説明

塗布ムラ検査装置

【課題】全体のコンパクト化が図れるとともに、設置の際にブースを大幅に改造するのを抑えることができる塗布ムラ検査装置を提供する。
【解決手段】ステージ上の基板に光を照射する照射部と、塗布膜により反射された光を受光する受光部とを有し、受光部における受光状態から基板上に形成された塗布膜の塗布ムラを検出する塗布ムラ検査装置であって、前記塗布ムラ検査装置の照射部は、片面側に均一な光を照射する導光板と、この導光板の側面に設けられるLED発光部と、を有しており、前記導光板の照射側と反対側には、導光板の一の側面側から吸気し他の側面側から排気することにより照射部から発生する熱を排出する排熱冷却部が設ける構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された塗布膜のムラを検査する塗布ムラ検査装置に関するものであり、特に形成された塗布膜に光を照射する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、ガラス等からなる基板上にレジスト液が塗布されたもの(塗布基板という)が使用されている。この塗布基板は、レジスト液を均一に塗布する塗布装置(塗布装置本体1含む)によって形成されている。すなわち、塗布装置は、例えば、図5に示すように、基板10を載置するステージ21と、レジスト液を吐出する塗布ユニット30とを有しており、塗布ユニット30の口金部からレジスト液を吐出させながら、基板10と塗布ユニット30とを相対的に移動させることにより、基板10上に所定厚さのレジスト液膜(塗布膜11)が形成されるようになっている。
【0003】
このような塗布装置には、形成された塗布膜11に筋状や粒状の塗布ムラの有無を確認する塗布ムラ検査が行われる。具体的には、塗布装置には、塗布ムラ検査装置100が設けられており、塗布ムラ検査装置100の照射部101からステージ21上の基板10に光を照射し、基板10上の塗布膜11によって反射された反射光を受光部106で受光することにより塗布ムラの有無が確認される。ここで、図5に示すように、塗布ムラ検査装置100の照射部101には、光源として複数の蛍光灯102aを有する発光部102とインバータ103とが設けられている。また、塗布装置は温度がほぼ一定に保たれたブース105内に設置されているため、複数の蛍光灯102aとインバータ103とから発生する熱により温度変化が生じるのを抑える必要がある。そのため、発光部102の両側には発光部102の熱を排熱する排熱冷却部104が設けられている。
この排熱冷却部104は、発光部102のほぼ中央部分に設けられた吸気口104cから吸気し、発光部102の両側面側に設けられた吸気ファン104aを用いて、排気配管104bから発光部102から生じた熱を排気する。これにより、発光部102の蛍光灯102aから発生する熱が排気配管104bから効率よく排気され、ブース105内の温度が上昇するのを抑えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−234237
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の塗布ムラ検査装置100では、ブースを大幅に改造する必要があるという問題があった。すなわち、塗布ムラ検査装置100は、後付けで設置されることが多く、塗布装置導入時のブース(1点鎖線及び実線で表示するブース105a)には、塗布ムラ検査装置100の設置は考慮されていない。したがって、塗布装置導入時には、ブース105a内の温度管理のし易さから、ブース105aの高さは必要最小限で設置される。一方、塗布ムラ検査装置100は、発光部102における複数の蛍光灯102aの輝度を保つため、インバータ103と排熱冷却部104とを有しており、厚み方向に大きな寸法を有している。また、蛍光灯102aの発熱量が多いことから、排熱冷却部104の排熱配管104bが両側に設けられており、幅方向にも大きな寸法を有している。これを発光部102と基板までの照明距離を考慮して設置しようとすると、インバータ103又は排気配管104bがブース105の天井に干渉するため、塗布装置導入時のブース105aの天井をブース105の天井高さまでかさ上げする必要があり、ブース105aを大幅に改造せざるをえないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、全体のコンパクト化を図るとともに、設置の際にブースを大幅に改造する必要のない塗布ムラ検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の塗布ムラ検査装置は、ステージ上の基板に光を照射する照射部と、塗布膜により反射された光を受光する受光部とを有し、受光部における受光状態から基板上に形成された塗布膜の塗布ムラを検出する塗布ムラ検査装置であって、前記塗布ムラ検査装置の照射部は、片面側に均一な光を照射する導光板と、この導光板の側面に設けられるLED発光部と、を有しており、前記導光板の照射側と反対側には、導光板の一の側面側から吸気し他の側面側から排気することにより照射部から発生する熱を排出する排熱冷却部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記塗布ムラ検査装置によれば、発光部にLED発光部を用いているため、蛍光灯を使用した場合に輝度安定化に必要になるインバータが不要になる。また、発光部としてLED発光部を用いていることにより、蛍光灯に比べて発熱量が小さくなるため、排熱冷却部の排熱配管が片側のみの設置でよい。したがって、蛍光灯を使用していた従来技術に比べて、全体のコンパクト化を図ることができ、塗布ムラ検査装置の設置の際にブースを大幅に改造するのを抑えることができる。
【0009】
また、前記照射部のLED発光部は、前記導光板の互いに対向する両側面に設けられており、前記排熱冷却部は、一方のLED発光部側から吸気し、他方のLED発光部から排気する構成とすることができる。
【0010】
この構成によれば、排熱冷却部の大気が両側面に設けられたLED発光部を横切るため、LED発光部から発生する熱を効率よく排気することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗布ムラ検査装置によれば、全体のコンパクト化が図れるとともに、設置の際にブースを大幅に改造するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の塗布ムラ検査装置を備える塗布装置を概略的に示す側面図である。
【図2】塗布装置本体を示す斜視図である。
【図3】塗布ムラ検査装置の照射部を示す図である。
【図4】照射部の構成を示す図である。
【図5】従来の塗布ムラ検査装置を備える塗布装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態における塗布ムラ検査装置を備える塗布装置を概略的に示す側面図であり、図2は、塗布装置本体を示す斜視図である。
【0014】
図1、図2に示すように、塗布装置は、塗布装置本体1と塗布ムラ検査装置40とを有している。塗布装置本体1は、基板10上に薬液やレジスト液等の液状物(以下、塗布液と称す)の塗布膜11を形成するものであり、基板10を載置するためのステージ21と、このステージ21に対し特定方向に移動可能に構成される塗布ユニット30とを備えている。
【0015】
なお、以下の説明では、塗布ユニット30が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0016】
前記基台2には、その中央部分にステージ21が配置されている。このステージ21は、搬入された基板10を載置するものである。このステージ21には、基板保持手段が設けられており、この基板保持手段により基板10が保持されるようになっている。具体的には、ステージ21の表面に形成された複数の吸引孔が形成されており、この吸引孔に吸引力を発生させることにより基板10をステージ21の表面に吸着させて保持できるようになっている。
【0017】
また、塗布ユニット30は、基板10上に塗布液を吐出して塗布膜11を形成するものである。この塗布ユニット30は、図2に示すように、基台2と連結される脚部31とY軸方向に延びる口金部34とを有しており、基台2上をY軸方向に跨いだ状態でX軸方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、基台2のY軸方向両端部分にはそれぞれX軸方向に延びるレール22が設置されており、脚部31がこのレール22にスライド自在に取り付けられている。そして、脚部31にはリニアモータ33が取り付けられており、このリニアモータ33を駆動制御することにより、塗布ユニット30がX軸方向に移動し、任意の位置で停止できるようになっている。
【0018】
口金部34は、塗布液を吐出して基板10上に塗布膜11を形成するものである。この口金部34は、一方向に延びる形状を有する柱状部材であり、塗布ユニット30の走行方向とほぼ直交するように設けられている。この口金部34には、長手方向に延びるスリットノズル34aが形成されており、口金部34に供給された塗布液がスリットノズル34aから長手方向に亘って一様に吐出されるようになっている。したがって、このスリットノズル34aから塗布液を吐出させた状態で塗布ユニット30をX軸方向に走行させることにより、スリットノズル34aの長手方向に亘って基板10上に一定厚さの塗布膜11が形成されるようになっている。
【0019】
また、図1に示すように、ステージ21の上方には、塗布ムラ検査装置40が取付けられている。この塗布ムラ検査装置40は、照射部41と受光部42とを有しており、照射部41から出力された光が塗布膜11の表面によって反射され、反射された光が受光部42で受光されるように配置されている。具体的には、塗布装置は、その全体がブース(不図示)に覆われており、ブースの天井に照明部41と受光部42とが設けられている。
【0020】
照射部41は、一定輝度の光を出力するものである。この照射部41は、略平板形状を有しており、図3に示すように、ステージ21に対して所定角度有するように設けられている。すなわち、照射部41は、一方側に光を照射できるように構成されており、照射部分がステージ21の基板10側に向く姿勢で取付けられている。
【0021】
この照射部41は、LEDが光源として使用されている。ここで、図4は照射部41の詳細を示す概略図である。照射部41は、アクリル板等の導光板51とその側面にLED発光部52とを有しており、導光板51の片面側には、光を全反射する反射フィルム53が設けられ、もう片面側には光を均一に拡散する光拡散フィルム54と露光防止用フィルム55とが設けられている。これにより、LED発光部52で出力された光が光拡散フィルム54側から均一な光で照射される。すなわち、LED発光部52で出力された光が導光板51を進行すると、一部の光がそのまま光拡散フィルム54側から出力される。一方、反射フィルム53側に進行した光は、反射フィルム53によって反射されることにより、光拡散フィルム54側から出力される。これにより、LED発光部52で出力される光は、効率よく導光板51の片面側から照射される。
【0022】
なお、図3,図4に示す例では、LED発光部52を導光板51の両側面に設けているが、十分な輝度が得られる場合には、いずれか一方側にのみ設けるものであってもよい。
【0023】
また、導光板51の光の照射側と反対側、すなわち、反射フィルム53側には、排熱冷却部60が設けられている。排熱冷却部60は、フレームボックス61と、フレームボックス61内に大気を吸気するファン62とフレームボックス61内の大気を外部に排出する排気配管63とを有している。フレームボックス61は、内部が空洞の直方体形状を有しており、その片面側に導光板51が配置されている。具体的には、導光板51がフレームボックス61内に埋設されており、導光板51の照射面がフレームボックス61の側面とほぼ同じ面位置となるように配置されている。すなわち、LED発光部52及び反射フィルム53は、フレームボックス61内に配置されている。また、フレームボックス61の側面側には、ファン62と排気配管63が設けられており、フレームボックス61内の熱が排気配管63を通じて排出されるようになっている。具体的には、排気配管63は、ブース外のブロワなどの排気装置と連結されているため、LED発光部52から発生した熱はフレームボックス61内に発生するが、ファン62から吸気された大気と共に排気配管63を通じて排出されるようになっている。また、導光板51は、LED発光部52が取付けられた部分がフレームボックス61のファン62又は排気配管63と同じ位置に配置されるように取付けられている。すなわち、ファン62から吸気された大気の流れの途中にLED発光部52が存在するように取付けられている。これにより、ファン62から吸気された大気は、LED発光部52を横切るように流れるため、LED発光部52から発生した熱が効率よく排気することができる。なお、図3における矢印は、大気の流れを示したものである。
【0024】
また、照射部41は、特定パターンの光を照射できるように構成されている。本実施形態では、露光防止用フィルム55よりもステージ21側にスリット板(不図示)が設けられており、このスリット板により特定パターンの光が照射される。例えば、本実施形態におけるスリット板には、所定間隔のストライプ状にスリットが設けられており、このスリット板を通じて光を照射すると、基板10の塗布膜11上にストライプ状のパターンが形成される。そして、このパターンを受光部で受光することにより、塗布ムラを検出することができる。具体的には、塗布装置を統括的に制御する制御装置には、照射部41から光を照射してムラのない塗布膜11により反射される反射光を受光部で受光したときのパターン(基本パターン)が記録されており、この基本パターンと基板10上に形成された塗布膜11により反射されて受光したパターンとを比較し、受光したパターンが基本パターンと異なる形状である場合には、塗布膜11にムラが生じていると判断することができる。これにより、塗布ムラを検出することができる。
【0025】
以上、説明した塗布ムラ検査装置によれば、装置全体をコンパクト化できるとともに、設置の際にブースを大幅に改造するのを抑えることができる。すなわち、発光部にLED発光部52を用いているため、蛍光灯を使用した場合に輝度安定化に必要になるインバータが不要になる。その結果、蛍光灯とインバータを有する従来の構成では厚み寸法が200mmであったが、LED発光部52を用いることにより、約半分の厚み寸法に抑えることができた。また、発光部としてLED発光部52を用いていることにより、蛍光灯に比べて発熱量が小さくなるため、排熱冷却部60の排熱配管が片側のみの設置でよい。したがって、蛍光灯を使用していた従来技術に比べて、塗布ムラ検査装置全体のコンパクト化を図ることができ、塗布ムラ検査装置の設置の際に現存のブースの天井部分をかさ上げする等、大幅な改造が不要になる。すなわち、現状のブースのままで塗布ムラ検査装置を後付けすることが容易になる。
【符号の説明】
【0026】
1 塗布装置本体
10 基板
21 ステージ
30 塗布ユニット
40 塗布ムラ検査装置
41 照射部
42 受光部
51 導光板
52 LED発光部
60 排熱冷却部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージ上の基板に光を照射する照射部と、塗布膜により反射された光を受光する受光部とを有し、受光部における受光状態から基板上に形成された塗布膜の塗布ムラを検出する塗布ムラ検査装置であって、
前記塗布ムラ検査装置の照射部は、片面側に均一な光を照射する導光板と、この導光板の側面に設けられるLED発光部と、を有しており、
前記導光板の照射側と反対側には、導光板の一の側面側から吸気し他の側面側から排気することにより照射部から発生する熱を排出する排熱冷却部が設けられていることを特徴とする塗布ムラ検査装置。
【請求項2】
前記照射部のLED発光部は、前記導光板の互いに対向する両側面に設けられており、前記排熱冷却部は、一方のLED発光部側から吸気し、他方のLED発光部から排気することを特徴とする請求項1に記載の塗布ムラ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−194005(P2012−194005A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57094(P2011−57094)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】