説明

塑性変形による熱的影響度の測定方法及び装置

【課題】 赤外線センサを利用して、繰返し荷重が付加される試料での塑性変形による熱的影響を精度良く測定する。
【解決手段】 加振機10により試料16に一定の繰返し周波数で引張荷重と圧縮荷重とを交互に繰り返し加える。このときの試料16の温度変化を赤外線カメラ18により検出する。この赤外線カメラ18が出力する温度検出信号に前記繰返し周波数の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ波形信号を乗じる。これにより生成された信号を時間積分して前記試料16における塑性変形の熱的影響度を示す指標となる値を算出し、画像表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フレーム等の構造材に繰返し荷重が加えられたときの塑性変形による熱的影響度を測定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外線サーモグラフィの発達により、熱弾性効果による試料の温度変動を測定する技術の開発が進められている。ここでいう熱弾性効果とは、物体が断熱的に弾性変形したときにその物体に生じる応力と温度変化との関係をいい、当該関係は一般に次式で表される。
【0003】
Δt/t=−k・Δσsum …(1)
ここで、tは物体の絶対温度、Δtは温度変化量、kは熱弾性係数、Δσsumは主応力和σsumの変化量を示す。この式に示されるように、試料の絶対温度tを一定とすれば、試料の温度変化量Δtは主応力和の変化量Δσsumに比例するので、当該温度変化量Δtを赤外線サーモグラフィ等を用いて測定することにより、主応力和の変化量Δσsumも容易に求めることが可能になる。
【0004】
例えば特許文献1には、試料を加振して繰返し応力を発生させ、そのときの温度変化を赤外線により捉え、その温度変化量に基づいて応力分布画像を形成し、表示するようにした応力画像システムが開示されている。
【特許文献1】特開平6−26947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記繰返し荷重の付加に伴う温度変動は非常に微小であるため、その測定精度を高めるには、検出信号からノイズ成分を除去することが望まれる。その手段としては、図9(a)に示すように、赤外線センサの出力する温度検出信号にその温度検出信号の周期T(すなわち荷重の繰返し周期)と同周期の波形をもった周期信号を参照信号として乗算することが考えられる。このような乗算処理により生成される信号を時間積分すれば、前記温度検出信号に含まれるノイズ成分はランダムであるために正負に振り分けられてトータル的に相殺される一方、実際の温度変化による成分は正値化されて残存するため、結果として前記ノイズ成分が除去された温度変動分を抽出することが可能である。
【0006】
ところが、このような手法は前記試料の弾性変形による熱影響の測定には有効であるものの、当該手法によると塑性変形による熱影響については適正な測定結果が得られないという課題が判明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題を解決すべく、塑性変形による熱的影響について検討を行った結果、当該塑性変形では、弾性変形と異なり、図9(b)に示すように荷重の繰返し周期Tの1/2の周期T/2で(換言すれば荷重の繰返し周波数の2倍の周波数で)引張荷重であると圧縮荷重であるとにかかわらず試料の温度が上昇することを突き止めた。このように荷重の繰返し周波数の2倍の周波数で温度変動が生じるのは、塑性変形では弾性変形と異なり荷重の付加の度に転位すなわち原子配列のずれが進行し、これに伴って大きな熱エネルギーが放散されるためであると考えられる。このような塑性変形による波形に対しても従来と同様に前記荷重の繰返し周波数と同じ周波数の参照信号を乗算すると前記温度上昇分が正負に振り分けられてしまい、これを積分処理すると相殺され測定結果が残らなくなってしまう。そこで、本発明者等は、従来用いられていた参照信号に比して周波数が2倍の参照信号を用いることに想到した。
【0008】
本発明は、以上のような検討の結果なされたものであり、一定の繰返し周波数で引張荷重と圧縮荷重とが交互に繰り返し加えられる試料の塑性変形による熱的影響度を測定する方法であって、引張荷重と圧縮荷重とが前記繰返し周波数で交互に繰返し加えられる試料の温度変化を赤外線センサにより検出する操作と、この赤外線センサが出力する温度検出信号に前記繰返し周波数の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ周期信号を乗じる操作と、これにより生成された信号を時間積分する操作とを含み、これらの操作に基づいて前記塑性変形による熱的影響度の指標となる値を算出するものである。
【0009】
また本発明は、一定の繰返し周波数で引張荷重と圧縮荷重とが交互に繰り返し加えられる試料の塑性変形による熱的影響度を測定する装置であって、試料に対し前記繰返し周波数で引張荷重と圧縮荷重とを交互に繰返し加える荷重付加手段と、前記荷重が加えられている試料の温度を検出する赤外線センサと、この赤外線センサの出力信号に前記繰返し周波数の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ周期信号を乗じる乗算処理手段と、この乗算手段により生成された信号を時間積分する積分処理手段とを備え、この積分処理手段により算出された値に基づいて前記塑性変形による熱的影響度の指標となる値を出力するものである。
【0010】
以上の構成によれば、赤外線センサが出力する温度検出信号に対し、荷重の繰返し周波数の2n倍の周波数をもつ周期信号が乗ぜられるので、前記温度検出信号に含まれるノイズ成分は除去しながら、前記繰返し周波数の2倍の周波数で発生する温度上昇分すなわち塑性変形に起因する温度上昇分を生成信号に残すことが可能であり、当該生成信号を積分処理することによって前記塑性変形による熱的影響度の指標となる値を算出することができる。
【0011】
なお、前記構成のうち、「赤外線センサが出力する温度検出信号に前記繰返し周波数の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ周期信号を乗じる」とは、必ずしも前記温度検出信号に直接周期信号を乗じるものに限らない。例えば、前記温度検出信号に増幅処理等の適当な信号処理を施してから前記周期信号を乗じるものを除外する趣旨ではない。
【0012】
また、「これらの操作に基づいて前記塑性変形による熱的影響度の指標となる値を算出する」や、「この積分処理手段により算出された値に基づいて前記塑性変形による熱的影響度の指標となる値を出力する」とは、前記積分処理により得られた値をそのまま測定値として採用するものの他、当該値に適当な換算処理等を施したものを測定値とするものも含む趣旨である。
【0013】
前記周期信号としては、予め設定された一定のものを使用するようにしてもよいが、前記荷重付加手段により前記試料に加えられる荷重を検出する荷重センサと、この荷重センサの出力信号に基づいて当該出力信号の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ周期信号を作成する周期信号作成手段とを備え、この周期信号作成手段が作成する周期信号を前記赤外線センサの出力信号に乗じるように前記乗算処理手段が構成されたものによれば、実際に試料に与えられる荷重の繰返し周波数に整合する周期信号を用いてより精度の高い熱影響の測定を行うことができる。
【0014】
また、本発明では、前記測定装置に加え、当該測定装置から出力される値の前記試料における分布を画像表示する表示手段を備えることにより、前記試料における塑性変形の熱的影響度の分布を示す適正な画像を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、赤外線センサを利用して塑性変形による熱的影響度を的確に測定することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好ましい実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0017】
図1に示す測定装置は、荷重付加手段である加振機10と、赤外線センサを内蔵する赤外線カメラ20と、信号処理装置30と、パーソナルコンピュータ40とを備えている。
【0018】
加振機10は、上下方向に相対向して配置される一対のシリンダ11,12を備え、各シリンダ11,12の先端に試料挟持部材13,14が設けられている。そして、これらの試料挟持部材13,14によって試料16が上下から挟持された状態で各シリンダ11,12が相互逆向きに一定の繰返し周期T及び一定の繰返し周波数fで伸縮作動することにより、当該周期T及び周波数fで前記試料16に引張荷重と圧縮荷重とが交互に加えられるようになっている。
【0019】
この加振機10にはロードセル18が組み込まれ、当該加振機10から前記試料16に加えられる荷重の検出信号(荷重信号)が前記ロードセル18から出力されるようになっている。
【0020】
前記赤外線カメラ20は、前記試料16の表面から放出される赤外線(波長約10μm)を光学系でスキャンし、これを二次元配列された赤外線センサに入射して電気信号に変換し、これを画像信号(温度検出信号)として出力するものである。
【0021】
信号処理装置30は、前記ロードセル18及び前記赤外線カメラ20から出力される信号を受け、これに適当な処理を施して塑性変形による熱的影響度の指標となる測定値を演算し、これを二次元データすなわち画像信号としてパーソナルコンピュータ40に出力するものであり、具体的には、図2に示すような参照信号作成部32、乗算処理部34、及び積分処理部36を備えている。
【0022】
参照信号作成部32は、前記ロードセル18が出力する荷重信号を信号処理して参照信号を作成するものである。具体的に、この実施の形態では、前記ロードセル18が前記荷重信号として前記繰返し周波数fをもつ正弦波信号を出力することになるが、前記参照信号作成部32は、前記正弦波信号に基づいて前記繰返し周波数fの2倍の周波数2fをもつ矩形波信号(図3(a)(b)の中央に示される信号)を前記参照信号として作成するとともに、外部から入力される位相調整指令によって前記参照信号の位相を調整するように構成されている。その位相調整については後述する。
【0023】
乗算処理部34は、前記赤外線カメラ20の出力信号に前記参照信号を乗じる処理を行う。
【0024】
この出力信号には、前記試料16の弾性変形による温度変化分と、塑性変形による温度変化分と、ノイズ成分とが含まれることになるが、このうち、前記弾性変形による温度変化分は図3(a)の左側に示されるように前記繰返し周期Tと同一の周期Tをもつ(換言すれば前記繰返し周波数fと同一の周波数fをもつ)正弦波となるのに対し、前記塑性変形による温度変化分は、同図(b)の左側に示されるように前記繰返し周期Tの半分の周期T/2で(換言すれば前記繰返し周波数fの2倍の周波数2fで)正側にのみ立ち上がる波形となる。その一方、ノイズ成分は規則性がなくてランダムとなる。
【0025】
従って、このような成分をもつ赤外線カメラ20の出力信号に対し、前記塑性変形による温度変化分の立ち上がりタイミングと前記参照信号の立ち上がりタイミングとがほぼ合致する位相差で当該参照信号の位相を乗じると、前記弾性変形による温度変化分は図3(a)の右側に示されるように正負に均等に振り分けられるのに対し、前記塑性変形による温度変化分は図3(b)の右側に示されるように全て正値として抽出されることになる。
【0026】
積分処理部36は、前記乗算処理部34の乗算処理により生成された信号を特定時間(例えば2分)にわたって時間積分し、これによって得られた値を測定値として二次元データすなわち画像信号としてパーソナルコンピュータ40に出力する。
【0027】
このような時間積分処理がなされると、前記乗算処理部34の生成信号のうちの弾性変形による温度変化分は正負に振り分けられているため総じてゼロとなり、またノイズ成分もランダムであるためにほぼ相殺されることになる。これに対して塑性変形による温度変化分は全て正値として前記生成信号に含まれているので、当該温度変化分のみが前記測定値に残存する。従って、この測定値は前記塑性変形による熱的影響度を示す指標となる。
【0028】
パーソナルコンピュータ40は、前記積分処理部36から出力された画像信号に基づいて前記試料16における測定値の分布を示す画像を形成し、これをディスプレイに表示する。この表示画像を参照すれば、前記繰返し荷重により試料に生じた塑性変形による熱的影響度合(すなわち温度変動)を一目で把握することが可能である。
【0029】
ここで、前記赤外線カメラ20の出力信号及び参照信号の位相については、両信号間に多少のずれがあっても塑性変形による温度変動分の抽出が可能であるが、図3(b)に示されるように塑性変形による温度上昇のタイミングと参照信号の立ち上がりのタイミングが完全に合致するように当該参照信号の位相を調整すれば、最も顕著な態様で前記測定値を得ることができる。このような位相の調整は、例えば信号処理装置30に位相調整つまみを設けておき、装置の使用者が画像を見ながら前記測定値の表示が最も顕著になるように手動で位相調整をするようにしてもよいし、例えばパーソナルコンピュータ40が前記積分処理部36から出力される画像信号に基づいて前記参照信号作成部32に位相調整指令を出力する(すなわち自動調整する)ように構成してもよい。
【0030】
後者の場合、例えば前記画像信号に含まれる負値成分を最も小さくするような位相調整信号をフィードバック信号として前記参照信号作成部32に入力するようにすればよい。すなわち、前記赤外線カメラ20の出力信号と参照信号との位相差が適正であれば弾性変形による温度変化分は完全に相殺されて負値は存在しなくなるはずであるから、当該負値が最も小さくなるように前記参照信号の位相を調整すれば、塑性変形による温度上昇のタイミングと参照信号の立ち上がりのタイミングを確実に合致させることができる。
【0031】
なお、図1に示した装置は、温度検出信号から塑性変形による温度変動分のみを抽出して画像表示する構成となっているが、これと併せて、従来のように弾性変形による温度変動分も抽出して別の画像に表示あるいは同じ画像に重ねて表示するようにしてもよい。その場合、前記温度検出信号に対して前記のように繰返し周波数fの2倍の周波数2fをもつ参照信号を乗じる乗算処理部34に加え、これと並行して前記温度検出信号に繰返し周波数fと同等の周波数をもつ参照信号を乗じる乗算処理部を追加するようにすればよい。
【0032】
また、参照信号の具体的な波形は図示のような矩形波に限らず、前記繰返し周波数fの2倍の周波数2fをもつ周期信号であればよい。例えば、前記ロードセル18の出力する荷重信号をその周波数が2倍になるように変調しただけの正弦波信号を前記参照信号として用いることも可能である。
【0033】
参照信号の周波数も繰返し周波数fの2倍に限らず、そのn倍(nは自然数)の周波数であればよい。例えば図3(c)に示すように繰返し周波数fの4倍の周波数をもつ周期信号(すなわち繰返し周期Tの1/4の周期T/4をもつ周期信号)を参照信号として用いても、同図に示されるように塑性変形による温度変化分の抽出が可能である。
【0034】
この参照信号は、必ずしも前記赤外線カメラ20の出力信号に直接乗じなくてもよく、例えば当該出力信号に適当な調整処理(例えば増幅処理や平滑化処理)を施したものに前記参照信号を乗じるようにしてもよい。同様に、乗算処理部34による乗算処理と積分処理部36の積分処理との間に別の適当な信号処理を介在させてもよいし、積分処理部36の積分処理で得られた値に適当な換算処理を施した値を測定値として出力するようにしてもよい。
【実施例1】
【0035】
前記試料16として、図4(a)(b)に示すような円形透孔52をもつ鋼板50を採用し、次の条件下で測定を行った。
【0036】
・試料寸法:板幅30mm,板厚3mm,孔径10mm
・荷重の繰返し周波数f:10Hz(参照信号の周波数2f=20Hz)
・荷重振幅:9kN/18kN
その結果を図5及び図6に示す。このうち、図5は荷重振幅が9kNと小さく、試料16がその全域にわたって弾性変形にとどまる条件下での測定結果を示し、図6は荷重振幅が18kNと大きくて試料16に局所的に塑性変形が生じる条件下での測定結果を示している。
【0037】
具体的に、図5及び図6における(a)は、比較法(赤外線カメラが出力する温度検出信号に前記繰返し周波数fと等しい周波数の波形をもつ参照信号を乗じてから時間積分する方法)を用いて得られた測定値を二次元表示した画像であり、(b)は(a)における線分AB上での応力分布の前記従来法による測定結果及び解析結果を示し、(c)は本発明法(温度検出信号に前記繰返し周波数fの2倍の周波数の波形をもつ参照信号を乗じてから時間積分する方法)を用いて得られた測定値を二次元表示した画像である。
【0038】
なお、図5及び図6における(a)(c)は応力値の高低に応じて着色されたカラー画像を模擬的に点描画像として描いたもので、その点描密度が高い領域ほど測定値が高い(すなわち温度変動及び応力が高い)領域であることを示している。
【0039】
図5(b)に示されるように、弾性変形域では、比較法による測定結果が解析結果とほぼ一致しており、高精度の測定が行われていることを確認することができる。ところが、図6(b)に示されるように、塑性変形域では、前記比較法による測定結果が解析結果と大きく異なっており、しかも、このとき得られる画像(図6(a))が前記弾性変形の範囲で得られる画像(図5(a))とがほとんど差のないものとなっている。この結果は、前記比較法では塑性変形による熱的影響を測定値にほとんど反映させることができないという事実を物語っている。
【0040】
これに対し、図6(c)に示すように、本発明方法により得られた画像では、破線で示される円孔52の周縁に高温度領域が明瞭に示されており、この領域は解析により求められた塑性変形領域(図7)と合致している。
【0041】
さらに、本発明方法による測定精度を確認するため、荷重振幅と、本発明方法により得られる円孔直近での応力相当値の最大値との関係を調べた。なお、ここでいう「応力相当値」とは、温度検出信号に前記繰返し周波数fの2倍の周波数の波形をもつ参照信号を乗じてから時間積分して得られた値をΔtとして前記(1)式に代入して得られた値であり、実際の応力そのものの値ではないが、応力と同じディメンジョン(MPa)を有する値である。
【0042】
その結果を図8に示す。同図に示されるように、本発明方法により得られる応力相当値の最大値は、荷重振幅が約14Nを超える領域で急激に跳ね上がっているが、その境界となる荷重振幅は、解析により求められた塑性開始荷重(塑性変形が始まる荷重;図では太線表示)とほぼ合致している。
【0043】
この結果からも、本発明方法によれば塑性変形域における応力を高精度で測定できることが十分に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態にかかる塑性変形による熱的影響度の測定装置の全体構成を示す図である。
【図2】前記測定装置における信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】(a)(b)(c)は本発明方法における乗算処理を示す図である。
【図4】(a)は本発明の実施例で使用する試料の平面図、(b)は同試料の断面側面図、(c)は同試料に対する赤外線カメラの撮影領域を示す図である。
【図5】前記試料に低荷重を付加したときの測定結果を示すものであって(a)は比較法により得られる画像を示す図、(b)は当該比較法による測定結果と解析結果とを示したグラフ、(c)は本発明方法により得られる画像を示す図である。
【図6】前記試料に高荷重を付加したときの測定結果を示すものであって(a)は比較法により得られる画像を示す図、(b)は当該比較法による測定結果と解析結果とを示したグラフ、(c)は本発明方法により得られる画像を示す図である。
【図7】解析により求められた塑性変形領域を示す図である。
【図8】本発明方法により求められた荷重振幅と応力相当値の最大値との関係を示すグラフである。
【図9】(a)(b)は本発明と異なる方法による乗算処理を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 加振機(荷重付加手段)
16 試料
18 ロードセル(荷重センサ)
20 赤外線カメラ
30 信号処理装置
32 参照信号作成部(周期信号作成手段)
34 乗算処理部
36 積分処理部
40 パーソナルコンピュータ(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の繰返し周波数で引張荷重と圧縮荷重とが交互に繰り返し加えられる試料の塑性変形による熱的影響度を測定する方法であって、引張荷重と圧縮荷重とが前記繰返し周波数で交互に繰返し加えられる試料の温度変化を赤外線センサにより検出する操作と、この赤外線センサが出力する温度検出信号に前記繰返し周波数の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ周期信号を乗じる操作と、これにより生成された信号を時間積分する操作とを含み、これらの操作に基づいて前記塑性変形による熱的影響度の指標となる値を算出することを特徴とする塑性変形による熱的影響度の測定方法。
【請求項2】
一定の繰返し周波数で引張荷重と圧縮荷重とが交互に繰り返し加えられる試料の塑性変形による熱的影響度を測定する装置であって、試料に対し前記繰返し周波数で引張荷重と圧縮荷重とを交互に繰返し加える荷重付加手段と、前記荷重が加えられている試料の温度を検出する赤外線センサと、この赤外線センサの出力信号に前記繰返し周波数の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ周期信号を乗じる乗算処理手段と、この乗算手段により生成された信号を時間積分する積分処理手段とを備え、この積分処理手段により算出された値に基づいて前記塑性変形による熱的影響度の指標となる値を出力することを特徴とする塑性変形による熱的影響度の測定装置。
【請求項3】
請求項2記載の塑性変形による熱的影響度の測定装置において、前記荷重付加手段により前記試料に加えられる荷重を検出する荷重センサと、この荷重センサの出力信号に基づいて当該出力信号の2n倍(nは自然数)の周波数をもつ周期信号を作成する周期信号作成手段とを備え、前記乗算処理手段は前記周期信号作成手段が作成する周期信号を前記赤外線センサの出力信号に乗じることを特徴とする塑性変形による熱的影響度の測定装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の塑性変形による熱的影響度の測定装置と、この測定装置から出力される値の前記試料における分布を画像表示する表示手段とを備えたことを特徴とする塑性変形による熱的影響度の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−29963(P2006−29963A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208890(P2004−208890)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年1月20日 社団法人日本非破壊検査協会主催の「第35回 応力・ひずみ測定と強度評価のシンポジウム」において文書をもって発表
【出願人】(501363028)
【出願人】(504113064)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】