説明

塗布具付き容器

非効率的な構成態様を回避できる塗布具付き容器を提供する。 塗布具付き容器は、本体、塗布具頭部、リング状の弾性部材、及びキャップを備える。本体は、液状物を収容する収容部及び首部を備える。塗布具頭部は、後端部が首部内に挿入され、軸方向に移動可能に首部に連結されている。塗布具頭部の後端部には、弁座が設けられている。首部内には、連通口を仕切る仕切壁が設けられている。この
仕切壁から前方に突出するように、弁座に対応した弁体が設けられている。弾性部材は、仕切壁と塗布具頭部との間に設けられ、水密を図っている。この弾性部材は、弁座が弁体から離間するように塗布具頭部を付勢している。そして、キャップにより塗布具頭部が後方に押圧されたとき、弾性部材が弾性変形して弁座が弁体に近接又は当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付き容器に関し、特に、化粧品等の液状物を収容するとともに収容された液状物を吐き出して塗布する目的に用いられる塗布具付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塗布具付き容器として、例えば特許文献1に開示されているものがある。この容器では、不使用時において、容器本体にキャップを取り付けることで、継手内のスプリングの付勢力に抗し筆受け及び筆筒が後方に押され、弁座がバルブ体の先端に圧着される。これにより、カートリッジ体から塗布体への化粧料の流出が阻止される。一方、使用時においては、キャップを本体から取り外すことで、スプリングの付勢力により筆受け及び筆筒が前方に押され、弁座がバルブ体から離間する。これにより、カートリッジ体から塗布体へ化粧料が流出する。
【0003】
なお、この容器においては、結合体と筆筒との間における水密性を確保する観点から、更に、結合体と筆筒との間にOリングを介在させている。
【特許文献1】実公平3−33303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の塗布具付き容器は、Oリングや、バルブ体及び弁座を含む弁機構の他に、筆筒を軸方向に付勢するためのスプリングを必要とするため、部品点数が多く非効率な構成態様であった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、部品点数の減少を図ることで非効率的な構成態様を回避し、製造コストの低減を図ることが可能な塗布具付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る塗布具付き容器は、液状物を収容する収容部及びこの収容部に連通する連通口を有する首部を備える本体と、後端部が首部内に挿入され、軸方向に移動可能に首部に連結された塗布具頭部と、塗布具頭部の後端部に設けられた弁座と、首部内に設けられ連通口を仕切る仕切壁と、弁座に対応して仕切壁から前方に突出するように設けられており、液状物を導出する導出孔を有する弁体と、仕切壁と塗布具頭部との間に設けられており、水密を図るリング状の弾性部材と、を備える。弾性部材は、弁座が弁体から離間するように塗布具頭部を付勢している。そして、塗布具頭部が後方に押圧されたとき、弾性部材が弾性変形して弁座が弁体に近接又は当接する。
【0007】
このような塗布具付き容器によれば、弾性部材は、仕切壁及びホルダーの間における水密性を確保する機能を発揮するのみならず、弁座が弁体から離間するようにホルダーを付勢する機能を発揮するため、これらの機能を発揮する部品を別個独立に設ける場合に比べて部品点数の減少が図られ、非効率的な構成態様を回避し、製造コストの低減を図ることができる。
【0008】
塗布具頭部は、筒状のホルダーと、ホルダーに保持された塗布部材と、後部がホルダーに嵌着されるとともに前部が塗布部材に挿入されたパイプ部材と、を有すると好ましい。弁座は、パイプ部材の後部に設けられていると好ましい。このようにすれば、パイプ部材を通して液状物が塗布部材に供給される。
【0009】
塗布具付き容器は、塗布具頭部を後方に押圧する係止部を有し、本体の首部に取り付けられるキャップを更に備えると好ましい。キャップを首部に取り付けたとき、係止部により塗布具頭部が後方に押圧されることで、弾性部材が弾性変形して弁座が弁体に近接又は当接すると好ましい。キャップを首部から取り外したとき、弾性部材が復元して弁座が弁体から離間すると好ましい。このようにすれば、キャップの取り付け及び取り外しにより、弁機構を自動的に開閉することができる。
【0010】
弾性部材の中心軸に沿う方向の厚みは、これと交差する方向の厚みよりも大きいと好ましい。特に、弾性部材は、略楕円形の断面を有すると好ましい。或いは、弾性部材の内周面及び外周面の少なくともいずれかには、環状の溝が設けられていると好ましい。このようにすれば、塗布具頭部の移動距離を長くすることができるため、弾性部材を形成するための材料選択の自由度が大きくなる。
【0011】
塗布具付き容器は、仕切壁上の弾性部材を受ける面上に連続して設けられた突条を備えると好ましい。このようにすれば、弾性部材がその全周に亘って確実に押し潰され、仕切壁及び塗布具頭部の間における水密性をより十分に確保することができる。
【0012】
首部は、塗布具頭部の首部からの離脱を防ぐストッパーを有すると好ましい。このようにすれば、塗布具頭部の首部からの離脱が防止され、仕切壁及び塗布具頭部の間における水密性をより十分に確保することができる。
【0013】
本発明は以下の詳細な説明および添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これらは単に例示のために示されるものであって、本発明を限定するものと考えるべきではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る塗布具付き容器によれば、部品点数の減少を図ることにより非効率的な構成態様を回避することができ、製造コストの低減効果が確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[図1]図1は、本発明の実施の形態1に係る塗布具付き容器の全体構成を示す縦断面図(キャップ取り付け時)である。
[図2]図2は、同容器の部分構成を示す縦断面図(キャップ取り付け時)である。
[図3]図3は、同容器の全体構成を示す縦断面図(キャップ取り外し時)である。
[図4]図4は、同容器の部分構成を示す縦断面図(キャップ取り外し時)である。
[図5]図5は、キャップ取り付け時及びキャップ取り外し時における、同容器の外観構成を示す正面図である。
[図6]図6は、同容器における連結部材の詳細構成を示す斜視図及び縦断面図である。
[図7]図7は、同容器におけるホルダーの詳細構成を示す右側面図及び縦断面図である。
[図8]図8は、同容器におけるパイプ部材の詳細構成を示す斜視図及び縦断面図である。
[図9]図9は、本発明の実施の形態2に係る塗布具付き容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り付け時)である。
[図10]図10は、同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)である。
[図11]図11は、同容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
[図12]図12は、同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
[図13]図13は、本発明の実施の形態3に係る塗布具付き容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り付け時)である。
[図14]図14は、同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)である。
[図15]図15は、同容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
[図16]図16は、同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
[図17]図17は、リング状弾性部材の外観構成を示す斜視図である。
[図18]図18は、同容器の他の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)である。
[図19]図19は、同容器の他の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
[図20]図20は、同容器の別の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)である。
[図21]図21は、同容器の別の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
【符号の説明】
【0016】
1ブラシ
2本体
3ホルダー
3a保持孔
3b突条
4パイプ部材
4a連通孔
4b弁座
5キャップ
6リング状弾性部材
7リング状弾性部材
16リング状弾性部材
16a溝
16b側壁部
17リング状弾性部材
17a溝
18リング状弾性部材
18a溝
21収容部
22首部
22a連通口
22b連結部材
22cストッパー
61液状化粧料
71胴部
72肩部
73首
121仕切壁
121a弁体
121b導出孔
121c突条
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
なお、ここでは、化粧品としてのファンデーション、チークカラーや美容液等の液状化粧料を塗布する目的に用いる場合について説明するが、これに限られるものではなく、食品、筆記用具のインク、液状医薬品その他の物品として液状物を塗布する目的に用いる場合でも、以下の説明が妥当する。
【0019】
<実施の形態1>
【0020】
図1は本発明の実施の形態1に係る塗布具付き容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図2は同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図3は同容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り外し時)、図4は同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)、図5はキャップ取り付け時及びキャップ取り外し時における同容器の外観構成を示す正面図である。
【0021】
塗布具付き容器は、液状物たる液状化粧料を収容するとともに収容された液状化粧料を吐き出して塗布する目的に用いられる。
【0022】
そして、この塗布具付き容器は、図1及び図2に示すように、塗布具頭部と、本体2と、キャップ5と、リング状弾性部材6とを備えている。塗布具頭部は、塗布部材たるブラシ1、ホルダー3、及びパイプ部材4を有している。
【0023】
以下、これらの各構成要素についてさらに詳細に説明する。
(1)ブラシ1
【0024】
ブラシ1は、本体2から吐き出されてくる液状化粧料61を塗布すべき箇所にそのまま塗布する役割を果たすものとして構成されている。
【0025】
この実施の形態1において、ブラシ1は、図1〜図4に示すように、首部22の適当な箇所に取り付けることが可能であるものとして構成されている。
【0026】
具体的には、ブラシ1は、これらの図に示すように、筒状のホルダー3を介在させることにより筒状の首部22に取り付けられている。
【0027】
つまり、ブラシ1は、これらの図に示すように、後側がホルダー3の内部に挟み付けられるようにして保持されることにより、前側がホルダー3から前方向に突出するようにして設けられており、このホルダー3から突出する部分によって液状化粧料61を塗布することが可能となっている。
(2)本体2
【0028】
本体2は、図1〜図4に示すように、液状化粧料61が収容された収容部21と、この収容部21内に連通する連通口22aであって液状化粧料61を吐き出すための空間を内側に有する首部22とを備えたものとして構成されている。
【0029】
この実施の形態1において、本体2は、これらの図に示すように、後端に底を有する筒状の胴部71と、胴部71から首部22に向けて傾斜する肩部72と、肩部72から前側に向けて突出する筒状の首部22とを有している。
【0030】
そして、この首部22は、肩部72から前側に向けて突出しており、肩部72と一体に成形される筒状の首73と、この首73内に嵌着される筒状の連結部材22bとを含んでいる。
【0031】
具体的には、図6並びに図2及び図4に示すように、連結部材22b内には、連通口22aを前後に仕切る仕切壁121が形成されている。この仕切壁121は、前側に向けて突出するドーム状の弁体121aを支持している。弁体121aの側壁には、液状化粧料61を導き出すための導出孔121bが設けられている。
【0032】
すなわち、このような仕切壁121によれば、キャップ5を本体2に取り付けたときに、後述する弁座4bが弁体121aに近接又は当接する位置に位置するまでホルダー3が移動することにより、液状物の漏れを封止することが可能となっている。
【0033】
ここで、仕切壁121は、これらの図に示すように、キャップ5を本体2に取り付けたときにリング状弾性部材6に全周に亘ってめり込む突条121cを備えている。
【0034】
これにより、仕切壁121及びホルダー3の間における水密性をより十分に確保することが可能となっている。その結果、リング状弾性部材6がその全周に亘って確実に押し潰されないという不測の事態が有効に回避されることになっている。
【0035】
また、連結部材22bの先端外周面には、図2及び図4に示すように、キャップ5を取り外したときにホルダー3が連結部材22b内から離脱しないように、ホルダー3を係止するストッパー22cが形成されている。このストッパー22cにより、ホルダー3の外側面に環状に設けられた係止部が係止され、ホルダー3の連結部材22bからの離脱が防止される。
【0036】
このようなストッパー22cによれば、リング状弾性部材6が、仕切壁121とストッパー22cに当接するホルダー3に嵌着される口先部材4との間に挟み付けられる厚さ寸法に設定されることにより、キャップ5を取り外したときのみならず、キャップ5を本体2に取り付けたときにおいても、仕切壁121及びホルダー3の間における水密性を確保することが可能となっている。
(3)ホルダー3
【0037】
ホルダー3は、図1〜図4に示すように、ブラシ1を保持する機能を発揮するものである。このホルダー3は、後端部が連結部材22b内に挿入され、軸方向に移動可能に連結部材22bに連結されている。
【0038】
具体的には、ホルダー3は、図7に示すように、ブラシ1を保持するための保持孔3aであって連通口22aに連通するものを有している。そして、同図に示すように、保持孔3aの内周には、それぞれが内側に向けて突出し、かつ、軸方向に延びる突条3bが周方向に沿って複数形成されており、この突条3bの間に挟み付けることによってブラシ1を保持することが可能となっている。
(4)パイプ部材4
【0039】
パイプ部材4は、図1〜図4に示すように、連通口22aに連通する連通孔4aを内側に有しており、後部がホルダー3に嵌着されるとともに前部がブラシ1内に挿入されるものとして構成されている。
【0040】
パイプ部材4の後部における内周には、図8並びに図2及び図4に示すように、弁体121aに対向する弁座4bが形成されている。具体的には、弁座4bは、弁体121aに向けて開口する開口部を画するものとして構成されている。
【0041】
このような弁座4bによれば、キャップ5を本体2に取り付けたときに、弁座4bが前述した弁体121aに近接又は当接する位置に位置するまでホルダー3が移動することにより、液状化粧料61の漏れを封止することが可能となっている。
(5)キャップ5
【0042】
キャップ5は、図1及び図5の(a)に示すように、ブラシ1を覆うように本体2に取り付けられるものとして構成されている。
【0043】
具体的には、キャップ5は、図5の(a)及び(b)に示すように、螺着によって本体2の首73に取り付けられるものとして構成されている。
【0044】
すなわち、このようなキャップ5によれば、本体2に取り付けられることにより、内周面に設けられた係止部5aによりホルダー3を後方に押圧することが可能となっており、これにより、弁座4bが弁体121aに近接又は当接する位置に位置するまでホルダー3を移動させることが可能となっている。
【0045】
なお、この実施の形態1にあっては、キャップ5が螺着によって首73に取り付けられているため、リング状弾性部材6がその原形復帰力によりキャップ5が首73に螺着するときの回転抵抗を大きくする機能をも発揮するものとして構成されている。
(6)リング状弾性部材6
【0046】
リング状弾性部材6は、図1〜図4に示すように、連結部材22b内に収容されたものとして構成されており、連結部材22bの内周方向に沿ってリング状に形成されている。
【0047】
具体的には、リング状弾性部材6は、図1及び図2に示すように、キャップ5を本体2に取り付けたときに、仕切壁121とパイプ部材4との間に全周に亘って押し潰されるものとして構成されている。
【0048】
なお、この実施の形態1におけるリング状弾性部材6としては、合成ゴムで製造されたOリングが用いられているが、これに限られるものではなく、これと同様な機能を発揮し得るものであれば、材質や名称の別を問わない。
【0049】
すなわち、このようなリング状弾性部材6によれば、キャップ5を本体2に取り付けたときに、仕切壁121とパイプ部材4との間に全周に亘って押し潰されることにより、仕切壁121及びホルダー3の間における水密性を確保することが可能となっている。
【0050】
もちろん、仕切壁121とパイプ部材4との間に押し潰されるものに限られるものではなく、仕切壁121及びホルダー3の間における水密性を確保し得るものであれば、仕切壁121とホルダー3との間に押し潰されるものや、仕切壁121とホルダー3及びパイプ部材4の両方との間に押し潰されるものであっても差し支えない。
【0051】
加えて、リング状弾性部材6は、図3及び図4に示すように、キャップ5を首73から取り外したときに、その原形復帰力により弁座4bが弁体121aから離間する位置に位置するまでホルダー3を移動させるものとして構成されている。
【0052】
すなわち、このようなリング状弾性部材6は、キャップ5を首73から取り外したときに、弁座4bが弁体121aから離間する位置に位置するまでホルダー3を移動させることにより、弁体121aの導出孔121bからの液状物の漏れの封止を解除することが可能となっている。
【0053】
ところで、この実施の形態1におけるリング状弾性部材6によれば、仕切壁121とパイプ部材4との間に全周に亘って挟み付けるだけで、仕切壁121及びホルダー3の間における水密性を確保することが可能となっている。
【0054】
ここで、リング状弾性部材6は、仕切壁121とストッパー22cに当接するホルダー3に嵌着されるパイプ部材4との間に挟み付けられる厚さ寸法に設定されている(図3及び図4参照)。
【0055】
つまり、このようなリング状弾性部材6によれば、キャップ5を首73から取り外したときに、連結部材22b内から離脱しないようホルダー3が当接するストッパー22cが連結部材22bに形成されているので、キャップ5を首73から取り外したときのみならず、キャップ5を本体2に取り付けたときにおいても、仕切壁121及びホルダー3の間における水密性を確保することが可能となっており、その結果、効率的な構成態様がより完全な形で実現することになっている。
【0056】
なお、このようなリング状弾性部材6とした結果、この実施の形態1におけるキャップ5が螺着によって首73に取り付けられていることから、リング状弾性部材6がその原形復帰力によりキャップ5が首73に螺着するときの回転抵抗を大きくする役割を果たすことになっている。
【0057】
上記したように、この実施の形態1における塗布具付き容器によれば、仕切壁121及びホルダー3の間における水密性を確保する機能を発揮するのみならず、キャップ5を首73から取り外したときに弁座4bが弁体121aから離間する位置に位置するまでホルダー3を移動させる機能を発揮するリング状弾性部材6を備えたものとして構成されている。
【0058】
よって、これらの機能を発揮する部品を別個独立に設ける場合に比べて部品点数の減少が図られ、非効率的な構成態様を回避し、製造コストの低減を図ることができる。
【0059】
<実施の形態2>
【0060】
図9は本発明の実施の形態2に係る塗布具付き容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図10は同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図11は同容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り外し時)、図12は同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
【0061】
なお、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0062】
この実施の形態2に係る塗布具付き容器は、図9〜図12に示すように、特有の断面形状を有するリング状弾性部材7を備えている点で、実施の形態1と構成が異なる。
【0063】
ここで、リング状弾性部材7は、その断面形状として略楕円形状を全周に亘って有している。より詳細には、リング状弾性部材7は、中心軸方向を長軸とし、かつ、これと直交する方向を短軸とする断面楕円形状を全周に亘って有している。
【0064】
ここで、リング状弾性部材7に断面楕円形状に形成されることを要求するのは、リング状弾性部材7をホルダー3の移動距離を相当に長くすることが可能な形状に形成することにより、効率的な構成態様をより広範な材料で製造し得るリング状弾性部材7によって実現させうる塗布具付き容器とするためである。したがって、このような役割を果たすものであれば、中心軸方向に長い断面楕円形状を有するリング状弾性部材7の代わりに、中心軸方向に長い断面長方形形状に類似するような断面楕円形状を有するリング状弾性部材、その他の中心軸方向に長い断面略楕円形状を有するリング状弾性部材を用いてもよい。
【0065】
具体的には、リング状弾性部材として、汎用品である合成ゴムからなるものの他、断面円形形状の場合にホルダーの移動距離を確保することが困難とされてきた比較的硬質な材料で製造し得るものを用いることが可能であり、リング状弾性部材をより広範な材料で製造することが可能となっている。
【0066】
すなわち、この実施の形態2に係る塗布具付き容器によれば、単に効率的な構成態様を実現させることが可能となっているのみならず、効率的な構成態様をより広範な材料で製造し得るリング状弾性部材によって実現させることが可能となっている。
【0067】
<実施の形態3>
【0068】
図13は本発明の実施の形態3に係る塗布具付き容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図14は同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図15は同容器の全体構成を示す断面図(キャップ取り外し時)、図16は同容器の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)、図17はリング状弾性部材の外観構成を示す斜視図、図18は同容器の他の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図19は同容器の他の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)、図20は同容器の別の部分構成を示す断面図(キャップ取り付け時)、図21は同容器の別の部分構成を示す断面図(キャップ取り外し時)である。
【0069】
なお、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0070】
この実施の形態3に係る塗布具付き容器は、図13〜図16に示すように、特有の断面形状を有するリング状弾性部材16を備えている点で、実施の形態1と構成が異なる。
【0071】
ここで、リング状弾性部材16は、外周面に設けられた環状の溝16aを有している。このリング状弾性部材16は、キャップ5を本体2に取り付けたときに、溝16aが略閉じた状態に弾性変形することが可能とされている。
【0072】
換言すれば、この実施の形態3におけるリング状弾性部材16は、図17に示すように、軸方向に沿って延びる外周面の中央領域を全周に亘って凹状に窪ませて溝16aを形成することにより、溝16aを挟んで対向する上下両領域のそれぞれに外側に向けて突出する側壁部16bを設けており、キャップ5を本体2に取り付けた際に両側壁部16bの対向する内面どうしが互いに近接又は当接した状態となるまで押し潰されることが可能となっている。
【0073】
ここで、リング状弾性部材16に特定の形状に形成される溝16aを有することを要求するのは、リング状弾性部材16をホルダー3の移動距離を相当に長くすることが可能な形状に形成することにより、効率的な構成態様をより広範な材料で製造し得るリング状弾性部材によって実現させうる塗布具付き容器とするためである。したがって、このような役割を果たすものであれば、外側のみに向けて口を開けた状態に形成される溝16aを有するリング状弾性部材16の代わりに、図18及び図19に示すような、内側のみに向けて口を開けた状態に形成される溝17aを有するリング状弾性部材17、図20及び図21に示すような、内側及び外側のそれぞれに向けて口を開けた状態に形成される溝18aを有するリング状弾性部材18、その他のリング状弾性部材を用いることが可能である。
【0074】
具体的には、リング状弾性部材として、汎用品である合成ゴムからなるものの他、断面円形形状の場合にホルダーの移動距離を確保することが困難とされてきた比較的硬質な材料で製造し得るものを用いることが可能であり、リング状弾性部材をより広範な材料で製造することが可能となっている。
【0075】
すなわち、この実施の形態3に係る塗布具付き容器によれば、実施の形態2に係る塗布具付き容器と同様、単に効率的な構成態様を実現させることが可能となっているのみならず、効率的な構成態様をより広範な材料で製造し得るリング状弾性部材によって実現させることが可能となっている。
【0076】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、塗布部材としては、先細に加工されたポリエステル繊維を束ねたブラシ(剛毛)1の他にも、スポンジや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等からなる多孔質のもの、ポリエステル等の繊維を束ねて接着剤で接合したフェルト状のもの、熱可塑性エラストマー等により成形され中心に穴をあけたパイプ状部材の表面にフロッキング加工等の複数の繊維を植毛したものなどを用いてもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物を収容する収容部及びこの収容部に連通する連通口を有する首部を備える本体と、
後端部が前記首部内に挿入され、軸方向に移動可能に該首部に連結された塗布具頭部と、
前記塗布具頭部の前記後端部に設けられた弁座と、
前記首部内に設けられ前記連通口を仕切る仕切壁と、
前記弁座に対応して前記仕切壁から前方に突出するように設けられており、前記液状物を導出する導出孔を有する弁体と、
前記仕切壁と前記塗布具頭部との間に設けられており、水密を図るリング状の弾性部材と、を備え、
前記弾性部材は、前記弁座が前記弁体から離間するように前記塗布具頭部を付勢しており、
前記塗布具頭部が後方に押圧されたとき、前記弾性部材が弾性変形して前記弁座が前記弁体に近接又は当接する、塗布具付き容器。
【請求項2】
前記塗布具頭部は、
筒状のホルダーと、
前記ホルダーに保持された塗布部材と、
後部が前記ホルダーに嵌着されるとともに前部が前記塗布部材に挿入されたパイプ部材と、を有し、
前記弁座は、前記パイプ部材の前記後部に設けられている、請求項1に記載の塗布具付き容器。
【請求項3】
前記塗布具頭部を後方に押圧する係止部を有し、前記本体の前記首部に取り付けられるキャップを更に備え、
前記キャップを前記首部に取り付けたとき、前記係止部により前記塗布具頭部が後方に押圧されることで、前記弾性部材が弾性変形して前記弁座が前記弁体に近接又は当接し、
前記キャップを前記首部から取り外したとき、前記弾性部材が復元して前記弁座が前記弁体から離間する、請求項1又は2に記載の塗布具付き容器。
【請求項4】
前記弾性部材の中心軸に沿う方向の厚みは、これと直交する方向の厚みよりも大きい、請求項1〜3のいずれかに記載の塗布具付き容器。
【請求項5】
前記弾性部材は、略楕円形の断面を有する、請求項4に記載の塗布具付き容器。
【請求項6】
前記弾性部材の内周面及び外周面の少なくともいずれかには、環状の溝が設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の塗布具付き容器。
【請求項7】
前記仕切壁上の前記弾性部材を受ける面上に連続して設けられた突条を備える、請求項1〜6のいずれかに記載の塗布具付き容器。
【請求項8】
前記首部は、前記塗布具頭部の該首部からの離脱を防ぐストッパーを有する、請求項1〜7のいずれかに記載の塗布具付き容器。

【国際公開番号】WO2005/053457
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【発行日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515921(P2005−515921)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017717
【国際出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】