説明

塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物

【解決手段】(A)ノニオン性界面活性剤、(B)カチオン性殺菌剤、(C)亜硫酸塩、及び(D)水溶性高分子物質を含有してなり、前記(A)成分を0.2〜3.0質量%、(B)成分を0.1〜2.0質量%、(C)成分を0.5〜4.0質量%配合し、かつ(A)/(B)の質量比が0.3〜15、(B)及び(C)成分の合計配合量が0.6〜5.0質量%の範囲内であり、かつ25℃におけるpHが6.0〜8.5であることを特徴とする塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物。
【効果】上記義歯洗浄用液状組成物は、使用時に義歯に塗布し、その後に義歯を水に浸すなどして洗浄用液状組成物を除去することで、容易に義歯を洗浄でき、優れたステイン汚れの除去効果と義歯浸漬液の防腐力を有し、保存安定性も良好であり、義歯を容易かつ効果的に洗浄して清潔に維持することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯に塗布して適用され、塗布後に義歯を水に浸漬するなどして洗浄するだけで、義歯の着色汚れに対する除去力と浸漬液の防腐力が優れ、かつ良好な外観安定性を有する、義歯への塗布に適した塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会の到来に伴い、義歯の使用者は年々増加する傾向にある。義歯の使用者は、義歯の手入れが簡単にできないために義歯と口腔内に汚れが溜まり易く、その結果、義歯に対する様々な不具合を感じている。その1つとして義歯汚れが挙げられる。義歯装着者が気にする義歯汚れの代表例として、デンチャーバイオフィルム(デンチャープラーク)に由来するヌメリ汚れ、着色汚れ(ステイン、タバコヤニ)、義歯臭、歯石等が挙げられる。
【0003】
義歯汚れを除去するための方法としては、ブラッシングによる機械的除去と義歯洗浄剤やみがき剤の使用による化学的除去がある。しかし、ブラッシングによる機械的除去だけでは、狭い隙間や入れ歯表面に付着した汚れを完全に除去することは困難であるため、効果的に義歯汚れを除去するためには機械的除去と化学的除去の2つの方法を併用することが望ましい。
【0004】
化学的除去の点からは、着色汚れに対しては「分解・除去」と「漂白」、デンチャーバイオフィルムと義歯臭に対しては除菌という目的で「殺菌・抗菌」と「除去」というアプローチ法がある。
【0005】
現在市販されている義歯洗浄剤は固体タイプ、特に錠剤タイプのものが主流で、界面活性剤やキレート剤(エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、ポリリン酸塩等)、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩などの過酸化物等)、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ等)が洗浄成分として配合されており、過炭酸塩や過ホウ酸塩等の過酸化物は使用時に発生する過酸化水素が漂白、除菌を発揮するものである。
【0006】
しかしながら、有効成分が過酸化物であるために義歯の金属に対する為害性の面で注意が必要である。また、上記の固体タイプの洗浄剤は、液量に合わせて使用量を調節し難く、使用性の面で問題点がある。特に錠剤タイプの洗浄剤は、1回分単位で包装されており、義歯の大きさが使用者間で大きく異なる部分義歯の洗浄に対しては、使用量調節の面で使用者の不満となっている。固体タイプの洗浄剤はこのような問題点があるのに対して、液体又は液状製剤は使用量の調整が容易であるというメリットがある。
【0007】
また、一般の歯磨剤に配合されている研磨剤は、デンチャーバイオフィルムや着色汚れの除去に対して非常に有効であり、実際に義歯の洗浄・手入れに一般の歯磨剤を使用することもある。しかしながら、一般の歯磨剤に配合されている研磨剤は、義歯のレジン樹脂を傷めるだけでなく、傷んだ樹脂表面に微生物が定着・繁殖し、バイオフィルムの形成を促してしまうという問題がある。
【0008】
従って、このような課題を解消し、義歯の大きさに合わせて使用量を調節でき、過酸化物や研磨剤を用いることなく義歯を洗浄でき、かつ液状タイプで義歯のステイン汚れに対して優れた除去効果を発揮する義歯洗浄用組成物の開発が望まれている。
【0009】
義歯の着色汚れを除去するために、過酸化水素等の過酸化物や亜硫酸塩等の酸化還元能を有する漂白成分の配合は有効である。義歯洗浄用組成物に亜硫酸塩を配合する技術が特許文献1,2(特開2003−96579号公報、特開2003−313685号公報参照)に提案されているが、これらの技術は固体製剤系で用いるものであり、液状剤型で十分なステイン除去性と義歯浸漬液の防腐力を発揮させながら組成物の安定性を維持できるとは認められない。
【0010】
一方、義歯表面にデンチャーバイオフィルムが残ったまま就寝時に浸漬保管すると、微生物の繁殖により義歯臭が発生するため、浸漬液に防腐力(抗菌力)を持たせることが重要である。このためには洗浄剤への殺菌剤(抗菌剤)の配合が不可欠であり、中でもカチオン性殺菌剤は有効である。
【0011】
ここで、ステイン等の義歯汚れに対して洗浄力を持たせたり、香料等の油性成分を可溶化したりするために通常界面活性剤が配合されるが、アニオン性の界面活性剤を配合した場合にはカチオン性殺菌剤と複合体を形成し、カチオン性殺菌剤の効力が低下あるいは消失してしまう。このために、通常は界面活性剤としてノニオン性界面活性剤が用いられる。しかし、汚れ除去効果を向上させるためにノニオン性界面活性剤の配合量を多くすると、殺菌剤がミセルに取り込まれるために効力が低下あるいは消失してしまう。このため、汚れ除去性を発揮させながら殺菌剤の効力を極力阻害しないよう適当な界面活性剤を使用し、また界面活性剤の配合量やカチオン性殺菌剤に対する界面活性剤の配合比を適切に設定することが重要となってくる。
【0012】
カチオン性殺菌剤とノニオン性界面活性剤を含有した口腔用組成物は多く提案されている(特許文献3〜6;特開平4−173728号公報、特開平7−215830号公報、特許第3660169号公報、特開平11−255629号公報参照)。
【0013】
しかしながら、これらの組成物では十分なステイン除去性と義歯浸漬時の防腐力を両立させることは困難である。また、出願人は、カチオン性殺菌剤、ノニオン性界面活性剤、プロテアーゼを含有した濃縮タイプの義歯洗浄用液体組成物を提案した(特許文献7;特開2008−179615号公報参照)。この組成物は、使用時に水で希釈して義歯を漬け置き洗浄する液体組成物であって、義歯洗浄剤を直接義歯表面に塗布する使い方には適していない上、デンチャーバイオフィルムに対して優れた除去力と殺菌力を発揮するものであるが、ステイン除去については十分な効果を得ることは難しい。
【0014】
従って、義歯の大きさに応じて使用量を調節でき、過酸化物や研磨剤を含有しない液状タイプの組成物で、義歯へ容易に適用でき、義歯のステイン汚れ除去効果や義歯浸漬時の浸漬液の防腐力を十分に兼ね備え、かつ高温保存及び低温保存時においても良好な外観安定性を有する義歯洗浄用液状組成物が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−96579号公報
【特許文献2】特開2003−313685号公報
【特許文献3】特開平4−173728号公報
【特許文献4】特開平7−215830号公報
【特許文献5】特許第3660169号公報
【特許文献6】特開平11−255629号公報
【特許文献7】特開2008−179615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、義歯に適用する場合に義歯の大きさに応じて使用量を調節できる液状タイプの義歯洗浄用組成物であって、義歯への適用時の使用性(保型性、分散性、擦り易さ)が優れる上、義歯のステイン汚れに対する除去力と義歯浸漬時の浸漬液の防腐力とを十分に兼ね備え、更には高温保存及び低温保存時の外観安定性にも優れた塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ノニオン性界面活性剤、カチオン性殺菌剤、亜硫酸塩、及び水溶性高分子物質を配合し、ノニオン性界面活性剤、カチオン性殺菌剤、及び亜硫酸塩の配合量、ノニオン性界面活性剤とカチオン性殺菌剤の配合割合、及びカチオン性殺菌剤と亜硫酸塩の合計配合量を適切な範囲とすることにより、義歯に塗布して適用され、特に塗布後の義歯を水に浸漬させて洗浄することができ、義歯に塗布して適用する場合の使用性に優れ、義歯表面へ均一かつ広範囲に良好に付着して塗布することができる上、義歯のステインに対する高い除去力と、義歯に塗布して適用後に水に浸漬した場合の浸漬液の防腐力に優れ、これら特性が両立して発揮されると共に、高温保存及び低温保存下でも良好な外観安定性を有する、塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物を得ることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0018】
なお、出願人は、界面活性剤、亜硫酸塩、水溶性ポリリン酸塩を含有し、亜硫酸塩と水溶性ポリリン酸塩の割合を特定割合とした義歯洗浄用液体組成物を特願2008−329748号に提案したが、これは液体組成物で、液体又は泡状で義歯に適用されるものであって、カチオン性殺菌剤の配合や、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子物質の配合も示されていないもので、いずれにしても本発明とは技術的思想が相違する。
【0019】
本発明において、ノニオン性界面活性剤として酸化エチレンの平均付加モル数が10〜20モルで、アルキル基の炭素数が12〜16であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸残基の炭素数が10〜16で、平均重合度が8〜12であるポリグリセリン脂肪酸モノエステル、及び酸化エチレンの平均重合度が180〜220モルで酸化プロピレンの平均重合度が60〜80モルのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を使用すると、ステインに対する除去力をより向上させることができる。
更に、(E)水溶性ポリリン酸塩を配合することにより、ステインに対する除去力をより増強させることができる。
更に、(F)特定の油溶性香料を配合することにより、義歯装着時に優れた使用実感(サッパリ感)をも発揮させることができる。
【0020】
組成物の粘度は、B型粘度計を用いて測定した25℃における粘度が2,000〜50,000mPa・sであることが好ましい。
また、本発明組成物は、過酸化物を含有しない液状組成であることにより、義歯の金属に対する為害性等の問題がなく、また、研磨剤が無配合の液状組成であることにより、義歯のレジン樹脂を傷めることがない。
本発明組成物は、義歯に塗布後に該義歯を水に浸漬させて洗浄する方法を採用することにより、義歯を効果的に洗浄することができる。
【0021】
従って、本発明は、下記の塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物を提供する。
請求項1;
(A)ノニオン性界面活性剤、(B)カチオン性殺菌剤、(C)亜硫酸塩、及び(D)水溶性高分子物質を含有してなり、前記(A)成分を0.2〜3.0質量%、(B)成分を0.1〜2.0質量%、(C)成分を0.5〜4.0質量%配合し、かつ(A)/(B)の質量比が0.3〜15、(B)及び(C)成分の合計配合量が0.6〜5.0質量%の範囲内であり、かつ25℃におけるpHが6.0〜8.5であることを特徴とする塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物。
請求項2;
(A)ノニオン性界面活性剤が、酸化エチレンの平均付加モル数が10〜20モルでアルキル基の炭素数が12〜16であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸残基の炭素数が10〜16で平均重合度が8〜12であるポリグリセリン脂肪酸モノエステル、及び酸化エチレンの平均重合度が180〜220モルで酸化プロピレンの平均重合度が60〜80モルのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の義歯洗浄用液状組成物。
請求項3;
(D)水溶性高分子物質が、キサンタンガムとセルロース系高分子物質とを併用したものである請求項1又は2記載の義歯洗浄用液状組成物。
請求項4;
(A)成分を0.5〜1.5質量%、(B)成分を0.5〜1.0質量%、(C)成分を1.0〜2.0質量%配合し、かつ(A)/(B)の質量比が1.0〜4.0、(B)及び(C)成分の合計配合量が1.5〜3.0質量%の範囲内であり、かつ25℃におけるpHが7.0〜8.0である請求項1、2又は3記載の塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物。
請求項5:
更に、(E)水溶性ポリリン酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
請求項6;
更に、(F)メントール、ハッカ油、ペパーミント油及びスペアミント油から選ばれる1種以上の油溶性香料成分を含有してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
請求項7;
B型粘度計を用いて測定した25℃における粘度が2,000〜50,000mPa・sである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
請求項8;
過酸化物を含有しない請求項1乃至7のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
請求項9;
研磨剤を含有しない請求項1乃至8のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
請求項10;
義歯に塗布した後に該義歯を水に浸漬させて洗浄するものである請求項1乃至9のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明の義歯洗浄用液状組成物は、義歯への塗布時の使用性(保型性、分散性、擦り易さ)が優れ、塗布後に義歯を水に浸漬する使用方法で、優れたステイン汚れの除去効果と義歯浸漬液の防腐力を発揮し、外観安定性も良好であり、義歯を容易かつ効果的に洗浄して清潔に維持することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の義歯洗浄用液状組成物は、塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物であって、(A)ノニオン性界面活性剤、(B)カチオン性殺菌剤、(C)亜硫酸塩、(D)水溶性高分子物質を含有してなり、更に、(E)水溶性ポリリン酸塩、及び/又は(F)メントール、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油から選ばれる1種以上の油溶性香料成分を含有することができる。
【0024】
本発明において、(A)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のブロック型のポリアルキレングリコール、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド等の脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0025】
ノニオン性界面活性剤としては、ステイン除去性を高める点から、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル、ブロック型のポリアルキレングリコール(特にポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)が好適である。
【0026】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ステイン除去性を高める点から、特に酸化エチレン(以下、EOと略記する。)の平均付加モル数が10〜20モル、アルキル基の炭素数が12〜16であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好適である。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数15)、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル(EO平均付加モル数15)、ポリオキシエチレンアルキル(C12,14)エーテル(EO平均付加モル数15)などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、特にポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数15)が好適に用いられる。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルは、例えば日本エマルジョン(株)、ライオンケミカル(株)等から入手できる市販品を使用できる。
【0027】
ポリグリセリン脂肪酸モノエステルとしては、特に脂肪酸残基の炭素数が10〜16、平均重合度が8〜12であるポリグリセリン脂肪酸モノエステルが好適である。
上記ポリグリセリン脂肪酸モノエステルとしては、カプリル酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、パルミチン酸デカグリセリル等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、特にラウリン酸デカグリセリルが好適に用いられる。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、太陽化学(株)製のカプリル酸デカグリセリル(サンソフトQ−10Y)、ラウリン酸デカグリセリル(サンソフトM−12J)、ラウリン酸デカグリセリル(サンソフトQ−12Y)、ミリスチン酸デカグリセリル(サンソフトQ−14Y)、三菱化学フーズ(株)製のラウリン酸デカグリセリル(L−10D)、ラウリン酸デカグリセリル(L−7D)、ミリスチン酸デカグリセリル(M−10D)などがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して使用できる。
【0028】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、酸化プロピレンを重合して得られるポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドを付加重合させたブロックポリマー型非イオン界面活性剤であり、酸化エチレンの平均重合度が180〜220モルで酸化プロピレンの平均重合度が60〜80モルであるものが好適である。
上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの具体例としては、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(括弧内の数値は平均重合度を示す。)があり、ルトロールF−127、ポロクサマー407などの商品名でBASFジャパン(株)等から販売されているものを使用できる。
【0029】
(A)成分の配合量は、使用性(剤の分散性、擦り易さ)、ステイン除去性、義歯浸漬液の防腐力及び外観安定性の点から、組成物全体に対して0.2〜3.0%(質量%、以下同様。)であり、好ましくは0.5〜1.5%である。0.2%未満では、使用性(剤の分散性、擦り易さ)に劣ったり、十分なステイン除去力が発揮されない。また、水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム等のアニオン性のものを用いる場合や、水難溶性の殺菌剤や油溶性香料を配合する場合には透明性が低下したり、沈殿物が析出したり外観安定性上の問題が発生する場合がある。3.0%を超えると、使用性(擦り易さ)、義歯浸漬液の防腐力及びステイン除去性が低下する。また、義歯装着時の使用実感(サッパリ感)が低下する場合がある。
【0030】
(B)カチオン性殺菌剤としては、例えば塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等のビスグアニド系、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム等の第4級アンモニウム系などが挙げられるが、中でも第4級アンモニウム系、特に塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムが好ましい。このようなカチオン性殺菌剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
(B)カチオン性殺菌剤の配合量は、使用性(剤の分散性、擦り易さ)、義歯浸漬液の防腐力、ステイン除去性及び外観安定性の点から、組成物全体に対して0.1〜2.0%であり、好ましくは0.5〜1.0%である。0.1%未満では、十分な義歯浸漬液の防腐力が発揮されない。2.0%を超えると、使用性(擦り易さ)及びステイン除去力が低下したり、不溶物析出や変色等の外観安定性上の問題が発生する。更に、カチオン性殺菌剤由来の苦味が強くなり、義歯装着時の使用実感(サッパリ感)が低下する場合がある。
【0032】
更に、(A)ノニオン性界面活性剤と(B)カチオン性殺菌剤との質量比((A)/(B))は、義歯浸漬液の防腐力及びステイン除去性の点から0.3〜15であり、好ましくは1.0〜4.0である。0.3未満では、十分なステイン除去性が発揮されない。また、義歯装着時の使用実感(サッパリ感)が低下する場合がある。15を超えると、義歯浸漬液の防腐力が低下する。
【0033】
(C)亜硫酸塩は、その漂白作用によりステイン除去効果を発揮する成分で、更には殺菌作用も有する。該亜硫酸塩は、水溶液中で亜硫酸イオンを放出する化合物であれば良く、具体的には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等を配合することができる。(C)亜硫酸塩としてはステイン除去力及び保存安定性の点から亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムが好ましく、特に亜硫酸ナトリウムが好適に用いられる。
なお、亜硫酸塩の代わりに、漂白作用を有する他の成分、例えば過炭酸塩、過ホウ酸塩等の過酸化物を用いても本発明の目的を達成することはできない。
【0034】
(C)亜硫酸塩の配合量は、ステイン汚れに対する除去力及び外観安定性の点から、組成物全体に対して0.5〜4.0%、好ましくは1.0〜2.0%である。配合量が0.5%未満では、十分なステイン除去力が発揮されない。4.0%を超えて配合してもそれ以上のステイン除去効果の向上は認められないだけでなく、低温保存下での不溶物析出等の外観安定性上の問題が発生する。
【0035】
更に、(B)カチオン性殺菌剤と(C)亜硫酸塩との総配合量は、義歯浸漬液の防腐力、ステイン除去性、外観安定性の点から、組成物全体に対して0.6〜5.0%、好ましくは1.5〜3.0%である。0.6%未満では、義歯浸漬液の防腐力とステイン除去性のいずれか又は両方の効果が十分に発揮されない。5.0%を超えると、沈殿物析出等の外観安定性上の問題が発生する。
【0036】
(D)水溶性高分子物質としては、水や多価アルコールに溶解、分散あるいは膨潤し、粘稠な分散液を作る有機物で、粘結剤等として口腔用組成物に通常用いられるものを使用でき、天然品、合成品及び半合成品のいずれでもよい。例えばカラギーナン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カーボポール、ビーガム、ゼラチンなどが挙げられる。中でも、キサンタンガムや、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子物質を用いることが好ましい。なお、水溶性高分子物質であっても、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオールは、使用性(保型性)の点から(D)成分として相応しくなく、使用しないことが望ましい。
【0037】
これら水溶性高分子物質は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましい。2種以上を併用する場合、使用性(保型性、擦り易さ、剤の分散性)、ステイン除去性、義歯浸漬液の防腐力の点から、キサンタンガムとセルロース系の水溶性高分子物質とを組み合わせることがより好ましい。2種の組み合わは、キサンタンガムとカルボキシメチルセルロースナトリウム、あるいはキサンタンガムとヒドロキシエチルセルロースとの組み合わせが望ましく、3種組み合わせる場合は、キサンタンガムとカルボキシメチルセルロースナトリウムとヒドロキシエチルセルロースとの併用が好ましい。
【0038】
(D)水溶性高分子物質の配合量は、使用性(保型性、擦り易さ、剤の分散性)、義歯浸漬液の防腐力、ステイン除去力及び外観安定性の点から、組成物全体に対して0.2〜5.0%、特に1.0〜3.0%が好ましい。0.2%未満では、組成物の粘度が低くなるために使用性(保型性)に劣ったり、塗布時の組成物の付着量が少なくなるためにステイン除去力と浸漬液の防腐力が低下する場合がある。5.0%を超えると、使用性(擦り易さ、剤の分散性)が悪くなるだけでなく、外観安定性、ステイン除去力が低下する場合がある。
【0039】
本発明の義歯洗浄用液状組成物は、上記したように(A)〜(D)成分を含有するものであるが、更に(E)水溶性ポリリン酸塩を配合することができ、これによりステイン除去力をより増強させることができる。特に、(A)ノニオン性界面活性剤の配合量が0.2〜0.4%又は1.6〜3.0%の場合、(B)カチオン性殺菌剤の配合量が1.1〜2.0%の場合、(C)亜硫酸塩の配合量が0.5〜0.9%の場合、(D)水溶性高分子物質の配合量が0.2〜0.9%の場合のいずれかの場合や、(A)/(B)の質量比が0.3〜0.9の場合や組成物のpHが6.0〜6.9等の場合には、ステイン除去力を増強するために、更に(E)水溶性ポリリン酸塩を配合することが好ましい。
【0040】
水溶性ポリリン酸塩としてはステイン除去性の向上効果及び外観安定性の点から下記一般式(1)
n+2n3n+1 (1)
(式中、MはNa又はKを示し、nは2又は3である。)
で示される直鎖状のものが用いられる。例えば、重合度n=2のピロリン酸ナトリウム(太平化学産業(株)製、東北化学(株)製等)やピロリン酸カリウム(太平化学産業(株)製、東亜合成化学(株)製等)、n=3のトリポリリン酸ナトリウム(セントラル硝子(株)製、日本ビルダー(株)製、太平化学産業(株)製等)やトリポリリン酸カリウム(太平化学産業(株)製等)などが挙げられ、中でもピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムが好ましく、特にステイン除去性の点からトリポリリン酸ナトリウムが好ましい。また、水溶性ポリリン酸塩は単独で配合しても、あるいは2種を併用して配合してもよい。
【0041】
(E)水溶性ポリリン酸塩を配合する場合、その配合量は、ステイン除去性の向上効果及び外観安定性の点から、組成物全体に対して0.2〜2.0%、特に0.5〜1.0%が好ましい。0.2%未満ではステイン除去性の向上効果が十分発揮されず、2.0%を超えると、不溶物析出等の外観安定性上の問題が発生することがある。
【0042】
また、(E)水溶性ポリリン酸塩を配合する場合、(B)カチオン性殺菌剤と(C)亜硫酸塩と(E)水溶性ポリリン酸塩の総配合量は、義歯浸漬液の防腐力、ステイン除去性、外観安定性の点から組成物全体に対して0.8〜5.0%、特に1.5〜3.0%が好ましい。0.8%未満では、義歯浸漬液の防腐力とステイン除去性のいずれか又は両方の効果が十分に発揮されない場合があり、5.0%を超えると、不溶物析出等の外観安定性上の問題が発生することがある。
【0043】
本発明の義歯洗浄用液状組成物は、更に、義歯装着時に優れた使用実感(サッパリ感)を付与するために、(F)メントール、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油から選ばれる少なくとも1種以上の油溶性香料を配合することができる。これらの香料成分としては、天然香料あるいは合成香料のいずれを用いても良い。
【0044】
(F)成分の油溶性香料成分を配合する場合、その配合量は、義歯装着時の使用実感(サッパリ感)及び外観安定性の点から、組成物全体に対して0.2〜2.0%、特に0.4〜1.0%が好ましい。0.2%未満では、義歯装着時に十分な使用実感(サッパリ感)が得られない。2.0%を超えると使用実感(サッパリ感)が悪化したり、組成物の外観安定性に問題が生じる場合がある。
【0045】
本発明の義歯洗浄用液状組成物には、上記必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲でその他の公知の添加剤を必要に応じて配合できる。例えば、上記以外の界面活性剤、湿潤剤、甘味剤、防腐剤、有効成分、色素、香料成分、清掃助剤等を配合でき、これら成分と水等の溶剤とを混合し、通常の方法で製造できる。なお、本発明組成物は、歯磨剤等の口腔用組成物に一般的に配合される研磨剤を含有しない。
【0046】
界面活性剤としては、(A)成分に加えて、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、(B)カチオン性殺菌剤以外のカチオン性界面活性剤を配合できる。
例えば、アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩、ラウロイルサルコシン塩、ミリスチルサルコシン塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等、両性界面活性剤としては、脂肪酸アミドプロピルベタイン、N−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等、カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0047】
これら界面活性剤の配合量は、組成物全体の0〜1.0%が好適であり、(A)ノニオン性界面活性剤を含めた界面活性剤の総配合量が組成全体の0.2〜3.0%となる範囲が好ましい。
【0048】
湿潤剤としては、多価アルコールを配合でき、ソルビット、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、平均分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、還元でんぷん糖化物などの1種又は2種以上を使用できる。湿潤剤の配合量は、通常、組成物全体の3〜50%、特に10〜30%が好適である。3%未満では組成物安定性が悪く、50%を超えると不溶物析出等の外観安定性上の問題が発生することがある。
【0049】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス等、防腐剤としては、安息香酸ナトリウム等の安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。
【0050】
各種有効成分としては、α−ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸銅等の銅化合物、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の植物抽出物、エチレンジアミン四酢酸塩等のキレート剤、ポリフェノールオキシダーゼ(別名ラッカーゼ)、ムタナーゼ、塩化リゾチーム、デキストラナーゼ、プロテアーゼ等の酵素などが挙げられる。なお、過炭酸塩、過ホウ酸塩等の過酸化物は配合しなくてよい。有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0051】
香料としては、(F)メントール、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油に加えて、その他の香料を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。例えば、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料や、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料が挙げられる。上記香料の配合量は本発明の効果を妨げない範囲で、通常は組成物全体の0〜1.0%が好ましい。
【0052】
着色剤としては、赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、緑色3号が例示される。
【0053】
本発明組成物には、溶剤として精製水が通常用いられるが、油溶性香料やイソプロピルメチルフェノール等の難溶性成分の溶解性を高める目的で溶剤としてエタノール等の低級アルコールを配合できる。低級アルコールの配合量は本発明の効果を妨げない範囲で、通常は1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。
【0054】
本発明の義歯洗浄用液状組成物は、ステイン除去性及び外観安定性の点から、25℃におけるpHが6.0〜8.5であり、7.0〜8.0であることが好ましい。25℃におけるpHが6.0未満では十分なステイン除去性が発揮されない。8.5を超えると、高温保存下で組成物の変色が顕著に起こり、外観安定性上の問題となる場合がある。
【0055】
なお、pHの調整の手段として、必要に応じてpH調整剤を配合してもよい。この場合のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、ギ酸又はその塩、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸又はその塩等が挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩を用いることが好ましい。リン酸塩としては、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三カリウム等が挙げられる。
これらpH調整剤の配合量は、pHを上記範囲に調整できればよく、通常は組成物全体の0.2〜1.0%である。
【0056】
液状組成物の25℃における粘度は、組成物の使用性(保型性、分散性、擦り易さ)の点から、B型粘度計、特にブルックフィールド型粘度計(BH型粘度計、ローターNo.4〜7、回転数20rpm、回転3分後)を用いて測定した場合、2,000〜50,000mPa・s、特に8,000〜20,000mPa・sが好ましい。2,000mPa・s未満では、使用性(保型性、擦り易さ)に劣るだけでなく、組成物の粘度が低いために塗布時の組成物の付着性が少なく、その結果、ステイン除去力と浸漬液の防腐力が十分に発揮されない場合がある。50,000mPa・sを超えると、使用性(分散性、擦り易さ)に劣る場合があるだけでなく、ステイン除去力が十分に発揮されない場合がある。
【0057】
本発明の義歯洗浄用液状組成物を収容する容器としては特に制限はなく、通常、口腔用組成物に適用される容器を用いることができる。容器として具体的には、ポリエチレン層、エチレンメタクリル酸共重合体層、ポリエチレンテレフタレート層、アルミニウム層、ガラス蒸着層、ポリビニルアルコール層、エチレンビニルアルコール共重合体層、アクリロニトリル共重合体層、紙、リサイクルプラスチック層等からなるラミネート容器や、ポリエチレン容器、ポリエチレンテレフタレート容器、ポリプロピレン容器等が使用でき、チューブ状容器、機械的又は差圧によるディスペンサー容器、ピロー包装等のフィルム包装容器等、口腔用組成物として通常使用される各種容器を使用可能である。好ましくはチューブ状容器、ディスペンサー容器である。
この場合、容器の排出部に先が細いノズル(口径1〜4mm程度)を取り付けた容器を用いると、組成物を義歯表面や歯ブラシ上に適量吐出しやすい。
【0058】
本発明の義歯洗浄用液状組成物は、使用時に希釈することなく、義歯に義歯全体又は一部を組成物で被覆するように塗布した後に義歯本体を水に浸漬し、30分間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは5時間以上、24時間以下放置した後に、水又はお湯で義歯から液状組成物をすすぎ落とすことで、義歯を洗浄することができる。義歯をブラシ類で擦り洗いをしてからすすぐ洗浄方法もある。義歯への適用には、容器、例えば先が細いノズルを取り付けた容器に収容された液状組成物を直接義歯表面上に吐出した後に、指、歯ブラシ、適宜形状のガーゼ、シート剤等で義歯表面を擦りながら液状組成物を義歯表面を被覆するように広げて適用する方法、指、歯ブラシ、適宜形状のガーゼ、シート剤等の塗布用基材上に液状組成物を吐出した後、これを義歯表面上に擦りつけて液状組成物を塗布するように広げる方法がある。特に、義歯を歯ブラシやシート剤等の用具で擦りながら組成物を広げる方法が好ましい。また、ステイン除去性と義歯浸漬液の防腐力の点から、組成物は義歯全体が被覆されるに十分な量を適用することが好ましい。
【実施例】
【0059】
以下、実験例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において、%は特に断らない限り質量%を意味する。表中の各成分の配合量は純分換算した量を示した。
【0060】
また、原料の各成分としては、以下のものを使用した。
ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル(EO平均付加モル数15);
日本エマルジョン(株)製(商品名 エマレックス715)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(EO平均付加モル数60);
日光ケミカルズ(株)製(商品名 HCO−60)
ラウリン酸デカグリセリル;
太陽化学(株)製(商品名 サンソフトM−12J)
ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール;
BASFジャパン(株)(商品名 ルトロールF−127)
塩化ベンゼトニウム;和光純薬工業(株)製
塩化セチルピリジニウム;和光純薬工業(株)製
亜硫酸ナトリウム;日曹金属化学(株)製(商品名 精製無水亜硫酸ソーダ)
キサンタンガム;ケルコ社製(商品名 モナートガムDA)
カルボキシメチルセルロースナトリウム;
ダイセル化学工業(株)製(商品名 CMC1250)
ヒドロキシエチルセルロースナトリウム;
ダイセル化学工業(株)製(商品名 SE850)
ピロリン酸二水素二ナトリウム;太平化学産業(株)製
トリポリリン酸ナトリウム;太平化学産業(株)製
その他任意成分;全て日本薬局方、医薬部外品原料又は食品添加物規格適合品を使用。
【0061】
[実験例1]
表1,2に示す組成の配合品(義歯洗浄用液状組成物)を下記製造法により調製し、下記方法にて使用性(保型性、分散性、擦り易さ)、ステイン除去力、浸漬液の防腐力及び外観安定性を評価した。結果を表1,2に示す。
【0062】
(1)製造法
1.精製水中に、亜硫酸ナトリウム、カチオン性殺菌剤、ピロリン酸二水素二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、湿潤剤(グリセリン等)の水溶性成分を混合溶解し、A相を調製した。必要があればpH調整剤を添加した。
2.水溶性高分子物質(キサンタンガム等)をポリエチレングリコール400に加え、撹拌により分散させた後、A相中に徐々に加え、混合、撹拌を十分に行って溶解させてB相を調製した。
3.ノニオン性界面活性剤(必要に応じて、加熱して水に溶解)をB相に加えてC相を調製した。必要があればノニオン性界面活性剤を加熱溶解した。
4.C相を減圧下(40mmHg)で撹拌し、液状組成物を得た。なお、製造には、みずほ式真空乳化釜を用いた。
【0063】
(2)pH測定方法
ガラス製容器に移した配合品について、pH計(東亜電波工業(株)製、HM−30V)及びpH電極(東亜電波工業(株)製、GST−5421C)にて25℃における3分後の値を測定した。
【0064】
(3)粘度の測定方法
配合品(試験液状組成物)をガラス製スクリュー管瓶(100mL、マルエムNo.8)に移し、キャップにて密封した後、25℃の水浴中で30分間放置した。BH型粘度計(東機産業(株)製)を使用し、回転数20rpmで3分後の読み値から粘度(mPa・s)を算出し、以下の基準に従って評価した。なお、下記に示すように粘度範囲に応じて使用ローターを変えた。
【0065】
ローターNo.3:
粘度が100〜5,000mPa・sの範囲
ローターNo.6:
粘度が5,000mPa・sを超えて40,000mPa・s以下の範囲
ローターNo.7:
粘度が40,000mPa・sを超えて160,000mPa・s以下の範囲
【0066】
(4)使用性(保型性、分散性、擦り易さ)
<評価方法>
使用性は、専門家パネラー10人を用いた官能試験により評価した。各パネラーが上記のチューブ容器に充填した試験用液状組成物1gを歯ブラシ及びシートの上に押出し、各々の場合について30秒間後の組成物の型崩れを評価し、(a)保型性を下記基準で判定した。
次に、歯ブラシ及びシートの上にとった組成物を、アクリルレジン製モデル総義歯(歯科技工所にて作製)の表面に擦り付けながら広げたときの各組成物の(b)分散性、(c)擦り易さを下記基準で総合的に判定した。
【0067】
10名の判定結果を平均し、以下の判定基準で判定し、◎又は○の場合を使用性良好と判定した。
(a)保型性
4点:いずれの場合でも、型崩れが全く認められなかった。
3点:どちらかの場合で、型崩れが僅かに認められたが、品質上問題にならないレベル
であった。
2点:どちらかの場合で、品質上問題となるレベルの型崩れが認められた。
1点:いずれの場合において、品質上問題となるレベルの型崩れが認められた。
(b)分散性
4点:モデル総義歯全体への組成物の広がりが非常に容易であった。
3点:モデル総義歯全体への組成物の広がりが容易であった。
2点:モデル総義歯全体への組成物の広がりがやや困難であった。
1点:モデル総義歯全体への組成物の広がりが非常に困難であった。
(c)擦り易さ
4点:モデル総義歯の擦り洗いが非常に容易であった。
3点:モデル総義歯の擦り洗いが容易であった。
2点:モデル総義歯の擦り洗いがやや困難であった。
1点:モデル総義歯の擦り洗いが非常に困難であった。
【0068】
<判定基準>
◎:平均点が3.5点以上
○:平均点が3.0点以上3.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が2.0点未満
【0069】
(5)浸漬液の防腐力試験
液状組成物の義歯浸漬中の防腐力を検証するため、下記方法でデンチャーバイオフィルムモデルを作成し、in vitroでの評価を行った。
【0070】
<デンチャーバイオフィルムモデルの作成方法>
重合アクリル板1×1cmを24ウェルプレートに入れ、そこに0.5%ムチン溶液、0.5%アルブミン溶液混液を0.5mLのせ、37℃で1時間静置した。1時間後にムチンアルブミン溶液を除去した。次に、カンジダアルビカンスとストレプトコッカスミュータンスの前培養菌液から集菌し、PBSに分散した菌液(濁度OD=660nmで1.0の濃度)を各50μLのせ、37℃で2時間静置した。その後、トリブチカーゼ・ソイ・ブロス(TSB)培地を1.8mL加えて37℃にて20時間培養し、デンチャーバイオフィルムを作成した。20時間後、ウェルから培地を除き、水1mLを加えて洗浄し、水を除去する操作を2回繰り返した。これをデンチャーバイオフィルムモデルとして、試験に用いた。
【0071】
<防腐力評価方法>
6穴プレートのウェルに各試験用サンプル(試験用液状組成物)を3g加えた後、サンプル上でバイオフィルムが付着したアクリル板表面を10秒間擦り、アクリル板上にサンプルを塗りつけた(N=3)。その後、予め150mLの水道水を加えておいた200mLのガラスビーカー内に、上記の組成物を塗布したアクリル板3枚を接触しないように置き、18時間浸漬した。翌日、浸漬液を40μL採取し、レシチン・ポリソルベート添加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(SCDLP)液体培地にて100倍希釈した。希釈液100μLをSCDLP寒天培地に塗抹、37℃にて4日間培養した後、コロニーの数を残存菌数として計測した。この試験は2回行い、その平均値を求め、下記評価基準により義歯浸漬中の防腐力を評価した。以下の判定基準で判定し、◎又は○の場合を浸漬液の防腐力が良好と判定した。
【0072】
<評価基準>
◎:残存菌数が0
○:残存菌数が1〜50
△:残存菌数が51〜300
×:残存菌数が301以上
【0073】
(6)ステイン除去力試験
義歯洗浄用液状組成物のステイン汚れに対する除去力を検証するため、タンニンステインモデルを作成し、評価を行った。
【0074】
<タンニンステインモデルの作成方法>
白色メタクリル樹脂板(アクリライトL、三菱レイヨン(株)製)の表面をサンドブラストで10〜15秒間研磨し、洗剤を入れたイオン交換水で超音波洗浄した後、水でよくすすいで一晩イオン交換水に浸けた。翌日、十分に乾燥して色差計で色差を測定し、平均値を算出して、アクリル白板の初期値とした。アルブミン溶液(アルブミン6.0g/1,200mL)→タンニン液(日本茶50g、紅茶5パックを煮出し、濾過した後インスタントコーヒー12gを溶解、1,200mLにメスアップ)→鉄液(クエン酸鉄(III)アンモニウム6.85g/1,200mL)の順に最初の5サイクルは45℃で20分間ずつ、6サイクル目以降は50℃で10分間ずつ浸漬する操作を繰り返した。30サイクル終了後、色差計(分光式色差計SE−2000、日本電色工業(株)製)にてL値が22前後であることを確認し、これをステインモデルとして試験に用いた。
【0075】
<ステイン除去力の評価方法>
歯ブラシを用いてステインモデル板上に試験用液状組成物を約1g塗布し、予め100mLの水道水を加えておいた200mLのガラスビーカーの底に、上記のステインモデル板3枚を置き、一晩(8時間)浸漬した。翌日、モデル板を取り出した後、電動ブラシを用いて1分間ブラッシングを行った。その後、流水で1分間すすぎ、よく乾燥させた後に色差計を用いてL値、a値、b値を測定した。処置前及び処置後のL値、a値、b値からそれぞれの色差(ΔE1、ΔE2)を算出し、式(1)に従ってステイン除去力を算出した。3つのアクリル板のそれぞれの除去力から平均値を算出して下記判定基準で判定し、◎又は○の場合を良好なステイン除去性と判断した。
【0076】
ステイン除去率(%)=((ΔE1−ΔE2)/ΔE1)×100・・・式(1)
【0077】
<判定基準>
◎:除去率50%以上
○:除去率30%以上50%未満
△:除去率10%以上30%未満
×:除去率10%未満
【0078】
(7)組成物の外観安定性試験
<評価方法>
最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなるラミネートチューブに各試験用液状組成物50gを充填し、高温(50℃)又は低温(−5℃)条件下で1ヶ月保存した。保存後の各サンプル(高温保存品と低温保存品)を1日間室温に放置した後、紙の上にサンプルを押し出し、それぞれの外観変化(組成物の均一性、液分離、濁り、変色、不溶物析出)を評価した。変色については、−5℃下で1ヶ月保存したサンプルを基準として変化度を評価した。
【0079】
<評価基準>
◎:高温及び低温保存サンプルにおいて、均一性、液分離、濁り、変色、不溶物析出の
全ての項目で変化が認められなかった。
○:高温及び/又は低温保存サンプルにおいて、均一性、液分離、濁り、変色、不溶物
析出のいずれかの項目で品質上問題にならないレベルの変化が認められた。
△:高温及び/又は低温保存サンプルにおいて、均一性、液分離、濁り、変色、不溶物
析出のいずれかの項目で品質上僅かな問題となるレベルの変化が認められた。
×:高温及び/又は低温保存サンプルにおいて、均一性、液分離、濁り、変色、不溶物
析出のいずれかの項目で品質上大きな問題となるレベルの変化が認められた。
【0080】
【表1−1】

【0081】
【表1−2】

【0082】
【表2】

【0083】
表1,2の結果から、本発明組成物(実施例)は、使用性(保型性、分散性、擦り易さ)、ステイン除去力、浸漬液の防腐力及び外観安定性の全てにおいて良好(○又は◎)であることがわかった。これに対して、本発明の必須要件のいずれかを満たさない組成物(比較例)は、いずれかの特性に劣っていた。
【0084】
[実験例2]
表3に示す組成の液状組成物を上記方法に従って調製し、上記と同様の最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなるラミネートチューブに50g充填した。下記方法で義歯装着時の清涼実感を評価した。なお、製造直後品の物性(pH,粘度)、使用性(保型性、分散性、擦り易さ)、ステイン除去力、浸漬液の防腐力及び外観安定性の評価は実験例1と同様に行った。結果を表3に示す。
【0085】
代表的な原料は実験例1と同様のもの、それ以外は下記のものを使用した。
エデト酸二ナトリウム;ライオン(株)製(商品名 ディゾルビンNA2)
プロテアーゼ;ノボザイムズ社製、エバラーゼ16L(商品名 登録商標)
l−メントール;高砂香料工業(株)製
ハッカ油;東洋薄荷工業(株)製
ペパーミント油;高砂香料工業(株)製
スペアミント油;高砂香料工業(株)製
【0086】
(8)義歯装着時の使用実感(サッパリ感)試験
<評価方法>
表3に示した試験用液状組成物について、総義歯装着者パネラー10人を用いた官能試験により評価した。各パネラーがチューブ容器に充填した試験用液状組成物を義歯表面に適量吐出し、歯ブラシで組成物を義歯全体に擦り付けるように広げた後、予め150mLの水道水を加えておいた200mLのガラスビーカー内に義歯を浸け置きした。1晩(10時間)放置後、歯ブラシで1分間ブラッシングし、水すすぎをした後、義歯を装着した時の使用実感(サッパリ感)を以下の基準で評価した。なお、対照品として下記に示す組成のものを使用し、これを基準として評価を行った。10名の評価結果を平均し、以下の判定基準で判定し、◎又は○の場合をサッパリ感が良好と判定した。結果を表3に示す。
【0087】
対照品の組成;
配合成分 配合量(%)
ポリオキシエチレン(15)ラウリルエーテル 0.5
塩化ベンゼトニウム 0.5
亜硫酸ナトリウム 1.2
キサンタンガム 0.6
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
グリセリン 15
ソルビット 10
ポリエチレングリコール400 3
リン酸一水素ナトリウム 0.3
リン酸二水素ナトリウム 0.2
香料A 0.2
水 バランス
合計 100.0
pH 7.5
【0088】
なお、香料Aは、下記組成であり(以下、同様)、l−メントール等の(F)成分の香料成分は含まない。
香料Aの組成;
配合成分 配合量(%)
アネトール 5
カルボン 5
1,8−シネオール 1
メンソフラン 2
カンファー 1
オイゲノール 1
メンチルアセテート 1
メチルサリシレート 1
アニス油 2
カシア油 2
ウィンターグリーン油 1
ユーカリ油 1
クローブ油 1
エタノール バランス
合計 100
【0089】
<評価基準>
3点:対照品と比較してサッパリ感がかなり良い。
2点:対照品と比較してサッパリ感がやや良い。
1点:対照品と比較してサッパリ感が同等、又は弱い。
【0090】
<判定基準>
◎:サッパリ感が2.5点以上3.0点以下
○:サッパリ感が2.0点以上2.5点未満
△:サッパリ感が1.5点以上2.0点未満
×:サッパリ感が1.5点未満
【0091】
【表3−1】

【0092】
【表3−2】

【0093】
表3の結果から、(A)〜D)成分、更には(E)及び(F)成分を配合した本発明組成物(実施例)は、使用性(保型性、分散性、擦り易さ)、ステイン除去力、浸漬液の防腐力及び外観安定性に加えて、義歯装着時の使用実感(サッパリ感)に優れ、全てにおいて良好(○又は◎)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ノニオン性界面活性剤、(B)カチオン性殺菌剤、(C)亜硫酸塩、及び(D)水溶性高分子物質を含有してなり、前記(A)成分を0.2〜3.0質量%、(B)成分を0.1〜2.0質量%、(C)成分を0.5〜4.0質量%配合し、かつ(A)/(B)の質量比が0.3〜15、(B)及び(C)成分の合計配合量が0.6〜5.0質量%の範囲内であり、かつ25℃におけるpHが6.0〜8.5であることを特徴とする塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物。
【請求項2】
(A)ノニオン性界面活性剤が、酸化エチレンの平均付加モル数が10〜20モルでアルキル基の炭素数が12〜16であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸残基の炭素数が10〜16で平均重合度が8〜12であるポリグリセリン脂肪酸モノエステル、及び酸化エチレンの平均重合度が180〜220モルで酸化プロピレンの平均重合度が60〜80モルのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の義歯洗浄用液状組成物。
【請求項3】
(D)水溶性高分子物質が、キサンタンガムとセルロース系高分子物質とを併用したものである請求項1又は2記載の義歯洗浄用液状組成物。
【請求項4】
(A)成分を0.5〜1.5質量%、(B)成分を0.5〜1.0質量%、(C)成分を1.0〜2.0質量%配合し、かつ(A)/(B)の質量比が1.0〜4.0、(B)及び(C)成分の合計配合量が1.5〜3.0質量%の範囲内であり、かつ25℃におけるpHが7.0〜8.0である請求項1、2又は3記載の塗布タイプの義歯洗浄用液状組成物。
【請求項5】
更に、(E)水溶性ポリリン酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
【請求項6】
更に、(F)メントール、ハッカ油、ペパーミント油及びスペアミント油から選ばれる1種以上の油溶性香料成分を含有してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
【請求項7】
B型粘度計を用いて測定した25℃における粘度が2,000〜50,000mPa・sである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
【請求項8】
過酸化物を含有しない請求項1乃至7のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
【請求項9】
研磨剤を含有しない請求項1乃至8のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。
【請求項10】
義歯に塗布した後に該義歯を水に浸漬させて洗浄するものである請求項1乃至9のいずれか1項に記載の義歯洗浄用液状組成物。

【公開番号】特開2010−280588(P2010−280588A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133730(P2009−133730)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】