説明

塗れ性の優れる絶縁被膜剤とそれを用いた無方向性電磁鋼板の製造方法

【課題】 処理剤の表面接触角を低下と処理剤の鋼板への反応の均一化と塗布性の向上を得、高速ラインにおいて極めて優れた被膜性能を有する均一被膜を得る。これにより、薄塗り被膜での外観、耐食性、溶接性等を有する無方向性電磁鋼板の製造が可能となる。
【解決手段】 絶縁被膜剤溶液の表面接触角が35度以下であることを特徴とする塗れ性の優れる絶縁被膜剤。その固形分として第一リン酸Mg:100質量部に対し、第一リン酸Al:5.2〜100質量部、Cr化合物をCrO3として7.2〜36.0質量部、界面活性剤を0.07〜1.74質量部、或いはさらに硼酸0.7〜11.6質量部とからなる無方向性電磁鋼板用絶縁被膜剤。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無方向性電磁鋼板において、高速ラインにおける塗れ性が極めて優れると共に、焼付け後の絶縁被膜の性状として、打ち抜き性、溶接性等被膜特性の優れる絶縁被膜剤とそれを用いた絶縁被膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、無方向性電磁鋼板をモ−タ−やトランスの鉄心に使用する場合には、所定の形状に打ち抜いた後、所定枚数積み重ね、溶接、かしめ或いは接着等により鉄心とされる。また、この際、必要に応じて歪焼鈍が施される。通常、この無方向性電磁鋼板表面には電気絶縁被膜処理が施される。この絶縁被膜としては、絶縁性の他に打ち抜き性、溶接性、耐食性、密着性、占積率等が重要で、焼鈍工程を必要とする場合には焼鈍後の密着性、絶縁性、耐食性等も重要となる。
【0003】従来、絶縁被膜剤としては、無機系、有機系、有機−無機混合系被膜が使用条件や目的に応じて適用されてきた。一般に、無機系被膜は耐熱性や溶接性は優れるが打ち抜き性が劣る。一方、有機被膜の場合には打ち抜き性、密着性は優れるが耐熱性が悪く、溶接性が劣る欠点がある。このような両者の欠点を解決すべく、中間的な特性が得られる有機−無機系被膜が用いられるようになった。
【0004】しかしながら、溶接性を重視する分野においては未だ無機被膜の要求がある。特公昭38−9409号公報には、鉄鋼製品の表面に5〜40%のリン酸、1〜10%の6価のクロムを含む化合物及び1〜8%の硼酸又は硼酸塩を含む水溶液を塗布し、これを200〜800℃に短時間加熱、焼き付けすることを特徴とする表面処理法が提案されている。これにより、優れた占積率、密着性、加工性、層間抵抗、耐食性を有する被膜を容易に、しかも安価に得る方法が示されている。
【0005】また、特公昭48−12300号公報には、質量比で第一リン酸Mg 40質量部と無水クロム酸2〜12質量部含み、さらに硝酸Al又は無定形水酸化Al或いはその両者をAlとして0.4〜2.1質量部含む水溶液よりなることを特徴とする処理剤が提案されている。これにより、絶縁性、密着性、耐食性、占積率、耐熱性、加工性、溶接性等が優れた絶縁被膜が得られることが述べられている。
【0006】更に、特開平1−168005号公報には、クロム酸カルシュウムをCrO3換算で10〜70g/l含有し、酢酸イオンで安定させたアルミナゾルを固形分換算で前記クロム酸カルシュウムのCrO3換算の含有量の25〜75%含有し、還元性の有機化合物を前記クロム酸カルシュウムをCrO3換算の含有量の10〜40%含有する処理液を電磁鋼板表面に乾燥質量で0.5〜4g/m2塗布し、200〜400℃の温度で前記電磁鋼板表面に焼き付けることを特徴とする耐熱性に優れた絶縁被膜形成方法が提案されている。これによれば、被膜形成後の歪焼鈍によっても耐熱性に優れた被膜を、特公昭49−6742号公報のようにアルミナゾルにコロイダルシリカを併用することなく得られることが述べられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の無機成分を基本とするコ−テイング剤やその処理方法においては、被膜成分の鋼板への塗れ性や液の安定性が十分でなく、更には、高速の塗布・焼付け処理ラインにおける液の塗れ性、塗布性問題から生じる打ち抜き性や溶接性不良の問題があり改善が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、無機成分を基本とする絶縁における絶縁被膜剤の塗れ性向上とこれによる打ち抜き性、溶接性の改善をすべく考案されたもので、これにより、従来の無機被膜の欠点を改善して、塗れ性の優れた絶縁被膜剤とそれによる均一性、被膜性能の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とし、以下の構成を要旨とする。
(1) 絶縁被膜剤溶液の表面接触角が35度以下であることを特徴とする塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
(2) 固形分として第一リン酸Mg100質量部に対し、第一リン酸Al5.2〜100質量部、Cr化合物をCrO3として7.2〜36.0質量部、硼酸0.7〜11.6質量部、及び界面活性剤を0.07〜1.74質量部からなる塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
(3) 界面活性剤がH.L.Bが10〜18の非イオン性或いは陰イオン性であることを特徴とする(2)の塗れ性の優れる塗れ性の優れる絶縁被膜処理剤。
(4) 配合する第一リン酸Mg中のMgOとH3PO4のモル数の比が0.40〜0.52、第一リン酸Al中のAl23とH3PO4モル数の比が0.15〜0.19であることを特徴とする(2)(3)の塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
(5) 固形分としてさらに、硼酸0.7〜11.6質量部を添加することを特徴とする(2)〜(4)の塗れ性の優れる絶縁被膜処理剤。
(6) 絶縁被膜剤溶液の表面接触角が35度以下であることを特徴とする(2)〜(5)の塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の絶縁被膜処理剤を、仕上げ焼鈍済みの無方向性電磁鋼板用に、乾燥、焼き付け後の質量で0.7〜3.0g/m2を塗布後、板温400〜550℃で焼き付け処理することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、リン酸塩を主成分とする全無機系絶縁被膜における被膜の処理工程と被膜特性欠点であった、高速塗布・焼付けラインにおける塗れ性不良とこれによりもたらされる打ち抜き性や溶接の問題を解決すべく、液組成や焼付け条件の改善に取り組んだ。
【0010】即ち、従来技術の絶縁被膜技術では、高速ライン、特に、100m/分以上のような高速塗布では、液の塗れ性が十分でなく、均一塗布が困難になり安定した塗布膜が得られない。このため、生産性を阻害するような低速通板や塗れ性向上のため塗布量を増やす等の作業条件の必要が生じる。しかしながら、このような条件変更を行っても、本質的な液塗れ性不良の性質から、目的の付着量に達しても、安定して均一な膜厚を有する製品が得られない問題が残る。
【0011】このため、膜厚増加や不均一被膜を形成すると打ち抜き時にポンチに不均一な欠けをもたらし、打ち抜き性の評価が不利になる。また、膜厚増加や不均一被膜においては、作業条件によっては溶接時に分解ガスによる溶接不良が生じやすい。本発明者らはこのような問題を解決すべく溶液成分や処理条件の研究を行った。その結果、複合リン酸塩溶液における溶液比、クロム酸化合物、硼酸の適正な配合条件を基本液とし、界面活性剤を適切に配合することにより、相乗的な効果により溶液の塗れ性が極めて改善し、外観が優れる均一な膜厚を得ると共に、優れた溶接性、耐食性等の被膜性能が得られる絶縁被膜剤溶液と絶縁被膜形成技術の開発に成功した。以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】まず、本発明の溶液の好ましい表面接触角は35度以下である。表面接触角は固体と液体間の接触角(塗れ)を測定した値で、市販の接触角計(例:協和界面科学製CA−S150型)で測定した値である。本発明者らは、表面接触角が鋼板に絶縁被膜剤を塗布するにあたり、特に、高速塗布ラインでは均一塗布のために非常に重要なことを見出し、その影響について調査検討した。その結果、表面接触角が35度以下に制御されていれば100〜300m/分のような高速通板速度においても良好な塗れ性と均一な絶縁被膜が形成できることを突き止めた。
【0013】表面接触角を適正に下げるためにはH.L.B値10〜18の非イオン系界面活性剤及び/又は陰イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤は構造的に一定の大きさの親水基と疎水基を分子内に持っており、このため界面活性を示す。この親水基と疎水基のバランスをH.L.Bと呼び、現在では界面活性剤の親水性を示す概念として用いられている。H.L.B値:10〜18が優れる理由は明確ではないが、高速通板の鋼板への塗布性試験においてこの範囲のものが特に優れた塗れ性改善効果を発揮することを突き止めた。
【0014】次に、本発明における限定理由を述べる。本発明においては、先ず、その処理剤に特徴がある。本発明の絶縁被膜剤の液組成においては、複合リン酸と他のクロム化合物、界面活性剤、硼酸の配合割合が重要である。先ず、複合リン酸塩の組成は被膜剤の塗布性と焼付け後の外観を左右するため重要である。即ち、主成分のリン酸塩としては、第一リン酸Mg:100質量部に対し、第一リン酸Alを5.2〜100質量部添加した複合塩が用いられる。この複合塩により、溶液の塗れ性と焼付け被膜の良好な外観が得られる。5.2質量部未満では液の塗れ性が低下する。一方、100質量部超では被膜外観が白濁傾向で、特に塗布量を3.0g/m2以上とした場合には他の成分のバランスによっては外観を損ない、安定域が狭まるため制限される。
【0015】また、この際のそれぞれのリン酸塩中の金属酸化物とリン酸のモル比は、溶液の安定性や被膜塗れ性、外観に影響するため、リン酸Mgの場合0.40〜0.52、リン酸Alの場合0.15〜0.19に制御するのが好ましい。第一リン酸Mgのモル比が0.40未満では、フリーリン酸の増加によりCr化合物の添加量や焼付け温度の最適範囲が狭まるため制限される。0.52超の場合には過剰MgOによる被膜外観、特に、透明度の劣化が生じ商品価値を損なうため制限される。第一リン酸Alのモル比も同様の理由により制限される。
【0016】クロム化合物としては、CrO3或いはMg,Al,Ca等の重クロム酸塩等のCr化合物の1種又は2種以上がCrO3として、第一リン酸Mg100質量部あたり7.2〜36.0質量部添加される。これにより、絶縁被膜溶液の安定性、焼き付け後の吸湿性、耐食性、耐熱性が向上する。7.2質量部未満では耐食性が低下し、光沢も低下する。また、焼き付け時の条件によってはリン酸分による鋼板表面のエッチングによるムラが生じ、外観を悪くする。また、被膜中のフリ−リン酸の増加により溶接性においても不利となる。一方、36.0質量部超になると、Cr還元のために焼き付け温度を変更する問題の他、溶液自体の表面張力が上がり、塗れ性を低下する場合があるため制限される。硼酸は被膜外観と耐熱性を向上するため重要である。
【0017】硼酸(H3BO3)は、第一リン酸Mg:100質量部あたり0.7〜11.6質量部が配合される。添加された硼酸は、被膜外観の向上と塗れ性向上に寄与する。これにより美麗な薄塗り被膜形成が促進される。0.72質量部未満では被膜外観の透明化や光沢向上効果が得られない。一方、11.6質量部超になると余剰の硼酸分によると思われる吸湿が生じる傾向が見られ、耐食性に影響をもたらすため制限される。
【0018】また、界面活性剤は本発明の重要な被膜成分の役割を有しており、第一リン酸Mg:100質量部に対し0.07〜1.74質量部の割合で配合される。界面活性剤は被膜剤溶液の塗れ性向上と均一な被膜形成に寄与する。本発明のように界面活性剤を適正に用いることにより、高速塗布ラインでの塗布性が向上し、均一な膜厚みを有する絶縁被膜を形成できる。このため、薄膜で被膜性能の優れる絶縁被膜が得られる。0.07質量部未満では塗れ性改善効果が弱い。一方、1.74質量部超では、界面活性剤によるそれ以上の塗れ性向上効果は生じないばかりか、液循環或いは攪拌により泡を多量に発生し、塗布時に泡の巻き込みが生じて被膜外観を劣化する。極端な場合には耐食性、溶接性等の劣化をもたらす傾向があるため制限される。
【0019】界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤或いは陰イオン界面活性剤が好ましく、より好ましい界面活性剤としてはポリオキシエチレンラウリルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル或いはポリカルボン酸系が本発明の絶縁被膜剤には優れた効果を発揮する。また、この本発明の絶縁被膜剤における界面活性剤の添加においては、高濃度の界面活性剤を一気に添加配合すると前記被膜成分の微細な析出が生じて塗れ性や外観に影響をもたらす場合がある。この対策としては、界面活性剤を予め、温水で0.1%以下の希釈液とした後、溶液を攪拌しながら徐々に添加すると良い。本発明においては溶液の表面接触角は35度以下としたものがより良い適用条件である。
【0020】また、硼酸の添加法は、複合リン酸塩にクロム化合物を配合した液を目的の濃度近くまで希釈した後、溶液を40〜60℃に加熱した後添加することにより容易に溶解できる。本発明の絶縁被膜剤は連続ラインにおいて、最終板厚に冷延下鋼板を焼鈍し、コ−テイングロ−ルによって塗布し焼付け処理される。この際の塗布量は0.7〜3.0g/m2であれば外観、密着、溶接、打ち抜き性の優れた製品が得られる。塗布量0.7g/m2未満では、鋼板粗度等の表面状態によっては、極端に膜厚が不足して十分な耐食性が得られない場合がある。一方、3.0g/m2超では、外観が不透明化したり、均一性が損なわれる他、溶接性、打ち抜き性の劣化が生じる場合があり制限される。また、焼付け条件としては400〜550℃の温度が望ましい。400℃未満では、リン酸分とクロム化合物の反応が十分に進行せず、形成した被膜が吸湿性を増す結果、耐食性をもたらす。一方、550℃超では、被膜の発粉現象を生じて外観を劣化したり、打ち抜き性を劣化するため好ましくない。
【0021】
【実施例】(実施例1)質量でSi:0.35%、Al:0.002%、Mn:0.25%を含有する板厚0.5mmの無方向性電磁鋼板冷延コイルを連続焼鈍ラインで焼鈍後、同ラインにて表1に示すような絶縁被膜剤を乾燥後の質量で1.5g/m2(片面あたり)塗布し、到達板温500℃で焼き付け処理を行った。この後、この製品からサンプルを切り出し被膜性能について調査した。結果を表2に示す。
【0022】
【表1】


【0023】
【表2】


【0024】この試験の結果、本発明の材料は高速コ−テイング試験において、何れも非常に良好な塗れ性と耐食性を示し、溶接試験結果も良好であった。しかしながら、比較剤のリン酸塩バランス、CrO3量が不適切な場合には同一の界面活性剤を用いても塗れ性や被膜外観が十分でなく、耐食性が劣る結果となった。また、界面活性剤を用いない例では、何れも塗れ性、被膜外観が不良で、はじき部や斑の発生した部分では耐食試験で錆びの発生が多く見られた。
(実施例2)実施例1と同一素材を用い、連続焼鈍ラインにおいて同様にして処理し、表3に示すように界面活性剤の添加条件を変更した絶縁被膜剤を乾燥後質量で1.2g/m2の割合でラインスピ−ドを変更して塗布し、450℃で焼付けを行った。この後、このコイルからサンプルを切り出し、被膜性能の評価を行った。結果を表4に示す。
【0025】
【表3】


【0026】
【表4】


【0027】この試験の結果、界面活性剤としての添加量が少ないものは、表面接触角の低下がやや不十分で、塗れ性、耐食試験で僅かに劣る傾向であった。しかし、添加量が0.4〜0.8質量部の場合には、極めて良好な表面接触角低下効果と塗れ性改善が見られ、塗膜均一化効果が優れるため耐食性も非常に良好であった。しかしまた、界面活性剤のH.L.Bの異なるものの比較では低すぎる場合、高すぎる場合の何れも塗り斑がやや見られた。また、比較例の界面活性剤無添加或いは添加量が非常に少ない場合には表面接触角が高く、塗れ性改善が十分に得られず、耐食性においても不良であった。また、界面活性剤が多すぎる比較例においても泡巻き込みの影響で不均一な模様(斑点)が生じ、錆の発生が見られた。
(実施例3)実施例1、2と同様に連続焼鈍ラインにおいて表5に示すような、リン酸塩のモル比、絶縁被膜焼き付け後の付着量及び焼き付け条件を変更して絶縁被膜焼付け処理をした。次いでこのコイルからサンプルを切り出し被膜性能評価試験を行った。結果を表6に示す。
【0028】
【表5】


【0029】
【表6】


【0030】この試験の結果、リン酸塩のモル比が低い場合には耐食性、溶接性がやや劣る傾向が見られ、モル比が高い場合には被膜の外観がやや損なわれる傾向が見られた。また、硼酸添加量が少ない場合には被膜外観の透明度がやや損なわれ、多すぎる場合には耐食性の低下する傾向が見られた。更に、付着量が少な過ぎる場合には耐食性が劣り、多すぎる場合には溶接性の低下が見られた。同様に、焼付け温度が低すぎる場合には耐食性と溶接性が低下し、高すぎる場合には外観が劣る結果となった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、複合リン酸塩の配合条件、Cr化合物、硼酸添加量及び界面活性剤の適正配合条件の採用によって、処理剤の表面接触角を低下と処理剤の鋼板への反応の均一化と塗布性の向上を得、高速ラインにおいて極めて優れた被膜性能を有する均一被膜を得る。これにより、薄塗り被膜での外観、耐食性、溶接性等を有する無方向性電磁鋼板の製造が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁被膜剤溶液の表面接触角が35度以下であることを特徴とする塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
【請求項2】 固形分として第一リン酸Mg100質量部に対し、第一リン酸Al5.2〜100質量部、Cr化合物をCrO3として7.2〜36.0質量部、及び界面活性剤を0.07〜1.74質量部からなる塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
【請求項3】 界面活性剤がH.L.Bが10〜18の非イオン性或いは陰イオン性であることを特徴とする請求項2記載の塗れ性の優れる絶縁被膜処理剤。
【請求項4】 配合する第一リン酸Mg中のMgOとH3PO4のモル数の比が0.40〜0.52、第一リン酸Al中のAl23とH3PO4モル数の比が0.15〜0.19であることを特徴とする請求項2もしくは3記載の塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
【請求項5】 固形分としてさらに、硼酸0.7〜11.6質量部を添加することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の塗れ性の優れる絶縁被膜処理剤。
【請求項6】 絶縁被膜剤溶液の表面接触角が35度以下であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載塗れ性の優れる絶縁被膜剤。
【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の絶縁被膜処理剤を、仕上げ焼鈍済みの無方向性電磁鋼板用に、乾燥、焼き付け後の質量で0.7〜3.0g/m2を塗布後、板温400〜550℃で焼き付け処理することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。

【公開番号】特開2002−317276(P2002−317276A)
【公開日】平成14年10月31日(2002.10.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−123200(P2001−123200)
【出願日】平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】