説明

場合によりランタンを有するリン酸セリウムおよび/またはリン酸テルビウム、前記リン酸塩から生じる燐光体、ならびに該燐光体を作製する方法

本発明は希土類金属(Ln)リン酸塩に関する。Lnは、セリウムおよびテルビウムから選択される少なくとも1種の希土類元素、または上記2種の希土類元素の少なくとも一方と組み合わされたランタンである。この希土類金属(Ln)リン酸塩は、ラブドフェン型またはラブドフェン/モナザイト混合型の結晶構造を有し、カリウム含有量が最大7000ppmである。このリン酸塩は、2未満の一定pHで希土類元素塩化物を沈殿させることによって、500℃未満の温度でか焼することによって、また温水中で再分散させることによって得られる。本発明はまた、前記リン酸塩を少なくとも1000℃でか焼することによって得られる燐光体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場合によりランタンを有するリン酸セリウムおよび/またはリン酸テルビウム、このリン酸塩から生じる燐光体、およびこの燐光体を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランタン、テルビウムおよびセリウムの混合リン酸塩、ならびにランタンおよびテルビウムの混合リン酸塩(以下、概してLAPと表す。)が、これらリン酸塩の発光特性でよく知られている。例えば、これらLAPがセリウムおよびテルビウムを含有する場合、可視領域の波長を下回る波長を有する一定の高エネルギー放射線(照明または表示システム向けの紫外線またはVUV放射)が照射されると、明るい緑色光を放出する。この特性を利用する燐光体が、例えば、三色蛍光ランプにおいて、液晶ディスプレイ用バックライトシステムにおいて、またはプラズマシステムにおいて、産業規模で広く使用されている。
【0003】
LAPを作製するための幾つかの方法が知られている。これらの方法には2つ種類ある。まずは、リン酸二アンモニウムの存在下において酸化物の混合物の、または混合酸化物のリン酸塩処理が行われる「乾式」法がある。比較的長くまた複雑である可能性があるこれらの方法は特に、得られる生成物のサイズおよび化学的一様性の制御に問題を引き起こす。もう1種の方法は「湿式法」と称されまとめられる。これらの方法においては、希土類金属の混合リン酸塩の、または希土類金属リン酸塩の混合物の合成が液体媒体中で行われる。
【0004】
これら様々な合成により、還元性雰囲気下、一般に溶剤(fluxing agent)またはフラックスの存在下において高温、約1100℃の熱処理が必要とされる混合リン酸塩がもたらされる。これは、混合リン酸塩があり得る最も効果的な燐光体であるためには、テルビウムと、必要に応じてセリウムとが可能な限り三価の酸化状態である必要があるからである。
【0005】
上記乾式法および湿式法には、フラックスを用いた還元性雰囲気下における高温熱活性化処理の必要性によってさらに顕著となる、制御されていない、特に不十分に狭い粒径の燐光体が生じてしまう欠点がある。この欠点により、一般に粒径のさらなる乱れを生じ、従って粒径が均一でない燐光体粒子が生じる。これらの燐光体粒子は加えて、フラックスの使用に関連する多量または少量の不純物を含有することがあり、また最終的には、不十分な発光性能を示す。
【0006】
狭い粒径分布によりLAPの粒径改善を可能にする方法が、特許出願EP0581621に提案されているが、この方法により特に高性能の燐光体がもたらされる。記載されている方法では、希土類金属塩として特に硝酸塩が使用され、窒素生成物の放出という欠点を有するアンモニア水の塩基としての使用が推奨されている。従って、この方法により実際に高性能の生成物がもたらされるが、このような放出を禁止または制限するますます制限的となる環境保護の法律に従うべき場合には、この実施がより複雑となることがある。
【0007】
アンモニア水以外の特に強い塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物を使用することが確かに可能ではあるが、後者は、LAP中のアルカリ類の存在をもたらし、この存在は、燐光体の発光特性を、これらの使用時、特に水銀蒸気ランプにおいては劣化させかねないと考えられる。
【0008】
従って、得られる生成物の発光特性に関して否定的な結果をもたらすことがない、硝酸塩またはアンモニア水を少ししか、または全く使用しない、さらには燐光体の作製時にフラックスの使用を必要としない作製方法が現在必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0581621号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、これらの生成物を放出しないLAPを作製する方法の改善である。
【0011】
本発明の別の目的は、それでもなお現在知られている燐光体の特性と同じ特性、またはさらに優れた特性を有する燐光体の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、第1の態様によれば、本発明は希土類金属(Ln)リン酸塩を提供する。Lnは、セリウムおよびテルビウムから選択される少なくとも1種の希土類金属、または上記2種の希土類金属の少なくとも一方と組み合わされたランタンを表す。この希土類金属(Ln)リン酸塩は、ラブドフェン(rhabdophane)型またはラブドフェン/モナザイト混合型の結晶構造を有し、またカリウムを含有し、カリウム含有量が最大7000ppmであることを特徴とする。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、希土類金属(Ln)リン酸塩に基づく燐光体に関し、Lnは上記と同じ意味を有する。この燐光体は、モナザイト型の結晶構造を有し、またカリウムを含有し、カリウム含有量が最大350ppmであることを特徴とする。
【0014】
本発明の燐光体は、アルカリ金属であるカリウムの存在にもかかわらず、優れた発光特性および優れた寿命を有する。これらの燐光体は、公知の生成物よりも優れた収率さえも示すことができる。
【0015】
燐光体の前駆体である本発明のリン酸塩は、同一のか焼条件下で、従来技術の前駆体によって得られる燐光体と比較して特性が改善された燐光体をもたらすため、有利な特性も有する。
【0016】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、以下の説明を、また本発明を説明することを目的として様々な具体的ではあるが非限定的な実施例を読むと、さらに明らかとなるであろう。
【0017】
残りの説明では、特に指定のない限り、言及する値の範囲または境界すべてにおいて、境界の値が含まれ、従って、このように定義される値の範囲または境界は、少なくとも下限以上および/または最大上限以下である任意の値を含めることも明記する。
【0018】
用語「希土類金属」は、残りの説明では、イットリウムと、原子番号57から71を含めた周期表の元素とで構成される群の元素を意味するものである。
【0019】
リン酸塩および燐光体についての残りの説明において述べるカリウム含有量に関して、最小値および最大値が言及されていることに留意されたい。本発明は、これら最小値のうちのいずれか1つとこれら最大値のいずれか1つとによって定義される任意の範囲のカリウム含有量を含めることを理解されたい。
【0020】
このカリウム含有量は2種の技術により測定することも、ここで、また記載全体に対して明記する。第1の技術は蛍光X線技術であり、この技術により、少なくとも約100ppmであるカリウム含有量を測定することが可能となる。この技術は、特にカリウム含有量が最も高いリン酸塩もしくは前駆体、または燐光体に対して使用することになる。第2の技術は、ICP(誘導結合プラズマ)−AES(原子発光分光法)またはICP−OES(発光分光法)技法である。この技術は、ここでは特にカリウム含有量が最も低い前駆体または燐光体に対して、特に、約100ppm未満の含有量に対して使用することになる。
【0021】
上記の通り、本発明は2種類の生成物、以降、前駆体とも称されるリン酸塩と、これらのリン酸塩から得られる燐光体とに関する。燐光体自体は、所望の用途において直接使用可能とするために十分な発光特性を有する。前駆体は発光特性を有していない、または場合により、これら同じ用途における使用には弱すぎる発光特性を有する。
【0022】
ここで、これら2種類の生成物についてより正確に説明する。
【0023】
リン酸塩または前駆体
本発明のリン酸塩は基本的に、他の残留するリン酸塩を含む実体の存在が実際には可能ではあるが、好ましくは、完全に式LnPOのオルトリン酸塩型であって、Lnは上で定義した通りである。
【0024】
本発明のリン酸塩は、これら上記2種の希土類金属の少なくとも一方と組み合わされたランタンのリン酸塩であるが、最も特定的には、ランタン、セリウムおよびテルビウムのリン酸塩であってもよい。
【0025】
これら様々な希土類金属それぞれの割合は、広い範囲内で変化することができるが、特に、以下に挙げる値の範囲内で変化することができる。従って、本発明のリン酸塩は基本的に、以下の一般式(1)に対応することができる生成物を含む。
LaCeTbPO (1)
ここで、x+y+zの合計は1に等しく、yおよびzの少なくとも一方は0以外である。
【0026】
上記式(1)において、xは特に0.2から0.98、さらには特に0.4から0.95でよい。
【0027】
上述の他の残留するリン酸塩を含む実体の存在によって、Ln(希土類金属全体)/POモル比が、リン酸塩全体について1未満となる可能性がある。
【0028】
式(1)においてxおよびyの少なくとも一方が0以外である場合、好ましくはzが最大0.5であるが、zは0.05から0.2、特に0.1から0.2でよい。
【0029】
yおよびzが共に0以外である場合、xは0.2から0.7、特に0.3から0.6でよい。
【0030】
zが0に等しい場合、yは0.02から0.5でよく、さらには特に0.05から0.25でよい。
【0031】
yが0に等しい場合、zは0.05から0.6でよく、さらには特に0.08から0.3でよい。
【0032】
xが0に等しい場合、zは0.1から0.4でよい。
【0033】
単に一例としてであるが、より特定的な組成について言及することができる。
【0034】
【化1】

【0035】
本発明のリン酸塩は、特に発光特性の促進剤、またはセリウムおよびテルビウム元素の酸化度の安定剤の役割を従来から担う他の元素を含むことができる。これらの元素の一例として、ホウ素、およびスカンジウム、イットリウム、ルテチウム、ガドリニウムなどの他の希土類金属を特に言及することができる。ランタンが存在する場合、上記希土類金属は特に、この元素の代替として存在することができる。これらの促進剤または安定剤元素は、ホウ素の場合、本発明のリン酸塩の全質量に対して一般に最大1質量%の量で、また上述の他の元素については最大30%の量で存在する。
【0036】
本発明のリン酸塩はまた、これらのリン酸塩の粒径も特徴とする。
【0037】
これらリン酸塩は、実際には、一般に1μmから15μm、特に2μmから6μmの平均径を有する粒子からなる。
【0038】
言及する平均直径は、粒子集団の直径の体積平均である。
【0039】
ここで、また残りの説明で挙げる粒径値は、Malvern粒径測定器を用いて、超音波(130W)によって1分30秒水に粒子を分散させた試料について測定される。
【0040】
さらに、これらの粒子は好ましくは、典型的には最大0.5、好ましくは最大0.4の低い分散指数を有する。
【0041】
粒子集団の「分散指数」は、本記載の目的では、以下に定義するように比率Iを意味するものである。
I=(φ84−φ16)/(2×φ50
ここで、φ84は粒子の直径であるが、粒子の84%がφ84未満の直径を有する。
【0042】
φ16は粒子の直径であるが、粒子の16%がφ16未満の直径を有する。
【0043】
φ50は粒子の平均直径であるが、粒子の50%がφ50未満の直径を有する。
【0044】
前駆体の粒子についてここで述べた分散指数の定義は、残りの説明では、燐光体にも当てはまる。
【0045】
本発明のリン酸塩の重要な特徴は、カリウムの存在である。カリウムは、単にリン酸塩の他の成分との混合物としてリン酸塩中に存在するのではなく、リン酸塩の1種以上の構成化学元素と化学的に結合していると想定することができる。この結合の化学的性質は、純水を用いた大気圧における単純な洗浄ではリン酸塩中に存在するカリウムを取り除くことが不可能であるという事実によって実証され得る。
【0046】
本発明によるリン酸塩のカリウム含有量は最大7000ppm、特に最大6000ppm、さらには特に最大5000ppmである。この含有量は、ここでも残りの説明全体でも、リン酸塩の全質量に対するカリウム元素の質量によって表される。
【0047】
最小カリウム含有量は必須ではない。最小カリウム含有量は、カリウム含有量を測定するために使用する分析技術によって検出可能な最小値に対応することができる。しかしながら、この最小含有量は通常少なくとも300ppm、特に少なくとも1200ppmである。
【0048】
本発明の特定の一実施形態によれば、リン酸塩はアルカリ金属元素としてカリウムのみを含有する。
【0049】
本発明のリン酸塩は、2種類の結晶構造を有することができる。これらの結晶構造は、X線回折(XRD)技法によって実証することができる。
【0050】
従って、リン酸塩はラブドフェン型の構造を有することができ、この場合、リン酸塩は純粋な相を有することができる、即ち、XRD図はラブドフェン相ただ1つのみを示す。にもかかわらず、本発明のリン酸塩は純粋な相でなくてもよく、この場合、生成物のXRD図は、非常に微量の残留相の存在を示す。
【0051】
リン酸塩は、ラブドフェン/モナザイト混合型の構造を有することもできる。
【0052】
ラブドフェン構造は、この作製の最後に熱処理を施していない、または通常500℃を超えない、特に400℃から500℃の温度で熱処理を施したリン酸塩に対応する。ラブドフェン/モナザイト混合型の構造は、500℃を上回る温度で、また約650℃を下回る温度まで変動することができる熱処理を施したリン酸塩に対応する。
【0053】
リン酸塩は、結晶子の集合体でこれら自体が構成される粒子からなり、(012)面において測定されるこれら結晶子のサイズは、少なくとも25nm、特に少なくとも30nmである。このサイズは、熱処理の温度、または作製時に前駆体に施されるか焼の温度によって変化することもある。
【0054】
ここでも残りの説明全体でも、XRDによって測定される値は、結晶面(012)に対応する主回折線の幅から計算されるコヒーレントドメインのサイズに対応すると特定される。この測定には、書籍Theorie et technique de la radiocristallographie[Radiocrystallography theory and technique]、A.Guinier、Dunod、Paris,1956に記載されているシェラー・モデル(Scherrer model)を使用する。
【0055】
XRD技法によるこのサイズの決定は、ラブドフェン/モナザイト混合型の構造の場合には非常に困難となるため、結晶子サイズに関するここまでの説明は基本的に、ラブドフェン構造のリン酸塩の場合に当てはまることに留意されたい。
【0056】
同じ温度における熱処理後に得られる従来技術のリン酸塩の結晶子サイズよりも大きく、同じ粒径を有することもできるこの結晶子サイズは、生成物のより優れた結晶化を反映する。
【0057】
熱処理を施していないリン酸塩は一般に水和するが、この残留水の大部分を取り除き、また実質的に無水の希土類金属リン酸塩を生成させるには、例えば、60から100℃で行われる単純な乾燥で十分である。一方で残存する少量の水は、約400℃を上回るより高温で行われるか焼によって取り除かれる。
【0058】
本発明による燐光体について以下に説明する。
【0059】
燐光体
本発明の燐光体は、説明したばかりのリン酸塩または前駆体と共有の特性を有する。
【0060】
従って燐光体は、前記リン酸塩または前駆体と同じ粒径特性、即ち、分散指数が最大0.5である1から15μmの平均粒径を有する。前駆体の粒径に関して上述してきたすべてが、ここでも同様に当てはまる。
【0061】
燐光体はまた、上記と同じ式のオルトリン酸塩型で、前駆体の組成とほぼ同一の組成を有する。前駆体について上で述べた、ランタン、セリウムおよびテルビウムの相対的割合もまた、ここでも当てはまる。同様に、燐光体は、リン酸塩について上で述べた促進剤または安定剤元素を、指示した割合で含むことができる。
【0062】
これら燐光体は、モナザイト型の結晶構造を有する。この結晶構造もまた、X線回折(XRD)技法によって実証することができる。好ましい一実施形態によれば、本発明の燐光体は純粋な相を有し、即ち、XRD図はモナザイト相ただ1つのみを示す。にもかかわらず、本発明の燐光体は純粋な相でなくてもよく、この場合、生成物のXRD図は、非常に微量の残留相の存在を示す。
【0063】
本発明の燐光体は、最大350ppmの量でカリウムを含有する。この含有量は、ここでも、燐光体の全質量に対するカリウム元素の質量として表される。
【0064】
最小カリウム含有量は必須ではない。リン酸塩についてと同様ここでもやはり、最小カリウム含有量は、カリウム含有量を測定するために使用する分析技術によって検出可能な最小値に対応することができる。しかしながら、この最小含有量は通常少なくとも10ppm、特に少なくとも50ppmである。このカリウム含有量は、100ppm以上の値と最大350ppmの値との間、または200ppmより大きい値と350ppmの値との間でよい。
【0065】
本発明の燐光体は、(012)面において測定されるコヒーレント長が少なくとも250nmである粒子で構成される。前駆体に対してと同じ技法によって測定されるこのコヒーレント長は、熱処理の温度、または作製時に燐光体に施されるか焼の温度によって変化することもある。このコヒーレント長は少なくとも280nm、特に少なくとも330nmでよく、特に280nmから300nmでよい。
【0066】
前駆体についてと同様、このコヒーレント長は、同じ温度における熱処理後に得られ同じ粒径を有することもできる従来技術の燐光体のコヒーレント長よりも大きいことがここでも観測される。この観測は、ここで再び、生成物のより優れた結晶化を反映し、このより優れた結晶化は、これら生成物の発光特性にとって、特に発光効率にとって有益である。
【0067】
本発明の燐光体を構成する粒子は、実質的に球形を有することができる。これらの粒子は緻密である。
【0068】
ここで、本発明の前駆体および燐光体を作製する方法について説明する。
【0069】
リン酸塩または前駆体を作製する方法
前駆体を作製する方法は、以下の段階を含むことを特徴とする。
−希土類金属(Ln)塩化物を含有する第1の溶液が、リン酸イオンを含有し初期pHが2未満である第2の溶液に連続的に導入される。
−第2の溶液への第1の溶液の導入中、結果として生じる媒体のpHが2未満の一定値で制御され、これにより沈殿物が得られ、第1の段階について第2の溶液を2未満のpHで設定すること、もしくは第2の段階についてこのpHを制御すること、またはこの両方が、少なくとも部分的には水酸化カリウムを用いて行われる。
−結果として生じる沈殿物が回収され、場合により、650℃を下回る温度でか焼される。
−得られた生成物が再度温水に分散され、その後液体媒体から分離される。
【0070】
ここで、この方法の様々な段階について詳細に説明する。
【0071】
本発明によれば、希土類金属(Ln)リン酸塩の、制御pHにおける直接沈殿が、所望の組成の生成物を得るために必要とされる割合で存在する1種以上の希土類金属(Ln)の塩化物を含有する第1の溶液を、リン酸イオンを含有する第2の溶液と反応させることによって行われる。
【0072】
この方法の第1の重要な特徴によれば、これら反応物の的確な順序の導入を忠実に守るべきである。さらに具体的には、リン酸イオンを含有する溶液に、希土類金属の塩化物の溶液を徐々に、また連続的に導入すべきである。
【0073】
本発明によるこの方法の第2の重要な特徴によれば、リン酸イオンを含有する溶液の初期pHは2未満、好ましくは1から2となるべきである。
【0074】
第3の特徴によれば、沈殿媒体のpHをその後、2未満、好ましくは1から2のpH値で制御すべきである。
【0075】
用語「制御pH」は、希土類金属塩化物を含有する溶液のリン酸イオンを含有する溶液への導入と同時に、後者への塩基性化合物の添加によって、特定の、一定または実質的に一定の値で沈殿媒体のpHの制御を意味するものである。従って、媒体のpHは、定値の前後に最大0.5pH単位だけ、特にこの値の前後に最大0.1pHだけ変動することになる。定値は、リン酸イオンを含有する溶液の初期pH(2未満)に有利に対応することになる。
【0076】
沈殿は、好ましくは、臨界ではなく有利に室温(15℃から25℃)から100℃の温度の水媒体中で行う。この沈殿は、反応媒体を撹拌しながら行う。
【0077】
第1の溶液中の希土類金属塩化物の濃度は、広い範囲内で変動することができる。従って、希土類金属の全濃度は0.01mol/リットルから3mol/リットルでよい。
【0078】
最後に、希土類金属塩化物の溶液は、他の金属塩、特に塩化物、例えば、上述の促進剤または安定剤元素の、即ち、ホウ素の、また他の希土類金属の塩を含むこともできることに留意されたい。
【0079】
希土類金属塩化物の溶液と反応することを目的とするリン酸イオンは、純粋化合物または溶液中の化合物、例えば、リン酸、アルカリ金属リン酸塩、またはアニオンが希土類金属に付随する可溶性化合物を与える他の金属元素のリン酸塩によって提供することができる。
【0080】
リン酸イオンは、2つの溶液間でPO/Lnモル比が1を超える、有利には1.1から3となるような量で存在する。
【0081】
上記説明において強調した通り、リン酸イオンを含有する溶液は最初(即ち、希土類金属塩化物の溶液の導入を始める前に)、2未満、好ましくは1から2のpHを有するはすである。従って、使用する溶液が本来このようなpHを有さない場合は、塩基性化合物を添加することによって、または酸(例えば、pHが高すぎる初期溶液の場合には塩酸)を添加することによって、後者を所望の適切な値とする。
【0082】
続いて、希土類金属塩化物を含有する溶液の導入中には、沈殿媒体のpHが徐々に低下するため、本発明による方法の基本的な特徴の1つに従って、2未満、好ましくは1から2となるべき所望の一定作業値で沈殿媒体のpHを維持する目的で、この媒体に塩基性化合物を同時に導入する。
【0083】
本発明の方法の別の特徴によれば、リン酸イオンを含有する第2の溶液の初期pHを2未満の値とするために、または沈殿時のpHを制御するために使用する塩基性化合物は、少なくとも部分的に水酸化カリウムである。用語「少なくとも部分的に」は、この中の少なくとも1種が水酸化カリウムである塩基性化合物の混合物を使用することが可能であることを意味するものである。他の塩基性化合物は、例えば、アンモニア水でよい。好ましい一実施形態によれば、水酸化カリウムのみである塩基性化合物を使用し、さらにより好ましい別の実施形態によれば、上記作業の両方のために、即ち、第2の溶液のpHを適切な値とするためにも、また沈殿物のpHを制御するためにも水酸化カリウムのみを使用する。これら2つの好ましい実施形態においては、アンモニア水などの塩基性化合物によって導入され得る窒素生成物の放出が低減または廃絶される。
【0084】
沈殿段階の終わりには、場合により他の元素が添加されている希土類金属(Ln)のリン酸塩が直接得られる。その際、最終的な沈殿媒体中の希土類金属の全濃度は、有利には0.25mol/リットルよりも大きい。
【0085】
沈殿の終わりには、沈殿が行われた温度と同じ温度範囲内の温度で、また、例えば15分から1時間でよいある時間あらかじめ得られた反応媒体を保持することによって、熟成を行うことが場合により可能である。
【0086】
リン酸塩沈殿物は、これ自体公知である任意の手段によって、特に、単純ろ過によって回収することができる。これは、本発明による方法の条件下で、ゼラチン質でない容易にろ過することができる希土類金属リン酸塩が沈殿するからである。
【0087】
その後回収した生成物を、例えば、水で洗浄し、その後乾燥させる。
【0088】
この生成物にその後、熱処理またはか焼を施すことができる。このか焼のための温度および時間は、生じることになるリン酸塩に望まれる結晶構造次第である。一般に、か焼温度は少なくとも約400℃、沈殿によって生じるか焼していない生成物が示す構造でもあるラブドフェン構造を有する生成物の場合には通常、最高約500℃である。ラブドフェン/モナザイト混合型では、か焼温度は通常500℃を上回るが、約650℃を下回る温度範囲にまで及ぶことができる。
【0089】
一般に、温度が高くなればなるほど、か焼時間は短くなる。一例としては、この時間は1から3時間でよい。
【0090】
この熱処理は一般に空気中で行われる。
【0091】
か焼温度が高くなればなるほど、リン酸塩の結晶子サイズは大きくなる。
【0092】
本発明の別の重要な特徴によれば、か焼によって生じる生成物、または熱処理なしの場合に沈殿によって生じる生成物を、その後温水に再度分散させる。
【0093】
この再分散は、撹拌しながら水に固体生成物を導入することによって行う。結果として生じる懸濁液を、約1から6時間、特に約1から3時間でよいある時間撹拌し続ける。
【0094】
この水の温度は、少なくとも30℃、特に少なくとも60℃でよく、大気圧下で約30℃から90℃、好ましくは60℃から90℃でよい。100℃から200℃、特に100℃から150℃でよいある温度で加圧下、例えば、オートクレーブ中でこの作業を行うことが可能である。
【0095】
最後の段階において、これ自体公知である任意の手段によって、例えば、単純ろ過によって液体媒体から固体を分離する。第1の再分散を行った温度とは異なる温度で、上述の条件下で再分散段階を場合により1回以上繰り返すことが可能である。
【0096】
分離した生成物を、特に水で洗浄することができ、乾燥させることができる。
【0097】
このようにして、所要のカリウム含有量を有する本発明の希土類金属(Ln)リン酸塩が得られる。
【0098】
燐光体を作製する方法
本発明の燐光体は、上述のようなリン酸塩または前駆体を、またはやはり上述した方法によって得られたリン酸塩または前駆体を、少なくとも1000℃の温度でか焼することによって得られる。この温度は、約1000℃から1300℃でよい。
【0099】
この処理によって、リン酸塩または前駆体は高効率の燐光体に変換される。
【0100】
このか焼は、空気中でも不活性ガス中でも行うことができるが、好ましくは還元雰囲気(例えば、H、N/HまたはAr/H)下でも、最後の場合には、CeおよびTbの実体をこれらの酸化状態(+III)に変換するために行うことができる。
【0101】
公知の方法で、フラックスまたは溶剤、例えば、フッ化リチウム、四ホウ酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、リン酸リチウム、塩化アンモニウム、酸化ホウ素およびホウ酸、リン酸アンモニウム、ならびにこれらの混合物の存在下において、か焼を行うことができる。
【0102】
フラックスを使用する場合、一般に公知の燐光体の発光特性と少なくとも同等の発光特性を有する燐光体が得られる。ここでの本発明の最も重要な利点は、公知の方法よりも放出する窒素生成物が少ない、または窒素生成物を全く放出しない方法によってこれ自体が生じる前駆体から燐光体が生じることである。
【0103】
何のフラックスもなしでか焼を行うことも可能であるため、溶剤をリン酸塩と事前に混合することなく、これにより燐光体中に存在する不純物の濃度の低減に寄与することが可能である。さらに、上述の数多くの溶剤の場合であるが、窒素を含有することがある、またはこれらの可能性の毒性を考えると厳しい安全基準の範囲内で使用しなければならない生成物の使用が、このようにして回避される。
【0104】
さらに、フラックスなしのか焼の場合、これは本発明の重要な利点であるが、本発明の前駆体により、同じか焼温度について従来技術の前駆体から得られる燐光体の発光特性よりもこの発光特性が優れている燐光体を得ることが可能となることに留意されたい。この利点は、従来技術の前駆体から生じる燐光体と同じ発光特性を有する燐光体を、本発明の前駆体によりより速く、即ち、より低温で得ることが可能となることを述べることによって表すこともできる。
【0105】
処理後、非凝集状態または低凝集状態で可能な限り純粋である燐光体が得られるように、粒子を有利には洗浄する。後者の場合、温和な条件下で燐光体に非凝集処理を施すことによって、燐光体を非凝集とすることが可能である。
【0106】
フラックスなしのか焼から生じる本発明の燐光体は、同じか焼条件下で得られる従来技術の燐光体と比較して、向上した発光効率を示すことに留意されたい。いかなる理論にも束縛されることを望むわけではないが、このより優れた効率は、本発明の燐光体のより優れた結晶化の結果であり、このより優れた結晶化もまた、前駆体リン酸塩のより優れた結晶化の結果であることが想定される。
【0107】
本発明の燐光体は、生成物の様々な吸収場に対応する電磁励起に対する強い発光特性を有する。
【0108】
従って、本発明のセリウムおよびテルビウムに基づく燐光体は、紫外線領域(200から280nm)、例えば、254nm前後に励起源を有する照明または表示システムにおいて使用することができる。特に、水銀蒸気三色ランプ、管状またはフラット型の、液晶システムのバックライト用ランプ(LCDバックライト)について言及する。これらのランプは、紫外線励起下で輝度が高く、熱後処理を受けての発光損失がない。これらランプの発光は、特に、比較的高温(100から300℃)の紫外線下で安定である。
【0109】
本発明のテルビウムおよびランタンに、またはランタン、セリウムおよびテルビウムに基づく燐光体はまた、例えば、プラズマスクリーンや水銀なしの三色ランプ、特に、キセノン励起ランプ(管状またはフラット型)などのVUV(または「プラズマ」)励起システム用緑色燐光体としての優れた候補でもある。本発明の燐光体の発光は、VUV励起(例えば、147nmおよび172nm前後)下で強い緑色である。燐光体は、VUV励起下で安定である。
【発明の効果】
【0110】
本発明の燐光体は、発光ダイオードによる励起用デバイスにおいて、緑色燐光体として使用することもできる。これら燐光体は特に、近紫外線において励起することができるシステムにおいて使用することができる。
【0111】
これら燐光体はまた、紫外線励起マーキングシステムにおいて使用することもできる。
【0112】
本発明の燐光体は、周知の技法によって、例えば、スクリーン印刷、吹き付け、電気泳動、または沈降によって、ランプおよびスクリーンシステムにおいて使用することもできる。
【0113】
これら燐光体は、有機基質(例えば、プラスチック基質もしくは紫外線下で透明であるポリマーの基質など)、鉱物基質(例えば、シリカ基質)、または有機−鉱物混合基質に分散させることもできる。
【0114】
別の態様によれば、本発明はまた、上述のタイプの発光デバイスに関し、この発光デバイスは、緑色発光源として、上述のような燐光体、またはやはり上述した方法を用いて得られる燐光体を備える。
【発明を実施するための形態】
【0115】
ここで実施例を挙げる。
【0116】
これらの実施例では、上述のように、2種の測定技術によってカリウム含有量を決定する。蛍光X線技術では、生成物の粉末そのままについて半定量分析を行う。使用する機器は、PANalytical製のMagiX PRO PW 2540蛍光X線分光計である。Jobin Yvon製のUltima機器を用いた定量添加による定量分析を行うことによって、ICP−AES(またはOES)技術を実施する。試料はあらかじめ、閉反応器(MARSシステム−CEM)におけるマイクロ波で補助される硝酸−過塩素酸媒体中で、鉱化(または消化)させておく。
【0117】
発光効率は、254nmにおける励起の下で蛍光分光光度計を用いて記録した380nmから750nmにおける発光スペクトル曲線下の面積を比較し、比較生成物について得られた面積に100%の値を割り当てることによって、粉末状の生成物について測定する。
【0118】
(比較例1)
本実施例は、従来技術による、ランタン、セリウムおよびテルビウムのリン酸塩の作製に関する。
【0119】
アンモニア水を添加することによって前もってpH1.6とし、また60℃とした1.73mol/lの分析用リン酸HPOを含有する溶液1lに、純度4Nの希土類金属硝酸塩の溶液を1時間で添加する。希土類金属硝酸塩の全濃度は1.5mol/lで、以下のように、硝酸ランタン0.66mol/l、硝酸セリウム0.65mol/l、硝酸テルビウム0.20mol/lと分類することができる。沈殿時のpHは、アンモニア水の添加によって1.6で調整する。
【0120】
沈殿段階の終わりに、60℃でさらに1時間混合物を維持する。結果として生じる沈殿物をその後、ろ過によって回収し、水で洗浄し、その後空気中60℃で乾燥させ、その後空気中840℃で2時間熱処理する。この段階の終わりには、組成(La0.44Ce0.43Tb0.13)POを有する前駆体が得られる。
【0121】
(実施例2)
本実施例は、本発明による、ランタン、セリウムおよびテルビウムのリン酸塩の作製に関する。
【0122】
水酸化カリウムKOHを添加することによって前もってpH1.6とし、また60℃とした1.5mol/lの分析用リン酸HPOを含有する溶液1lに、純度4Nの希土類金属塩化物の溶液を1時間で添加する。希土類金属塩化物の全濃度は1.3mol/lで、以下のように、塩化ランタン0.57mol/l、塩化セリウム0.56mol/l、塩化テルビウム0.17mol/lと分類することができる。沈殿時のpHは、水酸化カリウムの添加によって1.6で調整する。
【0123】
沈殿段階の終わりに、60℃でさらに15分間混合物を維持する。結果として生じる沈殿物をその後、ろ過によって回収し、水で洗浄し、その後空気中60℃で乾燥させ、その後空気中500℃で2時間熱処理する。このか焼の終わりに、得られた生成物を80℃の水に3時間再度分散させ、その後洗浄およびろ過し、最後に乾燥させる。この段階の終わりには、組成(La0.44Ce0.43Tb0.13)POを有する前駆体が得られる。
【0124】
実施例1および2の生成物の特性を、以下の表1に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
本発明の前駆体リン酸塩2は、従来技術の前駆体リン酸塩よりもより結晶化されているが、その一方で同時に、同様の粒径特性が保持される。
【0127】
(比較例3)
本実施例は、実施例1のリン酸塩から得られる、従来技術による燐光体の作製に関する。
【0128】
実施例1において得られた前駆体リン酸塩を、還元性雰囲気(Ar/H)下1000℃で2時間再処理する。得られたか焼生成物をその後、80℃の温水中で3時間洗浄し、その後ろ過し乾燥させる。
【0129】
(実施例4)
本実施例は、実施例2のリン酸塩から得られる、本発明による燐光体の作製に関する。
【0130】
実施例2において得られた前駆体リン酸塩を、実施例3の条件と同じ条件下で再処理する。
【0131】
実施例3および4の生成物の特性を、以下の表2に示す。
【0132】
【表2】

【0133】
比較燐光体3に対する本発明の生成物の発光効率を測定する。従って、本発明の燐光体の結晶化度および発光効率は、比較例において得られる燐光体と比較してはるかに向上しているが、その一方で同時に、同様の粒径品質が保持される。
【0134】
老化試験によって、本発明の生成物は三色ランプにおいて何ら劣化を示さないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Lnが、セリウムおよびテルビウムから選択される少なくとも1種の希土類金属、または上記2種の希土類金属の少なくとも一方と組み合わされたランタンを表す希土類金属(Ln)リン酸塩であって、ラブドフェン型またはラブドフェン/モナザイト混合型の結晶構造を有し、またカリウムを含有し、カリウム含有量が最大7000ppmであることを特徴とするリン酸塩。
【請求項2】
このカリウム含有量が最大6000ppm、さらには特に最大5000ppmであることを特徴とする、請求項1に記載のリン酸塩。
【請求項3】
このカリウム含有量が少なくとも300ppm、さらには特に少なくとも1200ppmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のリン酸塩。
【請求項4】
(012)面において測定されるサイズが少なくとも30nmである結晶子からなることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載のリン酸塩。
【請求項5】
平均径が1から15μm、好ましくは分散指数が最大0.5である粒子からなることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載のリン酸塩。
【請求項6】
下記一般式(I)を有する生成物を含み、
LaCeTbPO (1)
式中、x+y+zの合計が1に等しく、yおよびzの少なくとも一方は0以外であり、xは特に0.2から0.98、さらには特に0.4から0.95であることが可能であることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載のリン酸塩。
【請求項7】
Lnが、セリウムおよびテルビウムから選択される少なくとも1種の希土類金属、または上記2種の希土類金属の少なくとも一方と組み合わされたランタンを表す、希土類金属(Ln)リン酸塩に基づく燐光体であって、モナザイト型の結晶構造を有し、またカリウムを含有し、カリウム含有量が最大350ppmであることを特徴とする燐光体。
【請求項8】
カリウム含有量が少なくとも10ppm、さらには特に少なくとも50ppmであることを特徴とする、請求項7に記載の燐光体。
【請求項9】
(012)面において測定されるコヒーレント長が少なくとも250nmである粒子からなることを特徴とする、請求項7または8に記載の燐光体。
【請求項10】
(012)面において測定されるコヒーレント長が280から350nmである粒子からなることを特徴とする、請求項7から9の一項に記載の燐光体。
【請求項11】
平均径が1から15μm、分散指数が最大0.5である粒子からなることを特徴とする、請求項7から10の一項に記載の燐光体。
【請求項12】
請求項1から6の一項に記載の燐光体を作製する方法であって、
−希土類金属(Ln)塩化物を含有する第1の溶液を、リン酸イオンを含有し初期pHが2未満である第2の溶液に連続的に導入する段階と、
−第2の溶液への第1の溶液の導入中、結果として生じる媒体のpHを2未満の一定値で制御し、これにより沈殿物が得られる段階であって、第1の段階について第2の溶液を2未満のpHで設定すること、もしくは第2の段階についてpHを制御すること、またはこの両方が、少なくとも部分的には水酸化カリウムを用いて行われる段階と、
−結果として生じる沈殿物を回収し、場合により、650℃を下回る温度でか焼する段階と、
−得られた生成物を再度温水に分散させ、その後液体媒体から分離する段階とを含む方法。
【請求項13】
請求項1から6の一項に記載のリン酸塩または請求項12に記載の方法によって得られる燐光体を、少なくとも1000℃の温度でか焼することを特徴とする、請求項7から11の一項に記載の燐光体を作製する方法。
【請求項14】
か焼を、還元性雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プラズマシステム、水銀蒸気ランプ、液晶システムのバックライト用ランプ、水銀なしの三色ランプ、発光ダイオードによる励起用デバイスまたは紫外線励起マーキングシステム型のデバイスであって、請求項7から11の一項に記載の燐光体、または請求項13または14に記載の方法によって得られる燐光体を含む、または用いて製造されることを特徴とするデバイス。

【公表番号】特表2012−509241(P2012−509241A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536853(P2011−536853)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065391
【国際公開番号】WO2010/057921
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】