させたりするなどが例示できる。また、表示報知制御手段387Bは、報知像データをサブリミナル出力させる際に、コンテンツデータが再生されていない場合、嗜好性判断手段385で認識している搭乗者の嗜好に適合した配信特性やデータ特性のコンテンツデータをコンテンツデータ取得手段381で取得させ、この取得したコンテンツデータを像出力手段220で画面表示させるとともに、画面表示されるコンテンツデータにサブリミナル効果で報知像データを出力させる処理をする。この嗜好性に適合するコンテンツデータとしては、報知情報が像データであることから、TV放送番組や映画などの像データに関するコンテンツデータを取得させる。また、嗜好に適合した配信特性やデータ特性のコンテンツデータの選出は、あらかじめメモリ360や記憶手段370に記憶されたスコア値が高いスコア情報が関連付けられた配信特性情報やデータ特性情報を認識し、これら配信特性およびデータ特性に対応するコンテンツデータをコンテンツデータ取得手段381で、チューナ部310や通信手段320で受信させて取得したり、記憶手段370から読み出して取得したりする。そして、報知指令情報に基づいて、報知情報を報知する対象が運転者や所定の搭乗者を対象とする場合には、報知対象者のみにサブリミナル出力される状態に出力させる制御をしてもよい。この所定の報知対象者へのサブリミナル出力としては、例えば像出力手段220として複数のモニタを備えた構成である場合、報知対象者が視聴するモニタでのみ報知像データをサブリミナル出力させるなどが例示できる。
【0042】
計時手段388は、例えば内部クロックなどの基準パルスに基づいて現在時刻を認識する。そして、この計時手段388は、認識した現在時刻に関する時刻情報を適宜出力する。また、計時手段388は、報知情報をサブリミナル効果で出力させる報知時期と、現在時刻とを比較し、現在時刻が報知時期に到達したことを認識すると、その旨の報知指令情報を報知指令情報認識手段386へ出力する。
〔報知制御システムの動作〕
次に、上記報知制御システム100の動作として、車両を移動する際に報知情報をサブリミナル出力させる動作について図面を参照して説明する。なお、このサブリミナル出力させる処理として、説明の都合上、車両の移動を案内誘導により支援する処理として、移動経路を設定した場合での移動経路設定処理と、搭乗者として特に運転者の嗜好性を判断する嗜好性判断処理と、報知情報をサブリミナル出力させる報知制御処理と、をそれぞれ別々に説明するが、並行処理可能である。また、移動支援として、移動経路を設定した場合に限らず、車両のいずれの移動状況に応じて案内誘導する処理をしてもよい。さらに、嗜好性の判断として、運転者のみに限らず、他の搭乗者の嗜好性や車両に搭乗する可能性のある他の利用者の嗜好性を設定するなどしてもよい。図2は、報知制御システムにおける嗜好性判断処理の動作を示すフローチャートである。図3は、報知制御システムの案内誘導の処理をする移動経路設定処理の動作を示すフローチャートである。図4は、報知制御システムにおける報知制御処理の動作を示すフローチャートである。
【0043】
(嗜好性判断処理)
車両に搭乗した利用者である搭乗者が報知制御システム100の電源をオンして電力を供給すると、演算手段380は各種初期設定を実施するとともに、報知制御手段387の表示報知制御手段387Bにより、出力手段200の像出力手段220を制御してメインメニューを表示させる。すなわち、利用者に報知制御システム100に動作させる内容の設定入力を促す表示画面を像出力手段220に表示させる。そして、図2に示すように、メインメニューからコンテンツデータの再生を要求する旨の入力操作に応じた操作手段340からの操作信号を演算手段380が認識すると(ステップS101)、演算手段380は、再生対象となるいずれのコンテンツデータを再生対象とするかの配信特性やデータ特性の設定入力を促す表示画面を像出力手段220で表示させる。この再生対象を特定する設定入力を促す画面表示に従って所定の設定事項が設定入力されると、特性認識手段384により、再生対象の配信特性やデータ特性を認識する(ステップS102)。例えば、TV放送番組かFMラジオ番組かAMラジオ番組か記憶手段370に記憶されたコンテンツデータかなどの、コンテンツデータを取得するためのソースの認識や番組名の認識などの設定事項である配信特性情報の取得や、ポップスあるいはロックなどのジャンル、明るいあるいは静かなどの曲調、アーティスト名やミュージシャン名、曲名やタイトル名などの設定事項であるデータ特性情報の取得などである。そして、特性認識手段384は、取得した配信特性情報やデータ特性情報をメモリ360や記憶手段370へ適宜出力させて記憶させる。なお、同一の配信特性情報やデータ特性情報が記憶されている場合には、あらためて記憶しなくてもよい。
【0044】
このステップS102における特性の認識の後、演算手段380の嗜好性判断手段385は、認識した配信特性やデータ特性に基づいて、再生対象のコンテンツデータを、チューナ部310や通信手段320で受信させてコンテンツデータ取得手段381で取得させたり、記憶手段370からコンテンツデータ取得手段381で読み出して取得させたりする。そして、演算手段380は、報知制御手段387により、コンテンツデータ取得手段381で取得したコンテンツデータを出力手段200で音声出力や画面表示させて再生させる処理をする。また、演算手段380は、ステップS102における特性の認識処理の際に取得した配信特性情報やデータ特性情報に嗜好性に関するスコア情報を設定する処理をする(ステップS103)。このスコア値の設定としては、例えば所定時間以上連続して視聴した場合に、あらかじめ設定した値をスコア値として設定する。この後、嗜好性判断手段385は、設定したスコア情報を、再生しているコンテンツデータの配信特性情報やデータ特性情報に関連付ける処理をする(ステップS104)。すなわち、取得した配信特性情報やデータ特性情報が既にメモリ360や記憶手段370に記憶されている場合にはそれら配信特性情報やデータ特性情報にスコア情報を関連付けたり、既にスコア情報が関連付けられている場合にはそのスコア値を増大させたりする処理をする。このスコア情報の関連付けの処理すなわちスコア値を設定する処理は、所定されたスコア値を加算あるいは設定したり、スコア値をあらかじめ設定された割合で増大させたりするなどが例示できる。
【0045】
このステップS104におけるスコア情報の設定処理の後、嗜好性判断手段385は、手動操作による嗜好性の変更であるスコア値の変更要求があるか否かを判断する(ステップS105)。そして、手動操作によるスコア値の変更要求がない場合には、嗜好性の判断処理を終了する。一方、操作手段340における所定の入力操作により、嗜好性を高めたり低めたりするなど、スコア値を変更する入力操作に応じた操作信号を嗜好性判断手段385が認識すると、変更要求のスコア値を変更し、スコア情報を更新する処理をして(ステップS106)、嗜好性の判断処理を終了する。このように、コンテンツデータが再生される毎に、スコア値を順次加算して、再生頻度が高いコンテンツデータは嗜好性が高いものとして嗜好性が高くなる状態に処理をするとともに、手動操作により適宜変更可能としている。
【0046】
(経路設定処理)
一方、図3に示すように、メインメニューから移動経路の設定を要求する旨の入力操作に応じた操作信号を演算手段380が認識すると(ステップS201)、演算手段380は、報知制御手段387の表示報知制御手段387Bにより、移動経路の探索に必要な各種情報、例えば目的地、最短距離か最短時間かなどの設定事項情報などの設定入力を促す表示画面を出力手段200の像出力手段220に画面表示させる。さらに、演算手段380は、操作手段340の入力操作に基づく移動経路の探索に必要な各種情報を認識すると、まず移動状況認識手段382の現在位置認識手段382Aにて現在位置を認識する処理をするとともに(ステップS202)、目的地認識手段382Bにて設定入力された目的地を認識する処理をする(ステップS203)。さらに、演算手段380は、表示報知制御手段387Bにより、像出力手段220を制御して移動経路の探索のための条件である設定事項の入力操作を促す表示をさせる。そして、利用者が表示された表示画面の指示に従って、操作手段340の入力操作により設定事項を設定入力すると、演算手段380は設定入力された設定事項に関する設定事項情報、さらには通信手段320で取得した交通情報や気象情報などを取得する(ステップS204)。これら取得した現在位置情報、目的地情報、設定事項情報などは、メモリ360に適宜記憶される。
【0047】
この後、演算手段380は、経路処理手段382Cにて、メモリ360に記憶された現在位置情報、目的地情報、設定事項情報などに基づいて、車両の現在位置から目的地までの移動経路を、記憶手段370に記憶された地図情報や通信手段320で受信した地図情報を用いて探索するルート探索処理をする(ステップS205)。そして、経路処理手段382Cは、設定事項情報に適合する複数、例えば5つの移動経路を検出するとともに、各移動経路における目的地までの所要時間を演算し、所要時間情報を生成する。そして、表示報知制御手段387Bは、経路処理手段382Cによる移動経路の検出および所要時間情報の生成を認識すると、移動経路に関する移動経路情報および所要時間情報を像出力手段220に画面表示させるとともに、利用者による選択を要求する旨の表示をさせる。この後、利用者がいずれかの移動経路情報を選択する入力操作により、移動経路が設定される。
【0048】
この移動経路の設定により、演算手段380の表示報知制御手段387Bは、設定された移動経路および現在位置のアイコンを、所定の縮尺率の地図情報に重畳させて像出力手段220に表示させる。なお、あらかじめ渋滞情報などの所定の交通情報や駐車場の空き状況などの地物情報などを重畳表示させる旨の入力設定がなされている場合には、その地図情報に適宜重畳させて表示させる。
【0049】
そして、演算手段380は、センサ部330の速度センサ、方位角センサおよび加速度センサから出力されるデータと、GPS受信部から出力されるGPSデータとに基づいて、車両の移動状況を認識する。すなわち、現在位置認識手段382Aにて現在位置を認識する。さらに、演算手段380は、案内誘導手段383の案内情報生成手段383Aにより、移動経路に関する移動経路情報に含まれる経路案内情報とに基づいて、車両の移動に関する案内情報を生成させ、案内報知手段383Bにより表示あるいは音声で案内情報を出力手段200で報知させ、車両の移動を案内誘導する(ステップS206)。
【0050】
(報知制御処理)
図3に示す移動経路処理におけるステップS206の案内誘導処理の際、図4に示すように、移動状況認識手段382により、運転者や他の搭乗者に車両の移動について注意を喚起する旨の報知情報を出力するタイミングであることを認識、すなわち移動状況認識手段382から報知指令情報が出力されたことを報知制御手段387が認識すると(ステップS301)、報知制御手段387は、報知指令情報に記述された報知内容、例えば報知指令情報とともに出力される報知情報を取得する(ステップS302)。さらに、報知制御手段387は、報知する報知情報が報知音データか報知像データかの報知特性を認識する。そして、報知制御手段387は、案内誘導手段383により報知情報の報知特性に対応する案内情報を出力するタイミングか否かを判断する(ステップS303)。すなわち、報知音データを報知させる報知指令情報である場合には、音声にて案内情報を出力するタイミングか否か、報知像データを報知させる報知指令情報である場合には、画面表示により案内情報を出力するタイミングか否かを判断する。なお、この案内情報を出力するタイミングか否かの判断としては、例えば案内情報が出力されているか否かの判断も含む。
【0051】
このステップS303で、報知制御手段387が案内誘導手段383にて案内情報を出力するタイミングであると判断すると、報知制御手段387により報知情報を出力手段200からサブリミナル効果で出力させる処理をする(ステップS304)。すなわち、報知音データを報知させる報知指令情報である場合、報知制御手段387の発音報知制御手段387Aは、搭乗者が聴取できる周波数帯以外の周波数帯に変調したり、出力手段200で出力されるコンテンツデータの音量に比して聴取できない程度の音量となる状態に設定したりするなど、報知音データを処理する。また、発音報知制御手段387Aは、報知指令情報に基づいて、報知対象を認識する。そして、発音報知制御手段387Aは、出力手段200の音出力手段210で案内情報を音声出力させるとともに、音出力手段210における報知対象の搭乗者に対応するスピーカで、処理した報知音データを搭乗者が聴取不可能に案内情報に重畳する状態で音声にて出力させる。なお、既に案内情報が音出力手段210で音声出力されている場合には、この案内情報に搭乗者が聴取不可能に重畳する状態で報知音データを音声にて出力させる。また、報知像データを報知させる報知指令情報である場合、報知制御手段387の表示報知制御手段387Bは、搭乗者が視認できない短い表示時間に設定したり、案内情報の画面表示中に識別不可能にコントラストや色調を変調したりするなど、報知像データを処理する。また、表示報知制御手段387Bは、報知指令情報に基づいて、報知対象を認識する。そして、表示報知制御手段387Bは、出力手段200の像出力手段220で案内情報を画面表示させるとともに、像出力手段220における報知対象の搭乗者に対応するモニタで、処理した報知像データを案内情報に搭乗者が視認不可能に重畳する状態で画面表示にて出力させる。なお、既に案内情報が像出力手段220で画面表示されている場合には、この案内情報に搭乗者が視認不可能に重畳する状態で報知像データを画面表示にて出力させる。
【0052】
このステップS304の後に、コンテンツデータが既に再生中か否かを判断する(ステップS305)。すなわち、報知音データを報知させる報知指令情報である場合には、出力手段200の音出力手段210から音声でコンテンツデータを出力させているか否か、報知像データを報知させる報知指令情報である場合には、出力手段200の像出力手段220から画面表示でコンテンツデータを出力させているか否かを判断する。一方、ステップS303で、報知制御手段387が案内誘導手段383にて案内情報を出力するタイミングでないと判断すると、ステップS305へ進む。
【0053】
そして、ステップS305において、コンテンツデータが再生されていると判断すると、報知制御手段387により報知情報を出力手段200からサブリミナル効果で出力させる処理をする(ステップS306)。すなわち、報知音データを報知させる報知指令情報である場合、ステップS304と同様に、報知制御手段387の発音報知制御手段387Aにより、報知音データをサブリミナル出力される状態に処理するとともに、報知対象者を認識する。そして、発音報知制御手段387Aは、音出力手段210における報知対象の搭乗者に対応するスピーカで、処理した報知音データを搭乗者が聴取不可能に、再生されているコンテンツデータに重畳する状態で音声にて出力させる。また、報知像データを報知させる報知指令情報である場合、ステップS304と同様に、報知制御手段387の表示報知制御手段387Bにより、報知像データをサブリミナル出力される状態に処理するとともに、報知対象者を認識する。そして、表示報知制御手段387Bは、像出力手段220における報知対象の搭乗者に対応するモニタで、処理した報知像データを搭乗者が識別不可能に、再生されているコンテンツデータに重畳する状態で画面表示にて出力させ、報知制御処理が終了する。なお、この報知情報のサブリミナル出力は、例えば、コンテンツデータが再生されている間、連続してあるいは所定間隔で繰り返し出力させる処理をする。
【0054】
一方、ステップS305において、コンテンツデータが再生されていないと判断すると、報知制御手段387は、嗜好性が高いコンテンツデータをコンテンツデータ取得手段381で取得させる(ステップS307)。すなわち、報知音データを報知させる報知指令情報である場合、メモリ360や記憶手段370に記憶された配信特性情報およびデータ特性情報を検索し、音データに対応するデータ特性であって、関連付けられたスコア情報のスコア値が高い配信特性情報およびデータ特性情報を選択する。また、報知像データを報知させる報知指令情報である場合、メモリ360や記憶手段370に記憶された配信特性情報およびデータ特性情報を検索し、像データを有するデータ特性であって、関連付けられたスコア情報のスコア値が高い配信特性情報およびデータ特性情報を選択する。これらのようにして、報知制御手段387は、嗜好性の高いコンテンツデータを特定し、チューナ部310や通信手段320、あるいは記憶手段370を制御して、対象のコンテンツデータを受信あるいは読み取り、コンテンツデータ取得手段381で取得させる。この後、報知制御手段387は、取得したコンテンツデータを出力手段200で出力させるとともに、報知情報を出力手段200からサブリミナル効果で出力させる処理をする(ステップS308)。すなわち、報知音データを報知させる報知指令情報である場合、ステップS304およびステップS306と同様に、報知制御手段387の発音報知制御手段387Aにより、報知音データをサブリミナル出力される状態に処理するとともに、報知対象者を認識する。そして、発音報知制御手段387Aは、取得したコンテンツデータを音出力手段210から音声で出力させるとともに、音出力手段210における報知対象の搭乗者に対応するスピーカで、処理した報知音データを搭乗者が聴取不可能に、取得したコンテンツデータに重畳する状態で音声にて出力させる。また、報知像データを報知させる報知指令情報である場合、ステップS304およびステップS306と同様に、報知制御手段387の表示報知制御手段387Bにより、報知像データをサブリミナル出力される状態に処理するとともに、報知対象者を認識する。そして、表示報知制御手段387Bは、取得したコンテンツデータを像出力手段220で画面表示させるとともに、像出力手段220における報知対象の搭乗者に対応するモニタで、処理した報知像データを搭乗者が識別不可能に、取得したコンテンツデータに重畳する状態で画面表示にて出力させ、報知制御処理が終了する。なお、この報知情報のサブリミナル出力は、例えば、コンテンツデータが再生されている間、連続してあるいは所定間隔で繰り返し出力させる処理をする。
【0055】
また、車両が移動中に、図3に示す移動経路処理におけるステップS206の案内誘導処理の際、計時手段388から報知指令情報が出力されたことを報知制御手段387が認識すると、上述した処理と同様に、報知特性を認識し、報知情報を案内情報やコンテンツデータに聴取不可能あるいは視認不可能に重畳する状態であるサブリミナル効果で報知情報を出力させる。例えば、報知情報としてサブリミナル出力させる音声によるメッセージの設定要求に基づいて、発話を集音手段350で集音して音データの報知情報が搭乗者により設定された場合や、操作手段340における入力操作にて報知情報が搭乗者により設定された場合などで、報知情報をサブリミナル効果で出力させる出力タイミングである報知時期に現在時刻が到達したことにより、計時手段388から報知指令情報が出力されると、この報知指令情報に基づいて、設定された報知情報などをサブリミナル出力させる。
〔報知制御システムの作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、移動状況認識手段382にて認識する車両の移動状況と、地図情報とに基づいて、車両の移動について注意を喚起する旨の音データである報知情報を搭乗者に報知する際、報知制御手段387により、案内誘導手段383にて地図情報に基づいて移動状況に応じて車両の移動を案内誘導するために出力手段200で出力させる音データの案内情報に、搭乗者が認識不可能な状態で出力手段200から報知情報が出力される状態で報知情報を重畳させて出力手段200から出力させている。このため、繰り返し報知情報を出力させても、搭乗者が耳障りと感じたり煩わしいと感じたりするなどの不快感が生じることなく、繰り返し出力することで搭乗者に潜在的に注意が喚起されるサブリミナル効果が得られ、十分に搭乗者に注意を喚起させることができ、効果的にメッセージを報知できる。そして、車両の移動状況に応じて報知音データを出力させることで、特に報知対象が運転者の場合では、運転者がモニタを頻繁に確認する必要がなく、車両を移動させる操作に支障なく確実に報知するメッセージを潜在的に効果的に伝達できる。
【0056】
また、コンテンツデータ取得手段381で取得するコンテンツデータに重畳させて報知している。このため、報知情報を良好にマスキングしてサブリミナル出力させることができる。特に、搭乗者となる利用者により記憶手段370に記憶されたコンテンツデータである場合には、比較的に利用者の嗜好に沿ったコンテンツデータであることから、利用者が好感的にコンテンツデータを視聴するので、より良好なサブリミナル効果が得られ、より効果的にメッセージを報知できる。
【0057】
そして、嗜好性判断手段385により利用者の嗜好を判断し、嗜好性に沿ったコンテンツデータに報知情報を重畳させて出力している。このため、上述したように、利用者が好感的にコンテンツデータを視聴するので、より良好なサブリミナル効果が得られ、より効果的にメッセージを報知できる。そして、嗜好性の判断として、コンテンツデータの利用頻度、すなわち再生頻度に基づいて嗜好性を判断している。このため、簡単な構成で効果的にメッセージを報知させるためのコンテンツデータを選出することが容易にでき、処理構成の簡略化や処理効率の向上も容易に得られる。さらには、再生頻度として、コンテンツデータの特性を認識し、特性毎にスコア付けして認識している。このため、より簡単な構成でかつ簡単なデータ構造で、効果的なメッセージの報知ができる。そして、スコア付けすることにより嗜好性を認識しているので、演算処理も容易で、処理構成の簡略化や処理効率の向上も容易に得られる。
【0058】
また、移動状況に応じて報知情報を報知する構成として、移動状況と地図情報とに基づいて注意を喚起するメッセージを報知する必要がある報知指令情報を移動状況認識手段382から出力させたり、計時手段388で認識した出力タイミングに応じて報知指令情報を出力させたりして報知制御している。このため、簡単な演算方法で適切にメッセージを報知させることができる。さらには、移動についての注意を喚起するメッセージの場合では、移動状況に基づいて効果的に報知するタイミングが移動状況認識手段382にて直接的に認識でき、簡単な演算構成で良好に報知できる。さらには、報知指令情報に基づいて報知制御する構成により、例えば利用者がメモ代わりにメッセージをテキスト入力したり音声データとしてメッセージを作成したりして報知情報を設定し、適宜サブリミナル出力させることも容易にでき、汎用性も容易に向上できる。また、適宜サブリミナル出力させるタイミングの設定すなわち報知させる要求に関する再生指令情報を有する報知指令情報を設定することも、例えば操作手段340による設定などにて容易にでき、使い勝手の向上も容易に得られる。さらには、報知情報を設定入力する構成が容易に得られることから、例えばメッセージとして二次元コードを利用して撮像により取得することもできる。このことにより、例えば撮像機能を備えた携帯電話などでも利用でき、順次新たな報知情報を取得することが容易にでき、利用の拡大が容易に得られる。
【0059】
そして、報知指令情報として報知対象をも加味する構成とすることで、報知対象外に潜在的にメッセージが報知されることを防止でき、より適切なメッセージの報知ができる。また、報知対象の特定として、集音した発話や搭乗者を撮像した画像データ、設定入力の際の指紋や音声などのバイオメトリックスなどに基づいて特定している。このため、比較的に利用されている方法で容易に報知対象を特定しているので、処理構成の簡略化や処理負荷の低減も容易に図れる。さらには、報知対象へ報知する構成として、指向性スピーカを利用したり、特定した搭乗者の近くに位置するスピーカやモニタで出力させたりしているので、簡単な構成で特定の報知対象の搭乗者に報知できる。
【0060】
また、移動状況として設定された移動経路に基づいて移動状況を認識している。このため、あらかじめ移動する先の道路状況や交通状況などを認識できるので、注意を喚起するタイミングを地図情報に基づいて容易に認識できるとともに、注意を喚起するメッセージ内容の特定も地図情報を利用して容易に取得でき、より適切なメッセージの報知が簡単な構成で容易にできる。
【0061】
そして、移動状況として気象情報や交通情報なども加味することで、より注意を喚起する内容の汎用性も広がり、使い勝手の向上およびより良好なメッセージの報知が得られる。さらには、移動状況として、気象情報や現在時刻などを加味することで、時間帯や季節などに基づいて自動的に報知するメッセージを選出して報知させるなど、汎用性も向上できる。
【0062】
また、サブリミナル出力として、報知音データの周波数変調で出力させたり、案内情報やコンテンツデータの特性に対応した音質や音量の処理などをして出力したりしている。このため、簡単な処理で容易に効果的なメッセージの報知ができる。特に、嗜好性を判断する際に利用するコンテンツデータの特性を共用でき、より簡単な構成で良好な報知ができる。
【0063】
そして、演算手段380を例えばCPUなどを用いてプログラムとして構成しているので、プログラムをインストールすることで、煩わしくなることなく効果的にメッセージを報知できる構成が容易に得られ、利用の拡大が容易に図れる。さらには、そのプログラムを記録媒体に記録し、演算手段380、すなわちコンピュータに適宜読み取らせる構成とすることで、容易に煩わしくなることなく効果的なメッセージの報知ができる構成が得られるとともに、プログラムを容易に取り扱いでき、利用の拡大が容易にできる。なお、本発明における演算手段としては、1つのコンピュータに限らず、複数のコンピュータをネットワーク状に組み合わせた構成、上述したようなCPUやマイクロコンピュータなどの素子、あるいは複数の電子部品が搭載された回路基板などをも含む。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0064】
すなわち、車両に搭載した報知制御システムの構成について説明したが、上述したように、家屋や建造物などに設置され音データや像データを出力可能な再生装置などとして利用する構成でも適用できる。さらには、出力手段200が別体のシステム構成について説明したが、出力手段200を一体に備えた装置構成としてもよい。そして、車両に搭載される構成に限らず、例えば航空機や船舶などいずれの移動体を対象とすることができ、さらには携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータなどの携帯可能な構成としてもよく、移動状況として利用者の移動状況を認識してもよい。
【0065】
そして、車両として、路線バスや鉄道などの公共交通システムの移動体に搭載してもよい。このような場合には、注意を喚起するメッセージとして、例えば移動状況に基づく案内である次の停車駅のアナウンスや環境音や設定入力されたコンテンツデータである広告のためのアナウンスなどに報知情報を重畳させればよい。具体例として、「盗難に注意」、「忘れ物に注意」などのメッセージが例示できる。
【0066】
また、例えば、報知情報を出力している際に、モニタにてその旨を画面表示させたり、別途設けられた発光ダイオードなどを点灯あるいは点滅させるなどしたり、してもよい。このような構成によれば、サブリミナル出力されているか否かを利用者が容易に認識することができる。
【0067】
そして、報知情報として音データおよび像データの双方の報知特性で報知できる構成で説明したが、音データのみの報知特性で報知する構成としてもよい。
【0068】
また、案内情報に重畳させたり、コンテンツデータに重畳させたりして報知情報を出力する構成について説明したが、例えばコンテンツデータとして、集音手段350で集音した環境音を対象として、環境音に重畳する状態で報知させてもよい。具体的には、走行時に生じる風切り音、踏切待ちの踏切音、街の音、鳥のさえずり、川の流れの音など、車両の移動状況に応じた周囲の環境音のほか、あらかじめ集音しておいた環境音を対象とすることができる。特に嗜好性に沿った音声データとして、聴取することで利用者の精神状態が落ち着くいわゆるアルファ波の脳波が多くでる状態の環境音とすることにより、より潜在的に認識される報知効果が得られ、より効果的な報知ができる。そして、案内情報またはコンテンツデータのいずれか一方のみに重畳させてもよい。
【0069】
さらに、移動状況として、例えば車両を移動するための操作状況、例えばアクセル操作の変動状況やハンドルの操舵角の変動状況などを認識する構成としてもよい。具体的には、変化状況が少ない場合に居眠りを防止するためのメッセージを出力させたり、変化状況が大きい場合には安全運転を促すメッセージを出力させたりすることが例示できる。
【0070】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
〔実施の形態の効果〕
上述したように、認識した車両の移動状況と、地図情報とに基づいて、車両の移動について注意を喚起する旨の音データである報知情報を搭乗者に報知する際、地図情報に基づいて移動状況に応じて車両の移動を案内誘導するために出力手段200で出力させる音データの案内情報に、搭乗者が認識不可能な状態で出力手段200から報知情報が出力される状態で報知情報を重畳させて出力手段200から出力させている。このため、繰り返し報知情報を出力させても、搭乗者が耳障りと感じたり煩わしいと感じたりするなどの不快感が生じることなく、繰り返し出力することで搭乗者に潜在的に注意が喚起されるサブリミナル効果が得られ、十分に搭乗者に注意を喚起させることができ、効果的にメッセージを報知できる。さらに、車両の移動状況に応じて報知音データを出力させるので、特に報知対象が運転者の場合では、運転者がモニタを頻繁に確認する必要がなく、車両を移動させる操作に支障なく確実に報知するメッセージを潜在的に効果的に伝達できる。
【0071】
また、報知情報をサブリミナル出力させる要求に関する報知指令情報を認識することにより、コンテンツデータの再生頻度に基づいて認識した嗜好性に沿うコンテンツデータを取得させ、このコンテンツデータに、搭乗者が認識不可能な状態で出力手段200から報知情報が出力される状態で報知情報を重畳させて出力手段200から出力させている。このため、繰り返し報知情報を出力させても、搭乗者が耳障りと感じたり煩わしいと感じたりするなどの不快感が生じることなく、繰り返し出力することで搭乗者に潜在的に注意が喚起されるサブリミナル効果が得られ、十分に搭乗者に注意を喚起させることができ、効果的にメッセージを報知できる。さらに、利用者の嗜好に沿ったコンテンツデータに重畳させることから、利用者が好感的にコンテンツデータを視聴するので、良好なサブリミナル効果が得られ、効果的にメッセージを報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明における一実施の形態に係る報知制御システムの概略構成を示すブロックである。
【図2】前記実施の形態における報知制御システムにおける嗜好性判断処理の動作を示すフローチャートである。
【図3】前記実施の形態における報知制御システムの案内誘導の処理をする移動経路設定処理の動作を示すフローチャートである。
【図4】前記実施の形態における報知制御システムにおける報知制御処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
100……報知制御装置としても機能し得る報知制御システム
200……出力手段
300……報知制御装置
350……集音手段
370……記憶手段
380……演算手段
381……音声データ取得手段としてのコンテンツデータ取得手段
382……移動状況認識手段
383……移動支援手段としての案内誘導手段
384……特性認識手段
385……嗜好性判断手段
386……報知指令情報認識手段
387……報知制御手段
388……計時手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動状況を認識する移動状況認識手段と、
地図情報に基づいて前記移動状況に応じて前記移動体の移動を案内誘導するための案内情報を、前記移動体に搭載されたスピーカで音声出力させて報知させる移動支援手段と、
前記移動状況および前記地図情報に基づく前記移動体の移動について注意を喚起する旨の報知情報を、前記スピーカから音声出力される前記案内情報に聴取不可能に重畳させて出力させる報知制御手段と、
を具備したことを特徴とする報知制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の報知制御装置であって、
集音手段により取得した周囲で生じる環境音を音声データとして取得する音声データ取得手段を具備し、
前記報知制御手段は、前記報知情報を前記音声データ取得手段で取得する前記音声データに聴取不可能に重畳させて出力させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の報知制御装置であって、
記憶手段に記憶された音声データを取得する音声データ取得手段を具備し、
前記報知制御手段は、前記報知情報を前記音声データ取得手段で取得する前記音声データに聴取不可能に重畳させて出力させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の報知制御装置であって、
音声データを配信する複数の配信元から配信される前記音声データを取得する音声データ取得手段を具備し、
前記報知制御手段は、前記報知情報を前記音声データ取得手段で取得する前記音声データに聴取不可能に重畳させて出力させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の報知制御装置であって、
前記報知情報をスピーカから音声出力させる要求に関する報知指令情報を認識する報知指令情報認識手段と、
前記音声データに関する特性を認識する特性認識手段と、
前記音声データの音声出力される頻度に基づいて利用者の嗜好性を判断する嗜好性判断手段と、を具備し、
前記報知制御手段は、前記前記報知指令情報認識手段が前記報知指令情報を認識することにより、前記嗜好性判断手段にて判断した利用者の嗜好性に沿う前記特性を有した前記音声データを前記音声データ取得手段にて取得させ、この取得した前記音声データに前記報知情報を聴取不可能に重畳させて前記スピーカから音声出力させる制御をする
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項6】
音声データを取得する音声データ取得手段と、
前記音声データをスピーカで音声出力される頻度に基づいて利用者の嗜好性を判断する嗜好性判断手段と、
注意を喚起する旨の報知情報を前記スピーカから出力させる要求に関する報知指令情報を認識する報知指令情報認識手段と、
前記音声データに関する特性を認識する特性認識手段と、を具備し、
前記報知指令情報認識手段が前記報知指令情報を認識することにより、前記嗜好性判断手段にて判断した利用者の嗜好性に沿う前記特性を有した前記音声データを前記音声データ取得手段にて取得させ、この取得した前記音声データに前記報知情報を聴取不可能に重畳させて前記スピーカから音声出力させる報知制御手段と、
を具備したことを特徴とする報知制御装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の報知制御装置であって、
前記嗜好性判断手段は、前記音声データにおける楽曲に関する特性が前記利用者の嗜好性に沿う特性を有する楽曲に関する前記音声データを取得し、この取得した音声データに前記報知情報を聴取不可能に重畳させて前記スピーカから音声出力させる制御をする
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の報知制御装置であって、
前記嗜好性判断手段は、前記利用者による入力操作に対応し前記音声データを前記スピーカから音声出力させる要求に関する再生指令情報を前記報知指令情報として認識する
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の報知制御装置であって、
現在時刻を計時する計時手段を具備し、
前記報知指令情報認識手段は、入力操作に対応した操作信号を出力する操作手段からの前記報知情報を報知する時期に関する所定の操作信号に基づいて、前記計時手段にて計時する現在時刻が前記報知する時期であることを前記報知指令情報として認識する
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項10】
請求項5ないし請求項9のいずれかに記載の報知制御装置であって、
移動体の移動状況を認識する移動状況認識手段を具備し、
前記報知指令情報認識手段は、前記移動体の移動状況に対応し前記報知情報を前記スピーカから出力させる時期を前記報知指令情報として認識する
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項11】
請求項5ないし請求項9のいずれかに記載の報知制御装置であって、
移動体の移動状況を認識する移動状況認識手段と、
地図情報に基づいて前記移動状況に応じて前記移動体の移動を案内するための案内情報を、前記スピーカで音声出力させて報知させる移動支援手段と、を具備し、
前記報知制御手段は、前記移動状況および前記地図情報に基づく前記移動体の移動について注意を喚起する旨を前記報知情報として出力させる制御をする
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項5、請求項10および請求項11のうちのいずれかに記載の報知制御装置であって、
気象状況に関する気象情報を取得する気象情報取得手段を具備し、
前記報知制御手段は、前記移動状況、前記地図情報および前記気象情報に基づく前記移動体の移動について注意を喚起する旨の前記報知情報を出力させる制御をする
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項5、および、請求項10ないし請求項12のうちのいずれかに記載の報知制御装置であって、
前記報知制御手段は、前記移動体を移動させる搭乗者に対する指向性で前記案内情報に聴取不可能に前記報知情報を重畳して前記スピーカから出力させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項14】
請求項13に記載の報知制御装置であって、
前記報知制御手段は、指向性を有するスピーカを利用して前記報知情報を出力させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項5、および、請求項10ないし請求項14のうちのいずれかに記載の報知制御装置であって、
前記移動状況認識手段は、前記移動体の現在位置に関する現在位置情報と、前記移動体の目的地に関する目的地情報と、地図情報に基づいて前記現在位置から前記目的地まで前記移動体が移動する移動経路に関する移動経路情報とを認識し、
前記報知制御手段は、前記移動経路と前記移動体の現在位置との位置関係に基づいて、前記移動体の移動について注意を喚起する旨の報知情報を前記案内情報に重畳させる制御をする
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の報知制御装置であって、
前記報知制御手段は、前記報知情報を所定の周波数より高い周波数帯に変調して前記スピーカから出力させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれかに記載の報知制御装置であって、
前記報知制御手段は、前記音声データに関する特性に対応して聴取不可能に前記音声データに前記報知情報を重畳させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の報知制御装置であって、
前記報知制御手段は、報知情報は、入力操作により音声入力された入力音声データを前記報知情報として重畳させる
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の報知制御装置であって、
前記報知制御手段は、前記利用者が所有する携帯通信端末に設けられた前記スピーカから前記案内情報を出力させる制御をする
ことを特徴とする報知制御装置。
【請求項20】
演算手段により、移動体に搭載されたスピーカで前記移動体の移動を案内誘導するための案内情報を報知させる報知制御方法であって、
前記演算手段は、
前記移動体の移動状況を認識し、
この認識した移動状況に応じて地図情報に基づき前記移動体の移動を案内誘導するための前記案内情報を前記スピーカで音声出力させる際に、前記移動状況および前記地図情報に基づく前記移動体の移動について注意を喚起する旨の報知情報を、前記スピーカから音声出力される前記案内情報に聴取不可能に重畳させて出力させる
ことを特徴とする報知制御方法。
【請求項21】
演算手段により、注意を喚起する旨の報知情報をスピーカから出力させる報知制御方法であって、
音声データを前記スピーカで音声出力する頻度に基づく利用者の嗜好性を判断する嗜好性判断工程と、
前記注意を喚起する旨の報知情報を前記スピーカから出力させる要求に関する報知指令情報を認識する報知指令情報認識工程と、
前記スピーカで音声出力させる前記音声データの特性を認識する特性認識工程と、
前記報知指令情報認識工程で前記報知指令情報を認識することにより、前記嗜好性判断工程で判断した前記利用者の嗜好性に沿う前記特性を有した前記音声データを取得させる音声データ取得工程と、
この音声データ取得工程で取得した前記音声データに前記報知情報を聴取不可能に重畳させて前記スピーカから前記音声データを音声出力させる報知制御工程と、を実施する
ことを特徴とする報知制御方法。
【請求項22】
演算手段を、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載の報知制御装置として機能させる
ことを特徴とする報知制御プログラム。
【請求項23】
請求項20または請求項21に記載の報知制御方法を演算手段に実行させる
ことを特徴とする報知制御プログラム。
【請求項24】
請求項22または請求項23に記載の報知制御プログラムが演算手段に読取可能に記録された
ことを特徴とする報知制御プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−214750(P2006−214750A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25169(P2005−25169)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】